説明

断熱樹脂材料、定着部材、定着装置、画像形成装置

【課題】本発明は、断熱性能を向上させることができるとともに、硬度を高めることのできる断熱樹脂材料、断熱性能を損なうことなく断熱性能と硬度とを任意に調整することのできる断熱樹脂材料、さらに、断熱性能を損なうことなく断熱性能と硬度とを任意に調整することのできる断熱樹脂材料を用いた定着部材、その定着部材を有する定着装置、その定着装置を有する画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の断熱樹脂材料は、断熱性能を有する固体材料がシリコーン樹脂に含有され、かつ当該シリコーン樹脂中に有機溶媒が含まれている構成とし、或いは、本発明の断熱樹脂材料は、断熱性能を有する固体材料がシリコーン樹脂で固定成形され、かつ当該シリコーン樹脂中に有機溶媒が含まれている構成としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン樹脂を有する断熱樹脂材料、その断熱樹脂材料で形成され記録媒体に転写されたトナー像を加熱および加圧により定着させる加圧ローラや定着ローラなどの定着部材、その定着部材を有する定着装置、その定着装置を有する電子写真方式による画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、耐熱性断熱樹脂材料は断熱性を向上させるため、樹脂に断熱性能の高い気体を気泡として内包する構成となっていた。内包された気体は独立した気泡や連続した空隙の形態となっている。それらの気泡や空隙の形状が加熱や加圧などにより変化することにより、断熱材としての体積が一時的に変化するのに加えて、その断熱材においては永久歪みによる永久変形が発生する。
【0003】
そのため、耐熱性断熱樹脂材料で形成される例えば加圧ローラなどの定着部材には、永久歪みによる永久変形の発生を防止する目的、あるいはローラ形状の変化を防止する目的のために複数層構造になっているものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、樹脂に内包された独立した気泡や連続した空隙は、層を構成する樹脂に比べ圧縮時の変形が大きく、しかも気泡や空隙が内包されている樹脂の硬度は、当該樹脂のみの場合に比べ低下してしまうため、樹脂層の硬度を確保する必要がある場合には、内包される独立した気泡や連続した空隙を少なくするか、層の厚みを薄くする方法、あるいは、硬度の高い層を有する複数の層すなわち多層構成(多層構造)にする方法が用いられている。
【0005】
なお、樹脂層の硬度をより一層高くする手段としては、母材となる樹脂に、これと比較して硬度が高い樹脂のフィラーや固体のフィラーを含有させる方法が用いられる。しかし、これらのフィラーは熱の伝導率が高く、硬度を上げるために添加する量に限界があった。
【0006】
ところで、電子写真方式によるレーザプリンタや複写機などの画像形成装置は、感光体を介してあるいは直接、記録媒体(用紙)上にトナー等の印材を転写付着させ、これを加熱および加圧することにより、その印材を記録媒体に定着させる。
【0007】
この画像形成装置に用いられる定着装置は、発熱ローラの外部にIHコイルと発熱体とが配設されているとともに、発熱ローラに圧接して加圧ローラが配設されている。IHコイルにより発生させた高周波数の電磁波を誘導発熱する発熱体に照射し、この電磁波が照射されることにより発熱体で発生する渦電流により発熱した熱を発熱源として、発熱ローラを加熱する。そして、トナー等の印材が転写されている記録媒体(用紙)が、加熱されている発熱ローラと加圧ローラとが接する部分(ニップ部分)を通過することにより、印刷媒体および印材が加温および加圧されて、当該印材が記録媒体に定着される。
【0008】
また、定着装置の他の例としては、熱源として内部にハロゲンヒータを備えた発熱ローラを用いるものもある。この発熱ローラで発生した熱は、トナー等の印材および印刷媒体(用紙)の温度を上昇させるだけでなく、発熱ローラと接触する加圧ローラの温度上昇にも使われている。
【特許文献1】特開平6−27850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、従来の耐熱性断熱樹脂材料は、次の(1)〜(5)の問題点を有していた。
【0010】
(1)断熱性を向上させるために、樹脂に断熱性能の高い気体を独立した気泡や連続した空隙の形態で内包する構造となっているものの、加熱や加圧などによりそれらの気泡や空隙の形状が変化することにより、断熱材としての体積が一時的に変化するばかりでなく、永久歪みによる永久変形が発生する。
【0011】
(2)加圧ローラのローラ形状の変化を防止するために複数層構造にした場合には、構成材料間の界面での接合が必要となるばかりでなく、剥離の原因となる。
【0012】
(3)樹脂に内包された独立した気泡や連続した空隙は、層を構成する樹脂に比べ圧縮時の変形が大きいので、そのような気泡や空隙が内包されている樹脂の硬度が、当該樹脂のみの場合に比べ低下してしまう。
【0013】
(4)樹脂層の硬度を確保する必要がある場合は、内包される独立した気泡や連続した空隙を少なくするか、層の厚みを薄くするか、あるいは、硬度の高い層を有する複数の層(多層構造)にする必要があり、耐熱性断熱樹脂材料の作製に手間がかかっていた。
【0014】
(5)樹脂層の硬度をより一層高くする手段としては、母材となる樹脂にこれと比較して硬度が高い樹脂のフィラーや固体のフィラーを含有させる方法が用いられるものの、この場合、これらのフィラーは熱の伝導率が高く、硬度を上げるために添加する量に限界があり、樹脂層を所望の硬さに調整することは困難であった。
【0015】
また、上述した従来の耐熱性断熱樹脂材料では、断熱性能と硬度との両方を満たすために、樹脂材料等の有機物、ガラス、金属、セラミックの中空体もしくは発泡体もしくは独立気泡体を樹脂層へ混練する際に、中空構造が破損して、断熱性能が損なわれるという問題点を有していた。
【0016】
また、上述した従来の画像形成装置では、発熱ローラにより発生した熱が、この発熱ローラと接触する加圧ローラを通じて拡散されるため、定着装置の内部の温度が上昇することになり、これに伴って装置内部の熱を放熱する必要がるという問題点を有していた。また、前述したように加圧ローラを通じて拡散される熱の損失した熱量を補給するために余分な加熱をする必要があるので、画像形成装置の消費電力の増大を招くという問題点を有していた。
【0017】
そこで、本発明は、断熱性能を向上させることのできる断熱樹脂材料を提供することを目的とする。
【0018】
また、本発明は、断熱性能を向上させることができるとともに、硬度を高めることのできる断熱樹脂材料を提供することを目的とする。
【0019】
さらに、本発明は、断熱性能を損なうことなく断熱性能と硬度とを任意に調整することのできる断熱樹脂材料を提供することを目的とする。
【0020】
さらに、本発明は、断熱性能を損なうことなく断熱性能と硬度とを任意に調整することのできる断熱樹脂材料を用いた定着部材、その定着部材を有する定着装置、その定着装置を有する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この課題を解決するために、本発明の断熱樹脂材料は、断熱性能を有する固体材料がシリコーン樹脂に含有され、かつ当該シリコーン樹脂中に有機溶媒が含まれている構成としたものである。
【0022】
この課題を解決するために、本発明の断熱樹脂材料は、断熱性能を有する固体材料がシリコーン樹脂で固定成形され、かつ当該シリコーン樹脂中に有機溶媒が含まれている構成としたものである。
【0023】
本発明の好ましい形態において、前記有機溶媒は、常温において液体の状態を成すものであって、飽和脂肪族化合物、不飽和脂肪族化合物および芳香族系化合物のうちの1種類の化合物または複数種類の化合物を組み合わせたものである。
【0024】
本発明のさらに好ましい形態において、前記有機溶媒は、トルエン、ベンゼン、キシレン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルフォキシドの化合物もしくは異性体、または前記複数の化合物の任意の複数種類を混合したものである。
【0025】
本発明のさらに好ましい形態において、前記有機溶媒の含有量は、前記固体材料と前記シリコーン樹脂との混合物に対して重量パーセントで5パーセント以下である。
【0026】
本発明のさらに好ましい形態において、前記固体材料は、樹脂材料などの有機物、ガラス、金属、またはセラミックの中空体である。
【0027】
本発明のさらに好ましい形態において、前記固体材料は、樹脂材料などの有機物、ガラス、金属、またはセラミックの発泡体である。
【0028】
本発明のさらに好ましい形態において、前記固体材料の含有量に基づいて自己の材料の断熱特性および硬度が調整されている。
【0029】
本発明のさらに好ましい形態において、前記固体材料は前記シリコーン樹脂に体積比率で30%〜70%含有されている。
【0030】
この課題を解決するために、本発明の定着部材は、記録媒体に転写されている未定着のトナーを当該記録媒体に定着させる部材であって、請求項1〜9の何れか一項に記載の断熱樹脂材料を有する構成としたものである。
【0031】
この課題を解決するために、本発明の定着部材は、記録媒体に転写されている未定着のトナーを当該記録媒体に定着させるローラ状の部材であって、当該ローラ状の部材の表面に、請求項1〜9の何れか一項に記載の断熱樹脂材料が形成されている構成としたものである。
【0032】
本発明のさらに好ましい形態において、前記断熱樹脂材料の硬度は、シリコーン樹脂単体の硬度よりも値が大きい。
【0033】
本発明のさらに好ましい形態において、前記断熱樹脂材料のアスカーC硬度は、50〜95である。
【0034】
この課題を解決するために、本発明の定着装置は、記録媒体に転写されている未定着の
トナー像を当該記録媒体に定着させる定着装置であって、請求項10〜13の何れか一項に記載の定着部材を有する構成としたものである。
【0035】
本発明の好ましい形態において、加熱は電磁誘導作用によるものである。
【0036】
本発明のさらに好ましい形態において、加熱はハロゲンヒータによるものである。
【0037】
この課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、静電潜像に対応するトナー像を形成しこれを記録媒体に転写するともに当該トナー像を前記記録媒体に定着させる画像形成装置であって、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる請求項14〜16の何れか一項に記載の定着装置を有する構成としたものである。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、シリコーン樹脂に多くの固体材料を含有させることで、断熱樹脂材料の断熱性能を向上させることができるとともに、断熱樹脂材料の硬度を高めることができるというという有効な効果が得られる。
【0039】
また、本発明によれば、硬化前のシリコーン樹脂を有機溶媒で溶解もしく膨潤させることにより、断熱材料としての固定材料を破損させることなくシリコーン樹脂の中に固定させることができるので、断熱樹脂材料の断熱性能を向上させることができるとともに、断熱樹脂材料の硬度を高めることができるという有効な効果が得られる。
【0040】
さらに、本発明によれば、硬化前のシリコーン樹脂を有機溶媒で溶解もしく膨潤させることにより、断熱材料としての固定材料を破損させることなくシリコーン樹脂の中に固定させることができるので、断熱樹脂材料の断熱性能を向上させることができるとともに、断熱樹脂材料の硬度を高めることができるという有効な効果が得られる。
【0041】
さらに、本発明によれば、硬化前のシリコーン樹脂を有機溶媒で溶解もしく膨潤させることにより、断熱材料としての中空体または発砲体の固定材料を破損させることなくシリコーン樹脂の中に固定させることができるので、断熱樹脂材料の断熱性能を向上させることができるとともに、断熱樹脂材料の硬度を高めることができるという有効な効果が得られる。
【0042】
さらに、本発明によれば、固体材料の含有量を調整することにより、断熱樹脂材料の断熱性能を損なうことなく断熱樹脂材料の断熱性能と硬度とを任意に調整することができるという有効な効果が得られる。
【0043】
さらに、本発明によれば、断熱性能を損なうことなく断熱性能と硬度とを任意に調整することのできる断熱樹脂材料を用いた定着部材、その定着部材を有する定着装置、その定着装置を有する画像形成装置を提供することができるという有効な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明の請求項1に記載の発明は、断熱性能を有する固体材料がシリコーン樹脂に含有され、かつ当該シリコーン樹脂中に有機溶媒が含まれている断熱樹脂材料であり、硬化前のシリコーン樹脂を有機溶媒で溶解もしく膨潤させることにより、断熱材料としての固定材料を破損させることなくシリコーン樹脂の中へ含有させることができるので、断熱樹脂材料の断熱性能を向上させることができるとともに、断熱樹脂材料の硬度を高めることができるという作用を有する。
【0045】
本発明の請求項2に記載の発明は、断熱性能を有する固体材料がシリコーン樹脂で固定成形され、かつ当該シリコーン樹脂中に有機溶媒が含まれている断熱樹脂材料であり、硬化前のシリコーン樹脂を有機溶媒で溶解もしく膨潤させることにより、断熱材料としての固定材料を破損させることなくシリコーン樹脂の中に固定させることができるので、断熱樹脂材料の断熱性能を向上させることができるとともに、断熱樹脂材料の硬度を高めることができるという作用を有する。
【0046】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、有機溶媒は、常温において液体の状態を成すものであって、飽和脂肪族化合物、不飽和脂肪族化合物および芳香族系化合物のうちの1種類の化合物または複数種類の化合物を組み合わせたものである断熱樹脂材料であり、有機溶媒を用いてシリコーン樹脂の硬度もしくは粘度を低下させるようにしているので、断熱材料としての固定材料の破損を防止することができ、固定材料本来の断熱性を維持させることができるという作用を有する。
【0047】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項3記載の発明において、有機溶媒は、トルエン、ベンゼン、キシレン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルフォキシドの化合物もしくは異性体、または複数の化合物の任意の複数種類を混合したものである断熱樹脂材料であり、有機溶媒を用いてシリコーン樹脂の硬度もしくは粘度を低下させるようにしているので、断熱材料としての固定材料の破損を防止することができ、固定材料本来の断熱性を維持させることができるという作用を有する。
【0048】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の発明において、有機溶媒の含有量は、固体材料とシリコーン樹脂との混合物に対して重量パーセントで5パーセント以下である断熱樹脂材料であり、有機溶媒を用いてシリコーン樹脂の硬度もしくは粘度を低下させるようにしているので、断熱材料としての固定材料の破損を防止することができ、固定材料本来の断熱性を維持させることができるという作用を有する。
【0049】
本発明の請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の発明において、固体材料は、樹脂材料などの有機物、ガラス、金属、またはセラミックの中空体である断熱樹脂材料であり、硬化前のシリコーン樹脂を有機溶媒で溶解もしく膨潤させることにより、断熱材料としての中空体の固定材料を破損させることなくシリコーン樹脂の中に固定させることができるので、断熱樹脂材料の断熱性能を向上させることができるとともに、断熱樹脂材料の硬度を高めることができるという作用を有する。
【0050】
本発明の請求項7に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の発明において、固体材料は、樹脂材料などの有機物、ガラス、金属、またはセラミックの発泡体である断熱樹脂材料であり、硬化前のシリコーン樹脂を有機溶媒で溶解もしく膨潤させることにより、断熱材料としての発砲体の固定材料を破損させることなくシリコーン樹脂の中に固定させることができるので、断熱樹脂材料の断熱性能を向上させることができるとともに、断熱樹脂材料の硬度を高めることができるという作用を有する。
【0051】
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか一項に記載の発明において、固体材料の含有量に基づいて自己の材料の断熱特性および硬度が調整されている断熱樹脂材料であり、固体材料の含有量を調整することにより、断熱樹脂材料の断熱性能を損なうことなく断熱樹脂材料の断熱性能と硬度とを任意に調整することのできるという作用を有する。
【0052】
本発明の請求項9に記載の発明は、請求項1〜8の何れか一項に記載の発明において、固体材料は前記シリコーン樹脂に体積比率で30%〜70%含有されている断熱樹脂材料であり、シリコーン樹脂に対する断熱材料としての固定材用の体積比率を30%〜70%としているので、アスカーC硬度でシリコーン樹脂単体の場合と比較して高い高度たとえば50〜95を実現することができ、断熱樹脂材料の断熱性能を損なうことなく断熱樹脂材料の断熱性能と硬度とを任意に調整することができるという作用を有する。
【0053】
本発明の請求項10に記載の発明は、請求項1〜9の何れか一項に記載の発明において、断熱樹脂材料として用いるシリコーン樹脂の主成分が、ポリジメチルシロキサンに代表されるポリシロキサンであり、そのポリシロキサンを構成する分子構造の側鎖と両方の末端が、水素原子、メチル誘導体、エチル誘導体、プロピル誘導体、メトキシ誘導体、エトキシ誘導体、アミノ誘導体、カルボキシル誘導体、フェニル誘導体、フェノール誘導体、エポキシ誘導体、メルカプト誘導体、ビニル誘導体、ポリエーテル誘導体、脂肪酸エステル誘導体のいずれかであることを特徴とするものであって、定着部材のローラとして用いられる際の断熱性、硬度、接着性、等の種々の要求に対して幅広く対応することが可能であるという作用を有する。
【0054】
本発明の請求項11に記載の発明は、請求項1〜10の何れか一項に記載の発明において、断熱樹脂材料のアスカーC硬度が60〜95であり、かつ、熱伝導率が0.20[W/K・m]以下としているので、立上り時(ウォーミングアップ時)の所定の定着温度に達するまでの時間を大幅に短縮し、印刷に適切なニップ幅の設定とを同時に達成することが可能となるという作用を有する。
【0055】
本発明の請求項12に記載の発明は、記録媒体に転写されている未定着のトナーを当該記録媒体に定着させる部材であって、請求項1〜11の何れか一項に記載の断熱樹脂材料を有する定着部材であり、断熱性能を損なうことなく断熱性能と硬度とを任意に調整することのできる断熱樹脂材料を用いた定着部材を提供することができるという作用を有する。これにより、高い断熱性能および高度を備えた定着部材は、定着のために加えられた熱を奪うことがないという作用を有する。
【0056】
本発明の請求項13に記載の発明は、記録媒体に転写されている未定着のトナーを当該記録媒体に定着させるローラ状の部材であって、当該ローラ状の部材の表面に、請求項1〜11の何れか一項に記載の断熱樹脂材料が形成されている定着部材であり、断熱性能を損なうことなく断熱性能と硬度とを任意に調整することのできる断熱樹脂材料を用いた定着部材を提供することができるという作用を有する。これにより、高い断熱性能および高度を備えた定着部材は、定着のために加えられた熱を奪うことがないという作用を有する。
【0057】
本発明の請求項14に記載の発明は、請求項12または13記載の発明において、断熱樹脂材料の硬度は、シリコーン樹脂単体の硬度よりも値が大きい定着部材であり、断熱性能を損なうことなく断熱性能と硬度とを任意に調整することのできる断熱樹脂材料を用いた定着部材を提供することができるという作用を有する。これにより、高い断熱性能および高度を備えた定着部材は、定着のために加えられた熱を奪うことがないという作用を有する。
【0058】
本発明の請求項15に記載の発明は、請求項12〜14の何れか一項に記載の発明において、断熱樹脂材料のアスカーC硬度は、50〜95である定着部材であり、断熱性能を損なうことなく断熱性能と硬度とを任意に調整することのできる断熱樹脂材料を用いた定着部材を提供することができるという作用を有する。これにより、高い断熱性能および高度を備えた定着部材は、定着のために加えられた熱を奪うことがないという作用を有する。
【0059】
本発明の請求項16に記載の発明は、記録媒体に転写されている未定着のトナー像を当該記録媒体に定着させる定着装置であって、請求項12〜15の何れか一項に記載の定着部材を有する定着装置であり、断熱性能を損なうことなく断熱性能と硬度とを任意に調整することのできる断熱樹脂材料を用いた定着部材を有する定着装置を提供することができるという作用を有する。これにより、高い断熱性能および硬度を備えた定着部材を有する定着装置は、定着のために加えられた熱を奪うことがないので、所定の定着温度に達するまでの時間を大幅に短縮することができるという作用を有する。
【0060】
本発明の請求項17に記載の発明は、請求項16記載の発明において、加熱は電磁誘導作用によるものである定着装置であり、電磁誘導作用により加熱され、しかも高い断熱性能および硬度を備えた定着部材を有する定着装置は、定着のために加えられた熱を奪うことがないので、所定の定着温度に達するまでの時間を大幅に短縮することができるという作用を有する。
【0061】
本発明の請求項18に記載の発明は、請求項16記載の発明において、加熱はハロゲンヒータによるものである定着装置であり、ハロゲンヒータにより加熱され、しかも高い断熱性能および硬度を備えた定着部材を有する定着装置は、定着のために加えられた熱を奪うのを抑制することができるので、所定の定着温度に達するまでの時間を大幅に短縮することができるという作用を有する。
【0062】
本発明の請求項19に記載の発明は、静電潜像に対応するトナー像を形成しこれを記録媒体に転写するともに当該トナー像を記録媒体に定着させる画像形成装置であって、トナー像を記録媒体に定着させる請求項16〜18の何れか一項に記載の定着装置を有する画像形成装置であり、定着装置においては、定着のために加えられた熱が定着部材に奪われるのを抑制することができるので、ランニングエネルギーの消費を低く抑えることができるとともに、立ち上り時(ウォーミングアップ時)の所定の定着温度に達するまでの時間を大幅に短縮することができるという作用を有する。また、画像形成装置全体としてランニングエネルギーの消費を低く抑えことにより、大幅な省エネルギーを実現することができるという作用を有する。
【0063】
本発明の請求項20に記載の発明は、断熱性能を有する固体材料がシリコーン樹脂に含有され、かつ断熱性、即ち低熱伝導率である0.20[W/K・m]以下と高硬度であるアスカーC硬度60〜95を同時に満たすものである。これにより立上り時(ウォーミングアップ時)の所定の定着温度に達するまでの時間を大幅に短縮することと、印刷に適切なニップ幅の設定とを同時に達成することが可能となるという作用を有する。
【0064】
本発明の請求項21に記載の発明は、断熱性能を有する個体材料がシリコーン樹脂で固定成形され、かつ断熱性、即ち低熱伝導率である0.20[W/K・m]以下と高硬度であるアスカーC硬度60〜95を同時に満たすものである。これにより立上り時(ウォーミングアップ時)の所定の定着温度に達するまでの時間を大幅に短縮することと、印刷に適切なニップ幅の設定とを同時に達成することが可能となるという作用を有する。
【0065】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しつつさらに具体的に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0066】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における断熱樹脂材料の概略構成を示す構成図である。
【0067】
図1に示す断熱樹脂材料100は、シリコーン樹脂1に断熱性能を有する固体材料2を含有あるいは固定させている。
【0068】
すなわち、断熱樹脂材料100は、トルエン有機溶媒を用いてシリコーン樹脂1を溶解および膨潤させ、その後、溶解および膨潤されたシリコーン樹脂1に固体材料2を投入して混合分散させて作製したものである。
【0069】
このようにして、シリコーン樹脂1中に、高い断熱特性を有し低い熱容量である固体材料2を含有あるいは固定している。これにより、シリコーン樹脂1の単位体積当たり重量を低減することができる。また、シリコーン樹脂1には、これをトルエン有機溶媒にて溶解および膨潤させ、さらに固体材料2を混合分散させたために、トルエン残留溶媒が0.1[wt%]含まれている。
【0070】
固体材料2としては、シリコーン樹脂1と比較して伝熱特性が低く耐熱性が高い断熱材料が挙げられる。例えば、カーボン樹脂やカーボングラファイトなどの炭素材料、多孔質炭素材料、コルクや木材チップなどの植物性材料、コルクや木材チップを炭化処理したものがある。また、ソーダ石灰珪酸や珪酸であるシリコーンガラスや鉛ガラスや珪酸ガラス、燐酸系ガラス等のガラス、金属およびセラミックスのそれぞれの中空体あるいは発泡体がある。
【0071】
さらには、固体材料2として、フッ素樹脂や低分子シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの耐熱性樹脂材料や、これらの耐熱性樹脂材料の発泡体あるいは中空体を用いても良い。
【0072】
上述した固体材料2の具体例の中でも、固体材料2としては、その硬度が高いことや粒子サイズの均一性の点で珪酸ガラスが望ましい。
【0073】
固体材料2の中空体の粒系分布が適切に配分されている場合は、単一の粒系分布ではなし得なかった、74%以上の充填率を発現することが可能である。
【0074】
ここで、固体材料2について具体例を挙げて説明する。固体材料2は中空シリコンビーズが好ましく、この中空シリコンビーズとしては、粒子サイズ10〜150[μm]、カサ密度で0.07〜0.8[g/cm3]の中空度のものを使用することができる。好ましくは、耐圧強度と中空度の観点から、粒子サイズ30〜70[μm]、カサ密度で0.1〜0.6[g/cm3]の中空度のものが望ましい。
【0075】
断熱特性の高い固体材料2をシリコーン樹脂1中に含有あるいは固定することにより、シリコーン樹脂1の体積が減少するので、シリコーン樹脂1の弾性変形量を規制することができる。また、固体材料2の弾性変形率は小さいものから大きいものまで存在するので、目的に応じて、所望の弾性変形率を有する固体材料2を用いることで、断熱樹脂材料100の硬度を高める等の調整を行うことができる。
【0076】
特に、高い硬度が必要である場合は、弾性変形率の小さな固体材料2を選択し、多くの当該固体材料2をシリコーン樹脂1に含有させてシリコーン樹脂1の体積比率を低くすることにより、断熱樹脂材料100の硬度が高くなるように調整することができる。
【0077】
このとき、シリコーン樹脂1に対し、ニーダーやローラ式等の混練機を用いて固体材料2を含有させる方法、もしくは固体材料2およびシリコーン樹脂1を溶解および膨潤させ得る有機溶剤、たとえばトルエンやTHFやオクタン、イソオクタン等の石油系溶剤を用いて事前に、固体材料2およびシリコーン樹脂1の表面を表面処理する手法を用いることにより、固体材料2は、シリコーン樹脂1との体積比率を30〜70[%]に任意に実現することができる。
【0078】
上記石油系溶剤(有機溶媒)を用いてシリコーン樹脂1を溶解および膨潤させることができるので、中空体フィラーを混練するときに、シリコーン樹脂1の硬度が低くなり(シリコーン樹脂1が柔らかくなり)、中空体の破損を防止することができる。
【0079】
なお、中空体フィラーが破損した場合は、その破片は熱伝導度の高い単なるフィラーとなり、断熱材料としての特性は低下することになる。そのため、中空体フィラーをシリコーン樹脂1中に混入する際に、いかに中空体フィラーを破損させずに混入するかということが、断熱樹脂材料100を用いた部材たとえば断熱ローラとしての特性を発現させることに繋がる。
【0080】
また、固体粒子サイズがほぼ均一な場合、固体材料2が最密充填されたとしても体積比率で66%を超えると、剰余体積部分をシリコーン樹脂1で充填することが理論上不可能となり、気相が存在する。この気相がシリコーン樹脂1中に含有することにより、断熱樹脂材料100としての機械強度は劣化するものの、断熱特性を向上させることが可能である。よって、シリコーン樹脂1に対する固体材料2の体積比率が70%以下であることが、弾性を有する断熱樹脂材料100として望ましい。
【0081】
なお、有機溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルフォキシドの化合物もしくは異性体、または複数の化合物の任意の複数種類を混合したものが挙げられる。
【0082】
このような有機溶媒を用いてシリコーン樹脂1の硬度もしくは粘度を低下させるようにしているので、断熱材料としての固体材料2の破損を防止することができ、固定材料本来の断熱性を維持させることができる。
【0083】
以上説明したように、実施の形態1によれば、断熱性能を有する固体材料2をシリコーン樹脂1で固定した断熱樹脂材料100は、高い断熱性能を得られるとともに、高い硬度が必要な場合には固体の断熱材料(固体材料)を多くすることにより硬度を高めることができる。
【0084】
具体的には、固体材料2をシリコーン樹脂1に体積比率で30〜66[%]含有させることにより、アスカーC硬度でシリコーン樹脂単体の場合よりも高硬度の50〜95を実現することができる。これは、シリコーン樹脂より高硬度の断熱材料がシリコーン樹脂の変形を抑止する効果を付与するためである。さらに、シリコーン樹脂に対して固体材料を体積比で66[%]以上の割合にしたときは、固体材料とシリコーン樹脂とに気体が含まれるので断熱特性を向上させることができる。このとき、シリコーン樹脂に対して固体材料が体積比で70[%]を大きく超過した場合は、シリコーンゴムのゴムとしての特性が著しく低下するので70[%]以下であることが望ましいが、気体を多く含有することにより断熱特性は大幅に向上する。
【0085】
(実施の形態2)
図2は本発明の実施の形態2における断熱樹脂材料の概略構成を示す構成図である。
【0086】
図2に示す断熱樹脂材料100は、図1に示した実施の形態1の断熱樹脂材料100の構成において、独立気泡体3を追加した構成になっている。
【0087】
この断熱樹脂材料100は、シリコーン樹脂1に断熱性能を有する固体材料2と独立気泡体3とを含有あるいは固定させている。
【0088】
すなわち、断熱樹脂材料100は、シリコーン樹脂1中に、高い断熱特性を有し低い熱容量である固体材料2と、高い断熱特性を有し低い熱容量である独立気泡体3とを含有あるいは固定している。これにより、シリコーン樹脂1の単位体積当たり重量を低減することができるので、断熱材料としての断熱特性と低い熱容量とを著しく向上させることができる。
【0089】
固体材料2としては、実施の形態1の場合と同様に、シリコーン樹脂1と比較して伝熱特性が低く耐熱性が高い断熱材料が挙げられる。例えば、固体材料2としては、カーボン樹脂やカーボングラファイトなどの炭素材料、多孔質炭素材料、コルクや木材チップなどの植物性材料、コルクや木材チップを炭化処理したものがある。また、固体材料2としては、ガラス、金属、セラミックスのそれぞれの中空体あるいは発泡体が挙げられ、これらの中空体あるいは発泡体の空隙には空気等の気体が存在する。さらに、他の固体材料2として、内部が真空あるいは空気や窒素などの気体を封入した微細なカプセル、断熱特性を有する多孔質体がある。
【0090】
さらには、固体材料2として、フッ素樹脂や低分子シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの耐熱性樹脂材料や、これらの耐熱性樹脂材料の発泡体あるいは中空体を用いても良い。
【0091】
シリコーン樹脂1の加熱焼成硬化前に、気泡体をシリコーン樹脂1の内部に取り込んでおくか、あるいは加熱焼成中に気化発泡する発泡剤をシリコーン樹脂1に添加しておき、シリコーン樹脂1を加熱焼成硬化させることにより、独立気泡体3を作製することができる。あるいは、シリコーン樹脂1の中に分散、膨潤および浸透し、かつ加熱焼成温度以下の沸点を有する溶媒をシリコーン樹脂1の中に添加するとともに、混合されたシリコーン樹脂原料を加熱することにより、前記溶媒が気化する過程で独立した気泡として発生するので、シリコーン樹脂1中に独立気泡体3を作製することができる。
【0092】
断熱特性の高い固体材料2をシリコーン樹脂1中に含有あるいは固定することにより、シリコーン樹脂1の体積が減少するので、シリコーン樹脂1の弾性変形量を規制することができ、断熱樹脂材料100の弾性変形率を小さくし、硬度を高くすることができる。一方、独立気泡体3をシリコーン樹脂1中に含有あるいは固定することにより、この独立気泡体3は弾性変形をし易くなるので、断熱材料としての弾性変形率を大きくして、断熱樹脂材料100の硬度を低下させることができる。
【0093】
したがって、固体材料2と独立気泡体3との比率を任意に設定することにより、シリコーン樹脂1と比較して硬度が小さいものから大きいものまで、目的に応じて硬度を自由に設定した断熱樹脂材料100を提供することができる。
【0094】
このとき、シリコーン樹脂1に対し、ニーダーやローラ式等の混練機を用いて固体材料2を含有させる場合、固体材料2をシリコーン樹脂1に体積比率で含有量を30[%]以上にすることは困難であるものの、固体材料2およびシリコーン樹脂1を溶解および膨潤させ得る有機溶剤、たとえばトルエンやTHFやオクタン、イソオクタン等の石油系溶剤を用いて事前に、固体材料2およびシリコーン樹脂1の表面を表面処理することにより高い体積比率の混合を実現することができる。これにより、固体材料2は、シリコーン樹脂1との体積比率を30〜70[%]に任意に実現することができる。
【0095】
粒子サイズがほぼ均一な場合、固体材料2が最密充填されたとしても体積比率で66%を超えると、剰余体積部分をシリコーン樹脂1で充填することが理論上不可能となり、気相が存在する。この気相は連続した形状を有している。このような気相がシリコーン樹脂1中に含有することにより、圧力による永久変形を発生させ易くし、また断熱樹脂材料100としての機械強度が劣化する。
【0096】
シリコーン樹脂層に高柔軟性を付与するために、シリコーン樹脂1にシリコンモノマーやシリコンオイルなどの混合物を含有させて、シリコーン樹脂1の柔軟性を高めることができる。そして、柔軟性が高まったことにより、固体材料2がより混合され易くなるため、断熱樹脂材料100は、より断熱特性を向上させることができる。シリコーン樹脂1に対する固体材料2の体積比率は70[%]以下であることが、弾性を有する断熱樹脂材料100として望ましい。
【0097】
断熱材料としての固体材料2は、中空ガラスとして、粒子サイズ10〜300[μm]、カサ密度で0.07〜0.8[g/cm3]の中空度のものを使用することができる。好ましくは、耐圧強度と中空度の観点から粒子サイズ30〜70[μm]、カサ密度で0.1〜0.6[g/cm3]の中空度のものが望ましい。
【0098】
ここで、粒子サイズ30〜60[μm]、カサ密度で0.38〜0.6[g/cm3]の中空度の固体材料2を、シリコーン樹脂1に対する体積比率が60[%]とした場合に、当該固体材料2をシリコーン樹脂1で固定した断熱樹脂材料100を用いると、熱伝導率は、シリコーン樹脂単体の場合に0.3[W/m・k]であったものが、0.2[W/m・k]に大幅に改善する。また、前記中空度の固体材料2をシリコーン樹脂1に対する体積比率が70[%]とした場合には、熱伝導率は0.13[W/m・k]以下を達成することができる。
【0099】
中空ガラス断熱材料をシリコーン樹脂中に分散する際には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶媒か、もしくはヘキサン、オクタン等の脂肪族系有機溶媒(飽和脂肪族化合物あるいは不飽和脂肪族化合物)か、もしくはTHF、DMSO等の極性基を有する有機溶媒を用いる。これら有機溶媒を用いて、シリコーン樹脂1を溶解および膨潤させ硬度を低下させた状態で、中空ガラス断熱材を混入する。これにより、有機溶媒を使用しなかった場合と比較して、中空ガラス断熱材を均一に分散させることができるので、断熱材料として均一な特性を得ることができる。また、混練時のガラス中空体の破損を防止することができるので、断熱材料としての特性を損なわないというメリットがある。
【0100】
ちなみに、有機溶媒の一例を列挙すると、トルエン、ベンゼン、キシレン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルフォキシドの化合物もしくは異性体、または複数の化合物のうち、任意の複数種類を混合したものが挙げられる。
【0101】
中空ガラス断熱材をシリコーン樹脂中に混練した後は、できるだけシリコーン樹脂中より有機溶媒を留去し、シリコーン樹脂の加熱硬化を行う。ただし、シリコーン樹脂を加熱硬化させる通常の温度と時間では、シリコーン樹脂と中空ガラス断熱材料との混合物系中から、完全に有機溶媒を留去させることは難しい。その結果、作製された断熱樹脂材料100を用いた部材中に、いくばくかの残留有機溶媒が存在することとなる。
【0102】
以上説明したように、実施の形態2によれば、断熱性能を有する固体材料2と独立気泡体3とをシリコーン樹脂1で固定した断熱樹脂材料は、高い断熱性能を得られるとともに、高い硬度が必要な場合には固体の断熱材料(固体材料)を多くすることにより硬度を高めることができる。
【0103】
また、実施の形態2によれば、シリコーン樹脂の硬度を高める固体の断熱材料(固体材料)と、弾性付与によりシリコーン樹脂の硬度を低下させる独立気泡体とを任意の割合でシリコーン樹脂中に含有させることにより、固体断熱材料によるシリコーン樹脂の硬度UPを、独立気泡体を含有させて弾性を付与することでこれを抑制し、シリコーン樹脂の硬度を任意に調整することができる。そして、高硬度の特性のみならず、低硬度の材料特性を得ることができる。このとき、気泡体が独立であることが必ずしも必要ではなく、硬度を顕著に低下させる場合には連続気泡体の方が有効である。
【0104】
(実施の形態3)
図3は本発明の実施の形態3における定着装置の概略構成を示す構成図、図4は本発明の実施の形態3における定着装置の他の概略構成を示す構成図である。
【0105】
この実施の形態3では、発熱源としてIHコイルを使用した場合とハロゲンヒータを使用した場合の2通りの定着装置について説明する。
【0106】
最初に、発熱源としてIHコイルを使用した場合の定着装置について図3を参照して説明する。
【0107】
図3に示す定着装置300において、定着部材200の外部に、IHコイル6と発熱体である帯状の発熱ローラ5とを配設している。IHコイル6によって発熱ローラ5は加熱される。発熱した発熱ローラ5を挟んで定着部材200とこれに対向する加圧ローラ10とで、記録媒体11と記録媒体11上のトナー12を加温および加圧する。
【0108】
発熱ローラ5以外の定着部材200は軸心4の外面に断熱樹脂材料100を被せて一体化した構成になっている。この断熱樹脂材料100は、図1に示した断熱樹脂材料100または図2に示した断熱樹脂材料100である。加圧ローラ10は軸心9aの外面に柔軟層9bを被せて一体化した構成になっている。
【0109】
発熱ローラ5および加圧ローラ10は、記録媒体11およびトナー12に対して熱を与えるだけでなく、加圧する必要がある。
【0110】
軸心4、軸心9aに用いられる機械的剛性を有する金属材料としては、鉄や鉄の合金、ステンレスやアルミニュームや合金材料がある。また、高剛性樹脂材料としては、PEEK材やフェノール樹脂がある。補強材としてはガラス繊維や炭素繊維を用いた複合材が用いられる。これらの材料は、熱容量を低くするために中空のパイプ形状を取ることも可能である。
【0111】
上述した構成の定着装置300においては、発熱源としてIHコイル6により発生させた高周波数の電磁波をIH磁気コア7により効率的に磁気回路を制御して、誘導発熱する発熱体で構成される帯状の発熱ローラ5に照射し、発熱ローラ5で発生する渦電流により発熱した熱を用いており、この熱により印材としてのトナー12を記録媒体11上に転写付着させる。
【0112】
また、帯状の発熱ローラ5の内部に配設されたローラ状の定着部材200は、帯状の発熱ローラ5を介して、これと対向する加圧ローラ10とで、トナー12を記録媒体11上に付着させる。トナー12が定着された記録媒体11は、発熱ローラ5近傍に配設された分離爪8によって、発熱ローラ5から分離される。
【0113】
次に、発熱源としてハロゲンヒータを使用した場合の定着装置について図4を参照して説明する。なお、図4において、図3に示した構成要素と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付している。
【0114】
図4に示すように、定着装置400は、発熱ローラ410と、加圧ローラ420とを備えている。
【0115】
発熱ローラ410は、その外部に離形層411が形成されているとともに、その内部に発熱源としてのハロゲンヒータ412が配設されている。発熱ローラ410近傍に分離爪8が配設されている。発熱ローラ410は所定の温度に達するまでの時間を短くするために、熱容量が小さいことが望ましい。
【0116】
加圧ローラ420は、軸心421の外面に柔軟層422を被せて一体化した構成になっているとともに、軸心421の内部に定着部材200が配設されている。この加圧ローラ420は、帯状の形状をしている。そして、定着装置400は、記録媒体11上のトナー12を加温および加圧する必要から、帯状の加圧ローラ420によって、発熱ローラ410に加圧力を与える。
【0117】
発熱ローラ410と加圧ローラ420との間で記録媒体11上のトナー12を加温および加圧するために、ニップを形成する必要がある。そのため、加圧ローラ420は機械的な剛性も必要である。また、発熱ローラ410を支持するローラを配置する必要があるが、そのローラは熱容量が小さいことが望ましい。そこで、加圧ローラ420の内部に発熱ローラ410に対向する位置に断熱樹脂材料100を備えたローラ状の定着部材200を配設している。
【0118】
ところで、モノクロ用またはカラー用のトナーの種類によっては、画質の観点から加圧ローラ420の硬度は、モノクロの場合には高い硬度が必要であるが、カラーの場合はモノクロに比べ硬度を低く抑える必要がある。したがって、モノクロ用の画像形成装置に設けられる定着装置、あるいはカラー用の画像形成装置に設けられる定着装置の何れかに応じて、断熱樹脂材料100を使用することにより、加圧ローラ420の硬度を任意に設定することができる点と、高い断熱特性を有することができる点の両方を実現することができる。
【0119】
このようにして高い断熱特性を有する定着装置400を実現することができるので、印刷待機時に余熱することなく、印刷開始と同時に加熱を開始することが可能で、樹脂材料の長寿命化したメンテナンス性の高い制御方式となる。
【0120】
なお、実施の形態3において、図3に示した定着部材200を使用した場合には、断熱樹脂材料100を備えたローラはいわゆる定着ローラを構成し、一方、図4に示した定着部材200を使用した場合は、断熱樹脂材料100を備えたローラはいわゆる加圧ローラを構成するものである。このように、断熱樹脂材料100を備えたローラは、定着部材200としての定着ローラ、加圧ローラ(あるいはその機能を備える部材の一部)の何れに用いても良い。また、定着部材200は、断熱性能を必要とする場合の断熱ローラとして用いてもよい。
【0121】
以上説明したように、実施の形態3によれば、断熱性能を損なうことなく断熱性能と硬度とを任意に調整することのできる断熱樹脂材料を用いた定着部材を提供することができる。
【0122】
また、実施の形態3によれば、断熱樹脂材料(断熱材料)を用いた定着部材としての加圧ローラや発熱ローラを用いて、記録媒体上に転写されたトナーを加熱および加圧を行い定着するようにしているので、定着のために加えられた熱を、これらのローラに奪われるのを抑制することができる。これにより、当該定着装置を有する画像形成装置にあっては、ランニングエネルギーの消費を低く押さえ、大幅な省エネルギーを実現することが可能であり、しかも、立ち上り時(ウォーミングアップ時)の所定の定着温度に達するまでの到達時間を大幅に短縮することが可能である。
【0123】
(実施の形態4)
図5は本発明の実施の形態4における画像形成装置の概略構成を示す構成図である。
【0124】
図5に示す画像形成装置500において、感光ドラム(電子写真感光体)41は、図中矢印Aで示す方向に所定の周速度で回転駆動されながら、その表面が帯電器42によりマイナスの所定の暗電位に一様に帯電される。
【0125】
レーザビームスキャナ43は、図示しない画像読取装置やコンピュータ等のホスト装置から入力される画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザビームを出力する。一様に帯電された感光ドラム41の表面が、このレーザビームで走査露光されて、露光部分は電位絶対値が小さくなって明電位となり、感光ドラム41面に静電潜像が形成される。
【0126】
その静電潜像は、現像器44によってマイナスに帯電した粉体トナーで反転現像されて顕像化される。ここで、現像器44は、回転駆動される現像ローラ44aを有し、そのローラ外周面にマイナスの電荷をもったトナーの薄層が形成されて感光ドラム41の表面と対向している。また、現像ローラ44aにはその絶対値が感光ドラム41の暗電位より小さく、かつ明電位より大きな現像バイアス電圧が印加されている。そのため、現像ローラ44a上のトナーが感光ドラム41の明電位の部分にのみ転移することにより、潜像が顕像化される。
【0127】
給紙部46から記録媒体11が一枚ずつ給紙され、ローラ47,48からなるローラ対を経て、感光ドラム41とこれに当接した転写ローラ49とのニップ部へ送られる。このとき、記録媒体11は感光ドラム41の回転と同期した適切なタイミングで送られる。そして、転写バイアスが印加されている転写ローラ49の作用により、感光ドラム41上のトナー像は記録媒体11に順次転写される。
【0128】
この転写部を通過した記録媒体11は、感光ドラム41から分離され、定着装置300へ導入され、転写トナー像の定着が行われる。この定着装置300は図3に示した実施の形態3の定着装置300である。
【0129】
そして、定着装置300によってトナーが定着されて像が固定された記録媒体11は、排紙トレイ50へ送られプリント出力される。なお、記録媒体11の分離後の感光ドラム41の表面は、クリーニング装置45によって転写残りトナー等の感光ドラム41の表面の残留物が除去される。これにより、感光ドラム41の表面は清浄にされ、繰り返し次の像形成が行われる。
【0130】
なお、本実施の形態4において、画像形成装置500は、定着装置300を使用する構成としたが、本発明はこれに限定されることなく、図4に示した実施の形体の定着装置400を使用する構成としても良い。
【0131】
このように、画像形成装置500は、定着装置300または定着装置400を備えることにより、ランニングエネルギーの消費を低く押さえ、大幅な省エネルギーを実現することができるとともに、立ち上り時(ウォーミングアップ時)の所定の定着温度に達するまでの時間(到達時間)を大幅に短縮することができる。
【0132】
以上説明したように、実施の形態4によれば、断熱樹脂材料(断熱材料)を用いた定着部材としての加圧ローラや発熱ローラを用いて、記録媒体上に転写されたトナーを加熱および加圧を行い定着するようにしているので、定着のために加えられた熱を、これらのローラに奪われるのを大幅に抑制することができる。そのため、当該画像形成装置においては、ランニングエネルギーの消費を低く押さえ、大幅な省エネルギーを実現することができるとともに、立ち上り時の所定の定着温度に達するまでの到達時間を大幅に短縮することができる。
【0133】
そのため、従来の画像形成装置では、画像定着時以外にも立ち上り時の待機時間を軽減するために定着部の予熱を行う必要があったのに対し、本発明の画像形成装置では定着装置(定着部)の余熱を行う必要がない。
【0134】
また、実施の形態4によれば、断熱樹脂材料を用いることにより、加圧ローラや発熱ローラを所望の硬度にすることができるので、記録媒体上に転写されたトナーを加熱および加圧を行い定着する画像形成装置を設計するに際し、加圧力やローラを圧接することにより形成されるニップの幅や圧力を、所望の数値に任意に設計することができる。
【実施例】
【0135】
(実施例1)
最初に、固体材料として、粒子サイズ30〜60[μm]、カサ密度で0.38〜0.6[g/cm3]の中空度の中空シリコンビーズを用いた。
【0136】
次に、シリコーン樹脂に対して、上記中空シリコンビーズを体積比率60%含有させるとともに、この中空シリコンビーズをシリコーン樹脂で固定することにより、第1の断熱樹脂材料を得た。
【0137】
同様にして、シリコーン樹脂に対して、上記中空シリコンビーズを体積比率70%含有させ、この中空シリコンビーズをシリコーン樹脂で固定することにより、第2の断熱樹脂材料を得た。
【0138】
そして、これらの得られた断熱樹脂材料の熱伝導率を測定した。比較のために、シリコーン樹脂単体の熱伝導率もあわせて測定した。
【0139】
シリコーン樹脂単体の場合、その熱伝導率は0.3[W/m・k]であった。これに対して、第1の断熱樹脂材料は、0.13[W/m・k]であり、断熱性能が大幅に改善された。また、第2の断熱樹脂材料は、0.13[W/m・k]以下を達成することができた。
【0140】
ここで、図6は本発明の実施例における断熱樹脂材料の組成を示す化学式の概略図である。本実施例で用いたシリコーン樹脂を構成する樹脂の分子構造は、それを構成するポリジメチルシロキサン誘導体の、側鎖とその末端となる有機官能基が、図6に示すところの、水素原子、メチル誘導体、エチル誘導体、プロピル誘導体、メトキシ誘導体、エトキシ誘導体、アミノ誘導体、カルボキシル誘導体、フェニル誘導体、フェノール誘導体、エポキシ誘導体、メルカプト誘導体、ビニル誘導体、ポリエーテル誘導体、脂肪酸エステル誘導体のいずれかである事を特徴とする。
【0141】
また、図6で示されるmとnは、シリコーン樹脂の重合度をあらわす数字であり、本実施例に於いては、(m+n)の値が、100から100000の範囲を対象とする。その一例として、東レダウシリコーン社製SH851U等がある。
【0142】
(実施例2)
最初に、固体材料として、粒子サイズ30〜60[μm]、カサ密度で0.38〜0.6[g/cm3]の中空度の中空シリコンビーズを用いた。
【0143】
次に、シリコーン樹脂に対して、上記中空シリコンビーズを体積比率60%含有させるとともに、この中空シリコンビーズをシリコーン樹脂で固定することにより、第1の断熱樹脂材料を得た。
【0144】
同様にして、シリコーン樹脂に対して、上記中空シリコンビーズを体積比率70%含有させ、この中空シリコンビーズをシリコーン樹脂で固定することにより、第2の断熱樹脂材料を得た。
【0145】
そして、これらの得られた断熱樹脂材料の熱伝導率を測定した。比較のために、シリコーン樹脂単体の熱伝導率もあわせて測定した。
【0146】
シリコーン樹脂単体の場合、その熱伝導率は0.3[W/m・k]であった。これに対して、第1の断熱樹脂材料は、0.13[W/m・k]であり、断熱性能が大幅に改善された。また、第2の断熱樹脂材料は、0.13[W/m・k]以下を達成することができた。
【0147】
上記第2の断熱樹脂材料において、熱伝導率は、0.3[W/m・k]とアスカーC硬度81.7を、同時に達成する事ができた。これは、従来の断熱樹脂材料では到達し得なかった領域の数値である。
【0148】
ここで、図7は本発明の実施例における断熱樹脂材料の特性概略を示すグラフである。図7に示す様に、従来の断熱材料では、0.20[W/m・k]以下の熱伝導率と、アスカーC硬度80以上を同時に達成することは出来なかった。しかし本発明による断熱樹脂材料であれば、0.20[W/m・k]以下の熱伝導率と、アスカーC硬度80以上を同時に達成する事が可能となる。
【0149】
断熱性に優れる、即ち熱伝導率が小さい事と同時に、80以上の硬度を有するという事は、トナーの温度特性や印字速度に密接に関連するニップ幅を管理するうえで、従来に無い優れた特性を有するという事になる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明は、断熱性能を損なうことなく断熱性能と硬度とを任意に調整することができる断熱樹脂材料であり、この断熱樹脂材料を用いることによりエネルギーロスを大幅に低減できるので、断熱樹脂材料、これを使用した部材や装置を、熱源を有する装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本発明の実施の形態1における断熱樹脂材料の概略構成を示す構成図
【図2】本発明の実施の形態2における断熱樹脂材料の概略構成を示す構成図
【図3】本発明の実施の形態3における定着装置の概略構成を示す構成図
【図4】本発明の実施の形態3における定着装置の他の概略構成を示す構成図
【図5】本発明の実施の形態4における画像形成装置の概略構成を示す構成図
【図6】本発明の実施例における断熱樹脂材料の組成を示す化学式の概略図
【図7】本発明の実施例における断熱樹脂材料の特性概略を示すグラフ
【符号の説明】
【0152】
1 シリコーン樹脂
2 固体材料
3 独立気泡体
4 軸心
5,410 発熱ローラ
6 IHコイル
7 IH磁気コア
8 分離爪
9a,421 軸心
9b,422 柔軟層
10,420 加圧ローラ
11 記録媒体
12 トナー
13 離形層
14 ハロゲンヒータ
100 断熱樹脂材料
200 定着部材
300,400 定着装置
500 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱性能を有する固体材料がシリコーン樹脂に含有され、かつ当該シリコーン樹脂中に有機溶媒が含まれていることを特徴とする断熱樹脂材料。
【請求項2】
断熱性能を有する固体材料がシリコーン樹脂で固定成形され、かつ当該シリコーン樹脂中に有機溶媒が含まれていることを特徴とする断熱樹脂材料。
【請求項3】
前記有機溶媒は、常温において液体の状態を成すものであって、飽和脂肪族化合物、不飽和脂肪族化合物および芳香族系化合物のうちの1種類の化合物または複数種類の化合物を組み合わせたものであることを特徴とする請求項1または2記載の断熱樹脂材料。
【請求項4】
前記有機溶媒は、トルエン、ベンゼン、キシレン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルフォキシドの化合物もしくは異性体、または前記複数の化合物の任意の複数種類を混合したものであることを特徴とする請求項3記載の断熱樹脂材料。
【請求項5】
前記有機溶媒の含有量は、前記固体材料と前記シリコーン樹脂との混合物に対して重量パーセントで5パーセント以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の断熱樹脂材料。
【請求項6】
前記固体材料は、樹脂材料などの有機物、ガラス、金属、またはセラミックの中空体であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の断熱樹脂材料。
【請求項7】
前記固体材料は、樹脂材料などの有機物、ガラス、金属、またはセラミックの発泡体であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の断熱樹脂材料。
【請求項8】
前記固体材料の含有量に基づいて自己の材料の断熱特性および硬度が調整されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の断熱樹脂材料。
【請求項9】
前記固体材料は前記シリコーン樹脂に体積比率で30%〜70%含有されていることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の断熱樹脂材料。
【請求項10】
前記シリコーン樹脂に含まれる主成分が、ポリジメチルシロキサンに代表されるポリシロキサンであり、その側鎖と両方の末端が、水素原子、メチル誘導体、エチル誘導体、プロピル誘導体、メトキシ誘導体、エトキシ誘導体、アミノ誘導体、カルボキシル誘導体、フェニル誘導体、フェノール誘導体、エポキシ誘導体、メルカプト誘導体、ビニル誘導体、ポリエーテル誘導体、脂肪酸エステル誘導体のいずれかであることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の断熱樹脂材料。
【請求項11】
前記断熱樹脂材料のアスカーC硬度が60〜95であり、かつ、熱伝導率が0.20[W/K・m]以下であることを特徴とする、請求項1〜10に記載の断熱樹脂材料。
【請求項12】
記録媒体に転写されている未定着のトナーを当該記録媒体に定着させる部材であって、請求項1〜11の何れか一項に記載の断熱樹脂材料を有することを特徴とする定着部材。
【請求項13】
記録媒体に転写されている未定着のトナーを当該記録媒体に定着させるローラ状の部材であって、当該ローラ状の部材の表面に、請求項1〜11の何れか一項に記載の断熱樹脂材料が形成されていることを特徴とする定着部材。
【請求項14】
前記断熱樹脂材料の硬度は、シリコーン樹脂単体の硬度よりも値が大きいことを特徴とする請求項12または13記載の定着部材。
【請求項15】
前記断熱樹脂材料のアスカーC硬度は、50〜95であることを特徴とする請求項12〜14の何れか一項に記載の定着部材。
【請求項16】
記録媒体に転写されている未定着のトナー像を当該記録媒体に定着させる定着装置であって、請求項12〜15の何れか一項に記載の定着部材を有することを特徴とする定着装置。
【請求項17】
加熱は電磁誘導作用によるものであることを特徴とする請求項16記載の定着装置。
【請求項18】
加熱はハロゲンヒータによるものであることを特徴とする請求項16記載の定着装置。
【請求項19】
静電潜像に対応するトナー像を形成しこれを記録媒体に転写するともに当該トナー像を前記記録媒体に定着させる画像形成装置であって、
前記トナー像を前記記録媒体に定着させる請求項16〜18の何れか一項に記載の定着装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項20】
断熱性能を有する個体材料がシリコーン樹脂に含有され、アスカーC硬度が60〜95であることと、かつ熱伝導率0.20[W/K・m]以下であることを、同時に満たすことを特徴とする断熱樹脂材料。
【請求項21】
断熱性能を有する個体材料がシリコーン樹脂で固定成形され、アスカーC硬度が60〜95であることと、かつ熱伝導率0.20[W/K・m]以下であることを、同時に満たすことを特徴とする断熱樹脂材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−154711(P2006−154711A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−69096(P2005−69096)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】