説明

新規なカルバモイルオキシアリールアルカノイルアリールピペラジン化合物、該化合物を含む薬剤組成物及び該化合物の投与による疼痛、不安神経症及びうつ病を治療する方法

【課題】新規なカルバモイルオキシアリールアルカノイルアリールピペラジン化合物、該化合物を含む薬剤組成物及び該化合物の投与による疼痛、不安神経症及びうつ病を治療する方法
【解決手段】ラセミ体又はエナンチオマー特性に富む化学式1で表される新規なカルバモイルオキシアリールアルカノイルアリールピペラジン誘導体及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物を提供する。また、該化合物の有効量を含む疼痛、不安神経症又はうつ病の治療用の薬剤組成物及び該化合物の有効量を疼痛、不安神経症又はうつ病の治療が必要な哺乳類に投与することによる哺乳類の疼痛、不安神経症又はうつ病を治療する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規なカルバモイルオキシアリールアルカノイルアリールピペラジン化合物、該化合物を含む薬剤組成物、該化合物を治療を要する哺乳類に投与することによる、哺乳類の急性疼痛、慢性疼痛、神経障害痛、術後の神経損傷による疼痛、糖尿病性神経障害による疼痛、帯状疱疹後の神経痛、炎症性痛覚、関節痛、偏頭痛等を含む疼痛、不安神経症及びうつ病を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでアリールピペラジン化合物は、中枢神経系分野で様々な適応症に効果があることが立証された。特に、特許文献1には、下記のチオフェン導入アリールピペラジン化合物が、うつ病治療に薬理的効果を有することが報告されている。この式において、Rは水素原子、メチル基又はハロゲン原子を意味する。
【0003】
【化1】

【0004】
また、不安神経症治療におけるブスピロン及びその構造的に関連のある化合物の活性は、5−HT1A受容体として表記されるセロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン:5−HT)亜型受容体におけるこれらの選択的な活性に因ることが知られている。特に特許文献2は、うつ病及び不安神経症を治療するための治療薬として特徴付けられる5−HT1A受容体に対して親和性を示すピペラジン誘導体化合物を開示する。
【0005】
【化2】

【0006】
上記式中、R1は炭素原子数1乃至6のアルキルを表し;R2及びR3は夫々独立して炭素
原子数1乃至6のアルキルを表すか、又はR2とR3が一緒に炭素原子数2乃至12のポリメチレンを形成するか、又は基R2及びR3に結合する炭素原子と共に5−ノルボルネン−2−イル残基を形成し;Xは−CO2−、−OCO−、−OCO2−、−N(R7)CO−
、−NHNHCO−、−ON(R7)CO−、−CON(R7)−、−N(R7)CO2−、−OCON(R7)−、及び−N(R7)CON(R8)(式中、R7及びR8はそれぞれ独
立して水素原子、炭素原子数1乃至6のアルキル、フェニル、ベンジル、並びに、ハロ、炭素原子数1乃至6のアルキル、炭素原子数1乃至6のアルコキシ、シアノ、ニトロ又はパーハロメチルにより置換されたフェニル又はベンジルを表す)からなる群から選択され;R4は水素原子又は炭素原子数1乃至6のアルキルを表し;R5は水素原子、炭素原子数1乃至8のアルキル、炭素原子数1乃至3のヒドロキシアルキル、フェニル、ベンジル、並びに、ヒドロキシ、ハロ、炭素原子数1乃至6のアルキル、炭素原子数1乃至6のアルコキシ、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、炭素原子数2乃至7のカルブアルコキシ、カルボキシアミド、アミノ、炭素原子数1乃至6のアルキルアミノ又は炭素原子数2乃至12のジアルキルアミノにより置換されたフェニル又はベンジルを表し;R6はヒドロ
キシ、ハロ、炭素原子数1乃至6のアルキル、炭素原子数1乃至6のアルコキシ、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、炭素原子数2乃至7のカルブアルコキシ、カルボキシアミド、アミノ、炭素原子数1乃至6のアルキルアミノ及び炭素原子数2乃至12のジアルキルアミノからなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換され得るフェニル、ベンジル、2−、3−若しくは4−ピリジニル、2−ピリミジニル又は2−ピラジニルを表し;nは0、1、2、3、4又は5からなる群から選択される1つの整数を表し;但し、Xが−CON(R7)−(式中、R7はアルキルを表す)の場合、R6は2−ピリミ
ジニルではなく、XがCO2であり、R1、R2及びR3がメチルであり、nが1の場合、R6は3、5−ジ(トリフルオロメチル)フェニルではない。
【0007】
本発明者らは、アリールピペラジン構造が疼痛並びに不安神経症の治療効果と相関関係があることを確認し、アリールピペラジン構造における包括的な調査を実施し、新規なカルバモイルオキシアリールアルカノイルアリールピペラジン化合物が多様な疼痛誘発動物モデルに薬効を有することを見出した。特に、本発明者らは、該新規なカルバモイルアリールアルカノイルアリールピペラジン化合物が、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害痛、術後の神経損傷による疼痛、糖尿病性神経障害による疼痛、帯状疱疹後の神経痛、炎症性痛覚、関節痛、偏頭痛などを含む様々な疼痛、不安神経症及びうつ病の治療に治療効果を示すことを見出した。よって本発明は上記事実に基づき完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3002976号明細書
【特許文献2】米国特許第4988814号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】‘Pharmaceutical Salts’、J. Pharm.Sci.、1977;66(1):1−19
【非特許文献2】Darmani NA、J. Neural Transm.、1998;105(6−7):635−643
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一側面は、新規なカルバモイルオキシアリールアルカノイルアリールピペラジン誘導体化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物を提供することである。
【0011】
本発明の他の側面は、上記化合物の有効量を含む、疼痛、不安神経症又はうつ病治療用の薬剤組成物を提供することである。
【0012】
本発明のさらに他の側面は、上記化合物の有効量を疼痛、不安神経症又はうつ病の治療が必要な哺乳類に投与することによる、哺乳類の疼痛、不安神経症又はうつ病を治療する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面によれば、下記の化学式1で表されるラセミ体又はエナンチオマー特性に富んだ新規なカルバモイルオキシアリールアルカノイルアリールピペラジン誘導体化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物を提供する。
【0014】
化学式1
【化3】

【0015】
(上記式中、
−−−は選択的にシクロ環を形成し得、
1、R2は水素原子、炭素原子数1乃至6の直鎖又は分枝鎖アルキル、及びフェネチルからなる群からそれぞれ独立して選択され、又はR1とR2が共に5員又は6員ヘテロシクロ環を一緒になって形成し、又はR1若しくはR2がAr1と一緒になってビシクロ環を形成
し得、
Ar1はフラニル、チオニル、メチレンジオキシフェニル、及び水素原子、炭素原子数1
乃至6の直鎖又は分枝鎖アルキル、ハロゲン原子例えばF、Cl及びBr、炭素原子数1乃至6の直鎖又は分枝鎖アルコキシ、ニトロ及びトリフルオロメチルからなる群から選択される少なくとも1つの同一の又は異なる置換基で置換され得るフェニルからなる群から選択され、
Zは水素原子又はフッ素原子、又はAr1と一緒になってビシクロ環を形成し得、
Ar2は水素原子、炭素原子数1乃至6の直鎖又は分枝鎖アルキル、ヒドロキシ、ハロゲ
ン原子、炭素原子数1乃至6の直鎖又は分枝鎖アルコキシ、ニトロ、アセチル、t−ブチルアセチル、トリフルオロメチル、アミノ及びアセテートからなる群から選択される少なくとも1つの同一の又は異なる置換基で置換され得る、フェニル、メチレンジオキシフェニル、ピリジン、ピリミジン、ナフチル、ビス(フルオロフェニル)メチル及びキノキサリンからなる群から選択され、
nは1又は2の整数を表し、そして
mは0乃至2の整数を表す。)
【0016】
本発明の他の側面によれば、ラセミ体又はエナンチオマー特性に富んだ上記化合物の有効量を含む、疼痛、不安神経症又はうつ病治療用の薬剤組成物を提供する。
【0017】
本発明のさらに他の側面によれば、ラセミ体又はエナンチオマー特性に富んだ上記化合物の有効量を疼痛、不安神経症又はうつ病の治療が必要な哺乳類に投与することによる、哺乳類の疼痛、不安神経症又はうつ病を治療する方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明による新規なカルバモイルオキシアリールアルカノイルアリールピペラジン誘導体化合物、その塩及び水和物は、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害痛、術後の神経損傷による疼痛、糖尿病性神経障害による疼痛、帯状疱疹後の神経痛、炎症性痛覚、関節痛、偏頭痛などを含む様々な疼痛、不安神経症及びうつ病の治療薬として効果的に使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明は、下記化学式1で表されるラセミ体又はエナンチオマー特性に富んだカルバモイルオキシアリールアルカノイルアリールピペラジン誘導体化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物に関する。
【0021】
化学式1
【化4】

【0022】
上記式中、
−−−は選択的にシクロ環を形成し得、
1、R2は水素原子、炭素原子数1乃至6の直鎖又は分枝鎖アルキル、及びフェネチルからなる群からそれぞれ独立して選択され、又はR1とR2が共に5員又は6員ヘテロシクロ環を一緒になって形成し、又はR1若しくはR2がAr1と一緒になってビシクロ環を形成
し得、
Ar1はフラニル、チオニル、メチレンジオキシフェニル、及び水素原子、炭素原子数1
乃至6の直鎖又は分枝鎖アルキル、ハロゲン原子例えばF、Cl及びBr、炭素原子数1乃至6の直鎖又は分枝鎖アルコキシ、ニトロ及びトリフルオロメチルからなる群から選択される少なくとも1つの同一の又は異なる置換基で置換され得るフェニルからなる群から選択され、
Zは水素原子又はフッ素原子、又はAr1と一緒になってビシクロ環を形成し得、
Ar2は水素原子、炭素原子数1乃至6の直鎖又は分枝鎖アルキル、ヒドロキシ、ハロゲ
ン原子、炭素原子数1乃至6の直鎖又は分枝鎖アルコキシ、ニトロ、アセチル、t−ブチルアセチル、トリフルオロメチル、アミノ及びアセテートからなる群から選択される少なくとも1つの同一の又は異なる置換基で置換され得る、フェニル、メチレンジオキシフェニル、ピリジン、ピリミジン、ナフチル、ビス(フルオロフェニル)メチル及びキノキサリンからなる群から選択され、
nは1又は2の整数を表し、そして
mは0乃至2の整数を表す。
【0023】
また本発明は、下記化学式2で表される化合物及びその薬学的に利用可能なその塩又は水和物に関する。
【0024】
化学式2
【化5】

【0025】
上記式中、
1、R2、Z、Ar2、n及びmは上記化学式1で定義されたものを表し、そして、
1は水素原子、炭素原子数1乃至6の直鎖又は分枝鎖アルキル、F、Cl及びBrなど
のハロゲン原子、炭素原子数1乃至6の直鎖又は分枝鎖アルコキシ、ニトロ及びトリフルオロメチルからなる群から選択される少なくとも1つを表し、
但しX1が該群から少なくとも2つ選択される場合、2つの置換基は互いに同一であるか
、又は互いに異なり得る。
【0026】
加えて、本発明は下記化学式3で表される化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物に関する。
【0027】
化学式3
【化6】

【0028】
上記式中、
1、R1、R2、Z、Ar2、n及びmは上記化式2で定義されたものを表し、そして、
1は水素原子を表し、
2は水素原子、炭素原子数1乃至6の直鎖又は分枝鎖アルキル、ヒドロキシ、ハロゲン
原子、炭素原子数1乃至6の直鎖又は分枝鎖アルコキシ、ニトロ、t−ブチルアセチル、トリフルオロメチル及びアミノからなる群から選択される少なくとも1つを表し、
但しX2が該群から少なくとも2つ選択される場合、2つの置換基は互いに同一であるか
、又は互いに異なり得る。
【0029】
本発明の1つの典型的な実施態様による化合物は、下記スキーム1及びスキーム2のように化学的に合成され得る。しかし、これらは例示の目的のために示されたに過ぎず、本発明が特にこれらに限定されるものではない。
【0030】
下記反応式において、HXは、塩基性窒素原子を有する化合物と薬学的に利用可能な塩を形成し得る酸を示す。上記酸としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、マロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ヒドロキシメタンスルホン酸及びヒドロキシエタンスルホン酸等が挙げられるが、本発明はこれらに特に制限されるものではない。更なる酸は非特許文献1を参照し得る。本発明の化合物の製造は、エーテル溶媒(テトラヒドロフラン、エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル及びブチルエーテル)、アルコール溶媒(メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール)、エステル溶媒(エチルアセテート)、ハロゲン化炭化水素溶媒(ジクロロメタン、クロロホルム)及びこれらの混合物として例示され得る反応媒体で実施される。
【0031】
スキーム1
【化7】

【0032】
上記スキーム1に示すように、X1で置換されたアセトフェノンと化合物(1−2)をト
ルエン溶媒中で還流し、化合物(1−3)を合成する。化合物(1−3)を水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)で還元し、アルコール中間体(1−4)を得、該アルコール中
間体(1−4)を1,1−カルボニルジイミダゾール(CDI)と反応させた後、多様なアミン(NHR12)と反応させて化合物(1−5)を得る。スキーム1において、HXは、塩基性アミンと薬学的に利用可能な塩を生成し得る酸を示す。スキーム1によれば、エーテル溶媒(テトラヒドロフラン、エチルエーテル)、エステル溶媒(エチルアセテート)、ハロゲン化炭化水素溶媒(ジクロロメタン、クロロホルム)等の反応媒体に化合物(1−5)を溶かし、対応するHXを徐々に添加し、塩化合物(1−6)を得る。特に、塩酸及びメタンスルホン酸塩を主に製造し、それらの薬効を測定する。また、スキーム1で得られた生成物(1−5)又は(1−6)は全てラセミ化合物の形態で得られる。
【0033】
スキーム2
【化8】

【0034】
上記スキーム2に示すように、X1で置換された3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオ
ン酸とフェニルピペラジン化合物(2−2)を1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド/1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(EDC/HOBT)の存在下で結合反応させ、アミド化合物(2−3)を合成する。該アミド化合物(2−3)を1,1−カルボニルジイミダゾール(CDI)と反応させた後、多様なアミン(NHR1
2)と反応させて化合物(2−4)及びその塩(2−5)を得る。
【0035】
反応生成物(2−5)の立体化学は、出発物質(2−1)にのみ依存する;すなわち、(S)−エナンチオマーを有する反応生成物は、(S)−エナンチオマーを有する出発物質(2−1)からのみ得られ、(R)−エナンチオマーを有する反応生成物は、(R)−エナンチオマーを有する出発物質(2−1)からのみ得られる。
【0036】
本発明によれば、疼痛、不安神経症又はうつ病を治療するための、上記化合物の有効量を含む薬剤組成物が提供される。ここで上記薬剤組成物は、本明細書に記載の化合物のうち少なくとも1つの化合物を有効成分として含み、本発明による組成物は本発明の化合物の如何なる組合せを含み得る。
【0037】
本発明の薬剤組成物は、例えば適当な投与経路といった任意の形態で投与可能であるように特に製剤化される。ここで、適当な投与経路としては、例えば経口、直腸、鼻、肺、局所、経皮、嚢内、腹腔内、膣及び非経口(皮下、筋内、髄腔内、静脈内及び皮膚内経路など)経路などが挙げられる。本発明の薬剤組成物は、好ましくは、経口経路で投与される。好ましい投与経路は、無論、治療する対象の一般条件及び年齢、治療する疾患の重篤性、及び選択される活性成分等に応じて様々である。
【0038】
本発明により製造される医薬品は任意の投与形態、例えば錠剤(tablet)、カプセル、パウダー、顆粒、ペレット、口内錠、糖衣錠、丸薬又は錠剤(lozenge)、水性又は非水性液体の溶液又は懸濁液、又は水中油又は油中水液体エマルジョン、エリキシル、シロップ等の適当な形態で経口投与され得、又は注射液の形態で非経口投与され得る。非経口投与され得る他の薬剤組成物は分散液、懸濁液又はエマルジョン、並びに、使用する前に殺菌注射溶液又は分散液内に加えられる殺菌パウダーが挙げられる。蓄積注射剤
形物も本発明の範囲内であると認められる。他の適当な投与形態としては、坐薬、スプレー、軟膏、クリーム、ゲル、吸入剤、皮膚パッチ等が挙げられる。本発明の組成物は、当該技術分野に公知の様々な方法によって製剤化される。また、当該技術分野において一般に使用される薬学的に利用可能な担体、希釈剤、賦形剤又は他の添加剤をここで使用してもよい。
【0039】
製剤において一般に使用される担体は、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム及びミネラルオイル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の組成物は防腐剤、安定性改善化合物、粘度改善/調節化合物、溶解度改善化合物、甘味料、染料、味質増強化合物、浸透誘発塩、緩衝液、抗酸化剤等をさらに含み得る。
【0040】
上記化合物は、疼痛、不安神経症又はうつ病に対する所望の効果を示す場合には、該化合物は遊離化合物、薬学的に利用可能な塩、及び水和物などの溶媒和物、エステル、立体異性体の形態でも使用され得る。また上記化合物も本発明の範囲内に全て属する。
【0041】
本発明によれば、薬学的に利用可能な塩は、薬学的に利用可能な酸付加塩を含み得る。薬学的に利用可能な酸付加塩は塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜硝酸及び亜リン酸などの無機酸類、並びに脂肪族モノ及びジカルボキシレート、フェニル置換アルカノエート、ヒドロキシアルカノエート及びアルカンジオエート、芳香族酸類、脂肪族及び芳香族スルホン酸類などの無毒性有機酸から得られ得る。薬学的に利用可能な塩の具体的な例としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリル酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオン酸塩、ヘキサン−1,6−ジオン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩及びマンデル酸塩が挙げられる。特に、塩酸及びメタンスルホン酸塩が好ましい。
【0042】
本発明は、また上記化合物の有効量を疼痛、不安神経症又はうつ病の治療が必要な哺乳類に投与することを特徴とする、哺乳類の疼痛、不安神経症又はうつ病を治療する方法を提供する。
【0043】
本発明の化合物により治療され得る上記疼痛は、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害痛、術後の神経損傷による疼痛、糖尿病性神経障害による疼痛、帯状疱疹後の神経痛、炎症性痛覚、関節痛、偏頭痛などの様々な疼痛を含む。
【0044】
通常、本発明の薬剤組成物は、約20mg乃至500mgの単位投与量の形態で活性成分を投与される。1日あたりの総投与量は、一般に本発明の活性化合物を約10mg乃至7000mg、好ましくは、20mg乃至3500mgの量で投与する。但し、該活性化合物は、患者の状況を総合的に検討し、また投与する薬の活性を考慮して、上記用量を超え
る特定量で投与することもできる。この場合、特定の状況における前記薬剤の最適投与量は、所定の実験によって決めなければならない。
【0045】
本発明の化合物は1日あたり1回又は数回の投与で投与され得、該化合物の投与は好ましくは1日あたり1乃至4回に分割する。本発明の化合物は、単独で、又は薬学的に利用可能な担体又は賦形剤と一緒に投与され得る。本発明による薬剤組成物は、薬学的に利用可能な担体又は希釈剤、並びに従来技術で公知の補助剤及び賦形剤中に製剤化される。便宜上、上記製剤は、薬理学分野に公知の方法を用いて、前記投与に適当な投与量に存在し得る。
【実施例】
【0046】
以下、本発明の典型的な実施態様を詳細に説明する。但し、ここに提示された記述は、単に説明のための好ましい例であり、本発明の範囲を限定するものではないと理解されるべきである。
【0047】
1.カルバモイルオキシアリールアルカノイルアリールピペラジン化合物の合成
【0048】
実施例1:カルバミン酸3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0049】
エチルベンゾイルアセテート(2.887mmol)と4−フルオロフェニルピペラジン(2.887mmol)をトルエンに溶かして24時間還流した。得られた反応混合物を減圧濃縮後、メタノールに溶解し、0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(2.887mmol)を得られた混合物に滴下して加えた。得られた反応混合物を室温で2時間攪拌し、減圧濃縮し、水で希釈し、そしてエチルアセテートで数回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した後に減圧濃縮した。得られた混合物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=1:1)で精製して化合物を得た。得られた化合物をテトラヒドロフラン(10mL)に溶かした後、1,1’−カルボジイミダゾール(5mmol)を得られた混合物に添加した。その後、得られた混合物を室温で1時間攪拌し、過剰量の水酸化アンモニウムを得られた混合物に加えた。得られた反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を水で希釈しエチルアセテートで数回抽出して、有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した後に減圧濃縮した。得られたペレットをカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート)で精製して表題化合物を得た。
【0050】
【化9】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.03(m
、5H)、3.60(m、2H)、3.76(m、2H)、4.73(br、2H)、6.16(t、1H)、6.95(m、4H)、7.38(m、5H)
【0051】
異なる出発物質を用いた他は実施例1と同一の方法により下記の実施例2〜60の化合物を製造した。
【0052】
実施例2:カルバミン酸3−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0053】
エチルベンゾイルアセテートと4−メトキシフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0054】
【化10】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:3.00(m、6H)、3.60(m、
2H)、3.79(m、5H),4.82(br、2H)、6.18(t、1H)、6.88(m、4H)、7.38(m、5H).
【0055】
実施例3:カルバミン酸3−[4−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0056】
エチルベンゾイルアセテートと3,4−ジクロロフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0057】
【化11】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.09(m
、5H)、3.58(m、2H)、3.74(m、2H)、4.81(br、2H)、6.14(t、1H)、6.73(dd、1H)、6.94(d、1H)、7.40(m、6H)
【0058】
実施例4:カルバミン酸3−オキソ−1−フェニル−3−(4−p−トリル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0059】
エチルベンゾイルアセテートと4−メチルフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0060】
【化12】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.30(s、3H)、2.82(dd
、1H)、3.05(m、5H)、3.60(m、2H)、3.77(m、2H)、4.77(br、2H)、6.15(t、1H)、6.84(d、2H)、7.10(d、2H)、7.38(m、5H)
【0061】
実施例5:カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0062】
エチルベンゾイルアセテートと3,4−ジメトキシフェニルピペラジンを用いた他は、実
施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0063】
【化13】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.04(m
、5H)、3.61(m、2H)、3.77(m、2H)、3.88(d、6H)、4.77(br、2H)、6.15(t、1H)、6.42(d、1H)、6.57(s、1H)、6.82(d、1H)、7.41(m、5H)
【0064】
実施例6:カルバミン酸1−(4−クロロ−フェニル)−3−[4−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−プロピルエステル
【0065】
エチル−4−クロロ−ベンゾイルアセテートと3,4−ジメトキシフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0066】
【化14】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.01(m
、5H)、3.61(m、2H)、3.77(m、2H)、3.86(d、6H)、4.84(br、2H)、6.15(t、1H)、6.42(d、1H)、6.57(s、1H)、6.82(d、1H)、7.35(s、4H)
【0067】
実施例7:カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−1−(4−フルオロ−フェニル)−3−オキソ−プロピルエステル
【0068】
エチル−4−フルオロ−ベンゾイルアセテートと3,4−ジメトキシフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0069】
【化15】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.01(m
、5H)、3.60(m、2H)、3.75(m、2H)、3.86(d、6H)、4.92(br、2H)、6.15(t、1H)、6.42(d、1H)、6.56(d、1H)、6.80(d、1H)、7.04(t、2H)、7.38(t、2H)
【0070】
実施例8:カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−p−トリル−プロピルエステル
【0071】
エチル−4−メチル−ベンゾイルアセテートと3,4−ジメトキシフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0072】
【化16】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.35(s、3H)、2.82(dd
、1H)、3.04(m、5H)、3.62(m、2H)、3.77(m、2H)、3.88(d、6H)、4.67(br、2H)、6.11(t、1H)、6.47(dd、1H)、6.58(d、1H)、6.81(d、1H)、7.18(d、2H)、7.32(d、2H)
【0073】
実施例9:カルバミン酸3−[4−(2,4−ジメトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0074】
エチルベンゾイルアセテートと2,4−ジメトキシフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0075】
【化17】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.89(m、6H)、3.59(m、
2H)、3.82(m、8H)、4.98(br、2H)、6.12(t、1H)、6.42(dd、1H)、6.49(d、1H)、6.79(d、1H)、7.35(m、5H)
【0076】
実施例10:カルバミン酸3−[4−(3,5−ジクロロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0077】
エチルベンゾイルアセテートと3,5−ジクロロフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0078】
【化18】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.13(m
、5H)、3.56(m、2H)、3.75(m、2H)、4.76(br、2H)、6.14(t、1H)、6.73(m、2H)、6.86(m、1H)、7.39(m、5H)
【0079】
実施例11:カルバミン酸3−[4−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−ピペラジニ−
1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0080】
エチルベンゾイルアセテートと3,5−ジメトキシフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0081】
【化19】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.11(m
、5H)、3.56(m、2H)、3.80(m、8H)、4.79(br、2H)、6.08(m、4H)、7.39(m、5H)
【0082】
実施例12:カルバミン酸3−[4−(2,3−ジクロロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0083】
エチルベンゾイルアセテートと2,3−ジクロロフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0084】
【化20】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.96(m、6H)、3.62(m、
2H)、3.80(m、2H)、4.73(br、2H)、6.16(t、1H)、6.88(dd、1H)、7.31(m、7H)
【0085】
実施例13:カルバミン酸3−[4−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0086】
エチルベンゾイルアセテートと2,4−ジフルオロフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0087】
【化21】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.95(m、6H)、3.61(m、
2H)、3.80(m、2H)、4.69(br、2H)、6.15(t、1H)、6.82(m、3H)、7.35(m、5H)
【0088】
実施例14:カルバミン酸3−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル−ピペラジニ−1−イル)−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0089】
エチルベンゾイルアセテートと3,4−メチレンジオキシフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0090】
【化22】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.98(m、6H)、3.59(m、
2H)、3.76(m、2H)、4.71(br、2H)、5.94(s、2H)、6.15(t、1H)、6.36(dd、1H)、6.55(s、1H)、6.74(d、1H)、3.40(m、5H)
【0091】
実施例15:カルバミン酸1−(4−メトキシ−フェニル)−3−オキソ−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0092】
エチル−4−メトキシ−ベンゾイルアセテートとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0093】
【化23】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.11(m
、5H)、3.60(m、2H)、3.74(m、2H)、3.78(s、3H)、5.01(br、2H)、6.08(t、1H)、6.91(m、5H)、7.33(m、4H)
【0094】
実施例16:カルバミン酸1−(4−クロロ−フェニル)−3−オキソ−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0095】
エチル−4−クロロ−ベンゾイルアセテートとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0096】
【化24】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.14(m
、5H)、3.60(m、2H)、3.74(m、2H)、4.81(br、2H)、6.12(t、1H)、6.94(m、3H)、7.33(m、6H)
【0097】
実施例17:カルバミン酸3−[4−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0098】
エチルベンゾイルアセテートと4−tert−ブチルフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0099】
【化25】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:1.32(s、9H)、2.82(dd
、1H)、3.08(m、5H)、3.60(m、2H)、3.76(m、2H)、4.68(br、2H)、6.18(t、1H)、6.94(m、2H)、7.35(m、7H)
【0100】
実施例18:カルバミン酸3−[4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0101】
エチルベンゾイルアセテートと4−ヒドロキシフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0102】
【化26】

1H NMR(200MHz、DMSO)d:2.82(m、6H)、3.56(m、4
H)、5.93(t、1H)、6.51(br、2H)、6.67(d、2H)、6.78(d、2H)、7.37(m、5H)、8.88(s、1H)
【0103】
実施例19:ジメチル−カルバミン酸3−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0104】
エチルベンゾイルアセテート(2mmol)と4−メトキシフェニルピペラジン(2mmol)をトルエンに溶かして24時間還流した。得られた混合物を減圧濃縮して粗化合物を得、該粗化合物をメタノールに溶かし、0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(2mmol)を滴下して加えた。該混合物を室温で2時間攪拌し、減圧濃縮し、水で希釈し、エチルアセテートで数回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した後、減圧濃縮した。得られたペレットをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=1:1)で精製して化合物を得た。調製した化合物をテトラヒドロフラン(8mL)に溶かし、1,1’−カルボジイミダゾール(4mmol)を得られた混合物に添加した。その後、得られた混合物を室温で1時間攪拌した後、過剰量のジメチルアミンを反応混合物に加えた。得られた反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、エチルアセテートで数回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した後、減圧濃縮した。得られたペレットをカラムクロマトグラフィー(エチルアセテート)で精製して表題化合物を得た。
【0105】
【化27】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.95(m、12H)、3.60(m
、2H)、3.74(m、2H)、3.78(s、3H)、6.18(t、1H)、6.87(m、4H)、7.39(m、5H)
【0106】
実施例20:カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメチル−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0107】
エチルベンゾイルアセテートと3,4−ジメチルフェニルピペラジンを用い、方法は実施例1と同様である。
【0108】
【化28】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.21(s、3H)、2.26(s、
3H)、2.83(dd、1H)、3.07(m、5H)、3.59(m、2H)、3.75(m、2H)、4.72(br、2H)、6.18(t、1H)、6.68(d、1H)、6.74(s、1H)、7.05(d、1H)、7.38(m、5H)
【0109】
実施例21:カルバミン酸3−{4−[ビス−(4−フルオロ−フェニル)−メチル]−ピペラジニ−1−イル}−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0110】
エチルベンゾイルアセテートと4,4’−ジフルオロビスフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0111】
【化29】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.30(m、4H)、2.75(dd
、1H)、2.97(dd、1H)、3.44(m、2H)、3.59(m、2H)、4.21(s、1H)、4.99(br、2H)、6.07(t、1H)、6.99(t、4H)、7.33(m、9H)
【0112】
実施例22:カルバミン酸3−オキソ−1−フェニル−3−(4−キノキサリン−2−イル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0113】
エチルベンゾイルアセテートと2−ピペラジニ−1−イル−キノキサリンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0114】
【化30】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.10(d
d、1H)、3.77(m、8H)、4.71(br、2H)、6.15(t、1H)、7.42(m、6H)、7.71(m、2H)、7.94(d、1H)、8.59(s、1H)
【0115】
実施例23:酢酸4−[4−(3−カルバモイルオキシ−3−フェニル−プロピオニル)−ピペラジニ−1−イル]−フェニルエステル
【0116】
実施例18で調製された化合物であるカルバミン酸3−[4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル(2mmol)をテトラヒドロフラン(25mL)に溶かし、トリエチルアミン(2.4mmol)と、アセチルクロリド(2.4mmol)を該混合物に加えた。得られた混合物を室温で5時間攪拌した。その後、反応混合物を水で希釈し、エチルアセテートで数回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られたペレットをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=1:1)で精製して表題化合物を得た。
【0117】
【化31】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.28(s、3H)、2.80(dd
、1H)、3.04(m、5H)、3.58(m、2H)、3.72(m、2H)、4.95(br、2H)、6.12(t、1H)、6.87(d、2H)、7.00(d、2H)、7.38(m、5H)
【0118】
実施例24:カルバミン酸3−オキソ−1−フェニル−3−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0119】
エチルベンゾイルアセテートと2−ピペラジニ−1−イル−ピリジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0120】
【化32】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.83(dd、1H)、3.10(d
d、1H)、3.50(6、2H)、3.72(m、2H)、4.76(br、2H)、6.16(t、1H)、6.67(m、2H)、7.41(m、6H)、8.20(m、1H)
【0121】
実施例25:カルバミン酸3−オキソ−1−フェニル−3−(4−ピリミジン−2−イル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0122】
エチルベンゾイルアセテートと2−ピペラジニ−1−イル−ピリミジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0123】
【化33】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.84(dd、1H)、3.09(d
d、1H)、3.51(m、2H)、3.76(m、6H)、4.73(br、2H)、6.16(t、1H)、6.55(t、1H)、7.41(m、5H)、8.33(d、2H)
【0124】
実施例26:カルバミン酸3−[4−(3,5−ジクロロ−ピリジン−2−イル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0125】
エチルベンゾイルアセテートと1−(3,5−ジクロロ−ピリジン−2−イル)ピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0126】
【化34】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.09(d
d、1H)、3.28(m、4H)、3.60(m、2H)、3.75(m、2H)、4.89(br、2H)、6.13(t、1H)、7.39(m、5H)、7.63(s、1H)、8.13(s、1H)
【0127】
実施例27:カルバミン酸3−[4−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0128】
エチルベンゾイルアセテートと3−クロロ−4−トリフルオロメチルフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0129】
【化35】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.86(dd、1H)、3.11(m
、5H)、3.60(m、2H)、3.74(m、2H)、4.75(br、2H)、6.16(t、1H)、6.96(dd、1H)、7.15(d、1H)、7.40(m、6H)
【0130】
実施例28:カルバミン酸3−オキソ−1−フェニル−3−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−プロピルエステル
【0131】
エチルベンゾイルアセテートと4−トリフルオロメチルフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0132】
【化36】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.24(m
、5H)、3.62(m、2H)、3.78(m、2H)、4.65(br、2H)、6.18(t、1H)、6.92(d、2H)、7.41(m、5H)、7.52(d、2H)
【0133】
実施例29:カルバミン酸3−[4−(2−フルオロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0134】
エチルベンゾイルアセテートと2−フルオロフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0135】
【化37】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.84(dd、1H)、3.04(m
、5H)、3.62(m、2H)、3.78(m、2H)、4.76(br、2H)、6.16(t、1H)、7.04(m、4H)、7.39(m、5H)
【0136】
実施例30:カルバミン酸3−[4−(3−フルオロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0137】
エチルベンゾイルアセテートと3−フルオロフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0138】
【化38】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.84(dd、1H)、3.13(m
、5H)、3.59(m、2H)、3.77(m、2H)、4.78(br、2H)、6.14(t、1H)、6.62(m、3H)、7.21(m、1H)、7.41(m、5H)
【0139】
実施例31:カルバミン酸3−オキソ−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピルエステル
【0140】
エチル−4−トリフルオロメチル−ベンゾイルアセテートとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0141】
【化39】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.84(m、1H)、3.13(m、
5H)、3.62(m、2H)、3.78(m、2H)、4.92(br、2H)、6.22(t、1H)、6.92(m、3H)、7.31(m、2H)、7.63(m、4H)
【0142】
実施例32:カルバミン酸3−オキソ−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−1−p−トリル−プロピルエステル
【0143】
エチル−4−メチル−ベンゾイルアセテートとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0144】
【化40】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.11(m
、5H)、3.62(m、2H)、3.77(m、2H)、4.71(br、2H)、6.12(t、1H)、6.93(m、3H)、7.30(m、6H)
【0145】
実施例33:カルバミン酸3−[4−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0146】
エチルベンゾイルアセテートと3,4−ジフルオロフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0147】
【化41】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.03(m
、5H)、3.59(m、2H)、3.76(m、2H)、4.76(br、2H)、6.14(t、1H)、6.68(m、2H)、7.05(q、1H)、7.40(m、5H)
【0148】
実施例34:カルバミン酸1−(4−ニトロ−フェニル)−3−オキソ−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0149】
エチル−4−ニトロ−ベンゾイルアセテートとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0150】
【化42】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.15(m
、5H)、3.59(m、2H)、3.76(m、2H)、4.93(br、2H)、6.14(t、1H)、6.91(m、3H)、7.28(m、2H)、7.60(d、2H)、8.22(d、2H)
【0151】
実施例35:カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピルエステル;塩酸塩
【0152】
エチル−4−トリフルオロメチル−ベンゾイルアセテートと3,4−ジメトキシフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。調製された表題化合物をジクロロメタンに溶かし、飽和HCl/エーテル溶液を得られた混合物に加え、表題化合物の塩酸塩を製造した。
【0153】
【化43】

1H NMR(200MHz、DMSO)d:2.90(dd、1H)、3.12(dd
、1H)、3.34(m、4H)、3.75(s、3H)、3.78(s、3H)、3.85(m、4H)、6.00(m、1H)、6.60(br、2H)、7.01(m、2H)、7.20(m、1H)、7.60(d、2H)、7.75(d、2H)
【0154】
実施例36:カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−1−(4−ニトロ−フェニル)−3−オキソ−プロピルエステル;塩酸塩
【0155】
エチル−4−ニトロ−ベンゾイルアセテートと3,4−ジメトキシフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。調製された表題化合物をジクロロメタンに溶かし、飽和HCl/エーテル溶液を得られた混合物に加え、表題化合物の塩酸塩を製造した。
【0156】
【化44】

1H NMR(200MHz、DMSO)d:2.96(dd、1H)、3.16(dd
、1H)、3.42(m、4H)、3.76(s、3H)、3.78(s、3H)、3.92(m、4H)、6.05(m、1H)、6.64(br、2H)、7.02(m、1H)、7.24(m、2H)、7.65(d、2H)、8.24(d、2H)
【0157】
実施例37:カルバミン酸3−[4−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−ピペラジニ−1
−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0158】
エチルベンゾイルアセテートと3,4−ジクロロベンジルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0159】
【化45】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.37(m、4H)、2.77(dd
、1H)、3.02(dd、1H)、3.45(m、4H)、3.63(m、2H)、4.74(br、2H)、6.11(t、1H)、7.16(dd、1H)、7.39(m、5H)
【0160】
実施例38:カルバミン酸3−[4−(4−クロロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0161】
エチルベンゾイルアセテートと4−クロロフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0162】
【化46】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.07(m
、5H)、3.58(m、2H)、3.74(m、2H)、4.81(br、2H)、6.13(t、1H)、6.84(d、2H)、7.38(m、7H)
【0163】
実施例39:カルバミン酸3−{4−[2−(3,4−ジクロロ−フェニル)−エチル]−ピペラジニ−1−イル}−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0164】
エチルベンゾイルアセテートと3,4−ジクロロフェネチルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0165】
【化47】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.50(m、6H)、2.76(m、
3H)、3.03(dd、1H)、3.46(m、2H)、3.64(m、2H)、4.70(br、2H)、6.13(t、1H)、7.04(dd、1H)、7.38(m、7H)
【0166】
実施例40:カルバミン酸4−[4−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−4−オキソ−1−フェニル−ブチルエステル
【0167】
4−オキソ−4−フェニル−ブチルエステルと3,4−ジクロロフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0168】
【化48】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.26(m、2H)、2.40(m、
2H)、3.14(m、4H)、3.57(m、2H)、3.75(m、2H)、4.72(br、2H)、5.76(t、1H)、6.75(dd、1H)、6.96(d、1H)、7.37(m、6H)
【0169】
実施例41:カルバミン酸4−[4−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−4−オキソ−1−フェニル−ブチルエステル
【0170】
4−オキソ−4−フェニル−ブチルエステルと3,4−ジメトキシフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0171】
【化49】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.22(m、2H)、2.38(m、
2H)、3.03(m、4H)、3.58(m、2H)、3.77(m、2H)、3.85(s、3H)、3.88(s、3H)、4.91(br、2H)、5.76(t、1H)、6.42(dd、1H)、6.58(d、1H)、6.80(d、1H)、7.35(m、5H)
【0172】
実施例42:カルバミン酸1−(2−ニトロ−フェニル)−3−オキソ−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0173】
エチル−2−ニトロ−ベンゾイルアセテートとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0174】
【化50】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.94−3.19(m、6H)、3.
67(m、4H)、4.84(br、2H)、6.57(dd、1H)、6.91(m、3H)、7.28(m,2H),7.69(m,2H)、7.96(d,1H)
【0175】
実施例43:カルバミン酸1−(2−クロロ−フェニル)−3−オキソ−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0176】
エチル−2−クロロ−ベンゾイルアセテートとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例
1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0177】
【化51】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.93(d、2H)、3.63(m、
4H)、3.84(m、4H)、4.78(br、2H)、6.43(t、1H)、6.88(m、3H)、7.30(m,5H),7.49(d,1H)
【0178】
実施例44:カルバミン酸1−(2−メトキシ−フェニル)−3−オキソ−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0179】
エチル−2−メトキシ−エチルベンゾイルアセテートとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0180】
【化52】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.90(m、2H)、3.15(m、
4H)、3.73(m、4H)、3.86(s,3H)、4.76(br、2H)、6.40(q、1H)、6.93(m、4H)、7.27(m,4H),7.39(d,1H)
【0181】
実施例45:カルバミン酸1−(3−トリフルオロ−フェニル)−3−オキソ−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0182】
エチル−3−トリフルオロメチル−ベンゾイルアセテートとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0183】
【化53】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.77(m、1H)、3.12(m、
5H)、3.76(m、4H)、4.74(br、2H)、6.19(q、1H)、6.91(m、3H)、7.28(m,2H),7.60(m,4H)
【0184】
実施例46:カルバミン酸1−(3−ブロモ−フェニル)−3−オキソ−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0185】
エチル−3−ブロモ−ベンゾイルアセテートとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0186】
【化54】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.76(m、1H)、3.14(m、
5H)、3.66(m、4H)、4.72(br、2H)、6.10(q、1H)、6.90(m、3H)、7.32(m,5H),7.54(s,1H)
【0187】
実施例47:カルバミン酸2,2−ジフルオロ−3−オキソ−1−フェニル−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0188】
3−カルバモイルオキシ−2,2−ジフルオロ−3−フェニル−プロピオン酸エステルとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0189】
【化55】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:3.14(m、4H)、3.79(d、
4H)、4.81(br、2H)、6.35(q、1H)、6.91(m、3H)、7.26(m,7H)
【0190】
実施例48:カルバミン酸1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−3−オキソ−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0191】
エチル−3,4−ジメトキシ−ベンゾイルアセテートとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0192】
【化56】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.78(dd、1H)、3.08(m
,5H)、3.61(m,4H),3.84(s、3H)、3.89(s,3H)、4.70(br、2H)、6.06(t、1H)、6.88(m、5H)、7.26(m,3H)
【0193】
実施例49:カルバミン酸−1−フラン−3−イル−3−オキソ−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0194】
3−フラン−3−イル−3−オキソ−プロピオン酸エチルエステルとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0195】
【化57】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.80(dd、1H)、3.09(m
,5H)、3.71(m,4H),4.67(br、2H)、6.15(t、1H)、6.4(s,1H)、6.93(d,3H)、7.38(m,4H)
【0196】
実施例50:カルバミン酸1−(3−メチル−フェニル)−3−オキソ−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0197】
エチル−3−メチル−ベンゾイルアセテートとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0198】
【化58】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.34(s、3H)、2.79(d,
1H)、3.08(m,5H),3.66(m,4H)、4.68(br、2H)、6.08(t、1H)、6.89(m,3H)、7.10(m,1H)、7.23(m,5H)
【0199】
実施例51:カルバミン酸1−(3−クロロ−フェニル)−3−オキソ−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0200】
エチル−3−クロロ−ベンゾイルアセテートとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0201】
【化59】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.77(dd、1H)、3.07(m
,5H),3.58(m,2H)、3.75(m,2H)、4.68(br、2H)、6.11(q,1H)、6.91(m,3H)、7.28(m,6H)
【0202】
実施例52:カルバミン酸−2−(4−フェニル−ピペラジン−1−カルボニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルエステル
【0203】
1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸エチルエステルとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0204】
【化60】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:1.99(d、1H),2.35(q,
1H)、.80(m,1H),3.08(m,4H)、3.40(m,1H)、3.71(m,4H),4.66(br、2H)、6.15(s,1H)、6.92(m,3H)、7.25(m,4H)、7.41(d,1H)
【0205】
実施例53:カルバミン酸1−(3,4−ジクロロ−フェニル)−3−オキソ−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0206】
エチル−3,4−ジクロロ−ベンゾイルアセテートとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0207】
【化61】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.75(dd、1H)、3.05(m
,5H),3.66(m,4H)、4.73(br、2H)、6.08(t,1H)、6.91(m,3H)、7.27(m,3H)、7.42(m,1H)、7.49(m,1H)
【0208】
実施例54:カルバミン酸1−(2,3,4,5−ペンタフルオロ−フェニル)−3−オキソ−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0209】
エチル−2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−ベンゾイルアセテートとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0210】
【化62】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:3.14(m、6H)、3.67(m,
4H),5.16(br、2H)、6.37(t,1H)、6.92(m,3H)、7.26(m,2H)
【0211】
実施例55:カルバミン酸1−(3,5−トリフルオロメチル−フェニル)−3−オキソ−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0212】
エチル−3,5−トリフルオロメチル−ベンゾイルアセテートとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0213】
【化63】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.79(dd、1H)、3.12(m
,5H),3.67(m,4H)、4.71(br、2H)、6.27(t,1H)、6.92(m,3H)、7.28(m,3H),7.84(m,2H)
【0214】
実施例56:カルバミン酸1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−3−オキソ−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0215】
エチル−2,4−ジクロロ−ベンゾイルアセテートとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0216】
【化64】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.91(m、2H)、3.17(m,
4H),3.74(m,4H)、4.76(br、2H)、6.38(q,1H)、6.92(m,3H)、7.31(m,3H),7.44(m,2H)
【0217】
実施例57:カルバミン酸1−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−3−オキソ−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0218】
エチル−2,5−ジフルオロ−ベンゾイルアセテートとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0219】
【化65】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.87(dd、1H)、3.03(q
,1H),3.16(m,4H)、3.71(m,4H),4.72(br、2H)、6.30(q,1H)、6.97(m,4H)、7.14(m,1H),7.28(m,3H)
【0220】
実施例58:カルバミン酸1−(2,4−ジメチル−フェニル)−3−オキソ−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0221】
エチル−2,4−ジメチル−ベンゾイルアセテートとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0222】
【化66】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.27(s、3H)、2.41(s,
3H),2.78(dd,1H),3.05(m,5H),3.68(m,4H),4.74(br、2H)、6.28(t,1H),6.95(m,5H)、7.26(m,3H)
【0223】
実施例59:カルバミン酸1−(3,4−メチレンジオキシ−フェニル)−3−オキソ−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0224】
エチル−3,4−メチレンジオキシ−ベンゾイルアセテートとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0225】
【化67】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.77(dd、1H)、3.09(m
,5H),3.67(m,4H),4.65(br、2H)、5.96(s,2H),6.05(t,1H)、6.77(m,1H)、6.89(m,5H)、7.28(m,2H)
【0226】
実施例60:カルバミン酸1−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−3−オキソ−3−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−プロピルエステル
【0227】
エチル−3,4−ジフルオロ−ベンゾイルアセテートとフェニルピペラジンを用いた他は、実施例1と同一の方法で表題化合物を製造した。
【0228】
【化68】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.75(dd、1H)、3.06(m
,5H),3.66(m,4H),4.73(br、2H)、6.08(t,1H)、6.91(m,3H)、7.20(m,5H)
【0229】
実施例61:(R)−カルバミン酸3−[4−(4−クロロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0230】
(R)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸(1.0g、6.0mmole)と4−クロロフェニルピペラジン(1.18g、6.0mmole)を室温でテトラヒドロフラン50mLの溶媒に溶かした、EDC(1.24g、6.0mmole)とHOBt(0.81g、6mmole)を滴下して加えた。その後25℃で5時間攪拌した。該混合物を減圧蒸留して過剰量の溶媒を除去した後、1規定の塩化ナトリウム水溶液(20mL)で無溶媒の混合物を中和し、エチルアセテート25mLを得られた混合物に添加して
有機層を分離した。その後得られた有機層をエチルアセテート15mLでさらに2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウム(2g)で乾燥し、ろ過し、得られたろ液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=1:1乃至1:10)で分離して精製した。得られた反応生成物(0.345g、1mmol)をテトラヒドロフラン(15mL)に溶かし、1,1’−カルボジイミダゾール(0.325g、2mmol)を反応混合物に添加し、得られた反応混合物を室温で1時間攪拌した。その後、過剰量の水酸化アンモニウム水溶液を反応混合物に添加し、さらに2時間室温で反応混合物を攪拌した。反応混合物を水で希釈し、エチルアセテートで数回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られたペレットをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=1:1からエチルアセテート)で精製して表題化合物を得た。
【0231】
【化69】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.07(m
、5H)、3.58(m、2H)、3.74(m、2H)、4.81(br、2H)、6.13(t、1H)、6.84(d、2H)、7.38(m、7H)
【0232】
異なる出発物質を用いた他は実施例61と同一の方法により実施例62−71,78−87の化合物を製造した。
【0233】
実施例62:(R)−カルバミン酸3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0234】
(R)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸と4−フルオロフェニルピペラジンを用いた他は、実施例61と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0235】
【化70】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.03(m
、5H)、3.60(m、2H)、3.76(m、2H)、4.73(br、2H)、6.16(t、1H)、6.95(m、4H)、7.38(m、5H)
【0236】
実施例63:(R)−カルバミン酸3−[4−(4−エトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0237】
(R)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸と4−エトキシフェニルピペラジンを用いた他は、実施例61と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0238】
【化71】

1H NMR(500MHz、CDCl3)d:1.38(t、3H)、2.80(dd
、1H)、3.00(m、5H)、3.55(m、2H)、3.74(m、2H)、3.99(q、2H)、4.81(br、2H)、6.12(t、1H)、6.84(m、4H)、7.33(m、5H)
【0239】
実施例64:(S)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0240】
(S)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸と3,4−ジフルオロフェニルピペラジンを用いた他は、実施例61と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0241】
【化72】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.03(m
、5H)、3.59(m、2H)、3.76(m、2H)、4.76(br、2H)、6.14(t、1H)、6.68(m、2H)、7.05(q、1H)、7.40(m、5H)
【0242】
実施例65:(S)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0243】
(S)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸と3,4−ジメトキシフェニルピペラジンを用いた他は、実施例61と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0244】
【化73】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.04(m
、5H)、3.61(m、2H)、3.77(m、2H)、3.88(d、6H)、4.77(br、2H)、6.15(t、1H)、6.42(d、1H)、6.57(s、1H)、6.82(d、1H)、7.41(m、5H)
【0245】
実施例66:(S)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0246】
(S)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸と3,4−ジクロロフェニルピペラジンを用いた他は、実施例61と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0247】
【化74】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.09(m
、5H)、3.58(m、2H)、3.74(m、2H)、4.81(br、2H)、6.14(t、1H)、6.73(dd、1H)、6.94(d、1H)、7.40(m、6H)
【0248】
実施例67:(R)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0249】
(R)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸と3,4−ジフルオロフェニルピペラジンを用いた他は、実施例61と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0250】
【化75】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.03(m
、5H)、3.59(m、2H)、3.76(m、2H)、4.76(br、2H)、6.14(t、1H)、6.68(m、2H)、7.05(q、1H)、7.40(m、5H)
【0251】
実施例68:(R)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0252】
(R)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸と3,4−ジクロロフェニルピペラジンを用いた他は、実施例61と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0253】
【化76】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.09(m
、5H)、3.58(m、2H)、3.74(m、2H)、4.81(br、2H)、6.14(t、1H)、6.73(dd、1H)、6.94(d、1H)、7.40(m、6H)
【0254】
実施例69:(S)−カルバミン酸3−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0255】
(S)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸と4−メトキシフェニルピペラジン
を用いた他は、実施例61と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0256】
【化77】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:3.00(m、6H)、3.60(m、
2H)、3.79(m、5H)、4.82(br、2H)、6.18(t、1H)、6.88(m、4H)、7.38(m、5H)
【0257】
実施例70:(R)−カルバミン酸3−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0258】
(R)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸と4−メトキシフェニルピペラジンを用いた他は、実施例61と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0259】
【化78】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:3.00(m、6H)、3.60(m、
2H)、3.79(m、5H)、4.82(br、2H)、6.18(t、1H)、6.88(m、4H)、7.38(m、5H)
【0260】
実施例71:(R)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0261】
(R)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸と3,4−ジメトキシフェニルピペラジンを用いた他は、実施例61と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0262】
【化79】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.04(m
、5H)、3.61(m、2H)、3.77(m、2H)、3.88(d、6H)、4.77(br、2H)、6.15(t、1H),
【0263】
実施例72:フェネチル−カルバミン酸−(R)−3−[4−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0264】
(R)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸(1.0g、6.0mmole)と3,4−ジメトキシフェニルピペラジン(1.18g、6.0mmole)を室温でテトラヒドロフラン50mLの溶媒に溶かし、EDC(1.24g、6.0mmole)とH
OBt(0.81g、6mmole)を該混合物に滴下して加えた。その後、得られた混合物を25℃で5時間攪拌した。該混合物を減圧蒸留して過剰な溶媒を除去した後、1規定の塩化ナトリウム水溶液(20mL)で中和し、エチルアセテート25mLを得られた混合物に添加して有機層を分離した。得られた有機層をエチルアセテート15mLでさらに2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウム(2g)で乾燥し、ろ過し、得られたろ液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=1:1乃至1:10)で分離して精製した。得られた反応生成物(0.345g、1mmol)をテトラヒドロフラン(15mL)に溶かし、1,1’−カルボジイミダゾール(0.325g、2mmol)を反応生成物に添加し、該反応混合物を室温で1時間攪拌した。その後、過剰量のフェネチルアミンを反応混合物に添加した後、該反応混合物を室温でさらに2時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、エチルアセテートで数回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られたペレットをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=1:1からエチルアセテート)で精製して表題化合物を得た。
【0265】
【化80】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.76(m、4H)、2.89(m,
4H)、3.37(m,2H)、3.56(m,2H)、3.74(m,2H)、3.78(s,3H)、3.82(s,3H)、6.11(t,1H)、6.78(d,2H)、7.13(m,2H)、7.18(m,1H)、7.20(m,4H)、7.35(m,5H)
【0266】
実施例73:ピペリジン−1−カルボン酸−(R)−3−[4−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニルプロピルエステル
【0267】
フェネチルアミンの代わりにピペリジンを用いた他は、実施例72と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0268】
【化81】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.80(m、1H)、2.89(m,
1H)、2.97(m,3H)、3.10(m,1H)、3.42(m,4H)、3.57(m,1H)、3.61(m,1H)、3.72(m,2H)、3.81(s,3H)、3.84(s,3H)、6.10(t,1H)、6.41(d,1H)、6.53(d,1H)、6.77(d,1H),7.32(m,5H)
【0269】
実施例74:ブチル−カルバミン酸−(R)−3−[4−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0270】
フェネチルアミンの代わりにブチルアミンを用いた他は、実施例72と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0271】
【化82】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:1.31(m,3H)、1.44(m,
2H)、2.83(m,1H),3.06(m,5H)、3.14(m,4H)、3.58(m,2H)、3.74(m,2H)、3.83(s,3H)、3.86(s,3H)、4.91(t,1H)、6.09(m,1H)、6.41(d,1H)、6.55(d,1H)、6.79(d,1H),7.34(m,5H)
【0272】
実施例75:4−メチル−ピペラジン−1−カルボン酸−(R)−3−[4−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0273】
フェネチルアミンの代わりに4−メチルピペラジンを用いた他は、実施例72と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0274】
【化83】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.24(m、4H)、2.00(s,
3H)、2.96(m,2H)、3.05(m,3H)、3.09(m,1H)、3.51(m,6H)、3.68(m,1H)、3.72(m,1H)、3.82(s,3H)、3.86(s,3H)、6.11(t,1H)、6.39(d,1H)、6.51(d,1H)、6.77(d,1H)、7.24(d,1H)、7.32(m,4H)
【0275】
実施例76:(R)−カルバミン酸3−[4−(4−アミノ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0276】
(R)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸(3.0mmole)と4−ニトロフェニルピペラジン(3mmole)を室温でテトラヒドロフラン20mLに溶かし、EDC(6.0mmole、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)とHOBt(6mmole、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール)を混合物に滴下して加えた。その後、得られた混合物を25℃で5時間攪拌した。エチルアセテート20mLを該混合物に3回添加して有機層を抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウム(2g)で乾燥し、ろ過し、得られたろ液を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=1:1)で精製した。得られた反応生成物(1mmol)をメタノール(20mL)に溶かし、パラジウム/炭素(Pd/C)の存在下で還元反応を5時間行った。得られた還元反応生成物を減圧濃縮してメタノールを除去し、エチルアセテートで数回抽出し有機層を分離した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、得られたろ液を減圧濃縮し、アミノ基(NH2)に還元された中間体を得た。中間反応生成物をヒドロフラン(10mL)に溶かした後、1,1’−カルボジイミダゾール(2mmol)を反応生成物に添加し、室温で1時間攪拌した。その後、過剰量の水酸化アンモニウムを得られた反応混合物に添加し、該反応混合物をさらに2時間室温で
攪拌した。得られた反応混合物を水で希釈し、エチルアセテートで数回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られたペレットをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=1:1からエチルアセテート)で精製して表題化合物を得た。
【0277】
【化84】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.78(m、1H)、2.91(m,
2H)、3.02(m,2H)、3.53(m,3H)、3.68(m,2H)、5.27(br,2H)、6.10(t,1H)、6.61(d,1H)、6.73(d,1H)、6.91(m,1H)、7.00(m,1H)、7.32(m,6H)
【0278】
実施例77:4−[2−オキソ−2−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−エチル]−1,4−ジヒドロ−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2−オン
【0279】
エチル2−ニトロベンゾイルアセテート(2.887mmol)とフェニルピペラジン(2.887mmol)をトルエンに溶かし、24時間還流した。得られた混合物を減圧濃縮し、粗化合物を得た。得られた粗化合物をメタノールに溶かし、0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(2.887mmol)を徐々に得られた混合物に添加した。該混合物を室温で2時間攪拌し、減圧濃縮して溶媒を除去した。その後、得られた混合物を水で希釈し、エチルアセテートで数回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。得られたペレットをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=1:1)で精製して化合物を得た。得られた化合物(3−(2−ニトロ−フェニル)−3−ヒドロキシ−1−(4−フェニル−ピペラジニ−1−イル)−プロパン−1−オン、3mmol)をメタノールに溶かし、パラジウム触媒の存在下で水素化反応を経て、ニトロ基が還元されたアミノ化合物を得た。調製された化合物(1.21mmol)をテトラヒドロフラン(20mL)に溶かし、トリエチルアミン(3mmol)を得られた反応混合物に加えた。該反応混合物にホスゲン(2.4M トルエン溶液、1.21mmol)を徐々に添加した。このとき、反応生成物の温度は10℃を超えない温度範囲に維持した。反応生成物を室温で16時間攪拌し、水酸化アンモニウムで希釈し、その後エチルアセテートで数回抽出した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、得られたろ液を減圧濃縮し、エチルアセテートで再結晶して最終化合物を製造した。
【0280】
【化85】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:3.07(m、6H)、3.54(m,
2H)、3.78(m,2H)、6.01(t,1H)、6.88(m,4H)、7.05(m,1H)、7.26(m,4H),8.46(s,1H)
【0281】
実施例78:カルバミン酸3−[4−(3−ヒドロキシ−4−メトキシ)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0282】
(R)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸と4−メトキシ−3−ヒドロキシフェニルピペラジンを用いた他は、実施例61と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0283】
【化86】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:3.01(m,8H)、3.50(m、
2H)、3.72(m,2H)、3.84(s、3H)、4.77(Br、2H)、5.92(s、IH)、6.18(t,1H)、6.41(dd,1H)、6.60(d、1H)、6.84(d,1H)、7.39(m,5H)
【0284】
実施例79:(S)−カルバミン酸3−[4−(4−フルオロ)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0285】
(S)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸と4−フルオロフェニルピペラジンを用いた他は、実施例61と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0286】
【化87】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.03(m
、5H)、3.60(m、2H)、3.76(m、2H)、4.73(br、2H)、6.16(t、1H)、6.95(m、4H)、7.38(m、5H)
【0287】
実施例80:(R)−カルバミン酸3−[4−(4−メチル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0288】
(R)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸と4−メチルフェニルピペラジンを用いた他は、実施例61と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0289】
【化88】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.30(s、3H)、2.82(dd
、1H)、3.05(m、5H)、3.60(m、2H)、3.77(m、2H)、4.77(br、2H)、6.15(t、1H)、6.84(d、2H)、7.10(d、2H)、7.38(m、5H)
【0290】
実施例81:(S)−カルバミン酸3−[4−(4−メチル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0291】
(S)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸と4−メチルフェニルピペラジンを用いた他は、実施例61と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0292】
【化89】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2,30(s、3H)、2.82(dd
、1H)、3.05(m、5H)、3.60(m、2H)、3.77(m、2H)、4.77(br、2H)、6.15(t、1H)、6.84(d、2H)、7.10(d、2H)、7.38(m、5H)
【0293】
実施例82:(R)−カルバミン酸3−[4−(2,4−ジフルオロ)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0294】
(R)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸と2,4−ジフルオロフェニルピペラジンを用いた他は、実施例61と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0295】
【化90】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.95(m、6H)、3.61(m、
2H)、3.80(m、2H)、4.69(br、2H)、6.15(t、1H)、6.82(m、3H)、7.35(m、5H)
【0296】
実施例83:(R)−カルバミン酸3−[4−ヒドロキシ−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0297】
(R)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸と4−ヒドロキシフェニルピペラジンを用いた他は、実施例61と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0298】
【化91】

1H NMR(200MHz、DMSO)d:2.82(m、6H)、3.56(m、4
H)、5.93(t、1H)、6.51(br、2H)、6.67(d、2H)、6.78(d、2H)、7.37(m、5H)、8.88(s、1H)
【0299】
実施例84:(S)−カルバミン酸3−[4−ヒドロキシ−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0300】
(S)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸と4−ヒドロキシフェニルピペラジンを用いた他は、実施例61と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0301】
【化92】

1H NMR(200MHz、DMSO)d:2.82(m、6H)、3.56(m、4
H)、5.93(t、1H)、6.51(br、2H)、6.67(d、2H)、6.78(d、2H)、7.37(m、5H)、8.88(s、1H)
【0302】
実施例85:(S)−カルバミン酸3−[4−クロロ−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0303】
(S)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸と4−クロロフェニルピペラジンを用いた他は、実施例61と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0304】
【化93】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.82(dd、1H)、3.07(m
、5H)、3.58(m、2H)、3.74(m、2H)、4.81(br、2H)、6.13(t、1H)、6.84(d、2H)、7.38(m、7H)
【0305】
実施例86:カルバミン酸(R)−3−[4−(3−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0306】
(R)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸と3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニルピペラジンを用いた他は、実施例61と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0307】
【化94】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.98(m.8H)、3.51(m,
1H)、3.82(m,1H)、3.88(s,3H)、4.81(br,2H)、5.40(s,1H)、6.01(t,1H)、6.4(dd,1H)、6.92(d,1H)、7.39(m,5H)
【0308】
実施例87:カルバミン酸(R)−3−[4−(3−メトキシ−4−ヒドロキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステル
【0309】
(R)−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオン酸と3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニルピペラジンを用いた他は、実施例61と同一の方法で表題化合物を合成した。
【0310】
【化95】

1H NMR(200MHz、CDCl3)d:2.99(m.8H)、3.47(m,
1H)、3.50(m,1H)、3.84(s,3H)、4.77(br,2H)、6.20(t,1H)、6.45(dd,1H)、6.59(d,1H)、6.80(d,1H),7.37(m,5H)
【0311】
上記化合物を下記実験動物を用いて鎮痛効果を検証した。
【0312】
2.マウスにおける酢酸により誘発されたライジング(writhing)試験
【0313】
酢酸−誘発ライジング試験は薬物の鎮痛効果を測定するモデルの1つである。体重が30〜35gの雄ICRマウスに、適当な溶媒に溶かした試験物質を10mg/kg容量で経口投与した。経口投与1時間後に、0.8%の酢酸水溶液10mg/mlを雄ICRマウスの腹腔内に注射し、腹痛を誘発させた。酢酸の投与直後、雄ICRマウスを空のケージに入れ、10分間ライジング行動の回数を数えて記録した。“ライジング”とは、腹痛によりマウスが後ろ足を伸ばすことにより、マウスが明確に腹部を伸ばす反射行動を意味する。試験物質の鎮痛効果は‘痛み反応抑制率’{[(溶媒投与群のライジング回数−試験物質投与群のライジング回数)/(溶媒投与群のライジング回数)]×100%}で表示した。これらの結果より、鎮痛効果が大きいほど痛み反応抑制率は高いことが観察された。
【0314】
3.マウスにおけるホットプレート試験
【0315】
ホットプレート試験は、薬物の鎮痛効果を測定する代表的なモデルの1つである。体重が25〜30gの雄ICRマウスに、適当な溶媒に溶かした試験物質を30mg/kg容量で経口投与した。経口投与1時間後に、ホットプレート(55℃)上にマウスを載せた。ホットプレート上にマウスを載せた直後から、マウスの前足、或いは後ろ足から痛み回避反応(ひるむ(flinching)、なめる(licking)、ジャンプする(jumping)等)が観察されるまでの待ち時間を記録した。試験物質の鎮痛効果は‘回避反応時間の増加率’{[(試験物質投与群の痛み回避反応時間−溶媒投与群の痛み回避反応時間)/(溶媒投与群の痛み回避反応時間)]×100%}で表示した。これらの結果より、鎮痛効果が大きいほど‘回避反応時間の増加率’は高いことが観察された。
【0316】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【0317】
また、上記化合物を下記動物試験を通じて不安神経症及びうつ病に対する薬効を検証した。
【0318】
4.マウスにおける高架式十字迷路(EPM)試験
【0319】
高架式十字迷路(EPM)試験は試験物質の抗不安効果を試験する代表的なモデルの1つである。EPM試験のための装置は、床から高い所に位置した十字路の形態を有し、一方の道の両側は高い壁で囲われており、他方の道には壁がないような崖の形態で構成されている。このうち崖の形態にある道を‘オープンアーム’といい、壁で囲われている道を‘クローズアーム’という。そして、マウスがどのアームで長く留まるか測定することにより、マウスの不安の程度を評価することができる。一般にマウスはオープンアームよりクローズアームに長く留まるが、抗不安効果を示す薬物が投与されたマウスは、相対的に長くオープンアームに留まる。
体重が20〜25gの雄ICRマウスに、適当な溶媒に溶かした試験物質を10mg/kg容量で経口投与した。経口投与1時間後に、EPM装置の中央にマウスを載せ、5分内にマウスがオープンアームに留まる時間を測定した。試験物質の抗不安効果は‘オープンアーム時間変化率’{[(試験物質投与群のオープンアーム持続割合−溶媒投与群のオープンアーム持続割合)/(溶媒投与群のオープンアーム持続割合)]×100%}で表示した。これらの結果より、オープンアーム時間が増加するほど抗不安効果が増加することが観察された。
【0320】
5.マウスにおける5−HTPにより誘発された頭部痙攣(Head Twitch)増強試験
【0321】
5−ヒドロキシ−L−トリプトファン(5−HTP)をマウスに投与すると、セロトニンがマウスに次第に分泌されるため、頭部痙攣現象が観察される。この場合、セロトニン作用をさらに増強させるモノアミンオキシダーゼ−A(MAO−A)抑制剤や、選択的セロトニン再摂取阻害剤(SSRI)などの抗うつ剤をマウスに投与すると、マウスの頭部痙攣回数は有意に増加する。このような原理を用い、代表的な抗うつ剤の薬効を検証することができる。
体重が20〜25gの雄ICRマウスに、適当な溶媒に溶かした試験物質を30mg/kg容量で経口投与した。経口投与30分後、5−HTP(80mg/kg)と5−HTP
末梢デカルボキシラーゼ抑制剤であるカルビドパ(Carbidopa)(25mg/kg)をマウスに腹腔内投与する。腹腔内投与30分後に、マウスを観察用ケージに入れ、マウスの頭部痙攣回数を2分間測定した。試験物質の抗うつ効果を‘頭部痙攣回数の増加率’{[(試験物質投与群の頭部痙攣回数−溶媒投与群の頭部痙攣回数)/(溶媒投与群の頭部痙攣回数)]×100%}で表示した。これらの結果から、抗うつ効果の大きさは‘頭部痙攣回数の増加率’の高い増加率に関係することが観察された。また、‘頭部痙攣回数の増加率’がマイナス値となる場合は、該当化合物が5−HT2A受容体に対する拮抗剤として作用することを示した(非特許文献2)。臨床分野において抗うつ剤として広く使用されている選択的セロトニン再摂取阻害剤(SSRI)に加え、にネファゾドン(nefazodone)、トラゾドン(trazodone)等の5−HT2A拮抗剤も抗うつの薬効があることが検証された。
【0322】
【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【0323】
様々な疼痛(急性疼痛、慢性疼痛、神経障害痛、術後の神経損傷による疼痛、糖尿病性神経障害による疼痛、帯状疱疹後の神経痛、炎症性痛覚、関節痛、偏頭痛などを含む)、不安神経症及びうつ病などの様々な疾病の治療用途において、本発明の化合物は単独で、又は薬学的に利用可能な担体と組合せて患者に投与する。投与される化合物の正確な投与量は患者の状態、患者状態の重篤性及び化合物の活性により決定され得る。特定の状況下では、投与化合物の最適な投与量は原則的に臨床的方法で決定されるが、本発明の範囲内にあるべきである。
【0324】
本発明の化合物の使用において、該化合物は経口で容易に吸収されるため、経口で投与されることが好ましいが、本発明はこれに特に限定されるものではない。経口投与のために、本発明の化合物は好ましくは薬学的担体と組合せて使用される。担体と本発明の化合物の投与割合は、患者に効果を示すように制限され、上記組成物をカプセルに充填するか、又は錠剤に形成するか否かによって多様であり得る。錠剤の場合は、食用可能な薬学的担体又はこれらの混合物が使用され得る。適当な担体の具体例として、但しこれらに限定されないが、ラクトース、2塩基性のリン酸カルシウム及び/又はトウモロコシ澱粉、ならびにこれらの混合物等が挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤といった他の薬学的に利用可能な化合物をさらに添加し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されるラセミ体又はエナンチオマーの特性に富むカルバモイルオキシアリールアルカノイルアリールピペラジン誘導体化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物。
【化1】

(上記式中、
−−−は選択的にシクロ環を形成し得、
1、R2は水素原子、炭素原子数1乃至6の直鎖又は分枝鎖アルキル、及びフェネチルからなる群からそれぞれ独立して選択され、又はR1とR2が共に5員又は6員ヘテロシクロ環を一緒になって形成し、又はR1若しくはR2がAr1と一緒になってビシクロ環を形成
し得、
Ar1はフラニル、チオニル、メチレンジオキシフェニル、及び水素原子、炭素原子数1
乃至6の直鎖又は分枝鎖アルキル、ハロゲン原子例えばF、Cl及びBr、炭素原子数1乃至6の直鎖又は分枝鎖アルコキシ、ニトロ及びトリフルオロメチルからなる群から選択される少なくとも1つの同一の又は異なる置換基で置換され得るフェニルからなる群から選択され、
Zは水素原子又はフッ素原子、又はAr1と一緒になってビシクロ環を形成し得、
Ar2は水素原子、炭素原子数1乃至6の直鎖又は分枝鎖アルキル、ヒドロキシ、ハロゲ
ン原子、炭素原子数1乃至6の直鎖又は分枝鎖アルコキシ、ニトロ、アセチル、t−ブチルアセチル、トリフルオロメチル、アミノ及びアセテートからなる群から選択される少なくとも1つの同一の又は異なる置換基で置換され得る、フェニル、メチレンジオキシフェニル、ピリジン、ピリミジン、ナフチル、ビス(フルオロフェニル)メチル及びキノキサリンからなる群から選択され、
nは1又は2の整数を表し、そして
mは0乃至2の整数を表す。)
【請求項2】
前記化合物は、下記化学式2で表される、請求項1に記載の化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物。
【化2】

(上記式中、
1は水素原子、炭素原子数1乃至6の直鎖又は分枝鎖アルキル、ハロゲン原子例えばF
、Cl及びBr、炭素原子数1乃至6の直鎖又は分枝鎖アルコキシ、ニトロ及びトリフルオロメチルからなる群から選択される少なくとも1つを表し、
但しX1が該群から少なくとも2つ選択される場合、2つの置換基は互いに同一であるか
、又は互いに異なり得る。)
【請求項3】
上記化合物は、化学式3で表される、請求項2に記載の化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物。
【化3】

上記式中、
1は水素原子を表し、
2は水素原子、炭素原子数1乃至6の直鎖又は分枝鎖アルキル、ヒドロキシ、ハロゲン
原子、炭素原子数1乃至6の直鎖又は分枝鎖アルコキシ、ニトロ、t−ブチルアセチル、トリフルオロメチル及びアミノからなる群から選択される少なくとも1つを表し、
但しX2が該群から少なくとも2つ選択される場合、2つの置換基は互いに同一であるか
、又は互いに異なり得る。)
【請求項4】
上記化合物は、カルバミン酸3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステルを含む、請求項1に記載の化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物。
【請求項5】
上記化合物は、(R)−カルバミン酸3−[4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステルを含む、請求項1に記載の化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物。
【請求項6】
上記化合物は、(R)−カルバミン酸3−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステルを含む、請求項1に記載の化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物。
【請求項7】
上記化合物は、カルバミン酸3−[4−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステルを含む、請求項1に記載の化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物。
【請求項8】
上記化合物は、カルバミン酸4−[4−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−4−オキソ−1−フェニル−ブチルエステルを含む、請求項1に記載の化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物。
【請求項9】
上記化合物は、カルバミン酸3−[4−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステルを含む、請求項1に記載の化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物。
【請求項10】
上記化合物は、(S)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステルを含む、請求項1に記載の化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物。
【請求項11】
上記化合物は、カルバミン酸3−[4−(4−メチル−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステルを含む、請求項1に記載の化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物。
【請求項12】
上記化合物は、(S)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステルを含む、請求項1に記載の化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物。
【請求項13】
上記化合物は、(R)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステルを含む、請求項1に記載の化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物。
【請求項14】
上記化合物は、カルバミン酸3−[4−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステルを含む、請求項1に記載の化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物。
【請求項15】
上記化合物は、(S)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステルであることを特徴とする請求項1に記載の化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物。
【請求項16】
上記化合物は、(R)−カルバミン酸3−[4−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステルを含む、請求項1に記載の化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物。
【請求項17】
上記化合物は、カルバミン酸3−[4−(3−クロロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステルであることを特徴とする請求項1に記載の化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物。
【請求項18】
上記化合物は、カルバミン酸3−オキソ−1−フェニル−3−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジニ−1−イル]−プロピルエステルを含む、請求項1に記載の化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物。
【請求項19】
上記化合物は、(R)−カルバミン酸3−[4−ヒドロキシ−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステルを含む、請求項1に記載の化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物。
【請求項20】
上記化合物は、(S)−カルバミン酸3−[4−クロロ−ピペラジニ−1−イル]−3−オキソ−1−フェニル−プロピルエステルを含む、請求項1に記載の化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物。
【請求項21】
前記化合物の塩は、メタンスルホン酸塩又は塩酸塩を含む、請求項1乃至請求項20の何れか1項に記載の化合物及びその薬学的に利用可能な塩又は水和物。
【請求項22】
請求項1乃至請求項20の何れか1項に記載の、ラセミ体又はエナンチオマー特性に富む化合物の有効量を含む、不安神経症又はうつ病治療用の薬剤組成物。
【請求項23】
請求項1乃至請求項20の何れか1項に記載の、ラセミ体又はエナンチオマー特性に富む化合物の有効量を含む、疼痛治療用の薬剤組成物。
【請求項24】
上記疼痛は急性疼痛、慢性疼痛、神経障害痛、術後の神経損傷による疼痛、糖尿病性神経障害による疼痛、帯状疱疹後の神経痛、炎症性痛覚、関節痛、偏頭痛を含むことを特徴とする請求項23に記載の疼痛治療用薬剤組成物。
【請求項25】
請求項1乃至請求項20の何れか1項に記載の、ラセミ体又はエナンチオマー特性に富む化合物の有効量を疼痛、不安神経症又はうつ病の治療が必要な哺乳類に投与することによる、哺乳類の疼痛、不安神経症又はうつ病を治療する方法。
【請求項26】
前記化合物の有効量は、総有効成分20mg乃至500mgを含む単位投与量で、10mg乃至7000mgの1日あたりの投与量で投与される、請求項25に記載の哺乳類の疼痛、不安神経症又はうつ病を治療する方法。

【公表番号】特表2010−526871(P2010−526871A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508291(P2010−508291)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【国際出願番号】PCT/KR2008/002470
【国際公開番号】WO2008/140198
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(303024622)エスケー ホルディングス カンパニー リミテッド (28)
【Fターム(参考)】