説明

新規な使用

ミエロペルオキシダーゼ酵素(MPO)の阻害が有効である疾患又は身体状態を治療又は予防するための医薬の製造における、式(I)
【化1】


(式中、X、Y、W及びQは本明細書で定義された通りである)の化合物及びその医薬として許容し得る塩の使用が開示されている。或る種の新規な式(I)の化合物及びその医薬として許容し得る塩がそれらの製造法と共に開示されている。式(I)の化合物はMPO阻害剤であり、そのため特に神経炎症性障害の治療又は予防において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はミエロペルオキシダーゼ酵素(MPO)の阻害剤としての2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン誘導体の使用に関する。或る種の新規な2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン誘導体もまた、それらの製造方法、それらを含有する組成物及び治療でのそれらの使用と共に開示される。
【背景技術】
【0002】
ミエロペルオキシダーゼ酵素(MPO)は、主に多形核白血球(PMN)において見られるヘム含有酵素である。MPOは好酸球ペルオキシダーゼ、甲状腺ペルオキシダーゼ、唾液ペルオキシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ、プロスタグランジンHシンターゼなどを含む哺乳動物の様々なペルオキシダーゼ・タンパク質ファミリーの一員である。成熟酵素は同一の半分子からなる二量体である。各半分子は共有結合したヘムを含有し、これはMPOの特徴的な緑色の原因である特異なスペクトル特性を示す。MPOのその二つの半分子を結合するジスルフィド架橋の開裂により、完全な酵素と区別できないスペクトル特性及び触媒特性を示す半酵素が得られる。この酵素は過酸化水素を用いて塩化物を酸化し、次亜塩素酸とする。他のハロゲン化物及び擬ハロゲン化物(例えばチオシアネート)もまたMPOに対する生理学的基質である。
【0003】
PMNは感染症の治療に特に重要である。これらの細胞は、その殺菌作用が十分に裏付けされたMPOを含有する。PMNは微生物を飲み込み、それらをファゴソームと呼ばれる小胞に取り込む食作用により非特異的に作用し、そのファゴソームはミエロペルオキシダーゼを含有する顆粒と融合してファゴリソソームを形成する。ファゴリソソームにおいて、ミエロペルオキシダーゼの酵素活性は強力な殺菌性化合物である次亜塩素酸の生成をもたらす。次亜塩素酸はそれ自体で酸化作用を有し、チオール及びチオエーテルと最も強く反応するが、またアミンをクロラミンに変換し、そして芳香族アミノ酸を塩素化する。マクロファージはPMNと同様に微生物を貪食することができる大食細胞である。マクロファージは過酸化水素を生じさせることができ、そして活性化によりミエロペルオキシダーゼを生成することができる。MPO及び過酸化水素はまた、細胞の外側に放出され、そこで塩化物と反応して隣接する組織に損傷を与えることがある。
【0004】
ミエロペルオキシダーゼ活性と疾患との関連は、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病及び発作(stroke)を含む神経炎症性反応を伴なう神経系疾患、並びに喘息、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、アテローム性動脈硬化症、炎症性腸疾患、腎糸球体傷害及び関節リウマチのような他の炎症性疾患又は身体状態において示されている。肺ガンもまた、高いMPO値と関係があることが示唆されている。
【0005】
WO 01/85146はMPO阻害剤であり、それにより慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に有用である様々な化合物を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、酵素MPOの阻害剤として驚くべき有用な特性を示す2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン誘導体群に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、酵素MPOの阻害が有効である疾患又は身体状態を治療又は予防するための医薬の製造における式(I)
【化1】

の化合物、又はその医薬として許容し得る塩の使用が提供され、
式中、
QはO、NR14及びSから独立して選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する5〜7員の飽和型又は部分不飽和型複素環式環であり;該複素環式環はハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;又は、
QはC3〜8シクロアルキルであり、これはハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により置換されており;該アルキル、C3〜6シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;又は、
Qは部分不飽和型C5〜8シクロアルキルであり、これはハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、C3〜6シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;又は、
Qは飽和型又は部分不飽和型C6〜8ビシクロアルキルであり、これはハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、C3〜6シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;
そして、上記の定義のいずれにおいても、環Qは場合によりベンゾ縮合しており、ここで、該ベンゾ環はハロゲン、CHO、C2〜6アルカノイル、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ及びC1〜6アルコキシから独立して選択される1又はそれ以上の置換基により場合により置換され;
又は、Qはベンゾ縮合型C4〜8シクロアルキルであり、ここで、該ベンゾ環はハロゲン、CHO、C2〜6アルカノイル、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ及びC1〜6アルコキシから独立して選択される1又はそれ以上の置換基により場合により置換され;
【0008】
Wは単結合又はCHR1であり、ここで、R1はH、CH3、F、OH、CH2OH又はフェニルであり;
Xは単結合、O、CH2又はNR3であり、ここで、R3はH又はC1〜6アルキルであり;
Yはフェニル、ナフチル、又はO、N及びSから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含む単環式若しくは二環式複素芳香族環系であり;該フェニル、ナフチル又は複素芳香族環系はハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、CO2H、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、1又はそれ以上のフッ素原子によりさらに置換され;又は、
YはC1〜6アルキル又はC3〜6シクロアルキルであり;該シクロアルキル基は場合によりO原子を含み、そして場合によりベンゾ縮合しており;そして該アルキル又はシクロアルキル基はハロゲン、オキソ(=O)、C1〜6アルキル又はC1〜6アルコキシから独立して選択される1又はそれ以上の置換基により場合により置換され;
R4、R5、R6、R12及びR13はそれぞれ独立してH又はC1〜6アルキルであり;
R14はH、C1〜6アルキル、CHO又はC2〜6アルカノイルであり;該アルキルは場合により、フェニルによりさらに置換され、ここで該フェニル基は場合により、ハロゲン、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ又はC2〜6アルカノイルによりさらに置換されてもよい。
【0009】
式(I)の化合物はエナンチオマー形態で存在することができる。したがって、全てのエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物及びこれらの混合物は本発明の範囲に包含される。
【0010】
式(I)の化合物は互変異性体として存在することができる。全てのこのような互変異性体及び互変異性体混合物は本発明の範囲に包含される。
【0011】
本発明のさらに具体的な態様は、神経炎症性障害を治療又は予防するための医薬の製造における、式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩の使用を提供する。
【0012】
本発明によれば、治療有効量の式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩を、酵素MPOの阻害が有効である疾患又は身体状態に罹っているか又はそのリスクがあるヒトに投与することからなる、該疾患又は身体状態を治療するか又はそのリスクを減少させる方法も提供される。
【0013】
さらに詳しくは、治療有効量の式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩を、神経炎症性障害に罹っているか又はそのリスクがあるヒトに投与することからなる、該ヒトにおいて該疾患又は身体状態を治療するか又はそのリスクを減少させる方法も提供される。
【0014】
他の見地において、本発明は、酵素MPOの阻害が有効である疾患又は身体状態の治療又は予防に使用するための、治療有効量の式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩を医薬として許容し得る補助剤、希釈剤又は担体と混合して含有する医薬製剤を提供する。
【0015】
別の特定の態様において、本発明は神経炎症性障害の治療又は予防に使用するための、治療有効量の式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩を医薬として許容し得る補助剤、希釈剤又は担体と混合して含有する医薬製剤を提供する。
【0016】
一態様において、QはO、NR14及びSから独立して選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する、場合によりベンゾ縮合している5〜7員の飽和型又は部分不飽和型複素環式環であり;該複素環式環はハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;そしてX、Y及びWは上述のとおりである。
【0017】
一態様において、Qは場合によりベンゾ縮合しているC3〜8シクロアルキルであり、これはハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により置換され;該アルキル、C3〜6シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;そしてX、Y及びWは上述のとおりである。
【0018】
一態様において、Qは場合によりベンゾ縮合している部分不飽和型C5〜8シクロアルキルであり、これはハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、C3〜6シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;そしてX、Y及びWは上述のとおりである。
【0019】
一態様において、Qは場合によりベンゾ縮合している飽和型又は部分不飽和型C6〜8ビシクロアルキルであり、これはハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、C3〜6シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;そしてX、Y及びWは上述のとおりである。
【0020】
一態様において、Qはベンゾ縮合型C4〜8シクロアルキルであり、ここで、該ベンゾ環はハロゲン、CHO、C2〜6アルカノイル、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ及びC1〜6アルコキシから独立して選択される1又はそれ以上の置換基により場合により置換され;そしてX、Y及びWは上述のとおりである。
【0021】
一態様において、Wは単結合又はCH2である。
一態様において、Xは単結合又はOである。
一態様において、WはCH2であり、そしてXは単結合である。
一態様において、WはCH2であり、そしてXはOである。
一態様において、Yはフェニルであり、これは場合により上述のように置換される。
一態様において、Yはピリジルであり、これは場合により上述のように置換される。
一態様において、Yは2−ピリジルであり、これは場合により上述のように置換される。
【0022】
一態様において、QはO、NR14及びSから独立して選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する、場合によりベンゾ縮合している5〜7員の飽和型又は部分不飽和型複素環式環であり;該複素環式環はハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;WはCH2であり;XはOであり;そしてYはフェニル又はピリジルであり、これは場合により上述のように置換される。
【0023】
一態様において、QはO、NR14及びSから独立して選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する、場合によりベンゾ縮合している5〜7員の飽和型又は部分不飽和型複素環式環であり;該複素環式環はハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;WはCH2であり;Xは単結合であり;そしてYはフェニル又はピリジルであり、これは場合により上述のように置換される。
【0024】
一態様において、Qは場合によりベンゾ縮合しているC3〜8シクロアルキルであり、これはハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により置換され;該アルキル、C3〜6シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;WはCH2であり;XはOであり;そしてYはフェニル又はピリジルであり、これは場合により上述のように置換される。
【0025】
一態様において、Qは場合によりベンゾ縮合しているC3〜8シクロアルキルであり、これはハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により置換され;該アルキル、C3〜6シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;WはCH2であり;Xは単結合であり;そしてYはフェニル又はピリジルであり、これは場合により上述のように置換される。
【0026】
一態様において、Qは場合によりベンゾ縮合している部分不飽和型C5〜8シクロアルキルであり、これはハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、C3〜6シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;WはCH2であり;XはOであり;そしてYはフェニル又はピリジルであり、これは場合により上述のように置換される。
【0027】
一態様において、Qは場合によりベンゾ縮合している部分不飽和型C5〜8シクロアルキルであり、これはハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、C3〜6シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;WはCH2であり;Xは単結合であり;そしてYはフェニル又はピリジルであり、これは場合により上述のように置換される。
【0028】
一態様において、Qは場合によりベンゾ縮合している飽和型又は部分不飽和型C6〜8ビシクロアルキルであり、これはハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、C3〜6シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;
WはCH2であり;XはOであり;そしてYはフェニル又はピリジルであり、これは場合により上述のように置換される。
【0029】
一態様において、Qは場合によりベンゾ縮合している飽和型又は部分不飽和型C6〜8ビシクロアルキルであり、これはハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、C3〜6シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;WはCH2であり;Xは単結合であり;そしてYはフェニル又はピリジルであり、これは場合により上述のように置換される。
【0030】
一態様において、Qはベンゾ縮合型C4〜8シクロアルキルであり、ここで、該ベンゾ環はハロゲン、CHO、C2〜6アルカノイル、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ及びC1〜6アルコキシから独立して選択される1又はそれ以上の置換基により場合により置換され;WはCH2であり;XはOであり;そしてYはフェニル又はピリジルであり、これは場合により上述のように置換される。
【0031】
一態様において、Qはベンゾ縮合型C4〜8シクロアルキルであり、ここで、該ベンゾ環はハロゲン、CHO、C2〜6アルカノイル、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ及びC1〜6アルコキシから独立して選択される1又はそれ以上の置換基により場合により置換され;WはCH2であり;Xは単結合であり;そしてYはフェニル又はピリジルであり、これは場合により上述のように置換される。
【0032】
本発明の特定の態様は、1種又はそれ以上の次の式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩の使用に関する:
5−フェノキシメチル−4−(ジヒドロフラン−2−オン−3−イル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン;
5−(2−クロロ−フェノキシメチル)−4−(trans−2−ヒドロキシシクロヘキシル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン;
5−フェノキシメチル−4−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン;
4−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル)−5−ピリジン−2−イルメチル−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン;
4−(1−ベンジル−ピロリジン−3−イル)−5−ピリジン−2−イルメチル−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン;
4−((1R,2R)−2−ベンジルオキシ−シクロペンチル)−5−ピリジン−2−イルメチル−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン。
【0033】
特に断りがなければ、本明細書において「C1〜6アルキル」なる用語は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基を意味する。このような基の例としては、メチル、エチル、1−プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル及びヘキシルが挙げられる。「C1〜2アルキル」なる用語は同様に解釈される。
【0034】
特に断りがなければ、本明細書において「C3〜8シクロアルキル」なる用語は、3〜8個の炭素原子を有する環状アルキル基を意味する。このような基の例としては、シクロプロピル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが挙げられる。「C3〜6シクロアルキル」なる用語は同様に解釈される。「C3〜6シクロアルキルであり;該シクロアルキル基は場合によりO原子を含み、そして場合によりベンゾ縮合している」なる用語は同様に解釈される。このような基の例としては、テトラヒドロフラン、オキサン、インダン、テトラヒドロナフタレン、クロマン及びイソクロマンが挙げられる。
【0035】
特に断りがなければ、本明細書において「不飽和型C5〜8シクロアルキル」なる用語は、5〜8個の炭素原子を有し、そして1又はそれ以上の二重結合を含む環状アルキル基を意味する。このような基の例としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル及びシクロヘプタジエニルが挙げられる。
【0036】
特に断りがなければ、本明細書において「飽和型又は部分不飽和型C6〜8ビシクロアルキル」なる用語は、6〜8個の炭素原子を有し、そして場合により1又はそれ以上の二重結合を含む二環式アルキル基を意味する。このような基の例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプテニル及びビシクロ[2.2.2]オクタンが挙げられる。
【0037】
特に断りがなければ、本明細書において「ベンゾ縮合型C4〜8シクロアルキル」なる用語は、ベンゾ環に縮合した4〜8個の炭素原子を有する環状アルキル基を意味する。このような基の例としては、インダニル及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレニルが挙げられる。
【0038】
特に断りがなければ、本明細書において「C1〜6アルコキシ」なる用語は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルコキシ基を意味する。このような基の例としては、メトキシ、エトキシ、1−プロポキシ、2−プロポキシ及びt−ブトキシが挙げられる。
【0039】
「C1〜2アルコキシ」なる用語は同様に解釈される。
【0040】
特に断りがなければ、本明細書において「C1〜6アルキルチオ」なる用語は、硫黄原子を介して分子に結合する、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基を意味する。このような基の例としては、メチルチオ、エチルチオ及びプロピルチオが挙げられる。
【0041】
特に断りがなければ、本明細書において「C2〜6アルカノイル」なる用語は、カルボニル基を介して結合する、1〜5個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基を意味する。このような基の例としては、アセチル、プロピオニル及びピバロイルである。
【0042】
特に断りがなければ、本明細書において「ハロゲン」なる用語はフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを意味する。
【0043】
場合により1又はそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換されるアルキル又はアルコキシ基の例としては、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2F、CHF2、CF3、CF3CF2、CF3CH2、CH2FCH2、CH3CF2、CF3CH2CH2、OCF3及びOCH2CF3が挙げられる。
【0044】
O、S及びNから独立して選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する5−又は6−員の複素芳香族環の例としては、フラン、チオフェン、イミダゾール、チアゾール、イソオキサゾール、ピリジン及びピリミジンが挙げられる。
【0045】
O、N及びSから独立して選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する5−又は6−員の飽和型複素環式環の例としては、テトラヒドロフラン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン及びピペラジンが挙げられる。
【0046】
O、N及びSから独立して選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する5〜7員の飽和型又は部分不飽和型複素環式環の例としては、テトラヒドロフラン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリン、テトラヒドロピラン、デヒドロピペリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ペルヒドロアゼピン及びピペラジンが挙げられる。
【0047】
O、N及びSから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含む単環式又は二環式複素芳香族環系の例としては、フラン、チオフェン、イミダゾール、チアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピリミジン、インドール、イソキノリン、ベンゾフラン及びベンゾチアジアゾールが挙げられる。
【0048】
O、S及びNから選択される1個のさらなるヘテロ原子を場合により含む飽和型5−又は6−員のアザ環式環の例としては、ピロリジン、モルホリン、ピペラジン及びピペリジンが挙げられる。
【0049】
或る種の式(I)の化合物は新規である。したがって、本発明のさらなる態様は、次の式(I)の新規化合物及びその医薬として許容し得る塩を提供する:
5−フェノキシメチル−4−(ジヒドロフラン−2−オン−3−イル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン;
5−(2−クロロ−フェノキシメチル)−4−(trans−2−ヒドロキシシクロヘキシル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン;
5−フェノキシメチル−4−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン;
4−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル)−5−ピリジン−2−イルメチル−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン;
4−(1−ベンジル−ピロリジン−3−イル)−5−ピリジン−2−イルメチル−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン;
4−((1R,2R)−2−ベンジルオキシ−シクロペンチル)−5−ピリジン−2−イルメチル−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン。
【0050】
本発明のさらなる態様は、医薬として使用するための式(I)の新規化合物に関する。
【0051】
さらなる態様において、本発明は式(Ia)
【化2】

の新規化合物及びその医薬として許容し得る塩を提供する。
【0052】
式中、
QはO、NR14及びSから独立して選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する5〜7員の飽和型又は部分不飽和型複素環式環であり;該複素環式環はハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン
原子によりさらに置換され;又は、
QはC3〜8シクロアルキルであり、これはハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により置換され;該アルキル、C3〜6シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;又は、
Qは部分不飽和型C5〜8シクロアルキルであり、これはハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、C3〜6シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;又は、
Qは飽和型又は部分不飽和型C6〜8ビシクロアルキルであり、これはハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、C3〜6シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;
そして、上記の定義のいずれにおいても、環Qは場合によりベンゾ縮合しており、ここで、該ベンゾ環はハロゲン、CHO、C2〜6アルカノイル、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ及びC1〜6アルコキシから独立して選択される1又はそれ以上の置換基により場合により置換され;
又は、Qはベンゾ縮合型C4〜8シクロアルキルであり、ここで、該ベンゾ環はハロゲン、CHO、C2〜6アルカノイル、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ及びC1〜6アルコキシから独立して選択される1又はそれ以上の置換基により場合により置換され;
【0053】
WはCH2であり;
Xは単結合であり;
R2はHであるか、又はハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、CO2H、C2〜6アルカノイル、Ph、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1又はそれ以上の置換基であり;該アルキル、シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、1又はそれ以上のフッ素原子によりさらに置換され;
R4、R5、R6、R12及びR13はそれぞれ独立して、H又はC1〜6アルキルであり;
R14はH、C1〜6アルキル、CHO又はC2〜6アルカノイルであり;該アルキルは場合により、フェニルによりさらに置換され、ここで該フェニル基は場合により、ハロゲン、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ又はC2〜6アルカノイルによりさらに置換されてもよい。
【0054】
具体的な式(Ia)の化合物としては、
4−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル)−5−ピリジン−2−イルメチル−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン;
4−(1−ベンジル−ピロリジン−3−イル)−5−ピリジン−2−イルメチル−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン;
4−((1R,2R)−2−ベンジルオキシ−シクロペンチル)−5−ピリジン−2−イルメチル−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン;
及びその医薬として許容し得る塩が挙げられる。
【0055】
本発明のさらなる態様は、医薬として使用するための式(Ia)の新規化合物に関する。
【0056】
本発明のさらなる態様は、酵素MPOの阻害が有効である疾患又は身体状態を治療又は予防するための医薬の製造における、式(Ia)の新規化合物又はその医薬として許容し得る塩に関する。
【0057】
本発明によれば、本発明者らはさらに、式(I)の新規化合物又はその医薬として許容し得る塩、エナンチオマー、ジアステレオマー若しくはラセミ化合物の製造方法を提供し、該方法は以下の工程からなる:
(a) 式(II)
【化3】

のチオセミカルバジド誘導体を式(III)
【化4】

(式中、RはC1〜6アルキルである)のエステルと反応させるか;又は
【0058】
(b) 式(II)のチオセミカルバジド誘導体をカップリング剤の存在下で式(IV)
【化5】

のカルボン酸と反応させるか;又は
【0059】
(c) 式(II)のチオセミカルバジド誘導体を式(V)
【化6】

の塩化アシルと反応させるか;又は
【0060】
(d) 式(VI)
【化7】

のイソチオシアネート誘導体を式(VII)
【化8】

の酸ヒドラジドと反応させるか;又は
【0061】
(e) 式(VIII)
【化9】

のイソシアネート誘導体を式(VII)
【化10】

の酸ヒドラジドと反応させ、
次いで、中間体の2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オンをLawesson試薬で処理するか;又は
【0062】
(f) 式(IX)
【化11】

のジチオエステル誘導体を式(VII)
【化12】

の酸ヒドラジドと反応させ、
そして、必要ならば、得られた式(I)の化合物又はその医薬として許容し得ない塩をその医薬として許容し得る塩に変換するか;又は、得られた式(I)の化合物を他の式(I)の化合物に変換し;そして所望ならば、得られた式(I)の化合物をその光学異性体に変換する(ここで可変の基は特に断りがなければ上記式(I)で定義された通りである)。
【0063】
式(X)
【化13】

の化合物は、上記の方法において重要な中間体である。
【0064】
このような中間体が形成される条件に応じて、及び特定の置換基Q、W、X及びYの正確な性質に応じて、このような中間体は単離することができるか、又はその場で環化されて式(I)の化合物が得られる。例えば、Foks, H.ら Phosphorus, Sulfur and Silicon, 2000, 164, 67−81;Udupi, R. H.ら Indian Drugs, 2002, 39, 318−322;Pilgram, K. H.ら J. Org. Chem, 1988, 53, 38−41;及びVidaluc, J−. L.ら J. Med. Chem., 1994, 37, 689−695を参照されたい。
【0065】
工程(a)において、式(II)及び(III)の化合物を一緒にして、25℃〜反応混合物の還流温度でアルコール、例えばメタノールのような有機溶媒中、ナトリウムメトキシドのような塩基の存在下で反応が終了するまで、典型的には10〜50時間反応させる。例えばPesson, M.らのC.R. Hebd. Sceances Acad. Sci., 248, 1677〜1679(1959年)を参照されたい。次に、反応混合物を冷却し、そして濃縮する。残留物を水に溶解し、そして酢酸又は塩酸のような酸で典型的にはpH約3〜6まで酸性にする。沈殿物を回収し、そして必要に応じてクロマトグラフィ又は再結晶により精製する。
【0066】
工程(b)において、式(II)及び(IV)の化合物を有機溶媒、例えばジクロロメタン、DMF又はこれらの混合物に溶解する。1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDC)のようなカップリング試薬(例えばペプチド(アミド)結合を形成する試薬)を、一般に0〜30℃の温度で加える。反応混合物を10℃〜溶媒の還流温度で反応が終了するまで、典型的には1〜15時間撹拌する。反応混合物を濃縮し、そして残留物を溶媒、例えば水酸化ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムのような無機塩基を加えた水及びメタノールの混合物のような溶媒に溶解し、そして反応が終了するまで、典型的には30分〜20時間、25℃〜反応混合物の還流温度で加熱する。反応混合物を塩酸のような酸で中和し、そして沈殿した生成物を濾過により回収する。生成物が沈殿しない反応の場合、反応混合物を濃縮し、そして生成物を酢酸エチル又はクロロホルムのような有機溶媒で抽出し、そして有機相を乾燥させ、そして濃縮する。粗生成物を必要に応じてクロマトグラフィ又は再結晶により精製する。
【0067】
工程(c)において、ピリジン又はトリエチルアミンのような塩基を含有する有機溶媒、例えばクロロホルム又はジクロロメタン中における式(V)の化合物を、式(II)の化合物で処理する。反応混合物を、10℃〜溶媒の還流温度で、反応が終了するまで、典型的には1〜16時間撹拌する。反応混合物を濃縮し、そして残留物を水及びメタノールのような溶媒に溶解し、次いで工程を工程(b)と同様に続ける。
【0068】
工程(d)において、式(VI)及び(VII)の化合物を有機溶媒、例えばエタノール、イソプロパノール、DMF、ジオキサン又はこれらの混合物に溶解し、次いで25℃〜溶媒の還流温度で、好ましくは不活性雰囲気下で、反応が終了するまで、典型的には1〜16時間加熱する。例えばBamford, M. J.らのJ. Med. Chem., 38, 3502〜3513(1995年);Abdelai, A. M.らのSci. Pharm., 65, 99〜108(1997年);Petrovanu, M.のPhosphorus, Sulphur and Silicon, 108, 231〜237(1996年)を参照されたい。反応混合物を氷上に注ぎ、そして中間体を回収し、そして必要に応じてクロマトグラフィにより精製する。中間体が沈殿しない場合、それをクロロホルム、酢酸エチル又はジエチルエーテルのような有機溶媒で抽出して単離する。次に、中間体を、好ましくは水酸化ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムのような塩基を加えた水、アルコール又はこれらの混合物に溶解し、そして反応が終了するまで、典型的には1〜16時間、25℃〜溶媒の還流温度で加熱する。次に、酸を加えて混合物を中和する。生成物を中和により沈殿させ、次いでそれを濾過により回収するか、又は反応混合物を有機溶媒で抽出する。次いで、粗生成物を必要に応じてクロマトグラフィ又は再結晶により精製する。特定の態様において、式(VI)及び(VII)の化合物を有機溶媒、例えばエタノール、イソプロパノール、DMF、ジオキサン又はこれらの混合物に溶解し、次いでマイクロ波オーブンで適当な温度、一般には120℃〜150℃で、適当な時間、典型的には約5〜15分間加熱する。これらの条件下で、式(I)の生成物を、中間体を単離する必要なしに直接生成することができる。
【0069】
工程(e)において、特にマイクロ波オーブン技術の使用を含む工程(d)の式(VI)及び(VII)の化合物の反応と本質的に同様の条件を使用して、式(VIII)及び(VII)の化合物を一緒にして反応させる。次に中間体の2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オンをLawesson試薬で処理することにより、対応する式(I)の2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオンに変換する。Lawesson試薬の使用に適した条件は当業者に容易に理解されよう。例えばCava, M.P.らのTetrahedron,41,5061〜5087(1985年)を参照されたえい。したがって、例えば中間体の2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン及びLawesson試薬をベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン又はジオキサンのような適切な乾燥有機溶媒中に溶解又は懸濁し、次いで反応が終了するまで、典型的には1〜30時間、30℃〜溶媒の還流温度で加熱する。硫化反応がマイクロ波オーブンで行なわれる場合、適切な温度は一般に120℃〜150℃であり、そして適切な反応時間は一般に約10分〜1時間である。
【0070】
工程(f)において、式(IX)のジチオエステルを、無水エタノールのような適切な溶媒に溶解し、そしてヒドラジド(VII)を加える。次いで、反応混合物を適切な温度、典型的には80〜90℃で適切な時間、典型的には3〜16時間加熱し、次いで濃縮し、そして2%水性NaOHのような塩基を含有するメタノール中に溶解する。70℃で適当な時間、典型的には2〜21時間加熱した後、混合物を冷却し、水で希釈し、そして1M HClを用いてpHを約7に調整する。沈殿を回収し、そして必要ならば結晶化又はクロマトグラフィにより精製する。
【0071】
式(V)の化合物は、式(IV)の化合物を塩化チオニルで処理することにより製造することができる。例えばEncyclopaedia of Reagents for Organic Synthesis, 第7版, Paquette, L. A.編, John Wiley & Sons, ウェストサセックス州(1995年)を参照されたい。
【0072】
本発明は塩形態の式(I)の化合物を包含する。適切な塩としては有機酸若しくは無機酸又は有機塩基若しくは無機塩基を使用して生成した塩がある。このような塩は一般に医薬として許容されるが、医薬として許容されない酸又は塩基の塩は、当該化合物の製造及び精製において有用であり得る。したがって、好ましい酸付加塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸及びベンゼンスルホン酸から形成されるものが挙げられる。好ましい塩基付加塩としては、カチオンがナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛、塩素、エタノールアミン又はジエチルアミンであるものが挙げられる。
【0073】
式(I)の化合物の塩は、遊離塩基又はその塩、エナンチオマー若しくはラセミ化合物を、1当量又はそれ以上の適切な酸又は塩基と反応させることにより形成することができる。反応は塩が不溶性の溶媒若しくは媒質中で、又は塩が可溶性の溶媒、例えば水、ジオキサン、エタノール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル又は溶媒混合物中で行なうことができ、これらの溶媒は真空下で又は凍結乾燥により除去することができる。反応は転位工程であってもよく、又はイオン交換樹脂上で行なうこともできる。
【0074】
式(II)、(III)、(IV)、(VI)、(VII)及び(VIII)の化合物は文献から既知であるか、又は当業者に容易に理解される既知方法を使用して製造することができる。
【0075】
本発明の化合物及びそれに至る中間体は、それらの反応混合物から単離することができ、そして、必要に応じて標準的技術を使用してさらに精製することができる。
【0076】
式(I)の化合物はエナンチオマー形態で存在することができる。したがって、全てのエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物及びこれらの混合物は、本発明の範囲に包含される。種々の光学異性体は慣用技術、例えば分別結晶又はHPLCを使用して本化合物のラセミ混合物を分割することにより単離することができる。別法として、種々の光学異性体は光学的に活性な出発物質を使用して直接製造することができる。
【0077】
中間体化合物はエナンチオマー形態でも存在することができ、そして精製したエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物又は混合物として使用することができる。
【0078】
式(I)の化合物及びそれらの医薬として許容し得る塩は、酵素MPOの阻害剤として薬理学的活性を有するため有用である。
【0079】
式(I)の化合物及びそれらの医薬として許容し得る塩は、ミエロペルオキシダーゼ酵素(MPO)の活性の調節が望ましい疾患又は身体状態の治療又は予防においての使用を示唆する。特に、MPO活性と疾患との関連は、神経炎症性疾患において示されている。したがって、本発明の化合物は、ヒトを含む哺乳動物の神経炎症性の身体状態又は障害の治療においての使用を特に示唆している。このような身体状態又は障害は、当業者に容易に理解されよう。
【0080】
特に言及される身体状態又は障害としては、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症及び発作、並びに他の炎症性の疾患又は身体状態、例えば喘息、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、特発性肺線維症、急性呼吸窮迫症候群、副鼻腔炎、鼻炎、乾癬、皮膚炎、ブドウ膜炎、歯肉炎、アテローム性動脈硬化症、炎症性腸疾患、腎糸球体傷害、肝線維症、敗血症、直腸炎、関節リウマチ、並びに再灌流傷害、脊髄損傷及び組織の損傷/瘢痕/癒着/拒絶反応に伴なう炎症がある。肺ガンもまた高いMPO値と関係があることが示唆されている。本化合物はまた、疼痛の治療において有用であると予想される。
【0081】
予防は、特に当該疾患又は身体状態に先立つ症状の発現が見られるか、又はそうでなければこれらの危険性が高いと考えられるヒトの治療に関するものとされる。一般的に、特定の疾患又は身体状態を発現する危険性のあるヒトは、当該疾患又は身体状態の家族歴を有するヒト、又は特に当該疾患又は身体状態を発症し易いことが遺伝子検査又はスクリーニングにより確認されているヒトを含む。
【0082】
上記の治療指標に関して、当然ながら、投与量は使用する化合物、投与方法及び所望の治療に応じて変化する。しかしながら、一般に、固体形態で1日あたり1mg〜2000mgの用量で本化合物を投与すると満足すべき結果が得られる。
【0083】
式(I)の化合物及びその医薬として許容し得る誘導体は、そのままで、又は本化合物若しくは誘導体を医薬として許容し得る補助剤、希釈剤若しくは担体と混合して含む適切な医薬組成物の形態で使用することができる。投与は経腸(経口、舌下又は直腸を含む)、鼻腔内、吸入、静脈内、局所又は他の非経口経路により行なわれるが、これらに限定されない。適切な医薬製剤を選択及び製造するための慣用の方法は、例えばM. E. Aultonの「Pharmaceuticals−The Science of Dosage Form Designs」, Churchill Livingstone(1988年)に記載されている。医薬組成物は好ましくは80%未満、そしてより好ましくは50%未満の式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩を含有する。
【0084】
成分を混合することからなるこのような医薬組成物の製造方法もまた提供される。
【0085】
以下の実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【実施例】
【0086】
一般法
使用した溶媒はすべて分析用であり、商業的に入手できる無水溶媒を反応に使用した。
反応は典型的には窒素又はアルゴンの不活性雰囲気下で行なった。
【0087】
1H及び13C NMRスペクトルは、Z−グラジエント付き5mm BBOプローブを備えたVarian Unity+ 400 NMR分光計、又はZ−グラジエント付き60μl複式逆流プローブを備えたBruker Avance 400 NMR分光計、又はZ−グラジエント付き4−核プローブを備えたBruker DPX400 NMR分光計において、プロトンでは400 MHz及びカーボン−13では100 MHzで;又はZ−グラジエント付き5mm BBOプローブ若しくはZ−グラジエント付き5mm TXIプローブ若しくはZ−グラジエント付き2.5mm BBIプローブを備えたBruker DRX600 NMR分光計若しくはBruker Avance 600 NMR分光計において、プロトンでは600 MHz及びカーボン−13では150 MHzで記録した。実施例で特に断りがなければ、スペクトルはプロトンでは400 MHz、カーボン−13では100 MHzで記録した。次の基準シグナルを使用した:DMSO−d6の中心線δ2.50 (1H), δ39.51 (13C);CD3ODの中心線δ3.31 (1H)又はδ49.15 (13C);アセトン−d6 2.04 (1H), 206.5 (13C);及びCDCl3 δ7.26 (1H), CDCl3の中心線δ77.16 (13C)(特に断りがある場合を除く)。
【0088】
質量スペクトルはAlliance 2795(LC)及びZQシングル四重極質量分析計からなるWaters LCMSで記録した。質量分析計は正又は負イオンモードで操作するエレクトロスプレーイオン源(ESI)を備えていた。キャピラリー電圧は3kVであり、質量分析計は0.3又は0.8秒のスキャン時間でm/z 100〜700をスキャンした。分離はWaters X−Terra MS, C8−カラム(3.5μm, 50又は100mm×2.1mmの内径)、又は ScantecLabのACE3 AQカラム(100mm×2.1mmの内径)で行なった。カラム温度は40℃に設定した。中性又は酸性の移動相系を使用して、0.3ml/分の流速で4〜5分間の0%〜100%の有機相により直線勾配を適用した。中性の移動相系:アセトニトリル/[10mM NH4OAc(aq)/MeCN(95:5)]、又は[10mM NH4OAc(aq)/MeCN(1/9)]/[10mM NH4OAc(aq)/MeCN(9/1)]。酸性の移動相系:[133mM HCOOH(aq)/MeCN(5/95)]/[8mM HCOOH(aq)/MeCN(98/2)]。
【0089】
別法として、質量スペクトルは正モードで操作するサーモスプレーイオン源(TSP)を備えたFinnigan MAT SSQ7000で、1秒のスキャン時間でm/z120〜600をスキャンして記録した。試料はアイソクラチックポンプShimatzu LC−10ADにより導入した。移動相は40:60のアセトニトリル/MilliQ水中の50mM酢酸アンモニウムであって、1ml/分の流速である。
【0090】
HPLC分析はG1379Aミクロ真空脱ガス装置、G1312Aバイナリーポンプ、G1367Aウェルプレートオートサンプラー、G1316Aサーモスタット付きカラムコンパートメント及びG1315Bダイオードアレイ検出器からなるAgilent HP1000システムで行なった。カラム:X−Terra MS, Waters, 4.6×50mm, 3.5μm。カラム温度は40℃に、そして流速は1.5ml/分に設定した。ダイオードアレイ検出器により210〜300nmをスキャンし、ステップ及びピーク幅をそれぞれ2nm及び0.05分に設定した。4分間の0%〜100%アセトニトリルにより直線勾配を適用した。移動相:アセトニトリル/MilliQ水中の5%アセトニトリル中における10mM酢酸アンモニウム。
【0091】
反応後の典型的な後処理工程は、生成物を酢酸エチルのような溶媒で抽出し、水で洗浄し、次いで有機相をMgSO4又はNa2SO4上で乾燥させ、そして溶液を真空下で濃縮することからなる。
【0092】
薄層クロマトグラフィ(TLC)はMerck TLC−プレート(シリカゲル60 F254)で行ない、スポットをUVにより可視化した。分取層クロマトグラフィはMerck PLC−プレート(シリカゲル60 F254, 2mm)で行なった。フラッシュクロマトグラフィではMerckシリカゲル60(0.040〜0.063mm)を使用した。フラッシュクロマトグラフィで使用した典型的な溶媒はクロロホルム/メタノール、トルエン/酢酸エチル及び酢酸エチル/ヘキサンの混合物である。
【0093】
分取クロマトグラフィはダイオードアレイ検出器を備えたGilson自動分取HPLCで行なった。カラム:XTerra MS C8, 19×300mm, 7μm。グラジエント:アセトニトリル/MilliQ水中の5%アセトニトリル中における0.1M酢酸アンモニウム、20%〜60%アセトニトリル、13分間。流速:20ml/分。別法として、精製はWaters Symmetry(R)カラム(C18, 5μm,100mm×19mm)を有するShimadzu SPD−10A UV−vis検出器を備えた半分取Shimadzu LC−8A HPLCで行なった。グラジエント:アセトニトリル/MilliQ水中の0.1%トリフルオロ酢酸、35%〜60%アセトニトリル、20分間。流速:10ml/分。
【0094】
再結晶は典型的にはエーテル、酢酸エチル/ヘプタン及びメタノール/水のような溶媒又は溶媒混合物中で行なった。
【0095】
次の略語を使用した:DMF=N,N−ジメチルホルムアミド;DMSO=ジメチルスルホキシド;THF=テトラヒドロフラン;EDC=1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩;aq=水性。
【0096】
使用した出発物質は商業的供給元から入手したか、又は文献記載の方法に従って製造し、そして報告されたものと一致する実験データを示した。製造した出発物質の例は次の通りである:
(2−クロロフェニル)酢酸ヒドラジド:Rosen, G. M.らのJ. Heterocycl. Chem., 8, 659〜662(1971年)。
フェノキシ酢酸ヒドラジド:Prata, J. V.らのJ. Chem. Soc., Perkin Trans 1, 4, 513〜528(2002年)。
2−ピリジル酢酸ヒドラジド:Australian Journal of Chemistry, 38, 1491〜1497(1985年)。
【0097】
一般法A
【化14】

化合物A1(1.0当量)及び化合物A2(1.5〜2.5当量)をイソプロパノールに溶解し、そしてアルゴン雰囲気下で反応が終了するまで還流した(LC−MS、HPLC又はTLCにより監視した;典型的な反応時間1〜21時間)。反応混合物を冷却し、そして氷上に注ぎ、そして沈殿物を回収し、そして水で洗浄した。沈殿した中間体を2%水酸化ナトリウム水溶液に溶解し、そして2〜12時間還流した。反応混合物を冷却し、1M塩酸で中和し、そして沈殿物を回収し、そして必要に応じてカラムクロマトグラフィ又は再結晶により精製した。
特に断りがなければ、実施例1〜5の化合物を一般法Aの手順を使用して製造した。
【0098】
実施例1
5−フェノキシメチル−4−(ジヒドロフラン−2−オン−3−イル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン
フェノキシ酢酸ヒドラジド(200mg、1.2mmol)及び3−イソチオシアネートジヒドロフラン−2(3H)−オン(258mg、1.8mmol)を出発物質として一般法Aを用いて、表題化合物を白色泡状物質として収率22%で得た。ただし、以下の点を変更した。2% NaOHで処理後、混合物をHOAcで酸性化し、100℃で3日間加熱し、次いで濃縮した。残留物をCH2Cl2(10mL
)及びDMF (2mL)中に溶解し、そしてEDC (230mg、1.2mmol)を加えた。40分後、水を加え、そして混合物をCHCl3で抽出した。有機相を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、濃縮し、そしてフラッシュカラムクロマトグラフィ(CHCl3/MeOH、50:1)により精製した。
1H NMR (DMSO−d6, 340K) δ 13.88 (1H, s), 7.33 (2H, t, J=7.6 Hz), 7.03 (3H, m),
5.68 (1H, t, J=8.2 Hz), 5.20 (2H, m), 4.53 (1H, m), 4.42 (1H, m), 2.99 (1H, br
s), 2.63 (1H, m)。
13C NMR (DMSO−d6, 340K) δ 170.6, 161.90, 156.7, 147.8, 129.2, 121.6, 114.8, 65.6, 60.0, 52.7, 24.9。
MS (ESI) m/z 292 (M+1)。
【0099】
実施例2
5−(2−クロロ−フェノキシメチル)−4−(trans−2−ヒドロキシシクロヘキシル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン
(2−クロロフェノキシ)酢酸ヒドラジド(179mg、1.08mmol)及びtrans−シクロヘキサノール−2−イソチオシアネート(170mg、1.08mmol)を出発物質として一般法Aを用いて、表題化合物を白色固体として収率18%で得た。ただし、以下の点を変更した。最初の工程後、反応混合物は真空下で直接濃縮し、氷上には注がなかった。最終生成物は結晶化せず、したがって、EtOAcで抽出し、カラムクロマトグラフィ(グラジエント溶離、CH2Cl2中の0〜7% MeOH)で精製した。
1H NMR (CDCl3) δ 7.37 (1H, dd, J=8 Hz, 1.2 Hz), 7.25 (1H, m), 7.12 (1H, m), 6.98 (1H, br t, J=7.4 Hz), 5.30 (2H, br s), 4.95 (1H, br s), 4.18 (1H, s), 2.81 (1H, br s), 2.22−2.12 (1H, m), 2.05−1.95 (1H, m), 1.89−1.73 (2H, m), 1.50−1.26 (4H, m)。
MS (ESI) m/z 340 (M+1)。
【0100】
実施例3
5−フェノキシメチル−4−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン
フェノキシ酢酸ヒドラジド(669mg、2.77mmol)及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イソチオシアネート(655mg、3.47mmol)を出発物質として一般法Aを用いて、表題化合物を白色泡状物質として収率16%で得た。ただし、以下の点を変更した。最初の工程後、反応混合物は真空下で直接濃縮し、氷上には注がなかった。残留物はフラッシュクロマトグラフィ(グラジエント溶離、CH2Cl2中の0〜5% MeOH)で精製した。最終生成物は結晶化せず、したがって、EtOAcで抽出し、カラムクロマトグラフィ(グラジエント溶離、ヘキサン中の0〜30% EtOAc)で精製した。
1H NMR (CDCl3) δ 7.28−7.17 (4H, m), 7.13 (1H, t, J=7.2 Hz), 7.07 (1H, br d, J=7.2 Hz), 6.98 (1H, t, J=7.2 Hz), 6.86 (1H, br d, J=7.6 Hz), 6.72 (1H, m), 6.29 (1H, br s), 4.72 (1H, br s), 4.28 (1H, br s), 2.75 (2H, m), 2.42 (1H, m), 2.33−2.17 (1H, m), 2.12−2.02 (1H, m), 1.91−1.78 (1H, m)。
13C NMR (CDCl3) δ 156.9, 138.8, 132.4, 129.64, 129.58, 128.0, 127.0, 126.7, 122.0, 114.5, 60.3, 56.1, 29.1, 28.9, 21.9。
MS (ESI) m/z 338 (M+1)。
【0101】
実施例4
4−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル)−5−ピリジン−2−イルメチル−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン
ピリジン−2−イル−酢酸ヒドラジド (0.151g、1.0mmol)及び5−イソチオシアネート−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(0.226g、1.5mmol)を出発物質として、表題化合物を白色固体として収率36%で得た。
1H NMR (DMSO−d6) δ 13.57 (1H, s), 8.56 (1H, d, J=4.4 Hz), 7.84 (1H, t, J=7.6
Hz), 7.41 (1H, d, J=7.6 Hz), 7.36 (1H, d, J=4.4 Hz), 6.22 (1H, s), 5.95 (1H, s), 4.38 (2H, s), 4.09 (1H, s), 3.29 (1H, m), 2.95 (1H, s), 2.70 (1H, d, J=8.4 Hz), 2.63 (1H, s), 1.42 (1H, t, J=10.0 Hz), 1.35 (1H, d, J=8.0 Hz)。
13C NMR (DMSO−d6) δ 166.3, 155.6, 151.3, 149.3, 139.3, 137.1, 135.8, 123.4, 122.4, 58.9, 47.9, 46.9, 41.1, 34.6, 25.7。
MS (ESI) m/z 285 (M+1)。
【0102】
実施例5
4−(1−ベンジル−ピロリジン−3−イル)−5−ピリジン−2−イルメチル−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン
二硫化炭素(0.6mL、10mmol)をTHF (10mL)中の1−ベンジル−ピロリジン−3−イルアミン(0.352g、2.0mmol)及びEt3N (26μL、0.2mmol)の溶液に加え、そして混合物を35℃で30分間撹拌した。混合物を0℃に冷却し、そして30% H2O2水溶液(0.57mL、5.6mmol)を滴下して加えた。この溶液を1M HClで酸性化し、そして混合物を水で希釈し、そしてEtOAcで抽出した。有機相を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、そして真空下で濃縮し、粗製1−ベンジル−3−イソチオシアネート−ピロリジンを得た。
ピリジン−2−イル−酢酸ヒドラジド (0.120g、0.79mmol)及び粗製1−ベンジル−3−イソチオシアネート−ピロリジンを出発物質として一般法Aを用いて、表題化合物を白色固体として収率46%で得た。
1H NMR (DMSO−d6) δ 8.43 (1H, d, J=4.55 Hz), 7.77 (1H, m), 7.38 − 7.18 (1H, m), 5.32 − 5.31 (1H, m), 4.69 − 4.53 (2H, m), 3.62 − 3.51 (2H, m), 3.07 (1H, dd, J=9.60 Hz, 5.31 Hz), 2.94 (1H, m), 2.60 − 2.42 (2H, m), 2.28 − 2.09 (2H, m)。
13C NMR (DMSO−d6) δ 166.1, 156.2, 150.4, 149.1, 138.6, 136.9, 128.3, 128.1, 126.8, 123.2, 122.1, 59.0, 55.9, 53.6, 53.0, 33.6, 29.0。
MS (ESI) m/z 352 (M+1)。
【0103】
実施例6
4−((1R,2R)−2−ベンジルオキシ−シクロペンチル)−5−ピリジン−2−イルメチル−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン
EtOH (1.2mL)中の(1R,2R)−2−ベンジルオキシシクロペンチルアミン(0.38g、2.0mmol)をトリエチルアミン(280μL、2.0mmol)で処理し、次いで二硫化炭素(120μL、2.0mmol)を滴下した。懸濁液を1時間撹拌し、次いでヨウ化メチル(124μL、2.0mmol)を加え、そして混合物を周囲温度で一晩撹拌した。混合物を濃縮し、油性残留物をEtOH (4mL)中に溶解し、そしてピリジン−2−イル−酢酸ヒドラジド(0.51g、1.8mmol)を加えた。混合物をマイクロ波反応器中で、150℃で50分間加熱した。混合物を濃縮し、そして残留物をMeOH (8mL)及び2% NaOH(aq) (4mL)中に溶解し、そして4時間加熱還流した。反応混合物を周囲温度に冷まし、そしてpH7になるまで2M HClを加えた。MeOHを蒸発させ、そして水相をCHCl3で抽出した。有機相を合一し、乾燥させ(Na2SO4)、そして濃縮した。粗製油状物をカラムクロマトグラフィ(CHCl3)で精製して表題化合物(35mg、6%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ ppm 11.92 (1H, br s), 8.46 (1H, m), 7.50 (1H, s), 7.25−7.15 (3H, m), 7.15−7.04 (4H, m), 5.05 (1H, dt, J=6.8 Hz, 14.0 Hz), 4.45 (1H, m), 4.39 (1H, d, J=12.4 Hz), 4.27 (1H, d, J=12.4 Hz), 4.22 (1H, d, J=17.2 Hz), 4.17 (1H, d, J=17.2 Hz), 2.65−2.52 (1H, m), 2.20−2.08 (1H, m) 1.93−1.80 (1H, m), 1.67−1.48 (3H, m)。
MS (ESI) m/z 367 (M+1)。
【0104】
スクリーニング
MPO阻害活性の測定法は、特許出願WO02/090575に開示されている。本発明の化合物の薬理活性は、本化合物を単独で又は加えたチロシンの存在下で試験する以下のスクリーニングにおいて試験した:
アッセイ緩衝液:10mMのタウリン及び100mMのNaClを含有する20mMのリン酸ナトリウム/カリウム緩衝液(pH 6.5)
顕色剤:2mMの3,3',5,5'−テトラメチルベンジジン(TMB)、200μMのKI、20%DMFを含む200mM酢酸緩衝液(pH5.4)
アッセイ緩衝液中に希釈した化合物10μlに、ヒトMPO 40μl(最終濃度2.5nM)を、チロシン20μMの存在下(存在するならば最終濃度8μM)又は非存在下で加え、その混合物を周囲温度で10分間インキュベートした。次に、H2O2 50μl(最終濃度100μM)を加えるか、又は対照としてアッセイ緩衝液を単独で加えた。周囲温度で10分間インキュベートした後、カタラーゼ(0.2mg/ml)10μl (最終濃度18μg/ml)を加えて反応を終了させた。反応混合物をさらに5分間放置し、TMB顕色剤100μlを加えた。約5分後に約650nMで吸光光度法を使用して、生成した酸化3,3',5,5'−テトラメチルベンジジンの量を測定した。次に、標準的手順によりIC50値を決定した。
【0105】
上記スクリーニングの少なくとも1つのバージョンで試験したところ、実施例1〜6の化合物は60μM未満のIC50値を与えた。このことから、これらの化合物は有用な治療活性を示すと考えられる。代表的な結果を次の表に示す。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵素MPOの阻害が有効である疾患または身体状態を治療または予防するための医薬の製造における式(I)
【化1】

の化合物、又はその医薬として許容し得る塩の使用。
式中、
QはO、NR14及びSから独立して選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する5〜7員の飽和型又は部分不飽和型複素環式環であり;該複素環式環はハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;又は、
QはC3〜8シクロアルキルであり、これはハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により置換されており;該アルキル、C3〜6シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;又は、
Qは部分不飽和型C5〜8シクロアルキルであり、これはハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、C3〜6シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;又は、
Qは飽和型又は部分不飽和型C6〜8ビシクロアルキルであり、これはハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、C3〜6シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;そして、
上記の定義のいずれにおいても、環Qは場合によりベンゾ縮合しており、ここで、該ベンゾ環はハロゲン、CHO、C2〜6アルカノイル、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ及びC1〜6アルコキシから独立して選択される1又はそれ以上の置換基により場合により置換され;又は、
Qはベンゾ縮合型C4〜8シクロアルキルであり、ここで、該ベンゾ環はハロゲン、CHO、C2〜6アルカノイル、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ及びC1〜6アルコキシから独立して選択される1又はそれ以上の置換基により場合により置換され;
Wは単結合又はCHR1であり、ここで、R1はH、CH3、F、OH、CH2OH又はフェニルであり;
Xは単結合、O、CH2又はNR3であり、ここで、R3はH又はC1〜6アルキルであり;
Yはフェニル、ナフチル、又はO、N及びSから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含む単環式若しくは二環式複素芳香族環系であり;該フェニル、ナフチル又は複素芳香族環系はハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、CO2H、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、1又はそれ以上のフッ素原子によりさらに置換され;又は、
YはC1〜6アルキル又はC3〜6シクロアルキルであり;該シクロアルキル基は場合によりO原子を含み、そして場合によりベンゾ縮合しており;そして該アルキル又はシクロアルキル基はハロゲン、オキソ(=O)、C1〜6アルキル又はC1〜6アルコキシから独立して選択される1又はそれ以上の置換基により場合により置換され;
R4、R5、R6、R12及びR13はそれぞれ独立してH又はC1〜6アルキルであり;
R14はH、C1〜6アルキル、CHO又はC2〜6アルカノイルであり;該アルキルは場合により、フェニルによりさらに置換され、ここで該フェニル基は場合により、ハロゲン、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ又はC2〜6アルカノイルによりさらに置換されてもよい。
【請求項2】
疾患または身体状態は神経炎症性障害である請求項1に記載の使用。
【請求項3】
Yは場合により置換されたピリジルである、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
Yは場合により置換されたフェニルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
Wは単結合又はCH2である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
Xは単結合又はOである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
神経炎症性障害の治療又は予防に使用するための、治療有効量の請求項1に記載の式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩を医薬として許容し得る補助剤、希釈剤又は担体と混合して含有する医薬製剤。
【請求項8】
以下の式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩:
5−フェノキシメチル−4−(ジヒドロフラン−2−オン−3−イル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン;
5−(2−クロロ−フェノキシメチル)−4−(trans−2−ヒドロキシシクロヘキシル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン;
5−フェノキシメチル−4−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン;
4−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル)−5−ピリジン−2−イルメチル−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン;
4−(1−ベンジル−ピロリジン−3−イル)−5−ピリジン−2−イルメチル−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン;
4−((1R,2R)−2−ベンジルオキシ−シクロペンチル)−5−ピリジン−2−イルメチル−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン。
【請求項9】
医薬として使用するための請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
式(Ia)
【化2】

の化合物、及びその医薬として許容し得る塩。
式中、
QはO、NR14及びSから独立して選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する5〜7員の飽和型又は部分不飽和型複素環式環であり;該複素環式環はハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;又は、
QはC3〜8シクロアルキルであり、これはハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により置換され;該アルキル、C3〜6シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;又は、
Qは部分不飽和型C5〜8シクロアルキルであり、これはハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、C3〜6シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;又は、
Qは飽和型又は部分不飽和型C6〜8ビシクロアルキルであり、これはハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、オキソ(=O)、CO2R6、CHO、C2〜6アルカノイル、フェニル、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1〜3個の置換基により場合により置換され;該アルキル、C3〜6シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、フェニル又は1若しくはそれ以上のハロゲン原子によりさらに置換され;そして、
上記の定義のいずれにおいても、環Qは場合によりベンゾ縮合しており、ここで、該ベンゾ環はハロゲン、CHO、C2〜6アルカノイル、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ及びC1〜6アルコキシから独立して選択される1又はそれ以上の置換基により場合により置換され;又は、
Qはベンゾ縮合型C4〜8シクロアルキルであり、ここで、該ベンゾ環はハロゲン、CHO、C2〜6アルカノイル、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ及びC1〜6アルコキシから独立して選択される1又はそれ以上の置換基により場合により置換され;
WはCH2であり;
Xは単結合であり;
R2はHであるか、又はハロゲン、OH、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、CO2H、C2〜6アルカノイル、Ph、NO2、C(O)NR12R13又はNR4R5から独立して選択される1又はそれ以上の置換基であり;該アルキル、シクロアルキル、アルコキシ及びアルキルチオ基は場合により、1又はそれ以上のフッ素原子によりさらに置換され;
R4、R5、R6、R12及びR13はそれぞれ独立して、H又はC1〜6アルキルであり;
R14はH、C1〜6アルキル、CHO又はC2〜6アルカノイルであり;該アルキルは場合により、フェニルによりさらに置換され、ここで該フェニル基は場合により、ハロゲン、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ又はC2〜6アルカノイルによりさらに置換されてもよい。
【請求項11】
以下の請求項10に記載の化合物、又はその医薬として許容し得る塩:
4−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル)−5−ピリジン−2−イルメチル−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン;
4−(1−ベンジル−ピロリジン−3−イル)−5−ピリジン−2−イルメチル−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン;
4−((1R,2R)−2−ベンジルオキシ−シクロペンチル)−5−ピリジン−2−イルメチル−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−チオン。
【請求項12】
請求項8又は請求項10に記載の式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩を医薬として許容し得る補助剤、希釈剤又は担体と混合して含有する医薬組成物。
【請求項13】
(a)式(II)
【化3】

のチオセミカルバジド誘導体を式(III)
【化4】

(式中、RはC1〜6アルキルである)のエステルと反応させるか;又は
(b)式(II)のチオセミカルバジド誘導体をカップリング剤の存在下で式(IV)
【化5】

のカルボン酸と反応させるか;又は
(c)式(II)のチオセミカルバジド誘導体を式(V)
【化6】

の塩化アシルと反応させるか;又は
(d)式(VI)
【化7】

のイソチオシアネート誘導体を式(VII)
【化8】

の酸ヒドラジドと反応させるか;又は
(e)式(VIII)
【化9】

のイソシアネート誘導体を式(VII)
【化10】

の酸ヒドラジドと反応させ、
次いで、中間体の2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オンをローソン試薬で処理するか;又は
(f)式(IX)
【化11】

のジチオエステル誘導体を式(VII)
【化12】

の酸ヒドラジドと反応させ、
そして、必要ならば、得られた式(I)の化合物又はその医薬として許容し得ない塩をその医薬として許容し得る塩に変換するか;又は、得られた式(I)の化合物を他の式(I)の化合物に変換し;そして所望ならば、得られた式(I)の化合物をその光学異性体に変換すること(ここで可変の基は特に断りがなければ請求項1で定義された通りである);からなる請求項8又は請求項10に記載の式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩、エナンチオマー、ジアステレオマー若しくはラセミ化合物の製造法。

【公表番号】特表2008−517907(P2008−517907A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537852(P2007−537852)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【国際出願番号】PCT/SE2005/001593
【国際公開番号】WO2006/046910
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】