新規の、効力のあるタペンタドール剤形
本発明は、第2鎮痛薬を含むか又は含まない、少なくとも1つの形態のタペンタドール、及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、タペンタドールが、最適量又は準最適量で存在し、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減するのに有効な量で存在する剤形を提供する。本発明はさらに、第2鎮痛薬を含むか又は含まない、少なくとも1つの形態のタペンタドール、及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形を、それを必要としている患者に投与することによって、痛み及び痛み関連状態を治療する方法であって、タペンタドールが、最適量又は準最適量で存在し、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減するのに有効な量で存在する方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2008年10月30日出願の米国特許仮出願第61/197625号、2009年1月21日出願の第61/205312号、及び2009年6月15日出願の第61/268630号の優先権を主張し、これらすべては参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、第2鎮痛薬を含むか又は含まない、少なくとも1つの形態のタペンタドール、及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む医薬剤形であって、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善し、タペンタドールの副作用を低減する医薬剤形に関する。これらの剤形は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストの即放性及び徐放性剤形を含み、前記タペンタドールは、最適量又は準最適(suboptimal)量である。
【背景技術】
【0003】
タペンタドール、3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール)は、μ−オピオイド受容体アゴニズム及びノルアドレナリン再取り込み阻害の二重作用モードを有する中枢作用性鎮痛薬である。その二重作用モードは、より許容可能な副作用プロファイルで、ヒドロコドン、オキシコドン、及びモルヒネなどのより強力な麻薬性鎮痛薬と同様のレベルの鎮痛作用を提供する。タペンタドールは、最初に欧州特許第693475号、米国特許第6248737号、及び米国特許再発行第39593号に開示され、特許請求された。タペンタドールの即放性医薬組成物は、United States Food and Drug Administration Approved New Drug Application number 22−304の対象である。
【0004】
急性痛及び慢性痛の治療に用いられる、いくつかのクラスの鎮痛化合物がある。これらのクラスには、アセトアミノフェン、NSAID例えばナプロキセン、メロキシカムなど、CINOD例えばナプロキシノド、OPIATE例えばモルヒネ、トラマドール、タペンタドール、オキシコドンなど、GABA類似体例えばプレガバリン、及びSNRI例えばデュロキセチンなどが含まれる。
【0005】
GABA類似体であるプレガバリンは、部分発作の補助療法として、及び全般性不安障害において、神経障害性痛に用いられる抗痙攣薬である。プレガバリンは、ガバペンチンのより強力な後継薬として設計され、Pfizerから商品名Lyrica(登録商標)で販売されている。一般にプレガバリンは、グルタミン酸塩、ノルアドレナリン、及びサブスタンスPを含むいくつかの神経伝達物質の放出を低減する。ガバペンチンは、プレガバリンに類似した別のGABA類似体であり、当初は神経伝達物質γ−アミノ酪酸(GABA)の化学構造を模倣するように合成されたが、同じ脳受容体に作用するとは考えられていない。ガバペンチンの正確な機序はわかっていないが、神経障害性痛における治療作用は、電位依存性N型カルシウムイオンチャネルに関与すると考えられている。ガバペンチンは、中枢神経系において電位依存性カルシウムチャネルのα2δサブユニットに結合すると考えられている。
【0006】
NSAID、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)には、これに限定されるものではないが、ジクロフェナク、セレコキシブ、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、及びケトロラクが含まれ、痛みの治療に用いられる。
【0007】
セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)は、臨床的鬱病、不安障害、強迫性障害、注意欠陥過活動性障害(ADHD)、及び慢性神経障害性痛の治療に用いられる抗鬱剤の1つのクラスである。SNRIは、気分に重要な役割を果たすことが知られている脳の2種の神経伝達物質、すなわちセロトニン及びノルエピネフリンに作用する。SNRIの例には、ベンラファキシン、デュロキセチン、ミルナシプラン、及びデスベンラファキシンなどが含まれる。
【0008】
5−HT受容体に作用する薬物は通例、5−HTアゴニストと称される。5HT1アゴニストが知られており、片頭痛を含む頭痛の治療に用いられる。5HT1アゴニストは1990年代に初めて紹介された。5HT1アゴニストは個々の頭痛には有効であるが、予防薬でも治療薬でもない。トリプタンには、スマトリプタン(Imitrex、Imigran)、リザトリプタン(Maxalt)、ナラトリプタン(Amerge、Naramig)、ゾルミトリプタン(Zomig)、エレトリプタン(Relpax)、アルモトリプタン(Axert、Almogran)、及びフロバトリプタン(Frova、Migard)が含まれる。
【0009】
一酸化窒素供与型シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、すなわち「CINOD」は、一酸化窒素(NO)放出基を有し、No−NSAIDとも称される。CINODには、これに限定されるものではないが、特にナプロキシノドが挙げられる。
【0010】
プロトンポンプ阻害薬(「PPI」)は、顕著で長期にわたる胃酸生成の低減を生じる薬物群である。PPIは構造的に、一般にはベンゾイミダゾール及びベンゾイミダゾール様誘導体である。主要なPPIには臨床的に用いられるプロトンポンプ阻害薬:オメプラゾール(商品名:Losec、Prilosec、Zegerid、ocid)、ランソプラゾール(商品名:Prevacid、Zoton、Inhibitol)、エソメプラゾール(商品名:Nexium)、パントプラゾール(FORMULA15)(商品名:Protonix、Somac、Pantoloc、Pantozol、Zurcal、Pan)、ラベプラゾール(商品名:Rabecid、Aciphex、Pariet、Rabeloc、Dorafem)が含まれる。
【0011】
これらの痛みのための薬物から得られる利益にもかかわらず、懸念される一領域は、これらの薬物に起因する望ましくない副作用の発生に関する。このように、その剤形が増強された鎮痛特性を有し、できる限り副作用の少ない、タペンタドールを含む医薬剤形の開発が依然として求められている。したがって、痛み軽減の程度を含むことなく患者の副作用を軽減するために、これらの薬物の用量が低減された剤形を開発することが望ましい。
【0012】
可能性のある副作用及び乱用に対処するためのアンタゴニストの使用が当分野で知られている。オピオイドアンタゴニストは、オピオイド受容体の応答を改変する物質である。オピオイドアンタゴニストには、ナロキソン、ナルトレキソン、ジプレノルフィン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、ナリネフェン(nalinefene)、シクラザシン、レバロルファン、医薬的に許容されるそれらの塩、及びそれらの混合物が含まれる。
【0013】
例えば、米国特許第5866164号は、オピオイド鎮痛薬を含む多層、及びこのオピオイド鎮痛薬のアンタゴニストを含み、同時に押出し機能に作用する第2相を含む投与系を記載している。Crain等の米国特許第5472943号は、アゴニストをオピオイドアンタゴニストと共に投与することによって、二様式作用性オピオイドアゴニストの鎮痛効力を増強する方法を記載している。米国特許第6277384号は、依存者への投与に悪影響をもたらす、特定の比率のオピオイドアゴニストとオピオイドアンタゴニストの組み合わせを含有する剤形を提供すると主張した。米国特許第6228863号は、2種の化合物をそれぞれの場合に剤形から一緒に引き出すことができ、それらを分離するためにさらなる処理が必要とされる、オピオイドアゴニストとオピオイドアンタゴニストの組み合わせを含有する剤形を記載している。米国特許第6765010号の開示は、トラマドールの有効性を改善するためのトラマドールとオピオイドアンタゴニストを含む組成物及び方法に関する。米国特許出願第2005/0191244号は、オピオイドアゴニスト、アンタゴニスト、及びオピオイドアゴニストの乱用を防ぐためのゲル化剤又は刺激物を含むオピオイドアゴニスト製剤を記載している。米国特許第6716449号は、オピオイドアゴニストの鎮痛効力を増強するための、制御放出オピオイドアゴニストと制御放出オピオイドアンタゴニストの組み合わせを記載しており、米国特許第7332142号は、オピオイドアゴニスト、オピオイドアンタゴニスト、及び乱用を低減すると主張する刺激物を含む医薬組成物を記載している。Carroll等の米国特許第6559159号は、オピオイド関連依存症を治療するための、κ受容体アンタゴニストの使用を記載している。米国特許第6309668号は、錠剤の個別の層に1種以上の薬物及び1種以上のゲル化剤を含む、2つ以上の層を含有する経口投与用の錠剤を記載している。米国特許第6228863号は、特定のオピオイドアゴニスト及びアンタゴニスト対、並びにアンタゴニストが容易にアゴニストから抽出されないような濃度を選択することによって、オピオイド鎮痛薬の経口剤形の乱用可能性を低減することを教示している。米国特許第6277384号、第6375957号、及び第6475494号は、経口で送達されたとき、鎮痛薬として有効であるが、身体的に依存している対象においては嫌悪される比率で、経口で活性なオピオイドアゴニストと経口で活性なオピオイドアンタゴニストの組み合わせを含む経口剤形を記載している。
【0014】
従来技術は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含み、前記タペンタドールが最適量又は準最適量であり、前記アンタゴニストがタペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減するのに有効な量である剤形を開示していない。同様に、それを必要としている患者に、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含み、前記タペンタドールが最適量又は準最適量であり、前記アンタゴニストがタペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減するのに有効な量である剤形を投与することによって、痛みを治療する方法は当分野で報告されていない。同様に、従来技術は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含み、前記タペンタドールが最適量又は準最適量であり、前記アンタゴニストがタペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減するのに有効な量である剤形であって、前記剤形が、ヒト患者に経口投与されたとき、有効な痛み軽減を少なくとも約12時間、又は少なくとも約24時間提供する剤形を開示していない。
【0015】
同様に、従来技術は、少なくとも1つの形態のタペンタドール、及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び治療有効量の第2鎮痛薬を含み、前記アンタゴニストがタペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減する剤形も、それを必要としている患者に、少なくとも1つの形態のタペンタドール、及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト(前記タペンタドールが最適量又は準最適量であり、前記アンタゴニスト)、及び治療有効量の第2薬物を含み、前記アンタゴニストがタペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減する剤形を投与することによって、痛み及び痛み関連状態を治療する方法も開示していない。第2鎮痛薬は、NSAID、アセトアミノフェン、GABA類似体、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、一酸化窒素供与型シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、HTアゴニスト、及びプロトンポンプ阻害薬、トラマドール、ヒドロモルホン、ファキセラドール(faxeladol)、アキソマドール、オキシコドン、ヒドロコドン、フェンタニル、モルヒネ、医薬的に許容されるそれらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】欧州特許第693475号
【特許文献2】米国特許第6248737号
【特許文献3】米国特許再発行第39593号
【特許文献4】米国特許第5866164号
【特許文献5】米国特許第5472943号
【特許文献6】米国特許第6277384号
【特許文献7】米国特許第6228863号
【特許文献8】米国特許第6765010号
【特許文献9】米国特許出願第2005/0191244号
【特許文献10】米国特許第6716449号
【特許文献11】米国特許第7332142号
【特許文献12】米国特許第6559159号
【特許文献13】米国特許第6309668号
【特許文献14】米国特許第6228863号
【特許文献15】米国特許第6277384号
【特許文献16】米国特許第6375957号
【特許文献17】米国特許第6475494号
【特許文献18】米国特許第3845770号
【特許文献19】米国特許第3916899号
【特許文献20】米国特許第4034758号
【特許文献21】米国特許第4077407号
【特許文献22】米国特許第4783337号
【特許文献23】米国特許第5071607号
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Encyclopedia of Polymer Science and Technology、Vol.10(1969)、John Wiley & Sons刊
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のアンタゴニストを含む剤形、並びにヒトにおいて、タペンタドールの有効性を改善するか及び/又はその有害な作用を最小限に抑える方法を提供することに関する。本発明の組成物及び方法は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストの即放性及び徐放性剤形を含み、前記タペンタドールは、最適量又は準最適量である。これらの剤形には、少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアゴニスト、及び治療有効量の第2鎮痛薬を含み、前記アンタゴニストがタペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減するものが含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、前記タペンタドールが、最適量又は準最適量であり、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減する量で存在する剤形を提供することである。
【0020】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形を投与することによって、痛みを治療する方法であって、前記タペンタドールが、最適量又は準最適量であり、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減する量で存在する方法を提供することである。
【0021】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な痛み軽減を少なくとも約12時間提供する剤形を提供することである。
【0022】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形を投与することによって、痛みを治療する方法であって、前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な痛み軽減を少なくとも12時間提供する方法を提供することである。
【0023】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な痛み軽減を約24時間提供する剤形を提供することである。
【0024】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形を投与することによって痛みを治療する方法であって、前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な痛み軽減を約24時間提供する方法を提供することである。
【0025】
さらに本発明は、少なくとも形態のタペンタドール、及び少なくとも形態のタペンタドールの有効性を改善するのに有効な少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを対象に投与することによって、対象において、少なくとも形態のタペンタドールの有効性を改善する方法であって、前記タペンタドールが、最適量又は準最適量である方法を提供する。好ましいオピオイドアンタゴニストには、ナルトレキソン、ナロキソン、又はナルメフェンが含まれる。タペンタドールの蓄積1日投与量を増加又は低減することなく、1つ以上の副作用を最小限に抑えながら、少なくとも1つの形態のタペンタドールの有効性を維持することができる。
【0026】
本発明の別の目的は、少なくとも形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを対象に投与することによって、少なくとも形態のタペンタドールの対象への投与に伴う有害副作用を最小限に抑える方法であって、前記タペンタドールが、最適量又は準最適量であり、前記アンタゴニストが、有害副作用を最小限に抑えるのに有効な量である方法を提供することである。有害副作用には、これに限定されるものではないが、吐気、嘔吐、めまい感、頭痛、傾眠、又は痒みが含まれる。
【0027】
本発明はさらに、少なくとも形態のタペンタドール、第2鎮痛薬、タペンタドールの有効性を改善するのに有効な少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを対象に投与することによって、対象において痛みを治療する方法、並びに少なくとも1つの形態のタペンタドール、第2鎮痛薬、及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを投与することによって、対象において少なくとも形態のタペンタドールで痛みを治療し、タペンタドールの有害副作用を最小限に抑える方法であって、前記タペンタドールが、最適量又は準最適量であり、前記オピオイドアンタゴニストが、有害副作用を最小限に抑えるのに有効な量で存在する方法を提供する。
【0028】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び第2鎮痛薬を含む剤形であって、前記タペンタドールが、最適量又は準最適量であり、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減する剤形を提供することである。
【0029】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び第2鎮痛薬を含む剤形を投与することによって、痛みを治療する方法であって、前記タペンタドールが、最適量又は準最適量であり、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減する方法を提供することである。
【0030】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び第2鎮痛薬を含む剤形であって、前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な痛み軽減を少なくとも約12時間提供する剤形を提供することである。
【0031】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び第2鎮痛薬を含む剤形を投与することによって、痛みを治療する方法であって、前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な痛み軽減を少なくとも12時間提供する方法を提供することである。
【0032】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び第2鎮痛薬を含む剤形であって、前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な痛み軽減を約24時間提供する剤形を提供することである。
【0033】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び第2鎮痛薬を含む剤形を投与することによって、痛みを治療する方法であって、前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な痛み軽減を約24時間提供する方法を提供することである。
【0034】
さらに本発明は、少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び第2鎮痛薬を含む剤形を対象に投与することによって、対象において少なくとも形態のタペンタドールの有効性を改善する方法であって、前記タペンタドールが、最適量又は準最適量である方法を提供する。好ましいオピオイドアンタゴニストには、ナルトレキソン、ナロキソン、又はナルメフェンが含まれる。タペンタドールの蓄積1日投与量を増加又は低減することなく、1つ以上の副作用を最小限に抑えながら、少なくとも1つの形態のタペンタドールの有効性を維持することができる。
【0035】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び第2鎮痛薬を含む剤形を対象に投与することによって、少なくとも形態のタペンタドールの対象への投与に伴う有害副作用を最小限に抑える方法であって、前記タペンタドールが、最適量又は準最適量であり、前記アンタゴニストが、有害副作用を最小限に抑えるのに有効な量である方法を提供することである。有害副作用には、これに限定されるものではないが、吐気、嘔吐、めまい感、頭痛、傾眠、又は痒みが含まれる。
【0036】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び第2鎮痛薬を含む剤形であって、その剤形が経口投与されると、オピオイドアンタゴニストを含まない剤形の投与によって生じる有害事象プロファイルより良好な有害事象プロファイルを生じる剤形を提供することである。
【0037】
さらに本発明は、オピオイドアンタゴニスト、及び少なくとも1種の追加薬物と組み合わせてタペンタドールの鎮痛効力を増強し、及び/又はその有害作用、特にヒトにおいて有害副作用を最小限に抑える剤形及び方法であって、活性剤の1つが徐放形態である剤形及び方法を提供する。ヒトにおけるタペンタドールの原則的な有害副作用には、めまい感、吐気、便秘、頭痛、傾眠、嘔吐、痒み、CNS刺激、痙攣、無力、消化不良、下痢、口渇、及び/又は発汗が含まれる。
【0038】
いくつかの好ましい実施形態において、第2薬物は、NSAID、アセトアミノフェン、GABA類似体、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、一酸化窒素供与型シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、HTアゴニスト、及びプロトンポンプ阻害薬、トラマドール、ヒドロモルホン、ファキセラドール、アキソマドール、オキシコドン、ヒドロコドン、フェンタニル、モルヒネ、医薬的に許容されるそれらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの好ましい実施形態において、オピオイドアンタゴニストは、ナルトレキソン、ナロキソン、ナルメフェン、医薬的に許容されるそれらの塩、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態において、剤形は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含み、剤形は、経皮送達系、口腔粘膜送達系、鼻腔内投与に適した剤形、口腔送達系、注射可能な剤形、及び固体経口剤形である。
【0040】
本発明の別の実施形態において、剤形には、これに限定されるものではないが、顆粒、スフェロイド(spheroid)、ペレット、多粒子、エアロゾル、カプセル、パッチ、錠剤、サシェ、制御放出懸濁液、又はそのような顆粒、スフェロイド、ペレット、若しくは多粒子を取り入れた他の任意の適切な剤形が含まれる。
【0041】
本発明を以下の図面によって例示する。図面は例示のために示すものであり、本発明の範囲を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、ナロキソン(0.1mg)、ナルトレキソン(0.1mg)、及びナルメフェン(0.1mg)とタペンタドール50mgに関する4時間の総痛み軽減スコア(TOTPAR)を示す。
【図2】図2は、ナロキソン(0.1mg)、ナルトレキソン(0.1mg)、及びナルメフェン(0.1mg)とタペンタドール50mgに関する0〜12、0〜8、及び0〜4時間の毎時痛み軽減スコアを示す。
【図3】図3は、ナロキソン(0.1mg)、ナルトレキソン(0.1mg)、及びナルメフェン(0.1mg)とタペンタドール50mgに関する4時間、8時間、及び12時間でのΔ平均痛み軽減スコアの変化を示す。
【図4】図4は、ナロキソン(0.1mg)、ナルトレキソン(0.1mg)、及びナルメフェン(0.1mg)とタペンタドール50mgに伴う主要な副作用の比較を示す。
【図5】図5は、ナロキソン(0.1mg)、ナルトレキソン(0.1mg)、及びナルメフェン(0.1mg)と徐放性タペンタドール100mg、並びに徐放性タペンタドール100mgとナルトレキソン1mgに関する固定用量合剤の4時間の総痛み軽減スコア(TOTPAR)を示す。
【図6】図6は、ナロキソン(0.1mg)、ナルトレキソン(0.1mg)、及びナルメフェン(0.1mg)と徐放性タペンタドール100mg、並びに徐放性タペンタドール100mgとナルトレキソン1mgに関する固定用量合剤の0〜12、0〜8、及び0〜4時間の毎時痛み軽減スコアを示す。
【図7】図7は、ナロキソン(0.1mg)、ナルトレキソン(0.1mg)、及びナルメフェン(0.1mg)と徐放性タペンタドール100mg、並びに徐放性タペンタドール100mgとナルトレキソン1mgに関する固定用量合剤の4時間、8時間、及び12時間でのΔ平均痛み軽減スコアの変化を示す。
【図8】図8は、ナロキソン(0.1mg)、ナルトレキソン(0.1mg)、及びナルメフェン(0.1mg)と徐放性タペンタドール100mg、並びに徐放性タペンタドール100mgとナルトレキソン1mgに関する固定用量合剤に伴う主要な副作用の比較を示す。
【図9】図9は、タペンタドール100mg+ナプロキセン250mgとナルトレキソンに関する4時間の総痛み軽減スコア(TOTPAR)を示す。
【図10】図10は、タペンタドール100mg+ナプロキセン250mgとナルトレキソンに関する0〜12、0〜8、及び0〜4時間の毎時痛み軽減スコアを示す。
【図11】図11は、タペンタドール100mg+ナプロキセン250mgとナルトレキソンに関する4時間、8時間、及び12時間でのΔ平均痛み軽減スコアの変化を示す。
【図12】図12は、タペンタドール100mg+プレガバリン250mgとナルトレキソンに関する平均VAS痛みスコア変化を示す。
【図13】図13は、タペンタドール100mg+プレガバリン250mgとナルトレキソンに関するVAS痛みにおけるΔ平均VAS痛みスコア変化を示す。
【図14】図14は、メチルナルトレキソン(0.01mg)、メチルナルトレキソン(0.1mg)、及びメチルナルトレキソン(1mg)とタペンタドール(50mg)に関する4時間の総痛み軽減スコア(TOTPAR)を示す。
【図15】図15は、メチルナルトレキソン(0.01mg)、メチルナルトレキソン(0.1mg)、及びメチルナルトレキソン(1mg)とタペンタドール(50mg)に関する0〜12、0〜8、及び0〜4時間の毎時痛み軽減スコアを示す。
【図16】図16は、メチルナルトレキソン(0.01mg)、メチルナルトレキソン(0.1mg)、及びメチルナルトレキソン(1mg)とタペンタドール(50mg)に関する4時間、8時間、及び12時間でのΔ平均痛み軽減スコアの変化を示す。
【図17】図17は、メチルナルトレキソン(0.01mg)、メチルナルトレキソン(0.1mg)、及びメチルナルトレキソン(1mg)とタペンタドール(50mg)に伴う便秘の程度の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明で用いられる用語「第2薬物」又は「第2鎮痛薬」は、痛みを緩和するために用いられる任意の薬物を含むことが意図され、薬物はNSAID、アセトアミノフェン、GABA類似体、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、一酸化窒素供与型シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、HTアゴニスト、及びプロトンポンプ阻害薬、トラマドール、ヒドロモルホン、ファキセラドール、アキソマドール、オキシコドン、ヒドロコドン、フェンタニル、モルヒネ、医薬的に許容されるそれらの塩、及びそれらの混合物、並びに三環系抗鬱剤及び抗痙攣剤を含む、神経障害性痛症候群を治療するために用いられる、通常は鎮痛薬とみなされない様々な他のクラスの薬物からなる群から選択される。
【0044】
本発明において用語「帯域幅(band range)」は、溶出曲線上の任意の溶出時点で被覆生成物から放出された活性剤の変化率として表わされる、被覆生成物の製造完了時の製剤(貯蔵前)によって得られた溶出プロファイル(曲線)と被覆生成物が促進貯蔵条件に暴露された後に得られた溶出プロファイルを比較したときの制御放出製剤のインビトロでの溶出測定値の差異として定義される。
【0045】
本明細書で用いられる用語「抗鎮痛作用(antianalgesia)」は、外因性鎮痛薬の作用に対抗する何らかの内因性応答の能力を意味する。
【0046】
本明細書で用いられる用語「過剰興奮性」は、異常又は過剰に興奮性の薬物作用の状態又は状況を意味する。
【0047】
本明細書で用いられる用語「身体依存」は、薬物の慢性使用に起因する状態を指す。
【0048】
本明細書で用いられる用語「耐性」は、対象がある薬物で処置されたとき一般に遭遇する生理的耐性又は薬物耐性を意味する。
【0049】
本明細書で用いられる用語「改善する」は、例えば有効性を、増強する、支持する、高める、及び増進することを意味する。
【0050】
本明細書で用いられる用語「低減する」は、例えば副作用を、軽減する、遮断する、阻害する、及び防ぐことを意味する。
【0051】
本明細書で用いられる用語「併用」は、2種の化合物を24時間以内に患者に投与することを意味する。この用語には、それぞれ化合物の1つを含有する2種の薬剤の個別投与、並びに2種の化合物が1つの製剤に組み合わせられているか若しくは組み合わせられていない、又は2種の化合物が2つの個別の製剤であるものの同時投与が含まれる。
【0052】
本明細書で用いられる用語「オピオイドアゴニスト(1種又は複数)」は、オピオイド受容体に作用することによって生物学的応答を引き出す任意の物質を意味する。オピオイドアゴニストには、これに限定されるものではないが、本発明に有用なオピオイドアゴニストが含まれ、これに限定されるものではないが、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、アキソマドール、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルフィン、デキストロモラミド、デゾシン、ジアムプロミド、ジアモルホン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメヘプタノール、ジメチルチアムブテン、酪酸ジオキサフェチル、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアムブテン、エチルモルフィン、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ナルブフェン、ノルモルフィン、ノルピパノン、オピウム、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、タペンタドール、アクサマドール、及びトラマドール、前述のいずれかの混合物又は塩が含まれる。
【0053】
用語「二様式作用性オピオイドアゴニスト」は、痛みを媒介する侵害受容ニューロンの抑制性及び興奮性オピオイド受容体の両方に結合し活性化するオピオイドアゴニストに用いられる。前記アゴニストによる阻害性受容体の活性化は鎮痛作用をもたらす。前記アゴニストによる興奮性受容体の活性化は、抗鎮痛作用、過剰興奮性、痛覚過敏、並びに身体的依存の発生、耐性、及び他の望ましくない副作用をもたらす。
【0054】
用語「興奮性オピオイド受容体アンタゴニスト」は、痛みを媒介する侵害受容ニューロンの興奮性オピオイド受容体に結合し、アンタゴニストとして作用するが、抑制性オピオイド受容体には結合せず、アンタゴニストとして作用しないオピオイドに用いられる。すなわち、興奮性オピオイド受容体アンタゴニストは、興奮性オピオイド受容体に結合し、これらのニューロンにおいて抑制性オピオイド受容体機能を遮断するのに必要とされるより1000から10000倍低い濃度で、侵害受容型のDRGニューロンの興奮性オピオイド受容体機能を選択的に遮断する化合物である。
【0055】
本明細書で用いられる用語「剤形」は、薬剤又は活性薬物の用量が含まれる医薬調剤又は系を意味するものとして定義される。剤形には、望ましくは、例えば即放性剤形、又は浸透制御放出剤形、浸食制御放出剤形、溶出制御放出剤形、拡散制御放出剤形、制御放出マトリクスコア、少なくとも1つの放出緩徐化コートで被覆された制御放出マトリクスコア、腸溶性被覆剤形、持続投与形態、少なくとも1つの遅延放出コートで包囲された剤形、カプセル、ミニタブレット、カプレット、非被覆微粒子、放出緩徐化コートで被覆された微粒子、遅延放出コートで被覆された微粒子、若しくはそれらの任意の組み合わせなどの様々な徐放形態を含む徐放性剤形のものが含まれる。本出願において、本明細書に記載される剤形は、それを必要としている患者を治療する有効量のタペンタドールを含む、上に定義された剤形を意味する。
【0056】
本明細書で用いられる用語「準最適量」は、単一化合物療法に使用されるとき、その化合物の最適用量より少ない用量を意味する。
【0057】
本明細書で用いられる用語「疾患の治療」は、疾患、状態、又は障害を発症した患者の管理及びケアを意味する。治療の目的は、疾患、状態、又は障害に対抗することである。治療には、疾患、状態、又は障害を排除又は制御するため、並びに疾患、状態、又は障害に関連する症状又は合併症を軽減するために活性化合物を投与することが含まれる。
【0058】
本明細書で用いられる用語「浸透剤形」、「浸透送達デバイス」、「制御放出浸透剤形」、又は「浸透制御延長放出系」は、タペンタドールを浸透剤形から分配させる、流体のコアへの浸透又は拡散によって生じた圧力によって、タペンタドールがすべて又は部分的に強制的に分配される剤形を意味するものとして定義される。用語「浸透剤形」、「浸透送達デバイス」、又は「制御放出浸透剤形」は、少なくとも1つの「放出緩徐化コート」で望ましくは被覆されるような形態も包含する。
【0059】
本明細書で用いられる用語「疾患の予防」は、疾患の臨床的発症前の疾患を発生するリスクのある個体の管理及びケアとして定義される。予防の目的は、疾患、状態、又は障害の発症に対抗することであり、症状又は合併症の発症を予防又は遅延するため、及び関連する疾患、状態、又は障害の発生を予防又は遅延するために活性化合物を投与することが含まれる。
【0060】
本明細書で用いられる用語「痛み及び痛み関連状態」は、神経障害性痛、骨関節炎、関節リウマチ、線維筋痛、及び背部、筋骨格痛、強直性脊椎炎、若年性関節リウマチ、片頭痛、歯痛、腹痛、虚血性痛、術後痛を含む医学的状態による任意の痛み、又は麻酔若しくは外科手術状態による任意の痛みとして定義される。
【0061】
内部固体粒子相及び外部固体連続相に存在する「延長放出材料」という用語は、1種以上の親水性ポリマ、及び/又は1種以上の疎水性ポリマ、及び/又は1種以上の他の種類の疎水性材料、例えば1種以上のロウ、脂肪アルコール、及び/又は脂肪酸エステルなどを指す。内部固体粒子相に存在する「延長放出材料」は、外部固体連続相に存在する「延長放出材料」と同じでも異なっていてもよい。
【0062】
本明細書で用いられる用語「プロトンポンプ阻害薬」は、胃壁細胞の水素/カリウムアデノシントリホスファターゼ酵素系(H+/K+ATPase)を遮断する任意の活性剤を意味し、オメプラゾール、ランソプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾール、及びラベプラゾールが含まれる。
【0063】
本明細書で用いられる用語「5HTアゴニスト」は、5HT受容体に作用する薬物を意味し、スマトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、アルモトリプタン、及びフロバトリプタンが含まれる。
【0064】
本明細書では、用語「徐放性」は、活性成分の放出が本質的に緩徐である、即放性以外の製剤からの任意の放出に適用される。この用語には、医薬上の文脈で交換可能に用いられる延長放出、遅延放出、持続放出、制御放出、時限(timed)放出、特異的放出、長期放出、及び標的放出のような様々な用語が含まれる。
【0065】
本明細書で用いられる「即放性」コートは、インビトロ又はインビボで剤形からのタペンタドールの放出速度に実質的に又は感知できるほど影響を及ぼさないコートを意味するものとして定義される。即放性コートを含む賦形剤は、実質的な制御放出、膨脹、浸食、溶出、又は浸食及び膨脹特性を持たず、これはコートの組成が、タペンタドールの放出速度に実質的な影響を及ぼさないことを意味する。
【0066】
本明細書で用いられる用語「制御放出」は、インビボで単位時間当たり実質的に制御された様式で制御して放出するための、第1の1日1回制御放出剤形又は少なくとも1つの手段での実質的に緩やかな速度の薬物の放出を意味するものとして定義される。薬物の放出速度は、単独の生理的又は環境的条件よりむしろ、剤形の特徴及び/又は生理的若しくは環境的条件の組み合わせによって制御される。
【0067】
本明細書で用いられる用語「制御放出剤形」又はタペンタドールの「制御放出」を示す剤形は、比較的一定の速度で薬物を放出し、約24時間にわたって、活性薬物の治療範囲内で時間を経ても実質的に不変のままである活性薬物の血漿濃度を提供する、1日1回投与される剤形を意味するものとして定義される。
【0068】
本明細書で用いられる用語「持続放出剤形」又は薬物の「持続放出」を示す剤形は、投与後、治療用量を提供するのに十分な薬物の放出を提供し、その後、その持続放出剤形が24時間にわたって治療利益を提供するように、長期間にわたって漸進的な放出を提供する、1日1回投与される剤形を意味するものとして定義される。
【0069】
本明細書で用いられる用語「延長放出剤形」又は薬物の「延長放出」を示す剤形は、薬物を緩徐に放出し、その持続放出剤形が24時間にわたって治療利益を提供するように、薬物の血漿濃度が延長された期間治療水準で維持される、1日1回投与される剤形を意味するものとして定義される。
【0070】
本明細書で用いられる用語「多粒子」又は「微粒子」は、例えばミクロスフェア、球状粒子、マイクロカプセル、粒子、微粒子、顆粒、スフェロイド、ビーズ、ペレット、又は小球などの複数の薬物含有単位を意味するものとして定義される。
【0071】
本明細書で用いられる用語「長期放出剤形」又は薬物の「長期放出」を示す剤形は、即時放出剤形より長い期間にわたって薬物の吸収を提供し、24時間にわたって治療利益を提供する、1日1回投与される剤形を意味するものとして定義される。
【0072】
用語「生物学的同等性」は、標準的な方法で求められたタペンタドールの生物学的利用能(bioavailability)(AUC)が、同じ用量のタペンタドールを含む第2の経口投与可能な剤形の約80から約125%である確率が約90%以上であり、標準的な方法で測定されたタペンタドールの最大血漿濃度(Cmax)が、第2の経口投与可能な剤形の約80から約125%である確率が約90%以上であることとして定義される。
【0073】
用語「FDAガイドライン」は、本特許出願が提出された時点で米国食品医薬品庁によって承認されているガイドラインGuidance for Industry Bioavailability and Bioequivalence Studiesを指す。
【0074】
用語「持続放出の候補」は、短い排出半減期、その結果として生じる1日複数回の投与、延長様式で与えられる単回用量製品がより良好な臨床結果を達成し、即時放出に伴う副作用が回避されるなど、薬物が延長放出様式に製剤化される候補となる薬物のすべての特徴を包含する。
【0075】
本明細書で用いられる用語「遅延放出剤形」又は薬物の「遅延放出」を示す剤形は、投与直後には薬物を実質的には放出せず、後の時点で放出する、1日1回投与される剤形を意味するものとして定義される。遅延放出剤形は、薬物吸収の開始前に、時間の遅延を提供する。そのような剤形は、望ましくは遅延放出コートで被覆されている。この時間の遅延は、「ラグタイム」と称され、潜伏時間、すなわち薬物が最小有効濃度に到達するのに必要とされる時間を表わす「開始時間」とは異なる。
【0076】
本明細書で用いられる用語「用量ダンピング(dose dumping)」は、薬物放出の意図しない変動、例えば原因の別なく、短時間での急速な薬物の放出を意味するものとして定義される。
【0077】
本明細書で用いられる用語「吸収増強剤形」又は薬物の「吸収増強」を示す剤形は、同様の条件に暴露されたとき、同じか又はより多量の薬物を含む他の剤形と比較して、薬物のより高い放出及び/又はより高い吸収を示す剤形を意味するものとして定義される。
【0078】
本明細書で用いられる用語「結合剤」は、通常知られている任意の医薬的に許容される結合剤を指し、例えばポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリメタクリラート、ポリビニルアルコール、ロウなどである。上記の結合剤の混合物も用いることができる。好ましい結合剤は、重量平均分子量25000から3000000を有するポリビニルピロリドンなどの水溶性材料である。結合剤は、コアの総重量の約0から約40%、好ましくはコアの総重量の約3%から約15%を占めることができる。一実施形態において、コアにおける結合剤の使用は任意である。
【0079】
用語「医薬的に許容される誘導体」は、タペンタドールの種々の医薬等価異性体、エナンチオマー、塩、水和物、多形、エステルなどを意味する。
【0080】
本明細書で用いられる用語「調節放出剤形」又は薬物の「調節放出」を示す剤形は、その薬物放出の時間的経過及び/又は場所による特徴が即放性剤形によって提供されない治療的又は便宜的目的が達成されるように設計される剤形を意味するものとして定義される。調節放出剤形は、典型的に少なくとも24時間、薬物の治療範囲内で実質的に一定なままである薬物の血漿濃度の迅速な上昇を提供するように設計される。あるいは、調節放出剤形は、望ましくは、一定なままでなくてもよいが、血漿濃度が少なくとも24時間、薬物の治療範囲内にとどまるような速度で低下する薬物の血漿濃度の迅速な上昇を提供するように設計される。
【0081】
用語「治療有効量」は、哺乳動物において生物学的応答を誘発する量を意味し、準最適量を含む。
【0082】
本明細書で用いられる用語「親水性ポリマ」には、これに限定されるものではないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸、ポリビニルアルコール、ポビドン、カルボマー、カリウムペクタート(potassium pectate)、カリウムペクチナート(potassium pectinate)などが含まれる。
【0083】
本明細書で用いられる用語「疎水性ポリマ」には、これに限定されるものではないが、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アンモニオメタクリラートコポリマ(Eudragit RL(商標)又はEudragit RS(商標))、メタクリル酸コポリマ(Eudragit L(商標)又はEudragit S(商標))、メタクリル酸−アクリル酸エチルエステルコポリマ(Eudragit L 100−5(商標))、メタクリル酸エステル中性コポリマ(Eudragit NE 30D(商標))、ジメチルアミノエチルメタクリラート−メタクリル酸エステルコポリマ(Eudragit E 100(商標))、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマ、それらの塩及びエステル(Gantrez(商標))などが含まれる。
【0084】
本明細書で用いられる「タペンタドール」は、タペンタドール塩基、個々に光学的に活性なタペンタドールのエナンチオマー、例えばタペンタドールの(+)又は(−)型、それらのラセミ混合物、活性代謝産物、医薬的に許容されるその塩、例えばタペンタドールの酸付加塩又は塩基付加塩などから選択された少なくとも1つの形態のタペンタドールを意味するものとして定義される。酸付加塩を形成するために通常用いられる酸は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸など、有機酸、例えばp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、カルボン酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸などである。そのような医薬的に許容される塩の例は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−二酸塩、ヘキシン−1,6−二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、g−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マンデル酸塩などである。塩基付加塩には、無機塩基、例えばアンモニウム又はアルカリ若しくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩などから得られたものが含まれる。したがって、本発明の塩の調製に有用なそのような塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムなどが含まれる。
【0085】
本明細書で用いられる「即放性」コートは、インビトロ又はインビボで剤形からの薬物の放出速度に実質的に又は感知できるほど影響を及ぼさないコートを意味するものとして定義される。即放性コートを含む賦形剤は、実質的な制御放出、膨脹、浸食、溶出、又は浸食及び膨脹特性を持たず、これはコートの組成が、薬物の放出速度に実質的な影響を及ぼさないことを意味する。
【0086】
本明細書で用いられる用語「浸透剤形」、「浸透送達デバイス」、「制御放出浸透剤形」、又は「浸透制御延長放出系」は、薬物を浸透剤形から分配させる、流体のコアへの浸透又は拡散によって生じた圧力によって、薬物がすべて又は部分的に強制的に分配される剤形を意味するものとして定義される。用語「浸透剤形」、「浸透送達デバイス」、又は「制御放出浸透剤形」は、少なくとも1つの「放出緩徐化コート」で望ましくは被覆されるような形態も包含する。
【0087】
内部固体粒子相及び/又は外部固体連続相に用いることのできる他の疎水性材料には、これに限定されるものではないが、ロウ、例えば蜜ロウ、カルナウバロウ、微結晶性ロウ、及びオゾケライトなど、脂肪アルコール、例えばセトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ミリスチルアルコールなど、並びに脂肪酸エステル、例えばモノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン、アセチル化モノグリセリド、トリステアリン、トリパルミチン、セチルエステルワックス、パルミトステアリン酸グリセリン、ベヘン酸グリセリン、水素添加ヒマシ油などが含まれる。
【0088】
本発明は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のアンタゴニストを含む経口剤形であって、前記アンタゴニストが、前記オピオイドアゴニストの有効性を改善し、前記オピオイドアゴニストの有害副作用を低減する経口剤形を提供する。これは、前記アンタゴニストがタペンタドールの有効性を改善するのに十分なだけ生物学的に利用可能であるように、1種以上のタペンタドールのアンタゴニストを活性剤医薬製品の投与製剤中に配置することによって達成される。
【0089】
本発明の経口剤形は、最適量又は準最適量の少なくとも1つの形態のタペンタドール、及び少なくとも1種のアンタゴニストを含み、前記アンタゴニストは、タペンタドールの有効性を改善し、タペンタドールの有害副作用を低減し、前記剤形は、ヒト患者に投与されたとき、有効な臨床的緩和を少なくとも約12時間提供する。
【0090】
本発明の経口剤形は、最適量又は準最適量の少なくとも1つの形態のタペンタドール、及び少なくとも1種のアンタゴニストを含み、前記アンタゴニストは、タペンタドールの有効性を改善し、タペンタドールの有害副作用を低減し、前記剤形は、ヒト患者に投与されたとき、有効な臨床的緩和を約24時間まで提供する。
【0091】
本発明は、最適量又は準最適量の少なくとも1つの形態のタペンタドール、及び少なくとも1種のアンタゴニストを含む経口剤形を投与する方法であって、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善し、タペンタドールの有害副作用を低減する方法を提供する。これは、前記アンタゴニストがタペンタドールの有効性を改善するのに十分なだけ生物学的に利用可能であるように、1種以上のタペンタドールのアンタゴニストを投与製剤中に配置するか、タペンタドール及び/又は第2鎮痛薬と併用することによって達成される。
【0092】
本発明は、最適量又は準最適量の少なくとも1つの形態のタペンタドール、及び少なくとも1種のアンタゴニストを含む経口剤形を投与する方法であって、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善し、タペンタドールの有害副作用を低減し、前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な臨床的緩和を少なくとも約12時間提供する方法を提供する。
【0093】
本発明は、最適量又は準最適量の少なくとも1つの形態のタペンタドール、及び少なくとも1種のアンタゴニストを含む経口剤形を投与する方法であって、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善し、タペンタドールの有害副作用を低減し、前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な臨床的緩和を約24時間まで提供する方法を提供する。
【0094】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、その剤形が経口投与されると、オピオイドアンタゴニストを含まない剤形の投与によって生じる有害事象プロファイルより良好な有害事象プロファイルを生じる剤形を提供することである。
【0095】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、その剤形が経口投与されると、オピオイドアンタゴニストを含まない剤形の投与によって生じるものより、めまい感(dizziness)又はめまい(vertigo)の発生が少ない剤形を提供することである。
【0096】
一実施形態において、本発明は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、その剤形が経口投与されると、オピオイドアンタゴニストを含まない剤形の投与によって生じるものより、吐気の発生が少ない剤形を提供する。
【0097】
一実施形態において、本発明は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、その剤形が経口投与されると、オピオイドアンタゴニストを含まない剤形の投与によって生じるものより、嘔吐の発生が少ない剤形を提供する。
【0098】
一実施形態において、本発明は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、その剤形が経口投与されると、オピオイドアンタゴニストを含まない剤形の投与によって生じるものより、頭痛の発生が少ない剤形を提供する。
【0099】
一実施形態において、本発明は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及びオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、その剤形が、約25から約800mgの1つの形態のタペンタドールを含む剤形を提供する。
【0100】
本発明の剤形には、これに限定されるものではないが、経皮送達系、口腔粘膜送達系、鼻腔内投与用組成物、注射可能な組成物、及び固体経口組成物が含まれる。
【0101】
オピオイドアンタゴニストが、抑制性オピオイド受容体ではなく、興奮性オピオイド受容体で選択的アンタゴニスト作用を有するようなレベルでタペンタドールが存在するため、本発明は独自である。しかしながら、本発明の剤形は、タペンタドールの有効性を改善し、タペンタドールの有害副作用を低減する二重の役割を果たすオピオイドアンタゴニストを有するため、別の状態では鎮痛作用以下である低減された用量で投与されたとき、オピオイドアゴニストは有効となる。興奮性オピオイド受容体アンタゴニストと共に、タペンタドールを単独で投与するときより10から100倍低い用量の少なくとも1種の二様式作用性タペンタドールを用いて、鎮痛効果を得ることが可能である。これは、興奮性オピオイド受容体アンタゴニストが、タペンタドールの抗鎮痛興奮性副作用を低減することによって、有効性を改善する可能性があるためである。したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態において、剤形に含まれるタペンタドールは、典型的に鎮痛作用をもたらすために投与されてきた量より少ない量で送達される。本発明のいくつかの実施形態において、剤形に含まれるタペンタドールの量が、投与間隔を通して典型的に投与されるタペンタドールの量より例えば約10から約100倍少ないようにタペンタドールは送達される。
【0102】
用いることのできるオピオイドアゴニストには、これに限定されるものではないが、ナロキソン、ナルトレキソン、ジプレノルフィン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、ナリネフェン、シクラザシン、レバロルファン、医薬的に許容されるそれらの塩、及びそれらの混合物が含まれる。いくつかの好ましい実施形態において、オピオイドアゴニストは、ナロキソン又はナルトレキソンである。
【0103】
好ましい一実施形態において、タペンタドールなどのオピオイドアゴニストとオピオイドアンタゴニストの比は、1:3である。すなわち、オピオイドアンタゴニストは、オピオイドアゴニストの3倍量存在する。この比は、剤形が調節される(temper)ときはいつでも、オピオイドアンタゴニストがタペンタドールなどのオピオイドアゴニストの鎮痛効力を増強し、副作用を軽減し、さらに乱用を妨げる二重の役割を果たすように適応される。
【0104】
他の好ましい実施形態において、徐放性経口剤形は、剤形がヒトに投与されるとき、タペンタドールの血中レベルが投与期間を通じて治療的に有効なレベルに維持され、アンタゴニストは、タペンタドールに伴う副作用を軽減するには十分であるが、タペンタドールの鎮痛作用を無効にするには十分でないレベルに維持されるように、ある期間にわたって放出されるタペンタドール及びオピオイドアンタゴニストを含む製剤を提供する。タペンタドールとアンタゴニストの比は重量で約1:1から約5000:1、より好ましくは約50:1から1000:1、さらに好ましくは約50:1から約500:1である。本発明の他の好ましい実施形態において、投与されるオピオイド受容体アンタゴニストの量は、投与されるオピオイドアゴニストの量より約100から約10000倍少ない。
【0105】
本発明による徐放性経口剤形は、当業者に利用可能な標準的な方法を用いて製剤化することができる。例えば、徐放性錠剤は、徐放性マトリクスにタペンタドール及びアンタゴニストを含む。本発明の徐放性マトリクスは、親水性及び/又は疎水性材料、例えばゴム、セルロースエーテル、アクリル樹脂、タンパク由来材料などを含むことができ、このリストは排他的であることを意図せず、タペンタドールの徐放性を付与することのできる医薬的に許容される任意の疎水性材料又は親水性材料を配置することができる。好ましい実施形態において、疎水性材料は、医薬的に許容されるアクリルポリマを含み、これに限定されるものではないが、アクリル酸及びメタクリル酸コポリマ、メチルメタクリラートコポリマ、エトキシエチルメタクリラート、シアノエチルメタクリラート、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマ、ポリ(メチルメタクリラート)、ポリメタクリラート、ポリ(メチルメタクリラート)コポリマ、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリラートコポリマ、ポリ(メタクリル酸無水物)、及びグリシジルメタクリラートコポリマが含まれる。所望の放出プロファイルを得るために、2種のコポリマの組み合わせが必要とされる可能性がある。
【0106】
本発明は、所望の放出プロファイルを得るために、アルキルセルロースを使用する。一実施形態において、製剤はエチルセルロースを使用するが、当業者は別の材料を容易に代用するであろうし、そのような代用物は本発明に包含される。市販され入手可能なエチルセルロース水性分散液は、標準的な技法によって調製されたAquacoat.R(登録商標)又はSurelease.R(登録商標)である。これらはコーティングに使用する前に、場合により可塑剤と混合することができる。本発明のアクリルポリマの適切な可塑剤の例には、これに限定されるものではないが、クエン酸エステル、例えばクエン酸トリエチルNF XVI、クエン酸トリブチル、フタル酸ジブチル、及び場合により1,2−プロピレングリコールが含まれる。Eudragit.R(登録商標)RL/RSラッカー溶液など、アクリルフィルムから形成されたフィルムの弾性を増強するのに適していることが実証されている他の可塑剤には、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ヒマシ油、及びトリアセチンが含まれる。本発明の好ましい水性分散液の可塑剤は、クエン酸トリエチルである。
【0107】
本発明は、インビトロで所望の放出速度を得るために、他のものと組み合わせたフィルムコートを使用することを想定する。本発明の徐放性コーティング製剤は、非毒性、不活性、及び不粘着性のコーティング添加剤などの成分も含むことができる。
【0108】
タペンタドール及びオピオイドアンタゴニストを含む本発明の剤形は、製剤を保護しオピオイドアゴニストの放出を制御するために、1種以上の材料で場合により被覆することができる。本発明の一実施形態において、(製剤)コーティングは、胃液に暴露されると、pH依存性又はpH非依存性の放出が可能となるように提供される。pH感受性コーティングの使用は、胃腸管の標的領域でタペンタドールを放出するのに役立ち、それにより吸収プロファイルは、少なくとも約8時間から約24時間まで患者に臨床効果を提供できる。しかしながら、pH非感受性コーティングが使用されるとき、コーティングは胃腸管においてpHの変化にかかわらず、タペンタドールの最適な放出を促進するように調製される。用量の一部が胃腸管の標的領域で放出され、用量の残りは小腸など胃腸管の別の標的領域で放出されるように、本発明を製剤化することもできる。
【0109】
pH感受性コーティングを用いる本発明による製剤は、特にシェラック、セルロースアセタートフタラート(CAP)、ポリビニルアセタートフタラート(PVAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、及びメタクリル酸エステルコポリマ、ゼインなどの成分を用いることができる。Rohm Tech,Inc.からEudragit R(登録商標)として市販され入手可能である、ジエチルアミノエチルメタクリラート及び他の中性メタクリル酸エステルから合成されたコポリマのファミリがある。異なるpHで膨脹する、いくつかの異なる種類のEudragit R(登録商標)があり、水膨脹性であるが、剤形中ではpH非感受性であるEudragit R(登録商標)RL及びEudragit RS(登録商標)など他のものもある。
【0110】
いくつかの好ましい実施形態において、タペンタドール及びオピオイドアンタゴニストの組み合わせを含有する錠剤コアビーズ又はマトリクス粒子の基剤は、アルキルセルロース、又はアクリルポリマ、又はそれらの組み合わせなどの疎水性材料で被覆される。本発明によるコーティングは、有機又は水性溶液又は分散液であることができ、所望の持続放出プロファイルを得るために、基剤重量の約2から約25%程度であることができる。
【0111】
本発明による組成物は、例えば顆粒、スフェロイド、ペレット、多粒子、カプセル、パッチ、錠剤、サシェ、制御放出懸濁液、又はそのような顆粒、スフェロイド、ペレット、若しくは多粒子を取り込む他の任意の適切な剤形として提供することができる。
【0112】
本発明による組み合わせの1種以上の活性成分は、適切にはマトリクスに取り込むことができる。このマトリクスは、少なくとも12時間にわたってタペンタドールを徐放し、好ましくは治療有効範囲内のタペンタドールのインビトロ溶出速度及びインビボ吸収速度を提供する、当業者に知られている任意のマトリクスであることができる。本発明による組み合わせは、好ましくは徐放性マトリクスを用いることができる。あるいは、タペンタドールの徐放を提供するコーティングを有する通常放出マトリクスを用いることもできる。
【0113】
本発明の組み合わせに用いられる徐放性マトリクスは、希釈剤、滑沢剤、結合剤、顆粒化助剤、着色剤、風味剤、界面活性剤、pH調節剤、抗付着剤、及び流動促進剤(glidant)、例えばセバシン酸ジブチル、水酸化アンモニウム、オレイン酸、及びコロイド状シリカなどの医薬分野で通常用いられる、医薬的に許容される他の成分も含有することができる。この組み合わせを調製するために、既知の任意の希釈剤、例えば微結晶性セルロース、ラクトース、及び第二リン酸カルシウムを用いることができる。適切な滑沢剤は、例えばステアリン酸マグネシウム及びフマル酸ステアリルナトリウムである。適切な結合剤は、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビドン、及びメチルセルロースである。適切な崩壊剤は、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、及びクロスカルメロースナトリウムである。
【0114】
本発明に適した界面活性剤は、Poloxamer 188.RTM、ポリソルベート80、及びラウリル硫酸ナトリウムである。本発明の適切な流動助剤は、タルクコロイド状無水シリカである。同様に、マトリクスを調製するために用いることができる適切な水溶性ポリマは、1000から6000の範囲の分子量を有するポリエチレングリコールである。本発明による徐放性タペンタドールを含む組み合わせは、好都合には医薬分野で通常用いられる任意のコーティング材料を用いてフィルムコートされていることができるが、好ましくは水性フィルムコーティングが用いられる。
【0115】
本発明の経口剤形は、タペンタドール及びアンタゴニストに加えて、第2鎮痛薬をさらに含むことができ、第2鎮痛薬は、タペンタドールと相乗的であっても相乗的でなくてもよい。第2鎮痛薬は、NSAID、アセトアミノフェン、GABA類似体、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、一酸化窒素供与型シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、HTアゴニスト、及びプロトンポンプ阻害薬、トラマドール、ヒドロモルホン、ファキセラドール、アキソマドール、オキシコドン、ヒドロコドン、フェンタニル、モルヒネ、医薬的に許容されるそれらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される。これには痛み軽減に用いられる任意の薬物が含まれ、パラセタモール(アセトアミノフェン)、イブプロフェン、ジクロフェナク、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピロプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラモプロフェン、ムロプロフェン、トリオキサプロフェン、スプロフェン、アミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、ブクロキス酸、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラク、チオピナク、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク、オクスピナク(oxpinac)、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸、トルフェナム酸、ジフルリサル(diflurisal)、フルフェニサール、ピロキシカム、スドキシカム、又はイソキシカムなどが含まれる。これらの薬物の有用な用量は当業者によく知られている。神経障害性痛症候群を治療するために、通常は鎮痛薬とみなされない他のクラスの薬物が用いられ、これらには三環系抗鬱剤及び抗痙攣剤が含まれる。さらなる追加薬物には、鎮咳薬、去痰薬、鬱血除去薬、抗ヒスタミン薬、局所麻酔薬、及び同様の種類のものが含まれる。
【0116】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、徐放性経口剤形は、アセトアミノフェンと組み合わせて、タペンタドール及びオピオイドアンタゴニストを含む。本発明に従って調製された徐放性製剤は、用量50〜650mgなど、当業者に容易に知られる広範な用量のアセトアミノフェンを含むことができるが、その用量はより長い投与間隔、8時間以上にわたって徐放様式で放出される。
【0117】
本発明による組み合わせは、徐放性コーティングを有する通常放出マトリクスを含むことができる。好ましくは、この組み合わせは、活性成分及び球状化剤を含有するフィルム被覆スフェロイドを含む。球状化剤は、スフェロイドを形成するために、活性成分と共に球状化することのできる任意の適切な医薬的に許容される材料であることができる。本発明による好ましい球状化剤は、微結晶性セルロースである。用いられる微結晶性セルロースは、適切には、例えばAvicel PH101又はAvicel PH102(商標、FMC Corporation)であることができる。スフェロイドは場合により、結合剤、充填剤、及び着色剤などの医薬分野で通常用いられる他の医薬的に許容される成分を含有することができる。適切な結合剤には、水溶性ポリマ、水溶性ヒドロキシアルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルセルロース、又は水不溶性ポリマ(制御放出特性にも寄与する可能性がある)、例えばアクリルポリマ若しくはコポリマ、例えばエチルセルロースが含まれる。適切な充填剤には、ラクトースが含まれる。
【0118】
スフェロイドは、水性媒質において、緩徐な速度で活性成分を放出させる材料で被覆される。本発明で用いることのできる適切な徐放性コーティング材料には、水不溶性ロウ及びポリマ、例えばポリメチルアクリラート(例えば、Eudragitポリマ)、又は水不溶性セルロース、特にエチルセルロースが含まれる。場合により、ポリビニルピロリドンなどの水溶性ポリマ、又はヒドロキシプロピルメチルセルロース若しくはヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性セルロースを含むことができる。場合により、ポリソルベート80などの他の水溶性作用剤を添加することができる。
【0119】
さらに別の実施形態において、流動増進剤(flux enhancing agent)も膜に含むことができ、又は徐放性コーティングは、上記ポリマの1つを含むことができる。流動増進剤は、剤形が通路及び/又は多孔質膜を通して、実質的にすべてのタペンタドールを分配できるように、コアに吸収される流体の体積を増大することができる。流動増進剤は、水溶性材料又は腸溶性材料であることができる。流動増進剤として有用な好ましい材料の例には、これに限定されるものではないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、スクロース、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、セルロースアセタートフタラート、ポリビニルアルコール、メタクリル酸コポリマ、ポロキサマー(BASFから市販され入手可能なLUTROL F68、LUTROL F127、LUTROL F108など)、及びそれらの混合物が含まれる。本発明で用いられる好ましい流動増進剤は、PEG400である。
【0120】
流動増進剤は、タペンタドール又は医薬的に許容されるその塩などの水混和性/水溶性薬物であることもでき、又は流動増進剤は、腸内条件下で可溶性である薬物であることができる。流動増進剤が薬物である場合、本発明の医薬組成物は、流動増進剤として選択された薬物の即放性を提供するさらなる利点を有する。流動増進剤は膜又は持続放出コーティングから溶出又は浸出して、流体がコアに入り、活性成分が溶出することを可能にするチャネルを膜又は持続放出コーティングに形成する。好ましい実施形態において、流動増進剤は、コーティングの総重量の約0から約40%、もっとも好ましくはコーティングの総重量の約2%から約20%を占める。
【0121】
膜又は徐放性コーティングを調製するために、可塑剤などの一般に知られている賦形剤も用いることができる。いくつかの一般に知られている可塑剤には、これに限定されるものではないが、アジピン酸エステル、アゼライン酸エステル、エンゾアート(enzoate)、クエン酸エステル、ステアリン酸エステル、イソエブカート(isoebucate)、セバシン酸エステル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリ−n−ブチル、アセチルクエン酸トリ−n−ブチル、クエン酸エステル類、及びEncyclopedia of Polymer Science and Technology、Vol.10(1969)、John Wiley & Sons刊に記載されているすべてのものが含まれる。好ましい可塑剤は、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、グレープシード油、オリーブ油、ゴマ油、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、グリセリンソルビトール、シュウ酸ジエチル、リンゴ酸ジエチル、フマル酸ジエチル、コハク酸ジブチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、三酪酸グリセリンなどである。用いられる正確な量は、用いられる可塑剤の種類によって決まるが、膜又は持続放出コーティングの総重量に対して、典型的に約0から約25%の量が用いられ、好ましくは約2%から約15%の可塑剤を用いることができる。
【0122】
一般に、コア周囲の膜又は徐放性コーティングは、コアとコーティングの総重量に対して、約1%から約20%、好ましくは約2%から約10%を占める。
【0123】
コアを包囲する膜又は持続放出コーティングは、好ましい実施形態において、コアから薬物の制御放出を可能にする通路をさらに含むことができる。本明細書で用いられる通路という用語には、開口部、オリフィス、孔(bore)、孔(hole)、弱体化部、又は浸食して、剤形からタペンタドールを放出するための浸透性通路を形成するゼラチンプラグなどの浸食可能(credible)成分が含まれる。本発明に従って用いられる通路はよく知られており、米国特許第3845770号、第3916899号、第4034758号、第4077407号、第4783337号、及び第5071607号に記載されている。
【0124】
以下の実施例は、1)最適量又は準最適量の少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形、2)最適量又は準最適量の少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む徐放性剤形、並びに3)最適量又は準最適量の少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び少なくとも1種の追加鎮痛薬を含む医薬組成物に関する本発明を例示するために示される。すべての製剤は、鎮痛効力を増強し、及び/又は1つ以上の有害な作用を低減することが意図される。
【0125】
これらの実施例はさらに、タペンタドールの鎮痛効力を増強し、及び/又はタペンタドールの1つ以上の有害作用を軽減するために、最適量又は準最適量の少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを、それを必要としている患者に投与することによって、痛み及び痛み関連状態を治療する方法、並びに徐放性タペンタドール及び第2鎮痛薬を、それを必要としている患者に投与することによって、痛み及び痛み関連状態を治療する方法を例示する。当業者は、当分野で知られている他の技法を用いて、剤形及び投与方法をどのように改変することができるか分かるであろう。
【実施例】
【0126】
(実施例1)
【表1】
【0127】
製造工程
タペンタドール塩酸塩、Eudragit、及びETHOCELをブレンダで合わせてブレンドする。十分にブレンドした混合物に、粉砕したステアリルアルコールを添加し、内容物を完全に混合し、押出機に供給し、その後ペレット製造機に供給した。ペレットをスクリーニングし、ふるいにかけて、必要とされるタペンタドールペレットを得る。並行して、同様の手順に従って、ナルトレキソンペレットを調製した。所要量のタペンタドールペレット及びナルトレキソンペレットを充填することによって、タペンタドール及びナルトレキソンを含む最終カプセルを調製した。
(実施例2)
【表2】
【0128】
製造工程
コアの調製;タペンタドールHCl及びコロイド状二酸化ケイ素を混合し、1.0mmのスクリーンに通した。ポリビニルアルコールを精製水に溶解した。混合したタペンタドールHClとコロイド状二酸化ケイ素粉末を、流動層造粒機(Glatt GPCG1)において、ポリビニルアルコールの水溶液を用いて造粒し、その後乾燥した。粒状化後、顆粒をフマル酸ステアリルナトリウムとブレンドし、1.0mmのスクリーンに通した。次いで、Manesty Betapressを用いて、ブレンドを錠剤コアに圧縮した。
【0129】
コーティングの調製;適切な量のエチルアルコール及びイソプロパノールを秤量し、混合した。プロペラ式攪拌機(Coframo RZR1)で絶えず攪拌しながら、セバシン酸ジブチル及びエチルセルロースをエチルアルコールとイソプロピルアルコールに添加して溶解し、ポリビニルピロリドンを添加した。すべての成分が溶解するまで、溶液を攪拌した。溶液を高圧ホモジナイザに通した。
【0130】
有孔コーティングパン(O’Hara Labcoat III 36’’Pan、Vector LCDS)において、コーティング溶液を用いて錠剤コアを被覆した。コーティングパラメータを表3に示す。
【表3】
【0131】
溶出試験
実施例1に従って製剤化された、徐放性タペンタドール及び少なくとも1種の医薬賦形剤を含む錠剤を、以下の表4の条件通り、10メッシュUSPバスケット装置を用いて溶出プロファイルに関して評価した。
【表4】
【0132】
本発明の組成物は、2時間後に約0%から約30%(重量)までのタペンタドールが放出され、4時間後に約5%から約55%(重量)のタペンタドールが放出され、12時間後に約50%(重量)を超えるタペンタドールが放出され、24時間後に約80%(重量)を超えるタペンタドールが放出されるようなインビトロ溶出プロファイルを示した(37℃、0.1N HCl900ml中、75rpmでUSPバスケット法を用いて測定)。
【0133】
さらに、本発明の組成物は、2時間後に約0%から約30%(重量)までのタペンタドールが放出され、4時間後に約5%から約22%(重量)のタペンタドールが放出され、6時間後に約15%から約38%(重量)のタペンタドールが放出され、8時間後に約40%(重量)を超えるタペンタドールが放出されるようなインビトロ溶出プロファイルを示した(37℃、0.1N HCl900ml中、75rpmでUSPバスケット法を用いて測定)。
【0134】
さらに、本発明の組成物は、2時間後に約2%から約10%(重量)のタペンタドールが放出され、4時間後に約12%から約20%(重量)のタペンタドールが放出され、6時間後に約30%から約38%(重量)のタペンタドールが放出され、8時間後に約48%から約56%(重量)のタペンタドールが放出され、10時間後に約64%から約72%(重量)のタペンタドールが放出され、12時間後に約76%を超えるタペンタドールが放出されるようなインビトロ溶出プロファイルを示した(37℃、0.1N HCl900ml中、75rpmでUSPバスケット法を用いて測定)。
(実施例3)
プレガバリン組み合わせ
【表5】
(実施例4)
ナプロキセン組み合わせ
【表6】
【0135】
製造工程1:徐放性タペンタドール塩酸塩及びナプロキセン
徐放性タペンタドール塩酸塩及びナプロキセンを含む組み合わせは、標準的な粒状化及びコーティング方法を用いて、2つの段階で製造した。段階Iでは、タペンタドール塩酸塩をコアに製剤化し、それをさらに徐放性コートで被覆して、徐放性タペンタドールコアを得た。段階IIでは、上で調製した被覆徐放性タペンタドール塩酸塩コアを、ナプロキセンを含む即放性層で被覆した。詳細を以下に示す。
【0136】
段階I
コアの調製:タペンタドールHClを微結晶性セルロース及びコロイド状二酸化ケイ素、並びに充填剤の1種又は混合物と混合し、ポリビニルピロリドン又はポリビニルアルコールを含む結合剤溶液を用い、当分野で知られている適切な方法を用いて粒状化する。粒状化されたタペンタドール塩酸塩を乾燥し、スクリーニングした。これをさらに、流動促進剤を含むか又は含まない水素添加植物油を用いて潤滑にする。潤滑にしたブレンドを、圧縮機を用いて錠剤に圧縮する。
【0137】
コーティング溶液及びコーティング:エチルセルロースの水不溶性水浸透性ポリマとポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロースの水溶性ポリマの水性分散液を用いて、コーティング溶液を調製する。プロペラ式攪拌機を用いて、ポリエチレングリコール混合物を調製し、適切なホモジナイザを用いて、それを均質化する。空気流350CFMを用い、チップ設定4’’、スプレー速度25mL/ガン/分、排出温度約45℃、噴霧圧力10〜35psi、パン速度5〜8rpmでO’Haraパンコータのような標準的なコータを用い、コーティング溶液を用いてコア錠剤を被覆する。
【0138】
段階II:段階IIでは、当分野で知られている造粒化技法を用いてナプロキセン製剤を調製し、その後、崩壊剤及び滑沢剤とブレンドする。
【0139】
最終製剤:段階Iで調製したタペンタドール徐放性錠剤を、圧縮被覆機を用いて、ナプロキセン製剤の潤滑化ブレンドで被覆するが、ここではタペンタドール徐放性錠剤がコアとして用いられ、ナプロキセン製剤の即放性層が外層を形成する。
【0140】
上述のコータを用いて、被覆された100mgタペンタドール塩酸塩錠剤にナプロキセンコーティングを適用した。このナプロキセン被覆シール被覆100mgタペンタドール塩酸塩錠剤の上に、同様のコートを用いて、着色被覆を行った。スプレーは、温度46〜47℃、噴霧圧力40〜60psi、スプレー速度180g/分/3ガンで行った。パン速度は4〜8rpm、空気量1000±100であった。
【0141】
最後に、場合により着色被覆した錠剤を乾燥し、Cindrellaワックスを用いて磨き、完成した最終錠剤を適切な乾燥剤と共にHDPEボトルに詰め、適切な安定性試験及び臨床試験に供した。ここでは、表6に記載した条件通り、組み合わせ中のタペンタドール塩酸塩のインビトロ溶出プロファイルを求めるために、インビトロ溶出試験を行った。実施例1では、徐放性タペンタドール100mg及びナプロキセン250mgを含む組み合わせを用いた。
(実施例5)
【0142】
さらに別の実施例において、本発明は、痛み及び痛み関連疾患の治療に有効に用いることのできる医薬組成物を開示し、それを必要としている患者に対して治療有効量の徐放性タペンタドール及びナルトレキソン塩酸塩を含む組成物は他の方法で製剤化することができる。例えば、徐放性タペンタドール及びナルトレキソン塩酸塩などのオピオイドアンタゴニストを含む組み合わせを、以下に例示するように、2層錠剤として調製した。
層1:
タペンタドールHCl 100mg
微結晶性セルロース 10〜25%
ポリビニルアルコール 3〜5%
エチルセルロース(5〜20cp) 10〜20%
ヒドロキシエチルセルロース 5〜15%
コロイド状二酸化ケイ素 2〜5%
フマル酸ステアリルナトリウム 1〜2%
層2:
ナルトレキソン塩酸塩 1mg
微結晶性セルロース 5〜20%
ポビドン 10〜15%
クロスカルメロースナトリウム 5〜10%
ステアリン酸マグネシウム 0.5〜2%
【0143】
層1の調製:タペンタドール塩酸塩、微結晶性セルロース、及びコロイド状二酸化ケイ素を、ポリビニルアルコールを用いて粒状化し、乾燥した。乾燥した顆粒をエチルセルロール及びヒドロキシエチルセルロースと混合し、フマル酸ステアリルナトリウムで潤滑にする。
【0144】
層2の調製:微結晶性セルロースと混合したナルトレキソン塩酸塩を、ポビドンを用いて粒状化した。顆粒を乾燥し、クロスカルメロースナトリウムと混合し、最後にステアリン酸マグネシウムで潤滑にする。
【0145】
圧縮:層1及び層2を2層回転式圧縮機のホッパーに充填し、所望の硬度で圧縮する。
(実施例6)
【0146】
タペンタドール及びナルトレキソン塩酸塩を含む剤形を、表7の形式に従って調製した。
【表7】
【0147】
製造工程:タペンタドール塩酸塩、ナルトレキソン塩酸塩、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、グリセリン、フェノール、ラウリル硫酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウムをすべて、自動振盪機で絶えず振盪しながら無水アルコール中で混合し、水で希釈して、200mlのミセル溶液を調製した。
(実施例7)
【表8】
【0148】
製造工程:Eudragit及びトリアセチンを混合して溶液を調製し、それにナルトレキソン塩酸塩を溶解した。溶液を流動層造粒機において、オキシコドンHCL、ラクトース、及びポビドンの混合物に適用し、ミルで粉砕し、融解したステアリルアルコールをこの顆粒に適用した。顆粒を冷却し、ステアリン酸マグネシウム及びタルクと混合し、圧縮した。タペンタドールHCl及びナルトレキソン塩酸塩を含む圧縮錠剤を、場合によりシールコートで被覆した。
(実施例8)
【表9】
【0149】
製造工程:タペンタドールHClビーズ及び増強ナルトレキソンHClビーズを表1の配合に従って調製した。特にタペンタドールとポリビニルピロリドンを水に溶解し、他と混合し、その後、標準的な手順を用いて、60℃で糖ビーズに適用した。タペンタドールビーズを、Eudragit、クエン酸エチル、及びタルク分散液を含むコーティング溶液で被覆した。すべての成分をミキサで混合することによって、ナルトレキソンビーズを調製した。微細混合物を、水を用いて粒状化し、押出機で所望の大きさに押し出し、選別機で分類した。選別したナルトレキソン塩酸塩ビーズを、Eudragit RS30D、ポリソルベート20、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、及び分散タルクを溶解して調製したコーティング溶液で被覆した。ビーズを乾燥し、タペンタドールHClビーズ及び増強ナルトレキソンビーズと共にカプセルに取り込み、タペンタドール、及びタペンタドールの鎮痛効力を増強するのに有効な量のオピオイドアンタゴニスト、及びタペンタドールの乱用を低減するのに有効な量のナルトレキソン塩酸塩を含む剤形を調製した。ナルトレキソン塩酸塩の増強ビーズと抗乱用ビーズは、他と区別のつかない外観にするために、場合により着色被覆することができる。
【0150】
(実施例9)
投与方法
十分に制御された5つのヒト臨床試験を用いて、本発明の目的を確立した。これらの試験は、1)少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを対象に併用することによって、対象において痛みを治療する方法、2)少なくとも1つの形態の徐放性タペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む固定用量合剤を対象に投与することによって、対象において痛みを治療する方法、3)徐放性タペンタドール、及びナプロキセン又はプレガバリンなどの少なくとも1種の追加薬物、及びオピオイドアンタゴニストを含む固定剤形を対象に投与することによって、対象において痛みを治療する方法、4)ナルトレキソンの最適濃度を確認するために、3つの異なる用量濃度のナルトレキソン及びタペンタドールを含む組み合わせを投与する方法を確立した。すべての試験は、タペンタドールの鎮痛効力を増強し、さらに有害副作用を軽減する組み合わせの有効性を評価するために行った。
試験1:ナルトレキソン、ナロキソン、及びナルメフェンと組み合わせたタペンタドールによるヒトの処置
【0151】
本発明を確立するために、Nectidは、250人を超える痛み患者を含むヒト臨床試験を行った。患者は、タペンタドール単独、又は3種の異なるオピオイドアンタゴニスト;ナルトレキソン、ナロキソン、及びナルメフェンと組み合わせたタペンタドールを投与された。陽性コントロール及び陰性コントロールと比較して、タペンタドールとオピオイドアンタゴニストの併用組み合わせの鎮痛有効性を測定した。そのような組み合わせの、めまい感、吐気、鎮静などの副作用に対する影響も測定した。
【0152】
この無作為化、二重盲検、実薬対照及びプラセボ対照、並行群間試験において、試験の1つの目的は、ナロキソン(以下N1と称する)、ナルトレキソン塩酸塩(以下N2と称する)、及びナルメフェン(以下N3と称する)などのオピオイドアンタゴニストが、歯科手術後の痛みを有する被験者/患者において、タペンタドール塩酸塩(以下Tapと称する)の鎮痛特性を増強するかどうかを判定することであった。別の目的は、ナルトレキソンなどのオピオイドアンタゴニストが、ヒトにおいてタペンタドールに誘発された副作用を低減したかどうかを評価することであった。
【0153】
304人の被験者が実際に試験に参加し、そのうちの254人が試験を完了した。陽性コントロールタペンタドール及び陰性コントロール(プラセボ)を用い、被験者は以下の5つの処置群の1つに無作為に分けた。5つの処置群に実際に割り当てられた被験者数は以下の通りである。
グループ 薬物 被験者数(N)
【0154】
グループ1 プラセボとプラセボ 51
【0155】
グループ2 Tap(50mg)とプラセボ 50
【0156】
グループ3 Tap(50mg)とナロキソン(0.1mg) 51
【0157】
グループ4 Tap(50mg)とナルトレキソン(0.1mg) 52
【0158】
グループ5 Tap(50mg)とナルメフェン(0.1mg) 50
【0159】
陽性コントロール(Tap、グループ2)を用いて、臨床エンドポイントの感度を求めた。陰性コントロール(プラセボ、グループ1)を用いて、実薬処置の不在下で起こり得る臨床エンドポイントの変化の頻度及び大きさを確立した。3又は4本の第三臼歯の外科的摘出後、患者が中等度から重度の痛みを経験したとき、単回経口用量の試験薬剤を投与した。
試験2:ナルトレキソン、ナロキソン、及びナルメフェンと組み合わせた徐放性タペンタドールによるヒトの処置
【0160】
この無作為化、二重盲検、実薬対照及びプラセボ対照、並行群間試験において、試験の1つの目的は、ナロキソン(以下N1と称する)、ナルトレキソン塩酸塩(以下N2と称する)、及びナルメフェン(以下N3と称する)などのオピオイドアンタゴニストが、被験者/患者において、制御放出タペンタドール塩酸塩の鎮痛特性を改善増強するかどうかを判定することであった。徐放性タペンタドール(以下、徐放性タペンタドール又はSRTと称する)とオピオイドアンタゴニストの組み合わせの鎮痛効力に対する影響を測定した。そのような組み合わせの、めまい感、吐気、嘔吐などの副作用に対する影響も測定した。徐放性固定剤形を実施例4に従って調製し、ナルトレキソン、ナロキソン、及びナルメフェンと組み合わせて併用される実施例2に従って調製した徐放性タペンタドールをこの試験に用いた。
【0161】
366人の被験者が実際に試験に参加し、そのうちの307人が試験を完了した。陽性コントロール(ST)及び陰性コントロール(プラセボ)を用い、被験者は以下の6つの処置群の1つに無作為に分けた。6つの処置群に実際に割り当てられた被験者数は以下の通りである。
グループ 薬物 被験者数(N)
グループ1 プラセボとプラセボ 51
グループ2 SRT(100mg)とプラセボ 49
グループ3 SRT(100mg)とナロキソン(N1)(0.1mg) 53
グループ4 SRT(100mg)とナルトレキソン(N2)(0.1mg) 50
グループ5 SRT(100mg)とナルメフェン(N3)(0.1mg) 52
6群 実施例7(SRT(50mg)とナルトレキソン(N2)(1mg)×2 52
【0162】
陽性コントロール(SRT、グループ2)を用いて、臨床エンドポイントの感度を求めた。陰性コントロール(プラセボ、グループ1)を用いて、実薬処置の不在下で起こり得る臨床エンドポイントの変化の頻度及び大きさを確立した。3又は4本の第三臼歯の外科的摘出後、患者が中等度から重度の痛みを経験したとき、単回経口用量の試験薬剤を投与した。
【0163】
試験3:ナルトレキソンと組み合わせたタペンタドール+ナプロキセンによるヒトの処置
同じ臨床試験方法を用いて、最初に試験に参加した182人のうち試験を完了した158人のヒト患者において、徐放性タペンタドール、及びナプロキセン(実施例4)、及びタペンタドールの鎮痛効力を増強し、タペンタドールの有害副作用を軽減するのに有効な量のナルトレキソン(N2)を含む固定用量合剤を被験者に投与することによって、被験者において痛みを治療する方法を確立した。この試験に用いた5つの処置群を以下に記載する。
【0164】
グループ1 (プラセボ+プラセボ)、N=31
【0165】
グループ2 FDC−実施例4(SRT50mg+N250mg)+プラセボ)、N=30
【0166】
グループ3 FDC−実施例4(SRT50mg+N250mg)+ナルトレキソン(N2)(0.01mg)、N=32
【0167】
グループ4 FDC−実施例4(SRT50mg+N250mg)+ナルトレキソン(N2)(0.1mg)、N=33
【0168】
グループ5 FDC−実施例4(SRT50mg+N250mg実施例4)+ナルトレキソン(N2)(1mg)、N=32
【0169】
陽性コントロールFDC(SRT+ナプロキセン250mg、グループ2)を用いて、臨床エンドポイントの感度を求めた。陰性コントロール(プラセボ、プラセボグループ1)を用いて、実薬処置の不在下で起こり得る臨床エンドポイントの変化の頻度及び大きさを確立した。3又は4本の第三臼歯の外科的摘出後、患者が中等度から重度の痛みを経験したとき、単回経口用量の試験薬を投与した。
【0170】
選定基準:(1)任意の人種の少なくとも年齢16歳の男性又は女性(18歳未満の被験者は、独立しているか、又は親(若しくは後見人)が書面によるインフォームドコンセントを提出した場合のみ参加)、(2)英語を話し、理解することができ、意味のある書面によるインフォームドコンセントを提出できる、(3)全体的に良好な健康状態にある外来患者(特に、被験者は肝臓又は腎臓疾患の病歴を有してはならない)、(4)3又は4本の第三臼歯を抜く予定であり(歯の少なくとも1本は下顎の骨に埋伏していなければならない)、被験者はオピオイド鎮痛薬を十分に必要とする手術を受けたとみなされる、(5)初期カテゴリー痛み強度スコアが痛みなし、軽度、中等度、又は重度のスケールで、少なくとも中等度であり、被験者は被験者評価を完了する意思及び能力がある、(6)試験薬物の投与後、少なくとも8時間、その場所にとどまることができる、並びに(7)女性の場合、閉経後であるか、又は身体的に妊娠できないか、又は容認できる避妊法(IUD又はホルモン又は避妊ペッサリーと殺精子薬又は禁欲)を実行しており、容認できる避妊法を実行している場合、さらに試験参加前の3カ月間、正常な月経パターンを維持していなければならず、手術前7日以内に行った尿妊娠検査で陰性でなければならない。
【0171】
除外基準:(1)妊娠又は授乳中、(2)肝臓又は腎臓疾患の病歴がある、(3)痙攣の病歴がある、しかし、若年性熱性痙攣の病歴がある被験者で、過去10年以内に痙攣の病歴がない場合は選定できた、(4)インフォームドコンセントを提出し、適切に試験評価を完了する被験者の能力を害する医学的又は精神医学的状態を有する、(5)オピオイド、タペンタドール、トラマドール、又はナルトレキソン、又はナロキソン、又はナルメフェンナルメフェンに対する既知のアレルギーを有するか又は著しい反応を有する、(6)試験前6カ月以内に慢性オピオイド使用又はオピオイド乱用の病歴がある、(7)試験参加前4週間以内に抗痙攣剤又は三環系抗鬱剤を使用していた(セロトニン再取込み阻害剤及び1日当たり1000mgを超える用量のセント・ジョーンズ・ワートを含む)、(8)現在、モノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOI)を服用しているか、試験参加前2週間以内にMAOIを服用していた、(9)手術前12時間にアルコールを摂取し、8時間の観察期間中にアルコール又はカフェイン含有製品を摂取した、(10)投薬の少なくとも4時間前から試験終了までに以下の薬物のいずれかを服用した:鎮痛薬、アスピリン、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、及びオピオイド(又はオピオイド組み合わせ)を含む;マイナートランキライザ−;筋弛緩薬、及び抗ヒスタミン薬、並びに投薬12時間前から試験観察の完了までに長時間作用型鎮痛薬(例えば、長時間作用型NSAID)を服用した、(11)以前にこの試験に参加した、並びに(12)この試験前30日以内に治験薬又はデバイスの試験に参加した。
【0172】
無作為化:処置する被験者の割り当てにおけるバイアスを回避し、既知及び未知被験者属性(例えば、人口統計及びベースラインの特徴)が処置群にわたって均等に配置される可能性を増大し、治療群の統計的比較の確実性を向上させるために、無作為化を用いた。データ収集及び臨床エンドポイント評価中の潜在的バイアスを低減するために、盲検処置を用いた。無作為化に先立って、以下を遂行した:(1)インフォームドコンセント、(2)病歴及び人口統計、(3)選定及び除外基準、並びに(4)事前及び併用投薬。
【0173】
試験前に用意された、コンピュータで作成した無作為化スケジュールに基づいて、被験者を処置群に割り当てた。無作為化は、置換ブロック法を用いて、バランスを取った。各被験者の試験薬は包装し、この無作為化コードに従ってラベルを付けた。開始痛みに関して処置群間のバランスを取るために、中等度開始痛みを有する被験者は、利用可能なもっとも小さい数の投薬に割り当てた(昇順で次の連続する処置番号)。重度開始痛みを有する被験者は、利用可能なもっとも大きい数の投薬に割り当てた。
【0174】
投薬:すべての選定/除外基準に従った後、中等度から重度の痛みを有する被験者はすべて単回用量の試験薬を受けた。被験者は口から服用する2つのカプセルを受け取り、一方はタペンタドール又はプラセボ、他方はナルトレキソン又はプラセボであった。試験薬は、試験薬容器に被験者ごとに包装された。試験薬は被験者番号によって識別される単回用量ボトルに包装され、それぞれ2つのカプセルを含有した。ラベルはこの試験をPROTOCOL TAとして識別した。各ボトルには、以下の情報を記載した二方向薬物開示ラベルが添付された:被験者番号、注意書き、及び一般的な指示。ラベルには「痛みが中等度から重度であるとき内容物を服用する」という指示が記載された。ラベルの切り取り部分は、試験薬を分配する前に取り除かれ、ラベルページ症例報告書(Label Page Case Report Form)に未開封のまま添付された。
【0175】
手術前24時間に被験者が服用した薬(ビタミン、甲状腺剤又は他の予防薬を含む)は、ベースライン受診時に併用薬症例報告書に報告しなければならなかった。治療下で発現した有害事象のため、併用療法の投与が必要となった場合、適切な症例報告書に報告しなければならなかった。除外基準に照らして禁止される療法は、投与される任意の事例に先立って(又はその後できる限り速やかに)メディカルモニターに通知された。
【0176】
痛み評価法:処置前に痛み評価を行った。歯科手術後、被験者の痛みレベルを、訓練を受けた観察者によって評価した。被験者は、(1)痛み分類区分(0=なし、1=軽度、2=中等度、又は3=重度)を言葉で表現し、さらに(2)0=痛みなしであり、100=想像できる最悪の痛みである0〜100mmの視覚的アナログスケール(VAS)を用い、スケール上に単一の斜線を入れることによって、初期痛み強度を報告した。投薬はカテゴリー回答のみに基づいて決定された。カテゴリー痛みレベルが中等度又は重度であったとき、被験者は試験薬を服用した。
【0177】
痛み評価は処置後にも行った。投薬後、以下の時点:投薬後30分、60分、その後12時間まで毎時に、痛み強度及び痛み軽減が記録された。すべての有効性評価は、訓練を受けた観察者による質問に答えることによって、被験者が日誌に記録した。観察者はすべての観察結果に関して被験者に質問し、必要に応じて指示を与えた。痛み強度は、「現時点でどれだけの痛みがあるか?」という質問に、(1)被験者の回答選択、カテゴリースケールのなし、軽度、中等度、及び重度、及び(2)100mmVAS上の印で答えることによって測定された。ベースラインに対する痛み軽減は、「薬の服用時と比較して、現時点でどれだけの痛み軽減があるか?」という質問に、被験者の回答選択、なし、少し、いくらか、かなり、完全で答えることによって評価された。痛み軽減評価では、被験者はストップウォッチを与えられ、有意な痛み軽減が感じられたとき、ストップウォッチを止めるように求められた。
【0178】
有害事象は、非誘導性(non−directed)の質問によって評価され、投薬後8時間記録された。ヒトにおけるタペンタドールのもっとも一般的な有害副作用に関して(例えば、めまい感、眠気、吐気、嘔吐、頭痛、痒み)、症状チェックリストも用いた。これらの評価は、投薬後30分、60分、その後8時間まで毎時、被験者によって日誌に自身で記録された。
【0179】
8時間の終わりに、又は8時間より早い場合、毎時の観察が終了した時点で、「痛み軽減をどう評価するか?」という質問に、回答選択、優れている、非常に良好、良好、ほぼ良好、又は不良で答えることによって、被験者及び観察者によって全体評価が行われた。有害事象の評価は、レスキュー薬(rescue medication)の投与後、少なくとも1時間継続した。少なくとも1時間目の観察期間を完了しない被験者は、有効性に関して評価不能であるとみなし、入れ替えた。
【0180】
試験は12時間の評価後、又はレスキュー薬を受けた時点で終了した。被験者はどの時点でも試験を中止できた。
【0181】
適切な痛み軽減が得られなかった被験者は、最終となる一連の痛み観察を受けた。その後、被験者はレスキュー薬を与えられ、試験を終了した。被験者は、レスキュー薬を使用する前に、試験薬の投与後少なくとも2時間目まで待つように奨励された。1時間目より早く再投薬した被験者は、有効性の分析に含まれない。8時間の評価中、再投薬しなかった被験者は日誌カードを受け取り、診療所を出た後、再投薬した時間を記録するように求められた。
【0182】
被験者は、レスキュー薬服用後少なくとも1時間、有害事象評価のため試験群にとどまる必要があった。しかしながら、これらの被験者は、試験薬投与後8時間の終わりまで、その場所にとどまることを強く推奨された。
【0183】
有効性評価は、主要及び副次有効性パラメータを用いて行った。主要有効性パラメータには、(1)4時間の総痛み軽減スコア(TOTPAR)(以下に記載)、(2)4時間の痛み強度差の合計(SPID)(カテゴリー及びVAS)(以下に記載)、(3)8時間以内の有意な痛み軽減の発現時間、並びに(4)8時間以内に再投薬した患者の割合が含まれる。副次有効性パラメータには、(1)6及び8時間の総痛み軽減スコア(TOTPAR)、(2)6及び8時間の痛み強度差の合計(SPID)(カテゴリー及びVAS)、(3)毎時痛み軽減スコア、(4)毎時痛み強度差スコア(カテゴリー及びVAS)、(5)8時間以内の再投薬時間、並びに(6)全体評価が含まれる。
【0184】
安全性評価には、(1)有害事象(AE)、及び(2)症状チェックリストが含まれる。試験中に起こるすべての有害事象は、症例報告書に記録されなければならなかった。有害事象は、試験に関連するとみなされるかどうかにかかわらず、試験中に処置される被験者に関連する任意の不都合な医療上の出来事として定義される。試験投薬に関連するとみなされるかどうかにかかわらず、重度であるか又は予期されない有害事象はすべて、倫理上及び規制上の要件に従って、直ちに(治験担当医が情報を得てから24時間以内)メディカルモニターに電話で報告されなければならなかった。上記の通り、ヒトにおけるタペンタドールのもっとも一般的な有害副作用を記録するために、症状チェックリストを用いた。
【0185】
この試験では、標準的な測定及び判定法を用いた。例えば、痛み強度は、カテゴリースケール及びVASの両方を用いて評価したが、これらは鎮痛試験の標準的な測定手段である。カテゴリースケールとレスキュー薬の投与までの時間の測定を用いる痛み軽減の全体評価は、いずれも標準的な測定である。安全性の尺度(病歴、有害事象、及び併用薬)も標準的な判定法である。
【0186】
データ分析:データ分析のために、計算されたパラメータは以下の通りであった。試験期間を通じて痛み強度が変化する程度は、全痛み軽減スコア(TOTPAR)及び痛み強度差の合計(SPID)によって測定された。TOTPARは、4、6、及び8時間の観察期間にわたる痛み軽減スコア(PAR)(0=なし、1=少し、2=いくらか、3=かなり、4=完全)の合計として定義された。各時点の痛み強度差(PID)は、0時間での痛み強度スコアと観察点でのスコア(0=なし、1=軽度、2=中等度、3=重度)の差として算出された。SPIDは、4、6、及び8時間の観察期間にわたるPIDの合計として定義された。VAS−PID及びVAS−SPIDは、VASスコアに関して同様に定義された。レスキュー薬の投与後に行った欠損値及び評価は、最終観測値繰越手順(Last Observation Carried Forward)(LOCF)によって補完した。
【0187】
主な解析被験者集団は、包括(Intent−To−Treat)(ITT)集団であり、これは無作為化したすべての被験者を含んだ。有効性の分析はすべてITT集団で行った。加えて、有効性の分析は、無作為化され、投薬後に痛み又は緩和評価を有し、少なくとも1時間、試験にとどまった被験者を含む評価可能な集団でも行った。
【0188】
一元配置分散分析(ANOVA)をTOTPAR、SPID、及びVAS−SPIDに対して行った。それぞれの組み合わせ処置を、ファミリワイズタイプ1の誤差を制御するために、Hochbergの手順(Biometrik 75:800(1988))を用い、フィッシャの最小有意差検定(LSD)によって単独のタペンタドールと比較した。すべてのペアワイズ比較で、すべての処置による全分散分析の平均二乗誤差を、推定誤差分散として用いた。同様の技法を痛み軽減、PID、及びVAS−PIDに用いた。
【0189】
再投薬(又はレスキュー薬の投与)までの時間を、生存分布関数を計算するために、カプラン・マイヤー推定を用いて分析した。この分布を、ログランク検定を用いて群間で比較した。再投薬が起こらなかった場合、被験者は8時間で打ち切りとみなされた。ペアワイズ比較は、LIFETEST法を用いて行った。Hochbergの手順を用いて、ファミリワイズタイプ1の誤差を制御した。有意な緩和の発現時間(ストップウォッチで求めた)も同様に分析した。有意な緩和を得られなかったか、又はレスキュー薬を服用した被験者は、処置の失敗とみなされ、8時間又はレスキュー薬を服用した時間の値を割り当てられた。上記のすべての分析において、ベースライン痛み強度を層別因子として用いることができた。開始痛み強度、全体評価、及び有害副作用の分布が示された。サンプルサイズは、予期される測定差の算出からではなく、病歴及び実際的な考察から推定された。
【0190】
有効性の分析は、2つの集団:ITT集団及び評価可能集団で行った(表1)。ITT集団は、無作為化され、試験薬を服用し、無作為化後データを有するすべての被験者を含んだ。評価可能集団は、投薬後の痛み又は緩和評価を有し、投与後の最初の1時間以内にレスキュー薬を服用しなかったITT被験者のみから構成された。
【0191】
試験4:ナルトレキソンと組み合わせたタペンタドール+プレガバリンによるヒトの処置
この試験は、二重盲検、無作為化、プラセボ対照、2期間交差デザインであった。12時間後、170人の糖尿病患者(2型糖尿病を有する男性90人、女性80人、年齢[平均±標準誤差]61.7±1.6歳、糖尿病罹患期間8.8±1.5年、痛み性神経障害期間2.2±0.4年)は、グループ1(プラセボ+プラセボ)、グループ2(Tap100mg+P250mg)+プラセボ)、グループ3(Tap100mg+P250mg)+ナルトレキソン(N2)(0.01mg)、グループ4(Tap100mg+P250mg)+ナルトレキソン(N2)(0.1mg)、グループ5(Tap100mg+P250mg)+ナルトレキソン(N2)(1mg)のいずれかを受けるように、無作為に分けられた。参加者のうち、154人の患者が成功裡に試験を完了した。視覚的アナログスケール(VAS)を用い、2時間ごとに痛み及び他の感覚性症状を評価した。患者の特徴を表4に示す。
【表10】
【0192】
患者はいずれも治療が困難な痛み性神経障害の長い病歴を有し、症状が反応しないため、又は許容できない副作用のため、アセトアミノフェン、デュロキセチン、アミトリプチリン、又はガバペンチンなどの様々な薬物を試してきた。適した被験者には、神経障害性痛みに関して他の投薬を受けておらず、糖尿病が安定にコントロールされている、1型及び2型糖尿病患者が含まれた。除外基準には、血糖管理異常、足の脈が触れない末梢血管疾患(PVD)、活動性足潰瘍の存在、舌下トリニトログリセリンによる治療、勃起障害薬を服用している患者、患者の痛み評価に影響を及ぼす因子、及び末梢神経障害の他の原因の存在が含まれた。試験期間中、糖尿病の治療に大きな変更は行わなかった。
【0193】
導入期間の最初に、患者は神経学的に評価され、その後、グループ1(プラセボ+プラセボ)、グループ2(Tap100mg+P250mg、実施例3)+プラセボ)、グループ3(Tap100mg+P250mg、実施例3)+ナルトレキソン(N2)(0.01mg)、グループ4(Tap100mg+P250mg、実施例3)+ナルトレキソン(N2)(0.1mg)、グループ5(Tap100mg+P250mg、実施例3)+ナルトレキソン(N2)(1mg)のいずれかの処置を受けるように、無作為に割り当てられた。痛みに関して、10cmの視覚的アナログスケール(VAS)が患者によって2週間ごとに記録され、ここで0は痛みがまったくないことを意味し、10はこれまでに経験したもっとも重度の痛みを意味する。治療効果は、それぞれの治療段階に関して、リッカートスケール(Lickert scale)上での最終スコアとベースラインスコアの差異と定義された。
【0194】
本発明の目的は、糖尿病性神経障害に関連する痛み強度の有効性主要評価項目に関して、タペンタドール+プレガバリンと比較して、統計的に有意であり、臨床的に意義のある低減をもたらす、タペンタドール及びプレガバリン及びナルトレキソンを含む固定用量合剤によって達成される。本出願人等は、臨床的に著しい利益は、他の治療と比較して、少なくとも15%の痛みスコア(VAS)の低減であろうと考えた。
【0195】
試験5:タペンタドールとメチルナルトレキソンによるヒトの処置
本発明を確立するために、Nectidは、304人の痛み患者を含むヒト臨床試験を行い、そのうちの253人の患者が試験を完了した。患者は、タペンタドール単独、又は3つの異なる用量0.01、0.1、及び1.0mgのナルトレキソンと組み合わせたタペンタドールを投与された。陽性コントロール及び陰性コントロールと比較して、タペンタドールと様々な用量のメチルナルトレキソン塩酸塩の併用組み合わせの鎮痛有効性を測定した。そのような組み合わせの便秘に対する影響も測定した。
【0196】
この無作為化、二重盲検、実薬対照及びプラセボ対照、並行群間試験において、試験の1つの目的は、メチルナルトレキソン塩酸塩(以下MNTXと称する)が、歯科手術後の痛みを有する被験者/患者において、タペンタドール塩酸塩(以下Tapと称する)の鎮痛特性を増強するかどうかを判定することであった。別の目的は、メチルナルトレキソンが、ヒトにおいてタペンタドールに誘発された便秘を低減したかどうかを評価することであった。
【0197】
304人の被験者が実際に試験に参加し、そのうちの254人が試験を完了した。陽性コントロールタペンタドール及び陰性コントロール(プラセボ)を用い、被験者は以下の5つの処置群の1つに無作為に分けた。5つの処置群に実際に割り当てられた被験者数は以下の通りである。
【0198】
グループ1 プラセボとプラセボ 51
【0199】
グループ2 T(50mg)とプラセボ 50
【0200】
グループ3 T(50mg)とメチルナルトレキソン(0.01mg):51
【0201】
グループ4 T(50mg)とメチルナルトレキソン(0.1mg):52
【0202】
グループ5 T(50mg)とメチルナルトレキソン(1mg):50
【0203】
陽性コントロール(タペンタドール50mg、グループ2)を用いて、臨床エンドポイントの感度を求めた。陰性コントロール(プラセボ、グループ1)を用いて、実薬処置の不在下で起こり得る臨床エンドポイントの変化の頻度及び大きさを確立した。3又は4本の第三臼歯の外科的摘出後、患者が中等度から重度の痛みを経験したとき、単回経口用量の試験薬剤を投与した。
【0204】
結果
本発明は、以下の代表的な臨床試験の結果によって例示される。示される図表は例示のために示されるに過ぎず、本発明の範囲を決して限定しない。当業者はオピオイドアゴニスト及びアンタゴニストを用いて、容易に試験を改変することができる。
【0205】
図1は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:タペンタドール(50mg)とプラセボ、グループ3:タペンタドール(50mg)とナロキソン(0.1mg)、グループ4:タペンタドール(50mg)とナルトレキソン(0.1mg)、グループ5:タペンタドール(50mg)とナルメフェン(0.1mg)の4時間の総痛み軽減スコア(TOTPAR)を示す。
【0206】
図2は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:タペンタドール(50mg)とプラセボ、グループ3:タペンタドール(50mg)とナロキソン(0.1mg)、グループ4:タペンタドール(50mg)とナルトレキソン(0.1mg)、グループ5:タペンタドール(50mg)とナルメフェン(0.1mg)の0〜12、0〜8、及び0〜4時間の毎時痛み軽減スコアを示す。
【0207】
図3は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:タペンタドール(50mg)とプラセボ、グループ3:タペンタドール(50mg)とナロキソン(0.1mg)、グループ4:タペンタドール(50mg)とナルトレキソン(0.1mg)、グループ5:タペンタドール(50mg)とナルメフェン(0.1mg)の4時間、8時間、及び12時間でのΔ平均痛み軽減スコアの変化を示す。
【0208】
図4は、タペンタドールと種々のオピオイドアンタゴニストに伴う主要な副作用の比較を示す。
【0209】
図5は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:(SRT100mg、実施例2)とプラセボ、グループ3:(SRT100mg、実施例2)とナルトレキソンN1(0.1mg)、グループ4:(SRT100mg、実施例2)とナロキソンN2(0.1mg)、グループ5:(SRT100mg、実施例2)とナルメフェンN3(0.1mg)、及び6群:FDC(SRT100mg+ナルトレキソンN1(1mg、実施例7)の4時間の総痛み軽減スコア(TOTPAR)を示す。
【0210】
図6は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:(SRT100mg、実施例2)とプラセボ、グループ3:(SRT100mg、実施例2)とナルトレキソンN1(0.1mg)、グループ4:(SRT100mg、実施例2)とナロキソンN2(0.1mg)、グループ5:(SRT100mg、実施例2)とナルメフェンN3(0.1mg)、及び6群:FDC(SRT100mg+ナルトレキソンN1(1mg、実施例7)の0〜12、0〜8、及び0〜4時間の毎時痛み軽減スコアを示す。
【0211】
図7は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:(SRT100mg、実施例2)とプラセボ、グループ3:(SRT100mg、実施例2)とナルトレキソンN1(0.1mg)、グループ4:(SRT100mg、実施例2)とナロキソンN2(0.1mg)、グループ5:(SRT100mg、実施例2)とナルメフェンN3(0.1mg)、及び6群:FDC(SRT100mg+ナルトレキソンN1(1mg、実施例7)の4時間、8時間、及び12時間でのΔ平均痛み軽減スコアの変化を示す。
【0212】
図8は、徐放性タペンタドールと種々のアンタゴニストに伴う主要な副作用の比較を示す。
【0213】
図9は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とプラセボ、グループ3:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とN2(0.01mg)、グループ4:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とN2(0.1mg)、グループ5:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とN2(1mg)の4時間の総痛み軽減スコア(TOTPAR)を示す。
【0214】
図10は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とプラセボ、グループ3:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とN2(0.01mg)、グループ4:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とN2(0.1mg)、グループ5:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とN2(1mg)の0〜12、0〜8、及び0〜4時間の毎時痛み軽減スコアを示す。
【0215】
図11は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とプラセボ、グループ3:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とN2(0.01mg)、グループ4:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とN2(0.1mg)、グループ5:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とN2(1mg)の4時間、8時間、及び12でのΔ平均痛み軽減スコアの変化を示す。
【0216】
図12は、グループ1:(プラセボとプラセボ)、グループ2:(FDC−実施例3、タペンタドール100mg+プレガバリン250mg)+プラセボ)、グループ3:(FDC−実施例3、タペンタドール100mg+プレガバリン250mg)+N2(0.01mg)、グループ4:(FDC−実施例3、タペンタドール100mg+プレガバリン250mg)+N2(0.1mg)、グループ5:(FDC−実施例3、タペンタドール100mg+プレガバリン250mg)+N2(1mg)のVAS痛みスコアにおける平均VAS痛みスコア変化を示す。
【0217】
図13は、グループ1:(プラセボとプラセボ)、グループ2:(FDC−実施例3、タペンタドール100mg+プレガバリン250mg)+プラセボ)、グループ3:(FDC−実施例3、タペンタドール100mg+プレガバリン250mg)+N2(0.01mg)、グループ4:(FDC−実施例3、タペンタドール100mg+プレガバリン250mg)+N2(0.1mg)、グループ5:(FDC−実施例3、タペンタドール100mg+プレガバリン250mg)+N2(1mg)のVAS痛みにおけるΔ平均VAS痛みスコア変化を示す。
【0218】
図14は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:タペンタドール(50mg)とプラセボ、グループ3:タペンタドール(50mg)とメチルナルトレキソン(0.01mg)、グループ4:タペンタドール(50mg)とメチルナルトレキソン(0.1mg)、グループ5:タペンタドール(50mg)とメチルナルトレキソン(1mg)の4時間の総痛み軽減スコア(TOTPAR)を示す。
【0219】
図15は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:タペンタドール(50mg)とプラセボ、グループ3:タペンタドール(50mg)とメチルナルトレキソン(0.01mg)、グループ4:タペンタドール(50mg)とメチルナルトレキソン(0.1mg)、グループ5:タペンタドール(50mg)とメチルナルトレキソン(1mg)の0〜12、0〜8、及び0〜4時間の毎時痛み軽減スコアを示す。
【0220】
図16は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:タペンタドール(50mg)とプラセボ、グループ3:タペンタドール(50mg)とメチルナルトレキソン(0.01mg)、グループ4:タペンタドール(50mg)とメチルナルトレキソン(0.1mg)、グループ5:タペンタドール(50mg)とメチルナルトレキソン(1mg)の4時間、8時間、及び12時間でのΔ平均痛み軽減スコアの変化を示す。
【0221】
図17は、様々な用量のメチルナルトレキソンによるタペンタドール誘発性副作用である便秘の程度の比較を示す。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2008年10月30日出願の米国特許仮出願第61/197625号、2009年1月21日出願の第61/205312号、及び2009年6月15日出願の第61/268630号の優先権を主張し、これらすべては参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、第2鎮痛薬を含むか又は含まない、少なくとも1つの形態のタペンタドール、及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む医薬剤形であって、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善し、タペンタドールの副作用を低減する医薬剤形に関する。これらの剤形は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストの即放性及び徐放性剤形を含み、前記タペンタドールは、最適量又は準最適(suboptimal)量である。
【背景技術】
【0003】
タペンタドール、3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール)は、μ−オピオイド受容体アゴニズム及びノルアドレナリン再取り込み阻害の二重作用モードを有する中枢作用性鎮痛薬である。その二重作用モードは、より許容可能な副作用プロファイルで、ヒドロコドン、オキシコドン、及びモルヒネなどのより強力な麻薬性鎮痛薬と同様のレベルの鎮痛作用を提供する。タペンタドールは、最初に欧州特許第693475号、米国特許第6248737号、及び米国特許再発行第39593号に開示され、特許請求された。タペンタドールの即放性医薬組成物は、United States Food and Drug Administration Approved New Drug Application number 22−304の対象である。
【0004】
急性痛及び慢性痛の治療に用いられる、いくつかのクラスの鎮痛化合物がある。これらのクラスには、アセトアミノフェン、NSAID例えばナプロキセン、メロキシカムなど、CINOD例えばナプロキシノド、OPIATE例えばモルヒネ、トラマドール、タペンタドール、オキシコドンなど、GABA類似体例えばプレガバリン、及びSNRI例えばデュロキセチンなどが含まれる。
【0005】
GABA類似体であるプレガバリンは、部分発作の補助療法として、及び全般性不安障害において、神経障害性痛に用いられる抗痙攣薬である。プレガバリンは、ガバペンチンのより強力な後継薬として設計され、Pfizerから商品名Lyrica(登録商標)で販売されている。一般にプレガバリンは、グルタミン酸塩、ノルアドレナリン、及びサブスタンスPを含むいくつかの神経伝達物質の放出を低減する。ガバペンチンは、プレガバリンに類似した別のGABA類似体であり、当初は神経伝達物質γ−アミノ酪酸(GABA)の化学構造を模倣するように合成されたが、同じ脳受容体に作用するとは考えられていない。ガバペンチンの正確な機序はわかっていないが、神経障害性痛における治療作用は、電位依存性N型カルシウムイオンチャネルに関与すると考えられている。ガバペンチンは、中枢神経系において電位依存性カルシウムチャネルのα2δサブユニットに結合すると考えられている。
【0006】
NSAID、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)には、これに限定されるものではないが、ジクロフェナク、セレコキシブ、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、及びケトロラクが含まれ、痛みの治療に用いられる。
【0007】
セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)は、臨床的鬱病、不安障害、強迫性障害、注意欠陥過活動性障害(ADHD)、及び慢性神経障害性痛の治療に用いられる抗鬱剤の1つのクラスである。SNRIは、気分に重要な役割を果たすことが知られている脳の2種の神経伝達物質、すなわちセロトニン及びノルエピネフリンに作用する。SNRIの例には、ベンラファキシン、デュロキセチン、ミルナシプラン、及びデスベンラファキシンなどが含まれる。
【0008】
5−HT受容体に作用する薬物は通例、5−HTアゴニストと称される。5HT1アゴニストが知られており、片頭痛を含む頭痛の治療に用いられる。5HT1アゴニストは1990年代に初めて紹介された。5HT1アゴニストは個々の頭痛には有効であるが、予防薬でも治療薬でもない。トリプタンには、スマトリプタン(Imitrex、Imigran)、リザトリプタン(Maxalt)、ナラトリプタン(Amerge、Naramig)、ゾルミトリプタン(Zomig)、エレトリプタン(Relpax)、アルモトリプタン(Axert、Almogran)、及びフロバトリプタン(Frova、Migard)が含まれる。
【0009】
一酸化窒素供与型シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、すなわち「CINOD」は、一酸化窒素(NO)放出基を有し、No−NSAIDとも称される。CINODには、これに限定されるものではないが、特にナプロキシノドが挙げられる。
【0010】
プロトンポンプ阻害薬(「PPI」)は、顕著で長期にわたる胃酸生成の低減を生じる薬物群である。PPIは構造的に、一般にはベンゾイミダゾール及びベンゾイミダゾール様誘導体である。主要なPPIには臨床的に用いられるプロトンポンプ阻害薬:オメプラゾール(商品名:Losec、Prilosec、Zegerid、ocid)、ランソプラゾール(商品名:Prevacid、Zoton、Inhibitol)、エソメプラゾール(商品名:Nexium)、パントプラゾール(FORMULA15)(商品名:Protonix、Somac、Pantoloc、Pantozol、Zurcal、Pan)、ラベプラゾール(商品名:Rabecid、Aciphex、Pariet、Rabeloc、Dorafem)が含まれる。
【0011】
これらの痛みのための薬物から得られる利益にもかかわらず、懸念される一領域は、これらの薬物に起因する望ましくない副作用の発生に関する。このように、その剤形が増強された鎮痛特性を有し、できる限り副作用の少ない、タペンタドールを含む医薬剤形の開発が依然として求められている。したがって、痛み軽減の程度を含むことなく患者の副作用を軽減するために、これらの薬物の用量が低減された剤形を開発することが望ましい。
【0012】
可能性のある副作用及び乱用に対処するためのアンタゴニストの使用が当分野で知られている。オピオイドアンタゴニストは、オピオイド受容体の応答を改変する物質である。オピオイドアンタゴニストには、ナロキソン、ナルトレキソン、ジプレノルフィン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、ナリネフェン(nalinefene)、シクラザシン、レバロルファン、医薬的に許容されるそれらの塩、及びそれらの混合物が含まれる。
【0013】
例えば、米国特許第5866164号は、オピオイド鎮痛薬を含む多層、及びこのオピオイド鎮痛薬のアンタゴニストを含み、同時に押出し機能に作用する第2相を含む投与系を記載している。Crain等の米国特許第5472943号は、アゴニストをオピオイドアンタゴニストと共に投与することによって、二様式作用性オピオイドアゴニストの鎮痛効力を増強する方法を記載している。米国特許第6277384号は、依存者への投与に悪影響をもたらす、特定の比率のオピオイドアゴニストとオピオイドアンタゴニストの組み合わせを含有する剤形を提供すると主張した。米国特許第6228863号は、2種の化合物をそれぞれの場合に剤形から一緒に引き出すことができ、それらを分離するためにさらなる処理が必要とされる、オピオイドアゴニストとオピオイドアンタゴニストの組み合わせを含有する剤形を記載している。米国特許第6765010号の開示は、トラマドールの有効性を改善するためのトラマドールとオピオイドアンタゴニストを含む組成物及び方法に関する。米国特許出願第2005/0191244号は、オピオイドアゴニスト、アンタゴニスト、及びオピオイドアゴニストの乱用を防ぐためのゲル化剤又は刺激物を含むオピオイドアゴニスト製剤を記載している。米国特許第6716449号は、オピオイドアゴニストの鎮痛効力を増強するための、制御放出オピオイドアゴニストと制御放出オピオイドアンタゴニストの組み合わせを記載しており、米国特許第7332142号は、オピオイドアゴニスト、オピオイドアンタゴニスト、及び乱用を低減すると主張する刺激物を含む医薬組成物を記載している。Carroll等の米国特許第6559159号は、オピオイド関連依存症を治療するための、κ受容体アンタゴニストの使用を記載している。米国特許第6309668号は、錠剤の個別の層に1種以上の薬物及び1種以上のゲル化剤を含む、2つ以上の層を含有する経口投与用の錠剤を記載している。米国特許第6228863号は、特定のオピオイドアゴニスト及びアンタゴニスト対、並びにアンタゴニストが容易にアゴニストから抽出されないような濃度を選択することによって、オピオイド鎮痛薬の経口剤形の乱用可能性を低減することを教示している。米国特許第6277384号、第6375957号、及び第6475494号は、経口で送達されたとき、鎮痛薬として有効であるが、身体的に依存している対象においては嫌悪される比率で、経口で活性なオピオイドアゴニストと経口で活性なオピオイドアンタゴニストの組み合わせを含む経口剤形を記載している。
【0014】
従来技術は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含み、前記タペンタドールが最適量又は準最適量であり、前記アンタゴニストがタペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減するのに有効な量である剤形を開示していない。同様に、それを必要としている患者に、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含み、前記タペンタドールが最適量又は準最適量であり、前記アンタゴニストがタペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減するのに有効な量である剤形を投与することによって、痛みを治療する方法は当分野で報告されていない。同様に、従来技術は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含み、前記タペンタドールが最適量又は準最適量であり、前記アンタゴニストがタペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減するのに有効な量である剤形であって、前記剤形が、ヒト患者に経口投与されたとき、有効な痛み軽減を少なくとも約12時間、又は少なくとも約24時間提供する剤形を開示していない。
【0015】
同様に、従来技術は、少なくとも1つの形態のタペンタドール、及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び治療有効量の第2鎮痛薬を含み、前記アンタゴニストがタペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減する剤形も、それを必要としている患者に、少なくとも1つの形態のタペンタドール、及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト(前記タペンタドールが最適量又は準最適量であり、前記アンタゴニスト)、及び治療有効量の第2薬物を含み、前記アンタゴニストがタペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減する剤形を投与することによって、痛み及び痛み関連状態を治療する方法も開示していない。第2鎮痛薬は、NSAID、アセトアミノフェン、GABA類似体、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、一酸化窒素供与型シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、HTアゴニスト、及びプロトンポンプ阻害薬、トラマドール、ヒドロモルホン、ファキセラドール(faxeladol)、アキソマドール、オキシコドン、ヒドロコドン、フェンタニル、モルヒネ、医薬的に許容されるそれらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】欧州特許第693475号
【特許文献2】米国特許第6248737号
【特許文献3】米国特許再発行第39593号
【特許文献4】米国特許第5866164号
【特許文献5】米国特許第5472943号
【特許文献6】米国特許第6277384号
【特許文献7】米国特許第6228863号
【特許文献8】米国特許第6765010号
【特許文献9】米国特許出願第2005/0191244号
【特許文献10】米国特許第6716449号
【特許文献11】米国特許第7332142号
【特許文献12】米国特許第6559159号
【特許文献13】米国特許第6309668号
【特許文献14】米国特許第6228863号
【特許文献15】米国特許第6277384号
【特許文献16】米国特許第6375957号
【特許文献17】米国特許第6475494号
【特許文献18】米国特許第3845770号
【特許文献19】米国特許第3916899号
【特許文献20】米国特許第4034758号
【特許文献21】米国特許第4077407号
【特許文献22】米国特許第4783337号
【特許文献23】米国特許第5071607号
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Encyclopedia of Polymer Science and Technology、Vol.10(1969)、John Wiley & Sons刊
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のアンタゴニストを含む剤形、並びにヒトにおいて、タペンタドールの有効性を改善するか及び/又はその有害な作用を最小限に抑える方法を提供することに関する。本発明の組成物及び方法は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストの即放性及び徐放性剤形を含み、前記タペンタドールは、最適量又は準最適量である。これらの剤形には、少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアゴニスト、及び治療有効量の第2鎮痛薬を含み、前記アンタゴニストがタペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減するものが含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、前記タペンタドールが、最適量又は準最適量であり、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減する量で存在する剤形を提供することである。
【0020】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形を投与することによって、痛みを治療する方法であって、前記タペンタドールが、最適量又は準最適量であり、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減する量で存在する方法を提供することである。
【0021】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な痛み軽減を少なくとも約12時間提供する剤形を提供することである。
【0022】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形を投与することによって、痛みを治療する方法であって、前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な痛み軽減を少なくとも12時間提供する方法を提供することである。
【0023】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な痛み軽減を約24時間提供する剤形を提供することである。
【0024】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形を投与することによって痛みを治療する方法であって、前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な痛み軽減を約24時間提供する方法を提供することである。
【0025】
さらに本発明は、少なくとも形態のタペンタドール、及び少なくとも形態のタペンタドールの有効性を改善するのに有効な少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを対象に投与することによって、対象において、少なくとも形態のタペンタドールの有効性を改善する方法であって、前記タペンタドールが、最適量又は準最適量である方法を提供する。好ましいオピオイドアンタゴニストには、ナルトレキソン、ナロキソン、又はナルメフェンが含まれる。タペンタドールの蓄積1日投与量を増加又は低減することなく、1つ以上の副作用を最小限に抑えながら、少なくとも1つの形態のタペンタドールの有効性を維持することができる。
【0026】
本発明の別の目的は、少なくとも形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを対象に投与することによって、少なくとも形態のタペンタドールの対象への投与に伴う有害副作用を最小限に抑える方法であって、前記タペンタドールが、最適量又は準最適量であり、前記アンタゴニストが、有害副作用を最小限に抑えるのに有効な量である方法を提供することである。有害副作用には、これに限定されるものではないが、吐気、嘔吐、めまい感、頭痛、傾眠、又は痒みが含まれる。
【0027】
本発明はさらに、少なくとも形態のタペンタドール、第2鎮痛薬、タペンタドールの有効性を改善するのに有効な少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを対象に投与することによって、対象において痛みを治療する方法、並びに少なくとも1つの形態のタペンタドール、第2鎮痛薬、及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを投与することによって、対象において少なくとも形態のタペンタドールで痛みを治療し、タペンタドールの有害副作用を最小限に抑える方法であって、前記タペンタドールが、最適量又は準最適量であり、前記オピオイドアンタゴニストが、有害副作用を最小限に抑えるのに有効な量で存在する方法を提供する。
【0028】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び第2鎮痛薬を含む剤形であって、前記タペンタドールが、最適量又は準最適量であり、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減する剤形を提供することである。
【0029】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び第2鎮痛薬を含む剤形を投与することによって、痛みを治療する方法であって、前記タペンタドールが、最適量又は準最適量であり、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減する方法を提供することである。
【0030】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び第2鎮痛薬を含む剤形であって、前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な痛み軽減を少なくとも約12時間提供する剤形を提供することである。
【0031】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び第2鎮痛薬を含む剤形を投与することによって、痛みを治療する方法であって、前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な痛み軽減を少なくとも12時間提供する方法を提供することである。
【0032】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び第2鎮痛薬を含む剤形であって、前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な痛み軽減を約24時間提供する剤形を提供することである。
【0033】
本発明の一目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び第2鎮痛薬を含む剤形を投与することによって、痛みを治療する方法であって、前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な痛み軽減を約24時間提供する方法を提供することである。
【0034】
さらに本発明は、少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び第2鎮痛薬を含む剤形を対象に投与することによって、対象において少なくとも形態のタペンタドールの有効性を改善する方法であって、前記タペンタドールが、最適量又は準最適量である方法を提供する。好ましいオピオイドアンタゴニストには、ナルトレキソン、ナロキソン、又はナルメフェンが含まれる。タペンタドールの蓄積1日投与量を増加又は低減することなく、1つ以上の副作用を最小限に抑えながら、少なくとも1つの形態のタペンタドールの有効性を維持することができる。
【0035】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び第2鎮痛薬を含む剤形を対象に投与することによって、少なくとも形態のタペンタドールの対象への投与に伴う有害副作用を最小限に抑える方法であって、前記タペンタドールが、最適量又は準最適量であり、前記アンタゴニストが、有害副作用を最小限に抑えるのに有効な量である方法を提供することである。有害副作用には、これに限定されるものではないが、吐気、嘔吐、めまい感、頭痛、傾眠、又は痒みが含まれる。
【0036】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び第2鎮痛薬を含む剤形であって、その剤形が経口投与されると、オピオイドアンタゴニストを含まない剤形の投与によって生じる有害事象プロファイルより良好な有害事象プロファイルを生じる剤形を提供することである。
【0037】
さらに本発明は、オピオイドアンタゴニスト、及び少なくとも1種の追加薬物と組み合わせてタペンタドールの鎮痛効力を増強し、及び/又はその有害作用、特にヒトにおいて有害副作用を最小限に抑える剤形及び方法であって、活性剤の1つが徐放形態である剤形及び方法を提供する。ヒトにおけるタペンタドールの原則的な有害副作用には、めまい感、吐気、便秘、頭痛、傾眠、嘔吐、痒み、CNS刺激、痙攣、無力、消化不良、下痢、口渇、及び/又は発汗が含まれる。
【0038】
いくつかの好ましい実施形態において、第2薬物は、NSAID、アセトアミノフェン、GABA類似体、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、一酸化窒素供与型シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、HTアゴニスト、及びプロトンポンプ阻害薬、トラマドール、ヒドロモルホン、ファキセラドール、アキソマドール、オキシコドン、ヒドロコドン、フェンタニル、モルヒネ、医薬的に許容されるそれらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの好ましい実施形態において、オピオイドアンタゴニストは、ナルトレキソン、ナロキソン、ナルメフェン、医薬的に許容されるそれらの塩、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態において、剤形は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含み、剤形は、経皮送達系、口腔粘膜送達系、鼻腔内投与に適した剤形、口腔送達系、注射可能な剤形、及び固体経口剤形である。
【0040】
本発明の別の実施形態において、剤形には、これに限定されるものではないが、顆粒、スフェロイド(spheroid)、ペレット、多粒子、エアロゾル、カプセル、パッチ、錠剤、サシェ、制御放出懸濁液、又はそのような顆粒、スフェロイド、ペレット、若しくは多粒子を取り入れた他の任意の適切な剤形が含まれる。
【0041】
本発明を以下の図面によって例示する。図面は例示のために示すものであり、本発明の範囲を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、ナロキソン(0.1mg)、ナルトレキソン(0.1mg)、及びナルメフェン(0.1mg)とタペンタドール50mgに関する4時間の総痛み軽減スコア(TOTPAR)を示す。
【図2】図2は、ナロキソン(0.1mg)、ナルトレキソン(0.1mg)、及びナルメフェン(0.1mg)とタペンタドール50mgに関する0〜12、0〜8、及び0〜4時間の毎時痛み軽減スコアを示す。
【図3】図3は、ナロキソン(0.1mg)、ナルトレキソン(0.1mg)、及びナルメフェン(0.1mg)とタペンタドール50mgに関する4時間、8時間、及び12時間でのΔ平均痛み軽減スコアの変化を示す。
【図4】図4は、ナロキソン(0.1mg)、ナルトレキソン(0.1mg)、及びナルメフェン(0.1mg)とタペンタドール50mgに伴う主要な副作用の比較を示す。
【図5】図5は、ナロキソン(0.1mg)、ナルトレキソン(0.1mg)、及びナルメフェン(0.1mg)と徐放性タペンタドール100mg、並びに徐放性タペンタドール100mgとナルトレキソン1mgに関する固定用量合剤の4時間の総痛み軽減スコア(TOTPAR)を示す。
【図6】図6は、ナロキソン(0.1mg)、ナルトレキソン(0.1mg)、及びナルメフェン(0.1mg)と徐放性タペンタドール100mg、並びに徐放性タペンタドール100mgとナルトレキソン1mgに関する固定用量合剤の0〜12、0〜8、及び0〜4時間の毎時痛み軽減スコアを示す。
【図7】図7は、ナロキソン(0.1mg)、ナルトレキソン(0.1mg)、及びナルメフェン(0.1mg)と徐放性タペンタドール100mg、並びに徐放性タペンタドール100mgとナルトレキソン1mgに関する固定用量合剤の4時間、8時間、及び12時間でのΔ平均痛み軽減スコアの変化を示す。
【図8】図8は、ナロキソン(0.1mg)、ナルトレキソン(0.1mg)、及びナルメフェン(0.1mg)と徐放性タペンタドール100mg、並びに徐放性タペンタドール100mgとナルトレキソン1mgに関する固定用量合剤に伴う主要な副作用の比較を示す。
【図9】図9は、タペンタドール100mg+ナプロキセン250mgとナルトレキソンに関する4時間の総痛み軽減スコア(TOTPAR)を示す。
【図10】図10は、タペンタドール100mg+ナプロキセン250mgとナルトレキソンに関する0〜12、0〜8、及び0〜4時間の毎時痛み軽減スコアを示す。
【図11】図11は、タペンタドール100mg+ナプロキセン250mgとナルトレキソンに関する4時間、8時間、及び12時間でのΔ平均痛み軽減スコアの変化を示す。
【図12】図12は、タペンタドール100mg+プレガバリン250mgとナルトレキソンに関する平均VAS痛みスコア変化を示す。
【図13】図13は、タペンタドール100mg+プレガバリン250mgとナルトレキソンに関するVAS痛みにおけるΔ平均VAS痛みスコア変化を示す。
【図14】図14は、メチルナルトレキソン(0.01mg)、メチルナルトレキソン(0.1mg)、及びメチルナルトレキソン(1mg)とタペンタドール(50mg)に関する4時間の総痛み軽減スコア(TOTPAR)を示す。
【図15】図15は、メチルナルトレキソン(0.01mg)、メチルナルトレキソン(0.1mg)、及びメチルナルトレキソン(1mg)とタペンタドール(50mg)に関する0〜12、0〜8、及び0〜4時間の毎時痛み軽減スコアを示す。
【図16】図16は、メチルナルトレキソン(0.01mg)、メチルナルトレキソン(0.1mg)、及びメチルナルトレキソン(1mg)とタペンタドール(50mg)に関する4時間、8時間、及び12時間でのΔ平均痛み軽減スコアの変化を示す。
【図17】図17は、メチルナルトレキソン(0.01mg)、メチルナルトレキソン(0.1mg)、及びメチルナルトレキソン(1mg)とタペンタドール(50mg)に伴う便秘の程度の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明で用いられる用語「第2薬物」又は「第2鎮痛薬」は、痛みを緩和するために用いられる任意の薬物を含むことが意図され、薬物はNSAID、アセトアミノフェン、GABA類似体、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、一酸化窒素供与型シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、HTアゴニスト、及びプロトンポンプ阻害薬、トラマドール、ヒドロモルホン、ファキセラドール、アキソマドール、オキシコドン、ヒドロコドン、フェンタニル、モルヒネ、医薬的に許容されるそれらの塩、及びそれらの混合物、並びに三環系抗鬱剤及び抗痙攣剤を含む、神経障害性痛症候群を治療するために用いられる、通常は鎮痛薬とみなされない様々な他のクラスの薬物からなる群から選択される。
【0044】
本発明において用語「帯域幅(band range)」は、溶出曲線上の任意の溶出時点で被覆生成物から放出された活性剤の変化率として表わされる、被覆生成物の製造完了時の製剤(貯蔵前)によって得られた溶出プロファイル(曲線)と被覆生成物が促進貯蔵条件に暴露された後に得られた溶出プロファイルを比較したときの制御放出製剤のインビトロでの溶出測定値の差異として定義される。
【0045】
本明細書で用いられる用語「抗鎮痛作用(antianalgesia)」は、外因性鎮痛薬の作用に対抗する何らかの内因性応答の能力を意味する。
【0046】
本明細書で用いられる用語「過剰興奮性」は、異常又は過剰に興奮性の薬物作用の状態又は状況を意味する。
【0047】
本明細書で用いられる用語「身体依存」は、薬物の慢性使用に起因する状態を指す。
【0048】
本明細書で用いられる用語「耐性」は、対象がある薬物で処置されたとき一般に遭遇する生理的耐性又は薬物耐性を意味する。
【0049】
本明細書で用いられる用語「改善する」は、例えば有効性を、増強する、支持する、高める、及び増進することを意味する。
【0050】
本明細書で用いられる用語「低減する」は、例えば副作用を、軽減する、遮断する、阻害する、及び防ぐことを意味する。
【0051】
本明細書で用いられる用語「併用」は、2種の化合物を24時間以内に患者に投与することを意味する。この用語には、それぞれ化合物の1つを含有する2種の薬剤の個別投与、並びに2種の化合物が1つの製剤に組み合わせられているか若しくは組み合わせられていない、又は2種の化合物が2つの個別の製剤であるものの同時投与が含まれる。
【0052】
本明細書で用いられる用語「オピオイドアゴニスト(1種又は複数)」は、オピオイド受容体に作用することによって生物学的応答を引き出す任意の物質を意味する。オピオイドアゴニストには、これに限定されるものではないが、本発明に有用なオピオイドアゴニストが含まれ、これに限定されるものではないが、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、アキソマドール、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルフィン、デキストロモラミド、デゾシン、ジアムプロミド、ジアモルホン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメヘプタノール、ジメチルチアムブテン、酪酸ジオキサフェチル、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアムブテン、エチルモルフィン、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ナルブフェン、ノルモルフィン、ノルピパノン、オピウム、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、タペンタドール、アクサマドール、及びトラマドール、前述のいずれかの混合物又は塩が含まれる。
【0053】
用語「二様式作用性オピオイドアゴニスト」は、痛みを媒介する侵害受容ニューロンの抑制性及び興奮性オピオイド受容体の両方に結合し活性化するオピオイドアゴニストに用いられる。前記アゴニストによる阻害性受容体の活性化は鎮痛作用をもたらす。前記アゴニストによる興奮性受容体の活性化は、抗鎮痛作用、過剰興奮性、痛覚過敏、並びに身体的依存の発生、耐性、及び他の望ましくない副作用をもたらす。
【0054】
用語「興奮性オピオイド受容体アンタゴニスト」は、痛みを媒介する侵害受容ニューロンの興奮性オピオイド受容体に結合し、アンタゴニストとして作用するが、抑制性オピオイド受容体には結合せず、アンタゴニストとして作用しないオピオイドに用いられる。すなわち、興奮性オピオイド受容体アンタゴニストは、興奮性オピオイド受容体に結合し、これらのニューロンにおいて抑制性オピオイド受容体機能を遮断するのに必要とされるより1000から10000倍低い濃度で、侵害受容型のDRGニューロンの興奮性オピオイド受容体機能を選択的に遮断する化合物である。
【0055】
本明細書で用いられる用語「剤形」は、薬剤又は活性薬物の用量が含まれる医薬調剤又は系を意味するものとして定義される。剤形には、望ましくは、例えば即放性剤形、又は浸透制御放出剤形、浸食制御放出剤形、溶出制御放出剤形、拡散制御放出剤形、制御放出マトリクスコア、少なくとも1つの放出緩徐化コートで被覆された制御放出マトリクスコア、腸溶性被覆剤形、持続投与形態、少なくとも1つの遅延放出コートで包囲された剤形、カプセル、ミニタブレット、カプレット、非被覆微粒子、放出緩徐化コートで被覆された微粒子、遅延放出コートで被覆された微粒子、若しくはそれらの任意の組み合わせなどの様々な徐放形態を含む徐放性剤形のものが含まれる。本出願において、本明細書に記載される剤形は、それを必要としている患者を治療する有効量のタペンタドールを含む、上に定義された剤形を意味する。
【0056】
本明細書で用いられる用語「準最適量」は、単一化合物療法に使用されるとき、その化合物の最適用量より少ない用量を意味する。
【0057】
本明細書で用いられる用語「疾患の治療」は、疾患、状態、又は障害を発症した患者の管理及びケアを意味する。治療の目的は、疾患、状態、又は障害に対抗することである。治療には、疾患、状態、又は障害を排除又は制御するため、並びに疾患、状態、又は障害に関連する症状又は合併症を軽減するために活性化合物を投与することが含まれる。
【0058】
本明細書で用いられる用語「浸透剤形」、「浸透送達デバイス」、「制御放出浸透剤形」、又は「浸透制御延長放出系」は、タペンタドールを浸透剤形から分配させる、流体のコアへの浸透又は拡散によって生じた圧力によって、タペンタドールがすべて又は部分的に強制的に分配される剤形を意味するものとして定義される。用語「浸透剤形」、「浸透送達デバイス」、又は「制御放出浸透剤形」は、少なくとも1つの「放出緩徐化コート」で望ましくは被覆されるような形態も包含する。
【0059】
本明細書で用いられる用語「疾患の予防」は、疾患の臨床的発症前の疾患を発生するリスクのある個体の管理及びケアとして定義される。予防の目的は、疾患、状態、又は障害の発症に対抗することであり、症状又は合併症の発症を予防又は遅延するため、及び関連する疾患、状態、又は障害の発生を予防又は遅延するために活性化合物を投与することが含まれる。
【0060】
本明細書で用いられる用語「痛み及び痛み関連状態」は、神経障害性痛、骨関節炎、関節リウマチ、線維筋痛、及び背部、筋骨格痛、強直性脊椎炎、若年性関節リウマチ、片頭痛、歯痛、腹痛、虚血性痛、術後痛を含む医学的状態による任意の痛み、又は麻酔若しくは外科手術状態による任意の痛みとして定義される。
【0061】
内部固体粒子相及び外部固体連続相に存在する「延長放出材料」という用語は、1種以上の親水性ポリマ、及び/又は1種以上の疎水性ポリマ、及び/又は1種以上の他の種類の疎水性材料、例えば1種以上のロウ、脂肪アルコール、及び/又は脂肪酸エステルなどを指す。内部固体粒子相に存在する「延長放出材料」は、外部固体連続相に存在する「延長放出材料」と同じでも異なっていてもよい。
【0062】
本明細書で用いられる用語「プロトンポンプ阻害薬」は、胃壁細胞の水素/カリウムアデノシントリホスファターゼ酵素系(H+/K+ATPase)を遮断する任意の活性剤を意味し、オメプラゾール、ランソプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾール、及びラベプラゾールが含まれる。
【0063】
本明細書で用いられる用語「5HTアゴニスト」は、5HT受容体に作用する薬物を意味し、スマトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、アルモトリプタン、及びフロバトリプタンが含まれる。
【0064】
本明細書では、用語「徐放性」は、活性成分の放出が本質的に緩徐である、即放性以外の製剤からの任意の放出に適用される。この用語には、医薬上の文脈で交換可能に用いられる延長放出、遅延放出、持続放出、制御放出、時限(timed)放出、特異的放出、長期放出、及び標的放出のような様々な用語が含まれる。
【0065】
本明細書で用いられる「即放性」コートは、インビトロ又はインビボで剤形からのタペンタドールの放出速度に実質的に又は感知できるほど影響を及ぼさないコートを意味するものとして定義される。即放性コートを含む賦形剤は、実質的な制御放出、膨脹、浸食、溶出、又は浸食及び膨脹特性を持たず、これはコートの組成が、タペンタドールの放出速度に実質的な影響を及ぼさないことを意味する。
【0066】
本明細書で用いられる用語「制御放出」は、インビボで単位時間当たり実質的に制御された様式で制御して放出するための、第1の1日1回制御放出剤形又は少なくとも1つの手段での実質的に緩やかな速度の薬物の放出を意味するものとして定義される。薬物の放出速度は、単独の生理的又は環境的条件よりむしろ、剤形の特徴及び/又は生理的若しくは環境的条件の組み合わせによって制御される。
【0067】
本明細書で用いられる用語「制御放出剤形」又はタペンタドールの「制御放出」を示す剤形は、比較的一定の速度で薬物を放出し、約24時間にわたって、活性薬物の治療範囲内で時間を経ても実質的に不変のままである活性薬物の血漿濃度を提供する、1日1回投与される剤形を意味するものとして定義される。
【0068】
本明細書で用いられる用語「持続放出剤形」又は薬物の「持続放出」を示す剤形は、投与後、治療用量を提供するのに十分な薬物の放出を提供し、その後、その持続放出剤形が24時間にわたって治療利益を提供するように、長期間にわたって漸進的な放出を提供する、1日1回投与される剤形を意味するものとして定義される。
【0069】
本明細書で用いられる用語「延長放出剤形」又は薬物の「延長放出」を示す剤形は、薬物を緩徐に放出し、その持続放出剤形が24時間にわたって治療利益を提供するように、薬物の血漿濃度が延長された期間治療水準で維持される、1日1回投与される剤形を意味するものとして定義される。
【0070】
本明細書で用いられる用語「多粒子」又は「微粒子」は、例えばミクロスフェア、球状粒子、マイクロカプセル、粒子、微粒子、顆粒、スフェロイド、ビーズ、ペレット、又は小球などの複数の薬物含有単位を意味するものとして定義される。
【0071】
本明細書で用いられる用語「長期放出剤形」又は薬物の「長期放出」を示す剤形は、即時放出剤形より長い期間にわたって薬物の吸収を提供し、24時間にわたって治療利益を提供する、1日1回投与される剤形を意味するものとして定義される。
【0072】
用語「生物学的同等性」は、標準的な方法で求められたタペンタドールの生物学的利用能(bioavailability)(AUC)が、同じ用量のタペンタドールを含む第2の経口投与可能な剤形の約80から約125%である確率が約90%以上であり、標準的な方法で測定されたタペンタドールの最大血漿濃度(Cmax)が、第2の経口投与可能な剤形の約80から約125%である確率が約90%以上であることとして定義される。
【0073】
用語「FDAガイドライン」は、本特許出願が提出された時点で米国食品医薬品庁によって承認されているガイドラインGuidance for Industry Bioavailability and Bioequivalence Studiesを指す。
【0074】
用語「持続放出の候補」は、短い排出半減期、その結果として生じる1日複数回の投与、延長様式で与えられる単回用量製品がより良好な臨床結果を達成し、即時放出に伴う副作用が回避されるなど、薬物が延長放出様式に製剤化される候補となる薬物のすべての特徴を包含する。
【0075】
本明細書で用いられる用語「遅延放出剤形」又は薬物の「遅延放出」を示す剤形は、投与直後には薬物を実質的には放出せず、後の時点で放出する、1日1回投与される剤形を意味するものとして定義される。遅延放出剤形は、薬物吸収の開始前に、時間の遅延を提供する。そのような剤形は、望ましくは遅延放出コートで被覆されている。この時間の遅延は、「ラグタイム」と称され、潜伏時間、すなわち薬物が最小有効濃度に到達するのに必要とされる時間を表わす「開始時間」とは異なる。
【0076】
本明細書で用いられる用語「用量ダンピング(dose dumping)」は、薬物放出の意図しない変動、例えば原因の別なく、短時間での急速な薬物の放出を意味するものとして定義される。
【0077】
本明細書で用いられる用語「吸収増強剤形」又は薬物の「吸収増強」を示す剤形は、同様の条件に暴露されたとき、同じか又はより多量の薬物を含む他の剤形と比較して、薬物のより高い放出及び/又はより高い吸収を示す剤形を意味するものとして定義される。
【0078】
本明細書で用いられる用語「結合剤」は、通常知られている任意の医薬的に許容される結合剤を指し、例えばポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリメタクリラート、ポリビニルアルコール、ロウなどである。上記の結合剤の混合物も用いることができる。好ましい結合剤は、重量平均分子量25000から3000000を有するポリビニルピロリドンなどの水溶性材料である。結合剤は、コアの総重量の約0から約40%、好ましくはコアの総重量の約3%から約15%を占めることができる。一実施形態において、コアにおける結合剤の使用は任意である。
【0079】
用語「医薬的に許容される誘導体」は、タペンタドールの種々の医薬等価異性体、エナンチオマー、塩、水和物、多形、エステルなどを意味する。
【0080】
本明細書で用いられる用語「調節放出剤形」又は薬物の「調節放出」を示す剤形は、その薬物放出の時間的経過及び/又は場所による特徴が即放性剤形によって提供されない治療的又は便宜的目的が達成されるように設計される剤形を意味するものとして定義される。調節放出剤形は、典型的に少なくとも24時間、薬物の治療範囲内で実質的に一定なままである薬物の血漿濃度の迅速な上昇を提供するように設計される。あるいは、調節放出剤形は、望ましくは、一定なままでなくてもよいが、血漿濃度が少なくとも24時間、薬物の治療範囲内にとどまるような速度で低下する薬物の血漿濃度の迅速な上昇を提供するように設計される。
【0081】
用語「治療有効量」は、哺乳動物において生物学的応答を誘発する量を意味し、準最適量を含む。
【0082】
本明細書で用いられる用語「親水性ポリマ」には、これに限定されるものではないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸、ポリビニルアルコール、ポビドン、カルボマー、カリウムペクタート(potassium pectate)、カリウムペクチナート(potassium pectinate)などが含まれる。
【0083】
本明細書で用いられる用語「疎水性ポリマ」には、これに限定されるものではないが、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アンモニオメタクリラートコポリマ(Eudragit RL(商標)又はEudragit RS(商標))、メタクリル酸コポリマ(Eudragit L(商標)又はEudragit S(商標))、メタクリル酸−アクリル酸エチルエステルコポリマ(Eudragit L 100−5(商標))、メタクリル酸エステル中性コポリマ(Eudragit NE 30D(商標))、ジメチルアミノエチルメタクリラート−メタクリル酸エステルコポリマ(Eudragit E 100(商標))、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマ、それらの塩及びエステル(Gantrez(商標))などが含まれる。
【0084】
本明細書で用いられる「タペンタドール」は、タペンタドール塩基、個々に光学的に活性なタペンタドールのエナンチオマー、例えばタペンタドールの(+)又は(−)型、それらのラセミ混合物、活性代謝産物、医薬的に許容されるその塩、例えばタペンタドールの酸付加塩又は塩基付加塩などから選択された少なくとも1つの形態のタペンタドールを意味するものとして定義される。酸付加塩を形成するために通常用いられる酸は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸など、有機酸、例えばp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、カルボン酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸などである。そのような医薬的に許容される塩の例は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−二酸塩、ヘキシン−1,6−二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、g−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マンデル酸塩などである。塩基付加塩には、無機塩基、例えばアンモニウム又はアルカリ若しくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩などから得られたものが含まれる。したがって、本発明の塩の調製に有用なそのような塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムなどが含まれる。
【0085】
本明細書で用いられる「即放性」コートは、インビトロ又はインビボで剤形からの薬物の放出速度に実質的に又は感知できるほど影響を及ぼさないコートを意味するものとして定義される。即放性コートを含む賦形剤は、実質的な制御放出、膨脹、浸食、溶出、又は浸食及び膨脹特性を持たず、これはコートの組成が、薬物の放出速度に実質的な影響を及ぼさないことを意味する。
【0086】
本明細書で用いられる用語「浸透剤形」、「浸透送達デバイス」、「制御放出浸透剤形」、又は「浸透制御延長放出系」は、薬物を浸透剤形から分配させる、流体のコアへの浸透又は拡散によって生じた圧力によって、薬物がすべて又は部分的に強制的に分配される剤形を意味するものとして定義される。用語「浸透剤形」、「浸透送達デバイス」、又は「制御放出浸透剤形」は、少なくとも1つの「放出緩徐化コート」で望ましくは被覆されるような形態も包含する。
【0087】
内部固体粒子相及び/又は外部固体連続相に用いることのできる他の疎水性材料には、これに限定されるものではないが、ロウ、例えば蜜ロウ、カルナウバロウ、微結晶性ロウ、及びオゾケライトなど、脂肪アルコール、例えばセトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ミリスチルアルコールなど、並びに脂肪酸エステル、例えばモノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン、アセチル化モノグリセリド、トリステアリン、トリパルミチン、セチルエステルワックス、パルミトステアリン酸グリセリン、ベヘン酸グリセリン、水素添加ヒマシ油などが含まれる。
【0088】
本発明は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のアンタゴニストを含む経口剤形であって、前記アンタゴニストが、前記オピオイドアゴニストの有効性を改善し、前記オピオイドアゴニストの有害副作用を低減する経口剤形を提供する。これは、前記アンタゴニストがタペンタドールの有効性を改善するのに十分なだけ生物学的に利用可能であるように、1種以上のタペンタドールのアンタゴニストを活性剤医薬製品の投与製剤中に配置することによって達成される。
【0089】
本発明の経口剤形は、最適量又は準最適量の少なくとも1つの形態のタペンタドール、及び少なくとも1種のアンタゴニストを含み、前記アンタゴニストは、タペンタドールの有効性を改善し、タペンタドールの有害副作用を低減し、前記剤形は、ヒト患者に投与されたとき、有効な臨床的緩和を少なくとも約12時間提供する。
【0090】
本発明の経口剤形は、最適量又は準最適量の少なくとも1つの形態のタペンタドール、及び少なくとも1種のアンタゴニストを含み、前記アンタゴニストは、タペンタドールの有効性を改善し、タペンタドールの有害副作用を低減し、前記剤形は、ヒト患者に投与されたとき、有効な臨床的緩和を約24時間まで提供する。
【0091】
本発明は、最適量又は準最適量の少なくとも1つの形態のタペンタドール、及び少なくとも1種のアンタゴニストを含む経口剤形を投与する方法であって、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善し、タペンタドールの有害副作用を低減する方法を提供する。これは、前記アンタゴニストがタペンタドールの有効性を改善するのに十分なだけ生物学的に利用可能であるように、1種以上のタペンタドールのアンタゴニストを投与製剤中に配置するか、タペンタドール及び/又は第2鎮痛薬と併用することによって達成される。
【0092】
本発明は、最適量又は準最適量の少なくとも1つの形態のタペンタドール、及び少なくとも1種のアンタゴニストを含む経口剤形を投与する方法であって、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善し、タペンタドールの有害副作用を低減し、前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な臨床的緩和を少なくとも約12時間提供する方法を提供する。
【0093】
本発明は、最適量又は準最適量の少なくとも1つの形態のタペンタドール、及び少なくとも1種のアンタゴニストを含む経口剤形を投与する方法であって、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善し、タペンタドールの有害副作用を低減し、前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な臨床的緩和を約24時間まで提供する方法を提供する。
【0094】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、その剤形が経口投与されると、オピオイドアンタゴニストを含まない剤形の投与によって生じる有害事象プロファイルより良好な有害事象プロファイルを生じる剤形を提供することである。
【0095】
本発明の別の目的は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、その剤形が経口投与されると、オピオイドアンタゴニストを含まない剤形の投与によって生じるものより、めまい感(dizziness)又はめまい(vertigo)の発生が少ない剤形を提供することである。
【0096】
一実施形態において、本発明は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、その剤形が経口投与されると、オピオイドアンタゴニストを含まない剤形の投与によって生じるものより、吐気の発生が少ない剤形を提供する。
【0097】
一実施形態において、本発明は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、その剤形が経口投与されると、オピオイドアンタゴニストを含まない剤形の投与によって生じるものより、嘔吐の発生が少ない剤形を提供する。
【0098】
一実施形態において、本発明は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、その剤形が経口投与されると、オピオイドアンタゴニストを含まない剤形の投与によって生じるものより、頭痛の発生が少ない剤形を提供する。
【0099】
一実施形態において、本発明は、少なくとも1つの形態のタペンタドール及びオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、その剤形が、約25から約800mgの1つの形態のタペンタドールを含む剤形を提供する。
【0100】
本発明の剤形には、これに限定されるものではないが、経皮送達系、口腔粘膜送達系、鼻腔内投与用組成物、注射可能な組成物、及び固体経口組成物が含まれる。
【0101】
オピオイドアンタゴニストが、抑制性オピオイド受容体ではなく、興奮性オピオイド受容体で選択的アンタゴニスト作用を有するようなレベルでタペンタドールが存在するため、本発明は独自である。しかしながら、本発明の剤形は、タペンタドールの有効性を改善し、タペンタドールの有害副作用を低減する二重の役割を果たすオピオイドアンタゴニストを有するため、別の状態では鎮痛作用以下である低減された用量で投与されたとき、オピオイドアゴニストは有効となる。興奮性オピオイド受容体アンタゴニストと共に、タペンタドールを単独で投与するときより10から100倍低い用量の少なくとも1種の二様式作用性タペンタドールを用いて、鎮痛効果を得ることが可能である。これは、興奮性オピオイド受容体アンタゴニストが、タペンタドールの抗鎮痛興奮性副作用を低減することによって、有効性を改善する可能性があるためである。したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態において、剤形に含まれるタペンタドールは、典型的に鎮痛作用をもたらすために投与されてきた量より少ない量で送達される。本発明のいくつかの実施形態において、剤形に含まれるタペンタドールの量が、投与間隔を通して典型的に投与されるタペンタドールの量より例えば約10から約100倍少ないようにタペンタドールは送達される。
【0102】
用いることのできるオピオイドアゴニストには、これに限定されるものではないが、ナロキソン、ナルトレキソン、ジプレノルフィン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、ナリネフェン、シクラザシン、レバロルファン、医薬的に許容されるそれらの塩、及びそれらの混合物が含まれる。いくつかの好ましい実施形態において、オピオイドアゴニストは、ナロキソン又はナルトレキソンである。
【0103】
好ましい一実施形態において、タペンタドールなどのオピオイドアゴニストとオピオイドアンタゴニストの比は、1:3である。すなわち、オピオイドアンタゴニストは、オピオイドアゴニストの3倍量存在する。この比は、剤形が調節される(temper)ときはいつでも、オピオイドアンタゴニストがタペンタドールなどのオピオイドアゴニストの鎮痛効力を増強し、副作用を軽減し、さらに乱用を妨げる二重の役割を果たすように適応される。
【0104】
他の好ましい実施形態において、徐放性経口剤形は、剤形がヒトに投与されるとき、タペンタドールの血中レベルが投与期間を通じて治療的に有効なレベルに維持され、アンタゴニストは、タペンタドールに伴う副作用を軽減するには十分であるが、タペンタドールの鎮痛作用を無効にするには十分でないレベルに維持されるように、ある期間にわたって放出されるタペンタドール及びオピオイドアンタゴニストを含む製剤を提供する。タペンタドールとアンタゴニストの比は重量で約1:1から約5000:1、より好ましくは約50:1から1000:1、さらに好ましくは約50:1から約500:1である。本発明の他の好ましい実施形態において、投与されるオピオイド受容体アンタゴニストの量は、投与されるオピオイドアゴニストの量より約100から約10000倍少ない。
【0105】
本発明による徐放性経口剤形は、当業者に利用可能な標準的な方法を用いて製剤化することができる。例えば、徐放性錠剤は、徐放性マトリクスにタペンタドール及びアンタゴニストを含む。本発明の徐放性マトリクスは、親水性及び/又は疎水性材料、例えばゴム、セルロースエーテル、アクリル樹脂、タンパク由来材料などを含むことができ、このリストは排他的であることを意図せず、タペンタドールの徐放性を付与することのできる医薬的に許容される任意の疎水性材料又は親水性材料を配置することができる。好ましい実施形態において、疎水性材料は、医薬的に許容されるアクリルポリマを含み、これに限定されるものではないが、アクリル酸及びメタクリル酸コポリマ、メチルメタクリラートコポリマ、エトキシエチルメタクリラート、シアノエチルメタクリラート、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマ、ポリ(メチルメタクリラート)、ポリメタクリラート、ポリ(メチルメタクリラート)コポリマ、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリラートコポリマ、ポリ(メタクリル酸無水物)、及びグリシジルメタクリラートコポリマが含まれる。所望の放出プロファイルを得るために、2種のコポリマの組み合わせが必要とされる可能性がある。
【0106】
本発明は、所望の放出プロファイルを得るために、アルキルセルロースを使用する。一実施形態において、製剤はエチルセルロースを使用するが、当業者は別の材料を容易に代用するであろうし、そのような代用物は本発明に包含される。市販され入手可能なエチルセルロース水性分散液は、標準的な技法によって調製されたAquacoat.R(登録商標)又はSurelease.R(登録商標)である。これらはコーティングに使用する前に、場合により可塑剤と混合することができる。本発明のアクリルポリマの適切な可塑剤の例には、これに限定されるものではないが、クエン酸エステル、例えばクエン酸トリエチルNF XVI、クエン酸トリブチル、フタル酸ジブチル、及び場合により1,2−プロピレングリコールが含まれる。Eudragit.R(登録商標)RL/RSラッカー溶液など、アクリルフィルムから形成されたフィルムの弾性を増強するのに適していることが実証されている他の可塑剤には、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ヒマシ油、及びトリアセチンが含まれる。本発明の好ましい水性分散液の可塑剤は、クエン酸トリエチルである。
【0107】
本発明は、インビトロで所望の放出速度を得るために、他のものと組み合わせたフィルムコートを使用することを想定する。本発明の徐放性コーティング製剤は、非毒性、不活性、及び不粘着性のコーティング添加剤などの成分も含むことができる。
【0108】
タペンタドール及びオピオイドアンタゴニストを含む本発明の剤形は、製剤を保護しオピオイドアゴニストの放出を制御するために、1種以上の材料で場合により被覆することができる。本発明の一実施形態において、(製剤)コーティングは、胃液に暴露されると、pH依存性又はpH非依存性の放出が可能となるように提供される。pH感受性コーティングの使用は、胃腸管の標的領域でタペンタドールを放出するのに役立ち、それにより吸収プロファイルは、少なくとも約8時間から約24時間まで患者に臨床効果を提供できる。しかしながら、pH非感受性コーティングが使用されるとき、コーティングは胃腸管においてpHの変化にかかわらず、タペンタドールの最適な放出を促進するように調製される。用量の一部が胃腸管の標的領域で放出され、用量の残りは小腸など胃腸管の別の標的領域で放出されるように、本発明を製剤化することもできる。
【0109】
pH感受性コーティングを用いる本発明による製剤は、特にシェラック、セルロースアセタートフタラート(CAP)、ポリビニルアセタートフタラート(PVAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、及びメタクリル酸エステルコポリマ、ゼインなどの成分を用いることができる。Rohm Tech,Inc.からEudragit R(登録商標)として市販され入手可能である、ジエチルアミノエチルメタクリラート及び他の中性メタクリル酸エステルから合成されたコポリマのファミリがある。異なるpHで膨脹する、いくつかの異なる種類のEudragit R(登録商標)があり、水膨脹性であるが、剤形中ではpH非感受性であるEudragit R(登録商標)RL及びEudragit RS(登録商標)など他のものもある。
【0110】
いくつかの好ましい実施形態において、タペンタドール及びオピオイドアンタゴニストの組み合わせを含有する錠剤コアビーズ又はマトリクス粒子の基剤は、アルキルセルロース、又はアクリルポリマ、又はそれらの組み合わせなどの疎水性材料で被覆される。本発明によるコーティングは、有機又は水性溶液又は分散液であることができ、所望の持続放出プロファイルを得るために、基剤重量の約2から約25%程度であることができる。
【0111】
本発明による組成物は、例えば顆粒、スフェロイド、ペレット、多粒子、カプセル、パッチ、錠剤、サシェ、制御放出懸濁液、又はそのような顆粒、スフェロイド、ペレット、若しくは多粒子を取り込む他の任意の適切な剤形として提供することができる。
【0112】
本発明による組み合わせの1種以上の活性成分は、適切にはマトリクスに取り込むことができる。このマトリクスは、少なくとも12時間にわたってタペンタドールを徐放し、好ましくは治療有効範囲内のタペンタドールのインビトロ溶出速度及びインビボ吸収速度を提供する、当業者に知られている任意のマトリクスであることができる。本発明による組み合わせは、好ましくは徐放性マトリクスを用いることができる。あるいは、タペンタドールの徐放を提供するコーティングを有する通常放出マトリクスを用いることもできる。
【0113】
本発明の組み合わせに用いられる徐放性マトリクスは、希釈剤、滑沢剤、結合剤、顆粒化助剤、着色剤、風味剤、界面活性剤、pH調節剤、抗付着剤、及び流動促進剤(glidant)、例えばセバシン酸ジブチル、水酸化アンモニウム、オレイン酸、及びコロイド状シリカなどの医薬分野で通常用いられる、医薬的に許容される他の成分も含有することができる。この組み合わせを調製するために、既知の任意の希釈剤、例えば微結晶性セルロース、ラクトース、及び第二リン酸カルシウムを用いることができる。適切な滑沢剤は、例えばステアリン酸マグネシウム及びフマル酸ステアリルナトリウムである。適切な結合剤は、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビドン、及びメチルセルロースである。適切な崩壊剤は、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、及びクロスカルメロースナトリウムである。
【0114】
本発明に適した界面活性剤は、Poloxamer 188.RTM、ポリソルベート80、及びラウリル硫酸ナトリウムである。本発明の適切な流動助剤は、タルクコロイド状無水シリカである。同様に、マトリクスを調製するために用いることができる適切な水溶性ポリマは、1000から6000の範囲の分子量を有するポリエチレングリコールである。本発明による徐放性タペンタドールを含む組み合わせは、好都合には医薬分野で通常用いられる任意のコーティング材料を用いてフィルムコートされていることができるが、好ましくは水性フィルムコーティングが用いられる。
【0115】
本発明の経口剤形は、タペンタドール及びアンタゴニストに加えて、第2鎮痛薬をさらに含むことができ、第2鎮痛薬は、タペンタドールと相乗的であっても相乗的でなくてもよい。第2鎮痛薬は、NSAID、アセトアミノフェン、GABA類似体、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、一酸化窒素供与型シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、HTアゴニスト、及びプロトンポンプ阻害薬、トラマドール、ヒドロモルホン、ファキセラドール、アキソマドール、オキシコドン、ヒドロコドン、フェンタニル、モルヒネ、医薬的に許容されるそれらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される。これには痛み軽減に用いられる任意の薬物が含まれ、パラセタモール(アセトアミノフェン)、イブプロフェン、ジクロフェナク、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピロプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラモプロフェン、ムロプロフェン、トリオキサプロフェン、スプロフェン、アミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、ブクロキス酸、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラク、チオピナク、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク、オクスピナク(oxpinac)、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸、トルフェナム酸、ジフルリサル(diflurisal)、フルフェニサール、ピロキシカム、スドキシカム、又はイソキシカムなどが含まれる。これらの薬物の有用な用量は当業者によく知られている。神経障害性痛症候群を治療するために、通常は鎮痛薬とみなされない他のクラスの薬物が用いられ、これらには三環系抗鬱剤及び抗痙攣剤が含まれる。さらなる追加薬物には、鎮咳薬、去痰薬、鬱血除去薬、抗ヒスタミン薬、局所麻酔薬、及び同様の種類のものが含まれる。
【0116】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、徐放性経口剤形は、アセトアミノフェンと組み合わせて、タペンタドール及びオピオイドアンタゴニストを含む。本発明に従って調製された徐放性製剤は、用量50〜650mgなど、当業者に容易に知られる広範な用量のアセトアミノフェンを含むことができるが、その用量はより長い投与間隔、8時間以上にわたって徐放様式で放出される。
【0117】
本発明による組み合わせは、徐放性コーティングを有する通常放出マトリクスを含むことができる。好ましくは、この組み合わせは、活性成分及び球状化剤を含有するフィルム被覆スフェロイドを含む。球状化剤は、スフェロイドを形成するために、活性成分と共に球状化することのできる任意の適切な医薬的に許容される材料であることができる。本発明による好ましい球状化剤は、微結晶性セルロースである。用いられる微結晶性セルロースは、適切には、例えばAvicel PH101又はAvicel PH102(商標、FMC Corporation)であることができる。スフェロイドは場合により、結合剤、充填剤、及び着色剤などの医薬分野で通常用いられる他の医薬的に許容される成分を含有することができる。適切な結合剤には、水溶性ポリマ、水溶性ヒドロキシアルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルセルロース、又は水不溶性ポリマ(制御放出特性にも寄与する可能性がある)、例えばアクリルポリマ若しくはコポリマ、例えばエチルセルロースが含まれる。適切な充填剤には、ラクトースが含まれる。
【0118】
スフェロイドは、水性媒質において、緩徐な速度で活性成分を放出させる材料で被覆される。本発明で用いることのできる適切な徐放性コーティング材料には、水不溶性ロウ及びポリマ、例えばポリメチルアクリラート(例えば、Eudragitポリマ)、又は水不溶性セルロース、特にエチルセルロースが含まれる。場合により、ポリビニルピロリドンなどの水溶性ポリマ、又はヒドロキシプロピルメチルセルロース若しくはヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性セルロースを含むことができる。場合により、ポリソルベート80などの他の水溶性作用剤を添加することができる。
【0119】
さらに別の実施形態において、流動増進剤(flux enhancing agent)も膜に含むことができ、又は徐放性コーティングは、上記ポリマの1つを含むことができる。流動増進剤は、剤形が通路及び/又は多孔質膜を通して、実質的にすべてのタペンタドールを分配できるように、コアに吸収される流体の体積を増大することができる。流動増進剤は、水溶性材料又は腸溶性材料であることができる。流動増進剤として有用な好ましい材料の例には、これに限定されるものではないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、スクロース、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、セルロースアセタートフタラート、ポリビニルアルコール、メタクリル酸コポリマ、ポロキサマー(BASFから市販され入手可能なLUTROL F68、LUTROL F127、LUTROL F108など)、及びそれらの混合物が含まれる。本発明で用いられる好ましい流動増進剤は、PEG400である。
【0120】
流動増進剤は、タペンタドール又は医薬的に許容されるその塩などの水混和性/水溶性薬物であることもでき、又は流動増進剤は、腸内条件下で可溶性である薬物であることができる。流動増進剤が薬物である場合、本発明の医薬組成物は、流動増進剤として選択された薬物の即放性を提供するさらなる利点を有する。流動増進剤は膜又は持続放出コーティングから溶出又は浸出して、流体がコアに入り、活性成分が溶出することを可能にするチャネルを膜又は持続放出コーティングに形成する。好ましい実施形態において、流動増進剤は、コーティングの総重量の約0から約40%、もっとも好ましくはコーティングの総重量の約2%から約20%を占める。
【0121】
膜又は徐放性コーティングを調製するために、可塑剤などの一般に知られている賦形剤も用いることができる。いくつかの一般に知られている可塑剤には、これに限定されるものではないが、アジピン酸エステル、アゼライン酸エステル、エンゾアート(enzoate)、クエン酸エステル、ステアリン酸エステル、イソエブカート(isoebucate)、セバシン酸エステル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリ−n−ブチル、アセチルクエン酸トリ−n−ブチル、クエン酸エステル類、及びEncyclopedia of Polymer Science and Technology、Vol.10(1969)、John Wiley & Sons刊に記載されているすべてのものが含まれる。好ましい可塑剤は、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、グレープシード油、オリーブ油、ゴマ油、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、グリセリンソルビトール、シュウ酸ジエチル、リンゴ酸ジエチル、フマル酸ジエチル、コハク酸ジブチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、三酪酸グリセリンなどである。用いられる正確な量は、用いられる可塑剤の種類によって決まるが、膜又は持続放出コーティングの総重量に対して、典型的に約0から約25%の量が用いられ、好ましくは約2%から約15%の可塑剤を用いることができる。
【0122】
一般に、コア周囲の膜又は徐放性コーティングは、コアとコーティングの総重量に対して、約1%から約20%、好ましくは約2%から約10%を占める。
【0123】
コアを包囲する膜又は持続放出コーティングは、好ましい実施形態において、コアから薬物の制御放出を可能にする通路をさらに含むことができる。本明細書で用いられる通路という用語には、開口部、オリフィス、孔(bore)、孔(hole)、弱体化部、又は浸食して、剤形からタペンタドールを放出するための浸透性通路を形成するゼラチンプラグなどの浸食可能(credible)成分が含まれる。本発明に従って用いられる通路はよく知られており、米国特許第3845770号、第3916899号、第4034758号、第4077407号、第4783337号、及び第5071607号に記載されている。
【0124】
以下の実施例は、1)最適量又は準最適量の少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形、2)最適量又は準最適量の少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む徐放性剤形、並びに3)最適量又は準最適量の少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び少なくとも1種の追加鎮痛薬を含む医薬組成物に関する本発明を例示するために示される。すべての製剤は、鎮痛効力を増強し、及び/又は1つ以上の有害な作用を低減することが意図される。
【0125】
これらの実施例はさらに、タペンタドールの鎮痛効力を増強し、及び/又はタペンタドールの1つ以上の有害作用を軽減するために、最適量又は準最適量の少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを、それを必要としている患者に投与することによって、痛み及び痛み関連状態を治療する方法、並びに徐放性タペンタドール及び第2鎮痛薬を、それを必要としている患者に投与することによって、痛み及び痛み関連状態を治療する方法を例示する。当業者は、当分野で知られている他の技法を用いて、剤形及び投与方法をどのように改変することができるか分かるであろう。
【実施例】
【0126】
(実施例1)
【表1】
【0127】
製造工程
タペンタドール塩酸塩、Eudragit、及びETHOCELをブレンダで合わせてブレンドする。十分にブレンドした混合物に、粉砕したステアリルアルコールを添加し、内容物を完全に混合し、押出機に供給し、その後ペレット製造機に供給した。ペレットをスクリーニングし、ふるいにかけて、必要とされるタペンタドールペレットを得る。並行して、同様の手順に従って、ナルトレキソンペレットを調製した。所要量のタペンタドールペレット及びナルトレキソンペレットを充填することによって、タペンタドール及びナルトレキソンを含む最終カプセルを調製した。
(実施例2)
【表2】
【0128】
製造工程
コアの調製;タペンタドールHCl及びコロイド状二酸化ケイ素を混合し、1.0mmのスクリーンに通した。ポリビニルアルコールを精製水に溶解した。混合したタペンタドールHClとコロイド状二酸化ケイ素粉末を、流動層造粒機(Glatt GPCG1)において、ポリビニルアルコールの水溶液を用いて造粒し、その後乾燥した。粒状化後、顆粒をフマル酸ステアリルナトリウムとブレンドし、1.0mmのスクリーンに通した。次いで、Manesty Betapressを用いて、ブレンドを錠剤コアに圧縮した。
【0129】
コーティングの調製;適切な量のエチルアルコール及びイソプロパノールを秤量し、混合した。プロペラ式攪拌機(Coframo RZR1)で絶えず攪拌しながら、セバシン酸ジブチル及びエチルセルロースをエチルアルコールとイソプロピルアルコールに添加して溶解し、ポリビニルピロリドンを添加した。すべての成分が溶解するまで、溶液を攪拌した。溶液を高圧ホモジナイザに通した。
【0130】
有孔コーティングパン(O’Hara Labcoat III 36’’Pan、Vector LCDS)において、コーティング溶液を用いて錠剤コアを被覆した。コーティングパラメータを表3に示す。
【表3】
【0131】
溶出試験
実施例1に従って製剤化された、徐放性タペンタドール及び少なくとも1種の医薬賦形剤を含む錠剤を、以下の表4の条件通り、10メッシュUSPバスケット装置を用いて溶出プロファイルに関して評価した。
【表4】
【0132】
本発明の組成物は、2時間後に約0%から約30%(重量)までのタペンタドールが放出され、4時間後に約5%から約55%(重量)のタペンタドールが放出され、12時間後に約50%(重量)を超えるタペンタドールが放出され、24時間後に約80%(重量)を超えるタペンタドールが放出されるようなインビトロ溶出プロファイルを示した(37℃、0.1N HCl900ml中、75rpmでUSPバスケット法を用いて測定)。
【0133】
さらに、本発明の組成物は、2時間後に約0%から約30%(重量)までのタペンタドールが放出され、4時間後に約5%から約22%(重量)のタペンタドールが放出され、6時間後に約15%から約38%(重量)のタペンタドールが放出され、8時間後に約40%(重量)を超えるタペンタドールが放出されるようなインビトロ溶出プロファイルを示した(37℃、0.1N HCl900ml中、75rpmでUSPバスケット法を用いて測定)。
【0134】
さらに、本発明の組成物は、2時間後に約2%から約10%(重量)のタペンタドールが放出され、4時間後に約12%から約20%(重量)のタペンタドールが放出され、6時間後に約30%から約38%(重量)のタペンタドールが放出され、8時間後に約48%から約56%(重量)のタペンタドールが放出され、10時間後に約64%から約72%(重量)のタペンタドールが放出され、12時間後に約76%を超えるタペンタドールが放出されるようなインビトロ溶出プロファイルを示した(37℃、0.1N HCl900ml中、75rpmでUSPバスケット法を用いて測定)。
(実施例3)
プレガバリン組み合わせ
【表5】
(実施例4)
ナプロキセン組み合わせ
【表6】
【0135】
製造工程1:徐放性タペンタドール塩酸塩及びナプロキセン
徐放性タペンタドール塩酸塩及びナプロキセンを含む組み合わせは、標準的な粒状化及びコーティング方法を用いて、2つの段階で製造した。段階Iでは、タペンタドール塩酸塩をコアに製剤化し、それをさらに徐放性コートで被覆して、徐放性タペンタドールコアを得た。段階IIでは、上で調製した被覆徐放性タペンタドール塩酸塩コアを、ナプロキセンを含む即放性層で被覆した。詳細を以下に示す。
【0136】
段階I
コアの調製:タペンタドールHClを微結晶性セルロース及びコロイド状二酸化ケイ素、並びに充填剤の1種又は混合物と混合し、ポリビニルピロリドン又はポリビニルアルコールを含む結合剤溶液を用い、当分野で知られている適切な方法を用いて粒状化する。粒状化されたタペンタドール塩酸塩を乾燥し、スクリーニングした。これをさらに、流動促進剤を含むか又は含まない水素添加植物油を用いて潤滑にする。潤滑にしたブレンドを、圧縮機を用いて錠剤に圧縮する。
【0137】
コーティング溶液及びコーティング:エチルセルロースの水不溶性水浸透性ポリマとポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロースの水溶性ポリマの水性分散液を用いて、コーティング溶液を調製する。プロペラ式攪拌機を用いて、ポリエチレングリコール混合物を調製し、適切なホモジナイザを用いて、それを均質化する。空気流350CFMを用い、チップ設定4’’、スプレー速度25mL/ガン/分、排出温度約45℃、噴霧圧力10〜35psi、パン速度5〜8rpmでO’Haraパンコータのような標準的なコータを用い、コーティング溶液を用いてコア錠剤を被覆する。
【0138】
段階II:段階IIでは、当分野で知られている造粒化技法を用いてナプロキセン製剤を調製し、その後、崩壊剤及び滑沢剤とブレンドする。
【0139】
最終製剤:段階Iで調製したタペンタドール徐放性錠剤を、圧縮被覆機を用いて、ナプロキセン製剤の潤滑化ブレンドで被覆するが、ここではタペンタドール徐放性錠剤がコアとして用いられ、ナプロキセン製剤の即放性層が外層を形成する。
【0140】
上述のコータを用いて、被覆された100mgタペンタドール塩酸塩錠剤にナプロキセンコーティングを適用した。このナプロキセン被覆シール被覆100mgタペンタドール塩酸塩錠剤の上に、同様のコートを用いて、着色被覆を行った。スプレーは、温度46〜47℃、噴霧圧力40〜60psi、スプレー速度180g/分/3ガンで行った。パン速度は4〜8rpm、空気量1000±100であった。
【0141】
最後に、場合により着色被覆した錠剤を乾燥し、Cindrellaワックスを用いて磨き、完成した最終錠剤を適切な乾燥剤と共にHDPEボトルに詰め、適切な安定性試験及び臨床試験に供した。ここでは、表6に記載した条件通り、組み合わせ中のタペンタドール塩酸塩のインビトロ溶出プロファイルを求めるために、インビトロ溶出試験を行った。実施例1では、徐放性タペンタドール100mg及びナプロキセン250mgを含む組み合わせを用いた。
(実施例5)
【0142】
さらに別の実施例において、本発明は、痛み及び痛み関連疾患の治療に有効に用いることのできる医薬組成物を開示し、それを必要としている患者に対して治療有効量の徐放性タペンタドール及びナルトレキソン塩酸塩を含む組成物は他の方法で製剤化することができる。例えば、徐放性タペンタドール及びナルトレキソン塩酸塩などのオピオイドアンタゴニストを含む組み合わせを、以下に例示するように、2層錠剤として調製した。
層1:
タペンタドールHCl 100mg
微結晶性セルロース 10〜25%
ポリビニルアルコール 3〜5%
エチルセルロース(5〜20cp) 10〜20%
ヒドロキシエチルセルロース 5〜15%
コロイド状二酸化ケイ素 2〜5%
フマル酸ステアリルナトリウム 1〜2%
層2:
ナルトレキソン塩酸塩 1mg
微結晶性セルロース 5〜20%
ポビドン 10〜15%
クロスカルメロースナトリウム 5〜10%
ステアリン酸マグネシウム 0.5〜2%
【0143】
層1の調製:タペンタドール塩酸塩、微結晶性セルロース、及びコロイド状二酸化ケイ素を、ポリビニルアルコールを用いて粒状化し、乾燥した。乾燥した顆粒をエチルセルロール及びヒドロキシエチルセルロースと混合し、フマル酸ステアリルナトリウムで潤滑にする。
【0144】
層2の調製:微結晶性セルロースと混合したナルトレキソン塩酸塩を、ポビドンを用いて粒状化した。顆粒を乾燥し、クロスカルメロースナトリウムと混合し、最後にステアリン酸マグネシウムで潤滑にする。
【0145】
圧縮:層1及び層2を2層回転式圧縮機のホッパーに充填し、所望の硬度で圧縮する。
(実施例6)
【0146】
タペンタドール及びナルトレキソン塩酸塩を含む剤形を、表7の形式に従って調製した。
【表7】
【0147】
製造工程:タペンタドール塩酸塩、ナルトレキソン塩酸塩、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、グリセリン、フェノール、ラウリル硫酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウムをすべて、自動振盪機で絶えず振盪しながら無水アルコール中で混合し、水で希釈して、200mlのミセル溶液を調製した。
(実施例7)
【表8】
【0148】
製造工程:Eudragit及びトリアセチンを混合して溶液を調製し、それにナルトレキソン塩酸塩を溶解した。溶液を流動層造粒機において、オキシコドンHCL、ラクトース、及びポビドンの混合物に適用し、ミルで粉砕し、融解したステアリルアルコールをこの顆粒に適用した。顆粒を冷却し、ステアリン酸マグネシウム及びタルクと混合し、圧縮した。タペンタドールHCl及びナルトレキソン塩酸塩を含む圧縮錠剤を、場合によりシールコートで被覆した。
(実施例8)
【表9】
【0149】
製造工程:タペンタドールHClビーズ及び増強ナルトレキソンHClビーズを表1の配合に従って調製した。特にタペンタドールとポリビニルピロリドンを水に溶解し、他と混合し、その後、標準的な手順を用いて、60℃で糖ビーズに適用した。タペンタドールビーズを、Eudragit、クエン酸エチル、及びタルク分散液を含むコーティング溶液で被覆した。すべての成分をミキサで混合することによって、ナルトレキソンビーズを調製した。微細混合物を、水を用いて粒状化し、押出機で所望の大きさに押し出し、選別機で分類した。選別したナルトレキソン塩酸塩ビーズを、Eudragit RS30D、ポリソルベート20、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、及び分散タルクを溶解して調製したコーティング溶液で被覆した。ビーズを乾燥し、タペンタドールHClビーズ及び増強ナルトレキソンビーズと共にカプセルに取り込み、タペンタドール、及びタペンタドールの鎮痛効力を増強するのに有効な量のオピオイドアンタゴニスト、及びタペンタドールの乱用を低減するのに有効な量のナルトレキソン塩酸塩を含む剤形を調製した。ナルトレキソン塩酸塩の増強ビーズと抗乱用ビーズは、他と区別のつかない外観にするために、場合により着色被覆することができる。
【0150】
(実施例9)
投与方法
十分に制御された5つのヒト臨床試験を用いて、本発明の目的を確立した。これらの試験は、1)少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを対象に併用することによって、対象において痛みを治療する方法、2)少なくとも1つの形態の徐放性タペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む固定用量合剤を対象に投与することによって、対象において痛みを治療する方法、3)徐放性タペンタドール、及びナプロキセン又はプレガバリンなどの少なくとも1種の追加薬物、及びオピオイドアンタゴニストを含む固定剤形を対象に投与することによって、対象において痛みを治療する方法、4)ナルトレキソンの最適濃度を確認するために、3つの異なる用量濃度のナルトレキソン及びタペンタドールを含む組み合わせを投与する方法を確立した。すべての試験は、タペンタドールの鎮痛効力を増強し、さらに有害副作用を軽減する組み合わせの有効性を評価するために行った。
試験1:ナルトレキソン、ナロキソン、及びナルメフェンと組み合わせたタペンタドールによるヒトの処置
【0151】
本発明を確立するために、Nectidは、250人を超える痛み患者を含むヒト臨床試験を行った。患者は、タペンタドール単独、又は3種の異なるオピオイドアンタゴニスト;ナルトレキソン、ナロキソン、及びナルメフェンと組み合わせたタペンタドールを投与された。陽性コントロール及び陰性コントロールと比較して、タペンタドールとオピオイドアンタゴニストの併用組み合わせの鎮痛有効性を測定した。そのような組み合わせの、めまい感、吐気、鎮静などの副作用に対する影響も測定した。
【0152】
この無作為化、二重盲検、実薬対照及びプラセボ対照、並行群間試験において、試験の1つの目的は、ナロキソン(以下N1と称する)、ナルトレキソン塩酸塩(以下N2と称する)、及びナルメフェン(以下N3と称する)などのオピオイドアンタゴニストが、歯科手術後の痛みを有する被験者/患者において、タペンタドール塩酸塩(以下Tapと称する)の鎮痛特性を増強するかどうかを判定することであった。別の目的は、ナルトレキソンなどのオピオイドアンタゴニストが、ヒトにおいてタペンタドールに誘発された副作用を低減したかどうかを評価することであった。
【0153】
304人の被験者が実際に試験に参加し、そのうちの254人が試験を完了した。陽性コントロールタペンタドール及び陰性コントロール(プラセボ)を用い、被験者は以下の5つの処置群の1つに無作為に分けた。5つの処置群に実際に割り当てられた被験者数は以下の通りである。
グループ 薬物 被験者数(N)
【0154】
グループ1 プラセボとプラセボ 51
【0155】
グループ2 Tap(50mg)とプラセボ 50
【0156】
グループ3 Tap(50mg)とナロキソン(0.1mg) 51
【0157】
グループ4 Tap(50mg)とナルトレキソン(0.1mg) 52
【0158】
グループ5 Tap(50mg)とナルメフェン(0.1mg) 50
【0159】
陽性コントロール(Tap、グループ2)を用いて、臨床エンドポイントの感度を求めた。陰性コントロール(プラセボ、グループ1)を用いて、実薬処置の不在下で起こり得る臨床エンドポイントの変化の頻度及び大きさを確立した。3又は4本の第三臼歯の外科的摘出後、患者が中等度から重度の痛みを経験したとき、単回経口用量の試験薬剤を投与した。
試験2:ナルトレキソン、ナロキソン、及びナルメフェンと組み合わせた徐放性タペンタドールによるヒトの処置
【0160】
この無作為化、二重盲検、実薬対照及びプラセボ対照、並行群間試験において、試験の1つの目的は、ナロキソン(以下N1と称する)、ナルトレキソン塩酸塩(以下N2と称する)、及びナルメフェン(以下N3と称する)などのオピオイドアンタゴニストが、被験者/患者において、制御放出タペンタドール塩酸塩の鎮痛特性を改善増強するかどうかを判定することであった。徐放性タペンタドール(以下、徐放性タペンタドール又はSRTと称する)とオピオイドアンタゴニストの組み合わせの鎮痛効力に対する影響を測定した。そのような組み合わせの、めまい感、吐気、嘔吐などの副作用に対する影響も測定した。徐放性固定剤形を実施例4に従って調製し、ナルトレキソン、ナロキソン、及びナルメフェンと組み合わせて併用される実施例2に従って調製した徐放性タペンタドールをこの試験に用いた。
【0161】
366人の被験者が実際に試験に参加し、そのうちの307人が試験を完了した。陽性コントロール(ST)及び陰性コントロール(プラセボ)を用い、被験者は以下の6つの処置群の1つに無作為に分けた。6つの処置群に実際に割り当てられた被験者数は以下の通りである。
グループ 薬物 被験者数(N)
グループ1 プラセボとプラセボ 51
グループ2 SRT(100mg)とプラセボ 49
グループ3 SRT(100mg)とナロキソン(N1)(0.1mg) 53
グループ4 SRT(100mg)とナルトレキソン(N2)(0.1mg) 50
グループ5 SRT(100mg)とナルメフェン(N3)(0.1mg) 52
6群 実施例7(SRT(50mg)とナルトレキソン(N2)(1mg)×2 52
【0162】
陽性コントロール(SRT、グループ2)を用いて、臨床エンドポイントの感度を求めた。陰性コントロール(プラセボ、グループ1)を用いて、実薬処置の不在下で起こり得る臨床エンドポイントの変化の頻度及び大きさを確立した。3又は4本の第三臼歯の外科的摘出後、患者が中等度から重度の痛みを経験したとき、単回経口用量の試験薬剤を投与した。
【0163】
試験3:ナルトレキソンと組み合わせたタペンタドール+ナプロキセンによるヒトの処置
同じ臨床試験方法を用いて、最初に試験に参加した182人のうち試験を完了した158人のヒト患者において、徐放性タペンタドール、及びナプロキセン(実施例4)、及びタペンタドールの鎮痛効力を増強し、タペンタドールの有害副作用を軽減するのに有効な量のナルトレキソン(N2)を含む固定用量合剤を被験者に投与することによって、被験者において痛みを治療する方法を確立した。この試験に用いた5つの処置群を以下に記載する。
【0164】
グループ1 (プラセボ+プラセボ)、N=31
【0165】
グループ2 FDC−実施例4(SRT50mg+N250mg)+プラセボ)、N=30
【0166】
グループ3 FDC−実施例4(SRT50mg+N250mg)+ナルトレキソン(N2)(0.01mg)、N=32
【0167】
グループ4 FDC−実施例4(SRT50mg+N250mg)+ナルトレキソン(N2)(0.1mg)、N=33
【0168】
グループ5 FDC−実施例4(SRT50mg+N250mg実施例4)+ナルトレキソン(N2)(1mg)、N=32
【0169】
陽性コントロールFDC(SRT+ナプロキセン250mg、グループ2)を用いて、臨床エンドポイントの感度を求めた。陰性コントロール(プラセボ、プラセボグループ1)を用いて、実薬処置の不在下で起こり得る臨床エンドポイントの変化の頻度及び大きさを確立した。3又は4本の第三臼歯の外科的摘出後、患者が中等度から重度の痛みを経験したとき、単回経口用量の試験薬を投与した。
【0170】
選定基準:(1)任意の人種の少なくとも年齢16歳の男性又は女性(18歳未満の被験者は、独立しているか、又は親(若しくは後見人)が書面によるインフォームドコンセントを提出した場合のみ参加)、(2)英語を話し、理解することができ、意味のある書面によるインフォームドコンセントを提出できる、(3)全体的に良好な健康状態にある外来患者(特に、被験者は肝臓又は腎臓疾患の病歴を有してはならない)、(4)3又は4本の第三臼歯を抜く予定であり(歯の少なくとも1本は下顎の骨に埋伏していなければならない)、被験者はオピオイド鎮痛薬を十分に必要とする手術を受けたとみなされる、(5)初期カテゴリー痛み強度スコアが痛みなし、軽度、中等度、又は重度のスケールで、少なくとも中等度であり、被験者は被験者評価を完了する意思及び能力がある、(6)試験薬物の投与後、少なくとも8時間、その場所にとどまることができる、並びに(7)女性の場合、閉経後であるか、又は身体的に妊娠できないか、又は容認できる避妊法(IUD又はホルモン又は避妊ペッサリーと殺精子薬又は禁欲)を実行しており、容認できる避妊法を実行している場合、さらに試験参加前の3カ月間、正常な月経パターンを維持していなければならず、手術前7日以内に行った尿妊娠検査で陰性でなければならない。
【0171】
除外基準:(1)妊娠又は授乳中、(2)肝臓又は腎臓疾患の病歴がある、(3)痙攣の病歴がある、しかし、若年性熱性痙攣の病歴がある被験者で、過去10年以内に痙攣の病歴がない場合は選定できた、(4)インフォームドコンセントを提出し、適切に試験評価を完了する被験者の能力を害する医学的又は精神医学的状態を有する、(5)オピオイド、タペンタドール、トラマドール、又はナルトレキソン、又はナロキソン、又はナルメフェンナルメフェンに対する既知のアレルギーを有するか又は著しい反応を有する、(6)試験前6カ月以内に慢性オピオイド使用又はオピオイド乱用の病歴がある、(7)試験参加前4週間以内に抗痙攣剤又は三環系抗鬱剤を使用していた(セロトニン再取込み阻害剤及び1日当たり1000mgを超える用量のセント・ジョーンズ・ワートを含む)、(8)現在、モノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOI)を服用しているか、試験参加前2週間以内にMAOIを服用していた、(9)手術前12時間にアルコールを摂取し、8時間の観察期間中にアルコール又はカフェイン含有製品を摂取した、(10)投薬の少なくとも4時間前から試験終了までに以下の薬物のいずれかを服用した:鎮痛薬、アスピリン、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、及びオピオイド(又はオピオイド組み合わせ)を含む;マイナートランキライザ−;筋弛緩薬、及び抗ヒスタミン薬、並びに投薬12時間前から試験観察の完了までに長時間作用型鎮痛薬(例えば、長時間作用型NSAID)を服用した、(11)以前にこの試験に参加した、並びに(12)この試験前30日以内に治験薬又はデバイスの試験に参加した。
【0172】
無作為化:処置する被験者の割り当てにおけるバイアスを回避し、既知及び未知被験者属性(例えば、人口統計及びベースラインの特徴)が処置群にわたって均等に配置される可能性を増大し、治療群の統計的比較の確実性を向上させるために、無作為化を用いた。データ収集及び臨床エンドポイント評価中の潜在的バイアスを低減するために、盲検処置を用いた。無作為化に先立って、以下を遂行した:(1)インフォームドコンセント、(2)病歴及び人口統計、(3)選定及び除外基準、並びに(4)事前及び併用投薬。
【0173】
試験前に用意された、コンピュータで作成した無作為化スケジュールに基づいて、被験者を処置群に割り当てた。無作為化は、置換ブロック法を用いて、バランスを取った。各被験者の試験薬は包装し、この無作為化コードに従ってラベルを付けた。開始痛みに関して処置群間のバランスを取るために、中等度開始痛みを有する被験者は、利用可能なもっとも小さい数の投薬に割り当てた(昇順で次の連続する処置番号)。重度開始痛みを有する被験者は、利用可能なもっとも大きい数の投薬に割り当てた。
【0174】
投薬:すべての選定/除外基準に従った後、中等度から重度の痛みを有する被験者はすべて単回用量の試験薬を受けた。被験者は口から服用する2つのカプセルを受け取り、一方はタペンタドール又はプラセボ、他方はナルトレキソン又はプラセボであった。試験薬は、試験薬容器に被験者ごとに包装された。試験薬は被験者番号によって識別される単回用量ボトルに包装され、それぞれ2つのカプセルを含有した。ラベルはこの試験をPROTOCOL TAとして識別した。各ボトルには、以下の情報を記載した二方向薬物開示ラベルが添付された:被験者番号、注意書き、及び一般的な指示。ラベルには「痛みが中等度から重度であるとき内容物を服用する」という指示が記載された。ラベルの切り取り部分は、試験薬を分配する前に取り除かれ、ラベルページ症例報告書(Label Page Case Report Form)に未開封のまま添付された。
【0175】
手術前24時間に被験者が服用した薬(ビタミン、甲状腺剤又は他の予防薬を含む)は、ベースライン受診時に併用薬症例報告書に報告しなければならなかった。治療下で発現した有害事象のため、併用療法の投与が必要となった場合、適切な症例報告書に報告しなければならなかった。除外基準に照らして禁止される療法は、投与される任意の事例に先立って(又はその後できる限り速やかに)メディカルモニターに通知された。
【0176】
痛み評価法:処置前に痛み評価を行った。歯科手術後、被験者の痛みレベルを、訓練を受けた観察者によって評価した。被験者は、(1)痛み分類区分(0=なし、1=軽度、2=中等度、又は3=重度)を言葉で表現し、さらに(2)0=痛みなしであり、100=想像できる最悪の痛みである0〜100mmの視覚的アナログスケール(VAS)を用い、スケール上に単一の斜線を入れることによって、初期痛み強度を報告した。投薬はカテゴリー回答のみに基づいて決定された。カテゴリー痛みレベルが中等度又は重度であったとき、被験者は試験薬を服用した。
【0177】
痛み評価は処置後にも行った。投薬後、以下の時点:投薬後30分、60分、その後12時間まで毎時に、痛み強度及び痛み軽減が記録された。すべての有効性評価は、訓練を受けた観察者による質問に答えることによって、被験者が日誌に記録した。観察者はすべての観察結果に関して被験者に質問し、必要に応じて指示を与えた。痛み強度は、「現時点でどれだけの痛みがあるか?」という質問に、(1)被験者の回答選択、カテゴリースケールのなし、軽度、中等度、及び重度、及び(2)100mmVAS上の印で答えることによって測定された。ベースラインに対する痛み軽減は、「薬の服用時と比較して、現時点でどれだけの痛み軽減があるか?」という質問に、被験者の回答選択、なし、少し、いくらか、かなり、完全で答えることによって評価された。痛み軽減評価では、被験者はストップウォッチを与えられ、有意な痛み軽減が感じられたとき、ストップウォッチを止めるように求められた。
【0178】
有害事象は、非誘導性(non−directed)の質問によって評価され、投薬後8時間記録された。ヒトにおけるタペンタドールのもっとも一般的な有害副作用に関して(例えば、めまい感、眠気、吐気、嘔吐、頭痛、痒み)、症状チェックリストも用いた。これらの評価は、投薬後30分、60分、その後8時間まで毎時、被験者によって日誌に自身で記録された。
【0179】
8時間の終わりに、又は8時間より早い場合、毎時の観察が終了した時点で、「痛み軽減をどう評価するか?」という質問に、回答選択、優れている、非常に良好、良好、ほぼ良好、又は不良で答えることによって、被験者及び観察者によって全体評価が行われた。有害事象の評価は、レスキュー薬(rescue medication)の投与後、少なくとも1時間継続した。少なくとも1時間目の観察期間を完了しない被験者は、有効性に関して評価不能であるとみなし、入れ替えた。
【0180】
試験は12時間の評価後、又はレスキュー薬を受けた時点で終了した。被験者はどの時点でも試験を中止できた。
【0181】
適切な痛み軽減が得られなかった被験者は、最終となる一連の痛み観察を受けた。その後、被験者はレスキュー薬を与えられ、試験を終了した。被験者は、レスキュー薬を使用する前に、試験薬の投与後少なくとも2時間目まで待つように奨励された。1時間目より早く再投薬した被験者は、有効性の分析に含まれない。8時間の評価中、再投薬しなかった被験者は日誌カードを受け取り、診療所を出た後、再投薬した時間を記録するように求められた。
【0182】
被験者は、レスキュー薬服用後少なくとも1時間、有害事象評価のため試験群にとどまる必要があった。しかしながら、これらの被験者は、試験薬投与後8時間の終わりまで、その場所にとどまることを強く推奨された。
【0183】
有効性評価は、主要及び副次有効性パラメータを用いて行った。主要有効性パラメータには、(1)4時間の総痛み軽減スコア(TOTPAR)(以下に記載)、(2)4時間の痛み強度差の合計(SPID)(カテゴリー及びVAS)(以下に記載)、(3)8時間以内の有意な痛み軽減の発現時間、並びに(4)8時間以内に再投薬した患者の割合が含まれる。副次有効性パラメータには、(1)6及び8時間の総痛み軽減スコア(TOTPAR)、(2)6及び8時間の痛み強度差の合計(SPID)(カテゴリー及びVAS)、(3)毎時痛み軽減スコア、(4)毎時痛み強度差スコア(カテゴリー及びVAS)、(5)8時間以内の再投薬時間、並びに(6)全体評価が含まれる。
【0184】
安全性評価には、(1)有害事象(AE)、及び(2)症状チェックリストが含まれる。試験中に起こるすべての有害事象は、症例報告書に記録されなければならなかった。有害事象は、試験に関連するとみなされるかどうかにかかわらず、試験中に処置される被験者に関連する任意の不都合な医療上の出来事として定義される。試験投薬に関連するとみなされるかどうかにかかわらず、重度であるか又は予期されない有害事象はすべて、倫理上及び規制上の要件に従って、直ちに(治験担当医が情報を得てから24時間以内)メディカルモニターに電話で報告されなければならなかった。上記の通り、ヒトにおけるタペンタドールのもっとも一般的な有害副作用を記録するために、症状チェックリストを用いた。
【0185】
この試験では、標準的な測定及び判定法を用いた。例えば、痛み強度は、カテゴリースケール及びVASの両方を用いて評価したが、これらは鎮痛試験の標準的な測定手段である。カテゴリースケールとレスキュー薬の投与までの時間の測定を用いる痛み軽減の全体評価は、いずれも標準的な測定である。安全性の尺度(病歴、有害事象、及び併用薬)も標準的な判定法である。
【0186】
データ分析:データ分析のために、計算されたパラメータは以下の通りであった。試験期間を通じて痛み強度が変化する程度は、全痛み軽減スコア(TOTPAR)及び痛み強度差の合計(SPID)によって測定された。TOTPARは、4、6、及び8時間の観察期間にわたる痛み軽減スコア(PAR)(0=なし、1=少し、2=いくらか、3=かなり、4=完全)の合計として定義された。各時点の痛み強度差(PID)は、0時間での痛み強度スコアと観察点でのスコア(0=なし、1=軽度、2=中等度、3=重度)の差として算出された。SPIDは、4、6、及び8時間の観察期間にわたるPIDの合計として定義された。VAS−PID及びVAS−SPIDは、VASスコアに関して同様に定義された。レスキュー薬の投与後に行った欠損値及び評価は、最終観測値繰越手順(Last Observation Carried Forward)(LOCF)によって補完した。
【0187】
主な解析被験者集団は、包括(Intent−To−Treat)(ITT)集団であり、これは無作為化したすべての被験者を含んだ。有効性の分析はすべてITT集団で行った。加えて、有効性の分析は、無作為化され、投薬後に痛み又は緩和評価を有し、少なくとも1時間、試験にとどまった被験者を含む評価可能な集団でも行った。
【0188】
一元配置分散分析(ANOVA)をTOTPAR、SPID、及びVAS−SPIDに対して行った。それぞれの組み合わせ処置を、ファミリワイズタイプ1の誤差を制御するために、Hochbergの手順(Biometrik 75:800(1988))を用い、フィッシャの最小有意差検定(LSD)によって単独のタペンタドールと比較した。すべてのペアワイズ比較で、すべての処置による全分散分析の平均二乗誤差を、推定誤差分散として用いた。同様の技法を痛み軽減、PID、及びVAS−PIDに用いた。
【0189】
再投薬(又はレスキュー薬の投与)までの時間を、生存分布関数を計算するために、カプラン・マイヤー推定を用いて分析した。この分布を、ログランク検定を用いて群間で比較した。再投薬が起こらなかった場合、被験者は8時間で打ち切りとみなされた。ペアワイズ比較は、LIFETEST法を用いて行った。Hochbergの手順を用いて、ファミリワイズタイプ1の誤差を制御した。有意な緩和の発現時間(ストップウォッチで求めた)も同様に分析した。有意な緩和を得られなかったか、又はレスキュー薬を服用した被験者は、処置の失敗とみなされ、8時間又はレスキュー薬を服用した時間の値を割り当てられた。上記のすべての分析において、ベースライン痛み強度を層別因子として用いることができた。開始痛み強度、全体評価、及び有害副作用の分布が示された。サンプルサイズは、予期される測定差の算出からではなく、病歴及び実際的な考察から推定された。
【0190】
有効性の分析は、2つの集団:ITT集団及び評価可能集団で行った(表1)。ITT集団は、無作為化され、試験薬を服用し、無作為化後データを有するすべての被験者を含んだ。評価可能集団は、投薬後の痛み又は緩和評価を有し、投与後の最初の1時間以内にレスキュー薬を服用しなかったITT被験者のみから構成された。
【0191】
試験4:ナルトレキソンと組み合わせたタペンタドール+プレガバリンによるヒトの処置
この試験は、二重盲検、無作為化、プラセボ対照、2期間交差デザインであった。12時間後、170人の糖尿病患者(2型糖尿病を有する男性90人、女性80人、年齢[平均±標準誤差]61.7±1.6歳、糖尿病罹患期間8.8±1.5年、痛み性神経障害期間2.2±0.4年)は、グループ1(プラセボ+プラセボ)、グループ2(Tap100mg+P250mg)+プラセボ)、グループ3(Tap100mg+P250mg)+ナルトレキソン(N2)(0.01mg)、グループ4(Tap100mg+P250mg)+ナルトレキソン(N2)(0.1mg)、グループ5(Tap100mg+P250mg)+ナルトレキソン(N2)(1mg)のいずれかを受けるように、無作為に分けられた。参加者のうち、154人の患者が成功裡に試験を完了した。視覚的アナログスケール(VAS)を用い、2時間ごとに痛み及び他の感覚性症状を評価した。患者の特徴を表4に示す。
【表10】
【0192】
患者はいずれも治療が困難な痛み性神経障害の長い病歴を有し、症状が反応しないため、又は許容できない副作用のため、アセトアミノフェン、デュロキセチン、アミトリプチリン、又はガバペンチンなどの様々な薬物を試してきた。適した被験者には、神経障害性痛みに関して他の投薬を受けておらず、糖尿病が安定にコントロールされている、1型及び2型糖尿病患者が含まれた。除外基準には、血糖管理異常、足の脈が触れない末梢血管疾患(PVD)、活動性足潰瘍の存在、舌下トリニトログリセリンによる治療、勃起障害薬を服用している患者、患者の痛み評価に影響を及ぼす因子、及び末梢神経障害の他の原因の存在が含まれた。試験期間中、糖尿病の治療に大きな変更は行わなかった。
【0193】
導入期間の最初に、患者は神経学的に評価され、その後、グループ1(プラセボ+プラセボ)、グループ2(Tap100mg+P250mg、実施例3)+プラセボ)、グループ3(Tap100mg+P250mg、実施例3)+ナルトレキソン(N2)(0.01mg)、グループ4(Tap100mg+P250mg、実施例3)+ナルトレキソン(N2)(0.1mg)、グループ5(Tap100mg+P250mg、実施例3)+ナルトレキソン(N2)(1mg)のいずれかの処置を受けるように、無作為に割り当てられた。痛みに関して、10cmの視覚的アナログスケール(VAS)が患者によって2週間ごとに記録され、ここで0は痛みがまったくないことを意味し、10はこれまでに経験したもっとも重度の痛みを意味する。治療効果は、それぞれの治療段階に関して、リッカートスケール(Lickert scale)上での最終スコアとベースラインスコアの差異と定義された。
【0194】
本発明の目的は、糖尿病性神経障害に関連する痛み強度の有効性主要評価項目に関して、タペンタドール+プレガバリンと比較して、統計的に有意であり、臨床的に意義のある低減をもたらす、タペンタドール及びプレガバリン及びナルトレキソンを含む固定用量合剤によって達成される。本出願人等は、臨床的に著しい利益は、他の治療と比較して、少なくとも15%の痛みスコア(VAS)の低減であろうと考えた。
【0195】
試験5:タペンタドールとメチルナルトレキソンによるヒトの処置
本発明を確立するために、Nectidは、304人の痛み患者を含むヒト臨床試験を行い、そのうちの253人の患者が試験を完了した。患者は、タペンタドール単独、又は3つの異なる用量0.01、0.1、及び1.0mgのナルトレキソンと組み合わせたタペンタドールを投与された。陽性コントロール及び陰性コントロールと比較して、タペンタドールと様々な用量のメチルナルトレキソン塩酸塩の併用組み合わせの鎮痛有効性を測定した。そのような組み合わせの便秘に対する影響も測定した。
【0196】
この無作為化、二重盲検、実薬対照及びプラセボ対照、並行群間試験において、試験の1つの目的は、メチルナルトレキソン塩酸塩(以下MNTXと称する)が、歯科手術後の痛みを有する被験者/患者において、タペンタドール塩酸塩(以下Tapと称する)の鎮痛特性を増強するかどうかを判定することであった。別の目的は、メチルナルトレキソンが、ヒトにおいてタペンタドールに誘発された便秘を低減したかどうかを評価することであった。
【0197】
304人の被験者が実際に試験に参加し、そのうちの254人が試験を完了した。陽性コントロールタペンタドール及び陰性コントロール(プラセボ)を用い、被験者は以下の5つの処置群の1つに無作為に分けた。5つの処置群に実際に割り当てられた被験者数は以下の通りである。
【0198】
グループ1 プラセボとプラセボ 51
【0199】
グループ2 T(50mg)とプラセボ 50
【0200】
グループ3 T(50mg)とメチルナルトレキソン(0.01mg):51
【0201】
グループ4 T(50mg)とメチルナルトレキソン(0.1mg):52
【0202】
グループ5 T(50mg)とメチルナルトレキソン(1mg):50
【0203】
陽性コントロール(タペンタドール50mg、グループ2)を用いて、臨床エンドポイントの感度を求めた。陰性コントロール(プラセボ、グループ1)を用いて、実薬処置の不在下で起こり得る臨床エンドポイントの変化の頻度及び大きさを確立した。3又は4本の第三臼歯の外科的摘出後、患者が中等度から重度の痛みを経験したとき、単回経口用量の試験薬剤を投与した。
【0204】
結果
本発明は、以下の代表的な臨床試験の結果によって例示される。示される図表は例示のために示されるに過ぎず、本発明の範囲を決して限定しない。当業者はオピオイドアゴニスト及びアンタゴニストを用いて、容易に試験を改変することができる。
【0205】
図1は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:タペンタドール(50mg)とプラセボ、グループ3:タペンタドール(50mg)とナロキソン(0.1mg)、グループ4:タペンタドール(50mg)とナルトレキソン(0.1mg)、グループ5:タペンタドール(50mg)とナルメフェン(0.1mg)の4時間の総痛み軽減スコア(TOTPAR)を示す。
【0206】
図2は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:タペンタドール(50mg)とプラセボ、グループ3:タペンタドール(50mg)とナロキソン(0.1mg)、グループ4:タペンタドール(50mg)とナルトレキソン(0.1mg)、グループ5:タペンタドール(50mg)とナルメフェン(0.1mg)の0〜12、0〜8、及び0〜4時間の毎時痛み軽減スコアを示す。
【0207】
図3は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:タペンタドール(50mg)とプラセボ、グループ3:タペンタドール(50mg)とナロキソン(0.1mg)、グループ4:タペンタドール(50mg)とナルトレキソン(0.1mg)、グループ5:タペンタドール(50mg)とナルメフェン(0.1mg)の4時間、8時間、及び12時間でのΔ平均痛み軽減スコアの変化を示す。
【0208】
図4は、タペンタドールと種々のオピオイドアンタゴニストに伴う主要な副作用の比較を示す。
【0209】
図5は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:(SRT100mg、実施例2)とプラセボ、グループ3:(SRT100mg、実施例2)とナルトレキソンN1(0.1mg)、グループ4:(SRT100mg、実施例2)とナロキソンN2(0.1mg)、グループ5:(SRT100mg、実施例2)とナルメフェンN3(0.1mg)、及び6群:FDC(SRT100mg+ナルトレキソンN1(1mg、実施例7)の4時間の総痛み軽減スコア(TOTPAR)を示す。
【0210】
図6は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:(SRT100mg、実施例2)とプラセボ、グループ3:(SRT100mg、実施例2)とナルトレキソンN1(0.1mg)、グループ4:(SRT100mg、実施例2)とナロキソンN2(0.1mg)、グループ5:(SRT100mg、実施例2)とナルメフェンN3(0.1mg)、及び6群:FDC(SRT100mg+ナルトレキソンN1(1mg、実施例7)の0〜12、0〜8、及び0〜4時間の毎時痛み軽減スコアを示す。
【0211】
図7は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:(SRT100mg、実施例2)とプラセボ、グループ3:(SRT100mg、実施例2)とナルトレキソンN1(0.1mg)、グループ4:(SRT100mg、実施例2)とナロキソンN2(0.1mg)、グループ5:(SRT100mg、実施例2)とナルメフェンN3(0.1mg)、及び6群:FDC(SRT100mg+ナルトレキソンN1(1mg、実施例7)の4時間、8時間、及び12時間でのΔ平均痛み軽減スコアの変化を示す。
【0212】
図8は、徐放性タペンタドールと種々のアンタゴニストに伴う主要な副作用の比較を示す。
【0213】
図9は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とプラセボ、グループ3:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とN2(0.01mg)、グループ4:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とN2(0.1mg)、グループ5:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とN2(1mg)の4時間の総痛み軽減スコア(TOTPAR)を示す。
【0214】
図10は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とプラセボ、グループ3:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とN2(0.01mg)、グループ4:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とN2(0.1mg)、グループ5:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とN2(1mg)の0〜12、0〜8、及び0〜4時間の毎時痛み軽減スコアを示す。
【0215】
図11は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とプラセボ、グループ3:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とN2(0.01mg)、グループ4:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とN2(0.1mg)、グループ5:FDC−実施例4(タペンタドール(100mg)+ナプロキセン250mg)とN2(1mg)の4時間、8時間、及び12でのΔ平均痛み軽減スコアの変化を示す。
【0216】
図12は、グループ1:(プラセボとプラセボ)、グループ2:(FDC−実施例3、タペンタドール100mg+プレガバリン250mg)+プラセボ)、グループ3:(FDC−実施例3、タペンタドール100mg+プレガバリン250mg)+N2(0.01mg)、グループ4:(FDC−実施例3、タペンタドール100mg+プレガバリン250mg)+N2(0.1mg)、グループ5:(FDC−実施例3、タペンタドール100mg+プレガバリン250mg)+N2(1mg)のVAS痛みスコアにおける平均VAS痛みスコア変化を示す。
【0217】
図13は、グループ1:(プラセボとプラセボ)、グループ2:(FDC−実施例3、タペンタドール100mg+プレガバリン250mg)+プラセボ)、グループ3:(FDC−実施例3、タペンタドール100mg+プレガバリン250mg)+N2(0.01mg)、グループ4:(FDC−実施例3、タペンタドール100mg+プレガバリン250mg)+N2(0.1mg)、グループ5:(FDC−実施例3、タペンタドール100mg+プレガバリン250mg)+N2(1mg)のVAS痛みにおけるΔ平均VAS痛みスコア変化を示す。
【0218】
図14は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:タペンタドール(50mg)とプラセボ、グループ3:タペンタドール(50mg)とメチルナルトレキソン(0.01mg)、グループ4:タペンタドール(50mg)とメチルナルトレキソン(0.1mg)、グループ5:タペンタドール(50mg)とメチルナルトレキソン(1mg)の4時間の総痛み軽減スコア(TOTPAR)を示す。
【0219】
図15は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:タペンタドール(50mg)とプラセボ、グループ3:タペンタドール(50mg)とメチルナルトレキソン(0.01mg)、グループ4:タペンタドール(50mg)とメチルナルトレキソン(0.1mg)、グループ5:タペンタドール(50mg)とメチルナルトレキソン(1mg)の0〜12、0〜8、及び0〜4時間の毎時痛み軽減スコアを示す。
【0220】
図16は、グループ1:プラセボとプラセボ、グループ2:タペンタドール(50mg)とプラセボ、グループ3:タペンタドール(50mg)とメチルナルトレキソン(0.01mg)、グループ4:タペンタドール(50mg)とメチルナルトレキソン(0.1mg)、グループ5:タペンタドール(50mg)とメチルナルトレキソン(1mg)の4時間、8時間、及び12時間でのΔ平均痛み軽減スコアの変化を示す。
【0221】
図17は、様々な用量のメチルナルトレキソンによるタペンタドール誘発性副作用である便秘の程度の比較を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減する剤形。
【請求項2】
少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形を対象 (subject)に投与することを含む、対象において痛みを治療する方法であって、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減する方法。
【請求項3】
タペンタドールが、最適量又は準最適量(suboptimal amount)で存在し、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減するのに有効な量で存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な痛み軽減を少なくとも12時間提供する、請求項1に記載の剤形。
【請求項5】
前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な痛み軽減を24時間まで提供する、請求項1に記載の剤形。
【請求項6】
少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、その用量が、USP TypeIIパドル装置において、SGF/SIF組み合わせ900ml中、100rpm、37℃で測定されたとき、2時間後に約8%のタペンタドールが放出され、4時間後に約22%のタペンタドールが放出され、8時間後に約48%のタペンタドールが放出され、12時間後に約70%のタペンタドールが放出され、16時間後に約78%のタペンタドールが放出され、20時間後に少なくとも80%のタペンタドールが放出される溶出プロファイルを示す剤形。
【請求項7】
少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形を対象に投与することを含む、対象において痛みを治療する方法であって、その用量が、USP TypeIIパドル装置において、SGF/SIF組み合わせ900ml中、100rpm、37℃で測定されたとき、2時間後に約8%のタペンタドールが放出され、4時間後に約22%のタペンタドールが放出され、8時間後に約48%のタペンタドールが放出され、12時間後に約70%のタペンタドールが放出され、16時間後に約78%のタペンタドールが放出され、20時間後に少なくとも80%のタペンタドールが放出される溶出プロファイルを示す方法。
【請求項8】
アンタゴニストが、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、メチルナルトレキソン、ナリド、ナルメキソン、ナロルフィン、ナルフィン、ハロペリドール、プロメタジン、フルフェナジン、ぺルフェナジン、レボメプロマジン、チオリダジン、ペラジン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、ズクロペンチキソール、フルペンチキソール、プロチペンジル、ゾテピン、ベンペリドール、ピパンペロン、メルペロン、及びブロムペリドールからなる群から選択される、請求項1又は3又は5又は6又は7に記載の剤形。
【請求項9】
少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のアンタゴニストを含む剤形であって、その剤形が投与されると、アンタゴニストを含まない剤形の投与によって生じる有害事象プロファイルより良好な有害事象プロファイルを生じる剤形。
【請求項10】
少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のアンタゴニストを含む剤形であって、その剤形が投与されると、アンタゴニストを含まない剤形の投与によって生じるものより、めまい感又はめまいの発生が少ない剤形。
【請求項11】
少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のアンタゴニストを含む剤形であって、その剤形が投与されると、アンタゴニストを含まない剤形の投与によって生じるものより、吐気の発生が少ない剤形。
【請求項12】
少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のアンタゴニストを含む剤形であって、その剤形が投与されると、アンタゴニストを含まない剤形の投与によって生じるものより、嘔吐の発生が少ない剤形。
【請求項13】
最適量又は準最適量の少なくとも1つの形態のタペンタドールを含む剤形であって、その剤形が投与されると、アンタゴニストを含まない剤形の投与によって生じるものより、頭痛の発生が少ない剤形。
【請求項14】
最適量又は準最適量の少なくとも1つの形態のタペンタドールを含む剤形であって、その剤形が、約25から約800mgの1つの形態のタペンタドールを含む剤形。
【請求項15】
投与経路が、経口、舌下、筋肉内、皮下、口腔、静脈内、又は経皮である、請求項2又は4又は8に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む医薬キット。
【請求項17】
少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び少なくとも1種の追加薬物を含む剤形であって、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減する剤形。
【請求項18】
少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び少なくとも1種の追加薬物を含む剤形を投与することを含む、対象において痛みを治療する方法であって、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減する方法。
【請求項19】
前記第2鎮痛薬が、NSAID、アセトアミノフェン、GABA類似体、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、一酸化窒素供与型シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、HTアゴニスト、及びプロトンポンプ阻害薬、トラマドール、ヒドロモルホン、ファキセラドール、アキソマドール、オキシコドン、ヒドロコドン、フェンタニル、モルヒネ、医薬的に許容されるそれらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項18に記載の剤形。
【請求項20】
前記第2鎮痛薬が、NSAID、アセトアミノフェン、GABA類似体、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、一酸化窒素供与型シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、HTアゴニスト、及びプロトンポンプ阻害薬、トラマドール、ヒドロモルホン、ファキセラドール、アキソマドール、オキシコドン、ヒドロコドン、フェンタニル、モルヒネ、医薬的に許容されるそれらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記アンタゴニストが、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、メチルナルトレキソン、ナリド、ナルメキソン、ナロルフィン、ナルフィン、ハロペリドール、プロメタジン、フルフェナジン、ぺルフェナジン、レボメプロマジン、チオリダジン、ペラジン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、ズクロペンチキソール、フルペンチキソール、プロチペンジル、ゾテピン、ベンペリドール、ピパンペロン、メルペロン、及びブロムペリドールからなる群から選択される、請求項18に記載の剤形。
【請求項1】
少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減する剤形。
【請求項2】
少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形を対象 (subject)に投与することを含む、対象において痛みを治療する方法であって、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減する方法。
【請求項3】
タペンタドールが、最適量又は準最適量(suboptimal amount)で存在し、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減するのに有効な量で存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な痛み軽減を少なくとも12時間提供する、請求項1に記載の剤形。
【請求項5】
前記剤形が、ヒト患者に投与されたとき、有効な痛み軽減を24時間まで提供する、請求項1に記載の剤形。
【請求項6】
少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形であって、その用量が、USP TypeIIパドル装置において、SGF/SIF組み合わせ900ml中、100rpm、37℃で測定されたとき、2時間後に約8%のタペンタドールが放出され、4時間後に約22%のタペンタドールが放出され、8時間後に約48%のタペンタドールが放出され、12時間後に約70%のタペンタドールが放出され、16時間後に約78%のタペンタドールが放出され、20時間後に少なくとも80%のタペンタドールが放出される溶出プロファイルを示す剤形。
【請求項7】
少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む剤形を対象に投与することを含む、対象において痛みを治療する方法であって、その用量が、USP TypeIIパドル装置において、SGF/SIF組み合わせ900ml中、100rpm、37℃で測定されたとき、2時間後に約8%のタペンタドールが放出され、4時間後に約22%のタペンタドールが放出され、8時間後に約48%のタペンタドールが放出され、12時間後に約70%のタペンタドールが放出され、16時間後に約78%のタペンタドールが放出され、20時間後に少なくとも80%のタペンタドールが放出される溶出プロファイルを示す方法。
【請求項8】
アンタゴニストが、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、メチルナルトレキソン、ナリド、ナルメキソン、ナロルフィン、ナルフィン、ハロペリドール、プロメタジン、フルフェナジン、ぺルフェナジン、レボメプロマジン、チオリダジン、ペラジン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、ズクロペンチキソール、フルペンチキソール、プロチペンジル、ゾテピン、ベンペリドール、ピパンペロン、メルペロン、及びブロムペリドールからなる群から選択される、請求項1又は3又は5又は6又は7に記載の剤形。
【請求項9】
少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のアンタゴニストを含む剤形であって、その剤形が投与されると、アンタゴニストを含まない剤形の投与によって生じる有害事象プロファイルより良好な有害事象プロファイルを生じる剤形。
【請求項10】
少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のアンタゴニストを含む剤形であって、その剤形が投与されると、アンタゴニストを含まない剤形の投与によって生じるものより、めまい感又はめまいの発生が少ない剤形。
【請求項11】
少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のアンタゴニストを含む剤形であって、その剤形が投与されると、アンタゴニストを含まない剤形の投与によって生じるものより、吐気の発生が少ない剤形。
【請求項12】
少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のアンタゴニストを含む剤形であって、その剤形が投与されると、アンタゴニストを含まない剤形の投与によって生じるものより、嘔吐の発生が少ない剤形。
【請求項13】
最適量又は準最適量の少なくとも1つの形態のタペンタドールを含む剤形であって、その剤形が投与されると、アンタゴニストを含まない剤形の投与によって生じるものより、頭痛の発生が少ない剤形。
【請求項14】
最適量又は準最適量の少なくとも1つの形態のタペンタドールを含む剤形であって、その剤形が、約25から約800mgの1つの形態のタペンタドールを含む剤形。
【請求項15】
投与経路が、経口、舌下、筋肉内、皮下、口腔、静脈内、又は経皮である、請求項2又は4又は8に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの形態のタペンタドール及び少なくとも1種のオピオイドアンタゴニストを含む医薬キット。
【請求項17】
少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び少なくとも1種の追加薬物を含む剤形であって、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減する剤形。
【請求項18】
少なくとも1つの形態のタペンタドール、少なくとも1種のオピオイドアンタゴニスト、及び少なくとも1種の追加薬物を含む剤形を投与することを含む、対象において痛みを治療する方法であって、前記アンタゴニストが、タペンタドールの有効性を改善するか及び/又はタペンタドールの副作用を低減する方法。
【請求項19】
前記第2鎮痛薬が、NSAID、アセトアミノフェン、GABA類似体、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、一酸化窒素供与型シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、HTアゴニスト、及びプロトンポンプ阻害薬、トラマドール、ヒドロモルホン、ファキセラドール、アキソマドール、オキシコドン、ヒドロコドン、フェンタニル、モルヒネ、医薬的に許容されるそれらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項18に記載の剤形。
【請求項20】
前記第2鎮痛薬が、NSAID、アセトアミノフェン、GABA類似体、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、一酸化窒素供与型シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、HTアゴニスト、及びプロトンポンプ阻害薬、トラマドール、ヒドロモルホン、ファキセラドール、アキソマドール、オキシコドン、ヒドロコドン、フェンタニル、モルヒネ、医薬的に許容されるそれらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記アンタゴニストが、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、メチルナルトレキソン、ナリド、ナルメキソン、ナロルフィン、ナルフィン、ハロペリドール、プロメタジン、フルフェナジン、ぺルフェナジン、レボメプロマジン、チオリダジン、ペラジン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、ズクロペンチキソール、フルペンチキソール、プロチペンジル、ゾテピン、ベンペリドール、ピパンペロン、メルペロン、及びブロムペリドールからなる群から選択される、請求項18に記載の剤形。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2012−507519(P2012−507519A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534509(P2011−534509)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/005866
【国際公開番号】WO2010/096045
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(390035404)グリュネンタール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (127)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/005866
【国際公開番号】WO2010/096045
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(390035404)グリュネンタール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (127)
【Fターム(参考)】
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