説明

新規アザ−二環式化合物および可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激剤としてのそれらの使用

本願は、新規のアザ二環式化合物、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のための、単独または組合せにおけるそれらの使用、および、疾患の処置および/または予防のための、特に心血管疾患の処置および/または予防のための医薬を製造するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、新規のアザ二環式化合物、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のための、単独または組合せにおけるそれらの使用、および、疾患の処置および/または予防用の、特に心血管障害の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物細胞における最も重要な細胞の伝達システムの1つは、環状グアノシン一リン酸(cGMP)である。内皮から放出され、ホルモン的および機械的シグナルを伝達する一酸化窒素(NO)と共に、それは、NO/cGMPシステムを形成する。グアニル酸シクラーゼは、グアノシン三リン酸(GTP)からのcGMPの生合成を触媒する。今日までに開示されたこのファミリーの代表例は、構造的特徴およびリガンドのタイプの両方に従って、2つのグループに分類できる:ナトリウム利尿ペプチドにより刺激され得る粒子性グアニル酸シクラーゼ、および、NOにより刺激され得る可溶性グアニル酸シクラーゼ。可溶性グアニル酸シクラーゼは2個のサブユニットからなり、恐らくヘテロ二量体毎に1個のヘムを含有し、それは調節部位の一部である。後者は、活性化メカニズムにとって中心的に重要なものである。NOは、ヘムの鉄原子に結合でき、かくして、この酵素の活性を顕著に増加させる。一方、ヘムを含まない調製物は、NOにより刺激され得ない。一酸化炭素(CO)もヘムの中心鉄原子に結合できるが、COによる刺激は、NOによるものよりも顕著に少ない。
【0003】
cGMPの産生、および、それに起因するホスホジエステラーゼ、イオンチャネルおよびタンパク質キナーゼの調節を介して、グアニル酸シクラーゼは、様々な生理的過程において、特に、平滑筋細胞の弛緩および増殖において、血小板の凝集および接着において、神経のシグナル伝達において、上述の過程の欠陥に起因する障害において、重要な役割を果たす。病的条件下では、NO/cGMP系は抑制されることがあり、例えば、高血圧、血小板活性化、細胞増殖の増加、内皮の機能不全、アテローム性動脈硬化、狭心症、心不全、心筋梗塞、血栓症、卒中および性機能不全を導き得る。
【0004】
NOから独立した、生物におけるcGMPシグナル伝達経路に影響を与えることを目的とするそのような障害の可能な処置方法は、予測される高い有効性および少ない副作用のために、有望なアプローチである。
【0005】
有機硝酸塩などの、それらの効果がNOをベースとする化合物は、今日まで、可溶性グアニル酸シクラーゼの治療的刺激に専ら使用されてきた。NOは、生物変換により産生され、ヘムの中心鉄原子に結合することにより、可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化する。副作用の他に、耐性の発生がこの処置様式の重大な欠点の1つである。
【0006】
可溶性グアニル酸シクラーゼを直接、即ち、事前のNO放出を伴わずに、刺激するいくつかの物質、例えば、3−(5'−ヒドロキシメチル−2'−フリル)−1−ベンジルインダゾール [YC-1, Wu et al., Blood 84 (1994), 4226; Muelsch et al., Brit. J. Pharmacol. 120 (1997), 681]、脂肪酸 [Goldberg et al., J. Biol. Chem. 252 (1977), 1279]、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート [Pettibone et al., Eur. J. Pharmacol. 116 (1985), 307]、イソリキリチゲニン(isoliquiritigenin)[Yu et al., Brit. J. Pharmacol. 114 (1995), 1587] および様々な置換ピラゾール誘導体(WO98/16223)が、近年記載された。
【0007】
縮合ピラゾール誘導体は、とりわけ、WO98/16507、WO98/23619、WO00/06567、WO00/06569、WO02/42299、WO02/42300、WO02/42301、WO02/42302、WO02/092596、WO03/004503およびWO03/095451に、可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激因子として記載されている。しかしながら、これらの化合物は、例えばそれらの溶解性などの、それらの物理化学的特性の観点で、または、例えば、それらの肝臓での挙動、それらの薬物動態的挙動、それらの用量−効果関係および/またはそれらの代謝経路などの、それらのインビボの特性に関して、欠点を示すことがわかってきた。
加えて、WO2005/030121は、新生物性疾患の処置用の縮合アゾール類を特許請求している。
【0008】
本発明の目的は、可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激因子として作用し、先行技術で知られている化合物と比較して、改善された治療プロフィールを示す新規物質を提供することであった。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、一般式(I)
【化1】

[式中、
Lは、フェニル、ピリジル、フリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリルまたはイソオキサゾリルであり、これらの各々は、2個までの同一かまたは異なるハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチルおよび/または(C−C)−アルキニルにより置換されていてもよいか、
または、
(C−C)−シクロアルキルであり、これは、2個までの同一かまたは異なるフッ素および/または(C−C)−アルキルにより置換されていてもよく、
Mは、式(a)ないし(i)
【化2】

{式中、
*は、−CH−L基への結合点であり、
**は、Q基への結合点であり、
A、BおよびDは、各々CH、CRまたはNであり、環構成員A、BおよびDのうち最大2個が同時にNであり、そして、ここで、
は、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、アミノ、(C−C)−アルコキシおよびトリフルオロメトキシの群から選択される置換基であり、
ここで、置換基Rが1個より多く存在する場合、その意味は同一であっても異なっていてもよく、そして、
Eは、OまたはSである}
のいずれかを有する二環式ヘテロアリール基であり、
【0010】
そして、
Qは、N、Oおよび/またはSの群から4個までのヘテロ原子を有する不飽和または芳香族性の5員または6員の複素環であり、これは、ハロゲン、アジド、ニトロ、シアノ、オキソ、チオキソ、−R、−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−C(=O)−NR、−O−(C=O)−R、−O−C(=O)−OR、−O−C(=O)−NR、−S(O)−R、−SO−OR、−SO−NR、−NR−(C=O)−R、−NR−SO−R、−NR−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−NRおよび−NR−SO−NRからなる群から選択される4個までの同一かまたは異なるラジカルにより置換されていてもよい
{ここで、
nは、0または1の数であり、
pは、0、1または2の数であり、
、RおよびRは、同一であるか、または異なり、相互に独立して、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、(C−C10)−アリール、4員ないし8員の複素環または5員ないし10員のヘテロアリールであり、
かつ/または、
およびRまたはRおよびRは、それらが両方とも各々結合しているラジカルと一体となって、4員ないし8員の複素環を形成していてもよく、
ここで、R、RおよびRは、ハロゲン、アジド、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、(C−C)−アシル、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アシルオキシ、オキソ、メルカプト、(C−C)−アルキルチオ、アミノ、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノ、(C−C)−アシルアミノ、(C−C)−アルコキシカルボニルアミノ、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニルおよび4員ないし8員の複素環からなる群から選択される5個までの同一かまたは異なるラジカルにより置換されていることもある}]、
の化合物、それらのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩、並びに、N−オキシドおよび塩の溶媒和物に関する。
【0011】
本発明による化合物は、式(I)の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、式(I)に包含される後述の式の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、および、式(I)に包含される例示的実施態様として後述する化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物(式(I)に包含される後述の化合物が、まだ塩、溶媒和物および塩の溶媒和物ではない場合に)である。
【0012】
本発明による化合物は、同様に、式(I)の化合物のN−オキシド、並びに、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0013】
本発明による化合物は、それらの構造次第で、立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在し得る。従って、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの各々の混合物に関する。立体異性的に純粋な構成々分は、そのようなエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から、既知方法で単離できる。
本発明による化合物が互変異性体で存在できるならば、本発明は、全ての互変異性体を含む。
【0014】
本発明の目的上、好ましいは、本発明による化合物の生理的に許容し得る塩である。しかしながら、それら自体は医薬適用に適さないが、例えば本発明による化合物の単離または精製に使用できる塩も包含される。
【0015】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、無機酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0016】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、また、常套の塩基の塩、例えば、そして、好ましくは、アルカリ金属塩(例えばナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウムおよびマグネシウム塩)およびアンモニアまたは1個ないし16個のC原子を有する有機アミン(例えば、そして、好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびN−メチルピペリジン)から誘導されるアンモニウム塩も含まれる。
【0017】
溶媒和物は、本発明の目的上、固体または液体状態で溶媒分子との配位により錯体を形成している本発明による化合物の形態を表す。水和物は、配位が水と起こる、溶媒和物の特別な形態である。本発明に関して好ましい溶媒和物は水和物である。
【0018】
本発明は、また、本発明による化合物のプロドラッグも包含する。用語「プロドラッグ」は、それら自体は生物学的に活性であっても不活性であってもよいが、それらの体内残存時間中に(例えば代謝的または加水分解的に)本発明による化合物に変換される化合物を包含する。
【0019】
本発明に関して、置換基は、断りの無い限り以下の意味を有する:
(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルキルは、本発明に関して、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルである。1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルが好ましい。好ましく言及し得る例は:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1−エチルプロピル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルである。
【0020】
(C−C)−アルケニルおよび(C−C)−アルケニルは、本発明に関して、各々2個ないし6個および2個ないし4個の炭素原子並びに1個または2個の二重結合を有する直鎖または分枝鎖のアルケニルラジカルである。2個ないし4個の炭素原子および1個の二重結合を有する直鎖または分枝鎖のアルケニルラジカルが好ましい。好ましく言及し得る例は:ビニル、アリル、イソプロペニルおよびn−ブト−2−エン−1−イルである。
【0021】
(C−C)−アルキニルは、本発明に関して、2個ないし4個の炭素原子および三重結合を有する直鎖または分枝鎖のアルキニルラジカルである。2個ないし4個の炭素原子を有する直鎖のアルキニルラジカルが好ましい。好ましく言及し得る例は:エチニル、n−プロプ−1−イン−1−イル、n−プロプ−2−イン−1−イル、n−ブト−1−イン−1−イル、n−ブト−2−イン−1−イルおよびn−ブト−3−イン−1−イルである。
【0022】
(C−C)−アルコキシおよび(C−C)−アルコキシは、本発明に関して、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルである。1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルが好ましい。好ましく言及し得る例は:メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシおよびn−ヘキソキシである。
【0023】
(C−C)−アルキルチオおよび(C−C)−アルキルチオは、本発明に関して、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルチオラジカルである。1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルチオラジカルが好ましい。好ましく言及し得る例は:メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、n−ペンチルチオおよびn−ヘキシルチオである。
【0024】
モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびモノ−(C−C)−アルキルアミノは、本発明に関して、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する1個の直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基である。1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のモノアルキルアミノラジカルが好ましい。好ましく言及し得る例は:メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、n−ペンチルアミノおよびn−ヘキシルアミノである。
【0025】
ジ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノは、本発明に関して、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する2個の同一かまたは異なる直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基である。1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のジアルキルアミノラジカルが好ましい。好ましく言及し得る例は:N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−プロピルアミノ、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノ、N,N−ジイソプロピルアミノ、N−n−ブチル−N−メチルアミノ、N−tert−ブチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−ペンチルアミノおよびN−n−ヘキシル−N−メチルアミノである。
【0026】
(C−C)−アシルおよび(C−C)−アシル[(C−C)−アルカノイルおよび(C−C)−アルカノイル]は、本発明に関して、二重結合した酸素原子を1位に有し、1位を介して結合している、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルである。1個ないし4個の炭素原子を有するアシルラジカルが好ましい。好ましく言及し得る例は:ホルミル、アセチル、プロピオニル、n−ブチリル、イソ−ブチリル、n−ペンタノイル、ピバロイルおよびn−ヘキサノイルである。
【0027】
(C−C)−アシルアミノおよび(C−C)−アシルアミノは、本発明に関して、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有し、カルボニル基を介してN原子に結合している1個の直鎖または分枝鎖のアシル置換基を有するアミノ基である。好ましく言及し得る例は:ホルミルアミノ、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、n−ブチリルアミノ、イソ−ブチリルアミノおよびピバロイルアミノである。
【0028】
(C−C)−アシルオキシおよび(C−C)−アシルオキシは、本発明に関して、二重結合した酸素原子を1位に有し、さらなる酸素原子を介して1位で結合している、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルである。好ましく言及し得る例は:アセトキシ、プロピオンオキシ、n−ブチルオキシ、イソ−ブチルオキシおよびピバロイルオキシである。
【0029】
(C−C)−アルコキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルは、本発明に関して、カルボニル基を介して結合している、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルである。アルコキシ基中に1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシカルボニルラジカルが好ましい。好ましく言及し得る例は:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニルおよびtert−ブトキシカルボニルである。
【0030】
(C−C)−アルコキシカルボニルアミノおよび(C−C)−アルコキシカルボニルアミノは、本発明に関して、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有し、カルボニル基を介してN原子に結合している1個の直鎖または分枝鎖のアルコキシカルボニル置換基を有するアミノ基である。好ましく言及し得る例は:メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、n−プロポキシカルボニルアミノ、イソプロポキシカルボニルアミノ、n−ブトキシカルボニルアミノおよびtert−ブトキシカルボニルアミノである。
【0031】
モノ−またはジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルおよびモノ−またはジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルは、本発明に関して、カルボニル基を介して結合しており、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する、1個の直鎖または分枝鎖の、または、2個の同一かまたは異なる直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基である。アルキル基中に1個ないし4個の炭素原子を有するモノ−またはジアルキルアミノカルボニルラジカルが好ましい。好ましく言及し得る例は:メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n−プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、n−ブチルアミノカルボニル、tert−ブチルアミノカルボニル、N,N−ジメチルアミノカルボニル、N,N−ジエチルアミノカルボニル、N−エチル−N−メチルアミノカルボニル、N−メチル−N−n−プロピルアミノカルボニル、N−n−ブチル−N−メチルアミノカルボニルおよびN−tert−ブチル−N−メチルアミノカルボニル。
【0032】
(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキルおよび(C−C)−シクロアルキルは、本発明に関して、各々3個ないし8個、3個ないし7個、3個ないし6個および5個ないし7個の環内炭素原子を有する単環式飽和炭素環である。好ましく言及し得る例は:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルである。
【0033】
(C−C)−シクロアルケニルおよび(C−C)−シクロアルケニルは、本発明に関して、各々3個ないし8個および3個ないし7個の環内炭素原子並びに1個の二重結合を有する単環式炭素環である。好ましく言及し得る例は:シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニルである。
【0034】
(C−C10)−アリールは、本発明に関して、6個または10個の環内炭素原子を有する芳香族性炭素環である。好ましいアリールラジカルは、フェニルおよびナフチルである。
【0035】
5員ないし10員のヘテロアリールは、本発明に関して、全部で5個ないし10個の環内原子を有し、N、Oおよび/またはSの群から3個までの同一かまたは異なる環内ヘテロ原子を含み、環内炭素原子を介して、または、必要に応じて環内窒素原子を介して結合している、単環式または必要に応じて二環式の芳香族性複素環(複素芳香族)である。好ましく言及し得る例は:フリル、ピロリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、インダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ナフチリジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ピラゾロ[3,4−b]ピリジニルである。N、Oおよび/またはSの群から3個までの環内ヘテロ原子を有する単環式の5員または6員のヘテロアリールラジカル、例えば、フリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニルが好ましい。
【0036】
4員ないし8員の複素環は、本発明に関して、全部で4個ないし8個の環内原子を有し、N、O、S、SOおよび/またはSOの群から1個または2個の環内ヘテロ原子を含み、環内炭素原子を介して、または、必要に応じて環内窒素原子を介して結合している、単環式の飽和複素環である。N、Oおよび/またはSの群から1個または2個の環内ヘテロ原子を有する5員ないし7員の複素環が好ましく、Nおよび/またはOの群から1個または2個の環内ヘテロ原子を有する5員または6員の複素環が特に好ましい。言及し得る例は:アゼチジニル、オキセタニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、チオラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ヘキサヒドロアゼピニルおよびヘキサヒドロ−1,4−ジアゼピニルである。ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニルおよびモルホリニルが好ましい。
【0037】
不飽和または芳香族性の5員または6員の複素環は、本発明に関して、全部で5個または6個の環内原子を有し、N、Oおよび/またはSの群から4個までの環内ヘテロ原子を含み、環内炭素原子を介して、または、必要に応じて環内窒素原子を介して結合しており、5員環の場合、二重結合を含有するか、または、芳香族性であり、6員環の場合、1個または2個の二重結合を含有するか、または芳香族性である、単環式複素環である。言及し得る例は、ピロリニル、ジヒドロピラゾリル、イミダゾリニル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロ−1,2,4−トリアゾリル、ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾリル、ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾリル、ジヒドロ−1,2,4−チアジアゾリル、ジヒドロピラニル、1,4−ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリミジニル、1,3−オキサジニル、フリル、ピロリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニルである。
【0038】
ハロゲンは、本発明に関して、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。フッ素または塩素が好ましい。
【0039】
本発明による化合物中のラジカルが置換されているならば、断りの無い限り、そのラジカルは、一置換または多置換されていてよい。本発明に関して、1個より多く存在する全てのラジカルは、相互に独立した意味を有する。1個、2個または3個の同一または異なる置換基による置換が好ましい。1個の置換基による置換がことさら特に好ましい。
【0040】
本発明に関して、好ましいのは、式中、
Lが、フェニルまたはチエニルであり、これらの各々は、2個までの同一かまたは異なるフッ素、塩素、シアノ、メチルおよび/またはトリフルオロメチルにより置換されていてもよいか、
または、
シクロヘキシルまたはシクロヘプチルであり、これらの各々は、2個までの同一かまたは異なるフッ素および/またはメチルにより置換されていてもよく、
Mが、式(b)、(d)、(e)または(h)
【化3】

{式中、
*は、−CH−L基への結合点であり、
**は、Q基への結合点であり、
A、BおよびDは、各々CH、CRまたはNであり、環構成員A、BおよびDのうち最大2個が同時にNであり、そして、ここで、
は、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、アミノ、(C−C)−アルコキシおよびトリフルオロメトキシの群から選択される置換基であり、
ここで、置換基Rが1個より多く存在する場合、その意味は同一であっても異なっていてもよく、そして、
Eは、OまたはSである}
の二環式ヘテロアリール基であり、
【0041】
そして、
Qが、式
【化4】

{式中、
#は、M基への結合点であり、
Gは、CHまたはNであり、
Jは、CRまたはNであり、
Zは、OまたはSであり、
、RおよびRは、同一であるか、または異なり、相互に独立して、ハロゲン、ニトロ、シアノ、−R、−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−C(=O)−NR、−O−(C=O)−R、−O−C(=O)−OR、−O−C(=O)−NR、−S(O)−R、−SO−OR、−SO−NR、−NR−(C=O)−R、−NR−SO−R、−NR−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−NRおよび−NR−SO−NRからなる群から選択されるラジカルであり、ここで、
nは、0または1の数であり、
pは、0または2の数であり、
、RおよびRは、同一であるか、または異なり、相互に独立して、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、フェニル、5員ないし7員の複素環または5員または6員のヘテロアリールであり、
かつ/または、
およびRまたはRおよびRは、それらが両方とも各々結合しているラジカルと一体となって、5員ないし7員の複素環を形成していてもよく、
ここで、R、RおよびRは、フッ素、塩素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群から選択される3個までの同一かまたは異なるラジカルにより置換されていることもあり、
は、水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルであり、
ここで、(C−C)−アルキルは、5個までのフッ素により、そして、2個までの同一かまたは異なる(C−C)−シクロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アシルオキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、(C−C)−アシルアミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−(C−C)−アミノカルボニル、ジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルおよび/または5員または6員の複素環により置換されていてもよく、
は、(C−C)−アルキルであり、これは、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノまたは3個までのフッ素により置換されていてもよく、
10は、Rについて上記に示した意味を有し、
そして、
11は、水素または(C−C)−アルキルである}
の基である、
式(I)の化合物、それらのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩、並びに、N−オキシドおよび塩の溶媒和物である。
【0042】
本発明に関して、特に好ましいのは、式中、
Lが、2個までのフッ素により置換されていてもよいフェニルであり、
Mが、式
【化5】

{式中、
*は、−CH−L基への結合点であり、
そして、
**は、Q基への結合点である}
の二環式ヘテロアリール基であり、
そして、
Qが、式
【化6】

{式中、
#は、M基への結合点であり、
Jは、CRまたはNであり、
およびRは、相互に独立して、水素またはアミノであり、
は、水素、フッ素、塩素、臭素、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、ピリジルまたは−NR1213であり、ここで、
12は、水素または(C−C)−アルキルであり、これは、ヒドロキシ、メトキシまたは3個までのフッ素により置換されていてもよく、
13は、水素、(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシ、メトキシまたは3個までのフッ素により置換されていてもよい)、(C−C)−アシル、(C−C)−アルコキシカルボニルまたはモノ−またはジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルであるか、
または、
12およびR13は、それらが結合している窒素原子と一体となって、オキソにより置換されていてもよい5員ないし7員の複素環を形成し、
そして、
は、水素または(C−C)−アルキル(これは、3個までのフッ素により置換されていてもよい)である}
の基である、
式(I)の化合物、それらのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩、並びに、N−オキシドおよび塩の溶媒和物である。
【0043】
ラジカルの各々の組合せまたは好ましい組合せにおいて特別に示されるラジカルの定義は、また、それらのラジカルについて示される特定の組合せに拘わらず、所望により他の組合せのラジカルの定義によっても置き換えられる。
2個またはそれ以上の上述の好ましい範囲の組合せが特に好ましい。
【0044】
ことさら特に好ましいのは、化合物
6−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−イミダゾ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール−3−イル]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン
並びに、そのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩、並びに、N−オキシドおよび塩の溶媒和物である。
【0045】
本発明の式(I)の化合物は、文献に記載された方法と同様に製造でき、例えば、
[A]式(II)
【化7】

(式中、A、B、DおよびLは、各々上記の意味を有し、そして、
Tは、(C−C)−アルキルである)
の化合物を、式(III)
【化8】

(式中、J、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物と縮合し、式(I−A)
【化9】

(式中、A、B、D、J、L、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得る、
【0046】
または、
[B]式(IV)
【化10】

(式中、A、B、DおよびLは、各々上記の意味を有する)
の化合物を、式(V)
【化11】

(式中、JおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物と反応させ、式(I−B)
【化12】

(式中、A、B、D、J、LおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得る、
【0047】
または、
[C]式(VI)
【化13】

(式中、A、B、EおよびLは、各々上記の意味を有する)
の化合物を、式(VII)
【化14】

(式中、G、J、RおよびRは、各々上記の意味を有し、そして、
Xは、ハロゲン、メシレート、トシレートまたはトリフレートなどの適する脱離基である)
の化合物を用いて、式(I−C)
【化15】

(式中、A、B、E、G、J、L、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物に変換する、
【0048】
または、
[D]式(VIII)
【化16】

(式中、A、B、DおよびLは、各々上記の意味を有する)
の化合物を、式(IXa)、(IXb)、(IXc)または(IXd)
【化17】

(式中、RおよびTは、先に示した意味を有し、そして、
Yは、アミノ、モノ−またはジ−(C−C)−アルキルアミノ、ピペリジノ、モルホリノ、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシまたは(C−C)−アシルオキシである)
の化合物と反応させ、式(I−D)、(I−E)、(I−F)または(I−G)
【化18】

(式中、A、B、D、LおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得る、
【0049】
または、
[E]式(IV)
【化19】

(式中、A、B、DおよびLは、各々上記の意味を有する)
の化合物を、アルカリ金属アジドで、酸の存在下、または、トリメチルシリルアジドで、酸化ジブチルスズなどの触媒の存在下、式(I−H)
【化20】

(式中、A、B、DおよびLは、各々上記の意味を有する)
の化合物に変換する、
【0050】
または、
[F]まず、式(IV)
【化21】

(式中、A、B、DおよびLは、各々上記の意味を有する)
の化合物を、ヒドロキシルアミンで、式(X)
【化22】

(式中、A、B、DおよびLは、各々上記の意味を有する)
の化合物に変換し、次いで、後者をホスゲンまたはN,N'−カルボニルジイミダゾールもしくはクロロホルメートなどのホスゲン等価物と反応させ、式(I−J)
【化23】

(式中、A、B、DおよびLは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得る、
【0051】
または、
[G]先ず、式(II)
【化24】

(式中、A、B、D、LおよびTは、各々上記の意味を有する)
の化合物を、ヒドラジドで、式(XI)
【化25】

(式中、A、B、DおよびLは、各々上記の意味を有する)
の化合物に変換し、次いで、後者をホスゲンまたはN,N'−カルボニルジイミダゾールもしくはクロロホルメートなどのホスゲン等価物と反応させ、式(I−K)
【化26】

(式中、A、B、DおよびLは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得、
必要に応じて、得られる式(I−A)、(I−B)、(I−C)、(I−D)、(I−E)、(I−F)、(I−G)、(I−H)、(I−J)および(I−K)の化合物を、文献中の常套法により、上記の個々の置換基およびラジカルの意味の範囲内でさらに修飾し、
かくして得られる本発明の化合物を、必要に応じて、適当な(i)溶媒および/または(ii)酸もしくは塩基で、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換する。
【0052】
式(II)、(IV)、(VI)および(VIII)の化合物は、文献から知られている方法と同様に、購入できるか、または、文献に記載されている化合物から出発して、製造できる(下記反応スキーム1−7参照)。式(III)、(V)、(VII)、(IXa)、(IXb)、(IXc)および(IXd)の化合物は、購入できるか、文献から知られているか、または文献中の常套法により製造できる。
【0053】
本発明の化合物の製造は、例えば、以下の合成スキームにより例示説明できる:
スキーム1
【化27】

[a):水/ジオキサン、室温;b):N−クロロスクシンイミド、酢酸エチル、60℃;c):トリエチルアミン、ジオキサン、100℃;d):ビグアニジン二塩酸塩、ナトリウムメトキシド、メタノール、65℃]。
【0054】
本発明の化合物は、価値ある薬理特性を有し、ヒトおよび動物における障害の予防および処置に使用できる。本発明の化合物はさらなる処置選択肢を開拓し、薬学の向上に相当する。
【0055】
本発明の化合物は、血管弛緩効果および血小板凝集阻害効果を有し、血圧の低下および冠血流の増加を導く。これらの効果は、可溶性グアニル酸シクラーゼの直接的刺激およびcGMPの細胞内増加により媒介される。加えて、本発明の化合物は、例えば、EDRF(内皮由来弛緩因子)、NO供給源、プロトポルフィリンIX、アラキドン酸またはフェニルヒドラジン誘導体などの、cGMPレベルを高める物質の効果を増強する。
【0056】
従って、本発明による化合物は、心血管障害の処置用、例えば、高血圧および心不全、安定および不安定狭心症、肺高血圧、末梢および心臓の血管障害、不整脈の処置用、血栓塞栓性障害および虚血、例えば心筋梗塞、卒中、一過性および虚血性の発作、末梢血流の障害、再灌流障害の処置用、血栓溶解治療、経皮経管的血管形成術(PTA)、経皮経管冠動脈形成術(PTCA)およびバイパス術後の再狭窄の予防用、動脈硬化症、喘息性障害、並びに、前立腺肥大、勃起不全、女性の性機能不全および失禁などの泌尿器系の疾患、骨粗鬆症、緑内障並びに胃不全麻痺の処置用の医薬において用いることができる。
【0057】
本発明による化合物は、さらに、一次および二次レイノー現象、微小循環の障害、跛行、末梢および自律神経ニューロパシー、糖尿病性微小血管障害、糖尿病性網膜症、四肢の糖尿病性潰瘍、壊疽、CREST症候群、エリテマトーデス、爪真菌症、リウマチ性障害の処置、並びに創傷治癒の促進に使用できる。
【0058】
本発明による化合物は、さらに、急性および慢性肺疾患、例えば、呼吸促迫症候群(ALI、ARDS)および慢性閉塞性気道疾患(COPD)の処置、並びに、急性および慢性腎不全の処置に適する。
【0059】
本発明で説明する化合物は、また、NO/cGMP系の撹乱を特徴とする中枢神経系の疾患を制御するための有効成分でもある。それらは、特に軽度認知障害、加齢関連学習および記憶障害、加齢関連記憶喪失、血管性認知症、頭蓋大脳外傷、卒中、卒中後に生じる認知症(「卒中後認知症」)、外傷後の頭蓋大脳外傷、一般的な集中障害、学習記憶に問題のある小児の集中障害、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、ピック症候群を含む前頭葉の変性を伴う認知症、パーキンソン病、進行性核麻痺、大脳皮質基底核変性症を伴う認知症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、多発性硬化症、視床変性、クロイツフェルト−ヤコブ型認知症、HIV認知症、認知症を伴う統合失調症またはコルサコフ精神病などの症状/疾患/症候群に関連して生じるもののような、認知障害後の知覚力、集中力、学習力または記憶力の改善に特に適する。それらは、また、不安、緊張および抑鬱状態などの中枢神経系の障害、CNS関連性機能不全および睡眠障害の処置、および、食物、刺激物および嗜癖性物質の摂取の病的撹乱の制御にも適する。
【0060】
本発明による化合物は、さらに、脳血流の制御にも適し、従って、偏頭痛の制御に有効な物質である。それらは、また、卒中などの脳梗塞、脳虚血および頭蓋脳外傷の後遺症の予防および制御にも適する。本発明による化合物は、同様に、疼痛状態の制御にも用いることができる。
【0061】
加えて、本発明による化合物は、抗炎症効果を有し、従って、抗炎症剤として用いることができる。
【0062】
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防のための、本発明による化合物の使用に関する。
【0063】
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防用の医薬を製造するための、本発明による化合物の使用に関する。
【0064】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明による化合物の有効量を使用することによる、障害、特に上述の障害の処置および/または予防方法に関する。
【0065】
本発明による化合物は、単独で、または、必要であれば、他の有効成分と組み合わせて用いることができる。本発明は、さらに、特に上述の障害の処置および/または予防のための、少なくとも1種の本発明による化合物および1種またはそれ以上のさらなる有効成分を含む医薬に関する。好ましく言及し得る、適する組合せの有効成分の例は、以下のものである:
・有機硝酸塩およびNO供給源、例えば、ニトロプルシドナトリウム、ニトログリセリン、一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、モルシドミンまたはSIN−1および吸入NO;
・環状グアノシン一リン酸(cGMP)の分解を阻害する化合物、例えば、ホスホジエステラーゼ(PDE)1、2および/または5の阻害剤、特にシルデナフィル、バルデナフィルおよびタダラフィルなどのPDE5阻害剤;
・例えば、そして好ましくは、血小板凝集阻害剤、抗凝血剤または線維素溶解促進性物質の群からの、抗血栓活性を有する物質;
・例えば、そして好ましくは、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、アルファ−受容体遮断薬、ベータ−受容体遮断薬、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニストおよび利尿剤の群からの、血圧を下げる有効成分;および/または、
・例えば、そして好ましくは、甲状腺受容体アゴニスト、コレステロール合成阻害剤、例えば、そして好ましくは、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤またはスクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、CETP阻害剤、MTP阻害剤、PPAR−アルファ、PPAR−ガンマおよび/またはPPAR−デルタアゴニスト、コレステロール吸収阻害剤、リパーゼ阻害剤、ポリマー性胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤およびリポタンパク質(a)アンタゴニストの群からの、脂質代謝を改変する有効成分。
【0066】
抗血栓活性を有する物質は、好ましくは、血小板凝集阻害剤、抗凝血剤または線維素溶解促進性物質の群からの化合物を意味する。
【0067】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、血小板凝集阻害剤、例えば、そして好ましくは、アスピリン、クロピドグレル、チクロピジンまたはジピリダモールと組み合わせて投与する。
【0068】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、トロンビン阻害剤、例えば、そして好ましくは、キシメラガトラン、メラガトラン、ビバリルジンまたはクレキサンと組み合わせて投与する。
【0069】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、GPIIb/IIIaアンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、チロフィバンまたはアブシキシマブと組み合わせて投与する。
【0070】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、Xa因子阻害剤、例えば、そして好ましくは、リバロキサバン(BAY59−7939)、DU−176b、アピキサバン、オタミキサバン(otamixaban)、フィデキサバン(fidexaban)、ラザキサバン(razaxaban)、フォンダパリナックス、イドラパリナックス、PMD−3112、YM−150、KFA−1982、EMD−503982、MCM−17、MLN−1021、DX9065a、DPC906、JTV803、SSR−126512またはSSR−128428と組み合わせて投与する。
【0071】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、ヘパリンまたは低分子量(LMW)ヘパリン誘導体と組み合わせて投与する。
【0072】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、ビタミンKアンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、クマリンと組み合わせて投与する。
【0073】
血圧を下げる物質は、好ましくは、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、アルファ−受容体遮断薬、ベータ−受容体遮断薬、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニストおよび利尿剤の群からの化合物を意味する。
【0074】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、カルシウム拮抗薬、例えば、そして好ましくは、ニフェジピン、アムロジピン、ベラパミルまたはジルチアゼムと組み合わせて投与する。
【0075】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、アルファ−1−受容体遮断薬、例えば、そして好ましくは、プラゾシンと組み合わせて投与する。
【0076】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、ベータ−受容体遮断薬、例えば、そして好ましくは、プロプラノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、アルプレノロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ブプラノロール、メチプラノロール、ナドロール、メピンドロール、カラザロール(carazalol)、ソタロール、メトプロロール、ベタキソロール、セリプロロール、ビソプロロール、カルテオロール、エスモロール、ラベタロール、カルベジロール、アダプロロール(adaprolol)、ランジオロール、ネビボロール、エパノロールまたはブシンドロールと組み合わせて投与する。
【0077】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、ロサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、テルミサルタンまたはエンブサルタン(embusartan)と組み合わせて投与する。
【0078】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、ACE阻害剤、例えば、そして好ましくは、エナラプリル、カプトプリル、リシノプリル、ラミプリル、デラプリル、ホシノプリル、キノプリル(quinopril)、ペリンドプリルまたはトランドプリル(trandopril)と組み合わせて投与する。
【0079】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、エンドセリンアンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、ボセンタン、ダルセンタン(darusentan)、アンブリセンタンまたはシタキセンタン(sitaxsentan)と組み合わせて投与する。
【0080】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、レニン阻害剤、例えば、そして好ましくは、アリスキレン、SPP−600またはSPP−800と組み合わせて投与する。
【0081】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、スピロノラクトンまたはエプレレノンと組み合わせて投与する。
【0082】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、利尿剤、例えば、そして好ましくは、フロセミドと組み合わせて投与する。
【0083】
脂質代謝を改変する物質は、好ましくは、CETP阻害剤、甲状腺受容体アゴニスト、コレステロール合成阻害剤、例えばHMG−CoAレダクターゼ阻害剤またはスクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、MTP阻害剤、PPAR−アルファ、PPAR−ガンマおよび/またはPPAR−デルタアゴニスト、コレステロール吸収阻害剤、ポリマー性胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤、リパーゼ阻害剤およびリポタンパク質(a)アンタゴニストの群からの化合物を意味する。
【0084】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、CETP阻害剤、例えば、そして好ましくは、トルセトラピブ(CP−529414)、JJT−705またはCETPワクチン(Avant)と組み合わせて投与する。
【0085】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、甲状腺受容体アゴニスト、例えば、そして好ましくは、D−チロキシン、3,5,3'−トリヨードサイロニン(T3)、CGS23425またはアキシチロム(axitirome)(CGS26214)と組み合わせて投与する。
【0086】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、スタチン類のクラスからのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤、例えば、そして好ましくは、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、セリバスタチンまたはピタバスタチンと組み合わせて投与する。
【0087】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、スクアレン合成阻害剤、例えば、そして好ましくは、BMS−188494またはTAK−475と組み合わせて投与する。
【0088】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、ACAT阻害剤、例えば、そして好ましくは、アバシミブ(avasimibe)、メリナミド、パクチミブ(pactimibe)、エフルシミブ(eflucimibe)またはSMP−797と組み合わせて投与する。
【0089】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、MTP阻害剤、例えば、そして好ましくは、インプリタピド(implitapide)、BMS−201038、R−103757またはJTT−130と組み合わせて投与する。
【0090】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、PPAR−ガンマアゴニスト、例えば、そして好ましくは、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンと組み合わせて投与する。
【0091】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、PPAR−デルタアゴニスト、例えば、そして好ましくは、GW501516またはBAY68−5042と組み合わせて投与する。
【0092】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、コレステロール吸収阻害剤、例えば、そして好ましくは、エゼチミブ、チクエシド(tiqueside)またはパマクエシドと組み合わせて投与する。
【0093】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、リパーゼ阻害剤、例えば、そして好ましくは、オーリスタットと組み合わせて投与する。
【0094】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、ポリマー性胆汁酸吸着剤、例えば、そして好ましくは、コレスチラミン、コレスチポール、コレソルバム(colesolvam)、コレスタゲル(CholestaGel)またはコレスチミドと組み合わせて投与する。
【0095】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、胆汁酸再吸収阻害剤、例えば、そして好ましくは、ASBT(=IBAT)阻害剤、例えば、AZD−7806、S−8921、AK−105、BARI−1741、SC−435またはSC−635と組み合わせて投与する。
【0096】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物を、リポタンパク質(a)アンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、ゲンカベン(gemcabene)カルシウム(CI−1027)またはニコチン酸と組み合わせて投与する。
【0097】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明による化合物を、通常は1種またはそれ以上の、不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と共に含む医薬、および上述の目的でのそれらの使用に関する。
【0098】
本発明による化合物は、全身的および/または局所的に作用できる。この目的で、それらを、例えば、経口で、非経腸で、肺に、鼻腔に、舌下に、舌に、頬側に、直腸に、皮膚に、経皮で、結膜に、耳経路に、またはインプラントもしくはステントとしてなど、適する方法で投与できる。
本発明による化合物は、これらの投与経路に適する投与形で投与できる。
【0099】
経口投与に適するのは、先行技術に準じて機能し、本発明による化合物を迅速におよび/または改変された様式で送達し、本発明による化合物を結晶形および/または不定形および/または溶解形で含有する投与形、例えば、錠剤(非被覆または被覆錠剤、例えば、腸溶性被覆、または、不溶であるか、もしくは遅れて溶解し、本発明による化合物の放出を制御する被覆を有するもの)、口中で迅速に崩壊する錠剤、またはフィルム/オブラート、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル剤(例えば、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、粉末剤、乳剤、懸濁剤、エアゾル剤または液剤である。
【0100】
非経腸投与は、吸収段階を回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内に)、または吸収を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)、行うことができる。非経腸投与に適する投与形は、とりわけ、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または滅菌粉末剤形態の注射および点滴用製剤である。
【0101】
他の投与経路に適するのは、例えば、吸入用医薬形態(とりわけ、粉末吸入器、噴霧器)、点鼻薬、液またはスプレー;舌に、舌下にまたは頬側に投与するための錠剤、フィルム/オブラートまたはカプセル剤、坐剤、耳または眼用製剤、膣用カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えば、パッチ)、ミルク、ペースト、フォーム、散布用粉末剤(dusting powder)、インプラントまたはステントである。
【0102】
経口または非経腸投与、特に経口投与が好ましい。
【0103】
本発明による化合物は、上述の投与形に変換できる。これは、不活性、非毒性、医薬的に適する補助剤と混合することにより、それ自体既知の方法で行うことができる。これらの補助剤には、とりわけ、担体(例えば結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えばポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えばアルブミン)、安定化剤(例えば抗酸化剤、例えばアスコルビン酸など)、着色料(例えば無機色素、例えば酸化鉄など)および味および/または臭気の矯正剤が含まれる。
【0104】
非経腸投与で、約0.001ないし1mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし0.5mg/体重kgの量を投与するのが、有効な結果を得るために有利であると一般的に証明された。経口投与では、投与量は、約0.01ないし100mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし20mg/体重kg、ことさら特に好ましくは0.1ないし10mg/体重kgである。
【0105】
それにも拘わらず、必要に応じて、特に、体重、投与経路、有効成分に対する個体の応答、製剤の性質および投与を行う時間または間隔に応じて、上述の量から逸脱することが必要であり得る。従って、上述の最小量より少なくても十分な場合があり得、一方上述の上限を超えなければならない場合もある。大量に投与する場合、これらを1日に亘る複数の個別投与量に分割するのが望ましいことがある。
【0106】
以下の例示的実施態様は、本発明を例示説明する。本発明は、これらの実施例に限定されない。
下記の試験および実施例における百分率のデータは、断りの無い限り、重量パーセントである;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度のデータは、各場合で体積を基準とする。
【実施例】
【0107】
A. 実施例
略号および頭字語:
【表1】

【0108】
LC/MS方法:
方法1(LC/MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 Series; UV DAD;カラム:Phenomenex Gemini 3μ 30 mm x 3.00 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0109】
方法2(LC/MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0110】
方法3(LC/MS):
装置:HPLC Agilent Series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Onyx Monolithic C18, 100 mm x 3 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2分65%A→4.5分5%A→6分5%A;流速:2ml/分;オーブン:40℃;UV検出:208−400nm。
【0111】
出発化合物および中間体:
実施例1A
エチル(2E)−[(2−フルオロベンジル)ヒドラゾノ]アセテート
【化28】

(2−フルオロベンジル)ヒドラジン(1.00g、7.14mmol)を、水(3ml)に懸濁し、混合物を4N塩酸でpH4にする。次いでそれを氷浴中で冷却し、ジオキサン(10ml)中のエチルクロロ(エトキシ)アセテート(1.37g、8.21mmol)の溶液を添加する。混合物をRTで1時間撹拌し、次いで1N水酸化ナトリウム溶液で弱アルカリ性(pH8)にし、酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させる。粗生成物をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離剤:ジクロロメタン、メタノール含有量が増大する)により精製する。所望の化合物1.40g(理論値の88%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.19 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 4.09 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 4.42 (d, J = 4.4 Hz, 2H), 6.74 (s, 1H), 7.18-7.24 (m, 2H), 7.31-7.40 (m, 2H), 9.18 (t, J = 4.4 Hz, 1H).
13C-NMR (125 MHz, DMSO-d6): δ = 14.2, 44.2 (br), 59.2, 115.3 (d, 2JC,F = 21.1 Hz), 119.3 (br), 123.2 (br), 124.4 (d, 4JC,F = 3.4 Hz), 129.6 (d, 3JC,F = 8.2 Hz), 130.2 (d, 3JC,F = 4.2 Hz), 160.2 (d, 1JC,F = 245 Hz), 164.1.
HRMS: C11H13FN2O2 の計算値224.0961; 実測値224.0962.
LC/MS (方法 2): Rt = 1.83 分; MS (ESIpos): m/z = 225 [M+H]+.
【0112】
実施例2A
エチル(2Z)−クロロ[(2−フルオロベンジル)ヒドラゾノ]アセテート
【化29】

実施例1Aのエチル(2E)−[(2−フルオロベンジル)ヒドラゾノ]アセテート(300mg、1.14mmol)を酢酸エチル(2.0ml)に溶解する。N−クロロスクシンイミド(143mg、1.07mmol)を添加し、混合物を60℃で1時間撹拌する。次いで、それを真空で濃縮し、残渣を四塩化炭素と撹拌する。濾過後の濾液を濃縮する。所望の化合物292mg(理論値の82%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.22 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 4.19 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 4.60 (d, J = 4.4 Hz, 2H), 7.16-7.22 (m, 2H), 7.28-7.37 (m, 2H), 8.69 (t, J = 4.4 Hz, 1H).
13C-NMR (125 MHz, DMSO-d6): δ = 14.2, 46.7 (d, 3JC,F = 3.9 Hz), 61.8, 111.1, 115.3 (d, 2JC,F = 21.1 Hz), 124.5 (d, 4JC,F = 3.4 Hz), 125.8 (d, 2JC,F = 14.6 Hz), 129.4 (d, 3JC,F = 8.1 Hz), 129.8 (d, 3JC,F = 4.3 Hz), 159.4, 159.9 (d, 1JC,F = 245 Hz).
HRMS: C11H12ClFN2O2の計算値 258.0571; 実測値258.0571.
LC/MS (方法 2): Rt = 2.21 分; MS (ESIpos): m/z = 259 [M+H]+.
【0113】
実施例3A
エチル1−(2−フルオロベンジル)−1H−イミダゾ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール−3−カルボキシレート
【化30】

実施例2Aのエチル(2Z)−クロロ[(2−フルオロベンジル)ヒドラゾノ]アセテート(750mg、2.90mmol)、2−アリルチオ−1H−イミダゾール[米国特許第3,574,593号;Chem. Abstr. 75, 49078](1.20g、7.25mmol)およびトリエチルアミン(293mg、2.90mmol)を、ジオキサン(10ml)に溶解し、還流下で4時間加熱する。これに続いて、水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、粗生成物をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離剤:ジクロロメタン/メタノール50:1)により精製する。所望の生成物410mg(理論値の41%)を純度84%で得る。
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 1.35 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 4.41 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 5.52 (s, 2H), 7.19-7.28 (m, 2H), 7.29 (s, 1H), 7.39-7.46 (m, 2H), 7.52 (s, 1H).
13C-NMR (125 MHz, DMSO-d6): δ = 14.0, 46.0 (d, 3JC,F = 3.7 Hz), 62.1, 107.5, 115.6 (d, 2JC,F = 20.8 Hz), 122.0 (d, 2JC,F = 14.8 Hz), 124.7 (d, 4JC,F = 3.7 Hz), 129.0, 130.7 (d, 3JC,F = 8.1 Hz), 131.0 (d, 3JC,F = 3.7 Hz), 136.7, 151.0, 156.2, 160.2 (d, 1JC,F = 247 Hz).
HRMS: C14H13FN4O2 の計算値288.1023; 実測値288.1021.
LC/MS (方法 1): Rt = 2.16 分; MS (ESIpos): m/z = 289 [M+H]+.
【0114】
実施例4A
エチル1−(2−フルオロベンジル)−1H−[1,2,4]トリアゾロ[3,4−c][1,2,4]トリアゾール−3−カルボキシレート
【化31】

実施例2Aのエチル(2Z)−クロロ[(2−フルオロベンジル)ヒドラゾノ]アセテート(807mg、3.12mmol)、5−(メチルチオ)−1H−1,2,4−トリアゾール(359mg、3.12mmol)およびトリエチルアミン(316mg、3.12mmol)をジオキサン(5ml)に溶解し、還流下で6時間加熱する。続いてこれを水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、粗生成物をシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製する(溶離剤:ジクロロメタン/メタノール50:1)。所望の生成物124mg(理論値の9.5%)を純度69%で得る。
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 1.35 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 4.42 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 5.53 (s, 2H), 7.21-7.29 (m, 2H), 7.41-7.52 (m, 2H), 8.86 (s, 1H).
13C-NMR (125 MHz, DMSO-d6): δ = 13.9, 46.7 (d, 3JC,F = 3.7 Hz), 62.5, 115.6 (d, 2JC,F = 20.7 Hz), 121.5 (d, 2JC,F = 14.7 Hz), 124.7 (d, 4JC,F = 3.5 Hz), 127.8, 130.3, 130.9 (d, 3JC,F = 8.1 Hz), 131.2 (d, 3JC,F = 3.4 Hz), 155.4, 158.2, 160.3 (d, 1JC,F = 247 Hz).
HRMS: C13H12FN5O2の計算値 289.0975; 実測値289.0963.
LC/MS (方法 1): Rt = 1.95 分; MS (ESIpos): m/z = 290 [M+H]+.
【0115】
例示的実施態様:
実施例1
6−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−イミダゾ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール−3−イル]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン
【化32】

メタノール性ナトリウムメタノラート溶液(5.4N、0.43ml、2.30mmol)をメタノール(3ml)で希釈する。ビグアニジン二塩酸塩(170mg、0.98mmol)を添加し、混合物を50℃で30分間撹拌する。次いで、メタノール(3ml)中の実施例3Aのエチル1−(2−フルオロベンジル)−1H−イミダゾ[2,1−c][1,2,4]トリアゾール−3−カルボキシレート(200mg、純度84%、0.58mmol)の溶液を添加し、混合物を還流下で3時間加熱する。次いでそれを水で希釈する。沈殿を吸引濾過し、メタノールで洗浄する。表題化合物103mg(理論値の55%)を得る。
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 5.48 (s, 2H), 6.96 (br. s, 2H), 7.16 (br. s, 2H), 7.17-7.27 (m, 3H), 7.38-7.46 (m, 2H), 7.86 (s, 1H).
13C-NMR (125 MHz, DMSO-d6): δ = 45.5 (d, 3JC,F = 3.5 Hz), 109.0, 115.5 (d, 2JC,F = 20.8 Hz), 122.5 (d, 2JC,F = 14.8 Hz), 124.7 (d, 4JC,F = 3.7 Hz), 130.5 (d, 3JC,F = 8.1 Hz), 131.0 (d, 3JC,F = 3.7 Hz), 135.0, 135.6, 151.1, 160.1 (d, 1JC,F = 247 Hz), 161.3, 166.9.
HRMS: C14H12FN9の計算値 325.1200; 実測値 325.1188.
LC/MS (方法 3): Rt = 1.46 分; MS (ESIpos): m/z = 326 [M+H]+.
【0116】
実施例2
6−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−[1,2,4]トリアゾロ[3,4−c][1,2,4]トリアゾール−3−イル]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン
【化33】

メタノール性ナトリウムメタノラート溶液(5.4N、0.47ml、2.54mmol)をメタノール(3ml)で希釈する。ビグアニジン二塩酸塩(189mg、1.08mmol)を添加し、混合物を50℃で30分間撹拌する。次いで、メタノール(2ml)中の実施例4Aのエチル1−(2−フルオロベンジル)−1H−[1,2,4]−トリアゾロ[3,4−c][1,2,4]トリアゾール−3−カルボキシレート(184mg、純度65%、0.36mmol)の溶液を添加し、混合物を還流下で3時間加熱する。次いでそれを水で希釈する。沈殿を吸引濾過し、メタノールで洗浄する。表題化合物53mg(理論値の39%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 5.49 (s, 2H), 7.04 (br. s, 2H), 7.19 (br. s, 2H), 7.21-7.29 (m, 2H), 7.40-7.51 (m, 2H), 9.00 (s, 1H).
13C-NMR (125 MHz, DMSO-d6): δ = 46.4 (d, 3JC,F = 3.2 Hz), 115.6 (d, 2JC,F = 20.8 Hz), 122.0 (d, 2JC,F = 14.8 Hz), 124.7 (d, 4JC,F = 3.5 Hz), 130.8 (d, 3JC,F = 8.3 Hz), 131.2 (d, 3JC,F = 3.5 Hz), 131.6, 133.9, 158.2, 160.3 (d, 1JC,F = 247 Hz), 160.5, 166.9.
HRMS: C13H11FN10 の計算値326.1152; 実測値326.1144.
LC/MS (方法 2): Rt = 1.17 分; MS (ESIpos): m/z = 327 [M+H]+.
【0117】
B. 薬理活性の評価
本発明の化合物の薬理効果を、以下のアッセイで示すことができる:
B−1. インビトロの血管弛緩効果
首の後ろへの打撃によりウサギを気絶させ、失血させる。大動脈を取り出し、付着している組織を除き、幅1.5mmの環に分け、カルボゲン(carbogen)でガス処理された以下の組成(各場合でmM表記):NaCl:119;KCl:4.8;CaClx2HO:1;MgSOx7HO:1.4;KHPO:1.2;NaHCO:25;グルコース:10の Krebs-Henseleit 溶液を有する5mlの器官浴中に、当初張力下で、37℃で、1つずつ置く。Statham UC2 セルで収縮力を検出し、A/D変換器 (DAS-1802 HC、Keithley Instruments, Munich)で増幅およびデジタル化し、チャートレコーダーで並行して記録する。フェニレフリンを増大する濃度で累積的に浴に添加することにより、収縮を誘導する。数回の対照サイクルの後、さらなる実施毎に増大する用量で被験物質を添加し、収縮のレベルを、直前の実施で達成される収縮のレベルと比較する。収縮のレベルを50%まで低減するのに必要な濃度(IC50値)をこれから算出する。標準的適用量は5μlであり、浴溶液中のDMSO含有量は、0.1%に相当する。
例示的実施態様1は、この試験でIC506.2μmを示す。
【0118】
B−2. 組換えグアニル酸シクラーゼレポーター細胞株に対する効果
本発明の化合物の細胞の効果を、F. Wunder et al., Anal. Biochem. 339, 104-112 (2005) に記載の通りに、組換えグアニル酸シクラーゼレポーター細胞株で測定する。
【0119】
B−3. 静脈内および経口投与後の薬物動態特徴の測定
被験物質を、動物(例えば、マウス、ラット、イヌ)に液剤として静脈内投与する;液剤または懸濁剤として、胃管栄養により経口投与を行う。物質の投与後、血液を動物から定められた時点で採取する。これをヘパリン処理し、次いで、遠心分離によりそこから血漿を得る。物質を血漿中でLC/MS−MSにより分析的に定量する。かくして確かめられた血漿濃度−時間経過から、有効な薬物動態のコンピュータープログラムを利用して、AUC、Cmax、T1/2(半減期)およびCL(クリアランス)などの薬物動態特性を算出する。
【0120】
B−4. 溶解度の測定
必要な試薬:
・PBSバッファーpH7.4:NaCl90.00g、分析用等級(例えば、Merckより、Cat. No. 1.06404.1000)、KHPO13.61g、分析用等級(例えば、Merckより、Cat. No. 1.04873.1000)および1N NaOH83.35g(例えば Bernd Kraft GmbHより、Cat. No. 01030.4000)を1lのメスフラスコ中に秤量し、印まで水を満たし、約1時間撹拌する;
・酢酸バッファーpH4.6:酢酸ナトリウムx3HO 5.4g、分析用等級(例えば、Merckより、Cat. No. 1.06267.0500)を、100mlのメスフラスコ中に秤量し、水50mlに溶解し、氷酢酸2.4gを添加し、水で100mlとし、pHを確認し、必要であればpH4.6に調節する;
・ジメチルスルホキシド(例えば Baker より、Cat. No. 7157.2500);
・蒸留水。
【0121】
較正溶液の調製:
較正溶液用の出発溶液(原液)の製造:試験物質約0.5mgを、2mlの Eppendorf セーフ−ロックチューブ (Eppendorf より、Cat. No. 0030 120.094) に正確に秤量し、DMSOを600μg/mlの濃度まで(例えば物質0.5mg+DMSO833μl)添加し、溶解が完了するまで混合物をボルテックスで撹拌する。
較正溶液1(20μg/ml):原液34.4μlをDMSO1000μlと混合し、ホモジナイズする。
較正溶液2(2.5μg/ml):較正溶液1 100μlをDMSO700μlと混合し、ホモジナイズする。
【0122】
サンプル溶液の調製:
PBSバッファーpH7.4中、10g/lまでの溶解度のためのサンプル溶液:試験物質約5mgを、2mlの Eppendorf セーフ−ロックチューブ (Eppendorf より、Cat. No. 0030 120.094)に正確に秤量し、PBSバッファーpH7.4を5g/lの濃度まで添加する(例えば、物質5mg+PBSバッファーpH7.4 500μl)。
【0123】
酢酸バッファーpH4.6中、10g/lまでの溶解度のためのサンプル溶液:試験物質約5mgを、2mlの Eppendorf セーフ−ロックチューブ (Eppendorf より、Cat. No. 0030 120.094)に正確に秤量し、酢酸バッファーpH4.6を5g/lの濃度まで添加する(例えば物質5mg+酢酸バッファーpH4.6 500μl)。
【0124】
水中、10g/lまでの溶解度のためのサンプル溶液:試験物質約5mgを、2mlの Eppendorf セーフ−ロックチューブ (Eppendorf より、Cat. No. 0030 120.094)に正確に秤量し、水を5g/lの濃度まで添加する(例えば物質5mg+水500μl)。
【0125】
実施:
かくして調製されたサンプル溶液を、1400rpmで、温度制御振盪機(例えば、互換性ブロック Cat. No. 5362.000.019 を備えた Eppendorf サーモミキサー・コンフォート Cat. No. 5355 000.011)を使用して、20℃で24時間振盪する。これらの溶液から各々180μlを取り出し、Beckman ポリアロマー遠心管 (Art. No. 343621)に移す。これらの溶液を約223000xgで1時間(例えば Beckman Optima L-90K 超遠心、タイプ 42.2 Ti ローターを用いて、42000rpmで)遠心分離する。各サンプル溶液から、上清100μlを取り出し、各場合で使用した溶媒(水、PBSバッファー7.4または酢酸バッファーpH4.6)で、1:5、1:100および1:1000に希釈する。各希釈物からの一部をHPLC分析に適する容器に分配する。
【0126】
分析:
サンプルをRP−HPLCにより分析する。DMSO中の試験化合物の2点較正プロットを定量に使用する。溶解度をmg/lで表示する。分析順序:1)較正溶液2.5mg/ml;2)較正溶液20μg/ml;3)サンプル溶液1:5;4)サンプル溶液1:100;5)サンプル溶液1:1000。
【0127】
酸用のHPLC方法:
DAD(G1315A)、定量ポンプ(G1311A)、オートサンプラー CTC HTS PAL、脱気装置(G1322A)およびカラムサーモスタット(G1316A)を備えた Agilent 1100;カラム:Phenomenex Gemini C18, 50 mm x 2 mm, 5 μ;温度:40℃;溶離剤A:水/リン酸pH2;溶離剤B:アセトニトリル;流速:0.7ml/分;グラジエント:0−0.5分85%A、15%B;勾配:0.5−3分10%A、90%B;3−3.5分10%A、90%B;勾配:3.5−4分85%A、15%B;4−5分85%A、15%B。
【0128】
塩基用のHPLC方法:
DAD(G1315A)、定量ポンプ(G1311A)、オートサンプラー CTC HTS PAL、脱気装置(G1322A)およびカラムサーモスタット(G1316A)を備えた Agilent 1100;カラム:VDSoptilab Kromasil 100 C18, 60 mm x 2.1 mm, 3.5 μ;温度:30℃;溶離剤A:水+5ml過塩素酸/l;溶離剤B:アセトニトリル;流速:0.75ml/分;グラジエント:0−0.5分98%A、2%B;勾配:0.5−4.5分10%A、90%B;4.5−6分10%A、90%B;勾配:6.5−6.7分98%A、2%B;6.7−7.5分98%A、2%B。
【0129】
C. 医薬組成物の例示的実施態様
本発明による化合物は、以下の方法で医薬製剤に変換できる:
錠剤:
組成:
本発明による化合物100mg、ラクトース(一水和物)50mg、トウモロコシデンプン(天然)50mg、ポリビニルピロリドン(PVP25)10mg(BASFより、Ludwigshafen, Germany)およびステアリン酸マグネシウム2mg。
錠剤重量212mg。直径8mm、曲率半径12mm。
製造:
本発明による化合物、ラクトースおよびスターチの混合物を、5%強度PVP水溶液(m/m)で造粒する。続いて、顆粒を乾燥させ、ステアリン酸マグネシウムと5分間混合する。この混合物を常套の打錠機で打錠する(錠剤の形状について、上記参照)。打錠のためのガイドラインの打錠力は、15kNである。
【0130】
経口投与できる懸濁剤:
組成:
本発明による化合物1000mg、エタノール(96%)1000mg、Rhodigel(登録商標) (FMC のキサンタンガム、Pennsylvania, USA) 400mgおよび水99g。
経口懸濁剤10mlは、本発明による化合物100mgの単回用量に相当する。
製造:
Rhodigel をエタノールに懸濁し、本発明による化合物を懸濁液に添加する。撹拌しながら水を添加する。Rhodigel の膨潤が完了するまで、混合物を約6時間撹拌する。
【0131】
経口投与できる液剤:
組成:
本発明による化合物500mg、ポリソルベート2.5gおよびポリエチレングリコール400 97g。経口液剤20gは、本発明による化合物100mgの単回用量に相当する。
製造:
本発明による化合物を、ポリエチレングリコールおよびポリソルベートの混合物に撹拌しながら懸濁する。本発明による化合物が完全に溶解するまで、混合過程を継続する。
【0132】
i.v.溶液:
本発明による化合物を、生理的に耐容される溶媒(例えば、等張塩水、5%グルコース溶液および/または30%PEG400溶液)に飽和溶解度より低い濃度で溶解する。溶液を濾過滅菌し、無菌のパイロジェンを含まない注射容器に満たすのに使用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
Lは、フェニル、ピリジル、フリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリルまたはイソオキサゾリルであり、これらの各々は、2個までの同一かまたは異なるハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチルおよび/または(C−C)−アルキニルにより置換されていてもよいか、
または、
(C−C)−シクロアルキルであり、これは、2個までの同一かまたは異なるフッ素および/または(C−C)−アルキルにより置換されていてもよく、
Mは、式(a)ないし(i)
【化2】

{式中、
*は、−CH−L基への結合点であり、
**は、Q基への結合点であり、
A、BおよびDは、各々CH、CRまたはNであり、環構成員A、BおよびDのうち最大2個が同時にNであり、そして、ここで、
は、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、アミノ、(C−C)−アルコキシおよびトリフルオロメトキシの群から選択される置換基であり、
ここで、置換基Rが1個より多く存在する場合、その意味は同一であっても異なっていてもよく、そして、
Eは、OまたはSである}
のいずれかを有する二環式ヘテロアリール基であり、
そして、
Qは、N、Oおよび/またはSの群から4個までのヘテロ原子を有する不飽和または芳香族性の5員または6員の複素環であり、これは、ハロゲン、アジド、ニトロ、シアノ、オキソ、チオキソ、−R、−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−C(=O)−NR、−O−(C=O)−R、−O−C(=O)−OR、−O−C(=O)−NR、−S(O)−R、−SO−OR、−SO−NR、−NR−(C=O)−R、−NR−SO−R、−NR−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−NRおよび−NR−SO−NRからなる群から選択される4個までの同一かまたは異なるラジカルにより置換されていてもよい
{ここで、
nは、0または1の数であり、
pは、0、1または2の数であり、
、RおよびRは、同一であるか、または異なり、相互に独立して、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、(C−C10)−アリール、4員ないし8員の複素環または5員ないし10員のヘテロアリールであり、
かつ/または、
およびRまたはRおよびRは、それらが両方とも各々結合しているラジカルと一体となって、4員ないし8員の複素環を形成していてもよく、
ここで、R、RおよびRは、ハロゲン、アジド、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、(C−C)−アシル、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アシルオキシ、オキソ、メルカプト、(C−C)−アルキルチオ、アミノ、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノ、(C−C)−アシルアミノ、(C−C)−アルコキシカルボニルアミノ、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニルおよび4員ないし8員の複素環からなる群から選択される5個までの同一かまたは異なるラジカルにより置換されていることもある}]、
の化合物、それらのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩、並びに、N−オキシドおよび塩の溶媒和物。
【請求項2】
式中、
Lが、フェニルまたはチエニルであり、これらの各々は、2個までの同一かまたは異なるフッ素、塩素、シアノ、メチルおよび/またはトリフルオロメチルにより置換されていてもよいか、
または、
シクロヘキシルまたはシクロヘプチルであり、これらの各々は、2個までの同一かまたは異なるフッ素および/またはメチルにより置換されていてもよく、
Mが、式(b)、(d)、(e)または(h)
【化3】

{式中、
*は、−CH−L基への結合点であり、
**は、Q基への結合点であり、
A、BおよびDは、各々CH、CRまたはNであり、環構成員A、BおよびDのうち最大2個が同時にNであり、そして、ここで、
は、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、アミノ、(C−C)−アルコキシおよびトリフルオロメトキシの群から選択される置換基であり、
ここで、置換基Rが1個より多く存在する場合、その意味は同一であっても異なっていてもよく、そして、
Eは、OまたはSである}
の二環式ヘテロアリール基であり、
そして、
Qが、式
【化4】

{式中、
#は、M基への結合点であり、
Gは、CHまたはNであり、
Jは、CRまたはNであり、
Zは、OまたはSであり、
、RおよびRは、同一であるか、または異なり、相互に独立して、ハロゲン、ニトロ、シアノ、−R、−C(=O)−R、−C(=O)−OR、−C(=O)−NR、−O−(C=O)−R、−O−C(=O)−OR、−O−C(=O)−NR、−S(O)−R、−SO−OR、−SO−NR、−NR−(C=O)−R、−NR−SO−R、−NR−C(=O)−OR、−NR−C(=O)−NRおよび−NR−SO−NRからなる群から選択されるラジカルであり、ここで、
nは、0または1の数であり、
pは、0または2の数であり、
、RおよびRは、同一であるか、または異なり、相互に独立して、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルケニル、フェニル、5員ないし7員の複素環または5員または6員のヘテロアリールであり、
かつ/または、
およびRまたはRおよびRは、それらが両方とも各々結合しているラジカルと一体となって、5員ないし7員の複素環を形成していてもよく、
ここで、R、RおよびRは、フッ素、塩素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、オキソ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群から選択される3個までの同一かまたは異なるラジカルにより置換されていることもあり、
は、水素、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−シクロアルキルであり、
ここで、(C−C)−アルキルは、5個までのフッ素により、そして、2個までの同一かまたは異なる(C−C)−シクロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アシルオキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、(C−C)−アシルアミノ、ヒドロキシカルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−(C−C)−アミノカルボニル、ジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルおよび/または5員または6員の複素環により置換されていてもよく、
は、(C−C)−アルキルであり、これは、ヒドロキシ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノまたは3個までのフッ素により置換されていてもよく、
10は、Rについて上記に示した意味を有し、
そして、
11は、水素または(C−C)−アルキルである}
の基である、
請求項1に記載の式(I)の化合物、それらのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩、並びに、N−オキシドおよび塩の溶媒和物。
【請求項3】
式中、
Lが、2個までのフッ素により置換されていてもよいフェニルであり、
Mが、式
【化5】

{式中、
*は、−CH−L基への結合点であり、
そして、
**は、Q基への結合点である}
の二環式ヘテロアリール基であり、
そして、
Qが、式
【化6】

{式中、
#は、M基への結合点であり、
Jは、CRまたはNであり、
およびRは、相互に独立して、水素またはアミノであり、
は、水素、フッ素、塩素、臭素、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、ピリジルまたは−NR1213であり、ここで、
12は、水素または(C−C)−アルキルであり、これは、ヒドロキシ、メトキシまたは3個までのフッ素により置換されていてもよく、
13は、水素、(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシ、メトキシまたは3個までのフッ素により置換されていてもよい)、(C−C)−アシル、(C−C)−アルコキシカルボニルまたはモノ−またはジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルであるか、
または、
12およびR13は、それらが結合している窒素原子と一体となって、オキソにより置換されていてもよい5員ないし7員の複素環を形成し、
そして、
は、水素または(C−C)−アルキル(これは、3個までのフッ素により置換されていてもよい)である}
の基である、
請求項1または請求項2に記載の式(I)の化合物、それらのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩、並びに、N−オキシドおよび塩の溶媒和物。
【請求項4】
疾患の処置および/または予防のための、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
心不全、狭心症、高血圧、肺高血圧、虚血、血管障害、血栓塞栓性障害および動脈硬化症の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項6】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物を、不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と組み合わせて含む、医薬。
【請求項7】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物を、有機硝酸塩、NO供給源、cGMP−PDE阻害剤、抗血栓活性を有する物質、血圧を下げる物質および脂質代謝を改変する物質からなる群から選択されるさらなる有効成分と組み合わせて含む、医薬。
【請求項8】
心不全、狭心症、高血圧、肺高血圧、虚血、血管障害、血栓塞栓性障害および動脈硬化症の処置および/または予防のための、請求項6または請求項7に記載の医薬。
【請求項9】
少なくとも1種の請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物または請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の医薬の有効量の使用による、ヒトおよび動物の心不全、狭心症、高血圧、肺高血圧、虚血、血管障害、血栓塞栓性障害および動脈硬化症の処置および/または予防方法。

【公表番号】特表2010−510262(P2010−510262A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537514(P2009−537514)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/009827
【国際公開番号】WO2008/061657
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(507113188)バイエル・シェーリング・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Schering Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】