説明

新規カルボン酸金属錯体及びそれから成るガス吸蔵剤

【課題】新規な化学構造及び物性を有し、種々のガスの吸着及び脱着に有用な新規な有機金属錯体及びそれから成るガス吸蔵剤を提供すること。
【解決手段】下記一般式[I]で示される繰返し単位から構成された有機カルボン酸金属錯体。


ただし、M1及びM2は互いに独立して例えばCuやRh等の2価をとり得る金属、R1a、R1b、R1c及びR1dは互いに独立して例えばフェニル基のような共役系を含む有機基を表わす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なカルボン酸金属錯体及びそれから成るガス吸蔵剤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、安息香酸と、金属と、該金属に2座配位可能な有機配位子から成るカルボン酸金属錯体が記載されており、該錯体がメタンガスの吸蔵材として有用なことが記載されている。また、非特許文献1には、安息香酸と、ロジウムと、ピラジンから成る有機金属錯体が一次元的につながった単結晶が記載されており、該金属錯体がゲスト分子である二酸化炭素を吸着及び脱着する際に結晶構造が変化することも記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000-309592号公報
【非特許文献1】Satoshi Takamizawa et al., Angew. Chem. Int. Ed. 2003, 42, 4331-4334
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記公知文献に記載された有機金属錯体とは異なる新規な化学構造及び物性を有し、種々のガスの吸着及び脱着に有用な新規な有機金属錯体及びそれから成るガス吸蔵剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明者は、鋭意研究の結果、カルボン酸と、2価をとり得る金属と、ピラジンとから構成される有機カルボン酸金属錯体において、ピラジン環上に特定の置換基を導入することにより無置換の場合に比べて結晶構造や物性を有意に変化させることができ、種々のガスに対する吸着特性が異なる多様な有機カルボン酸金属錯体及びガス吸蔵剤を提供できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、一般式[I]で示される繰返し単位から構成された有機カルボン酸金属錯体を提供する。
【0007】
【化1】

【0008】
(ただし、M1及びM2は互いに独立して2価をとり得る金属、R1a、R1b、R1c及びR1dは互いに独立して、共役系を含む有機基、R2、R3、R4及びR5は互いに独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルケニル基を示し、R2、R3、R4及びR5が同時に水素原子である場合を除く)。
【0009】
また、本発明は、上記本発明の有機カルボン酸金属錯体から成るガス吸蔵剤を提供する。さらに本発明は、上記カルボン酸金属錯体の単結晶から成るガス吸着透過膜を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、新規な化学構造を有する有機カルボン酸金属錯体及びそれを用いたガス吸蔵剤が提供された。本発明によれば、有機カルボン酸金属錯体のピラジン環に特定の置換基を結合させることにより、結晶構造が異なり、その結果、種々のガスに対する吸着及び脱着特性が異なる多様な有機カルボン酸金属錯体及びガス吸蔵剤が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
上記の通り、本発明の有機カルボン酸金属錯体は、上記一般式[I]で表される構造を有する繰返し単位から構成される。なお、一般式[I]中、M1とOの間、M2とOの間、M1とM2の間及びM2とNの間は配位結合である。一般式[I]に示される繰返し単位の繰返し数は、特に限定されないが、通常、10〜108、好ましくは102〜107である。なお、一般式[I]から明らかなように、一般式[I]中、M1に結合している4つの酸素原子のうち、右上の酸素原子は、R1bが結合している炭素原子と結合しており、右下の酸素原子はR1cが結合している炭素原子と結合している。同様に、M2に結合している4つの酸素原子のうち、左上の酸素原子は、R1aが結合している炭素原子と結合しており、左下の酸素原子はR1dが結合している炭素原子と結合している。
【0012】
一般式[I]中、M1及びM2は、互いに独立して、2価をとり得る金属原子であり、遷移金属でも典型金属でもよい。M1及びM2の好ましい例として、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、クロム、モリブデン、パラジウム及びタングステンを挙げることができ、これらの中でも特に銅及びロジウムが好ましい。なお、M1及びM2は、同じ種類の金属原子であることが好ましい。
【0013】
一般式[I]中、R1a、R1b、R1c及びR1d (以下、R1a、R1b、R1c及びR1d を総称して「R1」と記載することがある)は、互いに独立して、共役系を含む有機基、すなわち、例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、これらのヘテロ環等を含む有機基であり、置換されていてもよいフェニル基が好ましく、特に無置換のフェニル基が好ましい。フェニル基が置換されている場合、置換基の例としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、炭素数1〜4のものアルキルアミノ基、炭素数1〜4のアルコキシル基、ハロゲン原子及び置換されていてもよいフェニル基(置換基は上記と同様(置換フェニル基は除く))を例示することができ、置換基の数は1〜5個である。なお、本明細書において、「アルキル基」は、特に断りがない限り直鎖アルキル基及び分枝アルキル基の両者を包含する。「アルケニル基」、「アルコキシル基」についても同様である。R1a、R1b、R1c及びR1dは、同じ種類の有機基であることが好ましい。
【0014】
一般式[I]中、R2、R3、R4及びR5は互いに独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルケニル基を表すが、R2、R3、R4及びR5が同時に水素原子である場合は除く。R2、R3、R4及びR5の好ましい例としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、アリル基等を挙げることができ、また、R2、R3、R4及びR5のうち2個又は3個が水素原子であるものが好ましい。ピラジン環に結合するこれらの置換基により、金属錯体の立体構造並びに結晶中の内部空孔の形状及びサイズが変化し、ひいてはガスの吸着特性等の物性も変化する。
【0015】
上記一般式[I]で表される繰返し単位は、一次元的につながり、それらが集まって分子結晶を構成する。その際、R1の共役系が接近するのでπ−π結合が生じ、結晶構造が安定化される。分子結晶は、単結晶であることが好ましい。単結晶であれば、単位体積当りのガス吸着量を大きくすることができるのみならず、物性の均一化を図ることができ、所定の物性を有する錯体を再現性良く製造できるという利点を有する。また、そのままでガス吸着膜として利用可能である。
【0016】
本発明の有機カルボン酸金属錯体は、金属塩(M1とM2が異なる場合は2種類の金属塩、以下同様)と、有機カルボン酸(R1-COOH(R1は上記と同義、R1a、R1b、R1c及びR1dが複数種類の有機基である場合には複数種類の有機カルボン酸、以下同様))と、置換ピラジンとを溶媒中でゆっくり反応させることにより製造することができ、この方法により本発明の有機カルボン酸金属錯体の単結晶を製造することができる。あるいは、有機カルボン酸(R1-COOH(R1は上記と同義))の金属塩を溶媒中で置換ピラジンと反応させることによっても製造することができる。溶媒としては、メタノール及びアセトニトリルが好ましい。また、金属塩としては、酢酸塩、ギ酸塩、硫酸塩、硝酸塩及び炭酸塩が好ましく、特に酢酸塩が好ましい。反応温度は、特に限定されず、0℃〜70℃程度で可能であるが、室温において良好な結果が得られる。また、反応時間は、特に限定されないが、通常、3時間〜1週間程度で良好な結果が得られる。反応させる金属塩と有機カルボン酸の比率は、特に限定されないが、モル比で通常、1:2〜1:8程度、金属塩と置換ピラジンの比率は、モル比で通常、1:0.5〜1:10程度である。なお、製造方法の好ましい例は、下記実施例に詳細に記載されている。
【0017】
本発明の有機カルボン酸金属錯体は、分子結晶を形成し、該分子結晶には、結晶内部に一次元的に延びる空孔(チャンネル構造)もしくは規則配列した空隙が存在する。この結晶内部空間にガス分子を吸着及び脱着することができるので、本発明の有機カルボン酸金属錯体は、ガス吸蔵剤として利用することができる。ガス吸蔵剤は、ガスの貯蔵や分離濃縮に用いることができる。本発明の有機カルボン酸金属錯体は、チャンネル構造内にガス分子を包接することにより、その結晶構造が変化し、チャンネル構造の形状やサイズが変化する。このため、種々のガス分子を最適に包接することができ、単位体積当りのガスの吸蔵量も大きい。また、本発明の有機カルボン酸金属錯体の単結晶は、内部にチャンネル構造を有する多孔質体であるので、そのままでガス吸着膜として利用することができる。このガス吸着膜は、ガスの分離濃縮等のためのフィルターとして利用できる。
【実施例】
【0018】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0019】
参考例1、実施例1〜5 銅錯体の製造及び物性
酢酸銅(II)一水和物, 80mg (2.4x10-4mol)と安息香酸117.2mg (8.4・路10-4mol)をメタノール80mlに溶かし青色溶液とした。濾過後、ピラジン:8.0mg(参考例1)、2−メチルピラジン:0.3ml(実施例1)、2,3−ジメチルピラジン:0.3ml(実施例2)、2‐エチルピラジン:0.3ml(実施例3)、2, 3-ジエチルピラジン:0.3ml(実施例4)又は2-プロピルピラジン:0.3ml(実施例5)を加えて室温でゆっくり24時間反応させた。青色の単結晶が生成した。ピラジン錯体(参考例1):12.2mg (58.6%), 2−メチルピラジン錯体(実施例1): 11.7mg (57.4%), 2,3−ジメチルピラジン錯体(実施例2):16.0mg (74.2%)、2‐エチルピラジン錯体(実施例3)(19.2%)、2, 3-ジエチルピラジン錯体(実施例4)(13.2%)、2-プロピルピラジン錯体(実施例5)(39.3%)。同定は単結晶X線構造解析および元素分析により行った。なお、生成した結晶のサイズから算出して(結晶1cm当り約107)、一般式[I]で表される繰返し単位の繰返し数は、約104〜5 x 105程度であった。
【0020】
元素分析結果及びX線構造解析結果を下記表1に示す。
【0021】
【表1−1】

【0022】
【表1−2】

【0023】
【表1−3】

【0024】
得られた各単結晶の物性データを下記表2−1及び表2−2にまとめて示す。
【0025】
【表2−1】

【0026】
【表2−2】

【0027】
参考例2、実施例6〜10 ロジウム錯体の製造及び物性
合成した安息香酸ロジウム80mg(1.0x10-4mol)をアセトニトリル80mlに溶かし、赤紫色の溶液とした。濾過後、ピラジン:8.0mg(参考例2)、2−メチルピラジン:0.3ml(実施例6)、2,3−ジメチルピラジン:0.3ml(実施例7)、2‐エチルピラジン:0.3ml(実施例8)、2, 3-ジエチルピラジン:0.3ml(実施例9)又は2-プロピルピラジン:0.3ml(実施例10)を加えて室温でゆっくり24時間反応させた。褐色の微結晶が生成した。ピラジン錯体(参考例2):12.9mg (67.2%), 2−メチルピラジン錯体(実施例6): 11.9mg (60.7%), 2,3−ジメチルピラジン錯体(実施例7):16.3mg (81.7%)、2‐エチルピラジン錯体(実施例8)(42.6%)、2, 3-ジエチルピラジン錯体(実施例9)(85.5%)、2-プロピルピラジン錯体(実施例10)(14.6%)。同定は単結晶X線構造解析および元素分析により行った。なお、生成した結晶のサイズから算出して、一般式[I]で表される繰返し単位の繰返し数は、約104〜3 x 105程度であった。
【0028】
元素分析結果及びX線構造解析結果を下記表3に示す。
【0029】
【表3−1】

【0030】
【表3−2】

【0031】
【表3−3】

【0032】
得られた各単結晶の物性データを下記表4−1及び表4−2にまとめて示す。
【0033】
【表4−1】

【0034】
【表4−2】

【0035】
実施例11 結晶構造の詳細
実施例6及び実施例1で製造した単結晶の実体顕微鏡写真、並びにX線単結晶構造解析により明らかになった面指数及び結晶面とチャンネル方向の位置関係を示す模式図をそれぞれ図1のa)、b)に示す。同様に、実施例7及び実施例2で製造した単結晶の実体顕微鏡写真、並びにX線単結晶構造解析により明らかになった面指数及び結晶面とチャンネル方向の位置関係を示す模式図をそれぞれ図2のa)、b)に示す。これらの図中、太い矢印がチャンネル構造を示す。
【0036】
実施例12 二酸化炭素の吸着前後の結晶構造の変化(その1)
実施例1及び実施例6で製造した安息香酸2-メチルピラジン錯体に二酸化炭素ガスを吸着させ、その前後における結晶構造の変化をX線単結晶解析により調べた。二酸化炭素吸着前後における安息香酸2-メチルピラジン錯体の結晶断面図を模式的に図3に示す。なお、金属が銅(実施例1)でもロジウム(実施例6)でも同様な結果が得られた。また、二酸化炭素の吸着前後における骨格構造の変化を模式的に図4に示す。また、比較のため、参考例1及び2の安息香酸ピラジン錯体についての結晶断面図及び骨格構造の変化を図5及び図6に示す。
【0037】
実施例1及び6の安息香酸2-メチルピラジン錯体では、吸着前の構造は2-メチルピラジン環のメチル基の立体障害により屈曲したジグザグ型の一次元鎖の集積構造であるが、吸着後は真直ぐな一次元鎖へと分子鎖構造が変化し、一次元チャンネルが生成してCO2を包接する。置換基の導入によって固体構造変化を制御できる。
【0038】
表5に90KにおけるCO2包接前後におけるVcell/Z, 空隙率の変化を示す。Vcell/Z は実施例6の錯体(2a): 813.1→893.3Å3(9.0%増大)、実施例1の錯体(2b): 812.9→900.1Å3 (9.7%増大)であり、CO2分子を包接することでセルボリュームの増加が見られた。また包接前後の空隙容積を比べると2a,2bともに倍以上増大しており、固体構造変化によってガス吸着する空間の容積も著しく変化する。
【0039】
【表5】

(*1) 包接CO2を除いて算出
【0040】
実施例13 二酸化炭素の吸着前後の結晶構造の変化(その2)
実施例7で製造した錯体について、実施例12と同様に、二酸化炭素を吸着させる前後の結晶断面の様子をX線解析により調べた。結果を図7に模式的に示す。
【0041】
チャンネル中でのCO2配列状態はこれまでの一次元配列とは異なり、四量体を生成していた。置換基の導入によって固体内空隙構造を変化させ、結晶中でのゲスト分子吸着構造を制御できる特性がある。
【0042】
実施例14 二酸化炭素の吸着・脱着
実施例6で製造した錯体(2a)又は実施例1で製造した錯体(2b)について、二酸化炭素の吸着量を等温下又は等圧下で測定した。等圧吸着測定は、1気圧で行い、等温吸着測定は-70℃で行なった。結果を図8(2a)及び図9(2b)にそれぞれ示す。なお、各図中、黒丸は吸着過程における吸着量、白丸は脱着過程における吸着量を示す。
【0043】
図8及び図9に示されるように、各錯体とも吸着、脱着が可逆的であり、結晶構造および結晶構造変化によって特異的なガス吸脱着特性を示し、二酸化炭素の分離濃縮、貯蔵材としての利用が可能であることが示された。
【0044】
実施例15 酸素ガスの吸着・脱着
実施例6で製造した錯体、実施例1で製造した錯体、実施例7で製造した錯体及び実施例2で製造した錯体について、等温下(77K)における酸素ガスの吸着量を測定した。結果を図10のa),b),c),d)にそれぞれ示す。なお、各図中、黒丸は吸着過程における吸着量、白丸は脱着過程における吸着量を示す。
【0045】
図10に示されるように、各錯体とも吸着、脱着が可逆的であり、結晶構造および結晶構造変化によって特異的なガス吸脱着特性を示し、酸素ガスの分離濃縮、貯蔵材としての利用が可能であることが示された。
【0046】
実施例16 窒素ガスの吸着・脱着
実施例6で製造した錯体、実施例1で製造した錯体、実施例7で製造した錯体及び実施例2で製造した錯体について、等温下(77K)における窒素ガスの吸着量を測定した。結果を図11のa),b),c),d)にそれぞれ示す。なお、各図中、黒丸は吸着過程における吸着量、白丸は脱着過程における吸着量を示す。
【0047】
図11に示されるように、各錯体とも吸着、脱着が可逆的であり、結晶構造および結晶構造変化によって特異的なガス吸脱着特性を示し、窒素ガスの分離濃縮、貯蔵材としての利用が可能であることが示された。
【0048】
実施例16 一酸化窒素ガスの吸着・脱着
実施例6で製造した錯体及び実施例1で製造した錯体について、等温下(20℃)における一酸化窒素ガスの吸着量を測定した。結果を図12のa),b)にそれぞれ示す。なお、各図中、黒丸は吸着過程における吸着量、白丸は脱着過程における吸着量を示す。
【0049】
図12に示されるように、各錯体とも吸着、脱着が可逆的であり、結晶構造および結晶構造変化によって特異的なガス吸脱着特性を示し、一酸化窒素の分離濃縮、貯蔵材としての利用が可能であることが示された。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施例6(a)及び実施例1(b)で製造した錯体単結晶の実体顕微鏡写真、並びにX線単結晶構造解析により明らかになった面指数及び結晶面とチャンネル方向の位置関係を示す模式図である。
【図2】本発明の実施例7 (a)及び実施例2 (b)で製造した錯体単結晶の実体顕微鏡写真、並びにX線単結晶構造解析により明らかになった面指数及び結晶面とチャンネル方向の位置関係を示す模式図である。
【図3】本発明の実施例で製造した安息香酸2-メチルピラジン錯体単結晶の二酸化炭素吸着前後における結晶断面図を模式的に示す図である。
【図4】本発明の実施例で製造した安息香酸2-メチルピラジン錯体単結晶の二酸化炭素吸着前後における骨格構造の変化を模式的に示す図である。
【図5】本発明の参考例で製造した安息香酸ピラジン錯体単結晶の二酸化炭素吸着前後における結晶断面図を模式的に示す図である。
【図6】本発明の参考例で製造した安息香酸ピラジン錯体単結晶の二酸化炭素吸着前後における骨格構造の変化を模式的に示す図である。
【図7】本発明の実施例7で製造した錯体について、二酸化炭素を吸着させる前後の結晶断面を模式的に示す図である。
【図8】本発明の実施例6で製造した錯体について、二酸化炭素の吸着量を等温下又は等圧下で測定した結果を示す図である。
【図9】本発明の実施例1で製造した錯体について、二酸化炭素の吸着量を等温下又は等圧下で測定した結果を示す図である。
【図10】本発明の実施例6で製造した錯体(a)、実施例1で製造した錯体(b)、実施例7で製造した錯体(c)及び実施例2で製造した錯体(d)について、等温下(77K)における酸素ガスの吸着量を測定した結果を示す図である。
【図11】本発明の実施例6で製造した錯体(a)、実施例1で製造した錯体(b)、実施例7で製造した錯体(c)及び実施例2で製造した錯体(d)について、等温下(77K)における窒素ガスの吸着量を測定した結果を示す図である。
【図12】本発明の実施例6で製造した錯体(a)及び実施例1で製造した錯体(b)について、等温下(20℃)における一酸化窒素ガスの吸着量を測定した結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式[I]で示される繰返し単位から構成された有機カルボン酸金属錯体。
【化1】

(ただし、M1及びM2は互いに独立して2価をとり得る金属、R1a、R1b、R1c及びR1dは互いに独立して、共役系を含む有機基、R2、R3、R4及びR5は互いに独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルケニル基を示し、R2、R3、R4及びR5が同時に水素原子である場合を除く)。
【請求項2】
前記R1a、R1b、R1c及びR1d が互いに独立して置換されていてもよいフェニル基である請求項1記載の有機カルボン酸金属錯体。
【請求項3】
前記M1及びM2が互いに独立してマンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、クロム、モリブデン、パラジウム及びタングステンから成る群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載の有機カルボン酸金属錯体。
【請求項4】
前記M1及びM2が同一種類の金属であり、前記R1a、R1b、R1c及びR1d が同一種類の有機基である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の有機カルボン酸金属錯体。
【請求項5】
前記R1a、R1b、R1c及びR1d がフェニル基、前記R2、R3、R4及びR5が互いに独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、前記M1及びM2が銅又はロジウムである請求項4記載の有機カルボン酸金属錯体。
【請求項6】
単結晶の形態にある請求項1ないし5のいずれか1項に記載の有機カルボン酸金属錯体。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の有機カルボン酸金属錯体から成るガス吸蔵剤。
【請求項8】
請求項6記載の有機カルボン酸金属錯体単結晶から成るガス吸着透過膜。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−342249(P2006−342249A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−169081(P2005−169081)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年5月10日 社団法人高分子学会発行の「高分子学会予稿集 54巻1号」に発表
【出願人】(505155528)公立大学法人横浜市立大学 (101)
【Fターム(参考)】