説明

新規キナーゼ阻害剤

本発明は、式I:


(I)
の化合物、およびそれの医薬的に許容される塩を提供する。式Iの化合物は、VEGFR−2、FGFR−1およびIGFR−1のような成長因子受容体の、チロシンキナーゼ活性を阻害し、それにより抗癌剤として有用となる。式Iの化合物はまた、成長因子受容体を通じて作動するシグナル伝達経路に関係する他の疾患の治療においても有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、c−Met、VEGFR−2、FGFR−1、IGFR−1のような成長因子受容体、およびSRCキナーゼのような非受容体キナーゼのプロテインチロシンキナーゼ活性を阻害し、それにより抗癌剤として有用である化合物に関する。これらの化合物を含む医薬組成物はまた、成長因子、並びにc−MetおよびVEGFR−2のような抗血管新生受容体を通じて作動するシグナル伝達経路に関係する、癌以外の疾患の治療にも有用である。
【背景技術】
【0002】
正常な血管新生は、胚発生、創傷治癒、肥満、および雌の生殖機能のいくつかの構成要素が含まれる様々なプロセスにおいて、重要な役割を果たす。好ましくない、または病的な血管新生は、糖尿病性網膜症、乾癬、関節リウマチ、アテローム、カポジ肉腫および血管腫、喘息、癌、並びに転移性疾患のような病状と関連付けられていた。血管透過性変化は、正常なプロセス、および病態生理学的プロセスのいずれにおいても、関与すると考えられている。
【0003】
受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、細胞の細胞膜にわたる生化学的シグナルの伝達において重要である。これらの膜貫通分子の特徴として、細胞膜の部分を通じて、細胞内チロシンキナーゼドメインとつながっている細胞外リガンド結合ドメインからなる。受容体へのリガンドの結合は、受容体およびその他の細胞内タンパク質の両方のチロシン残基のリン酸化を導く受容体関連チロシンキナーゼ活性の刺激をもたらし、それは様々な細胞反応を導く。今まで、アミノ酸配列相同性によって定義された、少なくとも19の異なるRTKサブファミリーが同定されてきた。これらのサブファミリーの1つは、現在、Fms様チロシンキナーゼ受容体、FltまたはFlt1(VEGFR−1)、キナーゼインサートドメイン含有受容体、KDR(Flk−1またはVEGFR−2とも呼ばれる)、および別のFms様チロシンキナーゼ受容体、Flt4(VEGFR−3)を含む。これらの関連する2つのRTK、FltおよびKDRは血管内皮増殖因子(VEGF)と高親和性で結合することが示されている。異種細胞で示される、これらの受容体へのVEGFの結合は、細胞タンパク質のチロシンリン酸化状態の変化、およびカルシウム流出と関連付けられている。酸性および塩基性の線維芽細胞増殖因子(aFGFおよびbFGF)とともに、VEGFは、インビトロ内皮細胞増殖促進活性を有するとして同定されている。aFGFおよびbFGFは、FGFR−1と名付けられる受容体チロシンキナーゼに結合し、およびこれを活性化することが知られている。その受容体の限定発現のおかげで、FGF成長因子活性とは対照的に、VEGF成長因子活性は、内皮細胞に対して比較的特異的である。VEGFは、正常なおよび病的な血管新生の両方にとって、並びに血管透過性にとって重要な刺激因子であることが、最新の知見で示されている。
【0004】
成人では、内皮細胞は、創傷治癒および雌の生殖周期のような組織の再構築、並びに脂肪生成の場合を除き、低い増殖指数を有する。しかしながら、癌、遺伝性の血管疾患、子宮内膜症、乾癬、関節炎、網膜症およびアテローム性動脈硬化症、のような病的状態において、内皮細胞は活発に増殖し、血管中で組織化される。VEGFおよびbFGFのような成長因子による血管新生の刺激にさらすと、内皮細胞は細胞周期に再び入り、増殖し、移動し、そして三次元網目構造へ組織化する。今では、拡大および転移する腫瘍の能力は、この血管ネットワークの構造に依存していることが広く受け入れられている。
【0005】
腫瘍関連血管における、VEGFR−2およびFGFR−1の過剰発現および活性化は、腫瘍の血管新生におけるこれらの分子の働きを示している。血管新生、およびそれに続く腫瘍増殖は、VEGFリガンド、およびVEGF受容体に対する抗体により、並びにトランケートされた(膜貫通配列、および細胞質キナーゼドメインを欠く)可溶性VEGFR−2受容体により阻害される。VEGFR−2またはFGFR−1のいずれかに発現した優性突然変異は、酵素活性の低下を引き起こし、インビボの腫瘍増殖を阻害する。これらの受容体、またはそれらの同種リガンドを標的にするアンチセンスも、血管新生および腫瘍増殖を阻害する。最新の知見は、ある程度、腫瘍増殖におけるこれらの受容体の時間条件を明らかにした。VEGFシグナル伝達は初期の腫瘍増殖において重要であり、bFGFはしばらく後に腫瘍増殖に関連して、より重要であることが明らかである。
【0006】
インビトロのコロニー形成を分裂させる能力のために散乱因子(SF)としても知られている肝細胞増殖因子(HGF)は、正常および腫瘍細胞において多面的反応を引き起こす、間葉由来のサイトカインとして知られている。これらの反応には、上皮および内皮細胞の両方における増殖、各細胞への上皮コロニーの解離、上皮細胞の運動(モトジェネシス(motogenesis))の刺激、細胞生存、細胞形態形成誘導、転移が根底にある全ての重要なプロセス、が含まれることが知られている。HGFはまた、血管新生を促進することが報告されている。また、HGFは組織再生、創傷治癒、および正常な胚のプロセスにおいて重要な役割を果たしていて、それらは全て細胞運動性および増殖の両方に依存している。
【0007】
肝細胞増殖因子受容体(HGFR)とも呼ばれるMetは主に上皮細胞で発現されるが、内皮細胞、筋芽細胞、造血細胞および運動ニューロンでも確認されている。HGFの過剰発現およびMetの活性化は、多くの異なる腫瘍型、並びに転移性疾患の促進における、開始および進行に関連してきている。Metと癌を結び付ける最初の根拠は、個体を乳頭状腎細胞癌(PRC)および肝細胞癌(HCC)に罹らせる、キナーゼドメインのミスセンス変異の同定により裏付けられている。Metの突然変異型は、卵巣癌、小児HCC、胃癌、頭部および頸部扁平上皮癌、非小細胞肺癌および結腸直腸転移においても確認されている。また、癌におけるMetの働きを裏付けるさらなる証拠は、甲状腺癌、卵巣癌および膵臓癌のような種々の腫瘍に存在する、HGFおよびMet受容体の過剰発現に基づいている。Metは、結腸直腸癌の肝転移において増幅されることもまた示されている。ヒト胃癌において、TPR−Met(CMLにおけるBCR/blと似た活性型)が説明され、同定されている。浸潤性乳癌患者、および非小細胞肺癌患者の最近の研究において、受容体またはリガンドのいずれか一方の発現は、生存低下の前兆であり、さらにMetと腫瘍進行を結びつける。一般に、間葉に由来する、多くのヒトの腫瘍および腫瘍細胞株は、HGFRおよび/またはHGFを不適当に発現する。
【0008】
多数の実験データは、究極的に転移に至る、腫瘍浸潤、増殖、生存および進行におけるHGFおよびMetの働きを裏付ける。前臨床では、HGFのトランスジェニック発現は転移表現型をもたらし、および増幅/過剰発現されたMetは自発的にNIH−3T3細胞を癌化する。
【0009】
HGFまたはMetのいずれかを標的とする、リボザイム、抗体およびアンチセンスRNAのような生物学的因子は、腫瘍形成を阻害することが示されている。ゆえに、Metを標的とする、選択的、小分子キナーゼモジュレーターは、Met受容体活性化が原発腫瘍および二次転移の増殖および進行における重要な働きをする、癌治療における治療可能性を有することが期待される。HGFは血管新生を制御することも知られており、これは腫瘍の増殖および播種において重要なプロセスである。したがって、モジュレーターのこの類は血管新生依存性疾患に影響を与える可能性がある。なお、血管新生依存性疾患には特に糖尿病性網膜症、黄斑変性症、肥満および関節リウマチのような炎症性疾患が含まれ得る。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、増殖性疾患の治療が必要な患者に式Iの化合物の有効量を投与することによる、c−Met、VEGFR−2、FGFR−1、IGFR−1のような成長因子受容体、およびSRCキナーゼのような非受容体キナーゼのプロテインチロシンキナーゼ活性調節によって、増殖性疾患を治療する方法を提供する。
【0011】
(発明の詳細な説明)
本発明の式I:
【化1】

の化合物、それらの鏡像異性体、ジアステレオマー、およびそれの医薬的に許容される塩は、VEGFR−2、c−Met、FGFR−1、IGFR−1のような成長因子受容体、およびSRCのような非受容体キナーゼのチロシンキナーゼ活性を阻害する。式I中、および本明細書にわたり、上記の記号は以下で定義される:
XおよびYは独立して、−CH−、−NH−、−S−、もしくは−O−であり、またはXおよびYの一方は存在せず;
、RおよびRは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリールオキシ、または置換アリールオキシであり;
およびRは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、または置換ヘテロシクリルであるか、あるいは
およびRは、それらが結合している窒素原子とともに、一緒になって適宜置換されるヘテロシクリル環を形成し;
は独立して、一またはそれ以上の水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シアノまたはハロゲンである。
一つの態様において、
Xは−CH−、Yは−NH−であるか、またはXおよびYの一方は存在せず、他方は−O−もしくは−S−であり;
、RおよびRは独立して、水素、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;並びに
およびRは独立して、水素、シクロアルキル、置換シクロアルキルヘテロシクリル、または置換ヘテロシクリルである。
【0012】
本発明の化合物には以下が含まれる:
N−シクロプロピル−4−フルオロ−3−{(2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メチルアミノ}ベンズアミド、
N−シクロプロピル−2,4−ジフルオロ−5−((2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メチルアミノ)ベンズアミド、
N−シクロプロピル−4−フルオロ−3−((2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルアミノ)メチル)ベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−((2−シクロプロピル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メチルアミノ)−4−フルオロベンズアミド、
N−シクロプロピル−4−フルオロ−3−((2−(ピリジン−3−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メチルアミノ)ベンズアミド、
N−シクロプロピル−4−フルオロ−3−((2−(ピリジン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メチルアミノ)ベンズアミド、
N−シクロプロピル−4−フルオロ−3−((2−(4−メトキシフェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メチルアミノ)ベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−((2−(3−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メチルアミノ)−4−フルオロベンズアミド、
N−(1−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン−4−イル)−3−(2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)ベンズアミド、
N−(1−(4−フルオロフェニルスルホニル)アゼチジン−3−イル)−3−(2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)ベンズアミド、
N−(1−(4−フルオロフェニルスルホニル)アゼチジン−3−イル)−3−(2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルチオ)ベンズアミド、
N−(1−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン−4−イル)−3−(2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルチオ)ベンズアミド、
N−(3−(シクロプロピルカルバモイル)フェニル)−2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボキサミド、
2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボニトリル、
3−((4−アミノピペリジン−1−イル)メチル)−2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボニトリル、
またはその医薬的に許容される塩。
【0013】
本発明はまた、増殖性疾患の治療が必要な患者に、上記で定義した式Iの化合物の有効量を投与することによる、VEGFR−2、c−Met、FGFR−1、IGFR−1、およびSRCキナーゼのような非受容体キナーゼの調節によって、増殖性疾患を治療する方法も提供する。
【0014】
(定義)
以下は、本明細書の中で用いられ得る用語の定義である。特にことわりが無ければ、本明細書の中で基または用語に関して提供される最初の定義は、本明細書にわたり単独でまたは別の基の一部として、その基または用語に適用する。
【0015】
本明細書で用いる用語「置換された」は、指定された原子上の任意の水素の一以上が、示された基からの選択肢に置き換わることを意味するが、指定された原子が通常の原子価を上回らず、および置換が安定な化合物をもたらすという条件付きである。置換基がケト(すなわち、=O)の場合、その原子上の2つの水素が置き換わる。ケト置換基は、芳香族部分には存在しない。本明細書で用いる環二重結合は、二つの隣接する環原子の間で形成される二重結合(例えば、C=C、C=N、またはN=N)である。
【0016】
化合物について、任意の成分または式で、任意の記号(例えば、R)が一回より多く生じる場合、それぞれの定義は他の全ての定義から独立している。ゆえに例えば、もし基が0から2のRで置換されることが示されていれば、その基は2つまでのR基で適宜置換され得て、それぞれのRはRの定義から独立して選択される。また、置換基および/または記号の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合に限り許容される。
【0017】
置換基の結合について、環の2つの原子を結ぶ結合が交差して示されている場合、そのような置換基は環の任意の原子と結合し得る。置換基が、所定の式の化合物の残基に結合するのに際し、介する原子を示さないで記載されてある場合、そのような置換基は、その置換基の任意の原子を介して結合し得る。置換基および/または記号の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合に限り許容される。
【0018】
本発明の化合物に窒素原子(例えば、アミン)がある場合、これらは本発明の他の化合物を提供するために、酸化剤(例えば、MCPBAおよび/または過酸化水素)で処理することによって、N−オキシドに変換することができる。ゆえに、全ての示されている、および特許請求されている窒素原子は、示されている窒素およびそのN−オキシド(N→O)誘導体の両方を対象にすると見なされる。
【0019】
用語「アルキル」は、直鎖または分枝鎖の、炭素原子が1から20、望ましくは1から7の無置換炭化水素基を指す。用語「低級アルキル」は、炭素原子が1から4の無置換アルキル基を指す。
【0020】
用語「置換アルキル」は、例えば1つから4つの置換基、例えば、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、オキソ、アルカノイル、アリールオキシ、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、2つのアミノ置換基がアルキル、アリールまたはアリールアルキルから選択される二置換アミン;アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、置換アルカノイルアミノ、置換アリールアミノ、置換アラルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アリールアルキルチオ、アルキルチオノ、アリールチオノ、アリールアルキルチオノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、スルホンアミド(例えばSONH)、置換スルホンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル(例えばCONH)、置換カルバミル(例えばCONHアルキル、CONHアリール、CONHアリールアルキル、または窒素に2つの置換基がある場合はアルキル、アリールもしくはアリールアルキルから選択され);アルコキシカルボニル、アリール、置換アリール、グアニジノ、ヘテロシクリル(例えば、インドリル、イミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピロリジル、ピリジル、ピリミジル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニルなど)、および置換ヘテロシクリル、によって置換されたアルキル基を指す。上記において、置換基がさらに置換される場合、それはアルキル、アルコキシ、アリールまたはアリールアルキルによってである。
【0021】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素 およびヨウ素を指す。
【0022】
用語「アリール」は、環部分の炭素原子が6から12を有する単環式または二環式芳香族炭化水素基を指し、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニルおよびジフェニル基などであり、そのそれぞれが置換され得る。
【0023】
用語「アリールオキシ」、「アリールアミノ」、「アリールアルキルアミノ」、「アリールチオ」、「アリールアルカノイルアミノ」、「アリールスルホニル」、「アリールアルコキシ」、「アリールスルフィニル」、「アリールヘテロアリール」、「アリールアルキルチオ」、「アリールカルボニル」、「アリールアルケニル」、または「アリールアルキルスルホニル」は、それぞれ、酸素;アミノ;アルキルアミノ;チオ;アルカノイルアミノ;スルホニル;アルコキシ;スルフィニル;ヘテロアリールもしくは置換ヘテロアリール;アルキルチオ;カルボニル;アルケニル;またはアルキルスルホニルに結合している、アリールまたは置換アリールを指す。
【0024】
用語「アリールスルホニルアミノカルボニル」は、アミノカルボニルに結合しているアリールスルホニルを指す。
【0025】
用語「アリールオキシアルキル」、「アリールオキシカルボニル」または「アリールオキシアリール」は、それぞれ、アルキルもしくは置換アルキル;カルボニル;またはアリールもしくは置換アリールに結合しているアリールオキシを指す。
【0026】
用語「アリールアルキル」は、少なくとも一つの炭素原子に結合している、少なくとも一つの水素原子がアリールまたは置換アリールに置き換わっている、アルキルまたは置換アルキルを指す。典型的なアリールアルキルには、これらに限定されないが、例えばベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、および2−ナフトフェニルエタン−1−イルが含まれる。
【0027】
用語「アリールアルキルオキシ」は、酸素結合を介して結合されているアリールアルキル(−O−アリールアルキル)を指す。
【0028】
用語「置換アリール」は、例えば1つから4つの置換基、例えばアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、ハロ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、ウレイド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルバミル、アルコキシカルボニル、アルキルチオノ、アリールチオノ、アリールスルホニルアミン、スルホン酸、アルキルスルホニル、スルホンアミド、アリールオキシなど、によって置換されたアリール基を指す。その置換基は、さらにヒドロキシ、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアリールアルキルによって置換され得る。
【0029】
用語「ヘテロアリール」は、適宜置換された芳香族基であり、例えば、少なくとも一つのヘテロ原子および少なくとも一つの炭素原子を持つ環を有する、例えば、ピリジン、テトラゾール、インダゾールのような、4から7員環単環式、7から11員環二環式、または10から15員環三環系を指す。
【0030】
用語「アルケニル」は、直鎖または分枝鎖の、炭素原子が2から20、望ましくは2から15、そして最も望ましくは2から8で、二重結合を1つから4つ有する、炭化水素基を指す。
【0031】
用語「置換アルケニル」は、例えば、1つか2つの置換基、例えばハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、アルキルチオノ、アルキルスルホニル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、置換カルバミル、グアニジノ、インドリル、イミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピロリジル、ピリジル、ピリミジルなどによって置換されたアルケニル基を指す。
【0032】
用語「アルキニル」は、直鎖または分枝鎖の、炭素原子が2から20、望ましくは2から15、そして最も望ましくは2から8で、三重結合を1つから4つ有する、炭化水素基を指す。
【0033】
用語「置換アルキニル」は、置換基、例えばハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、アルキルチオノ、アルキルスルホニル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、置換カルバミル、グアニジノ、およびヘテロシクリル(例えばイミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピロリジル、ピリジル、ピリミジル)などによって置換されたアルキニル基を指す。
【0034】
用語「シクロアルキル」は、望ましくは環を1つから3つ、および1つの環あたり3つから7つの炭素で、さらに不飽和C〜C環状炭素と縮合し得るものを有する、適宜置換された飽和環状炭化水素環系を指す。例示される基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシル、およびアダマンチルが含まれる。例示される置換基には、上述した一またはそれ以上のアルキル基、またはアルキル置換基として上述した一またはそれ以上の基が含まれる。
【0035】
用語「ヘテロ環」、「ヘテロ環式」および「ヘテロシクリル」は、適宜置換された、完全飽和もしくは不飽和な、芳香族環基もしくは非芳香族環基を指し、例えば4から7員環単環式、7から11員環二環式、または10から15員環三環系であり、少なくとも一つの炭素原子を有する環において、少なくとも一つのヘテロ原子を有する。ヘテロ原子が含まれる、ヘテロ環式基のそれぞれの環は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択されるヘテロ原子を1つ、2つもしくは3つ有してもよく、その場合に窒素および硫黄ヘテロ原子は適宜酸化され得るか、また窒素ヘテロ原子は適宜四級化され得る。ヘテロ環式基は、任意のヘテロ原子または炭素原子で結合し得る。
【0036】
例示される単環式ヘテロ環式基には、ピロリジニル、ピロリル、インドリル、ピラゾリル、オキセタニル、ピラゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソキサゾリニル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、ホモピペラジニル、2−オキソホモピペラジニル、2−オキソピロリジニル、2−オキサゼピニル、アゼピニル、4−ピペリドニル、ピリジル、N−オキソ−ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソラン、並びにテトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニル、ジオキサニル、イソチアゾリジニル、チエタニル、チイラニル、トリアジニル、およびトリアゾリル、などが含まれる。
【0037】
例示される二環式ヘテロ環式基には、2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチエニル、キヌクリジニル、キノリニル、キノリニル−N−オキシド、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンジミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフリル、クロモニル、クマリニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジニル(例えば、フロ[2,3−c]ピリジニル、フロ[3,1−b]ピリジニル]またはフロ[2,3−b]ピリジニル)、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキナゾリニル(例えば、3,4−ジヒドロ−4−オキソ−キナゾリニル)、ベンズイソチアゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾジアジニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズピラゾリル、1,3−ベンゾジオキソリル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、ジヒドロベンゾピラニル、インドリニル、インダゾリル、イソクロマニル、イソインドリニル、ナフチリジニル、フタルアジニル、ピペロニル、プリニル、ピリドピリジル、ピロロトリアジニル、キナゾリニル、テトラヒドロキノリニル、チエノフリル、チエノピリジル、チエノチエニル、などが含まれる。
【0038】
例示される置換基には、上述した一またはそれ以上のアルキル基もしくはアリールアルキル基、SOアリールもしくはSO−置換アリール、あるいはアルキル置換基として上述した一またはそれ以上の基が含まれる。
【0039】
エポキシドおよびアジリジンのような、より小さなヘテロシクリルも含まれる。
【0040】
用語「炭素環」または「炭素環の」は、3から12の原子を含む、安定で、飽和、部分飽和もしくは不飽和な、単環式もしくは二環式炭化水素環を指す。特に、これには、5もしくは6の原子を含む単環式環、または9もしくは10の原子を含む二環式環が含まれる。適したものには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ジヒドロインデニルおよびテトラヒドロナフチルが含まれる。本明細書で「炭素環」または「炭素環の」で指している用語「適宜置換された」は、その炭素環が、独立して、アルキル(望ましくは低級アルキル)、アルコキシ(望ましくは低級アルコキシ)、ニトロ、モノアルキルアミノ(望ましくは低級アルキルアミノ)、ジアルキルアミノ(望ましくはジ(低級)アルキルアミノ)、シアノ、ハロ、ハロアルキル(望ましくはトリフルオロメチル)、アルカノイル、アミノカルボニル、モノアルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルアミド(望ましくは低級アルキルアミド)、アルコキシアルキル(望ましくは低級アルコキシ(低級)アルキル)、アルコキシカルボニル(望ましくは低級アルコキシカルボニル)、アルキルカルボニルオキシ(望ましくは低級アルキルカルボニルオキシ)、並びにアリール(望ましくはフェニル)、前記アリールでハロ、低級アルキルおよび低級アルコキシの基により適宜置換されたもの、から選択される一またはそれ以上の基によって、一またはそれ以上の置換可能な環位置で置換され得ることを示す。
【0041】
用語「ヘテロ原子」には、酸素、硫黄および窒素が含まれる。
【0042】
用語「アルキルスルホン」は、−RS(=O)で、そのRがアルキルまたは置換アルキルであるものを指す。
【0043】
用語「オキソ」は、2価の基=Oを指す。
【0044】
用語「カルバメート」は、−OC(=O)NHの基を指す。
【0045】
用語「アミド」は、−C(=O)NHの基を指す。
【0046】
用語「スルホンアミド」は、−SONHの基を指す。
【0047】
用語「置換アミド」、「置換スルホンアミド」、または「置換カルバメート」は、少なくとも一つの水素が、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、および置換シクロアルキルから選択される基に置き換わっている、それぞれ、アミド、スルホンアミド、またはカルバメートを指す。
【0048】
置換アミドは、例えば、−C(=O)NRで、RおよびRが独立してH、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、および置換シクロアルキルから選択されるが、ただしRまたはRの少なくとも一つは置換部分である基を指す。
【0049】
置換スルホンアミドは、例えば、−SONRで、RおよびRが独立してアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、および置換シクロアルキルから選択されるが、ただしRまたはRの少なくとも一つは置換部分である基を指す。
【0050】
置換カルバメートは、例えば、−OC(=O)NRで、RおよびRが独立してアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、および置換シクロアルキルから選択されるが、ただしRまたはRの少なくとも一つは置換部分である基を指す。
【0051】
用語「ウレイド」は、−NHC(=O)NHの基を指す。
【0052】
用語「シアノ」は、−CNの基を指す。
【0053】
用語「シクロアルキルアルキル」または「シクロアルキルアルコキシ」は、アルキルもしくは置換アルキル;またはアルコキシが結合している、それぞれ、シクロアルキル、または置換シクロアルキルを指す。
【0054】
用語「ニトロ」は、−N(O)の基を指す。
【0055】
用語「チオ」は、−SHの基を指す。
【0056】
用語「アルキルチオ」は、−SRで、Rがアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである基を指す。
【0057】
用語「チオアルキル」は、−RSで、Rがアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである基を指す。
【0058】
用語「アルキルスルホニル」は、−S(=O)で、Rがアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである基を指す。
【0059】
用語「アルキルスルフィニル」は、−S(=O)Rで、Rがアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである基を指す。
【0060】
用語「カルボキシ」は、−C(=O)OHの基を指す。
【0061】
用語「カルボキシアルコキシ」または「アルコキシカルボニルアルコキシ」は、アルコキシが結合している、それぞれ、カルボキシ、またはアルコキシカルボニルを指す。
【0062】
用語「アルコキシカルボニル」は、−C(=O)ORで、Rがアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールである基を指す。
【0063】
用語「アリールアルコキシカルボニル」は、アルコキシカルボニルが結合している、アリールまたは置換アリールを指す。
【0064】
用語「アルキルカルボニルオキシ」または「アリールカルボニルオキシ」は、−OC(=O)Rで、それぞれ、Rがアルキルもしくは置換アルキル、またはアリールもしくは置換アリールである基を指す。
【0065】
用語「カルバモイル」は、−OC(=O)NH、−OC(=O)NHR、および/または−OC(=O)NRで、RおよびRが独立して、アルキルおよび置換アルキルから選択される基を指す。
【0066】
−NR(C=O)Rの基は、Rが水素、低級アルキル、および置換低級アルキルから選択され、並びにRが水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アミノアルキル、置換アミノアルキル、アルキルアミノ、置換アルキルアミノ、アリール、および置換アリールから選択される基を指す。
【0067】
用語「カルボニル」は、C(=O)を指す。
【0068】
用語「アルキルカルボニル」、「アミノカルボニル」、「アルキルアミノカルボニル」「アミノアルキルカルボニル」、または「アリールアミノカルボニル」は、カルボニルが結合している、それぞれ、アルキルもしくは置換アルキル;アミノ;アルキルアミノもしくは置換アルキルアミノ;アミノアルキルもしくは置換アミノアルキル;またはアリールアミノを指す。
【0069】
用語「アミノカルボニルアリール」または「アミノカルボニルアルキル」は、それぞれ、アリールもしくは置換アリール;またはアルキルもしくは置換アルキルが結合している、アミノカルボニルを指す。
【0070】
用語「スルホニル」は、S(=O)の基を指す。
【0071】
用語「スルフィニル」は、S(=O)を指す。
【0072】
用語「カルボキシアルキル」は、カルボキシが結合している、アルキルまたは置換アルキルを指す。
【0073】
式Iの化合物は塩を形成することができ、これもまた本発明の範囲内である。医薬的に許容される(すなわち、無毒で、生理学的に許容される)塩が望ましいが、例えば、本発明の化合物を単離または精製する上で、他の塩も有用である。
【0074】
式Iの化合物は、ナトリウム、カリウムおよびリチウムのようなアルカリ金属、カルシウムおよびマグネシウムのようなアルカリ土類金属、ジシクロヘキシルアミン、トリブチルアミン、ピリジンのような有機塩基、およびアルギニン、リジンのようなアミノ酸などと塩を形成し得る。そのような塩は、当業者に周知な方法で形成することができる。
【0075】
式Iの化合物は、様々な有機酸および無機酸と塩を形成し得る。そのような塩には、塩化水素、臭化水素、メタンスルホン酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マレイン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、および他の様々な塩(例えば、硝酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、サリチル酸塩など)によって形成されるものが含まれる。そのような塩は、当業者に周知な方法で形成することができる。
【0076】
また、双性イオン(「分子内塩」)が形成され得る。
【0077】
本発明の化合物に関するあらゆる立体異性体は、混合の、または純粋な、もしくは実質的に純粋な形のいずれかで、考慮されている。本発明の化合物の定義は、可能な全ての立体異性体、およびそれらの混合物を包含する。その定義は特に、特定の活性を有する、ラセミ体、および分離された光学異性体を包含する。ラセミ体は、例えば、分別結晶法、ジアステレオマー誘導体の分離もしくは結晶化、またはキラルカラムクロマトグラフィーによる分離のような、物理的方法を用いて分離することができる。個々の光学異性体は、例えば、光学活性酸とともに塩を形成し、その後結晶化するような、従来の方法を用いてラセミ化合物から得ることができる。
【0078】
式Iの化合物はまた、プロドラッグの形も有し得る。プロドラッグは、医薬品に関する多くの望まれる性質(例えば、溶解性、バイオアベイラビリティ、製造など)を高めることが知られているので、本発明の化合物はプロドラッグの形で提供され得る。ゆえに本発明は、特許請求されている化合物のプロドラッグ、それ、およびそれを含む組成物を運搬する方法を包含することも意図されている。「プロドラッグ」は、そのようなプロドラッグが対象の哺乳類に投与された場合に、インビボで本発明の活性親薬物を放出する、任意の共有結合担体も含まれることが意図されている。本発明のプロドラッグは、化合物に存在する官能基を修飾することによって製造され、その修飾は、通常操作またはインビボで開裂されて、親化合物になるという方法である。プロドラッグには、本発明のプロドラッグが対象の哺乳類に投与された場合に、開裂して遊離ヒドロキシル基、遊離アミノ基、または遊離スルフヒドリル基を形成するいずれかの基に結合している、それぞれ、ヒドロキシ基、アミノ基、またはスルフヒドリル基である、本発明の化合物が含まれる。プロドラッグの例には、これらに限定されないが、本発明の化合物中のアルコールおよびアミン官能基を有する酢酸、ギ酸、および安息香酸エステルおよびアミド誘導体が含まれる。
【0079】
プロドラッグの様々な形が、当技術分野で周知である。そのようなプロドラッグ誘導体の例として:
a)Design of Prodrugs, edited by H. Bundgaard, (Elsevier, 1985)、および、Methods in Enzymology, Vol. 112, p. 309-396, edited by K. Widder, et al. (Acamedic Press, 1985);
b)A Textbook of Drug Design and Development, edited by Krosgaard-Larsen and H. Bundgaard, Chapter 5, “Design and Application of Prodrugs,” by H. Bundgaard, p. 113-191 (1991);並びに
c)H. Bundgaard, Advanced Drug Delivery Reviews, 8, 1-38 (1992)
を参照。
【0080】
さらに理解されるべきことは、式Iの化合物の溶媒和物(例えば、水和物)もまた、本発明の範囲内にあることである。溶媒和の方法は、一般的に当技術分野で周知である。
【0081】
「安定な化合物」および「安定な構造」とは、反応混合物からの有用な純度への単離、および効果的な治療薬への製剤化に耐える十分に強い化合物を示すことを意図している。
ここで列挙した化合物には、N−ハロ、S(O)H、またはS(O)H基が含まれないことが望ましい。
【0082】
本明細書で用いられる「治療する」または「治療」は、哺乳類、特にヒトにおける病状の治療で、(a)哺乳類における病状の予防、特に、そのような哺乳類が病状に罹りやすい性質を有するのだが未だ罹っていないと診断さている場合の予防、(b)病状の抑制、すなわち症状の進行を抑止すること、および/または(c)病状の軽減、すなわち病状の退行を引き起こすこと、のようなものを包含する。
【0083】
「治療上の有効量」は、単独または併用投与する場合に効果的である、本発明の化合物の量が含まれることを意図している。「治療上の有効量」はまた、Trkに関連した疾患および/または病気を抑制するのに効果的であることが要求されている化合物の併用剤の量が含まれることも意図している。この化合物の併用は、相乗併用が望ましい。相乗作用は、例えば、Chou and Talalay, Adv. Enzyme Regul. 1984, 22:27-55で記述されているように、併用投与する場合の化合物の効果の方が、単剤として単独投与する場合の化合物の相加効果よりも大きい場合に生じる。一般に相乗効果は、化合物が最適濃度に及ばない濃度において最も明瞭に示される。相乗作用は、細胞毒性の低下、抗血栓作用の増加、または個々の成分の場合と比べて併用によってもたらされる他の多くの有益な効果という形であり得る。
【0084】
本発明にはさらに、本発明の化合物の一またはそれ以上、および医薬的に許容される担体を含む組成物も含まれる。
【0085】
「医薬的に許容される担体」は、一般的に、動物、特に哺乳類に生理活性物質を送達するにあたって、当該技術分野で許容されている媒体を指す。医薬的に許容される担体は、十分に当業者の範囲内である、多くの要素にしたがって製剤される。これらには、これらに限定されないが、製剤される活性薬剤の種類および性質、薬剤の含まれる組成物が投与される患者、組成物の投与が対象とする経路、並びに標的とされている治療指標が含まれる。医薬的に許容される担体には、水性および非水性液体媒体の両方が含まれ、並びに様々な固形および半固形の剤形も含まれる。そのような担体は、活性薬剤と共に、多くの異なる成分および添加剤を含むことができ、そのような付加的な成分は、例えば活性薬剤、結合剤の安定化などの様々な理由で製剤に含まれ、このことは当業者に十分周知である。適した医薬的に許容される担体、およびそれらの選択肢に関わる要素についての記述は、多くの容易に入手可能な出典、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, 1985にあり、これは本明細書で引用としてそのまま援用されている。
【0086】
一般的に、細胞増殖の制御における、キナーゼの重要な働きに起因して、阻害剤は可逆的な細胞増殖抑制剤として作用することができ、それは異常な細胞増殖、例えば、良性前立腺肥大、家族性腺腫性ポリポーシス、神経線維腫症、肺線維症、関節炎、乾癬、糸球体腎炎、血管形成または血管手術後の再狭窄、肥厚性瘢痕形成、および炎症性大腸炎を特徴とするいずれの疾患経過の治療においても有用であり得る。
【0087】
別の態様において本発明は、上記で定義した式Iの化合物の有効量を、少なくとも一つの他の抗癌剤と併用(同時に、または逐次的に)して、増殖性疾患の治療が必要な患者に投与することによる、Metキナーゼ調節を介した増殖性疾患の治療方法を提供する。望ましい態様において、該増殖性疾患は癌である。
【0088】
一般的に、細胞増殖の制御における、プロテインキナーゼの重要な働きに起因して、阻害剤は可逆的な細胞増殖抑制剤として作用することができ、それは異常な細胞増殖、例えば、良性前立腺肥大、家族性腺腫性ポリポーシス、神経線維腫症、アテローム性動脈硬化症、肺線維症、関節炎、乾癬、糸球体腎炎、血管形成または血管手術後の再狭窄、肥厚性瘢痕形成、炎症性大腸炎、移植拒絶反応、内毒素性ショック、および真菌感染症を特徴とするいずれの疾患経過の治療においても有用であり得る。
【0089】
式Iの化合物は、アポトーシスのモジュレーターとして、癌(これらに限定されないが、上述した種類の癌が含まれる)、ウイルス感染(これらに限定されないが、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプスタインバーウイルス、シンドビスウイルス、およびアデノウイルスが含まれる)、HIV感染者のAIDS進行の予防、自己免疫疾患(これらに限定されないが、全身性エリテマトーデス、自己免疫媒介性糸球体腎炎、関節リウマチ、乾癬、炎症性大腸炎、および自己免疫糖尿病が含まれる)、神経変性疾患(これらに限定されないが、アルツハイマー病、エイズによる認知症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性症、脊髄性筋萎縮症、および小脳変性症が含まれる)、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血、心筋梗塞と関連している虚血性傷害、脳卒中および再灌流傷害、不整脈、アテローム性動脈硬化症、毒性またはアルコール性肝疾患、血液病(これらに限定されないが、慢性貧血、および再生不良性貧血が含まれる)、筋骨格系の変性疾患(これらに限定されないが、骨粗鬆症、および関節炎が含まれる)、アスピリン感受性の鼻副鼻腔炎、嚢胞性線維症、多発性硬化症、腎疾患、および癌疼痛の治療において有用である。
【0090】
式Iの化合物は、細胞のRNA合成およびDNA合成の量を調節し得る。ゆえに、これらの薬剤はウイルス(これらに限定されないが、HIV、ヒト乳頭腫ウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプスタインバーウイルス、シンドビスウイルス、およびアデノウイルスが含まれる)感染の治療において有用である。
【0091】
式Iの化合物は、癌の化学予防において有用となり得る。化学予防は、変異原性の起因事象を阻止するか、または既に攻撃を受けた、もしくは腫瘍再発を抑制された前悪性細胞の進行を阻止するかのいずれかによって、浸潤癌の発生を抑制することと定義される。
【0092】
式Iの化合物はまた、腫瘍の血管新生および転移を阻害することにも有用であり得る。
【0093】
用語「抗癌」剤には、癌治療に有用であるいずれの周知な薬剤も含まれ、例えば以下:17α−エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゾラデックス;マトリクスメタロプロテイナーゼ阻害剤;VEGF阻害剤である、抗VEGF抗体(アバスチン(登録商標))、並びにZD6474およびSU6668のような小分子;バタラニブ、BAY−43−9006、SU11248、CP−547632、およびCEP−7055;抗HER2抗体(ハーセプチン)のような、HER1およびHER2阻害剤;ゲフィチニブ、エルロチニブ、ABX−EGF、EMD72000、11F8、およびセツキシマブのようなEGFR阻害剤;SB−715992、SB−743921、およびMKI−833のようなEg5阻害剤;カネルチニブ、EKB−569、CI−1033、AEE−788、XL−647、mAb2C4、およびGW−572016のようなpanHer阻害剤;Src阻害剤、例えばグリベック(登録商標)およびダサチニブ(スプリセル(登録商標))、カソデックス(登録商標)(ビカルタミド、アストラゼネカ)、タモキシフェン;MEK−1キナーゼ阻害剤、MAPKキナーゼ阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤;イマチニブのようなPDGF阻害剤;固形癌への血流を遮断することによって、癌細胞から栄養を取り除き癌細胞を休止状態にさせる、抗血管新生剤および抗血管剤;アンドロゲン依存性の癌を非増殖性にする、去勢;チロシンキナーゼ非受容体および受容体の阻害剤;インテグリンシグナル伝達阻害剤;チューブリン活性剤である、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビンフルニン、パクリタキセル、ドセタキセル、7−O−メチルチオメチルパクリタキセル、4−デスアセチル−4−メチルカルボネートパクリタキセル、3’−tert−ブチル−3’−N−tert−ブチルオキシカルボニル−4−デアセチル−3’−デフェニル−3’−N−デベンゾニル−4−O−メトキシカルボニル−パクリタキセル、C−4メチルカルボナートパクリタキセル、エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC、エポチロンD、デスオキシエポチロンA、デスオキシエポチロンB、[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−7−11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−3−[1−メチル−2−(2−メチル−4−チアゾリル)エテニル]−4−アザ−17オキサビシクロ[14.1.0]ヘプタデカン−5,9−ジオン(イクサベピロン)、[1S−[1R,3R(E),7R,10S,11R,12R,16S]]−3−[2−[2−(アミノメチル)−4−チアゾリル]−1−メチルエテニル]−7,11−ジヒドロキシ−8,8,10,12,16−ペンタメチル−4−17−ジオキサビシクロ[14.1.0]−ヘプタデカン−5,9−ジオン、およびこれらの誘導体;CDK阻害剤、抗増殖性の細胞周期阻害剤、エピドフィロトキシン(epidophyllotoxin)、エトポシド、VM−26;抗悪性腫瘍薬酵素、例えば、トポイソメラーゼI阻害剤、カンプトテシン、トポテカン、SN−38;プロカルバジン;ミトキサントロン;シスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチンのような白金配位複合体;生物学的修飾物質;増殖阻害剤;抗ホルモン治療薬;ロイコボリン;テガフール;プリン拮抗薬(例えば、6−チオグアニンおよび6−メルカプトプリン)のような代謝拮抗剤;グルタミン拮抗薬、例えばDON(AT−125;d−オキソ−ノルロイシン);リボヌクレオチド還元酵素阻害剤;mTOR阻害剤;並びに造血性成長因子、などである。
【0094】
付加的な細胞毒性薬には、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ミトキサントロン、メルファラン、ヘキサメチルメラミン、チオテパ、シタラビン、イダトレキセート(idatrexate)、トリメトレキサート(trimetrexate)、ダカルバジン、L−アスパラギナーゼ、ビカルタミド、ロイプロリド、ピリドベンゾインドール誘導体、インターフェロン、およびインターロイキンなどが含まれる。
【0095】
内科的腫瘍学の分野において、それぞれの癌患者を治すために、治療の異なる形を併用して用いることは、通常の治療である。内科的腫瘍学において、そのような治療の他の構成物として、上記本明細書で定義した抗増殖性の治療に加えて、外科手術、放射線治療または化学療法があり得る。
そのような化学療法は、治療薬の主要な3つのカテゴリーを包含し得る:
(i)上記で定義したものと異なる機構によって働く血管新生阻害剤(例えば、リノミド、インテグリンαvβ3機能阻害剤、アンジオスタチン、ラゾキサン);
(ii)細胞増殖抑制剤である以下、抗エストロゲン剤(例えば、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェン(iodoxifene))、プロゲストーゲン(例えば、酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン)、抗ホルモン剤、抗プロゲストーゲン剤、抗アンドロゲン剤(例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、酢酸シプロテロン)、LHRHアゴニストおよびアンタゴニスト(例えば、酢酸ゴセレリン、ロイプロリド)、テストステロン5α−ジヒドロレダクターゼ阻害剤(例えば、フィナステリド)、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、抗浸潤剤(例えば、マリマスタットおよびウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体機能阻害剤のようなメタロプロテアーゼ阻害剤)、および成長因子機能阻害剤、(そのような成長因子には、例えばEGF、FGF、血小板由来成長因子および肝細胞増殖因子が含まれ、そのような阻害剤には、成長因子抗体、成長因子受容体抗体であるアバスチン(登録商標)(ベバシズマブ)およびアービタックス(登録商標)(セツキシマブ);チロシンキナーゼ阻害剤およびセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤が含まれる);並びに
(iii)内科的腫瘍学で用いられている、抗増殖剤/抗悪性腫瘍剤、およびこれらの併用剤、例えば、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサートのような抗葉酸剤、5−フルオロウラシルのようなフルオロピリミジン、プリンおよびアデノシン類似体、シトシンアラビノシド);挿入(Intercalating)抗腫瘍抗生物質(例えば、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、およびイダルビシンのようなアントラサイクリン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシン、ミトラマイシン);白金誘導体(例えば、シスプラチン、カルボプラチン);アルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソ尿素、チオテパ);抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビンブラスチン、およびビンフルニンのようなビンカアルカロイド)、並びにタキソール(登録商標)(パクリタキセル)、タキソテール(登録商標)(ドセタキセル)のようなタキソイド、並びにエポチロン類似体(イクサベピロン)、ディスコデルモリド類似体、およびエリュテロビン類似体のような最新の微小管剤(newer microbtubule agents);トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシドおよびテニポシドのようなエピポドフィロトキシン、アムサクリン、トポテカン、イリノテカン);細胞周期阻害剤(例えば、フラボピリドル(flavopyridols));生物学的修飾物質およびプロテアソーム阻害剤であるベルケイド(登録商標)(ボルテゾミブ)である。
【0096】
上記のように、本発明の式Iの化合物はそれらの増殖抑制効果ゆえに興味の対象となる。そのような本発明の化合物は、癌、乾癬、および関節リウマチのような症状の広範囲にわたって有用であることが期待される。
【0097】
具体的に式Iの化合物は、様々な癌で、以下に限定されないが:
前立腺癌、膵管腺癌、乳癌、結腸癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、および甲状腺癌のような癌;
神経芽細胞腫、神経膠芽腫、および髄芽腫のような中枢神経系および末梢神経系の腫瘍;
急性骨髄性白血病(AML)のような血液悪性腫瘍、並びに
黒色腫および多発性骨髄腫のようなその他の癌
が含まれる治療において有用である。
【0098】
本発明の化合物はまた、周知な抗癌治療である、放射線治療、または細胞増殖抑制剤、もしくは細胞毒性剤との併用(一緒に、または順次投与)においても有用となり得て、細胞増殖抑制剤もしくは細胞毒性剤としては、例えば以下に限定されないが、シスプラチンまたはドキソルビシンのようなDNA相互作用剤;エトポシドのようなトポイソメラーゼII阻害剤;CPT−11またはトポテカンのようなトポイソメラーゼI阻害剤;天然または合成のいずれによる、パクリタキセル、ドセタキセル、またはエポチロン(例えば、イクサベピロン)のようなチューブリン相互作用剤;タモキシフェンのようなホルモン剤;5−フルオロウラシルのようなチミジル酸シンターゼ阻害薬;メトトレキサート、イレッサおよびOSI−774のような他のチロシンキナーゼ阻害剤、のような抗代謝物;血管新生阻害剤;EGF阻害剤;VEGF阻害剤;CDK阻害剤;SRC阻害剤;c−Kit阻害剤;Her1もしくはHer2阻害剤、並びにアービタックス(EGF)およびハーセプチン(Her2)のような成長因子受容体に対するモノクローナル抗体との併用(一緒に、または順次投与)において有用である。
【0099】
本発明の化合物がヒト患者に投与される場合、通常、1日の服用量は処方医師により決定され、その用量は一般的に年齢、体重、性別、およびそれぞれの患者の反応、並びに患者の症状の重症度によって変わる。
【0100】
もし固定用量として製剤するなら、そのような併用製品には、上記に記載した用量域の範囲内で本発明の化合物と、他の医薬的に活性な薬剤または治療を承認されている用量域の範囲内で用いる。複合製剤が不適切な場合は、式Iの化合物を周知である抗癌剤および細胞毒性薬と連続して投与してもよい。本発明は、この投与の順序に限定されないが、式Iの化合物を、周知である抗癌剤もしくは細胞毒性薬の投与の前、または後のいずれかに投与してもよい。
【0101】
(生物学的アッセイ)
本発明の化合物の薬理学的性質は、多くの薬理学的アッセイによって確認され得る。以下に例示される薬理学的アッセイは、本発明の化合物、および/またはそれらの医薬的に許容される塩を用いて行った。
【0102】
1.VEGFR−2およびFGFR−1キナーゼアッセイ:
【表1】

VEGFR−2またはFGFR−1アッセイに用いるインキュベーション混合物には、合成基質poly glu/tyr(4:1)、ATP、ATP−γ−33P、並びにMn++および/またはMg++、DTT、BSA、およびトリス緩衝液を含む緩衝液が含まれる。この反応は酵素を加えると開始し、そして60分後室温で、30%TCAを加えて最終濃度が15%TCAとなり終了する。阻害剤を10mM、100%DMSO中に加える。アッセイは、96ウェルフォーマットで4回調製する。化合物を100%DMSO中に1:500で希釈し、次いで水中で1:10に希釈し最終濃度を10%DMSOにする。10μLを、10%DMSOの96ウェルフォーマットの列BからHに加える。化合物の20μLを、ランニング条件(running conditions)よりも5倍高い濃度で、列Aに加える。10μLをそれぞれの列に移し、続いて混合により6段階希釈をして、列Fでは10μLを廃棄する。列Gは化合物のないコントロールであり、列Hは化合物および酵素のないコントロールである。酵素および基質は、トムテック・クアドラ・ステーション(Tomtec Quadra station)を用いて運搬する。
【0103】
プレートはスティキー・プレート・トップ(sticky plate tops)で覆い、27℃で60分インキュベートし、次いで氷上で20分TCAを用いて酸を沈殿させる。その沈殿物を、トムテック(Tomtec)またはパッカード・フィルターメート(Packard FilterMate)収集器を用いて、ユニフィルター96GF/Cマイクロプレートに移す。活性は、ユニフィルターマイクロプレートのそれぞれの乾燥ウェルに、マイクロシント(Microscint)−20カクテルを加えた後に、パッカード・トップカウント・マイクロプレート・シンチレーション・カウンター(Packard TopCount Microplate Scintillation Counter)を用いて、取り込まれた放射能を定量して測定する。
【0104】
本発明の化合物は、0.001から10μMのIC50値で、VEGFR−2およびFGFR−1キナーゼを阻害する。望ましい化合物は、IC50値が0.3μM未満である。
【0105】
2.Metキナーゼアッセイ:
【表2】

Metキナーゼアッセイに用いるインキュベーション混合物には、合成基質polyGlu/Tyr、(4:1)、ATP、ATP−γ−33P、並びにMn++および/またはMg++、DTT、BSA、およびトリス緩衝液を含む緩衝液が含まれる。反応液を27℃で60分インキュベートし、それに冷トリクロロ酢酸(TCA)を加えて、最終濃度4%で終了する。TCA沈殿物をフィルターメート・ユニバーサル・ハーベスター(Filtermate universal harvester)(Packard Instrument社、Meriden、CT)を用いてGF/Cユニフィルタープレート(Packard Instrument社、Meriden、CT)に回収して、トップカウント96ウェルの液体シンチレーションカウンター(Packard Instrument社、Meriden、CT)を用いてフィルターを定量する。用量反応曲線を作成し、キナーゼ活性の50%を阻害するのに必要な濃度(IC50)を決定する。化合物を10mMでジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解し、6つの濃度でそれぞれを4回調べる。アッセイにおけるDMSOの最終濃度は、1%である。IC50値を非線形回帰分析により求め、それは変動係数(SD/平均、n=6)=16%を有する。
【0106】
本発明の化合物は、0.01から100μMのIC50値でMetキナーゼ酵素を阻害する。望ましい化合物はIC50値が1.0μM未満であり、さらに望ましくは約0.5μM未満である。
【0107】
3.IGF受容体チロシンキナーゼアッセイ:
IGF−1受容体チロシンキナーゼを、合成高分子poly(Glu/Tyr)(シグマケミカル)をホスホ受容体基質として用いてアッセイした。それぞれの反応混合物は、全容積50μlからなり、バキュロウイルスが発現した酵素(125ng)、poly(Glu/Tyr)(2.5μg)、ATP(25μM)、および[γ−33P]ATP(0.1μCi)が含まれた。その混合物にはまた、pH7.0のMOPS(20mM)、MnCl(5mM)、DDT(0.5mM)、およびウシ血清アルブミン(0.1mg/ml)も含まれた。その反応混合物を30℃で45分インキュベートし、キナーゼ活性をpoly(Glu/Tyr)基質に移った放射性リン酸塩量の定量により測定した。取り込まれた量を測定するのに、冷トリクロロ酢酸(TCA)を加えて、タンパク質の沈殿物をフィルターメート・ユニバーサル・ハーベスター(Filtermate universal harvester)(Packard Instrument社、Meriden、CT)を用いてGF/Cユニフィルタープレート(Packard Instrument社、Meriden、CT)に回収して、トップカウント96ウェルの液体シンチレーションカウンター(Packard Instrument社、Meriden、CT)を用いてフィルターを定量化した。化合物をジメチルスルホキシド中で溶解し、10mMの濃度にして、6つの濃度でそれぞれ3回調べた。キナーゼアッセイに加えられたDMSOの最終濃度は0.5%であって、それはキナーゼ活性に対して活性を示さなかった。IC50値を非線形回帰分析により求め、それは変動係数(SD/平均、n=6)=16%を有した。
【0108】
代表的な化合物は、次の表で示される。
【表3】

【0109】
以下の例および製剤では、本発明の製造および使用に関する方法およびプロセスを記載し、それらは限定的というよりは例示的である。理解されるべきことは、ここに添付された特許請求によって定義される本発明の精神および範囲の範囲内に含まれる、他の態様もあり得ることである。
【0110】
(製造方法)
特にことわりが無ければ、全ての温度は摂氏温度(℃)である。全ての反応は、乾燥窒素または乾燥アルゴンの雰囲気下で、連続的な磁気攪拌により行った。全ての蒸発および濃縮は、減圧下でロータリーエバポレーターにより行った。市販試薬は、さらなる精製をせず、市販のままで用いた。溶媒は市販の無水グレードであり、さらなる乾燥または精製をせずに用いた。フラッシュ・クロマトグラフィーはシリカゲル(EMerck Kieselgel60、0.040−0.060mm)を用いて行った。
【0111】
分析逆相(RP)HPLCは、Phenomenex Luna C18 S5 4.6mm×50mmカラム、またはYMC S5 ODS 4.6x50mmカラムを用いて行った。それぞれの場合において、4分間の直線的グラジエント(Aを100%:Bを0%からAを0%:Bを100%まで)が、以下の移動相システムで用いられた:A=90%HO/MeOH+0.2%HPO;B=90%MeOH/HO+0.2%HPOで、流速=4mL/分、および220nmで検出。
【0112】
プレパラティブ逆相(RP)HPLCは、0.1%トリフルオロ酢酸で緩衝化したHO/MeOH混合物で直線的グラジエント溶出を行い、以下のカラムの一つにおいて220nmで検出した:Shimadzu S5 ODS−VP 20x100mm(流速=9mL/分)、またはYMC S10 ODS 50x500mm(流速=50mL/分)、またはYMC S10 ODS 30x500mm(流速=20mL/分)。
【0113】
全ての最終生産物は、H NMR、RP HPLC、エレクトロスプレーオン化質量分析(ESI MS)、または大気圧イオン化質量分析(API MS)によって同定した。H NMR スペクトルを、500MHz JEOL、または400MHz Bruker instrumentのいずれかによって得た。13C NMRスペクトルは、100または125MHzで記録された。電界強度は、溶媒ピークと比較してδ(100万分の1、ppm)の単位で示し、ピークの多重度は以下のように指定する:s、単重項;d、二重項;dd、二重項の二重項;dm、多重項の二重項;t、三重項;q、四重項;br s、ブロード単重項(broad singlet);m、多重項。
【0114】
特にことわりが無ければ、反応のワークアップでは、有機抽出液を硫酸マグネシウム (MgSO)で乾燥した。
【0115】
次の略語は、以下の反応式および実施例で用いられ得る。EtO;ジエチルエーテル、NaSO;硫酸ナトリウム;HCl;塩酸、NaOH;水酸化ナトリウム、NaCl;塩化ナトリウム、Pd/C;パラジウム炭素、KHPO;リン酸水素二カリウム、KCO;炭酸カリウム、NaHCO;炭酸水素ナトリウム、LiOH;水酸化リチウム、RT;室温、TFA;トリフルオロ酢酸、NaBH(OAc)3;トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、NBS;N−ブロモスクシンイミド、NaOH;水酸化ナトリウム、BOP;ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリスジメチルアミノホスホニウム塩、(dppf)PdCl;[1、1’−ビスジフェニルフォスフィノフェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン複合体。
【0116】
式Iの特定の化合物は、一般に、以下の反応式1から4によって製造することができる。本化合物は、当業者に周知な合成法を用いて容易に合成できる。式Iの化合物の互変異性体および溶媒和物(例えば、水和物)もまた、本発明の範囲内にある。溶媒和の方法は、一般に、技術的に周知である。したがって本発明の化合物は、遊離した形または水和物の形であり得て、下記の反応式により例示される方法によって得ることができる。
【0117】
【化2】

工程1:種々の置換2−アミノ−3−ハロピリジン(X=ハロゲン)に、種々の置換アセチレン、例えばフェニルアセチレンを、(dppf)PdClのような触媒の存在下でカップリングして、この反応式の化合物1を得ることができる。
【0118】
工程2:化合物1を、カリウム−tert−ブトキシドのような塩基で、N−メチルピロリジン(NMP)のような溶媒中、高温で処理することにより、環化した化合物2を得る。
【0119】
工程3:R=COOHである化合物2は、シクロプロピルアミンのようなアミンで、BOP試薬のようなカップリング試薬の存在下、ジメチルホルムアミドのような溶媒中、カップリングして、それにより式3のアミドを得ることができる。
【0120】
工程4:R=COOHまたはエステルである化合物2は、水酸化アルミニウムリチウム(LAH)のような還元剤によって、テトラヒドロフランのよう有機溶媒中で還元し、中間アルコールを得ることができる。
【0121】
工程5:上で得られたアルコールの酸化は、酸化剤、例えば二酸化マンガン(MnO)を、高温、トルエンのような有機溶媒中で処理することにより達成することができ、それにより式4のアルデヒト化合物を得る。
【0122】
工程6:この反応式の化合物4を、アニリンのようなアミンで、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムのような還元的アミノ化条件下、ジクロロメタン中で処理し、式5の化合物を得ることができる。
【0123】
【化3】

工程1:Rがニトロ基である、反応式1の化合物1を、鉄のような還元剤によって、HClのような酸中で還元し、反応式2の化合物1を得ることができる。
【0124】
工程2:反応式2の化合物1をカリウム−tert−ブトキシドのような塩基で、N−メチルピロリジン(NMP)のような溶媒中、高温で処理し、環化した反応式2の化合物2を得る。
【0125】
工程3:この反応式の化合物2を、アニリンのようなアミンで、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムのような還元的アミノ化条件下、ジクロロメタン中、処理して、この反応式の式5の化合物を得ることができる。
【0126】
【化4】

工程1:ハロゲン基を含む2−アミノピリジンを、3−カルボメトキシフェノールのような置換フェノール、置換チオフェノールまたは置換アニリンで、CuI(ヨウ化銅)のような触媒、および炭酸セシウムのような塩基の存在下、ジオキサンのような溶媒に高温で処理し、反応式3の化合物1を得ることができる。
【0127】
工程2:この反応式の化合物1を、次いでNBSのようなハロゲン化剤で、アセトニトリルまたは酢酸のような溶媒中、反応して、それにより反応式3の化合物2を得ることができる。
【0128】
工程3:反応式3の化合物2を、フェニルアセチレンのような置換アセチレンで、(dppf)PdClのような触媒の存在下、ジメチルホルムアミドのような不活性溶媒中、高温でカップリングすることにより、反応式3の式3の化合物を得ることができる。
【0129】
工程4:この反応式の化合物3は次いで、カリウム−tert−ブトキシドのような塩基を、NMPのような不活性溶媒中で処理することにより環化し、反応式3の式4のインドール誘導体を得ることができる。
【0130】
【化5】

工程1:反応式1の化合物2を、ピペリジンのようなアミンでホルマリンの存在下、酢酸のような溶媒中、処理することにより、反応式4の化合物1を得ることができる。
【0131】
(実施例)
実施例1
N−シクロプロピル−4−フルオロ−3−{(2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メチルアミノ}ベンズアミド
【化6】

A)エチル6−アミノ−5−ブロモニコチネート(245mg、1mmol)、フェニルアセチレン(220mg、2.2mmol)、(dppf)PdCl(40mg)、CuI(15mg)、トルエン(2mL)、テトラヒドロフラン(1mL)およびトリエチルアミン(1mL)の混合物を、80℃でアルゴン下、2時間攪拌した。室温まで冷却後、この混合物を水で洗浄し、乾燥して、減圧下で濃縮した。その残渣をシリカゲル上のクロマトグラフィーで精製し、酢酸エチル/ヘプタン(1:1)で溶離して、エチル6−アミノ−5−(2−フェニルエチニル)ニコチネートを固形物(205mg、77%)として得た。LC/MS;(M+H)=267.2。
【0132】
B)本実施例の化合物A(266mg、1mmol)のNMP溶液(4mL)に、カリウムtert−ブトキシド(222mg、2mmol)を加えた。反応液を80℃で1時間攪拌し、室温まで冷却して、1N HCl水溶液(5mL)を加えた。形成した沈殿物をろ過し、水で洗浄し、減圧下で乾燥して、2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸を固形物(215mg、81%)として得た。LC/MS;(M+H)=239.1。
【0133】
C)本実施例の化合物B(100mg、0.38mmol)のTHF(3mL)混合液に、水素化アルミニウムリチウム(1M THF溶液、1mL)をゆっくりと加えた。混合物を2時間加熱還流し、次いで0℃まで冷却し、水(0.5mL)をゆっくりと加えた。混合物をろ過し、固形物をテトラヒドロフランで洗浄し、ろ液を乾燥し、濃縮して、目的生成物(2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メタノール、および5−メチル−2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを、85:15の混合物で固形物(総量100mg)として得た。LC/MS;(M+H)=225および209。粗生成物は、さならる精製をせずに、次の工程で使用した。
【0134】
D)本実施例の粗生成物C(100mg)のトルエン(10mL)懸濁液に、活性化MnO(150mg)を加えて、その混合物を90℃で2時間攪拌した。混合物を室温まで冷却し、ろ過して、ろ液を減圧下で濃縮した。これにより、目的生成物2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルバルデヒド、および5−メチル−2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを、85:15の混合物で固形物(総量95mg)として得た。LC/MS;(M+H)=223および209。粗生成物は、さならる精製をせずに、次の工程で使用した。
【0135】
E)本実施例の化合物D(95mg)の、酢酸およびジクロロメタン混合物の溶液(1:1、7mL)に、3−アミノ−N−シクロプロピル−4−フルオロベンズアミド(50mg、0.25mmol)およびNaBH(OAC)(70mg、0.33mmol)を加えた。混合物を室温で攪拌した。0.5時間後、反応混合物を濃縮して、残渣をプレパラティブRP HPLCで精製した。適当なフラクションを回収し、濃縮してメタノールを除去し、NaHCO飽和溶液を加えて、目的生成物を析出させた。固形物をろ過し、減圧下で乾燥して、表題化合物(18.5mg)を固形物として得た。LC/MS;(M+H)=401.2。
【0136】
実施例2
N−シクロプロピル−2,4−ジフルオロ−5−((2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メチルアミノ)ベンズアミド
【化7】

実施例1の化合物D(22mg、0.1mmol)の、酢酸およびジクロロメタン(1:1、1mL)混合物の溶液に、5−アミノ−N−シクロプロピル−2,4−ジフルオロベンズアミド(30mg、0.15mmol)およびNaBH(OAC)(30mg、0.2mmol)を加えた。混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、残渣をプレパラティブRP HPLCで精製した。適当なフラクションを回収し、濃縮して、メタノールを除去し、NaHCO飽和溶液を加えて、目的生成物を析出させた。固形物をろ過し、減圧下で乾燥して、表題化合物を固形物(6.5mg)として得た。LC/MS;(M+H)=419.2。
【0137】
実施例3
N−シクロプロピル−4−フルオロ−3−((2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルアミノ)メチル)ベンズアミド
【化8】

A)実施例1Aの製造に関して記載した手順に従ったが、ただしテトラヒドロフランは使用しなかった。これにより、3−ブロモ−5−ニトロピリジン−2−アミン(654mg、3mmol)を、5−ニトロ−3−(2−フェニルエチニル)ピリジン−2−アミン(720mg)に変換した。LC/MS;(M+H)=240。
【0138】
B)実施例3の化合物A(180mg、0.775mmol)のエタノール(5mL)溶液に、鉄粉末(130mg、2.3mmol)およびHCl(3N、2mL)を加えた。混合物を1時間還流して、激しく攪拌した。NaOH水を加えてアルカリ性にし、酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥し、減圧下で濃縮して、固形物を得た。この固形物を、実施例1Bで記載した手順によって、目的生成物に変換した。粗固形物2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−アミンは暗色で、目的生成物の約60%を含み、それはさならる精製をせずに、次の工程で使用した。化合物の少量を、プレパラティブRP HPLCで0.1%TFAを含むメタノール水混液で溶離して、精製し、純物質を得て、それを使用してプロトンNMRおよびLC/MS;(M+H)=210を記録した。
【0139】
C)実施例3の粗化合物B(40mg、純度60%)の氷酢酸(0.5mL)溶液に、N−シクロプロピル−4−フルオロ−3−ホルミルベンズアミド(21mg)を加えて、混合物を室温で攪拌した。30分後、NaBH(OAC)(25mg)を3滴加えて、混合物を1時間室温で激しく攪拌した。混合物を濃縮し、残渣を0.1%TFAを含むメタノール水混液で溶離して、プレパラティブRP HPLCで精製した。適当なフラクションを回収し、濃縮し、NaHCO溶液で中和して、表題化合物を固形物(6.5mg)として得た。LC/MS;(M+H)=401。
【0140】
実施例4
N−シクロプロピル−3−((2−シクロプロピル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メチルアミノ)−4−フルオロベンズアミド
【化9】

A)実施例1の手順Aに記載したようにして、シクロプロピルアセチレン(3mmol)を、エチル6−アミノ−5−ブロモニコチネート(245mg、1mmol)と反応させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン、1:1)精製後、エチル6−アミノ−5−(2−シクロプロピルエチニル)ニコチネートを固形物(180mg)として得た。LC/MS;(M+H)=231。
【0141】
B)実施例1の手順Bに記載したようにして、実施例4の化合物Aを2−シクロプロピル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸に変換した(収率67%)。LC/MS;(M+H)=203。
【0142】
C)実施例1の手順Cに記載したようにして、実施例4の化合物Bを(2−シクロプロピル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メタノールに変換した(収率70%)。LC/MS;(M+H)=189。
【0143】
D)実施例1の手順Dに記載したようにして、実施例4の化合物Cを2−シクロプロピル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルバルデヒドに変換した(60%収率)。LC/MS;(M+H)=187。
【0144】
E)実施例1の手順Eに記載したようにして、実施例4の化合物Dを表題化合物に変換した(97%収率)。LC/MS;(M+H)=365。
【0145】
実施例5
N−シクロプロピル−4−フルオロ−3−((2−(ピリジン−3−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メチルアミノ)ベンズアミド
【化10】

A)エチル6−アミノ−5−ブロモニコチネート(2.31g、10mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、室温でLAH(10mL、1Mテトラヒドロフラン溶液)を滴下して加えた。1時間攪拌した後、混合物を水(0.2mL)でクエンチして、得た沈殿物をろ過し、酢酸エチルで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮して、(6−アミノ−5−ブロモピリジン−3−イル)メタノールを固形物(2.0g、99%)として得た。LC/MS;(M+H)=203、205(比率1:1)。H NMR(CDOD,300MHz)δ7.79(s,1H)、7.67(s,1H)、4.35(br S,2H)。
【0146】
B)実施例5の化合物A(1.9g、9.36mmol)のトルエン(20mL)懸濁液に活性化MnO(2.2g、25.6mmol)を加えて、混合物を80℃に加熱し、激しく攪拌した。2時間後、混合物を室温まで冷却し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮して、6−アミノ−5−ブロモニコチンアルデヒドを固形物(1.8g、96%)として得た。LC/MS;(M+H)=203,201(1:1比率)。H NMR(CDOD、300MHz)δ9.59(s,1H)、8.34(s,1H)、8.03 (s,1H)。
【0147】
C)本実施例の化合物B(1.74g、8.66mmol)の、酢酸およびジクロロメタン混合物の溶液(1:1、20mL)に、3−アミノ−N−シクロプロピル−4−フルオロベンズアミド(1.85g、9.5mmol)およびNaBH(OAC)(2.42g、0.33mmol)を加えて、混合物を室温で攪拌した。1時間後、反応混合物を濃縮して、残渣をEAに溶解し、飽和KCO溶液で洗浄した。有機層を乾燥し、濃縮して、3−((6−アミノ−5−ブロモピリジン−3−イル)メチルアミノ)−N−シクロプロピル−4−フルオロベンズアミドを固形物(2.38g、72%)として得た。LC/MS;(M+H)=379,380(比率1:1)。H NMR(CDOD)δ7.92(1H,S)、7.77(1H,s)、7.20(1H,M)、7.01(m,2H)、4.28(2H,S)、2.78(1H,m)、0.76(2H,m)、0.59(2H,m)。
【0148】
D)本実施例の化合物C(758mg、2mmol)のトルエン(50mL)懸濁液に、3−エチニルピリジン(620mg、6mmol)を加え、(dppf)PdCl(163mg、ジクロロメタン複合体形成)、CuI(100mg)、およびトリエチルアミン(20mL)を加えた。得た混合物を、100℃でアルゴン下、4時間攪拌した。室温まで冷却後、混合物を濃縮し、得た残渣をアンモニア溶液で洗浄し、次いでメタノールに溶解し、混合物をろ過して不純固形物を除去した。ろ液を濃縮し、残渣をアセトンで粉末にした。固形物を回収し、減圧下で乾燥して、3−((6−アミノ−5−(2−(ピリジン−3−イル)エチニル)ピリジン−3−イル)メチルアミノ)−N−シクロプロピル−4−フルオロベンズアミドを固形物(635mg、79%)として得た。LC/MS;(M+H)=402。
【0149】
E)上記で得た固形物(620mg、1.55mmol)をNMP(10mL)に溶解し、カリウムtert−ブトキシド(520mg)を加えた。得た混合物を、100℃でアルゴン下、2時間攪拌した。室温まで冷却後、混合物を1N HClで酸性にし、水で希釈した。形成された沈殿物を回収し、水で洗浄し、乾燥した。次いで、それをメタノール(10mL)に溶解し、1N HCl(1.5mL)を加えて、溶液を濃縮した。得た残渣をイソプロパノールで還流して、冷却し、表題化合物を塩として固形物(521mg)で得た。LC/MS;(M+H)=402。
【0150】
実施例6
N−シクロプロピル−4−フルオロ−3−((2−(ピリジン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メチルアミノ)ベンズアミド
【化11】

A)実施例5の手順Dに記載したようにして、3−((6−アミノ−5−ブロモピリジン−3−イル)メチルアミノ)−N−シクロプロピル−4−フルオロベンズアミド(38mg、0.1mmol)を2−エチニルピリジン(0.1mL)と反応させて、3−((6−アミノ−5−(2−(ピリジン−2−イル)エチニル)ピリジン−3−イル)メチルアミノ)−N−シクロプロピル−4−フルオロベンズアミドを固形物として得た。それは、さならる精製をせずに使用した。LC/MS;(M+H)=402。
【0151】
B)実施例5の手順Eに記載したようにして、本実施例の手順Aで得た粗固形物を、NMP(0.3mL)中、カリウム−tert−ブトキシド(50mg)で処理した。RPプレパラティブHPLCにより粗反応混合物を精製して、適当なフラクションを回収し、濃縮してメタノールを除去した。残溶液を飽和NaHCOで処理し、沈殿物を得て、それをろ過し、水で洗浄し、減圧下で乾燥して、表題化合物を固形物(4.7mg)として得た。LC/MS;(M+H)=402。
【0152】
実施例7
N−シクロプロピル−4−フルオロ−3−((2−(4−メトキシフェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メチルアミノ)ベンズアミド
【化12】

A)実施例6の製造について記載した手順で、2−エチニルピリジンの代わりに1−エチニル−4−メトキシベンゼンを用いて、表題化合物を製造した。LC/MS;(M+H)=431。
【0153】
実施例8
【化13】

A)実施例6の製造について記載した手順で、2−エチニルピリジンの代わりに2−(3−エチニルフェノキシ)−N,N−ジメチルエタンアミンを用いて、表題化合物を製造した。LC/MS;(M+H)=488。
【0154】
中間体2−(3−エチニルフェノキシ)−N,N−ジメチルエタンアミンは、以下のように製造した。
【0155】
B)3−エチニルフェノール(1.18g、10mmol)、2−クロロ−N,N−ジメチルエタンアミン(1.44g、10mmol)、炭酸セシウム(7.0g、21mmol)を、ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解し、混合物を65℃で1時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、水およびジクロロメタンで分液処理した。有機層を分離し、2N NaOHで洗浄して、次いで1N HClで抽出した。次いでHCl溶液をNaOH溶液で中和し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を乾燥し、濃縮して、2−(3−エチニルフェノキシ)−N,N−ジメチルエタンアミンを油状物(0.6g)として得た。LC/MS;(M+H)=190。
【0156】
実施例9
2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボニトリル
【化14】

A)6−アミノニコチノニトリル(3.6g、300mmol)の氷酢酸(50mL)溶液に、室温で酢酸ナトリウム(30mmol)を加えた。得られた、十分に攪拌した混合物に、臭素(2.58mL、30mmol)を滴下して加えた。5分後、沈殿の形成が開始し、混合物は非常に濃くなった。酢酸(10mL)を加え、混合物を1時間激しく攪拌して、冷水(100mL)を注いだ。混合物をろ過して;固形物を水で洗浄し、減圧下で乾燥して、6−アミノ−5−ブロモニコチノニトリルを固形物(4.25g)として得た。LC/MS;(M+H)=199。しばらくして、さらに固形物がろ液から沈殿し、これをろ過および乾燥して、より純度の低い該化合物(1.21g)を得た。
【0157】
B)実施例1の化合物Aの製造と同様の方法で、本実施例の化合物A(360mg、1.82mmol)を6−アミノ−5−エチニルニコチノニトリル(240mg)に変換した。LC/MS;(M+H)=220。
【0158】
C)実施例1の化合物Bの製造と同様の方法で、本実施例の化合物B(75mg、0.34mmol)を表題化合物(65mg)に変換した。LC/MS;(M+H)=220。
【0159】
実施例10
3−((4−アミノピペリジン−1−イル)メチル)−2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボニトリル
【化15】

実施例9で製造した化合物(22mg、0.1mmol)の酢酸溶液(1mL)に、ホルマリン(0.1mL)およびtert−ブチルピペリジン−4−イルカルバメート(30mg、0.5mmol)を加えた。反応混合物を80℃で1時間攪拌した。LC/MSは、m/e=462のピークを示した。HCl溶液(3N、1mL)を加えて、得た混合物を100℃で4時間加熱した。LC/LC/MS;(M+H)=解析は、目的生成物の形成を示した。混合物を冷却し、濃縮し、残渣を0.1%TFAを含むメタノール水混液で溶離して、プレパラティブRP HPLCで精製した。フラクションを含む目的生成物を回収し、濃縮し、HCl塩に変えて、表題化合物を固形物(40mg)として得た。LC/MS;(M+H)=332。
【0160】
実施例11
N−(1−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン−4−イル)−3−(2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)ベンズアミド
【化16】

A)D. Ma and Q. Cai (Org. Lett. 3799, 2003)に記載された手順に従った。5−ブロモピリジン−2−アミン(346mg、2mmol)のジオキサン溶液(10mL)に、3−ヒドロキシ安息香酸メチル(400mg、2.6mmol)、CuI(50mg)、N,N−ジメチルグリシン(60mg)およびCsCO(1.0g)を加えた。得た混合物を120℃で5時間加熱し、次いで冷却し、水およびジクロロメタンで分液処理した。有機層を単離し、乾燥し、濃縮した。シリカゲルカラムで残渣を精製し、酢酸エチル−ジクロロメタン(1:1)で溶離して、3−(6−アミノピリジン−3−イルオキシ)安息香酸メチルを油状物(250mg、50%)として得た。LC/MS;(M+H)=245。
【0161】
B)本実施例の化合物A(122mg、0.5mmol)のアセトニトリル溶液(1mL)にNBS(100mg)を加えて、混合物を室温で1時間攪拌した。得た溶液に水(3mL)を加えて、その溶液を酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、乾燥し、濃縮した。シリカゲルカラムで残渣を精製し、酢酸エチル−ヘキサン(1:1)で溶離して、3−(6−アミノ−5−ブロモピリジン−3−イルオキシ)安息香酸メチルを油状物(57mg、35%)として得た。LC/MS;(M+H)=323、325(比率1:1)。
【0162】
C)テトラヒドロフランを使用しないこと以外は、実施例1の化合物Aの製造について記載した手順と同様の方法で、本実施例の化合物B(323mg、1mmol)を3−(6−アミノ−5−(2−フェニルエチニル)ピリジン−3−イルオキシ)安息香酸メチル(320mg、93%)に変換した。LC/MS;(M+H)=345。
【0163】
D)実施例1の化合物Bの製造について記載した手順と同様の方法で、本実施例の上記化合物C(320mg、0.93mmol)を3−(2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)安息香酸(265mg、92%)に変換した。LC/MS;(M+H)=331。
【0164】
E)tert−ブチルピペリジン−4−イルカルバメート(200mg、1mmol)のテトラヒドロフラン溶液(5mL)に4−フルオロベンゼンスルホニルクロリド(195mg、1mmol)、トリエチルアミン(0.2mL)を加えて、混合物を室温で攪拌した。2時間後、揮発物を減圧下で除去して、残渣に水を加えた。形成された固形物をろ過し、連続的に水、1N HCl、水で洗浄して、tert−ブチル1−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン−4−イルカルバメートを固形物(350mg、98%)として得た。LC/MS;(M+H)=359。
【0165】
F)本実施例の化合物E(250mg)のジクロロメタン溶液(0.5mL)にTFA(0.5mL)を加えて、室温で攪拌した。1時間後、揮発物を減圧下で除去し、残渣を2N NaOH溶液で処理して、ジクロロメタンで抽出した。有機層を分離し、乾燥し、濃縮して、1−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン−4−アミンを固形物として得た。LC/MS;(M+H)=259で、それはさならる精製をせずに使用した。
【0166】
G)本実施例の化合物F(52mg、0.2mmol)のジメチルホルムアミド溶液(1mL)に本実施例の酸化合物D(66mg、0.2mmol)、BOP(100mg)、およびトリエチルアミン(0.1mL)を加えた。得た混合物を室温で1時間攪拌し、水で希釈して、沈殿物をろ過した。固形物を連続的に水、メタノール、ジクロロメタンで洗浄し、減圧下で乾燥し、RP HPLCで0.1%TFAを含むメタノール水混液で溶離して、精製し、表題化合物を固形物(25mg)として得た。LC/MS;(M+H)=571。
【0167】
実施例12
N−(1−(4−フルオロフェニルスルホニル)アゼチジン−3−イル)−3−(2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)ベンズアミド
【化17】

A)tert−ブチルピペリジン−4−イルカルバメートから始まる、実施例11の化合物Fの製造と同様の手順によって、tert−ブチルアゼチジン−3−イルカルバメート(344mg、2mmol、純度30%)を1−(4−フルオロフェニルスルホニル)アゼチジン−3−アミン(45mg)に変換した。
【0168】
B)実施例11の手順Gで記載した、実施例11の製造と同様の手順によって、本実施例の化合物Aを実施例11の化合物Dで処理した。LC/MS;(M+H)=543。
【0169】
実施例13
N−(1−(4−フルオロフェニルスルホニル)アゼチジン−3−イル)−3−(2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルチオ)ベンズアミド
【化18】

A)Syn. Lett. 1254, 2004に記載されている手順に従った。2−アミノ−5−ヨードピリジン(220mg、1mmol)のジメチルホルムアミド(2mL)溶液に、連続的に、3−メルカプト安息香酸(185mg、1.2mmol)、CuI(50mg)、N,N−ジメチルグリシン(50mg)およびKPO(1.06g)を加えた。混合物を120℃で2時間加熱して、室温まで冷却し、水を加えた。固形物をろ過し、ろ液を1N HClで処理し、溶液をpH4に調整した。形成された固形物をろ過により回収し、1NNaOHに溶解して、溶液をろ過した。ろ液をRP HPLCで0.1%TFAを含むメタノール水混液で溶離して、精製し、3−(6−アミノピリジン−3−イルチオ)安息香酸(84mg、34%)を得た。LC/MS;(M+H)=247。
【0170】
B)実施例11の製造の工程Bから工程Gに記載した手順に従って、本実施例の化合物Aを表題化合物に変換した。LC/MS;(M+H)=559。
【0171】
実施例14
N−(1−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン−4−イル)−3−(2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルチオ)ベンズアミド
【化19】

A)実施例11の製造の工程Bから工程Gに記載した手順と同様の方法によって、実施例13の化合物Aを表題化合物に変換した。LC/MS;(M+H)=587。
【0172】
実施例15
N−(3−(シクロプロピルカルバモイル)フェニル)−2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボキサミド
【化20】

A)2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸(238mg、1mmol、実施例1の化合物B)のジメチルホルムアミド溶液(5mL)に、連続的に、3−アミノ安息香酸メチル(151mg、1mmol)、トリエチルアミン(0.1mL)およびBOP(500mg、1.2mmol)を加えた。混合物を室温で16時間攪拌した後、水を加え、形成された固形物をろ過し、連続的に、水、1N HCl、NaHCOおよび水で洗浄して、3−(2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボキシアミド)安息香酸メチルをベージュ色の固形物(100mg)として得た。LC/MS;(M+H)=372。
【0173】
B)本実施例の化合物A(100mg)のメタノール溶液(4mL)にLiOH水溶液(1mL、2M)を加えて、混合物を加熱還流した。4時間後、混合物を濃縮し、メタノールを除去し、1N HCl(2mL)を加えて生成物を析出させた。固形物をろ過し、水で洗浄し、減圧下で乾燥して、3−(2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボキシアミド)安息香酸(64mg、純度80%、HPLCによる)を得た。粗生成物は、さならる精製をせずに、次の工程で使用した。LC/MS;(M+H)=358。
【0174】
C)本実施例の化合物B(18mg、純度80%)のジメチルホルムアミド溶液(1mL)に、室温でBOP(40mg)およびシクロプロピルアミン(0.05mL)を加えた。30分攪拌した後、反応混合物を0.1%TFAを含むメタノール水混液で溶離して、RP HPLCで精製した。生成物が含まれるフラクションを回収し、濃縮し、NaHCO溶液で中和した。得られた固形物をろ過し、水で洗浄し、減圧下で乾燥して、表題化合物(11mg)を得た。LC/MS;(M+H)=397。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
XおよびYは独立して、−CH−、−NH−、−S−、もしくは−O−であり、またはXおよびYの一方は存在せず;
、RおよびRは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリールオキシ、または置換アリールオキシであり;
およびRは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、または置換ヘテロシクリルであるか、あるいは
およびRは、それらが結合している窒素原子とともに、一緒になって適宜置換されるヘテロシクリル環を形成し;
は独立して、一またはそれ以上の水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シアノまたはハロゲンである]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩、または立体異性体。
【請求項2】
Xが−CH−、Yが −NH−であるか、またはXおよびYの一方が存在せず、他方が−O−もしくは−S−であり;
、RおよびRが独立して、水素、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;並びに
およびRが独立して、水素、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、または置換ヘテロシクリルである、請求項1の化合物、
またはその医薬的に許容される塩、または立体異性体。
【請求項3】
N−シクロプロピル−4−フルオロ−3−{(2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メチルアミノ}ベンズアミド、
N−シクロプロピル−2,4−ジフルオロ−5−((2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メチルアミノ)ベンズアミド、
N−シクロプロピル−4−フルオロ−3−((2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルアミノ)メチル)ベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−((2−シクロプロピル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メチルアミノ)−4−フルオロベンズアミド、
N−シクロプロピル−4−フルオロ−3−((2−(ピリジン−3−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メチルアミノ)ベンズアミド、
N−シクロプロピル−4−フルオロ−3−((2−(ピリジン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メチルアミノ)ベンズアミド、
N−シクロプロピル−4−フルオロ−3−((2−(4−メトキシフェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メチルアミノ)ベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−((2−(3−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)メチルアミノ)−4−フルオロベンズアミド、
N−(1−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン−4−イル)−3−(2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)ベンズアミド、
N−(1−(4−フルオロフェニルスルホニル)アゼチジン−3−イル)−3−(2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)ベンズアミド、
N−(1−(4−フルオロフェニルスルホニル)アゼチジン−3−イル)−3−(2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルチオ)ベンズアミド、
N−(1−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン−4−イル)−3−(2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルチオ)ベンズアミド、
N−(3−(シクロプロピルカルバモイル)フェニル)−2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボキサミド、
2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボニトリル、
3−((4−アミノピペリジン−1−イル)メチル)−2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボニトリル;
からなる群から選択される化合物、またはその医薬的に許容される塩、または立体異性体。
【請求項4】
請求項1の化合物の一またはそれ以上、および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項5】
請求項1の化合物の一またはそれ以上を、医薬的に許容される担体、および一またはそれ以上の他の抗癌剤もしくは細胞毒性薬と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項6】
効果が必要な哺乳類種に、請求項1の化合物の一またはそれ以上の有効な抗血管新生産生量を投与することを特徴とする、抗血管新生効果を産出する方法。
【請求項7】
効果が必要な哺乳類種に、請求項1の化合物の一またはそれ以上の有効な血管透過性減少効果量を投与することを特徴とする、血管透過性減少効果を産出する方法。
【請求項8】
阻害が必要な哺乳類種に、請求項1の化合物の一またはそれ以上の有効なプロテインキナーゼ阻害量を投与することを特徴とする、成長因子受容体のプロテインキナーゼ活性を阻害する方法。
【請求項9】
阻害が必要な哺乳類種に、請求項1の化合物の一またはそれ以上の有効なチロシンキナーゼ阻害量を投与することを特徴とする、成長因子受容体のチロシンキナーゼ活性を阻害する方法。
【請求項10】
治療が必要な哺乳類種に、請求項4の組成物の治療上の有効量を投与することを特徴とする、増殖性疾患の治療方法。
【請求項11】
治療が必要な哺乳類種に、請求項4の組成物の治療上の有効量を投与することを特徴とする、癌の治療方法。
【請求項12】
治療が必要な哺乳類種に、請求項1の化合物の一またはそれ以上の治療上の有効量を投与することを特徴とする、成長因子受容体を通じて作動するシグナル伝達経路に関係する疾患の治療方法。

【公表番号】特表2010−509356(P2010−509356A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536454(P2009−536454)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/083850
【国際公開番号】WO2008/060907
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】