説明

新規シルデナフィル遊離塩基組成物

本発明はシルデナフィル遊離塩基を含むナノ粒子組成物に関する。組成物のシルデナフィル遊離塩基粒子は約2000nm未満の有効平均粒径を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2003年7月23日に出願された米国特許仮出願第60/489,101号の恩典を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は有効平均粒径が約2μm未満であるシルデナフィル遊離塩基組成物に関する。好ましくは、組成物はまた、シルデナフィル遊離塩基粒子の表面と結合する少なくとも1つの表面安定化剤を含む。本発明の組成物は驚くべきことに、薬物の吸収における摂食/絶食変動を排除する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
A.ナノ粒子組成物に関する背景
ナノ粒子組成物は、米国特許第5,145,684号(「‘684特許」)において初めて記述されたが、その表面と非架橋表面安定化剤が結合する水溶性の低い治療薬または診断薬から構成される粒子である。‘684特許は、シルデナフィル遊離塩基を含むナノ粒子シルデナフィル組成物については記述していない。
【0004】
ナノ粒子組成物の製造法は、例えば、以下に記述されている。

これらの特許は、シルデナフィル遊離塩基を含む、ナノ粒子シルデナフィルの製造方法について記述していない。
【0005】
ナノ粒子組成物はまた、例えば、以下に記述されている。



は、ナノ粒子活性剤組成物について記述し、かつ参照により具体的に組み入れられる。これらの参照文献はどれも、シルデナフィル遊離塩基を含むシルデナフィルナノ粒子組成物について記述していない。
【0006】
アモルファス小粒子組成物が、例えば下記において記述されている。

これらの参照文献では、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基について記述されていない。
【0007】
B.シルデナフィル遊離塩基およびクエン酸シルデナフィルに関する背景
シルデナフィル遊離塩基およびクエン酸シルデナフィルを含むシルデナフィルは、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害剤である。PDE5は、二次メッセンジャー分子(cGMP)および環状アデノシン-3’,5’-一リン酸(cAMP)の加水分解を触媒することにより様々な細胞機能を調節するホスホジエステラーゼの1つのクラスに属する環状グアノシン-3’,5’-一リン酸(cGMP)特異的ホスホジエステラーゼである。Boolell et al., Int'l J. Impot. Res., 8:47(1996)。
【0008】
1-[[3-(6,7-ジヒドロ-1-メチル-7-オキソ-3-プロピル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)-4-エトキシフェニル]スルホニル]4-メチルピペラジンとしても公知の、シルデナフィル、ならびにこの化合物およびその化合物の塩および誘導体を調製する方法、ならびに勃起不全(ED)の治療のための使用法が、「Pyrazolopyrimidinone Antianginal Agents」に対する米国特許第5,250,534号および「Pyrazolopyrimidinones for the Treatment of Impotence」に対する米国特許第6,469,012号において記述されている。EP 463,756も参照のこと。
【0009】
シルデナフィル遊離塩基は下記構造を有する。

【0010】
Physician's Desk Reference(2003)によれば、クエン酸シルデナフィルは下記化学構造式を有する。

【0011】
シルデナフィル遊離塩基およびクエン酸シルデナフィルを含むシルデナフィルは、cGMP特異的PDE5の選択的阻害剤である。Physicians' Desk Reference、55th Ed.、pp.2454(2001)を参照のこと。シルデナフィルはPDE5に対し下記選択性を示す:PDE1に対し>80倍、PDE2およびPDE4に対し>1000倍、およびPDE3に対し>〜4,000倍。しかしながら、シルデナフィルはPDE6と比較すると、PDE5に対しては約10倍しか強力ではなく、かつPDE6の阻害は被験者によっては視覚障害を引き起こした。
【0012】
25mg、50mgおよび100mg錠剤の形態で、商品名VIAGRA(登録商標)(Pfizer、Inc.、USA)で市販されているクエン酸シルデナフィルはまた、1-[[3-(6,7-ジヒドロ-1-メチル-7-オキソ-3-プロピル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル)-4-エトキシフェニル]スルホニル]4-メチルピペラジンシトレートとしても公知である。
【0013】
クエン酸シルデナフィルは、実験式C22H30N6O4S・C6H8O7および分子量666.71を有する。The Physicians' Desk Reference、55th Ed.、pp.2534(2001);およびThe Merck Index, 13th Ed., pp.1523(Merck & Co. 2001)を参照のこと。クエン酸シルデナフィルは水中で3.5mg/mLの溶解度を有する。The Physicians' Desk Reference, pp.2534を参照のこと。
【0014】
クエン酸シルデナフィルの絶対バイオアベイラビリティは40%であり、薬物動態は25〜100mgの範囲では用量に比例する。The Physicians' Desk Reference, 55th Ed.,pp.2535(2001)を参照のこと。
【0015】
健康な成人男性では、100mgの用量のクエン酸シルデナフィルの経口投与により、440ng/mLの平均Cmax、60分のTmax、および約4時間のt1/2が得られる。吸収は主に小腸で起き、このため作用の開始には胃排出が重要である。高脂肪食と共にクエン酸シルデナフィルを投与すると、平均して60分のTmaxの遅延、および平均して29%のCmaxの減少が引き起こされる。The Physicians' Desk Reference, 55th Ed.,pp.2535(2001)を参照のこと。
【0016】
クエン酸シルデナフィルについては試験されており、FDAによりEDの軽減治療に対して男性のみに認可されている。しかしながら、クエン酸シルデナフィルは女性の性的不全の治療においても有用である場合があり、現在、この目的のために試験されている。
【0017】
クエン酸シルデナフィルに関連する副作用としては、頭痛、潮紅、視覚効果、および消化不良が挙げられる。クエン酸シルデナフィルは有機硝酸塩を摂取している被験者では禁忌である。
【0018】
1.シルデナフィルおよび性的不全
シルデナフィルにより特異的に阻害されるPDE5は、男性および女性両方の性的不全の機構に関係する。男性の性的不全に関連する研究は主にEDに焦点を当てている。EDは満足な性行為の実施に十分な勃起を達成するおよび/または維持することができない男性の持続的な不能と定義される。NIH Consensus Statement of Importance, Int'l J. Impot. Res., 5:181(1993)。クエン酸シルデナフィル(VIAGRA(登録商標);Pfizer, Inc., USA)が最初の、現在では唯一の、FDAによりED治療に対し認可されたPDE5阻害剤である。クエン酸シルデナフィルは、現在のところ、女性の性的不全の治療における使用に対しては認可されていないが、このクエン酸シルデナフィルの使用は現在臨床試験において評価されている。
【0019】
世界中で、推定1億5200万人の男性がEDを病んでいる。Aytac et al., BJU Int'l, 84:50(1999)。2〜7%の間の男性の集団がEDを患い、有病率は年齢に伴い増加する。Leu, N. Engl. J. Med., 342:1802(2000)。例えば、合衆国だけでは、現在最高3000万人の男性がEDに苦しんでいると推定され、毎年、40〜69歳までの男性において617,000人のED新症例が予測される。NIH Publication NO. 95-3923(1995)。年齢以外に、EDの可能性を増加させる他の因子は、心疾患、高血圧、糖尿病、およびこれらの状態と関連する薬物治療である。Feldman et al., J. Urol., 151:54(1994)。
【0020】
80%までのED症例は生理学的病因を有するので、問題の生理学的原因を標的とすることによりEDを効果的に管理することが望ましい。NIH Publication No. 95-3923(1995)。シルデナフィルはPDE5の選択的阻害剤であり、EDの治療に有用である。Boolell et al., Br. J. Urol., 78:257-61(1996)。
【0021】
健康な男性では、性的刺激により、ペニスの海綿体内の非アドレナリン性、非コリン性ニューロンから一酸化窒素(NO)の放出が誘発される。NOは、5-グアノシン三リン酸(5-GTP)の3’,5’-cGMPへの変換を触媒するグアニル酸子シクラーゼを活性化する。cGMPは、蛋白質活性化カスケードを介する細胞内シグナル伝達を媒介する。この細胞シグナル伝達カスケードにより細胞内Ca2+濃度が減少し、ペニス平滑筋の弛緩、海綿体での血管拡張が引き起こされ、最終的に勃起する。Moreland et al., JPET, 296:225(2001)。
【0022】
シルデナフィルによるPDE5の阻害により、NOおよびcGMPの正常作用が増強する。Boolell et al., Br. J. Urol., 78:257-61(1996);およびBoolell et al.,Int. J. Impot. Res., 8:47-52(1996)を参照のこと。海綿体においてシルデナフィルによりPDE5を阻害すると、細胞内cGMPレベルが増加し、海綿体の平滑筋系が弛緩し、血液が海綿体中に流れ込み、勃起する。そのように、シルデナフィルは直接勃起を引き起こさないが、むしろ、性的刺激中に放出されるNOの作用を増強する。Andersson and Wagner, Physiol Rev., 75:191-236(1995)。
【0023】
女性の性的不全が、シルデナフィルを含む研究の焦点となったのはごく最近のことであるが、現在では、EDと同様の生理学的基礎を有すると考えられている。女性の性的不全は、性的欲求、性的興奮、またはオーガズムに達する能力における障害と定義される。女性の性的不全はまた、性的疼痛障害を含む。合衆国の約4000万人の女性が何らかの性的障害を経験していると推定される。男性とは対照的に、女性の性的不全の発生率は年齢と相関しない。女性の性的不全の発生率は、18〜59歳の女性に間で均等に分布している。
【0024】
海綿体と陰核との間の構造および神経支配の両方に関する類似性のため、女性の性的不全の機構、および結果として、女性の性的不全の治療は、男性におけるEDの機構および治療に酷似すると考えられる。
【0025】
性的不全の治療において有用なシルデナフィル組成物は一定の特徴を有しなければならない。シルデナフィル組成物は、消化管から容易に吸収され、血管系に影響を与えずに迅速に標的組織に到達し、選択的にPDE5を阻害し、かつ他の組織中への沈着がごくわずかでなければならない。他のPDEアイソフォームに比べPDE5に対する選択性が十分でないシルデナフィル組成物では、他の細胞過程に対するシグナルの調節に関与するPDEアイソフォームの阻害により、不快な、または潜在的に危険な副作用が引き起こされることがある。
【0026】
2.シルデナフィルおよび他の状態
シルデナフィルの研究は、性的不全に焦点が当てられてきたが、この化合物は平滑筋弛緩に影響することができ、これにより他の状態を治療するのに有用である。例えば、シルデナフィルは、腸運動性障害により特徴づけられる疾患、例えば、過敏性腸症候群の治療において特に有用である。
【0027】
3.クエン酸シルデナフィルの有害な特性
EDの治療に対するクエン酸シルデナフィルの安全性は証明されているにも関わらず、薬物は依然として副作用を引き起こす。被験者は、胃腸障害、視覚障害、潮紅、頭、背中および筋肉の痛み、ならびに低血圧を報告している。これらの副作用は、一部には、PDE5以外のPDEアイソフォームの阻害、ならびに、摂食条件と絶食条件下での投与間で見られる著しく異なる吸収レベルによる。例えば、クエン酸シルデナフィルにより経験した視覚障害は、PDE6の阻害により引き起こされ、潮紅はPDE1の阻害によることが知られている。
【0028】
このように、より副作用の少ないシルデナフィルの剤形が得られることが望ましい。さらに、十分な治療応答を得るのに必要とされる最小量のシルデナフィルを投与することが望ましい。
【0029】
シルデナフィルは、有機硝酸塩、例えばニトログリセリンとの同時使用は禁忌である。というのは、薬剤が硝酸塩により誘導される血管拡張を増強するからである。被験者の系からシルデナフィルが除去され、硝酸塩が安全に投与されるのに必要な時間量は現在のところわかっていない。EDに最もかかりやすい集団と、心疾患を患い、硝酸塩の使用が必要とされる場合がある集団との間には有意の重複があるため、これは特に懸念される。シルデナフィルの用量を最小にすると、化合物の除去が速くなる。
【0030】
4.シルデナフィルに関する事前説明
「Porous Drug Matrices and Methods of Manufacture Thereof」に対する米国特許第6,395,300号では、クエン酸シルデナフィルを含む、水溶性の低い薬物の剤形が記述されている。剤形は、薬物微粒子の多孔性薬物基剤(matrix)から構成される。薬剤基剤は、(i)薬物、例えばクエン酸シルデナフィルを、揮発性溶媒に溶解し、薬物溶液を形成させる段階、(ii)少なくとも1つの細孔形成剤を薬物溶液と混合し、エマルジョン、懸濁液、または第2溶液を形成させる段階、および(iii)揮発性溶媒および細孔形成剤をエマルジョン、懸濁液、または第2溶液から除去し、薬物の多孔質基剤を得る段階により作製される。細孔形成剤は、薬物溶媒と混和しない揮発性液体または揮発性固体化合物のいずれかであることができる。
【0031】
この剤形および調製法の1つの欠点は、この方法では揮発性溶媒を使用する必要があることである。粒子を調製するための溶媒沈殿技術は溶媒に汚染された粒子を提供する傾向がある。そのような溶媒は実際的な製造技術により完全に除去することができず、かつ残留溶媒を薬学的に許容されるレベルまで十分除去することは不可能でないにしても、そうすることは非常に困難であり、コストがかかる。
【0032】
薬学的製品中に存在する残留溶媒の量は厳密に制限される。例えば、USPメソッド467では、薬剤中の溶媒の許容されるレベルはクロロホルムで50ppm、いくつかの他の有機揮発性不純物で100ppmを超えてはならないことが明記されている。AN228-255、「Headspace Analysis of Organic Volatile Impurities in Bulk Phamaceutical Chemicals」、1-6、2(Hewlett Packard 1995)を参照のこと。
【0033】
微量の有機溶媒でさえも望ましくない。というのは、治療上の利益がない上に、そのような溶媒の毒性は高いことがあるからである。R.Jamesの「The Toxic Effects of Organic Solvents」、Ind. Tox., P.L. Williams et al., Ed., 230-259(Van Nostrand Reinhold Co., New York, NY 1985)を参照のこと。有機溶媒は、中枢神経系(CNS)活性の低下、膜および組織の炎症を引き起こすことがある。同文献230-231。ほとんど、または全く官能基(通常、水溶性を増加させるように働く)を有しないほとんどの有機溶媒は高い疎油性(lipophobic)を示すので、これらの溶媒は全て様々な程度のCNS-抑制活性を有する。同文献231。有機溶媒は全ていくらかの刺激性を有する。体内の細胞膜は大体蛋白質-脂質基質であるので、有機溶媒は膜から脂肪または脂質部分を抽出するのに理想的である。この皮膚の脱脂は刺激および細胞傷害を引き起こし、かつひどく皮膚、肺、および目を損傷することもある。全身に吸収された後、他の急性毒性は肝毒性(肝臓毒性)、腎毒性(腎臓)および心臓をカテコールアミンに感作させることにより誘発される心不整脈である。同文献232。
【0034】
米国特許第6,395,300号は、ナノ粒子活性剤が、特に粒子に吸着またはコートされた表面修飾剤が存在しないと、ナノ粒子が綿状凝集または凝集する傾向があるため、安定な形態で製造および維持することが困難であるので、望ましくないことを開示する。本特許はまた、薬学的活性剤の粉砕または湿式研磨が、1バッチを処理するのに数日かかる場合があり、摩砕または粉砕過程の大規模化が困難である場合があり、および/またはコストが高くつき、過程を無菌で実施することが困難である場合があり、かつ摩砕媒体の製品内への脱落を排除することが困難であるため、望ましくないことを開示する。
【0035】
「Porous Druf Matrices and Methods of Manufacture Therof」に対する、米国特許出願公開公報(U.S. Patent Application Publication)第20020142050号は、米国特許第6,395,300号と同じ開示内容を有し、それについて優先権を主張する。
【0036】
米国特許第6,395、736号および同第6,391,869号はどちらも、「Compositions and Methods for the Treatment of Anorectal Disorders」に対するものであり、肛門直腸疾患を治療するための組成物および方法に言及している。組成物は一酸化窒素ドナーを第2の薬剤と共に含む。第2の薬剤はPDE5阻害剤、例えばシルデナフィルであることができる。
【0037】
米国特許第6,395,736号は、「薬物のバイオアベイラビリティを増加させるために、治療効率を拡大するために、および患者の服薬遵守を改善するために、何年にもわたって様々な剤形が開発されていることを開示する。これらには、リポソーム送達、およびナノ粒子を介する薬物送達(エマルジョン、懸濁液など)、ならびに軟膏(Edman, Biophamaceutics of Ocular Drug Delivery, CRC Press, 1993を参照のこと)が含まれる。」この「ナノ粒子」への言及は、本発明のナノ粒子組成物を開示せず、むしろ、可溶化薬物を含む脂質ナノ粒子に言及する。
【0038】
「媒体摩砕(Media Milling)」に対する米国特許出願公開公報第20020003179号は、流体担体中の粉砕基体の固体粒子の分散液を調製するための過程を記述する。粉砕される化合物の例はシルデナフィルである。方法は、大小2つのサイズの摩砕媒体を使用する段階を含む(活性薬剤を粉砕するための複数のサイズの粉砕媒体の使用が、例えば、「小規模ミル(Small Scale Mill)」に対する米国特許第6,431,478号においても開示されている)。参照文献は、シルデナフィル遊離塩基の粉砕については開示しておらず、また摂食条件下で投与しても、絶食条件と比較して薬物動態プロファイルの差がほとんどないシルデナフィル組成物についても開示していない。
【0039】
当技術分野では、先行のシルデナフィル製剤に関連するこれらのおよび他の問題を克服するシルデナフィル組成物が必要である。本発明のこれらの要求を満たす。
【発明の開示】
【0040】
発明の概要
本発明は、有効平均粒径が約2μm未満であるシルデナフィル遊離塩基粒子を含む組成物に関する。好ましくは、組成物はシルデナフィル遊離塩基およびシルデナフィル遊離塩基粒子の表面と結合する少なくとも1つの表面安定化剤を含む。ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物は組成物の薬物動態プロファイルに対する食物の影響を実質的に排除する。
【0041】
本発明はまた、1つまたは複数の非ナノ粒子(すなわち、可溶化または微粒子)シルデナフィルもしくは非シルデナフィル化合物、またはナノ粒子非シルデナフィル遊離塩基活性剤を組み合わせたナノ粒子シルデナフィル遊離塩基の組成物に関する。そのような他の非シルデナフィル遊離塩基活性剤がナノ粒子の粒径を有する場合、好ましくは、その際そのような他の非シルデナフィル遊離塩基活性剤はその活性剤の表面と結合する1つまたは複数の表面安定化剤を有する。
【0042】
本発明の別の局面は、本発明のシルデナフィル遊離塩基組成物を含む薬学的組成物に関する。薬学的組成物は好ましくは、有効平均粒径が約2μm未満のシルデナフィル遊離塩基の粒子および薬学的に許容される担体、ならびに任意の所望の賦形剤を含む。好ましくは、組成物はまた、シルデナフィル遊離塩基粒子の表面と結合する少なくとも1つの表面安定化剤を含む。そのような薬学的組成物は、下記のうちの1または複数をさらに含むことができる:(1)非ナノ粒子シルデナフィル(遊離塩基およびシトレート形態)、(2)非ナノ粒子非シルデナフィル遊離塩基活性剤、または(3)ナノ粒子非シルデナフィル遊離塩基活性剤。
【0043】
本発明はまた、本発明によるナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物の製造方法に関する。そのような方法は、シルデナフィル遊離塩基と少なくとも1つの表面安定化剤を、有効粒子平均サイズが約2μm未満であるシルデナフィル遊離塩基組成物を提供するのに十分な時間および条件下で接触させる段階を含む。1つまたは複数の表面安定化剤を、粒径低下前、(好ましくは)粒径低下時、または粒径低下後のいずれかで、シルデナフィル遊離塩基と接触させることができる。さらに、1つまたは複数の非シルデナフィル遊離塩基活性剤を、シルデナフィル遊離塩基と同時にサイズ低下することができ、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物およびナノ粒子非シルデナフィル遊離塩基活性剤組成物を製造することができる。非シルデナフィル遊離塩基活性剤は、非ナノ粒子(可溶化または微粒子)またはナノ粒子のいずれかであり、粒径低下後にナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物に添加することもできる。
【0044】
本発明は、本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を、PDE5阻害剤が処方される状態に対し使用する方法に関する。そのような状態としては、男性の勃起不全、インポテンス、女性の性的不全、陰核不全、女性の性的欲求低下障害、女性の性的刺激障害、女性の性的疼痛障害、女性の性的オーガズム障害、および脊髄損傷による性的不全が挙げられるが、それらに限定されない。
【0045】
本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を用いて治療してもよい他の状態としては、早産、月経困難症、良性前立腺過形成、膀胱排尿障害、失禁、安定狭心症、不安定狭心症、および異型(プリンツメタル型)狭心症、高血圧、肺高血圧、慢性閉塞性肺疾患、冠動脈疾患、鬱血性心不全、アテローム性動脈硬化、血管開通の低下状態、経皮的経管冠動脈形成、末梢血管障害、脳卒中、硝酸塩誘導耐性、気管支炎、アレルギー性喘息、慢性喘息、アレルギー性鼻炎、緑内障、腸運動性障害により特徴づけられる疾患、過敏性腸症候群、前子癇、川崎症候群、硝酸塩耐性、多発性硬化症、糖尿病性ネフロパシー、末梢性糖尿病性ネフロパシー、アルツハイマー病、急性呼吸不全、乾癬、皮膚の壊死、癌、転移、はげ、クルミ割り器のような食道、裂肛、痔核、ならびに低酸素血管狭窄が挙げられるが、それらに限定されない。
【0046】
そのような方法は、被験者に治療的有効量の、本発明によるナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を投与する段階を含む。または、そのような方法は、被験者に治療的有効量の、本発明によるナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を、1つまたは複数の非シルデナフィル遊離塩基剤と共に投与する段階を含む。そのような非シルデナフィル遊離塩基活性剤は、非ナノ粒子(可溶化または微粒子)またはナノ粒子のいずれかであることができる。
【0047】
前述の一般的な説明ならびに下記の図面の簡単な説明および詳細な説明はどちらもは、例示であり、かつ説明的なものであり、かつ主張されている発明をさらに説明しようとするものである。他の目的、利点および新規特徴は、本発明の下記詳細な説明により当業者には容易に明らかであると思われる。
【0048】
発明の詳細な説明
本発明は、有効平均粒径が約2μm未満のシルデナフィル遊離塩基粒子を含む組成物に関する。好ましくは、シルデナフィル遊離塩基粒子は、シルデナフィル遊離塩基粒子の表面と結合する1つまたは複数の表面安定化剤を有する。
【0049】
驚くべきことに、本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物は、摂食条件および絶食条件下で投与しても、実質的に同様の薬物動態プロファイルを示すことが見出されている。
【0050】
本発明の別の態様では、好ましくは、本発明の組成物は摂食条件および絶食条件下で投与しても生物学的に同等である。合衆国食品医薬品局(USFDA)ガイドライン下では、Cmax(ピーク濃度)およびAUC(濃度/時間曲線下の面積)に対する90%信頼区間(CI)が0.80〜1.25の間にある場合には、2つの製品または方法は生物学的に同等である。欧州では、生物学的同等性についての試験は、製品および方法が0.80〜1.25の間のAUCに対する90%CI、および0.70〜1.43の間のCmaxに対する90%CIを有するかどうかである。(TmaxはUSFDAおよび欧州規制ガイドライン下では生物学的同等性決定に関係しない)。
【0051】
ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を摂食対絶食状態で投与する場合に、吸収されるシルデナフィル遊離塩基の量、またはシルデナフィル遊離塩基吸収速度に実質的な差がないこと意味するので、これは重要である。そのため、本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物は、薬物の薬物動態に対する食物の影響を実質的に排除することができる。
【0052】
本発明以前に、非ナノ粒子形態のクエン酸シルデナフィル(すなわち、Viagra(登録商標))は、摂食条件下で投与する場合に、絶食条件下に比べ薬物吸収において実質的な差を示すことが知られていた。驚くべきことに、この摂食時/絶食時変動は、ナノ粒子形態のクエン酸シルデナフィルを用いると観察され;ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基剤形のみでは、摂食条件および絶食条件下で投与しても実質的に同様の薬物動態プロファイルを示すことが見出された。
【0053】
下記実施例で記述されるように、摂食条件および絶食条件下で投与したViagra(登録商標)は、それぞれ、2514ng/mL・hおよび1749.6ng/mL・hのAUCinfを示し、その差は764.4ng/mL・h、すなわち〜30%であった。摂食条件および絶食条件下で投与したナノ粒子クエン酸シルデナフィルは、それぞれ、1335.2ng/mL・hおよび897.8ng/mL・hのAUCinfを示し、その差は437.4 ng/mL・h、すなわち〜33%であった。驚くべきことに、これらの結果とは対照的に、摂食条件および絶食条件下で投与したナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物は、それぞれ、2127.8ng/mL・hおよび2105.3ng/mL・hのAUCinfを示し、その差は22.5ng/mL・h、すなわち約1%であった。22.5ng/mL・hの差は、Viagra(登録商標)を用いて観察された摂食/絶食時変動の約40分の1であり、かつナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物を用いて観察された摂食/絶食時変動の19分の1である。
【0054】
その上、下記実施例においてさらに記述されるように、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物のTmaxおよびCmaxはプロファイルは、摂食条件および絶食条件下で投与した場合実質的に類似し:Cmaxでは〜11%の差、Tmaxでは4%の差であった。対照的に、Viagra(登録商標)およびナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物は、製剤を摂食下で投与する場合、絶食下と比較すると、TmaxおよびCmaxに対し著しく異なる結果を示し:Viagra(登録商標)では、Cmaxが〜23%の差、およびTmaxが60%の差であり、ナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物では、Cmaxが49%の差、およびTmaxが52%の差であった。
【0055】
食物の影響を実施的に排除する剤形の利益としては、より安全な剤形、ならびに被験者の利便性の増加が挙げられ、これにより、被験者には食物と共に、または食物なしのいずれかで服用することを確実にする必要がなくなるので、被験者の服薬遵守が強化される。
【0056】
好ましくは、摂食状態対絶食状態で投与した場合の、本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物のAUCの差は、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約1%未満であり、または本質的には差がない。
【0057】
さらに、好ましくは、摂食状態対絶食状態で投与した場合の、本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物のCmaxの差は、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満であり、または本質的には差がない。
【0058】
最後に、好ましくは、摂食状態対絶食状態で投与した場合の、本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物のTmaxの差は、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満であり、または本質的には差がない。
【0059】
非ナノ粒子シルデナフィル組成物および/またはナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物と比較した場合の本発明のシルデナフィル遊離塩基組成物の他の利点としては、下記が挙げられるが、これらに限定されない:(1)作用の開始(onset of action)がより早いこと;(2)錠剤または他の固体剤形のサイズがより小さいこと、または剤形が液体であればより少量であること;(3)同じ薬理効果を得るのに必要とされる薬物の用量が少ないこと;(4)用量が少ないため血流からのクリアランスがより速く、これにより硝酸塩の安全な投与が可能となること;(5)バイオアベイラビリティが増加すること;(6)薬物動態プロファイル、例えば、Cmax、Tmaxおよび/またはAUCプロファイルが改善されること;(7)溶解速度が増加すること;(8)生体接着性のシルデナフィル遊離塩基組成物こと;(9)組成物が毒性の可能性のある溶媒の使用を必要としないこと;ならびに(10)本発明のシルデナフィル遊離塩基組成物が他の活性薬剤と共に使用することができること。
【0060】
さらに、本発明は1つまたは複数の非シルデナフィル遊離塩基活性剤、非ナノ粒子(可溶化または微粒子)またはナノ粒子のどちらかと共に製剤化または同時投与される本発明のシルデナフィル遊離塩基組成物を含む。そのような組み合わせ組成物の使用方法もまた、本発明に含まれる。
【0061】
シルデナフィル遊離塩基のナノ粒子製剤は、cGMPの生合成に関与することが知られている栄養補助食品と共に投与することができる。例えば、L-アルギニンはNOの生合成に関与し、このためシルデナフィル遊離塩基をL-アルギニンと組み合わせて投与することにより、組成物の全体的な効力が増強されうる。
【0062】
本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物と組み合わせて使用することができる活性剤の他の例示的な型について以下に、説明する。非シルデナフィル遊離塩基活性剤がナノ粒子の粒径を有する場合、好ましくは、そのような非シルデナフィル遊離塩基活性剤は、活性剤の表面と結合する1つまたは複数の表面安定化剤を有する。表面安定化剤は、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基の表面と結合する表面安定化剤と同じであっても、または異なってもよい。
【0063】
本発明については、下記で、および本願全体を通して説明しているように、いくつかの定義を用いて本明細書において記述する。
【0064】
「約」という用語は、当業者には理解されると思われ、かつそれが使用される文脈である程度変動すると思われる。その用語が、使用されている文脈では用語の使用が当業者に明確でない場合、「約」という用語のその特定の値の±10%までを意味すると思われる。
【0065】
安定な薬物粒子に関して本明細書で使用されるように、「安定な」という用語は下記パラメータのうちの1または複数を含むが、これらに限定されない:(1)シルデナフィル遊離塩基粒子が、粒子間引力により明らかに綿状凝集または凝集せず、またはそうでなければ、時間と共に粒径が著しく増加すること;(2)シルデナフィル遊離塩基粒子の物理構造が時間と共に、アモルファス相から結晶相への変換などにより、変化しないこと;(3)シルデナフィルが化学的に安定であること;および/または(4)本発明のナノ粒子の調製において、シルデナフィル遊離塩基が、シルデナフィル遊離塩基の融点またはそれ以上の温度において加熱工程を受けていないこと。
【0066】
「非ナノ粒子活性剤」は、可溶化活性剤、または有効平均粒径が約2μmを超える粒子活性剤の組成物を示す。本明細書で定義されるように、ナノ粒子活性剤は、有効平均粒径が約2μm未満である。
【0067】
A.本発明のシルデナフィル遊離塩基組成物の追加の好ましい特徴
1.迅速な作用の開始
男性および女性の性的不全の治療のためにシルデナフィルの従来の製剤を使用するのは、作用の開始が遅れるため、理想的ではない。シルデナフィルの従来の製剤では、Tmaxが約60分である。このように、シルデナフィルの従来の製剤では、性的行為の事前の計画が必要であり、あらかじめ自発的行動が起きないようにする。さらに、作用が遅いシルデナフィルの従来の製剤では、起こる可能性のある、または起こる可能性のある性的活動の予想のため、不要な投薬が促される。
【0068】
対照的に、本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物は、迅速な作用の開始を可能にする適した剤形、例えば鼻または肺のエアロゾル噴霧(乾燥粉末、非水性、または水性のいずれか)に製剤化する場合、より迅速な治療効果を得ることができる。本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物のそのような剤形は、自発的行動が重要であり、かつ薬理学的習慣性の可能性が存在する、性的不全の治療に有用である。
【0069】
2.バイオアベイラビリティの増加
本発明のシルデナフィル遊離塩基組成物は好ましくは、同じ投与量においてバイオアベイラビリティの増加を示し、かつ先行の非ナノ粒子シルデナフィル組成物およびナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物と比較すると必要な用量がより少なくなる。
【0070】
シルデナフィルを含む、いずれの薬物も副作用を有することがある。このように、より高用量の非ナノ粒子シルデナフィル組成物および/またはナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物を用いて観察される治療効果と同じまたはそれ以上の治療効果を達成することができるより低用量のシルデナフィルが望ましい。そのようなより低用量は、本発明のシルデナフィル遊離塩基組成物で実現することができる。なぜなら、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を用いて観察されるより高いバイオアベイラビリティは、所望の治療効果を得るのに必要とされるシルデナフィル遊離塩基の用量がより低くなることを意味するからである。
【0071】
3.本発明のシルデナフィル遊離塩基組成物の再分散性プロファイル
本発明のシルデナフィル遊離塩基組成物の追加の特徴は、組成物が再分散し、そのため、再分散されたシルデナフィル遊離塩基粒子の有効平均粒径が約2μm未満となることである。投与すると、本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物が、実質的にナノ粒子の粒径まで再分散されない場合には、その剤形が、シルデナフィル遊離塩基をナノ粒子の粒径に製剤化することにより得られる利益を失う可能性あるため、これは重要である。
【0072】
ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物はシルデナフィル遊離塩基の小さい粒径によって利益を享受している。ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基粒子が投与時に小さい粒径に再分散されない場合には、ナノ粒子系の極めて高い表面自由エネルギーおよび自由エネルギーの全体的な減少を達成する熱力学的駆動力のため、「凝集塊」または凝集したシルデナフィル遊離塩基粒子が形成される。そのような凝集粒子が形成されると、剤形のバイオアベイラビリティが、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物の液体分散形態を用いて観察されるものをはるかに下回ってしまうことがある。
【0073】
さらに、本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物は、好ましくは哺乳類、例えばヒトまたは動物に投与すると、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基粒子の劇的な再分散を示す。これは、生物関連水性媒質中での再構築/再分散により証明され、再分散されたシルデナフィル遊離塩基粒子の有効平均粒径は約2μm未満である。そのような生物関連水性媒質は所望のイオン強度およびpHを示す任意の水性媒質であることができ、媒質の生物関連性に対する基礎を形成する。所望のpHおよびイオン強度はヒトの体内で見られる生理学的条件を示すものである。そのような生物関連媒質は、例えば、電解質水溶液または任意の塩、酸もしくは塩基、またはそれらの組み合わせの水溶液であることができ、それらは所望のpHおよびイオン強度を示す。
【0074】
生体関連pHは当技術分野で周知である。例えば、ヒトの胃では、pHは2よりわずかに小さい値(しかし、典型的には1より大きい)から最大4または5までの範囲である。ヒトの小腸では、pHは4〜6の範囲であることができ、ヒトの結腸では、6〜8の範囲であることができる。生物関連イオン強度もまた、当技術分野では周知である。絶食状態の胃液は約0.1Mのイオン強度を有し、一方、絶食状態の腸液は約0.14のイオン強度を有する。例えば、Lindahl et al.、 「Characterization of Fluids from the Stomach and Proximal Jejunum in Men and Women」、Pharm. Res., 14(4):497-502(1997)を参照のこと。
【0075】
試験溶液のpHおよびイオン強度は特定の化学物質含量よりも重要であると考えられる。したがって、適当なpHおよびイオン強度値は、強酸、強塩基、塩、単一または複数の共役酸-塩基対(すなわち、弱酸およびその酸の対応する塩)、一塩基酸および多塩基酸などの複数の組み合わせから得ることができる。
【0076】
代表的な電解質溶液は、濃度が約0.001〜約0.1MのHCl溶液、および濃度が約0.001〜約0.1MのNaCl溶液、ならびにそれらの混合物であることができるが、それらに限定されない。例えば、電解質溶液は、約0.1M HClまたはそれ以下、約0.01M HClまたはそれ以下、約0.001M HClまたはそれ以下、約0.1M NaClまたはそれ以下、約0.01M NaClまたはそれ以下、約0.001M NaClまたはそれ以下、およびそれらの混合物であることができるが、それらに限定されない。これらの電解質溶液の中で、0.01M HClおよび/または0.1M NaClが、近位胃腸管のpHおよびイオン強度条件のため、絶食状態のヒトの生理学的状態の最も典型的なものである。
【0077】
0.001M HCl、0.01M HCl、および0.1M HClの電解質濃度は、それぞれ、pH3、pH2およびpH1に対応する。このように、0.01M HCl溶液は、胃で見られる典型的な酸性条件をシミュレートする。0.1M NaCl溶液は、胃液を含む、身体全体で見られるイオン強度を適当に近似したものであるが、0.1Mより高い濃度を使用して、ヒトGI管内の摂食条件をシミュレートしてもよい。
【0078】
所望のpHおよびイオン強度を示す塩、酸、塩基またはそれらの組み合わせの例示的な溶液としては、リン酸/リン酸塩+ナトリウム、塩化物のカリウムおよびカルシウム、酢酸/酢酸塩+ナトリウム、塩化物のカリウムおよびカルシウム、カルボン酸/重炭酸塩+ナトリウム、塩化物のカリウムおよびカルシウム、ならびにクエン酸/クエン酸塩+ナトリウム、塩化物のカリウムおよびカルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
本発明の別の態様では、本発明の再分散シルデナフィル遊離塩基粒子(水性媒質、生物関連媒質、または任意の他の適した媒質に再分散)の有効平均粒径は、光散乱法、顕微鏡観察、または他の適当な方法により測定する場合、約1900nm未満、1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満、約50nm未満である。
【0080】
「約2000nm未満の有効平均粒径」という用語により、シルデナフィル遊離塩基粒子の少なくとも50%(重量)が、上記技術により測定すると、有効平均未満の粒径、すなわち、約2000nm、1900nm、1800nm未満などの粒径を有することを意味する。好ましくは、シルデナフィル遊離塩基粒子の少なくとも70%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%が、有効平均未満の粒径、すなわち、約2000nm、1900nm、1800nm、1700nm未満などの粒径を有する。
【0081】
再分散性は、当技術分野において公知の任意の手段を用いて試験することができる。例えば、「Solid Dose Nanoparticulate Compositions Comprising a Synergistic Combination of a Polymeric Surface Stabilizer and Dioctyl Sodium Sulfosuccinate」に対する米国特許第6,375,986号の実施例の項を参照のこと。
【0082】
4.生体接着性シルデナフィル遊離塩基組成物
本発明の生体接着性シルデナフィル遊離塩基組成物は少なくとも1つのカチオン表面安定化剤を含む。このカチオン表面安定化剤については、以下でより詳細に記述する。シルデナフィル遊離塩基の生体接着性製剤は、生体表面、例えば粘膜に対し特別な生体接着性を示す。
【0083】
生体接着性という用語は、2つの生体表面間、または生体表面と合成表面との間の任意の引力を示す。生体接着性ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物の場合、生体接着性という用語は、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物と生体基質(すなわち、消化管ムチン、肺組織、鼻粘膜、など)との間の接着性を記述するために使用される。例えば、「Bioadhesive Nanoparticulate Compositions Having Cationic Surface Stabilizers」に対する米国特許第6,428,814号を参照のこと。この特許は参照により具体的に組み入れられる。
【0084】
本発明の生体接着性シルデナフィル遊離塩基組成物は、生体表面に組成物を適用することが望ましい任意の場合において有用である。生体接着性シルデナフィル遊離塩基組成物は、ヒトの肉眼では視認できない連続した均一膜で標的表面をコートする。
【0085】
生体接着性シルデナフィル遊離塩基組成物は組成物の移行を遅らせ、かついくつかのシルデナフィル遊離塩基粒子はまた、粘膜細胞以外の組織に接着する可能性が高く、このため、シルデナフィル遊離塩基に曝露される時間が長くなり、これにより投与した用量の吸収およびバイオアベイラビリティが増加する。
【0086】
5.発明のシルデナフィル遊離塩基組成物の薬物動態プロファイル
本発明は、哺乳類被験者に投与した場合に所望の薬物動態プロファイルを有するナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を提供する。所望の薬物動態プロファイルは、下記特徴の1または複数を含むことができる:(1)ある投薬量のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物のTmaxが、同じ用量で投与した、非ナノ粒子シルデナフィル組成物のTmaxより低く、またはナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物のTmaxよりも低くすることができること;(2)ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物のCmaxが、同じ用量で投与した、非ナノ粒子シルデナフィル組成物のCmaxより高く、またはナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物のCmaxよりも高くすることができること;(3)および/またはナノ粒子シルデナフィル組成物のAUCが、同じ用量で投与した、非ナノ粒子シルデナフィル組成物のAUCより高く、またはナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物のAUCよりも高くすることができる。
【0087】
健康な成人男性では、100mgのクエン酸シルデナフィルの経口投与により、440ng/mLの平均Cmaxおよび60分のTmaxが得られる。
【0088】
本発明によるシルデナフィル遊離塩基のナノ粒子組成物では、健康な成人男性における100mgの経口投与により、約440ng/mLを超える平均Cmax、約60分未満のTmaxまたはそれらの組み合わせが得られる。
【0089】
非ナノ粒子シルデナフィル組成物(例えば、Viagra(登録商標))、またはナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物との比較薬物動態試験では、同じ用量で投与したナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物は好ましくは、非ナノ粒子シルデナフィル組成物またはナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物により示されるTmaxの約200%未満、約175%未満、約150%未満、約125%未満、約100%未満、約90%未満、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、または約10%未満のTmaxを示す。
【0090】
本発明のシルデナフィル遊離塩基組成物は好ましくは、約1.5時間未満、約1.25時間未満、約1.0時間未満、約50分未満、約40分未満、約45分未満、約35分未満、約30分未満、約25分未満、約20分未満、約15分未満、または約10分未満のTmaxを有する。
【0091】
非ナノ粒子シルデナフィル組成物(例えば、Viagra(登録商標))、またはナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物との比較薬物動態試験では、同じ用量で投与したナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物は好ましくは、非ナノ粒子シルデナフィル組成物またはナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物により示されるCmaxの、約5%を超える、約10%を超える、約15%を超える、約20%を超える、約30%を超える、約40%を超える、約50%を超える、約60%を超える、約70%を超える、約80%を超える、約90%を超える、約100%を超える、約110%を超える、約120%を超える、約130%を超える、約140%を超える、または約150%を超えるCmaxを示す。
【0092】
本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を100mg経口投与した後、得られたCmaxは好ましくは、約440ng/mLを超え、約450ng/mLを超え、約500ng/mLを超え、約550ng/mLを超え、約600ng/mLを超え、約650ng/mLを超え、約700ng/mLを超え、約750ng/mLを超え、約800ng/mLを超え、約850ng/mLを超え、約900ng/mLを超え、約950ng/mLを超え、約1000ng/mLを超え、約1050ng/mLを超え、約1100ng/mLを超え、約1150ng/mLを超え、約1200ng/mLを超え、約1250ng/mLを超え、約1300ng/mLを超え、約1350ng/mLを超え、または約1400ng/mLを超える。
【0093】
非ナノ粒子シルデナフィル組成物(例えば、Viagra(登録商標))、またはナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物との比較薬物動態試験では、同じ用量で投与したナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物は好ましくは、非ナノ粒子シルデナフィル組成物またはナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物により示されるAUCの、約5%を超える、約10%を超える、約15%を超える、約20%を超える、約30%を超える、約40%を超える、約50%を超える、約60%を超える、約70%を超える、約80%を超える、約90%を超える、約100%を超える、約110%を超える、約120%を超える、約130%を超える、約140%を超える、または約150%を超えるAUCを示す。
【0094】
本明細書で使用されるように、所望の薬物動態プロファイルはシルデナフィル遊離塩基の初回用量後に測定した薬物動態プロファイルである。組成物は下記で記述するようにいかなる様式でも製剤化することができる。
【0095】
所望の薬物動態プロファイルを提供する、本発明による任意のシルデナフィル遊離塩基組成物は、本発明の方法による投与に適している。
【0096】
6.併用薬物動態プロファイル組成物
本発明のさらに別の態様では、所望の薬物動態プロファイルを提供する第1のシルデナフィル遊離塩基組成物を、所望の異なる薬物動態プロファイルを生成する少なくとも1つの他のシルデナフィル組成物と同時投与、連続投与し、または併用する。3つまたはそれ以上のシルデナフィル組成物は、同時投与、連続投与、または併用することができる。シルデナフィル組成物の少なくとも1つはナノ粒子の粒径を有するシルデナフィル遊離塩基組成物であるが、追加の1つまたは複数のシルデナフィル組成物(シルデナフィル遊離塩基、クエン酸シルデナフィル、または他の適したシルデナフィル形態)はナノ粒子であることができ、可溶化でき、または従来の微粒子粒径を有することができる。
【0097】
例えば、第1のシルデナフィル遊離塩基組成物は短いTmaxおよび典型的にはより高いCmaxを提供するナノ粒子の粒径を有することができる。この第1のシルデナフィル遊離塩基組成物は、下記を含む第2の組成物と併用、同時投与、または連続投与することができる:(1)より大きい(しかし、依然としてナノ粒子)粒径を有し、そのため、より遅い吸収、より長いTmax、および典型的にはより低いCmaxを示すシルデナフィル遊離塩基;または(2)より長いTmax、および典型的にはより低いCmaxを示す微粒子シルデナフィル組成物。
【0098】
第2、第3、第4などのシルデナフィル組成物は、例えば、下記の点において、第1と、および互いに異なっていてもよい:(1)各シルデナフィル組成物の有効平均粒径;(2)シルデナフィルの用量;および/または(3)使用するシルデナフィルの形態。そのような併用組成物では、必要な投薬回数を減少させることができる。
【0099】
好ましくは、「即効性」製剤および「持続性」製剤を同時投与することが望ましい場合、2つの製剤を1つの組成物、例えば二重放出組成物内で併用する。
【0100】
B.組成物
本発明は、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基粒子および、好ましくは、少なくとも1つの表面安定化剤を含む組成物を提供する。好ましくは、1つまたは複数の表面安定化剤はシルデナフィル遊離塩基粒子の表面と結合する。本明細書で有用な表面安定化剤は好ましくは、シルデナフィル遊離塩基粒子またはそれ自体と化学的に反応しないが、シルデナフィル遊離塩基粒子の表面には吸着され、または結合すると考えられる。さらに、好ましくは、表面安定化剤の個々の分子は本質的には分子間架橋を有さない。
【0101】
本発明は、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を1つまたは複数の非毒性の生理学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクル(総称して担体と呼ぶ)と共に含む。組成物は、非経口注入(例えば、静脈内、筋内、または皮下)、経口(固体、液体、またはエアロゾル形態)、膣内、鼻内、直腸、眼内、局部(粉末、軟膏または液滴)、頬側、嚢内、腹腔内、または局所投与などのために製剤化することができる。
【0102】
作用の迅速な開始が意図されるナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物は好ましくはエアロゾルまたは鼻内スプレーに製剤化される。
【0103】
1.シルデナフィル遊離塩基粒子
本明細書で使用されるように「シルデナフィル」は、シルデナフィル遊離塩基またはその誘導体を含み、これはシルデナフィル塩の脱プロトン化形態であり、かつcGMP特異的PDE5の選択的阻害剤である。
【0104】
シルデナフィル遊離塩基は下記構造を有する。

【0105】
シルデナフィル遊離塩基粒子は結晶相、アモルファス相、半結晶相、半アモルファス相、またはそれらの混合物で存在することができる。
【0106】
ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物は、強力な選択的PDE5阻害剤が必要とされる広範囲にわたる状態および障害を治療するのに有用であると考えられる。そのようなものとしては、腸運動性の低下により特徴づけられる哺乳類の性的障害および状態の予防または治療が挙げられるがそれらに限定されない。特に、そのような組成物は、従来のシルデナフィル組成物に比べると、頭痛、背中痛、筋肉痛、痛みを伴うまたは長い勃起、持続勃起症、血尿、目眩、発疹、潮紅、消化不良、鼻づまり、視覚障害、および低血圧などの副作用を軽減する可能性を有する。このように、本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物は特に、従来の非ナノ粒子シルデナフィル組成物から著しい副作用を受けやすい被験者において、従来のシルデナフィルに代わるものとして有用である。
【0107】
さらに、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物はまた、硝酸塩との有害反応を軽減させる能力を有する。というのは、ナノ粒子製剤では、投与するシルデナフィル遊離塩基の用量をより少なくすることができ、これによりシルデナフィル遊離塩基の血流からのクリアランスをより速くすることができるからである。
【0108】
2.非シルデナフィル活性剤
本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物は、従来の粒径またはナノ粒子の粒径のいずれかの、別のシルデナフィル形態、例えば、クエン酸シルデナフィル-または1もしくは複数の非シルデナフィル活性剤をさらに含むことができる。追加の活性剤は、結晶相、アモルファス相、半結晶相、半アモルファス相、またはそれらの混合物で存在することができる。
【0109】
追加の活性剤がナノ粒子の粒径を有する場合、好ましくは、その活性剤の表面と結合する1つまたは複数の表面安定化剤を有する。さらに、活性剤がナノ粒子の粒径を有する場合、好ましくは、少なくとも1つの液体分散媒中で溶解しにくく、かつ分散しにくい。「溶解しにくい」という用語は、活性剤の液体分散媒中での溶解度が約30mg/mL未満、約20mg/mL未満、約10mg/mL未満、または約1mg/mL未満であることを意味する。有用な液体分散媒としては、水、塩水溶液、ベニバナ油、ならびにエタノール、t-ブタノール、ヘキサン、およびグリコールなどの溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
そのような活性剤は、例えば、治療薬であることができる。治療薬は、生物剤、例えばアミノ酸、蛋白質、ペプチドおよびヌクレオチドを含む薬学的物質であることができる。活性剤は、例えば、非シルデナフィルPDE5阻害剤、アミノ酸、蛋白質、ペプチド、ヌクレオチド、抗肥満薬、中枢神経刺激薬、カロテノイド、コルチコステロイド、エラスターゼ阻害剤、抗真菌剤、オンコロジー治療薬、制吐剤、鎮痛薬、心血管薬、抗炎症薬、例えばNSAIDおよびCOX-2阻害剤、駆虫薬、抗不整脈薬、抗生剤(ペニシリンを含む)、抗凝血薬、抗うつ剤、抗糖尿病薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン剤、抗高血圧剤、抗ムスカリン薬、抗マイコバクテリア薬、抗腫瘍薬、免疫抑制剤、抗甲状腺薬、抗ウイルス薬、抗不安薬、鎮静剤(睡眠薬および神経弛緩薬)、収れん薬、α-アドレナリン受容体遮断薬、β-アドレナリン受容体遮断薬、血液製剤および代用血液、心臓変力剤(cardiac inotropic agent)、造影剤、コルチコステロイド、鎮咳剤(去痰剤および粘液溶解薬)、診断薬、診断用造影剤、利尿薬、ドーパミン作動薬(抗パーキンソン病薬)、止血薬、免疫薬、脂質調節薬、筋肉弛緩剤、副交感神経興奮薬、副甲状腺カルシトニンおよびビスホスホン酸、プロスタグランジン、放射性医薬品、性ホルモン(ステロイドを含む)、抗アレルギー薬、刺激薬および食欲抑制薬、交感神経興奮剤、甲状腺製剤、血管拡張薬、およびキサンチンを含む、様々な公知のクラスの薬物から選択することができる。
【0111】
これらのクラスの活性剤の説明、および各クラス内の種のリストは、Martindale's The Extra Pharmacopoeia、31st Edition(The Pharmaceutical Press, London, 1996)において見ることができ、これについては参照により具体的に組み入れられる。活性剤は市販されており、および/または当技術分野で公知の技術により調製することができる。
【0112】
例示的な非シルデナフィルPDE5阻害剤としては、バルデナフィル、タダラフィル、TA-1790、UK-114542、Compound 14、EMD221829、EMR 62 203、T-1032、M-54033、M-54018、またはE-4010が挙げられるが、これらに限定されない。「PDE5阻害剤」という用語は、酵素ホスホジエステラーゼ5型を阻害することができる任意の化合物を意味するために使用される。
【0113】
例示的な栄養補助食品および健康補助食品は、例えば、Roberts et al., Nutraceuticals: The Complete Encyclopedia of Supplements, Herbs, Vitamins, and Healing Foods (合衆国栄養補助食品協会(American Nutraceutical Association), 2001)(参照により具体的に組み入れられる)において開示されている。健康補助食品および栄養補助食品はまた、Physicians' Desk Reference for Nutritional Supplements, 1st Ed.(2001)およびThe Physicians' Desk Reference for Herbal Medicines, 1st Ed.(2001)(どちらもまた参照により組み入れられる)において開示されている。植物化学物質または機能食品としても公知の栄養補助食品および健康補助食品は、一般に、健康補助食品、ビタミン、ミネラル、ハーブ、または身体に対し医学的または薬学的な効果を有する治療食品のクラスのいずれか1つである。例示的な栄養補助食品または健康補助食品としては、ルテイン、葉酸、脂肪酸(例えば、DHAおよびARA)、果実エキスおよび野菜エキス、ビタミンおよびミネラル栄養補助食品、ホスファチジルセリン、リポ酸、メラトニン、グルコサミン/コンドロイチン、アロエ、グッグル(Guggul)、グルタミン、アミノ酸(例えば、アルギニン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアニン、トレオニン、トリプトファン、およびバリン)、緑茶、リコピン、自然食品、食品添加物、ハーブ、植物性栄養素、抗酸化剤、果物のフラボノイド成分、月見草油、亜麻仁、魚油および海産動物油、ならびにプロバイオティクスが挙げられるが、これらに限定されない。栄養補助食品および健康補助食品はまた、所望の特性を有するように遺伝子改変された、「ファーマフード」としても知られているバイオ食品を含む。
【0114】
好ましい併用療法薬は、本発明の方法において有用な組成物を、α-アドレナリン受容体遮断薬、例えば、ヨヒンビン、デラクアミン、フェノトラミンおよびドキサゾシン、プロスタグランジンおよびプロストグランジン類似体、例えば、アルプロスタジルおよびミソプロストール、テストステロン、抗うつ薬、例えばトラゾドン、L-アルギニン、アポモルフィン、NOドナー、および中枢神経刺激薬から選択される1つまたは複数の活性剤と共に含む。
【0115】
本発明の特に好ましいハーブおよび栄養補助食品は、NOおよびcGMPの生合成/媒介に関与することが知られているもの、例えば、L-アルギニンおよび性的健康および健康を増進させることが知られているもの、例えば、ヨヒンビン、コルナス・オフィシナリス(Cornus officinalis)、シナモマム・アロマチクム(Cinnamomum aromaticum)、朝鮮人参(Panax ginseng)、およびプルサチラ・プラテンシス(Pulsatilla pratensis)である。
【0116】
本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物と組み合わせて投与される化合物は、シルデナフィル遊離塩基組成物と別個に製剤化することができ、またはシルデナフィル遊離塩基組成物と共に製剤化することができる。シルデナフィル遊離塩基組成物が第2の活性剤と共に製剤化される場合、第2の活性剤は任意の適した様式、例えば、即効型、急速作用開始(rapid-onset)型、持続放出型、または二重放出型で製剤化することができる。
【0117】
3.表面安定化剤
ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基のための1つまたは複数の表面安定化剤の選択は、重要であり、所望の製剤を実現するために大規模な実験が必要である。
【0118】
2つまたはそれ以上の表面安定化剤の組み合わせを本発明で使用することができる。本発明で使用することができる有用な表面安定化剤としては、公知の有機および無機薬学的賦形剤が挙げられるが、これらに限定されない。そのような賦形剤としては、様々なポリマー、低分子量オリゴマー、天然物、および表面活性剤が挙げられる。表面安定化剤としては、非イオン、カチオン、イオン、および両性イオンの化合物が挙げられる。
【0119】
表面安定化剤の代表的な例としては、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホスクシネート、ゼラチン、カゼイン、レシチン(リン脂質)、デキストラン、アラビアゴム、コレステロール、トラガカントゴム、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、セトマクロゴール1000などのマクロゴールエーテル)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、Tween20(登録商標)およびTween80(登録商標)などの市販のTween(登録商標)(ICI Speciality Chemicals));ポリエチレングリコール(例えば、Carbowax 3550(登録商標)および934(登録商標)(Union Carbide))、ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイド二酸化珪素、ホスフェート、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロール、非晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンオキシドおよびホルムアルデヒドとの4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノールポリマー(チロキサポール、スペリオン(superione)、およびトライトンとしても公知)、ポロキサマー(例えば、Pluronics F68(登録商標)およびF108(登録商標)、これらはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーである);ポロキサミン(例えば、Tetronic 908(登録商標)、Poloxamine 908(登録商標)としても公知、これはプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのエチレンジアミンへの逐次付加により誘導される四官能性ブロックコポリマーである(BASF Wyandotte Corporation、Parsippany、N.J.));Tetronic 1508(登録商標)(T-1508、ポロキサミン)(BASF Wyandotte Corporation)、Triton X-200(登録商標)、これはアルキルアリールポリエーテルスルホネートである(Rohm and Haas);Crodestas F-110(登録商標)、これはステアリン酸スクロースおよび二ステアリン酸スクロースの混合物である(Croda Inc.);p-イソノニルフェノキシポリ-(グリシドール)、Olin-IOG(登録商標)またはSurfactant 10-G(登録商標)としても公知(Olin Chemicals、 Stamford、 CT);Crodestas SL-40(登録商標)(Croda, Inc.);およびSA9OHCO、これはC18H37CH2C(O)N(CH3)-CH2(CHOH)4(CH2OH)2(Eastman Kodak Co.);デカノイル-N-メチルグルカミド;n-デシルβ-D-グルコピラノシド;n-デシルβ-D-マルトピラノシド;n-ドデシルβ-D-グルコピラノシド;n-ドデシルβ-D-マルトシド;ヘプタノイル-N-メチルグルカミド;n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド;n-ヘプチルβ-D-チオグルコシド;n-ヘキシルβ-D-グルコピラノシド;ノナノイル-N-メチルグルカミド;n-ノイルβ-D-グルコピラノシド;オクタノイル-N-メチルグルカミド;n-オクチル-β-D-グルコピラノシド;オクチルβ-D-チオグルコピラノシド;PEG-リン脂質、PEG-コレステロール、PEG-コレステロール誘導体、PEG-ビタミンA、PEG-ビタミンE、リゾチーム、ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルのランダムコポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
有用なカチオン表面安定化剤の例としては、ポリマー、生体高分子、多糖、セルロース誘導体、アルギナート、リン脂質、および非ポリマー化合物、例えば、両性イオン安定化剤、ポリ-n-メチルピリジニウム、アンスリウルピリジニウムクロリド、カチオンリン脂質、キトサン、ポリリシン、ポリビニルイミダゾール、ポリブレン、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミドブロミド(PMMTMABr)、ヘキシルデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HDMAB)、およびポリビニルピロリドン-2-ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルスルフェートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
他の有用なカチオン安定化剤としては、カチオン脂質、スルホニウム、ホスホニウム、および四級アンモニウム化合物、例えばステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジル-ジ-(2-クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナッツトリメチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、ココナッツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、C12〜15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、ココナッツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリドまたはブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムクロリドまたはブロミド、N-アルキル(C12〜18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N-アルキル(C14〜18)ジメチル-ベンジルアンモニウムクロリド、N-テトラデシリドメチルベンジルアンモニウムクロド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N-アルキルおよび(C12〜14)ジメチル1-ナフチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハロゲン化物、アルキル-トリメチルアンモニウム塩およびジアルキル-ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシル化アルキアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩および/またはエトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N-ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N-テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム、クロリド一水和物、N-アルキル(C12〜14)ジメチル1-ナフチルメチルアンモニウムクロリドおよびドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12、C15、C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド(ALIQUAT 336(商標))、POLYQUAT 10(商標)(ポリクオタニウム10;Buckman Laboratories、TN)、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル(例えば脂肪酸のコリンエステル)、塩化ベンザルコニウム、ステアラルコニウムクロリド化合物(例えば、ステアリルトリモニウムクロリドおよびジステアリルジモニウムクロリド)、セチルピリジニウムブロミドまたはクロリド、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、MIRAPOL(商標)(四級化アンモニウム塩ポリマー)およびALKAQUAT(商標)(塩化ベンザルコニウム)(Alkaril Chemical Company)、アルキルピリジニウム塩;アミン、例えば、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アルカノールアミン、ポリエチレンポリアミン、アクリル酸N,N-ジアルキルアミノアルキルおよびビニルピリジン、アミン塩、例えば酢酸ラウリルアミン、酢酸ステアリルアミン、アルキルピリジニウム塩、およびアルキルイミダゾリウム塩、およびアミン酸化物;イミドアゾリニウム塩;プロトン化四級アクリルアミド;メチル化四級ポリマー、例えばポリ[ジアリルジメチルアンモニウムクロリド]およびポリ-[N-メチルビニルピリジニウムクロリド];およびカチオングアーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
そのような例示的なカチオン表面安定化剤および他の有用なカチオン表面安定化剤は、J. Cross and E. Singer、Cationic Surfactants: Analytical and Biological Evaluation (Marcel Dekker, 1994); P. and D. Rubingh(編集者)、Cationic Surfactants: Physical Chemistry(Marcel Dekker, 1991);およびJ. Richmond, Cationic Surfactants: Organic Chemistry, (Marcel Dekker, 1990)において記述されている。
【0123】
非ポリマー表面安定化剤は、すべての非ポリマー化合物、例えば、塩化ベンザルコニウム、カルボニウム化合物、ホスホニウム化合物、オキソニウム化合物、ハロニウム化合物、カチオン有機金属化合物、四級リン化合物、ピリジニウム化合物、アニリニウム化合物、アンモニウム化合物、ヒドロキシルアンモニウム化合物、一級アンモニウム化合物、二級アンモニウム化合物、三級アンモニウム化合物、および化学式NR1R2R3R4(+)の四級アンモニウム化合物である。化学式NR1R2R3R4(+)の化合物では、
(i)R1〜R4のどれもCH3ではなく;
(ii)R1〜R4の1つがCH3であり;
(iii)R1〜R4の3つがCH3であり;
(iv)R1〜R4の全てがCH3であり;
(v)R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つがC6H5CH2であり、かつR1〜R4の1つが7またはそれ以下の炭素原子のアルキル鎖であり;
(vi)R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つがC6H5CH2であり、かつR1〜R4の1つが19またはそれ以上の炭素原子のアルキル鎖であり;
(vii)R1〜R4の2つがCH3であり、かつR1〜R4の1つがC6H5(CH2)nであり、ここで、n>1であり;
(viii)R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つがC6H5CH2であり、かつR1〜R4の1つが少なくとも1つのヘテロ原子を含み;
(ix)R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つがC6H5CH2であり、かつR1〜R4の1つが少なくとも1つのハロゲンを含み;
(x)R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つがC6H5CH2であり、かつR1〜R4の1つが少なくとも1つの環状フラグメントを含み;
(xi)R1〜R4の2つがCH3であり、かつR1〜R4の1つがフェニル環であり;または
(xii)R1〜R4の2つがCH3であり、かつR1〜R4の2つが純粋な脂肪族フラグメントである。
【0124】
そのような化合物としては、ベヘナルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ラウラルコニウムクロリド、セタルコニウムクロリド、セトリモニウムブロミド、セトリモニウムクロリド、セチルアミンフッ化水素酸塩、クロラリルメタンアミンクロリド(クオタニウム-15)、ジステアリルジモニウムクロリド(クオタニウム-5)、ドデシルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロリド(クオタニウム-14)、クオタニウム-22、クオタニウム-26、クオタニウム-18ヘクトライト、ジメチルアミノエチルクロリド塩酸塩、システイン塩酸塩、ジエタノールアンモニウムPOE(10)オレチルエーテルホスフェート、ジエタノールアンモニウムPOE(3)オレイルエーテルホスフェート、タロウアルコニウムクロリド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムベントナイト、ステアラルコニウムクロリド、ドミフェニブロミド、デナトニウムベンゾエート、ミリスタルコニウム、ラウルトリモニウムクロリド、エチレンジアミン二塩酸塩、グアニジン塩酸塩、ピリドキシンHCl、イオフェタミン塩酸塩、メグルミン塩酸塩、メチルベンゼトニウムクロリド、ミルトリモニウムブロミド、オレイルトリモニウムクロリド、ポリクオタニウム-1、プロカイン塩酸塩、ココベタイン、ステアラルコニウムベントナイト、ステアラルコニウムヘクトナイト、ステアリルトリヒドロキシエチルプロピレンジアミンジヒドロフルオリド、タロウトリモニウムクロリド、およびヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドが挙げられるが、それらに限定されない。
【0125】
表面安定化剤は市販されており、および/または当技術分野で公知の技術により調製することができる。多くが、合衆国薬学協会(American Pharmaceutical Association)および英国薬学会(The Pharmaceutical Society of Great Britain)により合同で刊行されたHandbook of Pharmaceutical Excipients (The Pharmaceutical Press, 2000)(参照により具体的に組み入れられる)において詳細に記述されている。
【0126】
4.他の薬学的賦形剤
本発明による薬学的シルデナフィル遊離塩基組成物はまた、1つまたは複数の結合剤、充填剤、潤滑剤、懸濁剤、甘味剤、香味剤、保存剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、および他の賦形剤を含んでもよい。そのような賦形剤は当技術分野において周知である。
【0127】
充填剤の例は、ラクトース一水和物、ラクトース無水物、および様々なデンプンであり;結合剤の例は様々なセルロースおよび架橋ポリビニルピロリドン、微結晶セルロース、例えば、Avicel(登録商標)PH101およびAvicel(登録商標)PH102、微結晶セルロース、およびケイ化微結晶セルロース(ProSolv SMCC(商標))である。
【0128】
圧縮すべき粉末の流動性に作用する物質を含む適した潤滑剤は、コロイド二酸化ケイ素、例えばAerosil(登録商標)200、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびシリカゲルである。
【0129】
甘味剤の例は、任意の天然または人工甘味剤、例えばスクロース、キシリトール、サッカリンナトリウム、シクラメート、アルパルテームおよびアクスルフェームである。香味剤の例はMagnasweet(登録商標)(MAFCOの商標)、風船ガム香料、ミント香料、および果物香料などである。
【0130】
保存剤の例は、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸およびその塩、ブチルパラベンなどのパラヒドロキシ安息香酸の他のエステル、エチルまたはベンジルアルコールなどのアルコール、フェノールなどのフェノール化合物、または塩化ベンザルコニウムなどの四級化合物である。
【0131】
適した希釈剤としては薬学的に許容される不活性充填剤、例えば微結晶セルロース、ラクトース、第二リン酸カルシウム、糖類、および/または前記のいずれかの混合物が挙げられる。希釈剤の例としては、微結晶セルロース、例えば、Avicel(登録商標)PH101およびAvicel(登録商標)PH102;ラクトース、例えば、ラクトース一水和物、ラクトース無水物、およびPharmatose(登録商標)DCL21;Emcompress(登録商標)などの第二リン酸カルシウム;マンニトール;デンプン;ソルビトール;スクロース;およびグルコースが挙げられる。
【0132】
適した崩壊剤としては、軽度に架橋したポリビニルピロリドン、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、および修飾デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グリコール酸ナトリウムスターチ、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0133】
発泡剤の例は、有機酸および炭酸塩または重炭酸塩などの発泡対(effervescent couple)である。適した有機酸としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、およびアルギニン酸ならびに無水物および酸塩が挙げられる。適した炭酸塩および重炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸グリシンナトリウム、L-リシンカーボネート、および炭酸アルギニンが挙げられる。または、発泡対の重炭酸ナトリウム成分のみが存在してもよい。
【0134】
5.ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基および非シルデナフィル活性剤の粒径
本発明の組成物は、有効平均粒径が約2000nm(すなわち、2μm)未満のシルデナフィル遊離塩基粒子を含む。本発明の別の態様では、シルデナフィル遊離塩基粒子の有効平均粒径は、光散乱法、顕微鏡観察、または他の適当な方法により測定すると、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満、または約50nm未満である。
【0135】
組成物が、1つまたは複数のナノ粒子非シルデナフィル遊離塩基活性剤をさらに含む場合、そのような活性剤の有効平均粒径は、光散乱法、顕微鏡観察、または他の適当な方法により測定すると、約2000nm未満、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満、または約50nm未満であってもよい。
【0136】
「約2000nm未満の有効平均粒径」という用語により、シルデナフィル遊離塩基または非シルデナフィル遊離塩基活性剤粒子の少なくとも50重量%が、上記技術により測定した場合、その有効平均粒径未満の粒径を有する、例えば、粒子の50重量%が約2μm未満(または約1900nm未満、約1800nm未満など)のサイズを有することを意味する。本発明の別の態様では、シルデナフィル遊離塩基または非シルデナフィル遊離塩基活性剤粒子の少なくとも約70重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、または少なくとも約99重量%が、有効平均未満、例えば、約2000nm未満、約1900nm未満、約1800nm未満などの粒径を有する。
【0137】
ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基を非ナノ粒子活性剤組成物と併用する場合、そのような組成物は可溶化され、または約2μmを超える有効平均粒径を有する。「約2μmを超える有効平均粒径」という用語により、活性剤粒子の少なくとも50重量%が、上記技術により測定した場合、約2μmを超える粒径を有することを意味する。本発明の別の態様では、活性剤粒子の少なくとも約70%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%が、約2μmを超える粒径を有する。
【0138】
本発明では、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物のD50に対する値は、シルデナフィル遊離塩基粒子の50重量%が下回る粒径である。同様に、D90およびD95は、それぞれ、シルデナフィル遊離塩基粒子の90重量%および95重量%が下回る粒径である。
【0139】
6.ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基および表面安定化剤の濃度
ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基および1つまたは複数の表面安定化剤の相対量は広く変動させることができる。個々の成分の最適量は、例えば、親水性親油性バランス(HLB)、融点、および表面安定化剤の水溶液の表面張力などに依存することがある。
【0140】
シルデナフィル遊離塩基の濃度は、シルデナフィル遊離塩基および少なくとも1つの表面安定化剤を合わせた総乾燥重量(他の賦形剤を含まない)を基に、約99.5重量%〜約0.001重量%、約95重量%〜約0.1重量%、または約90重量%〜約0.5重量%で、変動させることができる。
【0141】
少なくとも1つの表面安定化剤の濃度は、シルデナフィル遊離塩基および少なくとも1つの表面安定化剤を合わせた総乾燥重量(他の賦形剤を含まない)を基に、約0.5重量%〜約99.999重量%、約5.0重量%〜約99.9重量%、または約10重量%〜約99.5重量%で、変動させることができる。
【0142】
C.ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物の製造方法
本発明のシルデナフィル遊離塩基組成物は、例えば、摩砕、均質化、または沈殿技術を用いて製造することができる。ナノ粒子組成物を製造する例示的な例は、米国特許第5,145,684号において記述されている。
【0143】
ナノ粒子活性剤組成物の製造方法はまた、「Method of Grinding Pharmaceutical Substances」に対する米国特許第5,518,187号、「Continuous Method of Grinding Pharmaceutical Substances」に対する米国特許第5,718,388号、「Method of Grinding Pharmaceutical Substances」に対する米国特許第5,862,999号、「Co-Microprecipitation of Nanoparticulate Pharmaceutical Agents with Crystal Growth Modifiers」に対する米国特許第5,665,331号、「Co-Microprecipitation of Nanoparticulate Pharmaceutical Agents with Crystal Growth Modifiers」に対する米国特許第5,662,883号、「Microprecipitation of Nanoparticulate Pharmaceutical Agents」に対する米国特許第5,560,932号、「Process of Preparing X-Ray Contrast Compositions Containing Nanoparticles」に対する米国特許第5,543,133号、「Method of Preparing Stable Drug Nanoparticles」に対する米国特許第5,534,270号、「Process of Preparing Therapeutic Compositions Containing Nanoparticles」に対する米国特許第5,510,118号、および「Method of Preparing Nanoparticle Compositions Containing Charged Phospholipids to Reduce Aggregation」に対する米国特許第5,470,583号(これらは全て、参照により具体的に組み入れられる)においても記述されている。
【0144】
1つまたは複数の非シルデナフィル遊離塩基活性剤を、シルデナフィル遊離塩基と同時にサイズ低下させ、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基およびナノ粒子非シルデナフィル遊離の塩基活性剤組成物を生成させることができる。非ナノ粒子の粒径またはナノ粒子の粒径のいずれかである非シルデナフィル遊離塩基活性剤は、粒径低下後に、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物に添加することもできる。
【0145】
本発明のさらに別の態様では、製剤が複数のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を含み、各々が異なる有効平均粒径を有する本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を製造することができる。そのような組成物は、例えば、摩砕、沈殿、または均質化技術を用い個々のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を調製し、続いて、異なる組成物を組み合わせ、単一の剤形を調製することにより製造することができる。
【0146】
ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物は、固体または液体剤形、例えば、分散液、ゲル、エアロゾル、軟膏、クリーム、徐放性製剤、すぐに溶ける製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、カプセル、遅延放出製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、即時放出および徐放を組み合わせた製剤などで使用することができる。鼻噴霧および肺エアロゾルを含むエアロゾルは、迅速に作用が始まるナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を送達するのに特に有用であると期待される。
【0147】
1.ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を得るための摩砕
ナノ粒子組成物を得るためにシルデナフィル遊離塩基を摩砕する段階は、シルデナフィル遊離塩基の粒子を、シルデナフィル遊離塩基が溶解しにくい液体分散媒中に分散させ、その後、剛性粉砕媒体の存在下で機械的手段を適用し、シルデナフィル遊離塩基の粒径を所望の有効平均粒径まで減少させる段階を含む。分散媒は、例えば、水、ベニバナ油、エタノール、t-ブタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)、ヘキサン、またはグリコールであることができる。水は好ましい分散媒である。
【0148】
シルデナフィル遊離塩基粒子は好ましくは、少なくとも1つの表面安定化剤の存在下で、サイズ低下される。または、シルデナフィル遊離塩基粒子は、摩擦後1つまたは複数の表面安定化剤と接触させることができる。他の化合物、例えば希釈剤を、粒径低下過程中に、シルデナフィル遊離塩基/表面安定化剤組成物に添加することができる。分散液は、連続して、またはバッチ様式で製造することができる。
【0149】
2.ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を得るための沈殿
所望のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を形成する別の方法は、微小沈殿によるものである。これは、いずれのわずかな毒性溶媒または可溶化重金属不純物も含まない、1つまたは複数の表面安定化剤および1つまたは複数のコロイド安定性増強表面活性剤の存在下で、溶解しにくい活性剤の安定な分散液を調製する方法である。そのような方法は、例えば、下記を含む:(1)シルデナフィル遊離塩基を適した溶媒に溶解する段階;(2)段階(1)の製剤を少なくとも1つの表面安定化剤を含む溶液に添加する段階;および(3)適当な非溶媒を用いて段階(2)の製剤を沈殿させる段階。その後、この方法では、形成された任意の塩(存在する場合には)が、透析またはダイアフィルトレーションにより除去され、従来の手段により得られたナノ粒子シルデナフィル遊離塩基分散液が濃縮されることができる。
【0150】
3.ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を得るための均質化
ナノ粒子活性剤組成物を調製する例示的な均質化法は、「Process of Preparing Therapeutic Compositions Containing Nanoparticles」に対する米国特許第5,510,118号において記述されている。そのような方法は、シルデナフィル遊離塩基粒子を液体分散媒に分散させ、その後、分散液を均質化しシルデナフィル遊離塩基の粒径を所望の有効平均粒径まで減少させる段階を含む。シルデナフィル遊離塩基粒子は好ましくは、少なくとも1つの表面安定化剤の存在下で、サイズ低下される。または、シルデナフィル遊離塩基粒子は、摩擦前後のいずれかで1つまたは複数の表面安定化剤と接触させることができる。他の化合物、例えば希釈剤は、粒径低下過程前、中、後のいずれかで、シルデナフィル遊離塩基/表面安定化剤組成物に添加することができる。分散液は連続して、またはバッチ様式で製造することができる。
【0151】
D.発明のシルデナフィル遊離塩基組成物の使用法
本発明は被験者におけるシルデナフィルの血漿レベルを急速に増加させる方法を提供する。そのような方法は、被験者に有効量の、本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を投与する段階を含む。
【0152】
本発明のシルデナフィル遊離塩基組成物は被験者に、経口、直腸、眼内、非経口(例えば、静脈内、筋内、または皮下)、嚢内、肺、膣内、腹腔内、局所(例えば、粉末、軟膏または液滴)、または頬側もしくは鼻噴霧を含む(が、これらに限定されない)従来の手段のいずれかにより投与することができる。本明細書で使用されるように、「被験者」という用語は、動物、好ましくはヒトまたは非ヒトを含む哺乳類を意味するために使用される。患者および被験者という用語は互換的に使用できる。
【0153】
非経口注入に適した組成物は、生理学的に許容される滅菌水溶液または非水溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョン、および滅菌注射用溶液または分散液に再構築するための滅菌粉末を含んでもよい。適した水性および非水性担体、希釈剤、溶媒、またはビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレン-グリコール、およびグリセロールなど)、それらの適した混合物、植物油(例えばオリーブ油)および注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルが挙げられる。例えば、レシチンなどのコーティングを使用することにより、分散液の場合所望の粒径を維持することにより、および界面活性剤を使用することにより、適した流動性を維持することができる。
【0154】
ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などのアジュバントを含んでもよい。様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、およびソルビン酸などにより、微生物の増殖の防止が確実にできる。等張剤、例えば糖、および塩化ナトリウムなどを含むことも望ましい可能性がある。注射可能な薬学的形態の持続的吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを使用することにより引き起こすことができる。
【0155】
経口投与用の固体剤形としては、カプセル、錠剤、ピル、粉末、および顆粒が挙げられるが、これらに限定されない。そのような固体剤形では、シルデナフィル遊離塩基を少なくとも1つの下記と混合する:(a)1つまたは複数の不活性賦形剤(または担体)、例えばクエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム;(b)充填剤または増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸;(c)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアラビアゴム;(d)保湿剤、例えばグリセロール;(e)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある複合ケイ酸塩、および炭酸ナトリウム;(f)溶液遅延剤、例えばパラフィン;(g)吸収促進剤、例えば四級アンモニウム化合物;(h)湿潤剤、例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール;(i)吸着剤、例えばカオリンおよびベントナイト;および(j)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、またはそれらの混合物。カプセル、錠剤、およびピルでは、剤形はまたは緩衝剤を含んでもよい。
【0156】
経口投与のための液体剤形としては、薬学的に許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルが挙げられる。シルデナフィル遊離塩基の他に、液体剤形は、当技術分野で一般に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤を含んでもよい。例示的な乳化剤はエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油、例えば、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物などである。
【0157】
そのような不活性希釈剤の他に、シルデナフィル遊離塩基組成物はまた、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味剤、および芳香剤を含むことができる。
【0158】
当業者であれば、シルデナフィル遊離塩基の有効量は経験的に決定することができること、および純粋形態(そのような形態が存在する場合)、または薬学的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグの形態で使用することができることが認識されると思われる。本発明のナノ粒子組成物中のシルデナフィル遊離塩基の実際の投与レベルは、変動させて、特別な組成物および投与方法に対し所望の治療反応を得るのに有効なシルデナフィル遊離塩基の量が得られるようにしてもよい。そのため、選択した投与レベルは、所望の治療効果、投与経路、投与したシルデナフィル遊離塩基の有効性、所望の治療期間、および他の因子に依存する。
【0159】
用量単位組成物は、一日量を構成するのに使用できるような量またはその約数を含んでもよい。しかしながら、任意の特別な患者に対する特定の用量レベルは、下記様々な因子に依存することは理解されると思われる:達成すべき細胞または生理学的応答の型および程度;使用した特定の薬剤または組成物の活性;使用した特定の薬剤または組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康、性別および食事;投与時間、投与経路、および薬剤の排泄率;治療期間;特定の薬剤と組み合わせてまたは同時に使用した薬物;および医学分野で周知の同様の因子。
【0160】
1.追加の活性剤の使用
本発明の方法はまた、本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を、従来の形態またはナノ粒子形態のいずれかの1つまたは複数の非シルデナフィル活性剤と併用して投与する段階を含む。これらの追加の活性剤については上記で記述してある。
【0161】
2.治療用途
本発明のシルデナフィル遊離塩基組成物は、症状の中でも、哺乳類の性的障害の治療および/予防において有用である。特に、組成物は哺乳類の性的不全、例えば、男性の勃起障害、インポテンス、女性の性的不全、陰核不全、女性の性的欲求低下障害、女性の性的刺激障害、女性の性的疼痛障害または女性の性的オーガズム障害、および脊髄損傷による性的不全の治療に効果がある。
【0162】
本発明のシルデナフィル遊離塩基組成物は、PDE5阻害剤が必要とされる他の医学的状態の治療に有用である。そのような状態としては、早産、月経困難症、良性前立腺過形成、膀胱排尿障害、失禁、安定狭心症、不安定狭心症、および異型(プリンツメタル型)狭心症、高血圧、肺高血圧、慢性閉塞性肺疾患、冠動脈疾患、鬱血性心不全、アテローム性動脈硬化、血管開通の低下状態、例えば、経皮的経管冠動脈形成(ポストPTCA(post-PTCA))、末梢血管障害、脳卒中、硝酸塩誘導耐性、気管支炎、アレルギー性喘息、慢性喘息、アレルギー性鼻炎、緑内障、ならびに腸運動性障害により特徴づけられる疾患、例えば、過敏性腸症候群および糖尿尿性胃不全麻痺が挙げられるが、これらに限定されない。
【0163】
PDE5阻害剤が必要とされ、本発明のシルデナフィル遊離塩基組成物による治療が有用である場合がある別の医学的状態としては、前子癇、川崎症候群、硝酸塩耐性、多発性硬化症、糖尿病性ネフロパシー、末梢性糖尿病性ネフロパシー、アルツハイマー病、急性呼吸不全、乾癬、皮膚の壊死、癌、転移、はげ、クルミ割り器のような食道、裂肛、痔核、および低酸素血管狭窄が挙げられる。
【0164】
下記実施例は、本発明を説明するために示すものである。しかしながら、本発明はこれらの実施例で記述した特定の状態または細部に限定されるものではないことを理解すべきである。本明細書全体を通して、米国特許を含む公的に入手可能な文書へのいずれのおよびすべての言及は、参照により具体的に組み入れられる。
【0165】
実施例1
この実施例の目的は、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を調製することであった。
【0166】
シルデナフィル遊離塩基は、下記のように、クエン酸シルデナフィルから調製した。5gのクエン酸シルデナフィル(Cipla)を約1500mLのDI水に溶解した。クエン酸シルデナフィル溶液を6〜12時間混合した。薬物を十分溶解すると、残った未溶解薬物を全て、1μmガラス繊維濾紙を用いて濾過した。基体を大きな濾過フラスコに集め、その後、大きなビーカーに移し、磁気撹拌プレート上に置いた。シルデナフィル遊離塩基粒子が形成され、溶液が約pH10となるまで、混合溶液を約7mLのインクリメントで1N NaOHで滴定した。その後、1μmガラス繊維濾紙を用いた濾過によりシルデナフィル遊離塩基粒子を回収した。ビーカーをDI水ですすぎ、残った沈澱を全て回収し、濾紙に添加した。濾紙および漏斗を40℃に設定したオーブン内に入れ、一晩中乾燥させた。乾燥させると、シルデナフィル遊離塩基を濾紙から集めて、風袋を量ったガラス瓶に入れた。
【0167】
4.0gのシルデナフィル遊離塩基を、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、Hypromellose、USP、Pharmacoat(登録商標)603、置換型2910、3cp)(Shin Etsu Chemical Co. Ltd.)(0.8g)、ドクセートナトリウム(DOSS)(Cytec Inductries, Inc.)(0.04g)、および水(75.16g)を含む溶液に添加した。その後、この混合物を90分間DYNO-Mill KDL(Willy A. Bachofen AG, Maschinenfabrik, Basel, Switzerland)中、4200rpmでPM-500ポリマー媒質と共に摩砕した。
【0168】
Horiba LA-910粒径アナライザ(Horiba Instruments, Irvine, CA)で測定すると、シルデナフィル粒子の最終平均(重量平均)粒径は281nmであり、D50は274nmであり、D90は371nmであり、かつD95は407nmであった。
【0169】
この実施例は、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基の分散液の調製の成功を証明する。
【0170】
実施例2
この実施例の目的は、実施例1で調製したナノ粒子シルデナフィル遊離塩基分散液の凍結乾燥ウエハ剤形を調製することであった。
【0171】
実施例1からのナノ粒子シルデナフィル遊離塩基分散液30gを、マンニトールUSP/NF(Spectrum)3.0gおよびプルラン(Hayashibara)1.5gに添加した。
【0172】
その後、希釈シルデナフィル遊離塩基分散液0.5gを各0.5ccウエルに添加することによりウエハトレイを満たし、それから、ウエハトレイを凍結乾燥機内に48時間入れ、最終凍結乾燥ウエハ剤形を生成させた。
【0173】
凍結乾燥させたウエハ中のシルデナフィル遊離塩基の粒径は安定であるように思えた。水性媒質中で再構築させた後、シルデナフィル遊離塩基の平均粒径(重量)は306nmであり、D50は283nmであり、D90は443nmであり、かつD95は522nmであった。
【0174】
実施例1および2から得られたシルデナフィル遊離塩基の粒径データを下記表にまとめて示す。
【0175】
(表1)

【0176】
この実施例は、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基の分散液の固体剤形の調製の成功を証明する。さらに、この実施例は、シルデナフィル遊離塩基粒子が水性媒質で再構築されると再分散し、シルデナフィルの粒径は固体剤形中に組み入れる前の粒径と実質的に等しくなる、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基の分散液の固体剤形の調製の成功を証明する。
【0177】
実施例3
この実施例の目的はナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物を調製することであった。
【0178】
クエン酸シルデナフィルのための最もよい表面安定化剤を識別するために、化合物をNanoMill(登録商標)(Elan Drug Delivery, Inc.)(例えば、「小規模ミルおよびその方法(Small-Scale Mill and Method Thereof)」に対するWO 00/72973を参照のこと)において、下記表面安定化剤と共にスクリーニングした:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-SL)、ポリビニルピロリドン(PVP K29/32)、およびPlasdone(登録商標)S630。HPMCおよびHPC-SL製剤が顕微鏡下では、最もよく観察され、その2つの中ではHPC-SLがよりよく観察された。このようにHPMCをシルデナフィル遊離塩基のナノ粒子製剤において使用したが、クエン酸シルデナフィルのナノ粒子製剤のための最もよい表面安定化剤としてHPC-SLを選択した。
【0179】
クエン酸シルデナフィル(Cipla)(4.0g)をヒドロキシプロピルセルロース(HPC-SL)(Nisso)(0.8g)および水(75.2g)を含む溶液に添加した。その後混合物を、DYNO-Mill KDL(Willy A. Bachofen AG, Maschinenfabrik, Basel, Switzerland)中、4200RPMで、PM-500ポリマー媒質と共に90分摩砕した。
【0180】
Leica顕微鏡では、摩砕したシルデナフィル分散液中で、小さい(ナノ粒子)、よく分散されたクエン酸シルデナフィル粒子が観察された。(クエン酸シルデナフィルは非常に溶解しやすいため、および少量のナノ粒子クエン酸シルデナフィル分散液のみが入手可能であったため、ナノ粒子分散液中に存在するクエン酸シルデナフィルの希釈濃度では、例えばHoriba LA-910粒径アナライザを用いて、クエン酸シルデナフィル粒径を明確に測定することはできなかった。飽和クエン酸シルデナフィル分散液、またはより大量の測定された分散液を使用した場合、ナノ粒子クエン酸シルデナフィルの粒径は、例えば、Horiba LA-910粒径アナライザを用いて測定できたと思われる。)
【0181】
実施例4
この実施例の目的は、実施例3で調製したナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物の凍結乾燥ウエハ剤形を調製することであった。
【0182】
42gの実施例3のナノ粒子クエン酸シルデナフィル分散液を、4.2gのマンニトールUSP/NF(Spectrum)および2.2gのプルラン(Hayashibara)に添加した。
【0183】
各0.5ccウエルに、希釈ナノ粒子クエン酸シルデナフィル分散液0.5gを添加することによりウエハトレイを満たした。その後、ウエハトレイを凍結乾燥機に48時間入れ、最終凍結乾燥ウエハ剤形を生成させた。
【0184】
再構築させたクエン酸シルデナフィル凍結剤形の粒径は、実施例3で上述した同じ理由で、測定しなかった。しかしながら、水性媒質中での再構築後の、クエン酸シルデナフィルのナノ粒子の存在は、Leica顕微鏡により光学的に確認した。
【0185】
実施例5
この実施例の目的は、それぞれ、実施例2および4のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基およびナノ粒子クエン酸シルデナフィル剤形、ならびに非ナノ粒子クエン酸シルデナフィル剤形であるViagra(登録商標)に対し、摂食および絶食条件下で、インビボ薬学動態を評価することであった。
【0186】
イヌの研究プロトコル
5つの異なる相を有する研究において、8匹の雄および4匹の雌のビーグル犬を使用した。研究で評価した3つのシルデナフィル製剤を表2にまとめる。試料の調製は実施例1〜4で上述している。
【0187】
(表2)シルデナフィル製剤の概要

【0188】
研究のすべての相において、投与する2時間前に、各イヌにZantac(登録商標)(15g/mL Zantac(登録商標)シロップ)22.5mgを摂取させた。Zantac(登録商標)を投与すると、イヌの胃の高酸性状態が軽減した。酸性度を減少させると、ヒトの胃の状態により正確に相関する。さらに、クエン酸シルデナフィルおよびシルデナフィル遊離塩基は高酸性条件で可溶化する。そのような可溶化が胃で起こると、その後、薬物は腸でより大きな粒子となって沈澱する可能性があり、このように、薬物をナノ粒子製剤に製剤化した利益が無効になる。
【0189】
研究の相1(摂食条件)
相1では、全てのイヌに摂食させた。6匹のイヌ(4匹の雄および2匹の雌)が製剤#2、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基の分散液の25mg凍結乾燥ウエハを摂取し、かつ6匹のイヌ(4匹の雄および2匹の雌)がViagra(登録商標)(微粒子に粉砕したクエン酸シルデナフィル)の25mg錠剤を摂取した。
【0190】
研究の相2(摂食条件)
4日の休薬期間後、摂食させたイヌで相2を開始した。相1で製剤#2(ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基の分散液の25mg凍結乾燥ウエハ)を摂取した6匹のイヌが、今回、Viagra(登録商標)の25mg錠剤を摂取し、他の6匹のイヌが製剤#4、ナノ粒子クエン酸シルデナフィルの分散液の25mgの凍結乾燥ウエハを摂取した。
【0191】
研究の相3(絶食条件)
別の4日の休薬期間後、相1で使用した投与計画を相3で使用した。相3のイヌを一晩中、および投与後4時間絶食させた。
【0192】
研究の相4(絶食条件)
別の4日の休薬期間後、相2で使用した投与計画を相4で使用した。相4のイヌを一晩中、および投与後4時間絶食させた。
【0193】
研究の相5(絶食条件)
最後に、別の4日の休薬期間後、相5のイヌは一晩中、および投与後4時間絶食させた。最初の6匹のイヌは製剤#4(ナノ粒子クエン酸シルデナフィルの分散液の25mg凍結乾燥ウエハ)を摂取したが、第2の6匹のイヌは製剤#2(ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基の分散液の25mg凍結乾燥ウエハ)を摂取した。
【0194】
血液試料(約1.0mL)を特定の時間点(投与前、投与後0.08時間、0.17時間、0.25時間、0.33時間、0.5時間、0.75時間、1時間、1.5時間、2時間、4時間、6時間および8時間)で、ナトリウムヘパリンを含む管内に回収した。試料は、
【0195】
5相研究の概要を下記表3に示す。
【0196】
(表3)5相研究の概要

【0197】
その後、血液試料を評価し、摂食および絶食条件下で投与したViagra(登録商標)に対する、および摂食および絶食条件下で投与したナノ粒子シルデナフィル遊離塩基(製剤#2)およびナノ粒子クエン酸シルデナフィル(製剤#4)組成物に対するCmax、Tmax、AUClastおよびAUCinfを決定した。結果を表4ならびに図1および2において下記に示す。
【0198】
(表4)イヌの研究の薬物動態結果

【0199】
図1は、摂食および絶食条件下で投与された、2時間にわたる、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基(製剤#2)、ナノ粒子クエン酸シルデナフィル (製剤#4)、およびViagra(登録商標)に対する平均シルデナフィル濃度(ng/mL)を示す図である。図2は摂食および絶食条件下で投与された、8時間にわたる、製剤2、4およびViagra(登録商標)に対する平均シルデナフィル濃度(ng/mL)を示す図である。
【0200】
結果から、本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物は、摂食および絶食条件下で投与しても、実質的に同様のAUCプロファイルを示すことがわかる。
【0201】
ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を摂食状態対絶食状態で投与した場合、吸収されるシルデナフィル遊離塩基の量またはシルデナフィル遊離塩基吸収速度に実質的な差がないことを意味するため、これは重要なことである。
【0202】
摂食条件および絶食条件下で投与したViagra(登録商標)は、それぞれ2514ng/mL・hおよび1749.6ng/mL・hのAUCinfを示し、これは764.4ng/mL・hまたは〜30%の差であった。摂食条件および絶食条件下で投与したナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物は、それぞれ1335.2ng/mL・hおよび897.8ng/mL・hのAUCinfを示し、これは437.4ng/mL・hまたは〜33%の差であった。驚くべきことに、これらの結果とは対照的に、摂食条件および絶食条件下で投与したナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物は、それぞれ2127.8ng/mL・hおよび2105.3ng/mL・hのAUCinfを示し、これは22.5ng/mL・hまたは〜1%の差であった。
【0203】
ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物の摂食条件および絶食条件下投与に対する22.5ng/mL・hのAUClastの差は、それぞれ2127.8ng/mL・hおよび2105.3ng/mL・hのAUCinfを示し、これは22.5ng/mL・hまたは〜1%の差であった。
【0204】
ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物の摂食条件および絶食条件下投与に対する22.5ng/mL・hのAUClastの差は、Viagra(登録商標)で観察された摂食/絶食変動性の約40分の1であり、かつナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物で観察された摂食/絶食変動性の19分の1以下である。
【0205】
さらに、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物に対するTmaxおよびCmaxプロファイルは、摂食条件および絶食条件下で投与しても実質的に同じであった:Cmaxは〜11%の差であり、Tmaxは4%の差であった。対照的に、Viagra(登録商標)およびナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物の両方において、製剤を摂食条件下で絶食条件下と比較して投与すると、TmaxおよびCmaxが劇的に異なる結果が示された:Viagra(登録商標)では、Cmaxは〜23%の差であり、かつTmaxは60%の差であり、かつナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物では、Cmaxは49%の差であり、かつTmaxは52%の差であった。
【0206】
本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の方法および組成物において様々な改変および変更が可能であることは、当業者には明かであると思われる。このように、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内にある場合には、本発明の改変および変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0207】
【図1】摂食および絶食条件下での、2時間にわたる、製剤#2(ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基)、製剤#4(ナノ粒子クエン酸シルデナフィル)、および製剤#5(微粒子クエン酸シルデナフィル;Viagra(登録商標))に対する平均シルデナフィル濃度(ng/mL)を示した図である。
【図2】摂食および絶食条件下での、8時間にわたる、製剤#2(ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基)、製剤#4(ナノ粒子クエン酸シルデナフィル)、および製剤#5(微粒子クエン酸シルデナフィル;Viagra(登録商標))に対する平均シルデナフィル濃度(ng/mL)を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)有効平均粒径が約2000nm未満であるシルデナフィル遊離塩基粒子;および
(b)少なくとも1つの表面安定化剤
を含み、
摂食条件下で投与しても、絶食条件下と比べて、有意の異なる吸収レベルを示さない、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物。
【請求項2】
摂食状態対絶食状態で投与した場合、本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物のAUCの差が、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、および約1%未満からなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
組成物のTmaxが、摂食条件下で投与した後、絶食条件下と比べて有意の差がない、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
摂食状態対絶食状態で投与した場合、本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物のTmaxの差が、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、および約3%未満である、請求項1〜3のいずれか一項記載の組成物。
【請求項5】
組成物のCmaxが、摂食条件下で投与した後、絶食条件下と比べて有意の差がない、請求項1〜4のいずれか一項記載の組成物。
【請求項6】
摂食状態対絶食状態で投与した場合、本発明のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物のCmaxの差が、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、および約3%未満である、請求項1〜5のいずれか一項記載の組成物。
【請求項7】
シルデナフィル遊離塩基が、結晶相、アモルファス相、半結晶相、半アモルファス相、またはそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜6のいずれか一項記載の組成物。
【請求項8】
シルデナフィル遊離塩基の有効平均粒径が、約1900nm未満、1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約75nm未満、および約50nm未満からなる群より選択される、請求項1〜7のいずれか一項記載の組成物。
【請求項9】
経口、肺、直腸、眼内、結腸、非経口、嚢内、膣内、腹腔内、局部、頬側、鼻内、および局所の投与からなる群より選択される投与のために製剤化される、請求項1〜8のいずれか一項記載の組成物。
【請求項10】
分散液、ゲル、エアロゾル、軟膏、クリーム、徐放性製剤、すぐに溶ける製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、カプセル、遅延放出製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、ならびに即時放出および徐放を組み合わせた製剤からなる群より選択される剤形に製剤化される、請求項1〜9のいずれか一項記載の組成物。
【請求項11】
Tmaxが、非ナノ粒子シルデナフィルの組成物で観察されるものよりも小さく、かつエアロゾルまたは鼻噴霧に製剤化された、請求項1〜10のいずれか一項記載の組成物。
【請求項12】
1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤、担体、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1〜11のいずれか一項記載の組成物。
【請求項13】
シルデナフィル遊離塩基が、シルデナフィル遊離塩基および少なくとも1つの表面安定化剤を合わせた総乾燥重量(他の賦形剤を含まない)を基に、約99.5重量%〜約0.001重量%、約95重量%〜約0.1重量%、および約90重量%〜約0.5重量%からなる群より選択される量で存在する、請求項1〜12のいずれか一項記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも1つの表面安定化剤が、シルデナフィル遊離塩基および少なくとも1つの表面安定化剤を合わせた他の賦形剤を含まない総乾燥重量を基に、約0.5重量%〜約99.999重量%、約5.0重量%〜約99.9重量%、または約10重量%〜約99.5重量%からなる群より選択される量で存在する、請求項1〜13のいずれか一項記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも2つの表面安定化剤を含む、請求項1〜14のいずれか一項記載の組成物。
【請求項16】
表面安定化剤が、アニオン表面安定化剤、カチオン表面安定化剤、イオン表面安定化剤、および両性イオン表面安定化剤からなる群より選択される、請求項1〜15のいずれか一項記載の組成物。
【請求項17】
少なくとも1つの表面安定化剤が、セチルピリジニウムクロリド、ゼラチン、カゼイン、リン脂質、デキストラン、グリセロール、アラビアゴム、コレステロール、トラガカントゴム、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイド二酸化珪素、ホスフェート、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、非晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンオキシドおよびホルムアルデヒドとの4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノールポリマー、ポロキサマー;ポロキサミン、帯電リン脂質、ジオクチルスルホスクシネート、ナトリウムスルホコハク酸のジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルアリールポリエーテルスルホネート、ステアリン酸スクロースおよび二ステアリン酸スクロースの混合物、C18H37CH2C(O)N(CH3)-CH2(CHOH)4(CH2OH)2、p-イソノニルフェノキシポリ-(グリシドール)、デカノイル-N-メチルグルカミド;n-デシルβ-D-グルコピラノシド;n-デシルβ-D-マルトピラノシド;n-ドデシルβ-D-グルコピラノシド;n-ドデシルβ-D-マルトシド;ヘプタノイル-N-メチルグルカミド;n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド;n-ヘプチルβ-D-チオグルコシド;n-ヘキシルβ-D-グルコピラノシド;ノナノイル-N-メチルグルカミド;n-ノイルβ-D-グルコピラノシド;オクタノイル-N-メチルグルカミド;n-オクチル-β-D-グルコピラノシド;オクチルβ-D-チオグルコピラノシド;リゾチーム、PEG-リン脂質、PEG-コレステロール、PEG-コレステロール誘導体、PEG-ビタミンA、PEG-ビタミンE、酢酸ビニルおよびビニルピロリドンのランダムコポリマー;カチオン脂質、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミド、スルホニウム化合物、ポリビニルピロリドン-2-ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルスルフェート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ホスホニウム化合物、四級アンモニウム化合物、ベンジル-ジ-(2-クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナッツトリメチルアンモニウムクロリド、ココナッツトリメチルアンモニウムブロミド、ココナッツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナッツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、C12〜15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、C12〜15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、ココナッツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナッツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムクロリド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムブロミド、N-アルキル(C12〜18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N-アルキル(C14〜18)ジメチル-ベンジルアンモニウムクロリド、N-テトラデシリドメチルベンジルアンモニウムクロド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N-アルキルおよび(C12〜14)ジメチル1-ナフチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハロゲン化物、アルキル-トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル-ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシル化アルキアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N-ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N-テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム、クロリド一水和物、N-アルキル(C12〜14)ジメチル1-ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、POLYQUAT 10(商標)、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル、塩化ベンザルコニウム、ステアラルコニウムクロリド化合物、セチルピリジニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、MIRAPOL(商標)、ALKAQUAT(商標)、アルキルピリジニウム塩;アミン、アミン塩、アミン酸化物、イミドアゾリニウム塩、プロトン化四級アクリルアミド、メチル化四級ポリマー、およびカチオングアーからなる群より選択される、請求項1〜16のいずれか一項記載の組成物。
【請求項18】
生体接着性である、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
表面安定化剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ドクセートナトリウム、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1〜18のいずれか一項記載の組成物。
【請求項20】
有効平均粒径が約2μm未満である少なくとも1つのナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物をさらに含み、追加の該ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物が、請求項1記載のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基の粒径とは異なる有効平均粒径を有する、請求項1〜19のいずれか一項記載の組成物。
【請求項21】
少なくとも1つの非シルデナフィル遊離塩基活性剤をさらに含む、請求項1〜20のいずれか一項記載の組成物。
【請求項22】
非シルデナフィル遊離塩基活性剤が、α-アドレナリン受容体遮断薬、デラクアミン、フェノトールアミン、ドキサゾシン、プロスタグランジン、プロストグランジン類似体、アルプロスタジルミソプロストール、テストステロン、抗うつ剤、トラゾドン、アポモルフィン、NOドナー、中枢神経刺激薬、PDE5阻害剤、アミノ酸、蛋白質、ペプチド、ヌクレオチド、抗肥満薬、栄養補助食品、健康補助食品、中枢神経症状刺激薬、カロテノイド、コルチコステロイド、エラスターゼ阻害剤、抗真菌剤、アルキルキサンチン、オンコロジー治療薬、制吐剤、鎮痛薬、オピオイド、解熱剤、心血管薬、抗炎症薬、駆虫薬、抗不整脈薬、抗生剤、抗凝血薬、抗糖尿病薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン剤、抗高血圧剤、抗ムスカリン薬、抗マイコバクテリア薬、抗腫瘍薬、免疫抑制剤、抗甲状腺薬、抗ウイルス薬、抗不安薬、鎮静剤、収れん薬、β-アドレナリン受容体遮断薬、血液製剤、代用血液、心臓変力剤(cardiac inotropic agent)、造影剤、コルチコステロイド、鎮咳剤、診断薬、診断用造影剤、利尿薬、ドーパミン作動薬、止血薬、免疫薬、脂質調節薬、筋肉弛緩剤、副交感神経興奮薬、副甲状腺カルシトニンおよびビスホスホン酸、プロスタグランジン、放射性医薬品、性ホルモン、抗アレルギー薬、刺激薬、食欲抑制薬、交感神経興奮剤、甲状腺製剤、血管拡張薬、血管調節薬、キサンチン、Mu受容体拮抗薬、κ受容体拮抗薬、非麻酔性鎮痛薬、モノアミン取り込み阻害剤、アデノシン調節薬、カンナビノイド誘導体、サブスタンスP拮抗薬、ニューロキニン-1受容体拮抗薬、およびナトリウムチャネル遮断薬からなる群より選択される、請求項21記載の組成物。
【請求項23】
栄養補助食品が、ヨヒンビン、コルナス・オフィシナリス(Cornus officinalis)、シナモマム・アロマチクム(Cinnamomum aromaticum)、朝鮮人参(Panax ginseng)、およびプルサチラ・プラテンシス(Pulsatilla pratensis)からなる群より選択される、請求項22記載の組成物。
【請求項24】
アミノ酸が、L-アルギニンである、請求項23記載の組成物。
【請求項25】
非シルデナフィル遊離塩基PDE5阻害剤が、バルデナフィル、タダラフィル、TA-1790、UK-114542、Compound 14、EMD221829、EMR 62 203、T-1032、M-54033、M-54018、およびE-4010からなる群より選択される、請求項22記載の組成物。
【請求項26】
少なくとも1つの非シルデナフィル遊離塩基活性剤が、約2μm未満の有効平均粒径または約2μmを超える有効平均粒径を有する、請求項22〜25のいずれか一項記載の組成物。
【請求項27】
投与すると、組成物が再分散し、シルデナフィル遊離塩基粒子の粒径が、約2μm未満、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満、および約50nm未満からなる群より選択されるものとなるような、請求項22〜26のいずれか一項記載の組成物。
【請求項28】
投与すると、Tmaxが、同じ用量で投与した、非ナノ粒子シルデナフィル組成物またはナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物のTmaxより小さい、請求項1〜27のいずれか一項記載の組成物。
【請求項29】
非ナノ粒子シルデナフィル組成物またはナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物との比較薬物動態試験では、同じ用量で投与したナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物が、非ナノ粒子シルデナフィル組成物またはナノ粒子シルデナフィルクエン酸組成物により示されるTmaxの、約200%未満、約175%未満、約150%未満、約125%未満、約100%未満、約90%未満、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、および約10%未満からなる群より選択されるTmaxを示す、請求項1〜28のいずれか一項記載の組成物。
【請求項30】
ヒトにおける投与後のTmaxが、約1.5時間未満、約1.25時間未満、約1.0時間未満、約50分未満、約40分未満、約45分未満、約35分未満、約30分未満、約25分未満、約20分未満、約15分未満、および約10分未満からなる群より選択される、請求項1〜29のいずれか一項記載の組成物。
【請求項31】
投与すると、組成物のCmaxが、同じ用量で投与した、非ナノ粒子シルデナフィル組成物またはナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物のCmaxより大きい、請求項1〜30のいずれか一項記載の組成物。
【請求項32】
非ナノ粒子シルデナフィル組成物またはナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物との比較薬物動態試験では、同じ用量で投与したナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物が、非ナノ粒子シルデナフィル組成物またはナノ粒子シルデナフィルクエン酸組成物により示されるCmaxの、約5%を超える、約10%を超える、約15%を超える、約20%を超える、約30%を超える、約40%を超える、約50%を超える、約60%を超える、約70%を超える、約80%を超える、約90%を超える、約100%を超える、約110%を超える、約120%を超える、約130%を超える、約140%を超える、および約150%を超えるものからなる群より選択されるCaxを示す、請求項1〜31のいずれか一項記載の組成物。
【請求項33】
健康な成人男性では、100mgの経口用量のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を投与すると、平均Cmaxが約440ng/mlを超え、Tmaxが約60分未満であり、またはそれらの組み合わせとなる、請求項1〜32のいずれか一項記載の組成物。
【請求項34】
100mgの経口用量のナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物を投与すると、約440ng/mLを超える、約450ng/mLを超える、約500ng/mLを超える、約550ng/mLを超える、約600ng/mLを超える、約650ng/mLを超える、約700ng/mLを超える、約750ng/mLを超える、約800ng/mLを超える、約850ng/mLを超える、約900ng/mLを超える、約950ng/mLを超える、約1000ng/mLを超える、または約1050ng/mLを超える、約1100ng/mLを超える、約1150ng/mLを超える、約1200ng/mLを超える、約1250ng/mLを超える、約1300ng/mLを超える、約1350ng/mLを超える、および約1400ng/mLを超えるものからなる群より選択されるCmaxが得られる、請求項1〜33のいずれか一項記載の組成物。
【請求項35】
投与すると、組成物のAUCが、同じ用量で投与した、非ナノ粒子シルデナフィル組成物またはナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物のAUCより大きい、請求項1〜34のいずれか一項記載の組成物。
【請求項36】
非ナノ粒子シルデナフィル組成物またはナノ粒子クエン酸シルデナフィル組成物との比較薬物動態試験では、同じ用量で投与したナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物が、非ナノ粒子シルデナフィル組成物またはナノ粒子シルデナフィルクエン酸組成物により示されるAUXの、約5%を超える、約10%を超える、約15%を超える、約20%を超える、約30%を超える、約40%を超える、約50%を超える、約60%を超える、約70%を超える、約80%を超える、約90%を超える、約100%を超える、約110%を超える、約120%を超える、約130%を超える、約140%を超える、および約150%を超えるものからなる群より選択されるAUXを示す、請求項1〜35のいずれか一項記載の組成物。
【請求項37】
請求項1〜36のいずれか一項記載の組成物を少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と共に含む、薬学的組成物。
【請求項38】
薬剤の調製のための、請求項37記載の薬学的組成物の使用。
【請求項39】
薬剤が、選択的PDE5阻害剤が必要とされる状態、男性の勃起障害、インポテンス、女性の性的不全、陰核不全、女性の性的欲求低下障害、女性の性的刺激障害、女性の性的疼痛障害、女性の性的オーガズム障害、脊髄損傷による性的不全、早産、月経困難症、良性前立腺過形成、膀胱排尿障害、失禁、安定狭心症、不安定狭心症、異型(プリンツメタル型)狭心症、高血圧、肺高血圧、慢性閉塞性肺疾患、冠動脈疾患、鬱血性心不全、アテローム性動脈硬化、血管開通の低下状態、経皮的経管冠動脈形成、末梢血管障害、脳卒中、硝酸塩誘導耐性、気管支炎、アレルギー性喘息、慢性喘息、アレルギー性鼻炎、緑内障、糖尿病性胃不全麻痺、前子癇、川崎症候群、硝酸塩耐性、多発性硬化症、糖尿病性ネフロパシー、末梢性糖尿病性ネフロパシー、アルツハイマー病、急性呼吸不全、乾癬、皮膚の壊死、癌、転移、はげ、クルミ割り器のような食道、裂肛、痔核、低酸素血管狭窄、腸運動性障害により特徴づけられる疾患および過敏性腸症候群からなる群より選択される状態を治療するのに有用である、請求項38記載の使用。
【請求項40】
シルデナフィル遊離塩基粒子を少なくとも1つの表面安定化剤と、有効平均粒径が約2μm未満であるシルデナフィル遊離塩基粒子を含む組成物を提供するのに十分な時間および条件下で、接触させる段階を含み、
得られたナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物が、摂食条件下で投与すると、絶食条件下と比較して、有意の異なる吸収レベルを示さない、ナノ粒子シルデナフィル遊離塩基組成物の製造方法。
【請求項41】
接触段階が、粉砕段階を含む、請求項40記載の方法。
【請求項42】
粉砕段階が、湿式粉砕段階を含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
接触段階が、均質化段階を含む、請求項40記載の方法。
【請求項44】
接触段階が、
(a)シルデナフィル遊離塩基粒子を溶媒に溶解する段階;
(b)得られたシルデナフィル遊離塩基溶液を、少なくとも1つの表面安定化剤を含む溶液に添加する段階;および
(c)表面と結合する少なくとも1つの表面安定化剤を有する可溶化シルデナフィル遊離塩基を、これに非溶媒を添加することにより沈殿させる段階
を含む、請求項40記載の方法。

【公表番号】特表2006−528176(P2006−528176A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521069(P2006−521069)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/019106
【国際公開番号】WO2005/013937
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(505295134)エラン ファーマ インターナショナル リミテッド (10)
【Fターム(参考)】