説明

新規ラクタム

本発明は、式(I)および(II)の新規ラクタムに関する。さらに本発明は、表面の微生物感染および微生物汚染、特にバイオフィルム形成を特徴とする感染および表面汚染の処置におけるこれらの化合物の使用に関する。さらにアクリレート基またはメタクリレート基で置換される式(I)および(II)の化合物ならびに微生物汚染を抑制するための表面またはポリマーへのそれら化合物の結合を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ラクタム、これらを合成するための方法およびこれら化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
国際特許出願第2004/016588号(その開示は参考として明細書により援用される)において、本出願人は、穏やかな条件下で、適した5-ハロメチレン置換フラノンをアミンと反応させることにより一般式Aのラクタムを与え、場合によって続いて、脱水により一般式Bのラクタムを与える式AおよびBのラクタムを合成する方法を開示した。
【0003】
【化1】

【0004】
国際特許出願第2004/016588号の明細書に例示される各ラクタムは、通常R3またはR4位で1つまたは複数の臭素置換基を含んでいた。R1およびR2位は、ハロ、アルキル(置換または非置換)または水素で置換されていた。これらラクタムは、抗菌特性を有し、クオラムセンシング阻害剤として作用することが示された。
【特許文献1】国際特許出願第2004/016588号
【特許文献2】国際公開公報第01/047681号
【特許文献3】国際公開公報第99/05227号
【非特許文献1】Bergey's Manual of Systematic Bacteriology、第1版、編集長John G.Holt(1984)
【非特許文献2】Costerton Jら、(1999)第284巻、Science 1318〜1322頁
【非特許文献3】Costerton JおよびSteward、(2001)Battling Biofilms、Scientific American 75〜81頁
【非特許文献4】Liら、Surface Modification of Polymeric Biomaterials(BD RatnerおよびDG Castner編)、Plenum Press、NY、1996、165〜173頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ラクタム環の3または4位にヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリールまたはアリールアルキル置換基を含み、環外メチレン基で臭素化されていないラクタムの新規クラスのメンバーに関する。環外メチレン基で臭素化されていないと、国際特許出願第2004/016588号に例示される化合物に比較して、これら化合物の安定性が改善される。さらに、3または4位でのヘテロアリール、アリールまたはアリールアルキル置換基が存在すると、アルキル基を有する国際特許出願第2004/016588号に例示される化合物と比較した場合、さらにin vivo安定性が提供される。これら化合物は、抗菌特性を有することが示された。さらに、少なくとも本発明の化合物のいくつかは、国際特許出願第2004/016588号の明細書に例示される特定のラクタムと比較した場合、驚くことに抗菌活性を改善し、かつ/または驚くことに細胞毒性を減少させた。本発明はまた、これら化合物が官能基を有する表面に、例えばMichael付加反応により容易に重合、共重合または結合されるようにこれら化合物の類似体は、アクリレートおよびメタクリレート基で置換されうることを見出した。
【0006】
したがって、第1の態様において、本発明は式I:
【0007】
【化2】

【0008】
の化合物を提供し、
式中
R1およびR2は、各々独立して水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、オキソアルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリールおよびアリールアルキルからなる群から選択され;
R3は、水素、ヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、オキソアルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルおよび-C(O)CR6=CH2からなる群から選択され;
R4およびR5は、各々、水素、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびアリールアルキルからなる群から選択されるが、ただし、R4およびR5のうち少なくとも1つは水素であり;
R6は、水素またはメチルからなる群から選択され;
ただし、R1およびR2のうち少なくとも1つはヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリールおよびアリールアルキルからなる群から選択される。
【0009】
第2の態様において、本発明は式(II):
【0010】
【化3】

【0011】
の化合物を提供し、
式中
R1およびR2は、各々独立して水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、オキソアルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、およびアリールアルキルからなる群から選択され;
R3は、水素、ヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、オキソアルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、アリールアルキルおよび-C(O)CR6=CH2からなる群から選択され;
R4は、水素、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびアリールアルキルからなる群から選択され;
R6は、水素またはメチルからなる群から選択され;
R7は、Hおよび-C(O)CR6=CH2からなる群から選択され;
ただし、R1およびR2のうち少なくとも1つがヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリールおよびアリールアルキルからなる群から選択される。
【0012】
第3の態様において、本発明は対象の微生物感染を処置または予防する方法を提供し、この方法は式Iの化合物または式IIの化合物を対象に投与するステップを包含する。
【0013】
第4の態様において、本発明は表面の微生物汚染を抑制または予防する方法を提供し、この方法は式Iの化合物または式IIの化合物を表面に施用するステップを包含する。
【0014】
第5の態様において、本発明は式Iの化合物または式IIの化合物および担体を含有する医薬製剤を提供する。
【0015】
第6の態様において、本発明はR3が-C(O)CR6=CH2である式Iの化合物を提供する。
【0016】
第7の態様において、本発明はR3およびR7のうち少なくとも1つが-C(O)CR6=CH2から選択される式IIの化合物を提供する。
【0017】
好ましくは、R3およびR7の各々が-C(O)CR6=CH2から選択される。
【0018】
第8の態様において、本発明はオリゴマーまたはポリマーを形成するために使用される場合の第6または第7の態様による化合物を提供する。
【0019】
第9の態様において、本発明は第6または第7の態様による化合物を直接または1つもしくは複数の他のモノマーとオリゴマー化または重合することにより形成されるポリマーまたはオリゴマーを提供する。
【0020】
第10の態様において、本発明は化合物の末端ビニル基が官能基と反応する場合の第6または第7の態様の化合物を提供する。
【0021】
第11の態様において、表面に結合される場合の第6または第7の態様による化合物を提供する。
【0022】
第12の態様において、表面に結合される第6または第7の態様の1つまたは複数の化合物を含む表面を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
第1態様において、本発明は式I:
【0024】
【化4】

【0025】
の化合物を提供し、
式中
R1およびR2は、各々独立して水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、オキソアルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリールおよびアリールアルキルからなる群から選択され;
R3は、水素、ヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、オキソアルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルおよび-C(O)CR6=CH2からなる群から選択され;
R4およびR5は、各々、水素、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびアリールアルキルからなる群から選択されるが、ただし、R4およびR5のうち少なくとも1つは水素であり;
R6は、水素またはメチルからなる群から選択され;
ただし、R1およびR2のうち少なくとも1つがヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリールおよびアリールアルキルからなる群から選択される。
【0026】
本発明はまた、式Iの化合物の調製に使用される開始物質を提供する。これら開始物質は、それら自体で抗菌活性を有することが見出された。
【0027】
したがって、第2の態様において、本発明は式II:
【0028】
【化5】

【0029】
の化合物を提供し、
式中
R1およびR2は、各々独立して水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、オキソアルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、およびアリールアルキルからなる群から選択され;
R3は、水素、ヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、オキソアルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、アリールアルキルおよび-C(O)CR6=CH2からなる群から選択され;
R4は、水素、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびアリールアルキルからなる群から選択され;
R6は、水素またはメチルからなる群から選択され;
R7は、Hおよび-C(O)CR6=CH2からなる群から選択され;
ただし、R1およびR2のうち少なくとも1つがヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリールおよびアリールアルキルからなる群から選択される。
【0030】
好ましくは、R4およびR5の各々は水素である。
【0031】
好ましくは、R2はヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリールおよびアリールアルキルからなる群から選択される。
【0032】
好ましい形態において、上記化合物は、実施例で述べられる以下の化合物:5-メチレン-4-フェニル-ジヒドロ-ピロール-2-オン、1-メチル-5-メチレン-4-フェニル-ジヒドロ-ピロール-2-オン、5-メチレン-1,4-ジフェニル-ジヒドロ-ピロール-2-オン、4-(4'-ブロモフェニル)-5-メチレン-2-ジヒドロ-ピロール-2-オン、4-ベンジル-5-メチレン-ジヒドロ-ピロール-2-オン、4-(4'-メトキシフェニル)-5-メチレン-ジヒドロ-ピロール-2-オン、5-メチレン-4-(4'-フルオロフェニル)-ジヒドロ-ピロール-2-オン、5-メチレン-4-(4'-トリフルオロメチルフェニル)-ジヒドロ-ピロール-2-オン、5-メチレン-4-(3'-トリフルオロメチルフェニル)-ジヒドロ-ピロール-2-オン、5-メチレン-4-(2'-フルオロフェニル)-ジヒドロ-ピロール-2-オンおよび5-メチレン-4-(3'-フルオロフェニル)-ジヒドロ-ピロール-2-オンからなる群から選択される。
【0033】
第3の態様において、本発明は対象の微生物感染を処置する方法を提供し、この方法は、対象に式Iまたは式IIの化合物を投与するステップを包含する。
【0034】
微生物感染とは、細菌感染、原虫感染または真菌感染でありうる。好ましくは、この感染は、細菌感染である。
【0035】
適した投与の方法は、国際特許出願第2004/016588号に開示され、この開示は参考として本明細書により援用される。本発明の方法により処置されうる細菌感染のタイプの例もまた、国際特許出願第2004/016588号に開示される。
【0036】
本発明の化合物は、クオラムセンシング阻害剤として作用しうる。したがって、本化合物は、クオラムセンシングの阻害が所望される任意の用途における使用を見出す。例えば、本発明の化合物は、クオラムセンシングシステムおよび/または他の細胞外システムの阻害を介する微生物によるバイオフィルムの確立および病原性の発現の予防における使用を有しうる(例えば、国際公開公報第01/047681号を参照せよ。この開示はその全体が本明細書中に援用される)。
【0037】
クオラムセンシング経路(例えば、ホモセリンラクトンを含む経路)は、広範囲の細菌に存在する。バイオフィルムの形成は、クオラムセンシングの一例である。
【0038】
以下は、細胞間連絡のためにホモセリンラクトンを使用するメンバーを有するグラム陰性細菌の群の非網羅的リストである。例えば、嫌気性グラム陰性直線状、屈曲型およびらせん状桿菌;バクテロイデス科;リケッチア属およびクラミジア属;異化型硫酸菌または硫酸塩還元菌;マイコプラズマ属;ミコバクテリウム;出芽細菌および/または附属細菌;有鞘細菌;ノカルジア型細菌;ならびに放線菌類。本明細書中に参考として援用されるBergey's Manual of Systematic Bacteriology、第1版、編集長John G.Holt(1984)を参照せよ。
【0039】
さらに本発明の化合物により処置されうる微生物感染として、黄色ブドウ球菌(Staph.aureus)、表皮ブドウ球菌(Staph epidermis)、セラチア属種(Serratia spp.)、ビブリオ属種(Vibrio spp.)、および肺炎連鎖球菌(Strep.pneumonia)により引き起こされる細菌感染;アカントアメーバ(Acanthamoeba)により引き起こされる原虫感染;ならびにフザリウム属種(Fusarium spp.)により引き起こされる真菌感染が挙げられる。
【0040】
好ましくは、第3の態様の方法は、バイオフィルム形成を特徴とする対象において微生物感染を処置または予防するために使用されうる。
【0041】
本発明は、1種類の生物に由来するバイオフィルムおよび混合バイオフィルムに適している。「混合バイオフィルム」とは、2種以上の微生物によって作り出されたバイオフィルムを意味する。混合バイオフィルムは、細菌、藻類、真菌および原生動物からなる群から少なくとも2種の生物によって作られることが想定される。
【0042】
バイオフィルムが関与するヒト感染症の非限定的な例として、齲蝕、歯周炎、中耳炎、筋骨格感染症、壊死性筋膜炎、胆道感染症、骨髄炎、細菌性前立腺炎、自然弁心内膜炎、
嚢胞性線維症肺炎、類鼻疽、および院内感染(例えば、ICU肺炎、尿路カテーテル膀胱炎、腹膜透析(CAPD)腹膜炎、および胆管ステント閉塞)が挙げられる。バイオフィルム形成は、縫合線、出口部位、動静脈部位、強膜バックル、コンタクトレンズ、IUD、気管内チューブ、ヒックマンカテーテル、中心静脈カテーテル、機械心臓弁、血管移植片、矯正装置、人工陰茎に影響を及ぼしうる。さらなる用途は、Costerton Jら、(1999)第284巻、Science 1318〜1322頁ならびにCosterton JおよびSteward、(2001)Battling Biofilms、Scientific American 75〜81頁に記載され、この開示は参考として本明細書中に援用される。
【0043】
バイオフィルムが形成されうる他の場所として、歯周病および虫歯の原因となりうる歯垢、眼の感染症の原因となりうるコンタクトレンズ、慢性感染症の原因となりうる耳、ならびに肺炎の原因となりうる肺が挙げられる。
【0044】
感染症は、嚢胞性線維症であってもよい。この感染は、皮膚感染、熱傷後感染および/または創傷感染の結果生じるものでありうる。本発明の方法および組成物は、免疫に欠陥のある個体における感染の処置に特に適していると考えられる。
【0045】
本発明の化合物は、表面の微生物汚染を、特にバイオフィルムの形成を予防することにより予防することに、特に効果的であることが示された。
【0046】
したがって、第4の態様において、本発明は表面の微生物汚染を抑制する方法を提供し、この方法は表面に式Iまたは式IIの化合物を施用するステップを包含する。
【0047】
上記微生物汚染は、原生動物汚染、真菌汚染または細菌汚染でありうる。
【0048】
好ましい形態において、上記微生物汚染は細菌汚染である。より好ましい形態において、細菌汚染はバイオフィルムである。
【0049】
表面は任意の天然または人工の表面である。「人工表面」とは、天然には生じない任意の表面を意味する。1つの実施形態において、上記表面は、ヒトまたは動物の外部表面(例えば、皮膚)または内部表面ではない。別の実施形態において、上記表面は、ヒトまたは動物の外部表面または内部表面である。式Iまたは式IIの化合物を使用して処置される表面の例は、国際特許出願第2004/016588号に開示される。
【0050】
化合物は、任意の適した手段により施用されうる。例えば、化合物は国際特許出願第2004/016588号に記載される技術および表面を使用して表面に結合されうる。
【0051】
適した表面は、細菌汚染を予防するのが望ましい物品の表面を含む。これらとして:医療用デバイス、例えば、移植可能な生物医学的デバイス(例えば、尿管カテーテル、経皮アクセスカテーテル、ステント、整形外科用インプラント、骨および歯科用のセラミックおよびポリマー)および非移植型デバイス(例えば、コンタクトレンズ、コンタクトレンズ保存容器)などが挙げられる。
【0052】
他の適した表面として、石油およびガスを配給するために使用されるパイプおよび管の内部が挙げられる。油送管の内部表面は、パイプライン中の石油の流れおよびしたがってその働きを妨げるバイオフィルムにより容易に汚染されうる。
【0053】
上記物品を形成する材料は、金属、セラミック、固体合成ポリマー、または固体天然ポリマー、例えば固体バイオポリマーでありうる。本発明に有用な材料の例は、チタン、ヒドロキシアパタイト、ポリエチレン(整形外科用インプラントに有用な材料である)、ポリウレタン、オルガノシロキサンポリマー、過フッ素化ポリマー(例えばカテーテル、軟組織増強および心臓弁などの血液と接触するデバイスに有用な材料である)、アクリル系ヒドロゲルポリマー、HEMA/GMAポリマーおよびシリコン/シロキサン系ヒドロゲルポリマー(例えば、コンタクトレンズおよび眼内レンズ用)など、ならびにそれらの任意の組合せである。さらに口腔ケアに使用される樹脂複合材、樹脂成分、および樹脂改変ガラスイオノマーが挙げられる。これら材料の表面は、化学的に不活性であっても、または反応性官能基を含んでもよい。
【0054】
さらに物品の例として、保存を意図した記録文書、骨董品および美術品、希少かつ貴重な種子(例えば、自然保護団体の種子バンク)などが挙げられるが、この場合、基材は紙、生地、または他の天然もしくは合成材料でありうる。
【0055】
上記物品は、例えば国際公開公報第99/05227号に記載の甲殻類または水産養殖装置でありうるが、この開示は参考として本明細書中に援用される。
【0056】
上記物品の表面は、あらゆる硬い表面、例えば金属、有機および無機ポリマー表面、天然および合成エラストマー、板、ガラス、木、紙、コンクリート、岩石、大理石、石膏およびセラミック材料(これらは例えば塗料、エナメルなどで場合によってコーティングされる);またはあらゆる柔らかい表面、例えばあらゆる種類の繊維(糸、繊維、植物繊維、岩綿、毛など);または多孔質表面;皮膚(ヒトもしくは動物);角質物質(爪など)でありうる。上記硬い表面は、プロセス用機器または冷却装置の構成部品、例えば冷却塔、水処理プラント、乳製品製造所、食品加工プラント、化学品または医薬品の加工プラントに存在しうる。多孔質表面は、フィルター、例えばメンブランフィルターに存在しうる。
【0057】
本発明に従って処理されうる物品表面の特定の例として、便器、浴槽、排水管、子供用イス、カウンター甲板、野菜、食肉加工室、肉屋、食品調理場、エアダクト、空調機器、カーペット、紙または織物製品処理、おむつ、個人の衛生製品(例えば、生理用ナプキン)および洗濯機が挙げられるがこれらに限定されない。本化合物は、汚れを防止する、かつ除去するためのトイレ用投入型またはスプレー型デバイス、およびトイレ用の縁下の洗剤の形態をとりうる。本発明の化合物はまた、床、作業台、壁などの産業用表面、ならびに病院(例えば、手術室内の表面)、動物病院などの医療施設、および死体置き場や葬儀場における床、作業台、壁や他の表面の清浄化への適用を有する。
【0058】
さらに処理されうる表面の例として、排水管、釉薬をかけた陶器、磁器、ガラス、金属、木、クロムめっきしたもの、プラスチック、ビニル製品および耐熱性合成樹脂などの硬く柔軟でない表面、またはシャワーカーテン、室内装飾品、洗濯物および敷物類などの柔らかく柔軟性のある表面が挙げられる。また、織物および不織布ならびに多孔質および非多孔質表面のいずれも適していると想定される。
【0059】
本化合物は、任意の適した手段により施用されうる。例えば、本化合物は、国際特許出願第2004/016588号に記載される技術および表面を使用して表面に結合されうる。例として、当業者に周知の方法により、例えば化合物を他のモノマーとともに共重合することによるか、または化合物をポリマーバックボーンに化合物を結合させることにより、オリゴマーまたはポリマーの一部として本発明の化合物を提供するステップが挙げられる。
【0060】
固体表面に対する有機分子の共有結合固定化の方法は、当業者に周知である。共有結合性の界面結合の形成を導く界面反応は、周知の有機合成反応から導かれる。固定化反応の選択は、基体材料の性質および特定の用途に所望される本発明の化合物の化学組成物の両方により決まる。
【0061】
例えば、環系に対して末端の側鎖にヒドロキシル基を含む化合物は、エポキシ化された表面への多糖の固定化に関するLiら、Surface Modification of Polymeric Biomaterials(BD RatnerおよびDG Castner編)、Plenum Press、NY、1996、165〜173頁(この開示はその全体が本明細書中に援用される)に記載される反応経路に類似のエポキシド化学反応を使用して、表面に結合したイソシアネート基を介して熱処理により安定なウレタン結合を生成するか、または表面上カルボン酸基もしくはその同等物、例えば酸塩化物を介してエステル結合を生成し、表面に共有結合されうる。アルデヒド基を含む化合物は、還元的アミノ化反応を使用して表面のアミン基に結合されうる。カルボン酸基を含む化合物は、カルボジイミド化学反応を使用して表面のアミン基に結合されうる。
【0062】
界面カップリング反応は、所望される共有結合を達成する能力だけでなく、結合されるべきフラノン化合物に対する悪影響を避けるために当然選択されるべきである。特に、フラノン環系は、アルカリ性条件に対して不安定となる傾向がある。このような制限は、当業者に周知である。当技術分野で公知の多くの考えられる界面カップリング反応の中に、適したpH範囲、かつ種々の位置で種々の官能基により置換されたフラノンを用いて進行される反応の選択に十分な余地がある。
【0063】
いくつかの固体基体材料は、化合物上のパートナー基と化学反応して、それにより直接、共有結合性の界面結合を形成しうる、反応性の表面化学基を有する。
【0064】
あるいは、in situ共有結合が、適した化合物の存在下で二官能性リンカー分子を活性表面に添加することにより直接形成されるか、または二官能性リンカー分子および次いで適した化合物を連続して添加することにより段階的に形成されうる。フラノン化合物を直接固体基体材料上に固定化することが常に可能とは限らない。このような場合、表面の活性化、または1つもしくは複数の界面結合層を使用して、化合物の共有結合性固定化をもたらす。
【0065】
固体基体材料の表面活性化は、多くの様式により達成されうる。例として、ポリマーのコロナ放電処理または低圧プラズマ処理がある。これらの方法は、ポリマー表面に種々の官能基を導入することが周知である。
【0066】
代替のアプローチは、固体基体材料または医療用デバイスと化合物層との間に散在する界面結合層を提供することである。薄い界面結合層の塗布は、浸漬コーティング、スピンコーティングまたはプラズマ重合などの方法を使用して行うことができる。結合層の化学反応は、適した反応化学基がこの層の表面上に提供され、この基が本発明の化合物との反応のために利用しやすいように選択される。
【0067】
特に、用途が広いのは、多層の薄い界面結合層の後からの塗布である。この方法は、様々な官能化フラノンの固定化のために表面上に非常に広範囲の所望される化学基を提供し、生物学的有効性について最適化された化合物の使用を可能にする。
【0068】
化合物の薄い表面コーティングされた層を提供することにより、本発明の抗菌性デバイスの光学的な質は低下せず、これにより本発明をコンタクトレンズおよび眼内レンズなどの透明な眼科用デバイスに適用可能とする。
【0069】
本発明は、コーティングが施された固体材料に抗菌特性および/または抗真菌特性を与える薄い表面コーティングを提供する。より詳細には、本コーティングは、生物医学用デバイスが細菌によりコロニー形成された場合、そのデバイスを使用するヒトの健康に悪影響を引き起こす細菌による生物医学用デバイスのコロニー形成を減少または予防するように設計され得る。
【0070】
あるいは、本化合物は製剤の形態で施用されうる。
【0071】
したがって、第15の態様において、本発明は、式Iまたは式IIの化合物および担体を含有する製剤を提供する。
【0072】
式Iまたは式IIの化合物とともに使用されうる担体のタイプの例は、国際特許出願第2004/016588号に開示される。
【0073】
上記製剤は、任意の適した形態でありうる。この製剤は担体または希釈剤を含有しうる。この担体は、液体または固体でありうる。例えば、組成物は液体中の化合物のうちの少なくとも1つの溶液または懸濁液の形態でありうる。この液体は、水性溶媒または非水性溶媒であってよい。この液体は1つまたは複数の有機溶媒からなるか、またはそれを含みうる。この液体はイオン性液体であってもよい。担体または希釈剤の特定の例として、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、シクロデキストリンおよびそれらの誘導体が挙げられるが、それらに限定されない。
【0074】
上記組成物は、送達のためにエアロゾールまたは粉末の形態で製剤されうる。
【0075】
この組成物は、有機または無機のポリマー物質を含有しうる。例えば、本発明の化合物は、ポリマーと混合されるか、またはポリマーに結合されるか、またはポリマーに吸着されうる。
【0076】
この組成物が殺菌用製剤または洗浄製剤として製剤されるべき場合、組成物は、そのような製剤に使用される従来の添加物を含有しうる。この製剤の物理的形態の非限定的例として、粉末、溶液、懸濁液、分散体、乳濁液およびゲルが挙げられる。
【0077】
本発明の化合物は、表皮用の包帯およびローションに含有されうる。あるいは、本発明の化合物は、化粧用製剤、例えば、アフターシェーブローション、スキンクリーム、デオドラントおよびふけ予防シャンプーに含有されうる。
【0078】
本発明の組成物は、清浄化に有効な量の上記の活性化合物を含有する水溶液または懸濁液の形態でありうる。清浄化組成物は、家庭または産業環境においてトイレおよび他の濡れた、または断続的に濡れた表面の汚れを防止、除去および清浄化するためにスプレー、分配可能な液体、またはトイレタンク投入型、トイレの縁下の製品の形態でありうる。
【0079】
本発明の組成物は、さらに陰イオン性、非イオン性、両性、生物学的界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤を含有する。もっとも好ましい界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウムである。
【0080】
1つまたは複数のアジュバント化合物を、本発明の清浄化溶液に添加しうる。これらの化合物は、殺生物剤、殺真菌剤、抗生物質およびそれらの混合物のうちの1つまたは複数から選択され、浮遊生物に影響を与える。pH調節剤、香料、染料または着色料もまた添加してもよい。さらにアジュバントは、EDTAまたはFDSなどの細胞浸透性物質であり得る。
【0081】
好ましい形態において、「活性化合物の清浄化有効量」とは、活性化合物に曝露されなかったバイオフィルムと比較したときのバイオフィルム内の細菌数の減少により決定して、バイオフィルムから少なくとも10%の細菌を除去するために必要とされる化合物の量を意味する。
【0082】
好ましくは、本製剤は医薬製剤である。
【0083】
医薬使用のための製剤は、当業者に公知の薬学的に許容される担体、希釈剤および賦形剤を含みうる。この製剤は、経口または非経口投与用に製剤される。製剤は、局所、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜外、眼および経口経路を含む導入方法のために製剤されうるが、これらに限定されない。これらは、任意の使いやすい経路(例えば、注入もしくはボーラス注射)による投与、上皮または皮膚粘膜(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)を介した吸収による投与用に製剤され、そして他の生物学的活性物質とともに投与してもよい。投与は、局所的または全身的に行われうる。この製剤は、脳室内および髄腔内注射用に製剤されうる。
【0084】
肺投与もまた、例えば吸入器またはネブライザーの使用、およびエアロゾール化剤を有する製剤により実施されうる。
【0085】
特定の好ましい実施形態において、上記製剤は、抗生物質および清浄化剤などの他の活性物質をさらに含有する。
【0086】
本発明の他の実施形態において、上記製剤は、歯磨き剤、口腔洗浄液または齲蝕処置用組成物として製剤されうる。この組成物は、座瘡の処置またはコンタクトレンズ洗浄および殺菌のために製剤されうる(例えば、生理食塩水として)。
【0087】
本発明者らはまた、ビニル基を用いて官能化される式Iおよび式IIの化合物の類似体を調製する方法を考案した。ビニル基は、官能化化合物を容易にポリマーを取り込ませ、かつ/または表面に結合されるようにする。
【0088】
したがって、第6の態様において、本発明は、R3が-C(O)CR6=CH2である式Iの化合物を提供する。
【0089】
さらに、第7の態様において、本発明は、R3およびR7のうち少なくとも1つが-C(O)CR6=CH2から選択される式IIの化合物を提供する。
【0090】
第8の態様において、本発明は、オリゴマーまたはポリマーを形成するために使用される場合の第6または第7の態様の化合物を提供する。
【0091】
好ましくは、オリゴマーまたはポリマーは、第6または第7の態様の化合物の末端ビニル基の重合により形成される。
【0092】
第9の態様において、本発明は、第6または第7の態様の化合物を直接または1つもしくは複数の他のモノマーとオリゴマー化または重合化することにより形成されるポリマーまたはオリゴマーを提供する。
【0093】
1つまたは複数の他のモノマーは、任意の適した重合可能なコモノマー、例えばアクリレートエステル(例えば、アルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキルまたは置換アリールのアクリレートまたはメタクリレート、クロトン酸エステル、置換もしくは非置換アクリロニトリル、ビニルアルコールもしくは酢酸ビニルおよびスチレン)でありうる。
【0094】
第6および第7の態様の化合物のビニル基は、他の不飽和系との重合または反応を可能にする。また、例えばMichael付加による他の官能基との反応を可能にする。共有結合を与えるためにビニル基を官能基と反応させるための他のストラテジーは、当業者に周知である。
【0095】
したがって、第10の態様において、本発明は、化合物の末端ビニル基が官能基と反応される場合、第6または第7の態様の化合物を提供する。
【0096】
上記官能基は、例えば、アミン基またはチオール基でありうる。好ましくは、上記反応はアミンを用いる。より好ましくは、第1級アミン。
【0097】
表面に結合される第6または第7の態様の化合物を含む表面は、細菌による表面のコロニー形成を予防または抑制することが期待される。
【0098】
したがって、第11の態様において、表面に結合される場合の第6または第7の態様の化合物が提供される。
【0099】
上に言及されるように、本発明による化合物が結合されうる適した表面は、国際特許出願第2004/016588号に記載される。好ましい形態において、この表面はコンタクトレンズの表面である。
【0100】
好ましくは、第6または第7の態様の化合物は、化合物の末端ビニル基の官能基との反応により表面に結合される。
【0101】
より好ましくは、上記官能基は第1級アミンである。
【0102】
第12の態様において、表面に結合される1つまたは複数の式IIの化合物を含む表面を提供する。
【0103】
用語「アルキル」は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルなどの直鎖および分枝鎖アルキル基のどちらも意味すると理解される。好ましいアルキル基は、1〜10個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子の低級アルキル基である。
【0104】
特定の実施形態において、アルキル基の炭素鎖は、1つまたは複数のヘテロ原子で中断される。例えば、式-(CH2CH2O)nHの形態のポリエチレングリコール基は、そのような実施形態のアルキル基であると理解されるべきである。
【0105】
本明細書中で使用される場合、用語「シクロアルキル」は、環状炭化水素基をいう。適したシクロアルキル基として、シクロプロピル、シクロブチルおよびシクロへキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
用語「アルコキシ」は、直鎖または分枝鎖アルキルオキシ、好ましくはC1〜10のアルコキシを示す。例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシおよび種々のブトキシ異性体が挙げられる。
【0107】
用語「アルケニル」は、直鎖、分枝鎖、または単環もしくは多環式アルケンおよびポリエンから形成される基を包含する。置換基は、前記で定義されたように、単不飽和または多価不飽和アルキルまたはシクロアルキル基を包含し、好ましくはC2〜10アルケニルを包含する。アルケニルの例として、ビニル、アリル、1-メチルビニル、ブテニル、イソブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-ペンテニル、シクロペンテニル、1-メチル-シクロペンテニル、1-ヘキセニル、3-ヘキセニル、シクロヘキセニル、1-ヘプテニル、3-ヘプテニル、1-オクテニル、シクロオクテニル、1-ノネニル、2-ノネニル、3-ノネニル、1-デセニル、3-デセニル、1,3-ブタジエニル、1,4-ペンタジエニル、1,3-シクロペンタジエニル、1,3-ヘキサジエニル、1,4-ヘキサジエニル、1,3-シクロヘキサジエニル、1,4-シクロヘキサジエニル、1,3-シクロヘプタジエニル、1,3,5-シクロヘプタトリエニル、または1,3,5,7-シクロオクタテトラエニルが挙げられる。
【0108】
本明細書中で使用される場合、用語「アルキニル」は、1つまたは複数の三重結合を含む直鎖または分枝鎖炭化水素基をいう。適したアルキニル基として、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキセニルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0109】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を含み、好ましくは臭素またはフッ素である。
【0110】
用語「ヘテロ原子」は、O、N、SまたはSiを示す。
【0111】
単独で、または「アシルオキシ」、「アシルチオ」、「アシルアミノ」もしくは「ジアシルアミノ」などの複合語のいずれかで使用される用語「アシル」は、アルカノイル、アロイル、ヘテロイル、カルバモイル、アルコキシカルボニル、アルカンスルホニル、アリールスルホニルを意味するが、好ましくはC1〜10アルカノイルである。アシルの例として、カルバモイル;直鎖もしくは分枝鎖アルカノイル、例えばホルミル、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2-メチルプロパノイル、ペンタノイル、2,2-ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル;アルコキシカルボニル、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル、t-ペンチルオキシカルボニルもしくはヘプチルオキシカルボニル;シクロアルカンカルボニル、例えばシクロプロパンカルボニル、シクロブタンカルボニル、シクロペンタンカルボニルもしくはシクロヘキサンカルボニル;アルカンスルホニル、例えばメタンスルホニルもしくはエタンスルホニル;アルコキシスルホニル、例えばメトキシスルホニルもしくはエトキシスルホニル;ヘテロシクロアルカンカルボニル;ヘテロシクリルアルカノイル、例えばピロリジニルアセチル、ピロリジニルプロパノイル、ピロリニルアセチル、ピロリルアセチル、ピロリジニルブタノイル、ピロリジニルペンタノイル、ピロリジニルヘキサノイルもしくはチアゾリジニルアセチル;ヘテロシクリルアルケノイル、例えばヘテロシクリルプロペノイル、ヘテロシクリルブテノイル、ヘテロシクリルペンテノイルもしくはヘテロシクリルヘキセノイル;またはヘテロシクリルグリオキシロイル、例えばチアゾリジニルグリオキシロイルもしくはピロリジニルグリオキシロイルが挙げられる。
【0112】
用語「アリール」は、6から10個の炭素原子を有するアリール基をいい、例えばフェニル、ナフチル、インデニルが挙げられる。好ましくは、アリール基はフェニルまたはナフチルである。
【0113】
用語「アリールアルキル」は、アリール置換基を有するアルキル鎖を含むベンジル基およびフェネチル基などの基を含む。
【0114】
用語「ヘテロシクリル」は、単環、多環、縮合または共役した炭化水素残基を含み、好ましくはC3〜6であり、ここで1つまたは複数の炭素原子(および適切な場合、それらに結合した水素原子)はヘテロ原子により置換されて、非芳香族残基を提供する。適したヘテロ原子として、O、NおよびSが挙げられる。2つ以上の炭素原子が置換される場合、これは2つ以上の同じへテロ原子または異なるヘテロ原子により置換されうる。適した複素環基の例として、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリノ、キノリニル、イソキノリニル、チオモルホリノ、ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニルおよびテトラヒドロピロリルが挙げられる。
【0115】
用語「ヘテロアリール」は、O、NおよびSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含む5または6員環芳香族複素環を含む。適したヘテロアリール基の例として、テトラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、オキサゾリルおよびオキサジアゾリルが挙げられる。
【0116】
各アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、オキソアルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリールおよびアリールアルキル基は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ハロ、カルボキシル、ハロアルキル、ハロアルキニル、ヒドロキシ、置換または非置換アルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ニトロ、アミノ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロヘテロシクリル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルアミン、アルキニルアミノ、アシル、アルケノイル、アルキノイル、アシルアミノ、ジアシルアミノ、アシルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヘテロシクロアミノ、ハロヘテロシクリル、アルキルスルフェニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルチオ、アシルチオ、リン含有基(例えばホスホノおよびホスフィニル)から選択される1つまたは複数の基により場合によって置換されてもよい。
【0117】
本発明の本質をより明瞭に理解するために、それらの好ましい形態を以下の非限定的な実施例を参照して記載する。
【0118】
(実施例)
(実施例1)
化合物の合成
一般的手順:
反応スキーム:
【0119】
【化6】

【0120】
3-フェニル-4-オキソ-2-ペンテン酸の合成
グリオキシル酸(42.3g;0.45mol)、フェニルアセトン(40.2g;0.3mol)およびリン酸(30ml;85%)を一緒に75〜80℃で5時間加熱し、その後この混合物を、室温で一晩冷却した。この暗色の反応混合物をブライン(100ml)中に注ぎ、CH2Cl2:Et2O(1:1;v/:v)(3×50ml)で抽出した。合わせた抽出物を3回ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、減圧下に蒸発させ茶色のシロップ状の油状物を得た(50g)。このシロップをジクロロメタン(100ml)中に再溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム(3×65ml)で抽出した。この有機相を乾燥(Na2SO4)、蒸発させると、5-ヒドロキシ-5-メチル-4-フェニル-2(5H)フラノンが保存中に凝固するシロップ状の油状物(3.3g;6%)として得られた。CH2Cl2/石油エーテルからの無色結晶、融点105〜107℃。
【0121】
合わせた重炭酸溶液を2M塩酸で酸性にし、CH2Cl2(3×40ml)で抽出した。このジクロロメタン抽出物をブラインで洗浄し、乾燥(Na2SO4)、蒸発させると、3-フェニル-4-オキソ-2-ペンテン酸が、冷蔵庫内に置くと凝固する淡黄色油状物(41g;72%)として得られた。石油エーテル/CH2Cl2からの無色結晶、融点70℃。
【0122】
反応スキーム:
【0123】
【化7】

【0124】
スキーム1:5-メチレン-4-フェニル-ジヒドロ-ピロール-2-オンの合成
上記酸(4.57g;0.024mol)を塩化チオニル(20ml)中に溶解し、1.5時間加熱還流した。過剰の塩化チオニルを減圧下で除去し、5-クロロ-5-メチル-4-フェニル-2(5H)フラノンと推定されるこの残留油状物(5.0g)をジクロロメタン(10ml)中に溶解し、氷浴中で冷却した。濃アンモニア水(15M、20ml)を1時間かけて滴下し、この反応混合物を室温で一晩攪拌した。この混合物を酢酸エチル(3×20ml)で抽出し、合わせた有機相を乾燥させ(硫酸ナトリウム)、シリカのプラグ(EtOAc:CH2Cl2;1:1)を使用してフラッシュクロマトグラフ分析すると、薄茶色の固体として5-ヒドロキシ-5-メチル-4フェニル)-ジヒドロ-ピロール-2-オン(2.83g;62.4%)が得られた。
【0125】
ジクロロメタン(20ml)中のジヒドロ-ピロロン(0.50g;2.65mmol)およびP205(0.50g;3.52mmol)の混合物をすべてのピロロンが溶解するまで室温で30分間攪拌した。この混合物をセライト/シリカベッドに通して濾過し、CH2Cl2/EtOAc(1:1)で洗浄した。合わせた濾過物および洗浄物を蒸発させると5-メチレン-4-フェニル-2(5H)-ピロロンが淡黄色の固体(0.34g;75%)として残った。
【0126】
1-メチル-5-メチレン-4-フェニル-ジヒドロ-ピロール-2-オンの合成
【0127】
【化8】

【0128】
上記酸(0.25g:1.32mmol)を3時間、SOCl2(10ml)とともに加熱還流した。過剰の塩化チオニルを減圧下で除去し、この残渣をジクロロメタン(20ml)中に溶解した。この残渣を氷浴中で冷却し、メチルアミンの水溶液(10ml;24%)を10分間にわたり添加した。この混合物を室温で一晩攪拌した。この有機相を分離、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下に蒸発させ、残った半固体(0.25g)を、溶出液としてEtOAcを使用してクロマトグラフ分析すると、1,5-ジメチル-5-ヒドロキシ-4-フェニル-2(5H)ピロロン(0.21g;79%)が無色固体、融点148〜152℃として得られた。
【0129】
上記アルコールをジクロロメタン(10ml)中に溶解し、P2O5(1g)とともに1時間攪拌した。この混合物をセライト/シリカベッドに通して濾過し、CH2Cl2/EtOAc(1:1)で洗浄した。合わせた濾過物および洗浄物を蒸発させ、EtOAc/CH2Cl2(1:19)を使用してクロマトグラフ分析すると、1-メチル-5-メチレン-4-フェニル-2(5H)ピロロンが無色固体(0.24g;49%)として得られた。1H NMR δ(CDCl3):7.42〜7.44(m,5H,ArH's);6.21(s,1H,C3-H)および3.18(s,3H,N-Me)。
【0130】
5-メチレン-1,4-ジフェニル-ジヒドロ-ピロール-2-オンの合成
【0131】
【化9】

【0132】
5-ヒドロキシ-5-メチル-4-フェニル-2(5H)フラノン(0.20g;1.05mmol)を、トルエン(7ml)中のアニリン溶液(2ml)に添加した。この混合物を24時間攪拌しながら加熱還流した。室温まで冷却した後、酢酸エチル(20ml)を混合物に添加し、この混合物をHCl(2M)で洗浄した。溶媒を減圧下に蒸発させ、CH2Cl2/EtOAc(19:1)を使用してクロマトグラフ分析すると、5-ヒドロキシ-5-メチル-1,4-ジフェニル-2(5H)ピロロン(0.12g;44%)が得られた。
【0133】
上記化合物をトルエン溶液中、少量のp-TSOHの結晶で0.5時間加熱還流した。この混合物を冷却し、クロマトグラフ分析すると、5-メチレン-1,4-ジフェニル-ジヒドロ-ピロール-2-オン(0.05g)が得られた。
【0134】
5-メチレン-4-(4'-フルオロフェニル)-ジヒドロ-ピロール-2-オンの合成
【0135】
【化10】

【0136】
上記酸(1.5g;6.74mmol)を塩化チオニル(10ml)中に溶解し、3時間加熱還流した。過剰の塩化チオニルを減圧下で除去し、残留油状物(1.8g)をジクロロメタン(20ml)中に溶解し、氷浴中で冷却した。少量の酢酸アンモニウムの結晶に続き濃アンモニア水(15M、15ml)を1時間にわたり滴下し、この反応混合物を室温で一晩攪拌した。この混合物を酢酸エチル(3×20ml)で抽出し、合わせた有機相を乾燥(硫酸ナトリウム)、蒸発させると、5-ヒドロキシ-5-メチル-4(4'-フルオロ-フェニル)-ジヒドロ-ピロール-2-オン(0.70g)が薄茶色の固体として得られた。1H NMR:δ(CDCl3):7.78〜7.83,2H,m,Ar H's);7.1〜7.14(2H,t,Ar H's);6.67(s,1H,-NH);6.10〜6.11(d,1H,C3-H);3.65(br,1H,-OH)。
【0137】
上記ラクタム(0.18g;0.87mmol)を乾燥ジクロロメタン(10ml)中に溶解し、BF3.Et2O(0.15ml)を滴下しながら氷浴中で冷却した。この混合物を1時間氷中で攪拌し、次いで室温で一晩攪拌した。この溶液を減圧下に蒸発させた。残渣をCH2C12中に再溶解、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下、溶媒を蒸発させると、5-メチレン-4-(p-フルオロフェニル)-2(5H)ピロロンが薄茶色の固体(0.15g;91%)として得られた。1H NMR:δ(CDCl3):7.40〜7.46(2H,m,Ar H's);7.18(2H,m,Ar H's);6.25(s,1H,C3-H);5.06(d,1H,C5=CH2)および5.31(d,1H,C5=CH2)。
【0138】
4-(4'-ブロモフェニル)-5-メチレン-2(5H)ピロロンの合成
【0139】
【化11】

【0140】
ジクロロメタン(20ml)中の4-(4'-ブロモフェニル)-5-ヒドロキシ-5-メチル-2(5H)ピロロン(0.17g;0.63mmol)およびP2O5(0.50g)の混合物を、室温ですべてのピロロンが溶解するまで45分間攪拌した。この混合物をジクロロメタンで希釈し、セライト/シリカベッドを通して濾過した。このセライトベッドをCH2Cl2/EtOAc(1:1)で洗浄し、合わせた濾過物および洗浄物を蒸発させ、クロマトグラフ分析すると、4-(4'-ブロモフェニル)-5-メチレン-2(5H)ピロロン(0.06g;35%)が淡黄色の固体、融点200℃(分解)として得られた。1H NMR:δ(CDCl3):8.3(s,1H,NH);7.57〜7.6(d,2H,Ar H's);7.29〜7.32(d,2H;Ar H's);6.23(s,1H,C3-H);5.15(d,1H,C5=CH2)および4.95(d,1H,C5=CH2)。
【0141】
4-(4'-メトキシフェニル)-5-メチレン-2(5H)ピロロンの合成
【0142】
【化12】

【0143】
乾燥ジクロロメタン(10ml)中の5-ヒドロキシ-5-メチル-4-(4'-メトキシフェニル)-2(5H)ピロロン(0.15g;0.68mmol)およびP2O5(lg;7mmol))の混合物を0.5時間室温で攪拌し、この間にラクタムが溶解した。この混合物をジクロロメタン(20ml)で希釈し、セライト/シリカパッドを通して濾過した。溶媒を減圧下で除去し、この残渣をクロマトグラフ分析すると、4-(4'-メトキシフェニル)-5-メチレン-2(5H)ピロロン(0.61g;44%)が黄色の結晶固体として得られた。1H NMR δ(CDCl3)8.54(brs;,-NH);7.40(2H,d,Ar H's);6.95〜6.98(2H,d,Ar H's);6.16(1H,s,C3-H)5.02 9d,1H,C5=CH2);5.15(d,1H,C5=CH2)および3.85(3H,s,OMe)
【0144】
4-ベンジル-5-メチレン-ジヒドロ-ピロール-2-オンの合成
【0145】
【化13】

【0146】
上記酸(3.5g;0.017mol)を塩化チオニル(20ml)中に溶解し、0.5時間加熱還流した。過剰の塩化チオニルを減圧下で除去し、この残留油状物(2.86g)をジクロロメタン(20ml)中に溶解し、氷浴中で冷却した。アンモニア水(15M、7ml)を1時間かけて滴下し、この反応混合物を室温で一晩攪拌した。この混合物を酢酸エチル(3×20ml)で抽出し、合わせた有機相を乾燥させ(硫酸ナトリウム)、蒸発した。得られた茶色の油状物をクロマトグラフ分析すると、5-ヒドロキシ-5-メチル-4-ベンジル-ジヒドロ-ピロール-2-オン(0.45g)が無色固体として得られた。
【0147】
ジクロロメタン(20ml)中のジヒドロ-ピロロン(0.45g)およびP2O5(0.50g)の混合物を室温ですべてのピロロンが溶解するまで30分間攪拌した。この混合物をセライト/シリカベッドを通して濾過し、CH2Cl2/EtOAc(1:1)で洗浄した。合わせた濾過物および洗浄物を蒸発させると、4-ベンジル-5-メチレン-2(5H)-ピロロン(0.17g;42%)が淡黄色の固体として残った。1H NMR δ(CDCl3):8.66(brs;1H,NH);7.18〜7.31(5H;m,Ar H's);5.80(s,1H,C3-H);4.90〜4.95(d,2H,C5=CH2)および3.78(s,2H,-CH2Ph)。
【0148】
表1の化合物もまた上に提示された一般的な合成法により調製した。
【0149】
【表1】

【0150】
式IおよびIIの化合物のアクリレート誘導体およびメタクリレート誘導体の合成
【0151】
5-ヒドロキシ-5-メチル-4-フェニル-ジヒドロ-ピロール-2-オンのメタクリレート誘導体の調製
5-メチル-5-(2'-メチルプロプ-2-エノイルオキシ)-4-フェニル-ジヒドロピロール-2-オンおよび5-メチル-1-(2'-メチルプロプ-2-エノイル)-(2'-メチルプロプ-2-エノイルオキシ)-4-フェニル-ジヒドロピロール-2-オン
【0152】
【化14】

【0153】
乾燥CH2Cl2(20ml)中の疑似酸ラクタム(0.20g;1.06mmol)の懸濁液に、トリエチルアミン(1.5ml;10.76mmol)を添加し、氷浴中で冷却しながら攪拌した。乾燥CH2Cl2(3ml)中の塩化メタアクリロイル溶液(1ml;9.56mmol)を15分にわたり滴下した。この混合物を2時間、この温度で攪拌した。CH2Cl2/石油エーテル(2:1)でフラッシュカラムすると、メタクリレートが粘稠な黄色油状物(0.25g;92%)として得られた。
【0154】
5-メチル-5-(2'-メチルプロプ-2-エノイルオキシ)-4-フェニル-ジヒドロピロール-2-オン
1H NMR δ(CDCl3):7.85(m,2H,Ar H's);7.489(m,3H,Ar H's);6.32(1H,s,C4-H);5.41(s,1H,-NH);5.36(s,1H,=CH2);5.25(s,1H,=CH2);2.06(s,3H,Me)および2.0(s,3H,C5-Me)。
【0155】
5-メチル-1-(2'-メチルプロプ-2-エノイル)-5-(2'-メチルプロプ-2-エノイルオキシ)-4-フェニル-ジヒドロピロール-2-オン
1H NMR δ(CDCl3):7.64〜7.67(m,2H,Ar H's);7.44〜7.47(m,3H,Ar H's);6.48(1H,s,C4-H);6.23(s,1H,=CH2);5.66(d,1H,=CH2);5.32(d,2H,=CH2);2.1(s,3H,Me)および2.0(s,3H,C5-Me)、1.90(s,3H,C5-Me)。
【0156】
5-ヒドロキシ-5-メチル-4-フェニル-ジヒドロ-ピロール-2-オンのアクリレート誘導体の調製
5-メチル-5-(プロプ-2-エノイルオキシ)-4-フェニル-ジヒドロピロール-2-オンおよび5-メチル-1-(プロプ-2-エノイル)-5-(プロプ-2-エノイルオキシ)-4-フェニル-ジヒドロピロール-2-オン
【0157】
【化15】

【0158】
乾燥CH2Cl2(10ml)および乾燥THF(1ml)中の疑似酸ラクタム(0.23g;1.22mmol)の溶液に、氷浴中で攪拌、冷却しながらトリエチルアミン(1.5m;1076mmol)および少量のヒドロキノンの結晶を添加した。乾燥CH2Cl2(3ml)中の塩化アクリロイルの溶液(1ml;9.56mmol)を10分間にわたり滴下した。この混合物をさらに3時間攪拌した。溶媒を減圧下、約30℃で除去し、残留半固体をCH2Cl2でフラッシュカラムすると、アクリレートが淡黄色の固体(0.21g;75%)として得られた。
【0159】
5-メチル-5-(プロプ-2-エノイルオキシ)-4-フェニル-ジヒドロピロール-2-オン
1H NMR δ(CDCl3):7.88(m,2H,Ar H's);7.48(m,3H,Ar H's);6.62(d,1H,=CH2);6.34(1H,s,C4-H);5.95(dd,1H,=CH);5.30(s,1H,=CH2)1.92(s,3H,C5-Me)。
【0160】
5-メチル-1-(プロプ-2-エノイル)-5-(プロプ-2-エノイルオキシ)-4-フェニル-ジヒドロピロール-2-オン
1H NMR δ(CDCl3):7.65(m,2H,Ar H's);7.43〜7.60(m,4H,Ar H+CH2);6.46〜6.53(m,3H,=CH2およびC3-H);6.13〜6.16(dd,1H,-CH-);5.8〜6.0(m,2H,=CH2)および2.1(s,3H,C5-Me)。
【0161】
5-メチレン-4-フェニル-ジヒドロ-ピロール-2-オンのメタクリレート誘導体の調製
5-メチレン-1-(2'-メチルプロプ-2-エノイル)-4-フェニル-ジヒドロピロール-2-オンの合成
【0162】
【化16】

【0163】
トリフルオロ酢酸(1.5ml)をジクロロメタン中の5-メチレン-1-(2'-メチルプロプ-2-エノイル)-5-(2'-メチルプロプ-2-エノイルオキシ)-4-フェニル-ジヒドロピロール-2-オン(1.45g、4.46mmol)の溶液に添加した。この混合物を室温で2時間攪拌し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液および水で連続して洗浄した。ジクロロメタン層を分離、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶出液としてジクロロメタンを使用してシリカカラムでクロマトグラフ分析すると、5-メチレン-1-(2'-メチルプロプ-2-エノイル)-4-フェニル-ジヒドロピロール-2-オン(0.64g、60%)が無色顆粒として得られた。
1H NMR δ(CDCl3):7.48(m,5H,Ar H's);6.23(s,1H,=CH2);6.14(1H,s,C4-H);5.55(bs,1H,=CH2);5.36(s,1H,=CH2)。
【0164】
5-メチレン-4-フェニル-ジヒドロ-ピロール-2-オンのアクリレート誘導体の調製
5-メチレン-1-(プロプ-2-エノイル)-4-フェニル-ジヒドロピロール-2-オンの合成
【0165】
【化17】

【0166】
トリフルオロ酢酸(1.0ml)をジクロロメタン(9ml)中の5-メチル-1-(プロプ-2-エノイル)-5-(プロプ-2-エノイルオキシ)-4-フェニル-ジヒドロピロール-2-オン溶液(0.44g、1.48mmol)に添加した。この混合物を室温で2時間攪拌し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液および水で連続して洗浄した。ジクロロメタン層を分離、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶出液としてジクロロメタンを使用してシリカカラムでクロマトグラフ分析すると、5-メチレン-1-(プロプ-2-エノイル)-4-フェニル-ジヒドロピロール-2-オン(0.18g、51%)が無色顆粒として得られた。
1H NMR δ(CDCl3):7.46(m,5H,Ar H's);6.70(s,1H,=CH2);6.59(d,1H,=CH2);6.15(1H,s,C4-H);5.93(d,1H,=CH2);5.41(s,1H,=CH2)。
【0167】
同様の様式で他の4-フェニル-5-メチレン-ジヒドロピロール-2-オンのアクリレート誘導体を調製した。
【0168】
(実施例2)
抗菌アッセイ
多くのアッセイを本発明の化合物で行った。これらアッセイの実験法を以下に提示する。
【0169】
(実施例2(a))
N-アシル化ホモセリンラクトン(AHL)クオラムセンシングアッセイ
【0170】
本出願は、特定のフラノンおよびフラノンアナログが細菌においてAHL-介在クオラムセンシングを阻害し得ることを証明した。本発明の化合物を、AHLシグナル存在下で緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するレポーター株を利用するAHL-クオラムセンシングアッセイを使用して先行技術の化合物と順に比較した。このアッセイは測定されるべき化合物の存在下のGFPアウトプットを測定し、対照とアウトプットを比較することにより実施される。種々の濃度の化合物およびAHLの複数のサンプルを使用することにより、化合物活性の阻害指標を作成できる。本実施例で使用する阻害指標は、GFP発現を対照の40%まで減少するのに必要とされる化合物の相対量である。この阻害指標をAIC40と称する。低値のAIC40が低いほど、より良好なAHLクオラムセンシングシステムの阻害剤であることを示す。
【0171】
このアッセイに使用される細菌のレポーター株は、ビブリオフィシェリ(V.fischeri luxRI)システムが組み込まれた大腸菌(E.coli)である。gfp遺伝子は、(Andersenら、2001およびAndersenら、1998)に記載されるように、QS制御されたluxIプロモーターに融合される。
【0172】
AIC40の測定(3nM OHHLでのID40)
大腸菌をベースにしたluxRI構築物を使用する化合物の活性の決定を以下のとおりに実施した。
【0173】
阻害キネティックス
15mlのプラスチックチューブ中で、3mLのluxレポーター株の培養物を12mLの新鮮培地と混合し、37℃でインキュベートする。6個のチューブにラベルをする(10、20、50が2つおよび100が2つ)。各チューブにOHHL(3-オキソヘキサノイルホモセリンラクトン)をAB培地中それぞれ最終濃度10、20、50または100nMになるように添加した(適当な数のウェルに割り当てるために十分な培地を添加する)。マイクロプレートの第1列(A列)に200μlのOHHL/AB混合物を添加する。残りの列(B〜H)に100μlのOHHL/AB混合物を添加する。200μlのOHHL/AB混合物に加えて試験される化合物を第1列(A)に添加する。100μLを1列のウェルから2列ウェルなどのように移すことにより最初の7列に希釈系列を作成する。7列から残りの100μLを捨てる。100μLの希釈luxモニターを各ウェルに添加する。プレートを37℃で2時間インキュベートし、「Victor」プレートリーダーを使用して緑色蛍光を測定する。
【0174】
データ処理
各列のID40を算出する。このために、各ウェルの相対活性を算出する。各列を別々に算出し、フラノンを含まないウェルを100%活性に設定する(8列のウェル)。各濃度のOHHL対使用された化合物の濃度範囲をプロットする。相対活性を40%まで下げるのに必要とされる化合物量を算出し、これを40%阻害用量、ID40と称す。各化合物について、阻害指標AIC40を以下のように求める。相対AHL濃度に対してID40をプロットし;AIC40はプロットした点および原点を通る最大の直線の傾きである。
【0175】
(実施例2(b))
LasRアッセイ
本発明の化合物をまた、LasRアッセイを使用してアッセイした。LasRアッセイはクオラムセンシング阻害活性の測定を提供する。阻害パーセンテージが大きいほど、その化合物はより効果的である。LasRアッセイにおいて、不安定なgfpは、エラスターゼプロモーターに融合されているので、Gfpの量はQSシステムにより調節される。プラスミドはそれ自体のAHLシグナルを起こす緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に組み入れられる。このアッセイは、実験開始時に異なる濃度で試験される化合物をシステムに添加することにより実施される。Gfp発現を増殖中、異なる時間で測定し、24時間で終了する。蛍光のパーセンテージは、対照において蛍光が最大に達する時間で決定され、通常インキュベーション後約11〜12時間であった。
【0176】
(実施例2(c))
表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)の増殖
本発明の化合物による表皮ブドウ球菌の増殖阻害は、Wallac Victor2マイクロプレートリーダーにおいて96ウェルマイクロタイタープレートのトリプチケースソイブロスと0.5%グルコース中の表皮ブドウ球菌の増殖により決定された。各化合物をウェルに異なる濃度で添加し、化合物を含まない対照および1組のブランクのウェルもまた使用された。OD600を時間ごとに測定した。増殖曲線を作成し、化合物存在下の細胞の増殖を対照と比較し、増殖速度または最終増殖収率に有意に影響を与える化合物の濃度を決定する。
【0177】
(実施例2(d))
バイオフィルム形成の阻害
ペトリディッシュにおけるバイオフィルム形成を、フローセルとマイクロタイタープレートをベースとするアッセイとの間を解決するような以下のプロトコールを使用して測定した。この方法は、代表的な構造、例えば、バイオフィルム内で分化した構造として重要であるミクロコロニーを有するバイオフィルムを生じる間に試験しうる複製の数を増やす(フローセルと比較して)。この方法は、スライドガラス(未結合化合物のため)または改変したプラスチッククーポン(共有結合している化合物のため)などの表面を滅菌ペトリディッシュの底に配置し、増殖培地添加することからなる。細菌をディッシュ中でインキュベートし、適切な温度、50rpmでインキュベートする。培地を24時間で置き換え、さらに24時間インキュベートし、その後スライドを取り出し、すすいで、付着の弱い細胞を除く。スライドグラスでバイオフィルム形成をモニタリングするために、細胞を安定な蛍光染色で染色して共焦点顕微鏡を使用して視覚化し、バイオフィルム(表面の被覆率%として)を数量化するか、あるいはバイオフィルムをクリスタルバイオレットで染色し、過剰の染色を除くために十分に洗浄し、その後脱染色し、540nmの吸光度で測定してバイオフィルムの量をクリスタルバイオレット染色の関数として決定するかのいずれかである。
【0178】
化合物の測定値
実施例2(a)〜2(d)で示されたアッセイを使用する本発明による多くの化合物についてのアッセイ結果を表2および3に示す。
【0179】
【表2A】

【0180】
【表2B】

【0181】
【表3】

【0182】
すべてのパーセンテージは、非増殖阻害濃度での対照からの減少割合である。
括弧内の数字は、使用した濃度を示す。
【0183】
(実施例2(e))
感染の肺モデル:マウスを、気管を介して細菌/海藻アルギン酸でチャレンジした。
このモデルは、CF患者または機能異常の粘膜繊毛成長を有する患者の状況に似ている。
【0184】
実験:
5-メチレン-4-フェニル-ジヒドロ-ピロール-2-オン(C219)の処置用量は、体重1gあたり12μgで、1日2回注射した。
【0185】
マウスを緑膿菌PAO1(wt)5.2×106CFU/肺(1.3×108CFU/ml)でチャレンジした。各群は10匹のマウスを有し、C219およびビヒクルでの処置を3日間続けた。死亡率は、C219群で10%、ビヒクル群で30%であった。5日目に、生存しているマウスを屠殺した。LIMP(炎症を示す肺の総肺領域に対する割合)および肺中の細菌量を決定した。
【0186】
結果:
* C219の処置は、5日目においてビヒクル群と比較して有意に肺細菌量を減少させた(p=0.0008)(図1)。
* C219処置(1日2回注射、各体重1gあたり12μgを3日間与えた)は、マウスの緑膿菌(PA)肺感染の重篤性(LIMP)をプラセボ(ビヒクル=対照)に比較して有意に減少させた。したがって、本化合物は炎症において好ましい効果を及ぼすようである。
【0187】
(実施例3)
比較試験
本発明による化合物の抗菌活性および細胞毒性を、国際特許出願第2004/016588号に例示された化合物に類似の化合物と比較した。
【0188】
(実施例3(a))
N-アシル化ホモセリンラクトン(AHL)クオラムセンシングアッセイ
本アッセイの方法は上の実施例2(a)に示す。
【0189】
本発明による化合物219、257、294、295ならびに国際特許出願第2004/016588号に例示された化合物に類似の化合物198および205をアッセイし、この結果を表4に示す。示されうるように、化合物219、257、294および295は、化合物198および205より有意によいAIC40値を有する。
【0190】
【表4A】

【0191】
【表4B】

【0192】
(実施例3(b))
細胞毒性試験
化合物を以下のアッセイを使用して細胞毒性について試験した。
【0193】
マウスL929細胞を低密度で確立し、試験期間中、プラスチックペトリデッシュ中にコンフルエントまで増殖させる。ディッシュに植え付けた24時間後、試験ディッシュ上の培地を吸引し、試験される化合物を含む培地で置き換える。この細胞単層を次いでさらに48時間培養する。試験期間の最後に、細胞をディッシュから採取し細胞の数を算定し、かき乱されていない培養物と比較する。細胞数の違いを、非チャレンジ培養物と比較した阻害パーセンテージとして表す。30%阻害を試験化合物における細胞傷害能の明らかな示度と考える。
【0194】
細胞株:
Earle's L細胞-10%FBSを添加したMEM/NA中で培養されたNCTCクローン929(マウス)
試験された化合物は、本発明による化合物である219ならびに国際特許出願第2004/016588号に例示される化合物と同じ臭素化パターンを有するジブロモ置換されたラクタムである化合物226および223であった。アッセイの結果は、表5に示す。
【0195】
【化18】

【0196】
【表5】

【0197】
本発明による化合物である化合物219は、国際特許出願第2004/016588号に例示される化合物と類似の構造的に関連のある化合物226および223と比較した場合、驚くことにほとんどあるいはまったく細胞毒性を示さない。
【0198】
(実施例4)
化合物の表面への結合
(実施例4(a))
219-メタクリレートのHEMAモノマーとの共重合
HEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)コンタクトレンズをHEMA製剤および219-メタクリレートを使用して作成した。このコポリマー溶液を2パーツのコンタクトレンズの型に流し込み、365nmの青/黒ランプ下で30分間、続いてさらに30分、オーブン中115℃で硬化し、このプロセスを完了した。冷却して、この硬化したレンズを型からはずし、PBS中で水和し、次いですすいでPBS中に保存した。
【0199】
(実施例4(b))
式IおよびIIの化合物のアクリレートおよびメタクリレートの表面結合
アミノおよびチオール官能基を有する表面は、Michael付加法でラクタムのアクリレート誘導体と反応されうる。このストラテジーは、かなり用途が広く、1ステップでラクタム部分の共有結合を生じる。
【0200】
一般的結合手順
シリコーンゴムのシートまたはカテーテルを当業者に公知の技法によりアミノ基で官能化する。これらの技法は、血漿チャンバー中の血漿への曝露による表面の活性化、次いで表面をヘプチルアミン蒸気に曝露するステップおよび表面のアミノプロピルトリエトキシシランとの直接反応を含む。シリコーン表面の官能化についての他の適した方法もまた当業者に公知である。このシートまたはカテーテルをアクリレートまたはメタクリレート置換基を有する式IまたはIIの化合物のアルコール溶液または水性アルコール溶液(例えば、50%エチレングリコール、10%エタノール、40%Milli Q水中1mg/ml)を含むガラスバイアル中にかき混ぜながら一晩浸す。コーティングしたシートまたはカテーテルをピンセットで反応混合物から取り出し、10mlの新鮮アルコール溶液または50%エチレングリコール、10%エタノール、40%Milli Q水の混合物を含むバイアル中で3回洗浄する(10分間かき混ぜて)。このシリコーンシートまたはカテーテルを次いでMilli Q水で3回、PBSで1回洗浄し、PBS中に保存する。
【0201】
本明細書を通して、語「含む(comprise)」またはその変形の「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」は、明示された要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの一群を含めること意味し、他のいかなる要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの一群を排除するものではないと理解される。
【0202】
本明細書に述べられるすべての刊行物は、本明細書中に参考として援用される。本明細書中に含まれる文献、作用、材料、デバイス、論文または同様なものに関するいずれの考察も、本発明についての状況を提供するためだけである。これらの事項のいずれかもしくはすべてが先行技術基盤の一部を形成するか、または本出願の各請求の優先日の前に本発明に関連する分野の一般常識としてオーストラリアもしくは他のどこかに存在していたことを容認するものと解釈してはならない。
【0203】
当業者に理解されるように、広義に記載された本発明の精神または範囲から逸脱することなく、特定の実施形態に示された本発明に対する多数の変更および/または改変は実施されうる。したがって、本発明の実施形態は、あらゆる点で、例示的なものであって限定的なものではないとみなされる。
(参考文献)

【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】緑膿菌PAO1(wt)5.2×106CFU/肺(1.3×108CFU/ml)でチャレンジした後5日目の2つのマウス群間の肺の細菌量を示す図である。第1の群は5-メチレン-4-フェニル-ジヒドロ-ピロール-2-オン(C219)、体重1gあたり12μg、3日間1日に2回の注射で処置し、第2の群はビヒクルで処置した(p=0.0008)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

の化合物であって、
式中
R1およびR2は、各々独立して水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、オキソアルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリールおよびアリールアルキルからなる群から選択され;
R3は、水素、ヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、オキソアルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルおよび-C(O)CR6=CH2からなる群から選択され;
R4およびR5は、各々、水素、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびアリールアルキルからなる群から選択されるが、ただし、R4およびR5のうち少なくとも1つは水素であり;
R6は、水素またはメチルからなる群から選択され;
ただし、R1およびR2のうち少なくとも1つはヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリールおよびアリールアルキルからなる群から選択される化合物。
【請求項2】
式II:
【化2】

の化合物であって、
式中
R1およびR2は、各々独立して水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、オキソアルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、およびアリールアルキルからなる群から選択され;
R3は、水素、ヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、オキソアルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール、アリールアルキルおよび-C(O)CR6=CH2からなる群から選択され;
R4は、水素、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよびアリールアルキルからなる群から選択され;
R6は、水素またはメチルからなる群から選択され;
R7は、Hおよび-C(O)CR6=CH2からなる群から選択され;
ただし、R1およびR2のうち少なくとも1つはヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリールおよびアリールアルキルからなる群から選択される化合物。
【請求項3】
R4およびR5の各々が水素である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R2がヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリールおよびアリールアルキルからなる群から選択される請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
5-メチレン-4-フェニル-ジヒドロ-ピロール-2-オン、1-メチル-5-メチレン-4-フェニル-ジヒドロ-ピロール-2-オン、5-メチレン-1,4-ジフェニル-ジヒドロ-ピロール-2-オン、4-(4'-ブロモフェニル)-5-メチレン-2-ジヒドロ-ピロール-2-オン、4-ベンジル-5-メチレン-ジヒドロ-ピロール-2-オン、4-(4'-メトキシフェニル)-5-メチレン-ジヒドロ-ピロール-2-オン、5-メチレン-4-(4'-フルオロフェニル)-ジヒドロ-ピロール-2-オン、5-メチレン-4-(4'-トリフルオロメチルフェニル)-ジヒドロ-ピロール-2-オン、5-メチレン-4-(3'-トリフルオロメチルフェニル)-ジヒドロ-ピロール-2-オン、5-メチレン-4-(2'-フルオロフェニル)-ジヒドロ-ピロール-2-オンおよび5-メチレン-4-(3'-フルオロフェニル)-ジヒドロ-ピロール-2-オンからなる群から選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項6】
対象において微生物感染を処置する方法であって、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物を対象に投与するステップを包含する方法。
【請求項7】
前記感染が細菌感染である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記感染がバイオフィルム形成を特徴とする請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
表面の微生物汚染を抑制する方法であって、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物を該表面に施用するステップを包含する方法。
【請求項10】
請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物および担体を含有する製剤。
【請求項11】
R3が、-C(O)CR6=CH2である請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
R3およびR7のうち少なくとも1つが、-C(O)CR6=CH2から選択される請求項2に記載の化合物。
【請求項13】
R3およびR7の各々が-C(O)CR6=CH2から選択される請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
オリゴマーまたはポリマーを形成するために使用される場合の請求項11から13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
前記オリゴマーまたはポリマーが、化合物の末端ビニル基の重合により形成される請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
請求項11から13のいずれか一項に記載の化合物を直接または1つもしくは複数の他のモノマーとオリゴマー化するか、または重合することにより形成されるポリマーまたはオリゴマー。
【請求項17】
化合物の末端ビニル基が官能基と反応する請求項11から13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
表面に結合される場合の請求項11から13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
化合物が、前記化合物の末端ビニル基の官能基との反応により前記表面に結合される請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
表面に結合される請求項11から13のいずれか一項に記載の1つまたは複数の化合物を含む表面。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2009−523834(P2009−523834A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551597(P2008−551597)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【国際出願番号】PCT/AU2007/000060
【国際公開番号】WO2007/085042
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(506188703)バイオシグナル リミテッド (3)
【Fターム(参考)】