説明

新規医薬組成物

本発明は、2−ブチル−4−クロロ−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)1,1’−ビフェニル−メチル]イミダゾール−5−カルボン酸,1−[(イソプロポキシ)カルボニルオキシ]メチルエステルを活性成分として薬学的に許容される担体材料に分散させてなる、心血管疾患に有用な新規な医薬組成物に関する。このような組成物は、散剤、顆粒剤、滴丸、微丸、錠剤、カプセル、タブレット剤などの固形剤形に製造されて経口投与されてもよく、舌下投与などの他の形態で投与されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬物製剤分野に属し、具体的には、新規な薬理活性を持つ化合物の医薬組成物、その製造方法および心血管疾患薬物の製造のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アンジオテンシンIIはレニン−アンジオテンシン−アルドステロン系(RAAS)における主要な血管収縮ホルモンであって、多種の慢性疾患において病理生理学の面で重要な作用を果たす。アンジオテンシンIIは多くの組織に存在し、その生成経路は主に以下の通りである。アンジオテンシノーゲンはレニンの作用によってわずかな血管収縮作用を持つデカペプチドであるアンジオテンシンI(AngI)に変換され、さらにアンジオテンシン変換酵素の作用によってオクタペプチドであるアンジオテンシンII(AngII)に変換される。AngIIはRAASの最終の生理活性物質であり、特異性のアンジオテンシンII受容体に結合することで、血管収縮、血圧上昇などの生理作用を果たすことができる。
【0003】
EP0253310に一連のイミダゾール誘導体が開示され、米国のデュポン社の研究により、番号DUP753の化合物は良好な血圧降下作用を持つことが見出され、そして、1994年に市販許可が得られ、最初の非ペプチド系AngII受容体拮抗薬であるロサルタンカリウムとなった。ロサルタンカリウムは選択的に血管平滑筋におけるアンジオテンシンIIのそのタイプI受容体に対する作用を阻害して血管収縮を抑制することにより、血管拡張、血圧降下の作用を果たす。
【0004】
ロサルタンカリウムの開発と市販に従い、各医薬研究機構や会社は次々とAngII受容体拮抗薬の構造学研究を行い始めた。US5196444に一連のベンズイミダゾール誘導体及びそれらの製造方法が開示され、これらの誘導体はアンジオテンシンII拮抗活性と抗高血圧活性を持つことから、高血圧の治療に用いられる。中では、カンデサルタンは日本の武田社により開発され、1997年に市販されることになり、生体内では、エステル基が離脱し、その活性代謝物に加水分解され、血圧降下作用を発揮する。
【0005】
US5616599にロサルタンの構造と相似の一連の1−ビフェニルメチルイミダゾール誘導体が開示され、構造上の最大の変化はロサルタンのイミダゾール環の4位の塩素原子が1−ヒドロキシ−1−メチルエチルに、5位がカルボキシ基、ヒドロキシ基、或いはエステルやアミドのプロドラッグ構造に改造されたことである。それらは良好な血圧降下作用を持つことが判明されたことで、日本の三共社によりオルメサルタンが開発され、市販されることになった。
【発明の内容】
【0006】
本発明の目的は、新規な薬理活性成分、具体的には新規なAngII受容体拮抗薬を含有する医薬組成物を提供することにある。その形態は、散剤、顆粒剤、微丸、滴丸、カプセル、錠剤、タブレット剤及び他の適宜な固形製剤であってもよく、投与する前に液体で分散させて経口投与する固形製剤であってもよい。この新規医薬組成物は心血管疾患の治療に適用できる。
【0007】
本発明のもう一つの目的は、薬物を担体材料、特に水溶性の担体材料に高度に分散させることにより、薬物の溶出度を向上させ、吸収利用率を向上させ、生物学的利用能を高める、前述の薬物の可溶化組成物を提供することにある。
【0008】
本発明のもう一つの目的は、前述の薬物を含有する可溶化組成物からなる経口投与可能な固形製剤を提供することにある。その形態は、散剤、顆粒剤、微丸、滴丸、カプセル、錠剤、タブレット剤及び他の適宜な固形製剤であってもよく、投与する前に液体で分散させて経口投与する固形製剤であってもよい。さらに、本発明はこれらの製剤の製造方法を提供する。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、心血管疾患の治療に適用する新規な医薬組成物を提供することにある。
【0010】
本発明のもう一つの目的は、ヒト心血管疾患、特に高血圧の治療方法を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、薬物の胃腸管による吸収レベルを向上させる製剤技術を提供することを含む。
【0012】
本出願者らは、PCT出願(PCT/CN2006/001914)に、イミダゾール環の5位がアシラール構造であることを構造上の特徴とし、動物生体内で優れた血圧降下活性を示す一連のイミダゾール−5−カルボン酸系誘導体を開示した。このイミダゾール−5−カルボン酸系誘導体は、他のAngII受容体拮抗薬と比べて、毒性がより低いという利点がある。特には、以下の化合物を開示した。
【0013】
2−ブチル−4−クロロ−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)1,1’−ビフェニル−メチル]イミダゾール−5−カルボン酸,1−[(イソプロポキシ)カルボニルオキシ]メチルエステルであって、構造式は式Iに示す。
【化1】

【0014】
該当活性成分は通常の経口投与製剤として患者に投与することができる。この経口投与製剤において、薬物の溶解性は生体における薬物の生物学的利用能と密接な相関関係がある。溶解度を改善する方法としては、粉砕の方法、例えば、機械的粉砕や微粉化などの技術により粒径を小さくし、溶出表面積を増加させ、溶出度を高める方法、或は、化合物の構造を改造する方法、例えばその塩やエステルとする方法、或は、製剤の手段、例えば、シクロデキストリン包接技術、固体分散技術、可溶化物質の添加などが用いられる。
【0015】
本発明は、合理的な製剤形態で臨床使用に供すことができるように、式Iの化合物の2−ブチル−4−クロロ−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)1,1’−ビフェニル−メチル]イミダゾール−5−カルボン酸,1−[(イソプロポキシ)カルボニルオキシ]メチルエステルを薬理活性成分として含有する医薬組成物に対し幅広く深く研究した。
【0016】
本発明において、前述の「薬物」又は「薬理活性成分」とは、式Iの化合物の2−ブチル−4−クロロ−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)1,1’−ビフェニル−メチル]イミダゾール−5−カルボン酸,1−[(イソプロポキシ)カルボニルオキシ]メチルエステルを意味する。
【0017】
固形経口投与組成物
本発明は、まず、薬学的に許容される担体材料(賦形剤ともいう)を添加することにより、2−ブチル−4−クロロ−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)1,1’−ビフェニル−メチル]イミダゾール−5−カルボン酸,1−[(イソプロポキシ)カルボニルオキシ]メチルエステルを含有する固形組成物を提供するという目的を達成する。
【0018】
本発明の一つの技術方案は、直接経口投与の固形製剤を提供することにある。このような組成物に含まれる担体材料は、充填剤、崩壊剤、湿潤剤、バインダー、界面活性剤、滑沢剤、流動化剤、矯味剤、矯臭剤、着色剤、及び他の固形製剤の賦形剤を含む。この組成物は、散剤、顆粒剤、微丸、カプセル、錠剤又はタブレット剤の製剤形態であってもよいが、その製剤形態はこれらに限定されるものではない。この分野の一般技術者に知られるように、錠剤のうち、素錠、フィルムコーティング錠、糖衣錠、二層錠又は多層錠、沸騰錠、分散錠、口腔内崩壊錠、徐放性錠から選ばれる任意のいずれかの剤形に製造することができる。この組成物は、通常、経口投与に適するが、例えば舌下投与や投与する前に液体で分散させて液体とする経口投与などの他の投与形態にも適する。
【0019】
充填剤は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、蔗糖、乳糖、果糖、キシリトール、マンニトール、澱粉又はその誘導体、デキストリン、微晶質セルロースから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであってもよい。
【0020】
崩壊剤は、澱粉、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、低置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微晶質セルロース、メチルセルロースから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであってもよい。
【0021】
界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、ポロキサマー、ポリソルベート類、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン高級脂肪族アルコール、蔗糖エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、大豆リン脂質などから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであってもよい。
【0022】
湿潤剤は、蒸留水、エタノール、澱粉ペーストから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであってもよい。
【0023】
バインダーは、アラビアゴム、ゼラチン、トラガカント、デキストリン、ポリビニルピロリドン、澱粉及びその誘導体、アルギン酸ナトリウム、ソルビトール、シロップ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ブドウ糖、ポリメチルアクリレートから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであってもよい。
【0024】
滑沢剤は、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリン、パルミチン酸ステアリン酸グリセリン、ステアリン酸マグネシウム、微晶質セルロース、安息香酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルクパウダー、ステアリン酸亜鉛、ポリエチレングリコールから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであってもよい。
【0025】
流動化剤は、コロイドシリカ、粉末状セルロース、三ケイ酸マグネシウム、シリカ、タルクパウダーから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであってもよい。
【0026】
矯味剤は、アスパルテーム、ステビオシド、果糖、ブドウ糖、シロップ、蜂蜜、キシリトール、マンニトール、乳糖、ソルビトール、マルチトール、グリチルリチン、フィロズルチン及び各種の香料エッセンスから選ばれ、矯臭剤にはエーテル油を、着色剤には人工又は合成の色素を用いてもよい。
【0027】
この分野の技術者に容易に理解されるように、固形経口投与製剤にとって、技術方案は以上で例示された物質に限定されるものではない。通常固形製剤に用いられる他の例示されていない賦形剤も同様に本方案に適用することができるため、本方案に含まれる。
【0028】
前記担体材料を用いた技術方案は以下の通りである。組成物に占める薬物の重量百分率は1%〜50%であり、散剤、顆粒剤、微丸、錠剤、タブレット剤、カプセル剤に製造される。製造においては、薬物の分散度を向上させ、薬物の溶出表面積を増加させ、溶出性能を高めるように、薬物を微粉化することが好ましい。以下、列挙のために本発明を実施するための具体的な技術方案を示す。すべての百分率は重量百分率である。
【0029】
(1)薬物 1%〜30%、乳糖又はブドウ糖 70%〜99%。製造:薬物と賦形剤をそれぞれ粉砕し、80〜120メッシュ篩を通過させ、等量逓増法で処方量の乳糖又はブドウ糖を入れ、均一に混合し、分包し、該当薬物の散剤を得る。この方案では、さらに必要に応じて適量の矯味剤、矯臭剤及び防腐剤を入れてもよい。
【0030】
(2)薬物 5%〜50%、澱粉とセルロース系誘導体から選ばれ、好ましくはカルボキシメチル澱粉ナトリウムである崩壊剤 4%〜8%、余分は澱粉、微晶質セルロース、乳糖又は蔗糖から選ばれる充填剤及び澱粉ペースト又はポリビドンから選ばれる適量のバインダーである。製造:薬物と賦形剤をそれぞれ粉砕し、80〜120メッシュ篩を通過させ、均一に混合し、水又は有機溶媒で溶解したバインダー溶液を加えて混合し、練合、造粒、乾燥、整粒を行い、コーティングし又はしないまま分包し、該当薬物の顆粒剤を得る。この方案では、さらに必要に応じて適量の矯味剤、矯臭剤及び防腐剤を入れてもよく、酸−塩基緩衝剤を加えて沸騰顆粒剤を製造してもよい。
【0031】
(3)薬物 5%〜15%、カルボキシメチル澱粉ナトリウム 5%〜20%、滑沢剤 0.3%〜3.0%、及び適量のバインダー、余分は乳糖である。好ましくは等量逓増法で薬物と乳糖を混合し、混合、粉砕を行い、80〜100メッシュ篩を通過させ、カルボキシメチル澱粉ナトリウムを加え、同様に好ましくは等量逓増法で均一に混合し、バインダーを加え、練合し、振動造粒機にて12〜14メッシュの顆粒を製造し、50〜90℃で乾燥し、顆粒における水分を3%以内に抑え、均一に混合し、0号〜2号のカプセルに装入して得る。この方案では、PH101又はPH103の微晶質セルロースを用い、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを用い、バインダーとして適宜な濃度のPVPK30のエタノール溶液を用いることが好ましい。
【0032】
(4)薬物 5%〜15%、乳糖 25%〜40%、架橋ポリビドン 5%〜15%、ステアリン酸マグネシウム 0〜5%、余分は微晶質セルロースである。薬物と微晶質セルロースと乳糖を混合粉砕し、80〜100メッシュ篩を通過させ、予め粉砕された80〜100メッシュの架橋ポリビドンを加え、好ましくは等量逓増法で均一に混合し、通常の回転式打錠機にて直接に打錠して得る。
【0033】
(5)薬物 5%〜15%、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 20%〜40%、カルボキシメチル澱粉ナトリウム 5%〜8%、タルクパウダー 0%〜3%、余分は乳糖である。薬物とヒドロキシプロピルメチルセルロースと乳糖を混合粉砕し、80〜100メッシュ篩を通過させ、予め粉砕された80〜100メッシュのカルボキシメチル澱粉ナトリウムを加え、好ましくは等量逓増法で均一に混合し、蒸留水又は澱粉ペーストを加え、練合し、20〜50メッシュの顆粒を製造し、50〜90℃で乾燥し、整粒し、適量の滑沢剤を加え、通常の回転式打錠機にて直接に打錠し或いは1号〜2号のカプセルに装入して得る。この方案では、充填剤として乳糖の代わりに澱粉を、崩壊剤としてカルボキシメチル澱粉ナトリウムの代わりに、5%〜15%の架橋ポリビドンを用いることができる。
【0034】
前述の担体材料を用いて直接に組成物と製剤を製造する以外は、例えば、薬物を空白錠芯の表面に被覆して微丸とする方案、或いは薬物を適宜な担体と一緒に錠芯として、さらに隔離層を被覆する方案などの微丸の技術方案も用いられる。前述のいずれの方法で得られる薬物含有微丸でも、薬物放出速度の理想的な制御を実現するために、さらに膨脹層、隔離層、放出制御層などで被覆されてもよい。微丸の錠芯又はコーティングとして通常使用される担体材料は、蔗糖、澱粉、デキストリン、蜜蝋、脂肪酸、シェラック、ポリビドン、メチルセルロース、酢酸セルロース、ポリアクリル樹脂、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール又はこれらの混合物がある。微丸は、投与量に従って分包して直接に臨床投与に供してもよく、またはさらに適宜な賦形剤を添加し、通常の製造方法でカプセル剤としたり、打錠して錠剤としたりしてもよい。
【0035】
前述の技術方案において、打錠された錠剤に対しては、フィルムコティング、糖衣コーティング又は腸溶性コーティングをすることができる。例えば、使用された充填剤又は崩壊剤は水分に敏感な場合に、水分に隔離作用を持つフィルムコート材でコーティングする、或いはより良好な食感を得るために、糖衣層を被覆することができる。
【0036】
本発明の別の技術方案は、投与する前に分散できる固形製剤、すなわち製剤学で言われる分散錠、口腔内崩壊錠、沸騰錠などの、嚥下障害のある患者にとって非常に有利な製剤形態を提供することである。これらの製剤は前述の担体材料の1種又は多種を含む以外、その崩壊や分散性能の改善については以下の技術方案の通りである。
【0037】
(1)分散錠:錠剤が液体で迅速に分散できるように、十分な量の崩壊性能に優れた崩壊剤を錠剤に加える。好ましい崩壊剤は、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチル澱粉ナトリウムがあり、その使用量は錠剤が水と接触すると迅速に分散するのに十分な量である。この迅速な分散を求める製剤にとって、充填剤の選択はその打錠性、流動性及び崩壊性能を考えるべきであり、例えば微晶質セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースはいずれも性能に優れた充填剤に用いられる。
【0038】
(2)口腔内崩壊錠:十分な量の崩壊性能に優れた崩壊剤を錠剤に加えることで、錠剤を迅速に分散させることができる。好ましい崩壊剤は、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチル澱粉ナトリウムがあり、その使用量は錠剤が水と接触すると迅速に分散するのに十分である。この迅速な分散を求める製剤にとって、充填剤の選択はその打錠性、流動性及び崩壊性能を考えるべきであり、例えば微晶質セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースはいずれも性能に優れた充填剤に用いられる。
【0039】
(3)沸騰錠:水と接触すると炭酸ガスを発生する物質、すなわち沸騰剤を錠剤に加える。本発明に係る組成物に含有する沸騰剤は、酒石酸やりんご酸などの有機酸と炭酸水素ナトリウムとの組み合わせから選ばれ、或いは、リン酸塩の組合せ、又は無水コハク酸、無水クエン酸などの有機酸無水物類を使用することでも、迅速に崩壊させるという目的を果たせる。製造された錠剤は沸騰錠といわれる。このような錠剤は直接に投与されてもよく、又は投与される前に水で溶解されてもよい。これはカプセル、錠剤、タブレット剤などの固形製剤の投与に慣れない患者にとって非常に有利である。一つの具体的な技術方案は、薬物、微晶質セルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビドン、蔗糖細粉末、サッカリンナトリウム、りんご酸、炭酸水素ナトリウム、無水炭酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、香料エッセンスである。製造:まず、炭酸水素ナトリウムに30メッシュ篩を通過させて使用のために保存し、無水炭酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、香料エッセンスを60メッシュ篩を通過させて使用のために保存し、薬物とMCCを混合粉砕し、80メッシュ篩を通過させ、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、りんご酸、蔗糖を粉砕し、30メッシュ篩を通過させ、サッカリンナトリウムと混合し、混合物をポリビドンのイソプロパノール溶液で造粒し、乾燥し、30メッシュ篩を通過させて整粒した後、他の成分と混合し、通常の打錠機にて打錠して得る。
【0040】
上記の分散錠、口腔内崩壊錠、沸騰錠の処方では、崩壊後の微粒子の粒子径は400nm以下であるように制御される。その製造過程では、造粒は必要な工程ではなく、好ましい方法は直接打錠である。同様に、前述のようにして製造された薬物含有微丸の粒子径は砂粒感を生じないまで小さく、例えば平均粒子径は400nm以下であると、該当微丸も上記の使用前分散される製剤の製造に用いられる。良好な食感を得る必要に応じて、これらの製剤に矯味剤、矯臭剤又は他の賦形剤を添加することもできる。
【0041】
可溶化担体を含有する医薬組成物
本発明のもう一つは、前述の薬理活性成分と可溶化担体を含有する医薬組成物を提供することにある。すなわち、まず薬物を薬学的に許容される適宜な担体に分散させ、薬物の溶出を向上させる。本発明において、この部分の担体は可溶化担体と呼ばれる。本発明の可溶化担体は、ポリエチレングリコール類、ポリビドン類、ポリオキシエチレン基含有界面活性剤類、水溶性セルロース誘導体、有機酸類、糖類及びアルコール類から選ばれるのが好ましい。これらの担体は単独で又は併せて使用してもよい。
【0042】
以下、列挙のために可溶化担体のいくつかの方案について詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明により提供される技術方案に基づき、簡単な処方篩選と製造プロセスの改良や、担体材料と製造方法の置き換えができるため、このような変更によって得られる方案も本発明に含まれる。
【0043】
(1)ポリエチレングリコール(PEG)を可溶化担体とする
ポリエチレングリコール類(PEG)は良好な水溶性を持ち、多種の有機溶媒にも溶解できる。薬物をそれに分散させる場合、薬物をそれに高度に分散させることができる。さらに、製造過程においては、溶媒の蒸散により、粘度が急速に上がり、薬物の凝集を阻止することができる。固形分散体に用いられるPEGの分子量は一般的に1000〜20000の範囲にあり、通常用いられるのはPEG2000、PEG4000、PEG6000、PEG10000、PEG12000、PEG20000のうちの1種又は2種以上の組み合わせである。ポリオキシエチレン(40)モノステアリン酸エステル、ステアリン酸又はポロキサマー類の界面活性剤は、薬物の分散と放出を調節するために、PEG類と併せて使用されることが多い。薬物をこのような担体に分散させる場合は、通常滴下法で製造する。例えば、滴丸製造機でPEGを主要担体とする薬物含有滴丸を製造することができる。
【0044】
PEG類を可溶化担体とする一つの技術方案は以下の通りである。薬物 1%〜8%、PEG4000 10%〜20%、PEG6000 60%〜70%、ポロキサマー188 3%〜5%のような重量配合比率にしたがって薬物と担体を秤量し、薬物を粉砕し、80メッシュ篩を通過させ、80〜90℃の水浴で加熱溶融した残りの基剤に入れ、薬物粉末が完全に見えなくなるまで攪拌して均一に混合させ、溶融した薬物含有液体を滴丸製造機の保温箱に置き、滴下速度を調整し、20〜30滴/分の速度で冷却剤に滴下する。冷却剤はジメチルシリコーンオイル又は液状パラフィンを用い、冷却温度は4〜10℃とする。そして、製造された滴丸を収集し、吸水ペーパーで表面の冷却液を拭き、4℃冷蔵庫に24時間放置することで、滴丸を得る。この滴丸は直接投与されてもよい。溶出試験により、製造された滴丸は迅速に分散でき、特に速効作用を果たすための舌下投与に適することが証明された。
【0045】
他の技術方案は以下の通りである。薬物をPEG6000と1:1の比率で混合し、通常処方量の充填剤、崩壊剤、滑沢剤を加え、錠剤に打錠する。
【0046】
(2)ポリビドン及び/或いは架橋ポリビドンを可溶化担体とする
ポリビドンは1-ビニル-2-ピロリドンのホモポリマー(polyvinylpyrrolidone; Povidone; Plasdone; Kollidone; 以下単に「PVP」という。)であり、その規格はPVPk12、PVPk15、PVPk17、PVPk25、PVPk30、PVPk29/32、PVPk60、PVPk90、PVPk120などがある。架橋ポリビドン(PVPP)は合成架橋N-ビニル-2-ピロリドンのホモポリマーであり、その規格はPVPPXL、PVPPXL-10などがある。この2種類の物質は単独で又は併せて本発明の可溶化担体材料に用いられてもよい。製造方法としては、溶媒法、溶媒沈積法、スプレー乾燥法、又は凍結乾燥法などが用いられる。以下、列挙のために併用の技術方案を挙げる。
【0047】
PVPk29/32とPVPPXLを担体として、その重量比は1:1〜3:7で、薬物と担体材料の比は1:2〜1:10である。製造方法:薬物とPVPk29/32をエタノール/アセトン混合溶液に溶解させ、流動床法にてPVPPXLにスプレーし、或いは溶液を直接にスプレー乾燥する。別の製造方法:上記処方量の薬物と担体材料を取り、適宜な溶媒系に分散させ、凍結乾燥プロセスにて乾燥粉末を得る。
【0048】
PVPk29/32とPVPPXLを担体として、その重量比は1:2〜1:3で、薬物と担体材料の比は1:1〜1:2である。製造方法:薬物とPVPk29/32をエタノール/アセトン/水(4:4:1)混合溶液に溶解させ、流動床法にてPVPPXLにスプレーし、乾燥した可溶化組成物を得る。篩を通過させ、適当な賦形剤を添加し、散剤、顆粒剤、カプセル又は錠剤とする。別の製造方法:上記処方量の薬物と担体材料を取り、適宜な溶媒系に分散させ、凍結乾燥プロセスにて乾燥粉末を得る。
【0049】
(3)セルロース系誘導体を可溶化担体とする
セルロース系誘導体を可溶化担体とすることもできる。一つの実施形態は以下の通りである。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)とポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを担体材料とし、薬物とHPMCとポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの重量比は1:3〜5:0.2〜0.5である。HPMCとポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールをエタノール/アセトン/水混合物に溶解させ、薬物をそれに入れ、均一に混合し、得られた溶液を流動床にある空白錠芯にスプレーすることで、固形分散体組成物の顆粒を製造する。この方案で用いられる溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、塩化メチレン、水及びこれらの混合物から選ばれる1種又は2種以上の混合物である。
【0050】
(4)糖類及び/或いはアルコール類物質を可溶化担体とする
可溶化担体として使用できる糖類とアルコール類は、デキストロース、ガラクトース、蔗糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトールなどがある。これらの物質の分子には多数のヒドロキシ基があるため、薬物と水素結合で結合することができる。本発明に係る薬物に対しては、マンニトールを主要担体とすることが好ましい。
【0051】
(5)他の担体材料
この分野の一般技術者に知られるように、前述の可溶化担体を製造する材料の種類は上記の各種の材料に限定されるものではなく、例えば加水分解ゼラチンや界面活性剤類などの他の材料も本発明の方案に適する。エチルセルロース、アクリル樹脂E、RL、RS型、コレステロール、カルナウバ蝋などの難溶性担体材料や脂質材料を用いても、PEG、PVPなどの水溶性担体材料を入れることにより、非速放型の可溶化組成物を製造することができる。従来の薬学研究から明らかなように、この徐放制御製剤は、薬物の放出を長期間にわたって維持するのに有利である。
【0052】
上記の可溶化組成物は、例えば滴丸として直接投与してもよく、製剤の中間体とし、薬学的に許容される担体を添加し、散剤、顆粒剤、微丸剤、錠剤、カプセル剤、タブレット剤などの他の固形製剤にしてもよい。これらの薬学的に許容される担体は、例えば充填剤としての澱粉及びその誘導体、セルロース系誘導体、蔗糖、マンニトール、ケイ酸、リン酸水素カルシウム、バインダーとしてのMC、HPC、ゼラチン、PVP、架橋CMC-Na、PVPP、L-HPCから選ばれる崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクパウダーから選ばれる滑沢剤、ステビオシド、アスパルテーム及び他の香料エッセンスから選ばれる矯味剤などの前述の賦形剤を含むが、これらの限定されるものではない。錠剤とする場合は、直接打錠プロセスが好ましい。選ばれる賦形剤は、粉末の直接打錠に適する充填剤、崩壊剤、滑沢剤、及び必要に応じて流動化剤や矯味剤などの他の賦形剤を含む。充填剤は、微晶質セルロース及び/或いは乳糖から選ばれ、処方における使用量は20%〜90%である。崩壊剤は、架橋カルボキシメチル澱粉ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、低置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどから選ばれ、処方における使用量は1%〜6%である。必要に応じて錠剤をフィルムコーティング又は糖衣コーティングしてもよい。
【0053】
一つの実施方案としては、得られた可溶化組成物をさらにカプセル剤とする。添加される充填剤は、MCC、澱粉、CMS-Na、PVPPから選ばれ、使用量は処方の合計量の60%〜95%を占める。添加される流動化剤と滑沢剤は、タルクパウダー、ステアリン酸マグネシウム、微粉末シリカゲル又はこれらの混合物から選ばれ、使用量は処方の合計量の0〜3%を占める。前述の方案で製造された薬物含有可溶化担体の使用量は処方の合計量の5%〜40%を占める。これらを粉砕し、60メッシュ篩を通過させ、賦形剤と均一に混合し、1号〜2号のゼラチン製硬カプセルに装入して得る。
【0054】
もう一つの実施方案としては、薬物をポリビドンK29/32、PVPPXLと、薬物がこの組成物の8%〜30%を占めるように可溶化組成物とし、さらに該当可溶化組成物を錠剤とする。可溶化組成物は錠剤の合計重量の35%〜65%を占める。微晶質セルロースなどの充填剤は10%〜40%を占め、PVPPなどの崩壊剤は5%〜8%を占め、余分は滑沢剤などの賦形剤である。一つの製造方法は以下の通りである。薬物をポリビドンK29/32、PVPPXLと、適量のアセトン/エタノール混合溶液(体積比1:1)に溶解させ、配合した溶液を、スプレーガンを用いて頂部噴射の方式で流動床に吹き込んで造粒し、乾燥し、乾燥した材料を他の材料と均一に混合し、直接打錠して得る。
【0055】
もう一つの実施方案としては、薬物をポリビドンK29/32、PVPPXLと、薬物がこの組成物の8%〜30%を占め、ポリビドンK29/32とPVPPXLの質量比が1:2〜1:3であるように、前述の方法で可溶化組成物とし、粉砕し、篩を通過させ、製剤の合計重量の40%〜60%を占める微晶質セルロースなどの充填剤及び製剤の合計重量の1%〜6%を占めるPVPPなどの崩壊剤を添加し、余分は滑沢剤などの賦形剤である。一つの製造方法は以下の通りである。薬物をポリビドンK29/32、PVPPXLと適量のアセトン/エタノール/水の混合溶液(体積比4:4:1)に溶解させ、頂部噴射の方式で流動床に吹き込んで造粒し、乾燥し、乾燥した材料を他の材料と均一に混合し、直接打錠して得る。該当可溶化組成物をさらに錠剤とする。可溶化組成物は錠剤の合計重量の35%〜65%を占める。
【0056】
もう一つの実施方案としては、薬物をポリビドンK29/32、PVPPXLと、ポリビドンK29/32とPVPPXLの質量比が1:2〜1:3で、薬物がこの組成物の30%〜40%を占めるように、可溶化組成物とする。該当可溶化組成物をさらに錠剤とする。微晶質セルロースなどの充填剤は25〜35%を占め、PVPPなどの崩壊剤は1〜5%を占め、余分は滑沢剤などの賦形剤である。一つの製造方法は以下の通りである。薬物をポリビドンK29/32、PVPPXLと適量のアセトン/エタノール/水の混合溶液(体積比4:4:1)に溶解させ、頂部噴射の方式で流動床に吹き込んで造粒し、乾燥し、乾燥した材料を他の材料と均一に混合し、直接打錠して得る。
【0057】
本発明の医薬組成物における薬理活性成分の含有量は5mg〜180mgでよいが、人体の毎日投与量の三分の一又は二分の一、或いは毎日投与量の倍数であることが好ましい。汎用の動物の有効投与量とヒト用投与量の換算方法に従って動物試験の結果から推算すると、上記の含有量は5mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、120mg、140mg、160mg、180mgでもよい。
【0058】
本発明の医薬組成物又はその製剤形態は心血管疾患治療薬物、特に高血圧治療薬物の製造に用いられる。このような薬物は直接にヒトに投与することができ、投与形態は経口投与又は舌下投与でもよい。
【0059】
前述の本発明の医薬組成物の固形製剤形態について、中国薬局方2005年版付録XCにおける溶出度測定法の第2法に準じて、pH6.8のリン酸塩緩衝液900mlを溶出媒体として、温度を37℃に保持し、回転数を50rpmとし、45分の時点で試料を取り、紫外分光光度法で薬物の含有量を測定し、溶出度を算出した。結果から明らかなように、本発明の医薬組成物を含有する固形製剤は良好な溶出度を有し、特に可溶化担体を含有する固形製剤は優れた溶出度を有する。
【0060】
薬理学の通常の実験方法により、本発明で製造された医薬組成物の製剤形態に対してビーグル犬による吸収試験を行った。結果から明らかなように、薬物の各製剤形態の生体内における吸収レベルは原薬の懸濁液より高く、特に可溶化担体を含有する固形製剤は動物生体内で良好に吸収される。
【0061】
以下、具体的な実施例により、本発明についてさらに詳述する。この分野の技術者に知られるように、本発明で述べられた実施方案と実施例は例を挙げるために提供されたもので、担体の選択、製造方法及び使用はこれらに限定されるものではない。
【0062】
本発明の薬理活性成分は、経口投与や舌下投与以外に、注射、経皮又は吸入などの他の投与形態で投与されてもよい。これらの投与形態には、臨床上で特別な要求がある。これらの製剤は通常の注射、経皮又は吸入製剤の処方組成と製造方法を使用できるため、本発明の薬理活性成分を含有する経口以外の製剤形態も本発明の範囲に含まれる。
【0063】
本発明の医薬組成物はヒト心血管疾患、特に高血圧の治療に用いられる。その方法は、有効投与量の活性成分を含有する医薬組成物を投与する方法を含み、一日に一度投与することが好ましい。より有効に血圧を制御するために、本発明の医薬組成物は、ヒドロクロロチアジドなどの利尿薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、カルシウムイオン拮抗薬などの他の血圧降下薬物と併用してもよい。血圧降下メカニズムの異なる血圧降下薬物と併用することが好ましい。
【具体的な実施形態】
【0064】
式Iの化合物の2−ブチル−4−クロロ−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)1,1’−ビフェニル−メチル]イミダゾール−5−カルボン酸,1−[(イソプロポキシ)カルボニルオキシ]メチルエステルの製造
100mlの一つ口フラスコに2−ブチル−4−クロロ−1−[2’−(1−トリフェニルメチル−テトラゾール−5−イル)1,1’−ビフェニル−メチル]イミダゾール−5−カルボン酸0.523g、K2CO3 0.124g、N,N−ジメチルアセトアミド5mlを順次に入れ、室温で20min攪拌し、室温でイソプロポキシカルボン酸クロロメチル0.562gを加え、45〜50℃で16h反応させた。反応終了後、ろ過し、ろ液に水を30ml入れ、酢酸エチル30mlで二回抽出し、有機相を乾燥し、濃縮後、油状物を1.724g得て、精製しないまま以下の反応に用いた。
【0065】
さらに、ジオキサンを10ml、4mol/L塩酸を5ml加え、室温で16h反応させた。反応を停止させ、炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、反応液のpHを6〜7に調節し、混濁が生じた。酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で有機相を洗浄し、さらに乾燥し、濃縮し、式Iの化合物の2−ブチル−4−クロロ−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)1,1’−ビフェニル−メチル]イミダゾール−5−カルボン酸,1−[(イソプロポキシ)カルボニルオキシ]メチルエステルを0.436g得た。
【0066】
本化合物の構造特徴スペクトルデータは以下の通りである。
【0067】
1H-NMR: (CDCl3)
δH (ppm): 0.89(t,3H,J=14.6),1.24(d,6H,J=6.3), 1.37(m,2H,J=22.1), 1.69(m,2H,J=30.5),2.64(t,2H,J=15.5),4.81(m,1H,J=12.4),5.54(s,2H),5.86(s,2H), 6.95-7.64(8H),8.08(d,1H,J=7.42)
ESI(+)m/z:552.7
Mp:134.5-136℃。
【0068】
薬理的作用及び相関の医薬的使用の研究
(1)ビーグル犬を試験動物とし、各群の動物を6匹とし、それぞれ3.0mg/kg、9.0mg/kg、27mg/kgの投与量で2−ブチル−4−クロロ−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)1,1’−ビフェニル−メチル]イミダゾール−5−カルボン酸,1−[(イソプロポキシ)カルボニルオキシ]メチルエステルを生理食塩水に混濁させ、単回投与量で胃灌流投与し、各投与量群を所定の時点で採血し、血漿を単離し、液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析にて測定したところ、薬物は生体内でその活性代謝物であるEXP3174(2−ブチル−4−クロロ−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)1,1’−ビフェニル−メチル]イミダゾール−5−カルボン酸)に変化することがわかった。この活性代謝物であるEXP3174の血漿における濃度を測定し、薬物濃度ー時間曲線より、代謝物であるEXP3174の薬物動態学的パラメータを算出し、主要な薬物動態学的パラメータであるCmax及びAUC0-tの投与量との相関性を調べた結果、Cmax及びAUC0-tの数値は3.0mg/kg〜27mg/kgの投与量範囲で投与量に伴って上昇することがわかった。
【0069】
(2)高血圧自然発症ラット(SHR)モデルを用い、15mg/kg、30mg/kgの投与量で2−ブチル−4−クロロ−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)1,1’−ビフェニル−メチル]イミダゾール−5−カルボン酸,1−[(イソプロポキシ)カルボニルオキシ]メチルエステルを生理食塩水に混濁させて胃灌流投与し、投与後、血圧はそれぞれ10mm水銀柱、20mm水銀柱降下した。結果から明らかなように、該当化合物は15mg/kg以上の投与量で経口投与されて吸収されると、ラットに対する著しい血圧降下作用を持つ。
【0070】
2−ブチル−4−クロロ−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)1,1’−ビフェニル−メチル]イミダゾール−5−カルボン酸,1−[(イソプロポキシ)カルボニルオキシ]メチルエステルを含有する組成物の製造
実施例A1
処方:薬物 4g、乳糖 36g
製造:薬物を粉砕して120メッシュ篩を通過させ、乳糖を粉砕して80メッシュ篩を通過させ、等量逓増法で処方量の乳糖を入れ、均一に混合し、分包し、該当薬物の散剤を得た。この方案では、さらに必要に応じて適量の矯味剤、矯臭剤及び防腐剤を入れてもよい。
【0071】
実施例A2
処方:薬物 5g、澱粉 15g、蔗糖 10g、カルボキシメチル澱粉ナトリウム 2g、濃度70%の澱粉ペースト 適量
製造:薬物を粉砕して120メッシュ篩を通過させ、他の賦形剤に80メッシュ篩を通過させ、薬物を澱粉、乳糖、カルボキシメチル澱粉ナトリウムと均一に混合し、適量の澱粉ペーストを加え、練合し、14メッシュ篩で造粒し、60℃で乾燥し、12メッシュ篩で整粒し、分包し、該当薬物の顆粒剤を得た。この方案では、さらに必要に応じて適量の矯味剤、矯臭剤及び防腐剤を入れてもよい。
【0072】
実施例A3
処方:薬物 5g、微晶質セルロース 20g、乳糖 20g、カルボキシメチル澱粉ナトリウム 5g、ステアリン酸マグネシウム 1g、PVPK30 適量
製造:薬物と乳糖を混合・粉砕して80〜100メッシュ篩を通過させ、予め粉砕して80メッシュ篩を通過させた微晶質セルロースとカルボキシメチル澱粉ナトリウムを加え、5%〜20%のPVPK30のエタノール溶液を加え、練合し、振動造粒機で12〜14メッシュの顆粒を製造し、50〜90℃で乾燥し、顆粒における水分を3%以内に抑え、均一に混合し、1号のカプセルに装入して得た。45分の時点で測定した溶出度は76.6%であった。
【0073】
実施例A4
処方:薬物 4g、微晶質セルロース 15g、乳糖 15g、PVPPXL 5g、ステアリン酸マグネシウム 1g
製造:薬物と各賦形剤を十分に粉砕して80メッシュ篩を通過させ、均一に混合し、直接に打錠して得た。45分の時点で測定した溶出度は71.9%であった。
【0074】
実施例A5
処方:主薬 5g、乳糖 29g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 15g、カルボキシメチル澱粉ナトリウム 4g、ステアリン酸マグネシウム 1g
製造:薬物と各賦形剤を60℃で乾燥し、薬物を処方量の乳糖と混合し、十分に粉砕して80メッシュ篩を通過させ、処方量のヒドロキシプロピルメチルセルロースとカルボキシメチル澱粉ナトリウムを加え、均一に混合し、適量の蒸留水を加え、練合し、24メッシュ篩で造粒し、湿粒子を60℃で熱風乾燥し、乾燥後、14メッシュ篩で整粒し、処方量のステアリン酸マグネシウムを加え、均一に混合し、打錠して得た。45分の時点で測定した溶出度は75.5%であった。
【0075】
実施例A6
処方:主薬 4g、澱粉 15g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 12g、PVPPXL 4g、ステアリン酸マグネシウム 0.5g、濃度7%の澱粉ペースト 適量
製造:薬物と各賦形剤を60℃で乾燥し、薬物を処方量の乳糖と混合し、十分に粉砕して100メッシュ篩を通過させ、処方量のヒドロキシプロピルメチルセルロースとPVPPXLを加え、均一に混合し、適量の濃度7%の澱粉ペーストで練合し、14メッシュ篩で造粒し、湿粒子を60℃で熱風乾燥し、処方量のステアリン酸マグネシウムを加え、均一に混合し、整粒し、1号の硬カプセルに装入して得た。45分の時点で測定した溶出度は74.8%であった。
【0076】
実施例A7
錠芯の処方:薬物 5g、微晶質セルロース 20g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 10g、ステアリン酸マグネシウム 1g、ドデシルスルホン酸ナトリウム 1g
隔離層コーティング液の処方:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ファーマコート 606) 13g、ポリエチレングリコール400 2.6g、タルクパウダー 6.5g、水 適量
製造:薬物を粉砕して80メッシュ篩を通過させ、他の補助材をそれぞれ粉砕して60メッシュ篩を通過させ、ドデシルスルホン酸ナトリウムを適量の水に溶解させ、薬物、微晶質セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとステアリン酸マグネシウムを均一に混合し、ドデシルスルホン酸ナトリウム溶液で練合し、押出球状化機械にて微丸を製造し、微丸を60℃で乾燥し、篩分けし、18〜24メッシュの微丸を取り、流動床に置いて隔離層をコーティングした。
【0077】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースを水に溶解させ、ポリエチレングリコール400を入れ、タルクパウダーをこれに分散させて隔離層コーティング液を調整し、製造した微丸を流動床にて底部噴射の方式でコーティングし、コーティングでの重量増加は4%であった。隔離層コート微丸を40℃で30min乾燥し、微丸を得た。45分の時点で測定した溶出度は84.5%であった。
【0078】
実施例A8
処方:空白錠芯 60g、薬物 10g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース603 10g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 3g、水 適量
製造:処方量のヒドロキシプロピルメチルセルロース603を水に溶解させ、薬物を粉砕して80メッシュ篩を通過させ、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと一緒にヒドロキシプロピルメチルセルロース603の水溶液に分散させ、空白錠芯60gを流動床に投入し、底部噴射の方式で薬物を空白錠芯につけて、得られた微丸をゼラチン製硬カプセルに装入して得た。45分の時点で測定した溶出度は74.5%であった。
【0079】
実施例B1
処方:薬物 5g、マンニトール 10g、微晶質セルロース 10g、PVPPXL 2.25g、ステアリン酸マグネシウム 0.25g、レモンエッセンス 0.12g、アスパルテーム 0.12g、タルクパウダー 0.2g
製造:薬物とマンニトールを混合し、粉砕して80メッシュ篩を通過させ、他の成分を粉砕して60メッシュ篩を通過させ、均一に混合し、直接に打錠して得た。この錠剤は蒸留水5mlに入られると、3分間で崩壊した。前述の方法に従って溶出度を測定したところ、溶出度は45分の時点で64.5%であった。
【0080】
実施例B2
処方:薬物 20g、酒石酸 50g、炭酸水素ナトリウム 56g、カルボキシメチルセルロース 20g、微晶質セルロース 30g、タルクパウダー 6g、ステアリン酸マグネシウム 2g
製造:薬物、酒石酸、カルボキシメチルセルロースと微晶質セルロースを混合し、16メッシュ篩を通過させ、7%ポリビドンのイソプロパノール溶液で造粒し、乾燥し、30メッシュ篩を通過させて造粒した。炭酸水素ナトリウムを粉砕して30メッシュ篩を通過させ、製造した顆粒と混合し、タルクパウダーとステアリン酸マグネシウムを加え、均一に混合し、打錠して得た。この錠剤は沸騰錠であった。前述の溶出度測定方法によっては、この錠剤の45分の時点での溶出度は64.5%であった。
【0081】
実施例C1
処方:薬物 10g、PEG4000 10g、PEG6000 60g、ポロキサマー188 5g、ステアリン酸 5g
製造:薬物を粉砕して80メッシュ篩を通過させ、80〜90℃の水浴で加熱溶融した残りの基剤に入れ、薬物粉末が完全に見えなくなるまで攪拌して均一に混合させ、溶融した薬物含有液体を滴丸製造機の保温箱に置き、滴下速度を調整し、20〜30滴/分の速度で冷却剤に滴下した。冷却剤はジメチルシリコーンオイル又は液状パラフィンを用い、冷却温度は4〜10℃とした。そして、製造された滴丸を収集し、吸水ペーパーで表面の冷却液を拭き、4℃冷蔵庫に24時間放置することで、滴丸を得た。溶出試験により、得られた滴丸が15分間で溶解・分散できることが実証された。この滴丸は速効作用を果たすための舌下投与に適する。
【0082】
実施例C2
処方:薬物 2g、PEG12000 20g、PEG6000 60g、ポロキサマー188 6g
製造:薬物を粉砕して80メッシュ篩を通過させ、80〜90℃の水浴で加熱溶融した残りの基剤に入れ、薬物粉末が完全に見えなくなるまで攪拌して均一に混合させ、溶融した薬物含有液体を滴丸製造機の保温箱に置き、滴下速度を調整し、20〜30滴/分の速度で冷却剤に滴下した。冷却剤はジメチルシリコーンオイル又は液状パラフィンを用い、冷却温度は4〜10℃とした。そして、製造された滴丸を収集し、吸水ペーパーで表面の冷却液を拭き、4℃冷蔵庫に24時間放置することで、滴丸を得た。溶出試験により、得られた滴丸が5分間で溶解・分散できることが実証された。この滴丸は特に速効作用を果たすための舌下投与に適する。
【0083】
実施例D1
処方:薬物 5g、PVPK29/32 36g、微晶質セルロース 20g、乳糖 20g、PVPPXL 4g、ステアリン酸マグネシウム 4g
製造:薬物とPVPK29/32を適量のエタノールに溶解させ、スプレー乾燥し、スプレー乾燥した試料を他の材料と均一に混合し、打錠した。45分の時点で測定した溶出度は95.5%であった。
【0084】
実施例D2
処方:薬物 5g、PVPPXL(A) 20g、微晶質セルロース 20g、乳糖 20g、PVPPXL(B) 4g、ステアリン酸マグネシウム 4g
製造:薬物を適量のアセトンに溶解させ、PVPPXL(A)を加え、均一に混合し、試料を減圧乾燥し、乾燥した試料を他の材料と均一に混合し、打錠した。45分の時点で測定した溶出度は96.8%であった。
【0085】
実施例D3
処方:薬物 5g、PVPK29/32 10g、PVPPXL(A) 26g、微晶質セルロース 10g、乳糖 10g、PVPPXL(B) 3g、フマル酸ステアリルナトリウム 0.5g
製造:薬物とPVPK29/32を適量のアセトン/エタノール混合溶液(体積比1:1)に溶解させ、PVPPXL(A)を流動床に入れ、配合した溶液を、スプレーガンを用いて頂部噴射の方式で流動床に吹き込んで造粒し、乾燥し、乾燥した材料を他の材料と均一に混合し、打錠した。45分の時点で測定した溶出度は96.7%であった。
【0086】
実施例D4
処方:薬物 15g、PVPK29/32 20g、PVPPXL(A) 20g、微晶質セルロース 10g、乳糖 10g、PVPPXL(B) 2.5g、フマル酸ステアリルナトリウム 0.4g
製造:薬物とPVPK29/32を適量のアセトン/エタノール混合溶液(体積比1:1)に溶解させ、PVPPXL(A)を流動床に入れ、配合した溶液を、スプレーガンを用いて頂部噴射の方式で流動床に吹き込んで造粒し、乾燥し、乾燥した材料を他の材料と均一に混合し、打錠した。45分の時点で測定した溶出度は98.5%であった。
【0087】
実施例D5
処方:薬物 15g、PVPK29/32 8g、PVPPXL(A) 20g、微晶質セルロース 10g、乳糖 10g、PVPPXL(B) 2.5g、フマル酸ステアリルナトリウム 0.4g
製造:薬物とPVPK29/32を適量のアセトン/エタノール混合溶液(体積比1:1)に溶解させ、PVPPXL(A)を流動床に入れ、配合した溶液を、スプレーガンを用いて頂部噴射の方式で流動床に吹き込んで造粒し、乾燥し、乾燥した材料を他の材料と均一に混合し、打錠した。45分の時点で測定した溶出度は97.8%であった。
【0088】
実施例D6
処方:薬物 15g、PVPK29/32 23g、PVPPXL(A) 23g、微晶質セルロース 10g、乳糖 10g、PVPPXL(B) 2.5g、フマル酸ステアリルナトリウム 0.4g
製造:薬物とPVPK29/32を適量のアセトン/エタノール混合溶液(体積比1:1)に溶解させ、PVPPXL(A)を流動床に入れ、配合した溶液を、スプレーガンを用いて頂部噴射の方式で流動床に吹き込んで造粒し、乾燥し、乾燥した材料を他の材料と均一に混合し、打錠した。45分の時点で測定した溶出度は98.3%であった。
【0089】
実施例E1
処方:薬物 10g、微晶質セルロース(A) 20g、微晶質セルロース(B) 10g、乳糖 10g、カルボキシメチル澱粉ナトリウム 2.5g、ステアリン酸 0.4g
製造:薬物と微晶質セルロース(A)を20分間研磨・混合し、他の材料と均一に混合し、打錠した。45分の時点で測定した溶出度は86.7%であった。
【0090】
実施例F1
ビーグル犬を試験動物とし、各群の動物を6匹とし、原薬の懸濁液、実施例A1とD3で製造した製剤をそれぞれ9.0mg/kgの単回投与量で胃灌流投与し、各群を所定の時点で採血し、血漿を単離し、液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析法にて、血漿におけるその活性成分の代謝産物であるEXP3174の濃度を測定し、薬物濃度ー時間曲線より代謝物であるEXP3174の薬物動態学的パラメータを算出し、結果は表1に示す。結果から、ビーグル犬に同等の投与量の薬物を投与すると、薬物の各製剤形態の生体内における吸収レベルは原薬の懸濁液より高く、可溶化担体を含有する製剤の生体内における吸収レベルは通常の製剤より高いことがわかった。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬理活性成分である2−ブチル−4−クロロ−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)1,1’−ビフェニル−メチル]イミダゾール−5−カルボン酸,1−[(イソプロポキシ)カルボニルオキシ]メチルエステルと、薬学的に許容される担体材料とを含有する医薬組成物。
【請求項2】
前述薬理活性成分の組成物における重量百分率は1%〜50%であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前述担体材料は、充填剤、崩壊剤、湿潤剤、バインダー、滑沢剤、界面活性剤、流動化剤、矯味剤、矯臭剤、着色剤のうちの1種又は2種以上を含むことを特徴とする、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前述充填剤は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、蔗糖、乳糖、果糖、キシリトール、マンニトール、澱粉又はその誘導体、デキストリン、微晶質セルロースから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせから、崩壊剤は、澱粉、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、低置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微晶質セルロース、メチルセルロースから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせから、湿潤剤は、蒸留水、エタノール、澱粉ペーストから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせから、バインダーは、アラビアゴム、ゼラチン、トラガカント、デキストリン、ポリビニルピロリドン、澱粉及びその誘導体、アルギン酸ナトリウム、ソルビトール、シロップ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ブドウ糖、ポリメチルアクリレートから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせから、滑沢剤は、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリン、パルミチン酸ステアリン酸グリセリン、ステアリン酸マグネシウム、微晶質セルロース、安息香酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルクパウダー、ステアリン酸亜鉛、ポリエチレングリコールから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせから、界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、ポロキサマー、ポリソルベート類、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン高級脂肪族アルコール、蔗糖エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、大豆リン脂質などから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせから、流動化剤は、コロイドシリカ、粉末状セルロース、三ケイ酸マグネシウム、シリカ、タルクパウダーから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであることを特徴とする、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前述担体材料はさらに、炭酸水素ナトリウム、リン酸塩、有機酸類及び有機酸無水物類から選ばれる沸騰剤を含むことを特徴とする、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前述担体材料はさらに、ポリエチレングリコール類、ポリビドン類、ポリオキシエチレン基含有界面活性剤、水溶性セルロース誘導体、有機酸、糖類、ステロール類及び脂質類物質から選ばれる1種又は2種以上の可溶化担体を含み、薬理活性成分は可溶化担体に分散されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項7】
前述可溶化担体材料は、ポリエチレングリコール類、ポリビドン類、ポリオキシエチレン基含有界面活性剤及び水溶性セルロース誘導体から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
薬理活性成分と可溶化担体の重量比は1:1〜1:100であることを特徴とする、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の医薬組成物を含有する製剤であって、含有される薬理活性成分の重量は5mg〜180mgであることを特徴とする、製剤。
【請求項10】
前述製剤に含有される薬理活性成分の重量は、5mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、120mg、140mg、160mg、180mgから選ばれることを特徴とする、請求項9に記載の製剤。
【請求項11】
その形態は、散剤、顆粒剤、微丸、錠剤、カプセル剤、滴丸剤又はタブレット剤であることを特徴とする、請求項9に記載の製剤。
【請求項12】
心血管疾患薬物の製造のための請求項1〜8のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【請求項13】
血圧降下薬物の製造のための請求項1〜8のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【請求項14】
有効投与量の2−ブチル−4−クロロ−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)1,1’−ビフェニル−メチル]イミダゾール−5−カルボン酸,1−[(イソプロポキシ)カルボニルオキシ]メチルエステルを含有する請求項9〜11のいずれかに記載の製剤を患者に投与することを含む、ヒト心血管疾患の治療方法。
【請求項15】
有効投与量の2−ブチル−4−クロロ−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)1,1’−ビフェニル−メチル]イミダゾール−5−カルボン酸,1−[(イソプロポキシ)カルボニルオキシ]メチルエステルを含有する請求項9〜11のいずれかに記載の製剤を高血圧患者に投与することを含む、ヒト高血圧疾患の治療方法。
【請求項16】
有効投与量の2−ブチル−4−クロロ−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)1,1’−ビフェニル−メチル]イミダゾール−5−カルボン酸,1−[(イソプロポキシ)カルボニルオキシ]メチルエステルを含有する請求項9〜11のいずれかに記載の製剤と、利尿薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、カルシウムイオン拮抗薬から選ばれる1種又は多種の他の血圧降下薬物と、を高血圧患者に投与することを含む、請求項15に記載のヒト高血圧疾患の治療方法。

【公表番号】特表2010−514813(P2010−514813A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544355(P2009−544355)
【出願日】平成20年1月7日(2008.1.7)
【国際出願番号】PCT/CN2008/000048
【国際公開番号】WO2008/086733
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(508252745)上海艾力斯医薬科技有限公司 (7)
【Fターム(参考)】