説明

方位検出装置

【課題】 浮動球体を用いた方位検出装置として、球体の重量を小さくして即応性をよくし、バランス調整が容易で、装置全体を小型にする。
【解決手段】 内周面が球状の面となるように形成された遮光性の筐体9の内周面に間隔をおいて複数個の光センサー11a、11b、11cを配置し、筐体9の内周面内にその直径より小さい直径の球体であり内部に永久磁石7を内蔵した形状部材3を収容し、筐体9の内周面と形状部材3との間に透明な液体を充填し形状部材3を自由に浮動させ、永久磁石7は形状部材3の特定の直径上で中心から外れる位置にこの直径に対して対称的に配置されるので形状部材3は浮動状態で永久磁石7が下側に位置する状態で安定する。形状部材3の表面には、この直径を回転対称軸として回転方向に段階的または連続的に濃淡の程度が変化する濃淡領域の着色を施し、この濃淡領域を検出する前記光センサーの出力信号に基づいて方位を判定し表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方位検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から,一般に方位を確認する場合、磁針式コンパスや球形の浮体によるフロート式コンパスが用いられてきた。前者の磁針式コンパスは、垂直な針の上に針状の磁石をバランス良く乗せ、バランスを保ちながら地磁気のN極、S極を指し示すものである。一方、後者のフロート式コンパスは、球形の浮体の内部に永久磁石を取付け、外部球体との間にアルコールまたは蒸留水を封入した構造で、浮遊する球形フロートが地磁気のN極、S極の方向を向くことで内部球体の表面上に表示された文字や記号から方位情報を得るものである。いずれのコンパスとも磁針部分の慣性重量が小さく、方位の振れに追従する磁針の回転トルクが極めて小さいのが特長である。
【0003】
また、最近では、センサー部とディスプレイ部とからなり、センサー部は受光部と送光部とを備えた反射体を装着すると共に下部に棒状永久磁石を固定してなる球形フロートとこの球形フロートを内部空洞部に充たされた液体中に浮遊させると共に外周部に適数個の方向指示受光センサーを一定間隔毎に配設した外部球体とで構成されている。一方ディスプレイ部は方向を点灯指示する表示灯を臨出させる表示体とで構成されており、ディスプレイ部の各方向指示灯と対応する前記各方向指示受光センサーとを個々に結線してあると共に、前記反射体を構成する受光部に相当する外部球体の外部に光源を点灯するようにしたものが知られている(特許文献1)。
【0004】
さらに、地磁気の影響を受ける球体の表面に、2次元バーコードや記号、ピット等によって示される光学コードによって、方位や傾斜角を示す座標情報を記し、これを光学コード読み取り部で読み取ることによって歩行者の方位を検出するものがあるが、球体の表面にバーコード,記号,方位・傾斜角線を印字したものでは、それらの情報を読み取るためのデバイスが必要であるため、固体撮像素子(例えばCCD)や光学コードリーダーが用いられている(特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】特開平7−12571号公報
【特許文献2】特開2003−14459号公報
【0006】
ところが、従来の磁針式のコンパスでは,細い支柱の上部に磁針部が平衡を保つように支持されているため、コンパス自体が傾くと磁針の端が表示盤や筐体と接触することとなり、コンパスとして使用できなくなるといった問題がある。一方,球形の浮体によるフロート式コンパスの場合は、方位の確認を可視的に行う必要があるため、人間の目で見える範囲に限定されるとともに、外部球体と内部の球形浮体との間にはアルコールや蒸留水が封入されているため、これら封入液が厳寒地では凍結ないし封入液の粘度が上昇してしまって磁針の正確な情報が得られ難いといった問題があった。
【0007】
さらに、特許文献1に記載のものは、光透過性の液体を充填することによって,球体自体の重量が増加し地磁気に対する即応性が悪くなる。さらに,光ファイバーの配置により球体の重量バランスが片寄った場合には,錘によってバランスをとることで更なる重量増をもたらし、光ファイバーを用いたものでは装置自体がある程度傾くと方位を検出できなくなり、また可動部分の慣性重量の増加で地磁気への即応性が悪く、さらには重心の偏りによる可動部分の重量バランスの調整が必要になるといった問題がある。
【0008】
他方、特許文献2に記載のものは、球形の表面の情報を2次元画像情報として正確に読み取るには,読み取りデバイスの手前にある程度精密な光学系部品が必要となり、コストがかかるうえに読み取り部の小型化も困難である上、球体自体の小型化が進むとその表面への情報の印字・印刷が困難となるといった問題が新たに惹起されるといった問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、従来の方位検出装置では、磁針式のものでは、球体のバランスをとるために球体の重量が大きくなり即応性が悪くなり、あるいは球体に付加する情報やその読み取り装置が複雑なものとなり、また方位の確認を視覚に頼らないものにすることは考慮されていないものであった。本発明はこのような従来技術の問題点を解決することを目的とし、構造が簡単で、装置本体を小型化するとともに、装置本体が傾転しても永久磁石でバランスの調整が容易で素早く元の状態に復元できるようにし、さらに方位の確認を視覚にたよらずに行える方位検出装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1の発明では、内周面が閉じた球状の面であり、外部からの光を遮光するように形成された筐体と、該筐体の内周面に、該内周面である球面より内側に突出しないように並置して設けられ各々が発光部及び受光部とからなる複数個の光センサーと、前記筐体の内周面である球面の直径より所定の寸法だけ小さい直径を有する球体をなすように形成され、該球体の内部にその1つの特定の直径上で該球体の中心とは異なる位置において垂直に交差する平面内に永久磁石がそのSN極を該直径に対称的にして配置され、該直径を回転対称軸として該球体の表面に回転方向に濃淡の程度が段階的または連続的に変化するように着色が施された形状部材と、前記形状部材が前記筐体の内周面内で自由に浮動できるように前記筐体の内周面と前記形状部材との間に充填された透明な液体と、前記複数個の光センサーにより得られた信号に基づいて前記筐体が向けられている方位を判定し、その結果を表示するための検出制御部と、からなる方位検出装置としたものである。
【0011】
第2の発明では、検出制御部が筐体に内蔵されて備えられるようにし、第3の発明では、検出制御部が筐体とは別個のユニットとして、あるいは方位検出器が組み込まれる他の機器内に備えられ、複数個の光センサーにより得られた信号がケーブルを介して前記検出制御部に伝送されるようにしたものである。第4の発明では、回転方向の濃淡の程度の変化として、少なくとも4方位以上の方位分解能となるように段階的に変化する濃淡領域として前記形状部材の表面に着色が施されるようにし、第5の発明では、形状部材の表面に濃淡の程度が連続的に変化する着色が施され、該濃淡の程度の変化に応じた複数個の光センサーの出力が方位を示す角度に対して線形になるように検出制御部における信号処理部の補正処理がなされるようにしたものである。第6の発明では、光センサーが筐体の内周面に少なくとも3個以上離間し並置して設けられるようにし、また、第7の発明では、複数個の光センサーが筐体の球面状の内周面に、球面の大円上に等間隔に配置され、検出制御部は前記複数個の光センサーの出力のうち最も高い確実性をもって方位を指示する1つの光センサーを選択し、該選択された光センサーの出力に基づいて方位を決定し表示する手順により方位検出の動作を行うものであり、第8の発明では、筐体の内周面と形状部材との間に充填される液体が少なくともエチレングリコール、低粘度シリコンオイル、アルコールおよび水のいずれかを含むものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明における方位検出装置は、筐体内に位置する形状部材の揺動をできるだけ抑えて方位検出の精度を挙げるとともに、外部環境の使用場所や条件に合わせて任意の形状部材用液体と外部球体用液体を選択することにより形状部材の自由な回転が保証されるとともに、形状部材内には永久磁石を配置する程度であるので即応性がよく、バランスをとりやすい。また、形状部材の復元性が高いため、歩行中や乗り物などの移動体中での方位検出に適している。さらに、濃淡の程度が段階的あるいは連続的に変化するように形状部材の表面に着色を施すとともに、光センサーで反射光強度を測定することにより精度の高い方位が検出でき、構造が簡単で小型化され、製作が容易な方位検出装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態を図面を参照して詳述する。本発明の方位検出装置は方位検出部1と検出制御部200とからなり(図10)、方位検出部1は主として永久磁石7を内包する形状部材(浮体)3、外部球体5、形状部材3と外部球体5との間に充填された形状部材用液体17、外部球体5を囲繞する筺体9、筐体9内に配置された光センサー11とで構成されている(図1)。まず、形状部材3について説明する。形状部材3は樹脂で成形され、外径が3〜10mm、好ましくは3〜7mmの球体形状を成しており、この形状部材3の内部に矩形形状を有する永久磁石7が水平状態(横向き)に配設された状態となっている。この永久磁石7は、形状部材3の重心を低くして方位検出装置1が傾転しても常に地表面に対して水平な面内の向きになって安定するように、形状部材3内でその中心から間隔をおいて、形状部材3の中心を通るある直径に対して垂直に、その直径に対して対称的になるように配置されるようにする。
【0014】
このように永久磁石7を形状部材3内に配置し、永久磁石7の比重が、永久磁石7を含む形状部材3全体の平均的比重より大きいことによって、浮動する形状部材3は常に永久磁石7が形状部材3の中心より下側にあって水平面内にある安定した状態をとる。そこで永久磁石7の中心を通る形状部材3の直径(鉛直軸)上にある形状部材3の表面の位置のうち永久磁石7から遠い方を上頂点13、永久磁石7に近い方を下頂点15とする。このように永久磁石7を内部に配置した形状部材3とするには、例えば形状部材3を形成するための内面が球形である上下2分割式の型内の下側に永久磁石7を配置した後に溶融樹脂を注入して固化させるという手法が用いられよう。形状部3を形成する樹脂としては、所望の後述するように表面に濃淡色の着色を行うことができることのほか、永久磁石7を包含したものとしての平均的比重を、装置内でその周囲を満たす液体の比重と同等にすることを考慮して、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂のうちから選択的に使用できる。
【0015】
形状部材3は、浮動状態において筐体9の向きにかかわらず、上頂点13と下頂点15とを結ぶ直径(鉛直軸)が常に重力方向と一致した方向になるとともに、永久磁石7は水平面内で回転し(図2)、地磁気によりそのN極が北の方位を、S極が南の方位を指すようになる。
【0016】
図4は形状部材3の表面を展開して示した図であり、形状部材3は、形状部材3の内部に埋め込まれた永久磁石7が指し示す地磁気の南北方向を基準として経度方向に、北(N)、東(E)、南(S)、西(W)の4方位に等分した擬似楕円形に分解でき、経度方向に向かって段階的に4階調の灰色の濃淡で着色してある。例えば、北(N)側には黒色に近い灰色から、(E)、南(S)、西(W)側に向かうに従って、白色に近い灰色まで灰色の明度を変化させた構成をなしている。上頂点13と下頂点15は黒く着色されている。なお、方位分解能を表すために形状部材3に着色する濃淡色は、無彩色の灰色に限定されるものではなく、特定の有彩色で濃淡の段階を有するように濃淡色を使用してもよい。
【0017】
図5は、形状部材3の内部に埋め込まれた永久磁石7が指し示す地磁気の南北方向を基準として緯度方向に8等分した擬似楕円形に分解した場合について、形状部材3の表面を展開して示した図であり、方位分解能を、北(N)、北東(NE)、東(E)、南東(SE)、南(S)、南西(SW)、西(W)、北西(NW)の8方位としている。図4に示す4方位から図5に示す8方位にすることにより、より一層精度の高い方位を得ることができる。このような8方位の場合にも、形状部材3の外周部を北(N)のように黒色に近い灰色から北西(NW)のように白色に近い灰色まで明度を漸増させながら灰色の明度を変化させた構成をなしている。なお、球形状を有する形状部材3の表面の経度方向に4方位や8方位などに合わせて方位分解能に対応させて灰色を段階的に濃淡に着色されているが、さらに8方位以上、例えば16方位として、北(N)→東(E)→南(S)→西(W)→北(N)に向けて黒色基調の強い灰色から白色基調の強い灰色になるように灰色の明度を漸増させるようにしてもよい。さらに、明度が段階的に変化する着色でなく、明度が連続的に変化する連続的すなわち無段階のグラデーション(明度変化)にしてもよい。
【0018】
次に、形状部材3を囲繞している透明で球形状を有する外部球体5について説明する。外部球体5は外球部5aと内球部5bとからなり、外球部5aと内球部5bはともに透明な樹脂で成形されたものが使用される。外部球体5の外径の大きさは、約10〜17mm、好ましくは約10〜14mm程度が好ましくい。外球部5aと内球部5bとは異なった大きさ(外球部5aの大きさ>内球部5bの大きさ)を有し、外球部5aと内球部5bは相対移動をせずに相互に同心状に固定されその間に空間部を有している。
【0019】
また、形状部材3と外部球体5を構成する内球部5bとの間は、例えば1〜1.5mmの間隙21を有し、この隙間21には、形状部材用液体17が注入されており、形状部材3が外部球体5の内球部5b内で自由な回転を保証しつつ(回動自在)浮遊した状態が確保できるようにするとともに、形状部材3が内球部5bの壁面とできる限り接触しないようになっている。このためには永久磁石7を内包する形状部材3の平均的比重が液体17の比重と同等になるように永久磁石7及び形状部材3を構成する樹脂の、寸法、材質と、液体17の材質とを選択し、設定することが必要である。使用される形状部材用液体17の種類としては、例えば、エチレングリコールのような不凍液、低粘度シリコンオイル、アルコールあるいは水などが挙げられる。また、方位検出装置が使用される外部の大気温度環境に応じて、使用される液体を使い分けることもできる。
【0020】
固定された同心状の外球部5aと内球部5bとの間の空間部は約1〜2mmの間隙23を有し、間隙23の内部には、前述した形状部材用液体17と同様に、例えば、エチレングリコールのような不凍液、低粘度シリコンオイル、アルコールあるいは水などの外部球体用液体19が封入されており、内球部5bと外球部5aとは、その間の空間部に外部球体用液体19が封入された状態で完全密封されている。外球部5a内に封入するために使用される外部球体用液体19の種類は、外部の大気温度によって、方位検出装置1を使い分けることもできる。例えば零度以下の厳寒地などの特別な場所では、エチレングリコールのような不凍液の入ったものが望ましく、このような特別な場合を除いて、通常は、低廉で入手の容易な、低粘度シリコンオイル、アルコールあるいは水などを使用してもよい。なお、外部球体5が間に液体19を封入した外球部5aと5bとからなる構造とするのは外部球体5の内球部5b内で形状部3が自由に回転することを意図したものであり、形状部3が自由に回転する条件が満たされれば、特に外球部5a及び内球部5bからなる構造としなくてもよい。
【0021】
外球部5aと内球部5bは、筐体9内で該球部5aの外側に配置された光センサー11からの光を透過して、形状部材3表面の灰色の濃淡による着色部で吸収された残りの光量(反射光強度)を測定できるように、透明の樹脂が用いられる。透明な樹脂としては、汎用透明プラスチックと透明エンプラのどちらでもよく、特に限定されるものではないが、例えば、汎用透明プラスチックとしては、ポリスチレン(PS)、アクリルニトリル・スチレン共重合樹脂(AS)、透明HIPS、透明ABS樹脂、スチレン・ブタジェン共重合樹脂(SBS)、スチレン・マイレン酸樹脂(SMA)、MMA・PS共重合樹脂(MS樹脂)、スチレン無水マイレン酸系樹脂、メタクリル樹脂、セルロース・アセテートなどがある。また、透明エンプラとしては、ポリエステルカーボネート、ポルメチルペンテン(TPX)、ポリアリレート(Uポリマー)、ポリエーテル・サルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ポリカーボネート樹脂(PC)等が挙げられる。
【0022】
次に、外部球体5を完全囲繞するための筺体9について説明する。球形状を有する外部球体5の外周部は、立方体状の筺体9によって囲繞されており、筺体9は太陽光などの光を透過しないで遮光可能にして真っ暗な状況を呈することが必須条件となる。また、筺体9の材質としては非磁性体の金属(例えば、アルミニウム、真鍮等)や真っ黒に着色された、あるいは黒色顔料を含む樹脂などが好ましい。なお、筺体9に使用する材料としては、完全遮光状態を確保できるとともに、非磁性体のものであれば、限定するものではない。因みに、筺体9の外部形状は特に限定されるものではなく、例えば立方体状や多角形状あるいは球形状ものでもよく、限定されない。図示した立方体形状の筐体9の下面に底部10が付設され、方位検出部1の姿勢の基準状態は底部10が水平になっている状態(図2)である。また、筐体内面は基本的に外部球体5を囲繞する球面状であるが、内周面に光センサー11を配置するとともに、光センサー配線が接続されるようにし、また付随する回路や電源を内蔵するか、外部要素との間で接続されるようにする。さらに、方位検出部1の筐体9は、図1のように上から見た状態で、いずれの向きを使用者が方位を知りたい向きとするかを、例えば色、マーク等の筐体外部の表示で識別できるようにしておくか、触覚に頼る方式としては、筐体9の外形形状(突起等)により識別できるようにしておく。
【0023】
この筺体9の内周面には光センサー11が配置される。図示した例では、光センサー11は、それぞれ発光部25と受光部27とを備えた3つの光センサー11a、11b、11cとして配置されている。この3つの光センサー11a、11b、11cは、筐体9の内周面である球面とその中心を通る平面との交わりである大円上に等間隔に配置され、図2に示されるように、筐体9の底部10が水平である基準状態で形状部材3の上頂点13と下頂点15間とを結ぶ鉛直線に対して一方の半円周上に、この鉛直線を垂直に二等分する平面に対して対称的に配置されている。形状部材3の表面は、図1のように鉛直軸の方向に上頂点13側から見て水平面内、すなわち経度方向に等分割(図1では4分割)され、それぞれの示す方位に応じてグラデーションされた検出面とされている。筐体9の内周面上のそれぞれの光センサー11a、11b、11cは、発光部25からの光が透明な外球部5a、液体19及び内球部5bを通って形状部材3の表面のグラデーションに応じて吸収され、それ以外の反射光が内球部5b、液体19及び外球部5aを通って受光部27で受光されるようになっている(図3)。発光部25から照射された光が、濃淡の異なる灰色に着色された形状部材3の表面に当たった後、濃淡(明度)に応じて光の吸収に差異が生じるため、結果的に反射光強度が異なることにより、方位を検知することが可能となるのである。
【0024】
また、方位検出装置の傾転により筺体9が傾斜した場合に、筺体9に内蔵された形状部材3は、地磁気によって上頂点13と下頂点15を結ぶ線が常に鉛直の状態を維持するのに対して、筐体9の方は、その内周面に一列状に配置された光センサー11a、11b、11cとともに、自由に傾動することになるため、
(1)筺体9内に組み込まれた光センサーのうち両端側の光センサー11a、11cを結ぶ直線aと、上頂点13と下頂点15とを結ぶ鉛直状の直線bとがある角度をなして交差するような筺体9の傾動がある場合、
(2)両直線a,bが平行になる場合(図2に示される基準状態)、
(3)両直線a、bが直交する場合(光センサー11a、11cを結ぶ直線が形状部材3の上頂点13と下頂点15とを結ぶ直線の中心を通りこれに垂直な平面(形状部材の球面の赤道位置の面)に平行な状態)
のいずれかになる。なお、発光部25の光の種類については、赤外線や可視光線を使用できる。
【0025】
本発明の方位検出装置は単独で使用されほか、必要に応じて機器などに組み込まれて使用される形態がある。使用者が方位検出装置またはこれを組み込んだ機器を把持し携行して使用する際に、機器そのものが傾転させたり、振動させたりすることになる。しかしながら、機器に組み込まれた方位検出装置の方位検出部1の中心部域に位置する形状部材3は、永久磁石7を内蔵させたことと相俟って外部球体5を構成する内球部5a内で形状部材3の筺体9の向きに関わらず上頂点13と下頂点15とを結ぶ直線が常に重力方向と一致するように機能するものの、筺体9と形状部材3とが相対動を起こして形状部材3の揺動が生じ易くなる。このような形状部材3の揺動を極力抑える方策として、形状部材用液体17に、例えば低粘度のシリコンオイルを使用するようにすることが望ましい。内蔵された光センサー11(11a、11b、11c)の内、特に方位の検出の中核となる光センサー11bが方位分解能の境目に位置した場合は、方位判定が不能の状態になる。このように方位判定が不能な状態になった時に、方位の表示手段による表示がなされず、音声表示よる場合には音声が途切れることになる。少なくとも2秒に一回の間隔割合で精度の高い方位の検出を行うという設定であれば、音声表示を選択した場合には、次の2秒先の音声による方位の応答を待つことになる。
【0026】
次に、方位検出部1により得られた方位情報に基づいて使用者に検出された方位を知らせるための検出制御部について図10により説明する。この検出制御部200は信号処理部30及び制御回路部40を備えるほか、視覚表示手段50、振動モーター60、音声回路70、スピーカー80、イヤホン90、骨伝導スピーカー100等から選択された表示手段が組み合わされて構成されている。
【0027】
まず、方位検出部1の筐体9の底部10が水平である基準状態の場合を考える。この場合、光センサー11(11a、11b、11c)はいずれも図1に示されるように東(E)に対応する位置にあり、いずれの発光部25から照射された光も外部球5a、外部球体用液体19、内部球5b、形状部材用液体17を透過して形状部材3の比較的濃い灰色に着色された東(E)領域に到達し、この領域は光の吸収率が比較的大きくなるため、その分受光部27で得られた反射光強度は小さなり、受光部27で受光する光の受光率は低い反射光強度値となって現われることになる。得られた反射光強度値を示す信号は信号処理部30に送られる。
【0028】
信号処理部30は形状部材3の表面における方位を示す着色された濃淡領域に対応する反射光強度の値が予め比較用データとして設定されており、光センサー11の受光部27で得られた反射光の強度がこの比較用データと比較され、方位情報に変換される。方位検出部1の筐体9は、いずれの向きを使用者が方位を知りたい向きとするかを、視覚手的または、触覚により識別できるようになっている。図1の例で、使用者は知りたい向きを光センサー11が配置された側と反対側の向き(図1で左側の向き)であるとする。この筐体9における方位を知りたい向きと、筐体9の内周面に配置された光センサーとの位置関係は方位を支持する上での前提事項として信号処理部30において設定されている。使用者が方位を知りたい方に向けて方位検出装置(方位検出部1)を保持すると,光センサー11(11a、11b、11c)の前方には指し示す方位に対応して4段階に着色された灰色の濃淡領域の内、東(E)が現れ、方位検出部1の指し示す方位は東(E)と反対側の西(W)となる。これらの方位情報は制御回路40に送られ、その後、使用者の要求に応じて、視覚表示手段、振動や音声あるいはそれらの組み合わせによる手段での表示により確認される。
【0029】
視覚表示手段50としては、例えばLED、液晶を用いた表示素子を用いることができ、振動で方位を確認するための手段としては、例えば携帯電話でマナーモード用に使用されている振動モーター60が使用できる。さらに、音声で方位を確認するための手段としては、人声やブザー音などを発生する音声回路70を経て、開放型のスピーカー80、装着型のイヤホン90、あるいは骨伝導を利用したスピーカー100等の音響装置からの音で方位情報が提供できる。これらの視覚的または音声、振動等による表示手段、信号処理部、制御回路部、電源は方位検出装置が単体として用いられる場合は、必要な部分を内蔵した形態とし、あるいは筐体9以外の外部ユニットとして接続される形態とすることができ、また、他の携帯型の機器に内蔵される装置として組み込まれるものでは、他の機器本体側に収容される形態とすることができる。
【0030】
次に、本発明の方位検出装置の動作について説明する。
【0031】
通常は方位検出部1をできるだけ地面と水平に、図2に示される基準状態に保つように保持して使用するのが望ましいが、歩行中や移動体中で使用したり、さらに携帯型の機器に内蔵する場合には、当然のことながら方位検出部1が任意の方向に旋回する状況が想定される。そこで、本発明の方位検出装置(方位検出部1)を用いて旋回した際でも安定した方位を検出することについて、図4〜図9を用いて説明する。
【0032】
図6と図8を中心に図7と図9なども合わせて説明する。
【0033】
まず、図6は光センサー11a、11cを結ぶ直線と、形状部材3の上頂点13と下頂点15を結ぶ直線(鉛直線)とが同一方向となる状態と、筺体9のみを45度旋回した場合を示す。また、図8は光センサー11a、11cを結ぶ直線と上頂点13と下頂点15を結ぶ鉛直線とが同一方向(a)になるかまたは交差方向(b、c)になった場合の具体例について説明する。図示の例で、光センサー11a、11b、11cは球の中心を通る面内で、中心に対してなす角度がそれぞれ45度をなすように対称的に配置されている。光センサーの配置は対称的であるのが望ましいが、球の中心とのなす角度は45度に限られない。
【0034】
本発明では、一定の光量を照射する光センサー11(11a、11b、11c)を縦軸にとるとともに、形状部材3の表面に方位分解能(例えば、4段階や8段階)に対応する灰色の濃淡領域により吸収されずに反射された光の受光量(反射光強度)を横軸にとり、両者の相関関係のデータを予め得て、信号処理部30における濃淡の判別のための比較データとして保持しておくものである。当該データに基づいて使用者がどの方位を向いているのかを知ることができるのである。なお、濃淡領域により吸収されずに反射された光の光量(反射光強度)の測定時に、光センサー11(11a、11b、11c)と形状部材3間に介在する形状部材用液体17や外部球体用液体19などの種類を変えた場合の光の吸収率も、前記データ採集時に合わせてデータを得ておくことが望ましい。
【0035】
図6は、光センサー11a、11cを結ぶ仮想線と上頂点13と下頂点15とを結ぶ鉛直線とが同一方向に位置した状態(基準状態)から、筺体9のみを図6に示すように45度旋回して、4つの方位分解能の内、光センサー11(11a、11b、11c)に東(E)の濃淡領域が対向している場合を示している。さらに、方位検出装置1を構成する筺体9が前方向に大きく傾斜し、光センサー11cは東(E)領域の擬似楕円形の最も幅が広い赤道29の近くを照射し、形状部材3の上頂点13により近い光センサー11bは東(E)領域の幅の狭い擬似楕円形状領域を照射するとともに、光センサー11aは上頂点13の位置を照射する状態になっている。上頂点13近辺は黒く着色されているので、光センサー11aから黒く着色された上頂点13に照射された光の反射光強度は最も弱くなるとともに、光センサー11aと90度の角度で配設された光センサー11cが形状部材3の赤道29の付近に位置し、光センサー11cの受ける反射光の強度が最も強くなる。光センサー11a、11bの反射光強度は光センサー11cから照射された反射光強度よりも弱いために、光センサー11cを方位の判断基準とするのが妥当であり、信号処理部30では光センサー11cの反射光強度を第一の候補として採用する。
【0036】
同様に、方位検出部1を構成する筺体9が後方向に大きく旋回(約45度)した場合には前述した前傾方向とは逆になり、光センサー11aは東(E)領域の擬似楕円形の最も幅が広い赤道29の位置を照射し、形状部材3の下頂点15により近い光センサー11bは東(E)領域の擬似楕円形状を有する幅のより狭い領域を照射することになると同時に、光センサー11cは黒く着色された下頂点15の位置を照射するというような状態になる。このように、光センサー11cが下頂点15を検出した場合には、光センサー11cと90度の角度で配設された光センサー11aが球形状の形状部材3の赤道29付近に位置することになるため、その照射した光センサー11aから照射された反射光強度を第一の候補として採用し、残りの光センサー11b、11cの反射光強度を参照して、3つの光センサー11の中で光センサー11aが示す反射光強度を指標として方位を判断するのである。
【0037】
筺体9が前後に45度傾斜するいずれの場合も、形状部材3に着色された灰色の濃淡領域を検出する光センサー11(11a、11b、11c)の位置と判定の手順が逆になるだけであり、方位の決定には影響を及ぼさない。なお、光センサー11bが下頂点15を検出した場合には、使用者の所望する向きが上方向(天側)の向きになっていている状態であり、方位検出装置1は90度転倒していると判断できるので、方位の概念は意味を持たなくなっており、方位の判定は行わず、状況を変えて再度試行することになる。
【0038】
前述のような、列状に配置された光センサー11(11a、11b、11c)がこれと球の中心を通る面内で回転した場合を筐体9の前後の傾斜として考えたものであるが、この回転の軸と垂直な方向の軸周りの回転として、中心の光センサー11bと球の中心を通る直線を軸として筐体9が回転する横の傾斜する場合を考える。図7に示すように、方位検出装置1が横に90度傾斜して横転した時に、光センサー11(11a、11b、11c)が形状部材3の赤道29に沿って並ぶ位置にあり、3つの光センサー11a、11b、11cがそれぞれ異なる濃淡領域に対向する状態になっており、3つの光センサー11の中で光センサー11bが示す反射光強度を指標として方位を判断するのである。3つの光センサー11a、11b、11cの内、光センサー11bは常に目的の赤道29上にあるが、残りの光センサー11aは北(N)と光センサー11cは南(S)となり、東(E)の領域を外れて隣接する領域を表示することになるため、光センサー11(11a、11b、11c)の表示する方位は、光センサー11bのみが正しい方位として判断され、採用される。
【0039】
図8は筐体9が横に傾斜した場合、すなわち光センサー11a、11cを結ぶ仮想線と形状部材3の上頂点13と下頂点15を結ぶ鉛直線との方向が一致するかまたは交差方向になるように変位した場合を分けて示しており、この場合光センサー11bが常に擬似楕円形状の形状部材3の赤道29に対向した位置にあって、筺体9が旋回する。
【0040】
図8(a)は、光センサー11a11cを結ぶ仮想線と、上頂点13と下頂点15を結ぶ鉛直線とが一致した方向になる場合であり、3つの光センサー11a、11b、11cが全て目的の同一の方位を示す濃淡領域を検出するため、最も信頼性の高い方位を得ることができる。
【0041】
図8(b)は、光センサー11a、11cを結ぶ仮想線と形状部材3の上頂点13と下頂点15を結ぶ鉛直線とが45度の角度をなす場合であり、3つの光センサー11a、11b、11cの内、光センサー11bは常に目的の方位を示す位置にあるが、残りの光センサー11aと光センサー11cは目的の領域(ここでは、東(E)の領域)をはずれて隣接する領域(ここでは、北(N)と南(S)の領域)に対向するため、光センサー11(11a、11b、11c)のうち光センサー11bが示すのが正しい方位として判断され、採用される。
【0042】
さらに、図8(c)は、光センサー11a、11cを結ぶ仮想線と形状部材3の上頂点13と下頂点15を結ぶ鉛直線とが90度の角度をなす場合であり、これは図7に示されるのと同じであって、3つの光センサー11a、11b、11cは赤道29の位置にあり、そのうち光センサー11bは東(E)の領域に対向しているが、残りの光センサー11aと光センサー11cは東(E)の領域を外れて隣接する領域(ここでは、北(N)と南(S)の領域)に対向することになるため、光センサー11(11a、11b、11c)の表示する方位は、光センサー11bのみが正しい方位として判断され、採用される。
【0043】
最後に、図9のフローチャートを用いて光センサー11(11a、11b、11c)と形状部材3の周方向の相対動による方位の基本的な判定方法について説明する。図6のように筺体9が45度旋回した状態からさらに45度旋回した場合、すなわち図2の基準状態から90度旋回した状態になると、方位の判断基準となる光センサー11bが形状部材3の上頂点13上に位置することになる。また光センサー11bが下頂点15上に位置する場合も同様である。このように光センサー11bが上頂点13または下頂点15上に位置すると判断される(b=0;ステップ120)場合、方位の判断はできないことになり、信号処理部30での方位の信号処理ができなくなる。このため、方位を検出することなく信号処理は終了する。
【0044】
光センサー11bが形状部材3の上頂点13または下頂点15上の位置になければ、次いで光センサー11aが形状部材3の上頂点13または下頂点15上に位置しているかどうかを判断しa=0;ステップ130)、もし光センサー11aが形状部材3の上頂点13または下頂点15上に位置していれば、光センサー11cが擬似楕円形状の形状部材3の赤道29に位置することになり、方位の判定(ステップ150)ができ、光センサー11cが示す方位が採用されるのである。
【0045】
光センサー11aが形状部材3の上頂点13または下頂点15上に位置していていない場合、光センサー11cが形状部材3の上頂点13上に位置しているかどうかの判断(c=0;ステップ140)を行うことになる。もし光センサー11cが形状部材3の上頂点13または下頂点15上に位置していれば、光センサー11aは擬似楕円形状の形状部材3の赤道29上に位置することになり、光センサー11aが示す方位を採用して方位判定(ステップ160)ができるのである。
【0046】
同様に、もし光センサー11cが形状部材3の上頂点13または下頂点15上に位置していなければ、光センサー11bが擬似楕円形状の形状部材3の赤道位置相当部29に位置することになり、方位の判定(170)ができるのである。
【0047】
これまでは、光センサー11a、11b、11cが球の中心を含む面内に対称的に、球の中心に対して45の角度をなすように間隔をおいて配置された場合について、光センサー11a、11b、11cと筐体9の球状の内周面の中心とを含む面内での筐体9の回転(前後の傾斜)と、これに垂直な面内での筐体9の回転(横の傾斜)とに分けて説明した。実際の筐体9の傾斜はこの2種類にわけた傾斜の複合として生ずる場合が多いが、方位の判断の考え方は前述した原則に基づいて同様になされるものである。また、光センサー同士の間の角度が特に45度でなくても、やはり同様に方位の判断がなされる。
【0048】
以上は、球形の形状部材3の表面を上頂点13と下頂点15とを結ぶ直線を軸として、4分割または8分割し、方位を示す相互に段階的な明度の差を有する濃淡領域を形成した場合について、方位検出装置による方位の判断過程について説明した。形状部材3の表面を図4、図5に示すように4段階あるいは8段階に着色した場合、図9のフローチャートにより4段階あるいは8段階の方位情報が得られる。この場合光センサーから得られる信号は4段階あるいは8段階の離散的(ディジタル的)な値となる。
【0049】
本発明においては、形状部材3の表面を、濃淡の度合いが段階的に変化する濃淡領域に分割する代わりに、無段階、連続的に変化するようにしてもよい。ただし、黒に近い明度から明度が漸次増大し、球面を一周して白に近い明度の位置を過ぎると、再び黒に近い明度になる箇所では不連続になる。このように濃淡の度合いを無段階、連続的に変化するように着色した場合に、光センサーから得られる反射光強度を示す信号は、その濃淡の度合いに応じて連続的(アナログ的)な値となる。球形の形状部材3の経線方向には濃淡度が一定であるので、方位判定に用いられる光センサーの出力信号から原理的には無制限の分解能で方位情報を得ることが可能となる。しかしながら、実際の装置において、光センサーからの信号はA/D(アナログ・ディジタル)変換回路を介して信号処理部に取り込まれ、ここで連続的な値が離散的な値に変換されるものであることから、方位の分解能はA/D変換回路の分解能の制限を受けることになる。例えば、8ビットの分解能をもつA/D変換回路を備えた信号処理部では、最大256段階の方位分解能となる。また、漸次連続的に変化する着色のし方と、光センサーの出力特性とのいずれも線形に変化するとは限らないことを考えた場合、実際に構成された方位検出装置において、得られた離散的な方位情報を示す値と、実際の方位角との対応をとるための補正処理が必要になることもある。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の基準状態にある方位検出装置の方位検出部を球形の形状部材の中心を通る平面で切断して上から見た断面図である。
【図2】本発明の基準状態にある方向検出装置の方位検出部を図1のA−A面の位置で切断して見た断面図である。
【図3】光センサーを用いて方位を測定する場合の部分拡大図である。
【図4】形状部材を4方位に展開した場合の展開図である。
【図5】形状部材を8方位に展開した場合の展開図である。
【図6】方位検出部の筺体を図2の基準状態から45度前方に旋回させた状態の切断断面図である。
【図7】筺体を図2の基準状態から90度横に旋回させて3つの光センサーが形状部材の赤道に沿うようにした場合の切断断面図である。
【図8】筺体が形状部材に対して、(a)鉛直状態(基準状態)、(b)45度横に旋回、(c)90度横に旋回した場合の形状部材の部分に対する筺体内の光センサーの相対的変位を示す図である。
【図9】方位判定のフローチャートである。
【図10】方向検出装置の検出制御部の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 方位検出部
3 形状部材(浮体)
5 外部球体
5a 外球部
5b 内球部
7 永久磁石
9 筺体
10 底部
11(11a、11b、11c) 光センサー
13 上頂点
15 下頂点
17 形状部材用液体
19 外部本体用液体
21 間隙(磁石本体と内球部間の隙間)
23 間隙(外球部と内球部間の隙間)
25 発光部
27 受光部
29 形状部の赤道
30 信号処理部
40 制御回路図
50 視覚表示手段
60 振動モーター
70 音声回路
80 スピーカー
90 イヤホン
100 骨伝導スピーカー
200 検出制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面が閉じた球状の面であり、外部からの光を遮光するように形成された筐体と、
該筐体の内周面に、該内周面である球面より内側に突出しないように並置して設けられ各々が発光部及び受光部とからなる複数個の光センサーと、
前記筐体の内周面である球面の直径より所定の寸法だけ小さい直径を有する球体をなすように形成され、該球体の内部にその1つの特定の直径上で該球体の中心とは異なる位置において垂直に交差する平面内に永久磁石がそのSN極を該直径に対称的にして配置され、該直径を回転対称軸として該球体の表面に回転方向に濃淡の程度が段階的または連続的に変化するように着色が施された形状部材と、
前記形状部材が前記筐体の内周面内で自由に浮動できるように前記筐体の内周面と前記形状部材との間に充填された透明な液体と、
前記複数個の光センサーにより得られた信号に基づいて前記筐体が向けられている方位を判定し、その結果を表示するための検出制御部と、
からなることを特徴とする方位検出装置。
【請求項2】
前記検出制御部が前記筐体に内蔵されて備えられたものであることを特徴とする請求項1に記載の方位検出装置。
【請求項3】
前記検出制御部が前記筐体とは別個のユニットとして、あるいは方位検出器が組み込まれる他の機器内に備えられ、前記複数個の光センサーにより得られた信号がケーブルを介して前記検出制御部に伝送されることを特徴とする請求項1に記載の方位検出装置。
【請求項4】
前記回転方向の濃淡の程度の変化として、少なくとも4方位以上の方位分解能となるように段階的に変化する濃淡領域として前記形状部材の表面に着色が施されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方位検出装置。
【請求項5】
前記形状部材の表面に濃淡の程度が連続的に変化する着色が施され、該濃淡の程度の変化に応じた前記複数個の光センサーの出力が方位を示す角度に対して線形になるように前記検出制御部における信号処理部の補正処理がなされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方位検出装置。
【請求項6】
前記光センサーが前記筐体の内周面に少なくとも3個以上離間し並置して設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方位検出装置。
【請求項7】
前記複数個の光センサーが前記筐体の球面状の内周面に、球面の大円上に間隔をおいて配置され、前記検出制御部は前記複数個の光センサーの出力のうち最も高い確実性をもって方位を指示する1つの光センサーを選択し、該選択された光センサーの出力に基づいて方位を決定し表示する手順により方位検出の動作を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方位検出装置。
【請求項8】
前記筐体の内周面と前記形状部材との間に充填される液体が少なくともエチレングリコール、低粘度シリコンオイル、アルコールおよび水のいずれかを含むものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方位検出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−153833(P2006−153833A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−41133(P2005−41133)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(304020177)国立大学法人山口大学 (579)
【Fターム(参考)】