説明

方向転換装置

【課題】物品の方向を転換するための構成を単純化する。
【解決手段】方向転換装置100は、物品1の方向を転換するように構成され、物品1を搬送するコンベア10と、コンベア10の側方に回動可能に支持されたハブ部22と、ハブ部22から互いに略90度の角度をもって放射状に延びた4つのアーム24と、ハブ部24に連結されてハブ部24と共に回動する回動制御部材26と、回動制御部材26の側面にパッド28aを押し付ける押圧機構28とを備える。回動制御部材26は、コンベア10上に位置するアーム24がコンベア10による物品1の搬送方向に略直交している状態において他の状態よりもハブ部22の回動動作に対して強い抗力が与えられるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の方向を転換する方向転換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を搬送しながらその方向を転換する方向転換装置がある。このような方向転換装置は、例えば、第1方向に向いた状態で物品を処理する第1処理装置から第2方向に向いた状態で物品を処理する第2処理装置に物品を搬送するための搬送路に配置されうる。特許文献1、2に方向転換装置の例が開示されている。
【特許文献1】特開平6−100151号公報
【特許文献2】特開平11−322059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1、2に記載された方向転換装置は、いずれも複数のコンベアを設け、複数のコンベアの速度差を利用して物品を回転させるものである。したがって、特許文献1、2に記載された方向転換装置は、大きな占有面積を必要とする、装置構成が複雑である、電力消費が大きいといった課題を有している。
【0004】
本発明は、例えば、物品の方向を転換するための構成を単純化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面は、物品の方向を転換する方向転換装置に係り、前記装置は、物品を搬送するコンベアと、前記コンベアの側方に回動可能に支持されたハブ部と、前記ハブ部から互いに略90度の角度をもって放射状に延びた4つのアームと、前記ハブ部に連結されて前記ハブ部と共に回動する回動制御部材と、前記回動制御部材の側面にパッドを押し付ける押圧機構とを備え、前記回動制御部材は、前記コンベア上に位置する前記アームが前記コンベアによる物品の搬送方向に略直交している状態において他の状態よりも前記ハブ部の回動動作に対して強い抗力が与えられるように構成される。
【0006】
本発明の好適な実施形態によれば、前記回動制御部材は、略八角形の形状を有する。
【0007】
本発明の他の側面に係る方向転換装置は、物品を搬送するコンベアの側方に回動可能に支持されたハブ部と、前記ハブ部から互いに略90度の角度をもって放射状に延びた4つのアームと、前記ハブ部に連結されて前記ハブ部と共に回動する回動制御部材と、前記回動制御部材の側面にパッドを押し付ける押圧機構とを備え、前記回動制御部材は、前記コンベア上に位置する前記アームが前記コンベアによる物品の搬送方向に略直交している状態において他の状態よりも前記ハブ部の回動動作に対して強い抗力が与えられるように構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば、物品の方向を転換するための構成を単純化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0010】
図1〜図4は、本発明の好適な実施形態の方向転換装置の概略構成及び動作を示す平面図である。図5は、図1〜図4に示す方向転換装置100の一部(方向転換機構)を拡大して示した図である。
【0011】
本発明の好適な実施形態の方向転換装置100は、物品1の方向を転換する装置として構成されている。物品1は、平面図において、縦方向の長さと横方向の長さとが異なる形状を有する。物品1の方向Aは、例えば、その長手方向として定義することができるが、勿論、短手方向、或いは他の方向として定義することもできる。ここでは、物品1の方向Aをその長手方向として定義して説明する。方向転換装置100は、方向D1を向いた状態で搬送されている物品1を方向D1に直交する方向D2に転換する。
【0012】
方向転換装置100は、物品1を搬送するコンベア10を構成要素として備える装置として構成されてもよいし、コンベア10に付加される装置として構成されてもよい。例えば、物品1がビール瓶等を収容するケースである場合において、方向転換装置100は、例えば、パレット上に整列配置された複数のケースを分離するデパレタイザーと該デパレタイザーによって分離されたケースを洗浄する洗浄装置との間の搬送路に配置され得る。
方向転換装置100は、コンベア10の側方に回動可能に支持されたハブ部22と、ハブ部22から互いに略90度の角度を持って放射状に延びた4つのアーム24と、連結軸30を介してハブ部22に連結されてハブ部22と共に回動する回動制御部材26と、回動制御部材26の側面にパッド28aを押し付ける押圧機構28とを備えている。各アーム24の先端には、ローラ24aが設けられうる。
【0013】
回動制御部材26は、コンベア10上に位置するアーム24がコンベア10による物品の搬送方向(図1〜図4において、”搬送方向”と記されている)に略直交している状態(図1、図4に示す状態)において他の状態(例えば、図2、図3に示す状態)よりもハブ部22の回動動作に対してパッド28aから強い抗力を受けるように構成されている。換言すると、回動制御部材26は、コンベア10上に位置するアーム24がコンベア10による物品の搬送方向に略直交している状態(図1、図4に示す状態)において他の状態(例えば、図2、図3に示す状態)よりも回動し難い。
【0014】
物品10は、方向D1を向いた状態で、ガイド52及び54によってガイドされながらコンベア10によって搬送されてくる。そして、物品1は、図1に示すように、コンベア10上において搬送方向と略直交する方向を向いているアーム24に衝突して減速し、次いで、図2、図3に順に示すように、2つのアーム24とガイド54によって規制された状態でコンベア10による駆動力によって略90度回動させられて方向D2に向けられる。このようにして、物品10は、コンベア10によって搬送されながら方向D1から方向D2にその方向Aが転換される。方向が転換された物品1は、図4に示すように、ガイド54及び56によってガイドされながらコンベア10によって更に搬送される。
物品1の方向を転換させた後、4つのアーム24の角度は、コンベア10上に位置する1つのアーム24がコンベア10の搬送方向と略直交した方向に向くように回動制御部材26とそれをパッド28aで押圧する押圧機構28とによって制御される。
【0015】
ガイド54は、コンベア10上の物品が略90度回動することを許すように、4つのアーム24の回転中心に対面する部分が搬送方向の側方Bに膨らんだ形状を有している。
【0016】
押圧機構28は、例えば、回動制御部材26に押し付けられて回動制御部材26の回動を制御するパッド28aと、カバー部材40に固定された支持部材28dと、支部部材28dに設けられた貫通孔を摺動自在に貫通してパッド28cに連結された摺動部材28bと、圧縮状態でパッド28aと支持部材28dとの間に配置されてパッド28aを回動制御部材26方向に押し出すバネ28cとを含んで構成されうる。
【0017】
回動制御部材26は、略八角形の形状を有することが好ましい。コンベア10上の物品1によってモーメントを受けて回動しようとするアーム24の回動動作に対して、略八角形の回動制御部材26の側面にパッド28aが押し付けられることによって抗力が与えられる。ここで、略八角形の形状を有する回動制御部材26は、回転中心からの距離が第1距離の辺26aと、回転中心からの距離が第1距離よりも短い第2距離の辺26bとを交互に連結した形状を有しうる。辺26aは、辺26bよりも強い力(バネ28cの復元力)でパッド28aから押されるので、回動動作に対して辺26bよりも大きな抗力を受ける。回動制御部材26及び押圧機構28は、コンベア10上に位置するアーム24がコンベア10による物品1の搬送方向に略直交している状態において、辺26aがパッド28aによって押圧されるように構成されることが好ましい。この場合、辺26aがパッド28aによって押圧される状態は、辺26bがパッド28aによって押圧される状態よりも、ハブ部22或いはアーム24の回動動作に対して強い抗力が与えられる状態である。
ハブ部22、アーム24、回転制御部材26及び押圧機構28等によって構成される方向転換機構は、典型的には、アーム24がコンベア10上の物品1によってモーメントを受けることによってのみ動作し、特別な動力源を必要としない。
この実施形態によれば、複数のコンベアを設けることなく物品の方向を転換することができる。したがって、この実施形態の方向転換装置は、例えば、占有面積の低減、装置構成の単純化、電力消費の低減等において有利である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の好適な実施形態の方向転換装置の概略構成及び動作を示す平面図である。
【図2】本発明の好適な実施形態の方向転換装置の概略構成及び動作を示す平面図である。
【図3】本発明の好適な実施形態の方向転換装置の概略構成及び動作を示す平面図である。
【図4】本発明の好適な実施形態の方向転換装置の概略構成及び動作を示す平面図である。
【図5】図1〜図4に示す方向転換装置の一部(方向転換機構)を拡大して示した図である。
【符号の説明】
【0019】
1 物品
10 コンベア
22 ハブ部
24 アーム
24a ローラ
26 回動制御部材
28 押圧機構
28a パッド
28b 摺動部材
28c バネ
28d 支部部材
30 回転軸
40 カバー部材
52、54、56 ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の方向を転換する方向転換装置であって、
物品を搬送するコンベアと、
前記コンベアの側方に回動可能に支持されたハブ部と、
前記ハブ部から互いに略90度の角度をもって放射状に延びた4つのアームと、
前記ハブ部に連結されて前記ハブ部と共に回動する回動制御部材と、
前記回動制御部材の側面にパッドを押し付ける押圧機構とを備え、
前記回動制御部材は、前記コンベア上に位置する前記アームが前記コンベアによる物品の搬送方向に略直交している状態において他の状態よりも前記ハブ部の回動動作に対して強い抗力が与えられるように構成されている、
ことを特徴とする方向転換装置。
【請求項2】
前記回動制御部材は、略八角形の形状を有することを特徴とする請求項1に記載の方向転換装置。
【請求項3】
物品の方向を転換する方向転換装置であって、
物品を搬送するコンベアの側方に回動可能に支持されたハブ部と、
前記ハブ部から互いに略90度の角度をもって放射状に延びた4つのアームと、
前記ハブ部に連結されて前記ハブ部と共に回動する回動制御部材と、
前記回動制御部材の側面にパッドを押し付ける押圧機構とを備え、
前記回動制御部材は、前記コンベア上に位置する前記アームが前記コンベアによる物品の搬送方向に略直交している状態において他の状態よりも前記ハブ部の回動動作に対して強い抗力が与えられるように構成されている、
ことを特徴とする方向転換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−341946(P2006−341946A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−167243(P2005−167243)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】