説明

施設監視システム及び方法

【課題】ビルなどの施設において、非常事態発生時に不正な操作や不測の事態を未然に回避できる施設監視システムを提供することにある。
【解決手段】中央監視室13から施設内の各種機器や設備の制御操作を行なう施設監視システムにおいて、中央監視室13の外部に設けられて非常事態信号を入力するための非常事態スイッチ10と、この非常事態スイッチ10の操作に応じて各種機器や設備の制御操作を制限するための緊急情報入力部20とを備えた構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばビル等の施設内の各種機器や設備の運転状況の監視、及び制御操作を行なう施設監視システムに関し、特に、非常事態時に緊急処理を実行する機能を有する施設監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば大規模なビルなどの施設(プラントなども含む)においては、施設内の電気や空調などの各種機器や、エレベータや衛生設備などの設備の運転状況を監視し、かつ制御操作(制御又は操作)を行なうための監視装置が、例えば中央監視室と呼ばれるような特定の区域に設けられている。
【0003】
中央監視室では、オペレータが、監視装置のモニタ画面により各種機器や設備の動作状態を確認したり、操作入力部から制御操作を指示するなど、施設内を集中的に管理(監視及び制御操作)できるようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平9−204221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、中央監視室において、ビル施設内を集中的に管理するシステムは、効率的にビル施設内を管理できる。しかしながら、例えば外部侵入者により中央監視室を不法に占拠されたり、あるいは中央監視室の火災発生などの非常事態が発生した場合には、前述の集中的管理システムは、オペレータなどのコントロールが不能になるため、不測の事態を招くリスクが潜在的に存在している。
【0005】
このような対策として、例えばパスワードなどの個人認証方式を用いることにより、第三者の不正操作を防止する手法が行なわれている。しかしながら、外部侵入者により、中央監視室やビル施設が不法に占拠されるような事態に対しては、有効に対処できない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ビルなどの施設において、非常事態発生時に不正な操作や不測の事態を未然に回避できる施設監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の観点に従った施設監視システムは、施設内の各種機器や設備の制御操作を行なうための操作装置と、非常事態信号を入力するための非常事態入力手段と、前記非常事態入力手段により入力された非常事態信号に従って、前記操作装置による前記各種機器や設備の制御操作を制限する緊急処理手段とを備えた構成である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ビルなどの施設において、非常事態発生時に、第三者による不正な操作や不測の事態を未然に回避できる施設監視システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に関する施設監視システムの構成を示すブロック図である。
【0011】
本システムは、ビル施設1に設けられた各種機器(現場機器15-1〜15-n)15の動作状態を監視したり、制御操作を行なう中央監視室13及び入出力装置14を有する。現場機器15-1〜15-nには、防災機器、エレベータ、電気設備、あるいはコンピュータなどのビル施設内に設置された機器や設備が含まれる。
【0012】
入出力装置14は、中央監視室13と連絡して、状態入力部24及び制御出力部25を有する。状態入力部24は、現場機器15の動作状態を検知した結果を示す状態検知情報を中央監視室13の入出力管理部21に送信する。一方、制御出力部25は、入出力管理部21からの制御操作指令に従って、現場機器15及び電源供給設備26に制御操作信号を出力する。
【0013】
中央監視室13は、ビル施設の集中的管理を行なうための特定区域(特定のフロアまたは部屋)であり、オペレータにより管理される各種装置が配置されている。各種装置とは、端的にはコンピュータシステムであり、緊急情報入力部20、入出力管理部21、操作入力部22及び画面表示部23を有する。
【0014】
操作入力部22は、オペレータによる操作を入力し、現場機器15の制御操作を指示する信号を入力管理部21に出力する。画面表示部23は、入力管理部21から出力される状態検知情報を画面上に表示する。
【0015】
入出力管理部21は、コンピュータシステムのソフトウェアにより機能であり、操作入力部22から入力される操作要求に応じて、現場機器15を制御操作するための制御操作指令を制御出力部25に出力する。また、入出力管理部21は、状態入力部24から入力される状態検知情報を画面表示部23に出力する。さらに、入出力管理部21は、後述するように、緊急情報入力部20から入力される緊急情報に応じて、制御操作指令の出力を停止(禁止)する。
【0016】
緊急情報入力部20は、非常事態スイッチ10と信号線(緊急情報入力線)11を介して接続しており、非常事態スイッチ10の操作に応じて緊急情報を入出力管理部21に入力する。具体的には、緊急情報入力部20は、通常時にはONの正常信号を入出力管理部21に入力し、非常事態時には当該正常信号をOFFする。
【0017】
非常事態スイッチ10は、ビル施設1の外部、あるいは中央監視室13から離れた場所に設置される。非常事態スイッチ10は、通常時ではON信号を信号線11に送出するように構成されている。一方、非常事態発生時に、オペレータなどにより非常事態スイッチ10が操作されると、OFF信号を信号線11に送出する。緊急情報入力部20は、信号線11からOFF信号を受信したり、または信号線11が切断された場合には、前述のように、緊急情報を入出力管理部21に入力する。
【0018】
(作用効果)
以下、図2のフローチャートを参照して、システムの処理手順を説明する。
【0019】
まず、通常時でのシステムの処理手順を説明する。即ち、非常事態スイッチ10が操作されず、かつ、信号線11も切断されていない場合では、緊急情報入力部20は、入出力管理部21に入力するONの正常信号を維持している(ステップS1のNo,S3のNo,S4)。
【0020】
操作入力部22は、オペレータにより操作されると、その操作要求内容を入出力管理部21に入力する(ステップS5のYes,S6)。入出力管理部21は、緊急情報入力部20からの正常信号がONで、かつ操作入力部22からの操作要求を受信すると、当該操作要求内容に応じた制御操作指令を制御出力部25に出力する(ステップS7のYes,S8)。
【0021】
これを受けて、制御出力部25は、制御操作指令に従った制御信号を現場機器15に出力する(ステップS10)。現場機器15では、制御操作指令に従って、指定された現場機器15-1〜15-nのいずれか、又は全てが動作する(ステップS11)。
【0022】
ここで、例えばビル内に侵入した侵入者により、中央監視室13を不法に占拠された状況を想定する。オペレータなどが非常事態が発生したことを確認し、非常事態スイッチ10を操作すると、緊急情報入力部20は、入出力管理部21に入力する正常信号をOFFする(ステップS1のYes,S2)。なお、信号線11が切断された場合でも、緊急情報入力部20は、入出力管理部21に入力する正常信号をOFFする(ステップS1のNo,S3のYes,S2)。
【0023】
入出力管理部21は、緊急情報入力部20から緊急情報(OFFの正常信号)が入力されると、制御出力部25に対する制御操作指令の出力を停止する(ステップS7のNo,S9)。この場合、操作入力部22からの操作要求の有無に関係なく、制御操作指令の出力を停止する。従って、制御出力部25は、制御信号を現場機器15に出力しないため、現場機器15-1〜15-nは、動作停止の状態となる(ステップS12)。
【0024】
以上のようにして本実施形態のシステムであれば、例えばビル内に侵入した侵入者により、中央監視室13を不法に占拠されるような非常事態の発生時に、オペレータなどが非常事態スイッチ10を操作することにより、入出力管理部21は、操作入力部22の操作とは無関係に、制御操作指令の出力を強制的に停止する。
【0025】
従って、非常事態の発生時に、操作入力部22の操作を無効化することができる。これにより、中央監視室13を不法に占拠した侵入者が操作入力部22を操作して、現場機器15を不正に制御操作するような事態を未然に防止することができる。具体的には、現場機器15に含まれるコンピュータを操作して、データを破壊するなどの不正行為を防止することができる。
【0026】
換言すれば、例えば侵入者による不正な操作を未然に防止することにより、ビル施設1の運用への悪影響が急速に広がることを防止できる。従って、ビル施設1における保安性を向上させる効果が期待できる。
【0027】
なお、本実施形態では、非常事態の発生時に、現場機器15-1〜15-nの全ての動作を停止させる制御について説明したが、これに限定されることなく、現場機器15-1〜15-nの中で選択的に動作を停止させる制御でもよい。具体的には、入出力管理部21は、例えばエレベータの制御操作のみを有効にして、それ以外の機器の制御操作を無効にする制御でもよい。これにより、例えばビル内に存在する人がエレベータで避難することが可能となる。
【0028】
[第2の実施形態]
図3は、本実施形態に関する施設監視システムの処理手順を説明するためのフローチャートである。なお、施設監視システムの構成は、図1に示す第1の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0029】
本実施形態のシステムは、非常事態の発生時に、電源供給設備26の電源供給を制御することにより、現場機器15を強制的に動作停止にさせる構成である。以下、図3のフローチャートを参照して、具体的に説明する。
【0030】
まず、通常時では、非常事態スイッチ10が操作されず、かつ、信号線11も切断されていない場合であるため、緊急情報入力部20は、入出力管理部21に入力するONの正常信号を維持している(ステップS21のNo,S23のNo,S24)。
【0031】
操作入力部22は、オペレータにより操作されると、その操作要求内容を入出力管理部21に入力する(ステップS25のYes,S26)。入出力管理部21は、当該操作要求内容に応じた制御操作指令を制御出力部25に出力する(ステップS30)。
【0032】
一方、入出力管理部21は、緊急情報入力部20からの正常信号がONの場合には、制御電源ON指令を制御出力部25に出力する(ステップS27のYes,S28)。制御出力部25は、制御電源ON指令に応じて電源供給設備26からの電源供給をONするための制御電源ONを設定し、制御操作指令に従った制御信号を現場機器15に出力する(ステップS31,S33)。現場機器15では、制御操作指令に従って、指定された現場機器15-1〜15-nのいずれか、又は全てが動作する(ステップS35)。
【0033】
ここで、例えばビル内に侵入した侵入者により中央監視室13を不法に占拠された状況において、オペレータなどが非常事態スイッチ10を操作すると、緊急情報入力部20は、入出力管理部21に入力する正常信号をOFFする(ステップS21のYes,S22)。なお、信号線11が切断された場合でも、緊急情報入力部20は、入出力管理部21に入力する正常信号をOFFする(ステップS21のNo,S23のYes,S22)。
【0034】
入出力管理部21は、緊急情報入力部20から緊急情報(OFFの正常信号)が入力されると、制御出力部25に対して制御電源OFF指令を制御出力部25に出力する(ステップS27のNo,S29)。この場合、入出力管理部21は、操作入力部22からの操作要求内容に応じた制御操作指令を制御出力部25に出力する(ステップS30)。
【0035】
制御出力部25は、制御電源OFF令に応じて電源供給設備26からの電源供給をOFFするための制御電源OFFを設定し、制御操作指令に従った制御信号を現場機器15に出力することを禁止する(ステップS32,S34)。このため、現場機器15-1〜15-nは、動作停止の状態となる(ステップS35)。
【0036】
以上のようにして本実施形態のシステムであれば、例えばビル内に侵入した侵入者により、中央監視室13を不法に占拠されるような非常事態の発生時に、オペレータなどが非常事態スイッチ10を操作することにより、現場機器15-1〜15-nに対する制御信号の出力を強制的に停止にするため、結果として操作入力部22の操作を無効化することができる。これにより、中央監視室13を不法に占拠した侵入者が操作入力部22を操作して、現場機器15を不正に制御操作するような事態を未然に防止することができる。即ち、侵入者による不正な操作を未然に防止することにより、ビル施設1の運用への悪影響が急速に広がることを防止できる。従って、ビル施設1における保安性を向上させる効果が期待できる。
【0037】
なお、本実施形態においても、非常事態の発生時に、現場機器15-1〜15-nの全ての動作を停止させずに、選択的に動作を停止させる制御でもよい。例えば防災機器に対しては電源供給と制御信号の出力を有効にして、それ以外の機器については動作を停止させる制御でもよい。
【0038】
[第3の実施形態]
図4は、本実施形態に関する施設監視システムの構成を示すブロック図である。なお、図1に示す第1の実施形態の場合と同様の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
【0039】
本実施形態のシステムでは、緊急情報入力部20は、非常事態スイッチ10の操作に応じて緊急情報を現場機器15-1〜15-nに入力する。具体的には、緊急情報入力部20は、通常時にはONの正常信号を現場機器15-1〜15-nに入力し、非常事態時には当該正常信号をOFFする。
【0040】
以下、図5のフローチャートを参照して、本実施形態のシステムの処理手順を具体的に説明する。
【0041】
まず、通常時では、非常事態スイッチ10が操作されず、かつ、信号線11も切断されていない場合であるため、緊急情報入力部20は、現場機器15-1〜15-nに入力するONの正常信号を維持している(ステップS41のNo,S43のNo,S44)。なお、図4に示すように、緊急情報入力部20は、入出力管理部21に対してもONの正常信号を入力する構成でもよい。
【0042】
操作入力部22は、オペレータにより操作されると、その操作要求内容を入出力管理部21に入力する(ステップS45のYes,S46)。入出力管理部21は、当該操作要求内容に応じた制御操作指令を制御出力部25に出力する(ステップS50)。制御出力部25は、制御操作指令に従った制御信号を現場機器15に出力する(ステップS51)。
【0043】
ここで、現場機器15では、緊急情報入力部20からのONの正常信号の入力に応じて、制御モードとして、中央監視室13からの制御操作指令を受け付ける「遠方」モードに設定している(ステップS47のYes,S48)。従って、現場機器15は、制御出力部25からの制御信号に従って動作する(ステップS54)。即ち、現場機器15では、制御操作指令に従って、指定された現場機器15-1〜15-nのいずれか、又は全てが動作する状態である。
【0044】
ここで、例えばビル内に侵入した侵入者により中央監視室13を不法に占拠された状況において、オペレータなどが非常事態スイッチ10を操作すると、緊急情報入力部20は、現場機器15-1〜15-nに入力する正常信号をOFFする(ステップS41のYes,S42)。なお、信号線11が切断された場合でも、緊急情報入力部20は、現場機器15-1〜15-nに入力する正常信号をOFFする(ステップS41のNo,S43のYes,S42)。
【0045】
現場機器15では、緊急情報入力部20から緊急情報(OFFの正常信号)が入力されると、制御モードを、中央監視室13からの制御操作指令を受け付ける「遠方」モードから、現場での操作しか行えない「直接」モードに変更する(ステップS47のNo,S49)。従って、制御出力部25が、入出力管理部21からの制御操作指令に従った制御信号を現場機器15に出力しても、現場機器15-1〜15-nは、動作停止の状態である(ステップS55)。但し、この場合、現場での機器操作が実行された場合には、現場機器15-1〜15-nを動作させることができる(ステップS52,S53のYes)。
【0046】
以上のようにして本実施形態のシステムであれば、例えばビル内に侵入した侵入者により、中央監視室13を不法に占拠されるような非常事態の発生時に、オペレータなどが非常事態スイッチ10を操作することにより、現場機器15-1〜15-nに対して中央監視室13からの遠隔制御操作を無効にできる。これにより、中央監視室13を不法に占拠した侵入者が操作入力部22を操作して、現場機器15を不正に制御操作するような事態を未然に防止することができる。即ち、侵入者による不正な操作を未然に防止することにより、ビル施設1の運用への悪影響が急速に広がることを防止できる。従って、ビル施設1における保安性を向上させる効果が期待できる。
【0047】
なお、本実施形態では、非常事態の発生時に、現場において直接操作できるため、現場機器15-1〜15-nの中から、選択的に例えば防災機器については動作を維持させることができる。
【0048】
[第4の実施形態]
図6は、本実施形態に関する施設監視システムの処理手順を説明するためのフローチャートである。なお、施設監視システムの構成は、図1に示す第1の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0049】
本実施形態のシステムは、入出力管理部21が、操作入力部22から入力されるパスワードに基づいて、操作権限及び操作可能対象を制限することができる機能を有する構成である。以下、図6のフローチャートを参照して、具体的に説明する。
【0050】
まず、通常時では、非常事態スイッチ10が操作されず、かつ、信号線11も切断されていない場合であるため、緊急情報入力部20は、入出力管理部21に入力するONの正常信号を維持している(ステップS61のNo,S63のNo,S64)。
【0051】
操作入力部22は、オペレータにより操作されると、パスワード及び操作要求内容を入出力管理部21に入力する(ステップS65のYes,S66)。入出力管理部21は、入力されるパスワードが適切で、緊急情報入力部20からの正常信号がONの場合には、当該操作要求内容に応じた制御操作指令を制御出力部25に出力する(ステップS68のYes,S69)。
【0052】
制御出力部25は、制御操作指令に従った制御信号を現場機器15に出力する(ステップS71)。現場機器15では、制御操作指令に従って、指定された現場機器15-1〜15-nのいずれか、又は全てが動作する(ステップS72)。
【0053】
ここで、例えばビル内に侵入した侵入者により中央監視室13を不法に占拠された状況において、オペレータなどが非常事態スイッチ10を操作すると、緊急情報入力部20は、入出力管理部21に入力する正常信号をOFFする(ステップS61のYes,S62)。なお、信号線11が切断された場合でも、緊急情報入力部20は、入出力管理部21に入力する正常信号をOFFする(ステップS61のNo,S63のYes,S62)。
【0054】
入出力管理部21は、緊急情報入力部20から緊急情報(OFFの正常信号)が入力されると、操作入力部22からは適切なパスワード以外の入力を受け付けないモード(非常事態モード)に設定する(ステップS67)。従って、入出力管理部21は、操作入力部22から操作要求が入力されても、制御出力部25に対する制御操作指令の出力を停止する(ステップS68のNo,S70)。このため、現場機器15-1〜15-nは、動作停止の状態となる(ステップS73)。
【0055】
なお、操作入力部22から適切なパスワードが入力されると、入出力管理部21は、非常事態モードを解除し、通常の運用モードに復帰する。
【0056】
以上のようにして本実施形態のシステムであれば、例えばビル内に侵入した侵入者により、中央監視室13を不法に占拠されるような非常事態の発生時に、オペレータなどが非常事態スイッチ10を操作することにより、適切なパスワード入力を除いて、それ以外の操作入力部22を操作を無効にできる。従って、中央監視室13を不法に占拠した侵入者が操作入力部22を操作して、現場機器15を不正に制御操作するような事態を未然に防止することができる。即ち、侵入者による不正な操作を未然に防止することにより、ビル施設1の運用への悪影響が急速に広がることを防止できる。従って、ビル施設1における保安性を向上させる効果が期待できる。
【0057】
なお、本実施形態においても、非常事態の発生時に、現場機器15-1〜15-nの全ての動作を停止させずに、選択的に動作を停止させる制御でもよい。例えば防災機器に対しては電源供給と制御信号の出力を有効にして、それ以外の機器については動作を停止させる制御でもよい。
【0058】
[第5の実施形態]
図7は、本実施形態に関する施設監視システムの構成を示すブロック図である。なお、図1に示す第1の実施形態の場合と同様の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
【0059】
本実施形態のシステムは、中央監視室13の操作入力部22の操作入力が異常操作であると判定した場合には、非常事態の発生と認識して、電源供給設備26の電源供給を制御することにより、現場機器15を強制的に動作停止にさせる構成である。
【0060】
本実施形態のシステムでは、図7に示すように、中央監視室13には、異常操作検出部30及び異常判定データベース31が設けられている。異常操作検出部30は、操作入力部22の入力操作の内容と、異常判定データベース31に蓄積された異常な操作を判定するための基準データとを照合して、操作入力部22の異常操作を検出して、入出力管理部21に通知する。以下、図8のフローチャートを参照して、システムの動作を具体的に説明する。
【0061】
まず、操作入力部22から入力操作が実行されると、異常操作検出部30に対して、操作内容が送信される(ステップS81,S82)。異常操作検出部30は、操作入力部22から操作内容を示すデータを受信すると、当該受信データと異常判定データベース31の基準データとを照合する(ステップS83,S84)。異常判定データベース31には、入力操作を異常と判定するための基準データとして、例えばパスワード誤入力回数上限、マウス移動距離、マウスボタン押下時間などのデータが蓄積されている。
【0062】
異常操作検出部30は、操作入力部22から操作内容が正常であると判定した場合には、当該操作内容を示す受信データを入出力管理部21に転送する(ステップS85のNo,S87)。
【0063】
入出力管理部21は、操作入力部22から操作内容が正常である場合には、制御電源ON指令を制御出力部25に出力する(ステップS88のYes,S89)。さらに、入出力管理部21は、操作内容に従った制御操作指令を制御出力部25に出力する(ステップS91)。
【0064】
制御出力部25は、制御電源ON指令に応じて電源供給設備26からの電源供給をONするための制御電源ONを設定し、制御操作指令に従った制御信号を現場機器15に出力する(ステップS92,S93)。現場機器15では、制御操作指令に従って、指定された現場機器15-1〜15-nのいずれか、又は全てが動作する(ステップS96)。
【0065】
一方、例えば中央監視室13に侵入した侵入者が、操作入力部22を不正に操作した場合には、異常操作検出部30は、操作入力部22の操作内容が異常操作であると判定し、入出力管理部21に操作内容を示すデータを転送せずに、異常通知を送信する(ステップS85のYes,S86)。
【0066】
ここで、異常操作の具体例としては、例えば、パスワード入力間違いを一定回数以上繰り返した場合や、操作誤り時に表示する警告ウィンドウの表示回数が一定回数を超えた場合、次の操作を行うまでのマウス移動距離が一定値を超えた場合、マウスボタン押下時間が一定値を超えた場合などである。これらを判定するための基準データが、異常判定データベース31に蓄積されている。
【0067】
入出力管理部21は、操作入力部22の操作が異常であるとの通知を受けると、制御出力部25に対して制御電源OFF指令を制御出力部25に出力する(ステップS88のNo,S90)。制御出力部25は、制御電源OFF令に応じて電源供給設備26からの電源供給をOFFするための制御電源OFFを設定し、制御操作指令に従った制御信号を現場機器15に出力することを禁止する(ステップS94,S95)。このため、現場機器15-1〜15-nは、動作停止の状態となる(ステップS97)。
【0068】
以上のようにして本実施形態のシステムであれば、中央監視室13の操作入力部22の操作を監視することにより、異常な操作、即ち不正な操作が実行されたことを検知することができる。これにより、例えば中央監視室13に侵入した侵入者が操作入力部22を不正に操作したことを検知すると、操作入力部22からの入力操作を無効にすることができる。具体的には、適切なパスワードの入力に応じて、操作入力部22の操作が有効になるように設定すれば、侵入者がパスワードを誤入力すれば、操作入力部22の操作を無効にできる。従って、中央監視室13に侵入した侵入者により、現場機器15を不正に制御操作するような事態を未然に防止することができるため、ビル施設1における保安性を向上させる効果が期待できる。
【0069】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1の実施形態に関する施設監視システムの構成を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態に関するシステムの処理手順を説明するためのフローチャート。
【図3】第2の実施形態に関するシステムの処理手順を説明するためのフローチャート。
【図4】第3の実施形態に関する施設監視システムの構成を示すブロック図。
【図5】第3の実施形態に関するシステムの処理手順を説明するためのフローチャート。
【図6】第4の実施形態に関するシステムの処理手順を説明するためのフローチャート。
【図7】第5の実施形態に関する施設監視システムの構成を示すブロック図。
【図8】第5の実施形態に関するシステムの処理手順を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0071】
1…ビル施設、10…非常事態スイッチ、11…信号線(緊急情報入力線)、
13…中央監視室、14…入出力装置、15,15-1〜15-n…現場機器、
20…緊急情報入力部、21…入出力管理部、22…操作入力部、
23…画面表示部、24…状態入力部、25…制御出力部、26…電源供給設備、
30…異常操作検出部、31…異常判定データベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内の各種機器や設備の制御操作を行なうための操作装置と、
非常事態信号を入力するための非常事態入力手段と、
前記非常事態入力手段により入力された非常事態信号に従って、前記操作装置による前記各種機器や設備の制御操作を制限する緊急処理手段と
を具備したことを特徴とする施設監視システム。
【請求項2】
前記操作装置は、前記施設内の特定区域に設けられており、
前記非常事態入力手段は、前記施設または前記特定区域の外部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の施設監視システム。
【請求項3】
前記非常事態入力手段は、
前記操作装置とは離れた場所に設置された非常事態用スイッチと、
前記非常事態用スイッチと前記緊急処理手段とを接続し、前記非常事態用スイッチの操作に応じて前記非常事態信号を、前記緊急処理手段に伝送する信号線と
を有することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の施設監視システム。
【請求項4】
前記緊急処理手段は、
前記非常事態信号の入力に応じて、前記施設内の各種機器や設備を制御又は操作するための制御操作信号が、前記操作装置から前記各種機器や設備の制御手段に伝送されることを禁止する手段であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の施設監視システム。
【請求項5】
前記緊急処理手段は、
前記非常事態信号の入力に応じて、前記施設内の各種機器や設備に対する電源供給を停止する手段であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の施設監視システム。
【請求項6】
前記緊急処理手段は、
前記非常事態信号の入力に応じて、前記施設内の各種機器や設備に対して、前記操作装置からの制御操作を無効にして、直接的な制御操作を有効にする手段であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の施設監視システム。
【請求項7】
前記操作装置による制御操作に必要な入力操作を行なうための操作入力部を含み、
前記緊急処理手段は、
前記非常事態信号の入力に応じて、前記操作入力部の入力操作の中で、適切なパスワードの入力操作を除く入力操作を無効にして、前記操作入力部から適切なパスワードの入力に応じて無効の入力操作を有効に復帰させる手段であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の施設監視システム。
【請求項8】
施設内の各種機器や設備の制御操作を行なうための操作装置を含む施設監視システムに適用する緊急処理方法であって、
非常事態信号を入力するステップと、
前記入力された非常事態信号に従って、前記操作装置による各種機器や設備の制御操作を制限するステップと
を有する手順を実行することを特徴とする緊急処理方法。
【請求項9】
施設内の各種機器や設備の制御操作を行なうための操作装置と、
前記操作装置に含まれて、前記制御操作に必要な入力操作を行なうための操作入力部と、
前記操作入力部による入力操作の内容が、正常であるか否かを判定するための判定手段と、
前記判定手段により前記操作入力部による入力操作が異常である場合には、前記操作装置による各種機器や設備の制御操作を制限する緊急処理手段と
を具備したことを特徴とする施設監視システム。
【請求項10】
施設内の各種機器や設備の制御操作を行なうための操作装置を含む施設監視システムに適用する緊急処理方法であって、
前記制御操作に必要な入力操作の内容が、正常であるか否かを判定するステップと、
前記入力操作が異常である場合には、前記操作装置による各種機器や設備の制御操作を制限するステップと
を有する手順を実行することを特徴とする緊急処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−226165(P2008−226165A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67284(P2007−67284)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】