既製杭の施工方法及び基礎支持構造
【課題】既に構築された基礎の下側において省スペースで既製杭を支持地盤まで打ち込むことができ、不同沈下に対して、長期的な信頼性の高い修復方法を実現することが可能な既製杭の施工方法、並びにその既製杭による基礎支持構造を提供する。
【解決手段】既製杭1の施工方法は、基礎8の下側の地盤を掘削して作業空間70を形成する第1工程と、作業空間70において、基礎8に、ジャッキ9、直動回転変換機構10、及び既製杭1を鉛直方向75へ連結し、ジャッキ9を駆動することにより、既製杭1を回転させながら地盤に打ち込む第2工程と、ジャッキ9及び上記直動回転変換機構10を取り外し、地盤に打ち込まれた既製杭1の上端と基礎8とを連結する第3工程と、作業空間70を埋め戻す第4工程とを含む。
【解決手段】既製杭1の施工方法は、基礎8の下側の地盤を掘削して作業空間70を形成する第1工程と、作業空間70において、基礎8に、ジャッキ9、直動回転変換機構10、及び既製杭1を鉛直方向75へ連結し、ジャッキ9を駆動することにより、既製杭1を回転させながら地盤に打ち込む第2工程と、ジャッキ9及び上記直動回転変換機構10を取り外し、地盤に打ち込まれた既製杭1の上端と基礎8とを連結する第3工程と、作業空間70を埋め戻す第4工程とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎の下側に打設される既製杭の施工方法、並びに当該既製杭により支持される基礎の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
家屋などの建物は、地盤に構築された基礎に支持されている。建物が軟弱な地盤に建築されると、建物及び基礎の重量によって、基礎の一部或いは全部が沈下することがある。このように、建物を建築した後に基礎が沈下することは、不同沈下と呼ばれている。不同沈下により基礎の一部が地盤に沈下して建物が傾倒すると、その建物を水平に修復しなければならない。
【0003】
従来より、不同沈下した建物の修復方法として、基礎と建物の間にジャッキなどを介在させて、そのジャッキにより、建物を基礎に対して不同沈下した分だけ持ち上げる方法がある。また、基礎とともに建物をジャッキなどにより持ち上げる方法がある(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、不同沈下した基礎の下側を掘削して杭を新たに打ち込む方法がある(特許文献2の段落「0007」など)。この杭の打ち込みは、上側に基礎及び建物が存在するので、杭と基礎との間にジャッキを介在させ、基礎及び建物の荷重を反力として行われる。
【0005】
【特許文献1】特開2000−328591号公報
【特許文献2】特開平10−18311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ジャッキなどにより建物又は基礎を持ち上げる方法では、不同沈下が更に進行すれば、再び修復する必要が生じる。しかし、不同沈下が終わったか否かを正確に判断することは難しく、また、建物が傾いていれば、不同沈下が終わっているか否かにかかわらず、建物の傾きを修復する必要がある。
【0007】
これに対し、新たに杭を打ち込んで基礎を支持する方法では、その杭により基礎が支持されるので、修復した建物が再び傾くことがない。しかし、既に構築された基礎の下側において、建物及び基礎の荷重を反力として杭を打ち込むので、杭の打ち込む力が建物及び基礎の荷重に依存するという欠点がある。例えば、総荷重が50t程度の住宅の場合、杭を打ち込むための反力として利用できる荷重は8t程度である。そして、杭を支持地盤まで打ち込む際に、石などの障害物によって杭の打ち込みが阻まれると、その障害物を砕いて或いは押しやって更に杭を打ち込むための力を得ることが、住宅の荷重のみからでは不十分となり、その結果、杭を支持地盤まで打ち込むことができないことがある。支持地盤に到達しない杭によって基礎を支持させると、不同沈下が更に進行することにより、建物が再び傾くおそれがある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、既に構築された基礎の下側において省スペースで既製杭を支持地盤まで打ち込むことができ、不同沈下に対して、長期的な信頼性の高い修復方法を実現することが可能な既製杭の施工方法、並びにその既製杭による基礎支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明にかかる既製杭の施工方法は、基礎の下側の地盤を掘削して作業空間を形成する第1工程と、上記作業空間において、上記基礎に、ジャッキ、直動回転変換機構、及び既製杭を鉛直方向へ連結し、当該ジャッキを駆動することにより、当該既製杭を回転させながら地盤に打ち込む第2工程と、上記ジャッキ及び上記直動回転変換機構を取り外し、地盤に打ち込まれた既製杭の上端と上記基礎とを連結する第3工程と、上記作業空間を埋め戻す第4工程と、を含む。
【0010】
本既製杭の施工方法は、既に構築された建物を支持する基礎に対して使用される。第1工程では、既製杭により支持すべき基礎の下側の地盤を掘削する。これにより、基礎の下側において、作業者が以下の第2工程及び第3工程を実施するための作業空間が形成される。第2工程では、基礎の下面に、ジャッキ、直動回転変換機構、及び既製杭が鉛直方向に連結される。そして、ジャッキを駆動すると、ジャッキの伸長に伴って基礎及び建物の荷重が直動回転変換機構により回転押し込み力として既製杭に伝達される。これにより、既製杭が回転されながら地盤に押し込まれる。既製杭を回転させることにより、既製杭の周面と地盤とが縁切りされ、既製杭を打ち込みやすくなる。また、既製杭の先端に翼が設けられていれば、その翼の回転によって鉛直方向の推進力を既製杭に付与することもできる。さらに、既製杭を若干逆回転させてから再び打ち込むことにより、地盤中の障害物を押しやることが可能となる。
【0011】
第2工程において、所定の深さまで既製杭を地盤へ打ち込んだ後、第3工程が行われる。第3工程では、ジャッキと既製杭との間に設けた直動回転変換機構を取り外す。そして、その既製杭の上端と基礎とを連結する。この連結は、例えば後述されるような固定金具を用いて行うことができる。基礎又は建物が傾斜していれば、第3工程において、その傾斜を修復してもよい。これにより、基礎及び建物を水平として、その基礎が既製杭に支持される。そして、第4工程において、作業空間を埋め戻す。また、必要に応じて、基礎の周囲にコンクリートを打設してもよい。
【0012】
(2) 上記直動回転変換機構として、延出方向に進行する螺旋溝が外周に形成され、その延出方向の一端に上記既製杭との連結部を有するスパイラル部材と、上記ジャッキと連結される第1連結部と、上記スパイラル部材が連結される第2連結部とが連結方向を軸として相互に回転自在なジョイントと、上記延出方向を鉛直方向として上記螺旋溝と係合して上記スパイラル部材を所定位置に支持し、かつ当該スパイラル部材を螺旋溝に沿って回転させながら鉛直方向へ進退可能とする支持部材と、を用いてもよい。
【0013】
スパイラル部材を、支持部材によって作業空間内の所定の高さ位置に支持する。スパイラル部材の上端には、ジョイントを介してジャッキと連結する。スパイラル部材の下端には、打ち込むべき既製杭と連結する。ジャッキを駆動すると、ジャッキの伸長に伴ってジョイント及びスパイラル部材が下方へ移動する。スパイラル部材が支持部材に対して進退すると、スパイラル部材の螺旋溝と支持部材との係合によって、螺旋溝に沿ってスパイラル部材11が回転する。このスパイラル部材の回転及び移動が既製杭に伝達されて、既製杭が回転されながら地盤に打ち込まれる。また、ジョイントにより、スパイラル部材の回転に伴ってジャッキが回転することがない。これにより、作業空間内において簡易且つ省スペースで、直動回転変換機構を実現することができる。
【0014】
(3) 上記第2工程において、所定の長さの既製杭を継ぎ足しながら地盤へ打ち込んでもよい。
【0015】
作業空間内へ既製杭を持ち込むには、その既製杭の長さが作業空間の高さより短くなければならない。一方、既製杭を到達させるべき支持地盤の深さは、作業空間の高さに比べて深いことが多い。したがって、既製杭を支持地盤に到達させるには、作業空間内へ持ち込み可能な長さの既製杭を複数本継ぎ足して地盤へ打ち込むことが好ましい。
【0016】
(4) 上記第2工程において、上記ジャッキを1往復駆動する毎に、(ジャッキの往復駆動回数)×(ジャッキのストローク)に対応する長さの仮杭に交換しながら、当該仮杭を既に打ち込まれた既製杭に仮継ぎして上記ジャッキを駆動し、継ぎ足すべく既製杭の長さに対応させて上記ジャッキを複数回駆動した後に、上記仮杭に代えて既製杭を継ぎ足してもよい。
【0017】
ジャッキのストロークは、継ぎ足して使用される1本の既製杭の長さに対して短いことが多い。仮に、1本の既製杭の長さをジャッキのストローク程度にすれば、継ぎ足し作業が多くなって作業が煩雑である。一方、1回のジャッキの往復駆動に対して、そのストローク以上に既製杭を地盤へ打ち込むことはできない。したがって、ジャッキを1往復駆動すると、ジャッキの1ストローク分の長さの仮杭を既製杭の上端に仮継ぎする。つづいて、ジャッキを1往復駆動すると、ジャッキの2ストローク分の長さの仮杭を、前述した仮杭に代えて既製杭の上端に仮継ぎする。そして、これを繰り返してジャッキを複数回往復駆動する。ジャッキを往復駆動する回数は、既製杭の長さに対応する。つまり、既製杭の長さをジャッキのストロークで除した数だけ、ジャッキを往復駆動する。すると、打ち込まれた既製杭の上端とジャッキとの間に、1本の既製杭の長さの空間ができるので、仮杭に代えて既製杭を継ぎ足すことができる。また、仮杭は、次の既製杭を継ぎ足すまで再度使用することができる。
【0018】
(5) 上記第3工程において、既製杭の上端部と遊嵌する筒体と、当該筒体の上端に接続された平板とを有する杭頭部材を、当該平板を上記基礎の下面に対して平行として既製杭の上端部に連結し、当該平板と上記基礎の下面とを固定金具を用いて連結してもよい。
【0019】
地盤に打ち込まれた既製杭は、その軸方向が鉛直方向に必ずしも一致しない。したがって、杭頭部材の筒体を既製杭の上端に遊嵌させて、その筒体の上面にある平板を基礎の下面に対して平行となるように位置決めする。その位置で、杭頭部材を既製杭に対して固定する。これにより、杭頭部材の平板と基礎の下面とが平行となるので、これらを固定金具により簡易且つ確実に連結することができる。
【0020】
(6) 本発明は、前述された方法により地盤に打設された既製杭に、建物の基礎が支持される基礎支持構造として捉えることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、基礎の下面に、ジャッキ、直動回転変換機構、及び既製杭が鉛直方向に連結されて、ジャッキの駆動による基礎及び建物の荷重が直動回転変換機構によって回転押し込み力として既製杭に伝達されるので、既製杭を地盤に打ち込みやすくなる。これにより、限られた荷重を有効活用して既製杭を支持地盤まで打ち込むことができ、不同沈下に対して、長期的な信頼性の高い修復方法が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る既製杭1を示す斜視図である。図2は、作業空間70における既製杭1の施工方法を説明するための模式図である。図3は、スパイラル部材11の構成を示す斜視図である。図4は、ジョイント12の内部構成を示す縦断面図である。図5は、杭頭部材50及び固定金具51を組み付けた状態を示す模式図である。図6は、図5におけるVI−VI断面図である。図7から図9は、既製杭の施工方法における各工程を説明するための模式図である。図10は、既製杭1の軸方向74が鉛直方向75に対して傾斜した状態を示す模式図である。図11は、本実施形態の変形例にかかる拘束部材48を示す斜視図である。なお、図2では、既製杭1の杭先部材3が省略されている。また、図7から図9では、基礎8や支持部材13の一部、杭先部材3が省略されている。
【0024】
本実施形態において説明される既製杭の施工方法は、次の各工程を含む。
(1)基礎8の下側の地盤を掘削して作業空間70を形成する第1工程
(2)作業空間70において、基礎8に、ジャッキ9、直動回転変換機構10、及び既製杭1を鉛直方向75へ連結し、ジャッキ9を駆動することにより、既製杭1を回転させながら地盤に打ち込む第2工程
(3)ジャッキ9及び直動回転変換機構10を取り外し、地盤に打ち込まれた既製杭1の上端と基礎8とを連結する第3工程
(4)作業空間70を埋め戻す第4工程
この既製杭の施工方法は、ジャッキ9の駆動による基礎8及び建物の荷重を、直動回転変換機構10によって回転押し込み力として既製杭1に伝達することを特徴とする。
【0025】
以下に、本施工方法において用いられる各部材について詳細な説明がされる。
【0026】
[既製杭1]
図1に示されるように、既製杭1は、杭本体2の先端部分に杭先部材3が設けられてなる。杭本体2は、所定の長さを有し、施工現場において必要な長さに継合される。杭本体2と杭先部材3とは別個の部材として構成されており、施工現場において容易に取り付け可能である。
【0027】
杭本体2は、軸線74方向(図1における上下方向)と直交する断面外形が正方形の鋼管である。杭本体2の軸線方向の長さは、特に限定されるものではないが、例えば住宅の基礎を支持するために既製杭1を用いる場合には、数メートルから20メートル程度のものが利用される。杭本体2は、1本当たりが例えば数メートル程度の長さであって、数本の杭本体2が、上下端を当接させて溶接されることにより同軸線上に継合される。杭本体2の外形寸法や肉厚等も、特に限定されるものではなく、例えば住宅の基礎を支持するために既製杭1を用いる場合には、1辺が10センチメートルから数十センチメートル程度、肉厚が数ミリメートル程度のものが利用される。また、杭本体2として、汎用目的で市販されている角パイプ(鋼管)を用いるとコストや調達の容易から好適である。
【0028】
杭先部材3は、杭本体2の先端に外嵌される筒体5と、筒体5の外周に設けられた螺旋翼6と、筒体5の先端に設けられた掘削爪7とを具備する。杭本体2の先端部分に杭先部材3の筒体5が外嵌されて、ボルトによる固定とカシメによる変形とにより、杭本体2に固定されている。これにより、杭本体2の先端部分に、杭先部材3の螺旋翼6が略水平方向に突出した形状の既製杭1が得られる。
【0029】
なお、杭本体2の断面外形は必ずしも正方形に限定されず、他の多角形や円形であってもよいが、既製杭1の施工の際に、杭本体2の周囲に付着する土が少なく、地盤への貫入に対する抵抗が小さくなることから、断面外形が多角形であることが好ましい。また、杭先部材3は任意の構成であるが、杭先部材3を設けることにより、既製杭1を回転貫入する際の推進力が得られるので好ましい。
【0030】
[直動回転変換機構10]
図2に示されるように、直動回転変換機構10は、スパイラル部材11と、ジョイント12と、支持部材13とを主要構成とする。直動回転変換機構10は、基礎8の下面に連結されたジャッキ9の直線運動を、直線運動及び回転運動として既製杭1に伝達するものである。ジャッキ9の下側にはジョイント12を介してスパイラル部材11が連結され、そのスパイラル部材11の下側に既製杭1が連結されている。これらの連結は、ほぼ鉛直方向75(図2における上下方向)に沿っている。そして、スパイラル部材11は、支持部材13により所定の高さ位置に支持され、かつ鉛直方向75へ進退可能である。
【0031】
図3に示されるように、スパイラル部材11は、螺旋溝21,22を有するスパイラル部20と、スパイラル部20の上下端にそれぞれ設けられた連結部23,24とを主要な構成とする。スパイラル部20は、一定幅の帯状の鋼板を、その長さ方向を軸方向として捻ることにより形成されている。これにより、鋼板の表裏面側に螺旋溝21,22がそれぞれ形成されている。この螺旋溝21,22は、鋼板の長さ方向に45°の角度で螺旋を形成しながら進行する。図3においてスパイラル部20の上下方向が、本発明において延出方向と称される。各螺旋溝21,22は、鋼板の両端に囲まれることによって一定幅の溝となっている。各螺旋溝21,22の開口はスパイラル部20の外周側に露出されている。この各螺旋溝21,22に、後述される拘束棒43,44が外周側からそれぞれ嵌入される。なお、各螺旋溝21,22が延出方向に対して捻れる角度は45°に限定されず、実施態様に応じた好適な角度が設定されることは言うまでもない。
【0032】
スパイラル部20の上端には連結部23が設けられている。連結部23は、ジョイント12との連結を確保するための部材であり、本実施態様では円盤形状の鋼板が用いられている。この円盤の表裏面が延出方向と直交するように配置され、溶接によってスパイラル部20の上端に固定されて連結部23が構成されている。
【0033】
スパイラル部20の下端には連結部24が設けられている。連結部24は、既製杭1との連結を確保するための部材であり、本実施態様では円盤形状の鋼板及び角形の鋼管が用いられている。円盤は、連結部23と同様に、その表裏面が延出方向と直交するように配置されて、溶接によってスパイラル部20の下端に固定されている。その円盤の下側に、スパイラル部20の延出方向と軸方向とを合致させて、鋼管が溶接によって固定されている。この鋼管は、既製杭1の杭本体2の上端に嵌入される嵌入部25である。嵌入部25は、杭本体2と同様の断面外形であって、杭本体2の内空に嵌め込み可能な外形寸法である。嵌入部25が杭本体2に嵌め入れられると、互いの嵌め合いによって嵌入部25から杭本体2へ回転運動が伝達される。一方、杭本体2の上端は、連結部24の円盤と当接する。この当接によって、スパイラル部材11から杭本体2へ下方向の押し込み力(直線運動)が伝達される。
【0034】
図4に示されるように、ジョイント30は、ジョイント本体31と、2枚の連結板32,33と、鉄球29とを主要な構成とする。ジョイント本体31は、断面形状が円形の鋼管であって、その軸方向の中央に、鋼管の内空を塞ぐ仕切板34が設けられている。ジョイント本体31は、ジャッキ9のベースプレート及びスパイラル部材11の連結部23が、仕切板34付近まで挿入可能であり、かつジャッキ9及び連結部23が軸方向からズレなければ、その大きさや形状などは特に限定されない。仕切板34は、ジョイント本体31を構成する鋼管の内空に合致した円盤であり、その中央にボルト35が挿通される孔37が厚み方向に貫通されている。また、仕切板34には、複数の孔38が相互に独立して厚み方向に貫通されている。この孔38には、鉄球29がそれぞれ1つずつ嵌め込まれる。孔38に嵌め込まれた各鉄球29は、その一部が仕切板34から上下方向に突出する。
【0035】
孔38に鉄球29が配置された仕切板34を上下方向から挟み込むように2枚の連結板32,33が配置されている。2枚の連結板32,33は、いずれも径方向の寸法が仕切板34より若干短い円盤形状である。本実施形態では、連結板32が仕切板34の上側に配置されてジャッキ9と連結され、連結板32が仕切板34の下側に配置されてスパイラル部材11と連結される。したがって、連結板32が、本発明における第1連結部に相当し、連結板33が本発明における第2連結部に相当する。
【0036】
連結板32,33の中央には、ボルト35が挿通される孔39,40がそれぞれ厚み方向に貫通されている。各連結板32,33の孔39,40及び仕切板34の孔37にボルト35が挿通され、そのボルト35にナット36が螺合されることによって、連結板32,33が、仕切板34に対して固定される。この固定状態において、連結板32,33は、ボルト35を軸として回転自在である。ボルト35の軸方向が、本発明における連結方向に相当する。また、仕切板34の孔38に嵌め込まれた各鉄球29は、その上下において連結板32,33とそれぞれ接触し、滑らかに回転することが可能である。この鉄球29の回転によって、連結板32,33が相互に滑らかに回転する。
【0037】
図2に示されるように、支持部材13は、基礎8の下面と掘削された地盤との間に立設される2本の支柱41,42と、支柱41,42間に架設された2本の拘束棒43,44(図3参照)とを主要な構成とする。なお、図2においては、2本の拘束棒43,44が紙面に垂直な方向へ並べて配置されているため、拘束棒44が現れていない。
【0038】
2本の支柱41,42は、ベースプレート45上に所定の間隔を隔てられて鉛直方向75へ立設されている。ベースプレート45は、掘削された地盤に敷かれた平板形状の鋼板であり、図2には現れていないが、既製杭1が挿通可能な孔が厚み方向に貫通されている。この孔を挟み込むように2本の支柱41,42が隔てられている。各支柱41,42の高さは、掘削された地盤から基礎8の下面までの高さと同等であるが、若干の高さ調整を可能とすべくジャッキベース46,47が、各支柱41,42の下端側に設けられている。
【0039】
図2には詳細に現れていないが、各支柱41,42の所定の高さ位置には、2本の拘束棒43,44を水平方向に平行に並べた状態で(図3参照)挿通可能な孔が形成されている。この孔の高さは、スパイラル部材11が配置される高さに対応しているが、必要に応じて高さ変更を可能とすべく、各支柱41,42に複数の孔が鉛直方向75に所定間隔で形成されていてもよい。
【0040】
2本の拘束棒43,44は、鉛直方向75に沿って配置されたスパイラル部材11の螺旋溝21,22に対して水平方向に嵌め入れることが可能な太さを有する円柱形状の棒材である。各拘束棒43,44の長さは、2本の支柱41,42の離間距離より長い。各拘束棒43,44は、その両端が各支柱41,42の孔にそれぞれ挿通される。拘束棒43,44の各両端部には雄ネジが形成されており、この雄ネジにナットが螺合されることによって、拘束棒43,44の各両端が支柱41,42に締結される。これにより、図2及び図3に示されるように、2本の拘束棒43,44が水平方向に並べられて所定の高さに配置される。
【0041】
2本の拘束棒43,44の離間距離は、スパイラル部材11の螺旋溝21,22に対応して定められている。詳細には、図3に示されるように、2本の拘束棒43,44は、螺旋溝21,22にそれぞれ嵌め入れられて係合される。これにより、スパイラル部材11は2本の拘束棒43,44に挟み込まれて支持される。この状態において、スパイラル部材11は、積極的に外力が付与されない限り静止する。ジャッキ9による押し込み力のように、スパイラル部材11に鉛直方向下側へ積極的な外力が付与されると、スパイラル部材11は、2本の拘束棒43,44の間を下側へ移動する。この移動に際して、スパイラル部材11は、螺旋溝21,22に嵌入された拘束棒43,44によって、螺旋溝21,22に沿って回転する。このようにして、拘束棒43,44によって所定の高さに支持されたスパイラル部材11が、螺旋溝21,22に沿って回転しながら鉛直方向75へ進退可能である。
【0042】
[ジャッキ9]
ジャッキ9は、油圧ジャッキや、機械式ジャッキなどの公知のジャッキを用いることができるが、ポンプ分離型の油圧ジャッキが好適である。このようなジャッキの構成は当業者に周知であるので、ここでは詳細な説明が省略される。
【0043】
[杭頭部材50]
図5に示されるように、地盤に打ち込まれた既製杭1は、杭頭部材50及び固定金具51によって、基礎8と連結される。杭頭部材50は、筒体52及び平板53を主要な構成とする。筒体52は、その断面形状が、既製杭1の杭本体2の外形より十分に大きい円形の鋼管である。具体的には、筒体52の内径は、杭本体2の正方形の外形における対角の寸法より大きい。したがって、図6に示されるように、筒体52が杭本体2の上端部に対して外嵌された状態において、杭本体2は、その外周面が筒体52の内周面と接触しない配置を採りうる。筒体52の上端には、平板53が溶接固定されている。平板53は、筒体52の断面外形より大きな矩形の平板である。この平板53が、その周縁が鍔として筒体52から突出するように配置されて、筒体52と連結されている。また、平板53の上面と筒体52の軸方向とは直交している。平板53には、厚み方向に貫通する一対の孔が形成されており、その孔に対応してナット57が固定されている。
【0044】
筒体52には、その外周面から突出し、かつ軸方向に沿って延びる一対の支持部材54が設けられている。この支持部材54の各上端は、平板53と連結されている。支持部材54により、筒体52から突出する平板53の周縁が下方から支持されている。
【0045】
杭頭部材50は、杭本体2の上端部に設けられた円盤55に担持されている。図6に示されるように、円盤55は、その径が筒体52の径より大きい円盤であり、その中央に矩形の孔56が厚み方向に貫通されている。孔56は、杭本体2の断面外形より若干大きい正方形である。つまり、孔56に杭本体2が挿通された状態において、孔56には若干の遊びが存在する。この遊びは、後述されるように、軸方向が傾斜した杭本体2を孔56に挿通させた状態において、円盤55の上面を水平面にできる程度に設けられる。そうすると、杭本体2の軸方向と筒体52の軸方向とが合致しないが、前述されたように、筒体52の断面形状は杭本体2の外形より十分に大きいので、このような軸方向のズレを許容した状態で、筒体52が杭本体2の上端部に外嵌される。このような筒体52と杭本体2の上端部との嵌め合いが、本発明において遊嵌と称される。
【0046】
固定金具51は、平板53のナット57に螺合される棒材58と、棒材58に外嵌される筒体59と、筒体59の上端に連結された平板60と、棒材58に螺合されるナット61とを主要な構成とする。棒材58は、外周に雄ネジが形成された円柱形状であり、その雄ネジがナット57に螺合される。これにより、棒材58が平板53に対して垂直に起立される。この棒材58に、別のナット61が螺合され、さらに筒体59が外嵌される。筒体59は、棒材58に外嵌された状態で棒材58の長さ方向へスライド可能である。筒体59の下端がナット61と当接することにより、筒体59は、棒材58に対して所定の高さに支持される。筒体59の上端には平板60が連結されている。平板60の上面と筒体59の軸方向とは直交している。したがって、筒体59が棒材58に外嵌されると、杭頭部材50の平板53と平板60とが平行に配置される。そして、棒材58に対するナット61の螺合位置が変更されることによって、平板60の高さが調整される。
【0047】
以下に、本既製杭の施工方法について詳細な説明がされる。本既製杭の施工方法は、既に構築された建物を支持する基礎8に対して使用される。建物は、例えば住宅などであるが、本発明において建物は特に限定されるものではない。また、基礎8の構成も特に限定されない。
【0048】
[第1工程]
第1工程では、既製杭1により支持すべき基礎8の下側の地盤を掘削して作業空間70を形成する。作業空間70は、その内部において作業者が作業を行う空間である。この作業空間70の深さは、既製杭1の1本の杭本体2の長さより深い。つまり、作業空間70の深さは、杭本体2を鉛直方向75に立てて、さらに前述されたジャッキ9及び直動回転変換機構10などを連結するに十分な深さであればよい。また、作業空間70は、基礎8の全体に対して一度にすべてを形成する必要はなく、1本の既製杭1を打ち込むに必要な作業空間70が形成されればよい。もちろん、複数本の既製杭1を打ち込むに十分な作業空間70を形成してもよいことは言うまでもない。
【0049】
[第2工程]
第2工程では、基礎8の下面に、ジャッキ9、直動回転変換機構10、及び既製杭1を鉛直方向75に順次連結し、既製杭1を地盤へ回転貫入する。この連結において、先ず、ジャッキ9を基礎8の下面に固定する。図2に示されるように、基礎8の下面に平板形状の固定金具71をモルタル72により固定し、この固定金具71と、ジャッキ9の上端に連結された平板73とを連結する。図2には詳細に現れていないが、基礎8の下面にホールインアンカーなどの後打ち色のアンカーボルトを施工し、このアンカーボルトを用いて固定金具71を固定すると共に、固定金具71と基礎8の下面との間にモルタル72を介在させる。固定金具71には、ジャッキ9に固定された平板73を締結可能なボルトを予め設けておく。そして、モルタル72が固結して固定金具71に基礎8に固定された後、固定金具71のボルト及びナットを用いて平板73を締結し、ジャッキ9を基礎8に吊り下げ固定する。
【0050】
図2に示されるように、作業空間70において支持部材13を組み付ける。詳細には、作業空間70内の地盤にベースプレート45を敷き、その上に支柱41,42を立設する。そして、ジャッキベース46,47により支柱41,42の高さを調整して、支柱41,42の上端を固定金具71と当接させて、支柱41,42を固定する。この支柱41,42に対して、2本の拘束棒43,44を水平方向に所定の間隔で連結する。拘束棒43,44の組み付けに際して、2本の拘束棒43,44のうちいずれか1本を支柱41,42に連結した後、スパイラル部材11を所定の高さ位置に配置し、そのスパイラル部材11のスパイラル部20を挟み込むようにして残りの1本を支柱41,42に連結する。これにより、2本の拘束棒43,44に挟み込まれてスパイラル部材11が所定の高さ位置に支持される。
【0051】
スパイラル部材11の上端は、ジョイント12を介してジャッキ9のベースと連結する。スパイラル部材11の連結板32及びジャッキ9とジョイント12とは、ボルトなどの公知の固定具を用いて連結すればよい。また、ジャッキ9、ジョイント12、及びスパイラル部材11が、予め溶接により連結されていてもよい。一方、スパイラル部材11の下端は、既製杭1と連結される。前述されたようにスパイラル部材11の下端に設けられた嵌入部25(図3参照)を既製杭1の杭本体2の上端に嵌入することにより連結がなされる。この連結は、溶接などが用いられず嵌め合いによりなされる。既製杭1の先端は、ベースプレート45の孔を通じて地盤に若干突き刺しておく。
【0052】
基礎8の下面に、ジャッキ9、直動回転変換機構10、及び既製杭1を順次連結した後、ジャッキ9を動作させる。図7(A)に示されるように、ジャッキ9がロッドを1ストローク分伸長させると、基礎8及び建築物の荷重が反力となって、ジャッキ9から鉛直下方向へ押し込み力が発生する。この押し込み力が、ジョイント12を介してスパイラル部材11へ伝達される。スパイラル部材11は、押し込み力によって鉛直下方へ移動する。前述されたように、スパイラル部材11の螺旋溝21,22には拘束棒43,44が係合しているので、スパイラル部材11は鉛直下方へ移動しながら、螺旋溝21,22に沿って鉛直方向75を軸方向として回転する。このスパイラル部材11の回転及び移動が既製杭1に伝達されて、既製杭1が回転されながら地盤に打ち込まれる。また、ジョイント12によって、スパイラル部材11の回転がジャッキ9へ伝達されないので、ジャッキ9が回転して位置ズレ等を起こすことがない。既製杭1が回転されることにより、既製杭1の周面と地盤とが縁切りされ、既製杭1を打ち込みやすくなる。また、既製杭1の先端に設けられた杭先部材3の螺旋翼6の回転によって鉛直方向75の推進力が既製杭1に付与される。
【0053】
ジャッキ9を1ストローク分伸長させて既製杭1を地盤へ所定量だけ打ち込んだ後、ジャッキ9のロッドを収縮させる。これに伴って、ジョイント12及びスパイラル部材11が鉛直上方へ移動する。既製杭1は、その杭本体2の上端からスパイラル部材11の連結部24が離脱して、地盤に打ち込まれた状態に維持される。なお、スパイラル部材11が上方へ移動する際にも螺旋溝21,22に沿って回転(打ち込みの際とは逆方向の回転)し、スパイラル部材11の連結部24が杭本体2から離脱する前に、その回転が杭本体2へ若干伝達されるが、そのような回転の伝達は僅かであるので既製杭1が地盤から引き抜かれることはない。
【0054】
ジャッキ9のロッドを収縮した後、図7(B)に示されるように、杭本体2の上端に仮杭81を継ぎ足す。仮杭81は、後に取り去るものなので、杭本体2との継合は、押し込み力及び回転が伝達されれば十分であり、例えば正方形同士の嵌め合いなどによる簡易な構造が採用される。仮杭81の鉛直方向75の長さL1は、ジャッキ9の1ストロークL0とほぼ同じである。つまり、ジャッキ9を1往復駆動させると既製杭1が1ストロークL0分だけ地盤へ打ち込まれるので、それに相当する長さL1の仮杭81を杭本体2へ継ぎ足す。
【0055】
ジャッキ9の1ストロークL0は、継ぎ足して使用される1本の杭本体2の長さに対して短い。仮に、1本の杭本体2の長さをジャッキ9の1ストロークL0程度にすれば、継ぎ足し作業が多くなって作業が煩雑である。一方、1回のジャッキ9の往復駆動に対して、そのストロークL0以上に既製杭1を地盤へ打ち込むことはできない。したがって、ジャッキ9を1往復駆動すると、ジャッキ9の1ストロークL0分の長さL1の仮杭81を杭本体2の上端に仮継ぎするのである。
【0056】
ジャッキ9を再び駆動させると、図8(A)に示されるように、前述と同様に、基礎8及び建築物の荷重が反力となって、ジャッキ9から鉛直下方向へ押し込み力が発生する。この押し込み力によって、スパイラル部材11が回転しながら鉛直下方へ移動し、仮杭81と共に既製杭1が回転されながら地盤に打ち込まれる。その後、ジャッキ9のロッドを収縮させると、ジョイント12及びスパイラル部材11が鉛直上方へ移動し、既製杭1は、仮杭81の上端からスパイラル部材11の連結部24が離脱して、地盤に打ち込まれた状態に維持される。
【0057】
ジャッキ9のロッドを収縮した後、図8(B)に示されるように、杭本体2の上端から仮杭81を取り去り、代わって仮杭82を杭本体2の上端に継ぎ足す。仮杭82も後に取り去るものなので、この継合も簡易な構造が採用される。仮杭82の鉛直方向75の長さL2は、ジャッキ9の1ストロークL0のほぼ2倍である。つまり、ジャッキ9を2往復駆動させると既製杭1が2ストローク(L0×2)分だけ地盤へ打ち込まれるので、それに相当する長さL2の仮杭82を杭本体2へ継ぎ足す。
【0058】
ジャッキ9を再び駆動させると、図9(A)に示されるように、前述と同様に、基礎8及び建築物の荷重が反力となって、ジャッキ9から鉛直下方向へ押し込み力が発生する。この押し込み力によって、スパイラル部材11が回転しながら鉛直下方へ移動し、仮杭82と共に既製杭1が回転されながら地盤に打ち込まれる。その後、ジャッキ9のロッドを収縮させると、ジョイント12及びスパイラル部材11が鉛直上方へ移動し、既製杭1は、仮杭82の上端からスパイラル部材11の連結部24が離脱して、地盤に打ち込まれた状態に維持される。
【0059】
ジャッキ9のロッドを収縮した後、図9(B)に示されるように、杭本体2の上端から仮杭82を取り去り、代わって仮杭83を杭本体2の上端に継ぎ足す。仮杭83も後に取り去るものなので、この継合も簡易な構造が採用される。仮杭83の鉛直方向75の長さL3は、ジャッキ9の1ストロークL0のほぼ3倍である。つまり、ジャッキ9を3往復駆動させると既製杭1が3ストローク(L0×3)分だけ地盤へ打ち込まれるので、それに相当する長さL3の仮杭83を杭本体2へ継ぎ足す。
【0060】
ジャッキ9を再び駆動させると、前述と同様に、基礎8及び建築物の荷重が反力となって、ジャッキ9から鉛直下方向へ押し込み力が発生する。この押し込み力によって、スパイラル部材11が回転しながら鉛直下方へ移動し、仮杭83と共に既製杭1が回転されながら地盤に打ち込まれる。その後、ジャッキ9のロッドを収縮させると、ジョイント12及びスパイラル部材11が鉛直上方へ移動し、既製杭1は、仮杭83の上端からスパイラル部材11の連結部24が離脱して、地盤に打ち込まれた状態に維持される。
【0061】
ジャッキ9のロッドを収縮した後、杭本体2の上端から仮杭83を取り去り、代わって別の杭本体2の上端に継ぎ足す。この継合は溶接などを用いて強固に行われる。本実施形態では、1本の杭本体2の長さは、ジャッキ9の1ストロークL0のほぼ4倍である。つまり、ジャッキ9を4往復駆動させると既製杭1が4ストローク(L0×4)分だけ地盤へ打ち込まれるので、打ち込まれた既製杭1の上端とジャッキ直動回転変換機構10との間に、1本の杭本体2の長さの空間が生ずるので、仮杭83に代えて新たな杭本体2を継ぎ足す。この継合は、溶接などを用いて強固に行われる。また、各仮杭81〜83は、次の新たな杭本体2を継ぎ足すまで再度使用する。
【0062】
なお、本実施形態では、1本の杭本体2の長さがジャッキ9の1ストロークL0のほぼ4倍としたが、杭本体2の長さとジャッキ9のストロークとの関係は、本実施形態に限定されず、例えば、1本の杭本体2の長さがジャッキ9の1ストロークL0のほぼ3倍や5倍などであってもよいことは言うまでもない。
【0063】
これを繰り返して、複数本の杭本体2を継ぎ足しながら既製杭1を地盤へ打ち込む。これにより、作業空間70へ持ち込んで作業が可能な長さの杭本体2を用いて、所望の支持地盤まで既製杭1を打ち込むことができる。
【0064】
第2工程において、所定の深さまで既製杭1を地盤へ打ち込んだ後、第3工程が行われる。第3工程では、ジャッキ9及び直動回転変換機構10を取り外して、既製杭1の上端と基礎8とを連結する。この連結は、前述されたように、杭頭部材50及び固定金具51を用いて行う。詳細には、ジャッキ9及び直動回転変換機構10を取り外し、基礎8の下面と既製杭1の上端との間に空間を設ける。そして、図5に示されるように、既製杭1の杭本体2に円盤55及び円盤62を外嵌する。円盤62は円盤55と同様の構成なので、ここでは詳細な説明は省略される。円盤62は、地盤に敷き込むようにして、杭本体2の外周面と溶接固定する。この円盤62によって、杭本体2への押し込み力に対する反力が増加される。
【0065】
円盤55は、その上面が水平となるようにして、杭本体2の外周面と溶接固定する。また、円盤55から杭本体2の上端までの距離は、杭頭部材50の筒体52の長さより短くする。ここで、図10に示されるように、地盤に打ち込まれた既製杭1は、その軸方向74が鉛直方向75に必ずしも一致しないことがあり得る。一方、基礎8の下面は水平である。仮に、不同沈下によって基礎8又は建物が傾斜していれば、本施工の際に、その傾斜を修復するので、基礎8の下面は水平となる。このような場合に、既製杭1と基礎8との連結部分に隙間などが生じやすく、その結果、連結部分の破断などが生じるおそれがある。これに対し、円盤55を水平に配置して、その円盤55に杭頭部材50を支持させることにより、後述されるように、杭頭部材50の平板60と基礎8の下面とを平行にして、隙間のない連結を確保することができる。
【0066】
図6に示されるように、杭頭部材50の筒体52は、杭本体2の外形に対して十分に大きいので、図10に示されるように、筒体52へ杭本体2を斜めに挿入することができる。つまり、筒体52が杭本体2の上端に遊嵌されることにより、杭本体2の軸方向の傾斜を許容して、平板60の上面が水平となるように杭頭部材50を位置決めすることができる。そして、杭頭部材50に固定金具51を装着する。この装着状態において、棒材58に対して筒体59が比較的下方に位置しており、筒体59の上端に固定された平板60も比較的下方に位置している。つづいて、杭頭部材50の平板53上にジャッキ14を載置する。このジャッキ14は、前述されたジャッキ9と同様のものである。
【0067】
ジャッキ14を駆動させてロッドを伸長させると、固定金具51の筒体52及び平板53と共に基礎8及び建物が持ち上がる。既製杭1の先端が支持地盤に到達しており、さらに円盤62が設けられることにより、基礎8及び建物の荷重を既製杭1が支持できる。不同沈下した基礎8及び建物を持ち上げて水平とした後、固定金具51の棒材58に螺合されたナット61の位置を調整して、筒体52及び平板53を所定の高さに固定する。これにより、杭頭部材50の平板53、固定金具51の平板60、及び基礎8の下面がすべて水平となって相互に平行となるので、既製杭1と基礎8とを隙間なく確実に連結することができる。また、杭頭部材50の筒体52と杭本体2の上端との隙間に無収縮モルタルを充填して、この隙間を埋める。
【0068】
第4工程では、作業空間70を埋め戻す。この埋め戻しの際に、杭頭部材50の周囲にコンクリートを打設して、既製杭1と基礎8とをより強固に連結する。
【0069】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、基礎8の下面に、ジャッキ9、直動回転変換機構10、及び既製杭1が鉛直方向75に連結されて、ジャッキ9を駆動することによって、基礎8及び建物の荷重が直動回転変換機構10によって回転及び押し込み力として既製杭1に伝達されるので、既製杭1を地盤に打ち込みやすくなる。これにより、限られた荷重を有効活用して既製杭1を支持地盤まで打ち込むことができ、不同沈下に対して、長期的な信頼性の高い修復方法が実現される。
【0070】
また、直動回転変換機構10として、スパイラル部材11、ジョイント12、及び支持部材13を用い、ジャッキ9のロッドの伸長に伴ってスパイラル部材11が回転しながら下方へ移動し、これによって既製杭が地盤へ回転貫入されるので、作業空間70内において簡易且つ省スペースで直動回転変換機構10が実現される。
【0071】
また、第2工程において、所定の長さの杭本体2を継ぎ足しながら地盤へ打ち込むので、作業空間70を過大にすることなく、所望の支持地盤まで既製杭を打ち込むことができる。
【0072】
また、第2工程において、ジャッキ9を1往復駆動する毎に、(ジャッキ9の往復駆動回数)×(ジャッキ9のストロークL0)に対応する長さの仮杭81〜83を順次用いることとしたので、ジャッキ9のストロークL0より長さが長い杭本体2の継ぎ足し作業の工数を少なくできる。
【0073】
また、第3工程において、杭頭部材50及び固定金具51を用いて既製杭1を基礎8と連結するので、軸方向74が鉛直方向75に一致しない既製杭1を簡易且つ確実に基礎8に連結することができる。
【0074】
[変形例]
なお、上記実施形態では、直動回転変換機構10において、スパイラル部材11が拘束棒43,44と係合することにより、ジャッキ9の押し込み力を回転及び押し込み力として既製杭1に伝達することとしたが、拘束棒43,44に代えて、図11に示される拘束部材48を用いてもよい。拘束部材48は、スパイラル部材11より幅広の立方体形状であり、その厚み方向に貫通溝49が形成されている。貫通溝49は、スパイラル部材11のスパイラル部20の厚み及び幅に対応した細長形状であり、拘束部材48の厚み方向へ螺旋形状に捻れている。図11には詳細に現れていないが、貫通溝49の螺旋形状のレジれは、スパイラル部20の螺旋形状と合致する。したがって、拘束部材48を支持部材13の一部として固定し、その貫通溝49にスパイラル部材11を進退させると、スパイラル部材11が貫通溝49に案内されて回転する。このような拘束部材48を用いても、前述と同様の作用効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る既製杭1を示す斜視図である。
【図2】図2は、作業空間70における既製杭1の施工方法を説明するための模式図である。
【図3】図3は、スパイラル部材11の構成を示す斜視図である。
【図4】図4は、ジョイント12の内部構成を示す縦断面図である。
【図5】図5は、杭頭部材50及び固定金具51を組み付けた状態を示す模式図である。
【図6】図6は、図5におけるVI−VI断面図である。
【図7】図7は、既製杭の施工方法における各工程を説明するための模式図である。
【図8】図8は、既製杭の施工方法における各工程を説明するための模式図である。
【図9】図9は、既製杭の施工方法における各工程を説明するための模式図である。
【図10】図10は、既製杭1の軸方向74が鉛直方向75に対して傾斜した状態を示す模式図である。
【図11】図11は、本実施形態の変形例にかかる拘束部材48を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0076】
1・・・既製杭
2・・・杭本体(既製杭)
8・・・基礎
9・・・ジャッキ
10・・・直動回転変換機構
11・・・スパイラル部材
12・・・ジョイント
13・・・支持部材
21,22・・・螺旋溝
23,24・・・連結部
32・・・連結板(第1連結部)
33・・・連結板(第2連結部)
50・・・杭頭部材
51・・・固定金具
52・・・筒体
53・・・平板
70・・・作業空間
81〜83・・・仮杭
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎の下側に打設される既製杭の施工方法、並びに当該既製杭により支持される基礎の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
家屋などの建物は、地盤に構築された基礎に支持されている。建物が軟弱な地盤に建築されると、建物及び基礎の重量によって、基礎の一部或いは全部が沈下することがある。このように、建物を建築した後に基礎が沈下することは、不同沈下と呼ばれている。不同沈下により基礎の一部が地盤に沈下して建物が傾倒すると、その建物を水平に修復しなければならない。
【0003】
従来より、不同沈下した建物の修復方法として、基礎と建物の間にジャッキなどを介在させて、そのジャッキにより、建物を基礎に対して不同沈下した分だけ持ち上げる方法がある。また、基礎とともに建物をジャッキなどにより持ち上げる方法がある(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、不同沈下した基礎の下側を掘削して杭を新たに打ち込む方法がある(特許文献2の段落「0007」など)。この杭の打ち込みは、上側に基礎及び建物が存在するので、杭と基礎との間にジャッキを介在させ、基礎及び建物の荷重を反力として行われる。
【0005】
【特許文献1】特開2000−328591号公報
【特許文献2】特開平10−18311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ジャッキなどにより建物又は基礎を持ち上げる方法では、不同沈下が更に進行すれば、再び修復する必要が生じる。しかし、不同沈下が終わったか否かを正確に判断することは難しく、また、建物が傾いていれば、不同沈下が終わっているか否かにかかわらず、建物の傾きを修復する必要がある。
【0007】
これに対し、新たに杭を打ち込んで基礎を支持する方法では、その杭により基礎が支持されるので、修復した建物が再び傾くことがない。しかし、既に構築された基礎の下側において、建物及び基礎の荷重を反力として杭を打ち込むので、杭の打ち込む力が建物及び基礎の荷重に依存するという欠点がある。例えば、総荷重が50t程度の住宅の場合、杭を打ち込むための反力として利用できる荷重は8t程度である。そして、杭を支持地盤まで打ち込む際に、石などの障害物によって杭の打ち込みが阻まれると、その障害物を砕いて或いは押しやって更に杭を打ち込むための力を得ることが、住宅の荷重のみからでは不十分となり、その結果、杭を支持地盤まで打ち込むことができないことがある。支持地盤に到達しない杭によって基礎を支持させると、不同沈下が更に進行することにより、建物が再び傾くおそれがある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、既に構築された基礎の下側において省スペースで既製杭を支持地盤まで打ち込むことができ、不同沈下に対して、長期的な信頼性の高い修復方法を実現することが可能な既製杭の施工方法、並びにその既製杭による基礎支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明にかかる既製杭の施工方法は、基礎の下側の地盤を掘削して作業空間を形成する第1工程と、上記作業空間において、上記基礎に、ジャッキ、直動回転変換機構、及び既製杭を鉛直方向へ連結し、当該ジャッキを駆動することにより、当該既製杭を回転させながら地盤に打ち込む第2工程と、上記ジャッキ及び上記直動回転変換機構を取り外し、地盤に打ち込まれた既製杭の上端と上記基礎とを連結する第3工程と、上記作業空間を埋め戻す第4工程と、を含む。
【0010】
本既製杭の施工方法は、既に構築された建物を支持する基礎に対して使用される。第1工程では、既製杭により支持すべき基礎の下側の地盤を掘削する。これにより、基礎の下側において、作業者が以下の第2工程及び第3工程を実施するための作業空間が形成される。第2工程では、基礎の下面に、ジャッキ、直動回転変換機構、及び既製杭が鉛直方向に連結される。そして、ジャッキを駆動すると、ジャッキの伸長に伴って基礎及び建物の荷重が直動回転変換機構により回転押し込み力として既製杭に伝達される。これにより、既製杭が回転されながら地盤に押し込まれる。既製杭を回転させることにより、既製杭の周面と地盤とが縁切りされ、既製杭を打ち込みやすくなる。また、既製杭の先端に翼が設けられていれば、その翼の回転によって鉛直方向の推進力を既製杭に付与することもできる。さらに、既製杭を若干逆回転させてから再び打ち込むことにより、地盤中の障害物を押しやることが可能となる。
【0011】
第2工程において、所定の深さまで既製杭を地盤へ打ち込んだ後、第3工程が行われる。第3工程では、ジャッキと既製杭との間に設けた直動回転変換機構を取り外す。そして、その既製杭の上端と基礎とを連結する。この連結は、例えば後述されるような固定金具を用いて行うことができる。基礎又は建物が傾斜していれば、第3工程において、その傾斜を修復してもよい。これにより、基礎及び建物を水平として、その基礎が既製杭に支持される。そして、第4工程において、作業空間を埋め戻す。また、必要に応じて、基礎の周囲にコンクリートを打設してもよい。
【0012】
(2) 上記直動回転変換機構として、延出方向に進行する螺旋溝が外周に形成され、その延出方向の一端に上記既製杭との連結部を有するスパイラル部材と、上記ジャッキと連結される第1連結部と、上記スパイラル部材が連結される第2連結部とが連結方向を軸として相互に回転自在なジョイントと、上記延出方向を鉛直方向として上記螺旋溝と係合して上記スパイラル部材を所定位置に支持し、かつ当該スパイラル部材を螺旋溝に沿って回転させながら鉛直方向へ進退可能とする支持部材と、を用いてもよい。
【0013】
スパイラル部材を、支持部材によって作業空間内の所定の高さ位置に支持する。スパイラル部材の上端には、ジョイントを介してジャッキと連結する。スパイラル部材の下端には、打ち込むべき既製杭と連結する。ジャッキを駆動すると、ジャッキの伸長に伴ってジョイント及びスパイラル部材が下方へ移動する。スパイラル部材が支持部材に対して進退すると、スパイラル部材の螺旋溝と支持部材との係合によって、螺旋溝に沿ってスパイラル部材11が回転する。このスパイラル部材の回転及び移動が既製杭に伝達されて、既製杭が回転されながら地盤に打ち込まれる。また、ジョイントにより、スパイラル部材の回転に伴ってジャッキが回転することがない。これにより、作業空間内において簡易且つ省スペースで、直動回転変換機構を実現することができる。
【0014】
(3) 上記第2工程において、所定の長さの既製杭を継ぎ足しながら地盤へ打ち込んでもよい。
【0015】
作業空間内へ既製杭を持ち込むには、その既製杭の長さが作業空間の高さより短くなければならない。一方、既製杭を到達させるべき支持地盤の深さは、作業空間の高さに比べて深いことが多い。したがって、既製杭を支持地盤に到達させるには、作業空間内へ持ち込み可能な長さの既製杭を複数本継ぎ足して地盤へ打ち込むことが好ましい。
【0016】
(4) 上記第2工程において、上記ジャッキを1往復駆動する毎に、(ジャッキの往復駆動回数)×(ジャッキのストローク)に対応する長さの仮杭に交換しながら、当該仮杭を既に打ち込まれた既製杭に仮継ぎして上記ジャッキを駆動し、継ぎ足すべく既製杭の長さに対応させて上記ジャッキを複数回駆動した後に、上記仮杭に代えて既製杭を継ぎ足してもよい。
【0017】
ジャッキのストロークは、継ぎ足して使用される1本の既製杭の長さに対して短いことが多い。仮に、1本の既製杭の長さをジャッキのストローク程度にすれば、継ぎ足し作業が多くなって作業が煩雑である。一方、1回のジャッキの往復駆動に対して、そのストローク以上に既製杭を地盤へ打ち込むことはできない。したがって、ジャッキを1往復駆動すると、ジャッキの1ストローク分の長さの仮杭を既製杭の上端に仮継ぎする。つづいて、ジャッキを1往復駆動すると、ジャッキの2ストローク分の長さの仮杭を、前述した仮杭に代えて既製杭の上端に仮継ぎする。そして、これを繰り返してジャッキを複数回往復駆動する。ジャッキを往復駆動する回数は、既製杭の長さに対応する。つまり、既製杭の長さをジャッキのストロークで除した数だけ、ジャッキを往復駆動する。すると、打ち込まれた既製杭の上端とジャッキとの間に、1本の既製杭の長さの空間ができるので、仮杭に代えて既製杭を継ぎ足すことができる。また、仮杭は、次の既製杭を継ぎ足すまで再度使用することができる。
【0018】
(5) 上記第3工程において、既製杭の上端部と遊嵌する筒体と、当該筒体の上端に接続された平板とを有する杭頭部材を、当該平板を上記基礎の下面に対して平行として既製杭の上端部に連結し、当該平板と上記基礎の下面とを固定金具を用いて連結してもよい。
【0019】
地盤に打ち込まれた既製杭は、その軸方向が鉛直方向に必ずしも一致しない。したがって、杭頭部材の筒体を既製杭の上端に遊嵌させて、その筒体の上面にある平板を基礎の下面に対して平行となるように位置決めする。その位置で、杭頭部材を既製杭に対して固定する。これにより、杭頭部材の平板と基礎の下面とが平行となるので、これらを固定金具により簡易且つ確実に連結することができる。
【0020】
(6) 本発明は、前述された方法により地盤に打設された既製杭に、建物の基礎が支持される基礎支持構造として捉えることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、基礎の下面に、ジャッキ、直動回転変換機構、及び既製杭が鉛直方向に連結されて、ジャッキの駆動による基礎及び建物の荷重が直動回転変換機構によって回転押し込み力として既製杭に伝達されるので、既製杭を地盤に打ち込みやすくなる。これにより、限られた荷重を有効活用して既製杭を支持地盤まで打ち込むことができ、不同沈下に対して、長期的な信頼性の高い修復方法が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る既製杭1を示す斜視図である。図2は、作業空間70における既製杭1の施工方法を説明するための模式図である。図3は、スパイラル部材11の構成を示す斜視図である。図4は、ジョイント12の内部構成を示す縦断面図である。図5は、杭頭部材50及び固定金具51を組み付けた状態を示す模式図である。図6は、図5におけるVI−VI断面図である。図7から図9は、既製杭の施工方法における各工程を説明するための模式図である。図10は、既製杭1の軸方向74が鉛直方向75に対して傾斜した状態を示す模式図である。図11は、本実施形態の変形例にかかる拘束部材48を示す斜視図である。なお、図2では、既製杭1の杭先部材3が省略されている。また、図7から図9では、基礎8や支持部材13の一部、杭先部材3が省略されている。
【0024】
本実施形態において説明される既製杭の施工方法は、次の各工程を含む。
(1)基礎8の下側の地盤を掘削して作業空間70を形成する第1工程
(2)作業空間70において、基礎8に、ジャッキ9、直動回転変換機構10、及び既製杭1を鉛直方向75へ連結し、ジャッキ9を駆動することにより、既製杭1を回転させながら地盤に打ち込む第2工程
(3)ジャッキ9及び直動回転変換機構10を取り外し、地盤に打ち込まれた既製杭1の上端と基礎8とを連結する第3工程
(4)作業空間70を埋め戻す第4工程
この既製杭の施工方法は、ジャッキ9の駆動による基礎8及び建物の荷重を、直動回転変換機構10によって回転押し込み力として既製杭1に伝達することを特徴とする。
【0025】
以下に、本施工方法において用いられる各部材について詳細な説明がされる。
【0026】
[既製杭1]
図1に示されるように、既製杭1は、杭本体2の先端部分に杭先部材3が設けられてなる。杭本体2は、所定の長さを有し、施工現場において必要な長さに継合される。杭本体2と杭先部材3とは別個の部材として構成されており、施工現場において容易に取り付け可能である。
【0027】
杭本体2は、軸線74方向(図1における上下方向)と直交する断面外形が正方形の鋼管である。杭本体2の軸線方向の長さは、特に限定されるものではないが、例えば住宅の基礎を支持するために既製杭1を用いる場合には、数メートルから20メートル程度のものが利用される。杭本体2は、1本当たりが例えば数メートル程度の長さであって、数本の杭本体2が、上下端を当接させて溶接されることにより同軸線上に継合される。杭本体2の外形寸法や肉厚等も、特に限定されるものではなく、例えば住宅の基礎を支持するために既製杭1を用いる場合には、1辺が10センチメートルから数十センチメートル程度、肉厚が数ミリメートル程度のものが利用される。また、杭本体2として、汎用目的で市販されている角パイプ(鋼管)を用いるとコストや調達の容易から好適である。
【0028】
杭先部材3は、杭本体2の先端に外嵌される筒体5と、筒体5の外周に設けられた螺旋翼6と、筒体5の先端に設けられた掘削爪7とを具備する。杭本体2の先端部分に杭先部材3の筒体5が外嵌されて、ボルトによる固定とカシメによる変形とにより、杭本体2に固定されている。これにより、杭本体2の先端部分に、杭先部材3の螺旋翼6が略水平方向に突出した形状の既製杭1が得られる。
【0029】
なお、杭本体2の断面外形は必ずしも正方形に限定されず、他の多角形や円形であってもよいが、既製杭1の施工の際に、杭本体2の周囲に付着する土が少なく、地盤への貫入に対する抵抗が小さくなることから、断面外形が多角形であることが好ましい。また、杭先部材3は任意の構成であるが、杭先部材3を設けることにより、既製杭1を回転貫入する際の推進力が得られるので好ましい。
【0030】
[直動回転変換機構10]
図2に示されるように、直動回転変換機構10は、スパイラル部材11と、ジョイント12と、支持部材13とを主要構成とする。直動回転変換機構10は、基礎8の下面に連結されたジャッキ9の直線運動を、直線運動及び回転運動として既製杭1に伝達するものである。ジャッキ9の下側にはジョイント12を介してスパイラル部材11が連結され、そのスパイラル部材11の下側に既製杭1が連結されている。これらの連結は、ほぼ鉛直方向75(図2における上下方向)に沿っている。そして、スパイラル部材11は、支持部材13により所定の高さ位置に支持され、かつ鉛直方向75へ進退可能である。
【0031】
図3に示されるように、スパイラル部材11は、螺旋溝21,22を有するスパイラル部20と、スパイラル部20の上下端にそれぞれ設けられた連結部23,24とを主要な構成とする。スパイラル部20は、一定幅の帯状の鋼板を、その長さ方向を軸方向として捻ることにより形成されている。これにより、鋼板の表裏面側に螺旋溝21,22がそれぞれ形成されている。この螺旋溝21,22は、鋼板の長さ方向に45°の角度で螺旋を形成しながら進行する。図3においてスパイラル部20の上下方向が、本発明において延出方向と称される。各螺旋溝21,22は、鋼板の両端に囲まれることによって一定幅の溝となっている。各螺旋溝21,22の開口はスパイラル部20の外周側に露出されている。この各螺旋溝21,22に、後述される拘束棒43,44が外周側からそれぞれ嵌入される。なお、各螺旋溝21,22が延出方向に対して捻れる角度は45°に限定されず、実施態様に応じた好適な角度が設定されることは言うまでもない。
【0032】
スパイラル部20の上端には連結部23が設けられている。連結部23は、ジョイント12との連結を確保するための部材であり、本実施態様では円盤形状の鋼板が用いられている。この円盤の表裏面が延出方向と直交するように配置され、溶接によってスパイラル部20の上端に固定されて連結部23が構成されている。
【0033】
スパイラル部20の下端には連結部24が設けられている。連結部24は、既製杭1との連結を確保するための部材であり、本実施態様では円盤形状の鋼板及び角形の鋼管が用いられている。円盤は、連結部23と同様に、その表裏面が延出方向と直交するように配置されて、溶接によってスパイラル部20の下端に固定されている。その円盤の下側に、スパイラル部20の延出方向と軸方向とを合致させて、鋼管が溶接によって固定されている。この鋼管は、既製杭1の杭本体2の上端に嵌入される嵌入部25である。嵌入部25は、杭本体2と同様の断面外形であって、杭本体2の内空に嵌め込み可能な外形寸法である。嵌入部25が杭本体2に嵌め入れられると、互いの嵌め合いによって嵌入部25から杭本体2へ回転運動が伝達される。一方、杭本体2の上端は、連結部24の円盤と当接する。この当接によって、スパイラル部材11から杭本体2へ下方向の押し込み力(直線運動)が伝達される。
【0034】
図4に示されるように、ジョイント30は、ジョイント本体31と、2枚の連結板32,33と、鉄球29とを主要な構成とする。ジョイント本体31は、断面形状が円形の鋼管であって、その軸方向の中央に、鋼管の内空を塞ぐ仕切板34が設けられている。ジョイント本体31は、ジャッキ9のベースプレート及びスパイラル部材11の連結部23が、仕切板34付近まで挿入可能であり、かつジャッキ9及び連結部23が軸方向からズレなければ、その大きさや形状などは特に限定されない。仕切板34は、ジョイント本体31を構成する鋼管の内空に合致した円盤であり、その中央にボルト35が挿通される孔37が厚み方向に貫通されている。また、仕切板34には、複数の孔38が相互に独立して厚み方向に貫通されている。この孔38には、鉄球29がそれぞれ1つずつ嵌め込まれる。孔38に嵌め込まれた各鉄球29は、その一部が仕切板34から上下方向に突出する。
【0035】
孔38に鉄球29が配置された仕切板34を上下方向から挟み込むように2枚の連結板32,33が配置されている。2枚の連結板32,33は、いずれも径方向の寸法が仕切板34より若干短い円盤形状である。本実施形態では、連結板32が仕切板34の上側に配置されてジャッキ9と連結され、連結板32が仕切板34の下側に配置されてスパイラル部材11と連結される。したがって、連結板32が、本発明における第1連結部に相当し、連結板33が本発明における第2連結部に相当する。
【0036】
連結板32,33の中央には、ボルト35が挿通される孔39,40がそれぞれ厚み方向に貫通されている。各連結板32,33の孔39,40及び仕切板34の孔37にボルト35が挿通され、そのボルト35にナット36が螺合されることによって、連結板32,33が、仕切板34に対して固定される。この固定状態において、連結板32,33は、ボルト35を軸として回転自在である。ボルト35の軸方向が、本発明における連結方向に相当する。また、仕切板34の孔38に嵌め込まれた各鉄球29は、その上下において連結板32,33とそれぞれ接触し、滑らかに回転することが可能である。この鉄球29の回転によって、連結板32,33が相互に滑らかに回転する。
【0037】
図2に示されるように、支持部材13は、基礎8の下面と掘削された地盤との間に立設される2本の支柱41,42と、支柱41,42間に架設された2本の拘束棒43,44(図3参照)とを主要な構成とする。なお、図2においては、2本の拘束棒43,44が紙面に垂直な方向へ並べて配置されているため、拘束棒44が現れていない。
【0038】
2本の支柱41,42は、ベースプレート45上に所定の間隔を隔てられて鉛直方向75へ立設されている。ベースプレート45は、掘削された地盤に敷かれた平板形状の鋼板であり、図2には現れていないが、既製杭1が挿通可能な孔が厚み方向に貫通されている。この孔を挟み込むように2本の支柱41,42が隔てられている。各支柱41,42の高さは、掘削された地盤から基礎8の下面までの高さと同等であるが、若干の高さ調整を可能とすべくジャッキベース46,47が、各支柱41,42の下端側に設けられている。
【0039】
図2には詳細に現れていないが、各支柱41,42の所定の高さ位置には、2本の拘束棒43,44を水平方向に平行に並べた状態で(図3参照)挿通可能な孔が形成されている。この孔の高さは、スパイラル部材11が配置される高さに対応しているが、必要に応じて高さ変更を可能とすべく、各支柱41,42に複数の孔が鉛直方向75に所定間隔で形成されていてもよい。
【0040】
2本の拘束棒43,44は、鉛直方向75に沿って配置されたスパイラル部材11の螺旋溝21,22に対して水平方向に嵌め入れることが可能な太さを有する円柱形状の棒材である。各拘束棒43,44の長さは、2本の支柱41,42の離間距離より長い。各拘束棒43,44は、その両端が各支柱41,42の孔にそれぞれ挿通される。拘束棒43,44の各両端部には雄ネジが形成されており、この雄ネジにナットが螺合されることによって、拘束棒43,44の各両端が支柱41,42に締結される。これにより、図2及び図3に示されるように、2本の拘束棒43,44が水平方向に並べられて所定の高さに配置される。
【0041】
2本の拘束棒43,44の離間距離は、スパイラル部材11の螺旋溝21,22に対応して定められている。詳細には、図3に示されるように、2本の拘束棒43,44は、螺旋溝21,22にそれぞれ嵌め入れられて係合される。これにより、スパイラル部材11は2本の拘束棒43,44に挟み込まれて支持される。この状態において、スパイラル部材11は、積極的に外力が付与されない限り静止する。ジャッキ9による押し込み力のように、スパイラル部材11に鉛直方向下側へ積極的な外力が付与されると、スパイラル部材11は、2本の拘束棒43,44の間を下側へ移動する。この移動に際して、スパイラル部材11は、螺旋溝21,22に嵌入された拘束棒43,44によって、螺旋溝21,22に沿って回転する。このようにして、拘束棒43,44によって所定の高さに支持されたスパイラル部材11が、螺旋溝21,22に沿って回転しながら鉛直方向75へ進退可能である。
【0042】
[ジャッキ9]
ジャッキ9は、油圧ジャッキや、機械式ジャッキなどの公知のジャッキを用いることができるが、ポンプ分離型の油圧ジャッキが好適である。このようなジャッキの構成は当業者に周知であるので、ここでは詳細な説明が省略される。
【0043】
[杭頭部材50]
図5に示されるように、地盤に打ち込まれた既製杭1は、杭頭部材50及び固定金具51によって、基礎8と連結される。杭頭部材50は、筒体52及び平板53を主要な構成とする。筒体52は、その断面形状が、既製杭1の杭本体2の外形より十分に大きい円形の鋼管である。具体的には、筒体52の内径は、杭本体2の正方形の外形における対角の寸法より大きい。したがって、図6に示されるように、筒体52が杭本体2の上端部に対して外嵌された状態において、杭本体2は、その外周面が筒体52の内周面と接触しない配置を採りうる。筒体52の上端には、平板53が溶接固定されている。平板53は、筒体52の断面外形より大きな矩形の平板である。この平板53が、その周縁が鍔として筒体52から突出するように配置されて、筒体52と連結されている。また、平板53の上面と筒体52の軸方向とは直交している。平板53には、厚み方向に貫通する一対の孔が形成されており、その孔に対応してナット57が固定されている。
【0044】
筒体52には、その外周面から突出し、かつ軸方向に沿って延びる一対の支持部材54が設けられている。この支持部材54の各上端は、平板53と連結されている。支持部材54により、筒体52から突出する平板53の周縁が下方から支持されている。
【0045】
杭頭部材50は、杭本体2の上端部に設けられた円盤55に担持されている。図6に示されるように、円盤55は、その径が筒体52の径より大きい円盤であり、その中央に矩形の孔56が厚み方向に貫通されている。孔56は、杭本体2の断面外形より若干大きい正方形である。つまり、孔56に杭本体2が挿通された状態において、孔56には若干の遊びが存在する。この遊びは、後述されるように、軸方向が傾斜した杭本体2を孔56に挿通させた状態において、円盤55の上面を水平面にできる程度に設けられる。そうすると、杭本体2の軸方向と筒体52の軸方向とが合致しないが、前述されたように、筒体52の断面形状は杭本体2の外形より十分に大きいので、このような軸方向のズレを許容した状態で、筒体52が杭本体2の上端部に外嵌される。このような筒体52と杭本体2の上端部との嵌め合いが、本発明において遊嵌と称される。
【0046】
固定金具51は、平板53のナット57に螺合される棒材58と、棒材58に外嵌される筒体59と、筒体59の上端に連結された平板60と、棒材58に螺合されるナット61とを主要な構成とする。棒材58は、外周に雄ネジが形成された円柱形状であり、その雄ネジがナット57に螺合される。これにより、棒材58が平板53に対して垂直に起立される。この棒材58に、別のナット61が螺合され、さらに筒体59が外嵌される。筒体59は、棒材58に外嵌された状態で棒材58の長さ方向へスライド可能である。筒体59の下端がナット61と当接することにより、筒体59は、棒材58に対して所定の高さに支持される。筒体59の上端には平板60が連結されている。平板60の上面と筒体59の軸方向とは直交している。したがって、筒体59が棒材58に外嵌されると、杭頭部材50の平板53と平板60とが平行に配置される。そして、棒材58に対するナット61の螺合位置が変更されることによって、平板60の高さが調整される。
【0047】
以下に、本既製杭の施工方法について詳細な説明がされる。本既製杭の施工方法は、既に構築された建物を支持する基礎8に対して使用される。建物は、例えば住宅などであるが、本発明において建物は特に限定されるものではない。また、基礎8の構成も特に限定されない。
【0048】
[第1工程]
第1工程では、既製杭1により支持すべき基礎8の下側の地盤を掘削して作業空間70を形成する。作業空間70は、その内部において作業者が作業を行う空間である。この作業空間70の深さは、既製杭1の1本の杭本体2の長さより深い。つまり、作業空間70の深さは、杭本体2を鉛直方向75に立てて、さらに前述されたジャッキ9及び直動回転変換機構10などを連結するに十分な深さであればよい。また、作業空間70は、基礎8の全体に対して一度にすべてを形成する必要はなく、1本の既製杭1を打ち込むに必要な作業空間70が形成されればよい。もちろん、複数本の既製杭1を打ち込むに十分な作業空間70を形成してもよいことは言うまでもない。
【0049】
[第2工程]
第2工程では、基礎8の下面に、ジャッキ9、直動回転変換機構10、及び既製杭1を鉛直方向75に順次連結し、既製杭1を地盤へ回転貫入する。この連結において、先ず、ジャッキ9を基礎8の下面に固定する。図2に示されるように、基礎8の下面に平板形状の固定金具71をモルタル72により固定し、この固定金具71と、ジャッキ9の上端に連結された平板73とを連結する。図2には詳細に現れていないが、基礎8の下面にホールインアンカーなどの後打ち色のアンカーボルトを施工し、このアンカーボルトを用いて固定金具71を固定すると共に、固定金具71と基礎8の下面との間にモルタル72を介在させる。固定金具71には、ジャッキ9に固定された平板73を締結可能なボルトを予め設けておく。そして、モルタル72が固結して固定金具71に基礎8に固定された後、固定金具71のボルト及びナットを用いて平板73を締結し、ジャッキ9を基礎8に吊り下げ固定する。
【0050】
図2に示されるように、作業空間70において支持部材13を組み付ける。詳細には、作業空間70内の地盤にベースプレート45を敷き、その上に支柱41,42を立設する。そして、ジャッキベース46,47により支柱41,42の高さを調整して、支柱41,42の上端を固定金具71と当接させて、支柱41,42を固定する。この支柱41,42に対して、2本の拘束棒43,44を水平方向に所定の間隔で連結する。拘束棒43,44の組み付けに際して、2本の拘束棒43,44のうちいずれか1本を支柱41,42に連結した後、スパイラル部材11を所定の高さ位置に配置し、そのスパイラル部材11のスパイラル部20を挟み込むようにして残りの1本を支柱41,42に連結する。これにより、2本の拘束棒43,44に挟み込まれてスパイラル部材11が所定の高さ位置に支持される。
【0051】
スパイラル部材11の上端は、ジョイント12を介してジャッキ9のベースと連結する。スパイラル部材11の連結板32及びジャッキ9とジョイント12とは、ボルトなどの公知の固定具を用いて連結すればよい。また、ジャッキ9、ジョイント12、及びスパイラル部材11が、予め溶接により連結されていてもよい。一方、スパイラル部材11の下端は、既製杭1と連結される。前述されたようにスパイラル部材11の下端に設けられた嵌入部25(図3参照)を既製杭1の杭本体2の上端に嵌入することにより連結がなされる。この連結は、溶接などが用いられず嵌め合いによりなされる。既製杭1の先端は、ベースプレート45の孔を通じて地盤に若干突き刺しておく。
【0052】
基礎8の下面に、ジャッキ9、直動回転変換機構10、及び既製杭1を順次連結した後、ジャッキ9を動作させる。図7(A)に示されるように、ジャッキ9がロッドを1ストローク分伸長させると、基礎8及び建築物の荷重が反力となって、ジャッキ9から鉛直下方向へ押し込み力が発生する。この押し込み力が、ジョイント12を介してスパイラル部材11へ伝達される。スパイラル部材11は、押し込み力によって鉛直下方へ移動する。前述されたように、スパイラル部材11の螺旋溝21,22には拘束棒43,44が係合しているので、スパイラル部材11は鉛直下方へ移動しながら、螺旋溝21,22に沿って鉛直方向75を軸方向として回転する。このスパイラル部材11の回転及び移動が既製杭1に伝達されて、既製杭1が回転されながら地盤に打ち込まれる。また、ジョイント12によって、スパイラル部材11の回転がジャッキ9へ伝達されないので、ジャッキ9が回転して位置ズレ等を起こすことがない。既製杭1が回転されることにより、既製杭1の周面と地盤とが縁切りされ、既製杭1を打ち込みやすくなる。また、既製杭1の先端に設けられた杭先部材3の螺旋翼6の回転によって鉛直方向75の推進力が既製杭1に付与される。
【0053】
ジャッキ9を1ストローク分伸長させて既製杭1を地盤へ所定量だけ打ち込んだ後、ジャッキ9のロッドを収縮させる。これに伴って、ジョイント12及びスパイラル部材11が鉛直上方へ移動する。既製杭1は、その杭本体2の上端からスパイラル部材11の連結部24が離脱して、地盤に打ち込まれた状態に維持される。なお、スパイラル部材11が上方へ移動する際にも螺旋溝21,22に沿って回転(打ち込みの際とは逆方向の回転)し、スパイラル部材11の連結部24が杭本体2から離脱する前に、その回転が杭本体2へ若干伝達されるが、そのような回転の伝達は僅かであるので既製杭1が地盤から引き抜かれることはない。
【0054】
ジャッキ9のロッドを収縮した後、図7(B)に示されるように、杭本体2の上端に仮杭81を継ぎ足す。仮杭81は、後に取り去るものなので、杭本体2との継合は、押し込み力及び回転が伝達されれば十分であり、例えば正方形同士の嵌め合いなどによる簡易な構造が採用される。仮杭81の鉛直方向75の長さL1は、ジャッキ9の1ストロークL0とほぼ同じである。つまり、ジャッキ9を1往復駆動させると既製杭1が1ストロークL0分だけ地盤へ打ち込まれるので、それに相当する長さL1の仮杭81を杭本体2へ継ぎ足す。
【0055】
ジャッキ9の1ストロークL0は、継ぎ足して使用される1本の杭本体2の長さに対して短い。仮に、1本の杭本体2の長さをジャッキ9の1ストロークL0程度にすれば、継ぎ足し作業が多くなって作業が煩雑である。一方、1回のジャッキ9の往復駆動に対して、そのストロークL0以上に既製杭1を地盤へ打ち込むことはできない。したがって、ジャッキ9を1往復駆動すると、ジャッキ9の1ストロークL0分の長さL1の仮杭81を杭本体2の上端に仮継ぎするのである。
【0056】
ジャッキ9を再び駆動させると、図8(A)に示されるように、前述と同様に、基礎8及び建築物の荷重が反力となって、ジャッキ9から鉛直下方向へ押し込み力が発生する。この押し込み力によって、スパイラル部材11が回転しながら鉛直下方へ移動し、仮杭81と共に既製杭1が回転されながら地盤に打ち込まれる。その後、ジャッキ9のロッドを収縮させると、ジョイント12及びスパイラル部材11が鉛直上方へ移動し、既製杭1は、仮杭81の上端からスパイラル部材11の連結部24が離脱して、地盤に打ち込まれた状態に維持される。
【0057】
ジャッキ9のロッドを収縮した後、図8(B)に示されるように、杭本体2の上端から仮杭81を取り去り、代わって仮杭82を杭本体2の上端に継ぎ足す。仮杭82も後に取り去るものなので、この継合も簡易な構造が採用される。仮杭82の鉛直方向75の長さL2は、ジャッキ9の1ストロークL0のほぼ2倍である。つまり、ジャッキ9を2往復駆動させると既製杭1が2ストローク(L0×2)分だけ地盤へ打ち込まれるので、それに相当する長さL2の仮杭82を杭本体2へ継ぎ足す。
【0058】
ジャッキ9を再び駆動させると、図9(A)に示されるように、前述と同様に、基礎8及び建築物の荷重が反力となって、ジャッキ9から鉛直下方向へ押し込み力が発生する。この押し込み力によって、スパイラル部材11が回転しながら鉛直下方へ移動し、仮杭82と共に既製杭1が回転されながら地盤に打ち込まれる。その後、ジャッキ9のロッドを収縮させると、ジョイント12及びスパイラル部材11が鉛直上方へ移動し、既製杭1は、仮杭82の上端からスパイラル部材11の連結部24が離脱して、地盤に打ち込まれた状態に維持される。
【0059】
ジャッキ9のロッドを収縮した後、図9(B)に示されるように、杭本体2の上端から仮杭82を取り去り、代わって仮杭83を杭本体2の上端に継ぎ足す。仮杭83も後に取り去るものなので、この継合も簡易な構造が採用される。仮杭83の鉛直方向75の長さL3は、ジャッキ9の1ストロークL0のほぼ3倍である。つまり、ジャッキ9を3往復駆動させると既製杭1が3ストローク(L0×3)分だけ地盤へ打ち込まれるので、それに相当する長さL3の仮杭83を杭本体2へ継ぎ足す。
【0060】
ジャッキ9を再び駆動させると、前述と同様に、基礎8及び建築物の荷重が反力となって、ジャッキ9から鉛直下方向へ押し込み力が発生する。この押し込み力によって、スパイラル部材11が回転しながら鉛直下方へ移動し、仮杭83と共に既製杭1が回転されながら地盤に打ち込まれる。その後、ジャッキ9のロッドを収縮させると、ジョイント12及びスパイラル部材11が鉛直上方へ移動し、既製杭1は、仮杭83の上端からスパイラル部材11の連結部24が離脱して、地盤に打ち込まれた状態に維持される。
【0061】
ジャッキ9のロッドを収縮した後、杭本体2の上端から仮杭83を取り去り、代わって別の杭本体2の上端に継ぎ足す。この継合は溶接などを用いて強固に行われる。本実施形態では、1本の杭本体2の長さは、ジャッキ9の1ストロークL0のほぼ4倍である。つまり、ジャッキ9を4往復駆動させると既製杭1が4ストローク(L0×4)分だけ地盤へ打ち込まれるので、打ち込まれた既製杭1の上端とジャッキ直動回転変換機構10との間に、1本の杭本体2の長さの空間が生ずるので、仮杭83に代えて新たな杭本体2を継ぎ足す。この継合は、溶接などを用いて強固に行われる。また、各仮杭81〜83は、次の新たな杭本体2を継ぎ足すまで再度使用する。
【0062】
なお、本実施形態では、1本の杭本体2の長さがジャッキ9の1ストロークL0のほぼ4倍としたが、杭本体2の長さとジャッキ9のストロークとの関係は、本実施形態に限定されず、例えば、1本の杭本体2の長さがジャッキ9の1ストロークL0のほぼ3倍や5倍などであってもよいことは言うまでもない。
【0063】
これを繰り返して、複数本の杭本体2を継ぎ足しながら既製杭1を地盤へ打ち込む。これにより、作業空間70へ持ち込んで作業が可能な長さの杭本体2を用いて、所望の支持地盤まで既製杭1を打ち込むことができる。
【0064】
第2工程において、所定の深さまで既製杭1を地盤へ打ち込んだ後、第3工程が行われる。第3工程では、ジャッキ9及び直動回転変換機構10を取り外して、既製杭1の上端と基礎8とを連結する。この連結は、前述されたように、杭頭部材50及び固定金具51を用いて行う。詳細には、ジャッキ9及び直動回転変換機構10を取り外し、基礎8の下面と既製杭1の上端との間に空間を設ける。そして、図5に示されるように、既製杭1の杭本体2に円盤55及び円盤62を外嵌する。円盤62は円盤55と同様の構成なので、ここでは詳細な説明は省略される。円盤62は、地盤に敷き込むようにして、杭本体2の外周面と溶接固定する。この円盤62によって、杭本体2への押し込み力に対する反力が増加される。
【0065】
円盤55は、その上面が水平となるようにして、杭本体2の外周面と溶接固定する。また、円盤55から杭本体2の上端までの距離は、杭頭部材50の筒体52の長さより短くする。ここで、図10に示されるように、地盤に打ち込まれた既製杭1は、その軸方向74が鉛直方向75に必ずしも一致しないことがあり得る。一方、基礎8の下面は水平である。仮に、不同沈下によって基礎8又は建物が傾斜していれば、本施工の際に、その傾斜を修復するので、基礎8の下面は水平となる。このような場合に、既製杭1と基礎8との連結部分に隙間などが生じやすく、その結果、連結部分の破断などが生じるおそれがある。これに対し、円盤55を水平に配置して、その円盤55に杭頭部材50を支持させることにより、後述されるように、杭頭部材50の平板60と基礎8の下面とを平行にして、隙間のない連結を確保することができる。
【0066】
図6に示されるように、杭頭部材50の筒体52は、杭本体2の外形に対して十分に大きいので、図10に示されるように、筒体52へ杭本体2を斜めに挿入することができる。つまり、筒体52が杭本体2の上端に遊嵌されることにより、杭本体2の軸方向の傾斜を許容して、平板60の上面が水平となるように杭頭部材50を位置決めすることができる。そして、杭頭部材50に固定金具51を装着する。この装着状態において、棒材58に対して筒体59が比較的下方に位置しており、筒体59の上端に固定された平板60も比較的下方に位置している。つづいて、杭頭部材50の平板53上にジャッキ14を載置する。このジャッキ14は、前述されたジャッキ9と同様のものである。
【0067】
ジャッキ14を駆動させてロッドを伸長させると、固定金具51の筒体52及び平板53と共に基礎8及び建物が持ち上がる。既製杭1の先端が支持地盤に到達しており、さらに円盤62が設けられることにより、基礎8及び建物の荷重を既製杭1が支持できる。不同沈下した基礎8及び建物を持ち上げて水平とした後、固定金具51の棒材58に螺合されたナット61の位置を調整して、筒体52及び平板53を所定の高さに固定する。これにより、杭頭部材50の平板53、固定金具51の平板60、及び基礎8の下面がすべて水平となって相互に平行となるので、既製杭1と基礎8とを隙間なく確実に連結することができる。また、杭頭部材50の筒体52と杭本体2の上端との隙間に無収縮モルタルを充填して、この隙間を埋める。
【0068】
第4工程では、作業空間70を埋め戻す。この埋め戻しの際に、杭頭部材50の周囲にコンクリートを打設して、既製杭1と基礎8とをより強固に連結する。
【0069】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、基礎8の下面に、ジャッキ9、直動回転変換機構10、及び既製杭1が鉛直方向75に連結されて、ジャッキ9を駆動することによって、基礎8及び建物の荷重が直動回転変換機構10によって回転及び押し込み力として既製杭1に伝達されるので、既製杭1を地盤に打ち込みやすくなる。これにより、限られた荷重を有効活用して既製杭1を支持地盤まで打ち込むことができ、不同沈下に対して、長期的な信頼性の高い修復方法が実現される。
【0070】
また、直動回転変換機構10として、スパイラル部材11、ジョイント12、及び支持部材13を用い、ジャッキ9のロッドの伸長に伴ってスパイラル部材11が回転しながら下方へ移動し、これによって既製杭が地盤へ回転貫入されるので、作業空間70内において簡易且つ省スペースで直動回転変換機構10が実現される。
【0071】
また、第2工程において、所定の長さの杭本体2を継ぎ足しながら地盤へ打ち込むので、作業空間70を過大にすることなく、所望の支持地盤まで既製杭を打ち込むことができる。
【0072】
また、第2工程において、ジャッキ9を1往復駆動する毎に、(ジャッキ9の往復駆動回数)×(ジャッキ9のストロークL0)に対応する長さの仮杭81〜83を順次用いることとしたので、ジャッキ9のストロークL0より長さが長い杭本体2の継ぎ足し作業の工数を少なくできる。
【0073】
また、第3工程において、杭頭部材50及び固定金具51を用いて既製杭1を基礎8と連結するので、軸方向74が鉛直方向75に一致しない既製杭1を簡易且つ確実に基礎8に連結することができる。
【0074】
[変形例]
なお、上記実施形態では、直動回転変換機構10において、スパイラル部材11が拘束棒43,44と係合することにより、ジャッキ9の押し込み力を回転及び押し込み力として既製杭1に伝達することとしたが、拘束棒43,44に代えて、図11に示される拘束部材48を用いてもよい。拘束部材48は、スパイラル部材11より幅広の立方体形状であり、その厚み方向に貫通溝49が形成されている。貫通溝49は、スパイラル部材11のスパイラル部20の厚み及び幅に対応した細長形状であり、拘束部材48の厚み方向へ螺旋形状に捻れている。図11には詳細に現れていないが、貫通溝49の螺旋形状のレジれは、スパイラル部20の螺旋形状と合致する。したがって、拘束部材48を支持部材13の一部として固定し、その貫通溝49にスパイラル部材11を進退させると、スパイラル部材11が貫通溝49に案内されて回転する。このような拘束部材48を用いても、前述と同様の作用効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る既製杭1を示す斜視図である。
【図2】図2は、作業空間70における既製杭1の施工方法を説明するための模式図である。
【図3】図3は、スパイラル部材11の構成を示す斜視図である。
【図4】図4は、ジョイント12の内部構成を示す縦断面図である。
【図5】図5は、杭頭部材50及び固定金具51を組み付けた状態を示す模式図である。
【図6】図6は、図5におけるVI−VI断面図である。
【図7】図7は、既製杭の施工方法における各工程を説明するための模式図である。
【図8】図8は、既製杭の施工方法における各工程を説明するための模式図である。
【図9】図9は、既製杭の施工方法における各工程を説明するための模式図である。
【図10】図10は、既製杭1の軸方向74が鉛直方向75に対して傾斜した状態を示す模式図である。
【図11】図11は、本実施形態の変形例にかかる拘束部材48を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0076】
1・・・既製杭
2・・・杭本体(既製杭)
8・・・基礎
9・・・ジャッキ
10・・・直動回転変換機構
11・・・スパイラル部材
12・・・ジョイント
13・・・支持部材
21,22・・・螺旋溝
23,24・・・連結部
32・・・連結板(第1連結部)
33・・・連結板(第2連結部)
50・・・杭頭部材
51・・・固定金具
52・・・筒体
53・・・平板
70・・・作業空間
81〜83・・・仮杭
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎の下側の地盤を掘削して作業空間を形成する第1工程と、
上記作業空間において、上記基礎に、ジャッキ、直動回転変換機構、及び既製杭を鉛直方向へ連結し、当該ジャッキを駆動することにより、当該既製杭を回転させながら地盤に打ち込む第2工程と、
上記ジャッキ及び上記直動回転変換機構を取り外し、地盤に打ち込まれた既製杭の上端と上記基礎とを連結する第3工程と、
上記作業空間を埋め戻す第4工程と、を含む既製杭の施工方法。
【請求項2】
上記直動回転変換機構として、
延出方向に進行する螺旋溝が外周に形成され、その延出方向の一端に上記既製杭との連結部を有するスパイラル部材と、
上記ジャッキと連結される第1連結部と、上記スパイラル部材が連結される第2連結部とが連結方向を軸として相互に回転自在なジョイントと、
上記延出方向を鉛直方向として上記螺旋溝と係合して上記スパイラル部材を所定位置に支持し、かつ当該スパイラル部材を螺旋溝に沿って回転させながら鉛直方向へ進退可能とする支持部材と、を用いる請求項1に記載の既製杭の施工方法。
【請求項3】
上記第2工程において、所定の長さの既製杭を継ぎ足しながら地盤へ打ち込む請求項1又は2に記載の既製杭の施工方法。
【請求項4】
上記第2工程において、
上記ジャッキを1ストローク分だけ往復駆動する毎に、(ジャッキの往復駆動回数)×(ジャッキのストローク)に対応する長さの仮杭に交換しながら、当該仮杭を既に打ち込まれた既製杭に仮継ぎして上記ジャッキを駆動し、
継ぎ足すべく既製杭の長さに対応させて上記ジャッキを複数回駆動した後に、上記仮杭に代えて既製杭を継ぎ足す請求項3に記載の既製杭の施工方法。
【請求項5】
上記第3工程において、
既製杭の上端部と遊嵌する筒体と、当該筒体の上端に接続された平板とを有する杭頭部材を、当該平板を上記基礎の下面に対して平行として既製杭の上端部に連結し、当該平板と上記基礎の下面とを固定金具を用いて連結する請求項1から4のいずれかに記載の既製杭の施工方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかの方法により地盤に打設された既製杭に、建物の基礎が支持される基礎支持構造。
【請求項1】
基礎の下側の地盤を掘削して作業空間を形成する第1工程と、
上記作業空間において、上記基礎に、ジャッキ、直動回転変換機構、及び既製杭を鉛直方向へ連結し、当該ジャッキを駆動することにより、当該既製杭を回転させながら地盤に打ち込む第2工程と、
上記ジャッキ及び上記直動回転変換機構を取り外し、地盤に打ち込まれた既製杭の上端と上記基礎とを連結する第3工程と、
上記作業空間を埋め戻す第4工程と、を含む既製杭の施工方法。
【請求項2】
上記直動回転変換機構として、
延出方向に進行する螺旋溝が外周に形成され、その延出方向の一端に上記既製杭との連結部を有するスパイラル部材と、
上記ジャッキと連結される第1連結部と、上記スパイラル部材が連結される第2連結部とが連結方向を軸として相互に回転自在なジョイントと、
上記延出方向を鉛直方向として上記螺旋溝と係合して上記スパイラル部材を所定位置に支持し、かつ当該スパイラル部材を螺旋溝に沿って回転させながら鉛直方向へ進退可能とする支持部材と、を用いる請求項1に記載の既製杭の施工方法。
【請求項3】
上記第2工程において、所定の長さの既製杭を継ぎ足しながら地盤へ打ち込む請求項1又は2に記載の既製杭の施工方法。
【請求項4】
上記第2工程において、
上記ジャッキを1ストローク分だけ往復駆動する毎に、(ジャッキの往復駆動回数)×(ジャッキのストローク)に対応する長さの仮杭に交換しながら、当該仮杭を既に打ち込まれた既製杭に仮継ぎして上記ジャッキを駆動し、
継ぎ足すべく既製杭の長さに対応させて上記ジャッキを複数回駆動した後に、上記仮杭に代えて既製杭を継ぎ足す請求項3に記載の既製杭の施工方法。
【請求項5】
上記第3工程において、
既製杭の上端部と遊嵌する筒体と、当該筒体の上端に接続された平板とを有する杭頭部材を、当該平板を上記基礎の下面に対して平行として既製杭の上端部に連結し、当該平板と上記基礎の下面とを固定金具を用いて連結する請求項1から4のいずれかに記載の既製杭の施工方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかの方法により地盤に打設された既製杭に、建物の基礎が支持される基礎支持構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−13615(P2009−13615A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174471(P2007−174471)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(305044235)株式会社WASC基礎地盤研究所 (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(305044235)株式会社WASC基礎地盤研究所 (9)
【Fターム(参考)】
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