説明

昇圧装置

【課題】アイドルストップ後の再起動時に生じる電圧低下の程度を低減することができる昇圧装置を提供すること。
【解決手段】昇圧装置10は、アイドルストップ車両に搭載されてバッテリ200の出力電圧を昇圧するためのものであり、入力電圧を昇圧する昇圧回路100と、アイドルストップ後の再起動時よりも前に出力電圧を第1の値を有する目標電圧となるように昇圧回路100を制御するとともに、再起動時に出力電圧を第1の値よりも高い第2の値を有する目標電圧となるように昇圧回路100を制御する制御部130とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイドルストップ車両に搭載されてバッテリの出力電圧を昇圧する昇圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アイドルストップ車両に搭載されて、アイドルストップ後の再起動時にバッテリの出力電圧が低下したときにこれを昇圧して各種の車載機器に電力を供給するようにした昇圧装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この昇圧装置では、通常動作条件下でバッテリの電圧(12V)を所定電圧(16V)に昇圧して各種の車載機器に電力供給を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−229756号公報(第6−12頁、図1−9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の昇圧装置は、アイドルストップ後の再起動時に落ち込んだバッテリ電圧を所定電圧まで昇圧することを想定しているが、バッテリ電圧の落ち込み量は、バッテリやエンジンの状態や車載機器の使用状態などによって変動する。このため、バッテリ電圧の折り込み量が大きいと、車載機器に印加する電圧が最低作動電圧を下回るほど低下するおそれがあるという問題があった。この電圧低下は、車載機器のリセットや動作不能の原因となる。また、この電圧低下が検出されると、その後のアイドルストップ動作が禁止状態になるため、アイドルストップ動作による燃費向上効果が減少することにもなる。一方、上記の電圧低下は、昇圧装置の能力向上によってもある程度防止することができるが、その分コストの上昇を招くため、過度の能力向上はコスト低減を図る上では望ましくない。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、アイドルストップ後の再起動時に生じる電圧低下の程度を低減することができる昇圧装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の昇圧装置は、アイドルストップ車両に搭載されてバッテリの出力電圧を昇圧する昇圧装置において、入力電圧を昇圧する昇圧回路と、アイドルストップ後の再起動時よりも前に出力電圧を第1の値を有する目標電圧となるように昇圧回路を制御するとともに、再起動時に出力電圧を第1の値よりも高い第2の値を有する目標電圧となるように昇圧回路を制御する制御部とを備えている。また、上述した制御部において目標電圧として用いられる第1および第2の値を設定する目標電圧設定部をさらに備えることが望ましい。
【0007】
これにより、アイドルストップ後の再起動時におけるバッテリ電圧の大きな落ち込みを想定して昇圧回路の目標電圧を高くすることにより、昇圧回路の出力電圧の過度の電圧低下を防止することができる。また、過度の電圧低下の防止に伴って、車載機器の正常動作を確保することができるとともに、以後のアイドルストップ動作が禁止されることを回避することが可能となってアイドルストップ動作による燃費向上効果の維持が可能となる。
【0008】
また、上述した目標電圧設定部は、アイドルストップ後の再起動時に第2の値に設定した目標電圧を、再起動後に所定のタイミングで第1の値に戻すことが望ましい。アイドルストップ後の再起動時の必要時のみに一時的に目標電圧を上げることにより、車載機器への負担を軽減することができる。
【0009】
また、上述した第2の値は、電気負荷の大小、バッテリの状態、周囲温度の少なくとも一つに応じて可変設定されることが望ましい。特に、上述した第2の値は、電気負荷が大きいほど高く、電気負荷が小さいほど低く設定されることが望ましい。あるいは、上述した第2の値は、バッテリの放電あるいは劣化の程度が大きいほど高く、バッテリの放電あるいは劣化の程度が小さいほど低く設定されることが望ましい。あるいは、上述した第2の値は、周囲温度が低いほど高く、周囲温度が高いほど低く設定されることが望ましい。これにより、状況に応じてアイドルストップ後の再起動時に昇圧回路の出力電圧を、車載機器の動作に必要な最低作動電圧以上に維持することが可能となる。
【0010】
また、上述した目標電圧を第2の値から第1の値に戻す所定のタイミングは、エンジン回転数が所定回転数に到達した時点であることが望ましい。これにより、エンジンを再始動する始動装置の動作が終了してエンジンが回転を開始した後に目標電圧を元に戻すことができるため、始動装置の作動に伴う昇圧回路の過度の出力電圧低下を防止することができる。
【0011】
また、上述した目標電圧を第2の値から第1の値に戻す所定のタイミングは、目標電圧を第2の値に変更してから所定時間経過の時点であることが望ましい。目標電圧を高くする期間を所定時間とすることにより、目標電圧を下げる時点を検出する手段(エンジン回転の検出手段等)が不要になり、構成を簡略化することができる。
【0012】
また、上述した目標電圧を第2の値から第1の値に戻す所定のタイミングは、再起動時に低下したバッテリの電圧が上昇して所定値に達した時点であることが望ましい。また、上述した目標電圧を第2の値から第1の値に戻す所定のタイミングは、再起動時に低下した昇圧回路の出力電圧が上昇して所定値に達した時点であることが望ましい。これにより、バッテリ電圧の低下に伴って昇圧回路の出力電圧が落ち込んだ期間に対応させて確実に目標電圧を上げることができる。また、電圧検出は、昇圧回路の制御において通常行われる動作であるため、特に構成を追加する必要がなく、構成の簡略化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施形態の昇圧装置の構成を示す図である。
【図2】制御部の詳細構成を示す図である。
【図3】アイドルストップ後の再起動時における電圧変動を示す波形図である。
【図4】アイドルストップ後の再起動時の目標電圧V2を可変設定する変形例を示す図である。
【図5】目標電圧を変更する時間を可変設定する他の変形例を示す図である。
【図6】目標電圧を変更する時間を可変設定する他の変形例を示す図である。
【図7】昇圧装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した一実施形態の昇圧装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態の昇圧装置の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態の昇圧装置10は、昇圧回路100、電圧検出回路120、制御部130を備えている。この昇圧装置10は、アイドルストップ車両に搭載されてバッテリ200の出力電圧を昇圧して車載機器210に動作電力を供給する。
【0015】
昇圧回路100は、2つのコンデンサ110、118、リアクトル112、ダイオード114、MOS−FET116を備えている。一方のコンデンサ110は、入力側においてバッテリ200に並列に接続される。他方のコンデンサ118は、出力側において車載機器210に並列に接続される。また、リアクトル112とダイオード114によって直列回路が形成されており、この直列回路の一方の端部(リアクトル112の一方端)が入力端子に、他方の端部(ダイオード114のカソード側)が出力端子に接続されている。MOS−FET116は、スイッチング素子であって、一方端(ドレイン側)がリアクトル112とダイオード114の接続点に接続され、他方端(ソース側)が接地されている。また、ゲートが制御部130に接続されており、制御部130から出力される駆動信号(PWM信号)によってMOS−FET116のスイッチング動作が制御される。上述した昇圧回路100によって昇圧型DC/DCコンバータ(スイッチングコンバータ)が形成されている。
【0016】
制御部130は、電圧検出回路120によって検出される昇圧回路100の出力電圧が所定の目標電圧となるように、MOS−FET116のゲートに入力する駆動信号のデューティを設定することにより、昇圧回路100によるスイッチング動作を制御する。
【0017】
また、本実施形態の昇圧装置10が搭載された車両には、アイドルストップ動作を制御するアイドルストップシステム(ISS)300と、イグニッションスイッチがオンされたときやアイドルストップ後の再起動時にエンジン(図示せず)を回転させる始動装置としてのスタータ310とが備わっている。
【0018】
アイドルストップ後の再起動時には、アイドルストップシステム300からスタータ310にスタータ起動信号が送られ、スタータ310が起動されてエンジンのクランキングが行われる。このスタータ起動信号は、昇圧装置10内の制御部130にも入力されている。制御部130は、スタータ起動信号が入力されると、昇圧回路100の目標電圧をそれまでの第1の値よりも高い第2の値に変更する。
【0019】
図2は、制御部130の詳細構成を示す図である。図2に示すように、制御部130は、目標電圧設定部131、デューティ設定部132、PWM信号生成部133を備えている。
【0020】
目標電圧設定部131は、アイドルストップシステム300からスタータ起動信号が入力されるまで(アイドルストップ後の再起動時よりも前)は目標電圧を第1の値に設定し、スタータ起動信号が入力されると(アイドルストップ後の再起動時)目標電圧を第1の値よりも高い第2の値に設定する。この第2の値への変更は所定時間が経過するまで行われ、その後再び目標電圧が第1の値に戻される。この目標電圧を第2の値に変更する所定時間は、出力電圧の低下が継続する時間よりも長い一定時間とする場合が考えられる。また、出力電圧の低下が継続する時間は、実際にアイドルストップ車両を用いて計測して求めてもよいが、エンジン始動に要する時間の設計値等に基づいて決めるようにしてもよい。
【0021】
デューティ設定部132は、電圧検出回路120によって検出した電圧値が目標電圧となるように、MOS−FET116のゲートに入力するPWM信号のデューティを設定する。PWM信号生成部133は、デューティ設定部132によって設定されたデューティを有するPWM信号を生成する。
【0022】
図3は、アイドルストップ後の再起動時における電圧変動を示す波形図である。図3において、「スタータ起動信号」は、Hで示された期間に入力される。「目標電圧」は、V1が第1の値に、 V2が第2の値に対応している。「入力電圧」は、昇圧装置10に印加されるバッテリ電圧を示している。出力電圧は、昇圧装置10によって昇圧された後の電圧を示している。
【0023】
図3に示すように、アイドルストップシステム300からスタータ起動信号が出力されると、目標電圧設定部131は、目標電圧をそれまでの値V1からV1よりも高い値V2に変更する。スタータ起動信号の入力から実際にスタータ310によるクランキング動作までは若干の時間差があるため、この時点では入力電圧が低下しておらず、出力電圧が目標電圧の変更後の値V2に向かって上昇する。その後、スタータ310によってエンジンを起動するクランキング動作が行われると、作動に必要な大電流がバッテリ200からスタータ310に供給されるため、入力電圧が急激に低下する。昇圧装置10では入力電圧が低下しても出力電圧をV2とするために昇圧動作を継続するが、入力電圧の落ち込みが激しいため、出力電圧も入力電圧に連動して一時的に低下する。しかし、本実施形態では、入力電圧の低下に先立って、この入力電圧の低下を見越して、目標電圧がV1よりも高いV2に変更されているため、低下後の出力電圧をそれ程低くならないようにすることができ、車載機器210が正常動作を継続できる最低作動電圧V3よりも高い出力電圧を維持することが可能となる。
【0024】
なお、点線で示した出力電圧は、目標電圧を常に一定の値V1に設定した場合の変動の様子を示している。この場合には、出力電圧の低下の程度が大きいと、バッテリ200の状態などによっては出力電圧が最低作動電圧V3よりも低くなるおそれがある。
【0025】
このように、本実施形態の昇圧装置10では、アイドルストップ後の再起動時におけるバッテリ電圧の大きな落ち込みを想定して昇圧回路100の目標電圧を高くすることにより、昇圧回路100の出力電圧の過度の電圧低下を防止することができる。また、過度の電圧低下の防止に伴って、車載機器210の正常動作を確保することができるとともに、以後のアイドルストップ動作が禁止を回避することが可能となってアイドルストップ動作による燃費向上効果の維持が可能となる。
【0026】
また、アイドルストップ後の再起動時の必要時のみに一時的に目標電圧を上げることにより、車載機器210への負担を軽減することができる。また、目標電圧を高くする期間を所定時間(一定時間)とすることにより、目標電圧を下げる時点を検出する手段(エンジン回転の検出手段等)が不要になり、構成を簡略化することができる。
【0027】
ところで、アイドルストップ後の再起動時の目標電圧V2は、固定値を用いるのではなく、電気負荷の大小(車載機器210に供給される動作電流の大小)、バッテリ200の状態、周囲温度の少なくとも一つに応じて可変設定するようにしてもよい。
【0028】
図4は、アイドルストップ後の再起動時の目標電圧V2を可変設定する変形例を示す図である。図4において、バッテリ状態検出部320は、バッテリ200の充放電電流を検出する電流検出回路322と、周囲温度を検出する温度センサ324とが接続されており、これらの出力信号に基づいて、車載機器210に供給される電流の大小、バッテリ200の充電量あるいは劣化の程度、バッテリ温度を検出する。
【0029】
例えば、アイドルストップ時には車両用発電機(図示せず)からバッテリ200や車載機器210への電流の供給はないため、電流検出回路322によって検出された電流値をそのまま車載機器210に供給される電流値とすることができる。また、電流検出回路322によって検出される充放電電流値を累積することにより、バッテリ200の充電量を知ることができる。あるいは、例えばスタータ310の作動時に電流検出回路322によって検出した電流値とバッテリ電圧の変動の程度を調べることにより、バッテリ200の劣化の程度を知ることができる。また、温度センサ324によって検出する周囲温度は、バッテリ200の温度であることが望ましいが、バッテリ200の温度とある程度の相間を有するその周辺の温度あるいは車両のエンジンルームの温度であってもよい。
【0030】
目標電圧設定部131は、目標電圧の第2の値V2を、電気負荷(車載機器210に流れる電流)が大きいほど高く、電気負荷が小さいほど低く設定する。また、目標電圧設定部131は、目標電圧の第2の値V2を、バッテリ200の放電あるいは劣化の程度が大きいほど高く、バッテリ200の放電あるいは劣化の程度が小さいほど低く設定する。また、目標電圧設定部131は、目標電圧の第2の値V2を、周囲温度が低いほど高く、周囲温度が高いほど低く設定する。このように目標電圧の第2の値V2を可変設定することにより、各種の状況に応じて、アイドルストップ後の再起動時に昇圧回路100の出力電圧を、車載機器210の動作に必要な最低作動電圧V3以上に維持することが可能となる。
【0031】
また、上述した説明では、目標電圧を第2の値V2に一定時間変更する場合を説明したが、目標電圧を第2の値V2に設定する時間を可変設定するようにしてもよい。例えば、アイドルストップシステム300においてエンジン回転数の検出が行われている場合に、目標電圧設定部131は、この検出されたエンジン回転数が所定回転数に到達する時点まで目標電圧を第2の値に設定し、その後目標電圧を第1の値に戻す場合が考えられる。これにより、エンジンを再始動するスタータ310の動作が終了してエンジンが回転を開始した後に目標電圧を元の値V1に戻すことができるため、スタータ310の作動に伴う昇圧回路100の過度の出力電圧低下を防止することができる。なお、エンジン回転数は、エンジンの制御を行うエンジンECU(図示せず)等の他の構成から取得するようにしてもよい。
【0032】
図5は、目標電圧を変更する時間を可変設定する他の変形例を示す図である。図5に示す例では、目標電圧設定部131は、電圧検出回路120によって検出される電圧を監視しており、アイドルストップ後の再起動時に低下した出力電圧が再度上昇して所定値に達した時点まで目標電圧を第2の値に設定し、その後目標電圧を第1の値に戻している。
【0033】
図6は、目標電圧を変更する時間を可変設定する他の変形例を示す図である。図6に示す例では、目標電圧設定部131は、電圧検出回路122によって検出されるバッテリ電圧を監視しており、アイドルストップ後の再起動時に低下したバッテリ電圧が再度上昇して所定値に達した時点まで目標電圧を第2の値に設定し、その後目標電圧を第1の値に戻している。この電圧検出回路122は、昇圧装置10に備わっているものを用いる場合の他、昇圧装置10の外部に備わっているものを用いるようにしてもよい。
【0034】
このように、出力電圧やバッテリ電圧が上昇したことを検出して目標電圧を第2の値V2から第1の値V1に戻すことにより、バッテリ電圧の低下に伴って昇圧回路100の出力電圧が落ち込んだ期間に対応させて確実に目標電圧を上げることができる。また、電圧検出は、昇圧回路100の制御において通常行われる動作であるため、特に構成を追加する必要がなく、構成の簡略化が可能となる。
【0035】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。上述した実施形態では、目標電圧の第1の値V1の具体的な値には言及しなかったが、例えば、第1の値をバッテリ開放電圧以下に設定するようにしてもよい。これにより、アイドルストップ後の再起動時以外において昇圧装置10の動作を停止させることができ、スイッチング損失(変換損失)の発生を抑えることができる。
【0036】
また、上述した実施形態では、シングルフェーズ型の昇圧回路100を有する昇圧装置10について説明したが、図7に示すように、マルチフェーズ型の昇圧回路100Aを有する昇圧装置10Aについても本発明を適用することができる。また、この場合の動作フェーズ数は4に限定されず、4以外の複数フェーズであてもよい。また、動作フェーズ数を車載機器210に供給する電流値の大きさに応じて可変設定する場合にも本発明を適用することができる。
【0037】
また、上述した実施形態では、ダイオード114を用いたが、このダイオードをスイッチング素子(例えば、MOS−FET)に置き換えるようにしてもよい。この場合には、制御部130は、このスイッチング素子のオン/オフタイミングがMOS−FET116のオン/オフタイミングと反対になるように制御する必要がある。
【0038】
また、上述した実施形態では、制御部130内に目標電圧設定部131を設けたが、この目標電圧設定部131は、制御部130の外部に、あるいは、昇圧装置10の外部に設けるようにしてもよい。昇圧装置10の外部に設ける場合には、アイドルストップシステム300に設ける場合や、エンジンECU(図示せず)内に設ける場合などの他、これらとは別に単独で設けるようにしてもよい。
【0039】
また、上述した実施形態では、バッテリ状態検出部320によって、車載機器210に供給される電流の大小、バッテリ200の充電量あるいは劣化の程度、バッテリ温度を検出するようにしたが、これらの機能を分散して複数の構成によって別々に、あるいは各機能をアイドルストップシステム300等の他の構成に含まれるようにしてもよい。
【0040】
また、上述した実施形態では、アイドルストップシステム300からスタータ起動信号が出力されたときに目標電圧を第1の値V1から第2の値V2に変更する場合について説明したが、他の信号に基づいて目標電圧を第1の値V1から第2の値V2に変更するようにしてもよい。例えば、アイドルストップシステム300から、スタータ起動信号と同じタイミングあるいはタイミングが多少前後する別の信号を生成して出力するものとし、この信号が出力されたときに目標電圧を第1の値V1から第2の値V2に変更するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
上述したように、本発明によれば、アイドルストップ後の再起動時におけるバッテリ電圧の大きな落ち込みを想定して昇圧回路100の目標電圧を高くすることにより、昇圧回路100の出力電圧の過度の電圧低下を防止することができる。
【符号の説明】
【0042】
10 昇圧装置
100 昇圧回路
110、118 コンデンサ
112 リアクトル
114 ダイオード
116 MOS−FET
120、122 電圧検出回路
130 制御部
131 目標電圧設定部
132 デューティ設定部
133 PWM信号生成部
200 バッテリ
210 車載機器
300 アイドルストップシステム(ISS)
310 スタータ
320 バッテリ状態検出部
322 電流検出回路
324 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイドルストップ車両に搭載されてバッテリの出力電圧を昇圧する昇圧装置において、
入力電圧を昇圧する昇圧回路と、
アイドルストップ後の再起動時よりも前に出力電圧を第1の値を有する目標電圧となるように前記昇圧回路を制御するとともに、再起動時に出力電圧を前記第1の値よりも高い第2の値を有する目標電圧となるように前記昇圧回路を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする昇圧装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部において前記目標電圧として用いられる前記第1および第2の値を設定する目標電圧設定部をさらに備えることを特徴とする昇圧装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記目標電圧設定部は、アイドルストップ後の再起動時に前記第2の値に設定した前記目標電圧を、再起動後に所定のタイミングで前記第1の値に戻すことを特徴とする昇圧装置。
【請求項4】
請求項1または2において、
前記第2の値は、電気負荷の大小、バッテリの状態、周囲温度の少なくとも一つに応じて可変設定されることを特徴とする昇圧装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記第2の値は、電気負荷が大きいほど高く、電気負荷が小さいほど低く設定されることを特徴とする昇圧装置。
【請求項6】
請求項4において、
前記第2の値は、バッテリの放電あるいは劣化の程度が大きいほど高く、バッテリの放電あるいは劣化の程度が小さいほど低く設定されることを特徴とする昇圧装置。
【請求項7】
請求項4において、
前記第2の値は、周囲温度が低いほど高く、周囲温度が高いほど低く設定されることを特徴とする昇圧装置。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれかにおいて、
前記目標電圧を前記第2の値から前記第1の値に戻す前記所定のタイミングは、エンジン回転数が所定回転数に到達した時点であることを特徴とする昇圧装置。
【請求項9】
請求項4〜7のいずれかにおいて、
前記目標電圧を前記第2の値から前記第1の値に戻す前記所定のタイミングは、前記目標電圧を前記第2の値に変更してから所定時間経過の時点であることを特徴とする昇圧装置。
【請求項10】
請求項4〜7のいずれかにおいて、
前記目標電圧を前記第2の値から前記第1の値に戻す前記所定のタイミングは、再起動時に低下したバッテリの電圧が上昇して所定値に達した時点であることを特徴とする昇圧装置。
【請求項11】
請求項4〜7のいずれかにおいて、
前記目標電圧を前記第2の値から前記第1の値に戻す前記所定のタイミングは、再起動時に低下した前記昇圧回路の出力電圧が上昇して所定値に達した時点であることを特徴とする昇圧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−80676(P2012−80676A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223937(P2010−223937)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】