昇降機遠隔保守装置
【課題】 非常時の連絡のための昇降機遠隔監視センタとの通信状態を改善する。
【解決手段】 外部からの災害情報の受信後、遠隔監視センタ装置の中継装置11の呼数計算部25は、予め定められた時間内における携帯通信端末装置やインターホンからの発信信号にもとづいて、回線確立処理部30による監視センタ電話機との間の回線確立数を呼数として計算する。切替有無判別部26は、計算した呼数が限界アーランに達している場合には、以後の発信信号にもとづいた回線確立先を他の遠隔監視センタ装置に切り替える必要があると判別し、切り替え先の遠隔監視センタ装置を選択する。切替要求送信部28は、以後において発信信号を通信インタフェース33が受信するたびに、当該発信信号の発信元との回線確立を要求するための回線切替要求信号を選択済みの他の遠隔監視センタ装置に送信する。
【解決手段】 外部からの災害情報の受信後、遠隔監視センタ装置の中継装置11の呼数計算部25は、予め定められた時間内における携帯通信端末装置やインターホンからの発信信号にもとづいて、回線確立処理部30による監視センタ電話機との間の回線確立数を呼数として計算する。切替有無判別部26は、計算した呼数が限界アーランに達している場合には、以後の発信信号にもとづいた回線確立先を他の遠隔監視センタ装置に切り替える必要があると判別し、切り替え先の遠隔監視センタ装置を選択する。切替要求送信部28は、以後において発信信号を通信インタフェース33が受信するたびに、当該発信信号の発信元との回線確立を要求するための回線切替要求信号を選択済みの他の遠隔監視センタ装置に送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震発生等の非常時に昇降機遠隔監視センタのセンタ端末装置とセンタの外部との通信を行なうための昇降機遠隔保守装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、災害発生時などの非常時における昇降機に関する情報伝達方法として種々の方法が提案されている。例として、エレベータの乗りかご内に設けられた操作盤には、行先階指定釦等の各種操作釦や到着階等を示す表示装置の他に、非常事態が発生したことを外部の昇降機遠隔監視センタに連絡する非常連絡釦やインターホン等が設けられる(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
非常時には、かご内の乗客が乗りかごの操作盤の非常連絡釦を押して昇降機遠隔監視センタ装置のセンタ装置のオペレータとの連絡を図ったり、当該エレベータの点検のために巡回していた保守員が自身の携行する携帯通信端末装置を用いて前述したオペレータに対して災害によるエレベータの状況について報告したりしている。
【特許文献1】特開2005−314084号公報
【特許文献2】特開2004−110117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非常連絡ボタンやインターホンは一般電話回線等を介して監視センタのセンタ装置と接続される。
【0005】
しかしながら、広域災害発生時には電話回線は各地で寸断されるとともに通信が集中するので、輻輳が発生してなかなか接続できないという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、非常時の連絡のための昇降機遠隔監視センタとの通信状態を改善することが可能になる昇降機遠隔保守装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係わる昇降機遠隔保守装置は、複数の昇降機遠隔監視センタのセンタ端末装置のうち当該昇降機遠隔監視センタの外部の通信端末装置の間の通信にかかる負荷が輻輳状態でない予め定められた負荷に達しているセンタ端末装置を判別し、外部の通信端末装置と通信するセンタ端末装置を判別済みセンタ端末装置から別の前記昇降機遠隔監視センタのセンタ端末装置に切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、非常時の連絡のための昇降機遠隔監視センタとの通信状態を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下図面により本発明の実施形態について説明する。なお、各実施形態においてはエレベータの遠隔監視を例にとって説明するが、本発明はエスカレータなどのその他の昇降機の遠隔監視や昇降機以外の設備の遠隔監視にも適用することができる。
【0010】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの構成例を示すブロック図である。
本発明の第1の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムは、第1遠隔監視センタ装置1、第2遠隔監視センタ装置2、携帯通信端末装置3、エレベータの遠隔監視端末装置4、エレベータ制御装置5、インターホン6を有し、それぞれが公衆電話網7を介して通信可能に接続される。
【0011】
第1遠隔監視センタ装置1はエレベータの第1の遠隔監視センタに設置されるセンタ装置であり、第2遠隔監視センタ装置2は第1の遠隔監視センタとは別の第2の遠隔監視センタに設置されるセンタ装置である。なお、図1において遠隔監視センタ装置は2つしか図示されず、携帯通信端末装置やインターホンは1つしか図示されていないが、本発明ではこの数は限定されない。
【0012】
携帯通信端末装置3は、エレベータの保守員が携行する装置であり、各遠隔監視センタ装置との間の音声通話を行なう際に用いられる。
エレベータの遠隔監視端末装置4は各エレベータの設置建物に設けられ、エレベータ制御装置5からの信号をもとにエレベータの異常有無情報を公衆電話網7を介して複数のうち何れかの遠隔監視センタ装置に送信する。
【0013】
インターホン6はエレベータの図示しない乗りかご内に設けられる。乗客が乗りかご内の操作盤の非常連絡釦を操作するとインターホン6が動作し、エレベータ制御装置5による指示を経て遠隔監視端末装置4が公衆電話網7を介して複数のうち何れかの遠隔監視センタ装置との間の通話のための呼び出しを行なう。
【0014】
図2は、本発明の第1の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの監視センタ装置の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように第1遠隔監視センタ装置1には中継装置11、監視センタ電話機12,13が設けられる。中継装置11はセンタ端末装置である監視センタ電話機12,13とそれぞれ接続される。第2遠隔監視センタ装置2内の各種機器の構成は図2に示した構成と同様である。
中継装置11は公衆電話網7を介して第2遠隔監視センタ装置2、携帯通信端末装置3や遠隔監視端末装置4と接続される。なお、図2に示される監視センタ電話機は2つであるが、本発明ではこの数は限定されない。また、監視センタ電話機は通話機能を備えた端末装置であればパーソナルコンピュータなどであってもよい。
【0015】
図3は、本発明の第1の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの監視センタ装置の中継装置の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、第1遠隔監視センタ装置1の中継装置11は、装置全体の処理動作を司る制御部21、不揮発性メモリなどの記憶装置22、災害情報受信部23、モード切替部24、呼数計算部25、判別手段である切替有無判別部26、呼損率計算部27、切替要求送信部28、切替要求受信部29、回線確立処理部30、回線情報送信部31、回線情報受信部32、通信インタフェース33を備え、それぞれがバス34を介して相互に接続される。
【0016】
災害情報受信部23は地震発生などによる外部の災害情報送信機器から送信された災害情報を通信インタフェース33を介して受信する。
【0017】
モード切替部24は、中継装置11による監視連絡モードを通常連絡モードと緊急連絡モードとの間で切り替える。監視連絡モードが通常連絡モードである場合には、呼数計算部25、切替有無判別部26、呼損率計算部27は動作しない。
【0018】
呼数計算部25は、監視センタ電話機12,13との間で回線確立がなされた携帯通信端末装置3やインターホン6からの発信信号の受信数をもとに呼数を計算する。
【0019】
呼損率計算部27は、携帯通信端末装置3やインターホン6からの発信信号の受信数をもとに呼損率を計算する。呼損率は携帯通信端末装置3やインターホン6からの全ての発信信号の受信数に対する、監視センタ電話機12,13との間で回線確立がなされなかった発信信号の受信数の割合である。
【0020】
呼損率計算部27による、回線確立がなされなかった発信信号の数の判断としては、もともと呼び出し不能の場合と、発信信号を受信しても回線確立まで至らない場合とが挙げられる。
【0021】
呼損率計算部27は、呼び出し不能については、例えば携帯通信端末装置3を携行する保守員に定時発信を予め義務付け、定時発信が来ないことをもって判断する。定時発信としては、保守員の携帯通信端末装置3に対して、当該携帯通信端末装置3が発する電波を定期的に受信し、災害情報受信時に携帯通信端末装置3からの一定時間受信を継続しているか否かにより通信可能か否かを判定する手法が挙げられる。このように携帯通信端末装置3の発信機能を有効活用して呼損率の計算を容易に実現することができる。また、呼損率計算部27は、発信信号の受信後に回線確立が行なえない事については、着信後、緊急連絡のための監視センタ電話機12,13への発信に至ったか否かで判断する。
【0022】
切替有無判別部26は、呼数計算部25による計算結果や呼損率計算部27による計算結果をもとに、発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6との間の回線確立先を他の遠隔監視センタ装置の監視センタ電話機に切り替えるか否かおよび切り替える場合の切替先の遠隔監視センタ装置の種別を判別する。
【0023】
切替要求送信部28は、発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6との回線確立先の切替先として判別された遠隔監視センタ装置に対し、前述した発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6との回線確立要求である回線切替要求信号を通信インタフェース33を介して送信する。
【0024】
つまり、切替要求送信部28は、自装置へ発信を行なった携帯通信端末装置3やインターホン6との間の回線確立先を別の前記遠隔監視センタの端末装置に切り替える切替手段として機能する。
【0025】
切替要求受信部29は他の遠隔監視センタ装置からの回線切替要求信号を通信インタフェース33を介して受信する。
【0026】
回線確立処理部30は、発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6との間の回線確立先を、他の遠隔監視センタ装置の監視センタ電話機に切り替える必要がない場合には、発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6と監視センタ電話機12,13との間の回線を確立する。
【0027】
また、回線確立処理部30は、切替要求受信部29により受信した回線切替要求信号をもとに、回線切替要求信号の送信元である遠隔監視センタ装置への発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6との回線を確立する。
【0028】
記憶装置22は、呼数記憶部35、限界アーラン記憶部36、呼損率記憶部37、限界呼損率記憶部38、回線情報記憶部39を有する。
【0029】
呼数記憶部35は第1遠隔監視センタ装置1について呼数計算部25により計算した呼数を記憶する。限界アーラン記憶部36は限界アーランを記憶する。限界アーランとは発信元機器と第1遠隔監視センタ装置1の監視センタ電話機12,13との間の通話にかかる負荷が輻輳状態に陥る呼数未満の予め定められた呼数である。
【0030】
呼損率記憶部37は第1遠隔監視センタ装置1について呼損率計算部27により計算した呼損率を記憶する。限界呼損率記憶部38は限界呼損率を記憶する。限界呼損率とは発信元機器と第1遠隔監視センタ装置1の監視センタ電話機12,13との間の通話にかかる負荷が輻輳状態に陥る呼損率未満の予め定められた呼損率である。
【0031】
回線情報送信部31は記憶装置22の呼数記憶部35、限界アーラン記憶部36、呼損率記憶部37、限界呼損率記憶部38に記憶される情報を第1遠隔監視センタ装置1と外部の通信機器との間の回線情報として通信インタフェース33を介して他の遠隔監視センタ装置に送信する。
【0032】
回線情報受信部32は、他の遠隔監視センタ装置からの回線情報を通信インタフェース33を介して受信する。つまり回線情報受信部32は他の遠隔監視センタ装置の回線情報の取得手段である。
【0033】
回線情報記憶部39は、回線情報受信部32が受信した他の遠隔監視センタ装置からの回線情報を遠隔監視センタ装置ごとに区分して記憶する。
【0034】
次に、図1に示した構成のエレベータ遠隔保守システムの動作について説明する。図4は、本発明の第1の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの監視センタ装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。ここでは第1遠隔監視センタ装置1の中継装置11の動作を説明する。また、初期状態では、モード切替部24は監視連絡モードを通常連絡モードに設定している。
【0035】
まず、災害情報受信部23が外部からの災害情報を通信インタフェース33を介して受信すると(ステップS1)、モード切替部24は、監視連絡モードを緊急連絡モードに切り替える(ステップS2)。
【0036】
すると、呼数計算部25は、あらかじめ定められた時間内における携帯通信端末装置3やインターホン6からの発信信号にもとづいて、回線確立処理部30による監視センタ電話機12,13との間の回線確立数を呼数として計算して記憶装置22の呼数記憶部35に記憶する(ステップS3)。
【0037】
また、呼損率計算部27は、予め定められた時間内における携帯通信端末装置3やインターホン6からの発信信号にもとづいて呼損率を計算して記憶装置22の呼損率記憶部37に記憶する(ステップS4)。
【0038】
回線情報送信部31は、呼数計算部25による計算結果、呼損率計算部27による計算結果、記憶装置22の呼数記憶部35、限界アーラン記憶部36、呼損率記憶部37、限界呼損率記憶部38に記憶される情報を第1遠隔監視センタ装置1と外部の通信機器との間の回線情報として通信インタフェース33を介して他の遠隔監視センタ装置に送信する(ステップS5)。
【0039】
回線情報の送信後、他の遠隔監視センタからの回線切替要求信号を切替要求受信部29が受信していない場合(ステップS6のNO)、切替有無判別部26は、記憶装置22の限界アーラン記憶部36に記憶される限界アーランの値を読み出し、呼数計算部25により計算した呼数が限界アーランに達しているか否かを判別する(ステップS7)。
【0040】
切替有無判別部26がステップS7の処理で「YES」と判別した場合には、以後の携帯通信端末装置3やインターホン6からの発信信号にもとづいた回線確立先を他の遠隔監視センタ装置に切り替える必要があると判別する。
【0041】
すると、切替有無判別部26は、切り替え先の遠隔監視センタ装置を選択する(ステップS8)。この選択のために、記憶装置22には、切り替え先として選択可能な遠隔監視センタ装置の識別情報が選択の優先順位と関連付けて記憶される。回線情報記憶部39には、選択可能な遠隔監視センタ装置の回線情報が記憶される。
【0042】
切替有無判別部26は、記憶装置22に記憶されている選択可能なそれぞれの遠隔監視センタ装置の回線情報を回線情報記憶部39から読み出し、回線情報で示される呼数が限界アーランを下回り、呼損率が限界呼損率を下回っている遠隔監視センタ装置のうち優先順位が最も高い遠隔監視センタ装置を切り替え先として選択する。
【0043】
すると、切替要求送信部28は、以後において第1遠隔監視センタ装置1への発信信号を通信インタフェース33が受信するたびに、当該発信信号の発信元との回線確立を要求するための回線切替要求信号を通信インタフェース33を介して切替有無判別部26が選択した他の遠隔監視センタ装置に送信する(ステップS9)。この回線切替要求信号には発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6の電話番号が含まれる。
【0044】
また、切替有無判別部26はステップS7の処理で「NO」と判別した場合には、切替有無判別部26は、記憶装置22の限界呼損率記憶部38に記憶される限界呼損率の値を読み出し、呼損率計算部27により計算した呼損率が限界呼損率に達しているか否かを判別する(ステップS10)。
【0045】
切替有無判別部26はステップS10の処理で「YES」と判別した場合には、前述したステップS8の処理へ移行する。
【0046】
また、切替有無判別部26がステップS10の処理で「NO」と判別した場合には、以後の携帯通信端末装置3やインターホン6からの発信信号にもとづいた回線確立先を他の遠隔監視センタ装置に切り替える必要がないと判別する。
【0047】
この場合、回線確立処理部30は、携帯通信端末装置3やインターホン6からの発信信号にもとづいて、当該発信元と監視センタ電話機12,13との間の回線確立を行なう(ステップS11)。
【0048】
また、回線情報の送信後、他のエレベータ遠隔監視センタからの回線切替要求信号を切替要求受信部29が通信インタフェース33を介して受信した場合(ステップS6のYES)には、回線確立処理部30は、当該回線切替要求信号から発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6の電話番号を認識して当該電話番号に対応する機器と監視センタ電話機12,13のいずれかとの回線確立を行なう(ステップS6→S11)。
【0049】
本実施形態では、モード切替部24は、呼数計算部25により計算されて呼数記憶部35に記憶された呼数や呼損率計算部27により計算されて呼損率記憶部37に記憶された呼損率が限界アーランや限界呼損率より少ない一定値以下になった場合には、災害時の緊急連絡が一段落して輻輳発生の恐れが解消されたとみなして、監視連絡モードを緊急連絡モードから通常連絡モードに戻す処理を行なっている。
【0050】
ステップS9の処理による回線切替要求信号送信後またはステップS11の処理後、モード切替部24により設定された監視連絡モードが緊急連絡モードのままである場合には(ステップS12のNO)、ステップS3の処理に戻る。
【0051】
一方、ステップS9の処理による回線切替要求信号送信後またはステップS11の処理後、モード切替部24により設定された監視連絡モードが通常連絡モードに戻された場合には(ステップS12のYES)、処理を終了する。
【0052】
以上のように、本発明の第1の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムでは、地震等の災害情報の受信後、エレベータの保守員が携帯する携帯通信端末装置3やインターホン6とエレベータの遠隔監視センタ装置との問で、輻較状態に陥る前に過負荷状態を監視し、過負荷が認められた場合に、発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6との回線確立先を別に設置されたエレベータの遠隔監視センタに切り替え、切り替え先のエレベータの遠隔監視センタでは、監視センタ電話機と発信元の機器との回線確立を行なう。よって、携帯通信端末装置3やインターホン6とエレベータの遠隔監視センタ装置の監視センタ電話機との通話回線が輻較状態に陥ることで通信不能となってしまう事態を未然に防止することができるので、非常時の緊急連絡を確実に確保し、保守員の迅速な災害復旧作業が可能となる。
【0053】
すなわち、各地のエレベータと各種のエレベータ遠隔監視センタ装置との間の通話回線のルート変更により、緊急連絡を最適な形で伝達することができるので、保守員や乗客からエレベータ遠隔監視船他の緊急連絡を各地の回線負荷状態に応じて迅速かつ効率的に行うことができる。
【0054】
本実施形態では、あるエレベータ遠隔監視センタ装置が発信元の機器との回線確立先の切替先として選択した他のエレベータ遠隔監視センタ装置が回線切替要求信号を受信した際に、当該他の遠隔監視センタ装置が発信元の機器との回線を確立すると説明した。しかし、これに限らず、当該他の遠隔監視センタ装置において、回線切替要求信号を受信した際に当該受信した旨を表示装置に表示させ、当該指示を確認した監視員が、回線切替の指示を受け入れるか否かを判断してもよい。
【0055】
この場合、監視員は、回線切替の指示を受け入れられると判断した場合には図示しない入力装置に対する操作を行なうことで回線確立を許可し、受け入れられないと判断した場合には入力装置に対する操作を行なうことで回線確立を拒む事になる。
【0056】
監視員による回線切替の指示を受け入れるか否かの判断としては、管轄内のエレベータからの異常発報の有無や頻度および管轄内の保守員の現在位置などを遠隔監視センタ装置における図示しない表示装置に表示させておき、管轄内の保守員の状況が、実際に保守員が監視センタの管轄区域の現場に向かえる状況であるか否かを判断することが挙げられる。
【0057】
回線切替要求信号の送信元である遠隔監視センタ装置は、前述したように回線確立が拒まれた場合には他の遠隔監視センタ装置を切替先として改めて選択することになる。
【0058】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態に係るエレベータ遠隔保守システムの構成のうち図1に示したものと同一部分の説明は省略する。
図5は、本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの構成例を示すブロック図である。
図5に示したように、本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムは図1に示した構成と比較して、サーバ装置8をさらに備える。
【0059】
サーバ装置8は、それぞれのエレベータ遠隔監視センタ装置と発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6との間の呼数や呼損率をもとに、発信元の機器との間の回線負荷状態が過負荷状態にある遠隔監視センタ装置を判別し、当該過負荷状態にある遠隔監視センタに対する発信元の機器との間の回線確立先を他のエレベータ遠隔監視センタに切り替える。
【0060】
具体的には、サーバ装置8は、ある遠隔監視センタ装置への発信元の機器との間の回線負荷状態が過負荷状態にあると判別した場合、当該遠隔監視センタ装置への発信を行なった機器との回線確立先を他の遠隔監視センタ装置へ切り替えるよう指示するための切替指示信号を前出した過負荷状態にある遠隔監視センタ装置へ送信する。切替指示信号には、回線確立先の切替先である遠隔監視センタ装置の情報が含まれる。
【0061】
図6は、本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの監視センタ装置の中継装置の構成例を示すブロック図である。
図6に示すように、本発明の第2の実施形態における中継装置11は、図2に示した構成と比較して、切替有無判別部26および回線情報受信部32に相当する機能は備えない。
【0062】
ただし、通信インタフェース33は、第1の実施形態と比較して、サーバ装置8からの前述した切替指示信号を受信する機能をさらに有する。切替要求送信部28は、サーバ装置8からの切替指示信号を通信インタフェース33が受信すると、当該切替指示信号で示される、自装置である遠隔監視センタ装置への発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6との回線確立先の切替先である他の遠隔監視センタ装置に対し、前述した発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6との回線確立を要求するための回線切替要求信号を通信インタフェース33を介して送信する。
また、回線情報送信部31は、第1の実施形態と異なり、回線情報を通信インタフェース33を介してサーバ装置8へ送信する。
【0063】
図7は、本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムのサーバ装置の構成例を示すブロック図である。
図7に示すように、本発明の第2の実施形態におけるサーバ装置8は、装置全体の処理動作を司る制御部41、不揮発性メモリなどの記憶装置42、切替先判別部43、切替指示送信部44、通信インタフェース45、回線情報受信部46を備え、それぞれがバス47を介して相互に接続される。
回線情報記憶部48は、回線情報受信部46が受信した各遠隔監視センタ装置からの回線情報を遠隔監視センタ装置ごとに区分して記憶する。
【0064】
切替先判別部43は、回線情報記憶部48に記憶される回線情報で示される呼数計算結果や呼損率計算結果をもとに、発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6との間の回線確立先を、発信先である当初の遠隔監視センタ装置から他の遠隔監視センタ装置の監視センタ電話機に切り替えるか否かおよび切り替える場合の切替先の遠隔監視センタ装置の種別を判別して、当該判別した遠隔監視センタ装置を切替先の遠隔監視センタ装置として選択する。
【0065】
記憶装置42には、切替先判別部43により切り替え先として選択可能な遠隔監視センタ装置の識別情報が選択の優先順位と関連付けて記憶される。また、記憶装置42は選択可能な遠隔監視センタ装置の回線情報を記憶する回線情報記憶部48を有する。
【0066】
切替指示送信部44は、発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6との回線確立先の切替先として判別された遠隔監視センタ装置に対し、前述した切替指示信号を通信インタフェース45を介して送信する。
【0067】
回線情報受信部46は、各遠隔監視センタ装置からの回線情報を通信インタフェース45を介して受信する。
【0068】
次に、図5に示した構成のエレベータ遠隔保守システムの動作について説明する。図8は、本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの監視センタ装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。ここでは第1の実施形態と同様、第1遠隔監視センタ装置1の中継装置11の動作を説明する。
まず、中継装置11は、第1の実施形態で説明したステップS1からステップS5までの処理(ステップS21〜S25)を行なう。ステップS25の処理、つまり回線情報の送信後、サーバ装置8からの切替指示信号を通信インタフェース33が受信した場合(ステップS26のYES)、切替要求送信部28は、受信済みの切替指示信号から切替先の遠隔監視センタ装置を認識し、以後において第1遠隔監視センタ装置1への発信信号を通信インタフェース33が受信するたびに、当該発信信号の発信元との回線確立を要求するための回線切替要求信号を通信インタフェース33を介して前述したように認識済みである切替先の遠隔監視センタ装置に送信する(ステップS27)。この回線切替要求信号には発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6の電話番号が含まれる。
【0069】
また、切替指示信号を受信していない状態で(ステップS26のNO)、他の遠隔監視センタ装置からの回線切替要求信号を切替要求受信部29が通信インタフェース33を介して受信した場合(ステップS28のYES)には、回線確立処理部30は、当該回線切替要求信号から発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6の電話番号を認識し、当該認識した電話番号に対応する機器と監視センタ電話機12,13のいずれかとの回線確立を行なう(ステップS29)。
【0070】
回線切替要求信号を受信していない状態(ステップS28のNO)またはステップS29の処理による回線確立後、モード切替部24により設定された監視連絡モードが緊急連絡モードのままである場合には(ステップS30のNO)、ステップS23の処理に戻る。
【0071】
一方、ステップS9の処理による回線切替要求信号送信後またはステップS11の処理後、モード切替部24により設定された監視連絡モードが通常連絡モードに戻された場合には(ステップS30のYES)、処理を終了する。
【0072】
図9は、本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムのサーバ装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
サーバ装置8の回線情報受信部46は、各遠隔監視センタ装置からの回線情報を受信すると当該受信した回線情報を記憶装置42の回線情報記憶部48に記憶する(ステップS31)。
【0073】
切替先判別部43は、回線情報記憶部48に記憶された各遠隔監視センタ装置に関する回線情報を常時監視し、各遠隔監視センタ装置のうち、回線情報で示される呼数が当該回線情報で示される限界アーランを超えていたり、呼損率が限界呼損率を超えていたりする遠隔監視センタ、つまり発信元との間の回線負荷状態が過負荷状態にある遠隔監視センタ装置があるか否かを判別する(ステップS43)。
【0074】
切替先判別部43は、ステップS43の処理で「YES」と判別した場合には、過負荷状態にあると判別した遠隔監視センタ装置への発信元の機器との間の回線確立先を他の遠隔監視センタ装置へ切り替える必要があるとみなし、記憶装置42に記憶されている他のそれぞれの遠隔監視センタ装置の回線情報を回線情報記憶部48から読み出し、回線情報で示される呼数が限界アーランを下回り、呼損率が限界呼損率を下回っている遠隔監視センタ装置のうち優先順位が最も高い遠隔監視センタ装置を切り替え先として選択する(ステップS33)。
【0075】
すると、切替指示送信部44は、過負荷にある遠隔監視センタ装置に対し、当該遠隔監視センタ装置への発信信号を受信した場合に、当該発信信号の発信元との回線確立先を前述したように切替先として選択された他の遠隔監視センタ装置に切り替えるよう指示するための切替指示信号を通信インタフェース45を介して送信する(ステップS34)。
【0076】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムでは、第1の実施形態と比較して、発信元の機器と各遠隔監視センタ装置との間の回線負荷状態をサーバ装置8が把握し、この回線負荷状態をもとに、発信元の機器との間の回線負荷状態が過負荷にある遠隔監視センタ装置および当該過負荷にある遠隔監視センタ装置への発信元の機器との回線確立先を別の遠隔監視センタに切り替える処理を行なう。これにより、第1の実施形態と比較して、各遠隔監視センタ装置では他の遠隔監視センタ装置に関する回線情報を把握する必要がなくなるので、それぞれの遠隔監視センタ装置での処理負荷およびシステム全体の負荷を軽減することができる。
【0077】
なお、各実施形態においては、回線確立先の切替を遠隔監視センタ装置やサーバ装置の主導で説明しているが、保守員の携帯通信端末装置3の代替回線を設け、保守員側で発信先の遠隔監視センタ装置との間の回線負荷状態の負荷が高いと判断して回線切り替えを行うことができるのは無論のことである。
【0078】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、災害あるいは事故に際し、回線の輻榛による連絡網の切断のために、災害や事故の被害の拡大を予測・予防する遠隔保守装置に係り、特に広域災害に対して、被災地域のみならず、救援のための緊急連絡等の情報伝達がネットワークを利用して行われる遠隔保守装置に利用可能である。さらに、災害のみならず、イベント等に際して、特定地点に呼びが集中する場合にも活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの構成例を示すブロック図。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの監視センタ装置の構成例を示すブロック図。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの監視センタ装置の中継装置の構成例を示すブロック図。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの監視センタ装置の処理動作の一例を示すフローチャート。
【図5】本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの構成例を示すブロック図。
【図6】本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの監視センタ装置の中継装置の構成例を示すブロック図。
【図7】本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムのサーバ装置の構成例を示すブロック図。
【図8】本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの監視センタ装置の処理動作の一例を示すフローチャート。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムのサーバ装置の処理動作の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0081】
1…第1遠隔監視センタ装置、2…第2遠隔監視センタ装置、3…携帯通信端末装置、4…遠隔監視端末装置、5…エレベータ制御装置、6…インターホン、7…公衆電話網、8…サーバ装置、11…中継装置、12,13…監視センタ電話機、21,41…制御部、22,42…記憶装置、23…災害情報受信部、24…モード切替部、25…呼数計算部、26…切替有無判別部、27…呼損率計算部、28…切替要求送信部、29…切替要求受信部、30…回線確立処理部、31…回線情報送信部、32,46…回線情報受信部、33,45…通信インタフェース、34,47…バス、35…呼数記憶部、36…限界アーラン記憶部、37…呼損率記憶部、38…限界呼損率記憶部、39,48…回線情報記憶部、43…切替先判別部、44…切替指示送信部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震発生等の非常時に昇降機遠隔監視センタのセンタ端末装置とセンタの外部との通信を行なうための昇降機遠隔保守装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、災害発生時などの非常時における昇降機に関する情報伝達方法として種々の方法が提案されている。例として、エレベータの乗りかご内に設けられた操作盤には、行先階指定釦等の各種操作釦や到着階等を示す表示装置の他に、非常事態が発生したことを外部の昇降機遠隔監視センタに連絡する非常連絡釦やインターホン等が設けられる(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
非常時には、かご内の乗客が乗りかごの操作盤の非常連絡釦を押して昇降機遠隔監視センタ装置のセンタ装置のオペレータとの連絡を図ったり、当該エレベータの点検のために巡回していた保守員が自身の携行する携帯通信端末装置を用いて前述したオペレータに対して災害によるエレベータの状況について報告したりしている。
【特許文献1】特開2005−314084号公報
【特許文献2】特開2004−110117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非常連絡ボタンやインターホンは一般電話回線等を介して監視センタのセンタ装置と接続される。
【0005】
しかしながら、広域災害発生時には電話回線は各地で寸断されるとともに通信が集中するので、輻輳が発生してなかなか接続できないという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、非常時の連絡のための昇降機遠隔監視センタとの通信状態を改善することが可能になる昇降機遠隔保守装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係わる昇降機遠隔保守装置は、複数の昇降機遠隔監視センタのセンタ端末装置のうち当該昇降機遠隔監視センタの外部の通信端末装置の間の通信にかかる負荷が輻輳状態でない予め定められた負荷に達しているセンタ端末装置を判別し、外部の通信端末装置と通信するセンタ端末装置を判別済みセンタ端末装置から別の前記昇降機遠隔監視センタのセンタ端末装置に切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、非常時の連絡のための昇降機遠隔監視センタとの通信状態を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下図面により本発明の実施形態について説明する。なお、各実施形態においてはエレベータの遠隔監視を例にとって説明するが、本発明はエスカレータなどのその他の昇降機の遠隔監視や昇降機以外の設備の遠隔監視にも適用することができる。
【0010】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの構成例を示すブロック図である。
本発明の第1の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムは、第1遠隔監視センタ装置1、第2遠隔監視センタ装置2、携帯通信端末装置3、エレベータの遠隔監視端末装置4、エレベータ制御装置5、インターホン6を有し、それぞれが公衆電話網7を介して通信可能に接続される。
【0011】
第1遠隔監視センタ装置1はエレベータの第1の遠隔監視センタに設置されるセンタ装置であり、第2遠隔監視センタ装置2は第1の遠隔監視センタとは別の第2の遠隔監視センタに設置されるセンタ装置である。なお、図1において遠隔監視センタ装置は2つしか図示されず、携帯通信端末装置やインターホンは1つしか図示されていないが、本発明ではこの数は限定されない。
【0012】
携帯通信端末装置3は、エレベータの保守員が携行する装置であり、各遠隔監視センタ装置との間の音声通話を行なう際に用いられる。
エレベータの遠隔監視端末装置4は各エレベータの設置建物に設けられ、エレベータ制御装置5からの信号をもとにエレベータの異常有無情報を公衆電話網7を介して複数のうち何れかの遠隔監視センタ装置に送信する。
【0013】
インターホン6はエレベータの図示しない乗りかご内に設けられる。乗客が乗りかご内の操作盤の非常連絡釦を操作するとインターホン6が動作し、エレベータ制御装置5による指示を経て遠隔監視端末装置4が公衆電話網7を介して複数のうち何れかの遠隔監視センタ装置との間の通話のための呼び出しを行なう。
【0014】
図2は、本発明の第1の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの監視センタ装置の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように第1遠隔監視センタ装置1には中継装置11、監視センタ電話機12,13が設けられる。中継装置11はセンタ端末装置である監視センタ電話機12,13とそれぞれ接続される。第2遠隔監視センタ装置2内の各種機器の構成は図2に示した構成と同様である。
中継装置11は公衆電話網7を介して第2遠隔監視センタ装置2、携帯通信端末装置3や遠隔監視端末装置4と接続される。なお、図2に示される監視センタ電話機は2つであるが、本発明ではこの数は限定されない。また、監視センタ電話機は通話機能を備えた端末装置であればパーソナルコンピュータなどであってもよい。
【0015】
図3は、本発明の第1の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの監視センタ装置の中継装置の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、第1遠隔監視センタ装置1の中継装置11は、装置全体の処理動作を司る制御部21、不揮発性メモリなどの記憶装置22、災害情報受信部23、モード切替部24、呼数計算部25、判別手段である切替有無判別部26、呼損率計算部27、切替要求送信部28、切替要求受信部29、回線確立処理部30、回線情報送信部31、回線情報受信部32、通信インタフェース33を備え、それぞれがバス34を介して相互に接続される。
【0016】
災害情報受信部23は地震発生などによる外部の災害情報送信機器から送信された災害情報を通信インタフェース33を介して受信する。
【0017】
モード切替部24は、中継装置11による監視連絡モードを通常連絡モードと緊急連絡モードとの間で切り替える。監視連絡モードが通常連絡モードである場合には、呼数計算部25、切替有無判別部26、呼損率計算部27は動作しない。
【0018】
呼数計算部25は、監視センタ電話機12,13との間で回線確立がなされた携帯通信端末装置3やインターホン6からの発信信号の受信数をもとに呼数を計算する。
【0019】
呼損率計算部27は、携帯通信端末装置3やインターホン6からの発信信号の受信数をもとに呼損率を計算する。呼損率は携帯通信端末装置3やインターホン6からの全ての発信信号の受信数に対する、監視センタ電話機12,13との間で回線確立がなされなかった発信信号の受信数の割合である。
【0020】
呼損率計算部27による、回線確立がなされなかった発信信号の数の判断としては、もともと呼び出し不能の場合と、発信信号を受信しても回線確立まで至らない場合とが挙げられる。
【0021】
呼損率計算部27は、呼び出し不能については、例えば携帯通信端末装置3を携行する保守員に定時発信を予め義務付け、定時発信が来ないことをもって判断する。定時発信としては、保守員の携帯通信端末装置3に対して、当該携帯通信端末装置3が発する電波を定期的に受信し、災害情報受信時に携帯通信端末装置3からの一定時間受信を継続しているか否かにより通信可能か否かを判定する手法が挙げられる。このように携帯通信端末装置3の発信機能を有効活用して呼損率の計算を容易に実現することができる。また、呼損率計算部27は、発信信号の受信後に回線確立が行なえない事については、着信後、緊急連絡のための監視センタ電話機12,13への発信に至ったか否かで判断する。
【0022】
切替有無判別部26は、呼数計算部25による計算結果や呼損率計算部27による計算結果をもとに、発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6との間の回線確立先を他の遠隔監視センタ装置の監視センタ電話機に切り替えるか否かおよび切り替える場合の切替先の遠隔監視センタ装置の種別を判別する。
【0023】
切替要求送信部28は、発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6との回線確立先の切替先として判別された遠隔監視センタ装置に対し、前述した発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6との回線確立要求である回線切替要求信号を通信インタフェース33を介して送信する。
【0024】
つまり、切替要求送信部28は、自装置へ発信を行なった携帯通信端末装置3やインターホン6との間の回線確立先を別の前記遠隔監視センタの端末装置に切り替える切替手段として機能する。
【0025】
切替要求受信部29は他の遠隔監視センタ装置からの回線切替要求信号を通信インタフェース33を介して受信する。
【0026】
回線確立処理部30は、発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6との間の回線確立先を、他の遠隔監視センタ装置の監視センタ電話機に切り替える必要がない場合には、発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6と監視センタ電話機12,13との間の回線を確立する。
【0027】
また、回線確立処理部30は、切替要求受信部29により受信した回線切替要求信号をもとに、回線切替要求信号の送信元である遠隔監視センタ装置への発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6との回線を確立する。
【0028】
記憶装置22は、呼数記憶部35、限界アーラン記憶部36、呼損率記憶部37、限界呼損率記憶部38、回線情報記憶部39を有する。
【0029】
呼数記憶部35は第1遠隔監視センタ装置1について呼数計算部25により計算した呼数を記憶する。限界アーラン記憶部36は限界アーランを記憶する。限界アーランとは発信元機器と第1遠隔監視センタ装置1の監視センタ電話機12,13との間の通話にかかる負荷が輻輳状態に陥る呼数未満の予め定められた呼数である。
【0030】
呼損率記憶部37は第1遠隔監視センタ装置1について呼損率計算部27により計算した呼損率を記憶する。限界呼損率記憶部38は限界呼損率を記憶する。限界呼損率とは発信元機器と第1遠隔監視センタ装置1の監視センタ電話機12,13との間の通話にかかる負荷が輻輳状態に陥る呼損率未満の予め定められた呼損率である。
【0031】
回線情報送信部31は記憶装置22の呼数記憶部35、限界アーラン記憶部36、呼損率記憶部37、限界呼損率記憶部38に記憶される情報を第1遠隔監視センタ装置1と外部の通信機器との間の回線情報として通信インタフェース33を介して他の遠隔監視センタ装置に送信する。
【0032】
回線情報受信部32は、他の遠隔監視センタ装置からの回線情報を通信インタフェース33を介して受信する。つまり回線情報受信部32は他の遠隔監視センタ装置の回線情報の取得手段である。
【0033】
回線情報記憶部39は、回線情報受信部32が受信した他の遠隔監視センタ装置からの回線情報を遠隔監視センタ装置ごとに区分して記憶する。
【0034】
次に、図1に示した構成のエレベータ遠隔保守システムの動作について説明する。図4は、本発明の第1の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの監視センタ装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。ここでは第1遠隔監視センタ装置1の中継装置11の動作を説明する。また、初期状態では、モード切替部24は監視連絡モードを通常連絡モードに設定している。
【0035】
まず、災害情報受信部23が外部からの災害情報を通信インタフェース33を介して受信すると(ステップS1)、モード切替部24は、監視連絡モードを緊急連絡モードに切り替える(ステップS2)。
【0036】
すると、呼数計算部25は、あらかじめ定められた時間内における携帯通信端末装置3やインターホン6からの発信信号にもとづいて、回線確立処理部30による監視センタ電話機12,13との間の回線確立数を呼数として計算して記憶装置22の呼数記憶部35に記憶する(ステップS3)。
【0037】
また、呼損率計算部27は、予め定められた時間内における携帯通信端末装置3やインターホン6からの発信信号にもとづいて呼損率を計算して記憶装置22の呼損率記憶部37に記憶する(ステップS4)。
【0038】
回線情報送信部31は、呼数計算部25による計算結果、呼損率計算部27による計算結果、記憶装置22の呼数記憶部35、限界アーラン記憶部36、呼損率記憶部37、限界呼損率記憶部38に記憶される情報を第1遠隔監視センタ装置1と外部の通信機器との間の回線情報として通信インタフェース33を介して他の遠隔監視センタ装置に送信する(ステップS5)。
【0039】
回線情報の送信後、他の遠隔監視センタからの回線切替要求信号を切替要求受信部29が受信していない場合(ステップS6のNO)、切替有無判別部26は、記憶装置22の限界アーラン記憶部36に記憶される限界アーランの値を読み出し、呼数計算部25により計算した呼数が限界アーランに達しているか否かを判別する(ステップS7)。
【0040】
切替有無判別部26がステップS7の処理で「YES」と判別した場合には、以後の携帯通信端末装置3やインターホン6からの発信信号にもとづいた回線確立先を他の遠隔監視センタ装置に切り替える必要があると判別する。
【0041】
すると、切替有無判別部26は、切り替え先の遠隔監視センタ装置を選択する(ステップS8)。この選択のために、記憶装置22には、切り替え先として選択可能な遠隔監視センタ装置の識別情報が選択の優先順位と関連付けて記憶される。回線情報記憶部39には、選択可能な遠隔監視センタ装置の回線情報が記憶される。
【0042】
切替有無判別部26は、記憶装置22に記憶されている選択可能なそれぞれの遠隔監視センタ装置の回線情報を回線情報記憶部39から読み出し、回線情報で示される呼数が限界アーランを下回り、呼損率が限界呼損率を下回っている遠隔監視センタ装置のうち優先順位が最も高い遠隔監視センタ装置を切り替え先として選択する。
【0043】
すると、切替要求送信部28は、以後において第1遠隔監視センタ装置1への発信信号を通信インタフェース33が受信するたびに、当該発信信号の発信元との回線確立を要求するための回線切替要求信号を通信インタフェース33を介して切替有無判別部26が選択した他の遠隔監視センタ装置に送信する(ステップS9)。この回線切替要求信号には発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6の電話番号が含まれる。
【0044】
また、切替有無判別部26はステップS7の処理で「NO」と判別した場合には、切替有無判別部26は、記憶装置22の限界呼損率記憶部38に記憶される限界呼損率の値を読み出し、呼損率計算部27により計算した呼損率が限界呼損率に達しているか否かを判別する(ステップS10)。
【0045】
切替有無判別部26はステップS10の処理で「YES」と判別した場合には、前述したステップS8の処理へ移行する。
【0046】
また、切替有無判別部26がステップS10の処理で「NO」と判別した場合には、以後の携帯通信端末装置3やインターホン6からの発信信号にもとづいた回線確立先を他の遠隔監視センタ装置に切り替える必要がないと判別する。
【0047】
この場合、回線確立処理部30は、携帯通信端末装置3やインターホン6からの発信信号にもとづいて、当該発信元と監視センタ電話機12,13との間の回線確立を行なう(ステップS11)。
【0048】
また、回線情報の送信後、他のエレベータ遠隔監視センタからの回線切替要求信号を切替要求受信部29が通信インタフェース33を介して受信した場合(ステップS6のYES)には、回線確立処理部30は、当該回線切替要求信号から発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6の電話番号を認識して当該電話番号に対応する機器と監視センタ電話機12,13のいずれかとの回線確立を行なう(ステップS6→S11)。
【0049】
本実施形態では、モード切替部24は、呼数計算部25により計算されて呼数記憶部35に記憶された呼数や呼損率計算部27により計算されて呼損率記憶部37に記憶された呼損率が限界アーランや限界呼損率より少ない一定値以下になった場合には、災害時の緊急連絡が一段落して輻輳発生の恐れが解消されたとみなして、監視連絡モードを緊急連絡モードから通常連絡モードに戻す処理を行なっている。
【0050】
ステップS9の処理による回線切替要求信号送信後またはステップS11の処理後、モード切替部24により設定された監視連絡モードが緊急連絡モードのままである場合には(ステップS12のNO)、ステップS3の処理に戻る。
【0051】
一方、ステップS9の処理による回線切替要求信号送信後またはステップS11の処理後、モード切替部24により設定された監視連絡モードが通常連絡モードに戻された場合には(ステップS12のYES)、処理を終了する。
【0052】
以上のように、本発明の第1の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムでは、地震等の災害情報の受信後、エレベータの保守員が携帯する携帯通信端末装置3やインターホン6とエレベータの遠隔監視センタ装置との問で、輻較状態に陥る前に過負荷状態を監視し、過負荷が認められた場合に、発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6との回線確立先を別に設置されたエレベータの遠隔監視センタに切り替え、切り替え先のエレベータの遠隔監視センタでは、監視センタ電話機と発信元の機器との回線確立を行なう。よって、携帯通信端末装置3やインターホン6とエレベータの遠隔監視センタ装置の監視センタ電話機との通話回線が輻較状態に陥ることで通信不能となってしまう事態を未然に防止することができるので、非常時の緊急連絡を確実に確保し、保守員の迅速な災害復旧作業が可能となる。
【0053】
すなわち、各地のエレベータと各種のエレベータ遠隔監視センタ装置との間の通話回線のルート変更により、緊急連絡を最適な形で伝達することができるので、保守員や乗客からエレベータ遠隔監視船他の緊急連絡を各地の回線負荷状態に応じて迅速かつ効率的に行うことができる。
【0054】
本実施形態では、あるエレベータ遠隔監視センタ装置が発信元の機器との回線確立先の切替先として選択した他のエレベータ遠隔監視センタ装置が回線切替要求信号を受信した際に、当該他の遠隔監視センタ装置が発信元の機器との回線を確立すると説明した。しかし、これに限らず、当該他の遠隔監視センタ装置において、回線切替要求信号を受信した際に当該受信した旨を表示装置に表示させ、当該指示を確認した監視員が、回線切替の指示を受け入れるか否かを判断してもよい。
【0055】
この場合、監視員は、回線切替の指示を受け入れられると判断した場合には図示しない入力装置に対する操作を行なうことで回線確立を許可し、受け入れられないと判断した場合には入力装置に対する操作を行なうことで回線確立を拒む事になる。
【0056】
監視員による回線切替の指示を受け入れるか否かの判断としては、管轄内のエレベータからの異常発報の有無や頻度および管轄内の保守員の現在位置などを遠隔監視センタ装置における図示しない表示装置に表示させておき、管轄内の保守員の状況が、実際に保守員が監視センタの管轄区域の現場に向かえる状況であるか否かを判断することが挙げられる。
【0057】
回線切替要求信号の送信元である遠隔監視センタ装置は、前述したように回線確立が拒まれた場合には他の遠隔監視センタ装置を切替先として改めて選択することになる。
【0058】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態に係るエレベータ遠隔保守システムの構成のうち図1に示したものと同一部分の説明は省略する。
図5は、本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの構成例を示すブロック図である。
図5に示したように、本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムは図1に示した構成と比較して、サーバ装置8をさらに備える。
【0059】
サーバ装置8は、それぞれのエレベータ遠隔監視センタ装置と発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6との間の呼数や呼損率をもとに、発信元の機器との間の回線負荷状態が過負荷状態にある遠隔監視センタ装置を判別し、当該過負荷状態にある遠隔監視センタに対する発信元の機器との間の回線確立先を他のエレベータ遠隔監視センタに切り替える。
【0060】
具体的には、サーバ装置8は、ある遠隔監視センタ装置への発信元の機器との間の回線負荷状態が過負荷状態にあると判別した場合、当該遠隔監視センタ装置への発信を行なった機器との回線確立先を他の遠隔監視センタ装置へ切り替えるよう指示するための切替指示信号を前出した過負荷状態にある遠隔監視センタ装置へ送信する。切替指示信号には、回線確立先の切替先である遠隔監視センタ装置の情報が含まれる。
【0061】
図6は、本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの監視センタ装置の中継装置の構成例を示すブロック図である。
図6に示すように、本発明の第2の実施形態における中継装置11は、図2に示した構成と比較して、切替有無判別部26および回線情報受信部32に相当する機能は備えない。
【0062】
ただし、通信インタフェース33は、第1の実施形態と比較して、サーバ装置8からの前述した切替指示信号を受信する機能をさらに有する。切替要求送信部28は、サーバ装置8からの切替指示信号を通信インタフェース33が受信すると、当該切替指示信号で示される、自装置である遠隔監視センタ装置への発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6との回線確立先の切替先である他の遠隔監視センタ装置に対し、前述した発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6との回線確立を要求するための回線切替要求信号を通信インタフェース33を介して送信する。
また、回線情報送信部31は、第1の実施形態と異なり、回線情報を通信インタフェース33を介してサーバ装置8へ送信する。
【0063】
図7は、本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムのサーバ装置の構成例を示すブロック図である。
図7に示すように、本発明の第2の実施形態におけるサーバ装置8は、装置全体の処理動作を司る制御部41、不揮発性メモリなどの記憶装置42、切替先判別部43、切替指示送信部44、通信インタフェース45、回線情報受信部46を備え、それぞれがバス47を介して相互に接続される。
回線情報記憶部48は、回線情報受信部46が受信した各遠隔監視センタ装置からの回線情報を遠隔監視センタ装置ごとに区分して記憶する。
【0064】
切替先判別部43は、回線情報記憶部48に記憶される回線情報で示される呼数計算結果や呼損率計算結果をもとに、発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6との間の回線確立先を、発信先である当初の遠隔監視センタ装置から他の遠隔監視センタ装置の監視センタ電話機に切り替えるか否かおよび切り替える場合の切替先の遠隔監視センタ装置の種別を判別して、当該判別した遠隔監視センタ装置を切替先の遠隔監視センタ装置として選択する。
【0065】
記憶装置42には、切替先判別部43により切り替え先として選択可能な遠隔監視センタ装置の識別情報が選択の優先順位と関連付けて記憶される。また、記憶装置42は選択可能な遠隔監視センタ装置の回線情報を記憶する回線情報記憶部48を有する。
【0066】
切替指示送信部44は、発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6との回線確立先の切替先として判別された遠隔監視センタ装置に対し、前述した切替指示信号を通信インタフェース45を介して送信する。
【0067】
回線情報受信部46は、各遠隔監視センタ装置からの回線情報を通信インタフェース45を介して受信する。
【0068】
次に、図5に示した構成のエレベータ遠隔保守システムの動作について説明する。図8は、本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの監視センタ装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。ここでは第1の実施形態と同様、第1遠隔監視センタ装置1の中継装置11の動作を説明する。
まず、中継装置11は、第1の実施形態で説明したステップS1からステップS5までの処理(ステップS21〜S25)を行なう。ステップS25の処理、つまり回線情報の送信後、サーバ装置8からの切替指示信号を通信インタフェース33が受信した場合(ステップS26のYES)、切替要求送信部28は、受信済みの切替指示信号から切替先の遠隔監視センタ装置を認識し、以後において第1遠隔監視センタ装置1への発信信号を通信インタフェース33が受信するたびに、当該発信信号の発信元との回線確立を要求するための回線切替要求信号を通信インタフェース33を介して前述したように認識済みである切替先の遠隔監視センタ装置に送信する(ステップS27)。この回線切替要求信号には発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6の電話番号が含まれる。
【0069】
また、切替指示信号を受信していない状態で(ステップS26のNO)、他の遠隔監視センタ装置からの回線切替要求信号を切替要求受信部29が通信インタフェース33を介して受信した場合(ステップS28のYES)には、回線確立処理部30は、当該回線切替要求信号から発信元の携帯通信端末装置3やインターホン6の電話番号を認識し、当該認識した電話番号に対応する機器と監視センタ電話機12,13のいずれかとの回線確立を行なう(ステップS29)。
【0070】
回線切替要求信号を受信していない状態(ステップS28のNO)またはステップS29の処理による回線確立後、モード切替部24により設定された監視連絡モードが緊急連絡モードのままである場合には(ステップS30のNO)、ステップS23の処理に戻る。
【0071】
一方、ステップS9の処理による回線切替要求信号送信後またはステップS11の処理後、モード切替部24により設定された監視連絡モードが通常連絡モードに戻された場合には(ステップS30のYES)、処理を終了する。
【0072】
図9は、本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムのサーバ装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
サーバ装置8の回線情報受信部46は、各遠隔監視センタ装置からの回線情報を受信すると当該受信した回線情報を記憶装置42の回線情報記憶部48に記憶する(ステップS31)。
【0073】
切替先判別部43は、回線情報記憶部48に記憶された各遠隔監視センタ装置に関する回線情報を常時監視し、各遠隔監視センタ装置のうち、回線情報で示される呼数が当該回線情報で示される限界アーランを超えていたり、呼損率が限界呼損率を超えていたりする遠隔監視センタ、つまり発信元との間の回線負荷状態が過負荷状態にある遠隔監視センタ装置があるか否かを判別する(ステップS43)。
【0074】
切替先判別部43は、ステップS43の処理で「YES」と判別した場合には、過負荷状態にあると判別した遠隔監視センタ装置への発信元の機器との間の回線確立先を他の遠隔監視センタ装置へ切り替える必要があるとみなし、記憶装置42に記憶されている他のそれぞれの遠隔監視センタ装置の回線情報を回線情報記憶部48から読み出し、回線情報で示される呼数が限界アーランを下回り、呼損率が限界呼損率を下回っている遠隔監視センタ装置のうち優先順位が最も高い遠隔監視センタ装置を切り替え先として選択する(ステップS33)。
【0075】
すると、切替指示送信部44は、過負荷にある遠隔監視センタ装置に対し、当該遠隔監視センタ装置への発信信号を受信した場合に、当該発信信号の発信元との回線確立先を前述したように切替先として選択された他の遠隔監視センタ装置に切り替えるよう指示するための切替指示信号を通信インタフェース45を介して送信する(ステップS34)。
【0076】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムでは、第1の実施形態と比較して、発信元の機器と各遠隔監視センタ装置との間の回線負荷状態をサーバ装置8が把握し、この回線負荷状態をもとに、発信元の機器との間の回線負荷状態が過負荷にある遠隔監視センタ装置および当該過負荷にある遠隔監視センタ装置への発信元の機器との回線確立先を別の遠隔監視センタに切り替える処理を行なう。これにより、第1の実施形態と比較して、各遠隔監視センタ装置では他の遠隔監視センタ装置に関する回線情報を把握する必要がなくなるので、それぞれの遠隔監視センタ装置での処理負荷およびシステム全体の負荷を軽減することができる。
【0077】
なお、各実施形態においては、回線確立先の切替を遠隔監視センタ装置やサーバ装置の主導で説明しているが、保守員の携帯通信端末装置3の代替回線を設け、保守員側で発信先の遠隔監視センタ装置との間の回線負荷状態の負荷が高いと判断して回線切り替えを行うことができるのは無論のことである。
【0078】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、災害あるいは事故に際し、回線の輻榛による連絡網の切断のために、災害や事故の被害の拡大を予測・予防する遠隔保守装置に係り、特に広域災害に対して、被災地域のみならず、救援のための緊急連絡等の情報伝達がネットワークを利用して行われる遠隔保守装置に利用可能である。さらに、災害のみならず、イベント等に際して、特定地点に呼びが集中する場合にも活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの構成例を示すブロック図。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの監視センタ装置の構成例を示すブロック図。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの監視センタ装置の中継装置の構成例を示すブロック図。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの監視センタ装置の処理動作の一例を示すフローチャート。
【図5】本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの構成例を示すブロック図。
【図6】本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの監視センタ装置の中継装置の構成例を示すブロック図。
【図7】本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムのサーバ装置の構成例を示すブロック図。
【図8】本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムの監視センタ装置の処理動作の一例を示すフローチャート。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるエレベータ遠隔保守システムのサーバ装置の処理動作の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0081】
1…第1遠隔監視センタ装置、2…第2遠隔監視センタ装置、3…携帯通信端末装置、4…遠隔監視端末装置、5…エレベータ制御装置、6…インターホン、7…公衆電話網、8…サーバ装置、11…中継装置、12,13…監視センタ電話機、21,41…制御部、22,42…記憶装置、23…災害情報受信部、24…モード切替部、25…呼数計算部、26…切替有無判別部、27…呼損率計算部、28…切替要求送信部、29…切替要求受信部、30…回線確立処理部、31…回線情報送信部、32,46…回線情報受信部、33,45…通信インタフェース、34,47…バス、35…呼数記憶部、36…限界アーラン記憶部、37…呼損率記憶部、38…限界呼損率記憶部、39,48…回線情報記憶部、43…切替先判別部、44…切替指示送信部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の昇降機遠隔監視センタのそれぞれに設置されるセンタ端末装置のうち設置先の昇降機遠隔監視センタの外部の通信端末装置との間の通信にかかる負荷が輻輳状態でない予め定められた負荷に達しているセンタ端末装置を判別する判別手段と、
前記判別手段により判別したセンタ端末装置に対して発信を行なった前記通信端末装置との間の回線確立先のセンタ端末装置を当該判別したセンタ端末装置から別の前記昇降機遠隔監視センタのセンタ端末装置に切り替える切替手段と
を備えたことを特徴とする昇降機遠隔保守装置。
【請求項2】
前記判別手段は、前記通信端末装置との間の通信にかかる所定時間内の呼数が輻輳状態とならない予め定められた値に達しているセンタ端末装置を判別する
ことを特徴とする請求項1に記載の昇降機遠隔保守装置。
【請求項3】
前記判別手段は、前記通信端末装置との間の通信にかかる所定時間内の呼損率が輻輳状態とならない予め定められた値に達しているセンタ端末装置を判別する
ことを特徴とする請求項1に記載の昇降機遠隔保守装置。
【請求項4】
前記それぞれの昇降機遠隔監視センタのセンタ端末装置と前記通信端末装置との間の通信にかかる負荷の状態を示す情報を取得する取得手段をさらに備え、
前記切替手段は、前記取得手段により取得した情報をもとに前記別の昇降機遠隔監視センタのセンタ端末装置を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の昇降機遠隔保守装置。
【請求項5】
前記昇降機遠隔監視センタの外部の通信端末装置は昇降機の保守員が携行する携帯通信端末装置である
ことを特徴とする請求項1に記載の昇降機遠隔保守装置。
【請求項6】
前記昇降機遠隔監視センタの外部の通信端末装置は昇降機の保守員が携行する携帯通信端末装置であり、
前記センタ端末装置と前記携帯通信端末装置との間の通信の継続時間が予め定められた時間に達したか否かをもとに前記呼損率を計算する計算手段をさらに備え、
前記判別手段は、前記計算手段により計算した呼損率が輻輳状態でない予め定められた値に達しているセンタ端末装置を判別する
ことを特徴とする請求項5に記載の昇降機遠隔保守装置。
【請求項7】
前記昇降機遠隔監視センタの外部の通信端末装置は昇降機のかご操作盤に設けられるインターホンである
ことを特徴とする請求項1に記載の昇降機遠隔保守装置。
【請求項1】
複数の昇降機遠隔監視センタのそれぞれに設置されるセンタ端末装置のうち設置先の昇降機遠隔監視センタの外部の通信端末装置との間の通信にかかる負荷が輻輳状態でない予め定められた負荷に達しているセンタ端末装置を判別する判別手段と、
前記判別手段により判別したセンタ端末装置に対して発信を行なった前記通信端末装置との間の回線確立先のセンタ端末装置を当該判別したセンタ端末装置から別の前記昇降機遠隔監視センタのセンタ端末装置に切り替える切替手段と
を備えたことを特徴とする昇降機遠隔保守装置。
【請求項2】
前記判別手段は、前記通信端末装置との間の通信にかかる所定時間内の呼数が輻輳状態とならない予め定められた値に達しているセンタ端末装置を判別する
ことを特徴とする請求項1に記載の昇降機遠隔保守装置。
【請求項3】
前記判別手段は、前記通信端末装置との間の通信にかかる所定時間内の呼損率が輻輳状態とならない予め定められた値に達しているセンタ端末装置を判別する
ことを特徴とする請求項1に記載の昇降機遠隔保守装置。
【請求項4】
前記それぞれの昇降機遠隔監視センタのセンタ端末装置と前記通信端末装置との間の通信にかかる負荷の状態を示す情報を取得する取得手段をさらに備え、
前記切替手段は、前記取得手段により取得した情報をもとに前記別の昇降機遠隔監視センタのセンタ端末装置を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の昇降機遠隔保守装置。
【請求項5】
前記昇降機遠隔監視センタの外部の通信端末装置は昇降機の保守員が携行する携帯通信端末装置である
ことを特徴とする請求項1に記載の昇降機遠隔保守装置。
【請求項6】
前記昇降機遠隔監視センタの外部の通信端末装置は昇降機の保守員が携行する携帯通信端末装置であり、
前記センタ端末装置と前記携帯通信端末装置との間の通信の継続時間が予め定められた時間に達したか否かをもとに前記呼損率を計算する計算手段をさらに備え、
前記判別手段は、前記計算手段により計算した呼損率が輻輳状態でない予め定められた値に達しているセンタ端末装置を判別する
ことを特徴とする請求項5に記載の昇降機遠隔保守装置。
【請求項7】
前記昇降機遠隔監視センタの外部の通信端末装置は昇降機のかご操作盤に設けられるインターホンである
ことを特徴とする請求項1に記載の昇降機遠隔保守装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2009−227349(P2009−227349A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71777(P2008−71777)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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