説明

明暗センサ及び明暗センサ付き時計

【課題】 明暗を検出する間隔が短い場合でも、精度の高い明暗検出ができ、且つ、低消費電力の明暗センサ付き時計を提供する。
【解決手段】 フォトダイオード21aは、周囲の明るさに対応する電流を出力している。NPN型トランジスタ21dは、フォトダイオード21aの出力電流に基づき変化し、出力ノードN1から電流を流す。スイッチ21fがオンすると、PNP型トランジスタ21eが電流源となり、出力ノードN1に電流を流す。トランジスタ21eとトランジスタdとにより、出力ノードN1の電圧が、周囲の明るさに応じて変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲の明るさを検出する明暗センサ及び明暗判定機能付き時計に関する。
【背景技術】
【0002】
下記、特許文献1には、夜間に報時を止める夜間鳴り止め機能付き時計が示されている。
【特許文献1】特開平8−297181号公報
【0003】
この夜間鳴り止め機能付き時計は、夜間等で周囲が暗くなったときに報時を停止するために、周囲の明暗を判定するための明暗センサーを搭載している。
図6は、従来の明暗センサを示す回路図であり、特許文献1に記載された明暗センサの要部を示している。
【0004】
この明暗センサでは、電源VDDに一端が接続されたスイッチ11と、スイッチ11の他端に直列に接続された光センサ12とを備えている。光センサ12には、CdSが用いられている。
スイッチ11は、短い期間にオンするものであり、通常はオフ状態になっている。スイッチ11がオフの状態では、光センサ12の両端が抵抗13,14を介してグランドGNDに接続され、NANDゲート15の2つの入力端子にはグランドGNDの電圧が入力される。この状態では、NANDゲート15が“H”を出力し、NANDゲート16,17で構成されるフリップフロップの出力が“L”である。
【0005】
スイッチ11がオンすると、抵抗13に電流が流れ、抵抗13のスイッチ11側の端子の電圧が電源電圧VDDの電圧になり、この電圧が抵抗13に接続されたNANDゲート15の一方の入力端子に入力される。ここで、光センサ12の周囲が明るい場合には、光センサ12の抵抗値が低くなり、NANDゲート15の他方の入力端子のレベルが電源電圧VDDに近くなる。よって、NANDゲート15の出力は“L”になり、フリップフロップの出力が“H”となる。
【0006】
スイッチ11がオンしても、光センサ12の周囲が暗い場合には、光スイッチ12の抵抗値が高いので、NANDゲート15の他方の入力端子の電圧が閾値よりも低い。よって、NANDゲート15の出力が“H”であり、フリップフロップが“L”を出力する。
図6の明暗センサを搭載した夜間鳴り止め機能付き時計時計は、フリップフロップの出力信号に基づき、時計の周囲が暗い場合に報時を停止する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図6の明暗センサを搭載することにより、スイッチ11がオンした状態で、周囲が明るいときにのみ“H”の信号が明暗センサから出力されるので、時計の周囲の明暗が判定できる。
【0008】
しかしながら、特許文献1の夜間鳴り止め機能付き時計は、報時の停止を目的としている。また、図6の明暗センサに用いられている光センサ12は、カドミウムを含むCdSで構成されている。
【0009】
報時の停止を目的とした場合、毎正時に1回、つまり、1時間に1回スイッチ11をオンさせればい良く、そのオン期間の長さも、1時間内であればよい。これに対し、報時の停止以外の目的に明暗センサを使用したい場合がある。例えば運針停止や夜間でのライト点灯を目的とする場合等には、例えば毎秒に1回、明暗を判定する必要があり、そのままオン期間も1秒以内の極短い時間となる。
【0010】
また、光センサ12として用いられるCdSは、カドミウムによる環境汚染の問題があるので、製品への組み込みは避けたい。CdSの代わりとして考えられるのは、フォトダイオード、フォトトランジスタや、これらと増幅器を組み合わせたフォトICである。フォトダイオード、フォトトランジスタやフォトICは、周囲の明るさに応じた電流を発生させたり、電圧が印加された状態で対応する電流を流す機能を持っている。
【0011】
フォトダイオード、フォトトランジスタやフォトICを用いて明暗センサを構成し、その明暗センサの出力により、運針停止や夜間でのライト点灯をする場合には、次のような問題がある。
【0012】
周囲が暗いときに運針を停止する場合やライト点灯をする場合には、明暗を判定するための閾値が、近くの時計の時刻がなんとか判読できるような明るさであり、具体的には1ルックス程度になる。ところが、フォトダイオード、フォトトランジスタやフォトICは、周囲の明るさが1ルックスでは、1μA程度の微弱電流しか流さない。そのため、スイッチ11をオンして光センサ12に電圧を印加しても、光センサ12の増幅器も含めて、出力が安定するまでに時間がかかり、例えば1秒間隔でスイッチ11を短い期間にオンさせると、精度の高い明暗検出ができないという問題があった。
【0013】
本発明は、このような現状に鑑みてなされた発明であり、明暗を検出する間隔が短い場合でも、精度の高い明暗検出ができ、且つ、低消費電力の明暗センサ及び明暗センサ付き時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る明暗センサは、
出力ノードに間欠的に基準電流を流す基準電流源と、
前記基準電源が前記基準電流を流すより前から、周囲の明るさを検出して当該明るさに対応する電流を出力する光センサと、
前記出力ノードから、前記光センサの出力電流に対応して変化する電流を流すセンサ側電流源とを備え、
前記出力ノードから、周囲の明るさに対応する電圧信号を出力することを特徴とする。
【0015】
尚、複数の前記基準電流源を持ち、当該複数の基準電流源のうちの選択した基準電流源から前記出力ノードに間欠的に前記基準電流を流す構成にしてもよい。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る明暗センサは、
出力ノードと駆動源との間に間欠的に接続された負荷と、
前記負荷が前記出力ノードと前記駆動源との間に接続される前から、周囲の明るさを検出して当該明るさに対応する電流を出力する光センサと、
前記出力ノードから、前記光センサの出力電流に対応して変化する電流を流すセンサ側電流源とを備え、
前記出力ノードから、周囲の明るさに対応する電圧信号を出力することを特徴とする。
【0017】
尚、複数の前記負荷を持ち、当該複数の負荷のうち選択した負荷を前記出力ノードと前記駆動源との間に接続する構成にしてもよい。
【0018】
また、本発明の第1及び第2の観点に係る明暗センサにおいて、前記出力ノードの電圧信号に基づき、前記周囲の明るさが明るいか、暗いかを判定する明暗判定手段を設けてもよい。
【0019】
上記目的を達成するために、本発明の第3の観点に係る明暗センサ付き時計は、
本発明の第1又は第2の観点に係る明暗センサのいずれかと、
時計と、
前記出力ノードの電圧信号に基づき、前記時計の動作を設定する時計制御部とを、備えたことを特徴とする。
【0020】
尚、前記時計には報時を鳴動する手段が設けられ、
前記出力ノードの電圧信号に基づき、周囲が暗いと判断した場合に、前記時計制御部が前記時計の報時を停止してもよい。
【0021】
また、前記時計には運針を行う手段が設けられ、
前記出力ノードの電圧信号に基づき、周囲が暗いと判断した場合に、前記時計制御部が前記時計の運針を停止してもよい。
また、前記時計にはランプが設けられ、
前記出力ノードの電圧信号に基づき、周囲が暗いと判断した場合に、前記時計制御部が前記時計のランプを点灯してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の構成を採用することにより、明暗を検出する間隔が短い場合でも、精度の高い明暗検出ができ、且つ、低消費電力の明暗センサ及び明暗センサ付き時計を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る明暗センサ付き時計の要部を示す構成図ある。
【0024】
この明暗センサ付き時計は、時計の周囲の明るさに対応する信号を出力する明暗センサ21と、明暗判定部22と、CPU等で構成された時計制御部23とを備えている。明暗センサ21の出力信号から時計の周囲が明るいか暗いかを判定し、暗い場合に図示しない運針を停止したり、或いは図示しないライトを点灯する機能を持っている。
【0025】
明暗センサ21は、例えばフォトダイオード21aを備えている。
フォトダイオード21aのカソードは、電源電圧VDDに接続されている。フォトダイオード21aのアノードには、制限抵抗21bを介してNPN型トランジスタ21cのベース及びコレクタと、センサ側電流源になるNPN型トランジスタ21dのベースとが接続されている。
【0026】
トランジスタ21c及びトランジスタ21dのエミッタは、グランドGNDに接続されている。トランジスタ21dのコレクタが、明暗センサ21の出力ノードN1に接続され、その出力ノードN1が、PNP型トランジスタ21eのコレクタに接続されている。トランジスタ21eのエミッタは、スイッチ21fの一端に接続されている。
【0027】
スイッチ21fの一端には、さらに、PNP型トランジスタ21gのエミッタが接続されている。トランジスタ21gのコレクタは、抵抗21hを介してグランドGNDに接続されている。トランジスタ21gのコレクタ及びベースは、トランジスタ21eのベースに接続されている。
【0028】
明暗判定部22は、Pチャネル型MOSトランジスタ22aと、Nチャネル型MOSトランジスタ22bとで構成されている。トランジスタ22aのソースが電源電圧VDDに接続され、トランジスタ22aのドレインが、明暗判定部22の出力ノードN2に接続されている。
【0029】
トランジスタ22bのソースは、グランドGNDに接続され、トランジスタ22bのドレインが、出力ノードN2に接続されている。
トランジスタ22aのゲート及びトランジスタ22bのゲートが、明暗センサ21の出力ノードN1に接続されている。明暗判定部22の出力ノードN2が、時計制御部23に接続されている。
【0030】
次に、この明暗センサ付き時計の動作を説明する。
逆方向電圧が印加されているフォトダイオード21aに、周囲から光が入射されると、フォトダイオード21aがオンし、これにより、トランジスタ21c及びトランジスタ21dがオンする。
【0031】
オン状態のフォトダイオード21aは、入射された光の強さに応じた電流をが出力する。周囲が明るく、入射された光の強さが強ければ、フォトダイオード21aが出力する電流の電流値も大きくなる。周囲が暗く、入射された光の強さが弱ければ、フォトダイオード21aが出力する電流の電流値も小さくなる。
【0032】
フォトダイオード21aが出力した電流は抵抗21bを流れ、その後、トランジスタ21cのコレクタとトランジスタ21cのベースとトランジスタ21dのベースとに流れる。トランジスタ21cのベース電圧とトランジスタ21dのベース電圧は等しい。そのため、トランジスタ21cのベースに流れるベース電流とトランジスタ21dのベースに流れるベース電流とは等しく、トランジスタ21cのコレクタ電流とトランジスタ21dのコレクタ電流とは、等しい。
【0033】
フォトダイオード21aの周囲の明るさが増すと、それに伴い、フォトダイオード21aのオン抵抗は減少し、各トランジスタ21c,21dのベース電圧は上昇する。フォトダイオード21aの周囲が暗くなると、それに伴い、フォトダイオード21aのオン抵抗は増加し、各トランジスタ21c,21dのベース電圧は降下する。したがって、トランジスタ21cとトランジスタ21dとは、フォトダイオード21aの周囲の明るさに応じたコレクタ電流を流す。
【0034】
一方、スイッチ21fは、例えば1秒間隔で、0.1秒の期間オンする。
スイッチ21fがオフしている間は、トランジスタ21e及びトランジスタ21gのベース電圧に対してエミッタ電圧が高くならず、トランジスタ21e及びトランジスタ21gがオフ状態である。
【0035】
トランジスタ21eがオフ状態のときには、オンしているトランジスタ21dのために、出力ノードN1の電圧は、グランドGNDのレベルになっている。この出力ノードN1の電圧を入力した明暗判定部22では、トランジスタ21aがオン状態となり、トランジスタ21bがオフ常態となる。これにより、出力ノートN2の電圧が電源電圧VDDのレベルとなり、時計制御部23に入力される。
【0036】
スイッチ21fがオンすると、トランジスタ21e及びトランジスタ21gのエミッタが電源電圧VDDに共通に接続される。エミッタが電源電圧VDDに接続されることで、トランジスタ21e及びトランジスタ21gはオンし、これらのトランジスタ21e及びトランジスタ21gはコレクタ電流を流す。
【0037】
抵抗21hには、トランジスタ21gのコレクタ電流に比例した電圧効果が発生し、この電圧効果がトランジスタ21g及びトランジスタ21eのベース電圧を設定する。トランジスタ21g及びトランジスタ21eのベース電圧は等しく、トランジスタ21e及びトランジスタ21gのコレクタ電流は等しい。
【0038】
フォトダイオード21aの周囲が明るく、トランジスタ21dのコレクタ電流が多い場合には、出力ノードN1の電圧が低くなる。出力ノードN1の電圧が明暗判定部22の閾値よりも低いと、明暗判定部22のトランジスタ22aがオンし、トランジスタ22bがオフする。この状態では、明暗判定部22の出力ノードN2の電圧が電源電圧VDDのレベルに上昇する。
【0039】
フォトダイオード21aの周囲が暗く、トランジスタ21dのコレクタ電流が少ない場合には、出力ノードN1の電圧が高くなる。出力ノードN1の電圧が明暗判定部22の閾値よりも高いと、明暗判定部22のトランジスタ22bがオンし、トランジスタ22aがオフする。この状態では、明暗判定部22の出力ノードN2の電圧がグランドGNDに維持される。
【0040】
時計制御部23は、出力ノードN2の電圧を監視し、出力ノードN2の電圧が、所定時間以上継続してグランドGNDのレベルに維持されている場合に、周囲が暗いと判断し、例えば運針を停止する。或いは、ライトを点灯して時刻表示を見やすくする。
【0041】
以上のように、本実施形態の明暗センサ付き時計は、次のような利点を有する。
(1) フォトダイオード21aには、スイッチ21fのオン・オフに係わらず、常に電流が流れている状態で明暗を検出することになるので、フォトダイオード21aに流れる電流が微弱であるがために明暗判定の精度が不安定になることがない。
【0042】
(2) スイッチ21fがオフしている期間における明暗センサ21及び明暗判定部22の消費電流は、フォトダイオード21aが出力する電流のみであり、低消費電流である。また、非常に明るい環境でフォトダイオード21aの出力電流が高いことが想定される場合には、抵抗21bの抵抗値を大きくして、フォトダイオード21aに印加される電圧を減じることで、フォトダイオード21aの出力電流を抑制できる。
【0043】
(3) 非常に明るい状態でスイッチ21fがオンしても、明暗センサ21で消費電流は、抵抗21hに流れる電流の2倍とフォトダイオード21aに流れる電流との和を超えないので、実用範囲内に抑えることが可能である。
【0044】
(4) 周囲の明るさが中間で、出力ノードN1の電圧が明暗判定部22の閾値と一致すると、トランジスタ22aとトランジスタ22bとに貫通電流が流れるが、周囲の明るさがわずかでもずれれば、出力ノードN1の電圧が閾値から大きくずれるので、貫通電流が流れない。
【0045】
[第2の実施形態]
図2は、本発明の第2の実施形態に係る明暗センサ31を示す構成構成図である。
この明暗センサ31は、第1の実施形態に示した明暗センサ21と置換が可能なセンサであり、時計の周囲の明るさに対応する信号を出力する。
【0046】
明暗センサ31は、例えばフォトダイオード31aを備えている。
フォトダイオード31aのカソードは、電源電圧VDDに接続されている。フォトダイオード31aのアノードには、制限抵抗31bを介してNPN型トランジスタ31cのベース及びコレクタとNPN型トランジスタ31dのベースとが接続されている。
【0047】
トランジスタ31c及びトランジスタ31dのエミッタは、グランドGNDに接続されている。トランジスタ31dのコレクタが、明暗センサ31の出力ノードN1に接続され、その出力ノードN1と電源電圧VDDとの間に抵抗31eが接続されている。出力ノードN1の電圧が、第1の実施形態に示したような明暗判定部22に入力される。
【0048】
この明暗センサ31では、フォトダイオード31a、制限抵抗31b、トランジスタ31c及びトランジスタ31dが第1の実施形態の明暗センサ21と同様に動作する。
【0049】
ここで、第1の実施形態の明暗センサ21のトランジスタ21eの代わりに、抵抗31eが用いられている。第1の実施形態の明暗センサ21では、フォトダイオード21aの周囲の明るさの変化に伴ってトランジスタ21dのコレクタ電流が変化したときに、トランジスタ21eのコレクタ電圧が変化してトランジスタ21eのコレクタ電流が急激に変化する。よって、出力ノードN1の電圧も急減に変化する。
【0050】
これに対し、抵抗31eを用いた本実施形態の明暗センサ31は、トランジスタ31dのコレクタ電流が変化しても、抵抗31eがトランジスタ31dの線形負荷になるので、出力ノードN1の電圧が急減に変化しない。よって、出力ノードN1の電圧が、周囲が明の時の電圧と暗の時の電圧の中間的な電圧となる範囲が広がるが、回路の素子数を少なくできるという利点を有する。
【0051】
[第3の実施形態]
図3は、本発明の第3の実施形態に係る明暗センサ41を示す構成図である。
この明暗センサ41は、第1の実施形態に示した明暗センサ21と置換が可能なセンサであり、時計の周囲の明るさに対応する信号を出力する。
【0052】
明暗センサ41は、例えばフォトダイオード41aを備えている。
フォトダイオード41aのカソードは、電源電圧VDDに接続されている。フォトダイオード41aのアノードには、制限抵抗41bを介してNPN型トランジスタ41cのベース及びコレクタとNPN型トランジスタ41dのベースとが接続されている。
【0053】
トランジスタ41c及びトランジスタ41dのエミッタは、グランドGNDに接続されている。
【0054】
トランジスタ41dのコレクタが、明暗センサ41の出力ノードN1に接続され、その出力ノードN1が、PNP型トランジスタ41eのコレクタに接続されている。トランジスタ41eのベースは、トランジスタ41gのベースとコレクタとに接続されている。トランジスタ41e及びトランジスタ41gのエミッタは、電源電圧VDDに接続されている。
【0055】
トランジスタ41gのコレクタには、抵抗41hの一端が接続され、抵抗41hの他端とグランドGNDとの間にスイッチ41fが接続されている。
出力ノードN1の電圧が、第1の実施形態に示したような明暗判定部22に入力される。
【0056】
前記第1の実施形態では、周囲の明暗を検出するためにオンするスイッチ21fが、電源電圧VDDに接続され、トランジスタ21e及びトランジスタ21gのエミッタと電源電圧VDDとの間をオン・オフする構成であったが、本実施形態では、それと異なり、周囲の明暗を検出するためにオンするスイッチ41fは、グランドGNDと抵抗41hとの間に接続され、グランドGNDと抵抗41hとの間をオン・オフする。
【0057】
スイッチ41fがオンの時の明暗センサ41の動作は、明暗センサ21と同様である。スイッチfがオフの時にトランジスタ41e及びトランジスタ41gのベースから抵抗41hを介してグランドGNDに流れる電流の経路が断たれるたため、トランジスタ41e及びトランジスタ41gのコレクタ電流は、流れない。そのため、第1の実施形態と同様に、出力ノードN1の電圧は、グランドGNDのレベルに固定される。
【0058】
以上のように、本実施形態の明暗センサ41では、周囲の明るさに応じた出力ノードN1の電圧が、第1の実施形態の明暗センサ21と同様に変化するので、第1の実施形態と同様の利点を奏する明暗センサ付き時計を実現できる。
【0059】
[第4の実施形態]
図4は、本発明の第4の実施形態に係る明暗センサ付き時計を示す構成図である。
【0060】
この明暗センサ付き時計は、時計の周囲の明るさに対応する信号を出力する明暗センサ51と、明暗判定部52と、時計制御部53とを備えている。
明暗センサ51は、第1の実施形態の明暗センサ21とは異なり、スイッチ21fに相当するものはない。明暗判定部52は、第1の実施形態の明暗判定部22と同様の構成である。時計制御部53は、第1の実施形態の時計制御部23とは異なり、駆動端子T1を備えている。
【0061】
明暗センサ51は、例えばフォトダイオード51aを備えている。
フォトダイオード51aのカソードは、電源電圧VDDに接続されている。フォトダイオード51aのアノードには、制限抵抗51bを介してNPN型トランジスタ51cのベース及びコレクタとNPN型トランジスタ51dのベースとが接続されている。
【0062】
トランジスタ51c及びトランジスタ51dのエミッタは、グランドGNDに接続されている。トランジスタ51dのコレクタが、明暗センサ51の出力ノードN1に接続され、その出力ノードN1が、PNP型トランジスタ51eのコレクタに接続されている。トランジスタ51eのエミッタは、時計制御部53の駆動端子T1に接続されている。
【0063】
駆動端子T1には、さらに、PNP型トランジスタ51gのエミッタが接続されている。トランジスタ51gのコレクタは、抵抗51hを介してグランドGNDに接続されている。トランジスタ51gのコレクタ及びベースは、トランジスタ51eのベースに接続されている。
【0064】
明暗判定部52は、Pチャネル型MOSトランジスタ52aと、Nチャネル型MOSトランジスタ52bとで構成されている。トランジスタ52aのソースが電源電圧VDDに接続され、トランジスタ52aのドレインが、明暗判定部52の出力ノードN2に接続されている。
【0065】
トランジスタ52bのソースは、グランドGNDに接続され、トランジスタ52bのドレインが、出力ノードN2に接続されている。
トランジスタ52aのゲート及びトランジスタ52bのゲートが、明暗センサ51の出力ノードN1に接続されている。明暗判定部52の出力ノードN2が、時計制御部53に接続されている。
【0066】
時計制御部53は、第1の実施形態の時計制御部23と同様に、出力ノードN2から与えられた信号に基づき、周囲が明るい時に運針を停止するか或いはライトを点灯する機能を持つと共に、明暗センサ51に対して駆動端子T1から、間欠的に駆動エネルギーを供給する機能を持つ。
【0067】
この明暗センサ付き時計では、時計制御部53が駆動端子T1から、例えば1秒間隔に0.1秒間、駆動エネルギーを出力することにより、トランジスタ51e及びトランジスタ51gが活性化する。駆動エネルギーの駆動能力をトランジスタ51g及び抵抗51hに流れる電流の2倍以上の電流を供給できる能力にしておくことにより、第1の実施形態の明暗センサ21でスイッチ21fをオンさせたのと実質的に同等になり、第1の実施形態の明暗センサ付き時計の動作と同じ動作が行われる。
【0068】
駆動エネルギーの供給を停止している期間についても、トランジスタ51e,51gがオンしないので、第1の実施形態と同じ動作が行われる。
【0069】
以上のように、本実施形態の明暗センサ付き時計は、第1の実施形態と同様の動作が行われるので、第1の実施形態と同様の利点を有すると共に、スイッチ21fの省略と、スイッチ21fのオン・オフを制御するための配線の省略とが可能になる。また、人為的な操作なしで明暗センサを動作させることが可能になる。
【0070】
[第5の実施形態]
図5は、本発明の第5の実施形態に係る明暗センサ付き時計を示す構成図である。
この明暗センサ付き時計は、時計の周囲の明るさに対応する信号を出力する明暗センサ61と、明暗判定部62と、時計制御部63とを備えている。
【0071】
明暗センサ61は、第1の実施形態の明暗センサ21とは異なり、スイッチ21fに相当するものはなく、第2の実施形態の明暗センサ31の抵抗31eに対応する抵抗を2個備えている。明暗判定部62は、第1の実施形態の明暗判定部22と同様の構成である。時計制御部63は、第1の実施形態の時計制御部23とは異なり、2個の駆動端子T1,T2を備えている。
【0072】
明暗センサ61は、例えばフォトダイオード61aを備えている。
フォトダイオード61aのカソードは、電源電圧VDDに接続されている。フォトダイオード61aのアノードには、制限抵抗61bを介してNPN型トランジスタ61cのベース及びコレクタとNPN型トランジスタ61dのベースとが接続されている。
【0073】
トランジスタ61c及びトランジスタ61dのエミッタは、グランドGNDに接続されている。トランジスタ61dのコレクタが、明暗センサ61の出力ノードN1に接続され、その出力ノードN1が抵抗61eを介して時計制御部63の駆動端子T1に接続されると共に、61fを介して駆動端子T2に接続されている。抵抗61eの抵抗値は、抵抗61fの抵抗値よりも高い。
【0074】
明暗判定部62は、Pチャネル型MOSトランジスタ62aと、Nチャネル型MOSトランジスタ62bとで構成されている。トランジスタ62aのソースが電源電圧VDDに接続され、トランジスタ62aのドレインが、明暗判定部62の出力ノードN2に接続されている。
【0075】
トランジスタ62bのソースは、グランドGNDに接続され、トランジスタ62bのドレインが、出力ノードN2に接続されている。
トランジスタ62aのゲート及びトランジスタ62bのゲートが、明暗センサ61の出力ノードN1に接続されている。明暗判定部62の出力ノードN2が、時計制御部63に接続されている。
【0076】
時計制御部63は、第1の実施形態の時計制御部23と同様に、出力ノードN2から与えられた信号に基づき、周囲が明るい時に運針を停止するか或いはライトを点灯する機能を持つと共に、明暗センサ61に対して駆動端子T1,T2を選択し、選択した駆動端子T1,T2から、間欠的に駆動エネルギーを供給する機能を持つ。
【0077】
この明暗センサ付き時計では、時計制御部63が、駆動端子T1又は駆動端子T2を選択し、駆動エネルギーを間欠的に出力する。駆動端子T1が選択されたときには、間欠的に電流が抵抗61eを流れ、第2の実施形態の明暗センサ31と同様の動作が行われる。駆動端子T2が選択されたときには、間欠的に電流が抵抗61fを流れ、第2の実施形態の明暗センサ31と同様の動作が行われる。
【0078】
そこで、時計の周囲が明るい状態のときに、時計制御部63は駆動端子T1を選択して駆動エネルギーを出力すると、トランジスタ61dのコレクタ電流が多いので、出力ノードN1の電圧がグランドGNDのレベルになる。この状態では、明暗判定部62の出力ノードN2が電源電圧VDDのレベルであり、周囲が明るいことが、時計制御部63に認識される。その後、周囲が暗くなって、出力ノードN1の電圧が電源電圧VDDとグランドGNDの中間値よりも高くなれば、周囲が暗くなったと時計制御部63に認識される。
【0079】
以降、時計制御部63は、駆動端子T1からの駆動エネルギーの間欠的な出力を停止し、駆動端子T2から駆動エネルギーの間欠的な出力を行う。
【0080】
駆動端子T2から駆動エネルギーを出力することにより、電流が抵抗61eの代わりに抵抗61fを流れる。駆動端子T2を選択して駆動エネルギーを出力する場合には、トランジスタ61dのコレクタ電流が同じでも、抵抗61fの抵抗値が抵抗61eの抵抗値よりも小さいので、駆動端子T1を選択した場合よりも、出力ノードN1の電圧が高くなる。そのため、周囲が明るくなったときに、出力ノードN1の電圧が低下して明暗判定部62の閾値を下回るまでの時間が長くなる。即ち、時計制御部63が周囲が明るくなったことを認識するまでの時間が遅くなる。時計制御部63が周囲が明るくなったことを認識した後、時計制御部63は、駆動端子T2からの駆動エネルギーの間欠的な出力を停止し、駆動端子T1から駆動エネルギーの間欠的な出力を行う。
【0081】
以上のように、本実施形態の明暗センサ付き時計では、2つの抵抗61e,61fを明暗センサ61に備え、それらに選択的に駆動エネルギーを与えるので、明暗を判定するための閾値を実質的に2つ持つことになり、明暗の判定にヒステリシスが発生し、明暗の判定が必要以上に切り替わることを防止できる。また、第2の実施形態に示した明暗センサ31と同様に、抵抗61e,61fがトラ
になるので、出力ノードN1の電圧が急減に変化しないという利点も得られる。
【0082】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。その変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0083】
(a) 光センサとしてのフォトダイオード21a,31a,41a,51a,61aは、CCDやフォトトランジスタ等の種々のセンサに変更することが可能である。
【0084】
(b) 第1〜第5の実施形態では、明暗センサ付き時計の周囲が暗くなったときに、運針を停止したり、ランプを点灯する場合を説明したが、報時を鳴動する手段を設け、周囲が暗くなったときに、報時を停止する構成にしてもよい。この場合、間欠的に明暗を検出する動作を、1秒間隔でなく、1時間に1度行うようにすればよい。
【0085】
(c) 第1の実施形態、第4の実施形態、第5の実施形態の明暗センサ付き時計では、明暗判定部22,52,62を設け、周囲が明か暗かを2段階に判定する構成としたが、明暗判定部22,52,62を省略しても良い。そして、時計制御部23,53,63が周囲の明るさを認識し、その認識した明るさに応じて時計の制御を行っても良い。例えば、周囲の明るさに応じて、点灯するランプの明るさを調整してもよい。
【0086】
(d) フォトダイオード21a,31a,41a,51a,61aは、必ずしも、常時駆動する必要はなく、間欠的に駆動してもよい。周囲の明るさを検出するタイミングよりも十分速く駆動しておけば、フォトダイオード21a,31a,41a,51a,61aの出力電流も安定する。
【0087】
(e) 第5の実施形態では2つの抵抗61e,61fを備え、これを選択して電流を流す構成であるが、抵抗61e,61fの数を3以上に増加させても良い。このようにすると、明暗の判定の閾値を3つ以上持つことになり、例えば明るさが徐々に変化することを検出し、それに応じて報時の音量を調整することが可能になる。
【0088】
(f) 第5の実施形態では2つの抵抗61e,61fを備え、いずれかを選択してトランジスタ61dの負荷にする構成であるが、最初は抵抗61e,61fの一方を選択してトランジスタ61dの負荷とし、次に抵抗61e,61fの両方を選択してトランジスタ61dの負荷にする構成にしてもよい。
【0089】
(g) 第1〜第5の実施形態において、グランドGNDと電源電圧VDDとを逆にし、PNP型トランジスタとNPN型トランジスタとを入れ替えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る明暗センサ付き時計を示す構成図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る明暗センサを示す構成図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る明暗センサを示す構成図である。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る明暗センサ付き時計を示す構成図である。
【図5】本発明の第5の実施形態に係る明暗センサを示す構成図である。
【図6】従来の明暗センサを示す構成図である。
【符号の説明】
【0091】
21,31,41,51,61 明暗センサ
22,52,62 明暗判定部
23,53,63 時計制御部
21a,31a,41a,51a,61a フォトダイオード
21d,31d,41d,51d,61d NPN型トランジスタ
21e,41e,51e PNP型トランジスタ
31e,61e,61e 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力ノードに間欠的に基準電流を流す基準電流源と、
前記基準電源が前記基準電流を流すより前から、周囲の明るさを検出して当該明るさに対応する電流を出力する光センサと、
前記出力ノードから、前記光センサの出力電流に対応して変化する電流を流すセンサ側電流源とを備え、
前記出力ノードから、周囲の明るさに対応する電圧信号を出力することを特徴とする明暗センサ。
【請求項2】
複数の前記基準電流源を持ち、当該複数の基準電流源のうちの選択した基準電流源から前記出力ノードに間欠的に前記基準電流を流す構成にしたことを特徴とする請求項1に記載の明暗センサ。
【請求項3】
出力ノードと駆動源との間に間欠的に接続された負荷と、
前記負荷が前記出力ノードと前記駆動源との間に接続される前から、周囲の明るさを検出して当該明るさに対応する電流を出力する光センサと、
前記出力ノードから、前記光センサの出力電流に対応して変化する電流を流すセンサ側電流源とを備え、
前記出力ノードから、周囲の明るさに対応する電圧信号を出力することを特徴とする明暗センサ。
【請求項4】
複数の前記負荷を持ち、当該複数の負荷のうち選択した負荷を前記出力ノードと前記駆動源との間に接続する構成にしたことを特徴する請求項3に記載の明暗センサ。
【請求項5】
前記出力ノードの電圧信号に基づき、前記周囲の明るさが明るいか、暗いかを判定する明暗判定手段を設けたことを特徴する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の明暗センサ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の明暗センサと、
時計と、
前記出力ノードの電圧信号に基づき、前記時計の動作を設定する時計制御部とを、備えたことを特徴とする明暗センサ付き時計。
【請求項7】
前記時計には報時を鳴動する手段が設けられ、
前記出力ノードの電圧信号に基づき、周囲が暗いと判断した場合に、前記時計制御部が前記時計の報時を停止することを特徴とする請求項6に記載の明暗センサ付き時計。
【請求項8】
前記時計には、運針を行う手段が設けられ、
前記出力ノードの電圧信号に基づき、周囲が暗いと判断した場合に、前記時計制御部が前記時計の運針を停止することを特徴とする請求項6に記載の明暗センサ付き時計。
【請求項9】
前記時計には、ランプが設けられ、
前記出力ノードの電圧信号に基づき、周囲が暗いと判断した場合に、前記時計制御部が前記時計のランプを点灯することを特徴とする請求項6に記載の明暗センサ付き時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−287658(P2006−287658A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−105441(P2005−105441)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(396004970)セイコークロック株式会社 (44)
【Fターム(参考)】