説明

映像再生装置及び映像再生方法

【課題】 移動しながら撮影された映像を再生する時間を短縮するとともに、指導対象となる運転が記録された場面の見落としを軽減できる映像再生装置を提供すること。
【解決手段】 移動しながら撮影された映像を再生する映像再生装置10は、撮影によって得られた元映像を注目度に応じて複数の場面に分け、注目度の低い場面ほど、単位時間当たりの再生量が多くなるように、再生情報を生成する加速再生情報生成部133と、加速再生情報が適用された後の元映像を再生する再生処理部142とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を再生する映像再生装置及び映像再生方法に関し、特に移動しながら撮影した映像を再生する映像再生装置及び映像再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車に搭載されて自動車の運転状況を記録するドライブレコーダが知られている。ドライブレコーダは、カメラで自動車からの映像を撮影して、映像情報をメモリカード等の記録媒体に記録する。ドライブレコーダによって記録された映像は、事故が発生した際の事故情況の証明に用いられるほか、近年では、例えばタクシーやトラックの業界において、運転手に対する運転指導に用いられる。
【0003】
ドライブレコーダが運転指導に用いられる場合には、再生すべき映像の時間が長くなる。例えば、タクシーが1日営業をすれば、ドライブレコーダで撮影された映像の時間は8時間程度にもなる。従って、指導員がドライブレコーダの映像を確認するのに、多大な時間を要することになる。
【0004】
このため、指導員が最初の一部又は任意の一部の時間帯の映像のみを確認して指導を行うことが考えられる。また、ドライブレコーダによって撮影された映像から、自動的に危険な状況が生じた場面のみを抽出して、管理や指導に用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術では、ドライブレコーダが加速度センサを備え、加速度が所定の危険水準となった頻度が高い区域を危険区域として、当該危険区域を走行している部分を抽出し、また、加速度が危険水準を所定量以上上回る部分を抽出して、それらの抽出部分のみを再生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−65361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、運転指導の際に、映像の最初の一部又は任意の一部の時間帯のみを確認するのでは、指導対象となる運転が記録された場面を見落とすことがある。また、危険な状況が生じた場面のみを自動的に抽出する上述の従来技術を用いたとしても、加速度センサの精度が十分でなければ、指導対象となる運転が記録された場面を抽出できないことがあり、そもそも加速度センサでは検出されないような指導対象となる運転が記録された場面については、そのような指導対象となる運転が記録された場面を抽出することができない。従って、上述の従来技術によっても、映像中の指導対象となる運転が記録された場面を見落とす可能性がある。
【0007】
指導対象となる運転が記録された場面を見落とさないようにするためには、ドライブレコーダで撮影された映像をすべて目視で確認することが望ましいが、そうすると、上述のように、膨大な時間がかかる。
【0008】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、移動しながら撮影された映像を再生する時間を短縮するとともに、指導対象となる運転が記録された場面の見落としを軽減できる映像再生装置及び映像再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の映像再生装置は、移動しながら撮影された映像を再生する映像再生装置であって、撮影によって得られた元映像を注目度に応じて複数の場面に分け、注目度の低い場面ほど、単位時間当たりの再生量が多くなるように、再生情報を生成する再生情報生成部と、前記再生情報が適用された後の前記元映像を再生する再生処理部とを備えた構成を有している。
【0010】
この構成により、再生処理部では、注目度の低い場面ほど単位時間当たりの再生量が多くなるように元映像が再生されるので、再生時間を短縮することができるとともに、注目すべき場面(注目場面)をじっくり見ることができ、指導対象となる運転が記録された場面の見落としを軽減できる。ここで、「単位時間当たりの再生量」とは、単位時間に再生される映像の元映像における撮影時間をいい、例えば、元映像を2つの画面で同時に表示し、かつ何れの画面でも3倍速で再生するとすれば、この再生映像の単位時間当たりの再生量は、元映像を1つの画面で等倍速で再生した場合の6倍になる。
【0011】
また、本発明の映像再生装置において、前記再生情報は、前記複数の場面の各々について、何倍速で再生するかを示す情報を含み、前記再生情報生成部は、他の場面より注目度が低い場面の再生速度を他の場面より速くする再生情報を生成することで、前記単位時間当たりの再生量を多くする。
【0012】
この構成により、注目度が低い場面は高速で再生されるので、再生時間を短縮することができるとともに、注目場面は比較的遅い速度で再生されるので、注目場面をじっくり見ることができる。
【0013】
また、本発明の映像再生装置において前記再生情報は、前記複数の場面の各々について、いくつの画面で同時再生するかを示す情報を含み、前記再生情報生成部は、他の場面より注目度が低い複数の場面を並行して同時に再生する再生情報を生成することで、前記単位時間当たりの再生量を多くする。
【0014】
この構成により、注目度が低い場面は複数の画面で並行して同時に再生されるので、再生時間を短縮することができるとともに、注目場面はより少ない数の画面で再生されるので、注目場面をじっくり見ることができる。
【0015】
また、本発明の映像再生装置は、ユーザから再生時間の指定を受ける再生時間指定部をさらに備え、前記再生情報生成部は、再生処理部による再生時間が、前記再生時間指定部にて指定された再生時間を超えないように、前記再生情報を生成する。
【0016】
この構成により、再生処理部では、ユーザが指定した時間内にすべての元映像を見ることができるように再生処理が行われる。
【0017】
また、本発明の映像再生装置は、ユーザから注目項目の指定を受ける注目項目指定部と、注目項目ごとに注目条件と注目度との関係を規定した注目項目テーブルを記憶した注目条件データベースとをさらに備え、前記再生情報生成部は、前記注目項目指定部にて指定された注目項目に対応する前記注目項目テーブルに従って、前記元映像を注目度ごとに複数の場面に分ける。この構成により、ユーザはどのような点に注目したいかを指定することができる。
【0018】
また、本発明の映像再生装置は、元映像と元映像に同期する移動状況情報とを含む合成情報を受け付ける情報受付部をさらに備え、前記再生情報生成部は、少なくとも前記移動状況情報に基づいて、前記注目項目テーブルに規定された注目条件に合致する場面を抽出して、前記注目項目テーブルに従って、当該抽出した場面の注目条件に対応する注目度を付与することにより、注目度に応じて前記元映像を複数の場面に分ける。この構成により、注目項目テーブルを用いて注目度を付与するので、客観的に注目度を付与できる。
【0019】
また、本発明の映像再生装置において、前記元映像は、車両に搭載されたドライブレコーダで撮影された映像であり、前記元映像には、該元映像に同期する車両の移動状況情報が関連付けられており、前記再生情報生成部は、少なくとも前記移動状況情報に基づいて、注目度に応じて前記元映像を複数の場面に分け、前記移動状況情報は、車両内部の情報と車両周辺の情報を含む。
【0020】
この構成により、車両内部の情報だけでなく、車両周辺の情報にも基づいて、注目度に応じて元映像を複数の場面に分けることができる。ここで、「車両内部の情報」とは、車両の加速度情報、CAN(Controller Area Network)等の車載LANより取得できる車両情報、車内の音声情報のような、車両内部及び車両操作の情報をいう。また、「車両周辺の情報」とは、地図情報、現在位置情報、映像認識結果、天気等の車両周辺及び車両位置の情報をいう。車両内部の情報だけでは、車両内部又は車両操作に注目すべき事態が生じた場面しか注目することができないが、車両周辺の情報も考慮することで、注目すべき事態が発生しやすい場面に注目することができる。例えば、安全運転指導のために再生を行う場合に、車両内部の情報である加速度情報のみを考慮するのでは、加速度が異常になった場面、即ち、衝突や急ブレーキが生じた場面しか注目することができないが、車両周辺の情報である地図情報と現在位置情報を用いることで、危険な状況が生じやすい路地での走行等の場面を注目場面とすることで、実際に危険な状況は生じなかった(加速度に異常はなかった)が危険な運転をしている場面を見落とすことが軽減される。
【0021】
また、本発明の映像再生装置において、前記再生情報生成部は、元映像のすべてを再生したときに再生時間が元映像の撮影時間より短くなるよう前記再生情報を生成する。この構成により、再生処理部は、元映像を、その元映像の撮影時間より短い時間で再生し、ユーザは元映像をすべて確認できるとともに、その時間を短縮できる。
【0022】
本発明の映像再生方法は、移動しながら撮影された映像を再生する映像再生方法であって、撮影によって得られた元映像を注目度に応じて複数の場面に分けて、各場面に注目度を付与する注目度付与ステップと、前記注目度付与ステップにて付与された注目度が低い場面ほど、単位時間当たりの再生量が多くなるように、再生情報を生成する再生情報生成ステップと、前記再生情報が適用された後の前記元映像を再生する再生処理ステップと含む構成を有している。
【0023】
本発明のプログラムは、移動しながら撮影された映像を再生する映像再生方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、コンピュータに、撮影によって得られた元映像を注目度に応じて複数の場面に分けて、各場面に注目度を付与する注目度付与ステップと、前記注目度付与ステップにて付与された注目度が低い場面ほど、単位時間当たりの再生量が多くなるように、再生情報を生成する再生情報生成ステップと、前記再生情報が適用された後の前記元映像を再生する再生処理ステップとを実行させる。
【0024】
本発明の映像記録再生システムは、移動体に備えられて、移動しながら撮影をして元映像を生成するレコーダと、前記レコーダで生成された元映像を再生する映像再生装置とを含む。前記レコーダは、撮影により元映像を生成するためのカメラと、撮影した際の移動体の移動状況情報を前記元映像に同期させて前記元映像に関連付けて、合成情報を生成する情報合成部と、前記情報合成部で生成された合成情報を出力する出力部とを備える構成を有し、前記映像再生装置は、前記合成情報を入力する入力部と、少なくとも前記移動状況情報に基づいて前記合成情報に含まれる元映像を注目度に応じて複数の場面に分け、注目度の低い場面ほど、単位時間当たりの再生量が多くなるように、再生情報を生成する再生情報生成部と、前記再生情報が適用された後の前記元映像を再生する再生処理部とを備える構成を有している。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、撮影によって得られた元映像を注目度に応じて複数の場面に分け、注目度の低い場面ほど、単位時間当たりの再生量が多くなるように、再生情報を生成し、その再生情報が適用された後の前記元映像を再生するので、注目度の低い場面ほど単位時間当たりの再生量が多くなるように元映像が再生され、再生時間を短縮できるとともに、注目場面をじっくり見ることができるという効果を有する映像再生装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態における映像再生装置の構成図
【図2】本発明の第1の実施の形態における自動車及びドライブレコーダの構成図
【図3】(a)本発明の第1の実施の形態における安全運転に注目した場合の注目項目テーブルを示す図 (b)本発明の第1の実施の形態におけるエコ運転に注目した場合の注目項目テーブルを示す図 (c)本発明の第1の実施の形態における後進走行に注目した場合の注目項目テーブルを示す図
【図4】本発明の第1の実施の形態における操作画面を示す図
【図5】本発明の第1の実施の形態における抽出用テーブルを示す図
【図6】(a)本発明の第1の実施の形態の注目度付与情報を示す図 (b)本発明の第1の実施の形態の加速再生情報を示す図 (c)本発明の第1の実施の形態の加速再生情報によって再生時間が短縮された元映像を示す図
【図7】本発明の第1の実施の形態の倍速値テーブルを示す図
【図8】本発明の第1の実施の形態の再生画面を示す図
【図9】本発明の第1の実施の形態における映像再生装置の動作説明のためのフロー図
【図10】本発明の第2の実施の形態における映像再生装置の構成図
【図11】本発明の第2の実施の形態における安全運転に注目した場合の注目項目テーブルを示す図
【図12】本発明の第2の実施の形態の倍速値テーブルを示す図
【図13】(a)本発明の第2の実施の形態の注目度付与情報を示す図 (b)本発明の第2の実施の形態の加速二画面再生情報を示す図 (c)本発明の第2の実施の形態の加速二画面再生情報によって再生時間が短縮された映像情報を示す図
【図14】(a)本発明の第2の実施の形態の再生画面(1画面)を示す図 (b)本発明の第2の実施の形態の再生画面(2画面)を示す図
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態の映像再生装置について、図面を用いて説明する。本発明の第1の実施の形態の映像再生装置10を図1に示す。本実施の形態の映像再生装置10は、映像情報を含む情報が記録されたフラッシュメモリ等の記録媒体Mから情報を読み出して映像を再生する。映像再生装置10は、全体として映像の再生時間を短くするとともに、指導対象運転の見落としを軽減できるよう、映像を注目度の高低に応じて時間軸上で複数の時間区分に分けて、注目度が低い時間区分については、注目度が高い時間区分よりも再生速度を速くする。映像再生装置10について説明する前に、記録媒体Mにどのような情報が記録されるかを説明するために、まず、図2を参照して自動車及びドライブレコーダの構成を説明する。なお、映像再生装置10とドライブレコーダ30とで、本発明の映像記録再生システムが構成される。
【0028】
図2は、本実施の形態の自動車及びドライブレコーダの構成図である。なお、図2において、自動車20及びドライブレコーダ30については、本発明に関連する構成のみを示している。自動車20は、車両情報取得部21と、加速度センサ22と、速度センサ23を備えている。ドライブレコーダ30は、自動車20に備えられ、カメラ31、GPS(GlobalPositioning System)32、地図情報データベース33を備えている。自動車の車両情報取得部21、加速度センサ22及び速度センサ23、ドライブレコーダ30のカメラ31、GPS32及び地図情報データベース33は、それぞれドライブレコーダ30の情報合成部34に接続されている。
【0029】
車両情報取得部21は、車載LANより車両情報を取得するものであり、例えばCAN等から自動車20のアクセル、ブレーキ、ギア、ステアリング等の操作に関する車両情報を収集して、情報合成部34に出力する。加速度センサ22及び速度センサ23は、それぞれ自動車20の加速度及び速度を検出して加速度情報及び速度情報を情報合成部34に出力する。カメラ31は、自動車20の前方を撮影して、その映像情報を情報合成部34に出力する。GPS32は、自動車20の現在位置情報を情報合成部34に出力する。地図情報データベース33は、GPS32から現在位置情報を得て、現在位置に関連する地図情報を情報合成部34に出力する。地図情報データベース33には、通常の道路情報だけでなく、メタ情報として、狭い路地の地区を示す情報、事故多発地点又は地区を示す情報、標識情報、交通規制情報等が記憶されている。
【0030】
なお、本実施の形態では、車両情報取得部21と加速度センサ22と速度センサ23のそれぞれから情報合成部34へと情報が出力されているが、車両情報取得部21にて、加速度センサ22及び速度センサ23の情報を入手し、車両情報取得部21から情報合成部34へと情報を出力してもよい。
【0031】
情報合成部34は、カメラ31から得た映像(元映像)に対して、当該元映像に同期させて、加速度情報、速度情報、車両情報、現在位置情報、地図情報等の移動状況情報を関連付けて、これを合成情報をとして、情報書込部35に出力する。情報書込部35は、情報合成部34で生成された合成情報を記録媒体Mに書き込む。
【0032】
なお、例えばGPS32や地図情報データベース33は、ドライブレコーダ30の外部機器に備えられて、情報合成部34が当該外部機器から現在位置情報や地図情報を取得するようにしてもよい。このような外部機器には、例えばナビゲーション装置がある。また、加速度センサ22や速度センサ23がドライブレコーダ30の一部であってもよい。
【0033】
次に、図1を参照して、映像再生装置10の構成を説明する。映像再生装置10は、記憶媒体Mから合成情報を読み取って、映像を再生する装置であり、運転手の運転指導の際に用いられる。映像再生装置10は、注目条件を記憶した注目条件データベース11と、記録媒体Mから情報を読み取る情報読取部12と、映像の単位時間当たりの再生量を制御する制御部13と、映像を再生する再生部14と、映像の再生に関する指定をユーザから受け付ける指定入力部15を備える。
【0034】
映像再生装置10は、映像の少なくとも一部を高速で再生することで、全体として再生時間を短縮するとともに、注目する必要が高い場面については、注目する必要性が低い場面よりも低速で再生することで、指導対象運転を見落とさないようにする。ここで、ドライブレコーダの映像を再生する際に、元映像のどのような場面に注目するかは、再生の目的に応じて異なってくる。例えば、安全運転指導を行う場合には、危険運転や危険な場所、状況での走行等の場面に注目すべきであるし、エコ運転指導を行う場合には、走行距離に対する燃料消費率が高くなるような運転等の場面に注目すべきである。このために、注目条件データベース11には、どのような条件で注目度の高低を区別するかについて、注目する項目(再生の目的)ごとに、注目条件と注目度との関係を規定した注目項目テーブルが記憶されている。
【0035】
図3は、本実施の形態の注目条件データベース11に記憶される注目項目テーブルの例を示す図である。図3(a)は、注目項目が安全運転である場合、即ち安全運転に注目する場合のテーブルであり、図3(b)は、注目項目がエコ運転である場合、即ちエコ運転に注目する場合のテーブルであり、図3(c)は、注目項目がユーザ定義(後進走行)である場合、即ち後進走行に注目する場合のテーブルである。再生の際には、注目項目ごとに、注目度が低い場面ほど、高速で再生をすることで、全体の再生時間を短縮する。
【0036】
例えば、図3(a)に示すように、安全運転の注目項目テーブルでは、急減速や高速度走行などのように、危険性が高い運転をした場面の映像については、最も高い注目度Aが割り当てられ、路地走行のように、危険度が通常走行に比べて高いが、高速度走行等よりは低い注目条件には、中程度の注目度Bが割り当てられ、さらに、直進路走行(通常走行)には、低い注目度Cが割り当てられる。また、図3(b)に示すように、エコ運転の注目項目テーブルでは、高エンジン回転数走行や空ぶかしのように、エコ運転に反する運転をした場面の映像には、高い注目度である注目度Aが割り当てられ、急加速のように、エコ運転にとって好ましくない運転をした場面の映像には、中程度の注目度Bが割り当てられ、低エンジン回転数走行(通常走行)には、低い注目度Cが割り当てられる。さらに、図3(c)に示すように、ユーザ定義(後進走行)の注目項目テーブルでは、後進走行に注目度Aが割り当てられ、前進走行(通常走行)には注目度Cが割り当てられる。
【0037】
図1に戻って、制御部13は、注目条件設定部131を備えており、指定入力部15は、注目項目指定部151を備えている。注目項目指定部151は、ユーザから注目すべき項目の指定を受けて、これを注目条件設定部131に出力する。注目項目指定部151は、ユーザに操作画面を通じて注目項目を選択により指定させることで、注目項目の指定を受ける。
【0038】
図4は、ドライブレコーダの映像を再生するに先立って、ユーザに提示される操作画面を示す図である。この操作画面には、元映像の再生時間と、ユーザが指定する再生時間と、ユーザが選択する注目項目とが含まれる。ここで、元映像の再生時間とはドライブレコーダ30のカメラ31で撮影された映像の再生時間、即ち撮影時間であり、図の例では、5時間24分12秒である。ユーザが指定する再生時間とは、元映像の再生時間(即ち撮影時間)よりも短い時間で可変速再生する場合の再生時間であって、ユーザによって指定される再生時間をいい、図の例では、1時間である。ユーザが選択する注目項目とは、映像を可変速再生するにあたり、どの点に注目して再生速度を決定するかという項目であって、ユーザによって選択される項目をいう。図の例では、ユーザが選択する注目項目として、「安全運転」、「エコ運転」、「ユーザ定義(後進走行)」があり、「安全運転」が選択されている。
【0039】
注目項目指定部151にて指定された注目項目は、制御部13の注目条件設定部131に入力される。注目条件設定部131は、注目項目指定部151にて指定された注目項目に対応する注目項目テーブルを注目条件データベース11から取り出して、注目度付与情報生成部132に設定する。
【0040】
注目度付与情報生成部132は、映像中のどの場面をどの倍速値で再生するかを示す加速再生情報を生成する。このために、注目度付与情報生成部132は、まず、設定された注目項目テーブルに従って、映像の各場面に注目度を付与することで、注目度付与情報を生成する。
【0041】
例えば、注目条件設定部131によって安全運転の注目項目テーブル(図3(a)参照)が設定された場合は、注目度付与情報生成部132は、映像中の急減速及び高速度走行に該当する場面を抽出して注目度Aを付与し、路地走行に該当する場面を抽出して注目度Bを付与し、直進路走行に該当する場面を抽出して注目度Cを付与することで、注目付与情報を生成する。
【0042】
注目度付与情報生成部132は、注目条件に合致する場面を抽出するために、情報読取部12にて記録媒体Mから読み取られた移動状況情報(加速度情報、速度情報、車両情報、現在位置情報、地図情報等)を参照する。そして、各注目条件に合致するか否かを、注目条件ごとに定められた抽出条件(判断基準)に従って判断し、注目条件に合致する場面を抽出する。なお、本明細書において、「場面」とは、元映像の一部の時間区分をいう。
【0043】
図5は、各注目条件について参照情報と抽出条件を規定した抽出用テーブルである。このテーブルは注目条件データベース11に記憶されている。例えば、元映像中から急減速(急ブレーキや正面衝突)の場面を抽出するときは、映像に関連付けられた加速度情報に着目して、負の加速度が閾値(例えば−0.5G)以下となる時間区分を抽出する。加速度情報は、上述のように、加速度センサ22から得られ、映像情報に関連付けられている。
【0044】
また、高速度走行の場面を抽出するときは、映像情報に関連付けられた速度情報を参照して、速度が閾値(例えば80km/h)以上となる時間区分を抽出する。速度情報は、速度センサ23から得られる。路地走行の場面を抽出するときは、映像情報に関連付けられた現在位置情報と地図情報を参照して、現在位置が狭い路地の区域内にある時間区分を抽出する。地図情報には、メタ情報として、狭い路地の区域であるか否かの情報が含まれている。直進路走行の場面を抽出するときは、映像情報とそれに関連付けられた現在位置情報及び地図情報を参照して、映像中の道幅が広く、かつ現在位置が狭い路地の区域内にない時間区分を抽出する。
【0045】
高エンジン回転走行の場面を抽出するときは、車両情報中のエンジン回転数の情報と、速度情報を参照して、エンジン回転数が閾値(3000回転)以上で、かつ速度が閾値(80km/h)以上である時間区分を抽出する。空ぶかしの場面を抽出するときは、車両情報中のエンジン回転数の情報とギア情報を参照して、エンジン回転数が閾値(例えば2000回転)以上で、ギアがニュートラルにある時間区分を抽出する。急加速の場面を抽出するときは、加速度情報を参照して、正の加速度が閾値(例えば0.3G)以上である時間区分を抽出する。低エンジン回転数走行の場面を抽出するときは、車両情報中のエンジン回転数の情報と、速度情報を参照して、エンジン回転数が所定の低い範囲内(たとえば1500〜2500回転)で、かつ速度が所定の低い範囲(20〜40km/h)内にある時間区分を抽出する。
【0046】
後進走行の場面を抽出するときは、車両情報中のギア情報を参照して、ギアがバックに入っている時間区分を抽出する。渋滞の場面を抽出するときは、映像情報とそれに関連付けられた速度情報を参照して、速度が所定の低い範囲内(例えば、2〜15km/h)で、かつ映像中の前の自動車の映像が所定の大きさ以上(近車間距離)である持続時間が閾値以上となる時間区分を抽出する。高速道路走行の場面を抽出するときは、現在位置情報と地図情報を参照して、現在位置が、地図情報中のメタ情報が示す高速道路である時間区分を抽出する。近車間距離走行の場面を抽出するときは、映像情報と速度情報を参照して、速度が閾値(例えば40km/h)以上で、映像中の前の自動車の映像が所定の大きさ以上(近車間距離)である時間区分を抽出する。
【0047】
ヒヤリハットの場面を抽出するときは、映像情報と、車両情報中のブレーキ情報を参照して、映像中に急に物体が映り込み、かつブレーキ踏込量が閾値以上となった時間区分を抽出する。信号待ちの場面を抽出するときは、映像情報と速度情報を参照して、速度がゼロで、映像中に赤信号が映りこんでいる時間区分を抽出する。一時停止違反の場面を抽出するときは、速度情報と、現在位置情報と、地図情報中のメタ情報が示す標識情報を参照して、一時停止の標識が存在する位置で速度がゼロになっていない時間区分を抽出する。事故多発地点/地区走行の場面を抽出するときは、現在位置情報と地図情報中のメタ情報が示す事故多発情報を参照して、事故多発情報が関連付けられた区域を走行している時間区分を抽出する。
【0048】
注目度付与情報生成部132は、このような抽出用テーブルを参照して、注目条件設定部131によって設定された注目項目テーブルに含まれる注目条件に合致する時間区分を抽出して、注目項目テーブルに従って注目度を付与することで、注目度付与情報を生成する。
【0049】
図6(a)は、このようにして生成された注目度付与情報の例を示す図である。図の例では、映像全体について、A、B、Cのいずれかの注目度が付与されている。なお、A、B、Cの何れにも該当しない場合は、注目度Cを付与する。
【0050】
図1に戻って、制御部13は、加速再生情報生成部133を備えている。また、指定入力部15は、再生時間指定部152を備えている。再生時間指定部152は、ユーザから再生時間の指定を受けて、これを加速再生情報生成部133に出力する。再生時間指定部152は、図4に示した操作画面を通じてユーザに再生時間を指定させることで、再生時間の指定を受ける。
【0051】
加速再生情報生成部133は、注目度付与情報生成部132から注目度付与情報(図6(a)を参照)を受け付けて、注目度と倍速値との関係を規定した倍速値テーブルに従って、元映像を高速再生する際の倍速値情報である加速再生情報を生成する。図7は、倍速値テーブルの例である。この倍速値テーブルは、加速再生情報生成部133に記憶されている。本実施の形態では、最も高い注目度Aには等倍速が割り当てられ、中程度の注目度Bには3倍速が割り当てられ、最も低い注目度Cには10倍速が割り当てられる。図6(b)は、図6(a)の注目度付与情報に図7の倍速値テーブルを適用して得られた加速再生情報を示す図である。
【0052】
加速再生情報生成部133は、加速再生情報適用後の映像の再生時間を算出する。図6(c)は、加速再生情報を適用した映像の再生時間を示す図である。注目度が付与された時間区分に、当該注目度に対応する倍速値を適用することで、全体として再生時間を短縮しつつ、注目場面では、倍速値を比較的小さくすることで、じっくりと映像を見ることができるようになっている。
【0053】
図6の例では、5時間24分12秒であった元映像の再生時間(撮影時間)が、1時間11分17秒の再生時間に短縮されている。しかしながら、この再生時間は、指定された再生時間である1時間を超えており、さらなる短縮が必要である。そこで、加速再生情報生成部133は、算出された短縮後の再生時間が、ユーザによって指定された再生時間を超えている場合には、再度の再生時間短縮を行うことで、加速再生情報の調整を行う。但し、この場合にも、注目度の関係は維持する。即ち、再度の再生時間短縮が行われた後にも、注目度Aの場面は注目度Bの場面よりも再生速度を遅くし、注目度Bの場面は注目度Cの場面よりも再生速度を遅くするという関係は維持する。
【0054】
加速再生情報の調整方法としては、種々の方法が考えられる。以下、例を挙げる。第1の例では、加速再生情報生成部133は、算出された短縮後の再生時間がユーザによって指定された再生時間を超えている場合に、すべての倍速値に、(算出された短縮後の再生時間/指定された再生時間)という同じ係数をかけることで、映像全体の再生速度を均一に増加させる。この場合には、注目度C(10倍速)の時間区分については、倍速値を10×(算出された短縮後の再生時間/指定された再生時間)倍とし、注目度B(3倍速)の時間区分については、倍速値を3×(算出された短縮後の再生時間/指定された再生時間)倍とし、注目度A(等倍速)の時間区分については、倍速値を1×(算出された短縮後の再生時間/指定された再生時間)倍とする。これにより、映像全体で速度をさらに(算出された短縮後の再生時間/指定された再生時間)倍にし、再生時間は、指定された再生時間になる。
【0055】
第2の例では、加速再生情報生成部133は、まず注目度Cの時間区分について、倍速値を10倍速から12倍速に変更して、再生時間を算出する。算出された再生時間が依然として指定された再生時間を超える場合には、さらに注目度Bの時間区分の倍速値を3倍速から3.6倍速に変更して再生時間を算出する。算出された再生時間が依然として指定された再生時間を超える場合には、さらに注目度Aの時間区分の倍速値を等倍速から1.2倍速に変更して再生時間を算出する。算出された再生時間が依然として指定された再生時間を超える場合には、さらに注目度Cの時間区分の倍速値を15倍速にして再生時間を算出する。算出された再生時間が依然として指定された再生時間を超える場合には、さらに注目度Bの時間区分の倍速値を4.5倍速にして再生時間を算出する。このようにして、算出された再生時間が指定された再生時間より短くなるまで、各時間区分の倍速値を徐々に増加させていく。なお、倍速値が所定の上限に達してもなお算出された再生時間が指定された再生時間を超える場合には、警告を発して、それ以上の調整をしないようにしてもよい。加速再生情報生成部133による加速再生情報の調整方法は、上記の第1及び第2の方法以外の方法であってもよい。
【0056】
加速再生情報生成部133は、図7の倍速値テーブルを用いて得られた加速再生情報を適用した後の再生時間が、再生時間指定部152にて指定された時間以下であった場合には、その加速再生情報をそのまま採用する。なお、加速再生情報生成部133は、図7の倍速値テーブルを用いて得られた加速再生情報を適用した後の再生時間が、再生時間指定部152にて指定された時間を下回っていた場合に、映像の再生時間が再生時間指定部152で指定された再生時間になるように、又は指定された再生時間に近づくように、各時間区分の倍速値を小さく(再生時間を長く)してもよい。
【0057】
再生部14は、再生映像生成部141と再生処理部142を備える。再生映像生成部141は、情報読取部12から映像情報を入力し、かつ加速再生情報生成部133から加速再生情報(図6(c)を参照)を入力し、加速再生情報を映像情報に適用することにより、高速再生用の映像情報を生成する。生成された高速再生用の映像情報は再生処理部142に出力され、再生処理部142にて再生される。再生される映像は、液晶表示装置等の表示装置によりユーザに提示される。なお、再生部14は、情報読取部12入力された映像情報を加速再生情報に従って再生速度を変更しながら再生してもよい。
【0058】
図8は、本実施の形態の再生画面を示す図である。再生画面には、再生映像のほか、再生している映像に対応した注目条件(図の例では「直進路走行」)、地図、速度、時刻等が表示される。また、停止及び再生のボタンも表示される。
【0059】
以上のように構成された映像再生装置10について、図9を用いてその動作を説明する。まず、注目条件設定部131は、注目項目指定部151にてユーザが指定した注目項目に対応する注目項目テーブルを注目条件データベース11から選択して、注目度付与情報生成部132に設定する(ステップS91)。次に、注目度付与情報生成部132は、設定された注目項目テーブルの注目度に対応する抽出条件に従って注目度情報を付与する部分を抽出して注目度を付与することで、注目度付与情報を生成する(ステップS92)。
【0060】
加速再生情報生成部133は、倍速値テーブルに従って、注目度付与情報に基づいて、加速再生情報を生成する(ステップS93)。加速再生情報生成部133は、続いて、加速再生情報を適用された映像情報の再生時間を計算する(ステップS94)。加速再生情報生成部133は、算出された再生時間が、再生時間指定部152にて指定された再生時間を超えるか否かを判断する(ステップS95)。算出された再生時間が指定された再生時間を超える場合には(ステップS95でYES)、加速再生情報生成部133は、注目度を維持したまま、再生時間が指定された再生時間以下になるように、加速再生情報を調整する(ステップS96)。再生映像生成部141は、調整された加速再生情報を元映像に適用することにより、高速再生用の映像情報を生成する(ステップS97)。一方、算出された再生時間が指定された再生時間を超えない場合には(ステップS95でNO)、ステップS93で生成された加速再生情報をそのまま元映像に適用することにより、高速再生用の映像情報を生成する(ステップS97)。再生処理部142は、高速再生用の映像情報を再生する(ステップS98)。
【0061】
このような第1の実施の形態の映像再生装置によれば、映像中の各場面の注目度に応じた倍速値で高速再生をすることで、再生時間を短縮できるとともに、注目して見るべき場面については再生速度を遅くしてじっくり見ることができる。従って、元映像をすべて再生しても再生時間を短縮でき、かつ指導対象運転の場面を見落とすことが軽減される。
【0062】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態の映像再生装置を図10に示す。第2の実施の形態の映像再生装置40の構成が第1の実施の形態の映像再生装置10と異なるのは、加速二画面再生情報生成部134及び再生映像生成部143である。他の構成は第1の実施の形態の映像再生装置の構成と同じであるので、第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明を省略する。
【0063】
第2の実施の形態の映像再生装置40の加速二画面再生情報生成部134は、元映像を高速で再生するとともに元映像の少なくとも一部を2つの画面で同時に並行して再生するための加速二画面再生情報を生成することで、再生時間を短縮する。
【0064】
図11は、以下の説明で使用される注目項目テーブルの例である。この注目項目テーブルは、第1の実施の形態で説明した図3(a)のテーブルと同様に、安全運転に注目する目的のものであるが、図3(a)のテーブルとは異なり、走行する道路の種類のみで注目度を決定する。図11の注目項目テーブルでは、細かな安全注意が必要な路地走行の場面の注目度を最も高くし、高速道路走行や停車など変化の少ない場面の注目度を低くしてある。なお、第1の実施の形態で説明した図3(a)〜(c)のいずれの注目項目テーブルも本実施の形態に用いることができる。
【0065】
図12は、以下の説明で使用される倍速値テーブルである。高い注目度である注目度Aには等倍速を割り当て、中程度の注目度である注目度Bには2倍速を割り当て、低い注目度である注目度C及びDには3倍速を割り当てている。なお、第1の実施の形態で説明した図7の倍速値テーブルを本実施の形態に用いてもよい。
【0066】
図13(a)は、本実施の形態の注目度付与情報生成部132が生成する注目度付与情報を示す図であり、図13(b)は、本実施の形態の加速二画面再生情報生成部134が生成する加速二画面再生情報を示す図であり、図13(c)は、加速二画面再生情報によって再生時間が短縮された映像情報を示す図である。図13(b)及び図13(c)において、上下に並んでいる時間区分は、2画面で並行して同時再生することを示している。
【0067】
加速二画面再生情報生成部134は、注目度付与情報生成部132から注目度付与情報(図13(a)参照)を取得して、図12の倍速値テーブルに従って各時間区分に倍速値を付与するとともに、2つの時間区分を2つの画面で同時に並行して表示するよう、加速二画面再生情報を生成する。このとき、加速二画面再生情報生成部134は、注目度が同一である時間区分が同時に表示されるように加速二画面再生情報を生成する。本実施の形態では、道路の種類及び停車に応じて注目度を付与しているので、同種の道路を走行している場面が2つの画面で同時に並行して表示されることになる。また、本実施の形態では、図13(b)に示すように、高速道路走行の場面と停車の場面(いずれも注目度が低く、他の場面よりも高倍速で再生される)を2つの画面で同時に並行して再生する。加速二画面再生情報生成部134は、図13(b)のような加速二画面再生情報を生成する。
【0068】
加速二画面再生情報生成部134は、加速二画面再生情報適用後の映像の再生時間を算出する。図13(c)は、加速二画面再生情報を適用した映像の再生時間を示す図である。そして、加速二画面再生情報生成部134は、算出された短縮後の再生時間が、再生時間指定部152にてユーザにより指定された再生時間を超えている場合は、第1の実施の形態と同様にして、倍速値を変更して、さらに再生時間を短縮する。なお、このとき、倍速値を変更せずに、又は倍速値の変更と並行して、2画面表示する場面を増やすことでさらに再生時間を短縮するようにしてもよい。
【0069】
なお、加速二画面再生情報を適用した映像の再生時間がユーザにより指定された再生時間を超えていない場合には、そのままの加速二画面再生情報を採用してもよいし、倍速値を低くして指定された再生時間になるように、又は指定された再生時間に近づくように、加速二画面再生情報を調整してもよい。このときにも、倍速値は変更せずに、又は倍速値の変更と並行して、2画面表示をする場面を少なくなるようにして、再生時間を長くして、指定された再生時間になるように、又は指定された再生時間に近づくように、加速二画面再生情報を調整してもよい。
【0070】
再生映像生成部143は、情報読取部12から映像信号を入力し、かつ加速再生情報生成部133から加速二画面再生情報を入力し、加速二画面再生情報を映像情報に適用することにより、高速二画面再生用の映像情報を生成する。生成された高速二画面再生用の映像情報は再生処理部142に出力され、再生処理部142にて再生される。
【0071】
図14は、本実施の形態の再生画面を示す図であり、(a)は1画面表示を示し、(b)は2画面表示を示す。再生映像生成部143は、1画面表示の場合は、第1の実施の形態と同様に、図14(a)に示すように1つの画面で映像を表示する映像情報を生成し、2画面表示の場合は、図14(b)に示すように2つの画面で映像を表示する映像情報を生成する。このようにして生成された映像情報は、図13(c)のようになる。
【0072】
以上のように、本実施の形態の映像再生装置20によれば、単に再生速度を速くして再生時間を短縮するだけでなく、少なくとも一部の場面において2画面の同時並行表示を行うので、さらに単位時間当たりの再生量を多くでき、再生時間を短縮できる。
【0073】
なお、第2の実施の形態では、2つの画面で同時に映像を表示したが、3つ又はそれ以上の画面で同時に並行して映像を表示してもよい。また、場面ごとに、2画面表示と3画面表示とを切り替えるようにしてもよい。
【0074】
また、第2の実施の形態では、各時間区分についてそれらの倍速値を決定するための注目度に従って2画面表示をするか否かを決定したが、倍速値を決定するための時間区分と表示画面数を決定するための時間区分とが異なっていてもよい。例えば、倍速値を決定するために図3(a)の注目項目テーブルと図7の倍速値テーブルを用い、表示画面数を決定するために、同じ元映像に対して図11の注目項目テーブルを用いてもよい。この場合には、まず、図3(a)の注目項目テーブルと図7の倍速値テーブルを用いて図6(b)に示す加速再生情報を生成し、また、図11の注目項目テーブルを用いて図13(a)の注目度付与情報を生成する。そして、図6(b)に示す加速再生情報を、図13(a)の注目度付与情報を用いて注目度Cと注目度Dの時間区分について2画面表示がされるように、加速再生情報を修正して、加速二画面再生情報とする。こうすることで、2つの画面で映像を表示している時に、必ずしも2つの画面の再生速度が同じであるとは限らないことになるが、同種の道路を走行している画面が2つの画面で同時に並行して表示されることになる。そして、いずれかの画面で急減速等の危険な場面があれば、その場面が他の場面より遅い速度で再生されることになる。
【0075】
また、第2の実施の形態では、再生速度を速くした上でさらに2画面の同時並行表示を行ったが、再生速度は全体を通じて等倍としてもよい。この場合にも、元映像の撮影時間に対して、再生映像の再生時間を短縮できる。
【0076】
また、第2の実施の形態では、同種の道路を走行している場面、即ち注目度が同じ場面について2画面表示を行ったが、異なる注目度の場面について2画面表示を行ってもよい。例えば上記の実施の形態において、一般道走行の場面と高速道路走行の場面とを2つの画面で並行して表示してもよい。この場合には、ユーザは、主に、より注意が必要な一般道の場面の映像を見ながら、時々高速道路走行の場面の映像にも目を配るという利用方法が可能になる。さらに、異なる注目度の場面について2画面以上の多画面表示を行うときには、図14(b)の再生画面において、注目度の高い場面を大画面で表示させ、注目度の低い場面を小画面で表示させるというように、注目度に応じて画面の大きさを変えてもよい。
【0077】
また、第1及び第2の実施の形態では、自動車に備えられたドライブレコーダによって撮影された映像を再生する場合を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、電車にドライブレコーダを搭載して、映像を撮影してもよい。この場合には、例えば、駅での停車の場面や踏み切り通過の場面は注目度を高くして、再生速度を他の場面よりも遅くすることが考えられる。また、ドライブレコーダをバスに搭載して、バス停付近の場面の注目度を高くしてもよい。
【0078】
さらに、映像再生装置は、人の服やヘルメット等に取り付けて歩行映像を撮影して記録するウェアラブルカメラで撮影された映像を再生してもよい。この場合には、例えば、人物が現れた場面、異常が発生した場面、警戒エリアを歩行している場面、走っている場面、転倒した場面等について、注目度を高くして、他の場面よりも再生速度を遅くすることが考えられる。ここで、人物が現れた場面や異常が発生した場面は映像に基づいて抽出でき、警戒エリアを歩行している場面は、位置情報と地図情報に基づいて抽出でき、走っている場面や転倒した場面は、加速度センサやジャイロセンサの情報に基づいて抽出できる。
【0079】
また、第1及び第2の実施の形態では、撮影によって得られた映像を含む合成情報を記録媒体に記録して、映像再生装置は当該記録媒体から合成情報を読み出して映像情報を再生したが、本発明はこれに限られない。例えば、合成情報が有線又は無線によって映像再生装置に送信されてもよい。また、合成情報が有線又は無線によって映像再生装置とは異なる外部装置に送信され、映像再生装置は映像を再生する際に、当該外部装置から有線又は無線によって合成情報を受信して映像情報を再生してもよい。
【0080】
また、第1及び第2の実施の形態では、映像再生装置10及び40が再生時間指定部152を備え、ユーザが指定した再生時間以下になるように、加速再生情報又は加速二画面再生情報を調整したが、映像再生装置10及び20が再生時間指定部152を備えず、加速再生情報又は加速二画面再生情報を調整する構成を省略してもよい。この場合にも、撮影された映像を見る時間が短縮されるという本発明の効果は得られる。
【0081】
また、第1及び第2の実施の形態では、指導対象運転の見落としを防ぐべく、元映像のすべてを再生する例を説明したが、明らかに指導対象運転が存在しないと分かる場面については、再生を省略してもよい。例えば、第1の実施の形態において、安全運転に注目した再生を行う場合に、車両が停車している場面の映像を再生しないこととしてもよい。
【0082】
また、第1及び第2の実施の形態では、元映像のすべての時間区分(場面)について1倍以上の倍速値で高速再生をすることで、再生時間を短縮させたが、本発明はこれに限られない。例えば、最も注目すべき場面については、等倍よりも遅く再生させてもよい。換言すれば、元映像の少なくとも一部の時間区分において高速再生がされればよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上のように、本発明に係る映像再生装置は、撮影によって得られた元映像を注目度に応じて複数の場面に分け、注目度の低い場面ほど、単位時間当たりの再生量が多くなるように、再生情報を生成し、その再生情報が適用された後の前記元映像を再生するので、注目度の低い場面ほど単位時間当たりの再生量が多くなるように元映像が再生され、再生時間を短縮することができるとともに、注目場面をじっくり見ることができるという効果を有し、移動しながら撮影した映像を再生する映像再生装置等として有用である。
【符号の説明】
【0084】
10、40 映像再生装置
11 注目条件データベース
12 情報読取部
13 制御部
131 注目条件設定部
132 注目度付与情報生成部
133 加速再生情報生成部
134 加速二画面再生情報生成部
14 再生部
141、143 再生映像生成部
142 再生処理部
15 指定入力部
151 注目項目指定部
152 再生時間指定部
20 自動車
21 車両情報取得部
22 加速度センサ
23 速度センサ
30 ドライブレコーダ
31 カメラ
32 GPS
33 地図情報データベース
34 情報合成部
35 情報書込部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動しながら撮影された映像を再生する映像再生装置であって、
撮影によって得られた元映像を注目度に応じて複数の場面に分け、注目度の低い場面ほど、単位時間当たりの再生量が多くなるように、再生情報を生成する再生情報生成部と、
前記再生情報が適用された後の前記元映像を再生する再生処理部と、
を備えたことを特徴とする映像再生装置。
【請求項2】
前記再生情報は、前記複数の場面の各々について、何倍速で再生するかを示す情報を含み、
前記再生情報生成部は、他の場面より注目度が低い場面の再生速度を他の場面より速くする再生情報を生成することで、前記単位時間当たりの再生量を多くすることを特徴とする請求項1に記載の映像再生装置。
【請求項3】
前記再生情報は、前記複数の場面の各々について、いくつの画面で同時再生するかを示す情報を含み、
前記再生情報生成部は、他の場面より注目度が低い複数の場面を並行して同時に再生する再生情報を生成することで、前記単位時間当たりの再生量を多くすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の映像再生装置。
【請求項4】
ユーザから再生時間の指定を受ける再生時間指定部をさらに備え、
前記再生情報生成部は、再生処理部による再生時間が、前記再生時間指定部にて指定された再生時間を超えないように、前記再生情報を生成することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の映像再生装置。
【請求項5】
ユーザから注目項目の指定を受ける注目項目指定部と、
注目項目ごとに注目条件と注目度との関係を規定した注目項目テーブルを記憶した注目条件データベースとをさらに備え、
前記再生情報生成部は、前記注目項目指定部にて指定された注目項目に対応する前記注目項目テーブルに従って、前記元映像を注目度ごとに複数の場面に分けることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の映像再生装置。
【請求項6】
元映像と元映像に同期する移動状況情報とを含む合成情報を受け付ける情報受付部をさらに備え、
前記再生情報生成部は、少なくとも前記移動状況情報に基づいて、前記注目項目テーブルに規定された注目条件に合致する場面を抽出して、前記注目項目テーブルに従って、当該抽出した場面の注目条件に対応する注目度を付与することにより、注目度に応じて前記元映像を複数の場面に分けることを特徴とする請求項5に記載の映像再生装置。
【請求項7】
前記元映像は、車両に搭載されたドライブレコーダで撮影された映像であり、
前記元映像には、該元映像に同期する車両の移動状況情報が関連付けられており、
前記再生情報生成部は、少なくとも前記移動状況情報に基づいて、注目度に応じて前記元映像を複数の場面に分け、
前記移動状況情報は、車両内部の情報と車両周辺の情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の映像再生装置。
【請求項8】
前記再生情報生成部は、元映像のすべてを再生したときに再生時間が元映像の撮影時間より短くなるよう前記再生情報を生成することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の映像再生装置。
【請求項9】
移動しながら撮影された映像を再生する映像再生方法であって、
撮影によって得られた元映像を注目度に応じて複数の場面に分けて、各場面に注目度を付与する注目度付与ステップと、
前記注目度付与ステップにて付与された注目度が低い場面ほど、単位時間当たりの再生量が多くなるように、再生情報を生成する再生情報生成ステップと、
前記再生情報が適用された後の前記元映像を再生する再生処理ステップと、
を含むことを特徴とする映像再生方法。
【請求項10】
移動しながら撮影された映像を再生する映像再生方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、コンピュータに、
撮影によって得られた元映像を注目度に応じて複数の場面に分けて、各場面に注目度を付与する注目度付与ステップと、
前記注目度付与ステップにて付与された注目度が低い場面ほど、単位時間当たりの再生量が多くなるように、再生情報を生成する再生情報生成ステップと、
前記再生情報が適用された後の前記元映像を再生する再生処理ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
移動体に備えられて、移動しながら撮影をして元映像を生成するレコーダと、前記レコーダで生成された元映像を再生する映像再生装置とを含む映像記録再生システムであって、
前記レコーダは、
撮影により元映像を生成するためのカメラと、
撮影した際の移動体の移動状況情報を前記元映像に同期させて前記元映像に関連付けて、合成情報を生成する情報合成部と、
前記情報合成部で生成された合成情報を出力する出力部と、
を備え、
前記映像再生装置は、前記合成情報を入力する入力部と、
少なくとも前記移動状況情報に基づいて前記合成情報に含まれる元映像を注目度に応じて複数の場面に分け、注目度の低い場面ほど、単位時間当たりの再生量が多くなるように、再生情報を生成する再生情報生成部と、
前記再生情報が適用された後の前記元映像を再生する再生処理部と、
を備えることを特徴とする映像記録再生システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−155552(P2011−155552A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16419(P2010−16419)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】