説明

映像再生装置

【課題】 サイズが比較的小さく、あるいは、解像度が比較的低い表示部に字幕を視認性よく表示させることができる映像再生装置の提供。
【解決手段】 映像再生装置1は、符号化された画像データおよび字幕データを含むデータストリーム信号を処理して、画像および字幕を表示部2に表示させるものであり、データストリームから分離・抽出された字幕データに対して、字幕を所定倍率に拡大するための拡大処理を施す拡大部18と、当該拡大処理が施された字幕データのデータ領域が表示部2における表示範囲を超えるか否か判定し、字幕データのデータ領域が表示部2の表示範囲を超えると判断した場合に、表示部2に字幕がスクロール表示されるように字幕データを調整する字幕データ調整部22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも画像データおよび字幕データを含む信号を処理して画像および字幕を表示部に表示させる映像再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、いわゆるプラズマテレビに代表されるような大画面・高画質の映像再生装置の普及が進む一方で、テレビ付携帯電話に代表されるような小型・低解像度の表示部を介して番組の手軽な視聴を可能とする小型映像再生装置も普及しつつある。このように、映像再生装置の表示部のサイズや解像度は多岐にわたるが、小画面・低解像度の表示部に画像と共に字幕を表示させる際、何ら処理が施されないと字幕が良好に視認され得なくなってしまうことがある。このため、従来から、小さな画面に字幕を表示させるに際して、画面からはみ出さない程度に字幕を拡大すると共に、その表示位置を最適化する手法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−198979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来例のもとでは、拡大処理が施される前の字幕データのデータ領域が表示部の表示範囲の横幅と同程度である場合、結果的に字幕が殆ど拡大されないことになる。従って、上記従来例を採用しても、サイズが小さく、あるいは、解像度が低い表示部に字幕を視認性よく表示させることが困難となることが多々あった。
【0004】
そこで、本発明は、サイズが比較的小さく、あるいは、解像度が比較的低い表示部に字幕を視認性よく表示させることができる映像再生装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による映像再生装置は、少なくとも画像データおよび字幕データを含む信号を処理して、画像および字幕を表示部に表示させる映像再生装置において、信号から抽出された字幕データに対して、字幕を拡大するための拡大処理を施す拡大部と、拡大部による拡大処理が実行された際に、表示部に字幕がスクロール表示されるように字幕データを調整する字幕データ調整部とを備えることを特徴とする。
【0006】
この映像再生装置では、拡大部により、信号から抽出された字幕データに対して字幕を拡大するための拡大処理が施されると、字幕データ調整部により、表示部に字幕がスクロール表示されるように字幕データが調整される。従って、この映像再生装置によれば、サイズが比較的小さく、あるいは、解像度が比較的低い表示部に字幕を視認性よく表示させることが可能となる。
【0007】
また、本発明による映像再生装置は、拡大処理が施された字幕データのデータ領域が表示部における表示範囲を超えるか否か判定する判定手段を更に備え、字幕データ調整部は、判定手段によって字幕データのデータ領域が表示範囲を超えると判断された場合に、表示部に字幕がスクロール表示されるように字幕データを調整すると好ましい。
【0008】
かかる構成のもとでは、信号から抽出された字幕データに対して字幕を拡大するための拡大処理が施されると共に、当該拡大処理が施された字幕データのデータ領域が表示部における表示範囲を超えるか否か判定される。そして、拡大処理が施された字幕データのデータ領域が表示範囲を超えると判断された場合、字幕データは、表示部に字幕がスクロール表示されるように調整される。これにより、この映像再生装置では、表示部のサイズや解像度に拘わらず、字幕を所望の倍率に拡大しつつ、字幕を構成する文字等のすべてを確実に表示部に表示させることができる。
【0009】
この場合、上記表示部には、字幕のみを表示させるための字幕表示領域が設定されており、判定手段は、拡大処理が施された字幕データのデータ領域が字幕表示領域を超えるか否か判定すると好ましい。
【0010】
本発明による他の映像再生装置は、少なくとも画像データおよび字幕データを含む映像信号を処理して、画像および字幕を表示部に表示させる映像再生装置において、映像信号から抽出された字幕データに対して、字幕を拡大するための拡大処理を施す拡大部と、拡大部による拡大処理が実行された際に、表示部に字幕が複数に分割された上で順番に表示されるように字幕データを調整する字幕データ調整部とを備えることを特徴とする。
【0011】
この映像再生装置では、拡大部により、信号から抽出された字幕データに対して字幕を拡大するための拡大処理が施されると、字幕データ調整部により、表示部に字幕が複数に分割された上で順番に表示されるように字幕データが調整される。従って、この映像再生装置によれば、サイズが比較的小さく、あるいは、解像度が比較的低い表示部に字幕を視認性よく表示させることが可能となる。
【0012】
また、本発明による映像再生装置は、拡大処理が施された字幕データのデータ領域が表示部における表示範囲を超えるか否か判定する判定手段を更に備え、字幕データ調整部は、判定手段によって字幕データのデータ領域が表示範囲を超えると判断された場合に、表示部に字幕が複数に分割された上で順番に表示されるように字幕データを調整すると好ましい。
【0013】
かかる構成のもとでは、信号から抽出された字幕データに対して字幕を拡大するための拡大処理が施されると共に、当該拡大処理が施された字幕データのデータ領域が表示部における表示範囲を超えるか否か判定される。そして、拡大処理が施された字幕データのデータ領域が表示範囲を超えると判断された場合、字幕データは、表示部に字幕が複数に分割された上で順番に表示されるように調整される。これにより、この映像再生装置においても、表示部のサイズや解像度に拘わらず、字幕を所望の倍率に拡大しつつ、字幕を構成する文字等のすべてを確実に表示部に表示させることができる。
【0014】
この場合、上記表示部には、字幕のみを表示させるための字幕表示領域が設定されており、判定手段は、拡大処理が施された字幕データのデータ領域が字幕表示領域を超えるか否か判定すると好ましい。
【0015】
本発明による更に他の映像再生装置は、少なくとも画像データおよび字幕データを含む映像信号を処理して、画像および字幕を表示部に表示させる映像再生装置において、表示部には、字幕のみを表示させるための字幕表示領域が設定されており、映像信号から抽出された字幕データには、字幕表示領域内で字幕が拡大表示されるように拡大処理が施されることを特徴とする。
【0016】
この映像再生装置では、字幕のみを表示させるための字幕表示領域が表示部に設定されているので、字幕を拡大した際に、字幕によって画像が隠されてしまうことを防止可能となる。従って、この映像再生装置によれば、画像への影響を考慮することなく、字幕の拡大倍率を比較的自由に設定することが可能となり、字幕の視認性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、サイズが比較的小さく、あるいは、解像度が比較的低い表示部に字幕を視認性よく表示させることができる映像再生装置の実現が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0019】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る映像再生装置を示すブロック構成図である。同図に示される映像再生装置1は、例えばMPEG2,MPEG4といった形式のハイビジョンデータを再生可能なものであり、映像を表示する表示部(ディスプレイ)2、および音声を発するスピーカ4等を含むものである。また、映像再生装置1は、それぞれ符号化された音声データ、画像データ、字幕データ等が多重化されているデータストリームを受信する受信部6、多重分離部8、音声復号部10、画像復号部12、字幕復号部14、合成部16等を備えている。受信部6には、無線放送に対応したアンテナあるいは有線放送に対応したケーブル(図示省略)が接続される。多重分離部8は、受信部6に接続され、各復号部10〜14は、多重分離部8に接続されている。
【0020】
受信部6によって受信されたデータストリームは、多重分離部8に送られる。多重分離部8は、受信部6からのデータストリームを、符号化された状態の音声データ、画像データ、字幕データ等に多重分離し、抽出した各データを対応する復号部10〜14に与える。すなわち、符号化された状態の音声データは、多重分離部8から音声復号部10に与えられ、符号化された状態の画像データは、画像復号部12に与えられ、符号化された状態の字幕データは、字幕復号部14に与えられる。
【0021】
音声復号部10は、多重分離部8からの符号化された音声データを復号し、スピーカ4に送る。また、画像復号部12は、多重分離部8からの符号化された画像データを復号し、合成部16に送る。更に、字幕復号部14は、多重分離部8からの符号化された字幕データを復号し、復号された字幕データも最終的に合成部16に送られる。合成部16は、画像復号部12からの画像データと、字幕復号部14からの字幕データとを合成し、表示部2に与える。これにより、表示部2に映像が表示され、スピーカ4から音声が発せられることになる。
【0022】
ここで、受信部6によって受信されたデータストリームに字幕データが含まれている場合、表示部2の表示画面のサイズが比較的小さく(例えば14インチ程度)、解像度が比較的低いと、表示部2に画像と共に字幕を表示させた際に表示画面上で字幕が良好に視認され得なくなってしまうことがある。このような点に鑑みて、本実施形態の映像再生装置1では、字幕復号部14に対して拡大部18が接続されている。この拡大部18は、多重分離部8によってデータストリームから分離・抽出され、更に復号された字幕データに対して、字幕を所定倍率に拡大するための拡大処理を施すものである。
【0023】
拡大部18には、図1に示されるように、倍率設定部20が接続されている。倍率設定部20は、表示部2のサイズ、解像度、アスペクト比等に応じて、あるいは、リモコン等の入力装置を介して入力されるユーザの指示(好み)に従って拡大部18において用いられる字幕の拡大倍率を設定する。なお、受信部6によって受信されたデータストリームに表示部2の解像度やサイズに対応した字幕の倍率が記述されている場合には、倍率設定部20においてデータストリームに記述されている倍率が設定されるようにしてもよい。そして、拡大部18には、字幕データ調整部22が接続されている。この字幕データ調整部22は、拡大部18による拡大処理が施された字幕データのデータ領域が表示部2における表示範囲を超えるか否か判定する機能を有し、最終的に字幕データが再生された際に表示部2にすべての字幕が表示されるように、拡大処理が施された字幕データを調整するものである。
【0024】
図2は、字幕データ調整部22における字幕データの調整手順を説明するためのフローチャートである。
【0025】
図2に示されるように、字幕データ調整部22は、受信部6によるデータストリームの受信が開始されると、拡大部18から字幕データが送られてきたか否か、すなわち、字幕データの有無を判定する(S10)。データストリームに符号化された字幕データが含まれておらず、拡大部18から字幕データが出力されない場合(S10におけるNo)には、字幕データ調整部22による字幕データの調整は実行されない。
【0026】
一方、データストリームに符号化された字幕データが含まれており、拡大部18から拡大処理が施された字幕データを受け取った場合(S10におけるYes)、字幕データ調整部22は、拡大部18による拡大処理が施された字幕データのデータ領域が表示部2における表示範囲を超えるか否か判定する(S12)。すなわち、字幕データ調整部22は、S12において、拡大部18による拡大処理が施された字幕データのデータ領域が表示部2の表示範囲の横幅あるいは縦幅よりも大きく、字幕を一括表示させた場合、表示部2の表示範囲からはみ出すか否か判定する。
【0027】
字幕データ調整部22は、拡大処理が施されたことにより字幕データのデータ領域が表示部2における表示範囲を超えていると判断すると(S12におけるYes)、拡大部18から受け取った字幕データの表示位置情報を適宜書き換えることにより、表示部2に字幕を構成する文字が順次スクロール表示されるように字幕データを調整し(S14)、調整した字幕データを合成部16に送る(S16)。一方、字幕データ調整部22は、拡大処理が施された字幕データのデータ領域が表示部2における表示範囲を超えていないと判断すると(S12におけるNo)、拡大部18からの字幕データを調整することなく、そのまま合成部16に送る(S16)。
【0028】
このように、本実施形態の映像再生装置1では、データストリームから分離・抽出された字幕データに対して拡大部18により字幕を所定倍率に拡大するための拡大処理が施されると共に、当該拡大処理が施された字幕データのデータ領域が表示部2における表示範囲を超えるか否か判定される(S12)。そして、拡大処理が施された字幕データのデータ領域が表示範囲を超えると判断された場合、字幕データは、表示部2に字幕がスクロール表示されるように調整される(S14)。
【0029】
これにより、字幕が画像と共に表示部2に表示される際には、図3に示されるように、表示部2に「あいうえおかきくけこさしすせそ」という文字群が例えば図中右から左に順次スクロール表示され、更に、「あいうえおかきくけこさしすせそ」に続く「たちつてと・・・」という文字群(図3において斜体で示されている)が順次スクロール表示されることになる。従って、映像再生装置1では、表示部2の表示範囲の大きさに拘わらず、字幕を所望の倍率に拡大しつつ、字幕を構成する文字等のすべてを確実に表示部2に表示させることができる。この結果、映像再生装置1によれば、表示部2のサイズが小さかったり、解像度が低い場合であっても、表示部2に字幕を視認性よく表示させることが可能となる。
【0030】
なお、S14においては、表示部2の表示範囲に収まる分の字幕(例えば、図3における「あいうえおかきくけこさしすせそ」という文字群)が所定時間だけ表示部2に一括表示された後に字幕のスクロールが開始されるように字幕データが調整されてもよい。また、S14においては、字幕の最後の文字が表示された時点でスクロールが停止され、最後の所定数の文字が表示されたままとなるように字幕データが調整されてもよい。更に、字幕のスクロール速度は、例えばデータストリームに記述されている字幕の表示時間に基づいて設定されると好ましく、データストリームに記述されている字幕の表示開始時間と、その次の字幕の表示開始時間との差分に基づいて設定されてもよい。
【0031】
図4は、本発明の第1実施形態における変形例を説明するための模式図であり、当該変形例に係る映像再生装置に含まれる表示部2Aを示すものである。
【0032】
図4に示されるように、第1実施形態の変形例に係る表示部2Aには、画像のみを表示させるための画像表示領域2gと、字幕のみを表示させるための字幕表示領域2cとが設定されている。かかる表示部2Aを備えた映像再生装置の字幕データ調整部は、拡大部による拡大処理が施された字幕データのデータ領域が字幕表示領域2cを超えるか否か判定する。そして、当該字幕データ調整部は、拡大処理が施された字幕データのデータ領域が字幕表示領域2cを超えていると判断すると、拡大部からの字幕データの表示位置情報を適宜書き換えることにより、字幕表示領域2cに字幕を構成する文字が順次スクロール表示されるように字幕データを調整する。一方、当該字幕データ調整部は、拡大処理が施された字幕データのデータ領域が字幕表示領域2cを超えていないと判断すると、拡大部からの字幕データを調整することなく、そのまま合成部に送る。
【0033】
これにより、表示部2Aに画像および字幕が表示される際には、図4に示されるように、字幕表示領域2cに「あいうえおかきくけこ」という文字群が例えば図中右から左に順次スクロール表示され、更に、「あいうえおかきくけこ」に続く「さしすせそ・・・」という文字群(図4において斜体で示されている)が順次スクロール表示されることになる。このように、図4に例示される構成を採用しても、表示部2Aの表示範囲の大きさに拘わらず、字幕を所望の倍率に拡大しつつ、字幕を構成する文字等のすべてを確実に表示部2Aに表示させることができる。そして、字幕のみを表示させるための字幕表示領域2cを表示部2Aに設定することより、字幕を拡大した際に、字幕によって画像が隠されてしまうことを防止可能となるので、画像への影響を考慮することなく、字幕の拡大倍率を比較的自由に設定することが可能となり、字幕の視認性を向上させることができる。
【0034】
また、図4の構成は、サイズが小さく、かつ、解像度が低い表示部に対して適用すると好ましく、例えば、テレビ再生機能を備えた携帯電話に適用されるとよい。一般に、携帯電話の表示部は、縦長であることから、図4の構成を携帯電話に適用する場合、図4の例からわかるように、表示部の上部または下部に、字幕表示領域を設けると好ましい。
【0035】
〔第2実施形態〕
以下、図5を参照しながら、本発明の第2実施形態について説明する。
【0036】
図5は、本発明の第2実施形態に係る映像再生装置の字幕データ調整部における字幕データの調整手順を説明するためのフローチャートである。第2実施形態に係る映像再生装置は、字幕データ調整部における字幕データの調整手順に関して第1実施形態に係る映像再生装置1と異なる。従って、以下、第2実施形態に係る字幕データ調整部を「字幕データ調整部220」と記すと共に、上述の第1実施形態に関連して説明されたものと同一の要素には同一の参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0037】
本実施形態においても、字幕データ調整部220は、図5に示されるように、拡大部18から字幕データが送られてきたか否か、すなわち、字幕データの有無を判定する(S20)。そして、拡大部18から字幕データが出力されない場合(S20におけるNo)には、字幕データ調整部220による字幕データの調整は実行されない。一方、拡大部18から拡大処理が施された字幕データを受け取った場合(S20におけるYes)、字幕データ調整部220は、拡大部18による拡大処理が施された字幕データのデータ領域が表示部2における表示範囲を超えるか否か、すなわち、字幕を一括表示させた場合、表示部2の表示範囲からはみ出すか否か判定する(S22)。
【0038】
字幕データ調整部220は、拡大処理が施されたことにより字幕データのデータ領域が表示部2における表示範囲を超えていると判断すると(S22におけるYes)、拡大部18から受け取った字幕データの表示位置情報を適宜書き換えることにより、表示部2の表示領域と字幕の文字数等を考慮しつつ、表示部2に字幕が複数に分割された上で所定時間ずつ順番に表示されるように字幕データを調整し(S24)、調整した字幕データを合成部16に送る(S26)。ここで、S24では、分割された字幕の表示時間が、例えばデータストリームに記述されている本来の字幕の表示時間を等分することにより定められると好ましい。また、本来の字幕の表示時間は、データストリームに記述されている字幕の表示開始時間と、その次の字幕の表示開始時間との差分に基づいて決定されてもよい。一方、字幕データ調整部220は、拡大処理が施された字幕データのデータ領域が表示部2における表示範囲を超えていないと判断すると(S22におけるNo)、拡大部18からの字幕データを調整することなく、そのまま合成部16に送る(S26)。
【0039】
このように、第2実施形態の映像再生装置では、データストリームから分離・抽出された字幕データに対して拡大部18により字幕を所定倍率に拡大するための拡大処理が施されると共に、当該拡大処理が施された字幕データのデータ領域が表示部2における表示範囲を超えるか否か判定される(S22)。そして、拡大処理が施された字幕データのデータ領域が表示範囲を超えると判断された場合、字幕データは、表示部に字幕が分割表示されるように調整される(S24)。
【0040】
これにより、字幕が画像と共に表示部2に表示される際には、図6(a)に示されるように、まず表示部2の表示範囲に収まる分の「あいうえおかきくけこさしすせそ」という文字群が一括して所定時間だけ表示された後、図6(b)に示されるように、「あいうえおかきくけこさしすせそ」に続く「たちつてとなにぬねのはひふへほ」という文字群が所定時間だけ表示されることになる。従って、第2実施形態に係る映像再生装置においても、表示部2の表示範囲の大きさに拘わらず、字幕を所望の倍率に拡大しつつ、字幕を構成する文字等のすべてを確実に表示部2に表示させることができる。この結果、本発明の第2実施形態によっても、表示部2のサイズが小さかったり、解像度が低い場合であっても、表示部2に字幕を視認性よく表示させることが可能となる。
【0041】
なお、本実施形態のように、字幕を分割表示させる場合には、字幕データに拡大処理を施した後、分割表示のための字幕データの調整を実行する代わりに、予め字幕データの分割処理が実行された後、字幕データに拡大処理が施されてもよい。また、上述したように、字幕を分割して順番に表示させる代わりに、例えば分割された字幕を複数段の組にして表示部2に表示させてもよい。このような構成を採用すれば、分割された字幕の表示時間を長くして字幕の視認性を向上させることが可能となる。
【0042】
図7は、本発明の第2実施形態における変形例を説明するための模式図であり、当該変形例に係る映像再生装置に含まれる表示部2Bを示すものである。
【0043】
図7に示されるように、第2実施形態の変形例に係る表示部2Bにも、画像のみを表示させるための画像表示領域2gと、字幕のみを表示させるための字幕表示領域2cとが設定されている。かかる表示部2Bを備えた映像再生装置の字幕データ調整部は、拡大部による拡大処理が施された字幕データのデータ領域が字幕表示領域2cを超えるか否か判定する。そして、当該字幕データ調整部は、拡大処理が施された字幕データのデータ領域が字幕表示領域2cを超えていると判断すると、拡大部からの字幕データの表示位置情報を適宜書き換えることにより、字幕表示領域2cに字幕が複数に分割された上で所定時間ずつ順番に表示されるように字幕データを調整する。一方、当該字幕データ調整部は、拡大処理が施された字幕データのデータ領域が字幕表示領域2cを超えていないと判断すると、拡大部からの字幕データを調整することなく、そのまま合成部に送る。
【0044】
これにより、表示部2Aに画像および字幕が表示される際には、図7(a)に示されるように、まず字幕表示領域2cに収まる分の「あいうえおかきくけこ」という文字群が一括して所定時間だけ表示された後、図7(b)に示されるように、「あいうえおかきくけこ」に続く「さしすせそたちつてと」という文字群が所定時間だけ表示されることになる。このように、図7に例示される構成を採用しても、表示部2Bの表示範囲の大きさに拘わらず、字幕を所望の倍率に拡大しつつ、字幕を構成する文字等のすべてを確実に表示部2Bに表示させることができる。そして、字幕のみを表示させるための字幕表示領域2cを表示部2Bに設定することより、字幕を拡大した際に、字幕によって画像が隠されてしまうことを防止可能となるので、画像への影響を考慮することなく、字幕の拡大倍率を比較的自由に設定することが可能となり、字幕の視認性を向上させることができる。
【0045】
また、図7の構成も、サイズが小さく、かつ、解像度が低い表示部に対して適用すると好ましく、例えば、テレビ再生機能を備えた携帯電話に適用されるとよい。更に、図7の構成において、予め字幕データの分割処理が実行された後、字幕データに拡大処理が施されてもよく、分割された字幕を複数段の組にして表示部2に表示させてもよいことはいうまでもない。
【0046】
なお、上述の第1および第2実施形態に係る映像再生装置は、複数の表示部を含むものとして構成されてもよい。そして、このような複数の表示部を有する映像再生装置においては、それぞれの表示部のサイズ、解像度、アスペクト比等に応じて、表示部ごとに字幕の拡大倍率を設定し、字幕の拡大処理を実行した上で、拡大処理が施された字幕データのデータ領域が表示範囲を超えると判断された場合、字幕がスクロール表示または分割表示されるように字幕データを表示部ごとに調整するとよい。これにより、複数の表示部の何れがのサイズが小さかったり、解像度が低かったりしても、その表示部に字幕を視認性よく表示させることが可能となる。
【0047】
また、上述の各実施形態では、受信部6により受信されたデータストリームが直ちに多重分離部8により多重分離されたが、これに限られるものではない。すなわち、受信部6により受信されたデータストリームは、ハードディスク等の記録媒体に一旦記録された後に多重分離されてもよい。更に、受信部6により受信されたデータストリームを直ちに多重分離することと、データストリームをハードディスク等の記録媒体に一旦記録した後に多重分離することとが必要に応じて切り替えられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1実施形態に係る映像再生装置の制御ブロック図である。
【図2】図1に示される映像再生装置の字幕データ調整部における字幕データの調整手順を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1に示される映像再生装置の表示部に字幕が表示される状態を示す模式図である。
【図4】本発明の第1実施形態における変形例に係る映像再生装置の表示部に字幕が表示される状態を示す模式図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る映像再生装置の字幕データ調整部における字幕データの調整手順を説明するためのフローチャートである。
【図6】(a)および(b)は、本発明の第2実施形態に係る映像再生装置の表示部に字幕が表示される状態を示す模式図である。
【図7】(a)および(b)は、本発明の第2実施形態における変形例に係る映像再生装置の表示部に字幕が表示される状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0049】
1 映像再生装置、2,2A,2B 表示部、2c 字幕表示領域、2g 画像表示領域、4 スピーカ、6 受信部、8 多重分離部、10 音声復号部、12 画像復号部、14 字幕復号部、16 合成部、18 拡大部、20 倍率設定部、22,220 字幕データ調整部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも画像データおよび字幕データを含む信号を処理して、画像および字幕を表示部に表示させる映像再生装置において、
前記信号から抽出された字幕データに対して、字幕を拡大するための拡大処理を施す拡大部と、
前記拡大部による前記拡大処理が実行された際に、前記表示部に字幕がスクロール表示されるように字幕データを調整する字幕データ調整部とを備えることを特徴とする映像再生装置。
【請求項2】
前記拡大部による前記拡大処理が施された字幕データのデータ領域が前記表示部における表示範囲を超えるか否か判定する判定手段を更に備え、
前記字幕データ調整部は、前記判定手段によって前記字幕データのデータ領域が前記表示範囲を超えると判断された場合に、前記表示部に字幕がスクロール表示されるように字幕データを調整することを特徴とする請求項1に記載の映像再生装置。
【請求項3】
前記表示部には、前記字幕のみを表示させるための字幕表示領域が設定されており、前記判定手段は、前記拡大処理が施された字幕データのデータ領域が前記字幕表示領域を超えるか否か判定することを特徴とする請求項2に記載の映像再生装置。
【請求項4】
少なくとも画像データおよび字幕データを含む映像信号を処理して、画像および字幕を表示部に表示させる映像再生装置において、
前記映像信号から抽出された字幕データに対して、字幕を拡大するための拡大処理を施す拡大部と、
前記拡大部による前記拡大処理が実行された際に、前記表示部に字幕が複数に分割された上で順番に表示されるように字幕データを調整する字幕データ調整部とを備えることを特徴とする映像再生装置。
【請求項5】
前記拡大処理が施された字幕データのデータ領域が前記表示部における表示範囲を超えるか否か判定する判定手段を更に備え、
前記字幕データ調整部は、前記判定手段によって前記字幕データのデータ領域が前記表示範囲を超えると判断された場合に、前記表示部に字幕が複数に分割された上で順番に表示されるように字幕データを調整することを特徴とする請求項4に記載の映像再生装置。
【請求項6】
前記表示部には、前記字幕のみを表示させるための字幕表示領域が設定されており、前記判定手段は、前記拡大処理が施された字幕データのデータ領域が前記字幕表示領域を超えるか否か判定することを特徴とする請求項5に記載の映像再生装置。
【請求項7】
少なくとも画像データおよび字幕データを含む映像信号を処理して、画像および字幕を表示部に表示させる映像再生装置において、
前記表示部には、前記字幕のみを表示させるための字幕表示領域が設定されており、前記映像信号から抽出された字幕データには、前記字幕表示領域内で字幕が拡大表示されるように拡大処理が施されることを特徴とする映像再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−211488(P2006−211488A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−22994(P2005−22994)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】