説明

映像処理装置

【課題】
文字テロップが静止文字テロップを含む場合でも良好に補間処理を行うことで画質劣化を低減するのに好適な技術を提供する。
【解決手段】
本発明は、映像の動きベクトルを検出する動きベクトル検出部とは別に文字テロップの動きを検出するテロップ検出部を備え、この文字テロップ検出部は、ライン単位の文字テロップの動き量とフレーム単位の文字テロップの動き量とを検出し、これらのいずれか文字テロップの動き量を用いて当該文字テロップの領域について補間処理を行うことを特徴とする。例えば、静止文字テロップの領域に対しては、フレーム単位の動き量を優先的に用いて補間処理ようにし、スクロールする文字テロップ領域に対しては、ライン単位の動き量を優先的に用いるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像処理装置に関し、特に文字テロップを含む映像信号に補間フレームを加えて当該映像信号のフレームレートを変換するためのフレームレート変換処理における高画質化に好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
入力された映像信号のフレーム列に、映像の動きベクトルを用いた補間処理により作成された補間フレームを加えることにより、入力映像信号のフレームレート(フレーム周波数)を変換するフレームレート変換処理が知られている。
【0003】
かかるフレームレート変換処理を文字テロップやテキストを含む映像信号に対して施す場合は、当該文字テロップやテキスト(以下、これらを纏めて文字テロップと呼ぶこととする)が所定方向において周期構造(同一もしくは類似する形状が所定方向に繰り返し出現するパターン)を有していることから、上記動きベクトルが良好に検出できない場合がある。このような場合、誤った補間処理が為され、フレームレート変換後の映像、特に文字テロップの領域において映像が乱れ画質劣化が生じる。
【0004】
文字テロップを含む映像に対して良好に補間処理を行うための従来技術としては、例えば特許文献1、2に記載のものが知られている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−189264号公報
【特許文献2】特開2004−312680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、文字テロップには、所定方向に移動する(すなわちスクロールする)ものと静止するものが存在する。動きのある背景映像に静止する文字テロップが重畳されている映像においては、当該静止文字テロップが重畳される領域において上記動きベクトルの誤検出が生じやすく、従って当該領域においては誤った補間処理が行われる場合が多い。
【0007】
上記特許文献1及び2には、上記静止文字テロップが存在する場合でも良好に補間処理を行うことについての考慮は為されていない。
【0008】
本発明は、文字テロップが静止文字テロップを含む場合でも良好に補間処理を行うことで画質劣化を低減するのに好適な技術を提供する。また、文字テロップ部分とそれ以外の部分とを良好に区分して補間処理が可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、映像の動きベクトルを検出する動きベクトル検出部とは別に文字テロップの動きを検出するテロップ検出部を備え、この文字テロップ検出部は、ライン単位の文字テロップの動き量とフレーム単位の文字テロップの動き量とを検出し、これらのいずれか文字テロップの動き量を用いて当該文字テロップの領域について補間処理を行うことを特徴とする。例えば、静止文字テロップの領域に対しては、フレーム単位の動き量を優先的に用いて補間処理ようにし、スクロールする文字テロップ領域に対しては、ライン単位の動き量を優先的に用いるようにする。
【0010】
また本発明は、文字テロップの部分を他の部分と区分して処理する際に用いられるイネーブル信号をフィルタ処理することを特徴とする。このイネーブル信号は各画素に対応して与えられ、文字テロップ領域に対応する画素を第1の値(例えば「1」)、その以外の領域を第2の値(例えば「0」)としたとき、上記フィルタ処理は、まず、ある画素が第2の値を持つ場合は、当該ある画素の周辺画素の値を第2の値に置き換えることにより当該第2の値を持つ画素の範囲を拡張し、続いて、第1の値を持つ画素の周辺画素の値を第1の値に置き換えることにより前記第1の値を持つ画素の範囲を拡張する処理を含む。
【発明の効果】
【0011】
上記本発明の構成によれば、文字テロップが静止文字テロップを含む場合でも良好に補間処理を行うことで可能となり、フレームレート変換後の映像の画質劣化を低減することが可能となる。また、文字テロップ部分とそれ以外の部分とを良好に区分して補間処理をすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において同一の符号が付された要素は同一の構成、機能を持つものとし、その重複した説明は省略するものとする。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る映像処理装置の一例を示す構成図である。
【0014】
図1において、信号処理部1には、例えば受信した符号化デジタルテレビジョン放送信号が入力され、これを復号及び復調してデジタル形式の映像信号2を出力する。この映像信号2は、分岐されて1V遅延処理部3に入力され、ここで映像信号2の1垂直期間(1フレームもしくは1フィールド分)遅延される。これにより、映像信号2と、これに対し1垂直期間遅延された1V遅延信号4とを得ることができる。以下では、映像信号2と1V遅延信号4との時間的な前後関係から、映像信号2を「後フレーム信号」、1V遅延信号4「前フレーム信号」と呼ぶこととする。
【0015】
後フレーム信号2と前フレーム信号4は、それぞれ、本実施例の特徴的要素であるテロップ検出部2、及び動きベクトル検出部6とフレーム補間部12に供給される。テロップ検出部2では、入力映像信号に文字テロップが含まれる場合には、後フレーム信号2と前フレーム信号4との差分に基づき文字テロップの領域及び当該文字テロップの動き量を検出し、上記文字テロップ領域に対応するマスク信号7と文字テロップの動き量8(以下、文字動き量と呼ぶ場合もある)とを生成してベクトル合成部10へ出力する。ここで、マスク信号7は、1フレームを構成する映像の各画素に対してそれぞれ与えられるものであり、文字テロップを含む領域に対応する画素については「1」、すなわち有効とし、それ以外の領域に対応する画素については「0」、すなわち無効とされる。テロップ検出部2の詳細については後述するものとする。
【0016】
一方、動きベクトル検出部6では、後フレーム信号2と前フレーム信号4との差分に基づき文字テロップを含む映像(例えば人物や車等の物体)の動きベクトル9を検出してベクトル合成部10へ出力する。ここで、動きベクトル検出部6は、例えば映像信号の輝度信号を用いて文字テロップを含んだ映像全体の動きベクトル8の検出を行う。この動きベクトル8は、例えば時間的に連続する2つのフレーム、すなわち後フレーム2と前フレーム4との中間に補間フレームを挿入する場合では、まず補間フレーム中のある注目画素(補間画素)を通る直線を複数設定する。その直線は、補間フレームの前後にある2フレーム(後フレーム及び前フレーム)のそれぞれに設けられた所定の矩形状領域内に設定される。その領域内に設定された複数の直線それぞれについて、当該直線が通過する上記2フレームの画素同士の差分を演算する。そして、その差分が最も小さい直線を、当該注目画素(補間画素)に対応する動きベクトルとして設定する。そのような演算処理を1フレームの全が疎に渡って行うことにより、1フレームの各画素について動きベクトルを設定する。ここでは、動きベクトル検出部6における動きベクトルの検出方法の詳細に関しては、例えば特開2006-165602号公報や特開2007-082030号公報等において公知であるのでその説明を省略する。本実施形態は、映像の動き検出の方法として、これらの文献に示された方法以外にもブロックマッチング法、勾配法、位相相関法等を適用することができる。
【0017】
動き情報切換部10は、テロップ検出部2から出力されたマスク信号7及び文字動き量8と、動きベクトル検出部6から出力された動きベクトル9が入力され、これらに基づき映像の領域に応じた補間処理用動き情報7を切り換えて出力する。すなわち、マスク信号7が「0」を示す画素は文字テロップ以外の映像が存在する領域なので、動きベクトル9を補間処理用動き情報7として出力し、マスク信号7が「0」を示す画素は文字テロップを含む領域なので、文字動き量8を補間処理用動き情報7として出力する。
【0018】
フレーム補間部12は、後フレーム信号2と前フレーム信号4、及び動き情報切換部10からの補間処理用動き情報11を用いて文字テロップの領域とそれ以外との領域を夫々個別に補間処理を行い、補間フレームを作成する。すなわち、文字テロップの領域については補間処理用動き情報7としての文字動き量8を用い、それ以外の領域については補間処理用動き情報7としての動きベクトル9を用いて補間処理を行う。
【0019】
上記補間処理は、例えば時間的に連続する後フレーム2と前フレーム4との中間に補間フレームを挿入する場合では、補間フレーム中のある注目画素を通る動きベクトルによって指し示された上記2フレームの画素同士の平均値(もしくは補間フレームと後フレームまたは前フレームとの時間的距離に応じた加重平均)を求める補間画素を生成する処理である。この補間画素の生成を、1フレームにおけるすべての画素について行うことで、1枚の補間フレームが生成される。かかる補間処理の詳細についても、上記文献に記載されており公知であるので、ここでは省略することとする。
【0020】
上記のようにして作成された補間フレームは、フレーム補間部12において、入力映像信号中のフレーム列に挿入される。例えば、入力映像信号のフレームレート(フレーム周波数)が60Hzであり、それを2倍の120Hzにフレームレート変換する場合は、入力映像信号中の1つフレームおきに1つの補間フレームが挿入される。例えば、後フレーム2と前フレーム4との間に1枚の補間フレームが挿入される。このようにして、フレーム補間部12によって入力映像信号のフレームレートが変換される。
【0021】
上記変換処理の詳細についても、上記特開2006-165602号公報や特開2007-082030号公報に記載されているのでここでは省略する。当然、映像信号のフレームレートを60Hzから180や240Hzに変換する場合も同様な処理が行われ、この場合は、2フレーム間に2枚または3枚の補間フレームが挿入される。また、フレームレートをフィルム信号の24Hzから60Hzにする場合も同様な処理が行われる。
【0022】
フレーム補間部12でフレームレート変換された映像信号13は、タイミング制御部14に入力される。タイミング制御部14は、映像信号13に基づき表示パネル15に映像を表示させるのに最適なタイミング信号(水平、垂直同期信号及びドットクロック信号)
を生成して、映像信号13とともに表示パネル15に供給する。
【0023】
表示パネルは、例えば液晶パネルやPDPパネルなどで構成されており、タイミング制御部14からのタイミング信号とフレームレート変換された映像信号とを用いて、映像の表示を行う。
【0024】
次に、図2を参照して本実施例に係るテロップ検出部5の一具体例について説明する。図2において、後フレーム2と前フレーム4の信号が領域判定部104に入力され、領域判定部104は、後フレーム2と前フレーム4の信号が所定の領域内の信号か否かを判定し、所定領域内の信号のみを選択的に出力する。ここで所定領域とは、文字テロップが表示され得る領域である。文字テロップは、ほとんどの場合、映像の下部や上部または左部または右部において所定幅の範囲内に表示される。領域判定部104は、例えば入力映像信号が1920×1080の精細度を持つ場合、前記所定幅を垂直方向300ライン、水平方向300ドットとして、映像の最上端または最下端のラインから300ライン分の幅及び/または最右端または最左端の画素から300ドット分の幅を上記所定領域として設定する。そして、後フレーム2及び前フレーム4の各画素の位置と設定された所定領域の範囲情報とを比較し、後フレーム2及び前フレーム4が所定領域の範囲内にあればそれを出力し、範囲外であれば例えば「0」の信号を出力する。このようにすれば、文字テロップが実質的に表示されない領域の信号については、後段の要素において処理する必要が無く、また文字テロップの位置や動き量の検出における誤りを低減することができる。
【0025】
領域判定部104からの信号は文字検出部105に入力され、ここで、文字テロップの領域とその動き量が検出される。この文字テロップ領域と文字動き量の検出について、図3及び図4を用いて説明する。
【0026】
図3は、文字検出部105の動作の概念を示す図である。同図において、前フレーム4(k−1番目のフレーム)の画素191が、後フレーム2(k番目のフレーム)において画素192の位置に移動するものとする。文字検出部105は、この画素191から画素192への動き量を求めるために、前フレーム4の画面において探索範囲194を設定する。この探索範囲194は、前フレーム4の画面において、後フレーム2の画素192(x、y)と空間的に同一位置にある画素195を基準にして、例えば左右10ピクセルずつ、つまり水平方向に21ピクセルの幅を有している。この探索範囲194を定めるピクセル数は、文字テロップのスクロール速度、すなわち文字が1フレーム当たり何ピクセル動くか(pixel/frame:p/f)に応じて設定される。通常の文字テロップの速度は10p/f未満なので、探索範囲194は基準画素から左右10ピクセルずつ設ければよい。もちろん、これよりも多くしてもよい。
【0027】
上記探索範囲194を設定した後、その探索範囲194に属する画素群を後フレーム2に対して、基準画素を基準にして水平方向(左及び右方向)に1ピクセルずつずらしていく(シフトさせる)。そして、1ピクセルシフトする度に、後フレーム2の画素192(x,y)と空間的に同一位置にある画素(以下、「対応画素」と呼ぶ)との例えば輝度値の差分を演算する。ここで、図3に示されるように、前フレーム4の画素191が、後フレーム2において左の方向に7ピクセル移動する場合、探索範囲194の画素群を左方向に7ピクセルシフトすると、画素191が画素192と空間的に同一の位置となる。よって、探索範囲194の画素群を左方向に7ピクセルシフトしたとき、画素192と対応画素とが同一の値となり、その両者の差分は0もしくは所定値以下となる。つまり、後フレーム2の画素192と対応画素との差分が所定値以下のときのシフト量が、図中の矢印196で示される画素191の動き量となる。本例では、探索範囲194に属する画素群を左方向に7ピクセルシフトしたときに画素192と対応画素との差分が所定値以下になるので画素191が左方向に7ピクセルの動き量で移動したと検出される。以下、後フレーム2の画素192との差分が所定値以下の対応画素を一致画素と呼び、その一致画素については、「1」不一致の画素については「0」の判定信号を与えるようにする。
【0028】
上記の処理を、領域判定部194により抽出された所定領域内の全画素について行うことで、文字テロップの動き量を検出することができる。このとき、所定領域における文字テロップの信号についてのみ上記処理を行うことで、文字テロップ以外の映像による誤検出を防止できる。通常、文字は、その表示色が白色で輝度が非常に高く、他の映像との境界である輪郭がくっきり、すなわち文字の境界部とその他の部分との輝度差が大きいという特徴がある。そこで本実施例では、所定領域内の画素のうち、文字の特徴である所定値以上の輪郭成分を持ちかつ所定輝度以上の画素について上記処理を行うようにしている。
【0029】
上記の処理を数式により表すと次にようになる。図3において、今、i番フレームの位置(x,y)での階調(または輝度)をSi(x,y)する。k−1番フレームで(x,y)にあった画素191が、k番フレームで画素192(x+dx、y+dy)へ動いたとすると、これらの二つの階調差は、下記数1で表すことができる。
(数1)dS=Sk(x+dx,y+dy)−Sk-1(x,y)
ここで、dSを最小にする変位ベクトル(dx,dy)が求める動きベクトルである。本実施例では、次式に示すように、所定の輝度範囲[S0,S1]の画素と、その近傍の閾値E0以上の輪郭成分を持つ画素とが、それぞれ後フレーム2(k)と前フレーム4(k−1)間で一致するか否かを判定して動き量を求める。
(数2)dE=Ek(x+dx,y+dy)−Ek-1(x,y)
(数3)Ei(x,y)=Pi(x,y) grad Si(x,y)
(数4)Pi(x,y)=
H(Si(x,y)−S0) H(S1−Si(x,y)) H(grad |Si(x,y)|−E0)
上記数4において、Piは位置(x,y)の画素に対する判定信号を示し、Hはヘヴィサイド関数で、H(x)がx≧0(ここで、xは差表ではなく変数としてのxを示すものとする)の範囲にある場合は1、その他は0である。すなわち、Piは数4の左辺に示された条件を満たす場合、すなわち一致画素については「1」の値となり、それ以外の不一致画素は「0」の値となる。またEiは所定領域の輪郭を現す関数(これ以降、この関数を輪郭関数と呼ぶ)で、dEを最小にする変位ベクトル(dx,dy)が、所定領域の輪郭を構成する画素の動きベクトルである。このようにして、文字動き量が検出される。
【0030】
上記の処理を実現するため一構成例を図4に示す。領域判定部104からの所定領域に属する前フレーム4の信号は、複数のピクセル遅延部301に入力される。この複数のピクセル遅延部301は、それぞれ、上述したように探索範囲194内の画素群を1ピクセルずつシフトさせる動作を行うものであり、探索範囲194の幅に対応した数が設けられている。例えば、探索範囲194が上述したように対応画素を基準にして±10ピクセルの幅を持つ場合には、図示されるように、−10ピクセル遅延部、−9ピクセル遅延部…10ピクセル遅延部の計21個のピクセル遅延部301が設けられる。尚、図4では図示の簡単化のために−10ピクセル遅延部、−9ピクセル遅延部、10ピクセル遅延部のみを図示している。これらのピクセル遅延部301は、それぞれ、それ自身が有するピクセルの遅延量に従い前フレーム4を遅延する。例えば、−10ピクセル遅延部は前フレーム4を−10ピクセル遅延し、−9ピクセル遅延部は前フレーム4を−9ピクセル遅延する。ここで、−の遅延部は前フレーム4の信号を左方向に、+の遅延部は前フレーム4の信号を右方向にシフトすることを意味している。
【0031】
各ピクセル遅延部301には、それそれ輪郭差分検出部303と輝度差分検出部304が対応して設けられており、各輪郭差分検出部303と輝度差分検出部304には、それぞれ、各ピクセル遅延部301により遅延された信号302と後フレーム2とが入力される。輪郭差分検出部303は、遅延信号302と後フレーム2の信号の夫々について例えばハイパスフィルタ処理や微分処理、または隣接する画素間の差分検出等、周知の手段によって輪郭成分を抽出し、更に閾値(E0)以上の輪郭成分を求める。そして、遅延信号302から得られた閾値(E0)以上の輪郭成分と、後フレーム2の信号のから得られた閾値(E0)以上の輪郭成分との差分を演算し、輪郭差分信号305を出力する。輝度差分検出部304は、所定輝度範囲、すなわち輝度S0以上で輝度S1以下の遅延信号302と後フレーム2の信号との差分を演算し、輝度差分信号306を出力する。
【0032】
更に、各ピクセル遅延部301のそれぞれに対応して一致判定部307が設けられており、一致判定部307には、上記輪郭差分検出部303からの輪郭差分信号305と輝度差分検出部304からの輝度差分信号306が入力される。−10ピクセル遅延部に対応して設けられた一致判定部は、−10ピクセル分遅延された遅延信号302と後フレーム信号2との輪郭の差分を示す輪郭差分信号305と輝度の差分を示す輝度差分検出部304のレベルが、それぞれ所定値以上であるか否かを判定する。輪郭差分信号305と輝度差分検出部304のレベルがいずれも所定値以下であれば「有効」を示す「1」、両方またはいずれかが所定値よりも大きいならば「無効」を示す「0」となる1ビットの一致判定信号308を出力する。本例では、ピクセル遅延部301が21個設けられるので、これらからの一致判定信号308が集められて21ビットの判定信号106として出力される。上記の処理は、1フレームにおける全画素について行われるようにする。
【0033】
尚、本例では、輪郭差分検出部303、輝度差分検出部304、及び一致判定部307について、実装を単純にするために、(数1)の変位dEをx成分のみとし、更に輪郭関数(数2)をEi(x,y)=Pi(x,y)とし、H(Si(x,y)−Si) H(|Si(x+1)−Si(x)|−E0)とする。
【0034】
再び図2に戻り、文字検出部105から出力された判定信号106は、第1ヒストグラム生成部107に出力される。第1ヒストグラム生成部107では、映像信号とともに入力される水平同期信号の検出に応答して、1ライン毎に、判定信号106の「1」の値をピクセル遅延量(画素ずらし量)毎にカウントし、例えば図5に示されるような水平ヒストグラムを作成する。この水平ヒストグラムは、水平同期信号の検出の度にリセットされるものとする。かかる水平ヒストグラムは、そのラインにおけるピクセル遅延量の出現度数を示すものであり、最も出現度数が大きい遅延がそのラインにおいて支配的な動き量となる。図5に示す例では、+7ピクセルの遅延量の度数が最も大きいため、当該ラインの映像は7p/fで動く文字が多く占められることとなる。
【0035】
第1ヒストグラム生成部107で生成された水平ヒストグラムは、各ピクセル遅延量の1H(水平期間)カウント値108として第1最大値検出部109に出力される。この第1最大値検出部109の処理の内容について、図6を参照しつつ説明する。
【0036】
図6において、上記水平ヒストグラムとしての各ピクセル遅延量の1Hカウント値108は、水平期間加重平均部402に供給される。水平期間加重平均部402は、各ピクセル遅延量のカウント値を平均化するものであり、例えばある遅延量(例えば+7ピクセル)のカウント値と、該ある遅延量と隣接する遅延量(例えば+6と+8ピクセル)のカウント値との加重平均を求めて出力する。この加重平均は、例えば、ある遅延量のa、それに隣接する遅延量をb及びcとしたとき、b:a:cの比を1:1:1として求めてもよく、また1:2:1としても求めてもよい。また、加重平均をしない(すなわちb:a:cが0:1:0)ようにしてもよい。
【0037】
水平期間加重平均部402で演算された各ピクセル遅延量のカウント平均値403は、0ピクセルのカウント平均値407を除き水平期間最大値検出部404に供給される。水平期間最大値検出部404は、0ピクセルのカウント平均値407を除く入力された各ピクセル遅延量のカウント平均値403のうち、最大のカウント値を検出し、その値をカウント最大値406として切換信号発生部408及び有効性判定部410に出力する。更に水平期間最大値検出部404は、上記カウントの最大値に対応するピクセル遅延量を検出し、これをプリライン動き量405として選択器409に出力する。
【0038】
切換信号発生部408は、更に0ピクセルのカウント平均値407が入力され、0ピクセルのカウント平均値407−カウント最大値406の演算を行い、その演算結果に応じた切換信号を選択器412に出力する。ここで、上記演算の結果、すなわち0ピクセルのカウント平均値407からカウント最大値406を減算した値が予め定められた閾値より大きい場合は、その文字テロップが静止文字テロップであるとして上記切換信号を「0」、閾値以下の場合は、その文字テロップが動きのある(スクロールする)ものとして上記切換信号を「1」とする。ここで、上記減算値を所定値と比較するのは、上述した一致判定処理において、遅延量が0ピクセル(すなわち遅延量0)のときに一致判定がされる頻度が多いためである。換言すれば、切換信号発生部408は、0ピクセルのカウント値に所定値を減算した上で、カウント最大値406との減算を行うものである。これにより、文字テロップが動いていても動きが0と誤って判定されることを抑制する。
【0039】
選択器409は、切換信号発生部408からの切換信号に従いプリライン動き量405と「0」のいずれかを選択し、最終的なライン単位での動き(静止も含む)を示すライン動き量412として制御部413に出力する。ここで、選択器409は、切換信号が0の場合は「0」を選択し、切換信号が1の場合はプリライン動き信号405を選択する。
【0040】
有効性判定部410は、カウント最大値406の他に0ピクセルのカウント平均値407も入力され、カウント最大値406及び0ピクセルのカウント平均値407を、それぞれ所定の閾値と比較する。いずれの値が閾値以上の場合は「1」を、いずれか一方が閾値よりも小さい場合は「0」を有効性判定信号411として出力する。すなわち有効性判定部410は、入力されたカウント値が有効であるか否かを判定しており、カウント値が閾値未満の場合は、当該カウント値が文字テロップの動きと無関係な一致判定により得られた値として無効を示す「0」とし、カウント値が閾値以上の場合は、当該カウント値が文字テロップの動きに基づく一致判定により得られた値として有効を示す「1」とする。
【0041】
制御部413は、選択器412で選択されたライン単位の動き量を示すライン動き量412と、後述するフレーム動き量119とが入力され、上述した文字動き量8、スクロール判定信号110、及び第1イネーブル信号415の3つの信号を出力するように構成されている。文字動き量8は、ライン動き量412、フレーム動き量119及び0のいずれか選択された値であり、記憶部416にて1水平期間格納された後に出力される。またスクロール判定信号110及び第1イネーブル信号415は、それぞれ「1」または「0」の値を持つ1ビットの信号である。ここで、スクロール判定信号110が「1」のときは文字テロップが動きのある(つまりスクロールしている)ことを示し、「0」のときは文字テロップが静止であることを示す。また、第1イネーブル信号415は上記マスク信号7の生成のために用いられる。
【0042】
上記3つの出力信号の出力形態としては、例えば次の3通りとすることができる。
【0043】
第1の出力形態は、文字動き量8としてライン動き量412を優先的に選択出力し、更に、スクロール切換信号110を「1」に、第1イネーブル信号415を「1」とする。ここで、スクロール判定信号110及び第1イネーブル415の値は固定されるものとする。この第1の形態は、1ライン毎に文字動き量を設定する際に用いられ、例えば水平方向へのスクロール速度がそれぞれ異なる2種類以上の文字テロップが、複数の領域に存在する場合に有効である。
【0044】
第2の出力形態は、文字動き量8として「0」(静止)を選択出力し、更に、スクロール切換判定信号110を「0」、ライン動き量412の絶対値が所定の閾値以下の(例えばライン動き量412が0または+1や−1を示す)場合は第1イネーブル信号415を「1」とする。ここで、スクロール判定信号110及び第1イネーブル415の値は固定されるものとする。この第2の出力形態は、文字動き量を強制的に0にするものであり、静止文字テロップに対する補間処理の精度向上を優先させる場合に有効である。但し、この出力形態はスクロールする文字テロップに対しては補間処理の精度が低下するため、スクロールする文字テロップに対する補間処理の精度向上を優先させる場合はこの出力形態を設定しないほうが好ましい。
【0045】
第3の出力形態は、文字動き量8としてフレーム動き量119を優先的に選択出力し、更にスクロール切換信号110を、フレーム動き量119と第2ライン動き量412との差分の絶対値が閾値以内の場合は「1」、閾値よりも大きい場合は「0」とする。また第1イネーブル信号415は「1」とされる。これにより、1フレーム(1垂直期間)毎に動き量8を変更することができる。この第3の出力形態は、後述するようにフレーム動き量119は静止文字テロップの場合は0とされるので、静止文字テロップに対する補間処理の精度向上を優先させる場合に有効である。また、スクロールする文字テロップに対しても適切に文字動き量を与えることができ、第2出力形態に比べ、動く文字テロップに対する補間処理の精度を向上させることができる。
【0046】
上記3つの出力形態は、いずれかを制御部413によって設定することができる。例えば、スクロールする文字テロップに対する補間処理の精度向上を優先させる場合は、第1の出力形態が設定され、静止文字テロップに対する補間処理の精度向上を優先させる場合は、第2または第3の出力形態が設定される。
【0047】
AND回路417は、制御部413からの第1イネーブル信号415と前述の有効性判定部410からの有効性判定信号411との論理積を演算して第2イネーブル信号111を出力する。有効性判定信号411が0、すなわちカウント最大値406及び0ピクセルのカウント平均値407が無効の場合は、第2イネーブル信号111も0となり無効化される。
【0048】
上記水平期間加重平均部402からの0ピクセルのカウント平均値407を含むカウント平均値113は、図2の第2ヒストグラム生成部115に供給される。第2ヒストグラム生成部115では、映像信号とともに入力される垂直同期信号の検出に応答して、カウント平均値113を用いて、ピクセル遅延量毎のカウント平均値を1フレーム(垂直期間)にわたって積算し、図5に示された水平ヒストグラムと同様な垂直ヒストグラムを作成する。例えば映像信号の有効垂直ライン数1080本であれば、1080個分の水平ヒストグラムにおける各カウント値を積算する。この垂直ヒストグラムは、水平同期信号の検出の度にリセットされるものとする。かかる垂直ヒストグラムにおいて最大のカウント値に対応するピクセル遅延量が、そのフレームにおいて支配的な動き量となる。第2ヒストグラム生成部115で生成された垂直ヒストグラムは、各ピクセル遅延量の1V(水平期間)カウント値116として第2最大値検出部117に出力される。この第2最大値検出部117の動作について図7を参照しつつ説明する。
【0049】
図7において、1Vカウント値116は、垂直期間加重平均部502に供給される。垂直期間加重平均部502は、上述した水平期間加重平均部402と同様に、各ピクセル遅延量のカウント値について加重平均処理を行い、0ピクセルのカウント平均値507を除き垂直期間最大値検出部504に供給する。垂直期間最大値検出部504は、0ピクセルのフレームカウント平均値507を除く入力された各ピクセル遅延量のフレームカウント平均値503のうち、最大のカウント値を検出し、その値をカウント最大値506として切換信号発生部508及び有効性判定部510に出力する。更に垂直期間最大値検出部504は、上記カウントの最大値に対応するピクセル遅延量を検出し、これをプリフレーム動き量505として選択器509に出力する。
【0050】
切換信号発生部508には、更に0ピクセルのフレームカウント平均値507が入力され、0ピクセルのカウント平均値507−カウント最大値506の演算を行い、その演算結果に応じた切換信号を選択器512に出力する。ここで、上記演算の結果、すなわち0ピクセルのフレームカウント平均値507からフレームカウント最大値506を減算した値が予め定められた閾値より大きい場合は、その文字テロップが静止文字テロップであるとして上記切換信号を「0」、閾値以下の場合は、その文字テロップが動きのある(スクロールする)ものとして上記切換信号を「1」とする。ここで、上記減算値を所定値と比較するのは、先に説明した図6の切換信号発生部408における理由と同様である。
【0051】
選択器509は、切換信号発生部508からの切換信号に従いプリフレーム動き信号505と「0」のいずれかを選択し、フレーム単位の動き(静止も含む)を示すフレーム動き量119として出力する。フレーム動き量119は、記憶部516にて少なくと1垂直期間格納された後に、前述した制御部413に出力される。
【0052】
有効性判定部510は、フレームカウント最大値506の他に0ピクセルのフレームカウント平均値507も入力され、カウント最大値506及び0ピクセルのカウント平均値507を、それぞれ所定の閾値と比較する。いずれの値が閾値以上の場合は「1」を、いずれか一方が閾値よりも小さい場合は「0」を有効性判定信号118として出力する。カウント値と閾値を比較する理由は、有効性判定部410において説明した理由と同様である。
【0053】
続いて、図2のイネーブル出力部112の動作について図8を参照しつつ説明する。図8において、イネーブル信号発生部602は、文字検出部105からの判定信号106と第1最大値検出部109からの文字動き量8が入力され、上記第1イネーブル信号415及び第2イネーブル信号111とは異なる2種類のイネーブル信号を生成する。この2種類のイネーブル信号は、スクロールする文字テロップに適用されるスクロールイネーブル信号603と、静止文字テロップに適用される静止イネーブル信号604である。
【0054】
スクロールイネーブル信号603は、例えば、文字動き量8が7ピクセルの動き量を示すとき、21ビットの判定信号106のうち7ピクセル遅延量に対応する基準ビット(すなわち18ビット目)の値と、その基準ビットの前後のビット(すなわち17ビット目と19ビット目)の値との論理輪を演算することにより生成される。例えば、判定信号106の18ビット目の値が「1」、17ビット目の値が「1」、19ビット目の値が「0」のときは、「110」のスクロールイネーブル信号603が生成される。
【0055】
また静止イネーブル信号604は、21ビットの判定信号106のうち0ピクセル遅延量に対応する基準ビット(すなわち11ビット目)の値と、その基準ビットの前後のビット(すなわち10ビット目と12ビット目)の値との論理輪を演算することにより生成される。例えば、判定信号106の11ビット目の値が「1」、10ビット目の値が「1」、12ビット目の値が「1」のときは、「111」のスクロールイネーブル信号603が生成される。
【0056】
このように判定信号106の動き量に対応する値とその前後の値の論理和を演算することで、動きの揺らぎを考慮したイネーブル信号を生成することができる。上記の例では、基準ビットの値と、その基準ビットの1ビット前後の値との論理和を演算したが、基準ビットの2ビット前後の値との論理和を演算してもよい。また、上述の論理和演算によるイネーブル信号の生成処理は、必要に応じ行えばよく、本実施例においては必ずしも必要な処理ではない。
【0057】
上記の処理は、複数の文字間に生じる特異点のみならず、文字テロップにおける文字群の集まりが占める大きな領域から離れた小さな領域に生じる特異点についても適用することができる。
【0058】
イネーブル信号発生部602によって生成されたスクロールイネーブル信号603と静止イネーブル信号604は、それぞれ1H(1水平期間)遅延器605によって1水平期間分遅延されて選択器606に入力さる。そして、選択器606は、図6の制御部413からのスクロール判定信号110に応答していずれかのイネーブル信号を選択し、第3イネーブル信号114として出力する。スクロール判定信号110が「1」のときは、前述のように文字テロップがスクロールしているので選択器606はスクロールイネーブル信号603を選択し、一方「0」のときは、前述のように文字テロップが静止しているので選択器606は静止イネーブル信号604を選択する。
【0059】
再び図2に戻り、AND回路130は、第1最大値検出部109からの第2イネーブル信号111、イネーブル出力部112からの第3イネーブル信号114、及び第2最大値検出部117からの有効性判定信号118の論理積演算をし、マスク信号7を出力する。このマスク信号7は、フィルタ処理部120によってフィルタリング処理をしてもよい。このフィルタリング処理の概念について図8を参照して説明する。
【0060】
図8(a)は、1フレームにおけるある領域のマスク信号7の様子を示しており、斜線部分はマスク信号の値が「1」の画素を、白色の部分はマスク信号の値が「0」の画素を示している。このマスク信号は、例えば誤った一致処理等により、文字テロップ領域に対応しない画素についても「1」の値にされており、ノイズのような特異点を有しているものとする。
【0061】
かかるマスク信号に対し、先ず、マスク信号の値が「0」の画素に隣接する周辺1画素のマスク信号の値を全て「0」に置き換える第1処理を行う。これにより、マスク信号が「0」の領域を拡張する。その第1処理の結果、当該領域のマスク信号は図8(b)に示されるように、2×2ピクセル以下の大きさの特異点が削除される。一方、特異点以外の文字テロップ領域に対応するマスク信号の一部も削除される。
【0062】
続いて、マスク信号の値が「1」の画素に隣接する周辺1画素のマスク信号の値を全て「1」に置き換える第2処理を行い、マスク信号が「1」の領域を拡張する。その第2処理の結果、1部分が削除された文字テロップ領域のマスク信号が、図8(a)に示される文字テロップ領域のマスク信号の形状に復元される。
【0063】
上記のようなフィルタリング処理によれば、文字テロップ領域に対応するマスク信号への影響を防ぎながら、ノイズなどの特異点を除去することができる。よって、文字テロップ部分に対する補間処理の精度をより高めることができる。上記処理では、ある画素の周辺1画素についてマスク信号の拡張処理をしたが、周辺2画素または3画素についてマスク信号の拡張処理をしてもよい。
【0064】
次に、本実施の形態の特徴となる文字テロップの動き量生成の流れについて、図10のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0065】
まずステップ(以下Sと略す)101で、テロップ検出部5に入力される映像信号に対しテロップ検出処理は適用対象となる所定領域を適用領域判定部104により判定する。次にS102で、文字検出部105により所定領域について後フレームと前フレームとの一致判定処理を行う。続いてS103で、第1ヒストグラム生成部107により水平同期信号が検出されたか否かを判定し、検出された場合はS104で水平ヒストグラムを初期化(リセット)してS105に進む。検出されなければ直接S105に進み、S105では、第1ヒストグラム生成部107によって、上記一致判定処理により生成された判定信号106を用いて、ピクセル遅延量毎の一致画素の出現度数を表す水平ヒストグラムを作成する。そしてS106で、第1最大値検出部109により、上記水平ヒストグラムから最大の出現度数と、その最大度数に対応するピクセル遅延量を検出し、ライン単位の動き量とする。
【0066】
次に、S107で第2ヒストグラム生成部115により垂直同期信号が検出されたか否かを判定し、検出された場合はS108で垂直ヒストグラムを初期化(リセット)してS109に進む。検出されなければ直接S109に進み、S109では、第2ヒストグラム生成部115によって、水平ヒストグラムを用いて、ピクセル遅延量毎の一致画素の出現度数を表す垂直ヒストグラムを作成する。そしてS116で、第2最大値検出部117により、上記垂直ヒストグラムから最大の出現度数と、その最大度数に対応するピクセル遅延量を検出し、フレーム単位の動き量とする。最後に、ライン単位の動き量、フレーム単位の動き量、水平ヒストグラムにおける最大の出現度数、及び垂直ヒストグラムにおける最大の出現度数を用いて、文字動き量8を生成する。
【0067】
また、文字動き量8の生成処理の後、S112で、イネーブル出力部112、AND回路130、及びフィルタ処理部120において、文字テロップ領域に対する補間処理に文字動き量8を敵称するためのマスク信号7の生成処理が行われる。
【0068】
以上のように、本実施例によれば、静止文字テロップに対しても精度良く文字動き量を検出でき、静止文字テロップに対する補間処理の精度を向上することができる。また静止文字テロップとスクロールする文字テロップのいずれに対しても補間処理の精度を向上させることができる。
【0069】
また、本実施例によって検出された文字動き量を用いて、補間処理のみならず、PDPの映像表示のために映像信号から生成される複数のサブフィールドを移動させるようにしてもよい。このようにすれば、文字テロップ領域の擬似輪郭の発生を抑制することができる。更にまた、映像の領域に対応させてテロップ検出部5を複数設けてもよい。例えば、映像の上部、下部、左部、右部のそれぞれに対応してテロップ検出部5を設けることで文字テロップの動き量の検出精度を向上させるようにしてもよい。また、複数の文字検出部からの文字動き量やマスク信号を互いに比較し、文字動き量やマスク信号の誤検出や誤生成を判定して、これらの誤りを抑制するようにしてもよい。
【0070】
また、上記実施例では、文字テロップに対する補間処理の動き情報の設定について説明したが、所定方向に類似する形状が周期的に繰り返されるパターン、すなわち金網や柵、格子状の映像に対しても適用することができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の映像処理技術は、スクロールもしくは静止する文字テロップが含まれる映像に対する補間処理に利用して好適である。また、PDP等のサブフィールドを制御する場合にも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態に係る映像処理装置の一構成例を示す図。
【図2】テロップ検出部5の一具体例を示す図。
【図3】文字動き量の検出の概念を示す図。
【図4】文字検出部105の一具体例を示す図。
【図5】水平ヒストグラムの一例を示す図。
【図6】第1最大値検出部109の一具体例を示す図。
【図7】第2最大値検出部117の一具体例を示す図。
【図8】フィルタ処理部120によるフィルタリング処理の概念を示す図。
【図9】文字動き検出処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0073】
1…信号処理部、2…後フレーム、3…1V遅延処理部、4…前フレーム、5…テロップ検出部、6…動きベクトル検出部、7…マスク信号、8…文字動き量、9…動きベクトル信号、10…動き情報切換部、11…フレーム補間部、14…タイミング制御部、15…表示パネル、104…適用領域判定部、105…文字検出部、107…第1ヒストグラム生成部、109…第1最大値検出部、112…イネーブル出力部、115…第2ヒストグラム生成部、107…第2最大値検出部、120…フィルタ処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像処理装置において、
入力された映像信号から映像の動きベクトルを検出する動きベクトル検出部と、
前記入力映像像信号の文字テロップ部分の動き量を検出するテロップ検出部と、
前記動きベクトル検出部により検出された動きベクトルと、前記テロップ検出部により検出された前記文字テロップの動き量とを用いて補間処理を行い、前記入力映像信号のフレーム列に挿入される補間フレームを生成するフレーム補間部と、を備え、
前記テロップ検出部は、ライン毎に前記動き量の第1ヒストグラムを作成する第1ヒストグラム生成部と、該第1ヒストグラム生成部で作成された第1ヒストグラムに基づいて、1フレーム毎に前記動き量の第2ヒストグラムを作成する第2ヒストグラム生成部と、を含み、
前記第1ヒストグラムにおいて度数が最大となる動き量と、前記第2のヒストグラムにおいて度数が最大となる動き量との少なくともいずれかを、前記文字テロップの動き量として用いるようにしたことを特徴とする映像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像処理装置において、前記テロップ検出部は、前記映像信号の1フレーム中の、前記文字テロップが出現する所定領域について前記文字動き量を検出することを特徴とする映像処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の映像処理装置において、前記テロップ検出部は、画素間の輝度差が所定値以上の輪郭成分を有し、かつ所定輝度以上の部分を前記文字テロップと判定して該文字テロップの動き量を検出することを特徴とする映像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の映像処理装置において、前記テロップ検出部は、前記判定された文字テロップの領域に対しては、前記文字テロップの動き量を用いて前記補間処理をさせるようにするためのマスク信号を生成することを特徴とする映像処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の映像処理装置において、前記マスク信号は画素単位で与えられ、かつ前記文字テロップの領域は第1の値、前記文字テロップ以外の領域は第2の値とされることを特徴とする映像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の映像処理装置において、前記マスク信号をフィルタリング処理するためのフィルタ処理部を更に備え、
前記フィルタ処理部は、ある画素が前記第2の値を持つ場合は、当該ある画素の周辺画素の値を前記第2の値に置き換えることにより前記第2の値を持つ画素の範囲を拡張し、続いて、第1の値を持つ画素の周辺画素の値を前記第1の値に置き換えることにより前記第1の値を持つ画素の範囲を拡張するようなフィルタリング処理を行うことを特徴とする映像処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の映像処理装置において、
前記第1ヒストグラム検出部は、入力映像信号の時間的に連続する2つのフレームを一画素ずつ相対的にずらしながら前記2つのフレームの時間的に前のフレームと後のフレームとの空間的に同一位置にある画素同士の差分を求め、
該差分が所定値以下の画素の個数を前記度数として、前記画素ずらし量毎に対応してカウントすることにより前記第1ヒストグラムを作成し、更に該第1ヒストグラムを1フレーム分積算することにより前記第2ヒストグラムを作成し、
前記第1ヒストグラムにおいて前記度数が最大となる前記画素ずらし量、または前記第2ヒストグラムにおいてを前記度数が最大となる前記画素ずらし量を、前記文字テロップの動き量とすることを特徴とする映像処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の映像処理装置において、
前記テロップ検出部は、前記文字テロップの領域に対しては、前記文字テロップの動き量を用いて前記補間処理をさせるためのマスク信号を生成し、
前記マスク信号は、前記度数が最大となる前記画素ずらし量を基準に、前記差分が所定値以下の画素については第1の値、前記差分が所定値より大きい画素については第2の値となる一致判定信号に基づき生成されることを特徴とする映像処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の映像処理装置において、
前記マスク信号は、前記度数が最大となる画素ずらし量に対応する前記一致判定信号と、当該画素ずらし量に隣接する画素ずらし量に対応する前記一致判定信号との論理和により生成されることを特徴とする映像処理装置。
【請求項10】
映像処理装置において、
入力された映像信号から映像の動きベクトルを検出する動きベクトル検出部と、
前記入力映像像信号の文字テロップ部分の動き量を検出するテロップ検出部と、
前記動きベクトル検出部により検出された動きベクトルと、前記テロップ検出部により検出された前記文字テロップの動き量とを用いて補間処理を行い、前記入力映像信号のフレーム列に挿入される補間フレームを生成するフレーム補間部と、を備え、
前記テロップ動き検出部は、ライン単位で前記文字テロップの動き量を検出するとともに、フレーム単位で前記文字テロップの動き量を検出し、
前記フレーム補間部は、前記ライン単位の動き量と前記フレーム単位の動き量のいずれか一方を用いて前記補間処理を行うことを特徴とする映像処理装置。
【請求項11】
請求項10に記載の映像処理装置において、
前記文字テロップが静止している場合は、前記フレーム単位の動き量を優先的に用いるようにしたことを特徴とする映像処理装置。
【請求項12】
請求項10に記載の映像処理装置において、
前記文字テロップが所定方向にスクロールしている場合は、前記ライン単位の動き量を用いるようにしたことを特徴とする映像処理装置。
【請求項13】
文字テロップを含む映像信号が入力され、該文字テロップ部分とそれ以外の部分とをそれぞれ個別に処理するための信号処理部を備えた映像処理装置において、
前記文字テロップ部分とそれ以外の部分とを識別するための、画素毎に与えられるマスク信号を生成して前記信号処理部に供給するマスク信号生成部と、
前記マスク信号をフィルタリングするフィルタリング処理と、を備え、
前記マスク信号は、前記文字テロップ部分に対応する画素を第1の値、それ以外の部分に対応する画素を第2の値とし、
前記フィルタ処理部は、ある画素が前記第2の値を持つ場合は、当該ある画素の周辺画素の値を前記第2の値に置き換えることにより前記第2の値を持つ画素の範囲を拡張し、続いて、第1の値を持つ画素の周辺画素の値を前記第1の値に置き換えることにより前記第1の値を持つ画素の範囲を拡張するようなフィルタリング処理を行うことを特徴とする映像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−34724(P2010−34724A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193006(P2008−193006)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】