説明

映像回路

【課題】供給する負電圧にノイズやリップルが重畳しないようにして、出力映像信号の品質を向上させる。
【解決手段】同期信号を含む入力映像信号S11のシンクチップとペデスタルをクランプ回路11によりクランプし、映像処理し、映像駆動信号として出力する映像処理回路10と、該映像処理回路10に要求される負電圧電源用としての負電圧−Vを発生するチャージポンプ回路20とを有する。クランプ回路11の出力信号から同期信号S21を検出してチャージポンプ回路20の駆動制御回路21に入力し、その駆動制御回路21から出力する駆動制御信号S13により、出力回路22のスイッチSW1、SW2が同期信号期間のみオンされるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像処理回路とチャージポンプ回路を備えた映像回路に係り、特にチャージポンプ回路で負電圧を発生させ、その負電圧を映像処理回路の負電源電圧として使用する場合に、その負電圧にノイズが含まれないようにして、映像信号品質が劣化しないようにした映像回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9にチャージポンプ回路により発生した負電圧を負電源電圧として映像処理回路に供給する構成の映像回路の構成を示す。映像処理回路10は、同期信号を含む入力映像信号S51のシンクチップとペデスタルのレベルをクランプするクランプ回路11、そのクランプ回路11から出力する映像信号に対して種々の画像処理(色相調整、コントラスト調整、拡大、縮小、エッジ強調、その他の処理)を加える映像信号処理回路12、その映像信号処理回路12の出力信号を映像駆動信号に増幅して例えば75Ωの負荷に供給する出力駆動回路13を有する。出力駆動回路13には、ダイナミックレンジ拡大化のために、正電源電圧+Vと負電源電圧−Vが電源として供給される。C1は直流カット用のコンデンサである。なお、クランプ回路11と映像信号処理回路12には正電源電圧+Vと接地電圧GNDが印加される。
【0003】
60は100KHz前後の周波数のパルスを発生するフリーラン発振器である。20はチャージポンプ回路であり、フリーラン発振器60から出力するフリーラン信号S52を入力して駆動制御信号S53を生成する駆動制御回路21と、その駆動制御信号S53によって駆動制御される出力回路22からなり、出力回路22から出力する負電圧−Vが映像処理回路10の出力駆動回路13に負電源電圧として供給される。
【0004】
出力回路22は、図11に示すように、チャージ用コンデンサC2、出力用コンデンサC3、スイッチSW1〜SW4からなり、駆動制御信号S53によって、その信号S53がHレベルのときはスイッチSW1,SW2をオン、スイッチSW3,SW4をオフし、LレベルのときはスイッチSW1,SW2をオフ、スイッチSW3,SW4をオンし、これにより、コンデンサC2,C3には図示の極性の電荷が充電され、負電圧−Vが生成される。
【0005】
一方、フリーラン発振器60を使用せす、入力映像信号から同期信号を抽出し、その同期信号に基づいて連続パルスを生成し、この連続パルスをチャージポンプ回路に入力して、負電圧を生成し、この負電圧をメインアンプ(図9の出力駆動回路13に相当)に供給するようにした特許文献1に記載のアンプがある。
【0006】
前記した図9に示す映像回路および前記特許文献1に示されるアンプによれば、出力駆動回路13に正電源電圧+Vと負電源電圧−Vが印加されるので、ダイナミックレンジの拡大化を図ることができる。
【特許文献1】特開2005−151468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、図9の映像回路では、フリーラン発振器60で発生するフリーラン信号S52に基づき駆動制御信号S53が生成され、この駆動制御信号S53によって出力回路22のスイッチSW1〜SW4のオン/オフが連続的に行われるので、生成される負電圧−Vに対して、入力映像信号S51の映像期間でもノイズやリップルが重畳し、その影響が出力映像信号S54にも現れる(図10参照)ので、画面上でビートノイズ等を発生させてしまう。
【0008】
また、特許文献1のアンプにおいても、チャージポンプ回路が連続パルスによって駆動されるので、上記した図9の映像回路と同様に、出力映像信号にそのノイズやリップルが重畳し、画面上でビートノイズ等を発生させてしまう。
【0009】
本発明の目的は、供給する負電圧に映像期間においてノイズやリップルが重畳しないようにして、出力映像信号の品質を向上させた映像回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、同期信号を含む入力映像信号のシンクチップあるいはペデスタルをクランプ回路によりクランプし、映像処理し、映像駆動信号として出力する映像処理回路と、該映像処理回路に要求される負電圧電源用としての負電圧を発生するチャージポンプ回路とを有する映像回路において、前記クランプ回路の出力信号から同期信号を検出する同期信号検出手段を備え、前記チャージポンプ回路は、前記同期信号を入力して前記同期信号のパルス期間だけチャージ用コンデンサへの充電を実行するようにしたことを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、同期信号を含む入力映像信号のシンクチップあるいはペデスタルをクランプ回路によりクランプし、映像処理し、映像駆動信号として出力する映像処理回路と、該映像処理回路に要求される負電圧電源用としての負電圧を発生するチャージポンプ回路とを有する映像回路において、前記クランプ回路の出力信号から同期信号を検出する同期信号検出手段と、該同期信号検出手段で検出された同期信号の信号期間を映像期間にかからないよう伸張するパルス幅伸張手段を備え、前記チャージポンプ回路は、前記パルス幅伸張手段から出力する伸張パルス期間だけ、前記チャージ用コンデンサへの充電を実行するようにしたことを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、同期信号を含まない入力映像信号のペデスタルをクランプ回路によりクランプし、映像処理し、映像駆動信号として出力する映像処理回路と、該映像処理回路に要求される負電圧電源用としての負電圧を発生するチャージポンプ回路とを有する映像回路において、前記クランプ回路にクランプパルスを入力するクランプパルス入力手段を備え、前記チャージポンプ回路は、前記クランプパルスを入力して前記クランプパルスのパルス期間だけチャージ用コンデンサへの充電を実行するようにしたことを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、同期信号を含まない入力映像信号のペデスタルをクランプ回路によりクランプし、映像処理し、映像駆動信号として出力する映像処理回路と、該映像処理回路に要求される負電圧電源用としての負電圧を発生するチャージポンプ回路とを有する映像回路において、前記クランプ回路にクランプパルスを入力するクランプパルス入力手段と、該クランプパルスの信号期間を映像期間にかからないよう伸張するパルス幅伸張手段を備え、前記チャージポンプ回路は、前記パルス幅伸張手段から出力する伸張パルス期間だけ、前記チャージ用コンデンサへの充電を実行するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、チャージポンプ回路が入力映像信号の映像期間内では駆動されないので、チャージポンプ回路で発生する負電圧にノイズやリップルが重畳することはなく、この負電圧を負電圧電源として映像処理回路に供給しても、その映像処理回路から出力する映像信号の品質が負電圧を起因として劣化することはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[第1の実施例]
図1は本発明の第1の実施例の映像回路の構成を示すブロック図、図2はその動作波形図である。映像処理回路10は、図9の構成と同様に、同期信号を含む入力映像信号S11のシンクチップとペデスタルのレベルをクランプするクランプ回路11、そのクランプ回路11から出力する映像信号に対して種々の画像処理(色相調整、コントラスト調整、拡大、縮小、エッジ強調、その他の処理)を加える映像信号処理回路12、その映像信号処理回路12の出力信号を映像駆動信号に増幅して例えば75Ωの負荷に供給する出力駆動回路13を有する。出力駆動回路13には、ダイナミックレンジ拡大化のために、正電源電圧+Vと負電源電圧−Vが電源として供給される。C1は直流カット用のコンデンサである。なお、クランプ回路11と映像信号処理回路12には正電源電圧+Vと接地電圧GNDが印加される。
【0013】
30は同期信号検出手段としての同期信号検出回路であり、クランプ回路11でクランプされたシンクチップ部分の先端エッジと後エッジに基づき同期信号S12を検出する。20はチャージポンプ回路であり、同期信号S12を入力して駆動制御信号S13を生成する駆動制御回路21と、その駆動制御信号S13によって制御される出力回路22からなり、出力回路22から出力する負電圧−Vが映像処理回路10の出力駆動回路13に負電源電圧として供給される。
【0014】
出力回路22は、図11に示すように、チャージ用コンデンサC2、出力用コンデンサC3、スイッチSW1〜SW4からなり、駆動制御信号S13によって、その信号S13がHレベルのときはスイッチSW1,SW2をオン、スイッチSW3,SW4をオフし、LレベルのときはスイッチSW1,SW2をオフ、スイッチSW3,SW4をオンし、これにより、コンデンサC2,C3には図示の極性の電荷が充電され、負電圧−Vが生成される。
【0015】
以上により、本実施例では、チャージポンプ回路20の出力回路22のチャージ用コンデンサC2が、同期信号期間だけしかチャージされないので、出力用コンデンサC3に蓄積される負電圧−Vは図2の(d)に示すような波形を呈する。すなわち、負電圧−Vが入力映像信号S11の映像期間において脈動することはなく、出力映像信号にノイズやリップルが重畳して画面上でビートノイズ等を発生させてしまうようなことは起こらない。
【0016】
[第2の実施例]
図3は本発明の第2の実施例の映像回路の構成を示すブロック図、図4はその動作波形図である。ここでは、図1で説明した映像回路において、同期信号検出回路30とチャージポンプ回路20の間に、パルス幅伸張手段としての検波時定数回路40と比較回路50を挿入した。検波時定数回路40は、同期信号検出回路30で検出された同期信号S22を入力して、その立下りを遅延させた検波時定数信号S23を生成する。比較回路50は閾値Vthが設定され、検波時定数信号S23の立下りがその閾値Vthを下回ると、出力レベルを低下させることで、検波同期信号S22のパルス幅を伸張させる。ただし、その伸張時間は入力映像信号S21の映像期間にはかからない時間である。このため、駆動制御信号S25はパルス幅が伸張される。
【0017】
したがって、この第2の実施例の映像回路では、負電圧−Vが入力映像信号S21の映像期間において脈動することを防止できるのみならず、出力回路22のスイッチSW1,SW2がオンしている時間が第1の実施例(図1、2)の映像回路における場合よりも長くなるので、その分だけコンデンサC2に充電される電荷量が多くなり、消費された電荷に対する補充量を高くすることができ、駆動能力を高めることができる。また、このようにコンデンサC2に蓄積される電荷量を大きくできるので、それが消費された際に補充する電荷量が少なくて済み、スイッチSW1,SW2をトランジスタで構成する際のサイズを小さくすることができ、IC化面積を小さくできる。
【0018】
[第3の実施例]
図5は本発明の第3の実施例の映像回路の構成を示すブロック図、図6はその動作波形図である。ここでは、クランプ回路11Aに同期信号を含まない映像信号(RGBの内の1つの信号)S31を入力し、この映像信号用のクランプパルスS32をクランプパルス入力手段としての入力端子111から入力して、クランプ回路11Aでのペデスタルクランプ動作を行わせるようにしたものである。この場合は、第1の実施例(図1、図2)で説明した同期信号S12に代えて、クランプパルスS32をチャージポンプ回路20に入力することで、第1の実施例と同様に、入力映像信号S31の映像期間において脈動しない負電圧−Vを発生させることができる。
【0019】
[第4の実施例]
図7は本発明の第4の実施例の映像回路の構成を示すブロック図、図8はその動作波形図である。ここでも、クランプ回路11Aに同期信号を含まない映像信号(RGBの内の1つの信号)S41を入力し、この映像信号用のクランプパルスS42をクランプパルス入力手段としての入力端子111から入力して、クランプ回路11でのペデスタルクランプ動作を行わせるようにしたものである。この場合は、第2の実施例(図3、図4)で説明した同期信号S22に代えて、クランプパルスS42を検波時定数回路40に入力することで、第2の実施例と同様に、入力映像信号S41の映像期間において脈動しない負電圧−Vを発生させることができ、且つチャージポンプ回路20の駆動能力の増大化および面積の削減が可能となる。
【0020】
[その他の実施例]
なお、以上の各実施例では、チャージポンプ回路20で発生した負電圧を映像処理回路10の出力駆動回路13にのみ供給したが、映像信号処理回路12が正負両電源方式である場合には、そこにも供給する。また、チャージポンプ回路20の出力用コンデンサC3は、映像処理回路10の側に外付けで取り付けても良い。さらにまた、nチャネルの映像処理回路を設け、それらの出力駆動回路に負電圧を供給するチャージポンプ回路として、1ないしn個の出力回路を設ける構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施例の映像回路の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の映像回路の動作波形図である。
【図3】第2の実施例の映像回路の構成を示すブロック図である。
【図4】図3の映像回路の動作波形図である。
【図5】第3の実施例の映像回路の構成を示すブロック図である。
【図6】図5の映像回路の動作波形図である。
【図7】第4の実施例の映像回路の構成を示すブロック図である。
【図8】図7の映像回路の動作波形図である。
【図9】従来の映像回路の構成を示すブロック図である。
【図10】図9の映像回路の動作波形図である。
【図11】チャージポンプ回路の出力回路の回路図である。
【符号の説明】
【0022】
10:映像処理回路、11,11A:クランプ回路、111:クランプパルスの入力端子、12:映像信号処理回路、13:出力駆動回路
20:チャージポンプ回路、21:駆動制御回路、22:出力回路
30:同期信号検出回路
40:検波時定数回路
50:比較回路
60:フリーラン発振器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期信号を含む入力映像信号のシンクチップあるいはペデスタルをクランプ回路によりクランプし、映像処理し、映像駆動信号として出力する映像処理回路と、該映像処理回路に要求される負電圧電源用としての負電圧を発生するチャージポンプ回路とを有する映像回路において、
前記クランプ回路の出力信号から同期信号を検出する同期信号検出手段を備え、前記チャージポンプ回路は、前記同期信号を入力して前記同期信号のパルス期間だけチャージ用コンデンサへの充電を実行するようにしたことを特徴とする映像回路。
【請求項2】
同期信号を含む入力映像信号のシンクチップあるいはペデスタルをクランプ回路によりクランプし、映像処理し、映像駆動信号として出力する映像処理回路と、該映像処理回路に要求される負電圧電源用としての負電圧を発生するチャージポンプ回路とを有する映像回路において、
前記クランプ回路の出力信号から同期信号を検出する同期信号検出手段と、該同期信号検出手段で検出された同期信号の信号期間を映像期間にかからないよう伸張するパルス幅伸張手段を備え、前記チャージポンプ回路は、前記パルス幅伸張手段から出力する伸張パルス期間だけ、前記チャージ用コンデンサへの充電を実行するようにしたことを特徴とする映像回路。
【請求項3】
同期信号を含まない入力映像信号のペデスタルをクランプ回路によりクランプし、映像処理し、映像駆動信号として出力する映像処理回路と、該映像処理回路に要求される負電圧電源用としての負電圧を発生するチャージポンプ回路とを有する映像回路において、
前記クランプ回路にクランプパルスを入力するクランプパルス入力手段を備え、前記チャージポンプ回路は、前記クランプパルスを入力して前記クランプパルスのパルス期間だけチャージ用コンデンサへの充電を実行するようにしたことを特徴とする映像回路。
【請求項4】
同期信号を含まない入力映像信号のペデスタルをクランプ回路によりクランプし、映像処理し、映像駆動信号として出力する映像処理回路と、該映像処理回路に要求される負電圧電源用としての負電圧を発生するチャージポンプ回路とを有する映像回路において、
前記クランプ回路にクランプパルスを入力するクランプパルス入力手段と、該クランプパルスの信号期間を映像期間にかからないよう伸張するパルス幅伸張手段を備え、前記チャージポンプ回路は、前記パルス幅伸張手段から出力する伸張パルス期間だけ、前記チャージ用コンデンサへの充電を実行するようにしたことを特徴とする映像回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−267148(P2007−267148A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−90804(P2006−90804)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000191238)新日本無線株式会社 (569)
【Fターム(参考)】