説明

映像投影タイプカードゲーム機のカード読取システム

【課題】映像投影タイプカードゲーム機において、プロジェクタからの投影像の赤外線反射光の影響を少なくすることによりカメラから取り入れたカード裏面の赤外線画像(カードのIDなど)を確実に認識することができるカード読取システムを提供することにある。
【解決手段】パネル4裏面は微細な凹凸がある面となっている。プロジェクタ6からパネル4に映像が投影される。投影像に含まれている赤外線もパネル4裏面で反射されるが微細な凹凸面により拡散光になる。そのためCCDカメラ5に入射するプレイカード3の裏面の赤外像とともに入射する投影像からの赤外反射像は小さい点像になる。プレイカード3の裏面の赤外像の認識に対し影響が生じることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイフィールドにパネルを配置し、背後に設置したプロジェクタから前記パネルに映像を投影することによりパネル前面から映像を視認可能とし、かつ前記パネル面に搭載されるカードに前記パネル裏面側から赤外光を照射して前記搭載されるカード裏面の画像の赤外像を前記パネル背後に設置したカメラによって撮影し、撮影した赤外像を認識する映像投影タイプカードゲーム機、さらに詳しくはカードの画像の認識を妨げずに、カード配置面に映像を投影するカード読取システムの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記ゲーム装置におけるカード読取システムについて従来は図8に示すような機構により実施されていた。
図8において、プレイフィールドとなるパネル31はアクリルパネルであり、該パネル下部に配置されるプロジェクタ33からパネル全面に映像が投影されるように構成され、かつパネル31の任意位置にプレイヤはプレイカード30を搭載することができ、プレイカード30の裏面に赤外光で検出できるように印刷された文字,記号などを表す格子状に配置されたドットパターン(赤外線に反射する特殊インクで印刷したもの)をCCDカメラ32で撮影し、これを認識し、認識した情報を投影画像などに反映するものである。
【0003】
この時にプロジェクタ33からの投影像の赤外線成分もパネル31の裏面で反射し、CCDカメラ32に入射する。
図9にプレイカードの数字,記号を表すドット配置に対し、プロジェクタの投影像の赤外線反射光の投影像の大きさを示す。
プレイカード30の裏面には記号,数字を表す格子状の位置にドットパターンが配置されたものが印刷されており、これを赤外線検出によってCCDカメラで撮像する。
図9に示すプレイカード30のドット35の配置例はある数値を示すものであり、このドットパターンを確実にCCDカメラで読み込むことができれば、読み込んだ画像からその数字などを画像処理により認識することができる。
【0004】
しかしながら、この読込システムではプロジェクタからの投影像の光の内、パネルで反射した赤外線映像の領域が34に示すようにドットを複数個同時に覆うような大きさとなる。そのためドット35aは領域34内に存在するか否かを認識することができない。
【特許文献1】特開平11−57216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記読取システムに機構的に近いものとして特許文献1が存在する。これは半透明面にプロジェクタから投影した映像を表示し、CCDカメラによって半透明面の上に搭載されている駒などの映像を赤外線によって検出し、これを基準入力画像レベルを信号として記憶しておき、対戦者がテーブルに近づいて指を半透明面の駒上に差し出した場合、その映像を赤外線によってCCDカメラで撮像し、制御装置で基準入力画像レベルと比較することにより操作情報を得るゲーム装置が提案されている。この半透明面の上の物体の読取システムは、コマの表示位置に置かれた携帯情報端末のIDパターンが、このコマのIDパターンと一致した場合、制御装置から送受信部を介して携帯情報端末においてのみ表示されるような個別情報を送るために用いられる。
しかしながら、このゲーム装置の読取システムは、プロジェクタが投影する画像の反射光の赤外線がCCDカメラの読み込み認識について少なからず影響を与えているにも係わらず、その点についての問題提起には言及していない。
【0006】
本発明の目的は、映像投影タイプカードゲーム機において、プロジェクタからの投影像の赤外線反射光の影響を少なくすることによりカメラから取り入れたカード裏面の赤外線画像(カードのIDなど)を確実に認識することができるカード読取システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明の請求項1は、プレイフィールドにパネルを配置し、背後に設置したプロジェクタから前記パネル裏面に映像を投影することによりパネル前面から映像を視認し、かつ前記パネル面に搭載されるカードに前記パネル裏面側から赤外光を照射して前記搭載されるカードの画像をカメラによって赤外像を撮影し、赤外像を認識する映像投影タイプカードゲーム機において、前記パネルの裏面を微細な凹凸を設けることにより、前記プロジェクタの光を拡散し、前記カメラにパネル裏面からの反射光を減少させることを特徴とする。
本発明の請求項2は請求項1記載の発明において前記カード裏面の画像は、数字,記号を特定化する多数のドット画像を格子状に配置した赤外光に反射する印刷物であり、前記プロジェクタの投影像の反射光の撮影像の大きさは、前記ドットの大きさより小さい撮影像であることを特徴とする。
本発明の請求項3は請求項1または2記載の発明において前記パネル裏面に設ける微細な凹凸は樹脂板のシボ加工またはガラスのフロスト加工で形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記構成によれば、カードを置くパネルのCCDカメラ側の面に微細な凹凸面を設けることにより、カードの認識に有害なプロジェクタの反射光を拡散させることができ、カードの認識に影響を与えることがない。したがってカードの認識を妨げずに、カード配置面に映像を投影することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は、本発明による映像投影タイプカードゲーム機の外観を示す斜視図、図2はプレイフィールドであるパネルとプロジェクタおよびCCDカメラの配置関係を示す斜視図である。
ゲーム筐体1は正面にゲーム画像を表示する表示部9を有し、その手前にプレイカード3を載置するパネル4が配置されている。パネル4は透明なアクリルパネルが用いられる。パネル4の裏面には微細な凹凸面加工がしてあり、シボ加工がなされている。なお、ガラスのパネルを用いる場合には裏面にフロスト加工を施し、拡散面を形成する。
【0010】
プレイカードは図7に示すように表面には例えば自動車24の絵が記載され、レベル,体力,攻撃力などの数値25が表示されている。裏面には例えばIDであれば、図6に示すようにIDを示す数値,記号対応となる位置にドット21が印刷されている。
図2に示すようにパネル4の全面にゲームの映像を投影するプロジェクタ6およびパネル4の上に載置されたプレイカード3の裏面のドットにより表されるコードを撮像するCCDカメラ5がパネル裏面に並設されている。
【0011】
図3Aは、パネルに対するLED実装基板の配置例を示す斜視図、図3Bは、パネルに対するLED実装基板の配置例を示す平面図,正面図および側面図である。
パネル4に赤外線を照射するため、パネル4の4辺にLED実装基板7が配置されている。LED実装基板7は基板の上に赤外線発光LED7aが一定間隔で多数並べて配置されている。LED実装基板7からの赤外光はパネル4の裏面を一様に照射する。したがってパネル4のいずれの位置に載置されたカードに対してもその裏面の画像が均一に照射される。
【0012】
図4は、本発明による映像投影タイプカードゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。
LED制御部10はLED実装基板7の各赤外線発光LED7aを制御し発光させる。
データベース部12はドットが格子に適宜配置されてなる画像データが多数格納されており、各画像データは数字,記号に対応づけられたものである。画像処理部11はCCDカメラから読み込まれる赤外線によるドットの画像とデータベース部12の各画像データとを比較し、CCDカメラから読み込まれたドットの画像と一致する画像データがカードに記載されていたIDなどを構成する数字,記号であることを識別する。この識別情報は画像作成部13に送られる。
【0013】
また、画像データベース部15はプロジェクタから投影する映像が多種類格納されており、この中から選択された映像ファイルを読み出し、画像出力部14を介してプロジェクタ6に送る。プロジェクタ6は送られてくる映像を再生しパネルに投影する。画像作成部13は送られた識別情報に基づき画像データベース部15から読み出された映像に対し加工を行い、画像出力部14に加工した映像を送出する処理も行う。加工内容は例えば映像の一部に識別情報対応のカード画像を挿入する処理であり、これによりパネル上の映像にはプレイヤが搭載したカードが表示される。加工例として映像の一部にカードの画像を挿入する以外に、識別情報対応のカードについて他の処理を行うことも可能である。
【0014】
図5は、本発明にかかるパネル裏面による反射光の状態を説明するための図である。
プロジェクタ6から投影される投影像のパネル4裏面の反射光は、凹凸面により拡散される。したがって、投影像の反射光の中の赤外光の反射光も拡散され、CCDカメラ5に入射するプロジェクタ6からの赤外反射光は減少し、小さな点状の像が結像する。
図6にプレイカードの裏面の赤外像の一例が示されており、その中に本発明によって結像した赤外反射光を示す。図6に示すように数字,記号を表すドット21より小さい点像22が表示されている。仮に点像22がドット21のいずれかに重なったとしても、点像22の下にドット21が存在するか否かを認識できるため、ドットがあるか否かの判別に影響がでることはない。このようにドットの配置がすべて読み取ることができれば、格子状に配置されたドット対応の数字,記号の画像を正確に認識することができる。その結果、正確に認識したカードが例えば図7に示すようなカードであれば、認識されたカードを投影画像の中に挿入してパネル面に表示させることができる。
【0015】
以上の実施の形態は、カード裏面の検出すべき赤外像の形状をドットとし、ドットの配置内容により数字,記号を表し、IDなどを構成する数字,記号を認識する例を示したが、赤外像を認識する対象はドットではなく、他の形状で数字,記号を表示するものであってもよい。例えば楕円形,三角形,四角形、多角形,特定の曲面形である。
【産業上の利用可能性】
【0016】
イベント会場,アーケードセンターなどに設置されるカード対戦型のゲーム機である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による映像投影タイプカードゲーム機の外観を示す斜視図である。
【図2】プレイフィールドであるパネルとプロジェクタおよびCCDカメラの配置関係を示す斜視図である。
【図3A】パネルに対するLED実装基板の配置例を示す斜視図である。
【図3B】パネルに対するLED実装基板の配置例を示す平面図,正面図および側面図である。
【図4】本発明による映像投影タイプカードゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。
【図5】本発明にかかるパネルによる反射光の状態を説明するための図である。
【図6】プレイカード裏面の数字,記号を表すドット配置の例を示す図である。
【図7】プレイカードの上面の表示例を示す図である。
【図8】従来の映像投影タイプカードゲーム機のCCDカメラおよびプロジェクタの配置関係を示す図である。
【図9】プレイカードの数字,記号を表すドット配置に対し、プロジェクタの投影像の反射光の投影像の大きさの従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0018】
1 ゲーム筐体
3,20,23 プレイカード
4 パネル
5 CCDカメラ
6 プロジェクタ
7 LED実装基板
7a 赤外線発光LED
8 拡散光
10 LED制御部
11 画像処理部
12 データベース部
13 画像作成部
14 画像出力部
15 画像データベース部
16 制御装置
21 ドット
22 プロジェクタの投影像の赤外反射光
24 車の絵
25 性能数値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイフィールドにパネルを配置し、背後に設置したプロジェクタから前記パネルに映像を投影することによりパネル前面から映像を視認可能とし、かつ前記パネル面に搭載されるカードに前記パネル裏面側から赤外光を照射して前記搭載されるカード裏面の画像の赤外像を前記パネル背後に設置したカメラによって撮影し、撮影した赤外像を認識する映像投影タイプカードゲーム機において、
前記パネルの裏面に微細な凹凸を設けることにより、前記プロジェクタの投影像の光を前記パネル裏面で拡散し、前記カメラに入射する前記プロジェクタの投影像の反射光の撮影像の大きさを所定の大きさより小さくし、前記カード裏面の赤外像の画像の認識率を向上させることを特徴とする映像投影タイプカードゲーム機のカード読取システム。
【請求項2】
前記カード裏面の画像は、数字,記号を特定化する多数のドット画像を格子状に配置した赤外光に反射する印刷物であり、
前記プロジェクタの投影像の反射光の撮影像の大きさは、前記ドットの大きさより小さい撮影像であることを特徴とする請求項1記載の映像投影タイプカードゲーム機のカード読取システム。
【請求項3】
前記パネル裏面に設ける微細な凹凸は樹脂板のシボ加工またはガラスのフロスト加工で形成することを特徴とする請求項1または2記載の映像投影タイプカードゲーム機のカード読取システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−56260(P2009−56260A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228452(P2007−228452)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】