説明

映像表示装置

【課題】本発明は、光インテグレータに入射される光の集光スポットが最適になるようにミラーの位置を制御することが可能な映像表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明による映像表示装置は、ランプ2,3と、ランプ2,3から出射された光を反射する反射面を有し、所定の回転軸回りに回転可能であり、かつ回転軸方向に沿って移動可能なミラー4と、反射面にて反射された光が入射されるロッドインテグレータ5と、ロッドインテグレータ5から出射された光を映像信号に基づいて強度変調してスクリーン10上に投射するライトバルブ8と、ライトバルブ8のオフステートの光を検出して輝度を計測する輝度センサ11と、輝度センサ11にて計測された輝度に基づいて、反射面の回転角度および回転軸方向の位置を調整する制御回路12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示装置に関し、特に、表示輝度が低下した場合に当該表示輝度が低下しないように自動的に再調整することが可能な映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の映像表示装置として、例えば、2つの光源ユニットと光路切り替えミラーとを備え、使用中の光源ユニットが故障した場合において、予備の他の光源ユニットを使用可能にするために光路切り替えミラーによって光路を切り替えることができる映像表示装置がある。光路切り替えミラーに備えられた反射部材を所定の軸と略一致する回転軸周りにモータによって回転させることによって、反射部材の反射面が複数の光源ユニットの光源部(高圧放電ランプ)から出射された光を選択的に所定の軸に沿った方向に反射することができるように構成されている。また、光路切り替えミラーを反射して光インテグレータに入射される光の集光スポット(入射スポット)が最適になるように、光路切り替えミラーの回転方向位置(すなわち、回転角度)を制御することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−294297号公報(段落[0013]−[0089]、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、光路切り替えミラーの反射部材を所定の軸と略一致する回転軸周りにモータによって回転させることによって、光インテグレータに入射される光の集光スポットが最適になるように光路切り替えミラーの回転方向位置を調整しているが、回転方向位置の調整だけでは光インテグレータに入射される光の集光スポットが最適になるように調整できない場合がある。また、光源部を構成する電極が経時変化によって劣化することによって電極の放電位置がずれるアークジャンプが発生すると光源部の発光点がずれ、光路切り替えミラーを反射して光インテグレータに入射される光の集光スポットもずれる。集光スポットのずれが光路切り替えミラーの回転方向とは異なる方向にずれた場合は、集光スポットを最適に調整することができなくなり、実際には光源ユニットから出射される光の輝度が低下していない(集光スポットを最適に調整することができれば輝度は低下しない)にも関わらず、映像表示装置の表示輝度が低下するという問題がある。さらに、このようなアークジャンプによって輝度の低下が検出されると、光源部自体の輝度が低下していないにも関わらず自動的に他の予備の光源部に切り替えられてしまうという問題もある。
【0005】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、光インテグレータに入射される光の集光スポットが最適になるようにミラーの位置を制御することが可能な映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明による映像表示装置は、光源部と、光源部から出射された光を反射する反射面を有し、所定の回転軸回りに回転可能であり、かつ回転軸方向に沿って移動可能なミラーと、反射面にて反射された光が入射される光インテグレータと、光インテグレータから出射された光を映像信号に基づいて強度変調してスクリーン上に投射するライトバルブと、ライトバルブのオフステートの光を検出して輝度を計測する輝度センサと、輝度センサにて計測された輝度に基づいて、反射面の回転角度および回転軸方向の位置を調整する制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、光源部と、光源部から出射された光を反射する反射面を有し、所定の回転軸回りに回転可能であり、かつ回転軸方向に沿って移動可能なミラーと、反射面にて反射された光が入射される光インテグレータと、光インテグレータから出射された光を映像信号に基づいて強度変調してスクリーン上に投射するライトバルブと、ライトバルブのオフステートの光を検出して輝度を計測する輝度センサと、輝度センサにて計測された輝度に基づいて、反射面の回転角度および回転軸方向の位置を調整する制御手段とを備えるため、光インテグレータに入射される光の集光スポットが最適になるようにミラーの位置を制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態1による映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1によるカラーホイールの動作に対応したライトバルブおよび輝度センサの動作を示す図である。
【図3】本発明の実施形態1によるロッドインテグレータの入射面に対する光の入射スポットを示す図である。
【図4】本発明の実施形態1によるミラーの回転方向の位置に対する輝度の変化を示す図である。
【図5】本発明の実施形態1によるミラーの調整を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態1によるミラーの回転方向の調整を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態1によるランプの動作を示す図である。
【図8】本発明の実施形態1によるミラーの再調整を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態2による映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施形態2によるミラーの再調整を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、図面に基づいて以下に説明する。
【0010】
〈実施形態1〉
図1は、本発明の実施形態1による映像表示装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態1による映像表示装置は、2つのランプ光源であるランプ2,3(光源部)を備えており、ランプ2,3のいずれか一方から出射された光は、ミラー4にて反射されてロッドインテグレータ5(光インテグレータ)に入射される。ミラー4は、ランプから出射された光を反射する反射面を有し、所定の回転軸回りに回転可能であり、かつ回転軸方向に沿って移動可能である。モータ1にはアクチュエータ(図示せず)が併設されており、ミラー4の回転方向(回転角度)の位置はモータ1によって変え、ミラー4の前後方向(回転軸方向)の位置はアクチュエータによって変えることができる。ここで、前記所定の回転軸はモータ1の回転軸と一致しており、前記回転軸方向はモータ1の回転軸方向(図1の左右方向)と一致するものとする。また、ミラー4は、ランプ2の点灯時にはランプ2から出射される光がロッドインテグレータ5に入射するように、また、ランプ3の点灯時にはランプ3から出射される光がロッドインテグレータ5に入射するように、ランプの切り替え動作を制御回路12によって制御されるモータ1によって行われる。なお、ランプ2,3は高圧放電ランプであるものとする。また、ランプ2,3は2つに限らず複数備えられていてもよい。
【0011】
ロッドインテグレータ5から出射した光は、カラーホイール6を通過してR(赤),G(緑),B(青)の各色に分光された後に、リレーレンズ7を介してライトバルブ8に入射される。また、信号処理回路13は、映像表示装置に入力される映像信号に基づいてライトバルブ8をオン・オフ制御することによってライトバルブ8に入射される光の強度変調を行い、強度変調を行った光を投射レンズ9を介してスクリーン10上に投射させる。なお、ライトバルブ8としては、DMD(Digital Micromirror Device)がある。
【0012】
図2は、本発明の実施形態1によるカラーホイール6の動作に対応したライトバルブ8および輝度センサ11の動作を示す図である。図2に示すように、カラーホイール6は、例えばR,G,Bの3色で構成されており、映像出力信号の垂直同期信号に同期して1周期あたり3回転する。ライトバルブ8は、信号処理回路13によってR,G,Bそれぞれの境界ではオフステートになるように制御され、その他はオンステートになるように制御されている。
【0013】
オンステート期間中において、ライトバルブ8は信号処理回路13から入力される映像信号に基づいてオン・オフを繰り返してリレーレンズ7から入射された光を強度変調し、強度変調した光を投射レンズ9を介してスクリーン10上に投射する。一方、オフステート期間中において、ライトバルブ8はリレーレンズ7から入射された光を投射レンズ9ではなく輝度センサ11の方向に反射させる。ライトバルブ8のオフステート期間は、映像信号の垂直同期信号の1周期内に必ず存在するため、オフステート期間中に輝度センサ11にライトバルブ8からの光(オフステートの光)を入射させることによって、リレーレンズ7を介してライトバルブ8に入射された光の輝度をR,G,Bのそれぞれで計測することができる。
【0014】
輝度センサ11は、R,G,Bの3種類の輝度センサを備えており、R,G,Bの各波長に対してそれぞれ個別に輝度値を計測することができる。図2に示すように、RとGとの境界ではR,Gのオフ光(オフステートの光)が、GとBとの境界ではG,Bのオフ光が、BとRとの境界ではB,Rのオフ光が輝度センサ11に入射される。従って、例えば図2に示すタイミングでR,G,Bそれぞれのオフ光を輝度センサ11にて計測することによって、リレーレンズ7を介してライトバルブ8に入力される光の輝度を計測することができる。なお、本実施形態1の輝度センサ11は、図2に示すタイミングでR,G,Bの輝度を計測しているが、ライトバルブ8がオフステート期間中であれば任意のタイミングで輝度を計測してもよい。また、本実施形態1の輝度センサ11はR,G,Bの輝度を個別に計測しているが、単色の輝度センサを用いてもよい。
【0015】
制御回路12(制御手段)は、輝度センサ11にて計測されたR,G,Bの各輝度の計測値を加算した値が最大となるように、モータ1またはアクチュエータを制御してミラー4を最適な位置(回転角度および前後位置)に調整する。なお、本実施形態1の制御回路12は、R,G,Bの各輝度の計測値を加算しているが、単色光(例えばGなど)の輝度の計測値のみを用いて調整してもよい。図3は、本発明の実施形態1によるロッドインテグレータ5の入射面に対する光の入射スポットを示す図である。図3に示すように、入射スポットF1(実線の丸)は、ミラー4が最適な位置に調整された場合におけるロッドインテグレータ5の入射面に対する入射スポットを示し、入射スポットF2〜F5(破線の丸)は、ミラー4が最適な位置からずれた場合におけるロッドインテグレータ5の入射面に対する入射スポットを示している。
【0016】
ランプ2,3から出射された光は、ミラー4にて反射されてロッドインテグレータ5の入射面に入射している。モータ1またはアクチュエータの駆動によって制御されるミラー4の位置(回転角度および前後方向)は、製造誤差等によってばらつきがあるため、ロッドインテグレータ5の入射端面に対する入射スポットが最適な位置ではない場合(図3のF2〜F5)があり、そのような場合は映像表示装置の表示輝度が低下することになるため、ロッドインテグレータ5の入射面に対する入射スポットが最適な位置(図3のF1)となるようにミラー4の位置調整を行う必要がある。
【0017】
図4は、本発明の実施形態1によるミラー4の回転方向(回転角度)の位置に対する輝度の変化を示す図である。図4において、縦軸は輝度センサ11に入射された輝度Ytを示し、横軸はミラー4の回転方向の位置mを示している。モータ1の駆動によりミラー4を回転方向に例えば1ステップ単位で回転させることによって、ミラー4の回転方向の位置(ミラー位置)をMinpからMaxpまで移動させることができる。そして、輝度センサ11にて計測される輝度が最大となるミラー位置を検出し、輝度が最大となるミラー位置にミラー4を移動させる。例えば、ミラー4の位置MinpからMaxpまでの間において輝度センサ11が計測した輝度が図4に示すように変化する場合は、輝度が最大(Ymax)となるミラー位置(Yposr)にミラー4を移動させる。また、上記の回転方向の位置調整と同様に、モータ1に併設されるアクチュエータの駆動によりミラー4を前後方向に例えば1ステップ単位で移動させることによって、輝度センサ11にて計測される輝度が最大(Ymax)となるミラー位置(Yposv)を検出し、ミラー位置(Yposv)にミラー4を移動させる。このように、ミラー4を回転方向および前後方向に最適な位置に調整することができる。本実施形態1では、ミラー4を回転させると、回転角度に応じて入射スポットがロッドインテグレータ5の入射面に対して図3の上下方向に移動する。また、ミラー4を前後方向に移動させると、移動に応じて入射スポットがロッドインテグレータ5の入射面に対して図3の左右方向に移動する。すなわち、本実施形態1では、ミラー4を回転方向および前後方向に調整することができるため、ロッドインテグレータ5の入射面に対する入射スポットを確実に図3に示すF1の位置に調整することができる。
【0018】
図5は、本発明の実施形態1によるミラー4の調整を示すフローチャートである。図5に示すように、ミラー4の調整は、回転方向(回転角度)の調整を行った後(ステップS50)、前後方向の調整を行い(ステップS51)、位置調整を終了する(ステップS52)。
【0019】
図6は、本発明の実施形態1によるミラー4の回転方向の調整を示すフローチャートである。図6に示すミラー4の回転方向の調整は、図5に示すステップS50における回転方向の調整に相当する。また、ミラー位置は、MinpからMaxpまで移動させることができるものとする。図6に示すように、ミラー4の回転方向の調整開始時において、ミラー4の位置をMinpに移動させると同時に、輝度最大値Ymax=0、輝度が最大の時のミラー位置Ypos=Minp、現在のミラー位置m=Minpに初期化する(ステップS60)。次に、現在のミラー位置mにおける輝度を輝度センサ11によって計測し、計測した輝度をYtとする(ステップS61)。そして、ステップS62において、ステップS61にて測定した輝度YtがYt>Ymaxの場合は、Ymax=Yt、Ypos=mとして(ステップS63)、ステップS64に移行する。一方、ステップS62において、ステップS61にて測定した輝度YtがYt≦Ymaxの場合はステップS64に移行する。
【0020】
ステップS64において、m<Maxpの場合は、ミラー4がMaxpの位置まで移動していないため、ミラー位置m=m+1に設定した後に(ステップS65)、設定したミラー位置mにミラー4を移動させ(ステップS66)、ステップS61に移行する。一方、ステップS64において、m=Maxpの場合は、ミラー4がMaxpの位置まで移動しているため、ミラー4の位置を最大輝度YmaxとなったYposの位置(ミラー4の回転方向の最適な位置Yposr)に移動させ(ステップS67)、ミラー4の回転方向の位置調整を終了する(ステップS68)。
【0021】
なお、上記では、ミラー4の回転方向の位置調整について説明したが、ミラー4の前後方向の位置調整についても図6に示す調整手順と同じ手順で調整を行う。ただし、ミラー4の回転方向の最適な位置をYposrとし、ミラー4の前後方向の最適な位置をYposvとする。
【0022】
制御回路12は、一方のランプが点灯している状態において当該ランプの輝度が大きく低下した場合には他方のランプを点灯させ、輝度が大きく低下した一方のランプを消灯すると同時にモータ1の駆動によりミラー4を180度回転させることによって、他方のランプから出射された光がロッドインテグレータ5に入射するように制御を行う。また、現在点灯中の一方のランプがランプ切れ等により消灯した場合も同様に、他方のランプを点灯させ、モータ1の駆動によりミラー4を180度回転させることによって、他方のランプから出射された光がロッドインテグレータ5に入射するように制御を行う。さらに、ランプの切り替えを行った所定時間後(ランプから出射される光の出力が安定した後)において、図5に示す手順でミラー4の最適な位置の調整を再度行う。このように調整されたミラー4の最適な位置Yposr,Yposvは映像表示装置内に記憶され、映像表示装置の起動時にはミラー4がYposr,Yposvの位置に移動するよう制御される。
【0023】
高圧放電ランプに代表されるランプを一定時間点灯していると、アークジャンプによってランプ電極間にて放電する位置がジャンプする(ずれる)場合がある。図7は、本発明の実施形態1によるランプ2,3の動作を示す図である。図7に示すように、ランプ2,3はランプ電極30とリフレクタ31とを備え、ランプ電極30間にて放電して生じた光をリフレクタ31で反射させて集光点に集光させている。例えば、図7(a)に示すように、放電ポイントAにて放電が行われてランプ2,3が点灯している状態において、ランプ2,3から出射された光は集光点Aにて集光する。一方、図7(b)に示すように、アークジャンプが発生することによって放電ポイントBが例えば図中の上方向にずれると、放電ポイントBにて放電が行われてランプ2,3から出射された光は集光点Bにて集光される。図7(a),(b)に示すように、集光点Bは集光点Aに対して図中の下方向にずれている。このように、アークジャンプが発生するとランプ2,3の集光スポットもずれてしまい、結果的にミラー4を反射してロッドインテグレータ5の入射面に入射される入射スポットが最適な位置でなくなることになる。従って、制御回路12では、輝度センサ11から定期的に輝度値を取得し、大きな輝度の低下が発生した場合はランプ2,3の電極間でアークジャンプが発生したと判断して、ミラー4の位置を再調整するよう制御を行う。
【0024】
図8は、本発明の実施形態1によるミラー4の再調整を示すフローチャートである。図8に示すように、新しいランプ2(または3)が点灯した直後において、輝度センサ11にて計測された輝度Ytをランプ初期の輝度データ(Yini=Yt)として記憶する(ステップS80)。また、前回計測された輝度をY0=Ytとして記憶する(一回目の計測の場合は、ランプ初期の輝度が前回計測された輝度として記憶される)(ステップS81)。次に、所定の時間のWAIT(例えば、2分間のWAIT)を行い(ステップS82)、再度輝度センサ11にて輝度Ytを計測する(ステップS83)。ステップS84において、前回と今回との輝度センサ11にて計測された輝度の変化量Yt/Y0と、予め決められた閾値Thとを比較して(ステップS84)、Yt/Y0<Thの場合は、前回と今回との輝度の変化量が大きいと判断し、ミラー4の位置の再調整を行う(ステップS85)。ミラー4の位置の再調整は、具体的には図5に示す手順に従って調整される。すなわち、制御回路12が輝度センサ11にて計測された輝度が最大となるようにミラー4の回転角度および前後方向(回転軸方向)の位置を調整した後、輝度センサ11は、所定の時間間隔で輝度の計測を行い、制御回路12は、輝度センサ11にて計測された輝度が前回計測された輝度よりも閾値Th(第1の閾値)以上低下したと判断すると、ミラー4の反射面の回転角度および前後方向の位置を再調整する。
【0025】
ステップS85にてミラー4の位置の再調整をした後、輝度センサ11にて輝度Ytの計測を行い(ステップS86)、ステップS87に移行する。一方、ステップS84において、Yt/Y0≧Thの場合は、前回と今回との輝度の変化量が小さいと判断し、ミラー4の位置の再調整を行わずにステップS87に移行する。
【0026】
ステップS87において、現在の輝度Yt(ミラー4の位置の再調整を行った場合はステップS86にて計測した輝度であり、再調整を行わなかった場合はステップS83にて計測された輝度)と、予め決められた閾値Ytcとを比較し、Yt>Ytcの場合は、ランプ2(または3)の輝度の低下がなく現在使用中のランプ2(または3)を引き続き使用可能であると判断し、ステップS81に移行する。一方、ステップS87において、Yt≦Ytcの場合は、ランプ2(または3)の輝度が予め決められた閾値以下に低下した、すなわち現在点灯しているランプ2(または3)が寿命に達したと判断し、他方のランプ3(または2)にランプチェンジ(ランプの切り替え)をするよう制御を行う(ステップS88)。すなわち、本実施形態1による映像表示装置のようにランプが複数配置される場合において、制御回路12は、輝度センサ11にて計測された輝度が閾値Ytc(第2の閾値)以下であると判断すると、他のランプから出射された光をロッドインテグレータ5の方向に反射させるようミラー4を制御する。
【0027】
図8に示すフローチャートの具体例として、例えばTh=0.3、Ytc=Yini×0.5とした場合において、輝度センサ11にて計測された輝度Ytが前回計測した輝度よりも30%以上低下した場合にはミラー4の位置の再調整を行うよう制御を行う(ステップS84)。また、現在の輝度Ytがランプ初期の輝度値Yiniの50%以下となった場合には、ランプの寿命と判断してランプチェンジするよう制御を行う(ステップS88)。
【0028】
なお、上記実施例においてミラー4の再調整時も回転方向、前後方向に対してミラー4が移動できるすべての範囲で最大輝度となる位置を検出しているが、再調整時はスクリーン上への輝度変化が大きく変化しないように現在のミラー4の位置を基準にして回転方向および前後方向に必要最小限の移動を行い最大輝度を検出するように制御を行ってもよい。
【0029】
以上のことから、本実施形態1による映像表示装置では、ライトバルブ8にて反射された光(すなわち、ロッドインテグレータ5に入射される光)の輝度を定期的に計測し、所定の時間内に輝度が大きく低下した場合はミラー4の位置を再調整することによって、アークジャンプによりロッドインテグレータ5の入射面に対する入射スポット(集光スポット)がずれることに起因する表示輝度の低下を補正することができる。また、アークジャンプに起因する輝度の低下によって、ランプ自体の輝度が低下していないにも関わらず自動的に他のランプにランプチェンジする誤動作を防止することができる。さらに、ミラー4の再調整時には、ミラー4の位置を回転方向および前後方向に移動して輝度の計測を行うため、再調整中は映像表示装置の表示輝度も変化してしまう。しかし、再調整は所定の時間内に輝度が大きく低下した場合にのみ行われるため、経時変化によってゆっくりと輝度が低下するような場合に不必要な再調整が行われることがない。
【0030】
〈実施形態2〉
図9は、本発明の実施形態2による映像表示装置の構成を示すブロック図である。本実施形態2による映像表示装置は、ランプ2を1つ備えていることを特徴としている。その他の構成および動作は、実施形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0031】
図9に示すように、制御回路22は、実施形態1と同様に、輝度センサ11にて計測された輝度が最大となるようにミラー4の回転方向(回転角度)および前後方向(回転軸方向)が最適な位置となるように調整し、ランプ2においてアークジャンプが発生した場合はミラー4の位置の再調整を行うが、ランプ2が経時変化によって輝度低下した場合やランプ切れの場合には予備の交換ランプがないため、映像表示装置から警告表示するよう制御が行われる。なお、警告表示は、例えばスクリーン10上に表示するようにしてもよい。
【0032】
図10は、本発明の実施形態2によるミラー4の再調整を示すフローチャートである。図10において、ステップS100〜ステップS106における動作は、図8のステップS80〜ステップS86における動作と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0033】
図10のステップS107において、現在の輝度Ytと予め決められた閾値Ytcとを比較し、Yt>Ytcの場合は、ランプ2の輝度の低下がなく現在使用中のランプ2を引き続き使用可能であると判断し、ステップS101に移行する。一方、ステップS107において、Yt≦Ytcの場合は、ランプ2の輝度が予め決められた閾値以下に低下した、すなわち現在点灯しているランプ2が寿命に達したと判断し、ランプ交換を促す警告表示するよう制御を行う(ステップS108)。すなわち、本実施形態2による映像表示装置のようにランプが1つ配置される場合において、制御回路12は、輝度センサ11にて計測された輝度が閾値Ytc(第2の閾値)以下であると判断すると、ランプの交換を促す警告を表示するよう制御する。
【0034】
以上のことから、本実施形態2による映像表示装置では、実施形態1による映像表示装置と略同じ構成でランプチェンジを行わない構成とすることができる。また、ライトバルブ8にて反射された光(すなわち、ロッドインテグレータ5に入射される光)の輝度を定期的に計測し、所定の時間内に輝度が大きく低下した場合はミラー4の位置を再調整することによって、アークジャンプによりロッドインテグレータ5の入射端面に対する入射スポット(集光スポット)がずれることに起因する表示輝度の低下を補正することができる。さらに、アークジャンプに起因する輝度の低下によって、ランプ自体の輝度が低下していないにも関わらず自動的に他のランプにランプチェンジする誤動作を防止することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 モータ、2,3 ランプ、4 ミラー、5 ロッドインテグレータ、6 カラーホイール、7 リレーレンズ、8 ライトバルブ、9 投射レンズ、10 スクリーン、11 輝度センサ、12 制御回路、13 信号処理回路、22 制御回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部と、
前記光源部から出射された光を反射する反射面を有し、所定の回転軸回りに回転可能であり、かつ前記回転軸方向に沿って移動可能なミラーと、
前記反射面にて反射された光が入射される光インテグレータと、
前記光インテグレータから出射された光を映像信号に基づいて強度変調してスクリーン上に投射するライトバルブと、
前記ライトバルブのオフステートの光を検出して輝度を計測する輝度センサと、
前記輝度センサにて計測された輝度に基づいて、前記反射面の回転角度および前記回転軸方向の位置を調整する制御手段と、
を備える、映像表示装置。
【請求項2】
前記制御手段が、前記輝度センサにて計測された輝度が最大となるように、前記反射面の回転角度および前記回転軸方向の位置を調整した後、前記輝度センサは、所定の時間間隔で輝度の計測を行い、
前記制御手段は、前記輝度センサにて計測された輝度が前回計測された輝度よりも第1の閾値以上低下したと判断すると、前記反射面の回転角度および前記回転軸方向の位置を再調整することを特徴とする、請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記光源部が複数配置される場合において、
前記制御手段は、前記輝度センサにて計測された輝度が第2の閾値以下であると判断すると、他の光源部から出射された光を前記光インテグレータの方向に反射させるよう前記反射面を制御することを特徴とする、請求項1または2に記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記光源部が1つ配置される場合において、
前記制御部は、前記輝度センサにて計測された輝度が第2の閾値以下であると判断すると、前記光源部の交換を促す警告を表示するよう制御することを特徴とする、請求項1または2に記載の映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−242617(P2011−242617A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114933(P2010−114933)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】