説明

時刻認証方法

【課題】 コンピュータが処理可能な符号化された文書をインターネットなどのコンピュータネットワークを経由して受け渡す場合に,時刻を認証する方法に関するものである.
【解決手段】 コンピュータが処理可能な符号化された文書をインターネットなどのコンピュータネットワークを経由して受け渡す場合に,渡す側と受け取る側の2つのクライアントシステムとは別に,時刻を認証するサーバシステムを設けることにより,その文書の内容を見ることのできる時刻を認証する.

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,コンピュータが処理可能な符号化された文書を作成した後,ある特定の時刻になるまでは他の者に文書の内容を公開しないで,かつその特定の時刻に達した後にはその文書の暗号化されたものを有するものは復号化してその内容を見ることができるようにする場合に好適な時刻認証方法に関するものである.
【背景技術】
【0002】
従来から,コンピュータが処理可能な符号化された文書に関しては,暗号化技術を応用して,文書の内容が改ざんされていないことや文書の送付者が特定の者であることを認証するシステムがある.この例として,非特許文献1に開示されているものがある.また,時刻認証方法に関しては,特定時刻と現在時刻の比較をサーバシステムで実施する方法がある.この例として,特許文献1に開示されているものがある.
【非特許文献1】 佐々木ほか著:「インターネット時代の情報セキュリティ」,共立出版,2000年発行
【特許文献1】 特開2001−156769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンピュータが処理可能な符号化された文書を種々の暗号化技術を応用して受け渡すシステムでは,文書の内容が改ざんされていないことや特定の者が本人であることを認証することはできるが,時刻を認証することはできないという欠点がある.特定時刻と現在時刻の比較をサーバシステムで実施する特許(特開2001−156769)の方法では,サーバシステムの処理が複雑になり,クライアントシステムとサーバシステムとの交信方法も複雑になるという欠点がある.本発明は,このような,サーバシステムの処理やクライアントシステムの処理や両者の交信方法が複雑になるという不都合を解決することを課題とする.
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するための請求項1の発明は,インターネットなどのコンピュータネットワーク上での文書の受け渡しにおいて,コンピュータが処理可能な符号化された文書を作成し,暗号化した後,ある特定の時刻になるまでは他の者は暗号化された文書を復号化できないようにし,かつその特定の時刻に達した後にはその暗号化された文書を有する者は復号化してその内容を見ることができるようにする場合において,文書の暗号化に用いた共通鍵暗号方式の共通秘密鍵と指定時刻をサーバシステムの有する公開鍵暗号方式の公開鍵で暗号化したものを,暗号化された文書の送付先のクライアントシステムに送付することを特徴とする,時刻認証方法である.この方法では,暗号化された文書を渡す側のクライアントシステムはサーバシステムと交信する必要はなく,サーバシステムは文書の暗号化に用いた共通鍵暗号方式の共通秘密鍵と指定時刻を暗号化する必要がなくなる.
【発明の効果】
【0005】
本発明により,特定の時刻以降にのみ暗号化された情報を見ることができるようにする時刻認証方法において,文書の暗号化に用いた共通鍵暗号方式の共通秘密鍵と指定時刻をサーバシステムの有する公開鍵暗号方式の公開鍵で暗号化したものを,暗号化された文書の送付先のクライアントシステムに送付するようにすることにより,暗号化された文書を渡す側のクライアントシステムはサーバシステムと交信する必要はなくなり,サーバシステムは文書の暗号化に用いた共通鍵暗号方式の共通秘密鍵と指定時刻を暗号化する必要がなくなるので,暗号化された文書を渡す側のクライアントシステムとサーバシステムの処理を簡単化することができる.
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下,本発明の実施の形態を図面により説明する.
【実施例】
【0007】
図1は,本発明による時刻認証方法の実施の形態であるコンピュータシステムの構成を示すものである.情報暗号化処理部(4)と送信情報暗号化処理部(5)と情報復号化処理部(6)を含むクライアントシステム(1)と,特定時刻復号化処理部(7)を含むサーバシステム(2)から構成される.
【0008】
図2は,本発明による時刻認証方法の実施の形態であるコンピュータネットワークシステムの構成を示すものである.図1に示した構成のコンピュータシステムである1つ以上のクライアントシステム(1)とサーバシステム(2)とコンピュータネットワーク(3)から構成される.
【0009】
図3は,ある特定の時刻になるまでは他の者に文書の内容を公開しないで,かつその特定の時刻に達した後にはその暗号化された文書を有するものは復号化してその内容を見ることができるようにする場合の,図2の2つのクライアントシステム(1)とサーバシステム(2)の動作の詳細なフローを示すものである.
【0010】
図3に示すように,まず,クライアントシステム(1a)のステップ31において,コンピュータが処理可能な符号化された文書の情報を共通鍵暗号方式を用いて情報暗号化処理部で暗号化する.
【0011】
次にクライアントシステム(1a)のステップ32において,この暗号化に用いた共通秘密鍵とある特定時刻をサーバシステムの有する公開鍵暗号方式における公開鍵を用いて送信情報暗号化処理部でいっしょに暗号化し,クライアントシステム(1b)に送付する.
【0012】
次にクライアントシステム(1b)のステップ33において,特定時刻に達した時に,ステップ32で暗号化された暗号化に用いた共通秘密鍵と特定時刻をサーバシステムに送付する.
【0013】
次にサーバシステムのステップ34において,このステップ32で暗号化されな暗号化に用いた共通秘密鍵と特定時刻をサーバシステムの有する公開鍵暗号方式における秘密鍵を用いて特定時刻復号化処理部で復号化し,特定時刻が現在時刻を過ぎていれば,特定時刻といっしょに暗号化されていた共通秘密鍵と特定時刻をクライアントシステム(1b)に送付する.もし,特定時刻が現在時刻を過ぎていなければ,特定時刻のみをクライアントシステム(1b)に送付する.
【0014】
次にクライアントシステム(1b)のステップ35において,サーバシステムから共通秘密鍵が送付された場合,送付された共通秘密鍵を用いてステップ31で暗号化されていた情報を復号化する.
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 本発明の実施の形態を示すコンピュータシステムの構成図
【図2】 1つ以上のクライアントシステムと1つのサーバシステムをコンピュータネットワークを介して接続した本発明の実施の形態を示す構成図
【図3】 図2の2つのクライアントシステムと1つのサーバシステムの動作の詳細なフロー図
【符号の説明】
【0016】
1 クライアントシステム
2 サーバシステム
3 コンピュータネットワーク
4 情報暗号化処理部
5 送信情報暗号化処理部
6 情報復号化処理部
7 特定時刻復号化処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが処理できるように符号化された情報に関して,この情報を共通鍵暗号方式で暗号化する情報暗号化処理部(4)と,この暗号化された情報を復号化するための共通秘密鍵およびある特定時刻をいっしょに公開鍵暗号方式における公開鍵で暗号化して送信する送信情報暗号化処理部(5)と,情報暗号化処理部(4)で暗号化された情報をこの共通秘密鍵を用いて復号化する情報復号化処理部(6)とを有するクライアントシステム(1)と,
この送信情報暗号化処理部(5)で暗号化された共通秘密鍵および特定時刻を受け取って公開鍵暗号方式における秘密鍵で復号化して,特定時刻を現在時刻と比較して現在時刻が特定時刻を越えている場合にのみ共通秘密鍵および特定時刻をクライアントシステム(1)へ送信する特定時刻復号化処理部(7)とを有するサーバシステム(2)とがコンピュータネットワーク(3)で接続されたシステムにおける,時刻認証方法において,
現在時刻が特定時刻を過ぎるまでは1つのクライアントシステム(1)の情報暗号化処理部(4)で暗号化された情報がこの暗号化された情報と特定時刻暗号化処理部(5)で暗号化された共通秘密鍵および特定時刻を受け取った別のクライアントシステム(1)の情報復号化処理部(6)で復号化されることがないことを保証することを特徴とする,
時刻認証方法.

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−263568(P2008−263568A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126118(P2007−126118)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(594055907)
【Fターム(参考)】