説明

時間治療用医薬組成物

本発明は時間治療用医薬組成物及びその製造方法に関する。本組成物は少なくとも1つの有効成分と、pH非依存性物質と、親水性物質とを含む。組成物中の有効成分はpH非依存性物質で被覆されている。本組成物は二重除放システムであり、4〜6時間の初期ラグタイム及び最大24時間の有効成分の除放を助ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は時間治療用(chronotherapeutic)医薬組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経口制御放出(oral controlled-release)は、経口投与経路が有する明らかな利点から最もポピュラーな薬物送達システムであり、薬物放出作用を長期間持続して薬物血中濃度を治療域(therapeutic window)内に維持する。
【0003】
ある種の病態では、ラグタイム後の薬物放出が要求される。投与後最初の2〜6時間は放出されてはならず、このラグタイム後に、所望の治療作用を得るためにパルス状に放出又は除放されなければならない。
【0004】
このような放出パターンが必要な病態としては、a)概日リズムに従い、かつ、レニン、アルドステロン、コルチゾル等のホルモンの増減を引き起こす諸生理、b)関節リウマチ、胃食道逆流症、気管支喘息、心筋梗塞、狭心症、高血圧症等のような時間薬理学的依存性(chronopharmacological dependence)を示す疾患等が挙げられる。
【0005】
ある治療法において理想的にはその生物学的要件にマッチするリズムで生物活性薬剤を放出するこれらの薬物送達システムは、時間治療用薬物送達システムと呼ばれており、時間制御薬物送達システム及び部位特異的薬物送達システムがある。
【0006】
研究者は、人体の薬に対する反応態様は薬の服用タイミングに影響されうることを見出しており、自然の日内変動を考慮した治療科学が時間治療学(chronotherapeutics)である。時間治療学は、特定の疾患又は病態に対して、薬物を的確な用量で、的確な部位に、最も適切な期間日常的に送達させることに基づいている。
【0007】
関節リウマチ、胃酸分泌、喘息、心臓疾患等の適応症の時間治療の主要目的は、薬物の必要性が最大である期間中は所望濃度で薬物を送達し、必要性が低い期間中は低濃度で薬物を送達することである。我々の概日リズムは睡眠活動サイクルに基づいており遺伝構造により影響されるため、日中夜(24時間)人体機能に影響を及ぼす。
【0008】
関節炎は人体の関節への損傷を伴う一連の病態であり、55歳以上の人における身体障害の主要因である。関節炎には様々な形態があり、それぞれ原因が異なる。最も典型的な関節炎の態様は骨関節炎(変性関節疾患)であり、関節への外傷、関節の感染や、加齢によるものである。身体異常が骨関節炎の早期発症の一因とりうることを示唆する証拠が得られつつある。他の関節炎の態様としては、関節リウマチや乾癬性関節炎がある。化膿性関節炎は関節感染により発生する。通風性関節炎は、症を引き起こす関節への尿酸結晶の堆積により発生する。
【0009】
関節リウマチ(RA)は、貧血を伴って、関節や腱鞘の炎症及び組織損傷(関節炎)を通引き起こすことが多い慢性全身性自己免疫疾患である。また、肺、心膜、胸膜、眼強膜のびまん性炎症や、皮下組織に見られることが多い結節性病変を引き起こす。関節リウマチは生活に支障を来すほどの痛みを伴う症状であり、身体機能及び運動能力の相当部分が喪失しうる。関節リウマチは主に症状及び兆候により診断されるが、血液検査(特にはリウマトイド因子と呼ばれる試験)及びX線検査でも診断される。診断及び長期管理は通常、関節疾患及び結合組織疾患のエキスパートであるリウマチ専門医により行われる。関節リウマチ患者は特に早朝に関節痛、関節膨張、朝硬直、身体機能不全の症状を訴えるというのがリウマチ専門医の臨床的経験であり、関節炎については、関節痛に時間生物学的パターンが観察される。骨関節炎を患う患者では、朝は痛みが小さく夜に痛みが大きくなる傾向がある一方、関節リウマチを患う患者では通常、朝に痛みのピークを迎え、時間が経つ連れ痛みが軽減する。過去の動物実験によれば、ラット関節の炎症は24時間変動することが示されており、このような観察は患者及び医者に支持されている。
【0010】
関節炎治療の潜在的な候補薬物の例には、NSAIDs及び副腎皮質ステロイドが含まれる。好ましくは、薬物の血中濃度が最も高くなるときが痛みのピークと重なるように服用のタイミングを合わせるべきである。骨関節炎の場合、NSAIDの最適服用時間は正午付近か午後中頃であり;関節リウマチの場合、NSAIDの最適服用時間は夕食後である。
【0011】
Pentwest Pharmaceuticals社に譲渡された特許文献1は、有効成分のコアと、当該コアの表面に付着された天然又は合成ゴムを有する放出遅延圧縮コーティング(delayed release compression coating)とを含む時間治療用製剤に関する。
【0012】
Duramed Pharmaceuticals社に譲渡された特許文献2は、有効成分と3成分型の放出制御マトリックス組成物とを含む薬物貯蔵製剤(depot drug formulation)に関する。かかる先行技術文献の発明における前記マトリックス組成物の3成分は、アルジネート成分としてpH依存性ゲル化ポリマー、腸溶性ポリマー成分、及び、pH非依存性ゲル化ポリマーである。
【0013】
BioKey社に譲渡された特許文献3は、ブプロピオンを含むコアと薬学的に許容可能なpH非依存性ポリマー及び界面活性剤を含むコーティングとを含む医薬組成物に関する。
【0014】
現在、放出速度及び薬物血中プロファイルが生理学的・時間治療学的要件と一致するようにNSAIDsを送達することが可能な経口除放組成物を提供することが望ましいと当業者に考えられている。上記先行技術が存在するにもかかわらず、関節炎の症状をより良好にコントロールし、製造が簡便であり、製造プロセスが安価であり、かつ、時間治療用薬物送達システムの要件を満たす発明が依然として必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許出願第2005/0276853号明細書
【特許文献2】米国特許第6,346,268号明細書
【特許文献3】米国特許出願第2006/0099260号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、時間薬理学的依存性を示す疾患の抑制に効果的な時間治療用医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様は、pH非依存性の物質又はポリマーに被覆された少なくとも1つの有効成分を含む時間治療用医薬組成物に関する。本組成物は被覆された有効成分と混合された親水性物質を更に含む。まず、有効成分は所定のラグタイム後に放出され、次いで人体の概日リズムに従って除放される。有効成分放出までのラグタイムは4〜6時間であり、その後有効成分が最大24時間除放される。本組成物は更にpH依存性ポリマーにより腸溶コーティングされている。
【0018】
本発明の他の態様は、有効成分と、pH非依存性物質と、親水性物質とを含む時間治療用医薬組成物の製造方法に関する。本製造方法は、有効成分をpH非依存性物質で被覆するステップを含む。被覆された有効成分は、親水性物質とブレンドされ、錠剤に圧縮される。圧縮錠剤は更に腸溶コーティングされ、時間治療用組成物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】表1に示す溶出プロファイルのグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態によれば、時間治療用医薬組成物は少なくとも1つの有効成分と、pH非依存性物質(pH independent agent)と、親水性物質(hydrophilic agent)とを含む。有効成分のみがpH非依存性物質すなわちpH非依存性ポリマーで被覆されている。親水性物質は被覆された有効成分の周辺にマトリックスを形成する。有効成分の濃度は1〜1000mgである。本組成物は、最大4〜6時間の初期ラグタイム後に最大24時間有効成分を除放する。
【0021】
本時間治療用医薬組成物の有効成分は非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)のクラスから選択される。NSAIDsは、ナプロキセン、ロルノキシカム、ジクロフェナク、イブプロフェン、及び、それらの塩からなる群から選択される。本時間治療用医薬組成物に使用されるNSAIDは、ナプロキセンナトリウムであることが好ましい。
【0022】
ナプロキセンは、アリール酢酸系NSAIDに関連するプロピオン酸誘導体である。ナプロキセン及びナプロキセンナトリウムの化学名はそれぞれ、「(S)−6−メトキシ−α−メチル−2−ナフタレン酢酸」及び「(S)−6−メトキシ−α−メチル−2−ナフタレン酢酸ナトリウム塩」である。ナプロキセン及びナプロキセンナトリウムは下記式(I)で表される構造をそれぞれ有する。
【0023】
【化1】

・・・式(I)
ナプロキセン:(R=−COOH)
ナプロキセンナトリウム:(R=−COONa)
【0024】
ナプロキセンは、骨関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、痛風、強直性脊椎炎、月経痛、腱炎及び滑液包炎等の疾患による中〜重度の疼痛、発熱、炎症及び硬直の軽減や、原発性月経困難症の治療に通常使用される非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)である。ナプロキセンは酵素COX−1及びCOX−2の両方を阻害することにより効果を発揮する。ナプロキセンはpH依存型溶解性を有する。すなわち、酸性pH条件ではわずかに溶解しアルカリpH条件では制限なく溶解する。ナプロキセンは生物薬剤学分類システム(BCS)クラスIIの薬剤(低溶解度・高膜透過性)である。
【0025】
pH非依存性物質(pH非依存性ポリマー)は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、メチルセルロース、グアーガム、キサンタンガム、アラビアガム、ヒドロキシエチルセルロース、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(オイドラギット(R)NE30D)、エチルセルロース、酢酸ポリビニル分散液(コリコート(R)SR30D)、又は、それらの組み合わせ、及び、当業者に知られる材料からなる群から選択される。
【0026】
親水性物質(膨張性ポリマー)は、ポリエチレンオキシド、セルロースエーテル、グアー、グアー誘導体、ローカストビーンガム、オオバコ、アラビアガム、ガッティガム、カラヤガム、トラガカントガム、カラギーナン、アガー、アルジネート、キサンタン、スクレログルカン、デキストラン、ペクチン、デンプン、キチン、キトサン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(CMHEC)、ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース(HPHEC)、メチルセルロース(MC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、カルボキシメチルメチルセルロース(CMMC)、疎水化変性カルボキシメチルセルロース(HMCMC)、又は、それらの組み合わせ、及び、当業者に知られる材料からなる群から選択される。
【0027】
本発明の他の一実施形態によれば、時間治療用医薬組成物は少なくとも1つの有効成分と、pH非依存性物質(すわなちpH非依存性ポリマー)と、親水性物質とを含む。有効成分のみがpH非依存性ポリマーで被覆されている。有効成分の濃度は1〜1000mgである。本組成物は、最大4〜6時間の初期ラグタイム後に最大24時間有効成分を除放する。本組成物は更に腸溶コーティングを含む。腸溶コーティングは有効成分の放出を更に遅延させる腸溶コーティングポリマーにより形成される。pH依存性ポリマーは、シェラック、メタクリル酸コポリマー(オイドラギット(R)S又はL)、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートトリメリテート、ポリビニルアセテートフタレート(オパドライ(R)enteric white OY−P−7171)、又は、それらの組み合わせ、及び、当業者に知られる材料からなる群から選択される。
【0028】
本発明の他の一実施形態によれば、pH非依存性物質で被覆された有効成分と親水性物質とを含む時間治療用医薬組成物の製造方法が提供される。本製造方法は有効成分をpH非依存性物質で被覆するステップを含む。有効成分の被覆は流動床プロセッサ(fluidized bed processor)内で行われる。次いで、被覆された有効成分を膨張性・速効性ゲル化親水性物質とブレンドし、ブレンド物を錠剤に圧縮する。圧縮錠剤を更に腸溶性ポリマーで腸溶コーティングし、時間治療用医薬組成物とする。
【0029】
本発明の他の一実施形態によれば、時間治療用組成物は薬学的に許容可能な賦形剤を更に含む。
【0030】
本発明の他の一実施形態は、時間薬理学的依存性を示す疾患を治療するための時間治療用組成物の使用に関する。かかる疾患としては、関節炎、胃食道逆流症、気管支喘息、心筋梗塞、狭心症、高血圧が挙げられる。
【0031】
本発明の他の一実施形態は、被検体に治療有効量の時間治療用医薬組成物を投与するステップを含む、時間薬理学的依存性を示す疾患の治療方法に関する。医薬組成物は錠剤とされ、1日に一回経口投与される。錠剤内の有効成分は、圧縮前はペレット状及び/又は顆粒状である。他にも様々な剤形が可能であり、顆粒又はミニ錠剤を充填したカプセルとすることもできる。
【0032】
本技術は2つのアプローチ、すなわち、i)最大4〜6時間の初期放出遅延(ラグタイム)及びii)それに続く最大24時間の薬物除放、を提供する。
【0033】
本発明において、有効成分はマトリックス形成親水性物質で被覆/混合されて、錠剤に圧縮される。次いで、圧縮錠剤は更に放出遅延pH依存性物質で腸溶コーティングされる。時間治療用組成物は2つのコーティングを含み、一方は有効成分を被覆し、他方は圧縮錠剤を被覆する。粒子状被覆薬物、すなわち被覆有効成分をマトリックス形成親水性物質と共に圧縮すると、当該有効成分は粒子状コーティングを通過し、次いで被覆粒子周辺のマトリックスを通過して系から放出される。親水性物質は更なるバリアとなり、均一かつ長いラグタイムが得られる。これは、放出遅延コーティングと共に、二相性放出経路により系からの早期薬物放出が防止されて薬物放出を効果的に遅延されるという本発明の利点である。系から薬剤放出され、被検体間の血中薬物プロファイルのバラツキが少ない。前記組成物は二重除放システム(dual controlled release system)であるため、必要なラグタイム及び有効成分の除放が得られる。このような組成物の製造は簡素かつ安価である。
【0034】
上記時間治療用組成物及びその調製方法は本発明に実施例に基づいて詳細に説明される。
【0035】
(用語の定義)
本明細書において、「放出遅延」とは、有効成分の放出が4〜6時間遅延し(ラグタイム)、放出量がラベルクレームの10%未満であることをいう。
【0036】
本明細書において、「有効成分」とは、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)のクラスから選択される薬剤をいう。
【0037】
本明細書において、「賦形剤」とは、有効成分ではない医薬製品の成分であり、例えば、充填剤、希釈剤、キャリア、アルカリ化剤、可塑剤、抗接着剤、滑剤、結着剤、溶媒等である。医薬組成物の調製に有用な賦形剤は、安全・無毒であり、かつ、医薬用途として許容可能である。
【0038】
本明細書において、「希釈剤」又は「充填剤」とは、所望の嵩及び流動性をとするための充填剤として使用される不活性物質をいう。このような化合物の例には第二リン酸カルシウム、微結晶セルロース、マンニトール、アルファー化デンプン、スクロース、セルロースパウダー、沈降炭酸カルシウム、デンプン、ラクトース、グルコース、及び、それらの組み合わせ、並びに、当業者に知られるその他の材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書において、「結着剤」とは、有効成分を希釈剤/充填剤と混合して有効成分の顆粒を調製する際に使用される剤をいう。このような化合物の例にはポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、アルファー化デンプン、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、クロスポビドン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、及び、それらの組み合わせ、並びに、当業者に知られるその他の材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
本明細書において、「滑剤」とは、流動性を向上させるために製剤中に使用される剤をいう。このような化合物の例にはコロイド状二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コーンスターチ、タルク、及び、それらの組み合わせ、並びに、当業者に知られるその他の材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書において、「pH非依存性物質」又は「pH非依存性物質ポリマー」とは、全pH範囲にわたって同様の変化を示す、すなわち、特定のpH範囲において特定の変化を示さないポリマーをいう。
【0042】
本明細書において、「親水性物質」又は「膨張性ポリマー」とは、その化学構造により、水溶液に対して顕著な親和性を有するポリマーをいい、当該水溶液中では溶解せず膨張する。
【0043】
本明細書において、「腸溶コーティングポリマー」とは、酸性胃液への溶解に抵抗性を示し、小腸環境下で溶解する「pH依存性」コーティングを形成するためのポリマーをいう。
【0044】
これら賦形剤の多くは、例えば、Howard C. Ansel et al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, (7th Ed. 1999);Alfonso R. Gennaro et al., Remington: The Science and Practice of Pharmacy, (20th Ed. 2000);A. Kibbe, Handbook of Pharmaceutical Excipients, (3rd Ed. 2000)に詳述されており、その内容を本明細書に援用する。
【0045】
以下の実施例は本発明の例示を目的としており、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0046】
(実施例1)
実施例の組成物の成分及び単位処方当たりの量(mg)を下記表に示す。
【0047】
ステップI:流動床プロセッサ(FBP)によるナプロキセン顆粒の調製
【表1】

【0048】
(手順)
1.ナプロキセン、第二リン酸カルシウム二水和物、及び、コロイド状二酸化ケイ素を秤量し、次いで#40メッシュ(ASTM)でふるいにかけた。
2.得られたブレンド物を流動床プロセッサに移し、2分間よく混合した。
3.ポリビニルピロリドンK30を必要量秤量し、脱塩水に攪拌下で添加して、結着溶液(終濃度:25%(w/v))を調製した。
4.ステップ2で得られた混合ブレンド物を、ステップ3で得られた結着溶液を使用して流動床プロセッサ内で顆粒化した。
5.得られた顆粒を流動床プロセッサ内で乾燥して水分量2〜3%とした。
【0049】
ステップII:FBPを用いた、ステップIで得られたナプロキセン顆粒の30%(w/w)ポリアクリレート分散液(オイドラギット(R)NE30D)による被覆(5%ポリマー重量増)
【表2】

【0050】
(手順)
1.オイドラギット(R)NE30Dを必要量秤量した。
2.タルクを必要量秤量し、#60メッシュ(ASTM)でふるいにかけた。
3.脱塩水を必要量秤量し、これにステップ2のタルクを(泡が形成されないように)攪拌しながら添加した。
4.均一な分散液を得た後、ステップ3の当該分散液にオイドラギット(R)NE30Dをゆっくり添加し、30分間混和した。最終分散液の固形分は20%(w/v)であった。
5.得られた分散液をナプロキセン顆粒の被覆に使用した。
6.#60メッシュ(ASTM)でふるい、#80メッシュ(ASTM)上に保持させたナプロキセン顆粒をオイドラギット(R)NE30D(pH非依存性ポリマー)で被覆した。
【0051】
ステップIII:ナプロキセン放出時間治療用錠剤(500mg)の圧縮及びその腸溶コーティング
【表3】

【0052】
(手順)
1.5%オイドラギット(R)NE30D被覆ナプロキセン顆粒を必要量秤量した。
2.ステップ1の顆粒を、#40メッシュ(ASTM)でふるった第二リン酸カルシウム二水和物、ポリエチレンオキシド、アルギン酸ナトリウムと混合した。
3.ステップ2のブレンド物をステアリン酸マグネシウムで潤滑化し、錠剤に圧縮した。
4.次いで、圧縮錠剤をポリビニルアセテートフタレート(オパドライ(R)enteric white OY−P−7171)で腸溶コーティングした。
ナプロキセンの時間治療用医薬組成物の溶出プロファイル試験を以下の溶解条件で行った。
USP Type−II、1000ml、75RPM、0〜2時間
0.1N HCl、2〜24時間
リン酸バッファーpH6.8
【0053】
溶出プロファイルを下記表1に示し、そのグラフを図1に示す。
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの有効成分と、pH非依存性物質と、親水性物質とを含み、
前記有効成分は前記pH非依存性物質で被覆され、初期ラグタイム後に前記有効成分が除放される、時間治療医薬組成物。
【請求項2】
前記初期ラグタイムは4〜6時間である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記有効成分は24時間放出される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記有効成分はNSAIDsのクラスから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記NSAIDsは、ナプロキセン、ロルノキシカム、ジクロフェナク、イブプロフェン、及び、それらの塩からなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
好ましいNSAIDはナプロキセンナトリウムである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記pH非依存性物質は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、メチルセルロース、グアーガム、キサンタンガム、アラビアガム、ヒドロキシエチルセルロース、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(オイドラギット(R)NE30D)、又は、それらの組み合わせから選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記親水性物質は、ポリエチレンオキシド、セルロースエーテル、グアー、グアー誘導体、ローカストビーンガム、オオバコ、アラビアガム、ガッティガム、カラヤガム、トラガカントガム、カラギーナン、アガー、アルジネート、キサンタン、スクレログルカン、デキストラン、ペクチン、デンプン、キチン、キトサン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(CMHEC)、ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース(HPHEC)、メチルセルロース(MC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、カルボキシメチルメチルセルロース(CMMC)、疎水化変性カルボキシメチルセルロース(HMCMC)、エチルセルロース、酢酸ポリビニル分散液(コリコート(R)SR30D)、又は、それらの組み合わせから選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
腸溶コーティングを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記腸溶コーティングはpH依存性ポリマーからなる、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記pH依存性ポリマーは、シェラック、メタクリル酸コポリマー(オイドラギット(R)S又はL)、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートトリメリテート、ポリビニルアセテートフタレート(オパドライ(R)enteric white OY−P−7171)、又は、それらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
タブレット、顆粒又はカプセルの剤形である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
薬理学的に公知な賦形剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記有効成分の濃度は1〜1000mgである、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
有効成分と、pH非依存性物質と、親水性物質とを含み、前記有効成分のみが前記pH非依存性物質で被覆されている時間治療医薬組成物の製造方法であって、
前記有効成分を前記pH非依存性物質で被覆するステップと、
被覆された前記有効成分を前記親水性物質とブレンドするステップと、
ブレンドされた前記有効成分をタブレットに圧縮するステップとを含む、時間治療医薬組成物の製造方法。
【請求項16】
圧縮された前記タブレットを腸溶コーティングするステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
時間薬理学的依存性を示す疾患の治療に使用される、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記疾患は関節炎、胃食道逆流症、気管支喘息、心筋梗塞、狭心症、高血圧である、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
治療有効量の治療医薬組成物を投与するステップを含む、時間薬理学的依存性を示す疾患の治療方法。




【図1】
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【公表番号】特表2012−515765(P2012−515765A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−547062(P2011−547062)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際出願番号】PCT/IN2010/000035
【国際公開番号】WO2010/089772
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(511177433)アボット ヘルスケア プライベート リミテッド (1)
【Fターム(参考)】