説明

書類保管用回転棚の書類管理システム

【課題】集中保管された書類ファイル毎の書類情報を漏れ無く完全に入出庫管理するとともに、その入出庫管理に要する人為的な作業負担を大幅に軽減して効率の良いピックアップ作業や棚卸し作業などを達成できる書類保管用回転棚の書類管理システムを提供すること。
【解決手段】書類ファイルFが集中保管される多数の書類保管用回転棚111を回転させて所望の書類ファイルFを入出庫管理する書類管理システム100において、書類ファイルFの書類情報を記憶するRFIDタグが書類ファイルF毎に取り付けられているとともに、書類ファイルFのRFIDタグとの間で書類情報の受信を行う固定型アンテナ130が書類保管用回転棚111の回転域近傍に設置されていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行、証券会社、病院などにおいて債権書類、有価証券、患者カルテなどの重要書類を保管書類として集中保管するための書類管理システムに関するものであって、特に、書類ファイルが集中保管される多数の書類保管用回転棚を回転させて所望の書類ファイルを入出庫管理する書類保管用回転棚の書類管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行、証券会社、病院などにおいて債権書類、有価証券、患者カルテなどの重要書類を保管書類として集中保管するための書類管理システムとして、ファイル又は書架の棚毎に添付されたバーコードを読み取るためのハンディーターミナルとこのハンディーターミナルと送受信してファイルを管理するファイル管理用サーバとで構成されたファイル管理システムが広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−185317号公報(第1頁、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このようなファイル管理システムでは、バーコードがファイル又は書架の棚毎に添付され、ファイルを集中保管する棚が書架に固定されているため、ハンディーターミナルを用いてファイル又は書架の棚毎に添付されたバーコードをそれぞれ個別に読み取る必要があり、ピックアップ作業や棚卸し作業などの際には人海戦術的な多大な作業負担と作業時間を強いられるという厄介な問題があり、しかも、ハンディーターミナルを用いた人為的な読み取り作業では、ファイル又は書架の棚の読み飛ばしが発生する虞れもあり、ファイル又は書架の棚の全般に亙った過不足のない完全な読み取りが達成できないという厄介な問題があった。
【0004】
そこで、本発明が解決しようとする課題、すなわち、本発明の目的は、上述したような従来技術の問題点を解消するものであって、集中保管された書類ファイル毎の書類情報を漏れ無く完全に記録管理するとともに、その記録管理に要する人為的な作業負担を大幅に軽減して効率の良いピックアップ作業や棚卸し作業などを達成できる書類保管用回転棚の書類管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本請求項1に係る発明は、書類ファイルが集中保管される多数の書類保管用回転棚を回転させて所望の書類ファイルを入出庫管理する書類保管用回転棚の書類管理システムにおいて、前記書類ファイルの書類情報を記憶するRFIDタグが書類ファイル毎に取り付けられているとともに、前記書類ファイルのRFIDタグとの間で書類情報の受信を行う固定型アンテナが前記書類保管用回転棚の回転域近傍に設置されていることによって、前述した課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の書類保管用回転棚の書類管理システムは、書類ファイルが集中保管される多数の書類保管用回転棚を回転させて所望の書類ファイルを記録管理するものであって、以下のような格別の効果を奏することができる。
【0007】
すなわち、書類ファイルの書類情報を記憶するRFIDタグが書類ファイル毎に取り付けられているとともに、書類ファイルのRFIDタグとの間で書類情報の受信を行う固定型アンテナが書類保管用回転棚の回転域近傍に設置されていることによって、書類保管エ
リアを回転移送される書類保管用回転棚が、書類保管エリアの所定位置に設置された固定型アンテナの近傍を順次通過しながら書類ファイルのRFIDタグとの間で書類情報の受信を行うため、集中保管された書類ファイル毎の書類情報を漏れ無く完全に記録管理することができるとともに、従来のような人海戦術的にハンディーターミナルを各棚に移動させて受信を行う必要もなく、その記録管理に要する人為的な作業負担を大幅に軽減して効率の良いピックアップ作業や棚卸し作業などを達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明である書類保管用回転棚の書類管理システムは、書類ファイルが集中保管される多数の書類保管用回転棚を回転させて所望の書類ファイルを記録管理して、書類ファイルの書類情報を記憶するRFIDタグが書類ファイル毎に取り付けられているとともに、書類ファイルのRFIDタグとの間で書類情報の受信を行う固定型アンテナが書類保管用回転棚の回転域近傍に設置されていることにより、集中保管された書類ファイル毎の書類情報を漏れ無く完全に記録管理するとともに、その記録管理に要する人為的な作業負担を大幅に軽減して効率の良いピックアップ作業や棚卸し作業などを達成するものであれば、その具体的なシステム形態は、如何なるものであっても良い。
【0009】
すなわち、本発明に用いられる書類ファイルとは、例えば、銀行、証券会社、病院などにおいて債権書類、有価証券、患者カルテなどの重要書類そのもの、あるいは、このような重要書類をファイルもしくはカードボックスに収納したものなど、一つの纏まった書類情報として取り扱い可能で物自体が回転移送できるファイル形態であれば、如何なるファイル形態であっても差し支えない。
【0010】
そして、本発明に用いられるRFIDタグ(Radio Frequency Identification Tag)は、アンテナを介してリーダとの間で無線通信できるものであれば良く、その具体的な形態については、ラベル型のもの、円筒形のもの、カード形のもの、箱形のものなどの何れであっても良く、さらに、そのアンテナを介した無線通信方式についても、交流磁界によるコイルの相互誘導作用を利用した電磁結合方式や2つの周波数を使用して交信する電磁誘導方式などの何れであっても良い。
【0011】
また、本発明に用いられる書類保管用回転棚は、書類ファイルが集中保管される書類保管エリアにおいて水平に回転するもの、あるいは、垂直に回転するものの、何れであっても良く、その書類保管エリアのスペース使用状況や使い勝手などに応じて適宜選択すれば良い。
【0012】
さらに、本発明に用いられる固定型アンテナは、書類保管用回転棚の回転域近傍に設置して書類ファイルのRFIDタグとの間で書類情報の受信を行うことができれば、その具体的な設置形態は如何なる設置形態であっても差し支えないが、上述したような書類保管エリアにおいて水平に回転する書類保管用回転棚、所謂、水平回転棚の場合には、上下に連続配置された各棚を1つのアンテナで囲繞して水平回転棚が潜り抜ける間に一括して受信できるような設置形態、上下に連続配置された各棚の全面に亙って1つのアンテナを対向させて水平回転棚が近接通過する間に一括して受信できるような設置形態、上下に連続配置された各棚段毎にアンテナをそれぞれ対向させて水平回転棚が近接通過する間に各棚段毎に受信できるような設置形態などを採用しても構わない。
【実施例】
【0013】
本発明の実施例である書類保管用回転棚の書類管理システムを図1乃至図4を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施例である書類保管用回転棚の書類管理システムを示す概要図であり、図2は、RFIDタグの使用態様を示す説明図であり、図3は、本発明の第1実
施例におけるシステム構成図であり、図4は、本発明の第2実施例である書類保管用回転棚の書類管理システムを示す概要図である。
【0014】
まず、図1乃至図3に示すような本発明の第1実施例である書類保管用回転棚の書類管理システム100は、銀行、証券会社における債権書類、有価証券などの重要書類をファイルに収納してなる書類ファイルFを書類管理するものであって、書類ファイルFが集中保管される書類保管装置110に周回移動可能に配設された多数の書類保管用回転棚111を必要に応じて水平回転させて所望の書類ファイルFを入出庫管理するものである。
【0015】
そして、図1に示すように、書類ファイルFのRFIDタグ120との間で書類情報の受信を行うアーケード状の固定型アンテナ130が書類保管用回転棚111の回転域近傍に設置されていることにより、上下に連続配置された書類保管用回転棚111を1つの固定型アンテナ130で囲繞して水平回転型の書類保管用回転棚111が順次潜り抜ける間に一括して受信するように構成されている。
なお、図1における矢印Rは、書類保管用回転棚111の回転方向を示し、符号112は、図示しない周回駆動手段によって書類保管用回転棚111を回転誘導して周回移動させるための回転誘導レールであり、符号140は、データのリード、保管、転送機能を備えたコントローラである。
【0016】
そして、図2に示すように、書類ファイルFの書類情報を記憶するラベル型のRFIDタグ120が書類ファイルF毎に取り付けられ、これらのRFIDタグ120が添付された複数の書類ファイルFは、その取り扱いが簡便になるようにそれぞれカードボックスに収納されている。
【0017】
図3に示すように、本実施例では、書類ファイルFの書類情報を記憶するラベル型のRFIDタグ120が、交流磁界によるコイルの相互誘導作用を利用した電磁結合方式により、固定型アンテナ130を介してコントローラ140との間で書類情報の受信を行うようになっている。
【0018】
このようにして得られた本発明の第1実施例である書類保管用回転棚の書類管理システム100は、書類ファイルFの書類情報を記憶するRFIDタグ120が書類ファイルF毎に取り付けられているとともに、書類ファイルFのRFIDタグ120との間で書類情報の受信を行う固定型アンテナ130が書類保管用回転棚111の回転域近傍に設置されていることによって、書類保管エリアを回転移送される水平回転型の書類保管用回転棚111が、書類保管エリアの所定位置に設置された固定型アンテナ130の近傍を順次潜り抜ける間に書類ファイルFのRFIDタグ120との間で書類情報の受信を一括して行うため、集中保管された書類ファイルF毎の書類情報を漏れ無く完全に記録管理することができるとともに、従来のような人海戦術的にハンディーターミナルを各棚に移動させて受信を行う必要もなく、その記録管理に要する人為的な作業負担を大幅に軽減して効率の良いピックアップ作業や棚卸し作業などを達成することができるなど、その効果は甚大である。
【0019】
つぎに、図4に示す本発明の第2実施例である書類保管用回転棚の書類管理システム200は、前述した本発明の第1実施例である書類保管用回転棚の書類管理システム100と同様に、銀行、証券会社における債権書類、有価証券などの重要書類をファイルに収納してなる書類ファイルFを書類管理するものである。
本実施例では、書類ファイルFが集中保管される書類保管装置210に周回移動可能に配設された多数の書類保管用回転棚211を必要に応じて垂直に回転させて所望の書類ファイルFを記録管理するものであり、これ以外の基本構造は、前述した本発明の第1実施例である書類保管用回転棚の書類管理システム100と同じである。
【0020】
そこで、図4に示すように、書類ファイルFのRFIDタグ220との間で書類情報の受信を行う固定型アンテナ230は、書類保管装置210内の書類保管用回転棚211の垂直回転域近傍である上方部位に設置されている。
これにより、上下方向に垂直回転する書類保管用回転棚211を1つの固定型アンテナ230に順次対向させて通り抜ける間に一括して受信するように構成されている。
なお、図4における矢印Rは、書類保管用回転棚211の回転方向である。
【0021】
このようにして得られた本発明の第2実施例である書類保管用回転棚の書類管理システム200は、書類ファイルFの書類情報を記憶するRFIDタグ220が書類ファイルF毎に取り付けられているとともに、書類ファイルFのRFIDタグ220との間で書類情報の受信を行う固定型アンテナ230が書類保管用回転棚211の回転域近傍である上方部位に近接設置されていることによって、書類保管エリアを回転移送される垂直回転型の書類保管用回転棚211が、書類保管エリアの上方位置に近接設置された固定型アンテナ230の近傍を順次通り抜ける間に書類ファイルFのRFIDタグ220との間で書類情報の受信を一括して行うため、集中保管された書類ファイルF毎の書類情報を漏れ無く完全に記録管理することができるとともに、従来のような人海戦術的にハンディーターミナルを各棚に移動させて受信を行う必要もなく、その記録管理に要する人為的な作業負担を大幅に軽減して効率の良いピックアップ作業や棚卸し作業などを達成することができるなど、その効果は甚大である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施例である書類保管用回転棚の書類管理システムを示す概要図。
【図2】RFIDタグの使用態様を示す説明図。
【図3】本発明の第1実施例におけるシステム構成図。
【図4】本発明の第2実施例である書類保管用回転棚の書類管理システムを示す概要図。
【符号の説明】
【0023】
100,200 ・・・書類保管用回転棚の書類管理システム
110,210 ・・・書類保管装置
111,211 ・・・書類保管用回転棚
112 ・・・回転誘導レール
120,220 ・・・RFIDタグ
130,230 ・・・固定型アンテナ
140,240 ・・・リーダを備えたコントローラ
F ・・・書類ファイル
R ・・・書類保管用回転棚の回転方向


【特許請求の範囲】
【請求項1】
書類ファイルが集中保管される多数の書類保管用回転棚を回転させて所望の書類ファイルを入出庫管理する書類保管用回転棚の書類管理システムにおいて、
前記書類ファイルの書類情報を記憶するRFIDタグが書類ファイル毎に取り付けられているとともに、
前記書類ファイルのRFIDタグとの間で書類情報の受信を行う固定型アンテナが前記書類保管用回転棚の回転域近傍に設置されていることを特徴とする書類保管用回転棚の書類管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−247542(P2008−247542A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89786(P2007−89786)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】