説明

書類管理収納庫

【課題】 アンテナを時分割的に切り換え、且つ隣接するアンテナ間の中央位置の磁界をRFタグと交信可能な最低磁界強度以上にすることにより、大量の書類を一括読み書きできる書類管理収納庫を提供する。
【解決手段】 この書類管理収納庫300は、複数の書類を並べて収納する収納部301と、収納部301に備えられ、RFタグ(非接触情報記録媒体)200に記録されている情報を読み書きするための電波を授受する少なくともアンテナ30、32、34、37と、アンテナ30、32、34、37の何れか1つを選択する切替器(切替手段)42と、RFタグ200との間で所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を行うリーダライタ100と、切替器42及びリーダライタ100を制御するPC(制御手段)50と、を備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書類管理収納庫に関し、さらに詳しくは、積層型RFタグを取り付けた書類の管理情報を一括して読み書きする収納庫の構成技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から役所、会社等、大量の書類を管理、保管する機関、施設においては、書類を整理して収納するためのファイルを人為的なミスなく正確に自動的に管理、収納するために、各ファイル毎にRFタグを付し、そのRFタグに当該ファイルの管理情報を記録してファイル管理を自動化する試みがなされている。しかし、このようなシステムでは、管理する単位がファイル単位であり、ファイルに綴じられている書類1枚ごとに管理することができなかったため、ファイルが正確に管理されても、中身の書類が抜かれたり、或いは紛失したことをきめ細かく管理することはできなかった。その理由として、RFタグのコストが高く、各書類1枚ずつに取り付けるとシステム全体のコストが高騰することと、各書類にRFタグを取り付けた場合、一般的な共振型のRFタグが近接すると、RFタグのアンテナの相互インダクタンスが変化するので、RFタグのアンテナの総合インダクタンスが変化して共振点がずれ、最大の電力が得られないといった問題があったためである。例えば図11のように共振周波数が13.56MHzで共振したときに得られるレベルをV1(図11(a))とすると、共振点が14〜15MHzにずれることにより、13.56MHzでのレベルがV2まで低下してしまう(図11(b))。
そこで最近では、共振点のずれによる電力の低下をカバーするために、積層型のRFタグが開発され商品化されている。即ち、積層型のRFタグは、予め共振点を13.56MHzから高めの共振点に設計しておき、高めの共振点で最大電力が得られるようにするものである(ISO18000−3 mode2 ST型)。また、多数のRFタグを一括して読み書きするため、リーダライタのアンテナが1つで補える電力量には限界が出てくる。そこで、一括して読み書きできるRFタグの数を制限するために、通常LOWのRFタグから乱数によりNormalになるRFタグが数10枚程度になるようにランダムに選択する電力制御が行われる(特許文献1参照)。
特許文献1には、ICカードのアンテナは書き込み読み出し装置からの送信書き込み信号および送信パルス信号を受けて、受信書き込み信号および受信パルス信号を生成し、制御装置は、ノーマルパワーのみに応答して受信書き込み信号をデータとして記憶装置に書き込み、記憶装置からデータを読み出し、状態制御装置は、受信パルス信号のパルスをカウントすることにより生成されたカウント信号のカウント数が乱数発生装置からの乱数信号の乱数と等しくない時にローパワーモードを設定し、そうでない時にノーマルパワーモードを設定し、電力供給制御装置はローパワーモードの時にローパワーを制御装置に与え、そうでない時にノーマルパワーを制御装置に与えるように構成されたデータ書き込み読み出しシステムについて開示されている。
【特許文献1】特開2002−74280公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら特許文献1に開示されている従来技術は、1台のリーダライタが一度に一括してRFタグに対してはデータの読み書きが可能な数に限界があるため、RFタグを取り付けた書類を分けて読み書きしなければならず、操作が煩わしいといった問題があった。
本発明は、かかる課題に鑑み、アンテナを時分割的に切り換え、且つ隣接するアンテナ間の中央位置の磁界をRFタグと交信可能な最低磁界強度以上にすることにより、大量の書類を一括読み書きできる書類管理収納庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、非接触情報記録媒体を取り付けた書類を管理収納する書類管理収納庫であって、複数の前記書類を並べて収納する収納部と、該収納部に備えられ、前記非接触情報記録媒体に記録されている情報を読み書きするための電波を授受する少なくとも2つ以上のアンテナと、該アンテナの何れか1つを選択する切替手段と、前記非接触情報記録媒体との間で所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を行うリーダライタと、前記切替手段及びリーダライタを制御する制御手段と、を備え、2つ以上の前記アンテナは各アンテナから放射する磁力線が対向するように隣接配置され、該アンテナ間の中央位置の磁界が前記非接触情報記録媒体に記録された情報を読み書き可能な最低磁界強度以上になるように配置されることを特徴とする。
本発明では一般的な本棚タイプの収納部の使用を想定している。本発明が最も特徴とする点は、アンテナの間隔をアンテナ間の中央位置の磁界が非接触情報記録媒体に記録された情報を読み書き可能な最低磁界強度以上になるように配置した点である。これにより、常に安定した磁界強度を供給することができる。
請求項2は、前記アンテナと前記非接触情報記録媒体との位置関係が、該アンテナから放射する磁力線が前記非接触情報記録媒体を構成するループアンテナと交叉するように配置されることを特徴とする。
アンテナから放射される磁力線がループアンテナを貫通することにより、リーダライタと非接触情報記録媒体との交信が可能となる。更に磁力線が非接触情報記録媒体のループアンテナと直交するとき最も効率よく電波が伝えられる。
【0005】
請求項3は、前記アンテナは、該アンテナを保持するアンテナカバーと、少なくとも1つ以上のループコイルと、磁性材料からなる磁力線遮蔽部と、を備えていることを特徴とする。
背中合わせにアンテナを配置した場合、そこから放射される磁力線はアンテナのループコイルを貫通するように周回する。従って、背中合わせに2つのアンテナを配置すると、ループコイルから放射された磁力線が互いに隣側のRFタグに磁界を与えてしまう。そこで本発明では、アンテナカバー内に収めた2つのループコイルの間に、フェライト等の磁力線遮蔽部を設け、各ループコイルから放射された磁力線が磁力線遮蔽部を介して一方向に向かうようにするものである。
請求項4は、前記アンテナは、前記収納部の仕切り板を兼用することを特徴とする。
アンテナはアンテナカバー内に収められている。従って、そのアンテナカバーを非磁性材料で構成しておけば、外見上は1枚の板として構成されるので、書類を仕切る仕切り板として兼用することができる。
請求項5は、前記アンテナは、前記収納部の底板に対して略垂直に配置されていることを特徴とする。
最も一般的な書類の収納形態として、本箱のように仕切り板(アンテナ)を収納部の底板に対して略垂直に配置することである。
【0006】
請求項6は、前記アンテナは、前記収納部の底板に対して略平行に配置されていることを特徴とする。
他の書類の収納形態として、仕切り板(アンテナ)を収納部の底板に対して平行に配置して、2枚の仕切り板(アンテナ)の間に書類を積み重ねていく方法である。
請求項7は、前記アンテナは、前記収納部の底板に対して略直交するアンテナと平行なアンテナとから構成されていることを特徴とする。
他の書類の収納形態として、収納部の底板に対して垂直な仕切り板(アンテナ)と平行な仕切り板(アンテナ)を組み合わせた構成である。これにより、書類を垂直に収納しても良いし、積み重ねても良くなる。
請求項8は、前記非接触情報記録媒体は、積層型RFタグ又は積層型ICカードであることを特徴とする。
複数のRFタグ或いはICカードの情報を読み書きすると、RFタグのアンテナの相互インダクタンスが変化するので、RFタグのアンテナの総合インダクタンスが変化して共振点がずれ、最大の電力が得られない場合があった。そこで本発明では、収納する書類に積層型RFタグ又は積層型ICカードを取り付けることにより、多数の書類を一括で処理することを可能とするものである。
請求項9は、前記書類に付された非接触情報記録媒体のループアンテナに前記アンテナからの磁力線が直交するように前記書類を姿勢矯正する押さえ板を少なくとも1つ以上備えたことを特徴とする。
1枚1枚が柔らかい紙質で構成されている書類を立てて収納する場合、時間が経過すると周囲環境の影響(湿度等)により、書類が折れ曲がってきて、そこに取り付けられたRFタグの向きがアンテナに対して正対しなくなる。その結果、磁力線がRFタグのループアンテナと直交しなくなる。そこで本発明では、書類の姿勢を矯正するために書類の押さえ板を備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、2つ以上のアンテナは各アンテナから放射する磁力線が対向するように隣接配置され、アンテナ間の中央位置の磁界が非接触情報記録媒体に記録された情報を読み書き可能な最低磁界強度以上になるように配置されるので、一度に処理可能な書類の数を少なくとも2倍以上にすることができる。
また請求項2では、アンテナと非接触情報記録媒体との位置関係が、アンテナから放射する磁力線が非接触情報記録媒体のループアンテナと直交するように配置されるので、アンテナから放射される磁力線を効率よくループアンテナに貫通することができる。
また請求項3では、アンテナはこのアンテナを保持するアンテナカバーと、少なくとも1つ以上のループコイルと、磁性材料からなる磁力線遮蔽部と、を備えているので、ループコイルから一方向のみに効率よく磁力線を放射することができる。
また請求項4では、アンテナは収納部の仕切り板を兼用するので、収納部の構成が簡略化されて全体のコストを低減することができる。
また請求項5では、アンテナは収納部の底板に対して略垂直に配置されているので、書類を立てて収納することができ、その書類から必要な書類を抜き差しすることが容易となる。
【0008】
また請求項6では、アンテナは収納部の底板に対して略平行に配置されているので、書類を順次積み重ねていくことができ、且つ書類の自重により書類が折り曲がることを防ぐことができる。
また請求項7では、アンテナは収納部の底板に対して略直交するアンテナと平行なアンテナとから構成されているので、書類を立てて収納することもできるし、積み重ねて収納することもできるため、収納方法のバリエーションが広くなる。
また請求項8では、非接触情報記録媒体は、積層型RFタグ又は積層型ICカードであるので、多数の非接触情報記録媒体に記録されている情報を確実に読み書きすることができる。
また請求項9では、書類に付された非接触情報記録媒体のループアンテナにアンテナからの磁力線が直交するように書類を姿勢矯正する押さえ板を少なくとも1つ以上備えたので、立てて収納する書類が折り曲がって磁力線が非接触情報記録媒体のループアンテナと直交しなくなるのを矯正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、一般的なリーダライタの構成を示すブロック図である。このリーダライタ100は、リーダライタ100との間でデータの授受を行ってシステム全体を制御するPC50によって制御される。リーダライタ100は、外部のPC50とのデータの通信プロトコルを司る送受信装置1と、リーダライタ100全体の動作を制御する制御装置2と、制御装置2を動作させる手順を記録したファームウェアと読み取ったデータを格納するメモリ装置3と、制御装置2からのデータを搬送波に乗せて変調する変調器4と、操作コマンドを入力する入力装置5と、制御装置2により制御された情報を表示する表示装置6と、制御装置2からの交流信号である電力供給用信号と変調器4からの書き込みコマンドを電力増幅する電力増幅器7と、ループアンテナ9から受信した搬送波から2値化データに変換する検波復調器8と、図示しないICカード(RFタグ)との電力用搬送波とデータの授受をするループアンテナ9とを備えて構成されている。
【0010】
次に、本構成によるリーダライタ100の動作を説明する前に、ICカード(RFタグ)の構成を先に説明しておく。図2は、本発明のICカード(RFタグ)の構成を示すブロック図である。本実施形態のICカード(RFタグ)200は、リーダライタ100からの電力用搬送波によりデータの授受をするアンテナ20と、書き込みコマンド読み出しコマンドを生成する送受信回路21と、アンテナ20からの電力用搬送波を受け、それを整流して直流電力に変換する電力生成回路22と、制御用ファームウェアとデータの記憶を司るメモリ装置23と、制御回路26からの送信コマンドに搬送波を乗せて変調する変調器24と、送受信回路21からの搬送波データから2値化データに変換する検波器25と、ICカード(RFタグ)200の全体の動作を制御する制御回路26から構成されている。
次に、図1と図2を併せて参照してそれぞれ単独の動作について説明する。リーダライタ100は、図示しない電源が入れられると制御装置2のイニシャル動作後、メモリ装置3に記憶されたプログラムに従い動作を開始する。まず、初期化が行われる。次に、制御装置2は、ICカード(RFタグ)200に供給する電力供給用信号と、ポーリング信号を交互に電力増幅器7から送信する。その信号は、ループアンテナ9から電磁波として外部に放射される。次に、ICカード(RFタグ)200がリーダライタ100に近接すると、アンテナ20が電力供給用信号を受信し、電力生成回路22によりその搬送波を整流して直流電力に変換して、RFタグ内の全ての回路に供給する。電力を供給されて制御回路26が駆動すると、メモリ装置23に格納されたプログラムに従って、制御を開始する。
次に、制御回路26は、まず送受信回路21からコマンドを検波器25で復調して2値化信号に変換し、そのコマンドを解析する。その結果自分が呼び出されていることを認識すると、レスポンスを変調器24により変調して送受信回路21を介してアンテナ20から送信する。このレスポンスをリーダライタ100がループアンテナ9で受信して、検波復調器8で2値化コードに変換し、制御回路2により解析してICカード(RFタグ)200が規格に合致したICカード(RFタグ)であると認識する。それにより、以後リーダライタ100とICカード(RFタグ)200の間でポーリングが行われる。
【0011】
次に本発明の実施形態に係る書類管理収納庫の動作について説明する前に、各実施形態に共通する部分について先に説明する。
図3(a)は本発明のアンテナ間隔について説明する図である。例えば、アンテナ95と97の間隔を決定する場合、実質的にはループコイル96と98の間隔を決定することになる。ここで、ループコイル96と98の間隔をy、ループコイル96と98の中央位置の磁界がRFタグ200に記録された情報を読み書き可能な最低磁界強度以上になる距離を夫々y1、y2とすると、当然y1=y2であるから、距離yは、y=y1+y2か、y<y1+y2の何れかの条件を満足するように決定される。図3(b)はループコイルから放射される磁界のパワーと距離の関係を表す図である。縦軸を磁界強度、横軸をループコイルからの距離とする。そしてループコイルの最大磁界強度をPmax、RFタグ200に記録された情報を読み書き可能な最低磁界強度をPminとすると、磁界強度は距離と共に幾何級数的に減衰する。そしてループコイル96から放射された磁界の強度曲線Rとループコイル98から放射された磁界の強度曲線Qの交点がPminとなるように距離y1とy2を決定する。それにより必然的に距離yはy=y1+y2か、y<y1+y2の何れかに決定される。
【0012】
次に原稿とアンテナの構成について説明する。図4は本発明の書類管理収納庫に収納する代表的な書類の外観を示す図である。書類110には書類の内容111が印刷又は筆記されている。そして印刷又は筆記されていない部分に、この書類に関する情報を記録した図2で説明したRFタグ200が取り付けられている。本発明では全ての書類にRFタグ200が取り付けられているものとする。尚、RFタグ200の取付位置は何処でも構わないが、作業性を考慮して同一場所に取り付けるのが好ましい。
図5は一例として図6の左端にあるアンテナ30(図5(a))と、中央部分にあるアンテナ32(図5(b))について説明する図である。このアンテナ30はアンテナを保持するアンテナカバー31cと、1つのループコイル31と、磁性材料からなるフェライトコア(磁力線遮蔽部)31aとを備えて構成されている。この構成によると、ループコイル31から放射された磁力線31bは、フェライトコア31aを殆ど減衰することなく通過して破線のようにループコイル31の右側のみに放射される。またアンテナ32はアンテナを保持するアンテナカバー33fと、2つのループコイル33a、33bと、磁性材料からなるフェライトコア(磁力線遮蔽部)33cとを備えて構成されている。そしてフェライトコア33cは2つのループコイル33a、33bの間に位置している。この構成によると、ループコイル33aから放射された磁力線33dは、フェライトコア33cを殆ど減衰することなく通過して破線のようにループコイル33aの左側のみに放射される。またループコイル33bから放射された磁力線33eは、フェライトコア33cを殆ど減衰することなく通過して破線のようにループコイル33bの右側のみに放射される。このように本発明のアンテナは磁力線を必要な方向のみに放射する構成を成している。
【0013】
図6は本発明の第1の実施形態に係る書類管理収納庫の外観斜視図である。以下の説明では書類にRFタグ200を取り付けた場合について説明する。この書類管理収納庫300は、複数の書類を並べて収納する収納部301と、収納部301に備えられ、RFタグ(非接触情報記録媒体)200に記録されている情報を読み書きするための電波を授受する少なくともアンテナ30、32、34、37と、アンテナ30、32、34、37の何れか1つを選択する切替器(切替手段)42と、RFタグ200との間で所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を行うリーダライタ100と、切替器42及びリーダライタ100を制御するPC(制御手段)50と、を備えて構成される。尚、アンテナ30、32、34、37の詳しい構成については後述するが、両サイドにあるアンテナ30、37にはループコイル31、38が1つずつ備えられ、アンテナ32、34には背中合わせにループコイル33a、33b、35a、35bが備えられている。また本実施形態では、アンテナ30、32、34、37は収納部301の底板302に対して略垂直に配置されている。またアンテナ30、32、34、37は収納部301の仕切り板を兼用する構成となっている。またアンテナ34と37の間の底板に溝39が構成され、その溝39に図示しない書類を姿勢矯正する押さえ板36が備えられているが、他の場所でも良く、且つ無くても構わない。また背面板303により各アンテナが固定されており、切替器42の信号は信号線41からアンテナ30は41aにより接続され、アンテナ32は41bにより接続され、アンテナ34は41cにより接続され、アンテナ37は41dにより接続されている。また切替器42のへの信号はリーダライタ100の信号線43により入力され、リーダライタ100はPC50により制御線45により制御される。またPCは制御線44により切替器42を制御している。
【0014】
次に図6の本発明の第1の実施形態に係る書類管理収納庫の動作について説明する。本実施形態の書類管理収納庫には、図10(a)に示すように収納部301には書類110は立てて収納される。ここでアンテナ30と32間には書類110は隙間なく収納され、アンテナ32と34間には書類110が少なく1枚が倒れた状態で収納され、アンテナ34と37間には書類110は少ないが押さえ板36により左側に姿勢矯正された状態で収納されている状態を示している。さてこのような収納状態において、各アンテナ間に収納された書類の情報を処理する動作について図9を参照して説明する。図9は本発明の第1の実施形態に係る書類管理収納庫の機能ブロック図である。同じ構成要素には図6と同じ参照番号を付して説明する。尚、本発明は積層型のRFタグに関する発明ではないのでRFタグの電力制御については説明を省略し、本発明の書類管理収納庫の構成に関する説明を主として行なう。また図9ではループコイルは一部分のみを図示し、他を省略している。
【0015】
まずイニシャル状態においてはPC50は制御線44により切替器42の接点位置を図のようにp−a間を接続する。それによりリーダライタ100からの情報は信号線41aを介してループコイル31に流れ、リターン線46を介してリーダライタ100にリターンする。これによりアンテナ30と32間にある書類110のうち約半数の書類が順次読み取られる。PC50が書類110の約半数の読み取りが完了すると、次に制御線44により切替器42の接点位置をp−b間を接続する。それによりリーダライタ100からの情報は信号線41bを介してループコイル33aに流れ、リターン線46を介してリーダライタ100にリターンする。これによりアンテナ30と32間にある書類110のうち残りの約半数の書類が順次読み取られる。同様にしてPC50は制御線44により切替器42の接点位置をp−c間を接続する。それによりリーダライタ100からの情報は信号線41cを介してループコイル33bに流れ、リターン線46を介してリーダライタ100にリターンする。これによりアンテナ32と34間にある書類110のうち約半数の書類が順次読み取られる。PC50が書類110の約半数の読み取りが完了すると、次に制御線44により切替器42の接点位置をp−d間を接続する。それによりリーダライタ100からの情報は信号線41dを介してループコイル35aに流れ、リターン線46を介してリーダライタ100にリターンする。これによりアンテナ32と34間にある書類110のうち残りの約半数の書類が順次読み取られる。ここで残りの書類が無ければ次のループコイルに切り替わって、同様な動作を繰り返す。尚、図10(a)でアンテナ32と34間に収納された書類110が折れ曲がって収納されていると、ループコイルから放射された磁力線がRFタグ200のループアンテナを貫通しない可能性がある。そこで本実施形態では、アンテナ34と37間のように押さえ板36により書類110を押さえてアンテナ34、37と書類110が正対するようにした。尚、押さえ板36は左右にスライドする形態でも構わない。図10(d)は図6の本発明の第1の実施形態に係る書類管理収納庫の変形実施例の図である。この書類管理収納庫301aは図6の本発明の第1の実施形態に係る書類管理収納庫の構成は同じまま、倒立させて設置したものである。この場合、書類110は自重により重ねられるので、書類が折り曲がることがなくなり、それに伴って押さえ板36を必要としなくなる利点がある。
【0016】
図7は本発明の第2の実施形態に係る書類管理収納庫の外観斜視図である。この書類管理収納庫310は、複数の書類を並べて収納する収納部311と、収納部311に備えられ、RFタグ(非接触情報記録媒体)200に記録されている情報を読み書きするための電波を授受する少なくともアンテナ60、62、64、67、69、71と、アンテナ60、62、64、67、69、71の何れか1つを選択する切替器(切替手段)42と、RFタグ200との間で所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を行うリーダライタ100と、切替器42及びリーダライタ100を制御するPC(制御手段)50と、を備えて構成される。尚、アンテナ60、62、64、67、69、71の詳しい構成は図6と同様であるが、各アンテナ60、62、64、67、69、71にはループコイル61、63、65、66、68、70が1つずつ備えられている。また本実施形態では、アンテナ60、62、64、67、69、71は収納部311の底板に対して略平行に配置されている。またアンテナ60、62、64、67、69、71は収納部311の上下の仕切り板を兼用する構成となっている。また背面板312と仕切り板313、314、315、316により各アンテナが固定されており、切替器42の信号は信号線41からアンテナ60は41aにより接続され、アンテナ62は41bにより接続され、アンテナ64は41cにより接続され、アンテナ67は41dにより接続され、アンテナ69は41eにより接続され、アンテナ71は41fにより接続されている。また切替器42のへの信号はリーダライタ100の信号線43により入力され、リーダライタ100はPC50により制御線45により制御される。またPCは制御線44により切替器42を制御している。
【0017】
次に図7の本発明の第2の実施形態に係る書類管理収納庫の動作について説明する。本実施形態の書類管理収納庫には、図10(b)に示すように収納部311には書類110は積み重ねて収納される。さてこのような収納状態において、各アンテナ間に収納された書類の情報を処理する動作について説明する。上下にアンテナが配置されている場合は、切替器42がループコイルを切り換える順序は、ループコイル61、66、63、68、65、70の順で切り換えて行く。
図8は本発明の第3の実施形態に係る書類管理収納庫の外観斜視図である。この書類管理収納庫320は、底板に対して略垂直に配置された図6のアンテナと底板と略並行に配置された図7のアンテナを組み合わせたものである。従って、各アンテナの符号を同一として図示している。
次に図8の本発明の第3の実施形態に係る書類管理収納庫の動作について説明する。本実施形態の書類管理収納庫には、図10(c)に示すように収納部321のA部には書類110は立てて収納され、B部に積み重ねて収容され、C部には積み重ねて収容されている。さてこのような収納状態において、各アンテナ間に収納された書類の情報を処理する動作について説明する。A部の場合は、アンテナ30と32により情報が読み書きされ、B]部の場合は、アンテナ62と69により情報が読み書きされ、C部の場合は、アンテナ64と71により情報が読み書きされる。この場合は、切替器42がループコイルを切り換える順序は、ループコイル31、33a、63、68、65、70の順で切り換えて行く。
【0018】
以上の通り本発明によれば、2つ以上のアンテナは各アンテナから放射する磁力線が対向するように隣接配置され、アンテナ間の中央位置の磁界がRFタグ200に記録された情報を読み書き可能な最低磁界強度以上になるように配置されるので、一度に処理可能な書類の数を少なくとも2倍以上にすることができる。
また、アンテナとRFタグ200との位置関係が、アンテナから放射する磁力線がRFタグ200のループアンテナと直交するように配置されるので、アンテナから放射される磁力線を効率よくループアンテナに貫通することができる。
また、アンテナはこのアンテナを保持するアンテナカバーと、少なくとも1つ以上のループコイルと、磁性材料からなるフェライトコアと、を備えているので、ループコイルから一方向のみに効率よく磁力線を放射することができる。
また、アンテナは収納部の仕切り板を兼用するので、収納部の構成が簡略化されて全体のコストを低減することができる。
また、アンテナは収納部の底板に対して略垂直に配置されているので、書類を立てて収納することができ、その書類から必要な書類を抜き差しすることが容易となる。
また、アンテナは収納部の底板に対して略平行に配置されているので、書類を順次積み重ねていくことができ、且つ書類の自重により書類が折り曲がることを防ぐことができる。
また、アンテナは収納部の底板に対して略直交するアンテナと平行なアンテナとから構成されているので、書類を立てて収納することもできるし、積み重ねて収納することもできるため、収納方法のバリエーションが広くなる。
また、RFタグ200は、積層型RFタグ又は積層型ICカードであるので、多数のRFタグ200に記録されている情報を確実に読み書きすることができる。
また、書類に付されたRFタグ200のループアンテナにアンテナからの磁力線が直交するように書類を姿勢矯正する押さえ板36を少なくとも1つ以上備えたので、立てて収納する書類が折り曲がって磁力線がRFタグ200のループアンテナと直交しなくなるのを矯正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】一般的なリーダライタの構成を示すブロック図である。
【図2】ICカード(RFタグ)の構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は本発明のアンテナ間隔について説明する図、(b)はループコイルから放射される磁界のパワーと距離の関係を表す図である。
【図4】本発明の書類管理収納庫に収納する代表的な書類の外観を示す図である。
【図5】(a)は図6の左端にあるアンテナ30について説明する図、(b)は図6の中央部分にあるアンテナ32について説明する図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る書類管理収納庫の外観斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る書類管理収納庫の外観斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る書類管理収納庫の外観斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る書類管理収納庫の機能ブロック図である。
【図10】(a)は本発明の第1の実施形態の書類管理収納庫における書類の収納状態を示す図、(b)は本発明の第2の実施形態の書類管理収納庫における書類の収納状態を示す図、(c)は本発明の第3の実施形態の書類管理収納庫における書類の収納状態を示す図、(d)は本発明の第1の変形実施形態の書類管理収納庫における書類の収納状態を示す図である。
【図11】相互インダクタンスの影響により共振点がずれる動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0020】
30、32、34、37 アンテナ、42 切替器、50 PC、200 RFタグ、100 リーダライタ、300 書類管理収納庫、301 収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触情報記録媒体を取り付けた書類を管理収納する書類管理収納庫であって、
複数の前記書類を並べて収納する収納部と、該収納部に備えられ、前記非接触情報記録媒体に記録されている情報を読み書きするための電波を授受する少なくとも2つ以上のアンテナと、該アンテナの何れか1つを選択する切替手段と、前記非接触情報記録媒体との間で所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を行うリーダライタと、前記切替手段及びリーダライタを制御する制御手段と、を備え、
2つ以上の前記アンテナは各アンテナから放射する磁力線が対向するように隣接配置され、該アンテナ間の中央位置の磁界が前記非接触情報記録媒体に記録された情報を読み書き可能な最低磁界強度以上になるように配置されることを特徴とする書類管理収納庫。
【請求項2】
前記アンテナと前記非接触情報記録媒体との位置関係が、該アンテナから放射する磁力線が前記非接触情報記録媒体を構成するループアンテナと交叉するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の書類管理収納庫。
【請求項3】
前記アンテナは、該アンテナを保持するアンテナカバーと、少なくとも1つ以上のループコイルと、磁性材料からなる磁力線遮蔽部と、を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の書類管理収納庫。
【請求項4】
前記アンテナは、前記収納部の仕切り板を兼用することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の書類管理収納庫。
【請求項5】
前記アンテナは、前記収納部の底板に対して略垂直に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の書類管理収納庫。
【請求項6】
前記アンテナは、前記収納部の底板に対して略平行に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の書類管理収納庫。
【請求項7】
前記アンテナは、前記収納部の底板に対して略直交するアンテナと平行なアンテナとから構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の書類管理収納庫。
【請求項8】
前記非接触情報記録媒体は、積層型RFタグ又は積層型ICカードであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の書類管理収納庫。
【請求項9】
前記書類に付された非接触情報記録媒体のループアンテナに前記アンテナからの磁力線が交叉するように前記書類を姿勢矯正する押さえ板を少なくとも1つ以上備えたことを特徴とする請求項5に記載の書類管理収納庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−88953(P2007−88953A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−276914(P2005−276914)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】