最適摩擦特性を有するファイバリボンを収容したケーブル
【課題】 光ファイバリボンスタックにおける過度のファイバ減衰を防止すること。
【解決手段】 接触関係をなす少なくとも2つの光ファイバリボンのスタックを保持するケーブルにおいて、各光ファイバリボンは、2.5%の歪みで計測して、150MPa以上で1500MPa以下の割線弾性係数を有する材料の外側共通コーティング12を有する複数の光ファイバ16を備え、共通コーティング材料は、0.30未満のコーティング材料対コーティング材料の摩擦係数を有し、共通コーティングは、外面に塗布されたスリップ剤または/および共通コーティング材料に含有された安定化物とを有する。
【解決手段】 接触関係をなす少なくとも2つの光ファイバリボンのスタックを保持するケーブルにおいて、各光ファイバリボンは、2.5%の歪みで計測して、150MPa以上で1500MPa以下の割線弾性係数を有する材料の外側共通コーティング12を有する複数の光ファイバ16を備え、共通コーティング材料は、0.30未満のコーティング材料対コーティング材料の摩擦係数を有し、共通コーティングは、外面に塗布されたスリップ剤または/および共通コーティング材料に含有された安定化物とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバリボン型ケーブル(fiber optic ribbon type cable) に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバリボンスタックにおける過度のファイバ減衰が、ケーブル敷設者にとって、長らく問題となっている。リボン状の光ファイバは、通常、それぞれが個別のプラスチックコーティングを有する複数の光ファイバを、互いに平面的な関係をなして配置し、次いで、共通プラスチックマトリックスコーティングで、平面的なアレイを取り囲んで作られる。複数のリボンはスタック状に配置され、スタックは、次いで、コア管、溝付コア式構造の溝部、又は、中央部材を中心として束ねられた「U」字形部材のようなコンパートメントに設置される。スタック状のリボンを収容する光ファイバケーブルが曲げられ、取付けられ、再度巻き取られ、及び/又は熱サイクルが与えられたとき、特定のファイバ、特に角部のファイバ減衰が増加することが分かった。スタックの角部のファイバとは、断面においてリボンスタックの4つの角部を意味する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記考察から、リボンを互いに容易に摺動させるために、光ファイバリボン状プラスチックマトリックスのプラスチックマトリックスに対する摩擦係数が重要であるとの結論に達した。それは本発明の課題である、不十分な摺動の問題に対する解決策に向けられている。
【0004】
ジドラー(Zeidler) の米国特許第5,224,191号明細書は、リボンの摺動を促進する粉体又は充填コンパウンドを添加することを教示しているが、屋内ケーブルのような、ある種の用途では、充填コンパウンドを有しないケーブルが望ましいので、外側の摺動剤なしでリボンの摩擦を小さくすることが必要であると考えられる。
小さな弾性係数を有するコーティング材料は、一般的に大きな摩擦係数を有するという欠点がある。
【0005】
欧州特許出願第194,891号明細書は、同じ材料のDESOLITE950-075 が、個々の光ファイバのコーティングとして役立つとともに、共通な結合コーティングとしても役立っている光ファイバリボンについて開示している。そのような材料は、小さな伸び係数を有する紫外線硬化エポキシアクリレートであることが説明されている。そのような材料は、製造者によって発行されている製品説明書によると、2.5%の歪で、2.2MPa の割線係数を有することが明示されている。
【0006】
1987年に公開された特開昭62−89915号公報は、個別の光ファイバリボンを備えるリボンスタックを有する溝穴付コア光ケーブル(slotted core optical cable)について開示し、各光ファイバリボンは、紫外線硬化樹脂で形成された内側共通コーティングの外側に塗布されたテフロン(登録商標)又はナイロン等の、0.9以下の静止摩擦係数を有する外側共通コーティングをそれそれが有する。そのような外側共通コーティングの1つは、0.65の静止摩擦係数を有すると述べられている。
しかし、そのようなケーブルの製造は追加のコーティング工程を伴い、また製造者は、内側及び外側の共通コーティング層の間の適切な接着及び材料相応性を確保しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、接触関係をなす少なくとも2つの光ファイバリボンのスタックを保持するケーブルを有し、各光ファイバリボンは、2.5%の歪みで計測して、150MPa以上で1500MPa以下の割線弾性係数を有する材料の外側共通コーティングを有する複数の光ファイバを備え、前記共通コーティング材料は、0.30未満のコーティング材料対コーティング材料の摩擦係数を有し、前記共通コーティングは、外面に塗布されたスリップ剤または/および前記共通コーティング材料に含有された安定化物とを有することを特徴とする光ファイバリボンケーブルが提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、各光ファイバリボンの外面が少なくとも1つの他の光ファイバリボンの外面に接触している光ファイバリボンのスタックを有し、各リボンは、互いに平面的な関係をなす個別にコーティングされた複数の光ファイバを有し、各リボンは、各リボンの外面を形成する紫外線硬化材料で形成された単一層の共通コーティングで被覆され、接触している共通コーティング層の間の静止摩擦係数は、0.30未満であり、前記共通コーティングは、外面に塗布されたスリップ剤または/および前記共通コーティングの材料に含有された安定化物とを有する、
ことを特徴とする光ファイバリボンケーブル。
【0009】
本発明はまた、中央部材を有する光ファイバケーブルを含み、中央部材は、通常、プラスチックコーティングによって取り囲まれた束状の耐力部材を有する。
この中央部材を中心として、複数の個別「U字」形部材が配置され、「U字」形部材内に、少なくとも1層のリボン状サブユニットが配置されている。上述の溝付コア式リボン状ケーブルの場合とリボン状構造は同様で、リボンとリボンとの間の摩擦係数は、0.30以下である。
【0010】
いずれの場合においても、コーティング材料は、2.5%の歪で計測して、150MPa 以上で1500MPa 以下の範囲の割線弾性係数を有する紫外線硬化材料で形成されていてもよく、好ましい実施例では、150MPa 以上で300MPa 以下の範囲である。
【0011】
コーティング材料は、所望の小さな摩擦係数を提供するように、安定添加物(non-fugitive additives)を有する。安定添加物は、テフロン(登録商標)ワックス及びポリエチレンワックス、またそれらの組合せを含む。不安定添加物(fugitive additives)は、シリコン油及び弗素化油を含む。添加物を必要としないコーティング材料は、シリコンアクリレート、シリコン・ウレタンアクリレート複合材、及び弗素化主鎖アクリレートを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光ファイバリボンスタックにおける過度のファイバ減衰を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1を参照すると、スタック10は、複数の光ファイバリボン(optical ribbons) 13、14を有する。リボンスタック10は、通常、5から12本のそのようなリボンからなり、それらリボンは互いに接触関係でスタックされており、また、スタックされた2から18、あるいはそれ以上の数のリボンを有してもよい。各リボンは、平行な光ファイバ16のアレイを有し、各光ファイバ16は個別の保護コーティング15と、共通コーティング12とを有し、共通コーティング12は、2.5%の歪で計測して、150Mpa 以上で300Mpa 以下の範囲の割線弾性係数を有する紫外線硬化材料でできている。コーティング材料12は、また、接触している共通コーティング材料12の間の界面11における静止摩擦係数が、約0.70以下であるように選択される。従って、外側にスリップ剤を接触しているリボン状コーティング面12に塗布する必要はないが、必要に応じてそのような材料を塗布してもよい。コーティング12は、シリコンアクリレート、シリコン・ウレタンアクリレート複合材、及びフルオロカーボン主鎖アクリレートからなるグループから選択してもよいが、シリコンアクリレート材料が好ましい。コーティング12は、また、テフロン(登録商標)ワックス、ポリエチレンワックス及びそれらの組合せのような、重量パーセントで50%以下の安定添加物を含有していてもよい。それぞれが16本の光ファイバを有し、更に重量パーセントで20%のテフロン(登録商標)パウダーと混合したウレタンアクリレート材料の共通コーティングを有する250μmの厚さのリボンのサンプルは、平均で0.256の摩擦係数を有し、1つは0.216の測定された摩擦係数を有することが分かった。
【0014】
他の選択肢として、コーティング12は、重量パーセントで0.5%から5.0%のシリコン油及び弗素化油又はそれらの組合せ等の不安定添加物を有していてもよい。すべての油を基剤とする不安定添加物の好ましい実施例として、ウレタンを基剤とするアクリレートが、重量パーセントで0.5から5.0%のシリコン油を含有していてもよい。そのような材料は、DSMデソテックインク(DSM Desotech, Inc.)から入手可能である。
【0015】
上記のリボンスタック10は、いかなる所望のケーブルの設計に使用してもよく、また、リボンスタック10は、束状の設計における光ファイバリボンスタック10の角部での過度の光ファイバ減衰を緩和するのに特に有用である。図2は、コア引張り部材17を有する典型的なU字形溝式ケーブル30を示し、U字状溝式ケーブル30は、例えば、単一ワイヤ若しくはトルク均衡の良好な束状の金属ワイヤ、又は単一若しくは複数の非金属耐力部材でできているコア引張り部材17と、その周囲のプラスチックコーティング18と、それぞれが光ファイバリボンスタック10を有するU字形キャリア(carriers)19の1以上の層20とを有する。層20の間に、水遮断テープ21を有する。追加の水遮断テープ22が外層の外側に設けられ、また、外側ポリマージャケット23が更に設けられている。
【0016】
図3は、単一管式ケーブルを示し、該ケ−ブルは、ポリマー管25内の光ファイバリボンスタック10と、間に水遮断テープ27を有する部材26、28の耐力部材系とを有する中空コアを有する。外側ポリマージャケット29が、外側耐力部材層28の上に圧力で押出し加工されている。本発明によるケーブルは、また、それぞれの管が光ファイバリボンのスタックを保持する中央耐力部材を中心として束ねられた複数の管を含んでいてもよい。
【0017】
図4は、束ねられたトルク均衡の良好な金属ワイヤ、又は他の金属若しくは非金属の単一又は複数の耐力部材からなるコア引張り部材33と、周囲に溝穴35を有する押出し加工されたプラスチックスペーサ34と、単一の又は複数の溝穴35に配置された光ファイバリボンスタック10とを有する溝穴付コア式ケーブル32を示す。溝穴内の部材36は、水分吸収性糸、電気伝達部材、又は他の所望のケーブル部品であってもよい。コアの周囲は、水吸収膨張性テープ37、内側ポリエチレンジャケット38、スチール外装テープ39、及び外側ポリマージャケット40で取り囲まれている。
【0018】
インストロン引張り実験装置(instron Tensile Tester)を、リボンとリボンとの間の静止摩擦係数を測定するのに使用してもよい。汚染されていない標本を、最良の解像度を得るために、可能な限り最小容量の荷重計を使用して検査する。1本の第1リボンコーティング材料を、巻胴の回りに単一層をなして固定する。ディスク状巻胴及びそれに備えられた保持部を、頭上荷重計に取付ける。1本の第2リボンコーティング材料の第1端部を、移動しないようにクランプで設置する。第2リボンコーティング材料は、実験中、50mmの工程を障害なく移動させるのに十分に長くなければならない。第2リボンの底面が第1リボンの上面と接触するように、第2リボンで第1リボンの上を覆う。質量Mwの重りを、第2リボンコーティング材料の第2端部から垂下させる。次いで、巻胴を一定の速度で上昇させ、それにより、第2リボンコーティング材料を第1リボンコーティング材料の上で摺動させる。静止摩擦係数μは、(1/П)ln{〔FD /(Mw g)〕−1}(ここで、Mw gは、第2リボン状コーティング材料の第2端部に与えられた重力による力、またFD は、計測された張力のピーク値)と等しいことが分かる。ピーク張力は、第2リボンコーティング材料が、第1リボンコーティング材料に対して移動し始める直前に起こる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、2つの光ファイバリボンのスタックの断面図である。
【図2】図2は、光ファイバリボンのスタックを有するU字形溝式ケーブルの断面図である。
【図3】図3は、光ファイバリボンのスタックを有する単一管式光ケーブルの断面図である。
【図4】図4は、光ファイバリボンのスタックを有する溝穴付コア式光ケーブルの断面図である。
【符号の説明】
【0020】
10 スタック
12 共通コーティング
13 光ファイバリボン
14 光ファイバリボン
15 保護コーティング
16 光ファイバ
19 U字形キャリア
30 U字形溝式ケーブル
32 溝穴付コア式ケーブル
34 プラスチックスペーサ
35 溝穴
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバリボン型ケーブル(fiber optic ribbon type cable) に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバリボンスタックにおける過度のファイバ減衰が、ケーブル敷設者にとって、長らく問題となっている。リボン状の光ファイバは、通常、それぞれが個別のプラスチックコーティングを有する複数の光ファイバを、互いに平面的な関係をなして配置し、次いで、共通プラスチックマトリックスコーティングで、平面的なアレイを取り囲んで作られる。複数のリボンはスタック状に配置され、スタックは、次いで、コア管、溝付コア式構造の溝部、又は、中央部材を中心として束ねられた「U」字形部材のようなコンパートメントに設置される。スタック状のリボンを収容する光ファイバケーブルが曲げられ、取付けられ、再度巻き取られ、及び/又は熱サイクルが与えられたとき、特定のファイバ、特に角部のファイバ減衰が増加することが分かった。スタックの角部のファイバとは、断面においてリボンスタックの4つの角部を意味する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記考察から、リボンを互いに容易に摺動させるために、光ファイバリボン状プラスチックマトリックスのプラスチックマトリックスに対する摩擦係数が重要であるとの結論に達した。それは本発明の課題である、不十分な摺動の問題に対する解決策に向けられている。
【0004】
ジドラー(Zeidler) の米国特許第5,224,191号明細書は、リボンの摺動を促進する粉体又は充填コンパウンドを添加することを教示しているが、屋内ケーブルのような、ある種の用途では、充填コンパウンドを有しないケーブルが望ましいので、外側の摺動剤なしでリボンの摩擦を小さくすることが必要であると考えられる。
小さな弾性係数を有するコーティング材料は、一般的に大きな摩擦係数を有するという欠点がある。
【0005】
欧州特許出願第194,891号明細書は、同じ材料のDESOLITE950-075 が、個々の光ファイバのコーティングとして役立つとともに、共通な結合コーティングとしても役立っている光ファイバリボンについて開示している。そのような材料は、小さな伸び係数を有する紫外線硬化エポキシアクリレートであることが説明されている。そのような材料は、製造者によって発行されている製品説明書によると、2.5%の歪で、2.2MPa の割線係数を有することが明示されている。
【0006】
1987年に公開された特開昭62−89915号公報は、個別の光ファイバリボンを備えるリボンスタックを有する溝穴付コア光ケーブル(slotted core optical cable)について開示し、各光ファイバリボンは、紫外線硬化樹脂で形成された内側共通コーティングの外側に塗布されたテフロン(登録商標)又はナイロン等の、0.9以下の静止摩擦係数を有する外側共通コーティングをそれそれが有する。そのような外側共通コーティングの1つは、0.65の静止摩擦係数を有すると述べられている。
しかし、そのようなケーブルの製造は追加のコーティング工程を伴い、また製造者は、内側及び外側の共通コーティング層の間の適切な接着及び材料相応性を確保しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、接触関係をなす少なくとも2つの光ファイバリボンのスタックを保持するケーブルを有し、各光ファイバリボンは、2.5%の歪みで計測して、150MPa以上で1500MPa以下の割線弾性係数を有する材料の外側共通コーティングを有する複数の光ファイバを備え、前記共通コーティング材料は、0.30未満のコーティング材料対コーティング材料の摩擦係数を有し、前記共通コーティングは、外面に塗布されたスリップ剤または/および前記共通コーティング材料に含有された安定化物とを有することを特徴とする光ファイバリボンケーブルが提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、各光ファイバリボンの外面が少なくとも1つの他の光ファイバリボンの外面に接触している光ファイバリボンのスタックを有し、各リボンは、互いに平面的な関係をなす個別にコーティングされた複数の光ファイバを有し、各リボンは、各リボンの外面を形成する紫外線硬化材料で形成された単一層の共通コーティングで被覆され、接触している共通コーティング層の間の静止摩擦係数は、0.30未満であり、前記共通コーティングは、外面に塗布されたスリップ剤または/および前記共通コーティングの材料に含有された安定化物とを有する、
ことを特徴とする光ファイバリボンケーブル。
【0009】
本発明はまた、中央部材を有する光ファイバケーブルを含み、中央部材は、通常、プラスチックコーティングによって取り囲まれた束状の耐力部材を有する。
この中央部材を中心として、複数の個別「U字」形部材が配置され、「U字」形部材内に、少なくとも1層のリボン状サブユニットが配置されている。上述の溝付コア式リボン状ケーブルの場合とリボン状構造は同様で、リボンとリボンとの間の摩擦係数は、0.30以下である。
【0010】
いずれの場合においても、コーティング材料は、2.5%の歪で計測して、150MPa 以上で1500MPa 以下の範囲の割線弾性係数を有する紫外線硬化材料で形成されていてもよく、好ましい実施例では、150MPa 以上で300MPa 以下の範囲である。
【0011】
コーティング材料は、所望の小さな摩擦係数を提供するように、安定添加物(non-fugitive additives)を有する。安定添加物は、テフロン(登録商標)ワックス及びポリエチレンワックス、またそれらの組合せを含む。不安定添加物(fugitive additives)は、シリコン油及び弗素化油を含む。添加物を必要としないコーティング材料は、シリコンアクリレート、シリコン・ウレタンアクリレート複合材、及び弗素化主鎖アクリレートを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光ファイバリボンスタックにおける過度のファイバ減衰を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1を参照すると、スタック10は、複数の光ファイバリボン(optical ribbons) 13、14を有する。リボンスタック10は、通常、5から12本のそのようなリボンからなり、それらリボンは互いに接触関係でスタックされており、また、スタックされた2から18、あるいはそれ以上の数のリボンを有してもよい。各リボンは、平行な光ファイバ16のアレイを有し、各光ファイバ16は個別の保護コーティング15と、共通コーティング12とを有し、共通コーティング12は、2.5%の歪で計測して、150Mpa 以上で300Mpa 以下の範囲の割線弾性係数を有する紫外線硬化材料でできている。コーティング材料12は、また、接触している共通コーティング材料12の間の界面11における静止摩擦係数が、約0.70以下であるように選択される。従って、外側にスリップ剤を接触しているリボン状コーティング面12に塗布する必要はないが、必要に応じてそのような材料を塗布してもよい。コーティング12は、シリコンアクリレート、シリコン・ウレタンアクリレート複合材、及びフルオロカーボン主鎖アクリレートからなるグループから選択してもよいが、シリコンアクリレート材料が好ましい。コーティング12は、また、テフロン(登録商標)ワックス、ポリエチレンワックス及びそれらの組合せのような、重量パーセントで50%以下の安定添加物を含有していてもよい。それぞれが16本の光ファイバを有し、更に重量パーセントで20%のテフロン(登録商標)パウダーと混合したウレタンアクリレート材料の共通コーティングを有する250μmの厚さのリボンのサンプルは、平均で0.256の摩擦係数を有し、1つは0.216の測定された摩擦係数を有することが分かった。
【0014】
他の選択肢として、コーティング12は、重量パーセントで0.5%から5.0%のシリコン油及び弗素化油又はそれらの組合せ等の不安定添加物を有していてもよい。すべての油を基剤とする不安定添加物の好ましい実施例として、ウレタンを基剤とするアクリレートが、重量パーセントで0.5から5.0%のシリコン油を含有していてもよい。そのような材料は、DSMデソテックインク(DSM Desotech, Inc.)から入手可能である。
【0015】
上記のリボンスタック10は、いかなる所望のケーブルの設計に使用してもよく、また、リボンスタック10は、束状の設計における光ファイバリボンスタック10の角部での過度の光ファイバ減衰を緩和するのに特に有用である。図2は、コア引張り部材17を有する典型的なU字形溝式ケーブル30を示し、U字状溝式ケーブル30は、例えば、単一ワイヤ若しくはトルク均衡の良好な束状の金属ワイヤ、又は単一若しくは複数の非金属耐力部材でできているコア引張り部材17と、その周囲のプラスチックコーティング18と、それぞれが光ファイバリボンスタック10を有するU字形キャリア(carriers)19の1以上の層20とを有する。層20の間に、水遮断テープ21を有する。追加の水遮断テープ22が外層の外側に設けられ、また、外側ポリマージャケット23が更に設けられている。
【0016】
図3は、単一管式ケーブルを示し、該ケ−ブルは、ポリマー管25内の光ファイバリボンスタック10と、間に水遮断テープ27を有する部材26、28の耐力部材系とを有する中空コアを有する。外側ポリマージャケット29が、外側耐力部材層28の上に圧力で押出し加工されている。本発明によるケーブルは、また、それぞれの管が光ファイバリボンのスタックを保持する中央耐力部材を中心として束ねられた複数の管を含んでいてもよい。
【0017】
図4は、束ねられたトルク均衡の良好な金属ワイヤ、又は他の金属若しくは非金属の単一又は複数の耐力部材からなるコア引張り部材33と、周囲に溝穴35を有する押出し加工されたプラスチックスペーサ34と、単一の又は複数の溝穴35に配置された光ファイバリボンスタック10とを有する溝穴付コア式ケーブル32を示す。溝穴内の部材36は、水分吸収性糸、電気伝達部材、又は他の所望のケーブル部品であってもよい。コアの周囲は、水吸収膨張性テープ37、内側ポリエチレンジャケット38、スチール外装テープ39、及び外側ポリマージャケット40で取り囲まれている。
【0018】
インストロン引張り実験装置(instron Tensile Tester)を、リボンとリボンとの間の静止摩擦係数を測定するのに使用してもよい。汚染されていない標本を、最良の解像度を得るために、可能な限り最小容量の荷重計を使用して検査する。1本の第1リボンコーティング材料を、巻胴の回りに単一層をなして固定する。ディスク状巻胴及びそれに備えられた保持部を、頭上荷重計に取付ける。1本の第2リボンコーティング材料の第1端部を、移動しないようにクランプで設置する。第2リボンコーティング材料は、実験中、50mmの工程を障害なく移動させるのに十分に長くなければならない。第2リボンの底面が第1リボンの上面と接触するように、第2リボンで第1リボンの上を覆う。質量Mwの重りを、第2リボンコーティング材料の第2端部から垂下させる。次いで、巻胴を一定の速度で上昇させ、それにより、第2リボンコーティング材料を第1リボンコーティング材料の上で摺動させる。静止摩擦係数μは、(1/П)ln{〔FD /(Mw g)〕−1}(ここで、Mw gは、第2リボン状コーティング材料の第2端部に与えられた重力による力、またFD は、計測された張力のピーク値)と等しいことが分かる。ピーク張力は、第2リボンコーティング材料が、第1リボンコーティング材料に対して移動し始める直前に起こる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、2つの光ファイバリボンのスタックの断面図である。
【図2】図2は、光ファイバリボンのスタックを有するU字形溝式ケーブルの断面図である。
【図3】図3は、光ファイバリボンのスタックを有する単一管式光ケーブルの断面図である。
【図4】図4は、光ファイバリボンのスタックを有する溝穴付コア式光ケーブルの断面図である。
【符号の説明】
【0020】
10 スタック
12 共通コーティング
13 光ファイバリボン
14 光ファイバリボン
15 保護コーティング
16 光ファイバ
19 U字形キャリア
30 U字形溝式ケーブル
32 溝穴付コア式ケーブル
34 プラスチックスペーサ
35 溝穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触関係をなす少なくとも2つの光ファイバリボンのスタックを保持するケーブルを有し、
各光ファイバリボンは、2.5%の歪みで計測して、150MPa以上で1500MPa以下の割線弾性係数を有する材料の外側共通コーティングを有する複数の光ファイバを備え、
前記共通コーティング材料は、0.30未満のコーティング材料対コーティング材料の摩擦係数を有し、
前記共通コーティングは、外面に塗布されたスリップ剤または/および前記共通コーティング材料に含有された安定化物を有する、
ことを特徴とする光ファイバリボンケーブル。
【請求項2】
各光ファイバリボンの外面が少なくとも1つの他の光ファイバリボンの外面に接触している光ファイバリボンのスタックを有し、
各リボンは、互いに平面的な関係をなす個別にコーティングされた複数の光ファイバを有し、
各リボンは、各リボンの外面を形成する紫外線硬化材料で形成された単一層の共通コーティングで被覆され、
接触している共通コーティング層の間の静止摩擦係数は、0.30未満であり、
前記共通コーティングは、外面に塗布されたスリップ剤または/および前記共通コーティングの材料に含有された安定化物を有する、
ことを特徴とする光ファイバリボンケーブル。
【請求項1】
接触関係をなす少なくとも2つの光ファイバリボンのスタックを保持するケーブルを有し、
各光ファイバリボンは、2.5%の歪みで計測して、150MPa以上で1500MPa以下の割線弾性係数を有する材料の外側共通コーティングを有する複数の光ファイバを備え、
前記共通コーティング材料は、0.30未満のコーティング材料対コーティング材料の摩擦係数を有し、
前記共通コーティングは、外面に塗布されたスリップ剤または/および前記共通コーティング材料に含有された安定化物を有する、
ことを特徴とする光ファイバリボンケーブル。
【請求項2】
各光ファイバリボンの外面が少なくとも1つの他の光ファイバリボンの外面に接触している光ファイバリボンのスタックを有し、
各リボンは、互いに平面的な関係をなす個別にコーティングされた複数の光ファイバを有し、
各リボンは、各リボンの外面を形成する紫外線硬化材料で形成された単一層の共通コーティングで被覆され、
接触している共通コーティング層の間の静止摩擦係数は、0.30未満であり、
前記共通コーティングは、外面に塗布されたスリップ剤または/および前記共通コーティングの材料に含有された安定化物を有する、
ことを特徴とする光ファイバリボンケーブル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2006−11463(P2006−11463A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−197734(P2005−197734)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【分割の表示】特願平8−35897の分割
【原出願日】平成8年2月23日(1996.2.23)
【出願人】(502057980)シーシーエス テクノロジー インコーポレイテッド (14)
【住所又は居所原語表記】103 Foulk Road wilmington Delaware 19803 U.S.A
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【分割の表示】特願平8−35897の分割
【原出願日】平成8年2月23日(1996.2.23)
【出願人】(502057980)シーシーエス テクノロジー インコーポレイテッド (14)
【住所又は居所原語表記】103 Foulk Road wilmington Delaware 19803 U.S.A
【Fターム(参考)】
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