説明

有機エラストマーシリコーン加硫体

有機エラストマーおよびシリコーンを含む、有機エラストマーベース組成物を調製する方法、本方法により調製される生成物、ならびにこれから得られる硬化有機ゴムが、開示される。本方法は:
(I) (A)有機エラストマーを
(B)任意の相容化剤
(C)任意の触媒
(D)硬化可能な有機ポリシロキサンを含むシリコーンベース
(E)任意の架橋剤
(F)該有機ポリシロキサンを硬化させるに充分な量の硬化剤
と混合すること;ならびに
(II)該有機ポリシロキサンを、動的加硫化させること
を含み、ここで、該エラストマーベース組成物中でのシリコーンベース(D)に対する有機エラストマー(A)の重量比が、95:5〜30:70の範囲である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エラストマーおよびシリコーンを含む有機エラストマーベース組成物を調製する方法、本方法により調製された生産品、ならびにこれから得られる硬化有機ラバーに関する。
【背景技術】
【0002】
有機エラストマーを、極限温度においてその性能を向上させるのに効率的な方式で修飾する必要性が、存在している。特に、高温および/または低温特性が必要とされる種々の適用における使用のための有機エラストマー組成物を提供する必要性がある。有機エラストマーを、その加工性を向上させるのに効率的な方式で修飾する必要性も、存在している。
【0003】
シロキサンベースポリマーの添加もしくはシロキサンベースポリマーとの組み合わせにより、修飾有機エラストマーを提供する試みは、比較的僅かしか成功していない。安定で一様な混合物は、シロキサンベースポリマーとの有機エラストマーの不相容性のために、得るのが難しい。更に、ブレンドは、共に架橋可能でなくてはならない。有機エラストマーおよびシリコーンエラストマー組成物を与える幾つかの代表例は、米国特許第4,942,202号明細書、米国特許第5,171,787号明細書、および米国特許第5,350,804号明細書を包含する。
【0004】
米国特許第4,942,202号明細書は、ラバー組成物および加硫化ラバー製品を教示し、これらはフッ化炭素を包含するものであった。米国特許第4,942,202号明細書の組成物は、有機過酸化物を、剪断変形下に、(I)シリコーンラバー、(II)単独で使用される場合、有機過酸化物と反応しない飽和エラストマー、ならびに(III)有機過酸化物存在下に該シリコーンラバーと共に架橋可能なもう1つ別のエラストマーと反応させることにより、調製される。この別のエラストマー(III)も、成分(II)と共に架橋可能であるか、または、高度に混和性である。
【0005】
米国特許第5,171,787号明細書は、シリコーンベース複合ラバー組成物を教示し、有機エラストマーおよびこの使用を包含している。米国特許第5,171,787号明細書の組成物は、(A)ポリ有機シロキサンおよび有機ラバーを含んでいるラバー形成ポリマー、(B)1分子につき少なくとも2つの加水分解可能な基を持っているシリコン化合物、ならびに、(C)これらの加水分解および縮合反応を触媒する重金属化合物、アミン、もしくは4級アンモニウム塩を化合させ、結果的に得られてくる処方が、加水分解および縮合反応を受けるようにする一方、該処方が剪断により変形しないよう保たれ、架橋剤が引き続いて加えられ、その後の該有機ラバーの架橋により、調製される。
【0006】
米国特許第5,350,804号明細書は、複合ラバー組成物を教示し、これは、(a)100℃において少なくとも70のMooney粘度を持ち、該複合ラバー組成物のマトリックス相を形成している有機ラバーエラストマー組成物、ならびに、(b)該マトリックス相中の分散相として、硬化シリコーンラバーを含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、有機エラストマーベース組成物を提供し、これは、有機エラストマーと共にシリコーンを取り込むことに基づき、動的加硫化プロセスを使用している。これら有機エラストマーベース組成物は、本発明の新たな混合プロセスからもたらされる。これら新たな混合プロセスは、有機エラストマー中へと取り込まれた充分量のシリコーンラバーベース組成物を持っている組成物を提供する。しかしながら、本発明の有機エラストマーベース組成物から調製されて結果的に得られてくる硬化有機ラバー組成物は、本有機エラストマーの望ましい物性の多くを維持する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、有機エラストマーおよびシリコーン両方を含有している有機エラストマーベース組成物を調製する方法を提供し、ここでは、シリコーンベースが有機エラストマーと混合され、該シリコーンベースが該有機エラストマー内で、動的加硫化される。これゆえ、本発明は、エラストマーベース組成物を調製する方法に関し、これは:
(I) (A)有機エラストマーを
(B)任意の相容化剤
(C)任意の触媒
(D)硬化可能な有機ポリシロキサンを含んでいるシリコーンベース
(E)任意の架橋剤
(F)該有機ポリシロキサンを硬化させるに充分量の硬化剤
と混合すること;ならびに
(II)該有機ポリシロキサンを、動的加硫化すること
を含み、ここで、エラストマーベース組成物中でのシリコーンベース(D)に対する有機エラストマー(A)の重量比が、95:5〜30:70の範囲である。
【0009】
好ましくは、混合は、押し出しプロセスを経由して実施される。成分(A)〜(F)の混合の順序は、決定的なものではない。成分(A)〜(F)を混合していく順序は、2つの好ましい実施形態を経由して実施されてよく、本明細書において教示される。第1の実施形態では、成分(A)、(B)、および(C)がまず混合され、<<修飾有機エラストマー>>を形成させ、これが次いで引き続き、成分(D)、(E)、および(F)と混合される。第2の実施形態では、成分(D)、(E)、および(F)がまず混合され、<<シリコーン化合物>>を形成させ、これが次いで引き続き、成分(A)、(B)、および(C)と混合される。
【0010】
本発明は更に、本方法により得られるエラストマーベース組成物、および、硬化有機エラストマー組成物、ならびに、これらから調製される物品に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(A)有機エラストマー
成分(A)は、室温を下回るか、あるいは23℃を下回る、あるいは15℃を下回る、あるいは0℃を下回るガラス転移温度(Tg)を持っている、有機エラストマーである。「ガラス転移温度」とは、ポリマーがガラス状態からラバー状態へと変化する温度を意味する。ガラス転移温度は、Dynamic Mechanical Analysis(DMA)およびDifferential Scanning Calorimetry(DSC)のような従来の方法により、求められる。本明細書において使用される場合、<<有機エラストマー>>は、フッ化炭素およびシリコーンベースエラストマーを除外する。有機エラストマー成分(A)は、主要なクラスの有機エラストマーおよびラバー(括弧中に、ASTM分類を示す)のいずれからも選択され得、これらは当業界において、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、塩素化ポリエチレン(CPE)、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、エチレン−酢酸ビニルゴム(EVM)、エチレン−アクリルゴム、エチレン−α−オレフィン共重合化ゴム、エチレン−α−オレフィン−ジエンターポリマー化ゴム(EPDM)、ならびに水素添加ニトリルゴム(HNBR)として知られる。
【0012】
あるいは、本有機エラストマーは高性能エラストマーであり、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CPE/CM)、エチレン−酢酸ビニルゴム(EVM)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、水素添加ニトリルゴム(HNBR)、ならびにアクリルゴム(ACM)から選択される。あるいは、本有機エラストマーは、エチレン−α−オレフィン−ジエンターポリマー化ゴム(EPDM)である。
【0013】
下記の化学的に修飾された有機エラストマーの実施形態において、(A)は、相容化剤(B)と反応して、修飾有機エラストマーを生成できる有機ポリマーを含んでいる有機エラストマーから選択される。ことが、該有機エラストマー、つまり成分(A)が、有機ポリマー混合物たり得ることが認められる。しかしながら、化学的に修飾された有機エラストマーの実施形態において、少なくとも2重量%、あるいは少なくとも5重量%、あるいは少なくとも10%の本有機エラストマー組成物が、相容化剤(B)と反応できる反応性基を持っている有機ポリマーを含有すべきである。
【0014】
相容化剤(B)は、如何なる炭化水素、有機シロキサン、フッ化炭素、もしくはこれらの組み合わせからも選択され得、これらは、該有機エラストマーもしくは該シリコーンベースを、シリコーンベース(D)の有機エラストマー(A)との混合を促進するよう修飾するものと予期され、連続有機相および不連続(つまり、内相)シリコーン相を持っている混合物を生成させる。典型的には、該相容化剤は、2つのタイプの1つであってよい。第1の実施形態では、本明細書においては物理的相容化剤として言及されるが、該相容化剤は、如何なる炭化水素、有機シロキサン、フッ化炭素、もしくはこれらの組み合わせからも選択され、これらは、有機エラストマー(A)もしくはシリコーンベース(D)と反応するものと予期され、まだ尚、該シリコーンベースとの該有機エラストマーの混合を促進する。第2の実施形態では、本明細書においては化学的相容化剤として言及されるが、該相容化剤は、如何なる炭化水素、有機シロキサン、フッ化炭素、もしくはこれらの組み合わせからも選択され、これらは化学的に、該有機エラストマーもしくは該シリコーンベースと反応するものと予期される。しかしながら、いずれの実施形態においても、該相容化剤は、下記の該有機ポリシロキサン成分の動的硬化を妨げてはならない。
【0015】
物理的に修飾された有機物の実施形態において、相容化剤(B)は、当業界において有機エラストマーとのシリコーンベースの混合を促進すると知られた如何なる相容化剤からも選択され得る。典型的には、このような相容化剤は、有機ポリシロキサンと有機ポリマーとの反応生成物である。
【0016】
化学的に修飾された有機物の実施形態において、典型的には、相容化剤(B)は、2つ
以上のオレフィン基を含有する有機(つまり、非シリコーン)化合物(B’)、少なくと
も2つのアルケニル基を含有している有機ポリシロキサン(B’’)、そのシリコン原子
に結合した少なくとも1つの加水分解可能な基もしくは少なくとも1つのヒドロキシル基
も含有するオレフィン官能基を有するシラン(B’’’)、アミン、アミド、イソシアヌ
レート、フェノール、アクリレート、エポキシ、およびチオール基から選択される少なく
とも1つの有機官能基を持っている有機ポリシロキサン(B’’’’)、ならびに、(B
’)、(B’’)、(B’’’)、および(B’’’’)の如何なる組み合わせからも、
選択され得る。
【0017】
有機相容化剤(B’)は、中でも、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート
、2,4,6−トリアリルオキシ−1,3,5−トリアジン、トリメシン酸トリアリル、
1,5−ヘキサジエン、低分子量ポリブタジエン、1,7−オクタジエン、2,2’−ジ
アリルビスフェノールA、N,N’−ジアリル酒石酸ジアミド、ジアリルウレア、琥珀酸
ジアリル、およびジビニルスルホンのような化合物により例示され得る。
【0018】
相容化剤(B’’)は、直鎖、分岐、もしくは環状有機ポリシロキサンから選択されてよく、少なくとも2つのアルケニル基を、その分子中に持っている。このような有機ポリシロキサンの例は、ジビニルテトラメチルジシロキサン、シクロトリメチルトリビニルトリシロキサン、シクロテトラメチルテトラビニルテトラシロキサン、ヒドロキシ末端封鎖ポリメチルビニルシロキサン、ヒドロキシ末端化ポリメチルビニルシロキサン−コ−ポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端化ポリジメチルシロキサン、テトラキス(ジメチルビニルシロキシ)シラン、およびトリス(ジメチルビニルシロキシ)フェニルシランを包含する。あるいは、相容化剤(B’’)は、ヒドロキシ末端化ポリメチルビニルシロキサン[HO(MeViSiO)xH]オリゴマーであり、約25〜100mPa.sの粘度を持ち、20〜35%のビニル基および2〜4%のシリコン結合水酸基を含有している。
【0019】
相容化剤(B’’’)はシランであり、少なくとも1つのアルキレン基を含有し、典型的には、ビニル不飽和部分を含んでおり、同様に、加水分解可能な基もしくはヒドロキシル基から選択される少なくとも1つのシリコン結合部分を含有している。適切な加水分解可能な基は、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、もしくはアミド基を包含する。このようなシランの例は、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ヘキセニルトリエトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシ、メチルビニルジシラノール、オクテニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(2−エトキシエトキシ)シラン、メチルビニルビス(N−メチルアセトアミド)シラン、メチルビニルジシラノールである。
【0020】
相容化剤(B’’’’)は有機ポリシロキサンであり、アミン、アミド、イソシアヌレート、フェノール、アクリレート、エポキシ、およびチオール基から選択される少なくとも1つの有機官能基を持っている。下記のシリコーンベース成分(D)の硬化可能な有機ポリシロキサンの一部も、相容化剤として機能し得ることが可能である。例えば、触媒(C)が、シリコーンベース(D)の硬化可能な該有機ポリシロキサンの一部を、前記有機エラストマー(A)とまず反応させるのに使用され得、修飾有機エラストマーを生産させる。該修飾有機エラストマーは次いで更に、硬化可能な該有機ポリシロキサンを含有している残りのシリコーンベース(D)と混合され、該有機ポリシロキサンが下記のように、動的加硫化される。
【0021】
もう1つ別の化学的な修飾の実施形態において、如何なる有機エラストマーも、成分(A)として選択され得るが、但し、該有機エラストマーが、前記シリコーン化合物の少なくとも1部分と反応できる少なくとも1つの基を含有する。換言すれば、該有機エラストマーは、前記シリコーンベースと、該有機ポリシロキサン用に選択される操作性ある硬化メカニズム経由で反応できるべきである。硬化剤(F)が該有機ポリシロキサンたる成分(D)および任意に架橋剤成分(E)へと加えられ、該有機ポリシロキサンを、動的加硫化プロセス経由で硬化させる。典型的には、該動的加硫化プロセス、つまりステップ(II)の間に、硬化化学反応が該シリコーン化合物表面において起き、該有機エラストマーとも反応できて、該有機エラストマー内で、該シリコーンを更に分散させる。該有機エラストマー上の該反応性基の代表的な非限定例は、メチル、メチレン、ビニル、およびハロゲンを包含する。例えば、該有機エラストマー上のメチルもしくはメチレン基は、該シリコーン化合物用の硬化剤として選択された過酸化物と反応でき、こうして、該有機ポリシロキサンと該有機エラストマーとの間の結合を形成していく。もう1つ別の例としては、該該有機エラストマー上のビニル基が、付加硬化メカニズムもしくはラジカル硬化メカニズムを介して、反応し得る。
【0022】
「シリコーン化合物」の実施形態において、修飾のタイプに依存して典型的に、相容化剤(B)が前記シリコーン化合物へと加えられ得る。
【0023】
有機エラストマー100部につき使用される相容化剤の量は、通常の実験により求められ得る。典型的には、0.05〜15重量部、あるいは、0.05〜10重量部、あるいは、0.1〜5部の該相容化剤が、有機エラストマー各100部につき使用される。
【0024】
任意の成分(C)は、触媒である。典型的には、該触媒は、前記した化学的に修飾された有機物の実施形態において、使用される。このように、これは典型的にはラジカルイニシエーターであり、当業界において上昇した温度でフリーラジカルを発生させると知られる如何なる有機化合物からも選択される。該イニシエーターは特に限定されず、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルのような、既知のアゾもしくはジアゾ化合物のいずれであってもよいが、好ましくは、過酸化水素、ジアシルペルオキシド、ケトンペルオキシド、ペルオキシエステル、ジアルキルペルオキシド、過酸化ジカーボネート、過酸化ケタール、過酸、アシルアルキルスルホニルペルオキシド、およびアルキルモノペルオキシジカーボネートのような有機過酸化物から選択される。しかしながら、鍵となる必要性は、該イニシエーターの半減寿命が充分短いことであり、それで、本調製の時間および温度の拘束内で、有機エラストマー(A)との相容化剤(B)の反応を促進させる。今度は、その修飾温度が、選ばれた有機エラストマーおよび相容化剤のタイプに依存し、典型的には、成分(A)〜(C)の一様な混合と整合するほど実際に低い。本発明の方法に従って使用されることがある適切な過酸化物の特定例は、中でも:
2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン;
過酸化ベンゾイル;
過酸化ジクミル;
t−ブチルペルオキシ−O−トルエン酸;
環状ペルオキシケタール;
t−ブチルヒドロペルオキシド;
t−ブチルペルオキシピバレート;
ラウロイルペルオキシド;
t−アミルペルオキシ2−エチルヘキサノエート;
ビニルトリス(t−ブチルペルオキシ)シラン;
ジ−t−ブチルペルオキシド;
1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン;
2,2,4−トリメチルペンチル−2−ヒドロペルオキシド;
2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキシン−3;
t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート;
クメンヒドロペルオキシド;
t−ブチルペルオキシベンゾエート;および
ジイソプロピルベンゼンモノヒドロペルオキシド
を包含する。有機エラストマー100部につき、2重量部未満の過酸化物が、典型的には使用される。あるいは、0.05〜1部および0.2〜0.7部も、用いられ得る。
【0025】
(D)シリコーンベース、(E)任意の架橋剤、および(F)硬化剤
成分(D)は、硬化可能な有機ポリシロキサン(D’)および任意に充填剤(D’’)を含んでいる、シリコーンベースである。硬化可能な有機ポリシロキサンは本明細書において、その分子中に存在する少なくとも2つの硬化可能な基を持っている如何なる有機ポリシロキサンとしても定義される。有機ポリシロキサンは当業界においてよく知られ、しばしばいずれかの数の、RSiO0.5(M単位)、RSiO(D単位)、RSiO1.5(T単位)、もしくはSiO(Q単位)を含んでいるものとして命名され、式中、Rは独立に、如何なる1価の炭化水素基でもある。あるいは、有機ポリシロキサンはしばしば、以下の一般式:
[RSi(O)4−m/2
を持っているものとして記述され、式中、Rは独立に、如何なる1価の炭化水素基でもあり、m=1〜3、nは少なくとも2である。
【0026】
シリコーンベース(D)中の有機ポリシロキサンは、その分子中に、少なくとも2つの硬化可能な基を持たなくてはならない。本明細書において使用される場合、硬化可能な基とは、それ自体もしくはもう1つ別の有機基と、または、架橋剤と反応でき、該有機ポリシロキサンを架橋させる如何なる有機基もしくはシロキサン基としても定義される。この架橋は結果的に、硬化有機ポリシロキサンを与える。該シリコーンベース中で使用され得る硬化可能な有機ポリシロキサンのタイプの代表は、硬化していく際、シリコーンラバーを生成する、当業界において既知の有機ポリシロキサンである。このような有機ポリシロキサンの非限定例たる代表が、Kirk−Othmer著<<Encyclopedia of Chemical Technology>>、第4版、第22巻、第82〜142頁、John Wiley&Sons、NYに開示され、本明細書中援用される。典型的には、有機ポリシロキサンは、数多くの架橋メカニズムを介して硬化され得、該有機ポリシロキサン上の種々の硬化基、硬化剤、および任意に架橋剤を用いる。数多くの架橋メカニズムがある一方、硬化可能な有機ポリシロキサンからシリコーンラバーを調製するのに当業界において使用されるより汎用の架橋メカニズムのうちの3つとは、フリーラジカルにより開始される架橋、ヒドロシリル化もしくは付加硬化、および縮合硬化である。これゆえ、この硬化可能な有機ポリシロキサンは、これら上記した架橋メカニズムのいずれか1つを受けられる如何なる有機ポリシロキサンからも選択され得るが、これらに限定されない。成分(D)、(E)、および(F)の選択は、硬化もしくは架橋メカニズムの選択と整合される。例えば、もしヒドロシリル化もしくは付加硬化が選択されれば(本明細書においては、<<ヒドロシリル化硬化の実施形態>>として言及される)、その時は、少なくとも2つのビニル基(硬化可能な基)を有する有機ポリシロキサンを含んでいるシリコーンベースが成分(D’)として使用され、有機ヒドリドシリコン化合物が成分(E)として使用され、白金触媒が成分(F)として使用される。縮合硬化に関しては(縮合硬化の実施形態)、少なくとも2つのシリコン結合ヒドロキシ基もしくはヒドロキシ基の加水分解可能な前駆体(つまり、シラノールもしくはアルコキシシランが、前記した硬化可能な基と考えられる)を持っている有機ポリシロキサンを含んでいるシリコーンベースが成分(D)として選択され、錫触媒のような当業界において既知の縮合硬化触媒が成分(F)として選択される。フリーラジカルにより開始される架橋に関しては(フリーラジカル硬化の実施形態)、如何なる有機ポリシロキサンも成分(D)として選択され得、この組み合わせが動的加硫化ステップ(II)の時間および温度の拘束内で硬化するのであれば、フリーラジカルイニシエーター(開始剤)が成分(F)として選択される。このようなフリーラジカルにより開始される架橋における成分(F)の選択に依存して、メチルのような如何なるアルキル基も、前記した硬化可能な基として考えることができ、これは、これらがこのようなフリーラジカルにより開始される条件下に架橋するものであるからである。
【0027】
該シリコーン相使用量は、本明細書においては、成分(D)、(E)、および(F)の組み合わせとして定義されるが、有機エラストマー(A)使用量に依存して変動し得る。
【0028】
シリコーンベース(D)に対する有機エラストマー(A)の重量比を記載するのが便利であり、典型的には、95:5〜30:70、あるいは90:10〜40:60、あるいは80:20〜40:60の範囲である。
【0029】
本発明のヒドロシリル化硬化の実施形態では、加硫化プロセスの間にヒドロシリル化硬化技術を介してシリコンラバーを生産するべく、成分(D)、(E)、および(F)の選択がなされ得る。これゆえ、本ヒドロシリル化硬化の実施形態では、(D’)は、ジ有機ポリシロキサンゴムから選択され、これは、2〜20炭素原子を持っている少なくとも2つのアルケニル基を含有し、任意に(D’’)は強化充填剤である。該アルケニル基は特に、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、およびデセニルにより例示され、好ましくは、ビニルもしくはヘキセニルである。該アルケニル官能基の位置は決定的ではなく、その分子鎖末端に、その分子鎖上の非末端位置において、もしくは両方の位置に結合していてもよい。典型的には、該アルケニル基はビニルもしくはヘキセニルであり、この基は0.0001〜3モル%レベル、あるいは0.0005〜1モル%で、該ジ有機ポリシロキサン中に存在している。該ジ有機ポリシロキサンの残りの(つまり、非アルケニル)シリコン結合有機基は独立に、炭化水素もしくはハロゲン化炭化水素基から選択され、これは脂肪族不飽和部分を含有しない。これらは特に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびヘキシルのような、1〜20炭素原子を持っているアルキル基;シクロヘキシルおよびシクロヘプチルのようなシクロアルキル基;フェニル、トリル、およびキシリルのような、6〜12炭素原子を持っているアリール基;ベンジルおよびフェニルエチル(フェネチル)のような、7〜20炭素原子を持っているアラルキル基;ならびに、3,3,3−トリフルオロプロピルおよびクロロメチルのような、1〜20炭素原子を持っているハロゲン化アルキル基により例示されてもよい。勿論、これらの基が、該ジ有機ポリシロキサンが室温を下回るガラス温度を持ち、その硬化したポリマーがこれゆえエラストマーであるように選択されることが、理解されよう。典型的には、該ジ有機ポリシロキサン中の非アルケニルシリコン結合有機基が、該ジ有機ポリシロキサン中の有機基の、少なくとも85、あるいは少なくとも90モル%を形作る。
【0030】
これゆえ、ポリジ有機シロキサン(D’)は、ホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーであり得、このような有機基を含有している。例は、ジメチルシロキシ単位を含んでいるホモポリマー、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキシ単位を含んでいるホモポリマー、ジメチルシロキシ単位とフェニルメチルシロキシ単位とを含んでいるコポリマー、ジメチルシロキシ単位と3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキシ単位とを含んでいるコポリマー、ジメチルシロキシ単位とジフェニルシロキシ単位とのコポリマー、ならびに、ジメチルシロキシ単位、ジフェニルシロキシ単位、およびフェニルメチルシロキシ単位のターポリマー、その他を包含する。その分子構造もまた決定的ではなく、直鎖構造、および、一部分岐した直鎖構造により例示され、これら直鎖系が最も典型的である。
【0031】
ジ有機ポリシロキサン(D’)特定の例示は:
トリメチルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー;トリメチルシロキシ末端封鎖メチルフェニルシロキサン−ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー;トリメチルシロキシ末端封鎖3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサンコポリマー;トリメチルシロキシ末端封鎖3,3,3−トリフルオロプロピルメチル−メチルビニルシロキサンコポリマー;ジメチルビニルシロキシ末端封鎖ジメチルポリシロキサン;ジメチルビニルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー;ジメチルビニルシロキシ末端封鎖メチルフェニルポリシロキサン;ジメチルビニルシロキシ末端封鎖メチルフェニルシロキサン−ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー;ならびに同様のコポリマー
を包含し、ここでは、少なくとも1つの末端基がジメチルヒドロキシシロキシである。低温での適用のための典型的な系は、メチルフェニルシロキサン−ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマーおよびジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマーを包含し、特にここで、該ジメチルシロキサン単位のモル含量は、約85〜95%である。
【0032】
該有機ポリシロキサンも、2種以上の有機ポリシロキサンの組み合わせからなってもよい。あるいは、ジ有機ポリシロキサン(D’)は直鎖ポリジメチルシロキサンホモポリマーであり、好ましくは、その分子の各末端において、ビニル基により封鎖され、あるいは、少なくとも1つのビニル基も、その主鎖に沿って含有するのは、このようなホモポリマーである。
【0033】
本発明の目的には、好ましいジ有機ポリシロキサンはジ有機ポリシロキサンゴムであり、the American Society for Testing and Materials(ASTM)試験法926により求められる場合、少なくとも約30のウィリアムズ(Williams)可塑性数を付与するに充分な分子量を有する。成分(D’)の可塑性に絶対の上限はないが、従来の混合設備における生産性の現実的な考慮により、この値は一般的に拘束される。典型的には、該可塑性数は40〜200、あるいは50〜150であるべきである。
【0034】
高い一貫性を有する不飽和基含有ジ有機ポリシロキサンを調製する方法がよく知られており、本明細書において、詳細な議論を必要としない。
【0035】
任意成分(D’’)は、如何なる充填剤であってもよく、ジ有機ポリシロキサン(D’)を強化すると知られているものであり、好ましくは、発煙シリカおよび沈降シリカ、シリカエアロゾル、および、特定の表面積少なくとも約50m/グラムを持っている二酸化チタンのような、細かく砕かれ熱に安定な材料から選択される。発煙シリカはその大きな表面積に基づいた典型的な強化充填剤であり、450m/グラムまで可能である。あるいは、表面積50〜400m/gまたは90〜380m/gを持っている発煙シリカが、使用され得る。該充填剤は、ジ有機ポリシロキサン(D’)各100重量部に関して、約5〜約150重量部、あるいは10〜100重量部、あるいは15〜70重量部のレベルで加えられる。
【0036】
該充填剤は典型的に、その表面を疎水性とするよう処理され、シリコーンラバーの当業界において典型的に実施されているとおりである。これは前記シリカを、液体有機シリコン化合物と反応させることにより達成され得、これは、シラノール基、もしくは、シラノール基へと加水分解可能な前駆体を含有する。充填剤処理剤として使用され得る化合物は、シリコーンラバーの当業界においては抗しぼ寄せ(anti-creping)剤もしくは可塑剤とも言われるが、低分子量液体ヒドロキシもしくはアルコキシ末端化ポリジ有機シロキサン、ヘキサ有機ジシロキサン、シクロジメチルシラザン、およびヘキサ有機ジシラザンのような成分を包含する。
【0037】
成分(D)はまた、シリコーンラバー処方において汎用される他の材料も含有してよく、これらは、抗酸化剤、架橋補助剤、加工剤、色素、および、当業界において知られた他の添加剤を包含するが、これらに限定されず、下記のステップ(II)に干渉しないものである。
【0038】
本発明のヒドロシリル化硬化の実施形態において、化合物(E)が加えられ、これは有機ヒドリドシリコン化合物(E’)であり、ジ有機ポリシロキサン(D’)と架橋する。該有機ヒドリドシリコン化合物は有機ポリシロキサンであり、各分子中に少なくとも2つのシリコン結合水素原子を含有し、(D’)のアルケニル官能基と、本方法の動的加硫化ステップ(II)の間に反応される。更なる(分子量の)制限は、成分(E’)が、少なくとも約0.1重量%の水素、あるいは0.2〜2、あるいは0.5〜1.7%のシリコン結合水素を持たねばならないことである。当業者は勿論、ジ有機ポリシロキサン(D’)もしくは成分(E’)または両者が、該ジ有機ポリシロキサンを硬化させるのに2より多い官能基を持たねばならないことを認めることになる(つまり、これら官能基の合計が、平均で4より多くなくてはならない)。成分(E’)中のシリコン結合水素の位置は決定的ではなく、その分子鎖末端に、その分子鎖上の非末端位において、または両方の位置に結合していてもよい。成分(E’)のシリコン結合有機基は独立に、ジ有機ポリシロキサン(D’)に関連して前記した飽和炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基のいずれかから選択され、その好ましい実施形態を包含する。成分(E’)の分子構造もまた決定的ではなく、直鎖、一部分岐した直鎖、分岐、環状、および網状構造により例示され、網状構造、直鎖ポリマーもしくはコポリマーが典型的である。勿論、この成分が、D’と相容れなくてはならないことが認められるものである(つまり、該ジ有機ポリシロキサンを硬化させることにおいて有効である)。
【0039】
成分(E’)は、以下:
PhSi(OSiMeH)のような低分子量シロキサン;
トリメチルシロキシ末端封鎖メチルヒドリドポリシロキサン;
トリメチルシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン−メチルヒドリドシロキサンコポリマー;
ジメチルヒドリドシロキシ末端封鎖ジメチルポリシロキサン;
ジメチル水素シロキシ末端封鎖メチル水素ポリシロキサン;
ジメチルヒドリドシロキシ末端封鎖ジメチルシロキサン−メチルヒドリドシロキサンコポリマー;
環状メチル水素ポリシロキサン;
環状ジメチルシロキサン−メチルヒドリドシロキサンコポリマー;
テトラキス(ジメチル水素シロキシ)シラン;
SiO4/2単位を含有しているトリメチルシロキシ末端封鎖メチルヒドリドシロキサンポリマー;
(CHHSiO1/2単位およびSiO4/2単位から構成されるシリコーン樹脂;
(CHHSiO1/2単位、(CHSiO1/2単位、およびSiO4/2単位から構成されるシリコーン樹脂;
(CHHSiO1/2単位およびCFCHCHSiO3/2単位から構成されるシリコーン樹脂;ならびに
(CHHSiO1/2単位、(CHSiO1/2単位、CHSiO3/2単位、PhSiO3/2単位、およびSiO4/2単位から構成されるシリコーン樹脂
により例示され、Phは以降、フェニル基を表す。
【0040】
典型的な有機ヒドリドシリコン化合物は、ポリマーもしくはコポリマーであり、RHSiO単位を含み、RSiO1/2単位もしくはHRSiO1/2単位により封鎖され、式中、Rは独立に、1〜20炭素原子を持っているアルキル基、フェニル、もしくはトリフルオロプロピルから選択され、典型的にはメチルである。また、典型的には、成分(E’)の粘度は25℃において約0.5〜3,000mPa.s、あるいは、1〜2,000mPa.sである。成分(E’)は典型的に、0.5〜1.7重量%のシリコン結合水素を持つ。あるいは、成分(E’)は、本質的にメチルヒドリドシロキサン単位からなるポリマー、もしくは、本質的にジメチルシロキサン単位とメチルヒドリドシロキサン単位とからなるコポリマーから選択され、0.5〜1.7重量%のシリコン結合水素を持ち、25℃において1〜2,000mPa.sの粘度を持つ。このような典型的な系は、トリメチルシロキシ基もしくはジメチルヒドリドシロキシ基から選択される末端基を持つ。あるいは、成分(E’)は、コポリマーもしくは網状構造から選択され、樹脂単位を含んでいる。該コポリマーもしくは網状構造単位は、RSiO3/2単位もしくはSiO4/2単位を含み、RSiO1/2単位、RSiO2/2単位、および/またはRSiO3/2単位も含有してもよく、式中、Rは独立に、水素、1〜20炭素原子を持っているアルキル基、フェニル、またはトリフルオロプロピルから選択され、典型的にはメチルである。成分(E’)が典型的に0.5〜1.7重量%のシリコン結合水素を持つように、充分な水素としてのRが選択されることが理解される。また、典型的には、成分(E’)の粘度は25℃において約0.5〜3,000mPa.s、あるいは、1〜2,000mPa.sである。成分(E’)は、上記した系の2種以上の組み合わせであってもよい。
【0041】
有機ヒドリドシリコン化合物(E’)は、ジ有機ポリシロキサン(D’)を、成分(F)存在下に硬化させるに充分なレベルで使用され、下記のとおりである。典型的には、その含量は、その中のSiHの、(D’)中のSi−アルケニルに対するモル比が1より大きくなるよう調整される。典型的には、このSiH/アルケニル比が約50を下回り、あるいは1〜20、あるいは1〜12である。これらSiH官能基を有する材料は当業界においてよく知られ、多くが市販されている。
【0042】
本発明のヒドロシリル化硬化の実施形態において、成分(F)はヒドロシリル化触媒(F’)であり、前記ジ有機ポリシロキサン硬化を加速させる。これは、白金黒、シリカ上に担持された白金(Pt−Si、Pt/Si)、カーボン上に担持された白金(Pt−C、Pt/C)、塩化白金酸、塩化白金酸アルコール溶液、白金/オレフィン錯体、白金/アルケニルシロキサン錯体、白金/β−ジケトン錯体、白金/ホスフィン錯体、その他のような白金触媒;塩化ロジウムおよび塩化ロジウム/ジ(n−ブチル)スルフィド錯体その他のようなロジウム触媒;ならびに、カーボン上のパラジウム(Pd−C、Pd/C)および塩化パラジウムその他のようなパラジウム触媒により例示される。成分(F’)は典型的には、塩化白金酸;二塩化白金;四塩化白金;塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンとを反応させ、ジメチルビニルシロキシ末端封鎖ポリジメチルシロキサンにより稀釈されることにより、Willingへの米国特許第3,419,593号明細書に従って調製され、生成される白金錯体触媒;塩化第一白金とジビニルテトラメチルジシロキサンとの、Brownらへの米国特許第5,175,325号明細書に従って調製される中和錯体のような白金主体の触媒であり、これらの特許が、本明細書において援用される。あるいは、触媒(F)は、塩化第一白金とジビニルテトラメチルジシロキサンとの、中和錯体である。
【0043】
成分(F’)は、有機ポリシロキサン(D’)と成分(E’)との間の反応を促進するに充分な触媒量で本組成物へと加えられ、こうして、該有機ポリシロキサンを、本動的加硫化ステップ(II)の時間および温度の制限内で、硬化させる。典型的には、ヒドロシリル化触媒が加えられ、これにより、エラストマーベース組成物の全重量に基づき、約0.1〜500ppm、あるいは、0.25〜50ppmの金属原子を与える。
【0044】
もう1つ別の実施形態において、成分(D)、(E)、および(F)が、本有機ポリシロキサンの縮合硬化を与えるよう選択される。縮合硬化に関して、少なくとも2つのシリコン結合水酸基、もしくは、水酸基の加水分解可能な前駆体(つまり、シラノールもしくはアルコキシシランが、これら硬化可能な基と考えられる)を持っている有機ポリシロキサンが成分(D)として選択され、当業界において知られる縮合硬化触媒は、錫触媒のようなものであり、成分(F)として選択される。縮合硬化可能な有機ポリシロキサンとして有用な有機ポリシロキサンは、1種以上の有機ポリシロキサンであり、少なくとも2つのシリコン結合水酸基、もしくは、シラノール基(SiOH)へと加水分解する基を、その分子中に含有する。典型的には、少なくとも2つのSiOH基もしくはSiOH前駆体が更に存在すれば、前記付加硬化の実施形態中の成分(D)として、下記の有機ポリシロキサンのいずれかが、本縮合硬化の実施形態中の有機ポリシロキサンとして使用され得るが、アルケニル基は、本縮合硬化の実施形態においては必要なくなる。任意の架橋剤(E)として有用な有機ヒドリドシリコン化合物は、成分(E)に関して下記と同じである。しかしながら、より典型的には、該架橋剤は、アルコキシもしくはアセトキシ末端封鎖有機ポリシロキサンから選択され、これらは、有機ポリシロキサンの縮合硬化を有効にすることに関して、当業界において知られる。この実施形態において硬化剤として有用な縮合触媒は、ジ有機ポリシロキサン(D)のSiOH基と、有機ヒドリドシリコン化合物(E)のSiH基との間の縮合反応を促進するいずれかの化合物であり、(Eが)存在する場合、こうして前者が、−Si−O−Si−結合の形成により、硬化される。適切な触媒の例は、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、トリプロピル錫アセテート、第一錫オクトエート、第一錫オキサレート、第一錫ナフタネートのような金属カルボキシレート;トリエチルアミン、エチレントリアミンのようなアミン;ならびに、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、β−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム−2−エチルヘキソエート、およびβ−ヒドロキシエチルベンジルトリメチルジメチルアンモニウムブトキシドのような4級アンモニウム化合物を包含する(例えば、米国特許第3,024,210号明細書参照)。
【0045】
尚もう1つ別の実施形態において、成分(D)、(E)、および(F)が、本有機ポリシロキサンのフリーラジカル硬化を与えるよう選択され得る。この実施形態において、該有機ポリシロキサンは、いずれの有機ポリシロキサンでもあり得るが、典型的には、該有機ポリシロキサンは、少なくとも2つのアルケニル基を持つ。これゆえ、前記付加硬化の実施形態における(D’)に関する適切な選択として上記の有機ポリシロキサンのいずれもが、本発明のフリーラジカルの実施形態においても使用され得る。架橋剤(E)は必要とされないが、本フリーラジカル硬化の実施形態において補助となることがある。硬化剤(F)は、成分(C)の選択に関して上記のフリーラジカルイニシエーターのいずれかから選択され得る。
【0046】
(G)任意の添加剤
上述した主要成分(A)〜(F)に加えて、半数に満たない量(つまり、本組成物全体の50重量%未満)の1種以上の任意の添加剤(G)が、本発明の有機ベースエラストマー組成物に取り込まれ得る。これら任意の添加剤は、以下の非限定例:
石英、炭酸カルシウム、および珪藻土のような増量充填剤;
酸化鉄および酸化チタンのような色素;
カーボンブラック(黒鉛)および細分化された金属のような充填剤;
水和した酸化セリウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウムのような熱安定化剤;ならびに
ハロゲン化炭化水素、アルミナ3水和物、水酸化マグネシウム、珪灰石(wollastonite)、有機リン化合物、および他の難燃(FR)材料のような難燃剤
により、例示され得る。これら添加剤は典型的に、動的硬化後、最終組成物へと加えられるが、これらはその調製中のいずれの時点においても添加されてよく、但し、これらは該動的加硫化メカニズムに干渉しないものである。これらの添加剤は、下記の硬化エラストマー組成物を調製するのに添加される添加成分と同一でも、または、異なっていてもよい。
【0047】
混合
ステップ(I)における成分(A)〜(F)および任意に(G)の混合は、エラストマー材料の取り扱いおよび混合用に当業界において知られる如何なるプロセスによっても、効果的にされ得る。典型的な混合技術は、ミキサー、押し出し機、Banburyミキサー、ニーダー、もしくはロールを包含するが、これらに限定されない。あるいは、本方法の混合ステップ(I)および動的加硫化ステップ(II)は、双スクリュー押し出し機を使用しながら、達成され得る。典型的には、該押し出し混合プロセスは、100〜350℃、あるいは125〜300℃、尚あるいは150〜250℃の温度範囲において実施される。本発明の方法の1つの好ましい実施形態では、該混合が、双スクリュー押し出し機で、3分未満、あるいは2分未満の時間で、実施される。
【0048】
本発明の最も広い態様では、成分(A)〜(F)を混合していく順序は、決定的なものではない。典型的には、(G)は(F)後に加えられるものであるが、(G)が本有機ポリシロキサンの硬化に干渉しない限り、決定的なものではない。例えば、(G)は(A)有機エラストマーおよび/または(D)シリコーンベースとプレミックスされ得る。しかしながら、下記の2実施形態では、混合していく順序が特定されてもよい。
混合の第1の実施形態は:
(I) (A)有機エラストマーを
(B)相容化剤
(C)任意の触媒
と混合し、修飾有機エラストマーを形成させ;
次いで、該修飾有機エラストマーを
(D)硬化可能な有機ポリシロキサンを含んでいるシリコーンベース
(E)任意の架橋剤
(F)該有機ポリシロキサンを硬化させるに充分量の硬化剤
と混合すること
を含む。
【0049】
この混合の実施形態の第1ステップが生成物を生成させ、本明細書において、<<修飾有機エラストマー>>として言及される。本明細書において使用される場合、用語「修飾有機エラストマー」とは、更にシリコーンベース組成物と混合していった際、連続有機エラストマー相と不連続(つまり、内相)シリコーン相とを持っている有機/シリコーン混合物を生成させる有機エラストマーのことを言う。該修飾有機エラストマーは、化学的に修飾されたものもしくは物理的に修飾されたものとして考えることができ、これは、成分(A)、(B)、および任意に(C)、ならびに、この混合ステップにおいて付随している使用条件の選択に依存しており、更に下記される。化学的に修飾された有機エラストマーを調製する本発明の実施形態では、成分(A)、(B)、および任意に(C)が選択され、該有機エラストマーと前記相容化剤との反応生成物を生成するよう混合される。物理的に修飾された有機エラストマーを調製する本発明の実施形態では、成分(A)、(B)、および任意に(C)が選択され、該有機エラストマーと前記相容化剤との物理的混合製品を生産するよう混合される。どちらの場合も、ステップ(I)の生成物が修飾有機エラストマーを生成する場合、有機エラストマー(A)は、更にシリコーンベース組成物と混合していった際、連続有機相と不連続(つまり、内相)シリコーン相とを持っている混合物を生成させる有機/シリコーン混合物を生成させるよう修飾される。
【0050】
成分(D)、(E)、および(F)が次いで、本明細書に記載の混合技術のいずれかに従って、「修飾有機エラストマー」と混合される。
混合の第2の実施形態は:
(I) (D)硬化可能な有機ポリシロキサンを含んでいるシリコーンベース
(E)任意の架橋剤
(F)硬化剤
を混合し、シリコーン化合物を形成させ;
次いで、該シリコーン化合物を
(A)有機エラストマー
(B)任意の相容化剤
(C)任意の触媒
と混合すること
を含む。
【0051】
混合の第2の実施形態は、硬化剤(F)を、有機エラストマー(A)と混合していく前に、シリコーンベース(D)とまず混合し、シリコーン化合物を形成させることにより、特徴付けられる。従って、該有機エラストマーベース組成物は典型的に、該シリコーン化合物を、有機エラストマー(A)および任意に成分(B)および(C)と混合し、次いで、該シリコーン化合物の有機ポリシロキサンを動的加硫化させることにより、調製される。
【0052】
動的加硫化
本発明の方法の第2のステップ(II)は、該有機ポリシロキサンを、動的加硫していくステップである。該動的加硫化ステップは、該有機ポリシロキサンを、硬化させる。ステップ(II)は混合ステップ(I)と同時に実施され得、あるいは、混合ステップ(I)後である。典型的には、ステップ(II)は混合ステップ(I)と同時に実施され、ステップ(I)に関して記載されたと同一の温度範囲および混合手順により、効果的にされる。
【0053】
エラストマー組成物
本発明は、本明細書において教示される方法に従って調製される有機エラストマー組成物にも関し、更に、これから調製される硬化エラストマー組成物に関する。本発明者らは、本発明の技術が、ユニークで有用な有機エラストマー組成物を提供すると考えており、これは、本有機ベースエラストマー組成物固有の物性により実証されるとおりであり、他の方法もしくは技術により調製された有機エラストマーおよびシリコーンベースの類似の組み合わせの組成物に対するものである。更に、本硬化有機エラストマー組成物も、下記されるように、本発明の有機ベースエラストマー組成物から調製され、ユニークで有用な特性を保有する。例えば、本発明の有機ベースエラストマー組成物から調製された硬化有機エラストマーは驚いたことに、良好な低温および高温特性ならびに向上した加工性を持つ。
【0054】
本発明の硬化有機エラストマーベース組成物は、既知の硬化技術を介して、本発明の有機エラストマーベース組成物の有機エラストマー成分を硬化させることにより、調製され得る。硬化させていく前に加えられた有機エラストマーおよび添加成分の硬化は、当業界においてよく知られる。これら既知技術および添加剤のいずれも、本発明の有機エラストマーベース組成物を硬化させ、これから硬化有機エラストマーを調製するのに、使用され得る。
【0055】
添加成分は、前記した有機エラストマー成分を硬化させていく前に、本有機エラストマーベース組成物へと加えられ得る。これらは、他の有機エラストマーもしくは他の有機エラストマーベース組成物を、本発明の有機エラストマーベース組成物中へとブレンドしていくことを包含する。これら添加成分も、硬化有機エラストマー組成物を調製していく目的で有機エラストマーもしくは有機エラストマーゴムへと典型的に加えられるいずれの成分でもあり得る。典型的には、これら成分は、充填剤、加工補助剤、および治療薬から選択され得る。多くの市販の有機エラストマーが既に、これら添加成分を含み得る。これらの添加成分を持っている有機エラストマーが、成分(A)として使用可能であるが(上記)、但しこれらは、本発明の方法のステップ(II)における前記シリコーンベースの動的加硫化を妨げない。あるいは、このような添加成分は、本有機エラストマーの最終硬化前に、本有機エラストマーベース組成物へと加えられ得る。
【0056】
本硬化有機エラストマー組成物も、充填剤を含んでよい。充填剤の例は、カーボンブラック(黒鉛);石炭微粉塵;シリカ;金属酸化物、例えば、酸化鉄や酸化亜鉛;硫化亜鉛;炭酸カルシウム;珪灰石、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、ならびに、当業界において知られる他のものを包含する。
【0057】
本硬化有機エラストマー組成物は、O−リング、ガスケット、シール、ライナー、ホース、チューブ、隔膜、ブーツ、弁、ベルト、ブランケット、コーティング、ローラー、成型品、押し出しシート、コーキング、および押し出し物品により例示されるがこれらに限定されない種々の製造物品を構成することに関するような種々の適用において有用であり、自動車、船舶、および航空機を包含する輸送;化学プラントおよび石油プラント;ワイヤやケーブル(電気);食品加工設備;原子力発電所;航空宇宙;医療での適用;ならびに、油およびガス掘削業、その他を包含するがこれらに限定されない適用領域における使用のためであって、典型的には、ECO、FKM、HNBR、アクリルラバー、およびシリコーンエラストマーのような高性能エラストマーを使用する。
【実施例】
【0058】
以下の実施例が、本発明の組成物および方法を更に例示するのに掲げられる。本実施例中の全ての<<部>>および<<%>>は重量基準であり、全測定値が、他に指し示されなければ、およそ23℃において得られた。
材料
CATALYST1は、1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン1.5%;テトラメチルジビニルジシロキサン6%;ジメチルビニル末端ポリジメチルシロキサン92%;および、6以上のジメチルシロキサン単位を持っているジメチルシクロポリシロキサン0.5%の白金錯体である。
DI−CUP R は、98〜100%ジクミルペルオキシド(CAS#80−43−3)であり、Hercules,Inc.により、DI−CUP(登録商標)R として上市されている。
DI−CUP 40C は、沈降炭酸カルシウム上に担持された39.5〜41.5%ジクミルペルオキシド(CAS#80−43−3)であり、Hercules,Inc.により、DI−CUP(登録商標)40C として上市されている。
EPDM1は、低ジエン含有エチレン−プロピレンターポリマー(EPDM)であり、DuPont Dow Elastomers,LLCにより、Nordel(登録商標)IP NDR 3640.00として上市されている。
GP−50はシリコーンラバーベースであり、Dow Corning Corporationにより、Silastic(登録商標)GP−50として上市されている。
LCS−755はシリコーンラバーベースであり、Dow Corning Corporationにより、Silastic(登録商標)LCS−755として上市されている。
TRIG 145PDは、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン(CAS#78−63−7)であり、Akzo Nobel Chemicals,Inc.により、TRIGONOX(登録商標)145B−45PDとして上市されている。
VAROXは、不活性充填剤上の2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサンであり、R.T.Vanderbilt,Company,Inc.により、VAROX(登録商標)DBPH−50として上市されている。
LuperoxFは、ジ−(2−tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンであり、ATOFINA Chemicals,Inc.により、LUPEROX(登録商標)Fとして上市されている。
N774は、カーボンブラックであり、Cabot Corporationにより、Sterling(登録商標)NSとして上市されている。
Austin Blackは、グラインドした石炭であり、Coal Fillers Incorporatedにより、Austin Black(登録商標)325として上市されている。
Ricon150は、ポリブタジエン(CAS#9003−17−2)であり、Sartomer Companyにより、Ricon(登録商標)150として上市されている。
X−LINKER1は、Dow Corning(登録商標)6−3570であり、トリメチルシロキシ末端封鎖ジメチルメチル水素シロキサンであり、5cStの粘度および0.76重量%のシリコン上水素を持っている。
【0059】
テスト
本硬化エラストマーベース組成物の、引っ張り、伸び、および100%弾性率という特性が、ASTM D 412に基づく手順により、測定された。Shore A Durometerが、ASTM D 2240に基づく手順により、測定された。
【0060】
実施例1
GP−50(60g)およびLuperoxF(0.2g)が、2ロールミル上で混合され、シリコーン化合物を形成した。このシリコーン化合物およびEPDM(140g)が、150℃で125回転/分(rpm)のBanburyローターを備えた379mLのHaakeミキサーへと加えられた。約8分経過してトルク上昇後、材料温度は約200℃であった。該エラストマーベース組成物は、12分に除去された。
【0061】
冷却していく際、結果的に得られてきたエラストマーベース組成物(50g)が、2ロールミル上で、DI−CUP R(1g)およびN774(17.5g)と化合され、成分が均一になるまで混合された。
【0062】
実施例2
GP−50(60g)、LuperoxF(0.2g)、およびRicon150(0.3g)が、2ロールミル上で混合され、シリコーン化合物を形成した。このシリコーン化合物およびEPDM(140g)が、150℃で125回転/分(rpm)のBanburyローターを備えた379mLのHaakeミキサーへと加えられた。約8分経過してトルク上昇後、材料温度は約200℃であった。該エラストマーベース組成物は、12分に除去された。
【0063】
冷却していく際、結果的に得られてきたエラストマーベース組成物(50g)が、2ロールミル上で、DI−CUP R(1g)およびN774(17.5g)と化合され、成分が均一になるまで混合された。
【0064】
実施例3
LCS−755(100部)、CATALYST1(0.22部)、ETCH(0.23部)、およびX−LINKER1(1.5部)が、2ロールミル上で混合され、シリコーン化合物を形成した。該シリコーン化合物(60g)およびEPDM(140g)が、150℃で125回転/分(rpm)のBanburyローターを備えた379mLのHaakeミキサーへと加えられた。約8分経過してトルク上昇後、材料温度は約200℃であった。該エラストマーベース組成物は、12分に除去された。
【0065】
冷却していく際、結果的に得られてきたエラストマーベース組成物(50g)が、2ロールミル上で、DI−CUP R(1g)およびN774(17.5g)と化合され、成分が均一になるまで混合された。
【0066】
実施例1〜3が、177℃10分間、プレス硬化された。この結果得られてきた硬化エラストマーベース組成物の物性が、表1にまとめられる。
【0067】
【表1】

【0068】
実施例4
EPDM(140g)、DI−CUP 40C(0.3g)、およびRicon150(0.3g)が、120℃で125回転/分(rpm)のBanburyローターを備えた379mLのHaakeミキサーへと加えられた。約3分後、材料温度は約160℃であった。GP−50(60g)次いでLuperoxF(0.2g)が加えられた。約11分経過してトルク上昇後、温度は200℃を超えた。エラストマーベース組成物が、15分に除去された。
【0069】
冷却していく際、結果的に得られてきたエラストマーベース組成物(50g)が、2ロールミル上で、DI−CUP R(1g)およびN774(17.5g)と化合され、成分が均一になるまで混合された。硬化エラストマーベース組成物は、Shore A Durometer60、引っ張り強度11.7MPa、および伸び202%を持っていた。
【0070】
実施例5
3種のフッ化炭素ベースエラストマー組成物が、加工部位が150℃および180℃に加熱され、スクリュースピード500rpmの25mmWerner&Pfleiderer双スクリュー押し出し機を使用して、調製された。LCS−755(100部)、ZnO(5部)、およびVAROX(0.5部)がまず混合され、シリコーン化合物を形成した。サンプルAに関しては、該押し出し機へとくべる速度は、有機エラストマーEPDM1に関しては174グラム/分、該シリコーン化合物に関しては160グラム/分であった。サンプルBに関しては、それぞれの速度は、106グラム/分および225グラム/分であった。サンプルCに関しては、それぞれの速度は、72グラム/分および147グラム/分であった。該押し出し機から結果的に得られてきた有機エラストマー組成物が、EPDM1(100部)につき、DI−CUP 40C(7部)およびAustin Black(15部)と化合された。これらサンプルは、177℃10分間、プレス硬化された。サンプルAは、Shore A Durometer54、引っ張り強度5.3MPa、および伸び229%を持っていた。サンプルBは、Shore A Durometer53、引っ張り強度5.7MPa、および伸び209%を持っていた。サンプルCは、Shore A Durometer52、引っ張り強度5.3MPa、および伸び205%を持っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマーベース組成物を調製する方法であって:
(I) (A)有機エラストマーを
(B)任意の相容化剤
(C)任意の触媒
(D)硬化可能な有機ポリシロキサンを含むシリコーンベース
(E)任意の架橋剤
(F)該有機ポリシロキサンを硬化させるに充分量の硬化剤
と混合すること;ならびに
(II)該有機ポリシロキサンを、動的加硫化させること
を含み、ここで、該エラストマーベース組成物中でのシリコーンベース(D)に対する有機エラストマー(A)の重量比が、95:5〜30:70の範囲である、方法。
【請求項2】
前記混合が、押し出しプロセスにより実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(A)有機エラストマー
(B)相容化剤
(C)任意の触媒
がまず混合され、修飾有機エラストマーを形成させ、次いで、該修飾有機エラストマーが: (D)硬化可能な有機ポリシロキサンを含むシリコーンベース
(E)任意の架橋剤
(F)該有機ポリシロキサンを硬化させるに充分量の硬化剤
と混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(D)硬化可能な有機ポリシロキサンを含むシリコーンベース
(E)任意の架橋剤
(F)硬化剤
がまず混合され、シリコーン化合物を形成させ、次いで、該シリコーン化合物が:
(A)有機エラストマー
(B)任意の相容化剤、および
(C)任意の触媒
と混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記有機エラストマーが、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、塩素化ポリエチレン(CPE)、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、エチレン−酢酸ビニルゴム(EVM)、エチレン−アクリルゴム、エチレン−α−オレフィン共重合化ゴム、エチレン−α−オレフィン−ジエンターポリマー化ゴム(EPDM)、もしくは水素添加ニトリルゴム(HNBR)から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記触媒(C)が存在し、過酸化水素、ジアシルペルオキシド、ケトンペルオキシド、ペルオキシエステル、ジアルキルペルオキシド、過酸化ジカーボネート、過酸化ケタール、過酸、アシルアルキルスルホニルペルオキシド、およびアルキルモノペルオキシジカーボネートから選択される有機過酸化物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記シリコーンベースが、the American Society for Testing and Materials(ASTM)試験法926により求められる場合、少なくとも約30のウィリアムズ可塑性数を有するジ有機ポリシロキサンゴムである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記硬化剤(F)が存在し、過酸化水素、ジアシルペルオキシド、ケトンペルオキシド、ペルオキシエステル、ジアルキルペルオキシド、過酸化ジカーボネート、過酸化ケタール、過酸、アシルアルキルスルホニルペルオキシド、およびアルキルモノペルオキシジカーボネートから選択される有機過酸化物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項により生成される、生成物。
【請求項10】
請求項9に記載の生成物を含む、硬化エラストマー組成物。
【請求項11】
請求項9もしくは10に記載の生成物を含む、製造物品。

【公表番号】特表2007−514054(P2007−514054A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545770(P2006−545770)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/041625
【国際公開番号】WO2005/059008
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】