説明

有機エレクトロルミネセンス素子のための材料

本発明は、定義された基により置換されるトリアリールアミンに関する。これら化合物は、有機エレクトロルミネセンス素子を製造するために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、アリールアミン、有機エレクトロルミネセンス素子の製造のためのその使用及びこれら化合物を含む有機エレクトロルミネセンス素子に関する。
【0002】
可視スペクトル領域で発光することができ、半導性有機化合物を含む有機エレクトロルミネセンス素子の一般的構造は、例えば、US 4539507、US 5151629、EP 0676461及びWO 98/27136に記載されている。しかしながら、これらの素子は、高品質のフルカラー表示装置での使用のための早急な改善を要するかなりの問題をなお示している。したがって、特に青色発光の場合の駆動寿命は、未だ不適当であり、これまでは、商業的に簡単な応用を実施することができるだけであったことを意味している。加えて、通常使用される青色エミッターは、適切な熱安定性を有してはいない。
【0003】
JP 04-184892は、OLEDのための発光化合物として、ジスチルベンアミン、トリスチルベンアミン及び更なるスチルベン誘導体を記載する。提案された化合物を含む素子は、満足できる寿命を有していない。加えて、真空昇華による素子製造中のこれら化合物の熱安定性は不適切である。分解生成物は、有機エレクトロルミネセンス素子の汚染を生じ、それゆえより貧弱な電子特性をもたらす。加えて、先行技術(例えば、JP 08-239655若しくはEP 1167488)に使用される他のスチルベンアミンは、不適切な熱安定性を有するだけである。
【0004】
WO 06/000388は、OLEDのための発光化合物として、アリール置換トリスチルベンアミンを記載している。提案された化合物を含む素子は、薄青色発光を呈するが、暗青色発光を呈さない。
【0005】
一般的に、スチルベンアミンの場合には、材料の純化のための昇華時及び素子製造中(スキーム1)に使用される高温で、望ましくない副反応を示すことが留意される。このように、これら化合物は、熱的に誘導されるシス/トランス異性化を示す。シス-スチルベンは、分子内閉環反応で更に反応することができ、対応するジヒドロフェナントレンを生じ、酸化剤、例えば、残留酸素の存在下、対応するフェナントレンを生じる。これは、OLED中に不均質材料混合物を生じ、再現性ある素子製造をより困難にする。更に、熱的に誘起されるオレフィンメタセシス反応が、一般的に観察される。これは、一方で、OLEDの汚染をもたらす低分子量化合物を生じ、他方で、メタセシス反応が、分子中に複数のスチルベン基のある場合に、材料の架橋を生じることから、高分子量樹脂化残留物を生じる。この樹脂化残留物は、多くの材料の場合に、材料の考慮すべき損失を生じる。加えて、オレフィンメタセシスにより形成される比較的高分子量の蒸着材料は、これら化合物がより広く拡張したπ電子構造を有することから、より長波長の発光を生じる。
【化6】

【0006】
したがって、本発明の目的は、この目的のための改善、特に、改善された寿命と同時に改善された暗青色色座標と高い熱安定性を有する化合物を提供することであった。
【0007】
驚くべきことに、ジベンゾスベレン、ジベンゾオキセピン、ジベンゾアゼピン或いはこれら化合物の誘導体により置換されたトリアリールアミン誘導体を発光層に含む有機エレクトロルミネセンス素子が、先行技術と比べてを顕著な改善を示すことが見出された。この材料を使用して、改善された寿命と同時に暗青色発光色と良好な効率が得られる。更に、これら材料は、先行技術で青色発光化合物として使用されるスチルベンアミンより、より高い熱安定性を有する。したがって、本発明は、これら化合物とそれらのOLEDでの、特に、発光層での使用に関する。
【0008】
本発明は、式(1)の化合物に関する。
【化7】

【0009】
ここで、使用される記号と添字は、以下が適用される:
Zは、出現毎に同一であるか異なり、N、P、As若しくはP=Oであり、
X、Yは、出現毎に同一であるか異なり、CR、C=O、O、S、NR、SiR、PR、P(=O)R、S(=O)若しくはSOであり、
Aは、出現毎に同一であるか異なり、CR若しくはNであり、
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されていてもよい、5〜40個の芳香族環原子を有する1価の芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であり、
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されていてもよい、5〜40個の芳香族環原子を有する2価の芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であり、
Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、F、Cl、Br、I、CN、NO、Si(R、N(R、B(OR、又は1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基、又は3〜40個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されていてもよく、1以上の隣接しないCH基は、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、-O-、-S-、-N(R)-若しくは-CONRで置き代えられていてもよく、また、1以上のH原子は、F、Cl、Br、I、CN若しくはNOで置き代えられていてもよい)、又は1以上の基Rにより置換されていてもよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造、又は1以上のR基により置換されていてもよい5〜24個の芳香族環原子を有するアリールオキシ若しくはヘテロアリールオキシ基、又は、2、3、4若しくは5個のこれらの構造の組み合わせであり;ここで、2個以上の置換基Rは、互いにモノ或いはポリ環状、脂肪族若しくは芳香族環構造を形成するものであってもよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H又は脂肪族或いは芳香族若しくは脂肪族及び芳香族の組み合わせであってもよい1〜20個のC原子を有する炭化水素基であって、1以上のH原子はFで置き換えられてもよく;2個以上の基Rは、互いにモノ或いはポリ環状、脂肪族若しくは芳香族環構造を形成するものであってもよく;
nは、0、1、2若しくは3であり、
mは、出現毎に同一であるか異なり、0若しくは1であり、ここで、m=0は、基Yが存在せず、代わりに、基Rがこれらの位置に結合していることを意味する。
【0010】
本発明の目的のためには、アリール基若しくはヘテロアリール基は、共通の芳香族π電子構造を有する芳香族基若しくは複素環式芳香族基を意味するものと解される。本発明の目的のためには、これは、単純なホモ若しくはヘテロ環、例えばベンゼン、ピリジン、チオフェン等であり、又は、少なくとも2個の芳香族又は複素環式芳香族環、例えばベンゼン環が、互いに「縮合」する、即ち互いにアネレーション(anellation)により縮合する、即ち少なくとも1つの共通の辺を有し、それにより共通の芳香族π電子構造を有する、縮合芳香族環構造であってもよい。これらアリール基若しくはヘテロアリール基は、置換されていても、非置換でもよく;同様に、存在する任意の置換基が更なる環構造を形成してもよい。したがって、例えばナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン等のような構造はアリール基とみなされ、そして、キノリン、アクリジン、ベンゾチオフェン、カルバゾール等は、本発明の目的のためのヘテロアリール基とみなされ、一方、例えばビフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン等は、それらが、別々の芳香族π電子構造を含むことから、アリール基とはしない。
【0011】
本発明の目的のために、芳香族環構造は、6〜30個のC原子を環構造中に含む。本発明の目的のために、複素環式芳香族環構造は、2〜30個のC原子と少なくとも1個のヘテロ原子を環構造中に含むが、但し、C原子とヘテロ原子の合計数は少なくとも5個である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、O及び/又はSから選ばれる。本発明の目的のために、芳香族若しくは複素芳香族環構造は、必ずしもアリール又はヘテロアリール基のみを含む構造ではなく、加えて、複数のアリール又はヘテロアリール基は、例えば、sp混成のC、N又はO原子のような短い非芳香族単位(H以外の原子は、好ましくは、10%より少ない)により中断されていてもよい構造又は1以上のアリール又はヘテロアリール基は非芳香族環状基上に縮合する構造を意味するものと解される。このように、例えばビフェニルのような複数の相互に連結した芳香族又は9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル等のような構造も、本発明の目的のための芳香族環構造を意味するものと解されることを意図されてもいる。同様に、ジベンゾスベレン、ジベンゾオキセピン、ジベンゾアゼピン等のような構造も、本発明の目的のための芳香族環構造を意味するものと解される。
【0012】
本発明の目的のためには、環状アルキル基は、単環式及び2環式及び多環式アルキル基を意味するものと解される。
【0013】
本発明の目的のためには、C〜C40-アルキル基は、ここで、加えて、個々のH原子若しくはCH基は、上記した基により置換されていてよく、好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、アダマンチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル或いはオクチニルを意味するものと解される。C〜C40-アルコキシ基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、又は2-メチルブトキシを意味するものと解される。5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族又は複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記した基R若しくはRにより置換されていてもよく、任意の所望の位置で、芳香族又は複素環式芳香族系に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランセン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、ターフェニル、ターフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、トルクセン、イソトルクセン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス-若しくはトランス-インデノフルオレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントリイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジン、ベンゾチアジアゾール、トリフェニルアミン、ナフチル、ジフェニルエーテル、ジベンゾスベレン、ジベンゾオキセピン、ジベンゾアゼピン及びこれら構造の組み合わせから誘導される基を意味するものと解される。
【0014】
式(1)の化合物の好ましい具体例は、以下に記載される。
【0015】
本発明の好ましい具体例では、記号Zは、出現毎に同一であるか異なり、N若しくはP=Oを表わす。本発明の特に好ましい具体例では、記号Zは、Nを表わす。
【0016】
本発明の好ましい具体例では、各芳香族環中で最高1個の記号Aは、Nを表わし、この芳香族環中でその他の記号Aは、CRを表わす。本発明の特に好ましい具体例では、記号Aは、CRを表わす。
【0017】
本発明の好ましい具体例では、少なくとも1つの基Arは、式(2)の基を表わす。
【化8】

【0018】
ここで、記号と添字は、上記と同じ意味を有し、点線は、Zへの連結を示す。各芳香族環中で最高1個の記号Aは、ここで好ましくは、Nを表わし、この芳香族環中で他記号Aは、CRを表わす。記号Aは、特に好ましくは、CRを表わす。
【0019】
特に好ましいのは、式(1a)の化合物である。
【化9】

【0020】
ここで、記号と添字は、上記と同じ意味を有する。
【0021】
更に好ましいのは、記号Xは、出現毎に同一であるか異なり、CR、O、NR若しくはSiRを表わす式(1)及び(1a)の化合物である。特に好ましいのは、記号Xは、出現毎に同一であるか異なり、CR若しくはOを表わす式(1)及び(1a)の化合物である。
【0022】
記号Xが式CRを表すならば、単位CR中のRは、次いで好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、1〜4個のC原子を有する直鎖アルキル基、又は3〜4個のC原子を有する分岐アルキル基(各場合、1以上のH原子は、Fで置き代えられていてもよい)、又は5〜10個の芳香族環原子を有するアリール若しくはヘテロアリール基、又は、2若しくは3個のこれらの構造の組み合わせであり;ここで、CR基中の2個の基Rは、互いにモノ或いはポリ環状、脂肪族若しくは芳香族環構造を形成し、それによりスピロ構造を構築するものであってもよい。特に好ましい基Rは、メチル、tert-ブチル、フェニル、オルト-トリル、パラ-トリル若しくはパラ-tert-ブチルフェニルである。ここで、2個のフェニル基は、各場合に、互いに環構造を形成し、それによりスピロ構造、式(3)に示されるジベンゾスベレン骨格を構築するものであってもよい。
【化10】

【0023】
更に好ましいのは、記号Yは、出現毎に同一であるか異なり、CR、O、NR若しくはSiRを表わす式(1)及び(1a)の化合物である。特に好ましいのは、記号Yは、出現毎に同一であるか異なり、CR若しくはOを表わす式(1)及び(1a)の化合物である。
【0024】
更に好ましいのは、基Xに結合しない記号Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、F、Si(R、B(OR、又は1〜6個のC原子を有する直鎖アルキル若しくはアルコキシ基又は3〜10個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル若しくはアルコキシ基(各場合に、1以上の隣接しないCH基は、-RC=CR-、Si(R、-O-、-S-、若しくは-N(R)-で置き代えられていてもよく、また、各場合に、1以上のH原子は、Fで置き代えられていてもよい)、又は5〜14個の芳香族環原子を有するアリール若しくはヘテロアリール基、又は2若しくは3個のこれらの構造の組み合わせであり;ここで、2個以上の隣接する置換基Rは、互いにモノ或いはポリ環状、脂肪族若しくは芳香族環構造を形成するものであってもよい式(1)及び(1a)の化合物である。
【0025】
特に好ましいのは、基Rは、H、F、Si(R、B(OR、1〜4個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜5個のC原子を有する分岐アルキル基(各場合に、1以上のH原子は、Fで置き代えられていてもよい)、6〜10個の芳香族環原子を有する1価のアリール若しくはヘテロアリール基、又は2個のこれらの構造の組み合わせから成る群より選択される。
【0026】
更に好ましいのは、式(1b)の化合物である。
【化11】

【0027】
ここで、記号と添字は、上記と同じ意味を有する。
【0028】
更に好ましいのは、記号Arは、出現毎に同一であるか異なり、6〜24個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造を表わす式(1)及び(1a)の化合物である。記号Arは、出現毎に同一であるか異なり、特に好ましくは、6〜16個の芳香族環原子を有するアリール、ヘテロアリール若しくはビアリール基、又はR置換された或いは非置換のフルオレン、スピロビフルオレン若しくはインデノフルオレンを表わす。
【0029】
更に好ましいのは、添字nは、0、1若しくは2であり、特に好ましくは、0若しくは1、非常に特に好ましくは、0を表わす、式(1)及び(1a)の化合物である。
【0030】
更に好ましいのは、式(2)の単位上の最高1個の添字mが1に等しい、式(1)及び(1a)及び(1b)の化合物である。特に好ましいのは、全ての添字mが0に等しい式(1)及び(1a)の化合物である。
【0031】
特に、好ましいのは、それゆえ式(1c)の化合物である。
【化12】

【0032】
ここで、記号は、上記と同じ意味を有し、記号Arは、好ましくは上記式(2)の基を表わす。
【0033】
更に好ましいのは、すべての基Xが同一に選択され、すべての基Yが、存在するならば同一に選択され、基が、各場合に同一に置換された式(1)及び(1a)の化合物、すなわち対称な化合物である。n=0に対する特に好ましい化合物は、3回軸対称を有する化合物である。
【0034】
式(1)及び(1a)乃至(1c)の好ましい化合物の例は、以下に挙げられる化合物(1)乃至(33)である。
【化13】

【0035】

【0036】

【0037】

【0038】

【0039】
上記本発明の化合物は、例えば、対応する共役、部分共役或いは非共役ポリマー、オリゴマーの調製のためのコモノマーとして、又はデンドリマーのコアとして使用することもできる。この目的のために特に適するのは、ハロゲン化化合物であり、その場合、重合は好ましくはハロゲン官能基を介して起こる。
【0040】
本発明は、更に式(1)の化合物を含み、1以上の基Rが、式(1)の化合物からのポリマー或いはデンドリマーへの結合を表わす、共役、部分共役、非共役ポリマー、オリゴマー若しくはデンドリマーに関する。
【0041】
これらポリマーは更なる反復単位を含んでいてもよい。これら更なる反復単位は、好ましくは、フルオレン(例えば、EP 842208若しくはWO 00/22026による。)、スピロビフルオレン(例えば、EP 707020、EP 894107若しくはWO 92/18552による。)、トリアリールアミン、パラ-フェニレン(例えば、WO 92/18552による。)、カルバゾール(例えば、WO 04/070772及びWO 04/113468による。)、チオフェン(例えば、EP 1028136による。)、ジヒドロフェナントレン(例えば、WO 05/014689による。)、インデノフルオレン(例えば、WO 04/041901及びWO 04/113412による。)、芳香族ケトン(例えば、WO 05/040302による。)、フェナントレン(例えば、WO 05/104264による。)及び/又は金属錯体、特にオルト金属化イリジイウム錯体から成る群より選択される。ポリマーは、1以上の上記群から選択される複数の異なる反復単位を有してもよいことが、ここで明確に指摘されねばならない。
【0042】
化合物は、当業者になじみの有機化学的方法により合成される。したがって、例えば、ジベンゾスベレン(Schmuck et al., Synthesis 2002, 5, 655)、5,5’-ジメチルジベンゾスベレン(Vinatoru et al., Org. Prep. Proced. Int. 1975, 7(2), 98)、ジベンゾオキセピン(Hess et al., J. Am. Chem. Soc. 1967, 89(11), 2746)及びN-メチルジベンゾアゼピン(Ohta et al., Chem. Pharm Bull. 1981, 29(5), 1221)や対応する置換誘導体を、文献記載の方法により合成することができる。上記親構造の無数の更なる誘導体が、文献に記載されてきており、特に医薬中間体として役割を果たしている。これらの化合物は、次いで、少なくとも1つのアリール基上で、塩素、臭素、沃素若しくは、例えば、スルホン酸のような脱離基により置換されるトリアリールアミンとの、例えば、トリス(パラ-ブロモフェニル)アミンとのヘック(Heck)カップリングにより反応されることができる。(スキーム2)
【化14】

【0043】
代替として、2重結合への臭素の付加、引き続くHBrの脱離、引き続く臭化ビニルの対応するボロン酸への変換と最後の鈴木カップリングが、可能である(スキーム3)。ここで、ボロン酸は、好ましくは単離物ではなく、その場で合成され、鈴木カップリングのために直接使用される。鈴木カップリングでのパラジウムのために適するリガンドは、ここで、特に、トリス(1-フリル)ホスフィンである。
【化15】

【0044】
したがって、本発明は、更に、式(4)のボロン酸誘導体(記号は、上記と同じ意味を有する。)が、反応性基として、塩素、臭素、沃素、トリフレート、トシレート若しくはOSO(Rは上記と同じ意味を有する。)を含む式(1)の化合物の中央単位と鈴木カップリングで反応されることを特徴とする、式(1)の化合物の調製方法に関する。
【化16】

【0045】
式(1)の化合物は、有機電子素子、特に、有機エレクトロルミネセンス素子に使用することができる。
【0046】
それゆえ、本発明は、更に、有機電子素子、特に、有機エレクトロルミネセンス素子における式(1)の化合物の使用に関する。
【0047】
本発明は、更に、有機層が少なくとも1つの式(1)の化合物を含むことを特徴とする、少なくとも1つの有機層を含む有機電子素子に関する。
【0048】
有機電子素子は、好ましくは、有機エレクトロルミネセンス素子(OLED、PLED)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機集積回路(O-IC)、有機太陽電池(O-SC)、有機電場消光素子(O-FQD)、有機光受容器、発光電子化学電池(LEC)及び有機レーザーダイオード(O-laser)から選択される。特に好ましくは、有機エレクトロルミネセンス素子(OLED、PLED)である。
【0049】
有機エレクトロルミネセンス素子は陽極、陰極及び少なくとも1つの発光層を含む。これら層に加えて、特に、正孔注入層、正孔輸送層、正孔障壁層、電子輸送層、電子注入層及び/又は電荷生成層から選択される更なる層を含んでもよい(T. Matsumoto et al., Multiphoton Organic EL Device Having Charge Generation Layer, IDMC 2003, Taiwan; Session 21 OLED (5))。これら層の夫々は、必ずしも存在する必要はない。適する正孔注入及び正孔輸送材料は、例えば、先行技術に通常使用されるような、p-ドープされていてもよい芳香族アミンである。適する電子輸送材料は、例えば金属キレート錯体、例えばAlQであり、電子不足ヘテロ環化合物例えばトリアジン誘導体若しくは、例えばWO 05/84081及びWO 05/084082に記載されるような芳香族カルボニル或いはホスフィンオキシドを含む化合物であり、夫々は、n-ドープされていてよい。適する電子注入材料は、特に、アルカリ及びアルカリ土類金属のフッ化物並びに酸化物、例えば、NaF、BaF、CaF、LiF若しくはLiOである。
【0050】
式(1)の化合物は、有機電子素子において、種々の機能で使用することができる。
【0051】
本発明の好ましい具体例では、式(1)の化合物は、発光層中で、発光化合物として使用される。式(1)の化合物は、記号Zが、Nを表わし、記号X、そして存在するならば、記号Yが、CR、O、NR及び/又はSiRを表すならば、この機能に特に適している。
【0052】
化合物は、好ましくは、母体材料との混合物の形態で使用される。母体材料は、より高い割合でシステム中に存在する母体とドーパントを含むシステム(2成分系)中の成分を意味するものと解される。母体と複数のドーパントを含むシステム(3成分及びそれ以上の系)においては、母体は、その割合が、混合物中で最も高い成分を意味するものと解される。適切な母体材料は、蛍光有機エレクトロルミネセンス素子のための母体材料として先行技術で通常使用される、種々なクラスの物質である。好ましい母体材料は、オリゴアリーレン(例えば、EP 676461に記載される2,2’,7,7’-テトラフェニルスピロビフルオレン若しくはジナフチルアントラセン)、特に、縮合芳香族基を含むオリゴアリーレン、オリゴアリ−レンビニレン(例えば、DPVBi(ビスジフェニルビニルビフェニル)若しくはEP 676461に記載されるスピロ-DPVBi)、ポリポダル金属錯体(例えば、WO 04/081017に記載される)、正孔伝導化合物(例えば、WO 04/058911に記載される)、特に、トリアリールアミン誘導体及びカルバゾール誘導体、電子伝導化合物、特に、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド等(例えば、WO 05/084081及びWO 05/084082に記載される)、アトロプ異性体(例えば、WO 06/048268に記載される)、アンサ(ansa)化合物(例えば、WO 06/097208に記載される)、シクロアルキルフェニルアントラセン(例えば、未公開出願DE 102005026651.7に記載される)若しくはボロン酸誘導体(例えば、WO 06/177052に記載される)のクラスから選択される。特に好ましい母体材料は、ナフタレン、アントラセン、ピレン及び/又はペリレンを含むオリゴアリーレン若しくはこれら化合物のアトロプ異性体、ケトン、ホスフィンオキシド及びスルホキシド及びボロン酸誘導体のクラスから選択される。非常に特に好ましい母体材料は、アントラセン及び/又はピレンを含むオリゴアリーレン若しくはこれら化合物のアトロプ異性体及びホスフィンオキシドのクラスから選択される。
【0053】
混合物中の式(1)の化合物の割合は、0.1〜99.0重量%、好ましくは、0.5〜50.0重量%、特に好ましくは1.0〜20.0重量%、特に1.0〜10.0重量%である。対応して、混合物中の母体材料の割合は、1.0〜99.9重量%、好ましくは、50.0〜99.5重量%、特に好ましくは80.0〜99.0重量%、特に90.0〜99.0重量%である。
【0054】
本発明の更なる具体例では、有機エレクトロルミネセンス素子は、複数の発光層を有し、これら層の少なくとも一つが、少なくとも一つの式(1)の化合物を、好ましくは母体材料と組み合わせて、含む。これら発光層は、特に好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光長を有し、全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光若しくは燐光を発することができ、黄色、オレンジ色若しくは赤色光を発光する少なくとも一つの更なる発光化合物も、可能である。特に好ましいものは、3層構造であり、これら層の少なくとも一つの層は、少なくとも一つの式(1)の化合物を好ましくは母体材料と組み合わせて含み、その3層は青色、緑色及びオレンジ色若しくは赤色発光するものである。(基本構造については、例えば、WO 05/011013参照。)
本発明の更なる具体例では、式(1)の化合物は、正孔輸送及び/又は正孔注入材料として使用される。これは、記号Zが、N若しくはPを、特にNを表わし、記号X、そして存在するならば、記号Yが、CR、O、NR及び/又はSiRを表すならば、特に適用される。次いで、化合物は、好ましくは、正孔輸送層及び/又は正孔注入層で使用される。本発明の目的のために、正孔注入層は、陽極に直接隣接する層である。本発明の目的のために、正孔輸送層は、正孔注入層と発光層との間にある層である。式(1)の化合物が、正孔輸送若しくは正孔注入材料として使用されるならば、電子受容性化合物例えば、F-TCNQ若しくはEP 1476881若しくはEP 1596445に記載される化合物でドープされることが好まれてよい。式(1)の化合物が、正孔輸送層及び/又は正孔注入層中の正孔輸送及び/又は正孔注入材料として使用されるならば、100%の割合の使用されること、換言すれば、純粋物質としてのこの化合物の使用も好ましいかもしれない。
【0055】
式(1)の化合物が、蛍光及び燐光OLEDのための電子輸送材料及び/又は正孔障壁材料として、及び/又は燐光OLEDのための3重項材料として使用されることが更に好ましい。これは、基Zが、P=Oを表わし及び/又は基X、そして存在するならば、記号Yが、C=O、P=O、S=O若しくはSOを表わすならば、特に適用される。
【0056】
更に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、昇華プロセスを用いて被覆され、材料は、10−5mbar未満、好ましくは10−6mbar未満、特に好ましくは10−7mbar未満の圧力で、真空昇華ユニットで真空蒸着されることを特徴とする。
【0057】
同様に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)プロセス若しくはキャリアガス昇華により被覆され、材料は、10−5mbar〜1barの圧力で、適用されることを特徴とする。
【0058】
更に、好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、溶液から、例えば、スピンコーティングにより、若しくは、例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷或いはオフセット印刷、特に好ましくはLITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)或いはインクジェット印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする。可溶性の式(1)の化合物が、この目的のためには必要である。高い溶解度は、化合物の適切な置換基により達成することができる。
【0059】
本発明は、更に、少なくとも1つの式(1)の化合物と少なくとも母体材料を含む混合物に関する。
【0060】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、先行技術を超える以下の驚くべき効果を有する。
【0061】
1.素子の安定性は、先行技術によるシステムと比較してより高くなっており、特に、それは、著しくより長い寿命から明らかである。
【0062】
2.化合物は、先行技術による青色エミッターとして使用されるトリスチルベンアミンよりも、より高い熱安定性を有する。特に、これらの化合物の場合には、熱的に誘導されるシス/トランス異性化も、熱的に誘導されるメタセシス反応も、全く観察されない。したがって、これら化合物は、損失もなく、素子汚染も生ぜずに実際に昇華することができ、再現性のある素子製造を可能とする。
【0063】
3.化合物は、OLEDの使用において、暗青色発光色を呈する。
【0064】
本発明は、以下の例により、より詳細に説明されるが、それにより限定されることを望むものではない。
【0065】

以下の合成は、他に断らない限り、保護ガス雰囲気下で行われる。出発物質は、アルドリッチ(ALDRICH)若しくはABCR(2-ブロモビフェニル、パラジウム(II)アセテート、トリス-1-フリルホスフィン、無機物、溶媒)から購入することができる。10-ブロモ-5H-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-5-オンの合成は、文献(B.Taljaard et al., Eur. J. Org. Chem. 2005, 12, 2607)に記載され、5H-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテンの合成は、文献(C. Schmuck et al., Synthesis 2002, 5, 655)に記載され、10-ブロモジベンズ[b,f]オキセピンの合成は、文献(M. Nogradi et al., Acta Chimica Academiae Scientiarum Hungaricae 1978, 96(4), 393)に記載されている。
【0066】
例1:トリス(4-(10-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-5-スピロ-9-ビフルオレン)-フェニル)アミン
A)10-ブロモジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-5-スピロ-9-ビフルオレン
【化17】

【0067】
対応するグリニャール試薬が、49.0ml(284ミリモル)の2-ブロモビフェニルと400mlのTHF中の、4.3ml(55ミリモル)の1,2-ジクロロエタンと8.1g(333ミリモル)のマグネシウムの混合物から調製される。400mlのTHF中の、77.0g(270ミリモル)の10-ブロモ-5H-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-5-オンの溶液が、激しく撹拌されながら、この溶液に迅速に入るままにされ、混合物は、室温で更に16時間撹拌される。20mlのEtOHが溶液に添加され、溶媒が完全に真空除去され、残留物は氷酢酸で1000mlにされ、5mlの濃塩酸が添加され、混合物は、3時間還流され、次いで、200mlのトルエンが添加され、混合物は撹拌により冷却されおき、結晶沈殿物が吸引ろ過され、100mlの氷酢酸で3度その度毎に洗浄され、100mlのエタノールで3度洗浄され、次いで真空乾燥される。収率:102.0g(理論値の89.6%)、NMRによる約98%の純度。
【0068】
B)トリス(4-(10-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-5-スピロ-9-ビフルオレン)-フェニル)アミン
【化18】

【0069】
26.0ml(65ミリモル)のn-ブチルリチウム(n-へキサン中2.5M)が、600mlのTHF中の、25.3g(60ミリモル)の10-ブロモ-5H-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-5-スピロ-9-ビフルオレンの−78℃の冷却された溶液に滴下され、混合物は、−78℃で更に2時間撹拌される。8.0ml(72ミリモル)のトリメチルボレートが、次いで添加され、混合物は、−78℃で更に30分間撹拌され、暖水浴中で0℃まで暖められ、600mlのジオキサン、180mlの1.0M炭酸ナトリウム溶液、8.7g(18ミリモル)のトリス(4-ブロモフェニル)アミン、135mg(0.6ミリモル)のパラジウム(II)アセテートと1.4g(6ミリモル)のトリス-2-フリルホスフィンが添加され、混合物は、16時間還流される。冷却後、沈殿物は吸引ろ過され、200mlの水で3度洗浄され、100mlのエタノールで、3度洗浄され、乾燥され、ジオキサン(約40ml/g)から5度再結晶化され、次いでT=365℃、p=5×10−5mbarで昇華される。収率:9.8g(理論値の43.2%)、HPLCによる99.9%の純度。
【0070】
例2:トリス(4-(10-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-5-スピロ-9-(2,7-ジ-tert-ブチル)ビフルオレン)フェニル)アミン
【化19】

【0071】
例1と類似の手順で、2-ブロモビフェニルが、98.1g(284ミリモル)の2-ブロモ-4,4’-ジ-tert-ブチルビフェニルに置き代えられる。T=360℃、p=5×10−5mbarで昇華。収率:16.4g(理論値の56.7%)、HPLCによる99.9%の純度。
【0072】
例3:ジフェニル(4-(10-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-5-スピロ-9-(ビフルオレン)フェニル)アミン
【化20】

【0073】
例1と類似の手順で、トリス(4-ブロモフェニル)アミンが、17.8g(55ミリモル)のジフェニル-(4-ブロモフェニル)アミンに置き代えられる。トルエン/アセトニトリルから、再結晶化。T=315℃、p=5×10−5mbarで昇華。収率:22.9g(理論値の71.0%)、HPLCによる99.9%の純度。
【0074】
更なる例:
次の化合物が、下記のブロモアリールアミンから出発して、例3と同様に調製される。
【化21】

【0075】
例10:トリス(4-(10-(5-ジメチル)ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン)フェニル)アミン
A)5-ジメチルジベンゾ[a,d]シクロヘプテン
【化22】

【0076】
12.3g(110ミリモル)のカリウムtert-ブトキシドが、300mlのDMSO中の、19.2g(100ミリモル)の5H-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテンの溶液に10℃で添加され、混合物は、10分間撹拌され、次いで、7.2ml(115ミリモル)のヨウ化メチルが添加され、混合物は、更に30分間撹拌される。12.3g(110ミリモル)のカリウムtert-ブトキシドが、引き続き10℃で添加され、混合物は、10分間撹拌され、次いで、7.2ml(115ミリモル)のヨウ化メチルが添加され、混合物は、更に30分間撹拌される。500mlの水が添加され、固形物が吸引ろ過され、ブタノールから3度再結晶化される。収率:14.8g(理論値の67.1%)、NMRによる95%の純度。
【0077】
B)10-ブロモ-5-ジメチルジベンゾ[a,d]シクロヘプテン
【化23】

【0078】
38.4ml(750ミリモル)の臭素が、1000mlの氷酢酸中の、110.2g(500ミリモル)の5-ジメチルジベンゾ[a,d]シクロヘプテンの懸濁液に滴下され、混合物は、室温で16時間撹拌される。結晶固形物が吸引ろ過され、少量の氷酢酸とエタノールで洗浄され、乾燥される。
【0079】
この方法で得られた固形物は、50℃で激しく撹拌されながら、3000mlのメタノール中の60g(1.5モル)の水酸化ナトリウム溶液に添加され、混合物は、1.5時間還流され、1500mlのメタノールが次いで蒸留され、同量の水が添加され、混合物は冷却されおき、結晶固形物が吸引ろ過され、200mlの水で3度洗浄され、200mlのメタノールで、その度毎に3度洗浄され、真空乾燥される。収率:132.4g(理論値の88.5%)、NMRによる98%の純度。
【0080】
C)トリス(4-(10-(5-ジメチル)ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン)フェニル)アミン
【化24】

【0081】
例1Bと類似の手順で、10-ブロモジベンゾ-5H-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-5-スピロ-9-ビフルオレンが、18.0g(60ミリモル)の10-ブロモ-5-ジメチルジベンゾ[a,d]シクロヘプテンに置き代えられる。DMFから、再結晶化。T=320℃、p=5×10−5mbarで昇華。収率:8.7g(理論値の53.8%)、HPLCによる99.9%の純度。
【0082】
例11:トリス(4-(10-ジベンゾ[b,f]オキセピン)フェニル)アミン
【化25】

【0083】
例1Bと類似の手順で、10-ブロモジベンゾ-5H-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-5-スピロ-9-ビフルオレンが、16.4g(60ミリモル)の10-ブロモジベンゾ[b,f]オキセピンに置き代えられる。NMPから、再結晶化。T=310℃、p=5×10−5mbarで昇華。収率:6.9g(理論値の46.5%)HPLCによる99.9%の純度。
【0084】
例12:熱安定性の比較
開放鎖スチリル化合物を有する本発明の例1、2、3、10及び11の化合物の熱安定性を先行技術のトリス(4-スチルベン)アミン[114869-94-2]と比較するために、各場合に、HPLCによる99.9%の純度を有する100mgのこれら化合物が、アンプル中で真空溶融され、次いで280℃で100時間貯蔵された。
【0085】
HPLC−MS分析は、本発明の例1、2、3、10及び11の化合物の非常に良好な熱安定性を示しており、なんら顕著な変化を示さない。反対に、比較例のトリス(4-スチルベン)アミン化合物は、実質的に分解を受け、上記条件下で約25%のトリス(4-スチルベン)アミンだけが、100時間後に検出されることができる。オリゴマーフラクションに加えて、主に、4,4-ジ-tert-ブチルスチルベンが生成する。
【0086】
例13:OLEDの製造
OLEDが、WO 04/058911に記載される一般的プロセスにより製造されるが、これは、特別な状況(例えば、最適な効率と色を達成するための層の厚さの変化)に対する個々の場合において適合される。
【0087】
種々のOLEDの結果が、以下の例14乃至21に示される。構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆された硝子板が、OLED基板を形成する。よりよい加工のために、PEDOT(水からスピンコート、H.C.Stack,Goslar独から購入。ポリ(3,4-エチレンジオキシ-2,5-チオフェン))が、基板に直接適用される。OLEDは、常に以下の層配列から成る。基板/20nmのPEDOT/20nmの正孔注入層(HIL1)、20nmの正孔輸送層(HTM1)、20nmの発光層(EML)、30nmの電子輸送層(ETM1)及び最後に陰極。PEDOTとは別の材料が、真空室で熱蒸着される。EMLは、共蒸発により前混合される母体材料(ホスト)とドーパント(ゲスト)から常に成る。使用される母体材料は、ホストH1である。陰極は、1nmの薄いLiF層と頂上に堆積された150nmのAl層により形成される。表1は、OLEDを構築するために使用された材料の化学構造を示す。
【0088】
これらのOLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、効率(cd/Aで測定)、電流/電圧/輝度密度特性線(IUL特性線)から計算した、輝度の関数としてのパワー効率(Im/Wで測定)及び寿命が測定される。寿命は、初期輝度1000cd/mが半分に低下した時間として定義される。
【0089】
表2は、いくつかのOLED(例14乃至21)の結果を示す。
【表1】

【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物。
【化1】

(ここで、使用される記号と添字は、以下が適用される:
Zは、出現毎に同一であるか異なり、N、P、As若しくはP=Oであり、
X、Yは、出現毎に同一であるか異なり、CR、C=O、O、S、NR、SiR、PR、P(=O)R、S(=O)若しくはSOであり、
Aは、出現毎に同一であるか異なり、CR若しくはNであり、
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されていてもよい、5〜40個の芳香族環原子を有する1価の芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であり、
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されていてもよい、5〜40個の芳香族環原子を有する2価の芳香族若しくは複素環式芳香族環構造であり、
Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、F、Cl、Br、I、CN、NO、Si(R、N(R、B(OR、又は1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基、又は3〜40個のC原子を有する分岐或いは環状アルキル、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されていてもよく、1以上の隣接しないCH基は、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、-O-、-S-、-N(R)-若しくは-CONR-で置き代えられていてもよく、また、1以上のH原子は、F、Cl、Br、I、CN若しくはNOで置き代えられていてもよい)、又は1以上の基Rにより置換されていてもよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族若しくは複素環式芳香族環構造、又は1以上のR基により置換されていてもよい5〜24個の芳香族環原子を有するアリールオキシ若しくはヘテロアリールオキシ基、又は、2、3、4若しくは5個のこれらの構造の組み合わせであり;ここで、2個以上の置換基Rは、互いにモノ或いはポリ環状、脂肪族若しくは芳香族環構造を形成するものであってもよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H又は脂肪族或いは芳香族若しくは脂肪族及び芳香族の組み合わせであってもよい1〜20個のC原子を有する炭化水素基であって、1以上のH原子はFで置き換えられてもよく;ここで、2個以上の基Rは、互いにモノ或いはポリ環状、脂肪族若しくは芳香族環構造を形成するものであってもよく;
nは、0、1、2若しくは3であり、
mは、出現毎に同一であるか異なり、0若しくは1であり、ここで、m=0は、基Yが存在せず、代わりに基Rがこれらの位置に結合していることを意味する。)
【請求項2】
記号Zが、出現毎に同一であるか異なり、N若しくはP=Oを表わすことを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
各芳香族環中で最高1個の記号Aが、Nを表わし、この芳香族環中で他の記号Aが、CRを表わすことを特徴とする、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
少なくとも1つの基Arは、式(2)の基を表わすことを特徴とする、請求項1乃至3何れか1項記載の化合物。
【化2】

(ここで、記号と添字は、請求項1に記載されるのと同じ意味を有し、点線は、Zへの連結を示す。)
【請求項5】
式(1)の化合物が、式(1a)の化合物を表わすことを特徴とする、請求項1乃至4何れか1項記載の化合物。
【化3】

(ここで、記号と添字は、請求項1に記載されるのと同じ意味を有する。)
【請求項6】
記号Xは、出現毎に同一であるか異なり、CR、O、NR若しくはSiRを表わすことを特徴とする、請求項1乃至5何れか1項記載の化合物。
【請求項7】
記号Xが式CRを表わすならば、基X上の記号Rは、出現毎に同一であるか異なり、好ましくは、1〜4個のC原子を有する直鎖アルキル基、又は3〜4個のC原子を有する分岐アルキル基(各場合、1以上のH原子は、Fで置き代えられていてもよい)、又は5〜10個の芳香族環原子を有するアリール若しくはヘテロアリール基、又は、2若しくは3個のこれらの構造の組み合わせを表わし;ここで、基CR中の2個の基Rは、互いにモノ或いはポリ環状、脂肪族若しくは芳香族環構造を形成し、それによりスピロ構造を構築するものであってもよいことを特徴とする、請求項1乃至6何れか1項記載の化合物。
【請求項8】
記号Yは、出現毎に同一であるか異なり、CR、O、NR若しくはSiRを表わすことを特徴とする、請求項1乃至7何れか1項記載の化合物。
【請求項9】
式(1b)の、請求項1乃至8何れか1項記載の化合物。
【化4】

(ここで、記号と添字は、請求項1に記載されるのと同じ意味を有する。)
【請求項10】
添字nは、0、1若しくは2、好ましくは、0若しくは1を表わすことを特徴とする、請求項1乃至9何れか1項記載の化合物。
【請求項11】
添字mは、0に等しいことを特徴とする、請求項1乃至10何れか1項記載の化合物。
【請求項12】
それらが、3回対称軸を有することを特徴とする、請求項1乃至11何れか1項記載の化合物。
【請求項13】
1以上の基Rが、化合物からのポリマー、オリゴマー若しくはデンドリマーへの連結を表わす、請求項1乃至12何れか1項記載の1以上の化合物を含むポリマー、オリゴマー若しくはデンドリマー。
【請求項14】
式(4)のボロン酸誘導体(記号は、請求項1に記載されるのと同じ意味を有する。)が、反応性基としての塩素、臭素、沃素、トリフレート、トシレート若しくはOSO(Rは、請求項1に記載されるのと同じ意味を有する。)を含む式(1)の化合物の中央単位と鈴木カップリングで反応されることを特徴とする、請求項1乃至12何れか1項記載の化合物の調製方法。
【化5】

【請求項15】
請求項1乃至13何れか1項記載の化合物の有機電子素子での使用。
【請求項16】
有機層が少なくとも1つの請求項1乃至13何れか1項記載の化合物を含むことを特徴とする、少なくとも1つの有機層を含む有機電子素子。
【請求項17】
有機エレクトロルミネセンス素子(OLED、PLED)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機集積回路(O-IC)、有機太陽電池(O-SC)、有機電場消光素子(O-FQD)、有機光受容器、発光電子化学電池(LEC)及び有機レーザーダイオード(O-laser)から選択される請求項16記載の有機電子素子。
【請求項18】
陽極、陰極及び少なくとも1つの発光層及び場合によっては、正孔注入層、正孔輸送層、正孔障壁層、電子輸送層、電子注入層及び/又は電荷生成層から選択される更なる層を含むことを特徴とする、請求項17記載の有機電子素子。
【請求項19】
請求項1乃至13何れか1項記載の化合物が、好ましくは、母体材料と組み合わせて発光層での発光化合物として、及び/又は、好ましくは、正孔輸送若しくは正孔注入層での正孔輸送若しくは正孔注入材料として、及び/又は電子輸送材料として、及び/又は蛍光若しくは燐光OLEDのための正孔障壁材料として、及び/又は燐光OLEDのための3重項母体材料として使用されることを特徴とする、請求項17又は18記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
【請求項20】
少なくとも1つの請求項1乃至13何れか1項記載の化合物と少なくとも1つの母体材料を含む混合物。

【公表番号】特表2009−532396(P2009−532396A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503441(P2009−503441)
【出願日】平成19年3月3日(2007.3.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001839
【国際公開番号】WO2007/115610
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】