説明

有機エレクトロルミネッセンス用マスク

【課題】
ストライプパターンの開孔部を有するマスクにおいて、マスク強度の向上を図り、かつ、マスク伸張後のピッチ精度を高精度化することが可能な有機エレクトロルミネッセンス用マスクを提供すること。
【解決手段】
ストライプパターンの開孔部を有する有機エレクトロルミネッセンス用マスクにおいて、該開孔部の幅Wに対する、該開孔部の端部からの距離Lは、次式を満足し、
1/2W≦L≦20W
該開孔部の端部から距離Lまでの領域では、該開孔部の断面形状は、それ以外の領域の開孔部の断面形状と比較し、開孔部の断面積が小さくなっていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機エレクトロルミネッセンス用マスクに関し、特に、ストライプパターンの開孔部を有する有機エレクトロルミネッセンス用マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、携帯情報端末(PDA)、デジタルカメラ、マルチメディアプレーヤーなど、多くの携帯型の情報機器の表示装置に有機エレクトロルミネッセンス(OLED)表示装置などの各種表示装置が利用されている。OLED表示装置には、低分子OLEDや高分子OLEDが開発されており、特に、OLED表示装置は薄型、自発光をはじめとした優れた特徴を持ち、また、直流低電圧駆動であることから、液晶表示装置には無い優れた特徴を持っている。
【0003】
一般的な低分子OLED表示装置では、真空蒸着法により、蒸着用マスクを用いてRGBの各発光層を高精度にパターニングし、画素配列を成膜する手法で製造される。また、高分子OLED表示装置では、印刷法を用いたパターニングも行われている。以下では、蒸着用マスクを中心に説明する。
【0004】
OLED表示装置の製造においては、蒸着用マスクの精度がOLEDの蒸着歩留まりをはじめとして、その精細度を決める支配的な要素の一つになっている。このため、蒸着用マスクの高精度化技術がOLED表示装置の高精細化を進める上で重要な課題となっている。また蒸着用マスクの高精細化に伴い、マスクのピッチ精度への要求も厳しいものとなってきている。そのため、従来の200ppiクラスの精細度を持った蒸着マスクで十分であったピッチ精度では、300ppiクラスの精細度を持った蒸着マスクにおいては、ピッチ精度が不十分となる。
【0005】
OLED表示装置の高精細化に対応するためには、高精細かつ、高精度な蒸着用マスクが必要になる。一方、蒸着用マスクはマスクの金属箔に張力を印荷しフレームに固定された形態を持つものが一般的に用いられ、テンションマスクと呼ばれている。そのため、蒸着用マスクのピッチ精度はマスク金属箔のピッチ精度に対して、張力印荷後の伸長量ならびに伸張精度を加算した数値となることが特徴であり、高精度な蒸着マスクを製造することに対しては、さらに、高度な技術が要求される。
【0006】
従来、高精細のOLED蒸着用マスクにはストライプパターンが一般的に用いられてきた。このストライプパターンを用いる根拠の一つとして、ブリッジレスの開孔パターンであることからマスクの開孔率を大きく設計できる利点がある。また、ストライプパターンのマスクの場合、画素の配列方向とは垂直の向きに対しては、連続した開孔を持つため、配列方向のみのピッチ精度を満足すれば蒸着マスクが成立する利点がある。
【0007】
一方、ストライプパターンに比較して強度に利点のある、スロットパターンマスクの場合においては、マスクに存在するブリッジの影響によりマスク開孔率が減少する。しかも、画素配列方向と垂直の向きに対してもピッチ精度が要求されるため、マスクのピッチ精度を高精度化する際には、ストライプマスクの場合に比較して、技術的な難易度が高くなる。
【0008】
マスクの製造法は、金属箔をエッチングして形成するエッチングマスクや、電鋳法で形成する電鋳マスクなどがある。以下ではエッチングマスクを例に、マスクの製造法を、図1を用いて説明する。図1(a)では、金属箔Mなど鋼材を焼鈍し表面処理を行う。(b)では、金属箔Mの両面にフォトレジスト膜PRを塗布する。(c)のように、マスクの開孔形状に合わせてパターン露光を行い、現像することでエッチングする箇所のフォトレジストを除去する。(d)はエッチングEを開始した状態を示し、(e)はエッチングが完了した状態を示している。(f)でフォトレジストを剥離することでエッチングマスクが完成する。
【0009】
従来のエッチングマスクの場合、次に説明するような精度劣化要因が問題となっている。図2に示すように、メタルマスクのストライプ金属リブ部の変位によるマスク精度劣化が発生し易い。具体的には、図2(a)にストライプの開孔仕様のメタルマスクの開孔パターン概略を示す。正常な状態においてメタルマスクの開孔パターン(金属部M,開孔部H)は、規則正しいマスク開孔配列を有する設計仕様となっている。
【0010】
ここで、図2(b)に示すように、メタルマスクに外力が加えられることにより金属リブ部が変位し、符号Aの点線で示すような精度異常部が生じる。この場合の外力とは、マスクを搬送中の振動、あるいはマスク開口部への異物の接触、ならびにマスク上へのガラス基板のコンタクトなどの要因が挙げられる。
【0011】
また、マスクの金属リブ部の変位による精度異常部においては、マスクの開孔径の変位、マスク開孔位置の変位等が生じることにより、所望する蒸着精度で着膜することが不可能となり、蒸着不良を生じることになる。
【0012】
さらに、マスクのピッチ精度の高精度化に関する検証を進めたところ、マスク開孔の中心軸と開孔端部の頂点ずれが生じることが、マスク開孔パターンの精度劣化に影響を与えていることが判った。つまり、図3は、ストライプパターンの開孔部の端部の形状を説明するものであり、図3(a)は、開孔部Hの端部を、半円形状Rを持つ開孔端とするものである。この端部形状の場合には、実際の開孔端部形状は、エッチング液の流れ等の影響により、図3(b)に示すように、マッチ棒の頭のような形状になる。この形状の変化については、表孔および裏孔において同様に生じる現象である。実線の輪郭はマスク表側の開孔形状FHであり、点線の輪郭は、マスク裏面の開孔形状BHである。また、図3(b)の下側の図は、マスクの開孔部の断面を示す図であり、符号FMがマスク表側、BMがマスク裏側を各々示している。
【0013】
一般的にOLED蒸着用マスクを製作する際には、予めマスクパターンの設計段階で、当該現象への対策としてパターンの修正を行うが、このような修正効果を得ても、完全な補正は不可能である。そして、図3(b)に示したような、マスク開孔端部の変形が生じると、マスクの金属部の付け根においてエッチングによる金属残部の減少により、ストライプマスクのリブ部の固定強度、ならびにマスク張力の印加がストライプのリブ部へ均等に分布しない等の影響が生じることになる。つまり、図3(b)の開孔は右側に張り出しているため、左側の金属リブ部より、右側の金属リブ部の方が細く(金属残部が少なく)なる。このため、同じテンションを左右の金属リブ部に印加すると、各金属リブ部の機械的強度が異なるため、伸びも異なり、結果として、マスク強度の減少や、マスクの伸張時のマスク伸びにばらつきが生じ、ピッチ精度の劣化等の問題が発生する。このように、エッチングパターンの端部形状のばらつきは、ストライプリブ部の強度低下や位置精度の低下の原因となる。
【0014】
図4には、特許文献1に開示されている開孔端部の形状を採用した例である。この設計仕様は、図4(a)に示すように、マスク開孔部Hの端部形状は三角形状Tを示すことが特徴となっている。この場合、マスク端部の形状を三角形状に設計することにより、マスクパターンの設計段階での前述の修正量をある程度少なくすることが可能となる他、図4(b)に示すように、前述によるマスク端部におけるマッチ棒の頭状の形状変化をある程度抑制することが可能となる。この結果、マスク強度を高め、マスク張力を印加した場合のマスクの伸びのばらつきを抑制することにも、この構成は寄与している。
【0015】
しかしながら、ストライプパターンの開孔部を有するマスクの場合には、マスク張力を印加した際の伸びが、開孔部の端部形状に大きく依存する。このため、高精細なOLED表示装置を得るには、端部形状のバラツキやマスク強度の減少をより一層抑制し、マスク伸張後のピッチ精度の向上を図る必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2007−234678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の解決しようとする課題は、上述した問題を解消し、ストライプパターンの開孔部を有するマスクにおいて、マスク強度の向上を図り、かつ、マスク伸張後のピッチ精度を高精度化することが可能な有機エレクトロルミネッセンス用マスクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した課題を解決するため、以下のような構成を採用することが可能である。
(1) ストライプパターンの開孔部を有する有機エレクトロルミネッセンス用マスクにおいて、該開孔部の幅Wに対する、該開孔部の端部からの距離Lは、次式を満足し、
1/2W≦L≦20W
該開孔部の端部から距離Lまでの領域では、該開孔部の断面形状は、それ以外の領域の開孔部の断面形状と比較し、開孔部の断面積が小さくなっていることを特徴とする。
【0019】
(2) 上記(1)に記載された有機エレクトロルミネッセンス用マスクにおいて、該開孔部は、マスクを構成する金属箔を両面からエッチングすることにより形成され、該開孔部の断面形状におけるテーパ角は、該開孔部の端部から距離Lまでの領域におけるテーパ角θと、それ以外の領域のテーパ角θとの関係が次式を満足していることを特徴とする。
θ<θ<90°
【0020】
(3) 上記(2)に記載された有機エレクトロルミネッセンス用マスクにおいて、該テーパ角は、該開孔部の端部から距離Lまでの領域とそれ以外の領域との間で、又は該開孔部の端部から距離Lまでの領域内で、段階的又は連続的に変化していることを特徴とする。
【0021】
(4) 上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス用マスクにおいて、
該開孔部の端部形状は、三角形状又は半円形状のいずれかであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明のように、ストライプパターンの開孔部を有する有機エレクトロルミネッセンス用マスクにおいて、該開孔部の幅Wに対する、該開孔部の端部からの距離Lは、式「1/2W≦L≦20W」を満足し、該開孔部の端部から距離Lまでの領域では、該開孔部の断面形状は、それ以外の領域の開孔部の断面形状と比較し、開孔部の断面積が小さくなっているため、開孔部の端部及び端部近傍のマスク強度を高めることが可能となる。これにより、マスク伸張精度を高精度に制御でき、ピッチ精度の高精度化を実現できる。
【0023】
さらに、開孔部の端部及び端部付近のマスク強度を高めることで、マスク張力の均一化が可能となり、マスク全体の強度を高めることも可能となる。そして、マスクのピッチ精度やマスク強度の向上により、マスク製作の歩留まりも改善できる。当然、このようなマスクを使用することで、有機OLED表示装置の高精細化も達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】エッチングマスクの製造プロセスの概略を説明する図である。
【図2】ストライプパターンの開孔部を有するマスクを説明する図である。(a)は正常な状態、(b)は金属リブ部が変形した状態を示す。
【図3】開孔部の端部形状を半円形状(設計仕様(a))とした場合、エッチング後の仕上がり形状(b)を説明する図である。
【図4】開孔部の端部形状を三角形状(設計仕様(a))とした場合、エッチング後の仕上がり形状(b)を説明する図である。
【図5】本発明の有機エレクトロルミネッセンス用マスクにおける、開孔部の形状を説明する図である。(a)は開孔部の設計仕様の一例を示したものであり、(b)はエッチング後の仕上がり形状を示したものである。
【図6】図5の符号A〜Cの各断面における開孔部の断面形状を説明する図である。
【図7】マスク裏面に形成されるフォトレジストパターンの一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス用マスクについて、以下に詳細に説明する。
本発明の特徴は、ストライプパターンの開孔部を有する有機エレクトロルミネッセンス用マスクにおいて、該開孔部の幅Wに対する、該開孔部の端部からの距離Lは、次式を満足し、
1/2W≦L≦20W
該開孔部の端部から距離Lまでの領域では、該開孔部の断面形状は、それ以外の領域の開孔部の断面形状と比較し、開孔部の断面積が小さくなっていることである。
【0026】
つまり、本発明のマスクにおける開孔部の端部及び端部近傍において、開孔部の断面積を小さくしている。これにより、金属残部の体積が増大し、開孔部の端部やリブ部における機械的強度を高めることが可能となる。この結果、マスクに張力を印加し所定の寸法まで伸張する際の、マスク張力が均等にストライプのリブ部へ分布する他、ストライプリブ部の剛性向上による、マスク金属箔の製造時における搬送張力への耐性が向上することによるマスク金属箔のピッチ精度の向上が可能となり、マスクの強度とマスクのピッチ精度の向上を併せて実現することが可能となる。
【0027】
図5乃至7を用いて、開孔部端部の具体的な形状について、エッチングマスクを利用して説明する。図5(a)は、開孔部Hの設計仕様の一例を示したものであり、端部形状は、特許文献1にも開示されている三角形状Tを採用している。本発明においては、三角形状に限らず半円形状であっても、ピッチ精度の高精細化やマスク強度の向上を達成することが可能である。
【0028】
図5(b)に示すように、本発明の有機エレクトロルミネッセンス用マスクの特徴は、エッチング後のマスク表側の開孔部FHの形状と、マスク裏側の開孔部BHとが、従来の図4と全く異なっている。これは、開孔部Hの断面形状を観察すると明らかであり、図6に示すように、マスク裏側の開孔部の幅BWが、図5の断面C−Cにおける通常の開孔部における断面図(図6(c))より、図5の断面A−Aにおける端部又は端部近傍における断面図(図6(a))の方が、狭くなっている。これは、開孔部の断面積が通常の開孔部よりも端部又は端部近傍で小さくなり、これにより、金属リブ部の金属残部の体積が増加している。
【0029】
図5のようなマスク裏側の開孔部BHを得るには、図7に示すように、ストライプパターンの開孔部の端部近傍、具体的には、端部から距離Lの範囲では、開孔部は通常の幅BWよりも狭い幅に設定されている。距離Lの長さについては、マスクの開孔幅Wの1/2倍未満である場合には、開孔部端部及び端部近傍でリブ部の強度が向上される部分が少なく、本発明のようなマスク強度の向上やピッチ精度の向上が十分期待できない。マスクの開孔幅Wは、図5において、マスク表側の開孔FHの幅と同じように図示しているが、実際は、図6に示すように、マスクの開孔幅W(表側の孔と裏側の孔との貫通部分。又は。マスク開孔部分の最も狭くなった場所の幅)の方が、マスク表側の開孔FHの幅より若干狭くなる。
【0030】
他方、距離Lがマスクの開孔幅Wの20倍を超えるような場合には、端部からの距離Lの領域では、マスク表側の開孔とマスク裏側の開孔とが共同して形成するエッチング後の開孔部形状が、他の領域の形状と異なる場合がある。このような開孔部の形状が異なる部分(距離Lの範囲)は、画像表示領域に使用することができないため、距離Lが長くなると、表示に寄与しない無駄な額縁部分が増加する原因となる。このため、距離Lはマスクの開孔幅Wの20倍以下に抑制することが好ましい。
【0031】
図6(a)乃至(c)に示すように、マスクの開孔部を、金属箔を両面からエッチングすることにより形成する場合には、該開孔部の断面形状におけるテーパ角が、図5の各断面A−A乃至C−Cでは異なっている。図6(a)と(c)とを比較すると明らかなように、開孔部の端部から距離Lまでの領域におけるテーパ角θ(図6(a))と、それ以外の領域のテーパ角θ(図6(c))との関係は、次式のようになっている。
θ<θ<90°
【0032】
なお、本発明におけるテーパ角θとして、図6に示すように、マスク裏側の開孔エッジBEと、貫通した開孔部の最も狭い場所(CE)とを結ぶ直線と、マスク表側の面がなす角度で示しているが、これに限らず、マスク裏側の開孔エッジBEと、マスク表側の開孔エッジFE(図6(b))とを結ぶ直線と、マスク表側の面がなす角度を利用しても良い。図6に示すような開孔部の断面形状で、リブ部の内側の傾斜面の形状の概略を、傾斜面が主になす角度で表現する場合には、本発明のテーパ角に該当するものである。
【0033】
また、図6では、テーパ角は、開孔部の端部から距離Lまでの領域(図6(a))とそれ以外の領域(図6(c))との間で、段階的に変化しているが、本発明はこれに限らず、開孔部の端部から距離Lまでの領域内で連続的に変化するよう構成することも可能である。この場合には、図7のマスク裏側のパターン形状も、距離Lの範囲で、幅が連続的に変化するよう構成することができる。
【0034】
本発明では、開孔部の端部のテーパ角について、設計仕様の効果により、ストライプのリブ部の付け根の部分の強度を向上することができる。そして、これにより、マスク金属箔を伸張する際にマスクのストライプのリブ部に張力が効率よく印加することができる。しかも、マスクパターン内部の伸張量のバラツキが少なくなることから、マスクピッチ精度が向上する。その上、マスク製作工程における搬送張力等の外部応力に対する変位も小さくなるため、マスク金属箔自身のピッチ精度も向上する。という作用効果が期待できる。
【0035】
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス用マスクを使用した表示装置には、以下のような効果を期待することができる。
(1)OLED表示装置の高精細化。
(2)マスクの歩留まり向上による、マスクのコスト低減。
(3)マスクのピッチ精度が向上するため、OLED蒸着(印刷)歩留まりの向上。
(4)マスクの強度向上による、OLEDの生産性向上。
(5)OLED表示装置のコスト低減。
【0036】
以上の説明では、エッチングマスクを中心に説明したが、電鋳マスクにおいても、開孔部の端部又は端部近傍の断面積を、その他の領域の断面積と比較して小さく設定することで、同様の効果が期待できる。
【0037】
従来のマスクとして図4の形状を、本発明のマスクとして図5の形状のものを各々製作し、特性を比較した。ただし、マスク材質には、36%Ni−Feを使用し、マスク板厚40μm、マスク開孔径(幅)設計値31μm、マスクピッチ設計値93μmとした。
両者を比較すると、マスク開孔径の精度は、共に31±3μmであるが、マスク張力を印加した際のマスクピッチ精度(バラツキ)は、従来例が±5μmであったのに対し、本発明が±4μmであった。また、マスク強度を静荷重で測定した際、従来例を100とした場合、本発明は105〜110であり、ピッチ精度もマスク強度も向上していることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上のように、本発明によれば、ストライプパターンの開孔部を有するマスクにおいて、マスク強度の向上を図り、かつ、マスク伸張後のピッチ精度を高精度化することが可能な有機エレクトロルミネッセンス用マスクを提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0039】
BH マスク裏側の開孔部
BM マスク裏側
BW マスク裏側の開孔幅
FH マスク表側の開孔部
FM マスク表側
W マスクの開孔幅
H 開孔部
M マスク(金属部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストライプパターンの開孔部を有する有機エレクトロルミネッセンス用マスクにおいて、
該開孔部の幅Wに対する、該開孔部の端部からの距離Lは、次式を満足し、
1/2W≦L≦20W
該開孔部の端部から距離Lまでの領域では、該開孔部の断面形状は、それ以外の領域の開孔部の断面形状と比較し、開孔部の断面積が小さくなっていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス用マスク。
【請求項2】
請求項1に記載された有機エレクトロルミネッセンス用マスクにおいて、
該開孔部は、マスクを構成する金属箔を両面からエッチングすることにより形成され、
該開孔部の断面形状におけるテーパ角は、該開孔部の端部から距離Lまでの領域におけるテーパ角θと、それ以外の領域のテーパ角θとの関係が次式を満足していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス用マスク。
θ<θ<90°
【請求項3】
請求項2に記載された有機エレクトロルミネッセンス用マスクにおいて、
該テーパ角は、該開孔部の端部から距離Lまでの領域とそれ以外の領域との間で、又は該開孔部の端部から距離Lまでの領域内で、段階的又は連続的に変化していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス用マスク。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス用マスクにおいて、
該開孔部の端部形状は、三角形状又は半円形状のいずれかであることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス用マスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−59631(P2012−59631A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203543(P2010−203543)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】