説明

有機エレクトロルミネッセンス素子用材料及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子

【課題】色純度が高く、青色系に発光する有機EL素子用材料及びそれを利用した有機EL素子を提供すること。
【解決手段】アリールカルバゾリル基又はカルバゾリルアルキレン基に、窒素含有ヘテロ環基が結合した化合物からなる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、及び、陰極と陽極間に一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機薄膜層の少なくとも1層が、前記有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)に関し、特に、色純度が高く、青色系に発光する有機EL素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機物質を使用した有機EL素子は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子としての用途が有望視され、多くの開発が行われている。一般に、有機EL素子は、発光層及び該層を挟んだ一対の対向電極から構成されている。
有機EL素子の発光は、両電極間に電界が印加されると、陰極側から電子が注入され、陽極側から正孔が注入され、電子が発光層において正孔と再結合し、励起状態を生成し、励起状態が基底状態に戻る際にエネルギーを光として放出する現象である。
発光材料としては、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム錯体等のキレート錯体、クマリン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ビススチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体等の発光材料が知られており、それらからは青色から赤色までの可視領域の発光が得られることが報告されており、カラー表示素子の実現が期待されている(例えば、特開平8−239655号公報、特開平7−138561号公報及び特開平3−200289号公報等)。
最近では、有機EL素子ディスプレイの実用化が開始されているものの、フルカラー表示素子は開発途中である。特に、色純度及び発光効率が高く、青色系に発光する有機EL素子が求められている。
これらを解決しようとするものとして、例えば、特開平8−12600号公報には、青色発光材料としてフェニルアントラセン誘導体を用いた素子開示されている。フェニルアントラセン誘導体は、青色発光材料として用いられ、通常、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(Alq)錯体層との前記青色材料層の積層体として用いられるが、発光効率、寿命、青色純度が実用に用いられるレベルとしては不十分であった。特開2001−288462号公報には、アミン系芳香族化合物を発光層に用いた青色発光素子が開示されているが、発光効率が2〜4cd/Aと不十分であった。特開2001−160489号公報には、アザフルオランテン化合物を発光層に添加した素子が開示されているが、黄色から緑色の発光となり、十分に色純度の高い青色を発光するに至っていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、色純度が高く、青色系に発光する有機EL素子用材料及びそれを利用した有機EL素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、アリールカルバゾリル基又はカルバゾリルアルキレン基に、窒素含有ヘテロ環基が結合した化合物をホスト材料として用いることにより、青色純度が高い有機EL素子が得られることを見出し、本発明を解決するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、下記一般式(2)で表される化合物からなる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料である。
Cz(−A)m (2)
〔式中、Czは、置換もしくは無置換のアリールカルバゾリル基又はカルバゾリルアルキレン基、Aは、下記一般式(A)で表される基である。mは2である。
(M)p−(L)q−(M’)r (A)
(M及びM’は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の窒素含有ヘテロ芳香族環であり、同一でも異なっていてもよい。但し、該窒素含有ヘテロ芳香族環は、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、アジリジン、アザインドリジン、インドリジン、イミダゾール、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、プテリジン、β−カルボリン、ナフチリジン、キノキサリン、ターピリジン、ビピリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン及びイミダゾピリジンからなる群から選ばれる。Lは、置換もしくは無置換の炭素数6〜30のアリール基もしくはアリーレン基、置換もしくは無置換の炭素数5〜30のシクロアルキレン基、又は置換もしくは無置換の炭素数2〜30のヘテロ芳香族環である。pは1、qは1、rは0〜2の整数である。)
なお、一般式(A)で表される基は、Czのカルバゾール環の3位及び6位に結合している。〕
また、本発明は、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物からなる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料である。
(Cz−)nA (1)
Cz(−A)m (2)
〔式中、Czは、アリール部位がカルバゾリル基で置換されたアリールカルバゾリル基であり、Aは、下記一般式(A)で表される基である。nは1〜3の整数、mは2である。
(M)p−(L)q−(M’)r (A)
(M及びM’は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の窒素含有ヘテロ芳香族環であり、同一でも異なっていてもよい。但し、該窒素含有ヘテロ芳香族環は、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、アジリジン、アザインドリジン、インドリジン、イミダゾール、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、プテリジン、β−カルボリン、ナフチリジン、キノキサリン、ターピリジン、ビピリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン及びイミダゾピリジンからなる群から選ばれる。Lは、単結合、置換もしくは無置換の炭素数6〜30のアリール基もしくはアリーレン基、置換もしくは無置換の炭素数5〜30のシクロアルキレン基、又は置換もしくは無置換の炭素数2〜30のヘテロ芳香族環である。pは0〜2、qは1〜2、rは0〜2の整数である。ただし、p+rは1以上である。)
なお、一般式(A)で表される基は、一般式(1)においては、Czのアリール部位又はアルキレン部位と結合しており、一般式(2)においては、Czのカルバゾール環の3位及び6位に結合している。〕
また、本発明は、陰極と陽極間に一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機EL素子において、該有機薄膜層の少なくとも1層が、前記有機EL素子用材料を含有する有機EL素子を提供するものである。前期有機薄膜層のうち、発光層、電子輸送層、又は正孔輸送層が前記有機EL素子用材料を含有していてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の有機EL素子用材料は、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物からなる。
(Cz−)nA (1)
Cz(−A)m (2)
Czは、置換もしくは無置換のアリールカルバゾリル基又は置換もしくは無置換のカルバゾリルアルキレン基である。n及びmは、それぞれ1〜3の整数である。
アリールカルバゾリル基におけるアリール基は、炭素数6〜30であると好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ナフタセニル基、ピレニル基、フルオレニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられ、これらのうち、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基が好ましい。
カルバゾリルアルキレン基におけるアルキレン基は、炭素数1〜10であると好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、s−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基、ヒドロキシメチレン基、クロロメチレン基、アミノメチレン基等が挙げられ、これらのうち、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、t−ブチレン基、n−ペンチレン基が好ましい。
【0007】
一般式(1)及び(2)における、Aは、下記一般式(A)で表される基である。
(M)p−(L)q−(M’)r (A)
M及びM'は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の窒素含有ヘテロ芳香族環であり、同一でも異なっていてもよい。窒素含有ヘテロ芳香族環は、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、アジリジン、アザインドリジン、インドリジン、イミダゾール、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、プテリジン、β−カルボリン、ナフチリジン、キノキサリン、ターピリジン、ビピリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、イミダゾピリジンからなる群から選ばれ、特に、ピリジン、ターピリジン、ピリミジン、イミダゾピリジン、トリアジンが好ましい。
Lは、単結合、置換もしくは無置換の炭素数6〜30のアリール基もしくはアリーレン基、置換もしくは無置換の炭素数5〜30のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数2〜30のヘテロ芳香族環である。
pは0〜2、qは1〜2、rは0〜2の整数である。ただし、p+rは1以上である。
炭素数6〜30のアリール基としては、例えば、フェニル基、ピフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナンスリル基、ビレニル基、クリセニル基、フルオランテニル基、パーフルオロアリール基等が挙げられ、これらのうちフェニル基、ピフェニル基、ターフェニル基、パーフルオロアリール基が好ましい。
炭素数6〜30のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ピフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基、フェナンスリレン基、ビレニレン基、クリセニレン基、フルオランテニレン基、パーフルオロアリーレン基等が挙げられ、これらのうちフェニレン基、ピフェニレン基、ターフェニレン基、パーフルオロアリーレン基が好ましい。
炭素数5〜30のシクロアルキレン基としては、例えばシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基などが挙げられ、これらのうちシクロヘキシレン基が好ましい。
炭素数2〜30のヘテロ芳香族環としては、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、1−フェナンスリジニル基、2−フェナンスリジニル基、3−フェナンスリジニル基、4−フェナンスリジニル基、6−フェナンスリジニル基、7−フェナンスリジニル基、8−フェナンスリジニル基、9−フェナンスリジニル基、10−フェナンスリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナンスロリン−2−イル基、1,7−フェナンスロリン−3−イル基、1,7−フェナンスロリン−4−イル基、1,7−フェナンスロリン−5−イル基、1,7−フェナンスロリン−6−イル基、1,7−フェナンスロリン−8−イル基、1,7−フェナンスロリン−9−イル基、1,7−フェナンスロリン−10−イル基、1,8−フェナンスロリン−2−イル基、1,8−フェナンスロリン−3−イル基、1,8−フェナンスロリン−4−イル基、1,8−フェナンスロリン−5−イル基、1,8−フェナンスロリン−6−イル基、1,8−フェナンスロリン−7−イル基、1,8−フェナンスロリン−9−イル基、1,8−フェナンスロリン−10−イル基、1,9−フェナンスロリン−2−イル基、1,9−フェナンスロリン−3−イル基、1,9−フェナンスロリン−4−イル基、1,9−フェナンスロリン−5−イル基、1,9−フェナンスロリン−6−イル基、1,9−フェナンスロリン−7−イル基、1,9−フェナンスロリン−8−イル基、1,9−フェナンスロリン−10−イル基、1,10−フェナンスロリン−2−イル基、1,10−フェナンスロリン−3−イル基、1,10−フェナンスロリン−4−イル基、1,10−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−1−イル基、2,9−フェナンスロリン−3−イル基、2,9−フェナンスロリン−4−イル基、2,9−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−6−イル基、2,9−フェナンスロリン−7−イル基、2,9−フェナンスロリン−8−イル基、2,9−フェナンスロリン−10−イル基、2,8−フェナンスロリン−1−イル基、2,8−フェナンスロリン−3−イル基、2,8−フェナンスロリン−4−イル基、2,8−フェナンスロリン−5−イル基、2,8−フェナンスロリン−6−イル基、2,8−フェナンスロリン−7−イル基、2,8−フェナンスロリン−9−イル基、2,8−フェナンスロリン−10−イル基、2,7−フェナンスロリン−1−イル基、2,7−フェナンスロリン−3−イル基、2,7−フェナンスロリン−4−イル基、2,7−フェナンスロリン−5−イル基、2,7−フェナンスロリン−6−イル基、2,7−フェナンスロリン−8−イル基、2,7−フェナンスロリン−9−イル基、2,7−フェナンスロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、10−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル−1−インドリル基、4−t−ブチル−1−インドリル基、2−t−ブチル−3−インドリル基、4−t−ブチル−3−インドリル基等が挙げられ、これらのうち、ピリジニル基、キノリル基が好ましい。
また、上記一般式(1)、(2)及び(A)におけるCz、M、M'の置換基としては、塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子、カルバゾール基、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、シリル基、トリフルオロメチル基、カルボニル基、カルボキシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリールアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族基、置換もしくは無置換のヘテロ芳香族複素環基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアルキルオキシ基等が挙げられる。これらのうち、フッ素原子、メチル基、パーフルオロフェニレン基、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、アダマンチル基、ベンジル基、シアノ基、シリル基が好ましい。
前記一般式(1)又は(2)で表される化合物の結合様式としては、n,mの値に応じ、下記表1に示すようになる。
【0008】
【表1】

【0009】
前記一般式(A)で表される基の結合様式としては、p,q,rの値に応じ、下記表2に示すようになる。
【0010】
【表2】

【0011】
Aと結合しているCzは、Aを表す一般式(A)のM、L、M'のいずれに結合していてもよい。
例えば、一般式(1)もしくは(2)において、m=n=1であるCz−Aで、(A)が表2[6](p=q=r=1)の場合には、Cz−M−L−M'、M−L(Cz)−M'及びM−L−M'−Czの3つの結合様式が挙げられる。
また、例えば、一般式(1)において、n=2であるCz−A−Czで、(A)が表2[7](p=q=1,r=2)の場合には、
【0012】
【化1】

【0013】
のような結合様式が挙げられる。
以上のような、一般式(1)、(2)及び(A)の結合様式、並びに各基の例示の組み合わせにおいて、下記(i)〜(iv)で表される化合物からなる有機EL素子用材料が好ましい。
(i)前記一般式(1)においてn=1、かつ前記一般式(A)においてp=1,r=0であり、一般式(1)式中、Czは、置換もしくは無置換のアリールカルバゾリル基又はカルバゾリルアルキレン基であり、
一般式(A)式中、Mは、前記定義の通りであり、Lは、置換もしくは無置換の炭素数6〜30のアリール基もしくはアリーレン基、置換もしくは無置換の炭素数2〜30のヘテロ芳香族環である有機EL素子用材料。
(ii)前記一般式(1)においてn=2、かつ前記一般式(A)においてp=1,r=0であり、一般式(1)式中、Czは、置換もしくは無置換のアリールカルバゾリル基又はカルバゾリルアルキレン基であり、
一般式(A)式中、Mは、前記定義の通りであり、Lは、置換もしくは無置換の炭素数6〜30のアリール基もしくはアリーレン基、置換もしくは無置換の炭素数2〜30のヘテロ芳香族環である有機EL素子用材料。
(iii)前記一般式(1)においてn=1、かつ前記一般式(A)においてp=2,r=0であり、一般式(1)式中、Czは、置換もしくは無置換のアリールカルバゾリル基又はカルバゾリルアルキレン基であり、
一般式(A)式中、Mは、前記定義の通りであり、Lは、置換もしくは無置換の炭素数6〜30のアリール基もしくはアリーレン基、又は置換もしくは無置換の炭素数2〜30のヘテロ芳香族環である有機EL素子用材料。
(iv)前記一般式(2)においてm=2、かつ前記一般式(A)においてp=q=1であり、一般式(2)式中、Czは、置換もしくは無置換のアリールカルバゾリル基又はカルバゾリルアルキレン基であり、
一般式(A)式中、M及びM'は、それぞれ独立に、前記定義の通りであり、Lは、置換もしくは無置換の炭素数6〜30のアリール基もしくはアリーレン基、置換もしくは無置換の炭素数5〜30のシクロアルキレン基、又は置換もしくは無置換の炭素数2〜30のヘテロ芳香族環である有機EL素子用材料。
前記一般式(1)及び(2)において、Czは、置換もしくは無置換のアリールカルバゾリル基であると好ましく、フェニルカルバゾリル基であるとさらに好ましい。また、アリールカルバゾリル基のアリール部位がカルバゾリル基で置換されていると好ましい。
【0014】
本発明の一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、これら例示化合物に限定されるものではない。
【0015】
【化2】

【0016】
【化3】

【0017】
【化4】

【0018】
【化5】

【0019】
【化6】

【0020】
【化7】

【0021】
【化8】

【0022】
本発明の一般式(2)で表される化合物の具体例を以下に示すが、これら例示化合物に限定されるものではない。
【0023】
【化9】

【0024】
本発明における一般式(1)又は(2)で表される化合物は、3重項のエネルギーギャップが2.5〜3.3eVであり、2.5〜3.2eVであると好ましい。
本発明における一般式(1)又は(2)で表される化合物は、1重項のエネルギーギャップが2.8〜3.8eVであり、2.9〜3.7eVであると好ましい。
本発明の有機EL素子は、陰極と陽極間に一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機EL素子において、該有機薄膜層の少なくとも1層が、前記一般式(1)又は(2)の化合物からなる有機EL素子用材料を含有する。
また、本発明の有機EL素子は、発光層、電子輸送層、正孔輸送層に、前記一般式(1)又は(2)のいずれかの化合物からなる有機EL素子用材料を含有すると好ましい。
【0025】
本発明の有機EL素子は、青色系発光し、その純度が(0.12,0.10)〜(0.17,0.20)と高いものである。これは、本発明の一般式(1)又は(2)の化合物からなる有機EL素子用材料が、広いエネルギーギャップを有しているからである。
本発明の有機EL素子は、3重項励起又はそれ以上の多重項励起により発光すると好ましい。
本発明の有機EL素子用材料は、有機EL素子のホスト材料であると好ましい。このホスト材料とは、正孔と電子の注入が可能であって、正孔と電子が輸送され、再結合して蛍光を発する機能を有するものである。
また、本発明における一般式(1)及び(2)の化合物は、1重項のエネルギーギャップが2.8〜3.8eVと高く、3重項のエネルギーギャップも2.5〜3.3eVと高いため、燐光素子用の有機ホスト材料としても有用である。
ここで、燐光素子とは、3重項準位のエネルギー状態から基底1重項準位の状態への遷移に基づく発光の強度が他の物質に比べて高い物質、例えば、周期律表7〜11族から選ばれる少なくとも1つの金属を含む有機金属錯体などの燐光物質を含む、いわゆる燐光を利用した有機電界発光素子のことである。
有機EL素子の発光層において、生成される分子励起子には、1重項励起子と三重項励起子とが混合していて、1重項励起子及び3重項励起子は、一般的には1:3の割合で、3重項励起子の方が多く生成されていると言われている。また、通常の蛍光を使った有機EL素子では、発光に寄与する励起子は1重項励起子であって、3重項励起子は非発光性である。このため、3重項励起子は最終的には熱として消費されてしまい、生成率の低い1重項励起子から発光が生じている。したがって、有機EL素子においては、正孔と電子との再結合によって発生するエネルギーのうち、3重項励起子の方へ移動したエネルギーは大きい損失となっている。
このため、本発明の化合物を燐光素子に利用することにより、3重項励起子のエネルギーを発光に使用できるので、蛍光を使った素子の3倍の発光効率の得られると考えられる。また、本発明の化合物は、燐光素子の発光層に用いると、該層に含まれる7〜11族から選ばれる金属を含有する燐光性有機金属錯体の励起3重項準位より高いエネルギー状態の励起3重項準位を有し、さらに安定な薄膜形状を与え、高いガラス転移温度(Tg:80〜160℃)を有し、正孔及び/又は電子を効率よく輸送することができ、電気化学的かつ化学的に安定であり、トラップとなったり発光を消光したりする不純物が製造時や使用時に発生しにくいと考えられる。
【0026】
本発明の有機EL素子は、前記したように陽極と陰極間に一層もしくは多層の有機薄膜層を形成した素子である。一層型の場合、陽極と陰極との間に発光層を設けている。発光層は、発光材料を含有し、それに加えて陽極から注入した正孔、もしくは陰極から注入した電子を発光材料まで輸送させるために、正孔注入材料もしくは電子注入材料を含有してもよい。また、発光材料は、極めて高い蛍光量子効率、高い正孔輸送能力及び電子輸送能力を併せ持ち、均一な薄膜を形成することが好ましい。多層型の有機EL素子としては、(陽極/正孔注入層/発光層/陰極)、(陽極/発光層/電子注入層/陰極)、(陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極)等の多層構成で積層したものがある。
発光層には、必要に応じて、本発明の一般式(1)又は(2)の化合物に加えてさらなる公知のホスト材料、発光材料、ドーピング材料、正孔注入材料や電子注入材料を使用し、組み合わせて使用することもできる。有機EL素子は、多層構造にすることにより、クエンチングによる輝度や寿命の低下を防ぐことができ、他のドーピング材料により、発光輝度や発光効率を向上させたり、燐光発光に寄与する他のドーピング材料と組み合わせて用いることにより、従来の発光輝度や発光効率を向上させることができる。
また、本発明の有機EL素子における正孔注入層、発光層、電子注入層は、それぞれ二層以上の層構成により形成されてもよい。その際、正孔注入層の場合、電極から正孔を注入する層を正孔注入層、正孔注入層から正孔を受け取り発光層まで正孔を輸送する層を正孔輸送層と呼ぶ。同様に、電子注入層の場合、電極から電子を注入する層を電子注入層、電子注入層から電子を受け取り発光層まで電子を輸送する層を電子輸送層と呼ぶ。これらの各層は、材料のエネルギー準位、耐熱性、有機薄膜層もしくは金属電極との密着性等の各要因により選択されて使用される。
本発明の有機EL素子は、電子輸送層や正孔輸送層が、一般式(1)及び(2)のいずれかの化合物からなる本発明の有機EL素子用材料を含有してもよく、さらに、正孔注入層、電子注入層、正孔障壁層が本発明の有機EL素子用材料を含有してもよく、燐光発光性化合物と本発明の有機EL素子用材料とを混合して用いてもよい。
【0027】
本発明の一般式(1)又は(2)の化合物と共に有機薄膜層に使用できる発光材料又はホスト材料としては、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、テトラセン、コロネン、クリセン、フルオレセイン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ペリノン、フタロペリノン、ナフタロペリノン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、アルダジン、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、ピラジン、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、イミン、ジフェニルエチレン、ビニルアントラセン、ジアミノアントラセン、ジアミノカルバゾール、ピラン、チオピラン、ポリメチン、メロシアニン、イミダゾールキレート化オキシノイド化合物、キナクリドン、ルブレン、スチルベン系誘導体及び蛍光色素等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
発光材料としては、素子の外部量子効率をより向上させることができる点で燐光性の有機金属錯体が好ましく、有機金属錯体の金属原子として、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金を含有するものが挙げられる。これらの有機金属錯体は下記一般式(3)で表される有機金属錯体であるのが好ましい。
【0029】
【化10】

【0030】
(式中、A1は、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表し、好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、チエニル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基であり、前記置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜30のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜30のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜30のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、アセチル基等のアシル基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基、シアノ基を表す。
2は、窒素を複素環を形成する原子として含有する置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表し、好ましくは、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジン基、トリアジン基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリン基、フェナントリジン基であり、前記置換基としては、A1と同様で挙げられる。
1を含む環とA2を含む環は一つの縮合環を形成してもよく、このようなものとしては、例えば、7,8−ベンゾキノリン基等が挙げられる。
Qは、周期表7〜11族から選ばれる金属であり、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金を表す。
Lは、2座型の配子を表し、好ましくは、アセチルアセトナート等のβ−ジケト型の配位子又はピロメリット酸から選ばれる。
m及びnは整数を表し、Qが二価金属の場合は、n=2、m=0であり、Qが三価金属の場合は、n=3かつm=0、又はn=2かつm=1である。)
【0031】
前記一般式(3)で示される有機金属錯体の具体例を以下に示すが、何ら下記の化合物に限定されるものではない。
【0032】
【化11】

【0033】
【化12】

【0034】
【化13】

【0035】
【化14】

【0036】
正孔注入材料としては、正孔を輸送する能力を持ち、陽極からの正孔注入効果、発光層又は発光材料に対して優れた正孔注入効果を有し、発光層で生成した励起子の電子注入層又は電子注入材料への移動を防止し、かつ薄膜形成能力の優れた化合物が好ましい。具体的には、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、イミダゾールチオン、ピラゾリン、ピラゾロン、テトラヒドロイミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ヒドラゾン、アシルヒドラゾン、ポリアリールアルカン、スチルベン、ブタジエン、ベンジジン型トリフェニルアミン、スチリルアミン型トリフェニルアミン、ジアミン型トリフェニルアミン等と、それらの誘導体、及びポリビニルカルバゾール、ポリシラン、導電性高分子等の高分子材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの正孔注入材料の中で、さらに効果的な正孔注入材料は、芳香族三級アミン誘導体又はフタロシアニン誘導体である。芳香族三級アミン誘導体の具体例としては、トリフェニルアミン、トリトリルアミン、トリルジフェニルアミン、N,N'−ジフェニル−N,N'−(3−メチルフェニル)−1,1'−ビフェニル−4,4'−ジアミン、N,N,N',N'−(4−メチルフェニル)−1,1'−フェニル−4,4'−ジアミン、N,N,N',N'−(4−メチルフェニル)−1,1'−ビフェニル−4,4'−ジアミン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ジナフチル−1,1'−ビフェニル−4,4'−ジアミン、N,N'−(メチルフェニル)−N,N'−(4−n−ブチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N−ビス(4−ジ−4−トリルアミノフェニル)−4−フェニル−シクロヘキサン等、又はこれらの芳香族三級アミン骨格を有したオリゴマーもしくはポリマーであるが、これらに限定されるものではない。フタロシアニン(Pc)誘導体の具体例は、H2Pc、CuPc、CoPc、NiPc、ZnPc、PdPc、FePc、MnPc、ClAlPc、ClGaPc、ClInPc、ClSnPc、Cl2SiPc、(HO)AlPc、(HO)GaPc、VOPc、TiOPc、MoOPc、GaPc−O−GaPc等のフタロシアニン誘導体及びナフタロシアニン誘導体であるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
電子注入材料としては、電子を輸送する能力を持ち、陰極からの電子注入効果、発光層又は発光材料に対して優れた電子注入効果を有し、発光層で生成した励起子の正孔注入層への移動を防止し、かつ薄膜形成能力の優れた化合物が好ましい。具体的には、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、キノキサリン、フレオレニリデンメタン、アントラキノジメタン、アントロン等とそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの電子注入材料の中で、さらに効果的な電子注入材料は、金属錯体化合物又は含窒素五員環誘導体である。金属錯体化合物の具体例は、8−ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)マンガン、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリナート)クロロガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(o−クレゾラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(2−ナフトラート)ガリウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
また、含窒素五員誘導体は、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾールもしくはトリアゾール誘導体が好ましい。具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、ジメチルPOPOP、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4'−tert−ブチルフェニル)−5−(4"−ビフェニル)1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)]ベンゼン、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)−4−tert−ブチルベンゼン]、2−(4'−tert−ブチルフェニル)−5−(4"−ビフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−チアジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2−(4'−tert−ブチルフェニル)−5−(4"−ビフェニル)−1,3,4−トリアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルトリアゾリル)]ベンゼン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
また、正孔注入材料に電子受容物質を、電子注入材料に電子供与性物質を添加することにより電荷注入性を向上させることもできる。
【0040】
本発明の有機EL素子の陽極に使用される導電性材料としては、4eVより大きな仕事関数を持つものが適しており、炭素、アルミニウム、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、タングステン、銀、金、白金、パラジウム等及びそれらの合金、ITO基板、NESA基板に使用される酸化スズ、酸化インジウム等の酸化金属、さらにはポリチオフェンやポリピロール等の有機導電性樹脂が用いられる。陰極に使用される導電性物質としては、4eVより小さな仕事関数を持つものが適しており、マグネシウム、カルシウム、錫、鉛、チタニウム、イットリウム、リチウム、ルテニウム、マンガン、アルミニウム等及びそれらの合金が用いられるが、これらに限定されるものではない。合金としては、マグネシウム/銀、マグネシウム/インジウム、リチウム/アルミニウム等が代表例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。合金の比率は、蒸着源の温度、雰囲気、真空度等により制御され、適切な比率に選択される。陽極及び陰極は、必要があれば二層以上の層構成により形成されていてもよい。
【0041】
本発明の有機EL素子は、少なくとも一方の電極と前記有機薄膜層との間に無機化合物層を有していてもよい。無機化合物層に使用される好ましい無機化合物としては、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類酸化物、希土類酸化物、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類ハロゲン化物、希土類ハロゲン化物、SiOx、AlOx、SiNx、SiON、AlON、GeOx、LiOx、LiON、TiOx、TiON、TaOx、TaON、TaNx、Cなど各種酸化物、窒化物、酸化窒化物である。特に陽極に接する層の成分としては、SiOx、AlOx、SiNx、SiON、AlON、GeOx、Cが安定な注入界面層を形成して好ましい。また、特に陰極に接する層の成分としては、LiF、MgF2、CaF2、MgF2、NaFが好ましい。
【0042】
本発明の有機EL素子は、効率良く発光させるために、少なくとも一方の面は素子の発光波長領域において充分透明にすることが望ましい。また、基板も透明であることが望ましい。
透明電極は、上記の導電性材料を使用して、蒸着やスパッタリング等の方法で所定の透光性が確保するように設定する。発光面の電極は、光透過率を10%以上にすることが望ましい。基板は、機械的、熱的強度を有し、透明性を有するものであれば限定されるものではないが、ガラス基板及び透明性樹脂フィルムが挙げられる。透明性樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリプロピレン等が挙げられる。
【0043】
本発明の有機EL素子は、温度、湿度、雰囲気等に対する安定性の向上のために、素子の表面に保護層を設けたり、シリコンオイル、樹脂等により素子全体を保護することも可能である。
本発明の有機EL素子の各層の形成は、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング等の乾式成膜法やスピンコーティング、ディッピング、フローコーティング等の湿式成膜法のいずれの方法を適用することができる。各層の膜厚は特に限定されるものではないが、適切な膜厚に設定する必要がある。膜厚が厚すぎると、一定の光出力を得るために大きな印加電圧が必要になり発光効率が悪くなる。膜厚が薄すぎるとピンホール等が発生して、電界を印加しても充分な発光輝度が得られない。通常の膜厚は5nm〜10μmの範囲が適しているが、10nm〜0.2μmの範囲がさらに好ましい。
湿式成膜法の場合、各層を形成する材料を、エタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の適切な溶媒に溶解又は分散させて薄膜を形成するが、その溶媒はいずれであってもよい。また、いずれの層においても、成膜性向上、膜のピンホール防止等のため適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。使用の可能な樹脂としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース等の絶縁性樹脂及びそれらの共重合体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の光導電性樹脂、ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性樹脂が挙げられる。また、添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等が挙げられる。
以上のように、有機EL素子の有機薄膜層に本発明の一般式(1)又は(2)の化合物を用いることにより、色純度が高く、青色系に発光する有機EL素子を得ることができ、この有機EL素子は、例えば電子写真感光体、壁掛けテレビ用フラットパネルディスプレイ等の平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト又は計器類等の光源、表示板、標識灯、アクセサリー等に好適に用いられる。
【実施例】
【0044】
次に、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、化合物の3重項エネルギーギャップ及び1重項エネルギーギャップは、以下のようにして測定した。
【0045】
(1)3重項エネルギーギャップの測定
最低励起3重項エネルギー準位T1を測定した。すなわち、試料の燐光スペクトルを測定し(10μmol/リットル EPA(ジエチルエーテル:イソペンタン:エタノール=5:5:2容積比)溶液、77K、石英セル、SPEX社FLUOROLOGII)、燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対して接線を引き横軸との交点である波長(発光端)を求めた。この波長をエネルギー値に換算した。
(2)1重項エネルギーギャップの測定
励起1重項エネルギーギャップの値を測定した。すなわち、試料のトルエン溶液(10-5モル/リットル)を用い日立社製紫外可視吸光計を用い吸収スペクトルを測定した。スペクトルの長波長側の立ち上りに対し接線を引き横軸との交点である波長(吸収端)を求めた。この波長をエネルギー値に換算した。
【0046】
合成例1(化合物(A5)の合成)
化合物(A5)の合成経路を以下に示す。
【0047】
【化15】

【0048】
(1)中間体(A)の合成
2,4'−ジブロモアセトフェノン15g(54mmol)をエタノール100ミリリットルに溶かし、炭酸水素ナトリウム7.0g、2−アミノピリジン5.2g(55mmol)を加え、9時間加熱還流した。反応終了後、室温まで冷却し、析出した結晶をろ別し、水、エタノールで洗浄し、中間体(A)12.5g(収率85%)を得た。
(2)化合物(A5)の合成
3,6−ジフェニルカルバゾール6.1g(19mmol)、中間体(A)6.3g(23mmol)、銅粉0.2g、18−クラウン−6 1.7g、及び炭酸カリウム2.9g(21mmol)を入れ、溶媒としてo−ジクロロベンゼン30ミリリットルを加え、窒素気流下、シリコンオイルバスを用いて200℃にまで加熱し、48時間反応させた。反応終了後、冷却前に吸引濾過し、得られた濾液をエバポレータで濃縮した。得られた油状物にメタノール30ミリリットルを加え、析出した固体を一減圧濾過し、灰色の固形物を得た。得られた固形物をベンゼンで再結晶し、白色結晶3.0g(収率31%)を得た。得られた結晶は、90MHz 1H−NMR及びFD−MS(フィールドディソープションマス分析)により目的物(A5)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FD−MS,calcd for C37253=511,found,m/z=511(M+,100).
さらに、前述の測定方法によりエネルギーギャップの値を求め、表3に示した。
【0049】
合成例2(化合物(A3)の合成)
化合物(A3)の合成経路を以下に示す。
【0050】
【化16】

【0051】
(1)中間体(B)の合成
4−ブロモベンズアルデヒド15g(81mmol)をエタノール300ミリリットルに溶かし、2−アセチルピリジン10g(83mmol)、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液15g(81mmol)を加え、室温で7時間撹拌した。反応終了後、析出した固体をろ過し、メタノールで洗浄し、中間体(B)9.5g(収率41%)を得た。
(2)中間体(C)の合成
中間体(B)9.5g(33mmol)をエタノール80ミリリットルに溶かし、ベンズアミジン塩酸塩5.2g(34mmol)、水酸化ナトリウム2.6g(65mmol)を加え、15時間加熱環流した。反応終了後、室温まで冷却し、析出した結晶をろ別し、水、メタノールで洗浄し、中間体(C)3.46g(収率27%)を得た。
(3)化合物(A3)の合成
3,6−ジフェニルカルバゾール6.1g(19mmol)、中間体(C)8.9g(23mmol)、銅粉0.2g、18−クラウン−6 1.7g、及び炭酸カリウム2.9g(21mmol)を入れ、溶媒としてo−ジクロロベンゼン30ミリリットルを加え、窒素気流下、シリコンオイルバスを用いて200℃にまで加熱し、48時間反応させた。反応終了後、冷却前に吸引濾過し、得られた濾液をエバポレータで濃縮した。得られた油状物にメタノール30ミリリットルを加え、析出した固体を減圧濾過し、灰色の固形物を得た。得られた固形物をベンゼンで再結晶し、白色結晶3.9g(収率33%)を得た。得られた結晶は、90MHz 1H−NMR及びFD−MSにより目的物(A3)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FD−MS,calcd for C45304=626,found,m/z=626(M+,100).
さらに、得られた化合物について合成例1と同様にしてエネルギーギャップの値を求め、表3に示した。
【0052】
合成例3(化合物(A26)の合成)
化合物(A26)の合成経路を以下に示す。
【0053】
【化17】

【0054】
(1)中間体(D)の合成
カルバゾール33g(0.20mol)、p−ブロモヨードベンゼン68g(0.24mol)、銅粉2.0g、18−クラウン−6 18g、及び炭酸カリウム30g(0.22mol)を入れ、溶媒としてo−ジクロロベンゼン300ミリリットルを加え、窒素気流下、シリコンオイルバスを用いて200℃にまで加熱し、24時間反応させた。反応終了後、冷却前にヌッチェを用いて吸引濾過し、得られた濾液をエバポレータで濃縮した。得られた油状物にメタノール30ミリリットルを加え、析出した固体を一減圧濾過し、灰色の固形物を得た。得られた固形物をベンゼンで再結晶し、白色結晶31g(収率49%)を得た。
(2)化合物(A26)の合成
2−ビフェニルインドール5.4g(20mmol)、中間体(D)7.7g(24mmol)、銅粉0.2g、18−クラウン−6 1.8g、及び炭酸カリウム3.0g(22mmol)を入れ、溶媒としてo−ジクロロベンゼン30ミリリットルを加え、窒素気流下、シリコンオイルバスを用いて200℃にまで加熱し、48時間反応させた。反応終了後、冷却前に吸引濾過し、得られた濾液をエバポレータで濃縮した。得られた油状物にメタノール30ミリリットルを加え、析出した固体を一減圧濾過し、灰色の固形物を得た。得られた固形物をベンゼンで再結晶し、白色結晶1.7g(収率17%)を得た。得られた結晶は、90MHz 1H−NMR及びFD−MSにより目的物(A26)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FD−MS,calcd for C38262=510,found,m/z=510(M+,100).
さらに、得られた化合物について合成例1と同様にしてエネルギーギャップの値を求め、表3に示した。
【0055】
合成例4(化合物(A27)の合成)
化合物(A27)の合成経路を以下に示す。
【0056】
【化18】

【0057】
合成例3の(2)において、2−ビフェニルインドールの代わりに2−ビフェニル−3−フェニルインドールを用いた以外は、同様の操作を行うことにより、白色結晶2.2g(収率19%)。得られた結晶は、90MHz 1H−NMR及びFD−MSにより目的物(A27)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FD−MS,calcd for C44302=586,found,m/z=586(M+,100).
さらに、得られた化合物について合成例1と同様にしてエネルギーギャップの値を求め、表3に示した。
【0058】
合成例5(化合物(A11)の合成)
化合物(A11)の合成経路を以下に示す。
【0059】
【化19】

【0060】
(1)中間体(E)の合成
3,6−ビフェニル−9−p−ブロモフェニルカルバゾール7.6g(16mmol)をエーテル70ミリリットルに溶かし、−60℃でn−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M)12ミリリットルを加え、−60℃から0℃で2時間撹拌した後、再度−60℃まで冷却し、ホウ酸トリイソプロピル8.8gをエーテル10ミリリットルに希釈した溶液を滴下した。さらに−60℃から0℃で2時間撹拌した後、5%塩酸水溶液を加えてクエンチした。析出した固体をろ過し、水、メタノールで洗浄し、中間体(E)4.0g(収率58%)を得た。
(2)化合物(A11)の合成
2−(4'−ブロモ−フェニル)−イミダゾ[1,2−a]ピリジン2.0g(7.3mmol)、中間体(E)3.5g(8.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.17gを1,2−ジメトキシエタン30ミリリットルに溶かし、2.0M炭酸ナトリウム水溶液12ミリリットルを加え、8時間加熱環流した。反応終了後、析出した固体をジクロロメタンに溶かし、水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し得られた生成物をメタノールで洗浄することにより、2.0g(収率47%)の黄白色固体を得た。得られた固体は、90MHz 1H−NMR及びFD−MSにより目的物(A11)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FD−MS,calcd for C43293=587,found,m/z=587(M+,100).
さらに、得られた化合物について合成例1と同様にしてエネルギーギャップの値を求め、表3に示した。
【0061】
合成例6(化合物(A9)の合成)
化合物(A9)の合成経路を以下に示す。
【0062】
【化20】

【0063】
合成例2で得られた中間体(C)2.0g(5.2mmol)、4−(9'カルバゾリル)−フェニルボロン酸1.7g(5.8mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.11gを1,2−ジメトキシエタン(20ミリリットル)に溶かし、2.0M炭酸ナトリウム水溶液9ミリリットルを加え、8時間還流した。反応終了後、析出した固体をジクロロメタンに溶かし、水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し得られた生成物をメタノールで洗浄することにより、1.8g(収率62%)の黄白色固体を得た。得られた固体は、90MHz 1H−NMR及びFD−MSにより目的物(A9)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FD−MS,calcd for C39264=550,found,m/z=550(M+,100).
さらに、得られた化合物について合成例1と同様にしてエネルギーギャップの値を求め、表3に示した。
【0064】
合成例7(化合物(A43)の合成)
化合物(A43)の合成経路を以下に示す。
【0065】
【化21】

【0066】
Ar気流下、冷却管付き200ミリリットル三口フラスコ中に、2,3−ジシアノ−5−(p−ブロモフェニル)−7−メチル−6H−1,4−ジアゼピン2.33g(10mmol)、カルバゾール2g(12mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム0.14g(1.5mol%)、トリ−t−ブチルホスフィン0.06g(3mol%)、t−ブトキシナトリウム2.0g(22mmol)、乾燥トルエン100ミリリットルを加えた後、100℃にて一晩加熱攪拌した。反応終了後、析出した結晶を濾取し、メタノール100ミリリットルにて洗浄し、淡黄色粉末1.2g(3mmol)(収率30%)を得た。このものは、NMR、IR及びFD−MSの測定により、目的物(A43)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FD−MS,calcd for C26175=399,found,m/z=399(M+,100).
【0067】
合成例8(化合物(A45)の合成)
化合物(A45)の合成経路を以下に示す。
【0068】
【化22】

【0069】
Ar気流下、冷却管付き20ミリリットル三口フラスコ中に、2,3−ジシアノ−5、7−ビス(p−ブロモフェニル)−6H−1,4−ジアゼピン4.5g(10mmol)、カルバゾール4g(24mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム0.28(1.5mol%)、トリ−t−ブチルホスフィン0.12g(3mol%)、t−ブトキシナトリウム4.2g(442mmol)、乾燥トルエン160ミリリットルを加えた後、100℃にて18時間加熱攪拌した。反応終了後、析出した結晶を濾取し、メタノール100ミリリットルで洗浄し、白色粉末1.8g(2.9mmol)(収率29%)を得た。このものは、NMR、IR及びFD−MSの測定により、目的物(A45)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FD−MS,calcd for C43266=626,found,m/z=626(M+,100).
【0070】
合成例9(化合物(B9)の合成)
化合物(B9)の合成経路を以下に示す。
【0071】
【化23】

【0072】
Ar雰囲気下、4−(2'−フェニル−4'−ピリジルピリミジン−6'−イル)フェニルボロン酸(11g,32mmol,2.6eq)、3,6−ジブロモ−9−フェニルカルバゾール(5g,12mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)(0.55g,0.48mmol,2%Pd)を1,2−ジメトキシエタン(100ミリリットル)に懸濁し、炭酸ナトリウム水溶液(2M,10.2g,96mmol,3eq/50ミリリットル)を加えて10時間還流した。有機層を分取し、濃縮後、カラムクロマトグラフィで精製して白色固体(8.5g収率83%)を得た。得られた固体は、90MHz 1H−NMR及びFD−MSにより目的物(B9)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FD−MS,calcd for C60397=857,found,m/z=857(M+,100).
さらに、得られた化合物について合成例1と同様にしてエネルギーギャップの値を求め、表3に示した。
【0073】
合成例10(化合物(B11)の合成)
化合物(B11)の合成経路を以下に示す。
【0074】
【化24】

【0075】
Ar雰囲気下、4−(イミダゾピリジン−2'−イル)フェニルボロン酸(7.6g,32mmol,2.6eq)、3,6−ジブロモ−9−フェニルカルバゾール(5g,12mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)(0.55g,0.48mmol,2%Pd)を1,2−ジメトキシエタン(100ミリリットル)に懸濁し、炭酸ナトリウム水溶液(2M,10.2g,96mmol,3eq/50ミリリットル)を加えて10時間還流した。有機層を分取し、濃縮後、カラムクロマトグラフィで精製して白色固体(5.7g,76%)を得た。得られた固体は、90MHz 1H−NMR及びFD−MSにより目的物(B11)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FD−MS,calcd for C44295=627,found,m/z=627(M+,100).
さらに、得られた化合物について合成例1と同様にしてエネルギーギャップの値を求め、表3に示した。
【0076】
合成例11(化合物(A72)の合成)
化合物(A72)の合成経路を以下に示す。
【0077】
【化25】

【0078】
(1)中間体(F)の合成
合成例2の(1)において、2−アセチルピリジンの代わりにアセトフェノンを用いた以外は、同様の操作を行うことにより、中間体(F)29.4g(収率84%)を得た。
(2)中間体(G)の合成
中間体(F)9.0g(31mmol)、1−フェナシルピリジニウムブロミド8.7g(31mmol)、酢酸アンモニウム19.3g(250mmol)を酢酸27ミリリットルに懸濁し、12時間加熱環流した。反応溶液を室温まで冷却し、トルエン、水を加え、二層分離した後、有機層を10%水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒を減圧留去後、エタノール27ミリリットルを加え、析出した結晶を濾過し、エタノールで洗浄し、中間体(G)10.6g(収率88%)を得た。
(3)化合物(A72)の合成
中間体(G)3.5g(9mmol)、1.7g(10mmol)、よう化銅0.09g(0.5mmol)、リン酸カリウム4.0g(19mmol)を1,4−ジオキサン18ミリリットルに懸濁し、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン0.5ミリリットル(4mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、18時間加熱環流した。反応溶液を室温まで冷却し、塩化メチレン、水を加え、二層分離した後、有機層を5%塩酸水溶液、水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒を減圧留去後、酢酸エチル15ミリリットルを加え、析出した結晶を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、黄白色結晶3.5g(収率83%)を得た。得られた結晶は、90MHz 1H−NMR及びFD−MSにより目的物(A72)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FD−MS,calcd for C35242=472,found,m/z=472(M+,100).
さらに、得られた化合物について合成例1と同様にしてエネルギーギャップの値を求め、表3に示した。
【0079】
合成例12(化合物(A73)の合成)
化合物(A73)の合成経路を以下に示す。
【0080】
【化26】

【0081】
(1)中間体(H)の合成
合成例2の(2)において、中間体(B)の代わりに合成例11で得られた中間体(F)を用いた以外は、同様の操作を行うことにより、中間体(H)7.8g(収率61%)を得た。
(2)化合物(A73)の合成
合成例11の(3)において、中間体(G)の代わりに中間体(H)を用いた以外は、同様の操作を行うことにより、黄白色結晶3.3g(収率76%)を得た。得られた結晶は、90MHz 1H−NMR及びFD−MSにより目的物(A73)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FD−MS,calcd for C34233=473,found,m/z=473(M+,100).
さらに、得られた化合物について合成例1と同様にしてエネルギーギャップの値を求め、表3に示した。
【0082】
合成例13(化合物(A113)の合成)
化合物(A113)の合成経路を以下に示す。
【0083】
【化27】

【0084】
合成例11の(3)において、中間体(G)の代わりに合成例2で得られた中間体(C)を用いた以外は、同様の操作を行うことにより、黄白色結晶1.5g(収率50%)を得た。得られた結晶は、90MHz 1H−NMR及びFD−MSにより目的物(A113)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FD−MS,calcd for C33224=474,found,m/z=474(M+,100).
さらに、得られた化合物について合成例1と同様にしてエネルギーギャップの値を求め、表3に示した。
【0085】
合成例14(化合物(A98)の合成)
化合物(A98)の合成経路を以下に示す。
【0086】
【化28】

【0087】
(1)中間体(J)の合成
合成例2の(1)において、4−ブロモベンズアルデヒドの代わりに3,5−ジブロモベンズアルデヒドを用い、2−アセチルピリジンの代わりにアセトフェノンを用いた以外は、同様の操作を行うことにより、中間体(J)19.2g(収率92%)を得た。
(2)中間体(K)の合成
合成例2の(2)において、中間体(B)の代わりに中間体(J)を用いた以外は、同様の操作を行うことにより、中間体(K)5.5g(収率45%)を得た。
(3)化合物(A98)の合成
中間体(K)3.0g(6mmol)、カルバゾール2.3g(14mmol)、よう化銅0.12g(0.6mmol)、リン酸カリウム4.2g(20mmol)を1,4−ジオキサン21ミリリットルに懸濁し、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン0.8ミリリットル(6mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、18時間加熱環流した。反応溶液を室温まで冷却し、塩化メチレン、水を加え、二層分離した後、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒を減圧留去後、蒸留残滓を1,4−ジオキサン21ミリリットルに懸濁し、よう化銅0.12g(0.6mmol)、リン酸カリウム2.9g(14mmol)、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン0.8ミリリットル(6mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、18時間加熱環流した。反応溶液を室温まで冷却し、塩化メチレン、水を加え、二層分離した後、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒を減圧留去後、酢酸エチル30ミリリットルを加え、析出した結晶を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、黄白色結晶3.3g(収率80%)を得た。得られた結晶は、90MHz 1H−NMR及びFD−MSにより目的物(A98)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FD−MS,calcd for C46304=638,found,m/z=638(M+,100).
さらに、得られた化合物について合成例1と同様にしてエネルギーギャップの値を求め、表3に示した。
【0088】
合成例15(化合物(A105)の合成)
化合物(A105)の合成経路を以下に示す。
【0089】
【化29】

【0090】
(1)中間体(M)の合成
合成例11の(2)において、中間体(F)の代わりに合成例14の(1)で(A)得られた中間体(J)を用いた以外は、同様の操作を行うことにより、中間体(M)10.0g(収率88%)を得た。
(2)化合物(A105)の合成
合成例14の(3)において、中間体(K)の代わりに中間体(M)を用いた以外は、同様の操作を行うことにより、黄白色結晶2.9g(収率71%)を得た。得られた結晶は、90MHz 1H−NMR及びFD−MSにより目的物(A105)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。FD−MS,calcd for C47313=637,found,m/z=637(M+,100).
さらに、得られた化合物について合成例1と同様にしてエネルギーギャップの値を求め、表3に示した。
【0091】
合成例16(化合物(A108)の合成)
化合物(A108)の合成経路を以下に示す。
【0092】
【化30】

【0093】
(1)中間体(N)の合成
1,3,5−トリブロモベンゼン13.0g(41mmol)、3,5−ジフェニルピラゾール10.0g(45mmol)、よう化銅0.8g(4mmol)、炭酸カリウム11.9g(86mmol)を1,4−ジオキサン50ミリリットルに懸濁し、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン4.9ミリリットル(41mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、18時間加熱環流した。反応溶液を室温まで冷却し、塩化メチレン、水を加え、二層分離した後、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、中間体(N)2.0g(収率11%)を得た。
(2)化合物(A108)の合成
中間体(N)2.0g(4mmol)、カルバゾール1.4g(8mmol)、よう化銅0.08g(0.4mmol)、リン酸カリウム2.9g(14mmol)を1,4−ジオキサン15ミリリットルに懸濁し、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン0.5ミリリットル(4mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、18時間加熱環流した。反応溶液を室温まで冷却し、塩化メチレン、水を加え、二層分離した後、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒を減圧留去後、蒸留残滓を1,4−ジオキサン15ミリリットルに懸濁し、よう化銅0.08g(0.4mmol)、リン酸カリウム2.9g(14mmol)、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン0.5ミリリットル(4mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、14時間加熱環流した。反応溶液を室温まで冷却し、塩化メチレン、水を加え、二層分離した後、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒を減圧留去後、エタノール5ミリリットル及び酢酸エチル15ミリリットルを加え、析出した結晶を濾過し、酢酸エチル及びエタノールを容量比5:2で洗浄し、黄白色結晶2.4g(収率87%)を得た。得られた結晶は、90MHz 1H−NMR及びFD−MSにより目的物(A108)であることを確認した。また、FD−MSの測定結果を以下に示す。
FD−MS,calcd for C45304=626,found,m/z=626(M+,100).
さらに、得られた化合物について合成例1と同様にしてエネルギーギャップの値を求め、表3に示した。
【0094】
【表3】

【0095】
実施例1
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極付きガラス基板(ジオマティック社製)をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に前記透明電極を覆うようにして膜厚60nmのN,N'−ビス(N,N'−ジフェニル−4−アミノフェニル)−N,N−ジフェニル−4,4'−ジアミノ−1,1'−ビフェニル膜(TPD232膜)を成膜した。このTPD232膜は、正孔注入層として機能する。次に、このTPD232膜上に膜厚20nmの4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル膜(NPD膜)を成膜した。このNPD膜は正孔輸送層として機能する。さらに、このNPD膜上に膜厚40nmの上記化合物(A5)を蒸着し成膜した。この時、同時に下記化合物(D1)を、(A5):(D1)の重量比40:3で蒸着した。なお、化合物(D1)は、青色を発光させるため、1重項のエネルギーが2.79eVと低い発光性分子である。化合物(A5)と(D1)との混合膜は、発光層として機能する。この膜上に膜厚20nmで下記BAlq(Meはメチル基)を成膜した。BAlq膜は、電子注入層として機能する。この後、還元性ドーパントであるLi(Li源:サエスゲッター社製)とAlqを二元蒸着させ、第2の電子注入層(陰極)としてAlq:Li膜(膜厚10nm)を形成した。このAlq:Li膜上に金属Alを蒸着させ金属陰極を形成し有機EL素子を製造した。
この素子は、直流電圧5.0Vで発光輝度150cd/m2、発光効率6.3cd/Aの高効率な青色発光が得られた。また、色度座標は(0.14,0.16)であり、色純度が高かった。
【0096】
【化31】

【0097】
実施例2〜8
実施例1において、化合物(A5)の代わりに、表4に記載の化合物を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製し、同様に直流電圧、発光輝度、発光効率、発光色、色純度を測定し表4に示した。
【0098】
比較例1
実施例1において、化合物(A5)の代わりに、従来公知の化合物である下記化合物BCzを用いた以外は同様にして有機EL素子を作製し、同様に直流電圧、発光輝度、発光効率、発光色、色純度を測定し表4に示した。
【0099】
【化32】

【0100】
比較例2
実施例1において、化合物(A5)の代わりに、特開2001−288462号公報に記載の下記化合物(C2)を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製し、同様に直流電圧、発光輝度、発光効率、発光色、色純度を測定し表4に示した。
【0101】
【化33】

【0102】
【表4】

【0103】
表4に示したように、比較例1及び2の従来公知の化合物BCz及び(C2)に対して、本発明の化合物を用いた有機EL素子は、低電圧駆動であり、かつ高効率の青色発光が得られる。また、本発明の化合物は、エネルギーギャップが広いので、エネルギーギャップの広い発光性分子を発光層に混合し発光させることができる。
実施例9
25mm×75mm×0.7mm厚のITO透明電極付きガラス基板(ジオマティック社製)をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。洗浄後の透明電極付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極が形成されている側の面上に前記透明電極を覆うようにして膜厚10nmの下記銅フタロシアニン膜(CuPc膜)を成膜した。このCuPc膜は、正孔注入層として機能する。CuPc膜上に膜厚30nmの1,1'−ビス[4−N,N−ジ(パラトリル)アミノフェニル]シクロヘキサン膜(TPAC膜)を成膜した。このTPAC膜は正孔輸送層として機能する。さらに、このTPAC膜上に膜厚30nmの上記化合物(A72)を蒸着し発光層を成膜した。この時、同時に燐光性のIr金属錯体としてIrビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジナート−N,C2']ピコリナート(下記FIrpic)を添加した。発光層中におけるFIrpicの濃度は7重量%とした。この膜は、発光層として機能する。この膜上に膜厚30nmのAlq膜を成膜した。このAlq膜は電子注入層として機能する。この後、ハロゲン化アルカリ金属であるLiFを0.2nmの厚さに蒸着し、次いでアルミニウムを150nmの厚さに蒸着した。このAl:LiFは陰極として機能する。このようにして有機EL発光素子を作製した。
この素子について、通電試験を行なったところ、電圧6.6V、電流密度0.59mA/cm2にて、89cd/m2の青緑色発光が得られ、色度座標は(0.18,0.39)、発光効率は14.98cd/Aであった。
【0104】
【化34】

【0105】
実施例10〜12
実施例9において、化合物(A72)の代わりに、表5に記載の化合物を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製し、同様に直流電圧、電流密度、発光輝度、発光効率、発光色、色純度を測定し表5に示した。
【0106】
比較例3
実施例9において、化合物(A72)の代わりに、従来公知の前記化合物BCzを用いた以外は同様にして有機EL素子を作製し、同様に直流電圧、電流密度、発光輝度、発光効率、発光色、色純度を測定し表5に示した。
【0107】
比較例4
比較例3において、正孔輸送層の化合物TPACに代えて、4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(下記α−NPD)を用い、電子輸送層の化合物Alqに代えて、前記BAlqを用いた以外は同様にして有機EL素子を作製し、同様に直流電圧、電流密度、発光輝度、発光効率、発光色、色純度を測定し表5に示した。
【0108】
【化35】

【0109】
【表5】

【0110】
表5に示したように、比較例3及び4の従来公知の化合物BCzに対して、本発明の化合物を用いた有機EL素子は、低電圧駆動であり、かつ高効率の青色発光が得られる。また、本発明の化合物は、エネルギーギャップが広いので、エネルギーギャップの広い発光性分子を発光層に混合し発光させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
以上詳細に説明したように、本発明の一般式(1)又は(2)で表される化合物からなる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を利用すると、発光効率及び色純度が高く、青色系に発光する有機エレクトロルミネッセンス素子が得られる。このため、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、各種電子機器の光源等として極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(2)で表される化合物からなる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
Cz(−A)m (2)
〔式中、Czは、置換もしくは無置換のアリールカルバゾリル基又はカルバゾリルアルキレン基、Aは、下記一般式(A)で表される基である。mは2である。
(M)p−(L)q−(M’)r (A)
(M及びM’は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の窒素含有ヘテロ芳香族環であり、同一でも異なっていてもよい。但し、該窒素含有ヘテロ芳香族環は、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、アジリジン、アザインドリジン、インドリジン、イミダゾール、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、プテリジン、β−カルボリン、ナフチリジン、キノキサリン、ターピリジン、ビピリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン及びイミダゾピリジンからなる群から選ばれる。Lは、置換もしくは無置換の炭素数6〜30のアリール基もしくはアリーレン基、置換もしくは無置換の炭素数5〜30のシクロアルキレン基、又は置換もしくは無置換の炭素数2〜30のヘテロ芳香族環である。pは1、qは1、rは0〜2の整数である。)
なお、一般式(A)で表される基は、一般式(2)において、Czのカルバゾール環の3位及び6位に結合している。〕
【請求項2】
下記一般式(1)又は(2)で表される化合物からなる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
(Cz−)nA (1)
Cz(−A)m (2)
〔式中、Czは、アリール部位がカルバゾリル基で置換されたアリールカルバゾリル基であり、Aは、下記一般式(A)で表される基である。nは1〜3の整数、mは2である。
(M)p−(L)q−(M’)r (A)
(M及びM’は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の窒素含有ヘテロ芳香族環であり、同一でも異なっていてもよい。但し、該窒素含有ヘテロ芳香族環は、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、アジリジン、アザインドリジン、インドリジン、イミダゾール、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、プテリジン、β−カルボリン、ナフチリジン、キノキサリン、ターピリジン、ビピリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン及びイミダゾピリジンからなる群から選ばれる。Lは、単結合、置換もしくは無置換の炭素数6〜30のアリール基もしくはアリーレン基、置換もしくは無置換の炭素数5〜30のシクロアルキレン基、又は置換もしくは無置換の炭素数2〜30のヘテロ芳香族環である。pは0〜2、qは1〜2、rは0〜2の整数である。ただし、p+rは1以上である。)
なお、一般式(A)で表される基は、一般式(1)においては、Czのアリール部位又はアルキレン部位と結合しており、一般式(2)においては、Czのカルバゾール環の3位及び6位に結合している。〕
【請求項3】
前記一般式(1)においてn=1、かつ前記一般式(A)においてp=1,r=0であり、一般式(1)式中、Czは、置換もしくは無置換のアリールカルバゾリル基又はカルバゾリルアルキレン基であり、
一般式(A)式中、Mは、前記定義の通りであり、Lは、置換もしくは無置換の炭素数6〜30のアリール基もしくはアリーレン基、置換もしくは無置換の炭素数2〜30のヘテロ芳香族環である、請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項4】
前記一般式(1)においてn=2、かつ前記一般式(A)においてp=1,r=0であり、一般式(1)式中、Czは、置換もしくは無置換のアリールカルバゾリル基又はカルバゾリルアルキレン基であり、
一般式(A)式中、Mは、前記定義の通りであり、Lは、置換もしくは無置換の炭素数6〜30のアリール基もしくはアリーレン基、置換もしくは無置換の炭素数2〜30のヘテロ芳香族環である、請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項5】
前記一般式(1)においてn=1、かつ前記一般式(A)においてp=2,r=0であり、一般式(1)式中、Czは、置換もしくは無置換のアリールカルバゾリル基又はカルバゾリルアルキレン基であり、
一般式(A)式中、Mは、前記定義の通りであり、Lは、置換もしくは無置換の炭素数6〜30のアリール基もしくはアリーレン基、又は置換もしくは無置換の炭素数2〜30のヘテロ芳香族環である、請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項6】
Czが、置換もしくは無置換のアリールカルバゾリル基である請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項7】
Czが、置換もしくは無置換のフェニルカルバゾリル基である請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項8】
前記一般式(1)又は(2)で表される化合物の3重項のエネルギーギャップが、2.5〜3.3eVである請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項9】
前記一般式(1)及び(2)で表される化合物の1重項のエネルギーギャップが、2.8〜3.8eVである請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項10】
陰極と陽極間に一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機薄膜層の少なくとも1層が、請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項11】
陰極と陽極間に一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光層が請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項12】
陰極と陽極間に一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機エレクトロルミネッセンス素子において、電子輸送層が請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項13】
陰極と陽極間に一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機エレクトロルミネッセンス素子において、正孔輸送層が請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項14】
前記有機エレクトロルミネッセンス素子用材料が、有機ホスト材料である請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項15】
少なくとも一方の電極と前記有機薄膜層との間に無機化合物層を有する請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項16】
3重項励起又はそれ以上の多重項励起により発光する請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項17】
青色系発光する請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

【公開番号】特開2009−88538(P2009−88538A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286590(P2008−286590)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【分割の表示】特願2003−578493(P2003−578493)の分割
【原出願日】平成15年3月19日(2003.3.19)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】