説明

有機エレクトロルミネッセンス表示装置

【課題】 有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関し、画素欠陥のリペアを画質へ影響を与えることなく確実に行う。
【解決手段】 画素1を2分割以上分割し、分割された各分割部2に別個の電流供給配線が接続されるとともに、分割部2の内の不良分割部5とアクティブ素子3との接続配線4の内の少なくとも1つを遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関するものであり、特に、製造工程に伴うゴミや残渣に起因する短絡欠陥による表示欠陥を回復させるための構成に特徴のあるアクティブマトリクス型の有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、CRTに代わる薄型のフラットパネルディスプレイとして液晶ディスプレイやプラズマディスプレイが普及しているが、最近、自発光型のフラットパネルディスプレイとして有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイが注目を集めている。
【0003】
この有機ELディスプレイは有機EL素子を画素として、これを多数マトリクス状に配置して構成され、フルカラー表示の場合には各画素をR,G,Bの各サブピクセルから構成している。
【0004】
この有機EL素子の駆動方法としては、液晶ディスプレイと同様にパッシブ方式とアクティブ方式があり、この内、アクティブ方式は画素毎にTFT等のアクティブ素子を設けてその動作を制御することで表示させる方式であり、高画質化する上で好ましいとされている。
【0005】
電圧駆動の液晶ディスプレイの場合はスイッチング素子としてTFTを1つ用い、これを直接画素電極に接続しているが、電流駆動の有機ELディスプレイの場合には、少なくとも2つ、通常は4〜6のTFTと1〜2の容量を用いる。
【0006】
ここで、図12乃至図14を参照して従来の有機ELディスプレイを説明する。
図12参照
図12は、従来のTFTを用いた有機ELディスプレイの画素回路構成図であり、ここでは説明を簡単にするためにTFTを2個用いた原理的構成を示すが、有機ELディスプレイはこのような画素をマトリクスに配置して構成される。
【0007】
図に示すように、行方向に伸びるゲートライン81には、ゲートライン81によって選択されるnチャネル型のTFT91のゲートが接続されており、このTFT91のドレインには列方向に伸びるデータライン82が接続されており、そのソースには他端が低電圧の電源である容量ライン83に接続された保持容量92が接続されている。
【0008】
また、TFT91のソースと保持容量92の接続点は、pチャネル型のTFT93のゲートに接続されており、このTFT93のソースが電源ライン84に接続され、そのドレインには他端が接地ライン85に接続された有機EL素子94に接続されている。
【0009】
したがって、ゲートライン81がHレベルの時にTFT91がオンとなり、その時のデータライン82のデータが保持容量92に保持され、この保持容量92に維持されているデータ(電荷)に応じてTFT93の電流が制御され、このTFT93の電流が有機EL素子94に流れて発光する。
【0010】
即ち、TFT91がオンしている時に、データライン82にその画素に対応する信号が供給されるため、データライン82に供給される信号に応じて保持容量92が充電され、これによってTFT93が対応する電流を流し、有機EL素子94の輝度制御が行われることになるので、TFT93のゲート電位を制御して有機EL素子94に流す電流を制御して各画素の階調表示が行われることになる。
【0011】
図13参照
図13は有機ELディスプレイの要部平面図であり、ここでは、3つのサブピクセル96〜98からなる1つの画素を示しており、また、図においては図12に示すTFT91,93及び保持容量92を画素回路95として示している。
なお、有機ELディスプレイでは、この画素構造がマトリクス状に配置されている。
【0012】
図14参照
図14は、図13に示したサブピクセルの概略的断面図であり、ガラス基板よりなる絶縁性基板101上には、SiO2 からなるバッファ層102が形成されており、このバッファ層102上に、アモルファスSi或いは多結晶Siからなるチャネル層103が形成されている。
【0013】
このチャネル層103上には、SiO2 からなるゲート絶縁膜104を介してゲート電極105が形成され、このゲート電極105の両側のチャネル層103にソース領域106及びドレイン領域107が形成されてTFT93を構成している。
【0014】
TFT93が形成されたバッファ層102上には、層間絶縁膜108が形成され、この層間絶縁膜108上には、コンタクトホール109を介してソース領域106に接続されたソース電極111と、コンタクトホール110を介してドレイン領域107に接続されたドレイン電極112とがそれぞれ形成されている。
【0015】
ソース電極111及びドレイン電極112が形成された層間絶縁膜108上には、平坦化絶縁膜113が形成され、この平坦化絶縁膜113上にはソース電極111に達するコンタクトホール114を介してソース電極111に接続されたITO等の透明導電膜よりなる下部電極115、有機エレクトロルミネッセンス層116、及び、Al膜或いはMg−Ag合金膜等よりなる上部電極117を順次成膜することによって有機EL素子94が形成されている。
なお、有機エレクトロルミネッセンス層116は、例えば、正孔輸送層、発光層、及び、電子輸送層が順次積層されて構成されている。
【0016】
この有機EL素子94の発光層において発生した光は、上部電極117が光透過性を有していないので絶縁性基板101側から出射されるため、ボトムエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス表示装置と称される。
【0017】
このような有機ELディスプレイの製造過程においてゴミが混入したり、蒸着マスクが基板に接触して傷が発生したり、或いは、基板の洗浄不足による残渣等の各種の原因によい、上部電極と下部電極が接触ショートし画素欠陥が生じるので、この状況を図15を参照して説明する。
【0018】
図15参照
図に示すように、製造工程に伴うゴミや残渣等の何らかの原因により下部電極115に突起部118が形成されると、その上に蒸着される有機エレクトロルミネッセンス層116の突起部118に対応する近傍における膜厚が極端に薄くなり、その上に上部電極117を形成した場合に、上部電極117と下部電極115との間で短絡が発生する。
これらの画素欠陥は画像表示のなかで一旦視認されると無視できなくなるもので欠陥画素が発生することで画質を大幅に低下する。
【0019】
そこで、この画素欠陥対策として、屈折率変化領域を設けて光を散乱させ欠陥画素を目立たなくさせる方法(例えば、特許文献1参照)や、画素部の短絡部をレーザ照射して絶縁化する方法(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
【特許文献1】特開2004−279464号公報
【特許文献2】特開2003−178871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかし、特許文献1における方法では、画像によっては輪郭がぼやけるなど画質が低下するという問題がある。
また、特許文献2における方法では、レーザ照射により完全に絶縁化できない場合、長時間放置した場合など、リペア箇所からショートが発生する可能性がある。
【0021】
したがって、本発明は画素欠陥のリペアを画質へ影響を与えることなく確実に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
図1は本発明の原理的構成図であり、ここで図1を参照して、本発明における課題を解決するための手段を説明する。
なお、図における符号6は遮断部である。
図1参照
上記課題を解決するために、本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子と電源ラインとの接続を制御するアクティブ素子3を画素1毎に有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、画素1を2分割以上分割し、分割された各分割部2に別個の電流供給配線が接続されるとともに、分割部2の内の不良分割部5とアクティブ素子3との接続配線4の内の少なくとも1つが遮断されていることを特徴とする。
【0023】
このように、画素1を2分割以上分割し、分割された各分割部2に別個の電流供給配線を接続することによって、分割部2の内に不良分割部5が発生しても不良分割部5とアクティブ素子3との接続配線4の内の少なくとも1つを遮断することによって、リペア箇所からショートが発生する虞はなく、また、画素全体としては有効画素とすることができるので、画質に影響を与えることがない。
【0024】
この場合、モノクロ表示装置の場合には、画素1自体を分割すれば良いし、画素1が各色毎のサブピクセルから構成される場合には、各サブピクセルを2分割以上分割すれば良い。
【0025】
画素1の分割の態様としては、各分割部2が同一のアクティブ素子3から電流が供給されるように分割しても良いし、或いは、各分割部2毎に別個のアクティブ素子3を接続し、別個のアクティブ素子3から各分割部2へ電流が供給されるようにしても良い。
【0026】
また、遮断の態様としては、電源ラインへの接続配線4を遮断することが一番確実であるが、分割部2毎に別個のアクティブ素子3を接続している場合には、電源ライン以外への接続配線4を遮断しても良いものである。
【0027】
本発明のリペア構成は、トップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス表示装置にも適用されるものであり、この場合、アクティブ素子3上にも有効画素部を延在させることによって開口率を大きくすることができる。
なお、接続配線4との遮断は、レーザ照射等による溶断が典型的なものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明においては、画素の欠陥部を接続配線を遮断することによって分離しているので画素欠陥のリペアを確実に行うことができ、且つ、残りの分割部を有効画素として発光表示しているので画質への影響を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明においては、各分割部が同一のアクティブ素子から電流が供給されるように、或いは、分割部毎に別個のアクティブ素子を接続して別個のアクティブ素子から各分割部へ電流が供給されるよう各画素を2分割以上に、画素が色毎のサブピクセルから構成される場合には、各サブピクセルを2分割以上に分割し、分割された各分割部に別個の電流供給配線を接続し、分割部の内の不良分割部とアクティブ素子との接続配線の内の少なくとも1つ、典型的には、電源ラインへの接続配線をレーザ溶断等により遮断するものである。
【実施例1】
【0030】
ここで、図2乃至図5を参照して、本発明の実施例1のボトムエミッション型有機EL表示装置を説明する。
図2参照
まず、ガラス基板からなる絶縁性基板11上に、CVD法によりSiO2 膜からなるバッファ層12を形成したのち、CVD法によって多結晶シリコン層を堆積し、次いで、通常のフォトエッチ工程を用いて島状多結晶シリコン層13を形成する。
【0031】
次いで、全面にCVD法によりSiO2 膜を堆積させたのち、スパッタ法によりAlNd膜を堆積させ、次いで、通常のフォトエッチ工程を用いてSiO2 膜及びAlNd膜をパターニングしてゲート絶縁膜14及びゲート電極15を形成する。
【0032】
次いで、ゲート電極15をマスクとして、例えば、イオン注入法によりリンイオンをイオン注入することによって、ゲート電極15の両側の島状多結晶シリコン層13にソース領域16及びドレイン領域17を形成して、残りの部分をチャネル層18とする。
【0033】
次いで、CVD法を用いて全面にSiN膜からなる層間絶縁膜19を堆積させたのち、通常のフォトエッチ工程を用いてソース領域16及びドレイン領域17に達するコンタクトホール20,21をそれぞれ形成する。
【0034】
図3参照
次いで、全面にAl/Ti/Al多層構造導電層を堆積させたのち、通常のフォトエッチ工程を用いてパターニングすることによって、ソース電極22及びドレイン電極25を形成する。
なお、ソース電極22は、2段目の平面図に記載しているように共通ソース線23から3つの分岐線24に分岐しているが、分割部の構成を分かりやすくするために、便宜的に断面図においては共通ソース線23をソース電極22として図示している。
【0035】
次いで、例えば、スピンコート法を用いて全面に感光性樹脂を塗布して層間絶縁膜26とし、この層間絶縁膜26を所定のマスクを用いて露光した後、所定の現像液を用いて現像することによって、ソース電極22の分岐線24に対するコンタクトホール27を形成する。
なお、図においては、便宜的に共通ソース線23に対してコンタクトホール27が形成されている。
【0036】
次いで、例えば、スパッタ法によりITO膜を全面に堆積させたのち、通常のフォトエッチ工程を用いて所定の形状にパターニングすることによって、コンタクトホール27を介してソース電極22の分岐線24に接続する分割下部電極28を形成する。
【0037】
次いで、マスク蒸着法を用いて画素開口部の底部に露出している分割下部電極28を覆う有機EL層29を形成したのち、再びマスク蒸着法を用いて有機EL層29を覆う厚さが、例えば、100nmのAl膜を堆積させて共通上部電極30を形成し、分割下部電極28に対応する領域がそれぞれ分割画素部31〜33となる。
【0038】
なお、この場合の有機EL層29は、分割下部電極側28側から順に、正孔注入層として2−TNATA〔4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン〕膜、正孔輸送層としてα−NPD〔N,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン〕膜、発光層としてAlq3〔8−キノリノールアルミニウム錯体〕を積層して構成する。
【0039】
図4参照
図4は、このようにして作製したパネルの1サブピクセルを示す概略的要部平面図であり、この状態で点灯試験を行い、ゴミの混入、蒸着マスクの基板接触による傷、基板洗浄不足による残渣等に起因する共通上部電極30と分割下部電極28との間の接触ショートによる画素欠陥の有無を調べる。
なお、画素欠陥が生じた分割画素部31〜33においてはショート箇所35から電流がリークし非点灯となる。
【0040】
図5参照
図5は、画素欠陥が発見された場合のリペア方法の説明図であり、画素欠陥が生じた分割画素部33と画素回路34との接続であるソース電極22の分岐線24を、例えば、絶縁性基板11側からのレーザ照射により溶断して切断する。
なお、画素欠陥が生じた分割画素部31〜33が、画素回路34から最も離れている場合には、溶断部36を分岐線24ではなく、画素欠陥が生じた分割画素部33近傍の共通ソース線23を溶断して形成しても良いものである。
【0041】
このように、本発明の実施例1においては、サブピクセルを分割し、それぞれに画素回路を接続していることから、画素欠陥が生じた分割画素部の画素回路との接続を切断することで電流のリークを抑えることができる。
【0042】
また、配線の切断は例えばレーザ照射による溶断によって行っているので、ショート箇所35と確実に絶縁化されるので、長期間にわたる信頼性が確保される。
さらに、有効画素となる残りの2つの分割画素部31,32には通常より大きな電流が流れるので、画素全体としても輝度が落ちることがなく、したがって、画質が低下することがない。
【実施例2】
【0043】
次に、図6及び図7を参照して、本発明の実施例2のボトムエミッション型有機EL表示装置を説明するが、素子構造自体は従来と同様であるので平面図のみ示す。
図6参照
図6は、本発明の実施例2の1サブピクセルを示す概略的要部平面図であり、通常の1サブピクセル構成を細くして3つの分割画素部51〜53を形成し、それぞれを独立したTFTを含む分割画素回路54〜56を介して同一のゲートライン41、データライン42、電源ライン43に接続したものである。
【0044】
図7参照
図7は、画素欠陥が発見された場合のリペア方法の説明図であり、実施例1と同様に点灯試験で画素欠陥が発見された場合、画素欠陥が生じた分割画素部52に接続した画素回路55のTFTを機能させないようにゲートライン41、データライン42、電源ライン43との接続部の全部乃至はいずれかをレーザ溶断により切断する。
なお、図においては、全てを切断した場合を示している。
【0045】
この実施例2においても、実施例1と全く同様に長期間にわたる信頼性が確保されるとともに、画質が低下することがない。
なお、実施例2においては画素回路部を分割しているので、画素回路不良に起因する短絡が発生しても、画素部の欠陥と同様にリペアすることができる。
【実施例3】
【0046】
次に、図8乃至図10を参照して、本発明の実施例3のトップエミッション型有機EL表示装置を説明する。
図8参照
まず、上記の実施例1と全く同様に、絶縁性基板11上にバッファ層12を介してTFTを形成し、次いで、全面にSiN膜からなる層間絶縁膜層19を堆積させたのち、通常のフォトエッチ工程を用いてソース領域16及びドレイン領域17に達するコンタクトホールをそれぞれ形成する。
【0047】
次いで、全面にAl/Ti/Al多層構造導電層を堆積させたのち、通常のフォトエッチ工程を用いてパターニングすることによって、TFT部上にも延在するようにソース電極61を形成するとともに、ドレイン電極25を形成する。
なお、ソース電極61は、3段目の平面図に記載しているように共通ソース線62から4つの分岐線63に分岐しているが、分割部の構成を分かりやすくするために、便宜的に断面図においては共通ソース線62をソース電極61として図示している。
【0048】
次いで、例えば、スピンコート法を用いて全面に感光性樹脂を塗布して層間絶縁膜26とし、この層間絶縁膜26を所定のマスクを用いて露光した後、所定の現像液を用いて現像することによって、ソース電極61の分岐線63に対するコンタクトホール27を形成する。
なお、図においては、便宜的に共通ソース線61に対してコンタクトホール27が形成されている。
【0049】
次いで、例えば、スパッタ法によりAl膜を全面に堆積させたのち、通常のフォトエッチ工程を用いて所定の形状にパターニングすることによって、コンタクトホール27を介してソース電極61の分岐線63に接続する分割下部電極64を形成する。
【0050】
次いで、マスク蒸着法を用いて画素開口部の底部に露出している分割下部電極64を覆う有機EL層29を形成したのち、再びマスク蒸着法を用いて有機EL層29を覆う厚さが、例えば、10nmのAl膜と厚さが、例えば、30nmのITO膜を順次堆積させて共通上部電極65を形成し、各分割下部電極64に対応する領域がそれぞれ分割画素部66〜69となる。
【0051】
図9参照
図9は、このようにして作製したパネルの1サブピクセルを示す概略的要部平面図であり、この状態で点灯試験を行い、ゴミの混入、蒸着マスクの基板接触による傷、基板洗浄不足による残渣等に起因する共通上部電極65と分割下部電極64との間の接触ショートによる画素欠陥の有無を調べる。
【0052】
図10参照
図10は、画素欠陥が発見された場合のリペア方法の説明図であり、画素欠陥が生じた分割画素部69と画素回路34との接続であるソース電極61の分岐線63を、例えば、絶縁性基板11側からのレーザ照射により溶断して切断することによって、電流のリークを抑えることができる。
【0053】
この実施例3においても、実施例1と全く同様に長期間にわたる信頼性が確保されるとともに、画質が低下することがない。
なお、実施例3は、トップエミッション型であり、画素回路部上にも分割画素部66を設けているので開口率を大きくすることができる。
【実施例4】
【0054】
次に、図11を参照して、本発明の実施例4のトップエミッション型有機EL表示装置を説明するが、素子構造自体は従来のトップエミッション型有機EL表示装置と同様であるので平面図のみ示す。
図11参照
図11は、本発明の実施例4の1サブピクセルを示す概略的要部平面図であり、通常の1サブピクセル構成を細くして3つの分割画素部71〜73を形成し、それぞれを独立したTFTを含む分割画素回路74〜76を介して同一のゲートライン41、データライン42、電源ライン43に接続したものである。
【0055】
画素欠陥が発見された場合、実施例2と同様に、画素欠陥が生じた分割画素部71〜73に接続した画素回路74〜76のTFTを機能させないようにゲートライン41、データライン42、電源ライン43との接続部の全部乃至はいずれかをレーザ溶断により切断すれば良い。
【0056】
この実施例4においても、実施例1と全く同様に長期間にわたる信頼性が確保されるとともに、画質が低下することがなく、また、実施例2と同様に画素回路不良に起因する短絡が発生しても、画素部の欠陥と同様にリペアすることができ、さらに、実施例3と同様に、画素回路部上にも有効画素領域を設けているので開口率を大きくすることができる。
【0057】
以上、本発明の各実施例を説明してきたが、本発明は各実施例に記載した条件・構成に限られるものではなく、各種の変更が可能であり、例えば、上記の各実施例において示した有機EL層を構成する材料及び層構造は単なる一例にすぎず、発光色に応じて有機層の材料は公知の有機EL材料の中から適宜選択するものである。
【0058】
また、上記の各実施例においては、TFTを構成する島状シリコン層をCVD法によって堆積した多結晶シリコン層によって構成しているが、まず、アモルファスシリコン膜を形成したのち、レーザアニール法等により結晶化して多結晶シリコン膜としても良いものである。
【0059】
また、上記の実施例1,2,4においては1サブピクセルを3分割し、実施例3においては4分割しているが、分割数は任意であり、例えば、2分割でも良いものである。
【0060】
また、上記の実施例1,2においては、分割下部電極としてITOを用いているが、ITOに限られるものではなく、ITOと同様に透光性を有するIZO或いはZnO等の他の酸化物導電材料を用いても良いものである。
【0061】
また、上記の実施例3,4においては、分割下部電極としてAlを用いているが、Alに限られるものではなく、AlNd,Mo等の金属や、ITO、IZO或いはZnO等のの酸化物導電材料を用いても良いものである。
【0062】
また、上記の各実施例においては、点灯試験を何時行うかについては言及していないが、共通上部電極の形成直後に行っても良いし、あるいは、絶縁性基板11にガラス基板からなる第2基板をUV接着剤を用いて貼り合わせたのちに行っても良い。
【0063】
また、上記の各実施例においては、アクティブ素子としてTFTを用いているが、TFTに限られるものではなく、例えば、他の3端子型のスイッチング素子を用いても良いものである。
【0064】
また、上記の各実施例においては、RGB発光素子を組み合わせたフルカラーの表示装置として説明しているが、単色表示装置或いは複数の色を適当に組み合わせたカラー表示装置としても良いものである。
【0065】
ここで再び図1を参照して、本発明の詳細な特徴を改めて説明する。
再び、図1参照
(付記1) 有機エレクトロルミネッセンス素子と電源ラインとの接続を制御するアクティブ素子3を画素1毎に有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、前記画素1を2分割以上分割し、前記分割された各分割部2に別個の電流供給配線が接続されるとともに、前記分割部2の内の不良分割部5と前記アクティブ素子3との接続配線4の内の少なくとも1つが遮断されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
(付記2) 上記画素1が色毎のサブピクセルから構成されるとともに、前記各サブピクセルを2分割以上分割したことを特徴とする付記1記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
(付記3) 上記各分割部2が同一のアクティブ素子3に接続され、前記同一のアクティブ素子3から電流が供給されることを特徴とする付記1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
(付記4) 上記各分割部2毎に別個のアクティブ素子3が接続され、前記別個のアクティブ素子3から前記各分割部2へ電流が供給されることを特徴とする付記1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
(付記5) 上記遮断された接続配線4が、電源ラインへの接続配線4であることを特徴とする付記3または4に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
(付記6) 上記遮断された接続配線4が、電源ライン以外への接続配線4であることを特徴とする付記4記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
(付記7) 上記有機エレクトロルミネッセンス素子が発光を上部電極方向から取り出すトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子であるとともに、上記アクティブ素子3上にも有効画素部が延在していることを特徴とする付記1乃至6のいずれか1に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
(付記8) 上記接続配線4との遮断部6が、溶断によるものであることを特徴とする付記1乃至7のいずれか1に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の活用例としては、二次元マトリクス状の表示装置が典型的なものであるが、マトリクス状表示装置に限られるものではなく、ムード照明用光源等の大型単一光源にも適用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明の実施例1のボトムエミッション型有機EL表示装置の途中までの製造工程の説明図である。
【図3】本発明の実施例1のボトムエミッション型有機EL表示装置の図2以降の製造工程の説明図である。
【図4】1サブピクセルを示す概略的要部平面図である。
【図5】画素欠陥が発見された場合のリペア方法の説明図である。
【図6】本発明の実施例2の1サブピクセルを示す概略的要部平面図である。
【図7】画素欠陥が発見された場合のリペア方法の説明図である。
【図8】本発明の実施例3のトップエミッション型有機EL表示装置の製造工程の説明図である。
【図9】1サブピクセルを示す概略的要部平面図である。
【図10】画素欠陥が発見された場合のリペア方法の説明図である。
【図11】本発明の実施例4の1サブピクセルを示す概略的要部平面図である。
【図12】従来のTFTを用いた有機ELディスプレイの画素回路構成図である。
【図13】有機ELディスプレイの要部平面図である。
【図14】図13に示したサブピクセルの概略的断面図である。
【図15】従来の画素欠陥の説明図である。
【符号の説明】
【0068】
1 画素
2 分割部
3 アクティブ素子
4 接続配線
5 不良分割部
6 遮断部
11 絶縁性基板
12 バッファ層
13 島状多結晶シリコン層
14 ゲート絶縁膜
15 ゲート電極
16 ソース領域
17 ドレイン領域
18 チャネル層
19 層間絶縁膜
20 コンタクトホール
21 コンタクトホール
22 ソース電極
23 共通ソース線
24 分岐線
25 ドレイン電極
26 層間絶縁膜
27 コンタクトホール
28 分割下部電極
29 有機EL層
30 共通上部電極
31 分割画素部
32 分割画素部
33 分割画素部
34 画素回路
35 ショート箇所
36 溶断部
41 ゲートライン
42 データライン
43 電源ライン
51 分割画素部
52 分割画素部
53 分割画素部
54 分割画素回路
55 分割画素回路
56 分割画素回路
57 ショート箇所
58 溶断部
59 溶断部
60 溶断部
61 ソース電極
62 共通ソース線
63 分岐線
64 分割下部電極
65 共通上部電極
66 分割画素部
67 分割画素部
68 分割画素部
69 分割画素部
70 溶断部
71 分割画素部
72 分割画素部
73 分割画素部
74 分割画素回路
75 分割画素回路
76 分割画素回路
81 ゲートライン
82 データライン
83 容量ライン
84 電源ライン
85 接地ライン
91 TFT
92 保持容量
93 TFT
94 有機EL素子
95 画素回路
96 サブピクセル
97 サブピクセル
98 サブピクセル
101 絶縁性基板
102 バッファ層
103 チャネル層
104 ゲート絶縁膜
105 ゲート電極
106 ソース領域
107 ドレイン領域
108 層間絶縁膜
109 コンタクトホール
110 コンタクトホール
111 ソース電極
112 ドレイン電極
113 平坦化絶縁膜
114 コンタクトホール
115 下部電極
116 有機エレクトロルミネッセンス層
117 上部電極
118 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機エレクトロルミネッセンス素子と電源ラインとの接続を制御するアクティブ素子を画素毎に有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、前記画素を2分割以上分割し、前記分割された各分割部に個別に電流供給配線が接続されるとともに、前記分割部の内の不良分割部と前記アクティブ素子との接続配線の内の少なくとも1つが遮断されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項2】
上記画素が色毎のサブピクセルから構成されるとともに、前記各サブピクセルを2分割以上分割したことを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項3】
上記各分割部が同一のアクティブ素子に接続され、前記同一のアクティブ素子から電流が供給されることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項4】
上記各分割部毎に別個のアクティブ素子が接続され、前記別個のアクティブ素子から前記各分割部へ電流が供給されることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項5】
上記遮断された接続配線が、電源ラインへの接続配線であることを特徴とする請求項3または4に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−330469(P2006−330469A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−155614(P2005−155614)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】