説明

有機導電膜、透明有機導電フィルム及び座標入力装置

【課題】異導体接触による接触抵抗を低減させた有機導電膜の提供。
【解決手段】透明基材12と、透明基材上に形成された有機導電膜11と、を備える透明有機導電フィルムであって、有機導電膜11は、有機導電性ポリマーと、有機導電性ポリマーに含有される金属イオンと、を備える。有機導電性ポリマーに金属イオンが含有されるため、ITO膜や他の種類の有機導電膜との接触抵抗が著しく低減される。有機導電性ポリマーに金属イオンを含有させるには、有機導電性ポリマー材料の製膜前の分散または溶解溶媒に対しイオン化する金属化合物また金属を添加し、有機導電膜の製膜乾燥時に有機導電膜中に金属イオンを含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯情報端末などに利用されているタッチパネルを用いた座標入力装置、及びその透明電極の形成に適した有機導電膜と透明有機導電フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型情報機器の普及・進展に伴い、電子手帳やPDA(Personal Digital Assistants)を中心に、携帯電話、PHS、電卓、時計、GPS(Global Positioning System;全地球位置情報システム)、銀行ATMシステム、自動販売機、POS(Point Of Sales)システムなどの高機能デバイスにおいて、データ入力において画面上をペンないし指で触ることにより情報を入力する優れたマン‐マシンインターフェース性能を有する座標入力装置が採用され、多方面への応用が広がっている。
【0003】
これらの高機能デバイスは、半導体素子の進歩により、製品の小型化、多機能化が進められており、特に、携帯電話やPDA、ノートパソコンなどの携帯情報端末における小型化は著しく、それに伴って座標入力装置や表示素子の本体中に占める体積的割合が相対的に大きくなってきており、座標入力装置も小型化が求められている。
【0004】
特許文献1に記載されたように、座標入力装置は、表面に透明電極を有する2枚の透明導電板を、透明電極が対向するように所定の間隔で平行に配置した構造を有する。そして、駆動検出回路が、対向する一方の透明電極にはX方向に電圧を、他方にはY方向に電圧を、交互に印加する。透明電極は、抵抗膜として作用するので、電圧が印加されている時に透明電極の各部は位置に対応した電圧になる。
【0005】
この時に、2枚の透明導電板の一部を加圧して透明電極同士が接触すると、電圧を印加していない側(第2)の透明電極の接触部分も、電圧を印加した側(第1)の透明電極の接触部分の電圧になるので、駆動検出回路がこの電圧を検出することにより電圧を印加した側(第1)の透明電極の接触部分の位置が判明する。同様に、第2の透明電極に電圧を印加した状態で第1の透明電極の接触部分の位置が判明する。
【0006】
抵抗膜として作用する透明電極は、InとSnを蒸着して得られるITO膜を使用するのが一般的であるが、製造コストが高いという問題がある。また、少なくとも加圧する側の透明導電板は、加圧することにより部分的に変形する必要があり、ポリマー材料のフィルムで形成される。ITO膜は、硬質の薄い膜であり、脆いため、柔軟なポリマーフィルムの上に形成されると、連続的な筆記により割れ目が生じて抵抗膜の抵抗が変化し座標位置の読み取り精度が低下するという耐久性上の問題があった。そこで、これらの問題を解決し、より製造しやすく安価な有機導電材料を用いた抵抗膜の開発も行われている。特許文献2は、導電粒子を分散することにより導電性を向上した有機導電膜を記載しているが、導電粒子を分散するため透明性が不十分であるという問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開平2001−154805号公報
【特許文献2】特開平2004−185914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
有機導電膜は、ITO膜に比べて耐久性が良好であるが、ITO膜に比べて表面抵抗率が高く、光透過率が低いという問題がある。そのため、加圧側でない透明電極はITO膜で形成し、対向電極を有機導電膜で形成することが望ましいが、その場合異導体接触により接触抵抗が大きく増加して入力感度の低下や座標入力時間遅れ等の問題が発生する。この問題は、対向する2つの透明電極を異なる有機導電膜で形成した場合にも生じる。
【0009】
本発明は、これらの問題を解決するもので、一方の透明電極に有機導電膜を用い、対向電極にその有機導電膜と異なる材料の透明電極を用いた場合の異導体接触による接触抵抗を低減させ、一方の電極に有機導電膜を用いた場合でも接触抵抗の増加が小さく、入力感度、入力時間遅れ等の問題が発生しない有機導電膜、そのような有機導電膜を有する透明有機導電フィルム、及びそのような透明有機導電フィルムを用いた座標入力装置の実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を実現するため、本発明によれば、有機導電膜中に金属イオンを含有させ、異導電体接続による接触抵抗を低減させる。
【0011】
すなわち、本発明の有機導電膜は、有機導電性ポリマーと、前記有機導電性ポリマーに含有される金属イオンと、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の有機導電膜は、有機導電性ポリマーに金属イオンが含有されるため、ITO膜や他の種類の有機導電膜との接触抵抗が著しく低減される。
【0013】
有機導電性ポリマーに金属イオンを含有させるには、有機導電ポリマー材料の製膜前の分散または溶解溶媒に対しイオン化する金属化合物また金属を添加し、有機導電膜の製膜乾燥時に有機導電膜中に金属イオンを含有させる。
【0014】
有機導電ポリマー材料としてはポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、およびこれらの誘導体ポリマーに代表されるような有機導電性ポリマーを用いることができる。
【0015】
金属イオンとしては、Na、Mg、K、Al、Mn、Zn、Cr、Fe、Cd、Co、Ni、Sn、Pb、Cu、Hg、Ag、Pt、Au、Ba、Sr、Sb、Bi、Pdに代表される金属元素のうちの1つ以上を用いることができる。
【0016】
また、金属イオンは、金属単体、無機金属塩、有機金属塩、無機金属化合物、有機金属化合物を、有機導電性ポリマーに含有させることにより供給される。
【0017】
金属イオンの濃度は、有機導電膜の固形分濃度に対し0.01〜15wt%、特に0.05〜10wt%であることが望ましい。
【0018】
上記の構成では、金属イオンは、有機導電性ポリマーの一部を還元した化学結合を有している。
【0019】
本発明の透明有機導電フィルムは、透明基材と、前記透明基材上に形成された有機導電膜と、を備える透明有機導電フィルムであって、前記有機導電膜が上記の金属イオンを含有する有機導電膜である。有機導電フィルムの製造には、真空プロセスを必要とせず、大気中で基材上に溶液コーティングが可能なマイクロバー、クローズドエッヂダイ、マイヤーバー、ブレードコーター等のダイコーター、ロールオフセット等のオフセットコーター、マイクログラビア等のグラビアコーター、スクリーン印刷機など溶液塗工が可能な汎用コーティング装置を用いる事が可能で有る。
【0020】
透明基材は、PETフィルムやガラス板である。
【0021】
透明基材は、紫外線を遮断することが望ましい。
【0022】
本発明の座標入力装置は、所定の間隔で平行に配置され、対向する表面が透明電極である2枚の透明導電板と、前記2枚の透明導電板の前記透明電極の異なる方向にそれぞれ電圧を印加すると共に、前記2枚の透明導電板の一部を加圧することにより前記透明電極同士が接触した位置を電気的に検出する駆動検出回路とを備える座標入力装置において、前記2枚の透明導電板の一方が上記の透明有機導電フィルムであることを特徴とする。
【0023】
2枚の透明導電板の他方の透明電極は、ITO膜に代表される無機系透明電極、例えばZnOを含有する透明電極や、有機導電膜を用いることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、異導体接触による接触抵抗を低減させた有機導電膜が実現され、この有機導電膜を有する透明有機導電フィルムを使用することにより、入力感度、入力時間遅れ等の問題が発生しない座標入力装置が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に添付図面を参照しながら、本発明を座標入力装置のタッチパネルに適用した時の実施形態を説明する。なお、本発明の範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0026】
図1は、座標入力装置の入力部を構成する抵抗膜方式のタッチパネルの基本構成図である。図示のように、タッチパネルは、表面に透明電極を有する2枚の第1及び第2の透明導電板1と2を、透明電極が対向するように所定の間隔で平行に配置した構造を有する。第1の透明導電板1のY方向の両端には駆動電極3と4が設けられており、第2の透明導電板2のX方向の両端には駆動電極5と6が設けられている。駆動検出回路7が、第1の透明導電板1の両端の駆動電極3、4に電圧を印加することにより、第1の透明導電板1の透明電極上の各点には、Y方向の位置に応じて電圧が生じる。同様に、駆動検出回路7が、第2の透明導電板2の両端の駆動電極5、6に電圧を印加することにより、第2の透明導電板2の透明電極上の各点には、X方向の位置に応じて電圧が生じる。駆動電極3、4への電圧印加と駆動電極5、6への電圧印加は、時分割で交互に行われる。
【0027】
例えば、第1の透明導電板1の両端の駆動電極3、4に電圧を印加している時に、第1の透明導電板1の一部を、入力用ペン8で加圧して第1及び第2の透明導電板1、2の透明電極同士が接触すると、電圧を印加していない第2の透明導電板2の透明電極の接触部分も、第1の透明導電板1の透明電極の接触部分の電圧になるので、駆動検出回路7がこの電圧を検出することにより電圧を印加した接触部分のY方向の位置が判明する。X方向の接触位置も同様に検出される。
【0028】
以上の構成及び動作は、従来の抵抗膜方式のタッチパネルの構成及び動作と同じであり、特許文献1などに記載されている。
【0029】
本実施例のタッチパネルでは、第2の透明導電板2は、ガラス製の支持基材の上にITO膜で透明電極を形成したものである。ITO膜については、従来から広く知られているので説明は省略する。なお、第2の透明導電板2の透明電極を、ZnOなどの他の無機系透明電極で構成することも可能である。
【0030】
更に、本実施例のタッチパネルでは、入力用ペン8が接触される第1の透明導電板1の透明電極は、金属イオンを含有する有機導電膜で構成される。
【0031】
図2は、本実施例のタッチパネルの第1の透明導電板1の構成を示す図である。図2に示すように、第1の透明導電板1は、PETフィルムなどのポリマーフィルム製の支持基材12の上に、有機導電膜11を形成したものである。支持基材12は、有機導電膜11が紫外線により劣化するのを防止するため、紫外線を遮断する機能を有することが望ましい。
【0032】
有機導電膜11は、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、およびこれらの誘導体ポリマーに代表されるような有機導電性ポリマーのような有機導電性ポリマーに金属イオンを含有させたものであり、有機導電ポリマー材料の製膜前の分散または溶解溶媒に対しイオン化する金属化合物また金属を添加したものを、コーターで塗布するなどの各種の方法で支持基材12上に製膜し乾燥することにより、有機導電膜中に金属イオンを含有させる。有機導電膜11は、有機導電性ポリマーに金属イオンが含有されるため、対向するITO膜との接触抵抗が、金属イオンを含有しない場合に比べて著しく低くできる。また、金属イオンが含有された有機導電膜11は、他の種類の有機導電膜との接触抵抗も低い。また、汎用のウエットコーティング装置が適用できるので大量生産が可能であり、このためフィルムの低コスト化が可能で有る。
【0033】
含有させる金属イオンとしては、Na、Mg、K、Al、Mn、Zn、Cr、Fe、Cd、Co、Ni、Sn、Pb、Cu、Hg、Ag、Pt、Au、Ba、Sr、Sb、Bi、Pdに代表される金属元素のうちの1つ以上を用いることができる。また、金属イオンは、金属単体、無機金属塩、有機金属塩、無機金属化合物、有機金属化合物を、有機導電性ポリマーに含有させることによりポリマー中に供給される。金属イオンは、有機導電性ポリマーの一部を還元した化学結合を有している。
【0034】
金属イオンの濃度は、有機導電膜の固形分濃度に対し0.01〜15wt%、特に0.05〜10wt%であることが望ましい。
【0035】
以下本発明の実施例を、図3を参照して説明する。
【実施例1】
【0036】
基材として188μmのPETフィルムに有機導電ポリマーをバーコータを用いてウエット膜厚20μm厚にコーティングし、乾燥温度100℃、乾燥時間3分の熱処理を行い、透過率91%の透明有機導電膜を作製した。この透明有機導電フィルム両端に第一電極3,4をスクリーン印刷法にて銀ペーストを印刷し、対向電極となるITOガラス両端に、上記透明有機導電膜と直交する第二電極5,6をスクリーン印刷法にて銀ペーストを印刷し、両者を対向させて張合わせる。貼り合わせに際し、前記第一導電体1と前記第二導電体2とを貼り合わせることができる限り特に制限はなく、公知の貼合方法等の中から適宜選択することができ、例えば、両面テープ、接着剤、加熱、加圧方法、などを用いる事ができる。これらは、単独で使用してもよいし、2以上を併用してもよい。これらの中でも、以下の前記両面テープを用いる方法、具体的には、前記第二導電体の外周部に両面テープを額縁状に貼付し、該両面テープ1辺の両端部に孔を設け、該孔に導電性樹脂を滴下した後、該第二導電体に前記第一導電体を貼合せる方法、が好ましい。この方法の場合、貼合後においても、前記第一導電体と前記第二導電体とを簡便に電気を導通可能にすることができる点で有利である。
前記導電性樹脂としては、導電性を有する限り特に制限はなく、公知の導電性樹脂の中から適宜選択することができ、例えば、エポキシ系導電性樹脂、などが挙げられる。以上の工程を用いて図1に示す抵抗膜式タッチパネルを作製した。第1の透明電極板1は、支持基材11としてPETフィルムを用い、有機導電ポリマー材料としてチオフェン系有機導電膜を用い、金属イオンとしてAl3+を有機導電ポリマー材料の固形分濃度に対し0.05wt%添加することにより形成した。第2の透明電極板2は、ガラス製の支持基材上に表面抵抗率400Ω/□のITOを製膜して対向電極とすることにより形成した。
【0037】
このような抵抗膜式のタッチパネルで、先端が0.8Rのスタイラスで押圧し座標入力が得られる加重を測定した結果、座標入力が可能な最低入力加重は0.4Nであった。
【実施例2】
【0038】
実施例1に示すパネル構成で金属イオンであるAl3+の添加量を有機導電材料の固形分濃度10wt%とした以外は同一の構成のパネルを作製し、同様の測定を行ったところ、最低入力加重は0.2Nであった。
【実施例3】
【0039】
実施例1に示すパネル構成で金属イオンをCu+に変えた以外は同一の構成のパネルを作製し、同様の測定を行ったところ、最低入力加重は0.4Nであった。
【実施例4】
【0040】
実施例1に示すパネル構成で金属イオンをNa+に変えた以外は同一の構成のパネルを作製し、同様の測定を行ったところ、最低入力加重は0.4Nであった。
【実施例5】
【0041】
実施例1に示すパネル構成で、第2の透明電極板2のガラス製基材上に製膜したITOの表面抵抗率を1kΩ/□に変えた以外は同一の構成のパネルを作製し、同様の測定を行ったところ、最低入力加重は0.4Nであった。
【0042】
本発明の効果を確認するため、以下のような比較例を行った。
【0043】
(比較例1)
実施例1のパネル構成で、有機導電ポリマー材料に金属イオンを添加していない以外は同一の構成のパネルを作製し、同様の測定を行ったところ、最低入力加重は1Nに悪化し、パネルでの入力時間遅れが発生した。
【0044】
(比較例2)
実施例5のパネル構成で、有機導電ポリマー材料に金属イオンを添加していない以外は同一の構成のパネルを作製し、同様の測定を行ったところ、最低入力加重は9Nに悪化し、入力時間遅れが発生した。
【0045】
(比較例3)
実施例1に示すパネル構成で、金属イオンであるAl3+の添加量を有機導電ポリマー材料の固形分濃度を20wt%とした以外は同一の構成のパネルを作製し、同様の測定を行ったところ、最大50Nの入力加重を加えても座標入力が不可能となった。
【0046】
(比較例4)
実施例1に示すパネル構成で、PETフィルムの支持基材上に表面抵抗率400Ω/□のITO膜を形成した第1の透明電極板1を用いた以外は同一の構成のパネルを作製し、同様の測定を行ったところ、最低入力加重は0.4Nであり、実施例1と同等であった。前述のようにこの比較例4の構成は、耐久性に問題がある。
【0047】
(比較例5)
実施例1に示すパネル構成で、PETフィルムの支持基材上に表面抵抗率700Ω/□の金属イオンを含有しない同一種類の有機導電膜を形成した第1及び第2の透明電極板1、2を用いた以外は同一の構成のパネルを作製し、同様の測定を行ったところ、最低入力加重は0.4Nであり、実施例1と同等であった。前述のようにこの比較例5の構成は、光透過率が低いという問題がある。
【0048】
以上説明した本発明の実施形態及び実施例では、入力用ペンが接触する側の第1の透明導電板の透明電極を金属イオンを分散した透明有機導電膜で形成し、対向する第2の透明導電板の透明電極をITO膜で形成したが、例えば、第1及び第2の透明導電板の両方の透明電極を透明有機導電膜で形成し、少なくとも一方の透明有機導電膜が金属イオンを含有するようにしてもよい。
【0049】
(付記1)
有機導電性ポリマーと、
前記有機導電性ポリマーに含有される金属イオンと、を備えることを特徴とする有機導電膜。(1)
(付記2)
前記金属イオンは、Na、Mg、K、Al、Mn、Zn、Cr、Fe、Cd、Co、Ni、Sn、Pb、Cu、Hg、Ag、Pt、Au、Ba、Sr、Sb、Bi、Pdのうちの1つ以上の元素を有する付記1に記載の有機導電膜。(2)
(付記3)
前記金属イオンは、前記有機導電性ポリマーに含有される金属単体、無機金属塩、有機金属塩、無機金属化合物、有機金属化合物を供給源として形成される付記1に記載の有機導電膜。
【0050】
(付記4)
前記金属イオンの濃度が、前記有機導電膜の固形分濃度に対し0.01〜15wt%である付記1に記載の有機導電膜。
【0051】
(付記5)
前記金属イオンは、前記有機導電性ポリマーの一部を還元した化学結合を有する請求項1に記載の有機導電膜。
【0052】
(付記6)
透明基材と、
前記透明基材上に形成された有機導電膜と、を備える透明有機導電フィルムであって、
前記有機導電膜は、付記1から5のいずれかに記載の有機導電膜であることを特徴とする透明有機導電フィルム。(3)
(付記7)
前記透明基材が、PETフィルムである付記6に記載の透明有機導電フィルム。
【0053】
(付記8)
前記透明基材が、ガラス板である付記6に記載の透明有機導電フィルム。
【0054】
(付記9)
前記透明基材は、紫外線を遮断する付記6に記載の透明有機導電フィルム。
【0055】
(付記10)
所定の間隔で平行に配置され、対向する表面が透明電極である2枚の透明導電板と、
前記2枚の透明導電板の前記透明電極の異なる方向にそれぞれ電圧を印加すると共に、前記2枚の透明導電板の一部を加圧することにより前記透明電極同士が接触した位置を電気的に検出する駆動検出回路とを備える座標入力装置において、
前記2枚の透明導電板の一方は、付記6から9のいずれかに記載の透明有機導電フィルムであることを特徴とする座標入力装置。(4)
(付記11)
前記2枚の透明導電板の他方の前記透明電極は、ITO膜を有する付記10に記載の座標入力装置。(5)
(付記12)
前記2枚の透明導電板の他方の前記透明電極は、ZnOを含有する付記10に記載の座標入力装置。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の有機導電膜及び透明有機導電フィルムは、抵抗膜式のタッチパネルなどの座標入力装置に適用されるが、これに限定されず、透明な電極(配線)で異なる透明電極に接触する部分であれば適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は実施例の座標入力装置の基本構成を示す図である。
【図2】図2は実施例の透明有機導電フィルムの断面図である。
【図3】図3は本発明をタッチパネルに適用した実施例及び比較例の測定結果を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 第1の透明導電板
2 第2の透明導電板
7 駆動検出回路
11 有機導電膜
12 支持基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機導電性ポリマーと、
前記有機導電性ポリマーに含有される金属イオンと、を備えることを特徴とする有機導電膜。
【請求項2】
前記金属イオンは、Na、Mg、K、Al、Mn、Zn、Cr、Fe、Cd、Co、Ni、Sn、Pb、Cu、Hg、Ag、Pt、Au、Ba、Sr、Sb、Bi、Pdのうちの1つ以上の元素を有する請求項1に記載の有機導電膜。
【請求項3】
透明基材と、
前記透明基材上に形成された有機導電膜と、を備える透明有機導電フィルムであって、
前記有機導電膜は、請求項1または2に記載の有機導電膜であることを特徴とする透明有機導電フィルム。
【請求項4】
所定の間隔で平行に配置され、対向する表面が透明電極である2枚の透明導電板と、
前記2枚の透明導電板の前記透明電極の異なる方向にそれぞれ電圧を印加すると共に、前記2枚の透明導電板の一部を加圧することにより前記透明電極同士が接触した位置を電気的に検出する駆動検出回路とを備える座標入力装置において、
前記2枚の透明導電板の一方は、請求項3に記載の透明有機導電フィルムであることを特徴とする座標入力装置。
【請求項5】
前記2枚の透明導電板の他方の前記透明電極は、ITO膜を有する請求項4に記載の座標入力装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−172984(P2007−172984A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368062(P2005−368062)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】