説明

有機廃棄物のガス化方法およびその装置

廃棄物のガス化を推進するために、ガス化装置を操作して、始動熱源を粗合成ガス燃焼と混合する。燃焼排煙はダイオキシンの形成を防止するために、急冷するまで650℃以上に維持し得る。過剰の熱は熱回収ユニットを経由して放出する。該ガス化装置は、船舶、アパート建造物、病院及び邸宅などの小規模の施設において、効率的に小処理単位の廃棄物を処理するために、バッチ方式で操作することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は廃棄物の処理に関し、また有機物質のガス化に関する。さらに詳しくは、小規模施設における有機廃棄物のガス化の改良方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
地方自治体の廃棄物は、最も一般的に、埋め立て地または焼却処理に送られる。多くの地方自治体にとっては、基礎となる施設のコストが低いこと、および焼却処理から生じる直接的大気汚染の懸念が減少することなどの理由で、焼却処理よりも埋め立処理がよいとされている。焼却処理から生じる熱は、発電に使用することができる。
【0003】
ポリ塩素化ジベンゾジオキシン類(PCDD類)(または単にダイオキシンという)は、環境汚染物質として作用することから、重要な意味を有する一群のポリハロゲン化化合物である。ダイオキシンは、塩素の存在下(塩素が塩化物イオンとして存在しようと、または有機塩素化合物として存在しようと)有機物質を燃焼した際に低濃度で産生される。ダイオキシンは、地方自治体における例えば、PVC(塩化ポリビニル)などの塩素含有物質の焼却処理において、副産物として生じる。焼却処理において、ダイオキシンはまた、排気ガスが650℃の温度ウインドーを通って250℃に冷えたときに、排煙管上の大気中でも形成され得る。ダイオキシン量の低下は、この400度の差の領域を通る排気ガスの急速冷却により達成され得る。従って、ダイオキシン形成の問題は、従来のガス化システムにおいて回避される。
【0004】
地方自治体の廃棄物ガス化プラントは、焼却炉の場合のように、広く行渡って使用されている訳ではない。ガス化プラントは一般に石炭を燃料ガスに変換するために使用されている。ガス化においては、廃棄物を酸素または空気の供給量を低下させて加熱し、水素と一酸化炭素の合成ガスが産生されるようにする。
【0005】
合成ガスはタールを含み得るので、タールを合成ガスに変換するために、二次ガス化装置を使用することができる。合成ガスは燃焼させる前に、汚染物質を除去するために洗浄してもよい。次いで、合成ガスは発電または他のエネルギー需要のために燃料供給体として使用し得る。PCT公開WO2008/044216(2008年4月17日付)には、本特許出願の出願人が、小規模廃棄物をガス化してクリーンな合成燃料ガスを生産する廃棄物処理システムについて記載している。一次ガス化装置室は少量の導入空気とともに燃焼燃料源により加熱して、粗合成ガス(タール含有)を生成させ、ついでこのガスを二次ガス化装置室に送り、そこで燃焼もしくは電気燃料源により最適ガス化温度に加熱して本質的にタールを含まない合成ガスを産生させる。合成ガスは急冷して、酸性ガスなど他の汚染物を除染することが可能であり、また利用可能である場合には、ガス化プロセスを推進する通常の燃料源と置き換えることができる。この合成ガスは除染されており、この合成ガスから生じる燃焼ガスはクリーンであって、排煙ガスとしてそのまま大気中に排出し得る。バッチプロセスの終了後、少量の炭素質残差(典型的には当初容量の10%未満)と少量の様々な濾過汚染物が残存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2008/044216号
【発明の概要】
【0007】
発明の概要
粗合成ガスの産生が、当該粗合成ガスの燃焼産物を含む排煙ガスの効率的な浄化を可能とするように制御し得ることが見出された。これによって、二次ガス化システムを回避することができる。一部実施態様において、粗合成ガスは、常套の加熱源を装備する適当な高温度燃焼ゾーン(典型的には炭化水素燃料バーナー)に供給し、そこで合成ガスを燃焼させ、高温の燃焼産物を用いてガス化室を加熱する。排煙ガスの浄化には既定のガス流速を処理し得る装置を使用する。ガス化装置の加熱を制御すること、並びにガス化装置に供給するプロセス空気量を制御することにより、産生される粗合成ガスの量が確実に浄化装置の許容能力範囲にあるようにする。
【0008】
さらに見出されたことは、何らかの別の燃料の燃焼と一緒に粗合成ガスの燃焼を制御して、ガス化室との熱交換を遂行する間に、排煙ガスが急冷浄化されるまで、排煙ガスの温度を650℃以上(好ましくは700℃以上)に維持することが可能となることである。排煙ガスが650℃以下に低下するのを制御すると、ダイオキシンの形成が著しく低下する。この発見は、小規模バッチ方式のガス化装置の状況下で、また同様に大型の連続供給ガス化装置の状況下でも有用である。
【0009】
廃棄物のガス化を推進するために、ガス化装置を操作して、始動熱源を粗合成ガス燃焼物と混合する。燃焼排煙ガスはダイオキシンの形成を防止するための急冷に達するまで650℃以上に維持し得る。過剰の熱は熱回収ユニットを経由して放出される。該ガス化装置は、船舶、アパート建造物、病院および邸宅などの小規模の施設において、効率的に小処理単位の廃棄物を処理するために、バッチ方式で操作することができる。
本発明は以下の本発明の実施態様についての詳細な説明により、また添付の図面を参照することでより良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面の簡単な説明
【図1】図1は本発明の一次実施態様によるガス化装置の組み立て分解図である。
【図2】図2は二次実施態様によるガス化室の熱交換器で伝達される燃焼ガスを産生する燃焼室の断面側面図である。
【図3】図3は一実施態様による急冷浄化システムのより詳細な図表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
本工程は、廃棄物、例えば、標準的ゴミ袋の廃棄物を、詰め込みハッチ(14)からガス化室(12)に詰め込むことにより開始する(図1参照)。真空ポンプ(13)のスイッチを入れ、ディーゼルバーナー(18)に点火する。本実施態様においては、ディーゼル燃料を選択するが、必要な熱エネルギーと温度を提供し得るなら、いずれの熱源も利用可能であることは正しく理解されよう。最終の排気流の酸素含量はOセンサー(48)により測定する。Oセンサー(48)は燃焼ゾーン(21)の酸素を規制限界(通常排煙ガス中6%〜12%)内に制御するプロセスを可能とする。ガス化室(12)の圧力は、大気圧よりやや低い固定セットポイントに維持する。プロセス空気(26)は負の内部相対圧によりガス化室(12)に引き込む。プロセス空気(26)は燃焼ゾーン(21)内の小型熱交換器を経由して引き込むことにより予め加熱する。その流速は比例バルブ(空気源(22)の一部)により制御し、フロートランスミッター(24)によりモニターする。流速はフロートランスミッター(24)により測定し、バルブを調整してそれにより流速を加減する。操作に際して、プロセス空気供給速度は0および20scfmの間で制御し、それによりガス化プロセスを加速または減速し、結果として、産生される合成ガス量を制御する。合成ガス産生の減少は、合成ガスの燃焼が排煙ガスにおいて高すぎる温度を発生する場合に必要とされ得る。
【0012】
開始後に該プロセスのガス化室(12)が温まると、ガス化室(12)内部の廃棄物が分解して合成ガス(syngas)となり始める。加熱した廃棄物から生成する粗合成ガス(20)は、ポートから燃焼ゾーン(21)に供給される。合成ガスが燃焼し始めて、燃焼ゾーン(21)でのO要求量を増大させる。これが燃焼ゾーン(21)への燃焼空気給送管(28)を開くループを駆動させる。センサー(34)により、排気流のO含量と燃焼ゾーン温度を測定することにより、すべての合成ガス(20)が完全に燃焼したことが確認される。排気流のO含量は完全燃焼のために設定したセットポイントに、またはそれ以上に維持する。適当なセットポイントは6%ないし12%のO含量とし得る。燃焼空気流速はフロートランスミッター(30)によりモニターし、空気源(28)の比例バルブにより制御する。
【0013】
ディーゼルバーナー(18)は、燃焼領域(21)の温度が摂氏1100度付近のセットポイントに達した場合に遮断され、燃焼空気供給(29)は一定の供給速度、凡そ1分当たり25立方フィート以上である。このことはディーゼルなしでも燃焼が維持されるために十分な合成ガスが生成されていることを意味する。燃焼ゾーン(21)の温度は加熱用二段階ディーゼルバーナー(18)を使用することにより、またガス室(12)の条件(プロセス空気(22)の供給速度、加熱速度およびミキサー(16)による混合など)を制御することにより一定に維持し、産生される合成ガスの量(20)を管理する。高エネルギー合成ガス産生の場合、スプレー(32)により、ガス室(12)上に、および/または燃焼領域(21)に水を噴霧して温度を制御し得る。噴霧された水は蒸発してガスから熱を吸収する。水は再凝縮してスクラバー(44)に捕集される。
【0014】
合成ガスの質が不十分となり、温度が低下する場合には、ディーゼルバーナー(18)が再点火して十分な操作温度を維持する。排煙ガス中のダイオキシン形成を防止するために、センサー(38)により、好ましくは急冷(40)の直前点で排煙ガスの温度を測定し、温度が650℃以下に低下する場合には、潜在的なダイオキシン形成を回避するために、排煙ガスの温度を元に戻すことが重要である。このためには、ディーゼルバーナー(18)を再稼働させる。このように、温度はセンサー(34)により燃焼領域(21)にて測定するが、急冷(40)前にはセンサー(38)により排煙ガス排気の温度を測定する。
【0015】
ダイオキシンレベルは、排煙ガスの温度範囲が560℃ないし610℃となった場合、0.11ng/mで測定された。一部の地方自治体においては、法定限度を0.1ng/mと低くしているが、この限度は610℃以上の温度を使用することにより遵守されると期待される。
【0016】
上記の実施態様においては、排煙ガス温度をモニターするが、この温度はガス室(12)の温度を測定することにより間接的に測定し得ることが正しく理解されよう。
【0017】
水噴霧ノズル(32)は、遮断の際にガス室(12)を冷却し、底に溜まった灰を‘凍結して’、灰の中の炭素の過剰なガス化を防止するために作動する。また、ノズル(32)は、燃焼室(21)の温度が高くなりすぎたことが判明した場合に、水を噴出して合成ガスの質を減じ、初期段階を終結させるように作動する。いずれの室の温度も1250℃を超えるべきではない。ガス化システム内で管理する温度は、ガス化室(12)の底部分のステンレス鋼の温度である。この温度は材料の作用温度範囲を超え得ない。この温度は名目上摂氏775度に設定される。
【0018】
粗合成ガス(20)の産生速度は3つのパラメーターにより測定する。第一には、合成ガス燃焼を確かなものとするために要求される空気(22、26)の量(プラス一定量の過剰の空気)が測定される。化学量論的演繹法により合成ガスの産生速度を推定する。第二のパラメーターは真空バイパス制御バルブ(50)の位置である。燃焼領域(21)とガス室(12)が一定の圧力に維持されるとすれば、粗合成ガスの産生速度は真空バイパス制御バルブ(50)の位置で測定することができる(例えば、プロセス空気源(22)の制御に左右されない)。負の圧力(例えば、90kPa絶対圧)は燃焼室(12)において液封真空ポンプ(42)により維持する。真空度は真空バイパスバルブ(50)により制御する。その他の配置も圧力を制御するために提供し得ることが正しく理解されよう。
【0019】
合成ガス(20)の産生が始まると、燃焼室(12)の圧力が上昇し、真空バイパス制御バルブ(50)が閉じて十分な吸引力を維持し、圧力を一定に保つ。バルブ(50)の位置は合成ガスの産生速度に比例する。第三のパラメーターは燃焼室(12)の温度(センサー(36)により測定した場合)である。ガス化は燃焼室温度が摂氏350度以上となったときに始まると予測し得る。
【0020】
合成ガスが産生されたと判断された場合、燃焼空気(28、29)を直ちに注入して、出口(46)での一定の排気放出を確かなものとする。正しい空気量の決定は、上記のパラメーターに基づきプロセス制御装置(15)により計算される。プロセス制御装置(15)は、固定された回路構成要素、マイクロ制御装置、FPGA、DSP、または制御ループ機能を遂行するためにプログラムしたより完全なコンピューターからなる。さらに、制御装置(15)は操作中に測定値を記録することが可能であり、操作の報告または記録を提供し得る。このプロセスのための制御ループについてここで説明する。
【0021】
燃焼するディーゼル燃料から燃焼する合成ガスへの推移は、ディーゼル燃料を燃焼させる小型のパイロットバーナー(バーナー(18)の一部)により実施する。小型バーナーは燃焼領域(21)において、燃焼ゾーン(21)に向かう合成ガス(20)の入り口に位置する。パイロット火炎を用いて合成ガスが合成ガス産生の初期段階で十分に燃焼していることを確認する。その際の合成ガスの質は最適には達していない。この‘不十分な’合成ガスの状態は約10分間継続する。
【0022】
一実施態様において、燃焼領域(21)は2つのバーナーを有するが、一方は主バーナーであり、もう一方はパイロットバーナーである。あるいは、2段式バーナーを使用することもできる。このバーナーは主バーナーであり、温度が上記のように上昇した場合、遮断される。ミキサー(16)は燃焼室(12)内の廃棄物をゆっくりと回転して、廃棄物が停滞した場合よりも、より多くの廃棄物が熱床およびプロセス空気(22、26)と接触するようにして、ガス化反応がより急速に確実に起こるようにする。また、プロセス空気のチャネリング問題は廃棄物が動き続けることにより回避される。ミキサー(16)を回転させるためにモーター(図示せず)が備えられる。ミキサーのモーターは燃焼室(12)内部の温度が350℃に達したときに、制御装置(15)により回転させる。ミキサー(16)はすべての時点で稼働しているが、合成ガス産生が大きくなり過ぎた場合に、合成ガスの産生を減少させる方法として、ミキサーを停止させることができる。
【0023】
自動化ループは妨害物によるモーターの抵抗を制御する。モーターとシャフトが燃焼室(12)における妨害に対抗する場合、モーターへの電流が急上昇する。このスパイクはモニターされるが、モーターの逆方向回転を引き起こす。モーターが1分間に3回逆回転した場合、モーターは遮断されるが、手動で再稼働させることができる。
【0024】
スクラバー(44)は湿式スクラバーである。スクラバー(44)中の水は、スクラバーを通過する燃焼排ガスのため酸性となる。この酸性度は再循環ラインに液状アルカリソーダを添加することにより中和することができる。pHメーターを用いてスクラバー中の酸性度をモニターし、セットしたpH値(例えば、7)に基づき、再循環ラインに重力で供給し得るアルカリ槽へのバルブを開くことができる。
【0025】
図3は急冷(40)、ポンプ(42)およびスクラバー(44)の配列の一実施態様の詳細を示すものであり、また水循環ポンプ(43)、アルカリ貯留槽(45)、および放出フィルター(49)をも図示する。急冷(40)およびスクラバー(44)に使用する水はポンプ(43)により、熱交換器(47)、すなわち、50kW熱回収ユニットを経由して循環させる。すなわち、水を45L/分の速度で40℃から25℃に冷却することに相当する。次いで、冷却した水は急冷(40)において、また浄化塔(44)の浄化シャワーに使用する。貯留槽(45)からの10%NaOHは、廃棄物バッチ当たり0.5リットルの量で添加し得るが、このものは制御装置(15)の制御下に手動または自動的にpHを測定した結果として添加し得ることは正しく理解されよう。ガス化装置が処理工程の進行中に添加される廃棄物とともに連続方式で作動する場合、再循環ループのpHの平衡化が連続方式で最適に実施される。再循環ループ内の過剰の水は、排水バルブとフィルター(49)経由で排出される。排出される水量はバッチ当たり約10ないし20Lであり得る。排水バルブはスクラバー(44)中の水のレベルセンサーに応答する制御装置(15)により自動的に制御される。
【0026】
一部の実施態様において、スクラバー(44)の水のレベルは、一定に維持すべきである。液封真空ポンプ(42)は、当該システムの真空を制御するが、スクラバー水貯留槽により順次供給される再循環ラインからの一定流に依存する。このプロセスは水を生成し、その水の一部は水蒸気として排出されるので、確かな量は変わり得る。従って、スクラバー(44)はレベルセンサーにより制御される自動注排装置を備えている。例えば、2つの振動型フォークレベルセンサーがスクラバーにおいて使用し得る。センサーは、それらが水中と空中にある場合にシグナルを送る。この2つのフォークは2インチ離して置かれ、一方が他方の上に位置する。望ましい水のレベルは2つのセンサーの間にあり、従って、低位置のセンサーは常時水中にあり、上方のセンサーは常時水の上にある。低位置センサーが水のレベルの低下のために露出した場合、注水バルブが活動し、低位置センサーが水没するまでスクラバーを新鮮な水で満たす。上方のセンサーが水面上昇により水没した場合には、上方センサーが水より上に来るまで排水口が開く。
【0027】
スクラバーの水温は重要なパラメーターであり、液封真空ポンプ(42)の吸水能力に影響を与える。スクラバー水は摂氏50度を超えるべきではない。スクラバー水は急冷部(40)に再循環する。急冷混合温度は摂氏60度を超えるべきでない。‘混合温度’とは、急冷部(40)と液封ポンプ(42)との間の排出ガス流と急冷水の温度である。システム内の全水は閉鎖ループ内にあり、熱交換器(47)は再循環水中で生じた過剰の熱を除去するために使用する。
【0028】
ユニット(47)から回収される熱は、空気加熱の目的を確立するために(直接の熱水ラジエーターまたは強制反射炉にて)、熱貯蔵のため、予熱熱水のため、ヒートポンプ用熱源として、または他の工業的用途に使用することができる。
【0029】
熱交換器(47)は、生成する排気ガスが約40℃まで冷却されるので、全ガス化システムが発生する熱の殆どを除去するものと理解されよう。この低温排気はガス化システムの設置を容易にすることができる。その理由は、高温の煙突ダクトを使用する代わりに、常套の加熱もしくは台所換気ダクトを使用して、建物の外部に排気ガスを換気することができるからである。また、熱回収の一つの特徴は、二次ガス化装置を使用して合成ガスを清浄化するガス化システムにて熱を回収するよりも簡単なことである。その理由は、熱が合成ガススクラバーにて、また別個に排煙ガス中での両方で回収されるからである。
【0030】
上記の実施態様から多くの変化が可能であることが正しく理解されよう。例えば、バーナーは様々な熱源と置き換えることが可能であり、一部の事例では、プロパンまたは天然ガスが燃焼性燃料としてディーゼルよりも好適である。
【0031】
燃焼ゾーン(21)は図2に示すように燃焼室(21’)と置き換えることができる。これは合成ガスの燃焼に関するシステムの許容力を増大させ、結果としてシステムの廃棄物処理能力を増大させるために実施することができる。燃焼室(21’)はガス化室(12)から合成ガス(20)を受け容れる。合成ガス(20)は、燃焼室(21’)がガス化室(12)よりも低い圧力であることにより、燃焼室(21’)に引き込まれる。燃焼室(21’)は円筒状の混合領域(21a)を有するが、これは合成ガス流(20)を接線的に受容し、渦巻き状にして燃焼領域(21b)へと流入させ、燃焼領域(21b)では開口部(29)からの燃焼空気が点火領域に注入される。燃焼室(21’)は耐火性内貼り(21c)と適当な断熱体(21d)を備えている。混合領域(21a)は合成ガスが燃焼室に入り、パイロットバーナー、すなわち、ディーゼルバーナー(18)の部分と接触するところである。合成ガス(20)は混合領域にて加熱し、混合する。次いで、合成ガスは燃焼空気(29)と接触させ、そこで点火して燃焼させる。燃焼室(21’)からの排気(21e)はガス化室(12)を取り囲む熱交換領域に向けられ、そこで排気ガスからの熱を当該プロセスに送り戻す。
【0032】
ガス化装置システムのさらなる詳細については、同時係属中の米国特許出願番号12/445,455(2009年4月13日出願)に見出される。この出願の内容を参照により本明細書の一部とする。
【0033】
上記実施態様にて示したガス化システムは、廃棄物のバッチ、例えば、1個の大きな家庭用廃棄物のゴミ袋を取り扱う小規模の装置である。この規模のシステムの場合、生成する合成ガスの量は、バッチサイクルの大きな部分についてのガス化プロセスを駆動するのに充分であるが、殆どの家庭廃棄物の場合、他の目的に使用し得る充分に過剰な合成ガスはない。本発明は大型の設備に、または連続ガス化システムに適用することができる。これらの事例においては、産生される有意に過剰な合成ガスが存在し得る。ガス化プロセスを駆動する以外の目的に使用すべき粗合成ガスは、ガス化室に熱を提供する燃焼とは別の燃料として粗合成ガスを使用することに加えて、二次ガス化装置により処理して清浄な合成ガスを供給産生するように浄化することができることが理解されよう。
【0034】
廃棄物はシュートもしくは供給スクリュー機構を用いて実施し得る場合に連続的にガス化室(12)に供給されるが、その場合、ガス室(12)に容れる廃棄物の量を制御してガス室の温度を、例えば、650℃以上に維持することが可能であり、その結果、排煙ガスは十分に高いままとし得る。あるいは、適当な石炭などの固形燃料源をガス室(12)に当初加えて、始動段階をダイオキシンの産生なしに600℃以下とすることができるようにする。ガス室(12)の温度が約650℃に達した時点で、排煙ガスにダイオキシンを生成させずに廃棄物の添加を進めることができる。
【0035】
本発明の好適な実施態様について説明してきた。本説明並びに図面は、その範囲を限定することよりもむしろ本発明を理解することの一助とするものである。本発明に対しては本明細書に記載した本発明の範囲から乖離することなく、種々の変更が可能であること、またかかる変更が本説明の範囲内に入ることは、当業者に明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス化廃棄物処理装置であって、
制御されたプロセス空気入口及び粗合成ガス出口を有する閉鎖ガス化室と、
当該一次ガス化室にプロセス加熱を施す燃焼室であって、一次バーナー、粗合成ガス供給口及び当該粗合成ガスを燃焼させるための制御された燃焼空気入口を有する燃焼室と、
当該燃焼室からの排煙ガスの汚染を除去するスクラバーと、
を有する処理装置。
【請求項2】
当該燃焼室において粗合成ガスの燃焼により熱が提供される場合に、当該一次バーナーによる熱の寄与を低下させるために、さらに当該一次バーナーの操作を制御するためのプロセス制御装置を含む請求項1記載の処理装置。
【請求項3】
当該排煙ガス中の酸素レベルを感知する酸素センサーをさらに有し、その場合の当該プロセス制御装置が、当該排煙ガス中に感知される酸素レベルの関数として当該燃焼空気入口を制御する請求項2記載の処理装置。
【請求項4】
当該燃焼室の温度を冷却するための水噴霧システムをさらに有する請求項1、2又は3記載の処理装置。
【請求項5】
当該燃焼室の温度を感知する少なくとも1個の温度センサーと、粗合成ガスの燃焼が当該燃焼室の温度を高温に導く場合に当該水噴霧システムを起動させるプロセス制御装置とをさらに有する請求項4記載の処理装置。
【請求項6】
当該スクラバーに到達する前に当該排煙ガスの温度を測定する温度センサーをさらに有する請求項1から5のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項7】
当該排煙ガス温度がダイオキシンを形成する危険性のある温度、好ましくは約650℃の温度を示した場合に、制御装置が当該一次バーナーを始動させる請求項6記載の処理装置。
【請求項8】
当該排煙ガス温度がダイオキシンを形成する危険性のある温度、好ましくは約650℃の温度を示した場合に、プロセス制御装置が合成ガスの産生を増大させる請求項6記載の処理装置。
【請求項9】
合成ガス産生が、当該ガス化室内のプロセス空気流の増加と共に増大する請求項8記載の処理装置。
【請求項10】
当該ガス化室内で稼働可能なミキサーをさらに有し、その場合の合成ガス産生を当該ミキサーの操作により増大させる請求項8記載の処理装置。
【請求項11】
当該ガス化室が、ガス化に先立って当該ガス化室に当該廃棄物を投入し得るように改造した掛け金付きハッチを含む請求項1記載の処理装置。
【請求項12】
当該ガス化室が、ガス化に先立って当該ガス化室に当該廃棄物を投入し得るように改造した掛け金付きハッチを含み、当該プロセス制御装置が、単一バッチに相当するプロセスサイクルにおいて、当該廃棄物を処理するために、少なくとも当該一次バーナーの操作を制御するように改造したものである請求項2から10のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項13】
当該スクラバーが熱回収システムを有する請求項1から12のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項14】
当該スクラバーが湿式スクラバーであり、当該熱回収システムが当該スクラバーを循環する水から熱を除去する熱交換器である請求項13記載の処理装置。
【請求項15】
ガス化プロセスであって、
粗合成ガスを産生させるために充分な温度に物質を加熱する段階と、
粗合成ガスを燃焼させて熱燃焼ガスを生成させる段階と、
当該燃焼ガスと熱吸収体との間の熱を交換してより冷却された排煙ガスとする段階と、
当該排煙ガスを急冷し、浄化する段階と、
排煙ガス温度をモニターし、プロセスパラメーターを制御して当該排煙ガス温度をダイオキシンが形成され得るレベルよりも高い温度に維持する段階と、
を有するガス化プロセス。
【請求項16】
当該交換熱が当該加熱物質用のガス化室の間に存する請求項15記載のプロセス。
【請求項17】
外部燃焼燃料を共通の燃焼領域で粗合成ガスと燃焼させる請求項16記載のプロセス。
【請求項18】
当該外部燃料の燃焼を、利用可能な粗合成ガスの関数として制御する請求項17記載のプロセス。
【請求項19】
当該急冷部及び浄化部から熱を回収する請求項15から18のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項20】
当該プロセスを当該物質の量に基づいてバッチ方式で実施する請求項15から19のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項21】
ガス化プロセスであって、
粗合成ガスを産生させるために充分な温度に物質を加熱する段階と、
粗合成ガスを燃焼させて熱燃焼ガスを生成させる段階と、
当該燃焼ガスと熱吸収体との間の熱を交換してより冷却された排煙ガスとする段階と、
当該排煙ガスを急冷し、浄化する段階と、
当該急冷部及び浄化部に使用する水との低温度熱交換により、当該排煙ガスから熱を除去する段階と、
を有するガス化プロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−523948(P2012−523948A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505004(P2012−505004)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000545
【国際公開番号】WO2010/118513
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511248489)プロターゴ インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】