説明

有機廃棄物処理装置並びにその装置を使った有機廃棄物を成分とする肥料及び固形燃料の製造方法

【課題】小型軽量な装置と、簡便な方法で有機廃棄物肥料ならびに固形燃料を製造することができる有機廃棄物処理装置とその製造方法の提供を図る。
【解決手段】有機廃棄物搬送撹拌槽20と熟成撹拌発酵槽30とが連設され、生石灰投入装置40を備えてなる有機廃棄物処理装置10であって、前記有機廃棄物搬送撹拌槽は、上部に有機廃棄物を投入するための投入ホッパ22,23を備えるとともに、槽内に有機廃棄物を撹拌しつつ前記熟成撹拌発酵槽へ搬送するためのスクリューコンベア24を配設してなり、前記熟成撹拌発酵槽は、上部に生石灰投入装置を備えるとともに、有機廃棄物搬送撹拌槽に連設された端部に対向する端部の所定箇所に熟成発酵した生成物を排出する排出口33を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機廃棄物を処理するための装置並びに有機廃棄物を成分とする肥料及び固形燃料を製造するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の家畜糞尿等の有機廃棄物処理方法としては、例えば、特開2002―160063号公報に記載の「有機廃棄物の堆肥化処理方法およびその装置」(特許文献1)や、特開平9―142977号公報に記載の「家畜糞尿等の処理方法及び再利用法」(特許文献2)、また、特開2002―160987号公報に記載の「家畜糞尿等の廃棄物を肥料にする装置」(特許文献3)などが公知になっている。
【0003】
前記特許文献1に記載の公知技術は、熟成発酵工程と、脱臭工程と、熱発生装置による乾燥工程などの処理機構を有する大型のプラント装置であって、大量の家畜糞尿等をスクリューで撹拌して連続的に肥料化する装置として提案されている。
【0004】
また、前記特許文献2に記載の公知技術は、脱臭工程と、殺菌工程と、脱水工程と、無臭化工程と、発酵熟成工程などの処理機構を有する比較的大型の処理装置であって、大量の家畜糞尿等を連続的にスクリューで撹拌して処理した糞尿を所定期間放置して肥料化する装置として提案されている。
【0005】
さらに、前記特許文献3に記載の公知技術は、家畜糞尿と生石灰を混合する反応槽と、撹拌装置と、熱風発生装置と、コンベア搬送装置を備えた乾燥ゾーンを設けて大量の家畜糞尿等を階段的に落下搬送して連続的に肥料化する装置として提案されている。
【0006】
しかしながら、上記の公知技術の提案の何れも、大量の家畜糞尿等を連続的に肥料化する装置として提案されているものであって、それらの装置は、装置自体が大型過ぎることもあり、導入コスト並びに設置スペースの問題から、小規模の酪農家や養豚家においては積極的に導入することができず、自家処理や糞尿処理業者に委託しなくてはならなかった。
【0007】
一方、家畜糞尿等の処理装置の多くは、肥料化する再生処理装置として開発提供されているが、糞尿に木材チップや有機性廃油等の高カロリー物質を含有させて有機性固形燃料を製造する手段を併設しているものではなかった。
【0008】
【特許文献1】特開2002―160063号公報
【特許文献2】特開平9―142977号公報
【特許文献3】特開2002―160987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、小型かつ軽量な有機廃棄物を処理するための装置の提供を図るとともに、簡便な方法で有機廃棄物を成分とした肥料及び固形燃料を製造するための方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、有機廃棄物搬送撹拌槽と熟成撹拌発酵槽とが連設され、生石灰投入装置を備えてなる有機廃棄物処理装置であって、前記有機廃棄物搬送撹拌槽は、上部に有機廃棄物を投入するための投入ホッパを備えるとともに、槽内に有機廃棄物を撹拌しつつ前記熟成撹拌発酵槽へ搬送するためのスクリューコンベアを配設してなり、前記熟成撹拌発酵槽は、上部に生石灰投入装置を備えるとともに、有機廃棄物搬送撹拌槽に連設された端部に対向する端部の所定箇所に熟成発酵した生成物を排出する排出口を設け、槽内に有機廃棄物と生石灰とを撹拌しつつ排出口へ搬送するための撹拌コンベアを配設してなり、前記生石灰投入装置は、上部に生石灰を投入するための投入ホッパを備えるとともに、内部に生石灰を前記熟成撹拌発酵槽へ搬送するためのスクリューコンベアを配設してなり、前記有機廃棄物搬送撹拌槽のスクリューコンベアと前記熟成撹拌発酵槽の撹拌コンベアとが同一の軸として一基の駆動モータに連結され、搬送・撹拌がなされる構成となっている。
【0011】
また、本発明は、前記有機廃棄物処理装置において、前記有機廃棄物搬送撹拌槽の上部に備えられる投入ホッパが、乾燥有機廃棄物を投入する投入ホッパと、水分含有有機廃棄物を投入する投入ホッパとに別けて備えられている構成を採用し得る。
【0012】
さらに、本発明は、前記有機廃棄物処理装置において、前記熟成撹拌発酵槽の上部に、有機性廃油を投入するための廃油投入装置が備えられている構成を採ることができる。
【0013】
またさらに、本発明は、前記有機廃棄物処理装置において、前記熟成撹拌発酵槽の上部に、悪臭を脱臭するための脱臭装置が備えられている構成とすることもできる。
【0014】
さらにまた、本発明は、前記有機廃棄物処理装置において、前記生石灰投入装置のスクリューコンベアを、前記有機廃棄物搬送撹拌槽のスクリューコンベア並びに前記熟成撹拌発酵槽の撹拌コンベアを駆動するための駆動モータに連動させた構成を採用することもできる。
【0015】
そしてまた、本発明は、前記有機廃棄物処理装置を使って有機廃棄物を成分とする肥料を製造する方法であって、有機廃棄物を投入する投入工程と、該投入された有機廃棄物を撹拌する撹拌工程と、該撹拌された有機廃棄物に生石灰を投入する投入工程と、該生石灰が投入された有機廃棄物をスクリューで撹拌して熟成・発酵させる熟成発酵工程と、該熟成・発酵されてできた生成物を排出する排出工程と、排出された生成物を乾燥する乾燥工程により、肥料を製造する有機廃棄物肥料の製造方法である。
【0016】
さらに、本発明は、前記有機廃棄物肥料の製造方法において、前記有機廃棄物が、乾燥有機廃棄物及び水分含有有機廃棄物である構成を採ることができる。
【0017】
またさらに、本発明は、前記有機廃棄物肥料の製造方法において、前記有機廃棄物が、糞尿である構成とすることが考え得る。
【0018】
そしてまた、本発明は、前記有機廃棄物処理装置を使って有機廃棄物を成分とする固形燃料を製造する方法であって、有機廃棄物を投入する投入工程と、該投入された有機廃棄物を撹拌する撹拌工程と、該撹拌された有機廃棄物に生石灰及び有機性廃油を投入する投入工程と、該生石灰及び有機性廃油が投入された有機廃棄物を撹拌して熟成・発酵させる熟成発酵工程と、該熟成・発酵されてできた生成物を排出する排出工程と、排出された生成物を型枠に入れる型枠工程と、型枠に入れられえた生成物を乾燥により固形化する乾燥工程により、固形燃料を製造する有機廃棄物固形燃料の製造方法である。
【0019】
さらに、本発明は、前記有機廃棄物固形燃料の製造方法において、前記有機廃棄物が、乾燥有機廃棄物及び水分含有有機廃棄物である構成を採用し得る。
【0020】
またさらに、本発明は、前記有機廃棄物固形燃料の製造方法において、前記有機廃棄物が、糞尿または木材チップの少なくとも一方あるいは両方である構成とすることも考え得る。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかる有機廃棄物処理装置によれば、糞尿等の有機廃棄物を肥料化する有機廃棄物搬送撹拌槽と熟成撹拌発酵槽とを連設し、一基の駆動モータで駆動される小型・軽量且つ低価格の有機廃棄物処理装置であって、一定量の有機廃棄物を一定量の生石灰と一定時間で撹拌して、確実に熟成発酵する機構を有することによって、無臭かつ殺菌効果が得られるため、比較的小規模の畜産農家向けの糞尿処理装置として提供することができるものである。
【0022】
また、本発明にかかる有機廃棄物処理装置によれば、熟成撹拌発酵槽の上部に設けられる生石灰を投入する生石灰投入装置が、有機廃棄物搬送撹拌槽のスクリューコンベア並びに熟成撹拌発酵槽の撹拌コンベアを駆動するための駆動モータに連動させることによって、有機廃棄物処理装置自体の軽量化、簡素化が図られ、装置自体のコストダウンが図られるものである。
【0023】
また、本発明にかかる有機廃棄物処理装置によれば、有機廃棄物を肥料として再生することができるだけでなく、廃油投入装置を備えることで、固形燃料としての再生も可能であり、有機廃棄物の有効利用を図ることが可能であって、環境に資する効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明にかかる有機廃棄物処理装置の実施形態を示す断面図である(実施例1)。
【図2】本発明にかかる有機廃棄物処理装置の別の実施形態を示す断面図である(実施例2)。
【図3】本発明にかかる有機廃棄物肥料の製造工程を示すフローチャートである(実施例3)。
【図4】本発明における有機廃棄物固形燃料の製造工程を示すフローチャートである(実施例4)。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、有機廃棄物搬送撹拌槽と熟成撹拌発酵槽とを連設し、一基の駆動モータで駆動される有機廃棄物処理装置であって、一定量の有機廃棄物を一定量の生石灰と一定時間撹拌して熟成発酵させて肥料化する構造と、該構造に木材チップや有機廃油を含有させて固形燃料化させる構造を併設することによって、有機性の肥料と固形燃料を任意に選択して製造することができる有機廃棄物処理装置としたことを最大の特徴とする。以下、本発明の実施形態を、図面に基づき説明する。
【実施例1】
【0026】
図1は、本発明にかかる有機廃棄物処理装置10の実施形態を示す断面図である。
該有機廃棄物処理装置10は、その大きさを限定するものではないが、例えば、20フィートコンテナサイズに収まる略長さ4.4m、高さ1.9m、幅1.1mの外形寸法を有し、円筒形の二つの処理槽を横向きに連接し、一基の駆動モータ11で運転される有機廃棄物処理装置10である。
詳細には、有機廃棄物搬送撹拌槽20と熟成撹拌発酵槽30とが連設され、生石灰投入装置40を備えてなる有機廃棄物処理装置10である。
【0027】
有機廃棄物搬送撹拌槽20は、その上部に有機廃棄物を投入するための投入ホッパ22,23を備えている。かかる投入ホッパ22,23について、乾燥有機廃棄物Kを投入する投入ホッパ22と、水分含有有機廃棄物Sを投入する投入ホッパ23とに別けて備えることが望ましく、図面では、かかる構成を採用した場合について示している。乾燥有機廃棄物Kと水分含有有機廃棄物Sとに別けることにより、夫々の投入量を調節することで生成物の水分調整を行うことが可能となる。
また、有機廃棄物搬送撹拌槽20は、その槽内に、有機廃棄物を撹拌しつつ熟成撹拌発酵槽30へ搬送するためのスクリューコンベア24が配設されている構成となっている。
【0028】
熟成撹拌発酵槽30は、その上部に生石灰Fを投入する生石灰投入装置40を備えており、また、前記有機廃棄物搬送撹拌槽20に連設された端部に対向する端部の所定箇所に、熟成発酵した生成物を排出するための排出口33が設けられている。
また、熟成撹拌発酵槽30は、その槽内に、有機廃棄物と生石灰Fと撹拌しつつ排出口33へ搬送するための撹拌コンベア34が配設されている構成となっている。
熟成撹拌発酵槽30における排出口33を設ける位置については、有機廃棄物搬送撹拌槽20に連設された端部に対向する端部であれば特に限定はなく、生成物の排出効率を考えて熟成撹拌発酵槽30の底部に設けたり、あるいは、有機廃棄物と生石灰Fの撹拌効率に鑑みて側部に設ける構成などが考え得る。なお、図面では、底部に設けた場合について示している。
【0029】
生石灰投入装置40は、上部に生石灰Fを投入する投入ホッパ42を備え、また、内部に該生石灰Fを熟成撹拌発酵槽30に搬送するためのスクリューコンベア44が配設されており、該スクリューコンベア44は駆動モータ41に連結されている。
かかる駆動モータ41については、例えば減速機付モータ(0.4KW)を使用する。
【0030】
有機廃棄物搬送撹拌槽20内のスクリューコンベア24と、熟成撹拌発酵槽30内の撹拌コンベア34とは、同一の軸14であって、動力源は同じ一基の駆動モータ11であり、伝達チェーン12によって駆動力が伝達される。
駆動モータ11については、例えば減速機付モータ(3.7KW)を使用する。
【0031】
なお、図面に示すように、熟成撹拌発酵槽30の上部に、有機性廃油Tを投入するための廃油投入装置31を備える構成とすることができる。
すなわち、有機廃棄物の固形燃料化処理において、油分を添加することで、生成物を固形燃料として燃え易くすることを目的とするものである。
【0032】
また、図面に示すように、熟成撹拌発酵槽30の上部に、悪臭を脱臭するための脱臭装置13を備える構成とすることができる。
すなわち、有機廃棄物の熟成・発酵処理段階で発生した悪臭を、該脱臭装置13で取り除くことを目的とするものである。
なお、取り除かれた臭気は別の脱臭機構へ送られ、悪臭分解処理が行われることとなる。
【0033】
以上の通り構成される本発明にかかる有機廃棄物処理装置10は、一定の有機廃棄物を投入し、生石灰Fと一定時間熟成・発酵させて処理する装置であるが、かかる一連の作業について、例えば有機廃棄物の投入を手作業で行うことも可能であり、また、投入コンベア、タイマ、リミットスイッチ、センサ、ヒータ、送風機、電磁バルブ、搬出コンベア等を本装置に適宜取り付けることにより、連続運転が可能な自動処理装置とすることもできる。
【実施例2】
【0034】
図2は、本発明にかかる有機廃棄物処理装置10の別の実施形態を示す断面図である。
すなわち、本実施形態にかかる有機廃棄物処理装置10は、上記実施例1の実施形態において、熟成撹拌発酵槽30の上部に設けられる生石灰Fを投入する生石灰投入装置40のスクリューコンベア44を、有機廃棄物搬送撹拌槽20のスクリューコンベア24並びに熟成撹拌発酵槽30の撹拌コンベア34を駆動するための駆動モータ11に連動させた構成となっている。
かかる構成を採用することにより、生石灰投入装置40のスクリューコンベア44を駆動するための駆動モータ41が不要となり、軽量且つコストダウンを図ることができる。
なお、有機廃棄物搬送撹拌槽20のスクリューコンベア24並びに熟成撹拌発酵槽30の撹拌コンベア34と生石灰投入装置40のスクリューコンベア44との回転数の相違については、伝達チェーン12や別途ギアを設けることで足りる。
【実施例3】
【0035】
次に、上記有機廃棄物処理装置10を使って、有機廃棄物を成分とする肥料を製造する方法について説明する。
図3は、本発明にかかる有機廃棄物肥料の製造工程を示すフローチャートであり、すなわち、以下の各工程を経て有機廃棄物を成分とした肥料が製造される。
【0036】
(1)投入工程
有機廃棄物搬送撹拌槽20の上部に設けられている投入ホッパ22,23より、有機廃棄物を投入する。このとき、乾燥有機廃棄物Kと水分含有有機廃棄物Sとを、調節しつつ一定の割合で投入することで、生成物としての有機廃棄物肥料の水分調整を行うこともできる。また、かかる有機廃棄物として、家畜等の糞尿が考えられる。
【0037】
(2)撹拌工程
有機廃棄物搬送撹拌槽20内のスクリューコンベア24で、有機廃棄物(乾燥有機廃棄物Kと水分含有有機廃棄物S)を撹拌しつつ、熟成撹拌発酵槽30に搬送する。
【0038】
(3)投入工程
熟成撹拌発酵槽30内において、有機廃棄物搬送撹拌槽20から搬送されてきた有機廃棄物に、生石灰Fを生石灰投入装置40により投入する。このとき、有機廃棄物の重量比に対して、例えば5〜8%の割合で生石灰Fを投入する。
【0039】
(4)熟成発酵工程
熟成撹拌発酵槽30内の有機廃棄物と生石灰Fとを、一定時間(約10分程度)撹拌コンベア34によって撹拌し、熟成させる。このとき、熟成発酵温度が80〜90℃位となるため、この熱の作用により殺菌効果が得られる。なお、本工程において、熟成撹拌発酵槽30内に発生した悪臭は、脱臭装置13によって取り除かれる。
【0040】
(5)排出工程
熟成撹拌発酵槽30で熟成・発酵が行われた有機廃棄物は、撹拌コンベア34の回転送り作用により、該熟成撹拌発酵槽30に設けられている排出口33から生成物として順次排出される。
【0041】
(6)乾燥工程
排出された生成物は、熟成・発酵の際の温度で高温となっているため、必要に応じて自然冷却あるいは人工冷却がなされ、所定の含水比率にまで乾燥処理が行われる。なお、乾燥のための手段に関しては、天日による自然乾燥あるいは機械・装置による強制乾燥のいずれでも構わないが、例えば、過熱蒸気発生装置を用いて強制的に乾燥する手段が考え得る。
乾燥された生成物は、有機廃棄物肥料として完成する。
【実施例4】
【0042】
次に、上記有機廃棄物処理装置10を使って、有機廃棄物を成分とする固形燃料を製造する方法について説明する。
図4は、本発明にかかる有機廃棄物固形燃料の製造工程を示すフローチャートであり、すなわち、以下の各工程を経て有機廃棄物を成分とした固形燃料が製造される。
【0043】
(1)投入工程
有機廃棄物搬送撹拌槽20の上部に設けられている投入ホッパ22,23より、有機廃棄物を投入する。このとき、乾燥有機廃棄物Kと水分含有有機廃棄物Sとを、調節しつつ一定の割合で投入することで、生成物としての有機廃棄物肥料の水分調整を行うこともできる。また、かかる有機廃棄物として、家畜等の糞尿や、木材チップCなどが考えられる。
【0044】
(2)撹拌工程
有機廃棄物搬送撹拌槽20内のスクリューコンベア24で、有機廃棄物(乾燥有機廃棄物Kと水分含有有機廃棄物S)を撹拌しつつ、熟成撹拌発酵槽30に搬送する。
【0045】
(3)投入工程
熟成撹拌発酵槽30内において、有機廃棄物搬送撹拌槽20から搬送されてきた有機廃棄物に生石灰Fを生石灰投入装置40により投入するとともに、有機性廃油Tを廃油投入装置31により投入する。このとき、有機廃棄物の重量比に対して、例えば5〜8%の割合で生石灰Fを投入する。また、有機性廃油Tは、使用済みのてんぷら油などが考えられ、有機廃棄物に対して、例えば重量比10〜15%前後の割合で投入する。
【0046】
(4)熟成発酵工程
熟成撹拌発酵槽30内の有機廃棄物と生石灰F並びに有機性廃油Tとを、一定時間(約10分程度)撹拌コンベア34によって撹拌し、熟成させる。このとき、熟成発酵温度が80〜90℃位となるため、この熱の作用により殺菌効果が得られる。なお、本工程において、熟成撹拌発酵槽30内に発生した悪臭は、脱臭装置13によって取り除かれる。
【0047】
(5)排出工程
熟成撹拌発酵槽30で熟成・発酵が行われた有機廃棄物は、撹拌コンベア34の回転送り作用により、該熟成撹拌発酵槽30に設けられている排出口33から生成物として順次排出される。
【0048】
(6)型枠工程
熟成撹拌発酵槽30の排出口33から排出された生成物を、冷却し、あるいは、高温のまま、所定の型枠15に入れる。このとき、必要に応じてプレスを加え、型を整える。
【0049】
(7)乾燥工程
所定の型枠15に入れられた生成物を所定の含水比率にまで乾燥し、固形化する。なお、乾燥のための手段に関しては、天日による自然乾燥あるいは機械・装置による強制乾燥のいずれでも構わないが、例えば、過熱蒸気発生装置を用いて強制的に乾燥する手段が考え得る。
固形化された生成物は、有機廃棄物固形燃料として完成する。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、家庭や商店や工場から廃棄される生ゴミ、野菜くず、魚肉類の残骸や使用済みのてんぷら油等、有機性廃棄物の再生処理装置として簡便に利用できるとともに、おが屑や木材チップなどの林業廃棄物を混合して、過疎地や豪雪地帯の暖房用燃料としても利用できるものであって、有機廃棄物を有効資源として再生することが可能となり、本発明の産業上の利用可能性は極めて高いものと解する。
【符号の説明】
【0051】
10 有機廃棄物処理装置
11 駆動モータ
12 伝達チェーン
13 脱臭装置
14 軸
15 型枠
20 有機廃棄物搬送撹拌槽
22 投入ホッパ
23 投入ホッパ
24 スクリューコンベア
30 熟成撹拌発酵槽
31 廃油投入装置
33 排出口
34 撹拌コンベア
40 生石灰投入装置
41 駆動モータ
42 投入ホッパ
44 スクリューコンベア
C 木材チップ
F 生石灰
H 肥料
K 乾燥有機廃棄物
N 固形燃料
S 水分含有有機廃棄物
T 有機性廃油

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機廃棄物搬送撹拌槽と熟成撹拌発酵槽とが連設され、生石灰投入装置を備えてなる有機廃棄物処理装置であって、
前記有機廃棄物搬送撹拌槽は、上部に有機廃棄物を投入するための投入ホッパを備えるとともに、槽内に有機廃棄物を撹拌しつつ前記熟成撹拌発酵槽へ搬送するためのスクリューコンベアを配設してなり、
前記熟成撹拌発酵槽は、上部に生石灰投入装置を備えるとともに、有機廃棄物搬送撹拌槽に連設された端部に対向する端部の所定箇所に熟成発酵した生成物を排出する排出口を設け、槽内に有機廃棄物と生石灰とを撹拌しつつ排出口へ搬送するための撹拌コンベアを配設してなり、
前記生石灰投入装置は、上部に生石灰を投入するための投入ホッパを備えるとともに、内部に生石灰を前記熟成撹拌発酵槽へ搬送するためのスクリューコンベアを配設してなり、
前記有機廃棄物搬送撹拌槽のスクリューコンベアと前記熟成撹拌発酵槽の撹拌コンベアとが同一の軸として一基の駆動モータに連結され、搬送・撹拌がなされることを特徴とする有機廃棄物処理装置。
【請求項2】
前記有機廃棄物処理装置において、前記有機廃棄物搬送撹拌槽の上部に備えられる投入ホッパが、乾燥有機廃棄物を投入する投入ホッパと、水分含有有機廃棄物を投入する投入ホッパとに別けて備えられていることを特徴とする請求項1に記載の有機廃棄物処理装置。
【請求項3】
前記有機廃棄物処理装置において、前記熟成撹拌発酵槽の上部に、有機性廃油を投入するための廃油投入装置が備えられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機廃棄物処理装置。
【請求項4】
前記有機廃棄物処理装置において、前記熟成撹拌発酵槽の上部に、悪臭を脱臭するための脱臭装置が備えられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の有機廃棄物処理装置。
【請求項5】
前記有機廃棄物処理装置において、前記生石灰投入装置のスクリューコンベアを、前記有機廃棄物搬送撹拌槽のスクリューコンベア並びに前記熟成撹拌発酵槽の撹拌コンベアを駆動するための駆動モータに連動させたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の有機廃棄物処理装置。
【請求項6】
前記有機廃棄物処理装置を使って有機廃棄物を成分とする肥料を製造する方法であって、
有機廃棄物を投入する投入工程と、該投入された有機廃棄物を撹拌する撹拌工程と、該撹拌された有機廃棄物に生石灰を投入する投入工程と、該生石灰が投入された有機廃棄物をスクリューで撹拌して熟成・発酵させる熟成発酵工程と、該熟成・発酵されてできた生成物を排出する排出工程と、排出された生成物を乾燥する乾燥工程により、肥料を製造することを特徴とする有機廃棄物肥料の製造方法。
【請求項7】
前記有機廃棄物肥料の製造方法において、前記有機廃棄物が、乾燥有機廃棄物及び水分含有有機廃棄物であることを特徴とする請求項6に記載の有機廃棄物肥料の製造方法。
【請求項8】
前記有機廃棄物肥料の製造方法において、前記有機廃棄物が、糞尿であることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の有機廃棄物肥料の製造方法。
【請求項9】
前記有機廃棄物処理装置を使って有機廃棄物を成分とする固形燃料を製造する方法であって、
有機廃棄物を投入する投入工程と、該投入された有機廃棄物を撹拌する撹拌工程と、該撹拌された有機廃棄物に生石灰及び有機性廃油を投入する投入工程と、該生石灰及び有機性廃油が投入された有機廃棄物をスクリューで撹拌して熟成・発酵させる熟成発酵工程と、該熟成・発酵されてできた生成物を排出する排出工程と、排出された生成物を型枠に入れる型枠工程と、型枠に入れられえた生成物を乾燥により固形化する乾燥工程により、固形燃料を製造することを特徴とする有機廃棄物固形燃料の製造方法。
【請求項10】
前記有機廃棄物固形燃料の製造方法において、前記有機廃棄物が、乾燥有機廃棄物及び水分含有有機廃棄物であることを特徴とする請求項9に記載の有機廃棄物固形燃料の製造方法。
【請求項11】
前記有機廃棄物固形燃料の製造方法において、前記有機廃棄物が、糞尿または木材チップの少なくとも一方あるいは両方であることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の有機廃棄物固形燃料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−83654(P2011−83654A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235932(P2009−235932)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【出願人】(398014492)株式会社宇賀神製作所 (3)
【出願人】(509280017)グリーンエコ合同会社 (2)
【Fターム(参考)】