説明

有機物の分解・除去装置

【課題】 クリーンルーム環境を汚染する有機物を分解除去する。
【解決手段】 クリーンルーム1内の空気を循環させる空気管路2内に、第1の酸素クラスター層3と、光触媒層4と、第2の酸素クラスター層5と、ケミカルフィルター6とを順に配列して内装されている。第1の酸素クラスター層3は、発生した(O)を光触媒層4に供給し、光触媒層4は、紫外線を照射したときに発生する活性酸素種と、第1の酸素クラスター層3から供給された多量の(O)イオンの作用によって空気中の有機物を分解する。第2の酸素クラスター層5は、光触媒層4を通過した後に残存する有機物を分解する。ケミカルフィルター6は、有機物の分解によって、生成した分解生成物の酸化物を捕捉させて空気中から除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルーム内の空気中に浮遊する有機物を分解・除去する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クリーンルームは、空気中における浮遊微小粒子、浮遊微生物が限定された清浄度レベル以下に管理され、また、その空間に供給される材料、薬品、水などについても要求される清浄度が保持され、必要に応じて温度、湿度、圧力などの環境条件についても管理が行われてきた。
【0003】
すなわち、従来は、HEPAフィルタ (High Efficiency Particulate Air Filter)などを用いて、専ら空気中の粒子を除去することでクリーンルームの高性能化の努力が続けられてきた。しかしながら、最近の半導体の微細化、高性能化の急速な進展に伴い、半導体デバイスの製造ラインでは、原因不明の歩留まり低下が慢性的に生じていることが指摘されている。その原因について、最近の調査では、従来あまり問題とされていなかった原子や、分子状の汚染物質がデバイスの特性や製造上のトラブルに大きな影響を与えていることが明らかになってきた。
【0004】
半導体製造環境内では、わずかな量の有機物や酸・塩基性ガスが製品の歩留まり、品質、信頼性に影響を与えるのである。クリーンルーム環境を汚染する有機物や酸・塩基性ガスの発生源は、外気からクリーンルーム内に入り込む有機成分だけでなく、クリーンルームの構成材料であるポリマー内装材料(床、壁、パーティション、フィルターなど)や塗料、接着剤、シール材からアウトガスとして発生する残留モノマーや溶剤、帯電防止剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤などの有機物質が第2の汚染源になり、このような有機汚染物や酸・塩基性ガスについては、現状のクリーンルームはほとんど無防備であるといってよいくらい汚染に対する対策が施されていないのが実情である(非特許文献1参照)。
【0005】
とはいえ、クリーンルームのガス状物質を除去する試みが全くなかったわけではない。特許文献1には、光触媒を用いて有機性ガスを分解除去する例、特許文献2には、オゾン又は酸素クラスターによって悪臭成分を分解、消臭せしめる例、特許文献3には、紫外線光源と、光触媒との組合せを用いてクリーンルーム内に供給される汚染化学物を一括捕集除去する装置が紹介されている。しかしながら、これらの装置は、要するに紫外線光源、光触媒、酸素クラスターなどがそれぞれに有する機能が個別に利用されているだけのことに過ぎない。
【特許文献1】特開平9−168722
【特許文献2】特開2004−65307
【特許文献3】特開平11−123316
【非特許文献1】SCAS FRONTIER REPORT(分析技術最前線)P8〜11 「半導体製造プロセスにおける有機物汚染」 千葉事業所 竹田菊男
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、クリーンルーム環境を汚染する空気中の微量の有機物を捕集・除去する手法が確立されていなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光触媒と、酸素クラスターとの併用による相互作用を利用して、クリーンルーム環境を汚染する有機物の分解効率を上げることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明による有機物の除去方法によれば、光触媒と、酸素クラスターとの組み合わせにより、それぞれの特性を生かしてクリーンルーム環境を汚染する有機物の濃度が高濃度、大量であっても有効に分解し、最終的にケミカルフィルターによって除去することができ、この結果、クリーンルーム内で製造する半導体製品の歩留まり、品質、信頼性を向上できる。また、同様の作用・効果は、前記ケミカルフィルターに代え、ウォータシャワーを用いることによっても実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
クリーンルーム環境を汚染する有機物を有効に分解するという目的を、酸素クラスターの有する機能の一部を利用して光触媒の有機物の分解機能を高めることによって実現した。
【実施例1】
【0010】
図1(a)に、本発明の方法を実施するシステムの基本的構成を示す。図1において、本発明の方法を実施するシステムは、クリーンルーム1内の特定の部位に形成した空気管路(確認)2内には、第1の酸素クラスター層3と、光触媒層4と、第2の酸素クラスター層5と、ケミカルフィルター6とを順に配列して内装されている。更にその最終段には、必要によりHEPAフィルター7が配置される。なお、光触媒層4の近傍には、光触媒(二酸化チタン)に紫外線を照射して活性酸素種(・O、O2・OH、・O2H)を発生させる紫外線ランプ8が設置されている。
【0011】
クリーンルーム1内の空気は、図示を略すファンに吸引されて空気管路2内に吸引される。空気中に含まれる有機物は第1の酸素クラスター層3、光触媒層4及び第2の酸素クラスター層5によって順次分解され、その分解性生物などはケミカルフィルター6及びHEPAフィルター7に捕捉される。一方、有機物が除去された空気は、空気管路2からクリーンルーム1内に戻され、クリーンルーム1と、空気管路2間で循環を繰り返しつつクリーンルーム1内の空気を浄化する。図1(a)においては、本発明装置の基本構成を説明するため、第1及び第2の酸素クラススター層3、5間に1段の光触媒層4を配設した例を示した。光触媒層4は1段に限らず実用上は、各段ごとに紫外線ランプ8と組合わせて2段以上配列して光触媒による分解作用を高めることが必要である。図1(b)は、第1及び第2の酸素クラススター層3、5間に光触媒層4と紫外線ランプ8との組合せが直列に10段に配列した例を示している。
【0012】
本発明において、光触媒層4、第1及び第2の酸素クラスター層3,5、ケミカルフィルター6の組合せによって、空気中に含まれる有機物が除去されるメカニズムはおよそ以下のとおりである。
【0013】
(1)光触媒層による有機物の分解メカニズムについて
光触媒層による有機物の分解メカニズムについては、二酸化チタンを主体とする光触媒層に紫外線を照射したときに光触媒層の表面に活性酸素種(・O、 O2・OH、・O2H)が発生し、発生した活性酸素種によって、有機物が分解されるものと考えられている。
【0014】
(2)酸素クラスター層による有機物の分解メカニズムについて
酸素クラスター層は、空気中の酸素分子を約3000Vで特殊放電する生成管によって帯電させて作り出された酸素のクラスター層であり、集合体構造上に+の酸素イオン(O)と−の酸素イオン(O)を多数持ったまま、1〜2分ほど存在し、その状態が持つ作用の中に、空気中の有機物を吸着してこれを包み込み、包み込んだ有機物に+の酸素イオン・−の酸素イオンを与えてイオン分解させるのである。
【0015】
(3)酸素クラスターと光触媒の分解性能について
発明者らの実験の結果、酸素クラスターは、空気中に有機物が高濃度に含まれている場合の分解作用は、必ずしも有効とは云えないが、低濃度であれば、効果的にイオン分解をすることができることがわかった。これに対し、光触媒は、酸素クラスターに比べると、高濃度の有機物の分解除去には有効であるが、大量に含まれているときには必ずしも有効に分解できないことが分かった。その理由は必ずしも明らかではないが、紫外線の照射によって、光触媒層の表面に生じる活性酸素種の発生効率(量子収率)が低いためではないかと考えられる。このような理由から、本発明においては、基本構想として、光触媒層に対しては、活性酸素量を補って活性を高め、有機物の分解処理効率を高め、大量の有機物の処理を可能にし、光触媒層を通過した空気中に残存する少量の有機物の処理を酸素クラスター層にて分解するものである。
【0016】
(4)ケミカルフィルターについて
ケミカルフィルターには、たとえば、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、バナジウム、モリブデン及びタングステンのうちのいずれか1種の金属化合物を担持したハニカム状の活性炭(特開2001−79346公報参照)の層を用いる。ケミカルフィルターは、例えばHSやベンゼン環を有する質量の小さな有機物の捕捉は難しいが、これが分解され、更にその分解生成物としてSO、NOなどの酸化物に変換されれば有効に捕捉することができる。
【0017】
(5)酸素クラスターと光触媒との組合せによる有機物の分解メカニズム
本発明の有機物の分解メカニズムを図2によって説明する。図2において、クリーンルーム内に供給される外気、あるいはリーンルーム1内の空気は、第1の酸素クラスター層3と、光触媒層4と、第2の酸素クラスター層5と、ケミカルフィルター6及びHEPAフィルター7を順次経由してクリーンルーム1内に給気されるが、その間、空気中に含まれる有機物は、以下の要領で分解、除去される。すなわち、第1の酸素クラスター層3は、前述のように(O)(O)の状態が持つ作用の中に、有機物を吸着してこれを包み込み、包み込んだ有機物をイオン分解させる機能を発現するが、本発明において、第1の酸素クラスター層3に期待する機能は、主として発生した(O)を光触媒層4に供給する機能である。
【0018】
第1の酸素クラスター層3に発生した酸素クラスターは、酸素イオン(O±)の集合体として光触媒層4にイオンを供給し、光触媒層4は、第1の酸素クラスター層3から多量の(O)イオンの供給を受けて第1の酸素クラスター層3による有機物の分解能力が高まり、大量の有機物の分解処理が可能となる、
【0019】
現実問題として、クリーンルーム1内の空気に大量の有機物が存在することはないが、光触媒層4による有機物の分解処理能力を高める結果として、空気中に含まれる有機物は光触媒層4を通過してほぼ分解され、光触媒層4を通過した後の空気中に残存するわずかな量の有機物は、第2の酸素クラスター層5の保有する分解処理能力の範囲内で余裕をもって分解される。
【0020】
このように、第1の酸素クラスター層3は光触媒層4の分解機能を高めるために設置するのであるが、クリーンルーム1内の有機物の量が光触媒層4の有する本来の有機物の分解処理能力の範囲内の量であれば、あえて第1の酸素クラスター層3を設置するまでもなく、光触媒層4と、第2の酸素クラスター層5との組み合わせによって、有機物を処理できるのは当然である。このように、第1の酸素クラスター層3は選択的に稼動させ、あるいは設置するように構成することもできる。
【0021】
(6)有機物の分解生成物の除去
有機物の分解によって生成した分解生成物は、光触媒層4あるいは第2の酸素クラスター層5の活性酸素種と結合して酸化物(例えば、SO4、NO3など)となり、これらの酸化物は後段のケミカルフィルター6に捕捉される。なお、空気中に残存する微粒子があれば、その後段のHEPAフィルター7に捕捉され、有機物が除かれた清浄吸気がクリーンルーム1に吸気される。
【0022】
以上実施例においては、空気管路内にクリーンルームの空気を循環させつつ浄化する例を説明したが、本発明は、ウォーターシャワー(水シャワー)の設備と併用することもできる。ウォーターシャワーの水膜に空気を通過させるだけでは、空気中に含まれる有機物を除去することはできないが、第1の酸素クラスター層3と、光触媒層4と、第2の酸素クラスター層5との組合せを空気管路2内に配列することによって構成された本発明のシステムを図3に示すようにウォーターシャワー9の前段に設置すると、有機物は光触媒層4あるいは第2の酸素クラスター層5の活性酸素種と結合した酸化物(例えば、SO4、NO3など)となり、これらの酸化物を水膜に捕捉させて容易に除去することができる。この場合にはケミカルフィルターは不要となる。すなわち、結果的には、ウォーターシャワー9をケミカルフィルターに代えることができる。
【0023】
(実験例)
以下に本発明の実験例を示す。
(有機物の除去実験1)
図4において、クリーンルーム内に、本発明による有機物の分解・除去装置を設置し、有機物の分解・除去装置における空気管路内に順に配列された第1の酸素クラスター層3の直前位置S1と、光触媒層4の終端位置S2と、第2の酸素クラスター層5の終端位置S3とにそれぞれセンサーを設置し、空気管路内に空気を送り込み、第1の酸素クラスター層3に導入される直前、光触媒層4を通過する直前及び光触媒層4を経由して第2の酸素クラスター層5を通過する直前の空気中に含まれるイオン物質、有機物質の量を測定した。
【0024】
それぞれの位置S1、S2、S3にて検出された有機物の総量を図5に示す、図5において、縦軸はピーク強度、横軸はリテンションタイム(保持時間)を示している。図5に明らかなとおり、第1の酸素クラスター層3の直前位置S1にて検出されたクリーンルーム内の有機物は、光触媒層4を通過する直前S2においてやや減少し、光触媒層4を経由して第2の酸素クラスター層5を通過する直前S3においては、さらなる減少傾向が見られた。図中代表的な有機物としてaはエチルアセテート、bはトルエン、cはエチルベンゼン、dはm−,p−キシレン、eはトリメチルベンゼンを示している。
【0025】
(有機物の除去実験2)
次に、空気中に含まれた有機塩素化合物(テトラクロロエチレン)の分解除去試験を行った。結果を図6に示す。図からわかるように第1の酸素クラスター層3の直前位置S1にて検出されたクリーンルーム内の有機塩素化合物は、光触媒層4を通過する直前位置S2においてやや減少し、光触媒層4を経由して第2の酸素クラスター層5を通過する直前位置S3においては、さらに減少し、従来ケミカルフィルターだけでは、除去できなかった低分子量の有機塩素化合物を除去できることが証明された。
【0026】
(有機物の除去実験3)
次に第1の酸素クラスター層3の直前位置S1と、光触媒層4を通過する直前位置S2と、第2の酸素クラスター層5を通過する直前位置S3における塩化物イオンの量を測定した。その測定結果を図7に示す。図7によれば、第1の酸素クラスター層3の直前位置S1(クリーンルーム内)の塩化物イオンの量は、約0.074μg/m、光触媒層4を通過する直前位置S2では、約0.148μg/m、第2の酸素クラスター層5を通過する直前位置S3では約0.20μg/mであった。この結果から、塩化物イオンは、有機塩素化合物の分解によって生成されたものであることが容易に推測できる。
【0027】
(有機物の除去実験4)
次に各位置S1、S2、S3における窒素酸化物の量を確認した。その測定結果を図8に示す。図8において、亜硝酸イオンは、第1の酸素クラスター層3の直前位置S1においては、約2.0μg/m、光触媒層4を通過する直前位置S2においては、約7.40μg/mと増大し、第2の酸素クラスター層5を通過する直前位置S3においては、約2.5μg/mに減少した。また、硝酸イオンは、第1の酸素クラスター層3の直前位置S1においては、約0.58μg/m、光触媒層4を通過する直前位置S2においては、約0.49μg/mであったものが第2の酸素クラスター層5を通過する直前位置S3においては約6.2μg/mのように著しく増大した。ここで検出された窒素化合物は、有機窒素化合物の分解によって生成されたものと推定される、すなわち、光触媒層4を通過した窒素化合物の結合が切断され、亜硝酸イオンが生成され、更に第2の酸素クラスター層5を通過することによって更に酸化が進み、結果的に硝酸にまで酸化されたことが分かる。
【0028】
(有機物の除去実験5)
さらに、各位置における硫黄酸化物の量を確認した。図9にその測定結果を示す。図9において、硫酸イオンは、第1の酸素クラスター層3の直前位置S1においては、約0.13μg/m、光触媒層4を通過する直前位置S2においては、約0.65μg/mであったのに対し、第2の酸素クラスター層5を通過する直前位置S3においては、約0.23μg/mに増大した。また、亜硫酸イオンは、第1の酸素クラスター層3の直前位置S1においては、約0.02μg/mであったのに対し、光触媒層4を通過する直前位置S2においては、約0.14μg/mに増大し、第2の酸素クラスター層5を通過する直前位置S3においては、約0.01μg/mに減少した。この結果は、クリーンルーム内のイオウ化合物が分解されて硫酸が生成されたこと示している。
【0029】
以上の実験結果から、触媒層は、紫外線を照射したときに発生する活性酸素種(・O、O2・OH、・O2H)と、第1の酸素クラスター層から供給された多量の(O)イオンの作用によって有機物を分解し、前記第2の酸素クラスター層は、光触媒層を通過した後に残存する有機物を分解することができ、従来の除去システムでは除去が困難とされていた低分子量からの有機物の除去が可能であることが確認された。
【0030】
特に前記第1の酸素クラスター層から、(O)を発生させて光触媒層に供給することによって有機物の分解作用をより促進することが可能となり、有機物の分解によって、生成した分解生成物である酸化物は、ケミカルフィルターによって有効に捕捉することができる。また、従来のケミカルフィルターによる有機物の除去システムでは、破過等のような寿命が過ぎたものには新品と交換する必要があるが、本発明によれば、光触媒層に用いる光触媒は、水洗いによって容易に性能を戻すことができるため、コストパーフォーマンスに優れるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明装置は、半導体製造環境に適用して、クリーンルーム内に外部から持ち込まれる有機物や、クリーンルームの構成材料から発生する有機物を有効に分解・除去でき、半導体製造環境に起因する汚染物質の影響による歩留まり低下、品質、信頼性の低下を阻止し、半導体の微細化、高性能化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1a】本発明のシステムの基本構成を示す図である。
【図1b】本発明のシステムの実機の構成の1例を示す図である。
【図2】本発明のシステムによる有機物の分解・除去のメカニズムを示す図である。
【図3】本発明の適用例を示す図である。
【図4】有機物の除去実験におけるセンサーの設置位置を示す図である。
【図5】有機物の除去実験1の測定結果を示すグラフである。
【図6】有機物の除去実験2の測定結果を示すグラフである。
【図7】有機物の除去実験3の測定結果を示すグラフである。
【図8】有機物の除去実験4の測定結果を示すグラフである。
【図9】有機物の除去実験5の測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0033】
1 クリーンルーム
2 空気管路
3 第1の酸素クラスター層
4 光触媒層
5 第2の酸素クラスター層
6 ケミカルフィルター
7 HEPAフィルター
8 紫外線ランプ
9 ウォーターシャワー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーンルームの空気を循環させる空気管路内に、第1の酸素クラスター層と、光触媒層と、第2の酸素クラスター層と、ケミカルフィルターとを順に配列して内装された有機物の分解・除去装置であって、
前記第1の酸素クラスター層は、主として発生した(O)を光触媒層4に供給する機能を有するものであり、
前記光触媒層は、紫外線を照射したときに発生する活性酸素種(・O、O2・OH、・O2H)と、第1の酸素クラスター層から供給された多量の(O)イオンの作用によって有機物を分解するものであり、
前記第2の酸素クラスター層は、光触媒層を通過した後に残存する有機物を分解するものであり、
前記ケミカルフィルターは、有機物の分解によって、生成した分解生成物の酸化物を捕捉するものであることを特徴とする有機物の分解・除去装置。
【請求項2】
前記光触媒層は、空気中に含まれる高濃度の有機物を分解する機能を有し、前記第2の酸素クラスター層は、光触媒層による処理後の低濃度の有機物を分解処理するものであることを特徴とする請求項1に記載の有機物の分解・除去装置。
【請求項3】
前記第1の酸素クラスター層は、光触媒層の処理能力に応じて選択的に設置されるものであることを特徴とする請求項1に記載の有機物の分解・除去装置。
【請求項4】
前記ケミカルフィルターに代えて、ウォーターシャワーを用い、ウォーターシャワーの前段に第1の酸素クラスター層と、光触媒層と、第2の酸素クラスター層とを設置したことを特徴とする請求項1に記載の有機物の分解・除去装置。
【請求項5】
第1の酸素クラスター層3は選択的に稼動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機物の分解・除去装置。
【請求項6】
第1の酸素クラスター層と、第2の酸素クラスター層との間に光触媒層と紫外線ランプとの組合せが2段以上直列に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の有機物の分解・除去装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−68020(P2008−68020A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251506(P2006−251506)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(390013262)NECファシリティーズ株式会社 (15)
【Fターム(参考)】