説明

有機発光素子

【課題】有機発光素子を提供する。
【解決手段】下記化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物及びこれを含んだ有機膜を具備した有機発光素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、へテロ環化合物及びこれを含む有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子(OLED:organic light emitting device)は、自発光型表示素子であり、視野角が広く、かつコントラストにすぐれるだけではなく、応答時間が速いという長所を有しているために、大きな注目を集めている。
【0003】
このような有機発光素子の種類は、大きく分けて、発光層(emitting layer)に無機化合物を使用する無機発光素子と、有機化合物を使用する有機EL(electroluminescent)素子とがあって、このうち特に、有機EL素子は、無機発光素子に比べ、輝度、駆動電圧及び応答速度特性にすぐれて多色化が可能であるという点で、多くの研究がなされている。
【0004】
有機発光素子は、一般的にアノード/有機発光層/カソードの積層構造を有し、前記アノードと発光層との間、または発光層とカソードとの間に、正孔注入層及び/または正孔輸送層及び電子注入層をさらに積層し、アノード/正孔輸送層/有機発光層/カソード、アノード/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/カソードのような構造を有する。
【0005】
このうち、正孔輸送層材料として、ポリフェニル化合物またはアントラセン誘導体などが使われうるが(例えば特許文献1)、これまで公知の正孔注入層及び/または正孔輸送層の形成材料を含んだ有機発光素子は、寿命、効率及び消費電力特性の面で満足すべきレベルに至らず、改善の余地が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−128693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、改善された電気的特性、電荷輸送能及び発光能を有するヘテロ環化合物を提供する。
本発明はまた、前記ヘテロ環化合物を含む有機発光素子を提供する。
本発明はまた、前記有機発光素子を具備した平板表示装置を提供する。
本発明はまた、前記有機発光素子の1層以上の層が前記ヘテロ環化合物を使用した湿式工程で形成される有機発光素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によって、下記化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物が提供される:
【化1】

前記式で、Ar,Arはそれぞれ独立して、C−C60置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリール基、またはC−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリール基を示し、Xは、単結合、C−C30の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリール基、またはC−C30の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリール基を示し、R,R及びRはそれぞれ独立して、水素、重水素、C−C50の置換もしくは非置換のアルキル基、C−C50の置換もしくは非置換のアルコキシ基、C−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリール基、またはC−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリール基を示し、R及びRはそれぞれ独立して、水素、重水素、C−C30の置換もしくは非置換のアルキル基、C−C30の置換もしくは非置換のアルコキシ基、C−C30の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリール基、またはC−C30の置換もしくは非置換の単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリール基を示す。
本発明の一態様によれば、前記化学式(1)で表示される化合物は、下記化学式(2)ないし(6)のうち、いずれか一つで表示されうる:
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

前記式で、ArないしAr、Ar及びAr10はそれぞれ独立して、C−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリール基、またはC−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリール基を示し、Ar及びArはそれぞれ独立して、C−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリーレン基、またはC−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリーレン基を示し、XないしXは、単結合、C−C30の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリール基、またはC−C30の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリール基を示し、R,R及びRはそれぞれ独立して、水素、重水素、C−C50の置換もしくは非置換のアルキル基、C−C50の置換もしくは非置換のアルコキシ基、C−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリール基、またはC−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリール基を示し、R及びRはそれぞれ独立して、水素、重水素、C−C30の置換もしくは非置換のアルキル基、C−C30の置換もしくは非置換のアルコキシ基、C−C30の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリール基、またはC−C30の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリール基を示す。
本発明の一態様によれば、Ar,Ar,Ar,Ar,Ar,Ar,Ar,Ar,Ar及びAr10が互いに同一であるか、Ar及びArが互いに同一であるか、X,X及びXが互いに同一であるか、R及びRが同一であるか、またはR及びRが同一でありえる。
本発明の一態様によれば、RないしRがそれぞれ独立して、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基またはフェナントレニル基でありうる。
本発明の一態様によれば、R及びRがそれぞれ独立して、メチル基でありうる。
本発明の一態様によれば、ArないしAr,Ar及びAr10はそれぞれ独立して、非置換のフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、アントラセニル基、及びフルオレニル基から選択される一環ないし三環のアリール基またはC−C30の非置換のヘテロアリール基;またはC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、シアノ、アミン、フェノキシ、フェニル、ナフチルまたはハロゲン基に置換されたフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、アントラセニル基、及びフルオレニルから選択される一環ないし三環のアリール基またはC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、シアノ、アミン、フェノキシ、フェニル、ナフチルまたはハロゲン基に置換されたC−C30ヘテロアリール基でありうる。
本発明の一態様によれば、前記化学式(1)の化合物は、下記化合物のうち一つでありうる:
【化7】

本発明の他の側面によって、第1電極と、第2電極と、前記第1電極及び第2電極間に介在された有機膜とを具備した有機発光素子であり、前記有機膜が、前記化学式(1)のヘテロ環化合物を含む有機発光素子が提供される。
本発明の一態様によれば、前記有機発光素子の有機膜は、正孔注入層または正孔輸送層でありうる。
本発明の一態様によれば、前記有機発光素子の有機膜は、正孔注入機能及び正孔輸送機能を同時に有する単一膜でありうる。
本発明の一態様によれば、前記有機発光素子の有機膜は、発光層でありうる。
本発明の一態様によれば、前記有機発光素子の有機膜は発光層であり、前記化合物は、蛍光またはリン光のホストとして使われうる。
本発明の一態様によれば、前記有機発光素子の有機膜は発光層であり、前記化合物は、蛍光ドーパントとして使われうる。
本発明の一態様によれば、前記有機発光素子の有機膜は、発光層、正孔注入層または正孔輸送層であり、前記発光層は、アントラセンもしくはその誘導体を含むことができる。
本発明の一態様によれば、前記有機発光素子の有機膜は、発光層、正孔注入層または正孔輸送層であり、前記発光層は、アリールアミンもしくはその誘導体を含むことができる。
本発明の一態様によれば、前記有機発光素子の有機膜は、発光層、正孔注入層または正孔輸送層であり、前記発光層は、スチリルアレーンもしくはその誘導体を含むことができる。
本発明の一態様によれば、前記有機発光素子の有機膜は、正孔注入層または正孔輸送層であり、該有機発光素子が、リン光性化合物を含むところの赤色発光層、緑色発光層、青色発光層または白色発光層をさらに含むことができる。
本発明の一態様によれば、前記有機発光素子は、電子阻止層、正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選択された1層以上の層をさらに含むことができる。
本発明の一態様によれば、前記素子は第1電極/正孔注入層/発光層/第2電極、第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/第2電極、または第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/第2電極の構造を有することができる。
本発明の他の態様によれば、上記有機発光素子を具備し、前記有機発光素子の第1電極が薄膜トランジスタのソース電極またはドレイン電極と電気的に連結された平板表示装置が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、上記有機発光素子を具備し、前記有機膜が、前記化学式(1)の化合物を使用し、湿式工程で形成される有機発光素子が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のヘテロ環化合物は、電気的特性、電荷輸送能にすぐれ、赤色、緑色、青色、白色のようなほぼ全てのカラーの蛍光とリン光との素子に適した正孔注入材料、正孔輸送材料及び/または発光材料として有用であり、これを利用し、高効率、低電圧、高輝度、長寿命の有機発光素子を製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の有機発光素子の構造の一例を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のヘテロ環化合物は、下記化学式(1)で表示される:
【化8】

前記式で、Ar,Arはそれぞれ独立して、C−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリール基、またはC−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリール基を示し、Xは、単結合、C−C30の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリーレン基、またはC−C30の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリーレン基を示し、R,R及びRはそれぞれ独立して、水素、重水素、C−C50の置換もしくは非置換のアルキル基、C−C50の置換もしくは非置換のアルコキシ基、C−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリール基、またはC−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリール基を示し、R及びRはそれぞれ独立して、水素、重水素、C−C30の置換もしくは非置換のアルキル基、C−C30の置換もしくは非置換のアルコキシ基、C−C30の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリール基、またはC−C30の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリール基を示す。
【0012】
有機発光層材料としてアントラセン誘導体が周知である。例えば、公知のフェニルアントラセンの二量体または三量体の化合物を使用した有機発光素子が知られているが、かような化合物を利用した素子は、共役系を介して連結されたアントラセンを2個または3個含んでいるために、エネルギーギャップが小さくなり、青色発光の色純度が落ちるという問題点がある。また、かような化合物は、酸化されやすいという弱点があって不純物が生じやすく、精製面で困難であるという点がある。
【0013】
かような問題点を克服するためにアントラセン部分の1,9−位置がナフタレンに置換されたアントラセン誘導体や、フェニル基のm−位置にアリール基が置換されたジフェニルアントラセン誘導体を利用した有機発光素子が知られているが、発光効率が低いという短所がある。
【0014】
他の公知化合物として、ナフタレン置換されたモノアントラセン誘導体を使用した有機発光素子があるが、発光効率が1cd/Aほどと低く、実用的でない。
さらに他の公知化合物として、フェニルアントラセン構造を有し、m−位置がアリール基に置換された化合物を使用した有機発光素子があるが、かような化合物は、耐熱性は優秀であるが、発光効率特性が2cd/Aほどと低く、満足すべきレベルに至らず、改善の余地が多い。
【0015】
本発明の前記化学式(1)の化合物は、有機発光素子用の発光材料及び/または電荷輸送材料または電荷注入材料としての機能を有する。また、化学式(1)の分子内へのヘテロ環の導入により、ガラス転移温度(Tg)や融点が高い。従って、発光時における有機層のうち、有機層間、あるいは有機層と金属電極との間で発生するジュール熱に対し耐熱性を有し、高温環境下での耐性が増大する。
【0016】
フルオレン基にアミンを含む環が融合された化学式(1)のような化合物を利用して製造された有機発光素子は、保存時及び駆動時の耐久性が高い。また、フルオレン基、ナフチル基などの置換基の導入で、フィルム状の分子膜状態が改善され、有機発光素子の特性を向上させるという長所がある。
【0017】
さらに具体的に、前記化学式(1)で表示される化合物は、下記化学式(2)ないし(6)のうち、いずれか一つで表示されうる:
【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

前記式で、ArないしAr、Ar及びAr10はそれぞれ独立して、C−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリール基、またはC−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリール基を示し、Ar及びArはそれぞれ独立して、C−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリーレン基、またはC−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリーレン基を示し、XないしXは、単結合、C−C30の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリーレン基、またはC−C30の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリーレン基を示し、RないしRは、前記で化学式(1)で説明した通りである。
【0018】
前記化学式(1)の化合物の置換基について、さらに詳細に叙述する。
前記ヘテロ環化合物のAr,Ar,Ar,Ar,Ar,ArまたはAr10が同一であるか,X,XまたはXが同一であるか、R及びRが同一であるか、またはR及びRが同一でありえる。
【0019】
前記式で、RないしRは、それぞれ独立して、例えばフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレン基またはフェナントレン基でありうる。
【0020】
また、前記式で、R及びRはそれぞれ独立して、例えばメチル基であり、Ar、Ar4,Ar,Ar,Ar及びAr10はそれぞれ独立して、非置換のフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、アントラセニル基、フルオレニル基から選択される一環ないし三環のアリール基またはC−C30の非置換のヘテロアリール基;またはC−Cであるアルキル、C−Cアルコキシ、シアノ、アミン、フェノキシ、フェニル、ナフチルまたはハロゲン基に置換されたフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、アントラセニル基、及びフルオレニル基から選択される一環ないし三環のアリール基またはC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、シアノ、アミン、フェノキシ、フェニル、ナフチルまたはハロゲン基に置換されたC−C30ヘテロアリール基でありうる。
【0021】
以下、本発明の化学式で使われた基のうち、代表的な基の定義について述べれば、次の通りである。
前記化学式で、非置換のC−C50アルキル基は、線形及び分枝型であって、この非制限的な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノナニル、ドデシルなどを挙げることができ、前記アルキル基のうち、一つ以上の水素原子は、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン残基、ヒドラゾン残基、カルボキシル基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸やその塩、またはC−C10アルキル基、C−C10アルコキシ基、C−C10アルケニル基、C−C10アルキニル基、C−C16アリール基、またはC−C16ヘテロアリール基に置換されうる。
【0022】
前記化学式で、非置換のC−C60アリール基は、1つの環からなる単環式基、又は、2以上の環を有する場合、互いに融合された縮合多環式基、単結合などを介して連結された非縮合多環式基のいずれであってもよい。アリールという用語は、フェニル、ナフチル、アントラセニルのような芳香族システムを含む。また、前記アリール基のうち一つ以上の水素原子は、前述のC−C50アルキル基の置換基と同じ置換基で置換可能である。
【0023】
置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式C−C30アリール基の例としては、フェニル基、C−C10アルキルフェニル基(例えば、エチルフェニル基)、ハロフェニル基(例えば、o−,m−及びp−フルオロフェニル基、ジクロロフェニル基)、シアノフェニル基、ジシアノフェニル基、トリフルオロメトキシフェニル基、ビフェニル基、ハロビフェニル基、シアノビフェニル基、C−C10アルキルビフェニル基、C−C10アルコキシビフェニル基、o−,m−、及びp−トリル基、o−,m−及びp−クメニル基、メシチル基、フェノキシフェニル基、(α,α−ジメチルベンゼン)フェニル基、(N,N−ジメチル)アミノフェニル基、(N,N−ジフェニル)アミノフェニル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、ハロナフチル基(例えば、フルオロナフチル基)、C−C10アルキルナフチル基(例えば、メチルナフチル基)、C−C10アルコキシナフチル基(例えば、メトキシナフチル基)、シアノナフチル基、アントラセニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、アセフチルレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントラキノリル基、メチルアントリル基、フェナントリル基、トリフェニレン基、ピレニル基、クリセニル基、エチル−クリセニル基、ピセニル基、ペリレニル基、クロロペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基などを挙げることができる。
【0024】
前記化学式で、C−C60の非置換のヘテロアリール基は、N、O、PまたはSのうち選択された1,2または3個のヘテロ原子を含み、一つの環からなる単環式基、または2以上の環を有する場合、それらは、互いに融合された縮合多環式基、単結合などを介して連結された非縮合多環式基のいずれであってもよい。非置換のC−C60ヘテロアリール基の例としては、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、カバゾリル基、インドリル基、キノリニル基、イソキノリニル基などを挙げることができる。また、前記ヘテロアリール基のうち、一つ以上の水素原子は、前述のC−C50アルキル基の置換基と同じ置換基で置換可能である。
【0025】
前記化学式(1)の化合物は、次の概略的な合成過程を介して合成されうる。
【化14】

【0026】
以下、本発明の化学式(1)で表現される化合物の具体的な例として、下記化合物1ないし76を挙げることができる。しかし、化学式(1)で表現される化合物がこれらの化合物に限定されるものではない。
【化15】






【0027】
本発明の一態様による有機発光素子は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極及び第2電極間に前述の化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物を含んだ有機膜を具備する。
【0028】
本発明の前記化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物を含んだ有機膜は、正孔注入層または正孔輸送層であって、正孔注入機能及び正孔輸送機能を同時に有する単一膜でもありうる。または、前記化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物を含んだ有機膜は、発光層でもありうる。前記有機膜が発光層である場合、前記化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物は、蛍光またはリン光のホストとして使われ、または蛍光ドーパントとして使われることも可能である。
【0029】
本発明の一態様による前記有機発光素子の発光層、正孔注入層または正孔輸送層が、前記化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物を含む場合、前記発光層は、公知のアントラセンもしくはその誘導体、アリールアミンもしくはその誘導体またはスチリルアレーンもしくはその誘導体を含むことができる。
【0030】
本発明の一態様による有機発光素子の正孔注入層または正孔輸送層が、前記化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物を含む場合、赤色発光層、緑色発光層、青色発光層または白色発光層は、公知のリン光化合物を含むことができる。
【0031】
一方、前記第1電極はアノードであり、前記第2電極はカソードであるが、それと反対の場合ももちろん可能である。
【0032】
前述のような有機発光素子は、必要に応じて、電子阻止層、正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層のうち、1層以上の層をさらに具備でき、必要に応じて、前記有機膜の各層を2層に形成することも可能である。
【0033】
例えば、本発明の一態様による有機発光素子は、第1電極/正孔注入層/発光層/第2電極、第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/第2電極、または第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/第2電極の構造を有することができる。または、前記有機発光素子は、第1電極/正孔注入機能及び正孔輸送機能を同時に有する単一膜/発光層/電子輸送層/第2電極、または第1電極/正孔注入機能及び正孔輸送機能を同時に有する単一膜/発光層/電子輸送層/電子注入層/第2電極の構造を有することができる。
【0034】
本発明の一態様による有機発光素子は、前面発光型、背面発光型など多様な構造で適用可能である。
【0035】
以下、本発明による有機発光素子の製造方法について、図1に図示された有機発光素子を参照しつつ、説明を行う。
図1の有機発光素子は、基板(図示せず)、第1電極(例えばアノード)、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び第2電極(例えばカソード)を具備している。
まず、基板上部に、大きい仕事関数を有する第1電極用物質を、蒸着法またはスパッタリング法などによって堆積させ、第1電極を形成する。前記第1電極は、アノードまたはカソードでありうる。ここで、基板としては、一般的な有機発光素子で使われる基板を使用するが、機械的強度、熱的安定性、透明性、表面平滑性、取扱容易性及び防水性にすぐれるガラス基板または透明プラスチック基板が望ましい。第1電極用物質としては、伝導性にすぐれる酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、Al、Ag、Mgなどを利用でき、透明電極または反射電極として形成されうる。
【0036】
次に、前記第1電極上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB(Langmuir-Blodgett)法のような多様な方法を利用し、正孔注入層(HIL)を形成できる。
【0037】
真空蒸着法によって正孔注入層を形成する場合、その蒸着条件は、正孔注入層の材料として使用する化合物、目的とする正孔注入層の構造及び熱的特性などによって異なるが、一般的に、蒸着温度100ないし500℃、真空度10−8ないし10−3torr、蒸着速度0.01ないし100Å/secの範囲で、適切に選択することが望ましい。
【0038】
スピンコーティング法によって正孔注入層を形成する場合、そのコーティング条件は、正孔注入層の材料として使用する化合物、目的とする正孔注入層の構造及び熱的特性によって異なるが、約2,000rpmないし5,000rpmのコーティング速度、コーティング後の溶媒除去のための熱処理温度は、約80℃ないし200℃の温度範囲で、適切に選択することが望ましい。
【0039】
前記正孔注入層物質としては、前述のような化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物を利用できる。または、公知の正孔注入材料を使用することもできるが、例えば、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPB)、4,4’,4”−トリス{N,N-ジフェニルアミノ}トリフェニルアミン(TDATA)、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(2−TNATA)、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Pani/DBSA)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Pani/CSA)またはポリアニリン/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PANI/PSS)などを使用できるが、これらに限定されるものではない。
【化16】

【0040】
前記正孔注入層の厚みは、約100Åないし1,0000Å、望ましくは、100Åないし1,000Åでありうる。前記正孔注入層の厚みが、前記範囲を満足する場合、駆動電圧の上昇なしに、優秀な正孔注入特性を得ることができる。
【0041】
次に、前記正孔注入層の上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような多様な方法を利用し、正孔輸送層(HTL)を形成できる。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって正孔輸送層を形成する場合、その蒸着条件及びコーティング条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲中から選択される。
【0042】
前記正孔輸送層物質は、前述のような化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物でありうる。または、公知の正孔輸送層物質を利用することもできるが、例えば、N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体;N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPB)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)などの芳香族縮合環を有するアミン誘導体などを使用できる。ここで、例えば、(4,4−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン)(TCTA)の場合、正孔輸送役割以外にも、発光層から励起子の拡散を防止する役割も果たすことができる。
【化17】

【0043】
前記正孔輸送層の厚みは、約50Åないし1,000Å、望ましくは、100Åないし600Åでありうる。前記正孔輸送層の厚みが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、優秀な正孔輸送特性を得ることができる。
【0044】
次に、前記正孔輸送層の上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような方法を利用し、発光層(EML)を形成できる。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって発光層を形成する場合、その蒸着条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲中から選択される。
【0045】
前記発光層は、前述のような化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物を含むことができる。例えば、化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物は、ホストまたはドーパントとして使われうる。前記化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物以外に、発光層は、公知の多様な発光物質を利用して形成できるが、公知のホスト及びドーパントを利用して形成することもできる。前記ドーパントの場合、公知の蛍光ドーパント及び公知のリン光ドーパントをいずれも使用できる。
【0046】
例えば、ホストとしては、トリス(8−キノラト)アルミニウム(Alq3)、4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン(ADN)、またジスチリルアリーレン(DSA)などを使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
一方、公知の赤色ドーパントとして、PtOEP、Ir(piq)、BtpIr(acac)、4−(ジシアノメチレン)−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン(DCJTB)などを利用できるが、これに限定されるものではない。
【化18】

【0048】
また、公知の緑色ドーパントとして、Ir(ppy)(ppy=フェニルピリジン)、Ir(ppy)(acac)、Ir(mpyp)、C545Tなどを利用できるが、これらに限定されるものではない。
【化19】

【0049】
一方、公知の青色ドーパントとして、FIrpic、(Fppy)Ir(tmd)、Ir(dfppz)、ter−フルオレン、4,4’−ビス(4−ジフェニルアミノスチリル)ビフェニル(DPAVBi)、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(TBP)などを利用できるが、これらに限定されるものではない。
【化20】

【0050】
前記ドーパントの含有量は、発光層の形成材料100重量部(すなわち、ホストとドーパントとの総重量は、100重量部である)を基準として、0.1ないし20重量部、特に0.5〜12重量部であることが望ましい。ドーパントの含有量が、前記範囲を満足するならば、濃度消光現象が実質的に防止されうる。
【0051】
前記発光層の厚みは、約100Åないし1,000Å、望ましくは、200Åないし600Åでありうる。前記発光層の厚みが、前記範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、優秀な発光特性を得ることができる。
【0052】
発光層がリン光ドーパントを含む場合、三重項励起子または正孔が電子輸送層に拡散する現象を防止するために、正孔阻止層(HBL)を発光層の上部に形成できる(図1には図示されていない)。このとき使用できる正孔阻止層物質は、特別に制限されずに、公知の正孔阻止層物質のうちから任意に選択して利用できる。例えば、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、ビス−(2−メチル−8−キ ノリノラト)−4−(フェニルフェノラート)アルミニウム(BAlq)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)などを利用できる。
【0053】
前記正孔阻止層の厚みは、約50Åないし1,000Å、望ましくは、100Åないし300Åでありうる。前記正孔阻止層の厚みが50Å未満である場合、正孔阻止特性が低下し、前記正孔阻止層の厚みが1,000Åを超える場合、駆動電圧が上昇しうるためである。
【0054】
次に、電子輸送層(ETL)を、真空蒸着法、またはスピンコーティング法、キャスト法などの多様な方法を利用して形成する。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって電子輸送層を形成する場合、その条件は使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲中から選択される。
【0055】
前記電子輸送層物質は、前述のような化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物でありうる。または、公知の電子輸送層の形成材料のうちから任意に選択されうる。例えば、この例としては、キノリン誘導体、特にAlq3、1,2,4−トリアゾール誘導体(TAZ)、Balqのような公知の材料を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【化21】

【0056】
前記電子輸送層の厚みは、約100Åないし1,000Å、望ましくは、100Åないし500Åでありうる。前記電子輸送層の厚みが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、優秀な電子輸送特性を得ることができる。
【0057】
また、電子輸送層の上部に、カソードから電子の注入を容易にする機能を有する物質である電子注入層(EIL)が積層されうる。
【0058】
電子注入層物質としては、前述のような化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物でありうる。または、LiF、NaCl、CsF、LiO、BaOのような電子注入層の形成材料として公知の任意の物質を利用できる。前記電子注入層の蒸着条件及びコーティング条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲中から選択される。
【0059】
前記電子注入層の厚みは、約1Åないし100Å、望ましくは、5Åないし90Åでありうる。前記電子注入層の厚みが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、優秀な電子注入特性を得ることができる。
【0060】
最後に、電子注入層の上部に、真空蒸着法やスパッタリング法などの方法を利用し、第2電極を形成できる。前記第2電極は、カソードまたはアノードとして使われうる。前記第2電極形成用物質としては、小さい仕事関数を有する金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を使用できる。具体的な例としては、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)などを挙げることができる。また、前面発光素子を得るために、ITO、IZOを使用した透明カソードを使用することもできる。
【0061】
本発明による有機発光素子は、多様な形態の平板表示装置、例えば、受動マトリックス有機発光表示装置及び能動マトリックス有機発光表示装置に備えられる。特に、能動マトリックス有機発光表示装置に備えられる場合、基板側に備えられた第1電極は、画素電極として薄膜トランジスタのソース電極またはドレイン電極と電気的に連結されうる。また、前記有機発光素子は、両面に画面を表示できる平板表示装置に備えられてもよい。
【0062】
また本発明の一態様による有機発光素子の1層以上の層は、前記化学式(1)の化合物を使用して蒸着方法で形成されうるか、または溶液に調製された化学式(1)の化合物をコーティングする湿式方法でも形成されうる。
【0063】
以下、本発明について、化合物2、14、23、32、42及び76の望ましい合成例及び実施例を具体的に例示するが、本発明が下記の実施例に限定されることを意味するものではない。
【実施例】
【0064】
<中間体1の合成>
下記式で表される中間体1を合成した。
【化22】

2−ブロモ−9,9−ジメチル−9−フルオレン30.27g(110.8mmol)、I 16.9g(66.5mmol)、HIO 15.2g(66.5mmol)をAcOHに溶かした。この溶液に、HOで希釈したHSOを徐々に滴加し、50℃で5時間撹拌した。反応液に純水を入れたところ、固体が生成された。集められた固体をフィルタリングして中間体1を37.6g(収率85%)合成した。生成された化合物は、 高解像度質量分析法(HR−MS:high resolution mass spectrometry)を用いて、確認した。
【0065】
下記の工程により化合物2を合成した。
【化23】

【0066】
<中間体2の合成>
4−ブロモビフェニル7g(30mmol)、4−アミノビフェニル7.62g(45mmol)、t−BuONa 4.3g(45mmol)、Pd(dba) 0.55g(0.6mmol)、P(t−Bu) 0.12g(0.6mmol)をトルエン100mLに溶かした後、90℃で3時間撹拌して反応させた。前記反応が完結した後、常温に冷やし、これを蒸溜水とジエチルエーテル100mLとで三回抽出した。集められた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させて得られた残留物を、シリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製し、中間体2を8.77g(収率91%)得て、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
【0067】
<中間体3の合成>
4−ブロモヨードベンゼン(8.5g、30mmol)、中間体2(6.43g、20mmol)、t−BuONa 4.3g(45mmol)、Pd(dba)3 0.55g(0.6mmol)、P(t−Bu) 0.12g(0.6mmol)をトルエン100mLに溶かした後、90℃で3時間撹拌して反応させた。前記反応が完結した後、常温に冷やし、これを蒸溜水とジエチルエーテル100mLとで三回抽出した。集められた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させて得られた残留物を、シリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製し、中間体3を7.52g(収率79%)得て、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
【0068】
<中間体4の合成>
中間体3(47.64g、100.0mmole)をテトラドロフラン(THF)200mLに溶かし、−78゜Cに冷却させた後、ブチルリチウム(ヘキサン中で2.5M、44mL、110mmole)を窒素雰囲気で徐々に滴加した。30分間、−78゜Cを維持した後、−30゜Cまで反応温度を引き上げ、再び−78゜Cまで冷却させた後、ホウ酸トリメチル(16.8mL、150mmole)を徐々に滴加した。滴加した後で室温まで温度を引き上げ、2時間維持した。反応混合物に1N HCl水溶液(50mL)を徐々に加えて30分間維持した。さらに水100mLを加え、酢酸エチル200mLで二回抽出した。有機層を乾燥、濾過、濃縮させ、カラムクロマトグラフィを利用して中間体4を30.45g(収率69%)白色固体として合成した。
【0069】
<中間体5の合成>
中間体1(7.98g、20mmol)、中間体4(8.82g、20mmol)、Pd(PPh 1.15g(0.9mmol)及びKCO 5.5g(40mmol)を、100mLのTHF/HO(2:1)混合溶液に溶かし、80℃で5時間撹拌した。反応物を室温に冷やした後で水100mLを加えた後、反応液をジエチルエーテル600mlで三回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させて得られた残留物を、ジクロロメタンとノルマルヘキサンとで再結晶させて中間体5を10.03g(収率75%)合成し、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
【0070】
<中間体6の合成>
中間体5(6.86g、10mmol)、ベンゾフェノンヒドラゾン(2.15g、11mmol)、t−BuONa 1.44g(15mmol)、Pd(OAc) 45mg(0.2mmol)そして2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’、4’、6’−トリイソプロピルビフェニル 95mg(0.2mmol)をトルエン30mLに溶かした後、90℃で3時間撹拌した。常温に冷やした反応物に蒸溜水を加え、ジエチルエーテル80mLで二回、ジクロロメタン80mLで一回抽出した。集められた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した後で溶媒を蒸発させて得られた残留物を、シリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製し、中間体6を6.54g(収率83%)得て、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
【0071】
<中間体7の合成>
中間体6(15.76g、20mmol)、p−トルエンスルホン酸モノハイドレート7.6g(40mmol)、ベンジルフェニルケトン5.88g(30mmol)に、エタノール80mLとトルエン80mLとを加えた後、110℃で24時間撹拌した。常温に冷やした反応物に蒸溜水を加え、ジエチルエーテル100mLで二回、ジクロロメタン100mLで二回抽出した。集められた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した後で溶媒を蒸発させて得られた残留物を、シリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製し、中間体7を11.25g(収率72%)得て、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
【0072】
<化合物2の合成>
中間体7(7.8g、10mmol)、ブロモベンゼン(1.88g、12mmol)、t−BuONa 2.88g(30mmol)、Pd(dba) 370mg(0.4mmol)そしてP(t−Bu) 80mg(0.4mmol)をトルエン60mLに溶かした後、90℃で3時間撹拌して反応させた。前記反応が完結した後、常温に冷やし、これを蒸溜水とジエチルエーテル50mLとで三回抽出した。集められた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させて得られた残留物を、シリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製して化合物2を5.9g(収率69%)得て、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した(calc.;856.3817、found;856.3825)
1H−NMR、400MHz、CD2Cl2:δ8.22−7.67(m、4H)、δ7.61−7.12(m、38H)、1.67(s、6H)
13C−NMR:142.2、140.1、139.5、138.2、138.1、137.5、134.2、134.1、134.0、132.1、132.0、129.9、129.3、128.7、128.6、128.4、128.0、126.3、124.8、124.5、124.3、123.3、123.1、121.5、121.9、121.4、121.1、120.5、120.4、120.0、116.3、115、8、37.6、31.6
【0073】
<化合物14の合成>
前記の化合物2の合成方法と同じ方法で、中間体7と4−ブロモビフェニルとを反応させ、化合物14を72%収率で合成した。生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した(calc.;932.4130、found;932.4123)。
1H−NMR、400MHz、CD2Cl2:δ8.25−7.69(m、4H)、δ7.65−7.22(m、42H)、1.65(s、6H)
13C−NMR:142.4、140.2、139.4、138.5、138.0、137.7、134.5、134.2、134.0、132.2、132.0、129.9、128.9、128.7、128.6、128.4、127.7、126.8、124.6、124.5、124.3、123.3、123.1、122.5、122.2、121.4、121.9、121.4、121.1、120.5、120.4、120.0、116.3、115、8、37.6、31.6
【0074】
下記の工程により、化合物23を合成した。
【化24】

【0075】
<中間体8の合成>
前記の中間体2の合成と同じ方法で、4−アミノビフェニルの代わりに、2−アミノ−9,9−ジメチルフルオレンを反応させて中間体8を85%の収率で合成し、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
【0076】
<中間体9の合成>
前記の中間体3の合成方法と同じ方法で、中間体2の代わりに、中間体8を反応させて中間体9を81%の収率で合成し、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
【0077】
<中間体10の合成>
前記の中間体4の合成と同じ方法で、中間体9を反応させて中間体10を74%の収率で合成し、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
【0078】
<中間体11の合成>
前記の中間体5の合成と同じ方法で、中間体10を反応させて中間体11を64%の収率で合成し、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
【0079】
<中間体12の合成>
前記の中間体6の合成と同じ方法で、中間体11を反応させて中間体12を82%の収率で合成し、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
【0080】
<中間体13の合成>
前記の中間体7の合成と同じ方法で、中間体12を反応させて中間体13を64%の収率で合成し、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
【0081】
<化合物23の合成>
前記の化合物2の合成方法と同じ方法で、中間体13と1−ブロモナフタレンとを反応させ、化合物23を72%収率で合成した。生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した(calc.;906.3974、found;906.3969)。
1H−NMR、400MHz、CD2Cl2:δ8.25−7.69(m、4H)、δ7.65−7.22(m、42H)、1.65(s、6H)
13C−NMR:142.4、140.2、139.4、138.5、138.0、137.7、134.5、134.2、134.0、132.2、132.0、129.9、128.9、128.7、128.6、128.4、127.7、126.8、124.6、124.5、124.3、123.3、123.1、122.5、122.2、121.4、121.9、121.4、121.1、120.5、120.4、120.0、116.3、115、8、37.6、31.6
【0082】
下記の工程により化合物32を合成した。
【化25】

【0083】
<中間体14の合成>
前記の中間体3の合成と同じ方法で、4−ブロモヨードベンゼンに代えて中間体1を、中間体2に反応させて中間体14を67%収率で合成した。生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
【0084】
<中間体15の合成>
前記の中間体4の合成と同じ方法で、中間体14を反応させて中間体15を78%の収率で合成し、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
【0085】
<中間体16の合成>
前記の中間体5の合成と同じ方法で、中間体15を反応させて中間体16を74%の収率で合成し、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
【0086】
<中間体17の合成>
前記の中間体6の合成と同じ方法で、中間体16を反応させて中間体17を75%の収率で合成し、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
【0087】
<中間体18の合成>
前記の中間体7の合成と同じ方法で、中間体17を反応させて中間体18を64%の収率で合成し、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
【0088】
<化合物32の合成>
前記の化合物2の合成と同じ方法で、中間体18とブロモベンゼンを反応させ、化合物32を65%収率で合成した。生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した(calc.;972.4443、found;972.4434)。
1H−NMR、400MHz、CD2Cl2:δ8.20−7.69(m、4H)、δ7.55−7.22(m、45H)、1.65(s、6H)、1.61(s、6H)
13C−NMR:141.4、140.6、140.2、139.1、139.3、138.5、138.3、137.3、134.6、134.2、134.1、133.2、132.0、129.2、128.9、128.7、128.6、128.4、127.5、126.8、124.7、124.5、124.3、123.7、123.1、122.4、122.2、121.2、121.9、121.4、121.1、120.5、120.4、120.0、116.3、115、8、37.6、36.5、32.4、31.3
【0089】
下記工程により、化合物42を合成した。
【化26】

【0090】
<中間体19の合成>
前記の中間体2の合成と同じ方法で、4−ブロモビフェニルの代わりに、N,N−ジフェニルアミノ−4−ブロモベンゼンを反応させて中間体19を82%の収率で合成し、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
【0091】
<中間体20及び21の合成>
中間体7の合成方法と同じ一連の反応を介して、中間体20及び中間体21を合成した(全5段階:15.3%収率)。
【0092】
<化合物42の合成>
前記の化合物2の合成方法と同じ方法で、中間体21と4−ブロモビフェニルを反応させ、化合物42を71%収率で合成した。生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した(calc.;1048.4756、found;1048.4766)。
1H−NMR、400MHz、CD2Cl2:δ8.20−7.21(m、72H)、1.69(s、18H)
13C−NMR:142.1、141.2、139.1、138.6、137.3、136.6、135.2、135.1、134.1、133.2、132.0、128.7、127.5、126.8、124.7、124.5、124.3、123.7、123.5、123.1、122.8、122.2、21.4、121.1、118.6、118.2、117.5、117.2、116.6、31.4、
【0093】
下記工程により化合物76を合成した。
【化27】

【0094】
<中間体22の合成>
トリフェニルアミン(24.5g、100mmole)を塩化メチレン500mLに溶かして−78℃に冷却した後、臭素(31.9g、200mmole)を塩化メチレン100mLに溶解させて滴加しつつ撹拌した。滴加が完了した後、室温で30分間さらに撹拌した後、冷水300mLを加えて塩化メチレンで抽出した。集められた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させて得られた残留物を、塩化メチレンとヘキサンとの混合溶液で再結晶して中間体22を36.7g(収率68%)得て、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
【0095】
<中間体23の合成>
ビスピナコラートジボロン(84g、330mmol)、中間体22(48.2g、100mmol)、t−BuONa 4.3g(45mmol)、Pd(dppf)Cl(1.2g1.5mmol)をトルエン1,000mLに溶かした後、90℃で3時間撹拌して反応させた。前記反応が完結した後、常温に冷やし、これを蒸溜水とジエチルエーテル500mLとで三回抽出した。集められた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させて得られた残留物を、シリカゲル・カラムクロマトグラフィで分離精製し、中間体23を44.2g(収率71%)得て、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
【0096】
<中間体24の合成>
前記の中間体5の合成と同じ方法で、中間体23と中間体1(3当量)とを反応させて中間体24を44%の収率で合成し、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
【0097】
<中間体25の合成>
前記の中間体6の合成と同じ方法で、中間体24とベンゾフェノンヒドラゾン(3当量)とを反応させて中間体25を54%の収率で合成し、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
【0098】
<中間体26の合成>
前記の中間体7の合成と同じ方法で、中間体25とベンジルフェニルケトン(5当量)とを反応させて中間体26を24%の収率で合成し、生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
【0099】
<化合物76の合成>
前記の化合物2の合成方法と同じ方法で、中間体26と4−ブロモベンゼン(5当量)とを反応させ、化合物76を43%収率で合成した。生成された化合物は、HR−MSを用いて確認した。
1H−NMR、400MHz、CD2Cl2:δ8.20−7.69(m、4H)、δ7.55−7.22(m、45H)、1.65(s、6H)、1.61(s、6H)
13C−NMR:141.4、140.6、140.2、139.1、139.3、138.5、138.3、137.3、134.6、134.2、134.1、133.2、132.0、129.2、128.9、128.7、128.6、128.4、127.5、126.8、124.7、124.5、124.3、123.7、123.1、122.4、122.2、121.2、121.9、121.4、121.1、120.5、120.4、120.0、116.3、115、8、37.6、36.5、32.4、31.3)
【実施例1】
【0100】
アノードは、コーニング(corning)15Ωcm(1,200Å)ITOガラス基板を50mm×50mm×0.7mmサイズに切り、イソプロピルアルコールと純水とを利用し、それぞれ5分間超音波洗浄した後、30分間紫外線を照射してオゾンに露出させて洗浄して調製し、真空蒸着装置にこのガラス基板を設置した。
前記基板上部に、まず正孔注入層として公知の物質である2−TNATAを真空蒸着して600Å厚に形成した後、次に、正孔輸送性化合物として本発明の化合物2を300Å厚に真空蒸着して正孔輸送層を形成した。
前記正孔輸送層の上部に、公知の緑色蛍光ホストであるAlq3と、公知の緑色蛍光ドーパントであるC545Tとを、重量比98:2で同時蒸着し、300Å厚に発光層を形成した。
次に、前記発光層の上部に、電子輸送層としてAlq3を300Å厚に蒸着した後、前記電子輸送層の上部に、ハロゲン化アルカリ金属であるLiFを電子注入層として10Å厚に蒸着し、Alを3,000Å(カソード電極)厚に真空蒸着し、LiF/Al電極を形成することによって有機発光素子を製造した。
この素子は、電流密度50mA/cmで、駆動電圧6.23V、発光輝度8,330cd/mの高輝度を示し、色座標は(0.310,0.643)であり、発光効率は16.66cd/Aであった。
【実施例2】
【0101】
正孔輸送層の形成時、前記化合物2の代わりに、化合物14を利用したことを除いては、実施例1と同様にして有機発光素子を製作した。
この素子は、電流密度50mA/cmで、駆動電圧6.14V、発光輝度7,956cd/mの高輝度を示し、発光効率は18.52cd/Aであった。
【実施例3】
【0102】
正孔輸送層の形成時、前記化合物2の代わりに、化合物23を利用したことを除いては、実施例1と同様にして有機発光素子を製作した。
この素子は、電流密度50mA/cmで、駆動電圧6.54V、発光輝度8,347cd/mの高輝度を示し、発光効率は18.04cd/Aであった。
【実施例4】
【0103】
正孔輸送層の形成時、前記化合物2の代わりに、化合物32を利用したことを除いては、実施例1と同様にして有機発光素子を製作した。
この素子は、電流密度50mA/cmで、駆動電圧6.55V、発光輝度8,271cd/mの高輝度を示し、発光効率は18.14cd/Aであった。
【実施例5】
【0104】
電子輸送層の形成時、Alq3の代わりに、化合物42を利用したことを除いては、実施例1と同様にして有機発光素子を製作した。
この素子は、電流密度50mA/cmで、駆動電圧6.88V、発光輝度8,076cd/mの高輝度を示し、発光効率は16.91cd/Aであった。
【実施例6】
【0105】
発光層の形成時、緑色蛍光ドーパントであるC545Tの代わりに、化合物76を利用したことを除いては、実施例1と同様にして有機発光素子を製作した。
この素子は、電流密度50mA/cmで、駆動電圧7.32V、発光輝度7,236cd/mの高輝度を示し、色座標は(0.321,0.635)であり、発光効率は16.14cd/Aであった。
[比較例1]
【0106】
正孔輸送層の形成時、前記化合物2の代わりに、公知の物質である4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)を利用したことを除いては、実施例1と同様にして有機発光素子を製作した。
この素子は、電流密度50mA/cmで、駆動電圧6.84V、発光輝度6,730cd/mを示し、色座標は、(0.320,0.637)とほぼ同一であり、発光効率は13.46cd/Aであった。
本発明による化学式(1)の構造を有する化合物を、電子輸送材料または正孔輸送材料として有機発光装置に使用した結果、公知物質であるNPBと比較し、駆動電圧が低いものが多く、効率が向上した、すぐれたI−V−L特性を示し、特に寿命改善効果にすぐれ、いずれも、比較例1に比べて寿命が100%以上向上する結果を示した。寿命結果などを要約し、下記表1に示した。
【0107】
【表1】

【0108】
本発明について、前記合成例及び実施例を参考にして説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、本発明に属する技術分野の当業者ならば、それらから多様な変形及び均等な他実施例が可能であるという点を理解するであろう。よって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決まるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1)で表示されるヘテロ環化合物:
【化1】

上式で、Ar,Arはそれぞれ独立して、C−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリール基、またはC−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリール基を示し、
は、単結合、C−C30の置換もしくは非置換の単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリーレン基、またはC−C30の置換もしくは非置換の単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリーレン基を示し、
,R及びRはそれぞれ独立して、水素、重水素、C−C50の置換もしくは非置換のアルキル基、C−C50の置換もしくは非置換のアルコキシ基、C−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリール基、またはC−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリール基を示し、
及びRはそれぞれ独立して、水素、重水素、C−C30の置換もしくは非置換のアルキル基、C−C30の置換もしくは非置換のアルコキシ基、C−C30の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリール基、またはC−C30の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリール基を示す。
【請求項2】
前記化学式(1)で表示される化合物が、下記化学式(2)ないし(6)のうち、いずれか一つで表示されることを特徴とする請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

前記式で、ArないしAr、Ar及びAr10はそれぞれ独立して、C−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリール基、またはC−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリール基を示し、
Ar及びArはそれぞれ独立して、C−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリーレン基、またはC−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリーレン基を示し、
ないしXは、単結合、C−C30の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリーレン基、またはC−C30の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリーレン基を示し、
,R及びRはそれぞれ独立して、水素、重水素、C−C50の置換もしくは非置換のアルキル基、C−C50の置換もしくは非置換のアルコキシ基、C−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリール基、またはC−C60の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリール基を示し、
及びRはそれぞれ独立して、水素、重水素、C−C30の置換もしくは非置換のアルキル基、C−C30の置換もしくは非置換のアルコキシ基、C−C30の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式アリール基、またはC−C30の置換もしくは非置換の、単環式、または、縮合もしくは非縮合多環式ヘテロアリール基を示す。
【請求項3】
Ar,Ar,Ar,Ar,Ar,Ar及びAr10が互いに同一であるか、Ar及びArが互いに同一であるか、X,X及びXが互いに同一であるか、R及びRが同一であるか、またはR及びRが同じであることを特徴とする請求項2に記載のヘテロ環化合物。
【請求項4】
ないしRがそれぞれ独立して、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基またはフェナントレニル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のヘテロ環化合物。
【請求項5】
及びRがそれぞれ独立して、メチル基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘテロ環化合物。
【請求項6】
ArないしAr,Ar及びAr10はそれぞれ独立して、非置換のフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、アントラセニル基、及びフルオレニル基から選択される一環ないし三環のアリール基、またはC−C30の非置換のヘテロアリール基;C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、シアノ、アミン、フェノキシ、フェニル、ナフチルまたはハロゲン基に置換されたフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、アントラセニル基、及びフルオレニル基から選択される一環ないし三環のアリール基、またはC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、シアノ、アミン、フェノキシ、フェニル、ナフチルまたはハロゲン基に置換されたC−C30ヘテロアリール基であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載のヘテロ環化合物。
【請求項7】
前記化学式(1)の化合物が下記化合物のうち、いずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載のヘテロ環化合物。
【化7】

【請求項8】
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極及び第2電極間に介在する有機膜とを具備した有機発光素子であり、
前記有機膜が請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載のヘテロ環化合物を含む有機発光素子。
【請求項9】
前記有機発光素子の有機膜が、正孔注入層または正孔輸送層であることを特徴とする請求項8に記載の有機発光素子。
【請求項10】
前記有機発光素子の有機膜が、正孔注入機能及び正孔輸送機能を同時に有する単一膜であることを特徴とする請求項8に記載の有機発光素子。
【請求項11】
前記有機発光素子の有機膜が発光層であることを特徴とする請求項に8記載の有機発光素子。
【請求項12】
前記有機発光素子の有機膜が発光層であり、前記ヘテロ環化合物が蛍光またはリン光のホストとして含まれることを特徴とする請求項8又は11に記載の有機発光素子。
【請求項13】
前記有機発光素子の有機膜が発光層であり、前記ヘテロ環化合物が蛍光ドーパントとして含まれることを特徴とする請求項8又は11に記載の有機発光素子。
【請求項14】
前記有機発光素子の有機膜が発光層、正孔注入層または正孔輸送層であり、前記発光層は、アントラセンもしくはその誘導体を含むことを特徴とする請求項8に記載の有機発光素子。
【請求項15】
前記有機発光素子の有機膜が発光層、正孔注入層または正孔輸送層であり、前記発光層は、アリールアミンもしくはその誘導体を含むことを特徴とする請求項8に記載の有機発光素子。
【請求項16】
前記有機発光素子の有機膜が発光層、正孔注入層または正孔輸送層であり、前記発光層は、スチリルアレーンもしくはその誘導体を含むことを特徴とする請求項8に記載の有機発光素子。
【請求項17】
前記有機発光素子の有機膜が正孔注入層または正孔輸送層であり、該有機発光素子が、リン光性化合物を含むところの、赤色発光層、緑色発光層、青色発光層または白色発光層をさらに含むことを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の有機発光素子。
【請求項18】
前記有機発光素子が、電子阻止層、正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選択された1層以上の層をさらに含むことを特徴とする請求項8〜17のいずれか1項に記載の有機発光素子。
【請求項19】
前記素子が、第1電極/正孔注入層/発光層/第2電極、第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/第2電極、または第1電極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/第2電極の構造を有することを特徴とする請求項8〜17のいずれか1項に記載の有機発光素子。
【請求項20】
請求項8〜19のいずれか1項に記載の有機発光素子を具備し、前記有機発光素子の第1電極が、薄膜トランジスタのソース電極またはドレイン電極と電気的に連結された平板表示装置。
【請求項21】
請求項8〜20のいずれか1項に記載の有機発光素子を具備し、前記有機膜が、湿式工程で形成された有機発光素子。

【図1】
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【公開番号】特開2011−37826(P2011−37826A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113453(P2010−113453)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】