説明

有機電子デバイスのための材料の堆積のためのテーパ状マスク

電子デバイスが、基板と、開口部を有する構造と、構造の上にあり開口部内にある第1の電極とを含む。断面図から、開口部における構造は負傾斜を有する。平面図から、各開口部は有機電子構成要素の周囲に実質的に対応してもしなくてもよい周囲を有する。構造の上にあり開口部内にある第1の電極の部分は互いに接続される。電子デバイスを形成するためのプロセスにおいて、有機活性層を開口部内に堆積させることができ、有機活性層は液体組成物を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電子デバイス、および電子デバイスを形成するための方法に関する。より特定的には、本発明は、有機電子構成要素を含む電子デバイスに関する。
【0002】
(連邦政府支援研究に関する陳述)
本発明は、政府支援で、DARPA許可番号4332下でなされた。政府は、本発明における特定の権利を有することができる。
【背景技術】
【0003】
ますます、活性有機分子が電子デバイスに使用されている。これらの活性有機分子は、エレクトロルミネセンスを含む電子特性または電子放射特性を有する。有機活性材料を組入れる電子デバイスは、電気エネルギーを放射線に変換するために使用することができ、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、またはダイオードレーザを挙げることができる。有機活性層を組入れる電子デバイスは、また、放射線に応答して信号を発生させる(たとえば、光検出器(たとえば、光伝導セル、フォトレジスタ、フォトスイッチ、フォトトランジスタ、光電管)、赤外(「IR」)検出器、バイオセンサ)、放射線を電気エネルギーに変換する(たとえば、光起電力デバイスまたは太陽電池)、および論理機能を行う(たとえば、トランジスタまたはダイオード)ために使用することができる。
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,356,429号明細書
【特許文献2】米国特許第4,539,507号明細書
【特許文献3】米国特許第5,247,190号明細書
【特許文献4】米国特許第5,408,109号明細書
【特許文献5】米国特許第5,317,169号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、有機活性層を含む電子構成要素の製造は困難である。有機活性層の一定しない形成が、典型的には、劣ったデバイス性能、およびデバイス製造プロセスにおける劣った歩留りをもたらす。有機活性層の液体堆積の場合、電極の劣った濡れが有機活性層内の空隙をもたらすことがある。
【0006】
図1は、先行技術構造102の平面図を示し、図2は、先行技術構造102の断面図を示す。構造102は、図2の断面図から見ると正傾斜を有する周囲を有する。液体組成物106が、周囲の構造102によって形成されたウェル内に堆積されると、それは空隙を形成することがある。そのような空隙は、放射線放出または放射線吸収のための利用可能な表面領域を減少させ、低減された性能をもたらす。空隙108などの空隙は、また、電極などの、下にある構造104を露出させることがある。付加的な層が、液体組成物を硬化させることから生じる有機層の上に形成されると、これらの層は下にある構造104と接触することがあり、電極間の電気的短絡を可能にし、かつ影響された有機電子構成要素を動作不能にする。
【0007】
さらに、構造102が疎水性である(すなわち、高濡れ角を有する)場合、液体組成物106の劣った濡れが、構造102の近くでウェル内で生じることがあり、また、有機層が薄くなることをもたらすことがある。有機層は、電極間の電気的短絡を防止するのに十分厚いことができるが、ピクセル端縁における薄い有機層は、低整流比および低輝度効率をもたらすことがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの例示的な実施形態において、電子デバイスが、基板と、開口部を有する構造と、構造の上にあり開口部内にある第1の電極とを含む。断面図から、開口部における構造は負傾斜を有する。平面図から、各開口部は、有機電子構成要素の周囲に実質的に対応する周囲を有する。構造の上にあり、開口部内にある第1の電極の部分が互いに接続される。
【0009】
さらなる実施形態において、電子デバイスが、基板と、基板の上にある第1の構造と、基板の上にある第2の構造とを含む。断面図から、第1の構造は負傾斜を有し、平面図から、第1の構造は第1のパターンを有する。断面図から、第2の構造は負傾斜を有し、平面図から、第2の構造は第1のパターンと異なった第2のパターンを有する。第1の構造は、第2の構造と接触する部分を有する。
【0010】
別の例示的な実施形態において、電子デバイスを形成するための方法が、負傾斜と、開口部とを有する構造を形成する工程を含む。平面図から、各開口部は有機電子構成要素の周囲に実質的に対応する周囲を有する。方法は、また、有機活性層を開口部内に堆積させる工程を含む。有機活性層は液体組成物を有する。方法は、構造および有機活性層の上にあり、開口部内にある第1の電極を形成する工程をさらに含む。構造の上にあり、開口部内にある第1の電極の部分が互いに接続される。先の一般的な説明および次の詳細な説明は、例示および説明にすぎず、添付の特許請求の範囲に規定されるような本発明を限定するものではない。
【0011】
本発明を、添付の図において、限定ではなく例として示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
一実施形態において、電子デバイスが、基板と、開口部を有する構造と、構造の上にあり開口部内にある第1の電極とを含む。断面図から、開口部における構造は負傾斜を有する。平面図から、各開口部は、有機電子構成要素の周囲に実質的に対応する周囲を有する。構造の上にあり開口部内にある第1の電極の部分が互いに接続される。
【0013】
1つの例示的な実施形態において、構造の表面が疎水性である。さらなる例示的な実施形態において、第2の電極が基板と構造との間にある。付加的な実施形態において、第2の電極は、親水性である表面を有する。別の例示的な実施形態において、基板は、有機電子構成要素に結合されたドライバ回路を含む。
【0014】
さらなる実施形態において、電子デバイスが、基板と、基板の上にある第1の構造と、基板の上にある第2の構造とを含む。断面図から、第1の構造は負傾斜を有し、平面図から、第1の構造は第1のパターンを有する。断面図から、第2の構造は負傾斜を有し、平面図から、第2の構造は第1のパターンと異なった第2のパターンを有する。第1の構造は、第2の構造と接触する部分を有する。
【0015】
1つの例示的な実施形態において、第1の構造は開口部を含み、平面図から、各開口部は有機電子構成要素の周囲に実質的に対応する周囲を有する。別の例示的な実施形態において、電子デバイスは、少なくとも第1の構造および第2の構造の部分の上にある電極を含む。さらなる例示的な実施形態において、電極は、開口部内にあり、開口部間で連続している。付加的な実施形態において、第2の構造は、第1の構造の厚さより少なくとも1.5倍大きい厚さを有する。別の例示的な実施形態において、第1の構造は約3マイクロメートル以下の厚さを有する。さらなる例示的な実施形態において、第2の構造は少なくとも約3マイクロメートルの厚さを有する。付加的な例示的な実施形態において、電子デバイスは、基板と第1の構造との間の電極を含む。別の例示的な実施形態において、電極は親水性である表面を有する。さらなる例示的な実施形態において、電子デバイスはパッシブマトリックスディスプレイを含む。付加的な例示的な実施形態において、第1の構造および第2の構造は、疎水性である表面を有する。
【0016】
別の例示的な実施形態において、電子デバイスを形成するための方法が、負傾斜と、開口部とを有する構造を形成する工程を含む。平面図から、各開口部は有機電子構成要素の周囲に実質的に対応する周囲を有する。方法は、また、有機活性層を開口部内に堆積させる工程を含む。有機活性層は液体組成物を有する。方法は、構造および有機活性層の上にあり、開口部内にある第1の電極を形成する工程をさらに含む。構造の上にあり、開口部内にある第1の電極の部分が互いに接続される。
【0017】
1つの例示的な実施形態において、方法は、構造を形成する前に第2の電極を形成する工程を含み、構造を形成した後、第2の電極の部分が開口部の底部に沿って露出される。別の例示的な実施形態において、液体組成物は、90度未満の濡れ角で第2の電極と接触する。さらなる例示的な実施形態において、液体組成物は少なくとも45度の濡れ角で構造と接触する。
【0018】
上で開示された例示的な実施形態の各々について、有機電子構成要素は有機活性層を含むことができる。
【0019】
本発明の他の特徴および利点は、次の詳細な説明、および特許請求の範囲から明らかであろう。詳細な説明は、最初に、定義を扱い、次いで、構造、電子デバイスの層および構成要素、電子デバイスを形成するためのプロセス、ならびに他の実施形態を扱う。
【0020】
(1.用語の定義および明確化)
以下で説明される実施形態の詳細を扱う前、いくつかの用語を定義または明確化する。ここで使用されるように、層または材料に言及するときの「活性」という用語は、電子特性または電子放射特性を有する層または材料を意味することが意図される。活性層材料は、放射線を放出することができるか、放射線を受容すると電子−正孔対の濃度の変化を示すことができる。
【0021】
「アクティブマトリックス」という用語は、電子構成要素のアレイ、およびアレイ内の対応するドライバ回路を意味することが意図される。
【0022】
「回路」という用語は、適切に接続され適切な電位が供給されると、集合的に機能を行う、電子構成要素の集まりを意味することが意図される。回路としては、ディスプレイのアレイ内のアクティブマトリックスピクセル、列または行デコーダ、列または行アレイストローブ、センス増幅器、信号またはデータドライバなどを挙げることができる。
【0023】
電子構成要素、回路、またはそれらの部分に関する「接続された」という用語は、2つ以上の電子構成要素、回路、または少なくとも1つの電子構成要素および少なくとも1つの回路の任意の組合せが、それらの間にある介在する電子構成要素を少しも有さないことを意味することが意図される。寄生抵抗、寄生キャパシタンス、または両方は、この定義の目的のための電子構成要素とみなされない。一実施形態において、電子構成要素は、互いに電気的に短絡され、かつ実質的に同じ電圧にあるとき、接続される。電子構成要素を、光学信号がそのような電子構成要素の間で伝達されることを可能にするように、光ファイバ線を使用してともに接続することができることに留意されたい。
【0024】
「結合された」という用語は、信号(たとえば、電流、電圧、または光学信号)を1つのものから別のものに伝達することができるような、2つ以上の電子構成要素、回路、システム、または、(1)少なくとも1つの電子構成要素、(2)少なくとも1つの回路、もしくは(3)少なくとも1つのシステムのうちの少なくとも2つの任意の組合せの接続、連結、または関連を意味することが意図される。「結合された」の非限定的な例としては、電子構成要素間の直接接続、スイッチ(たとえば、トランジスタ)が間に接続された回路または電子構成要素などを挙げることができる。
【0025】
「ドライバ回路」という用語は、有機電子構成要素などの電子構成要素の活性化を制御するように構成された回路を意味することが意図される。
【0026】
「電気的に連続した」という用語は、電気開回路なしで導電経路を形成する層、部材、または構造を意味することが意図される。
【0027】
「電極」という用語は、キャリヤを輸送するように構成された構造を意味することが意図される。たとえば、電極は、アノード、カソードであることができる。電極としては、トランジスタ、キャパシタ、抵抗器、インダクタ、ダイオード、有機電子構成要素、および電源の部分を挙げることができる。
【0028】
「電子構成要素」という用語は、電気的機能を行う回路の最も低いレベルのユニットを意味することが意図される。電子構成要素としては、トランジスタ、ダイオード、抵抗器、キャパシタ、インダクタなどを挙げることができる。電子構成要素は、寄生抵抗(たとえば、ワイヤの抵抗)または寄生キャパシタンス(たとえば、導体間のキャパシタが意図されないか偶発的である、異なった電子構成要素に接続された2つの導体の間の容量結合)を含まない。
【0029】
「電子デバイス」という用語は、適切に接続され適切な電位が供給されると、集合的に機能を行う、回路、電子構成要素、またはそれらの組合せの集まりを意味することが意図される。電子デバイスは、システムを含むか、システムの一部であることができる。電子デバイスの例としては、ディスプレイ、センサアレイ、コンピュータシステム、アビオニクス、自動車、携帯電話、および多くの他の消費者用および産業用電子製品が挙げられる。
【0030】
「親水性」という用語は、液体の端縁が、接触する表面に対して90度未満の濡れ角を示すことを意味することが意図される。
【0031】
「疎水性」という用語は、液体の端縁が、接触する表面に対して90度以上の濡れ角を示すことを意味することが意図される。
【0032】
「層」という用語は、「フィルム」という用語と交換可能に使用され、所望の領域を被覆するコーティングを指す。この領域は、デバイス全体ほど大きいか、実際のビジュアルディスプレイなどの特定の機能領域ほど小さいか、1つのサブピクセルほど小さいことができる。フィルムを、蒸着および液体堆積を含む任意の従来の堆積技術によって形成することができる。典型的な液体堆積技術としては、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、ディップコーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングなどの連続堆積技術、ならびにインクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷などの不連続堆積技術が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
「液体組成物」という用語は、1つまたは複数の液体媒体に溶解されて溶液を形成するか、1つまたは複数の液体媒体中に分散されて分散液を形成するか、1つまたは複数の液体媒体中に懸濁されて懸濁液またはエマルションを形成する有機活性材料を意味することが意図される。
【0034】
「負傾斜」という用語は、構造の側面が、上に構造が形成された実質的に平面の表面に対して鋭角を形成する構造の特徴を意味することが意図される。
【0035】
「開口部」という用語は、平面図で見ると、領域を囲む特定の構造がないことによって特徴づけられた領域を意味することが意図される。
【0036】
「有機電子デバイス」という用語は、1つまたは複数の半導体層または材料を含むデバイスを意味することが意図される。有機電子デバイスとしては、(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(たとえば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、またはダイオードレーザ)、(2)エレクトロニクスプロセスによって信号を検出するデバイス(たとえば、光検出器(たとえば、光伝導セル、フォトレジスタ、フォトスイッチ、フォトトランジスタ、または光電管)、IR検出器、またはバイオセンサ)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(たとえば、光起電力デバイスまたは太陽電池)、および(4)1つまたは複数の有機半導体層を含む1つまたは複数の電子構成要素を含むデバイス(たとえば、トランジスタまたはダイオード)が挙げられる。
【0037】
デバイス内の層、部材、または構造に言及するために使用されるときの「上にある」という用語は、必ずしも、1つの層、部材、または構造が、別の層、部材、または構造のすぐ隣であるか、別の層、部材、または構造と接触することを意味しない。
【0038】
「パッシブマトリックス」という用語は、ドライバ回路を少しも有さない、電子構成要素のアレイを意味することが意図される。
【0039】
「周囲」という用語は、平面図から、閉じた平面形状を形成する、層、部材、または構造の境界を意味することが意図される。
【0040】
「構造」という用語は、単独で、または他のパターニングされた層または部材と組合されて、意図された目的を果たすユニットを形成する、1つまたは複数のパターニングされた層または部材を意味することが意図される。構造の例としては、電極、ウェル構造、カソードセパレータなどが挙げられる。
【0041】
「基板」という用語は、剛性または可撓性であることができ、かつ、ガラス、ポリマー、金属、もしくはセラミック材料、またはそれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない1つまたは複数の材料の1つまたは複数の層を含むことができるベース材料を意味することが意図される。
【0042】
「濡れ角」という用語は、固体表面から液体を介して気体/液体界面まで測定される、気体、液体、および固体表面間の端縁界面における接線角度を意味することが意図される。
【0043】
ここで使用されるように、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、またはそれらのいかなる他の変形も、非排他的な包含を網羅することが意図される。たとえば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置が、必ずしも、それらの要素のみに限定されないが、明白に記載されていないか、そのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要素を含んでもよい。さらに、そうでないと明白に記載されていない限り、「または」は、包含的な「または」を指し、排他的な「または」を指さない。たとえば、条件AまたはBが、次のいずれか1つによって満たされる。Aが真であり(または存在し)、かつBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)、かつBが真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)。
【0044】
また、「a」または「an」の使用は、本発明の要素および構成要素を説明するために使用される。これは、単に便宜上、かつ本発明の一般的な意味を与えるために行われる。この説明は、1つまたは少なくとも1つを含むように読まれなければならず、単数形は、そうでないように意味されることが明らかでない限り、また、複数形を含む。
【0045】
特に定義されない限り、ここで使用される技術および科学用語はすべて、本発明が属する技術における当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。ここで説明されるものと同様または同等の方法および材料を、本発明の実施またはテストに用いることができるが、適切な方法および材料を以下で説明する。ここで挙げられる刊行物、特許出願、特許、および他の引例をすべて、それらの全体を参照により援用する。抵触の場合には、定義を含む本明細書が優先するだろう。さらに、材料、方法、および例は、例示にすぎず、限定することは意図されない。
【0046】
(2.電子デバイスの構造、層、および構成要素)
特定の実施形態において、電子デバイスが、有機電子構成要素のアレイと、平面図から見ると有機電子構成要素の各々の周囲に対応する開口部を有する構造とを含む。構造は、断面図から見ると開口部において負傾斜を有する。各有機電子構成要素は、有機活性層を含む1つまたは複数の層によって分離された第1および第2の電極(たとえば、アノードおよびカソード)を含むことができる。一実施形態において、例示的な電子デバイスは、また、電極セパレータ(たとえばカソードセパレータ)などの、負傾斜を有する第2の構造を含むことができる。
【0047】
1つの例示的な実施形態において、有機電子構成要素のアレイは、パッシブマトリックスの一部であることができる。別の例示的な実施形態において、有機電子構成要素のアレイは、アクティブマトリックスの一部であることができる。したがって、電子デバイスの例示的な実施形態は、アクティブマトリックスディスプレイおよびパッシブマトリックスディスプレイを含むことができる。
【0048】
一般に、各有機電子構成要素は、1つまたは複数の有機活性層によって分離された2つの電極を含む。さらに、正孔輸送層および電子輸送層などの他の層を、2つの電極の間に含むことができる。有機電子構成要素の各々の周囲に対応する開口部を有する構造は、中に有機電子構成要素の部分が形成されるウェルを規定する。したがって、これらの構造は、ときどき、ここでウェル構造と説明することができる。
【0049】
ウェル構造の断面は、有機層形成に影響を及ぼすことがある。図3は、例示的な構造302の断面図を示す。構造302は、負傾斜した壁または周囲304を有し、かつ下にある構造308と鋭角を形成する。図4は、下にある構造の表面406と構造壁404との間に鋭角α(アルファ)を形成する例示的な構造402の周囲の一部を示す。1つの例示的な実施形態において、角度α(アルファ)は、0°から60°、または10°から45°などの、0°から90°である。代替実施形態において、角度α(アルファ)は、毛管角度とほぼ等しいかより大きいことができる。
【0050】
図5に示されているように、液体組成物306が、構造302によって形成された開口部の周囲内に堆積されるとき、フィンガ310を見ることができる。構造302内の開口部が充填すると、液体組成物は、空隙のない層を形成する。図6は、充填された開口部の平面図を示し、図7は、図6の切断線7−7における断面図を示す。液体組成物306が周囲304に沿って堆積されるとき、それは、下にある構造308を被覆する。1つの例示的な実施形態において、液体は、図1および図2に示されているのと同様の構造および液体組成物と比較して、実質的により均一である層を形成する。
【0051】
図4の構造に関して、図8は、表面406の上にあるように形成された層808を示す。液体組成物を堆積させ、溶媒を抽出して、層808を形成することができる。示されているように、層808は、構造壁404と接触し、かつ表面406を被覆する。そのような層を含む電子デバイスは、短絡する可能性がより低い。さらに、より均一な層は、ウェル構造の近くで有機層が薄くなることが観察されるデバイスに見出される、劣ったデバイス性能特徴(たとえば、低整流比、低輝度効率など)の可能性を低減する。
【0052】
一実施形態において、電子デバイスが、基板と、負傾斜を有する第1の構造と、断面図から見ると負傾斜を有する第2の構造とを含む。第1の構造は基板の上にあり、かつ、平面図から、第1のパターンを有する。第2の構造は基板の上にあり、かつ、平面図から、第1のパターンと異なった第2のパターンを有する。一実施形態において、第1の構造はウェル構造であり、中に有機電子構成要素を形成することができる開口部のアレイである。第2の構造は、たとえば、電極セパレータ構造であることができる。
【0053】
別の実施形態において、平面図から、第1の構造内の各開口部は有機電子構成要素の周囲に実質的に対応する周囲を有する。
【0054】
一例において、第2の構造は、約3から10マイクロメートルの厚さを有することができる。第1の構造は、約1から3マイクロメートルなどの3マイクロメートル未満、または約0.4マイクロメートルなどの1マイクロメートル未満の厚さを有することができる。第2の構造は、たとえば、第1の構造の厚さより少なくとも1.5倍大きい厚さを有することができる。
【0055】
別の実施形態において、電子デバイスが、基板と、構造(たとえば、ウェル構造)と、第1の電極とを含む。構造は、開口部を有し、かつ、断面図から見ると、開口部において負傾斜を有する。平面図から、開口部の各々は、有機電子構成要素の周囲に実質的に対応する周囲を有する。第1の電極は構造の上にあり開口部内にある。構造の上にあり、開口部内にある第1の電極の部分は、互いに接続される。特定の例において、有機電子構成要素は、1つまたは複数の有機活性層を含むことができる。一実施形態において、第1の電極は、共通電極(たとえば、有機電子構成要素のアレイのための共通カソードまたは共通アノード)であることができる。別の例示的な実施形態において、第2の電極が、基板と構造との間にあることができる。さらなる例示的な実施形態において、有機電子構成要素を、基板内にあるドライバ回路(図示せず)に結合することができる。一実施形態において、第1の電極の前に第2の電極を形成することができることに留意されたい。
【0056】
1つの例示的な実施形態において、負傾斜を有する1つまたは複数の構造は、実質的に疎水性の表面を有する。表面は、90°以上などの、45°より大きい、液体組成物との濡れ角を示す。対照的に、電極などの、下にある構造は、実質的に親水性の表面を有することができ、60°未満、または約0°〜約45°などの、90°未満の、液体組成物の濡れ角を示す。
【0057】
(3.電子デバイスを形成するためのプロセス)
電子デバイスを形成するための例示的なプロセスが、基板の上にあり、かつ断面斜視図から負傾斜を有する1つまたは複数の構造を形成することを含む。パッシブマトリックスディスプレイのために用いることができる1つの例示的なプロセスが、図9から図23に示されている。このプロセスの変形を、他の電子デバイスを形成するために用いることができる。
【0058】
図9は、例示的なプロセスシーケンスの一部の平面図を示し、図10は、図9の切断線10−10から見た部分の断面図を示す。電極904を基板902上に堆積させる。基板902は、ガラスもしくはセラミック材料、または少なくとも1つのポリマーフィルムを含む可撓性基板であることができる。1つの例示的な実施形態において、基板902は透明である。任意に、基板902は、均一なバリヤ層またはパターニングされたバリヤ層などのバリヤ層を含むことができる。
【0059】
電極904はアノードまたはカソードであることができる。図9は、平行なストリップとしての電極904を示す。あるいは、電極904は、正方形、矩形、円、三角形、楕円形などの平面図形状を有する構造のパターニングされたアレイであることができる。一般に、電極は、従来のプロセス(たとえば、堆積、パターニング、またはそれらの組合せ)を用いて形成することができる。
【0060】
電極904は導電性材料を含むことができる。一実施形態において、導電性材料は、酸化インジウムスズ(ITO)などの透明な導電性材料を含むことができる。他の透明な導電性材料としては、たとえば、酸化インジウム亜鉛、酸化亜鉛、および酸化スズが挙げられる。他の例示的な導電性材料としては、酸化亜鉛スズ(ZTO)、元素金属、金属合金、およびそれらの組合せが挙げられる。電極904は、また、導電性リード(図示せず)に結合することができる。1つの例示的な実施形態において、電極904は親水性表面を有することができる。
【0061】
その後の層を、堆積させ、断面図から、負傾斜を有する構造にパターニングすることができる。図11は、プロセスにおけるこのシーケンスの平面図を示し、図12は、このシーケンスの断面図を示す。開口部1108を有し、かつ、断面図から見ると、開口部1108において負傾斜を有する構造1106が形成される。開口部1108は、電極904の部分を露出させることができる。平面図から見られるように、開口部1108の底部は、電極904の部分を含むことができるか、また、基板902の一部を包含することができる。
【0062】
1つの例示的な実施形態において、構造1106は、レジストまたはポリマー層から形成することができる。レジストは、たとえば、ネガティブレジスト材料またはポジティブレジスト材料であることができる。レジストは、基板902上に、および電極904の上に堆積させることができる。典型的な液体堆積技術としては、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、ディップコーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングなどの連続堆積技術、ならびにインクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷などの不連続堆積技術が挙げられるが、これらに限定されない。レジストは、紫外(UV)放射線などの放射線に選択的に曝すことによってパターニングすることができる。一実施形態において、レジストをスピン堆積させ焼成する(図示せず)。レジストを、マスク(図示せず)を介してUV放射線に曝し、現像し、焼成し、開口部において負傾斜を有する構造を残す。負傾斜は、(1)マスクを使用するときにUVフラッド照射(平行にされない)を用いるか、(2)マスクがレジスト層と放射線源(図示せず)との間にある間、レジスト層を過度に照射することによって達成することができる。
【0063】
別の例示的な実施形態において、犠牲構造を使用することができる。一実施形態において、犠牲層を堆積させ、パターニングして、正傾斜を有する犠牲構造を形成する。より特定的な実施形態において、断面図から、犠牲構造は、その後形成された第1の構造1106と比較して相補的なプロファイルを有する。犠牲層の厚さは、その後形成された第1の構造と実質的に同じである。一実施形態において、犠牲層を第1の電極904および基板902の上に堆積させる。パターニングされたレジスト層を、従来の技術を用いて犠牲層の上に形成する。1つの特定の実施形態において、従来のレジスト腐食エッチング技術を用いて、傾斜した側壁を形成する。別の特定の実施形態において、従来の等方性エッチを用いる。次に、パターニングされたレジスト層を、従来のレジスト除去プロセスを用いて除去する。
【0064】
第1の構造1106のために使用される別の層を、犠牲構造の上に、および犠牲構造の開口部内に堆積させる。一実施形態において、その、他の層は、少なくとも犠牲構造の厚さほどの厚さを有する。他の実施形態において、その、他の層は、犠牲層より実質的に厚い。犠牲構造の外側にある他の層の部分を、無機半導体技術内で従来のものであるエッチングまたは研磨技術を用いて除去する。部分が除去された後、第1の構造を形成する。次に、犠牲構造を除去して、第1の構造1106内の開口部1108を形成する。
【0065】
一実施形態において、第1の構造および犠牲構造のための材料は、第1の構造および犠牲構造の一方の材料が、他方の構造と比較して選択的に除去されることを可能にするために、異なっている。例示的な材料としては、金属、酸化物、窒化物、およびレジストが挙げられる。犠牲層のための材料は、第1の電極904への著しい損傷を引起すことなく、基板902から選択的に除去することができるように選択することができる。本明細書を読んだ後、当業者は、要求または望みを満たす材料を選択することができるであろう。
【0066】
形成後、構造1106はパターンを有することができる。パターンは、たとえば、図11に示されたパターンであることができる。代替パターンが、図13および図14に示されている。図13は、格子パターンを示す。図14は、平面図から見ると、下にある電極を横切って配向された楕円形開口部1404、円形開口部1406、および下にある電極に沿って配向された楕円形開口部1408を含むことができるパターンを示す。
【0067】
別の実施形態において、別のパターンが、電極904の長さに実質的に平行に配向された列を含むことができる。列の各々は、負傾斜を有し、かつ、少なくとも、電極904に隣接した位置および電極904間の位置で基板902を被覆する部分を有する。列と、その後形成された電極セパレータ構造との組合せが、平面図から、矩形開口部をもたらすことができる。構造の組合せは、液体組成物のいずれか1つまたは複数を基板の上に形成する前に形成する。
【0068】
第2の構造を、任意に、基板902および構造1106の上に堆積させることができる。第2の構造は、第1の構造1106のパターンによって、電極904の部分と接触してもしなくてもよい。第2の構造は、たとえば、電極セパレータ構造であることができる。図15、図16、図17、および図18は、第2の構造1510を含む例示的なプロセスシーケンスを示す。図15は、電極構造904に実質的に垂直に配向された第2の構造1510を含む平面図を示す。図16は、切断線16−16における、第2の構造1510の長さの間の、かつ第2の構造1510の長さに平行な断面図を示す。図17および図18は、第2の構造1510に垂直な断面図を示す。図17は、切断線17−17における開口部1108を通る断面図を示し、図18は、切断線18−18における開口部1108から離れた断面図を示す。
【0069】
図17および図18に示されているように、第2の構造1510の断面図は、負傾斜を有する。第2の構造1510は、開口部において第1の構造1106の部分を包含してもしなくてもよい。代替実施形態において、第2の構造1510を、完全に第1の構造1106の上にあるように形成することができる。一般に、第2の構造1510を、第1の構造1106に関して説明された技術と同様の技術によって形成することができる。
【0070】
いったん、第1の構造1106および任意に第2の構造1510が形成されると、開口部を介して露出された電極904を、UV/オゾンクリーニングなどによってクリーニングすることができる。構造1108および1510は、疎水性表面を生じさせるように処理することができる。たとえば、フッ素含有プラズマを用いて、構造1108および1510の表面を処理することができる。フッ素プラズマは、CF、C、NF、SF、またはそれらの組合せなどのガスを使用して形成することができる。プラズマプロセスは、直接照射プラズマを含むか、下流プラズマを用いることができる。さらに、プラズマはOを含むことができる。1つの例示的な実施形態において、フッ素含有プラズマが、約8%のOなどの、0〜20%のOを含むことができる。
【0071】
1つの特定の実施形態において、カリフォルニア州コンコードのマーチ・プラズマ・システムズ(March Plasma Systems of Concord, California)によるマーチ(March)PX500モデルプラズマ発生器を使用して、プラズマを発生させる。この設備は、フロースルーモードで、穴のあいた接地プレート、および浮動基板プレートで構成される。この実施形態において、6インチの浮動基板プレートを、CF/Oガス組成物から形成されたプラズマで処理する。ガス組成物は、約92体積%のCFなどの80〜100体積%のCFと、約8体積%のOなどの0〜20体積%のOとを含むことができる。基板は、約3分などの2〜5分間、400mTorrなどの300〜600mTorrの圧力で、400Wのプラズマなどの200〜500Wのプラズマを用いて照射することができる。
【0072】
図19および図20は、有機層1913を堆積させるプロセスにおける例示的なシーケンスを示す。有機層1913は、1つまたは複数の有機層を含むことができる。図20に示されている一実施形態において、有機層1913は、電荷輸送層1914と、有機活性層1912とを含む。存在するとき、電荷輸送層1914を、第1の電極904の上に、かつ有機活性層1912を形成する前に形成する。電荷輸送層1914は多数の目的を果たすことができる。一実施形態において、電荷輸送層1914は正孔輸送層である。示されていないが、付加的な電荷輸送層を有機活性層1912の上に形成することができる。したがって、有機層1913は、有機活性層1912と、電荷輸送層の1つまたは両方とを含むことができるか、電荷輸送層をまったく含まないことができる。電荷輸送層1914、有機活性層1912、および付加的な電荷輸送層の各々は、1つまたは複数の層を含むことができる。別の実施形態において、段階的なまたは連続的に変化する組成物を有する1つの層を、別個の電荷輸送層および有機活性層の代わりに使用することができる。
【0073】
図19および図20に戻ると、電荷輸送層1914および有機活性層1912を電極904の上に順次形成する。電荷輸送層1914および有機活性層1912の各々を、たとえば、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、ディップコーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングなどの連続堆積技術、インクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷などの不連続堆積技術、キャスティング、ならびに蒸着によって形成することができるが、これらに限定することはできない。たとえば、有機材料を含む液体組成物を、マイクロノズルなどのノズルを通して分配することができる。電荷輸送層1914および有機活性層1912の一方または両方を、付与後、硬化させることができる。
【0074】
この実施形態において、電荷輸送層1914は正孔輸送層である。正孔輸送層は、導電性部材904が有機活性層1912と直接接触するデバイスと比較して、潜在的に、寿命を増加させ、かつデバイスの信頼性を向上させるために使用することができる。1つの特定の実施形態において、正孔輸送層は、ポリアニリン(「PANI」)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(「PEDOT」)などの有機ポリマー、またはテトラチアフルバレンテトラシアノキノジメタン(TTF−TCQN)などの有機電荷移動化合物を含むことができる。正孔輸送層は、典型的には、約100〜250nmの範囲内の厚さを有する。
【0075】
正孔輸送層は、典型的には、電子が、その後形成された活性領域から除去され、かつ導電性部材904に移動されることを可能にするために、導電性である。導電性部材904および任意の正孔輸送層が導電性であるが、典型的には、導電性部材904の導電性は、正孔輸送層より著しく大きい。
【0076】
有機活性層1912の組成物は、典型的には、有機電子デバイスの用途による。有機活性層1912が放射線放出有機電子デバイスに使用される場合、有機活性層1912の材料は、十分なバイアス電圧が電極層に印加されると、放射線を放出する。放射線放出活性層は、ほとんどいかなる有機エレクトロルミネセンス材料または他の有機放射線放出材料を含有することができる。
【0077】
そのような材料は、小分子材料またはポリマー材料であることができる。小分子材料としては、たとえば、米国特許公報(特許文献1)および米国特許公報(特許文献2)に記載されたものを挙げることができる。あるいは、ポリマー材料としては、米国特許公報(特許文献3)、米国特許公報(特許文献4)、および米国特許公報(特許文献5)に記載されたものを挙げることができる。例示的な材料が、半導性共役ポリマーである。そのようなポリマーの例が、ポリ(フェニレンビニレン)(「PPV」)である。発光材料は、添加剤とともにまたは添加剤なしで、別の材料のマトリックス内に分散させることができるが、典型的には、単独で層を形成する。有機活性層は、一般に、約40〜100nmの範囲内の厚さを有する。
【0078】
有機活性層1912が放射線受容有機電子デバイスに組入れられる場合、有機活性層1912の材料としては、多くの共役ポリマーおよびエレクトロルミネセンス材料を挙げることができる。そのような材料としては、たとえば、多くの共役ポリマーならびにエレクトロルミネセンス材料およびフォトルミネセンス材料が挙げられる。特定の例としては、ポリ(2−メトキシ,5−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン)(「MEH−PPV」)、およびCN−PPVとのMEH−PPV複合体が挙げられる。有機活性層1912は、典型的には、約50〜500nmの範囲内の厚さを有する。
【0079】
示されていないが、任意の電子輸送層を有機活性層1912の上に形成することができる。電子輸送層は、電荷輸送層の別の例である。電子輸送層は、典型的には、電子が、その後形成されたカソードから注入され、かつ有機活性層1912に移動されることを可能にするために、導電性である。その後形成されたカソードおよび任意の電子輸送層が導電性であるが、典型的には、カソードの導電性は、電子輸送層より著しく大きい。
【0080】
1つの特定の実施形態において、電子輸送層は、金属キレート化オキシノイド(oxinoid)化合物(たとえば、Alq3)、フェナントロリンベースの化合物(たとえば、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(「DDPA」)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(「DPA」))、アゾール化合物(たとえば、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(「PBD」)、3−(4−ビフェニル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(「TAZ」)、またはそれらのいずれか1つまたは複数の組合せを含むことができる。あるいは、任意の電子輸送層は、無機であり、かつ、BaO、LiF、またはLiOを含むことができる。電子輸送層は、典型的には、約30〜500nmの範囲内の厚さを有する。
【0081】
電荷輸送層1914、有機活性層1912、および付加的な電荷輸送層のいずれか1つまたは複数を、1つまたは複数の液体媒体を含む液体組成物として付与することができる。疎水性および親水性表面は、液体組成物中の液体媒体に対して特定的である。一実施形態において、液体組成物は、たとえば、アルコール、グリコール、およびグリコールエーテルを含む共溶媒を含むことができる。有機活性層液体媒体のための溶媒を、電荷輸送層を溶解しないように選択することができる。あるいは、溶媒を、電荷輸送層がその溶媒に可溶性または部分的に可溶性であるように選択することができる。
【0082】
特定の実施形態において、構造1106の負傾斜は、毛管効果を引起し、有機材料の液体組成物を開口部1108の周囲に引寄せる。いったん硬化されると、有機活性層1912は、電極904および電荷輸送層1914などの、開口部1106内の下にある層を被覆し、電極(たとえば、アノードおよびカソード)などの導電性部材間の電気的短絡を防止する。
【0083】
第2の電極を、この実施形態において、電荷輸送層1914と、有機活性層1912とを含む有機層1913の上に形成する。図21は、プロセスシーケンスの平面図を示し、図22および図23は、プロセスシーケンスの断面図を示す。一実施形態において、層を、ステンシルマスクを使用して堆積させて、導電性部材2118を第2の構造1510上に形成し、電極2116を有機活性層1913の上におよび構造1106の部分の上に形成する。電極2116と導電性部材2118との間の高さの差が、それらを接続されないようにする。図22に示されているように、電極層2116は、開口部1108内の層、および第1の構造1106の部分の上にある。開口部1108内の層の上にある電極層2116の部分、および第1の構造1106の部分の上にある電極2116の部分は、互いに接続されて、電気的に連続した構造を形成する。
【0084】
一実施形態において、電極2116はカソードとして作用する。有機層1913に最も近い電極2116の層を、1族金属(たとえば、Li、Cs)、2族(アルカリ土類)金属、ランタニドおよびアクチニドを含む希土類金属から選択することができる。電極層2116および2118は、約300〜600nmの範囲内の厚さを有する。1つの特定の非限定的な実施形態において、約10nm未満のBa層、次いで、約500nmのAl層を、堆積させることができる。Al層は、金属および金属合金のいずれかと取替えることができるか、金属および金属合金のいずれかと関連して使用することができる。
【0085】
図21、図22、および図23に示されているように、電極904などのアノード、有機層1913、および、電極2116などのカソードから形成された有機電子構成要素は、周辺回路を介してアドレス可能である。たとえば、電極2116の1つの選択された行、および電極904の1つの選択された列を横切って電位を与えることが、1つの有機電子構成要素を活性化する。
【0086】
カプセル化層(図示せず)をアレイならびに周辺回路および遠隔回路の上に形成して、電子ディスプレイ、放射線検出器、および光起電力セルなどの実質的に完成した電気デバイスを形成することができる。カプセル化層を、それと基板との間に有機層がないように、レールに取付けることができる。放射線を、カプセル化層を通して伝達することができる。その場合、カプセル化層は、放射線に対して透明でなければならない。
【0087】
(4.他の実施形態)
有機電子構成要素の形成後、第1の構造1106および第2の構造1510を、任意に、変更または除去することができる。1つの例示的な実施形態において、電子デバイスを、構造1106または構造1510を形成する材料のガラス転移温度くらいに加熱することができる。そのような加熱は、リフローをもたらすことができ、断面斜視図から見ると、構造の傾斜が最終デバイスにおいて変化することを引き起す。別の実施形態において、エッチプロセスを用いて、構造1106などの構造を除去することができる。したがって、最終電子デバイスの断面外観は、図21、図22、および図23に示された構造および層と異なることができる。
【0088】
図9〜23に示されたプロセスによって形成された電子デバイスは、パッシブマトリックスデバイスである。代替実施形態において、電子デバイスはアクティブマトリックスデバイスであることができる。図24および図25は、例示的なアクティブマトリックスデバイスを示す。図25は、図24の断面線25−25における電子構成要素の断面を示す。各有機電子構成要素2416が、関連したドライバ回路2418を有する独特の電極2406を含むことができる。ドライバ回路2418を、上に独特の電極2406が形成される基板2402に組入れることができる。ウェル構造2404が、有機電子構成要素2416の周囲に対応する開口部を有することができる。パッシブマトリックスデバイスに関して説明された他のウェル構造のいくつかなどの他の構造を、他の実施形態に使用することができる。ウェル構造2404は、断面斜視図から見ると、開口部において負傾斜を有する。有機層2408が、独特の電極2406の上にあることができ、かつ、正孔輸送層2412と、有機活性層2410とを含むことができる。任意に、有機層2408は電子輸送層(図示せず)を含むことができる。さらに、有機電子構成要素2416は共通電極2414を含むことができる。次に、各有機電子構成要素2416を、ドライバ回路2418によってなど、アクティブマトリックス機構によって活性化することができる。
【0089】
上で示されたさまざまな実施形態において、電極はカソードまたはアノードであることができる。たとえば、電極904はアノードまたはカソードであることができる。同様に、電極2116はアノードまたはカソードであることができる。1つの特定の実施形態において、電極904は、透明な基板902の上にある透明なアノードである。電子ディスプレイデバイスの場合、有機電子構成要素から放出される放射線が、透明なアノードおよび基板を通って放出することができる。あるいは、電極904は透明なカソードであることができる。
【0090】
別の実施形態において、電極904および基板902は、不透明なまたは反射性であることができる。この実施形態において、電極2116を透明な材料から形成することができ、放射線放出デバイスの場合、放射線を、有機電子構成要素から電極2116を通って放出することができる。
【0091】
さらなる実施形態において、電子デバイスを形成するためのプロセスを、センサアレイ、光検出器、光伝導セル、フォトレジスタ、フォトスイッチ、フォトトランジスタ、光電管、IR検出器、バイオセンサ、光起電力セルまたは太陽電池などの放射線応答デバイスを製造する際に用いることができる。放射線応答デバイスは、透明な基板と、基板側面電極とを含むことができる。あるいは、放射線応答デバイスは、透明な上にある電極を含むことができる。
【0092】
さらなる実施形態において、電子デバイスを形成するためのプロセスを、無機デバイスのために用いることができる。一実施形態において、無機層を形成するための液体組成物が、使用され、負傾斜を有する同じまたは他の構造に隣接した液体組成物のより良好な被覆を可能にすることができる。
【0093】
先の明細書において、本発明を特定の実施形態に関して説明した。しかし、当業者は、特許請求の範囲に記載されるような本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな修正および変更を行うことができることを理解する。したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味でみなされるべきであり、そのような修正はすべて、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0094】
利益、他の利点、および問題の解決策を、特定の実施形態に関して上述した。しかし、利益、利点、問題の解決策、および、いかなる利益、利点、または解決策が生じるかより顕著になることを引起し得るいかなる要素も、特許請求の範囲のいずれかまたはすべての、重要な、必要な、または本質的な特徴または要素と解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】先行技術ウェル構造の一部の、それぞれ、平面図および断面図の図を含む。
【図2】先行技術ウェル構造の一部の、それぞれ、平面図および断面図の図を含む。
【図3】液体組成物がウェル構造内に配置される前、間、および後のウェル構造の例示的な実施形態の一部の断面図、平面図、平面図、および断面図の図を含む。
【図4】液体組成物が負傾斜を有する端縁と接触する前後の、図3、図5、図6、および図7のウェル構造の断面図の図を含む。
【図5】液体組成物がウェル構造内に配置される前、間、および後のウェル構造の例示的な実施形態の一部の断面図、平面図、平面図、および断面図の図を含む。
【図6】液体組成物がウェル構造内に配置される前、間、および後のウェル構造の例示的な実施形態の一部の断面図、平面図、平面図、および断面図の図を含む。
【図7】液体組成物がウェル構造内に配置される前、間、および後のウェル構造の例示的な実施形態の一部の断面図、平面図、平面図、および断面図の図を含む。
【図8】液体組成物が負傾斜を有する端縁と接触する前後の、図3、図5、図6、および図7のウェル構造の断面図の図を含む。
【図9】第1の電極を基板の上に形成した後の基板の一部の、それぞれ、平面図および断面図の図を含む。
【図10】第1の電極を基板の上に形成した後の基板の一部の、それぞれ、平面図および断面図の図を含む。
【図11】ウェル構造を基板および第1の電極の上に形成した後の、図9および図10の基板の、それぞれ、平面図および断面図の図を含む。
【図12】ウェル構造を基板および第1の電極の上に形成した後の、図9および図10の基板の、それぞれ、平面図および断面図の図を含む。
【図13】例示的なウェル構造パターンを示す断面図を含む。
【図14】例示的なウェル構造パターンを示す断面図を含む。
【図15】セパレータ構造を、基板、第1の電極、およびウェル構造の上に形成した後の、図11および図12の基板の平面図の図を含む。
【図16】図15の、それぞれ、切断線16−16、17−17、および18−18における断面図の図を含む。
【図17】図15の、それぞれ、切断線16−16、17−17、および18−18における断面図の図を含む。
【図18】図15の、それぞれ、切断線16−16、17−17、および18−18における断面図の図を含む。
【図19】有機層を、基板、第1の電極、ウェル構造、およびセパレータ構造の上に形成した後の、図15の基板の、それぞれ、平面図および断面図の図を含む。
【図20】有機層を、基板、第1の電極、ウェル構造、およびセパレータ構造の上に形成した後の、図15の基板の、それぞれ、平面図および断面図の図を含む。
【図21】第2の電極を、基板、第1の電極、ウェル構造、セパレータ構造、および有機層の上に形成した後の、図19および図20の基板の、それぞれ、平面図、断面図、および断面図の図を含む。
【図22】第2の電極を、基板、第1の電極、ウェル構造、セパレータ構造、および有機層の上に形成した後の、図19および図20の基板の、それぞれ、平面図、断面図、および断面図の図を含む。
【図23】第2の電極を、基板、第1の電極、ウェル構造、セパレータ構造、および有機層の上に形成した後の、図19および図20の基板の、それぞれ、平面図、断面図、および断面図の図を含む。
【図24】共通電極を有するアクティブマトリックスディスプレイの一部の、それぞれ、平面図および断面図の図を含む。
【図25】共通電極を有するアクティブマトリックスディスプレイの一部の、それぞれ、平面図および断面図の図を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
開口部を有する構造であって、断面図から、前記開口部における前記構造が負傾斜を有し、平面図から、各開口部が有機電子構成要素の周囲に実質的に対応する周囲を有する構造と、
前記構造の上にあり前記開口部内にある第1の電極であって、前記構造の上にあり前記開口部内にある前記第1の電極の部分が、互いに接続される第1の電極と
を含むことを特徴とする電子デバイス。
【請求項2】
前記有機電子構成要素が、有機活性層を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記構造の表面が、疎水性であることを特徴とする請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記基板と前記構造との間にある第2の電極をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記第2の電極が、親水性である表面を有することを特徴とする請求項4に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記基板が、前記有機電子構成要素に結合されたドライバ回路を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項7】
基板と、
前記基板の上にある第1の構造であって、
断面図から、前記第1の構造が負傾斜を有し、
平面図から、前記第1の構造が第1のパターンを有する
第1の構造と、
前記基板の上にある第2の構造であって、
断面図から、前記第2の構造が負傾斜を有し、
平面図から、前記第2の構造が、前記第1のパターンと異なった第2のパターンを有し、
前記第1の構造が、前記第2の構造と接触する部分を有する
第2の構造と
を含むことを特徴とする電子デバイス。
【請求項8】
前記第1の構造が開口部を含み、平面図から、各開口部が、有機電子構成要素の周囲に実質的に対応する周囲を有することを特徴とする請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項9】
少なくとも前記第1の構造および前記第2の構造の部分の上にある電極をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記電極が、前記開口部内にあり、前記開口部間で連続していることを特徴とする請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記有機電子構成要素が、有機活性層を含むことを特徴とする請求項8に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記第2の構造が、前記第1の構造の厚さより少なくとも1.5倍大きい厚さを有することを特徴とする請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記第1の構造が、約3マイクロメートル以下の厚さを有することを特徴とする請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項14】
前記第2の構造が、少なくとも約3マイクロメートルの厚さを有することを特徴とする請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項15】
前記基板と前記第1の構造との間の電極をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項16】
前記電極が、親水性である表面を有することを特徴とする請求項15に記載の電子デバイス。
【請求項17】
前記電子デバイスが、パッシブマトリックスディスプレイを含むことを特徴とする請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項18】
前記第1の構造および前記第2の構造が、疎水性である表面を有することを特徴とする請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項19】
電子デバイスを形成するための方法であって、
負傾斜と開口部とを有する構造を形成する工程であって、平面図から、各開口部が、有機電子構成要素の周囲に実質的に対応する周囲を有する工程と、
有機活性層を前記開口部内に堆積させる工程であって、前記有機活性層が液体組成物を有する工程と、
前記構造および前記有機活性層の上にあり、前記開口部内にある第1の電極を形成する工程であって、前記構造の上にあり、前記開口部内にある前記第1の電極の部分が、互いに接続される工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記構造を形成する前に第2の電極を形成する工程をさらに含み、前記構造を形成した後、前記第2の電極の部分が前記開口部の底部に沿って露出されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記液体組成物が、90度未満の濡れ角で前記第2の電極と接触することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記液体組成物が、少なくとも45度の濡れ角で前記構造と接触することを特徴とする請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2008−509528(P2008−509528A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524943(P2007−524943)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/027556
【国際公開番号】WO2006/078321
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】