説明

有機電子デバイス

アノードおよびカソードを有し、かつそれらの間に有機層を有する有機電子デバイスが提供される。この有機層は、順に、導電性ポリマーとフッ素化酸ポリマーとを含むバッファ層;正孔輸送層;ドーパント材料とホスト材料とを含む光活性層;および電子輸送層であり;ドーパント材料およびホスト材料のうちの少なくとも一方が縮合多環芳香族化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、有機電子デバイスに関する。特に、本開示は、少なくともいくつかの有機活性層が溶液処理によって形成されるデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
OLEDディスプレイを構成する有機発光ダイオード(「OLED」)などの有機電子デバイスにおいて、OLEDディスプレイ中では有機活性層が電気接触層の間に挟まれている。OLEDにおいて、有機活性層は、電気接触層の両端に電圧を印加すると、光透過性電気接触層を透過する光を発する光活性層である。
【0003】
発光ダイオード中の光活性成分として有機エレクトロルミネッセンス化合物が使用されることが知られている。単純な有機分子、共役ポリマー、および有機金属錯体が使用されている。光活性材料を使用するデバイスは、多くの場合、光活性(たとえば、発光)層と接触層(正孔注入接触層)との間に配置される1つまたは複数の電荷輸送層を含む。1つのデバイスは2つ以上の接触層を含むことができる。光活性層と正孔注入接触層との間に正孔輸送層を配置することができる。正孔注入接触層はアノードと呼ばれる場合もある。光活性層と電子注入接触層との間には電子輸送層を配置することができる。電子注入接触層はカソードと呼ばれる場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
改良された性能を有する電子デバイスが引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
アノードおよびカソードを含み、かつそれらの間に有機層を有する有機電子デバイスが提供され、ここで、有機層は、順に、
導電性ポリマーとフッ素化酸ポリマーとを含むバッファ層;
正孔輸送層;
ドーパント材料とホスト材料とを含む光活性層;および
電子輸送層
であり、ドーパント材料およびホスト材料のうちの少なくとも一方が縮合多環芳香族化合物である。
【0006】
ドーパント材料およびホスト材料が両方とも縮合多環芳香族化合物である、上記のような有機電子デバイスも提供される。
【0007】
ドーパント材料が、ペンタレン、インデン、ナフタレン、アズレン、ヘプタレン、ビフェニレン、as−インダセン、s−インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、テトラセン、プレイアデン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセン、テトラフェニレン、ヘキサフェン、ヘキサセン、ルビセン、コロネン、トリナフチレン、ヘプタフェン、ヘプタセン、ピラントレン、オバレン、トルキセン、ジベンゾスベラン、およびそれらの組合せからなる群から選択されるコア構造を有する縮合多環芳香族化合物である、上記のような有機電子デバイスも提供される。
【0008】
ホスト材料が、ペンタレン、インデン、ナフタレン、アズレン、ヘプタレン、ビフェニレン、as−インダセン、s−インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、テトラセン、プレイアデン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセン、テトラフェニレン、ヘキサフェン、ヘキサセン、ルビセン、コロネン、トリナフチレン、ヘプタフェン、ヘプタセン、ピラントレン、オバレン、トルキセン、ジベンゾスベラン、およびそれらの組合せからなる群から選択されるコア構造を有する縮合多環芳香族化合物である、上記のような有機電子デバイスも提供される。
【0009】
以上の概要および以下の詳細な説明は、単に例示的および説明的なものであり、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明を限定するものではない。
【0010】
本明細書において提示される概念の理解を進めるために、添付の図面において実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】有機電子デバイスの一例の図を含む。
【0012】
当業者であれば理解しているように、図面中の物体は、平易かつ明快にするために示されており、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。たとえば、実施形態を理解しやすいようにするために、図面中の一部の物体の寸法が他の物体よりも誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
多くの態様および実施形態を上述したが、これらはあくまで例示であり限定されるものではない。当業者は、本明細書を読めば、他の態様および実施形態が本発明の範囲から逸脱せずに可能であることが分かる。
【0014】
実施形態のいずれか1つまたは複数の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。詳細な説明はまず、用語の定義および説明に触れ、その後、デバイスの構造、光活性層、正孔輸送層、バッファ層、他のデバイスの層、デバイスの作製、および最後に実施例と続いている。
【0015】
1.用語の定義および説明
下記の実施形態の詳細に触れる前に、いくつかの用語を定義または説明する。
【0016】
用語「ドーパント材料」は、ホスト材料を含む層内の材料であって、かかる材料がない層の電子特徴あるいは放射線放出、受容、またはフィルタリングの波長と比較して、層の電子特徴あるいは放射線放出、受容、またはフィルタリングの目標波長を変える材料を意味することを意図している。
【0017】
用語「ホスト材料」は、ドーパント材料を加えることのできる、通常層の形態の材料を意味することを意図している。ホスト材料は、電子特徴、あるいは放射線を放出するか、受けるか、またはフィルタリングする能力を有しても有さなくてもよい。ドーパント材料は、層の形成の前またはその後にホスト材料に加えられてもよい。一実施形態において、ホスト材料は、層の50重量%超を占める。
【0018】
化合物または基に用いられる場合に、用語「芳香族」は、非局在化π電子を有する少なくとも1つの不飽和環式基を含む有機化合物または有機基を意味することを意図している。この用語は、炭素原子および水素原子のみを有する芳香族化合物および芳香族基、ならびに環式基中の炭素原子の1個または複数が窒素、酸素、硫黄などの別の原子で置換された複素環式芳香族化合物または複素環式芳香族基の両方を包含することを意図している。
【0019】
用語「バッファ層」または「緩衝材料」は、導電性材料または半導体材料を意味することを意図しており、下位層の平坦化、電荷輸送特性および/または電荷注入特性、酸素または金属イオンなどの不純物の捕捉(scavenging)、および有機電子デバイスの性能を促進または改良するための他の態様を含むがこれらに限定されるものではない、有機電子デバイスの1つまたは複数の機能を有していてもよい。緩衝材料は、ポリマー、オリゴマー、または小分子であってもよく、溶液、分散体、懸濁液、エマルジョン、コロイド混合物、または他の組成物の形態であってもよい。
【0020】
層、材料、部材、または構造に関して言及される場合に、用語「電荷輸送」は、そのような層、材料、部材、または構造が、比較的効率的かつ少ない電荷損失で、そのような層、材料、部材、または構造の厚さを通過するそのような電荷の移動を促進することを意味することを意図している。「正孔輸送」は正電荷を意味する。「電子輸送」は負電荷を意味する。
【0021】
用語「基」は、有機化合物中の置換基または金属錯体の配位子などの、化合物の一部を意味することを意図している。接頭語「ヘテロ」は、1個または複数の炭素原子が異なる原子で置換されていることを示している。接頭語「フルオロ」は1個または複数の水素原子がフッ素原子で置換されていることを示している。置換基の例としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、オキシアルキル、オキシアルケニル、オキシアルキニル、フッ素化アルキル、フッ素化アルケニル、フッ素化オキシアルキル、フッ素化オキシアルケニル、フッ素化オキシアルキニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール、−CN、−OR、−CO2R、−SR、−N(R)2、−P(R)2、−SOR、−SO2R、および−NO2が挙げられるがこれらに限定されるものではなく;または隣接する基が一緒になって5員もしくは6員シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール環を形成することができ、ここで、Rは、アルキルおよびアリールから選択される。
【0022】
用語「液相堆積」は、液体材料から層を形成することを意味し、連続および不連続の堆積技術の両方を含む。連続液相堆積技術としては、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングが挙げられるが、これらに限定されるものではない。不連続液相堆積技術としては、インクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
用語「液体」は、単一の液体材料、液体材料の組み合わせを含むことを意図しており、液体材料は、溶液、分散体、懸濁液およびエマルジョンの形態であってもよい。
【0024】
用語「層」は、用語「膜」と同義的に使用され、所望の領域を覆うコーティングを意味する。この用語は大きさによって限定されることはない。この領域は、デバイス全体の大きさであってもよく、あるいは実際の視覚的表示などの特殊機能領域の小ささ、または1つのサブピクセルの小ささであってもよい。
【0025】
用語「光活性」は、電圧を印加することによって励起されたときに発光する材料(発光ダイオードまたは発光電気化学セル中など)、あるいは放射エネルギーに応答し、印加バイアス電圧を使用しまたは使用せずに信号を発生する材料(光検出器中など)を意味する。一実施形態において、光活性層はエミッタ層である。
【0026】
用語「多環芳香族」は、2つ以上の芳香環を有する化合物を意味する。これらの環は、1つまたは複数の結合によって結合されていてもよく、またはともに縮合されていてもよい。縮合された多環芳香族は、ともに縮合された2つ以上の環を有する。
【0027】
用語「ポリマー」は、少なくとも1つの繰り返しモノマー単位を有する材料を意味することを意図している。この用語は、1種類のみのモノマー単位を有するホモポリマー、および2つ以上の異なるモノマー単位を有するコポリマーを包含する。コポリマーは、ポリマーのサブセットである。ある実施形態においては、ポリマーは、少なくとも5つの繰り返し単位を有する。
【0028】
化合物に関して言及される場合に、用語「小分子」は、繰り返しモノマー単位を有さない化合物を意味することを意図している。ある実施形態においては、小分子は、約2000g/mol以下の分子量を有する。
【0029】
用語「導電性ポリマー」は、カーボンブラックまたは導電性金属粒子を加えずに、固有にまたは本質的に導電性であることができる任意のポリマーまたはオリゴマーを意味することを意図している。導電性ポリマー組成物の導電性は、この組成物から作製された膜の側面導電率(lateral conductivity)(単位S/cm)として測定される。
【0030】
用語「フッ素化酸ポリマー」は、水素の少なくともいくつかがフッ素によって置換された酸性基を有するポリマーを意味することを意図している。用語「酸性基」は、電離して、水素イオンをブレンステッド塩基に与えることができる基を意味する。
【0031】
本明細書において使用される場合、用語「含んでなる」、「含んでなること」、「含む」、「含むこと」、「有する」、「有すること」、またはそれらの他のあらゆる変形は、非排他的な包含を扱うことを意図している。たとえば、ある一連の要素を含むプロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されるわけではなく、そのようなプロセス、方法、物品、または装置に関して明示されず固有のものでもない他の要素を含むことができる。さらに、相反する明示的な記載がない限り、「または」は、包含的な「または」を意味するのであって、排他的な「または」を意味するのではない。たとえば、条件AまたはBが満たされるのは:Aが真であり(または存在する)Bが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在しない)Bが真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)のいずれか1つによってである。
【0032】
また、本発明に記載の要素および成分を説明するために単数形(「a」または「an」)も使用されている。これは単に便宜的なものであり、本発明の範囲の一般的な意味を提供するために行われている。この記述は、1つまたは少なくとも1つを含むものと読むべきであり、明らかに他の意味となる場合を除けば、単数形は複数形も含んでいる。
【0033】
元素周期表の縦列に対応する族番号は、「CRC Handbook of Chemistry and Physics」、第81版(2000〜2001年)に見られるような「新表記法(New Notation)」規約を使用する。
【0034】
特に定義しない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または等価の方法および材料を、本発明の実施形態の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料について以下に説明する。本明細書において言及されるあらゆる刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、特定の段落が引用されない限りそれらの記載内容全体が援用される。矛盾が生じる場合には、定義を含めて本明細書に従うものとする。さらに、材料、方法、および実施例は、単に説明的なものであり、限定を意図したものではない。
【0035】
本明細書に記載されない程度に、特定の材料、処理行為、および回路に関する多くの詳細が、従来のものであり、有機発光ダイオードディスプレイ技術、光検出器技術、光起電力技術、および半導体部材技術の範囲内のテキストブックおよび他の出典に見出されるであろう。
【0036】
2.デバイスの構造
本明細書に記載の1つまたは複数の光活性層を有することから利益を得られる有機電子デバイスとしては、(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(たとえば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、またはダイオードレーザー)、(2)電子的過程を介して信号を検出するデバイス(たとえば、光検出器、光導電セル、フォトレジスタ、フォトスイッチ、フォトトランジスタ、光電管、赤外(IR)検出器)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(たとえば、光起電性デバイスまたは太陽電池)、および(4)1つまたは複数の有機半導体層(たとえば、トランジスタまたはダイオード)を含む1つまたは複数の電子部品を含むデバイスが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
有機電子デバイスの構造の一例が、図1に示される。デバイス100は、アノード層110およびカソード層160、およびそれらの間の光活性層140を有する。アノードに隣接するのはバッファ層120である。バッファ層に隣接するのは、正孔輸送材料を含む正孔輸送層130である。カソードに隣接するのは、電子輸送材料を含む電子輸送層150であってもよい。任意選択として、デバイスは、アノード110に隣接する1つまたは複数の追加の正孔注入層または正孔輸送層(図示せず)、および/または、カソード160に隣接する1つまたは複数の追加の電子注入層または電子輸送層(図示せず)を使用してもよい。
【0038】
一実施形態において、種々の層は、以下の範囲の厚さを有する:アノード110は、500〜5000Å、一実施形態においては1000〜2000Å;バッファ層120は、50〜2000Å、一実施形態においては200〜1000Å;正孔輸送層120は、50〜2000Å、一実施形態においては200〜1000Å;光活性層130は、10〜2000Å、一実施形態においては100〜1000Å;層140は、50〜2000Å、一実施形態においては100〜1000Å;カソード150は、200〜10000Å、一実施形態においては300〜5000Å。デバイス中の電子−正孔再結合領域の位置、したがってデバイスの発光スペクトルは、各層の相対厚さの影響を受けることがある。層の厚さの望ましい比は、使用される材料の厳密な性質に依存する。
【0039】
3.光活性層
光活性層は、光活性ドーパント材料とホスト材料とを含み、ここで、ドーパントおよびホストのうちの少なくとも一方は縮合多環芳香族化合物である。ホストおよびドーパント材料は、独立して、小分子材料またはポリマー材料であり得る。ある実施形態においては、ドーパント材料およびホスト材料は両方とも小分子材料である。
【0040】
材料の精製は、任意の公知の精製技術を用いて行うことができる。これらとしては、再結晶化およびカラムクロマトグラフィーなどの浄液技術、ならびにバッチ式気相蒸留(batch vapor distillation)、連続昇華(train sublimation)、アンプル気相再結晶化(ampoule vapor recrystallization)、および帯域精製などの気相昇華(vapor sublimation)技術が挙げられるがこれらに限定されるものではない。ある実施形態においては、2つ以上の技術が使用される。ある実施形態においては、浄液と気相昇華との組み合わせが使用される。
【0041】
a.光活性ドーパント材料
ある実施形態においては、光活性ドーパント材料は、エレクトロルミネッセンス材料であり、赤色、緑色および青色発光色を有する材料から選択される。エレクトロルミネッセンス材料としては、小分子有機蛍光化合物、蛍光性およびリン光性の金属錯体、共役ポリマー、ならびにそれらの混合物が挙げられる。蛍光化合物の例としては、ピレン、ペリレン、ルブレン、クマリン、それらの誘導体、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。金属錯体の例としては、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(AlQ)などの金属キレート化オキシノイド化合物;Petrovらの米国特許第6,670,645号明細書ならびにPCT出願公開の国際公開第03/063555号パンフレットおよび国際公開第2004/016710号パンフレットに開示されるようなフェニルピリジン、フェニルキノリン、またはフェニルピリミジンの配位子を有するイリジウム錯体などの、シクロメタレート化されたイリジウムおよび白金のエレクトロルミネッセンス化合物、ならびに、たとえば、PCT出願公開の国際公開第03/008424号パンフレット、国際公開第03/091688号パンフレット、および国際公開第03/040257号パンフレットに記載されるような有機金属錯体、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。共役ポリマーの例としては、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(スピロビフルオレン)、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)、それらのコポリマー、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
ある実施形態においては、EL材料は縮合多環芳香族化合物である。ある実施形態においては、EL材料は、以下からなる群から選択されるコア構造を有する。
【0043】
【化1】

【0044】
【化2】

【0045】
【化3】

【0046】
【化4】

【0047】
【化5】

【0048】
【化6】

【0049】
【化7】

【0050】
【化8】

【0051】
【化9】

【0052】
【化10】

【0053】
【化11】

【0054】
ある実施形態においては、2つ以上のコア構造が一緒に結合される。それらは単結合によって一緒に結合されて、コア構造の二量体、オリゴマー、またはポリマー形態が形成される。それらは、インデノペリレンおよびインデノピレンのように、ともに縮合されてもよい。
【0055】
ある実施形態においては、ベンゾフルオレンのように、コア構造は、1つまたは複数のさらなる縮合芳香環を有してもよい。
【0056】
ある実施形態においては、テトラヒドロピレンおよびヘキサヒドロピレンのように、コアの一部が水素化されていてもよい。ある実施形態においては、コアは1,2,3,6,7,8−ヘキサヒドロピレンである。したがって、コア基の命名の用法は、コア基の水素化形態を含むことが意図される。
【0057】
ある実施形態においては、コアは少なくとも1つの複素環を含み、ここで、CHがNで置換されるか、またはCH2がO、S、もしくはNRで置換され、ここで、Rがアルキル基またはアリール基である。
【0058】
コアが縮合された多環芳香族構造は、非置換であるかまたは置換されていてもよい。置換基の例としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、オキシアルキル、オキシアルケニル、オキシアルキニル、フッ素化アルキル、フッ素化アルケニル、フッ素化オキシアルキル、フッ素化オキシアルケニル、フッ素化オキシアルキニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール、−CN、−OR、−CO2R、−SR、−N(R)2、−P(R)2、−SOR、−SO2R、−NO2、−R3−OH、−CH2−C65、−R3−C(O)O−Z、−R3−O−R5、−R3−O−R4−C(O)O−Z、−R3−O−R4−SO3Z、および−R3−O−C(O)−N(R62が挙げられるがこれらに限定されるものではなく;ここで、すべての「R」基が出現するごとに同じかまたは異なっており、
Rが、アルキルおよびアリールから選択され、
3が、単結合またはアルキレン基であり、
4が、アルキレン基であり、
5が、アルキル基であり、
6が、水素またはアルキル基であり、
Zが、H、Li、Na、K、N(R54またはR5である。
【0059】
上記の基のいずれもさらに、非置換であるかまたは置換されていてもよく、いずれの基も、過フッ素化基を含め、1つまたは複数の水素がFで置換されていてもよい。
【0060】
ある実施形態においては、EL材料は、アルキル、アリール、アリールアミン、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する縮合多環芳香族化合物である。ある実施形態においては、この化合物は、少なくとも2つのジアリールアミン置換基を有する。ある実施形態においては、ジアリールアミンは、カルバゾールまたは置換されたカルバゾール基である。ある実施形態においては、ジアリールアミンは、フェニル、ナフチル、アントラセニル、およびそれらの組合せからなる群から選択されるアリール基を有する。
【0061】
ある実施形態においては、EL材料のコア構造は、少なくとも3つの縮合環を有する。ある実施形態においては、コア構造は、ナフタレン、アントラセン、クリセン、ピレン、テトラセン、およびペリレンからなる群から選択される。
【0062】
ある実施形態においては、EL材料は、アントラセン、クリセン、ピレン、テトラヒドロピレン、
【0063】
【化12】

【0064】
(式中、コアは少なくとも1つの置換基を有する)
からなる群から選択されるコアを有する。一実施形態においては、コアは、少なくとも1つのジアリールアミノ置換基と、アルキル、フルオロ、フルオロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、アリールオキシ、フルオロアリールオキシ、フルオロアルキルアリールオキシ、アリール、フルオロアリール、およびフルオロアルキルアリールからなる群から選択される少なくとも1つの第2の置換基とを有する。
【0065】
ある実施形態においては、EL材料は、アミノ、アルキル、フルオロ、フルオロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、アリールオキシ、フルオロアリールオキシ、フルオロアルキルアリールオキシ、アリール、フルオロアリール、およびフルオロアルキルアリールからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有するペリレンであるコアを有する。一実施形態においては、置換基は、アルキル基またはアリール基である。
【0066】
ある実施形態においては、EL材料は、以下からなる群から選択される。
【0067】
【化13】

【0068】
【化14】

【0069】
ホウ素、[(1,2−ジヒドロ−2,2’−メチリジンジキノリナト)(1−)]ジフルオロ誘導体
【0070】
【化15】

【0071】
上記のEL材料は、アミノ、アルキル、フルオロ、フルオロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、アリールオキシ、フルオロアリールオキシ、フルオロアルキルアリールオキシ、アリール、フルオロアリール、およびフルオロアルキルアリールからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する。
【0072】
b.ホスト材料
ある実施形態においては、ホスト材料は縮合多環芳香族化合物である。ある実施形態においては、ホスト材料は、以下から選択されるコア構造を有する。
【0073】
【化16】

【0074】
【化17】

【0075】
【化18】

【0076】
【化19】

【0077】
【化20】

【0078】
【化21】

【0079】
【化22】

【0080】
【化23】

【0081】
【化24】

【0082】
【化25】

【0083】
【化26】

【0084】
【化27】

【0085】
ある実施形態においては、2つ以上のコア構造が一緒に結合される。それらは単結合によって一緒に結合されて、コア構造の二量体、オリゴマー、またはポリマー形態が形成される。それらは、インデノペリレンおよびインデノピレンのように、ともに縮合されてもよい。
【0086】
ある実施形態においては、ベンゾフルオレンのように、コア構造は、1つまたは複数のさらなる縮合芳香環を有してもよい。
【0087】
ある実施形態においては、テトラヒドロピレンおよびヘキサヒドロピレンのように、コアの一部が水素化されていてもよい。
【0088】
ある実施形態においては、コアは少なくとも1つの複素環を含み、ここで、CHがNで置換されるか、またはCH2がO、S、もしくはNRで置換され、ここで、Rがアルキル基またはアリール基である。
【0089】
コアが縮合された多環芳香族構造は、非置換であるかまたは置換されていてもよい。置換基の例としては、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、オキシアルキル、オキシアルケニル、オキシアルキニル、フッ素化アルキル、フッ素化アルケニル、フッ素化オキシアルキル、フッ素化オキシアルケニル、フッ素化オキシアルキニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール、−CN、−OR、−CO2R、−SR、−N(R)2、−P(R)2、−SOR、−SO2R、−NO2、−R3−OH、−CH2−C65、−R3−C(O)O−Z、−R3−O−R5、−R3−O−R4−C(O)O−Z、−R3−O−R4−SO3Z、および−R3−O−C(O)−N(R62が挙げられるがこれらに限定されるものではなく;ここで、すべての「R」基が出現するごとに同じかまたは異なっており、
Rが、アルキルおよびアリールから選択され、
3が、単結合またはアルキレン基であり、
4が、アルキレン基であり、
5が、アルキル基であり、
6が、水素またはアルキル基であり、
Zが、H、Li、Na、K、N(R54またはR5である。
【0090】
上記の基のいずれもさらに、非置換であるかまたは置換されていてもよく、いずれの基も、過フッ素化基を含め、1つまたは複数の水素がFで置換されていてもよい。
【0091】
ある実施形態においては、ホスト材料は、アルキル、アリール、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する縮合多環芳香族化合物である。
【0092】
ある実施形態においては、ホスト材料は、ペンタレン、インデン、ナフタレン、アズレン、ヘプタレン、ビフェニレン、as−インダセン、s−インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ペリレン、およびテトラフェニレンからなる群から選択されるコア構造を有する。
【0093】
ある実施形態においては、ホストは、アントラセンコア構造を有する。ある実施形態においては、ホストは下式:
An−L−An
(式中:
Anがアントラセン部分であり;
Lが二価連結基である)
で表される。
【0094】
この式のある実施形態においては、Lが、単結合、−O−、−S−、−N(R)−、または芳香族基である。ある実施形態においては、Anが、モノフェニルアントリル部分またはジフェニルアントリル部分である。
【0095】
ある実施形態においては、ホストは、下式:
A−An−A
(式中:
Anがアントラセン部分であり;
Aが芳香族基である)
で表される。
【0096】
ある実施形態においては、ホストはジアリールアントラセンである。ある実施形態においてはこの化合物は対称であり、ある実施形態においてはこの化合物は非対称である。
【0097】
ある実施形態においては、ホストは、下式:
【0098】
【化28】

【0099】
(式中:
1およびA2が、出現するごとに同じかまたは異なっており、H、芳香族基、およびアルケニル基からなる群から選択され、またはAが、1つまたは複数の縮合芳香環であってもよく;
pおよびqが、同じかまたは異なっており、1〜3の整数である)
で表される。
【0100】
ある実施形態においては、アントラセン誘導体は非対称である。ある実施形態においては、p=2かつq=1である。ある実施形態においては、A1およびA2のうちの少なくとも一方はナフチル基である。
【0101】
ある実施形態においては、ホストは、フルオレン、ナフタレン、ピレン、ペリレン、クリセン、テトラヒドロピレン、およびヘキサヒドロピレンからなる群から選択されるコア構造を有し、ここで、アルキル、フルオロ、フルオロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、アリールオキシ、フルオロアリールオキシ、フルオロアルキルアリールオキシ、アリール、フルオロアリール、およびフルオロアルキルアリールからなる群から選択される少なくとも1つの置換基がある。
【0102】
ある実施形態においては、ホストは、光活性層におけるエミッタとして別のホストと組み合わせて用いられ得る。
【0103】
4.正孔輸送層
正孔輸送層の正孔輸送材料の例は、たとえば、Y.Wangによる「Kirk Othmer Encyclopedia of Chemical Technology」、第4版、第18巻、837−860頁(1996年)にまとめられている。正孔輸送小分子とポリマーとの両方を使用することができる。慣用的に使用される正孔輸送分子としては:4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(TDATA);4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(MTDATA);N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD);4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP);1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン(mCP);1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC);N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD);テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA);α−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS);p−(ジエチルアミノ)−ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH);トリフェニルアミン(TPA);ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP);1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP);1,2−trans−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB);N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB);N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス−(フェニル)ベンジジン(α−NPB);および銅フタロシアニンなどのポルフィリン化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。慣用的に使用される正孔輸送ポリマーとしては、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、ポリ(ジオキシチオフェン)、ポリアニリン、およびポリピロールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。前述のような正孔輸送分子を、ポリスチレンおよびポリカーボネートなどのポリマー中にドープすることによって正孔輸送ポリマーを得ることも可能である。
【0104】
ある実施形態においては、正孔輸送層は、正孔輸送ポリマーを含む。ある実施形態においては、正孔輸送ポリマーは、ジスチリル(distyrylaryl)化合物である。ある実施形態においては、アリール基は、2つ以上の縮合芳香環を有する。ある実施形態においては、アリール基はアセンである。本明細書において使用される場合、用語「アセン」は、直鎖構成中に2つ以上のオルト縮合ベンゼン環を含有する炭化水素親成分を意味する。
【0105】
ある実施形態においては、正孔輸送ポリマーは、アリールアミンポリマーである。ある実施形態においては、正孔輸送ポリマーは、フルオレンモノマーとアリールアミンモノマーとのコポリマーである。
【0106】
ある実施形態においては、ポリマーは、架橋性基を有する。ある実施形態においては、架橋は、熱処理および/または紫外線もしくは可視光線への曝露によって行うことができる。架橋性基の例としては、ビニル、アクリレート、パーフルオロビニルエーテル、1−ベンゾ−3,4−シクロブタン、シロキサン、およびメチルエステルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。架橋性ポリマーは、溶液処理されたOLEDの製造に利点を有し得る。可溶性ポリマー材料を塗布して、蒸着の後に不溶性フィルムに変えられ得る層を形成することにより、層が溶解するという問題のない多層の溶液処理されたOLEDデバイスの製造が可能になる。
【0107】
架橋性ポリマーの例は、たとえば、米国特許出願公開第2005−0184287号明細書およびPCT出願公開の国際公開第2005/052027号パンフレットに見られる。
【0108】
ある実施形態においては、正孔輸送層は、9,9−ジアルキルフルオレンとトリフェニルアミンとのコポリマーであるポリマーを含む。ある実施形態においては、ポリマーは、9,9−ジアルキルフルオレンと4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)ビフェニルとのコポリマーである。ある実施形態においては、ポリマーは、9,9−ジアルキルフルオレンとTPBとのコポリマーである。ある実施形態においては、ポリマーは、9,9−ジアルキルフルオレンとNPBとのコポリマーである。ある実施形態においては、コポリマーは、(ビニルフェニル)ジフェニルアミンおよび9,9−ジスチリルフルオレンまたは9,9−ジ(ビニルベンジル)フルオレンから選択される第3のコモノマーから作製される。
【0109】
ある実施形態においては、正孔輸送層は、式Iで表されるポリマーを含む:
【0110】
【化29】

【0111】
式中、a、b、およびcが、ポリマー中のモノマーの相対的比率を示し、0でない整数であり;nが、少なくとも2のゼロでない整数である。ある実施形態においては、a、b、およびcが、1〜10の範囲の値を有する。ある実施形態においては、a:b:cの比率は、(1〜4):(1〜4):(1〜2)の範囲を有する。ある実施形態においては、nが2〜500である。
【0112】
ある実施形態においては、正孔輸送層は、式IIで表されるポリマーを含む:
【0113】
【化30】

【0114】
式中、a、b、およびcが、ポリマー中のモノマーの相対的比率を示し、0でない整数であり;nが、少なくとも2のゼロでない整数である。ある実施形態においては、a、b、およびcが、0.001〜10の範囲の値を有する。ある実施形態においては、a:b:cの比率は、(2〜7):(2〜7):(1〜3)の範囲を有する。ある実施形態においては、nが2〜500である。
【0115】
正孔輸送層用のポリマー、特に、式Iまたは式IIで表されるポリマーは、3つの公知の合成経路によって一般に調製することができる。Yamamotoの「Progress in Polymer Science」、第17巻、1153頁(1992年)に記載される第1の合成方法においては、モノマー単位のジハロまたはジトリフレート誘導体を、化学量論量のビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)などの0価のニッケル化合物と反応させる。Colonらの「Journal of Polymer Science」、Part A、Polymer chemistry Edition、第28巻、367頁(1990年)に記載される第2の方法においては、二価のニッケルイオンを0価のニッケルに還元可能な化学量論量の材料の存在下で、モノマー単位のジハロまたはジトリフレート誘導体を触媒量のNi(II)化合物と反応させる。好適な材料としては、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、およびリチウムが挙げられる。米国特許第5,962,631号明細書、およびPCT出願公開の国際公開第00/53565号パンフレットに記載される第3の合成方法においては、あるモノマー単位のジハロまたはジトリフレート誘導体を、ボロン酸、ボロン酸エステル、およびボランから選択される2つの反応性基を有する別のモノマー単位の誘導体と、テトラキス(トリフェニルホスフィン)PdまたはPd(OAc)2などの、0価または2価のパラジウム触媒の存在下で反応させる。
【0116】
ある実施形態においては、正孔輸送層は、P1〜P11からなる群から選択されるポリマーを含む:
【0117】
【化31】

【0118】
【化32】

【0119】
【化33】

【0120】
【化34】

【0121】
ある実施形態においては、正孔輸送層は、層の形成の後に架橋されている、P2〜P5およびP7からなる群から選択されるポリマーを含む。
【0122】
ある実施形態においては、正孔輸送層は、層の形成の後に加熱されている、P1およびP6、P8、P9、またはP11からなる群から選択されるポリマーを含む。
【0123】
5.バッファ層
バッファ層は、ポリアニリン(PANI)またはポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などのポリマー材料(これらはプロトン酸でドープされることが多い)で形成することができる。プロトン酸は、たとえば、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)などであり得る。
【0124】
バッファ層は、銅フタロシアニンおよびテトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン系(TTF−TCNQ)などの電荷輸送化合物などを含み得る。
【0125】
ある実施形態においては、バッファ層は、少なくとも1つの導電性ポリマーおよび少なくとも1つのフッ素化酸ポリマーを含む。
【0126】
ある実施形態においては、導電性ポリマーは、少なくとも10-7S/cmの導電性を有するフィルムを形成するであろう。導電性ポリマーを形成するモノマーは、「前駆体モノマー」と呼ばれる。コポリマーは、2つ以上の前駆体モノマーを有するであろう。
【0127】
実施形態においては、導電性ポリマーは、チオフェン、セレノフェン、テルロフェン、ピロール、アニリン、および多環芳香族から選択される少なくとも1つの前駆体モノマーから作製される。これらのモノマーから作製されるポリマーは、それぞれ、ポリチオフェン、ポリ(セレノフェン)、ポリ(テルロフェン)、ポリピロール、ポリアニリン、および多環芳香族ポリマーと呼ばれる。用語「多環芳香族」は、2つ以上の芳香環を有する化合物を意味する。これらの芳香環は、1つまたは複数の結合によって接合されていてもよく、またはともに縮合されていてもよい。用語「芳香環」は、複素芳香環を含むことを意図している。「多環複素芳香族」化合物は、少なくとも1つの複素芳香環を有する。ある実施形態においては、多環芳香族ポリマーは、ポリ(チエノチオフェン)である。
【0128】
フッ素化酸ポリマーは、フッ素化された任意のポリマーであり得、酸性プロトンを有する酸性基を有する。この用語は、部分的におよび完全にフッ素化された材料を含む。ある実施形態においては、フッ素化酸ポリマーは高度にフッ素化されている。用語「高度にフッ素化された」は、炭素に結合された利用可能な水素の少なくとも50%が、フッ素で置換されていることを意味する。酸性基は、イオン性プロトンを供給する。ある実施形態においては、酸性プロトンは、3未満のpKaを有する。ある実施形態においては、酸性プロトンは、0未満のpKaを有する。ある実施形態においては、酸性プロトンは、−5未満のpKaを有する。酸性基は、ポリマー主鎖に直接結合され得るか、またはポリマー主鎖上の側鎖に結合され得る。酸性基の例としては、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホンイミド(sulfonimide)基、リン酸基、ホスホン酸基、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。酸性基は、すべて同じであることができ、またはポリマーは、2種以上の酸性基を有していてもよい。
【0129】
ある実施形態においては、フッ素化酸ポリマーは水溶性である。ある実施形態においては、フッ素化酸ポリマーは水に分散する。ある実施形態においては、フッ素化酸ポリマーは、有機溶媒に可溶(wettable)である。
【0130】
ある実施形態においては、フッ素化酸ポリマーは、フッ素化されたポリマー主鎖を有する。ポリマー主鎖の例としては、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、およびそれらのコポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ある実施形態においては、ポリマー主鎖は高度にフッ素化されている。ある実施形態においては、ポリマー主鎖は完全にフッ素化されている。
【0131】
ある実施形態においては、酸性基は、スルホン酸基またはスルホンイミド基である。スルホンイミド基は、下式:
−SO2−NH−SO2−R
(式中、Rがアルキル基である)
で表される。
【0132】
ある実施形態においては、酸性基は、フッ素化側鎖上にある。ある実施形態においては、フッ素化側鎖は、アルキル基、アルコキシ基、アミド基、エーテル基、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0133】
ある実施形態においては、フッ素化酸ポリマーは、側鎖フッ素化エーテルスルホネート、フッ素化エステルスルホネート、またはフッ素化エーテルスルホンイミド基を有するフッ素化オレフィン主鎖を有する。ある実施形態においては、ポリマーは、1,1−ジフルオロエチレンと、2−(1,1−ジフルオロ−2−(トリフルオロメチル)アリルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸とのコポリマーである。ある実施形態においては、ポリマーは、エチレンと、2−(2−(1,2,2−トリフルオロビニルオキシ)−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸とのコポリマーである。これらのコポリマーは、対応するフッ化スルホニルポリマーとして作製され、次にスルホン酸形態に変換され得る。
【0134】
ある実施形態においては、フッ素化酸ポリマーは、フッ素化および部分的にスルホン化されたポリ(アリーレンエーテルスルホン)のホモポリマーまたはコポリマーである。コポリマーはブロックコポリマーであり得る。コモノマーの例としては、ブタジエン、ブチレン、イソブチレン、スチレン、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0135】
ある実施形態においては、バッファ層は、導電性ポリマーおよびコロイド形成性ポリマー酸の水性分散体から作製される。このような材料は、たとえば、米国特許出願公開第2004−0102577号明細書、同第2004−0127637号明細書、および同第2005−0205860号明細書に記載されている。
【0136】
6.他のデバイスの層
デバイス中の他の層は、そのような層に有用であることが知られている任意の材料でできていてよい。アノードは、正電荷キャリアを注入するのに特に効果的な電極である。アノードは、たとえば、金属、混合金属、合金、金属酸化物、または混合金属酸化物を含有する材料でできていてよく、あるいは導電性ポリマー、およびその混合物であり得る。好適な金属としては、第11族金属、第4族、第5族、および第6族の金属、ならびに第8〜10族の遷移金属が挙げられる。アノードが光透過性である場合、インジウムスズ酸化物などの第12族、第13族、および第14族の金属の混合金属酸化物が一般に使用される。アノードは、「Flexible light−emitting diodes made from soluble conducting polymer」、Nature 第357巻、477〜479頁(1992年6月11日)に記載されるようなポリアニリンなどの有機材料を含むこともできる。アノードおよびカソードの少なくとも一方は、発生した光を観察できるようにするため、少なくとも部分的に透明であるべきである。
【0137】
任意選択の電子輸送層140に用いられ得る電子輸送材料の例としては、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(AlQ)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(p−フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)、およびテトラキス−(8−ヒドロキシキノラト)ジルコニウム(ZrQ)などの金属キレート化オキシノイド化合物;ならびに2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、および1,3,5−トリ(フェニル−2−ベンズイミダゾール)ベンゼン(TPBI)などのアゾール化合物;2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリンなどのキノキサリン誘導体;4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DPA)および2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA)などのフェナントロリン;ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0138】
カソードは、電子または負電荷キャリアを注入するのに特に効果的な電極である。カソードは、アノードよりも低い仕事関数を有する任意の金属または非金属であってよい。カソード用の材料は、第1族のアルカリ金属(たとえば、Li、Cs)、第2族(アルカリ土類)金属、希土類元素およびランタニド、ならびにアクチニドを含む第12族金属から選択され得る。アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウムおよびマグネシウム、ならびにそれらの組み合わせなどの材料を使用することができる。動作電圧を下げるために、LiFおよびLi2OといったLi含有有機金属化合物を、有機層とカソード層との間に堆積することもできる。この層は、電子注入層と呼ばれることもある。
【0139】
7.デバイスの作製
ある実施形態においては、本発明のデバイスは、バッファ層、正孔輸送層、および光活性層の液相堆積と、アノード、電子輸送層、電子注入層、およびカソードの気相堆積とによって製造される。
【0140】
本発明のバッファ層は、それを溶解または分散してそれから膜を形成するあらゆる液体媒体から堆積することができる。一実施形態においては、液体媒体は、1つまたは複数の有機溶媒から実質的になる。一実施形態においては、液体媒体は、水、あるいは水および有機溶媒から実質的になる。一実施形態においては、有機溶媒は、アルコール、ケトン、環状エーテル、およびポリオールからなる群から選択される。一実施形態においては、有機液体は、ジメチルアセトアミド(「DMAc」)、N−メチルピロリドン(「NMP」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、エチレングリコール(「EG」)、脂肪族アルコール、およびそれらの混合物から選択される。緩衝材料は、0.5〜10重量パーセントの量で液体媒体中に存在することができる。液体媒体に依存するが、他の重量パーセント値の緩衝材料を使用することもできる。バッファ層は、あらゆる連続または不連続の液相堆積技術によって適用することができる。一実施形態においては、バッファ層はスピンコーティングによって適用される。一実施形態においては、バッファ層はインクジェット印刷によって適用される。液相堆積後、液体媒体は、室温または加熱しながら、空気中、不活性雰囲気中、または減圧によって除去することができる。一実施形態においては、この層は275℃未満の温度に加熱される。一実施形態においては、加熱温度は100℃〜275℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は100℃〜120℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は120℃〜140℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は140℃〜160℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は160℃〜180℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は180℃〜200℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は200℃〜220℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は190℃〜220℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は220℃〜240℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は240℃〜260℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は260℃〜275℃の間である。加熱時間は温度に依存し、一般に5〜60分の間である。一実施形態においては、最終層厚さは5〜200nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは5〜40nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは40〜80nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは80〜120nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは120〜160nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは160〜200nmの間である。
【0141】
正孔輸送層は、それを溶解または分散してそれからフィルムを形成するあらゆる液体媒体から堆積することができる。一実施形態においては、液体媒体は、1つまたは複数の有機溶媒から実質的になる。一実施形態においては、液体媒体は、水、あるいは水および有機溶媒から実質的になる。一実施形態においては、有機溶媒は芳香族溶媒である。一実施形態においては、有機液体は、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、キシレン、メシチレン、アニソール、およびそれらの混合物から選択される。正孔輸送材料は、0.2〜2重量パーセントの濃度で液体媒体中に存在することができる。液体媒体に依存するが、他の重量パーセント値の正孔輸送材料を使用することができる。正孔輸送層は、あらゆる連続または不連続の液相堆積技術によって適用することができる。一実施形態においては、正孔輸送層はスピンコーティングによって適用される。一実施形態においては、正孔輸送層はインクジェット印刷によって適用される。液相堆積後、液体媒体は、室温または加熱しながら、空気中、不活性雰囲気中、または減圧によって除去することができる。一実施形態においては、この層は300℃以下の温度に加熱される。一実施形態においては、加熱温度は170℃〜275℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は170℃〜200℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は190℃〜220℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は210℃〜240℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は230℃〜270℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は270℃〜300℃の間である。加熱時間は温度に依存し、一般に5〜60分の間である。一実施形態においては、最終層厚さは5〜50nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは5〜15nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは15〜25nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは25〜35nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは35〜50nmの間である。
【0142】
本発明の光活性層は、それを溶解または分散してそれからフィルムを形成するあらゆる液体媒体から堆積することができる。一実施形態においては、液体媒体は1つまたは複数の有機溶媒から実質的になる。一実施形態においては、液体媒体は水、あるいは水および有機溶媒から実質的になる。一実施形態においては、有機溶媒は芳香族溶媒である。一実施形態においては、有機溶媒はクロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、アニソール、2−ブタノン、3−ペンタノン、酢酸ブチル、アセトン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、トリフルオロトルエンおよびそれらの混合物から選択される。光活性材料は0.2〜2重量パーセントの濃度で液体媒体中に存在することができる。液体媒体によっては他の重量パーセント値の光活性材料を使用することもできる。光活性層は連続または不連続のあらゆる液相堆積技術によって適用することができる。一実施形態においては、光活性層はスピンコーティングによって適用される。一実施形態においては、光活性層はインクジェット印刷によって適用される。液相堆積後、液体媒体は、室温または加熱を使用して、空気中、不活性雰囲気中、または減圧によって除去することができる。最適なベーク条件は、除去されている液体の蒸気圧特性および液体とのそれらの分子間相互作用に依存する。一実施形態においては、堆積された層は、最高Tgを有する材料のTgより高い温度に加熱される。一実施形態においては、堆積された層は、最低Tgを有する材料のTg未満の温度に加熱される。一実施形態においては、加熱温度は最低Tgよりも少なくとも10℃低い。一実施形態においては、加熱温度は最低Tgよりも少なくとも20℃低い。一実施形態においては、加熱温度は最低Tgよりも少なくとも30℃低い。一実施形態においては、加熱温度は50℃〜150℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は50℃〜75℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は75℃〜100℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は100℃〜125℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は125℃〜150℃の間である。加熱時間は温度に依存し、一般に5〜60分の間である。一実施形態においては、最終層厚さは25〜100nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは25〜40nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは40〜65nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは65〜80nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは80〜100nmの間である。
【0143】
本発明の電子輸送層は、あらゆる気相堆積法によって堆積することができる。一実施形態においては、減圧下での熱蒸着によって堆積される。一実施形態においては、最終層厚さは1〜100nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは1〜15nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは15〜30nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは30〜45nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは45〜60nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは60〜75nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは75〜90nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは90〜100nmの間である。
【0144】
電子注入層は、あらゆる気相堆積法によって堆積することができる。一実施形態においては、減圧下での熱蒸着によって堆積される。一実施形態においては、減圧は10-6torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-7torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-8torr未満である。一実施形態においては、材料は100℃〜400℃;好ましくは150℃〜350℃の範囲内の温度に加熱される。本明細書中提示される気相堆積の速度の単位は、オングストローム毎秒である。一実施形態においては、材料は0.5〜10Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は0.5〜1Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は1〜2Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は2〜3Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は3〜4Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は4〜5Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は5〜6Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は6〜7Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は7〜8Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は8〜9Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は9〜10Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、最終層厚さは0.1〜3nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは0.1〜1nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは1〜2nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは2〜3nmの間である。
【0145】
カソードは、あらゆる気相堆積法によって堆積することができる。一実施形態においては、減圧下での熱蒸着によって堆積される。一実施形態においては、減圧は10-6torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-7torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-8torr未満である。一実施形態においては、材料は100℃〜400℃;好ましくは150℃〜350℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は0.5〜10Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は0.5〜1Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は1〜2Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は2〜3Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は3〜4Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は4〜5Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は5〜6Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は6〜7Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は7〜8Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は8〜9Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は9〜10Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、最終層厚さは10〜10000nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは10〜1000nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは10〜50nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは50〜100nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは100〜200nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは200〜300nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは300〜400nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは400〜500nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは500〜600nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは600〜700nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは700〜800nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは800〜900nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは900〜1000nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは1000〜2000nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは2000〜3000nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは3000〜4000nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは4000〜5000nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは5000〜6000nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは6000〜7000nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは7000〜8000nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは8000〜9000nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは9000〜10000nmの間である。
【0146】
概要または実施例において前述したすべての行為が必要なわけではなく、特定の行為の一部は不要である場合があり、1つまたは複数のさらに別の行為が、前述の行為に加えて実施される場合があることに留意されたい。さらに、行為が列挙されている順序は、必ずしもそれらが実施される順序ではない。
【0147】
以上の明細書において、具体的な実施形態を参照しながら本発明の概念を説明した。しかし、当業者であれば、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱せずに種々の変更および変形を行えることが理解できるであろう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく説明的なものであるとみなすべきであり、すべてのこのような変更は本発明の範囲内に含まれることを意図している。
【0148】
特定の実施形態に関して、利益、その他の利点、および問題に対する解決法を以上に記載してきた。しかし、これらの利益、利点、問題の解決法、ならびに、何らかの利益、利点、または解決法を発生させたり、より顕著にしたりすることがある、あらゆる特徴が、特許請求の範囲のいずれかまたはすべての重要、必要、または本質的な特徴として解釈されるものではない。
【0149】
別々の実施形態の状況において、明確にするために本明細書に記載されている特定の複数の特徴は、1つの実施形態の中で組み合わせても提供できることを理解されたい。逆に、簡潔にするため1つの実施形態の状況において説明した種々の特徴も、別々に提供したり、あらゆる副次的な組み合わせで提供したりすることができる。本明細書において指定される種々の範囲内の数値が使用される場合、記載の範囲内の最小値および最大値の両方の前に単語「約」が付けられているかのように近似値として記載されている。この方法では、記載の範囲よりもわずかに上およびわずかに下のばらつきを使用して、その範囲内の値と実質的に同じ結果を得ることができる。または、これらの範囲の開示は、ある値の一部の成分を異なる値の一部の成分と混合した場合に生じうる分数値を含めて、最小平均値と最大平均値との間のすべての値を含む連続した範囲であることを意図している。さらに、より広い範囲およびより狭い範囲が開示される場合、ある範囲の最小値を別の範囲の最大値と一致させること、およびその逆のことが本発明の意図の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードおよびカソードを含み、かつそれらの間に有機層を有する有機電子デバイスであって、前記有機層が、順に、
導電性ポリマーとフッ素化酸ポリマーとを含むバッファ層;
正孔輸送層;
ドーパント材料とホスト材料とを含む光活性層;および
電子輸送層
であり、前記ドーパント材料および前記ホスト材料のうちの少なくとも一方が縮合多環芳香族化合物である有機電子デバイス。
【請求項2】
前記ドーパント材料および前記ホスト材料が両方とも縮合多環芳香族化合物である請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記ドーパント材料が、ペンタレン、インデン、ナフタレン、アズレン、ヘプタレン、ビフェニレン、as−インダセン、s−インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、テトラセン、プレイアデン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセン、テトラフェニレン、ヘキサフェン、ヘキサセン、ルビセン、コロネン、トリナフチレン、ヘプタフェン、ヘプタセン、ピラントレン、オバレン、トルキセン、ジベンゾスベラン、およびそれらの組合せからなる群から選択されるコア構造を有する請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記コア構造が、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、オキシアルキル、オキシアルケニル、オキシアルキニル、フッ素化アルキル、フッ素化アルケニル、フッ素化オキシアルキル、フッ素化オキシアルケニル、フッ素化オキシアルキニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール、−CN、−OR、−CO2R、−SR、−N(R)2、−P(R)2、−SOR、−SO2R、−NO2、−R3−OH、−CH2−C65、−R3−C(O)O−Z、−R3−O−R5、−R3−O−R4−C(O)O−Z、−R3−O−R4−SO3Z、および−R3−O−C(O)−N(R62から選択される少なくとも1つの置換基を有し;ここで、すべての「R」基が出現するごとに同じかまたは異なっており、
Rが、アルキルおよびアリールから選択され、
3が、単結合またはアルキレン基であり、
4が、アルキレン基であり、
5が、アルキル基であり、
6が、水素またはアルキル基であり、
Zが、H、Li、Na、K、N(R54またはR5である請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記コア構造が、少なくとも1つのジアリールアミノ置換基を有する請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記コア構造が、アミノ、アルキル、フルオロ、フルオロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、アリールオキシ、フルオロアリールオキシ、フルオロアルキルアリールオキシ、アリール、フルオロアリール、およびフルオロアルキルアリールからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる置換基を有する請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ドーパントが、アントラセン、クリセン、ピレン、テトラヒドロピレン、ヘキサヒドロピレン、ルブレン、ペリフランテン、イミノジベンジル、キサンテン、クマリン、ホウ素、[(1,2−ジヒドロ−2,2’−メチリジンジキノリナト)(1−)]ジフルオロ誘導体からなる群から選択されるコア構造を有する請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記コア構造が、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、オキシアルキル、オキシアルケニル、オキシアルキニル、フッ素化アルキル、フッ素化アルケニル、フッ素化オキシアルキル、フッ素化オキシアルケニル、フッ素化オキシアルキニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール、−CN、−OR、−CO2R、−SR、−N(R)2、−P(R)2、−SOR、−SO2R、−NO2、−R3−OH、−CH2−C65、−R3−C(O)O−Z、−R3−O−R5、−R3−O−R4−C(O)O−Z、−R3−O−R4−SO3Z、および−R3−O−C(O)−N(R62から選択される少なくとも1つの置換基を有し;ここで、すべての「R」基が出現するごとに同じかまたは異なっており、
Rが、アルキルおよびアリールから選択され、
3が、単結合またはアルキレン基であり、
4が、アルキレン基であり、
5が、アルキル基であり、
6が、水素またはアルキル基であり、
Zが、H、Li、Na、K、N(R54またはR5である請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ドーパント材料が、少なくとも2つの一緒に結合したコア構造を含む請求項3に記載のデバイス。
【請求項10】
前記ドーパント材料が複素環を含む請求項1または9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記ホスト材料が、ペンタレン、インデン、ナフタレン、アズレン、ヘプタレン、ビフェニレン、as−インダセン、s−インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、テトラセン、プレイアデン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセン、テトラフェニレン、ヘキサフェン、ヘキサセン、ルビセン、コロネン、トリナフチレン、ヘプタフェン、ヘプタセン、ピラントレン、オバレン、トルキセン、ジベンゾスベラン、およびそれらの組合せからなる群から選択されるコア構造を有する請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記コア構造が、アルキル、フルオロ、フルオロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、アリールオキシ、フルオロアリールオキシ、フルオロアルキルアリールオキシ、アリール、フルオロアリール、およびフルオロアルキルアリールからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を有する請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記コア構造が、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、オキシアルキル、オキシアルケニル、オキシアルキニル、フッ素化アルキル、フッ素化アルケニル、フッ素化オキシアルキル、フッ素化オキシアルケニル、フッ素化オキシアルキニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール、−CN、−OR、−CO2R、−SR、−N(R)2、−P(R)2、−SOR、−SO2R、−NO2、−R3−OH、−CH2−C65、−R3−C(O)O−Z、−R3−O−R5、−R3−O−R4−C(O)O−Z、−R3−O−R4−SO3Z、および−R3−O−C(O)−N(R62から選択される少なくとも1つの置換基を有し;ここで、すべての「R」基が出現するごとに同じかまたは異なっており、
Rが、アルキルおよびアリールから選択され、
3が、単結合またはアルキレン基であり、
4が、アルキレン基であり、
5が、アルキル基であり、
6が、水素またはアルキル基であり、
Zが、H、Li、Na、K、N(R54またはR5である請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記ホスト材料が、少なくとも2つの一緒に結合したコア構造を含む請求項11に記載のデバイス。
【請求項15】
前記ホスト材料が複素環を含む請求項1または14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記ホストが、フルオレン、ナフタレン、ピレン、ペリレン、クリセン、テトラヒドロピレン、およびヘキサヒドロピレンからなる群から選択されるコア構造を有する請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記バッファ層、前記正孔輸送層、および前記光活性層のうちの少なくとも1つが液体媒体から堆積される請求項1に記載のデバイス。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2010−520617(P2010−520617A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551730(P2009−551730)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/002666
【国際公開番号】WO2008/106210
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】