説明

有機電界発光表示装置

【課題】画素電極のエッジ部分を囲う絶縁膜の表面に凹凸または溝を形成し、絶縁膜上のパーチクルによる暗点不良を防止できる有機電界発光表示装置を提供する。
【解決手段】基板100上に形成された下部電極160と、下部電極160の一部分を露出させる開口部175を備えた絶縁膜170と、開口部175により露出された下部電極160上に形成された有機膜層180と、基板100上に形成された上部電極190とを備え、絶縁膜170は、その表面は、溝または凹凸177を備える有機電界発光表示装置であり、該溝または凹凸177は、絶縁膜170の表面のうち、開口部175のエッジ175aに隣接した一部分に形成されるか、または開口部175のエッジ175aに隣接した部分を除外した全表面にわたって形成され、該溝または凹凸177は、絶縁膜の表面がスクラッチまたはブラッシングされて形成されるか、または絶縁膜170が一定厚さほどエッチングされて形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光表示装置に係り、さらに具体的には、画素電極のエッジ部分を覆っている絶縁膜の表面に凹凸が形成された有機電界発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、アクティブマトリックス有機電界発光表示装置(AMOLED)は、基板上に多数の画素が配列され、各画素は、少なくとも1つのスイッチング薄膜トランジスタ、1つの駆動薄膜トランジスタ、キャパシタ、及び有機電界発光素子を備える。有機電界発光素子は、画素分離膜によりエッジ部分が覆われた画素電極の下部電極、カソード電極の上部電極、及び前記上下部電極間に介在された発光層を含む有機膜層を備える。
【0003】
有機電界発光素子は、仕事関数の大きいアノード電極と仕事関数が相対的に小さいカソード電極とに所定のバイアスを外部から印加すれば、アノード電極から正孔、カソード電極から電子が発光層に注入され、発光層に注入された電子と正孔との再結合により所定色の光を放出する。
【0004】
かかる有機電界発光素子において、発光層から発光される光の発光効率は、アノード電極とアノード電極上に形成される有機膜層間の界面特性に大きく依存し、発光効率は、素子の寿命に影響を及ぼす。有機電界発光素子の発光効率を向上させるための多様な方法が試みられている。
【0005】
特許文献1には、アノード電極のITO膜の表面をSFプラズマで処理し、アノード電極と有機膜層との界面特性を向上させた有機発光素子の製造方法が開示されている。一方、特許文献2には、酸素イオンまたは電子を利用してITO膜を表面処理し、アノード電極と有機膜層との界面特性を向上させた電荷注入型発光素子が開示されている。
【0006】
従来の画素分離膜を形成する方法は、図1に図示されているように、基板11上に画素分離膜のための絶縁膜15を蒸着し、画素電極13の一部分が露出されるように写真エッチング工程を介して前記絶縁膜15をエッチングして開口部16を形成した。画素分離膜の形成工程後、画素分離膜15の表面に残っているパーチクル19は、ガラス基板の移送中または有機膜を蒸着するためのマスクとのアラインメント動作時に、開口部16内の画素電極13の表面に移動する。表面にパーチクル19が吸着された画素電極13上に有機膜を蒸着させれば、素子駆動時に画素電極の表面に付着されたパーチクルが抵抗体として作用して電流が集中し、これによって暗点のような不良が発生するという問題点があった。
【特許文献1】韓国特許公開第2001−0057125号公報
【特許文献2】特開2000−133466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するためのものであり、画素電極のエッジ部分を囲う絶縁膜の表面に凹凸または溝を形成し、パーチクルによる暗点不良を防止できる有機電界発光表示装置(OLED)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、基板上に形成された下部電極と、前記下部電極の一部分を露出させる開口部を備えた絶縁膜と、前記開口部により露出された下部電極上に形成された有機膜層と、基板上に形成された上部電極とを備え、前記絶縁膜は、その表面に凹凸を備えるOLEDを提供することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、基板上に形成された下部電極と、前記下部電極の一部分を露出させる開口部を備えた絶縁膜と、前記開口部により露出された下部電極上に形成された有機膜層と、基板上に形成された上部電極とを備え、前記絶縁膜は、その表面に溝を備えるOLEDを提供することを特徴とする。
【0010】
前記絶縁膜は、画素分離膜、平坦化膜及び保護膜から選択される。
【0011】
前記溝または凹凸は、前記絶縁膜の表面のうち前記開口部のエッジに隣接した一部分に形成されるか、または前記絶縁膜の表面のうち前記開口部のエッジ部分を除外した全表面にわたって形成される。前記溝または凹凸は、絶縁膜の表面がスクラッチされて形成されるか、または絶縁膜の表面がブラッシングされて形成される。
【0012】
また、本発明は、基板上に形成され、少なくともソース及びドレイン電極を備える薄膜トランジスタと、基板上に形成され、前記薄膜トランジスタのソース及びドレイン電極のうち一つを露出させるビアホールを備える第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜上に形成され、前記ビアホールを介して前記ソース及びドレイン電極のうち1つの電極に連結される画素電極と、前記第1絶縁膜上に形成され、前記画素電極の一部分を露出させる開口部を備える第2絶縁膜と、前記露出された画素電極上に形成された有機膜層と、基板上に形成された上部電極とを備え、前記第2絶縁膜は、その表面に凹凸を備えるOLEDを提供することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、基板上に形成され、少なくともソース及びドレイン電極を備える薄膜トランジスタと、基板上に形成され、前記薄膜トランジスタのソース及びドレイン電極のうち一つを露出させるビアホールを備える第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜上に形成され、前記ビアホールを介して前記ソース及びドレイン電極のうち1つの電極に連結される画素電極と、前記第1絶縁膜上に形成され、前記画素電極の一部分を露出させる開口部を備える第2絶縁膜と、前記露出された画素電極上に形成された有機膜層と、基板上に形成された上部電極とを備え、前記第2絶縁膜は、その表面に溝を備えるOLEDを提供することを特徴とする。
【0014】
前記第1絶縁膜は、保護膜と平坦化膜とから選択され、前記第2絶縁膜は、画素分離膜を備える。
【0015】
前記凹凸または溝は、第2絶縁膜の表面のうち前記開口部のエッジに隣接した一部分に形成されるか、または前記開口部のエッジ部分を除外した全表面にわたって形成される。前記凹凸または溝は、第2絶縁膜の表面がスクラッチされるか、またはブラッシングされて形成されるか、または絶縁膜が一定厚さほどエッチングされて形成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、OLEDのような平板表示素子で、有機膜上に存在するパーチクルなどが開口部内の画素電極に移動することを防止し、表示素子の長寿命化を図ることが可能である。
【0017】
また、本発明の実施形態によるOLEDの製造方法によれば、画素電極のエッジ部分を囲うように形成される画素分離膜の表面に凹凸または溝を形成して画素分離膜上に存在するパーチクルが開口部内の画素電極に移動することを防止できる。これで暗点のような不良を防止して寿命を延長させることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を添付された図面を参照して説明すれば、次の通りである。
【0019】
図2Aは、本発明の第1実施形態によるOLEDの断面図を図示した図面である。図2Bは、本発明の第1実施形態によるOLEDの平面図を図示した図面である。図2Aは、図2BのIIA−IIA線に沿った断面図であり、図2Bの複数の画素電極のうち1つの画素電極について図示した図面である。図2A及び図2Bは、OLEDのうち下部電極のアノード電極と前記アノード電極の一部分を露出させる開口部を備える絶縁膜に限定して図示した図面である。
【0020】
図2A及び図2Bを参照すれば、基板21上に画素電極としてアノード電極23が形成され、前記アノード電極23のエッジ部分を囲うように、開口部26を備える絶縁膜25が形成される。前記絶縁膜25は、その表面のうち一部分25aに、凹凸27aを備える。好ましくは、前記絶縁膜25は、その表面のうち開口部26のエッジ26bに隣接する部分25aに凹凸27aを備える。前記凹凸27aは、開口部26のエッジ26bを囲うように形成される。ここで、開口部26のエッジというのは、絶縁膜25の上面の開口部エッジ26bを意味する。
【0021】
前記絶縁膜25に形成される凹凸27aは、絶縁膜にパーチクル29が吸着されうる絶縁膜25の表面積を拡大させるために、小さければ小さいほど望ましい。また、凹凸27aは、絶縁膜25の表面内のパーチクルが開口部26内に移動することを防止するために形成されるものであるので、絶縁膜25の表面のうち開口部26のエッジ26bに隣接して形成されることが望ましい。
【0022】
本発明の実施形態では、前記画素電極の一部分を露出させるための開口部を備え、開口部エッジに隣接した表面に凹凸を備える絶縁膜は、画素分離膜、平坦化膜及び保護膜から選択される有機絶縁膜を含み、一層以上の多層膜を備えることもある。
【0023】
図3Aは、本発明の第2実施形態によるOLEDの断面図を図示した図面である。図3Bは、本発明の第2実施形態によるOLEDの平面図を図示した図面である。図3Aは、図3BのIIIA−IIIA線に沿った断面図であり、図3Bの複数の画素電極のうち1つの画素電極について図示した図面である。図3A及び図3Bは、OLEDのうち下部電極のアノード電極と前記アノード電極の一部分を露出させる開口部を備える絶縁膜に限定して図示した図面である。
【0024】
図3A及び図3Bを参照すれば、基板21上に画素電極としてアノード電極23が形成され、前記アノード電極23のエッジ部分を囲うように開口部26を備える絶縁膜25が形成される。前記絶縁膜25は、その表面のうち開口部26の側面26aとエッジ26bを除外した全表面にわたって形成された凹凸27bを備える。
【0025】
前記絶縁膜25に形成される凹凸27bは、絶縁膜にパーチクル29が吸着されうる絶縁膜25の表面積を拡大させるために、小さければ小さいほど望ましい。本発明の実施形態では、前記画素電極の一部分を露出させるための開口部を備え、開口部の側面26aを除外したその全表面にわたって形成された凹凸27bを備える絶縁膜は、画素分離膜、平坦化膜及び保護膜から選択される有機絶縁膜を含み、一層以上の多層膜を備えることもある。
【0026】
第1及び第2実施形態によるOLEDは画素電極のエッジ部分を囲うように開口部を備える絶縁膜の表面に、凹凸を備えて絶縁膜上のパーチクルを吸着させることにより、基板移送中または蒸着マスクとのアラインメント時に、絶縁膜上のパーチクル29が開口部内の画素電極に移動することを防止する。これにより、後続工程で形成される有機膜層と画素電極との界面特性が改善されて暗点のような不良を防止する。
【0027】
図4Aは、本発明の第3実施形態によるOLEDの断面図を図示した図面である。図4Bは、本発明の第3実施形態によるOLEDの平面図を図示した図面である。図4Aは、図4BのIVA−IVA線に沿った断面図であり、図4Bの複数の画素電極のうち1つの画素電極について図示した図面である。図4A及び図4Bは、OLEDのうち下部電極のアノード電極と前記アノード電極の一部分を露出させる開口部を備える絶縁膜に限定して図示した図面である。
【0028】
図4A及び図4Bを参照すれば、基板31上に画素電極としてアノード電極33が形成され、前記アノード電極33のエッジ部分を囲うように開口部36を備える絶縁膜35が形成される。前記絶縁膜35は、その表面に溝37aを備える。前記絶縁膜35の表面のうち、開口部36のエッジに隣接する部分に溝37aを備える。ここで、開口部36のエッジというのは、絶縁膜35の上面の開口部エッジ36bを意味する。
【0029】
このとき、前記絶縁膜35に形成される溝37aは、絶縁膜35の表面内のパーチクルが開口部36内に移動することを防止するために形成されるものであるので、絶縁膜35の表面のうち開口部36のエッジに隣接して形成されることが望ましい。前記溝37aは、開口部36のエッジ36bを囲うように形成される。
【0030】
本発明の実施形態では、前記画素電極の一部分を露出させるための開口部を備える絶縁膜は、画素分離膜、平坦化膜及び保護膜から選択される有機絶縁膜を含み、一層以上の多層膜を備えることもある。
【0031】
図5Aは、本発明の第4実施形態によるOLEDの断面図を図示した図面である。図5Bは、本発明の第4実施形態によるOLEDの平面図を図示した図面である。図5Aは、図5BのVA−VA線に沿った断面図であり、図5Bの複数の画素電極のうち1つの画素電極について図示した図面である。図5A及び図5Bは、OLEDのうち下部電極のアノード電極と前記アノード電極の一部分を露出させる開口部を備える絶縁膜に限定して図示した図面である。
【0032】
図5A及び図5Bを参照すれば、基板31上に画素電極としてアノード電極33が形成され、前記アノード電極33のエッジ部分を囲うように開口部36を備える絶縁膜35が形成される。前記絶縁膜35は、その表面に溝37bを備える。前記絶縁膜35の表面のうち開口部36のエッジ36bに隣接した部分を除外した全表面にわたって形成される溝37bを備える。ここで、開口部36のエッジというのは、絶縁膜35の上面の開口部エッジ36bを意味する。
【0033】
このとき、絶縁膜35の表面内のパーチクルが開口部36内に移動することを防止するために、絶縁膜35の表面のうち開口部36のエッジ36bに隣接した部分が他の部分と段差をなすように陰刻パターン37bにより形成されることが望ましい。
【0034】
本発明の実施形態では、前記画素電極の一部分を露出させるための開口部を備える絶縁膜は、画素分離膜、平坦化膜及び保護膜から選択される有機絶縁膜を含み、一層以上の多層膜を備えることもある。
【0035】
第3及び第4実施形態によるOLEDは、画素電極のエッジ部分を囲うように開口部を備える絶縁膜の表面に溝状の陰刻パターンを備えて絶縁膜上のパーチクルを吸着させることにより、基板移送中または蒸着マスクとのアラインメント時に、絶縁膜上のパーチクル39が開口部内の画素電極に移動することを防止する。これにより、後続工程で形成される有機膜層と画素電極との界面特性が改善され、暗点のような不良を防止する。
【0036】
本発明の第3及び第4実施形態は、絶縁膜の表面に溝を形成し、パーチクルが画素電極の表面に移動することを防止するものを例示したが、溝状でなく絶縁膜の表面のうちエッジ部分に近接した部分より残りの部分がさらに低い段差を有するように形成される陰刻パターンも可能である。
【0037】
図6Aないし図6Cは、本発明の第1実施形態を適用した前面発光型OLEDの製造方法を説明するための工程断面図を図示した図面である。
【0038】
図6Aを参照すれば、基板100上にバッファ層110が形成され、前記バッファ層110上に薄膜トランジスタ130を形成する。前記薄膜トランジスタ130は、一般的な薄膜トランジスタを形成する方法により製造され、前記バッファ層110上に形成された半導体層131、ゲート132及びソース及びドレイン電極134,135を備える。
【0039】
前記半導体層131は、ソース及びドレイン領域(図示せず)を備え、前記ソース及びドレイン電極134,135は、絶縁膜120に形成されたそれぞれのコンタクトホールを介して前記半導体層131のソース及びドレイン領域に連結される。前記半導体層131とゲート電極132、及びゲート電極132とソース及びドレイン電極134,135間には、絶縁膜120が介在されている。前記絶縁膜120は、ゲート絶縁膜及び層間絶縁膜などを備える。
【0040】
前記絶縁膜120上に、前記薄膜トランジスタ130のソース及びドレイン電極134,135のうち1つの電極、例えばドレイン電極135を露出させるビアホールを備える保護膜(第1絶縁膜)140が形成される。前記保護膜140上に、前記薄膜トランジスタ130のドレイン電極135を露出させるビアホール155を備える平坦化膜150が形成される。
【0041】
前記平坦化膜150上に、前記ビアホール155を介して前記薄膜トランジスタ130のドレイン電極135に連結される有機電界発光素子の下部電極160が形成される。前記下部電極160は、画素電極としてのアノード電極として作用する。本発明のOLEDは、前面発光構造を有するので、前記下部電極160は、反射電極を備える。従って、前記画素電極160の下部には、反射膜(図示せず)が形成され、前記画素電極160は、透明電極物質を備える。
【0042】
前記画素電極160が形成された平坦化膜150上に、画素分離膜(第2絶縁膜)170、例えばポリイミド系有機膜またはアクリル系有機膜のような有機絶縁膜を基板上に蒸着した後、一般的な写真エッチング工程を介して前記画素電極160の一部分が露出されるようにエッチングし、開口部175を形成する。
【0043】
図6Bを参照すれば、前記画素分離膜170の表面に凹凸177を形成する。前記画素分離膜170に凹凸177を形成する方法は、画素分離膜の表面をスクラッチするか、またはブラッシングして形成する。前記凹凸177は、開口部エッジ175aに隣接して形成されることが望ましい。
【0044】
図6Cを参照すれば、前記画素分離膜170の開口部175により露出されたアノード電極160上に、有機膜層180を形成する。基板上に、カソード電極190が形成される。前記有機膜層180は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び正孔抑制層から選択される一つ以上の有機膜を備える。前記カソード電極190は、透過電極を含む。
【0045】
図6Aないし図6Cに図示されたOLEDの製造方法は、第1実施形態を適用した前面発光型OLEDについて説明したが、それに限定されずに、第2実施形態ないし第4実施形態にも適用することも可能なだけではなく、他の形態の前面発光型OLEDにも適用可能である。
【0046】
図7Aないし図7Cは、本発明の第3実施形態による背面発光型OLEDの製造方法を説明するための工程断面図を図示した図面である。
【0047】
図7Aを参照すれば、基板200上にバッファ層210が形成され、前記バッファ層210上に薄膜トランジスタ230を形成する。前記薄膜トランジスタ230は、半導体層231、ゲート232、及びソース及びドレイン電極234,235を備える。
【0048】
前記半導体層231は、ソース及びドレイン領域(図示せず)を備え、前記ソース及びドレイン電極234,235は、絶縁膜220に形成されたそれぞれのコンタクトホールを介して前記半導体層231のソース及びドレイン領域に連結される。前記半導体層231とゲート電極232、及びゲート電極232とソース及びドレイン電極234,235間には、絶縁膜220が介在されている。前記絶縁膜220は、ゲート絶縁膜及び層間絶縁膜などを含む。
【0049】
前記絶縁膜220上に、前記薄膜トランジスタ230のソース及びドレイン電極234,235のうち1つの電極、例えばドレイン電極235を露出させるビアホール245を備える保護膜240(第1絶縁膜)が形成される。前記保護膜240上に、前記ビアホール245を介して前記薄膜トランジスタ230のドレイン電極235に連結される有機電界発光素子の下部電極260が形成される。前記下部電極260は、画素電極としてのアノード電極として作用する。本発明のOLEDは、背面発光構造を有するので、前記画素電極260は、透過電極を備える。
【0050】
前記画素電極260が形成された保護膜240上に、画素分離膜のための絶縁膜(第2絶縁膜)270、例えばポリイミド系有機膜またはアクリル系有機膜のような有機絶縁膜を基板上に蒸着した後、一般的な写真エッチング工程を介して前記画素電極260の一部分が露出されるようにエッチングし、開口部275を形成する。
【0051】
図7Bを参照すれば、前記画素分離膜270の表面に溝277を形成する。前記溝277は、画素分離膜270の表面のうち、エッジ部分275aに隣接した部分に陰刻状に形成する。前記溝277は、スクラッチ法またはブラッシング法を利用して形成する。
【0052】
また、前記画素分離膜270に溝277を形成する方法は、画素分離膜270に第1マスク(図示せず)を利用した写真エッチング法で開口部275を形成した後、第2マスク(図示せず)を利用した写真エッチング法で溝277を形成できる。また、画素分離膜270をハーフトーンマスク(図示せず)を利用した写真エッチング法でエッチングして開口部275と溝277とを同時に形成することも可能である。
【0053】
図7Cを参照すれば、前記画素分離膜270の開口部275により露出されたアノード電極260上に、有機膜層280を形成する。基板上に、カソード電極290が形成される。前記カソード電極は、不透明電極を含む。前記有機膜層280は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び正孔抑制層から選択される一つ以上の有機膜を備える。
【0054】
図7Aないし図7Cに図示されたOLEDの製造方法は、第3実施形態を適用した背面発光型OLEDについて説明したが、それに限定されずに、第1及び第2実施形態そして第4実施形態に適用することも可能なだけではなく、他の形態の背面発光型OLEDにも適用可能である。
【0055】
本発明の実施形態では、画素電極の一部分を露出させる画素分離膜に凹凸または溝を形成することを例示したが、それらに必ずしも限定されるものではなく、画素電極のエッジ部分を囲うように形成される平坦化膜または保護膜に凹凸または溝を形成するOLEDの製造方法にも適用可能である。
【0056】
本発明の実施形態は、背面及び前面発光構造を有するOLEDについて例示したが、両面発光型OLEDにも適用可能である。また、本発明のOLEDは、有機電界発光素子を駆動する駆動素子として一般的な薄膜トランジスタを例示したが、有機薄膜トランジスタのような多様な素子も利用可能である。
【0057】
以上、本発明の望ましい実施形態を参照して説明したが、当該技術分野の当業者は、特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から外れない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることができるということを理解できるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、例えばOLED関連の技術分野で効果的に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】従来のOLEDにおいて、画素電極についての断面図である。
【図2A】本発明の第1実施形態によるOLEDにおいて、画素電極についての断面図である。
【図2B】本発明の第1実施形態によるOLEDにおいて、画素電極についての平面図である。
【図3A】本発明の第2実施形態によるOLEDにおいて、画素電極についての断面図である。
【図3B】本発明の第2実施形態によるOLEDにおいて、画素電極についての平面図である。
【図4A】本発明の第3実施形態によるOLEDにおいて、画素電極についての断面図である。
【図4B】本発明の第3実施形態によるOLEDにおいて、画素電極についての平面図である。
【図5A】本発明の第4実施形態によるOLEDにおいて、画素電極についての断面図である。
【図5B】本発明の第4実施形態によるOLEDにおいて、画素電極についての平面図である。
【図6A】本発明の第1実施形態を適用したOLEDの製造方法を説明するための工程断面図である。
【図6B】本発明の第1実施形態を適用したOLEDの製造方法を説明するための工程断面図である。
【図6C】本発明の第1実施形態を適用したOLEDの製造方法を説明するための工程断面図である。
【図7A】本発明の第3実施形態を適用したOLEDの製造方法を説明するための工程断面図である。
【図7B】本発明の第3実施形態を適用したOLEDの製造方法を説明するための工程断面図である。
【図7C】本発明の第3実施形態を適用したOLEDの製造方法を説明するための工程断面図である。
【符号の説明】
【0060】
11,21,31…基板
13…画素電極
23,33…アノード電極(下部電極)
15,25,35…絶縁膜
25a…絶縁膜表面での一部分
16,26,36…開口部
26a…開口部の側面
26b,36b…開口部のエッジ
27a,27b…凸凹
19,29,39…パーチクル
37a,37b…溝(陰刻パターン)
100,200…基板
110,210…バッファ層
120,220…絶縁膜
130,230…薄膜トランジスタ
131,231…半導体層
132,232…ゲート電極
134,234…ソース電極
135,235…ドレイン電極
140,240…保護膜(第1絶縁膜)
150…平坦化膜
155,245…ビアホール
160,260…アノード電極(下部電極、画素電極)
170,270…画素分離膜(第2絶縁膜)
175,275…開口部
175a,275a…開口部エッジ
177…凹凸
180,280…有機膜層
190,290…カソード電極(上部電極)
277…溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された下部電極と、
前記下部電極の一部分を露出させる開口部を備えた絶縁膜と、
前記開口部により露出された下部電極上に形成された有機膜層と、
基板上に形成された上部電極とを備え、
前記絶縁膜は、その表面に凹凸を備えることを特徴とする有機電界発光表示装置。
【請求項2】
前記絶縁膜は、画素分離膜、平坦化膜及び保護膜から選択されることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項3】
前記凹凸は、絶縁膜の表面のうち前記開口部のエッジに隣接した一部分に形成されることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項4】
前記凹凸は、絶縁膜の表面のうち前記開口部のエッジ部分を除外した全表面にわたって形成されることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項5】
前記凹凸は、絶縁膜の表面がスクラッチされて形成されたことを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項6】
前記凹凸は、絶縁膜の表面がブラッシングされて形成されたことを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項7】
基板上に形成された下部電極と、
前記下部電極の一部分を露出させる開口部を備えた絶縁膜と、
前記開口部により露出された下部電極上に形成された有機膜層と、
基板上に形成された上部電極とを備え、
前記絶縁膜は、その表面に溝を備えることを特徴とする有機電界発光表示装置。
【請求項8】
前記絶縁膜は、画素分離膜、平坦化膜及び保護膜から選択されることを特徴とする請求項7に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項9】
前記溝は、前記絶縁膜の表面のうち前記開口部のエッジに隣接した一部分に形成されることを特徴とする請求項7に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項10】
前記溝は、前記絶縁膜の表面のうち前記開口部のエッジ部分を除外した全表面にわたって形成されることを特徴とする請求項7に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項11】
前記溝は、絶縁膜の表面がスクラッチされて形成されたことを特徴とする請求項7に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項12】
前記溝は、絶縁膜の表面がブラッシングされて形成されたことを特徴とする請求項7に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項13】
基板上に形成され、少なくともソース及びドレイン電極を備える薄膜トランジスタと、
基板上に形成され、前記薄膜トランジスタのソース及びドレイン電極のうち一つを露出させるビアホールを備える第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成され、前記ビアホールを介して前記ソース及びドレイン電極のうち1つの電極に連結される画素電極と、
前記第1絶縁膜上に形成され、前記画素電極の一部分を露出させる開口部を備える第2絶縁膜と、
前記露出された画素電極上に形成された有機膜層と、
基板上に形成された上部電極とを備え、
前記第2絶縁膜は、その表面に凹凸を備えることを特徴とする有機電界発光表示装置。
【請求項14】
前記第1絶縁膜は、保護膜と平坦化膜とから選択され、前記第2絶縁膜は、画素分離膜を備えることを特徴とする請求項13に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項15】
前記凹凸は、第2絶縁膜の表面のうち前記開口部のエッジに隣接した一部分に形成されるか、または前記開口部のエッジ部分を除外した全表面にわたって形成されることを特徴とする請求項13に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項16】
前記凹凸は、第2絶縁膜の表面がスクラッチされて形成されるか、またはブラッシングされて形成されたことを特徴とする請求項13に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項17】
基板上に形成され、少なくともソース及びドレイン電極を備える薄膜トランジスタと、
基板上に形成され、前記薄膜トランジスタのソース及びドレイン電極のうち一つを露出させるビアホールを備える第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成され、前記ビアホールを介して前記ソース及びドレイン電極のうち1つの電極に連結される画素電極と、
前記第1絶縁膜上に形成され、前記画素電極の一部分を露出させる開口部を備える第2絶縁膜と、
前記露出された画素電極上に形成された有機膜層と、
基板上に形成された上部電極とを備え、
前記第2絶縁膜は、その表面に溝を備えることを特徴とする有機電界発光表示装置。
【請求項18】
前記第1絶縁膜は、保護膜と平坦化膜とから選択され、前記第2絶縁膜は、画素分離膜を備えることを特徴とする請求項17に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項19】
前記溝は、第2絶縁膜の表面のうち前記開口部のエッジに隣接した部分に形成されるか、または前記開口部のエッジ部分を除外した全表面にわたって形成されることを特徴とする請求項17に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項20】
前記凹凸は、第2絶縁膜の表面がスクラッチされて形成されるか、またはブラッシングされて形成されたことを特徴とする請求項17に記載の有機電界発光表示装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公開番号】特開2006−140145(P2006−140145A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306081(P2005−306081)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】