説明

有機EL表示装置及び電子機器

【課題】白色有機EL素子+カラーフィルタの方式を用いるに当たって、工程数を増やすことなく、白色光の光漏れを抑えることが可能な有機EL表示装置、及び、当該有機EL表示装置を有する電子機器を提供する。
【解決手段】白色有機EL素子21Wの発光部及びカラーフィルタ74の周囲を囲むように、信号線33、電源供給線32、駆動トランジスタ22のゲート電極221、保持容量24の電極241、及び、書込みトランジスタ23のゲート電極231等の金属配線を設ける。これらの金属配線は、カラーフィルタ74の各色のフィルタ間を遮光する遮光層としての機能を持つ。これにより、カラーフィルタ74の各色のフィルタ間での白色光の光漏れを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有機EL表示装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
平面型(フラットパネル型)の表示装置の一つとして、デバイスに流れる電流値に応じて発光輝度が変化する、所謂、電流駆動型の電気光学素子を画素の発光部(発光素子)として用いた表示装置がある。電流駆動型の電気光学素子としては、有機材料のエレクトロルミネッセンス(EL;Electroluminescence)を利用し、有機薄膜に電界をかけると発光する現象を用いた有機EL素子が知られている。
【0003】
画素の発光部として有機EL素子を用いた有機EL表示装置は次のような特長を持っている。すなわち、有機EL素子は、10V以下の印加電圧で駆動できるために低消費電力である。有機EL素子は自発光素子であるために、液晶表示装置に比べて、画像の視認性が高く、しかも、バックライト等の照明部材を必要としないために軽量化及び薄型化が容易である。更に、有機EL素子は、応答速度が数μsec程度と非常に高速であるために動画表示時の残像が発生しない。
【0004】
ところで、有機EL表示装置として、R(赤)G(緑)B(青)の有機EL材料を、マスクを利用して蒸着で塗り分ける、所謂、RGBマスク塗り分け方式のものが一般的に知られている。このRGBマスク塗り分け方式の場合は、図22に示すように、R,G,Bの有機EL素子21R,21G,21Bとカラーフィルタ80とを組み合わせた構成を採っている。カラーフィルタ80を併用することで、色純度を高めることができる。しかし、RGBマスク塗り分け方式では、高精細な有機EL表示装置を実現するためには、画素の塗り分けが非常に難しい。
【0005】
これに対して、RGBマスク塗り分けを行わず、図23に示すように、白色光を発光する有機EL素子(以下、「白色有機EL素子」と記述する)21Wとカラーフィルタ80とを組み合わせることで、RGBの各色光を取り出す方式のものがある(例えば、特許文献1参照)。この白色有機EL素子21W+カラーフィルタ80の方式は、有機EL表示装置の大型化、高精細化に有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−123971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、白色有機EL素子21W+カラーフィルタ80の方式を用いる場合は、有機EL素子21Wが白色を発光し、この白色光からカラーフィルタ80によってRGBの各色光を取り出すため、RGBのそれぞれのフィルタの間に遮光層を設ける必要がある。遮光層を設けなければ、図24に示すように、各フィルタ間で白色光の光漏れが生じ、当該光漏れの影響によって色再現性が悪化する。
【0008】
また、カラーフィルタを形成する場合、カラーフィルタの周縁部にテーパー状に段差ができるため、中心部に比べて周縁部の膜厚が薄くなる。すなわち、カラーフィルタの周縁部に膜厚差が生じる。そして、この膜厚差の影響により色ずれが生じるため、所望の発光色が得られなくなってしまう。これらの理由から、白色有機EL素子21W+カラーフィルタ80の方式を用いる場合、RGBのそれぞれのフィルタの間に遮光層を設けることが必要になるため、遮光層の形成工程が必要になり、工程数が増えることになる。
【0009】
そこで、本開示は、白色有機EL素子+カラーフィルタの方式を用いるに当たって、工程数を増やすことなく、白色光の光漏れを抑えることが可能な有機EL表示装置、及び、当該有機EL表示装置を有する電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本開示では、
白色光を発光する白色有機EL素子が画素単位で形成された基板の裏面側から、当該白色有機EL素子が発する光を取り出すボトムエミッション構造を採る有機EL表示装置において、
白色有機EL素子とカラーフィルタとの組み合わせによって各色光を取り出す方式を用いるに当たって、
前記白色有機EL素子の発光部及び前記カラーフィルタの周囲を画素単位で囲むように金属配線を形成した
構成を採っている。
【0011】
上記構成の有機EL表示装置において、白色有機EL素子の発光部及びカラーフィルタの周囲を金属配線で囲むことにより、各色光のそれぞれのフィルタの間に遮光層を形成しなくても、各フィルタ間での白色光の光漏れを防止することができる。これにより、白色光の光漏れに起因する色再現性の悪化や、色ずれの発生を抑えることができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、白色有機EL素子+カラーフィルタの方式を用いるに当たって、遮光層を形成しなくても、白色発光の光漏れを防止することができる。従って、工程数を増やさなくても、色再現性が悪化したり、色ずれを起こしたりすることのない有機EL表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本開示が適用されるアクティブマトリクス型有機EL表示装置の構成の概略を示すシステム構成図である。
【図2】画素(画素回路)の具体的な回路構成の一例を示す回路図である。
【図3】本開示が適用される有機EL表示装置の基本的な回路動作の説明に供するタイミング波形図である。
【図4】本開示が適用される有機EL表示装置の基本的な回路動作の動作説明図(その1)である。
【図5】本開示が適用される有機EL表示装置の基本的な回路動作の動作説明図(その2)である。
【図6】駆動トランジスタの閾値電圧Vthのばらつきに起因する課題の説明(A)、及び、駆動トランジスタの移動度μのばらつきに起因する課題の説明(B)に供する特性図である。
【図7】本開示の第1実施形態に係る有機EL表示装置の画素構造を示す概略平面図である。
【図8】図7のA−A′線に沿った矢視断面図である。
【図9】図7のB−B′線に沿った矢視断面図である。
【図10】カラーフィルタを基板に貼り付けて成る有機EL表示装置の画素構造を示す概略平面図である。
【図11】図10のC−C′線に沿った矢視断面図である。
【図12】図10のD−D′線に沿った矢視断面図である。
【図13】カラーフィルタ無しのときとカラーフィルタ有りで光が照射されたときのNチャネルトランジスタのゲート−ソース間電圧Vgs対ドレイン−ソース間電流Idsの特性図である。
【図14】本開示の第2実施形態に係る有機EL表示装置の画素構造を示す概略平面図である。
【図15】図14のE−E′線に沿った矢視断面図である。
【図16】図14のF−F′線に沿った矢視断面図である。
【図17】本開示が適用されるテレビジョンセットの外観を示す斜視図である。
【図18】本開示が適用されるデジタルカメラの外観を示す斜視図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。
【図19】本開示が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を示す斜視図である。
【図20】本開示が適用されるビデオカメラの外観を示す斜視図である。
【図21】本開示が適用される携帯電話機を示す外観図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【図22】RGBマスク塗り分け方式を用いる場合の画素構造を示す断面図である。
【図23】白色有機EL素子+カラーフィルタの方式を用いる場合の画素構造を示す断面図である。
【図24】遮光層を設けないときに生ずる白色光の光漏れについての説明図である。
【図25】カラーフィルタの端部の膜厚差に起因して生ずる色ずれについての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の技術を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.本開示が適用される有機EL表示装置
1−1.システム構成
1−2.基本的な回路動作
2.第1実施形態
3.第2実施形態
4.適用例(電子機器)
【0015】
<1.本開示が適用される有機EL表示装置>
[1−1.システム構成]
図1は、本開示が適用されるアクティブマトリクス型有機EL表示装置の構成の概略を示すシステム構成図である。
【0016】
アクティブマトリクス型有機EL表示装置は、電流駆動型の電気光学素子である有機EL素子に流れる電流を、当該有機EL素子と同じ画素内に設けた能動素子、例えば絶縁ゲート型電界効果トランジスタにより制御する表示装置である。絶縁ゲート型電界効果トランジスタとしては、典型的には、TFT(薄膜トランジスタ)が用いられる。
【0017】
図1に示すように、本適用例に係る有機EL表示装置10は、有機EL素子を含む複数の画素20と、当該画素20が行列状に2次元配置されてなる画素アレイ部30と、当該画素アレイ部30の周辺に配置される駆動回路部とを有する構成となっている。駆動回路部は、書込み走査回路40、電源供給走査回路50及び信号出力回路60等からなり、画素アレイ部30の各画素20を駆動する。
【0018】
ここで、有機EL表示装置10がカラー表示対応の場合は、カラー画像を形成する単位となる1つの画素(単位画素)は複数の副画素(サブピクセル)から構成され、この副画素の各々が図1の画素20に相当することになる。より具体的には、カラー表示対応の表示装置では、1つの画素は、例えば、赤色(Red;R)光を発光する副画素、緑色(Green;G)光を発光する副画素、青色(Blue;B)光を発光する副画素の3つの副画素から構成される。
【0019】
但し、1つの画素としては、RGBの3原色の副画素の組み合わせに限られるものではなく、3原色の副画素に更に1色あるいは複数色の副画素を加えて1つの画素を構成することも可能である。より具体的には、例えば、輝度向上のために白色(White;W)光を発光する副画素を加えて1つの画素を構成したり、色再現範囲を拡大するために補色光を発光する少なくとも1つの副画素を加えて1つの画素を構成したりすることも可能である。
【0020】
画素アレイ部30には、m行n列の画素20の配列に対して、行方向(画素行の画素の配列方向)に沿って走査線311〜31mと電源供給線321〜32mとが画素行毎に配線されている。更に、m行n列の画素20の配列に対して、列方向(画素列の画素の配列方向)に沿って信号線331〜33nが画素列毎に配線されている。
【0021】
走査線311〜31mは、書込み走査回路40の対応する行の出力端にそれぞれ接続されている。電源供給線321〜32mは、電源供給走査回路50の対応する行の出力端にそれぞれ接続されている。信号線331〜33nは、信号出力回路60の対応する列の出力端にそれぞれ接続されている。
【0022】
画素アレイ部30は、通常、ガラス基板などの透明絶縁基板上に形成されている。これにより、有機EL表示装置10は、平面型(フラット型)のパネル構造となっている。画素アレイ部30の各画素20の駆動回路は、アモルファスシリコンTFTまたは低温ポリシリコンTFTを用いて形成することができる。低温ポリシリコンTFTを用いる場合には、図1に示すように、書込み走査回路40、電源供給走査回路50、及び、信号出力回路60についても、画素アレイ部30を形成する表示パネル(基板)70上に実装することができる。
【0023】
書込み走査回路40は、クロックパルスckに同期してスタートパルスspを順にシフト(転送)するシフトレジスタ回路等によって構成されている。この書込み走査回路40は、画素アレイ部30の各画素20への映像信号の信号電圧書込みに際して、走査線31(311〜31m)に対して書込み走査信号WS(WS1〜WS m)を順次供給することによって画素アレイ部30の各画素20を行単位で順番に走査(線順次走査)する。
【0024】
電源供給走査回路50は、クロックパルスckに同期してスタートパルスspを順にシフトするシフトレジスタ回路等によって構成されている。この電源供給走査回路50は、書込み走査回路40による線順次走査に同期して、第1電源電位Vccpと当該第1電源電位Vccpよりも低い第2電源電位Viniとで切り替わることが可能な電源電位DS(DS1〜DSm)を電源供給線32(321〜32m)に供給する。後述するように、電源電位DSのVccp/Viniの切替えにより、画素20の発光/非発光の制御が行なわれる。
【0025】
信号出力回路60は、信号供給源(図示せず)から供給される輝度情報に応じた映像信号の信号電圧(以下、単に「信号電圧」と記述する場合もある)Vsigと基準電圧Vofsとを選択的に出力する。ここで、基準電圧Vofsは、映像信号の信号電圧Vsigの基準となる電位(例えば、映像信号の黒レベルに相当する電位)であり、後述する閾値補正処理の際に用いられる。
【0026】
信号出力回路60から出力される信号電圧Vsig/基準電圧Vofsは、信号線33(331〜33n)を介して画素アレイ部30の各画素20に対して、書込み走査回路40による走査によって選択された画素行の単位で書き込まれる。すなわち、信号出力回路60は、信号電圧Vsigを行(ライン)単位で書き込む線順次書込みの駆動形態を採っている。
【0027】
(画素回路)
図2は、画素(画素回路)20の具体的な回路構成の一例を示す回路図である。画素20の発光部は、デバイスに流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の電気光学素子である有機EL素子21から成る。
【0028】
図2に示すように、画素20は、有機EL素子21と、有機EL素子21に電流を流すことによって当該有機EL素子21を駆動する駆動回路とによって構成されている。有機EL素子21は、全ての画素20に対して共通に配線(所謂、ベタ配線)された共通電源供給線34にカソード電極が接続されている。
【0029】
有機EL素子21を駆動する駆動回路は、駆動トランジスタ22、書込みトランジスタ23、保持容量24、及び、補助容量25を有する構成となっている。駆動トランジスタ22及び書込みトランジスタ23としてNチャネル型のTFTを用いることができる。但し、ここで示した、駆動トランジスタ22及び書込みトランジスタ23の導電型の組み合わせは一例に過ぎず、これらの組み合わせに限られるものではない。
【0030】
駆動トランジスタ22は、一方の電極(ソース/ドレイン電極)が有機EL素子21のアノード電極に接続され、他方の電極(ドレイン/ソース電極)が電源供給線32(321〜32m)に接続されている。
【0031】
書込みトランジスタ23は、一方の電極(ソース/ドレイン電極)が信号線33(331〜33n)に接続され、他方の電極(ドレイン/ソース電極)が駆動トランジスタ22のゲート電極に接続されている。また、書込みトランジスタ23のゲート電極は、走査線31(311〜31m)に接続されている。
【0032】
駆動トランジスタ22及び書込みトランジスタ23において、一方の電極とは、ソース/ドレイン領域に電気的に接続された金属配線を言い、他方の電極とは、ドレイン/ソース領域に電気的に接続された金属配線を言う。また、一方の電極と他方の電極との電位関係によって一方の電極がソース電極ともなればドレイン電極ともなり、他方の電極がドレイン電極ともなればソース電極ともなる。
【0033】
保持容量24は、一方の電極が駆動トランジスタ22のゲート電極に接続され、他方の電極が駆動トランジスタ22の他方の電極、及び、有機EL素子21のアノード電極に接続されている。
【0034】
補助容量25は、一方の電極が有機EL素子21のアノード電極に、他方の電極が共通電源供給線34にそれぞれ接続されている。この補助容量25は、有機EL素子21の容量不足分を補い、保持容量24に対する映像信号の書込みゲインを高めるために、必要に応じて設けられるものである。すなわち、補助容量25は必須の構成要素ではなく、有機EL素子21の等価容量が十分に大きい場合は省略可能である。
【0035】
ここでは、補助容量25の他方の電極を共通電源供給線34に接続するとしているが、他方の電極の接続先としては、共通電源供給線34に限られるものではなく、固定電位のノードであればよい。補助容量25の他方の電極を固定電位のノードに接続することで、有機EL素子21の容量不足分を補い、保持容量24に対する映像信号の書込みゲインを高めるという所期の目的を達成することができる。
【0036】
上記構成の画素20において、書込みトランジスタ23は、書込み走査回路40から走査線31を通してゲート電極に印加されるHighアクティブの書込み走査信号WSに応答して導通状態となる。これにより、書込みトランジスタ23は、信号線33を通して信号出力回路60から供給される、輝度情報に応じた映像信号の信号電圧Vsigまたは基準電圧Vofsをサンプリングして画素20内に書き込む。この書き込まれた信号電圧Vsigまたは基準電圧Vofsは、駆動トランジスタ22のゲート電極に印加されるとともに保持容量24に保持される。
【0037】
駆動トランジスタ22は、電源供給線32(321〜32m)の電源電位DSが第1電源電位Vccpにあるときには、一方の電極がドレイン電極、他方の電極がソース電極となって飽和領域で動作する。これにより、駆動トランジスタ22は、電源供給線32から電流の供給を受けて有機EL素子21を電流駆動にて発光駆動する。より具体的には、駆動トランジスタ22は、飽和領域で動作することにより、保持容量24に保持された信号電圧Vsigの電圧値に応じた電流値の駆動電流を有機EL素子21に供給し、当該有機EL素子21を電流駆動することによって発光させる。
【0038】
駆動トランジスタ22は更に、電源電位DSが第1電源電位Vccpから第2電源電位Viniに切り替わったときには、一方の電極がソース電極、他方の電極がドレイン電極となってスイッチングトランジスタとして動作する。これにより、駆動トランジスタ22は、有機EL素子21への駆動電流の供給を停止し、有機EL素子21を非発光状態にする。すなわち、駆動トランジスタ22は、有機EL素子21の発光/非発光を制御するトランジスタとしての機能をも併せ持っている。
【0039】
この駆動トランジスタ22のスイッチング動作により、有機EL素子21が非発光状態となる期間(非発光期間)を設け、有機EL素子21の発光期間と非発光期間の割合(デューティ)を制御することができる。このデューティ制御により、1表示フレーム期間に亘って画素が発光することに伴う残像ボケを低減できるために、特に動画の画品位をより優れたものとすることができる。
【0040】
電源供給走査回路50から電源供給線32を通して選択的に供給される第1,第2電源電位Vccp,Viniのうち、第1電源電位Vccpは有機EL素子21を発光駆動する駆動電流を駆動トランジスタ22に供給するための電源電位である。また、第2電源電位Viniは、有機EL素子21に対して逆バイアスを掛けるための電源電位である。この第2電源電位Viniは、基準電圧Vofsよりも低い電位、例えば、駆動トランジスタ22の閾値電圧をVthとするときVofs−Vthよりも低い電位、好ましくは、Vofs−Vthよりも十分に低い電位に設定される。
【0041】
[1−2.基本的な回路動作]
続いて、上記構成の有機EL表示装置10の基本的な回路動作について、図3のタイミング波形図を基に図4及び図5の動作説明図を用いて説明する。尚、図4及び図5の動作説明図では、図面の簡略化のために、書込みトランジスタ23をスイッチのシンボルで図示している。また、有機EL素子21の等価容量25についても図示している。
【0042】
図3のタイミング波形図には、走査線31の電位(書込み走査信号)WS、電源供給線32の電位(電源電位)DS、信号線33の電位(Vsig/Vofs)、駆動トランジスタ22のゲート電位Vg及びソース電位Vsのそれぞれの変化を示している。
【0043】
(前表示フレームの発光期間)
図3のタイミング波形図において、時刻t11以前は、前の表示フレームにおける有機EL素子21の発光期間となる。この前表示フレームの発光期間では、電源供給線32の電位DSが第1電源電位(以下、「高電位」と記述する)Vccpにあり、また、書込みトランジスタ23が非導通状態にある。
【0044】
このとき、駆動トランジスタ22は飽和領域で動作するように設計されている。これにより、図4(A)に示すように、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsに応じた駆動電流(ドレイン−ソース間電流)Idsが、電源供給線32から駆動トランジスタ22を通して有機EL素子21に供給される。従って、有機EL素子21が駆動電流Idsの電流値に応じた輝度で発光する。
【0045】
(閾値補正準備期間)
時刻t11になると、線順次走査の新しい表示フレーム(現表示フレーム)に入る。そして、図4(B)に示すように、電源供給線32の電位DSが高電位Vccpから、信号線33の基準電圧Vofsに対してVofs−Vthよりも十分に低い第2電源電位(以下、「低電位」と記述する)Viniに切り替わる。
【0046】
ここで、有機EL素子21の閾値電圧をVthel、共通電源供給線34の電位(カソード電位)をVcathとする。このとき、低電位ViniをVini<Vthel+Vcathとすると、駆動トランジスタ22のソース電位Vsが低電位Viniにほぼ等しくなるために、有機EL素子21は逆バイアス状態となって消光する。
【0047】
次に、時刻t12で走査線31の電位WSが低電位側から高電位側に遷移することで、、図4(C)に示すように、書込みトランジスタ23が導通状態となる。このとき信号出力回路60から信号線33に対して基準電圧Vofsが供給された状態にあるために、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgが基準電圧Vofsになる。また、駆動トランジスタ22のソース電位Vsは、基準電圧Vofsよりも十分に低い電位、即ち、低電位Viniにある。
【0048】
このとき、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧VgsはVofs−Viniとなる。ここで、Vofs−Viniが駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthよりも大きくないと、後述する閾値補正処理を行うことができないために、Vofs−Vini>Vthなる電位関係に設定する必要がある。
【0049】
このように、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgを基準電圧Vofsに固定し、かつ、ソース電位Vsを低電位Viniに固定して(確定させて)初期化する処理が、後述する閾値補正処理(閾値補正動作)を行う前の準備(閾値補正準備)の処理である。従って、基準電圧Vofs及び低電位Viniが、駆動トランジスタ22のゲート電位Vg及びソース電位Vsの各初期化電位となる。
【0050】
(閾値補正期間)
次に、時刻t13で、図4(D)に示すように、電源供給線32の電位DSが低電位Viniから高電位Vccpに切り替わると、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgが基準電圧Vofsに保たれた状態で閾値補正処理が開始される。すなわち、ゲート電位Vgから駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthを減じた電位に向けて駆動トランジスタ22のソース電位Vsが上昇を開始する。
【0051】
ここでは、便宜上、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgの初期化電位Vofsを基準とし、当該初期化電位Vofsから駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthを減じた電位に向けてソース電位Vsを変化させる処理を閾値補正処理と呼んでいる。この閾値補正処理が進むと、やがて、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsが駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthに収束する。この閾値電圧Vthに相当する電圧は保持容量24に保持される。
【0052】
尚、閾値補正処理を行う期間(閾値補正期間)において、電流が専ら保持容量24側に流れ、有機EL素子21側には流れないようにするために、有機EL素子21がカットオフ状態となるように共通電源供給線34の電位Vcathを設定しておくこととする。
【0053】
次に、時刻t14で、走査線31の電位WSが低電位側に遷移することで、図5(A)に示すように、書込みトランジスタ23が非導通状態となる。このとき、駆動トランジスタ22のゲート電極が信号線33から電気的に切り離されることによってフローティング状態になる。しかし、ゲート−ソース間電圧Vgsが駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthに等しいために、当該駆動トランジスタ22はカットオフ状態にある。従って、駆動トランジスタ22にドレイン−ソース間電流Idsは流れない。
【0054】
(信号書込み&移動度補正期間)
次に、時刻t15で、図5(B)に示すように、信号線33の電位が基準電圧Vofsから映像信号の信号電圧Vsigに切り替わる。続いて、時刻t16で、走査線31の電位WSが高電位側に遷移することで、図5(C)に示すように、書込みトランジスタ23が導通状態になって映像信号の信号電圧Vsigをサンプリングして画素20内に書き込む。
【0055】
この書込みトランジスタ23による信号電圧Vsigの書込みにより、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgが信号電圧Vsigになる。そして、映像信号の信号電圧Vsigによる駆動トランジスタ22の駆動の際に、当該駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthが保持容量24に保持された閾値電圧Vthに相当する電圧と相殺される。この閾値キャンセルの原理の詳細については後述する。
【0056】
このとき、有機EL素子21は、カットオフ状態(ハイインピーダンス状態)にある。従って、映像信号の信号電圧Vsigに応じて電源供給線32から駆動トランジスタ22に流れる電流(ドレイン−ソース間電流Ids)は、有機EL素子21の等価容量及び補助容量25に流れ込む。これにより、有機EL素子21の等価容量及び補助容量25の充電が開始される。
【0057】
有機EL素子21の等価容量及び補助容量25が充電されることにより、駆動トランジスタ22のソース電位Vsが時間の経過と共に上昇していく。このとき既に、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthの画素毎のばらつきがキャンセルされており、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsは当該駆動トランジスタ22の移動度μに依存したものとなる。尚、駆動トランジスタ22の移動度μは、当該駆動トランジスタ22のチャネルを構成する半導体薄膜の移動度である。
【0058】
ここで、映像信号の信号電圧Vsigに対する保持容量24の保持電圧Vgsの比率、即ち、書込みゲインGが1(理想値)であると仮定する。すると、駆動トランジスタ22のソース電位VsがVofs−Vth+ΔVの電位まで上昇することで、駆動トランジスタ22のゲート‐ソース間電圧VgsはVsig−Vofs+Vth−ΔVとなる。
【0059】
すなわち、駆動トランジスタ22のソース電位Vsの上昇分ΔVは、保持容量24に保持された電圧(Vsig−Vofs+Vth)から差し引かれるように、換言すれば、保持容量24の充電電荷を放電するように作用する。換言すれば、ソース電位Vsの上昇分ΔVは、保持容量24に対して負帰還がかけられたことになる。従って、ソース電位Vsの上昇分ΔVは負帰還の帰還量となる。
【0060】
このように、駆動トランジスタ22に流れるドレイン−ソース間電流Idsに応じた帰還量ΔVでゲート‐ソース間電圧Vgsに負帰還をかけることで、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsの移動度μに対する依存性を打ち消すことができる。この打ち消す処理が、駆動トランジスタ22の移動度μの画素毎のばらつきを補正する移動度補正処理である。
【0061】
より具体的には、駆動トランジスタ22のゲート電極に書き込まれる映像信号の信号振幅Vin(=Vsig−Vofs)が高い程ドレイン−ソース間電流Idsが大きくなるため、負帰還の帰還量ΔVの絶対値も大きくなる。従って、発光輝度レベルに応じた移動度補正処理が行われる。
【0062】
また、映像信号の信号振幅Vinを一定とした場合、駆動トランジスタ22の移動度μが大きいほど負帰還の帰還量ΔVの絶対値も大きくなるため、画素毎の移動度μのばらつきを取り除くことができる。従って、負帰還の帰還量ΔVは、移動度補正処理の補正量とも言える。移動度補正の原理の詳細については後述する。
【0063】
(発光期間)
次に、時刻t17で、走査線31の電位WSが低電位側に遷移することで、図5(D)に示すように、書込みトランジスタ23が非導通状態となる。これにより、駆動トランジスタ22のゲート電極は、信号線33から電気的に切り離されるためにフローティング状態になる。
【0064】
ここで、駆動トランジスタ22のゲート電極がフローティング状態にあるときは、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間に保持容量24が接続されていることにより、駆動トランジスタ22のソース電位Vsの変動に連動してゲート電位Vgも変動する。このように、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgがソース電位Vsの変動に連動して変動する動作が、保持容量24によるブートストラップ動作である。
【0065】
駆動トランジスタ22のゲート電極がフローティング状態になり、それと同時に、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsが有機EL素子21に流れ始めることにより、当該電流Idsに応じて有機EL素子21のアノード電位が上昇する。
【0066】
そして、有機EL素子21のアノード電位がVthel+Vcathを越えると、有機EL素子21に駆動電流が流れ始めるため有機EL素子21が発光を開始する。また、有機EL素子21のアノード電位の上昇は、即ち、駆動トランジスタ22のソース電位Vsの上昇に他ならない。そして、駆動トランジスタ22のソース電位Vsが上昇すると、保持容量24のブートストラップ動作により、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgも連動して上昇する。
【0067】
このとき、ブートストラップゲインが1(理想値)であると仮定した場合、ゲート電位Vgの上昇量はソース電位Vsの上昇量に等しくなる。故に、発光期間中、駆動トランジスタ22のゲート‐ソース間電圧Vgsは、Vsig−Vofs+Vth−ΔVで一定に保持される。そして、時刻t18で信号線33の電位が映像信号の信号電圧Vsigから基準電圧Vofsに切り替わる。
【0068】
以上説明した一連の回路動作において、閾値補正準備、閾値補正、信号電圧Vsigの書込み(信号書込み)、及び、移動度補正の各処理動作は、1水平走査期間(1H)において実行される。また、信号書込み及び移動度補正の各処理動作は、時刻t16−t17の期間において並行して実行される。
【0069】
〔分割閾値補正〕
尚、ここでは、閾値補正処理を1回だけ実行する駆動法を採る場合を例に挙げて説明したが、この駆動法は一例に過ぎず、この駆動法に限られるものではない。例えば、閾値補正処理を移動度補正及び信号書込み処理と共に行う1H期間に加えて、当該1H期間に先行する複数の水平走査期間に亘って分割して閾値補正処理を複数回実行する、所謂、分割閾値補正を行う駆動法を採ることも可能である。
【0070】
この分割閾値補正の駆動法によれば、高精細化に伴う多画素化によって1水平走査期間として割り当てられる時間が短くなったとしても、閾値補正期間として複数の水平走査期間に亘って十分な時間を確保することができる。従って、1水平走査期間として割り当てられる時間が短くなっても、閾値補正期間として十分な時間を確保できるため、閾値補正処理を確実に実行できることになる。
【0071】
〔閾値キャンセルの原理〕
ここで、駆動トランジスタ22の閾値キャンセル(即ち、閾値補正)の原理について説明する。駆動トランジスタ22は、飽和領域で動作するように設計されているために定電流源として動作する。これにより、有機EL素子21には駆動トランジスタ22から、次式(1)で与えられる一定のドレイン−ソース間電流(駆動電流)Idsが供給される。
ds=(1/2)・μ(W/L)Cox(Vgs−Vth2 ……(1)
ここで、Wは駆動トランジスタ22のチャネル幅、Lはチャネル長、Coxは単位面積当たりのゲート容量である。
【0072】
図6(A)に、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Ids対ゲート−ソース間電圧Vgsの特性を示す。図6(A)の特性図に示すように、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthの画素毎のばらつきに対するキャンセル処理(補正処理)を行わないと、閾値電圧VthがVth1のときに、ゲート−ソース間電圧Vgsに対応するドレイン−ソース間電流IdsがIds1になる。
【0073】
これに対して、閾値電圧VthがVth2(Vth2>Vth1)のとき、同じゲート−ソース間電圧Vgsに対応するドレイン−ソース間電流IdsがIds2(Ids2<Ids1)になる。すなわち、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthが変動すると、ゲート−ソース間電圧Vgsが一定であってもドレイン−ソース間電流Idsが変動する。
【0074】
一方、上記構成の画素(画素回路)20では、先述したように、発光時の駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧VgsはVsig−Vofs+Vth−ΔVである。従って、これを式(1)に代入すると、ドレイン−ソース間電流Idsは、次式(2)で表される。
ds=(1/2)・μ(W/L)Cox(Vsig−Vofs−ΔV)2 ……(2)
【0075】
すなわち、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthの項がキャンセルされており、駆動トランジスタ22から有機EL素子21に供給されるドレイン−ソース間電流Idsは、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthに依存しない。その結果、駆動トランジスタ22の製造プロセスのばらつきや経時変化等により、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthが画素毎に変動したとしても、ドレイン−ソース間電流Idsが変動しないために、有機EL素子21の発光輝度を一定に保つことができる。
【0076】
〔移動度補正の原理〕
次に、駆動トランジスタ22の移動度補正の原理について説明する。図6(B)に、駆動トランジスタ22の移動度μが相対的に大きい画素Aと、駆動トランジスタ22の移動度μが相対的に小さい画素Bとを比較した状態で特性カーブを示す。駆動トランジスタ22をポリシリコン薄膜トランジスタなどで構成した場合、画素Aや画素Bのように、画素間で移動度μがばらつくことは避けられない。
【0077】
画素Aと画素Bで移動度μにばらつきがある状態で、駆動トランジスタ22のゲート電極に対して、例えば両画素A,Bに同レベルの信号振幅Vin(=Vsig−Vofs)を書き込んだ場合を考える。この場合、何ら移動度μの補正を行わないと、移動度μの大きい画素Aに流れるドレイン−ソース間電流Ids1′と移動度μの小さい画素Bに流れるドレイン−ソース間電流Ids2′との間には大きな差が生じてしまう。このように、移動度μの画素毎のばらつきに起因してドレイン−ソース間電流Idsに画素間で大きな差が生じると、画面のユニフォーミティ(一様性)が損なわれる。
【0078】
ここで、先述した式(1)のトランジスタ特性式から明らかなように、移動度μが大きいとドレイン−ソース間電流Idsが大きくなる。従って、負帰還における帰還量ΔVは移動度μが大きくなるほど大きくなる。図6(B)に示すように、移動度μの大きな画素Aの帰還量ΔV1は、移動度の小さな画素Bの帰還量ΔV2に比べて大きい。
【0079】
そこで、移動度補正処理によって駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsに応じた帰還量ΔVでゲート−ソース間電圧Vgsに負帰還をかけることにより、移動度μが大きいほど負帰還が大きくかかることになる。その結果、移動度μの画素毎のばらつきを抑制することができる。
【0080】
具体的には、移動度μの大きな画素Aで帰還量ΔV1の補正をかけると、ドレイン−ソース間電流IdsはIds1′からIds1まで大きく下降する。一方、移動度μの小さな画素Bの帰還量ΔV2は小さいために、ドレイン−ソース間電流IdsはIds2′からIds2までの下降となり、それ程大きく下降しない。結果的に、画素Aのドレイン−ソース間電流Ids1と画素Bのドレイン−ソース間電流Ids2とはほぼ等しくなるために、移動度μの画素毎のばらつきが補正される。
【0081】
以上をまとめると、移動度μの異なる画素Aと画素Bがあった場合、移動度μの大きい画素Aの帰還量ΔV1は移動度μの小さい画素Bの帰還量ΔV2に比べて大きくなる。つまり、移動度μが大きい画素ほど帰還量ΔVが大きく、ドレイン−ソース間電流Idsの減少量が大きくなる。
【0082】
従って、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsに応じた帰還量ΔVで、ゲート−ソース間電圧Vgsに負帰還をかけることで、移動度μの異なる画素のドレイン−ソース間電流Idsの電流値が均一化される。その結果、移動度μの画素毎のばらつきを補正することができる。すなわち、駆動トランジスタ22に流れる電流(ドレイン−ソース間電流Ids)に応じた帰還量(補正量)ΔVで、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsに対して、即ち、保持容量24に対して負帰還をかける処理が移動度補正処理となる。
【0083】
以上説明した構成及び回路動作を基本とする、本開示の第1、第2実施形態に係る有機EL表示装置について以下に説明する。
【0084】
<2.第1実施形態>
図7は、本開示の第1実施形態に係る有機EL表示装置の画素構造を示す概略平面図である。また、図8は、図7のA−A′線に沿った矢視断面図であり、図9は、図7のB−B′線に沿った矢視断面図である。
【0085】
第1実施形態に係る有機EL表示装置は、有機EL素子が発する光の取り出し方式として、TFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)や容量素子等を含む画素回路が形成される透明絶縁基板の裏面側から取り出すボトムエミッション構造(方式)を採っている。第1実施形態に係る有機EL表示装置は更に、有機EL素子が白色光を発光する白色有機EL素子であり、白色有機EL素子とカラーフィルタとを組み合わせることで、例えばRGBの各色光を取り出す方式を用いている。
【0086】
特に図8及び図9に示すように、透明絶縁基板、例えばガラス基板71上には、駆動トランジスタ22及び保持容量24を含む画素回路(有機EL素子21Wの駆動回路)20が形成されている。より具体的には、ガラス基板71の上には、駆動トランジスタ22のゲート電極221、保持容量24の一方の電極241、及び、信号線33の下層配線331がモリブデン(Mo)等の配線材料によって形成されている。TFTを含む画素回路20が形成されたガラス基板71は、一般的に、TFT基板と呼称されている。
【0087】
駆動トランジスタ22のゲート電極221及び保持容量24の一方の電極241の上には、駆動トランジスタ22のチャネル領域及びソース/ドレイン領域を形成する半導体層222と、保持容量24の他方の電極242とが、ゲート絶縁膜72を介して形成されている。これら画素回路20の上には、絶縁膜73を介してカラーフィルタ74が直接オンチップにて形成されている。すなわち、カラーフィルタ74は、オンチップカラーフィルタである。
【0088】
絶縁膜73上には、信号線31の上層配線332がアルミニウム(Al)等の配線材料によって形成され、下層配線331とコンタクトがとられている(電気的に接続されている)。また、カラーフィルタ74の上には絶縁平坦化膜75が積層され、当該絶縁平坦化膜75の上には白色有機EL素子21Wのアノード電極211が画素単位で形成されている。
【0089】
白色有機EL素子21Wは、絶縁平坦化膜75上に積層されたウインド絶縁膜76の凹部76Aに形成されている。そして、ウインド絶縁膜76の凹部76Aが白色有機EL素子21Wの発光部、即ち、OLED開口部となる。白色有機EL素子21Wのカソード電極212は、全画素共通に形成されている。尚、図7では、カソード電極212の図示を省略している。
【0090】
上述したように、第1実施形態に係る有機EL表示装置では、前にも述べたように、有機EL素子21として白色を発光する白色有機EL素子21Wを用い、オンチップカラーフィルタ74によって例えばRGBの各副画素の発光色を得るようにしている。白色有機EL素子21Wとしては、例えば、RGBの各有機EL素子を多段化した、より具体的には、RGBの各発光層を、接続層を介して積層したタンデム構造の有機EL素子を用いることができる。
【0091】
また、第1実施形態に係る有機EL表示装置では、白色有機EL素子21Wが発する光を、画素回路20が形成されたガラス基板71の裏面側から取り出すボトムエミッション構造を採用している。ボトムエミッション構造を採った場合、回路構成素子や配線等がガラス基板71上に存在することによって光取り出し領域が限られるため、基板表面側から光を取り出すタイプのトップエミッション構造に比べて、有機EL素子21の発光の光利用率が落ちるのが一般的である。
【0092】
ところが、第1実施形態に係る有機EL表示装置にあっては、画素回路20が2つのトランジスタ(22,23)及び1つの容量素子(24)の少ない回路構成素子からなる回路構成となっている。従って、TFT基板(ガラス基板71)上に形成されるトランジスタ数や配線数が少なくて済むために、ボトムエミッション構造を採ったとしても、3つ以上のトランジスタ等を有する画素回路の場合に比べて、有機EL素子21の発光の光利用率を向上できる利点がある。
【0093】
特に図7から明らかなように、下層配線331及び上層配線332から成る信号線33は、画素(画素回路)20内の左端部側に当該画素20の長手方向に沿って、より具体的には、白色有機EL素子21Wの発光部の左側端部に沿って配線されている。下層配線331と上層配線332とは、画素20内の2箇所において、コンタクト部333,334によってコンタクトがとられている(電気的に接続されている)。
【0094】
電源供給線32は、画素20内の上端部側に当該画素20の短手方向に沿って、より具体的には、白色有機EL素子21Wの発光部の上側端部に沿って、アルミニウム(Al)等の配線材料によって形成されている。電源供給線32の近傍には駆動トランジスタ22が形成されている。駆動トランジスタ22は、先述したように、ガラス基板71上に形成されたゲート電極221と、当該ゲート電極221の上方にゲート絶縁膜72を介して形成された、チャネル領域及びソース/ドレイン領域となる半導体層222とを有する。
【0095】
駆動トランジスタ22において、ゲート電極221は、白色有機EL素子21Wの発光部の上側端部に沿って、保持容量24の下部電極241と一体的に形成されている。半導体層222の一方のソース/ドレイン領域は、保持容量24の上部電極242に対してコンタクト部224によってコンタクトがとられている。また、半導体層222の他方のソース/ドレイン領域は、電源供給線32に対してコンタクト部223によってコンタクトがとられている。
【0096】
保持容量24は、誘電体となるゲート絶縁膜72を下部電極241と上部電極242とで挟んで成り、画素20内の右端部側にその長手方向の大部分の領域に亘って、より具体的には、白色有機EL素子21Wの発光部の右側端部に沿って形成されている。この保持容量24において、下部電極241と上部電極242とが対向する領域の面積、両電極241,242間の距離、及び、ゲート絶縁膜72の誘電率によって容量値が決まる。
【0097】
走査線31は、画素20内の下端部側に当該画素20の短手方向に沿って、アルミニウム(Al)等の配線材料によって形成されている。走査線31の近傍には書込みトランジスタ23が形成されている。書込みトランジスタ23は、ガラス基板71上にモリブデン(Mo)等によって形成されたゲート電極231と、当該ゲート電極231の上方にゲート絶縁膜72を介して形成された、チャネル領域及びソース/ドレイン領域となる半導体層232とを有する。
【0098】
書込みトランジスタ23において、ゲート電極は白色有機EL素子21Wの発光部の下側端部の近傍に位置し、走査線31に対してコンタクト部233によってコンタクトがとられている。半導体層232の一方のソース/ドレイン領域は、信号線33に対してコンタクト部234によってコンタクトがとられている。半導体層232の他方のソース/ドレイン領域は、保持容量24の下部電極241に対して、コンタクト部235、金属配線236、及び、コンタクト部237を介して電気的に接続されている。
【0099】
保持容量24の下部電極241は、先述したように、駆動トランジスタ22のゲート電極221と一体的に形成されている。従って、書込みトランジスタ23の他方のソース/ドレイン領域が、保持容量24の下部電極241に対してコンタクトがとられることで、書込みトランジスタ23の他方のソース/ドレイン領域は、駆動トランジスタ22のゲート電極221と電気的に接続されていることになる。
【0100】
画素20内において、白色有機EL素子21Wは、左側の信号線33、右側の保持容量24、上側の電源供給線32、及び、下側の走査線31に囲まれた中央部、即ち、ウインド絶縁膜76の凹部(開口部)76Aに、駆動トランジスタ22の形成領域を避けた形で形成されている。有機EL素子21のアノード電極211は、駆動トランジスタ22の他方のソース/ドレイン領域及び保持容量24の上部電極242に対して電気的に接続されている。
【0101】
カラーフィルタ74は、白色有機EL素子21Wの下に、ウインド絶縁膜76の凹部76Aの開口に沿って、駆動トランジスタ22を避けた形で形成されている。尚、図7において、カラーフィルタ74については、明確に識別できるようにするためにハッチングを付して図示している。また、白色有機EL素子21Wのアノード電極211については網掛けを付して図示している。
【0102】
上述したように、白色有機EL素子21Wの発光部及びカラーフィルタ74の周囲は、信号線33、電源供給線32、駆動トランジスタ22のゲート電極221、保持容量24の電極241、及び、書込みトランジスタ23のゲート電極231等の金属配線によって囲まれている。これらの金属配線は主に、図8及び図9から明らかなように、白色有機EL素子21Wの駆動回路が形成されたレイヤーに形成されている。
【0103】
このように、白色有機EL素子21Wの発光部(開口部)及びカラーフィルタ74の周囲を囲む金属配線は、カラーフィルタ74の各色のフィルタ間を遮光する遮光層としての機能を持つ。これにより、カラーフィルタ74の各色のフィルタ間に遮光層を形成しなくても、換言すれば、遮光層を形成する工程を設けなくても、各フィルタ間での白色光の光漏れを防止することができる。従って、白色有機EL素子21W+カラーフィルタ74の方式を用いるに当たり、工程数を増やさなくても、光漏れに起因する色再現性の悪化や、色ずれの発生を抑えることができる。
【0104】
ここで、白色有機EL素子21Wの発光部及びカラーフィルタ74の周囲を囲む金属配線については、好ましくは、カラーフィルタ74の周縁部とオーバーラップするように形成するのがよい。何故なら、カラーフィルタ74を形成する際に、周縁部にテーパー状に段差ができるため、オーバーラップさせることで、テーパー状段差の影響を抑えることができるからである。このとき、金属配線77がカラーフィルタ74の周縁部に対して当該カラーフィルタ74の膜厚以上にオーバーラップさせることにより、テーパー状段差の影響をより確実に抑えることができる。
【0105】
(変形例)
本実施形態では、カラーフィルタ74をオンチップで形成して成る有機EL表示装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、カラーフィルタ74を基板に貼り付けて成る有機EL表示装置に対しても同様に適用することが可能である。図10乃至図12に、カラーフィルタ74を基板に貼り付けて成る有機EL表示装置の画素構造を示す。
【0106】
図10は、カラーフィルタ74を基板に貼り付けて成る有機EL表示装置の画素構造を示す概略平面図である。また、図11は、図10のC−C´線に沿った矢視断面図であり、図12は、図10のD−D´線に沿った矢視断面図である。図10において、カラーフィルタ74については破線で示している。図11及び図12に示すように、カラーフィルタ74は、2つのガラス基板71A,71Bによって挟持された状態で両基板71A,71Bに貼り付けられている。
【0107】
このように、カラーフィルタ74を基板71A,71Bに貼り付けて成る有機EL表示装置においても、白色有機EL素子21Wの発光部及びカラーフィルタ74の周囲を囲むように金属配線を形成することにより、先の実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。このときの金属配線も、先の実施形態と同様に、信号線33、電源供給線32、駆動トランジスタ22のゲート電極221、保持容量24の電極241、及び、書込みトランジスタ23のゲート電極231等を含む。
【0108】
<3.第2実施形態>
ところで、ボトムエミッション構造を採る場合、特に白色有機EL素子21Wの駆動回路を構成するトランジスタの形成領域内にカラーフィルタ74が配置されていると、当該トランジスタの特性が変化する場合がある。具体的には、カラーフィルタ74の材料が自画素の発光を受けて帯電するため、図13に示すように、駆動回路を構成するトランジスタの特性が変化(シフト)してしまう。
【0109】
図13には、一例として、カラーフィルタ74が無しのときとカラーフィルタ74が有りで光が照射されたときのNチャネルトランジスタのゲート−ソース間電圧Vgs対ドレイン−ソース間電流Idsの特性を示している。カラーフィルタ74の材料が自画素の発光を受けて帯電することにより、トランジスタのチャネルが当該帯電の影響を受けるため、トランジスタの閾値電圧Vthがマイナス方向にシフトする。また、トランジスタのオフ状態でのリーク電流が増加する。
【0110】
そして、先述した移動度補正機能を持つ有機EL表示装置においては、カラーフィルタ74の帯電の影響を受けて、書込みトランジスタ23の特性がシフトすると、発光期間中に保持容量24に保持した電荷がリークするため輝度が低下する。また、カラーフィルタ74の帯電の影響を受けて、駆動トランジスタ22の特性がシフトすると、閾値補正機能によって閾値電圧Vthのばらつきを補正したにも拘わらず、発光中に閾値電圧Vthがシフトしてしまうため、輝度むらが発生してしまう。
【0111】
上記のカラーフィルタ74の材料の帯電に起因する不具合を解消すべく為されたのが、以下に説明する第2実施形態に係る有機EL表示装置である。第2実施形態に係る有機EL表示装置について、図14乃至図16を用いて説明する。
【0112】
図14は、第2実施形態に係る有機EL表示装置の画素構造を示す概略平面図である。また、図15は、図14のE−E′線に沿った矢視断面図であり、図16は、図14のF−F′線に沿った矢視断面図である。図14乃至図16において、図7乃至図9と同等部位には同一符号を付して示している。
【0113】
第2実施形態に係る有機EL表示装置も、第1実施形態に係る有機EL表示装置と同様に、有機EL素子が発する光の取り出し方式として、ボトムエミッション構造(方式)を採るとともに、白色有機EL素子21W+カラーフィルタ74の方式を用いている。
【0114】
第1実施形態に係る有機EL表示装置は、特に図7から明らかなように、駆動トランジスタ22及び書込みトランジスタ23の各形成領域を含む領域にカラーフィルタ74を配置した構成を採っていた。これに対し、第2実施形態に係る有機EL表示装置は、白色有機EL素子21Wの駆動回路を構成するトランジスタ、本例では、駆動トランジスタ22及び書込みトランジスタ23の少なくともチャネル領域を除く(避けた)領域にカラーフィルタ74を配置する構成を採る。
【0115】
具体的には、先ず、図14において、駆動トランジスタ22を画素20の右側端部により近い領域に配置する(形成する)。そして、カラーフィルタ74の電源供給線32に近い側の部分については、駆動トランジスタ22の少なくともチャネル領域を避けて、好ましくは、駆動トランジスタ22の形成領域を避けて形成する。また、カラーフィルタ74の走査線31に近い側の部分については、書込みトランジスタ23の少なくともチャネル領域を避けて、好ましくは、書込みトランジスタ23の形成領域を避けて形成する。
【0116】
これにより、特に図15及び図16から明らかなように、駆動トランジスタ22及び書込みトランジスタ23のいずれのトランジスタの上にも、白色有機EL素子21Wの発光部と駆動回路の形成層との間に位置するカラーフィルタ74がレイアウトされないことになる。従って、カラーフィルタ74の材料が自画素の発光を受けて帯電したとしても、駆動トランジスタ22及び書込みトランジスタ23の各チャネルが帯電の影響を受けることがないため、トランジスタ特性の変化(シフト)は起こらない。
【0117】
第2実施形態に係る有機EL表示装置においても、第1実施形態に係る有機EL表示装置と同様の構成を採っている。すなわち、信号線33、電源供給線32、駆動トランジスタ22のゲート電極221、保持容量24の電極241、及び、書込みトランジスタ23のゲート電極231等の金属配線が、白色有機EL素子21Wの発光部及びカラーフィルタ74の周囲を囲むように形成されている。
【0118】
以上説明した、第2実施形態に係る有機EL表示装置によれば、第1実施形態に係る有機EL表示装置と同様の作用、効果に加えて、次のような作用、効果を奏することができる。すなわち、白色有機EL素子21Wの駆動回路を構成するトランジスタの少なくともチャネル領域を避けてカラーフィルタ74を配置することで、カラーフィルタ74の材料が自画素の発光を受けて帯電したとしても、トランジスタのチャネルがその帯電の影響を受けることはない。
【0119】
図2の画素回路を用いる本構成例の場合は、白色有機EL素子21Wの駆動回路を構成するトランジスタとして、駆動トランジスタ22及び書込みトランジスタ23が挙げられるが、画素回路としては図2の構成のものに限られるものではない。他の画素回路としては、例えば、駆動トランジスタ22に対して直列に接続されて白色有機EL素子21Wの発光/非発光の制御を行なう制御トランジスタを含む回路構成の画素回路などが知られている。この画素回路の場合には、制御トランジスタも駆動回路を構成するトランジスタに含まれる。
【0120】
そして、駆動トランジスタ22及び書込みトランジスタ23の各チャネル領域を避けてカラーフィルタ74を設けることで、カラーフィルタ74の材料が自画素の発光を受けて帯電したとしても、各トランジスタ22,23のチャネルはその帯電の影響を受けない。チャネル領域だけでなく、駆動トランジスタ22及び書込みトランジスタ23の形成領域の全体を避けてカラーフィルタ74をレイアウトすることで、各トランジスタ22,23のチャネルが、カラーフィルタ74の帯電の影響を受けるのをより確実に阻止することができる。
【0121】
駆動トランジスタ22及び書込みトランジスタ23の各チャネルが、カラーフィルタ74の帯電の影響を受けないことで、駆動トランジスタ22及び書込みトランジスタ23の特性の変化(シフト)は起こらない。従って、発光期間中に保持容量24に保持した電荷のリークが生じないため、当該リークに起因する輝度の低下は発生しない。また、発光中に駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthがシフトすることもないため、当該シフトに起因する輝度むらも発生しない。その結果、高画質の表示画像を得ることができる。
【0122】
<4.電子機器>
以上説明した本開示による有機EL表示装置は、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示部(表示装置)に適用できる。一例として、図17〜図21に示す様々な電子機器、例えば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置、ビデオカメラなどの表示部に適用することが可能である。
【0123】
このように、あらゆる分野の電子機器の表示部として本開示による有機EL表示装置を用いることにより、各種の電子機器の表示品位を高めることができる。すなわち、先述した実施形態の説明から明らかなように、第1実施形態に係る有機EL表示装置によれば、光漏れに起因する色再現性の悪化や色ずれの発生を抑えることができる。また、第2実施形態に係る有機EL表示装置によれば、輝度の低下や輝度むらの発生を抑えることができる。その結果、各種の電子機器において、第1、第2実施形態に係る有機EL表示装置を用いることにより、品位の高い、良好な表示画像をことができる。
【0124】
本開示による有機EL表示装置は、封止された構成のモジュール形状のものをも含む。一例として、画素アレイ部に透明なガラス等の対向部が貼り付けられて形成された表示モジュールが該当する。尚、表示モジュールには、外部から画素アレイ部への信号等を入出力するための回路部やFPC(フレキシブルプリントサーキット)等が設けられていてもよい。
【0125】
以下に、本開示が適用される電子機器の具体例について説明する。
【0126】
図17は、本開示が適用されるテレビジョンセットの外観を示す斜視図である。本適用例に係るテレビジョンセットは、フロントパネル102やフィルターガラス103等から構成される映像表示画面部101を含み、その映像表示画面部101として本開示による有機EL表示装置を用いることにより作製される。
【0127】
図18は、本開示が適用されるデジタルカメラの外観を示す斜視図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。本適用例に係るデジタルカメラは、フラッシュ用の発光部111、表示部112、メニュースイッチ113、シャッターボタン114等を含み、その表示部112として本開示による表示装置を用いることにより作製される。
【0128】
図19は、本開示が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を示す斜視図である。本適用例に係るノート型パーソナルコンピュータは、本体121に、文字等を入力するとき操作されるキーボード122、画像を表示する表示部123等を含み、その表示部123として本開示による有機EL表示装置を用いることにより作製される。
【0129】
図20は、本開示が適用されるビデオカメラの外観を示す斜視図である。本適用例に係るビデオカメラは、本体部131、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ132、撮影時のスタート/ストップスイッチ133、表示部134等を含み、その表示部134として本開示による有機EL表示装置を用いることにより作製される。
【0130】
図21は、本開示が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す外観図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。本適用例に係る携帯電話機は、上側筐体141、下側筐体142、連結部(ここではヒンジ部)143、ディスプレイ144、サブディスプレイ145、ピクチャーライト146、カメラ147等を含んでいる。そして、ディスプレイ144やサブディスプレイ145として本開示による有機EL表示装置を用いることにより、本適用例に係る携帯電話機が作製される。
【符号の説明】
【0131】
10…有機EL表示装置、20…画素(画素回路)、21…有機EL素子、21W…白色有機EL素子、22…駆動トランジスタ、23…書込みトランジスタ、24…保持容量、25…補助容量、30…画素アレイ部、31(311〜31m)…走査線、32(321〜32m)…電源供給線、33(331〜33n)…信号線、34…共通電源供給線、40…書込み走査回路、50…電源供給走査回路、60…信号出力回路、70…表示パネル、74,80…カラーフィルタ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色光を発光する白色有機EL素子が画素単位で形成された基板の裏面側から、当該白色有機EL素子が発する光を取り出すボトムエミッション構造を採り、
前記白色有機EL素子との組み合わせによって各色光を取り出すカラーフィルタと、
前記白色有機EL素子の発光部及び前記カラーフィルタの周囲を画素単位で囲むように形成された金属配線と
を備える有機EL表示装置。
【請求項2】
前記金属配線は、前記白色有機EL素子の駆動回路が形成されたレイヤーに形成されている
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項3】
前記駆動回路は、
信号線を通して供給される信号電圧を画素内に書き込む書込みトランジスタと、
前記書込みトランジスタによって書き込まれた信号電圧を保持する保持容量と、
前記保持容量の保持電圧に応じて前記有機EL素子を駆動する駆動トランジスタと
を有し、
前記金属配線は、前記信号線、前記駆動トランジスタに電源を供給する電源供給線、前記駆動トランジスタのゲート電極、前記保持容量の電極、及び、前記書込みトランジスタのゲート電極を含む
請求項2に記載の有機EL表示装置。
【請求項4】
前記カラーフィルタは、前記白色有機EL素子の発光部と前記基板の裏面との間に配置されている
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項5】
前記金属配線は、前記カラーフィルタの周縁部とオーバーラップして形成されている
請求項4に記載の有機EL表示装置。
【請求項6】
前記金属配線は、前記カラーフィルタの周縁部に対して当該カラーフィルタの膜厚以上にオーバーラップしている
請求項5に記載の有機EL表示装置。
【請求項7】
前記カラーフィルタは、前記基板の裏面側に配置されている
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項8】
前記カラーフィルタは、前記白色有機EL素子の駆動回路を形成するトランジスタの少なくともチャネル領域を避けて設けられている
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項9】
前記駆動回路は、
信号線を通して供給される信号電圧を画素内に書き込む書込みトランジスタと、
前記書込みトランジスタによって書き込まれた信号電圧を保持する保持容量と、
前記保持容量の保持電圧に応じて前記有機EL素子を駆動する駆動トランジスタと
を有し、
前記カラーフィルタは、前記駆動トランジスタ及び前記書込みトランジスタの少なくともチャネル領域を避けて設けられている
請求項8に記載の有機EL表示装置。
【請求項10】
前記カラーフィルタは、前記白色有機EL素子の発光部と前記駆動回路の形成層との間に配置されている
請求項9に記載の有機EL表示装置。
【請求項11】
前記駆動回路は、前記駆動トランジスタに流れる電流に応じた補正量で当該駆動トランジスタのゲート−ソース間の電位差に負帰還をかけることによって前記駆動トランジスタの移動度を補正する移動度補正処理の機能を有する
請求項9に記載の有機EL表示装置。
【請求項12】
白色光を発光する白色有機EL素子が画素単位で形成された基板の裏面側から、当該白色有機EL素子が発する光を取り出すボトムエミッション構造を採り、
前記白色有機EL素子との組み合わせによって各色光を取り出すカラーフィルタと、
前記白色有機EL素子の発光部及び前記カラーフィルタの周囲を画素単位で囲むように形成された金属配線と
を備える有機EL表示装置を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−163651(P2012−163651A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22351(P2011−22351)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】