説明

有機EL表示装置

【課題】立体画像を表示する際のクロストークを低減した有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】有機EL表示装置100は、基板110と、基板110上に積層される駆動回路120と、有機ELからなる層であって、駆動回路120によって駆動されて発光する発光層130と、発光層130上に積層され、発光層130から出力される光を透過する封止層140と、第1の画素線に対応する位置に配置され、封止層140を透過した光を前記第1の方向に偏光する第1の偏光板151、及び第2の画素線に対応する位置に配置され、封止層140を透過した光を第2の方向に偏光する第2の偏光板152を有する偏光制御板150とを備え、偏光制御板150は、(i)封止層140より上で、且つ(ii)封止層140に接する位置、又は封止層140との間に特定の色の光を選択的に透過させるカラーフィルタのみが介在する位置に積層される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL表示装置、特に、偏光眼鏡方式で立体画像を表示する有機EL表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の偏光眼鏡方式で立体画像を表示可能な従来の有機EL表示装置10は、例えば、図8に示されるような積層構造となっている。図8に示される有機EL表示装置10は、基板20と、駆動回路30と、発光層40と、封止層50と、透明基板60と、偏光制御板70とを、この順に積層して構成される。
【0003】
なお、発光層40は、反射電極(下部電極)41と、正孔注入層(HIL)42と、正孔輸送層(HTL)43と、有機発光層44と、電子輸送層(ETL)45と、透明電極(上部電極)46とを、駆動回路30上にこの順に積層して構成される。また、封止層50は、薄膜封止膜51と、樹脂封止層52とを、発光層40上にこの順に積層して構成される。
【0004】
そして、偏光制御板70は、偏光方向が互いに直交する2つの偏光板71、72を交互に横ストライプ状に配列して構成される。また、発光層(画像表示部)40には、その横ストライプのピッチに対応して左眼用画像と右眼用画像とが交互に横ストライプ状の視差画像として表示される。そして、観察者は、偏光方向が直交する偏光板を左右の眼に対応する位置に配置した偏光めがねをかけて有機EL表示装置10を見ることにより、立体画像を視聴することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−35885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図8に示すように、従来の有機EL表示装置10は、透明基板60の上に、左眼用の偏光板71及び右眼用の偏光板72を備えた偏光制御板70を積層して構成される。すなわち、発光層40と偏光制御板70との間には、透明基板60、さらにはカラーフィルタ(図示省略)等が積層されている。
【0007】
このように、偏光制御板70と発光層(画素)40との距離が離れている従来の構成では、観察者の眼の高さが変わると、本来左眼に入射すべき左眼用画像光が右眼に入射し、本来右眼に入射すべき右眼用画像光が左眼に入射する、いわゆるクロストークの課題が生じる恐れがある。
【0008】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、立体画像を表示する際のクロストークを低減した有機EL表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態に係る有機EL表示装置は、左眼用画像の光を第1の方向に偏光して出力する第1の画素線と、前記左眼用画像に対して視差を有する右眼用画像の光を前記第1の方向と交差する第2の方向に偏光して出力する第2の画素線とを交互に配置することによって、立体画像を表示する。具体的には、基板と、前記基板上に積層される駆動回路と、有機ELからなる層であって、前記駆動回路によって駆動されて発光する発光層と、前記発光層上に積層され、前記発光層から出力される光を透過する封止層と、前記第1の画素線に対応する位置に配置され、前記封止層を透過した光を前記第1の方向に偏光する第1の偏光板、及び前記第2の画素線に対応する位置に配置され、前記封止層を透過した光を前記第2の方向に偏光する第2の偏光板を有する偏光制御板とを備える。そして、前記偏光制御板は、(i)前記封止層より上で、且つ(ii)前記封止層に接する位置、又は前記封止層との間に特定の色の光を選択的に透過させるカラーフィルタのみが介在する位置に積層される。
【0010】
上記構成によれば、偏光制御板と発光層との間の距離を近づけることができるので、クロストークの少ない立体視域を上下方向に拡大することができる。
【0011】
一例として、前記偏光制御板と前記封止層とは、互いに接していてもよい。そして、前記カラーフィルタは、前記偏光制御板上に積層されていてもよい。
【0012】
また、前記カラーフィルタは、画素単位で交互に配置される赤色フィルタ、緑色フィルタ、及び青色フィルタと、隣接する各色フィルタの境界に、遮光性を有するブラックマトリクスとを備えてもよい。
【0013】
また、前記第1及び第2の偏光板の境界には、遮光性を有するブラックマトリクスが配置されていてもよい。
【0014】
さらに、該有機EL表示装置は、前記偏光制御板より上に積層される透明基板を備えてもよい。
【0015】
また、前記第1の偏光板は、前記封止層を透過した光をλ/4だけ左円偏光させてもよい。前記第2の偏光板は、前記封止層を透過した光をλ/4だけ右円偏光させてもよい。
【0016】
本発明の他の形態に係る有機EL表示装置は、左眼用画像の光を第1の方向に偏光して出力する第1の画素線と、前記左眼用画像に対して視差を有する右眼用画像の光を前記第1の方向と交差する第2の方向に偏光して出力する第2の画素線とを交互に配置することによって、立体画像を表示する。具体的には、基板と、前記基板上に積層される駆動回路と、有機ELからなる層であって、前記駆動回路によって駆動されて発光する発光層と、前記発光層上に積層され、前記発光層から出力される光を透過する封止層と、前記封止層より上に積層される透明基板と、前記透明基板より上の前記第1の画素線に対応する位置に配置され、前記透明基板を透過した光を前記第1の方向に偏光する第1の偏光板、及び前記透明基板より上の前記第2の画素線に対応する位置に配置され、前記透明基板を透過した光を前記第2の方向に偏光する第2の偏光板を有する偏光制御板とを備える。そして、前記透明基板の厚みは、0.2mm未満である。
【0017】
上記構成によれば、透明基板の厚みを従来より遥かに薄くすることができる。その結果、従来と比較して偏光制御板と発光層との間の距離を近づけることができるので、クロストークの少ない立体視域を上下方向に拡大することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、クロストークの少ない立体画像を表示することのできる有機EL表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態1に係る有機EL表示装置の外観斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る有機EL表示装置の積層構造を示す図である。
【図3】実施の形態2に係る有機EL表示装置の積層構造を示す図である。
【図4】実施の形態3に係る有機EL表示装置の積層構造を示す図である。
【図5】実施の形態4に係る有機EL表示装置の積層構造を示す図である。
【図6】実施の形態5に係る有機EL表示装置の積層構造を示す図である。
【図7】実施の形態6に係る有機EL表示装置の積層構造を示す図である。
【図8】従来の有機EL表示装置の積層構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に,本発明の実施の形態及び実施例を説明するが,当然ながら本発明はこれらの形式に限定されるものでなく,本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
【0021】
以下本発明の実施の形態について、図1〜図7を参照しながら説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る有機EL表示装置100の外観斜視図である。有機EL表示装置100は、図1に示されるように、左眼用画像102Lを表示する第1の画素線101Lと、右眼用画像102Rを表示する第2の画素線101Rとが、表示面上に交互に配置されている。より具体的には、偶数画素行が第1の画素線101Lに対応し、奇数画素行が第2の画素線101Rに対応する。また、第1の画素線101Lから出力される左眼用画像の光は、第1の方向に偏光されている。一方、第2の画素線101Rから出力される右眼用画像の光は、第1の方向と異なる第2の方向に偏光されている。
【0023】
一方、視聴者は、図1に示される偏光めがね900を装着して、有機EL表示装置100に表示される画像を視聴する。この偏光めがね900は、視聴者の左眼に対応する位置に配置される左眼レンズ910と、視聴者の右眼に対応する位置に配置される右眼レンズ920とを備える。左眼レンズ910は、第1の方向に偏光された光のみを透過させる。一方、右眼レンズ920は、第2の方向に偏光された光のみを透過させる。
【0024】
すなわち、視聴者は、左眼レンズ910を通して第1の画素線101L(偶数画素行)のみで構成される左眼用画像102L(図1の斜線部分の画素は無い)を視聴し、右眼レンズ920を通して第2の画素線101R(奇数画素行)のみで構成される右眼用画像102R(図1の斜線部分の画素は無い)を視聴する。ここで、左眼用画像102Lと右眼用画像102Rとが互いに視差を有する画像であれば、視聴者は、左眼用画像102L及び右眼用画像102Rを立体画像として認識する。
【0025】
次に、図2を参照して、実施の形態1に係る有機EL表示装置100の詳細な構造を説明する。図2は、有機EL表示装置100を図1に示されるA−A’断面で切断したときの鉛直方向に隣接する3つの画素103R、103G、103Bの積層構造を示す図である。
【0026】
有機EL表示装置100は、図2に示されるように、基板110と、駆動回路120と、発光層130と、封止層140と、偏光制御板150とを、この順に積層して構成される。
【0027】
基板110は、例えば、ガラス基板である。また、基板110は、樹脂からなるフレキシブル基板を用いることも可能である。なお、基板110は透明である必要はないので、非透明の基板、例えば、シリコン基板を用いることもできる。
【0028】
駆動回路120は、基板110の表面上に積層される。すなわち、本実施の形態における基板110と駆動回路120とは、互いに接する。なお、本明細書中では、積層構造における位置関係を説明する際に、背面側(基板に近い側)を下側、前面側(視聴者に近い側)を上側と表現することがある。
【0029】
駆動回路120は、発光層130を発光させる薄膜トランジスタ(TFT)を含む。より具体的には、駆動回路120には、スイッチ素子として動作するトランジスタと、駆動素子として動作するトランジスタと、対応する画素に表示するデータを記憶するキャパシタとが、画素103R、103G、103B毎に形成されている。
【0030】
発光層130は、駆動回路120の表面上に積層される。すなわち、本実施の形態における駆動回路120と発光層130とは、互いに接する。発光層130は、反射電極(下部電極)131と、正孔注入層(HIL)132と、正孔輸送層(HTL)133と、有機発光層134と、電子輸送層(ETL)135と、透明電極(上部電極)136とを、駆動回路120上にこの順に積層して構成される。なお、電子輸送層135に代えて電子注入層(EIL)を積層してもよいし、電子輸送層135と透明電極136との間に電子注入層(EIL)を追加してもよい。
【0031】
反射電極131、正孔注入層132、正孔輸送層133、及び有機発光層134は、バンク137によって画素毎に分離(区画)されている。バンク137は、感光性樹脂によって形成されている。なお、図2は、バンク137が各画素の周囲を囲むピクセルバンクの例を示しているが、本発明はこれに限定されず、隣接する画素列の境界にバンクが配置されているラインバンクにも適用することができる。
【0032】
反射電極131は、駆動回路120の表面上の各画素103R、103G、103Bそれぞれに対応する位置に分離形成される。反射電極131は、反射率の高い金属である、例えばAl、Ag、またはそれらの合金を使用することができる。
【0033】
正孔注入層132は、反射電極131の表面上の各画素103R、103G、103Bそれぞれに対応する位置に分離形成される。正孔注入層132は、正孔を安定的に、又は正孔の生成を補助して、有機発光層134へ正孔を注入する機能を有する。これにより駆動電圧が低電圧化され、正孔注入の安定化により素子が長寿命化される。正孔注入層の材料としては、例えばPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)などを用いることができる。
【0034】
正孔輸送層133は、正孔注入層132の表面上の各画素103R、103G、103Bそれぞれに対応する位置に分離形成される。正孔輸送層133は、正孔注入層132から注入された正孔を有機発光層134内へ効率良く輸送し、有機発光層134と正孔注入層132との界面での励起子の失活防止をし、さらには電子をブロックする機能を有する。正孔輸送層133は、例えば、生じた正孔を分子間の電荷移動反応により伝達する性質を有する有機高分子材料であり、例えば、トリフェルアミン、ポリアニリンなどが挙げられる。
【0035】
有機発光層134は、正孔輸送層133の表面上の各画素103R、103G、103Bそれぞれに対応する位置に分離形成される。有機発光層134は、インクジェットやスピンコートのような湿式成膜法で成膜できる発光性の有機材料を用いることが好ましい。これにより、大画面の基板に対して、簡易で均一な成膜が可能となる。この材料としては、特に限定されるものではないが、高分子有機材料が好ましい。高分子有機材料としては、例えば、ポリチオフェン、ポリパラフェニレン、ポリフルオレンなどを挙げることができる。高分子有機材料の特徴としては、デバイス構造が簡単であること、膜の信頼性に優れ、低電圧駆動のデバイスであることも挙げることができる。実施の形態1での有機発光層134は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の波長が揃っており、カラーフィルタを用いる必要はない。
【0036】
電子輸送層135は、有機発光層134の表面上に、全画素に対して一体形成される。電子輸送層135は、透明電極136から注入された電子を有機発光層134内へ効率良く輸送し、有機発光層134と透明電極136との界面での励起子の失活防止をし、さらには正孔をブロックする機能を有する。
【0037】
電子注入層(図示省略)は、有機発光層134の表面上に、全画素に対して一体形成される。電子注入層は、有機発光層134への電子注入の障壁を低減し駆動電圧を低電圧化すること、励起子失活を抑制する機能を有する。これにより、電子注入を安定化し素子を長寿命化すること、透明電極136との密着を強化し、発光面の均一性を向上させ素子欠陥を減少させることが可能となる。電子注入層は、例えば、バリウム、アルミニウム、フタロシアニン、フッ化リチウム、さらに、バリウム−アルミニウム積層体などからなる。
【0038】
透明電極136は、電子輸送層135の表面上に、全画素に対して一体形成される。透明電極136は、反射電極131に対して負の電圧を有機発光層134に印加し、電子を特に有機発光層134に注入する機能を有する。透明電極136を構成する材料は特に限定されるものではないが、透過率の高い物質および構造を用いることが好ましい。これにより、発光効率が高いトップエミッション型の有機ELを用いた発光デバイスを実現することができる。例えば、インジウム錫酸化物(以下、ITOと記す)、あるいはインジウム亜鉛酸化物(以下、IZOと記す)等の金属酸化物層が用いられる。
【0039】
封止層140は、発光層130の表面上に積層される。すなわち、本実施の形態における発光層130と封止層140とは、互いに接する。封止層140は、薄膜封止膜141と、樹脂封止層142とを、発光層130(透明電極136)上にこの順で積層して構成されている。
【0040】
薄膜封止膜141は、透明電極136の表面上に形成され、水分から素子を保護する機能を有する。ここで、薄膜封止膜141は、透明であることが要求されることから、薄膜封止膜141の材料としては、例えば、SiN、SiON、または有機膜などが挙げられる。
【0041】
樹脂封止層142は、水分、酸素の侵入を防ぐ機能を有する。樹脂封止層142の材料としては、例えば、エポキシ樹脂などが挙げられる。ここで、薄膜封止膜141と樹脂封止層142とを纏めて、封止層140ということにする。
【0042】
偏光制御板150は、封止層140(樹脂封止層142)の表面上に積層される。すなわち、本実施の形態おける封止層140と偏光制御板150とは、互いに接する。偏光制御板150は、ライン状の右眼用偏光板(第1の偏光板)151と左眼用偏光板(第2の偏光板)152とを、交互に配置して構成される。より具体的には、左眼用偏光板151は、第1の画素線101Lに対応する位置に配置される。一方、右眼用偏光板152は、第2の画素線101Rに対応する位置に配置される。
【0043】
左眼用偏光板151は、封止層140を透過した光を第1の方向に偏光(左円偏光)する直線偏光板とλ/4位相板との組み合わせである。一方、右眼用偏光板152は、封止層140を透過した光を第1の方向と異なる第2の方向に偏光(右円偏光)する直線偏光板とλ/4位相板との組み合わせである。
【0044】
発光層130から出力された光のうち、左眼用偏光板151を通過した光は、左円偏光となる。一方、右眼用偏光板152を透過した光は、右円偏光となる。そして、左眼用偏光板151に左眼用画像光を、右眼用偏光板152に右眼用画像光を透過させると、右眼用偏光板と左眼用偏光板とを備えた偏光めがね900を掛けた観察者は、左眼用画像光及び右眼用画像光を立体画像として認識する。
【0045】
図2に示される有機EL表示装置100は、封止層140と偏光制御板150との間に透明基板が積層されていない点で、図8に示される従来の有機EL表示装置10と相違する。これにより、従来と比較して偏光制御板150と発光層130との間の距離を近づけることができるので、クロストークの少ない立体視域を上下方向に拡大することができる。また、観察者の疲労も少なく、多人数での観察に適した立体画像表示装置を提供できる。
【0046】
尚、偏光制御板150において、左眼用偏光板151と右眼用偏光板152との間にブラックマトリクス(図示省略)を配置してもよい。これにより、隣接する画素の光が混入しないので好ましい。
【0047】
また、実施の形態1では、偏光制御板150には、左眼用偏光板151として光を左円偏光させるλ/4位相板、右眼用偏光板152として光を右円偏光させるλ/4位相板を用いたが、本発明の偏光制御板150はこれに限定されない。例えば、左眼用偏光板151及び右眼用偏光板152それぞれを透過した光が、互いに直交する直線偏光になるような偏光板を用いてもよい。また、楕円偏光の偏光方向が互いに逆になる偏光板でも良い。つまり、右眼用画像と左眼用画像との偏光方向が異なる偏光板であればこれらに限定されない。
【0048】
また、有機EL表示装置100で2次元画像を見る時は、観察者は偏光めがね900をかけずに見るので、偏光の違いを認識せずにディスプレイのすべての画素を左右の各々の眼で見ることになり、通常の2次元ディスプレイと同じように見ることが出来る。一方、3次元画像を見る時には、観察者は左右の眼で偏光方向が異なっている偏光めがね900をかけ、左右の眼それぞれで偏光方向の異なった画素のみを選択的に見ることになり、ディスプレイに偏光制御板150の横ストライプ状の左眼用偏光板151及び右眼用偏光板152の偏光方向に対応させて左右の視差画像を表示させて、立体画像を見ることが出来る。
【0049】
(実施の形態2)
図3は、実施の形態2に係る有機EL表示装置200の断面図であって、図2に対応する図である。なお、有機EL表示装置100、200の基本的な構成は共通するので、共通する構成要素には同一の参照番号を付し、詳しい説明を省略する。
【0050】
有機EL表示装置200は、図3に示されるように、基板110と、駆動回路120と、発光層130と、封止層140と、偏光制御板150と、透明基板160とを、この順に積層して構成されている。すなわち、実施の形態2に係る有機EL表示装置200は、偏光制御板150上にさらに透明基板160を積層している点で、実施の形態1に係る有機EL表示装置100と相違する。
【0051】
偏光制御板150の表面上に積層される透明基板160は、ディスプレイの強度の確保と偏光制御板150を保護するために配置される。透明基板160を構成する材料は特に限定されないが、例えば、ガラスや透光性の樹脂などが挙げられる。
【0052】
上記構成によっても、従来と比較して偏光制御板150と発光層130との間の距離を近づけることができるので、クロストークの少ない立体視域を上下方向に拡大することができる。
【0053】
なお、実施の形態1と同様に、偏光制御板150の左眼用偏光板151と右眼用偏光板152との間に、ブラックマトリクス(図示省略)を配置してもよい。これにより、隣接する画素の光が混入しないので好ましい。
【0054】
(実施の形態3)
図4は、実施の形態3に係る有機EL表示装置300の断面図であって、図2に対応する図である。なお、有機EL表示装置100、300の基本的な構成は共通するので、共通する構成要素には同一の参照番号を付し、詳しい説明を省略する。
【0055】
有機EL表示装置300は、図4に示されるように、基板110と、駆動回路120と、発光層130と、封止層140と、カラーフィルタ170と、偏光制御板150とを、この順に積層して構成されている。すなわち、実施の形態3に係る有機EL表示装置300は、封止層140と偏光制御板150との間にカラーフィルタ170を積層している点で、実施の形態1に係る有機EL表示装置100と相違する。
【0056】
カラーフィルタ170は、封止層140のすぐ上で、且つ偏光制御板150のすぐ下、すなわち、封止層140及び偏光制御板150の両方に接する位置に積層される。カラーフィルタ170は、赤色(R)フィルタ171と、緑色(G)フィルタ172と、青色(B)フィルタ173と、各色フィルタ171、172、173の間に配置されるブラックマトリクス174とで構成される。ブラックマトリクス174は、各画素の領域を規定し、隣接する画素間の光の混入を防止する。発光層130から発光する赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の波長が所望の波長でない場合、カラーフィルタ170は、発光層130で発光した赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の光を選択的に透過させ、それ以外の光の透過させない波長調整部材である。よって、色再現範囲が広がる。
【0057】
上記構成によっても、従来と比較して偏光制御板150と発光層130との間の距離を近づけることができるので、クロストークの少ない立体視域を上下方向に拡大することができる。
【0058】
(実施の形態4)
図5は、実施の形態4に係る有機EL表示装置400の断面図であって、図4に対応する図である。なお、有機EL表示装置300、400の基本的な構成は共通するので、共通する構成要素には同一の参照番号を付し、詳しい説明を省略する。
【0059】
有機EL表示装置400は、図5に示されるように、基板110と、駆動回路120と、発光層130と、封止層140と、カラーフィルタ170と、偏光制御板150と、透明基板160とを、この順に積層して構成されている。すなわち、実施の形態4に係る有機EL表示装置400は、偏光制御板150上にさらに透明基板160を積層している点で、実施の形態3に係る有機EL表示装置300と相違する。
【0060】
上記構成によっても、従来と比較して偏光制御板150と発光層130との間の距離を近づけることができるので、クロストークの少ない立体視域を上下方向に拡大することができる。
【0061】
(実施の形態5)
図6は、実施の形態5に係る有機EL表示装置500の断面図であって、図3に対応する図である。なお、有機EL表示装置200、500の基本的な構成は共通するので、共通する構成要素には同一の参照番号を付し、詳しい説明を省略する。
【0062】
有機EL表示装置500は、図6に示されるように、基板110と、駆動回路120と、発光層130と、封止層140と、偏光制御板150と、カラーフィルタ170と、透明基板160とを、この順に積層して構成されている。すなわち、実施の形態5に係る有機EL表示装置500は、偏光制御板150と透明基板160との間にカラーフィルタ170を配置している点で、実施の形態2に係る有機EL表示装置200と相違する。
【0063】
上記構成によっても、従来と比較して偏光制御板150と発光層130との間の距離を近づけることができるので、クロストークの少ない立体視域を上下方向に拡大することができる。
【0064】
また、上記構成のように、カラーフィルタ170を透明基板160すぐの下に形成する場合、顔料分散法などで容易に作成することができるので、プロセス上、有利である。
【0065】
(実施の形態6)
図7は、実施の形態6に係る有機EL表示装置600の断面図であって、図2に対応する図である。なお、有機EL表示装置100、600の基本的な構成は共通するので、共通する構成要素には同一の参照番号を付し、詳しい説明を省略する。
【0066】
有機EL表示装置600は、図7に示されるように、基板110と、駆動回路120と、発光層130と、封止層140と、透明基板160と、偏光制御板150とを、この順に積層して構成されている。すなわち、実施の形態6に係る有機EL表示装置600は、封止層140と偏光制御板150との間に透明基板160を積層している点で、実施の形態1に係る有機EL表示装置100と相違する。
【0067】
実施の形態6に係る有機EL表示装置600は、上記構成のように、封止層140上に透明基板160を形成し、透明基板160上に偏光制御板150を積層して構成されている。従来の有機ELディスプレイは、ガラス基板を透明基板として用いた場合、強度と加工の観点より、ガラス基板の厚みを0.2mm以上にする必要があった。一方、実施の形態6では、偏光制御板150を設けているので、透明基板160をガラス基板とした場合でも、その厚みを0.2mm未満とすることができる。
【0068】
上記構成によれば、偏光制御板150と透明基板160との位置関係は従来と同一であるものの、透明基板160の厚みを従来より遥かに薄くすることができる。その結果、従来と比較して偏光制御板150と発光層130との間の距離を近づけることができるので、クロストークの少ない立体視域を上下方向に拡大することができる。なお、図7ではトップエミッション型の例を説明したが、実施の形態6はボトムエミッション型にも適用することができる。
【0069】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように本発明は、立体表示装置を実現する上で有用である。
【符号の説明】
【0071】
10,100,200,300,400,500,600 有機EL表示装置
20,110 基板
30,120 駆動回路
40,130 発光層
41,131 反射電極
42,132 正孔注入層
43,133 正孔輸送層
44,134 有機発光層
45,135 電子輸送層
46,136 透明電極
50,140 封止層
51,141 薄膜封止膜
52,142 樹脂封止層
60,160 透明基板
70,150 偏光制御板
71,72 偏光板
101L 第1の画素線
101R 第2の画素線
102L 左眼用画像
102R 右眼用画像
103R,103G,103B 画素
137 バンク
151 左眼用偏光板
152 右眼用偏光板
170 カラーフィルタ
171 赤色(R)フィルタ
172 緑色(G)フィルタ
173 青色(B)フィルタ
174 ブラックマトリクス
900 偏光めがね
910 左眼レンズ
920 右眼レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左眼用画像の光を第1の方向に偏光して出力する第1の画素線と、前記左眼用画像に対して視差を有する右眼用画像の光を前記第1の方向と交差する第2の方向に偏光して出力する第2の画素線とを交互に配置することによって、立体画像を表示する有機EL表示装置であって、
基板と、
前記基板上に積層される駆動回路と、
有機ELからなる層であって、前記駆動回路によって駆動されて発光する発光層と、
前記発光層上に積層され、前記発光層から出力される光を透過する封止層と、
前記第1の画素線に対応する位置に配置され、前記封止層を透過した光を前記第1の方向に偏光する第1の偏光板、及び前記第2の画素線に対応する位置に配置され、前記封止層を透過した光を前記第2の方向に偏光する第2の偏光板を有する偏光制御板とを備え、
前記偏光制御板は、(i)前記封止層より上で、且つ
(ii)前記封止層に接する位置、又は前記封止層との間に特定の色の光を選択的に透過させるカラーフィルタのみが介在する位置に積層される
有機EL表示装置。
【請求項2】
前記偏光制御板と前記封止層とは、互いに接しており、
前記カラーフィルタは、前記偏光制御板上に積層されている
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項3】
前記カラーフィルタは、
画素単位で交互に配置される赤色フィルタ、緑色フィルタ、及び青色フィルタと、
隣接する各色フィルタの境界に、遮光性を有するブラックマトリクスとを備える
請求項1又は2に記載の有機EL表示装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の偏光板の境界には、遮光性を有するブラックマトリクスが配置されている
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項5】
該有機EL表示装置は、さらに、前記偏光制御板より上に積層される透明基板を備える
請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機EL表示装置。
【請求項6】
前記第1の偏光板は、前記封止層を透過した光をλ/4だけ左円偏光させ、
前記第2の偏光板は、前記封止層を透過した光をλ/4だけ右円偏光させる
請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機EL表示装置。
【請求項7】
左眼用画像の光を第1の方向に偏光して出力する第1の画素線と、前記左眼用画像に対して視差を有する右眼用画像の光を前記第1の方向と交差する第2の方向に偏光して出力する第2の画素線とを交互に配置することによって、立体画像を表示する有機EL表示装置であって、
基板と、
前記基板上に積層される駆動回路と、
有機ELからなる層であって、前記駆動回路によって駆動されて発光する発光層と、
前記発光層上に積層され、前記発光層から出力される光を透過する封止層と、
前記封止層より上に積層される透明基板と、
前記透明基板より上の前記第1の画素線に対応する位置に配置され、前記透明基板を透過した光を前記第1の方向に偏光する第1の偏光板、及び前記透明基板より上の前記第2の画素線に対応する位置に配置され、前記透明基板を透過した光を前記第2の方向に偏光する第2の偏光板を有する偏光制御板とを備え、
前記透明基板の厚みは、0.2mm未満である
有機EL表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−204012(P2012−204012A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64833(P2011−64833)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】