木工沈床及びこれを用いた護岸根固め工法
【課題】 施工現場において容易に組み立てることができ、且つ、川底に不陸があっても整地作業を行うことなく設置が可能な木工沈床及びこれを用いた護岸根固め工法を提供する。
【解決手段】 本発明に係る木工沈床1は、井桁状に組まれた複数段の丸太5、及び該各丸太5を上下方向に挿通されて各段の丸太5を固定するための長脚ボルト6を有する枠体ユニット2と、該枠体ユニットの底部開口3を塞ぐ蓋部材4とを具備し、蓋部材4が、上面が開口された箱型形状を有する金網からなるふとんかご12と、該ふとんかご12を枠体ユニット2に対して着脱可能に固定する固定用金具13とを備えるものである。
【解決手段】 本発明に係る木工沈床1は、井桁状に組まれた複数段の丸太5、及び該各丸太5を上下方向に挿通されて各段の丸太5を固定するための長脚ボルト6を有する枠体ユニット2と、該枠体ユニットの底部開口3を塞ぐ蓋部材4とを具備し、蓋部材4が、上面が開口された箱型形状を有する金網からなるふとんかご12と、該ふとんかご12を枠体ユニット2に対して着脱可能に固定する固定用金具13とを備えるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川の護岸が崩落するのを防止するためにその根元部分に設置される木工沈床及びこれを用いた護岸根固め工法に関し、特に、組み立てが容易で且つ川底に不陸があっても簡単な整地作業を行うだけで設置が可能な木工沈床及びこれを用いた護岸根固め工法に関する。
【背景技術】
【0002】
河川の周辺には、水流による浸食から川岸を保護するために、河川に面する斜面をコンクリートで覆うことによって護岸が形成される。そして、この護岸が斜面に沿って崩落するのを防止するため、沈床と呼ばれる部材を用いて護岸の根元部分を補強する、いわゆる護岸根固め工法が従来用いられている。ここで、沈床とは、河川において流れが急な箇所や渦が発生しやすい箇所等の川底に設置され、水流の衝撃を和らげることによって川底が浸食されるのを防止するための部材である。
【0003】
図14は、従来の護岸根固め工法の一例を示す図であって、河川周辺部を示す縦断面図である。河川70に面する斜面71には、その表面をコンクリートで覆って護岸72が形成され、この護岸72の根元部分73に当接するようにして、コンクリートブロックからなる沈床74が川底75に設置される。これにより、護岸72が斜面71に沿って崩落するのを防止することができる。しかし、このようなコンクリートブロックからなる沈床74は、原材料費が割高であるためコストアップにつながるという問題があるとともに、水位が低い場合にはコンクリートブロックが水面から露出した状態となって周囲の景観が損なわれるという問題もある。
【0004】
そこで、コンクリートブロックからなる沈床74に代えて、木製の木工沈床を川底75に設置する護岸根固め工法が従来提唱されている(特許文献1参照)。図15は、従来の木工沈床76を底部から見た状態を示す概略斜視図である。木工沈床76は、井桁状に組まれた複数段の外枠木77と、最下段に位置する一対の外枠木77aの間に、これらと平行するようにして所定間隔で列設された複数の敷成木78と、最下段の外枠木77a及び各敷成木78の底部に、これらと直交するようにして所定間隔で設けられた一対のL型アングル鋼材79とを備えるものである。ここで、外枠木77及び敷成木78としては丸太材が使用される。
【0005】
このように構成される木工沈床76は、工場等で予め組み立てられた状態で施工現場へ搬入されるか、或いは上記各構成部材がバラバラの状態で搬入されて施工現場で組み立てられる。そして、施工現場でその内部に砕石が詰め込まれた後、クレーンで吊り上げることによって川底75に沈められる。この時、図に詳細は示さないが、木工沈床76は、その底部から突出したL型アングル鋼材79が川底75の地中に差し込まれ、最下段の外枠木77a及び各敷成木78が川底75に着底した状態となる。これにより、木工沈床76に詰め込まれた砕石が、最下段の外枠木77aと敷成木78の間の隙間、及び各敷成木78の間の隙間から抜け落ちないようになっている。この木工沈床76によれば、外枠木77及び敷成木78として丸太材を使用するため、コンクリートからなる沈床74と比較してコストを低廉に抑えることができるとともに、河川70の水位が低く木工沈床76の一部が水面から露出しても周囲の景観を損なうこともない。
【0006】
【特許文献1】特開2004−60185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来例に係る木工沈床76を用いた護岸根固め工法によれば、川底75に不陸がある場合、これを入念に整地しなければ木工沈床76を設置することができず、この入念な整地作業に時間と手間を要するという問題がある。すなわち、前述のように木工沈床76は、内部に詰め込んだ砕石が底部から抜け落ちないよう、最下段の外枠木77aと各敷成木78という固い部材で構成される底部全体が川底75に着底するようになっている。従って、川底75に凸状の不陸が僅かにあるだけでも、木工沈床76は固い底部のいずれかの箇所が不陸と干渉することによって傾きが生じるので、これを未然に防止するためには、木工沈床76を設置する前に川底75全体に渡って入念な整地作業が必要になる。
【0008】
また、従来例に係る木工沈床76を用いた護岸根固め工法によれば、水流の速さや水位の高さといった河川70の特性によらず、常に木工沈床76の内部に大量の砕石を詰め込まなければ川底75に沈められないため、作業性が悪いという問題がある。すなわち、木工沈床76は、その最下段に位置する一対の外枠木77aの間に砕石を受けるための敷成木78が列設されているため、その底部に対して大きな浮力が作用する。従って、この大きな浮力に抗して木工沈床76を川底75に安定した状態で設置するためには、常にその内部に大量の砕石を詰め込む必要がある。
【0009】
更に、従来例に係る木工沈床76を用いた護岸根固め工法によれば、木工沈床76を工場等で予め組み立てた状態で施工現場へ搬入する場合には、組み立てた木工沈床76が嵩張るため、これを施工現場へ搬入する際に一度の運搬で少数の木工沈床76ずつしか運搬することができず、コストアップにつながるという問題がある。他方、木工沈床76を構成する各部材をバラバラの状態で施工現場へ搬入して組み立てる場合には、複雑な組み立て作業を行う分、施工現場における作業性が低下するという問題がある。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、施工現場において容易に組み立てることができ、且つ、川底に不陸があっても整地作業を行うことなく設置が可能な木工沈床及びこれを用いた護岸根固め工法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための請求項1記載の木工沈床は、井桁状に組まれた複数段の丸太、及び該各丸太の交差部を上下方向に挿通されて各段の丸太を固定するための長脚ボルトを有する枠体ユニットと、該枠体ユニットの底部開口を塞ぐ蓋部材と、を具備してなる木工沈床において、前記蓋部材が、上面が開口された箱型形状を有する弾性変形可能な金網からなるふとんかごと、該ふとんかごを前記枠体ユニットに対して着脱可能に固定する固定用金具と、を備えるものである。
【0012】
請求項2記載の木工沈床は、前記固定用金具が、前記丸太に挿通されるかご固定ボルトと、前記ふとんかごの内側面に当接されて前記丸太から突出した前記かご固定ボルトが挿通される座金と、該座金から更に突出した前記かご固定ボルトに螺合されるかご固定ナットと、を備えるものである。
【0013】
請求項3記載の木工沈床は、前記枠体ユニットを構成する各段の丸太に、前記かご固定ボルトの両端部を挿通させるための一対のかご固定ボルト挿通孔がそれぞれ形成されたものである。
【0014】
請求項4記載の木工沈床は、前記枠体ユニットを構成する各段の丸太に、前記かご固定ボルトの両端部を挿通させるための一対のかご固定ボルト挿通孔がそれぞれ形成されたものである。
【0015】
請求項5記載の木工沈床は、前記各丸太が、間伐材を径方向に圧縮した後、防腐性及び防虫性を有する薬液を注入したものである。
【0016】
請求項6記載の木工沈床を用いた護岸根固め工法は、河川に面する斜面を覆って設けられた護岸が崩落しないよう、前記護岸の根元部分を木工沈床で補強する、木工沈床を用いた護岸根固め工法において、井桁状に組まれた複数段の丸太と、該各丸太の交差部を上下方向に挿通されて各段の丸太を固定するための長脚ボルトとを具備する枠体ユニットの内部に、上面が開口された箱型形状を有する金網からなるふとんかごを、その底面が前記枠体ユニットの底部と同じ高さ位置になるように収容し、固定用金具を介して前記ふとんかごを前記枠体ユニットに固定することにより、前記木工沈床を組み立てる木工沈床組み立て工程と、組み立てた前記木工沈床を、前記護岸の根元部分に当接させるようにして、前記河川の川底に設置する木工沈床設置工程と、を含むものである。
【0017】
請求項7記載の木工沈床を用いた護岸根固め工法は、前記枠体ユニットを、前記長脚ボルトのナットを緩めてボルト軸を中心に前記各丸太の交差角を変化させるようにして平面状に折り畳んだ状態で施工現場に搬入し、施工現場で前記枠体ユニットを押し広げるように変形させて前記ナットを締め付けることで組み立てるものである。
【0018】
請求項8記載の木工沈床を用いた護岸根固め工法は、複数の木工沈床を相互に揺動可能に連結する木工沈床連結工程を更に含むものである。
【0019】
請求項9記載の木工沈床を用いた護岸根固め工法は、前記木工沈床の内部に砕石を詰め込む砕石詰め込み工程を更に含むものである。
【0020】
請求項10記載の木工沈床は、井桁状に組まれた複数段の丸太、及び該各丸太の交差部を上下方向に挿通されて各段の丸太を固定するための長脚ボルトを有する枠体ユニットと、該枠体ユニットの底部開口を塞ぐ蓋部材と、を具備してなる木工沈床において、前記蓋部材が、前記底部開口を覆うようにしてダブつかせた状態で前記枠体ユニットの底部に固定される格子状のネットを備えるものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る木工沈床によれば、その底部開口がふとんかごによって塞がれているので、河川の川底に小さな不陸がある場合には、木工沈床の設置時にふとんかごが不陸との干渉を避けるように弾性変形し、木工沈床が不陸によって川底から浮き上がることがない。従って、岩を取り除く等して川底を整地しなくても、木工沈床を安定して設置することができる。また、木工沈床は、底部開口がふとんかごで塞がれているので、底部に大きな浮力を受けない。従って、河川の水流が比較的遅い場合には、その内部に僅かな量の砕石を詰め込んだ状態で設置すれば水流によって流されないので、砕石を一杯に詰め込むために予め河川を堰き止める必要がない。また、ふとんかごが枠体ユニットに対して着脱可能であるので、ふとんかごを枠体ユニットから取り外せば、長脚ボルトを緩めて枠体ユニットを平面状に折り畳むことができる。これにより、折り畳んだ状態で運搬すれば、枠体ユニットが嵩張らず、多数の枠体ユニットを積み重ねて同時に運搬できるので、運搬コストを低減することができる。更に、折り畳まれた枠体ユニットを押し広げるように変形させた上で、長脚ボルトを締め付けることにより、枠体ユニットを容易に組み立てることができる。これにより、施工現場において複数本の丸太を順次積み重ねて固定する場合と比べて、木工沈床の組み立て作業を簡略化及び短時間化することができる。また、木工沈床の内部に砕石を詰め込むと、ふとんかごの網目から砕石の一部が突出し、この砕石の突出部分が川底の岩等と噛み合うので、木工沈床が水流によって流されにくい。
【0022】
また、本発明に係る木工沈床によれば、ふとんかごの内側面に座金を当接させた状態で、かご固定ボルトを枠体ユニットの外側から丸太及び座金をそれぞれ挿通させ、座金から突出したかご固定ボルトにかご固定ナットを螺合させることにより、ふとんかごを枠体ユニットに固定することができる。一方、かご固定ナットを緩めれば、ふとんかごを枠体ユニットから容易に取り外すことができる。
【0023】
また、本発明に係る木工沈床によれば、かご固定ボルトがU字形状を有するので、隣接する木工沈床のかご固定ボルト同士をシャックル等の固定具で固定することにより、隣接する木工沈床を揺動可能に連結することができる。
【0024】
また、本発明に係る木工沈床によれば、かご固定用金具の木工沈床への取付位置を上下方向に調整することが可能なので、川底の不陸の大きさ等によって木工沈床に許容する揺動角度を適宜調節することができる。
【0025】
また、本発明に係る木工沈床によれば、枠体ユニットを構成する丸太が間伐材であるので、コンクリートブロックからなる沈床と比較して、その製造時や加工時に必要とされるエネルギー量を削減することができ、二酸化炭素の排出量を削減することができる。更に、丸太に保存処理を施しているので、間伐材が腐食して二酸化炭素が放出されることもない。これにより、空気中へのニ酸化炭素の排出量を削減して、地球温暖化を防止することができる。
【0026】
また、本発明に係る木工沈床を用いた護岸根固め工法によれば、木工沈床の底部開口がふとんかごによって塞がれているので、河川の川底に小さな不陸がある場合には、木工沈床の設置時にふとんかごが不陸との干渉を避けるように弾性変形し、木工沈床が不陸によって川底から浮き上がることがない。従って、岩を取り除く等して川底を整地しなくても、木工沈床を安定して設置することができる。また、木工沈床は、底部開口がふとんかごで塞がれているので、底部に大きな浮力を受けない。従って、河川の水流が比較的遅い場合には、その内部に僅かな量の砕石を詰め込んだ状態で設置すれば水流によって流されないので、砕石を一杯に詰め込むために予め河川を堰き止める必要がない。
【0027】
また、本発明に係る木工沈床を用いた護岸根固め工法によれば、枠体ユニットを平面状に折り畳んだ状態で施工現場に搬入するので、枠体ユニットが嵩張らず、多数の枠体ユニットを積み重ねて同時に運搬できるので、運搬コストを低減することができる。更に、簡単な作業で枠体ユニットを組み立てることができるので、施工現場において複数本の丸太を順次積み重ねて固定する場合と比べて、木工沈床の組み立て作業を簡略化及び短時間化することができる。
【0028】
また、本発明に係る木工沈床を用いた護岸根固め工法によれば、木工沈床の設置時に川底に大きな不陸がある場合には、木工沈床が揺動することで不陸に沿った状態となる。従って、不陸を埋め立てる等して川底を整地しなくても、木工沈床を安定して設置することができる。また、木工沈床の設置時には川底に不陸がなくても、水流による経年的な浸食によって川底に不陸が生じる場合があるが、この場合にも木工沈床が揺動して不陸に沿った状態となるので、川底を整地しなくても木工沈床は安定した状態で保たれる。
【0029】
また、本発明に係る木工沈床を用いた護岸根固め工法によれば、木工沈床の内部に砕石を詰め込むと、ふとんかごの網目から砕石の一部が突出し、この砕石の突出部分が川底の岩等と噛み合うので、木工沈床が水流によって流されにくい。
【0030】
また、本発明に係る木工沈床によれば、枠体ユニットの底部開口を塞ぐネットが自在に変形可能なので、ネットを取り付けた状態のままでも枠体ユニットを折り畳んで運搬することができる。従って、木工沈床を枠体ユニットとネットとに分解する手間を削減することができる。また、ダブつかせた状態で枠体ユニットの底部に固定したネットが、川底の不陸を避けるように変形するので、川底を入念に整地しなくても木工沈床を安定して設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
まず、本発明の実施例に係る木工沈床の構成を図1から図4に基づいて説明する。図1に示すように、木工沈床1は、中空の箱型形状を有し上面と底面が開口された枠体ユニット2と、この枠体ユニット2の底部開口3を塞ぐための蓋部材4と、を備えるものである。
【0032】
前記枠体ユニット2は、その内部に砕石を収容するためのものである。この枠体ユニット2は、図1に示すように、平面視で井桁状に組まれた複数段の丸太5と、各丸太5の交差部を上下方向に挿通して設けられた4本の長脚ボルト6とを有している。ここで、丸太5は、杉や桧等の間伐材に保存処理を施したものである。この間伐材とは、植林地において、木々が過密になり過ぎるのを防止するために伐採された木材のことを言う。このように、間伐材を使用して枠体ユニット2を構成するので、コンクリートブロックからなる従来の沈床74と比較して、その製造時や加工時に必要とされるエネルギー量を削減することができ、二酸化炭素の排出量を削減することができる。また、間伐材をそのまま屋外に放置すると、腐食した間伐材から二酸化炭素が放出されるが、本発明のように間伐材を保存処理した上で使用すれば、間伐材が腐食して二酸化炭素が放出されることもない。以上より、空気中へのニ酸化炭素の排出量を削減して、地球温暖化を防止することができる。
【0033】
また、前記保存処理は、木材に対して圧縮加工と加圧注入処理を行うことである。圧縮加工は、間伐材に対し径方向への圧縮力を加える処理である。一方、加圧注入処理は、防腐性や防虫性を有する薬液を間伐材に注入する処理であって、間伐材を収容した所定の台車を圧力釜に入れ、真空ポンプ等を用いて圧力釜を減圧することによって木材中の空気を除去する。そして、コンプレッサー等を用いて圧力釜を加圧することにより薬液を間伐材に浸透させた後、圧力釜を減圧し、間伐材を圧力釜から取り出して乾燥させることにより、加圧注入処理が完了する。このように、間伐材に保存処理を施すことにより、虫等に食われにくく、また風雨に晒される条件下でも腐食しにくくなるため、耐用年数が30〜50年となり、保存処理を施していない間伐材と比較して、耐用年数が約6〜10倍に延びるという利点がある。
【0034】
各丸太5は、略同径の間伐材が一定の長さに切り揃えられたものであって、図2に示すように、その長手方向両端部にはボルト挿通孔7がそれぞれ形成されるとともに、その長手方向中央部には一対のかご固定ボルト挿通孔8がボルト挿通孔7と略直交するように形成されている。そして、各丸太5は、前述のように平面視で井桁状に組まれることにより、枠体ユニット2を構成する。すなわち、図1に示すように、まず最下段を構成する一対の丸太5aが所定間隔で略平行して配置される。そして、この最下段の丸太5aの上に、下から2段目を構成する一対の丸太5bが、最下段の丸太5aと略直交して、且つ、図に詳細は示さないが長手方向両端部のボルト挿通孔7を最下段の丸太5aのボルト挿通孔7にそれぞれ合わせるようにして配置される。更に、図1に示すように、この下から2段目の丸太5bの上に、下から3段目を構成する一対の丸太5cが、下から2段目の丸太5bと略直交して、且つ、最下段の丸太5aと略平行して配置される。以後、これと同様にして、下から4段目,下から5段目…下から9段目の順に一対の丸太5d,5e,5f,5g,5h,5iが積み重ねられる。尚、丸太5を積み重ねる段数は、9段に限られず任意の段数とすることが可能である。
【0035】
4本の長脚ボルト6は、枠体ユニット2を構成する各段の丸太5を互いに固定するためのものである。この長脚ボルト6は、図1に示すように、周面に雄ネジが切られた長尺なボルト軸9と、このボルト軸9に螺合されるナット10とから構成される。そして、ボルト軸9の長手方向一端部には、略90°曲折されてなる抜け止め部11が形成されている。4本の長脚ボルト6は、ボルト軸9が、その先端部すなわち抜け止め部11と逆側の端部から、前述のように積み上げられた各段の丸太5に対して最下段の丸太5aから上方に向かって各ボルト挿通孔7にそれぞれ挿通され、最上段の丸太5iより突出したボルト軸9の先端部にナット10がそれぞれ螺合される。そして、各ナット10を締め付けると、最下段の丸太5aにボルト軸9の抜け止め部11が係止するとともに、最上段の丸太5iにナット10が当接することにより、各丸太5を回動不能に固定して枠体ユニット2を組み立てることができる。一方、各ナット10を緩めると、各丸太5がその両端部に挿通されたボルト軸9を支点として回動可能となるので、枠体ユニット2を各丸太5の交差角が変化するように変形させることにより、図3に示すように枠体ユニット2を平面状に折り畳むことができる。
【0036】
前記蓋部材4は、図1及び図2に示すように、枠体ユニット2の底部開口3を覆うように配置されるふとんかご12と、このふとんかご12の前後左右側面に取り付けられる固定用金具13と、を備えるものである。
【0037】
ふとんかご12は、枠体ユニット2の底部開口3を塞ぐためのものである。このふとんかご12は、図4に示すように、ステンレスに亜鉛アルミ合金をメッキしてなる金網Kを箱型に形成したものであり、その上面Jが開口されている。また、ふとんかご12は、平面視で枠体ユニット2の内部に収容可能な大きさであって、その高さ寸法が枠体ユニット2の高さ寸法の半分程度である。このように構成されるふとんかご12は、図1に示すように、その底面が枠体ユニット2の底部と略同じ高さ位置になるようにして枠体ユニット2の内部に配置され、前記固定用金具13を介して枠体ユニット2に固定される。
【0038】
尚、ふとんかご12を構成する金網Kの材質は本実施例に限られないが、後述するように川底の不陸の形状に合わせて変形できるよう、ある程度弾性変形可能な材質が好適である。また、ふとんかご12を大きくするほどコストアップにつながる点を考慮して、本実施例ではふとんかご12の高さ寸法を枠体ユニット2の半分程度としたが、枠体ユニット2の内部に収容可能な範囲内でふとんかご12の形状及び大きさは適宜設計変更が可能である。また、図に詳細は示さないが、枠体ユニット2の底部開口3を塞ぐ手段として、ふとんかご12に代えて例えば金属や樹脂等からなる箱型の部材に水抜き用の孔を形成したものを用いてもよい。しかし、木工沈床1の底部に作用する浮力を最小限に抑えられる点、及び川底に不陸があってもその形状に応じて弾性変形することで対応可能である点において、本実施例のようにふとんかご12を用いた方が好適である。
【0039】
固定用金具13は、ふとんかご12を枠体ユニット2に対して着脱可能に固定するためのものである。この固定用金具13は、図2に示すように、U字形状を有し両端部にネジ部が設けられたU字ボルト(かご固定ボルト)15と、このU字ボルト15を挿通させるための一対のボルト挿通孔16が形成された平板状の座金17と、U字ボルト15の各ネジ部に螺合される一対のかご固定ナット18とを有している。このように構成される固定用金具13は、図1及び図2に示すように、ふとんかご12の前後左右側面を構成する金網Kの内側に座金17をそれぞれ当接させた状態で、下から3段目と下から4段目の丸太5c,5dに形成されたかご固定ボルト挿通孔8に対してU字ボルト15をそれぞれ挿通させ、このU字ボルト15をふとんかご12の網目を通して、座金17のボルト挿通孔16にそれぞれ挿通させる。そして、座金17から更に突出したU字ボルト15の各ネジ部に対してかご固定ナット18をそれぞれ螺合させて締め付ける。これにより、ふとんかご12が枠体ユニット2に固定される。
【0040】
尚、本実施例では固定用金具13の取付位置を下から3段目と下から4段目の丸太5c,5dの位置としたが、この取付位置はふとんかご12の大きさや丸太5の太さ等に応じて他の段の丸太5の位置とすることもできる。また、ふとんかご12を枠体ユニット2に固定する手段としては、固定用金具13に代えて、例えばU字型の股釘を用いてふとんかご12を枠体ユニット2に打ち付けることも可能である。しかし、このようにふとんかご12を枠体ユニット2に対して取り外し不能に固定すると、長脚ボルト6のナット10を緩めても、ふとんかご12があるため枠体ユニット2を折り畳むことができない。この点、本実施例のように固定用金具13を介してふとんかご12を枠体ユニット2に対して着脱可能に固定すれば、固定用金具13のかご固定ナット18を緩めることでふとんかご12を枠体ユニット2から簡単に取り外せるので、長脚ボルト6のナット10を緩めれば枠体ユニット2を折り畳むことができる。
【0041】
また、枠体ユニット2の底部開口3を塞ぐ蓋部材4としては、本実施例のふとんかご12に代えて網状の部材を用いることも可能である。図5は、他の実施例に係る木工沈床40を底部側から見た概略斜視図である。木工沈床40は、枠体ユニット2の底部開口3を覆うようにしてネット41が取り付けられたものである。このネット41は、例えば合成樹脂等からなるロープが格子状に編まれたものであって、枠体ユニット2の底部開口3の形状より若干大きく形成されている。このように構成されるネット41は、枠体ユニット2の最下段を構成する1対の丸太5aや下から2段目を構成する1対の丸太5bに対し、例えばU字型の股釘(不図示)を用いて打ち付けることにより、若干ダブつかせた状態で固定されている。
【0042】
次に、本発明の実施例に係る木工沈床1を用いた護岸根固め工法の施工手順を図6から図13に基づいて説明する。本実施例に係る護岸根固め工法では、まず第1工程として、河川周辺の施工現場に木工沈床1を搬入して組み立てる(木工沈床組み立て工程)。ここで、木工沈床1は、前述のように枠体ユニット2とふとんかご12とに分解可能に構成されるとともに、その枠体ユニット2は折り畳み可能に構成されている。従って、木工沈床1を搬入する際には、枠体ユニット2とふとんかご12とに分解した状態で、且つ、枠体ユニット2を図3に示すように平面状に折り畳んだ状態で運搬すれば、枠体ユニット2が嵩張らず、多数の枠体ユニット2を積み重ねて同時に運搬できるので、運搬コストを低減することができる。また、木工沈床40によれば、枠体ユニット2の底部開口3を塞ぐネット41が自在に変形可能なので、ネット41を取り付けた状態のままでも枠体ユニット2を折り畳んで運搬することができる。従って、木工沈床40を枠体ユニット2とネット41とに分解する手間を削減することができる。
【0043】
木工沈床1の組み立て手順としては、まず、折り畳まれた状態の枠体ユニット2を平面視で押し広げるように変形させることにより、図6に示すように、ある段の丸太5とその直上段または直下段の丸太5とが略90°の角度をなすような状態とする。そして、この状態で4本の長脚ボルト6のナット10をそれぞれ締め付けることにより、枠体ユニット2を変形不能に固定する。このように、簡単な作業で枠体ユニット2が完成するので、施工現場において複数本の丸太5を順次積み重ねて固定する場合と比べて、木工沈床1の組み立て作業を簡略化及び短時間化することができる。次に、この枠体ユニット2の内部にふとんかご12を収容する。すなわち、図6に示すように、ふとんかご12を枠体ユニット2の上方へ持ち上げ、図1に示すようにその底部が地面に着くまで枠体ユニット2の内部へと降下させる。最後に、ふとんかご12を枠体ユニット2に固定する。すなわち、前記固定用金具13を使用し、図1及び図2に示すようにふとんかご12を下から3段目と下から4段目の丸太5c,5dに固定する。以上により、木工沈床1の組み立てが完了する。
【0044】
次に、第2工程として、第1工程で組み立てた木工沈床1を、護岸の幅等に応じて必要な個数だけ連結する(木工沈床連結工程)。本実施例では、図7に示すように、シャックル20と呼ばれる固定具を用いて各木工沈床1同士を連結する。このシャックル20は、略U字形状のシャックル本体21と、このシャックル本体21の開口部を横切ってその両端部に螺合される連結ボルト22とを具備している。このシャックル20を用いて第1の木工沈床1Aと第2の木工沈床1Bとを連結する場合、連結ボルト22を取り外した状態のシャックル本体21を、第1の木工沈床1Aの下から3段目の丸太5cから突出したU字ボルト15に挿通させ、このU字ボルト15の一端部に螺合させた連結ボルト22を、第2の木工沈床1Bの下から3段目の丸太5cから突出したU字ボルト15に挿通させた後、シャックル本体21の他端部に螺合させる。これにより、第1の木工沈床1Aと第2の木工沈床1Bは、シャックル20を介して互いに連結されるとともに、各U字ボルト15がシャックル20に沿って移動可能な範囲において、互いに若干の揺動が許容された状態となる。更に、図7に詳細は示さないが、図7の紙面に直交する方向にも第3の木工沈床を連結する必要がある場合には、シャックル20を介して同様に、第1の木工沈床1Aまたは第2の木工沈床1Bの下から4段目の丸太5dから突出したU字ボルト15を、第3の木工沈床の下から4段目の丸太から突出したU字ボルトに対して連結する。このようにして、複数の木工沈床1を縦横両方向に連結することができる。
【0045】
尚、本実施例では木工沈床1の下から3段目または下から4段目の丸太5c,5d同士を連結したが、この連結位置は、固定用金具13の枠体ユニット2への取付位置に応じて、他の段の丸太5同士を連結することも可能である。また、複数の木工沈床1を連結する手段としては、本実施例のシャックル20に代えて従来公知の他の固定具を用いてもよい。また、この第2工程である木工沈床1を連結する作業は、第1工程で木工沈床1を組み立てる作業の中で行ってもよいし、後述する第3工程で木工沈床1を設置した後や、或いは第4工程で木工沈床1に砕石を詰め込んだ後に行ってもよい。更に、設置しようとする木工沈床1が1つだけであって、複数の木工沈床1を連結する必要がない場合には、この第2工程を省略してもよい。
【0046】
次に、第3工程として、第2工程で連結した各木工沈床1を河川に設置する(木工沈床設置工程)。より詳細には、まず、図8(a)に示すように、河川23に面する斜面24を覆って護岸25が設けられている場合に、護岸根固め工法を施工しようとする箇所の上流側において河川23を堰き止めることにより、当該箇所の川底26を露出させる。次に、第2工程で連結した各木工沈床1を不図示のクレーンで吊り上げ、クレーンを操作して河川23の上方へと各木工沈床1を移動させる。そして、各木工沈床1を、図8(b)に示すように、護岸25の根元部分27すなわち最下部分に当接させるようにして、最下段の丸太5aとふとんかご12の底面とが川底26に着くまで降下させる。このように、護岸25の根元部分27を木工沈床1で受けて補強することにより、護岸25が斜面24に沿って崩落するのを防止することができる。
【0047】
また、前述のように枠体ユニット2の底部開口3がふとんかご12で塞がれているので、図9に示すように、川底26に例えば岩等が突出した小さな不陸28がある場合には、木工沈床1の設置時には不陸28との干渉を避けるようにふとんかご12が弾性変形するので、木工沈床1が不陸28によって川底26から浮き上がることがない。従って、岩を取り除く等して川底26を入念に整地しなくても、木工沈床1を安定して設置することができる。また、図に詳細は示さないが、前記木工沈床40についても、底部に若干ダブつかせた状態で固定したネット41が川底の不陸を避けるように変形するので、川底を入念に整地しなくても木工沈床40を安定して設置することができる。
【0048】
更に、前述のように隣接する木工沈床1同士をシャックル20を介して揺動可能に連結したので、図10に示すように川底26に大きな不陸29がある場合には、木工沈床1はシャックル20を支点として揺動することで不陸29に沿った状態となる。従って、不陸29を埋め立てる等して川底26を整地しなくても、木工沈床1を安定して設置することができる。また、木工沈床1の設置時には川底26に不陸29がなくても、水流による経年的な浸食によって川底26に図10に示すような大きな不陸29が生じる場合がある。この場合も、木工沈床1が揺動して不陸29に沿った状態となるので、川底26を整地しなくても木工沈床1は安定した状態で保たれる。尚、図10に示すように、隣接する木工沈床1の下から3段目の丸太5c同士をシャックル20で連結した場合、傾斜角が略30°までの凹状の不陸29に対しては木工沈床1の揺動によって対応することができる。しかし、図に詳細は示さないが、傾斜角が30°を超えるような凹状の不陸29に対しては、隣接する木工沈床1の下部同士が接触してその揺動が妨げられるので、不陸29に沿う角度まで木工沈床1が揺動することができない。この場合、隣接する木工沈床1の下から2段目の丸太5b同士或いは最下段の丸太5a同士をシャックル20で連結すれば、各木工沈床1の下部同士が接触しにくくなり、その揺動が妨げられないので、傾斜角が30°を超えるような不陸29に対しても木工沈床1の揺動によって対応することができる。一方、傾斜角が30°に満たないような不陸29に対応できれば十分である場合、或いは図10に示すような凹状の不陸29ではなく凸状の不陸に対応させる場合には、隣接する木工沈床1の下から3段目より上側に位置する丸太5d,5e,5f,5g,5h,5i同士をシャックル20で連結すればよい。
【0049】
尚、本実施例では木工沈床1を川底26の上に設置したが、法律等の規制により、木工沈床1を設置することで河川23の水位が上昇するのを回避する必要がある場合もある。この場合には、図11(a)に示すように、護岸25をその根元部分27が川底26の地中30まで達するように形成するとともに、川底26を掘削して、図11(b)に示すように、木工沈床1を護岸25の根元部分27に当接するようにして地中30に埋め込んでもよい。
【0050】
次に、第4工程として、第3工程で河川23に設置した各木工沈床1の内部に砕石を一杯に詰め込む(砕石詰め込み工程)。この砕石は、河川23の水流によって木工沈床1が流されるのを防止する錘としての役割を果たすものである。ここで、前述のように河川23は堰き止められて川底26が露出した状態であるため、砕石の詰め込み作業は川底26に降りて行うことができる。そして、図12(a)に示すように木工沈床1に砕石31を詰め込むと、木工沈床1の底部ではふとんかご12の網目から砕石31の一部が突出し、この砕石31の突出部分が川底26の岩等と噛み合う。これにより、木工沈床1は、河川23の水流に対してより一層流されにくくなる。また、砕石31が水をろ過するフィルターとして機能することによって、更には砕石31に微生物が付着することによって、河川の水質浄化作用を期待することができる。尚、図12(b)に示すように、木工沈床1の上部と護岸25との間に形成される空間32にも砕石31を詰め込めば、空間32の内部で水流による渦が発生して護岸25が損傷するのを防止することができる。
【0051】
尚、詰め込む砕石31の粒径は、枠体ユニット2やふとんかご12の内部で動かない程度が好適であって、河川の水深や流速に基づいて決定すればよい。更に、砕石31に代えて、錘となる程度の重みを有する他の部材を木工沈床1に詰め込むことも可能である。また、この第4工程である木工沈床1に砕石31を詰め込む作業は、第3工程で木工沈床1を設置する前に行ってもよい。しかし、この場合、第3工程で木工沈床1を吊り上げた時に砕石31の重みでふとんかご12が破れないよう、ふとんかご12に十分な強度が必要である。更に、河川23の特性によっては、この第4工程を省略することも可能である。すなわち、木工沈床1は、その底部開口3がふとんかご12で塞がれているので、底部に複数の敷成木78が列設された従来の木工沈床76のように底部に大きな浮力を受けない。従って、河川23の流速が比較的遅い場合には、木工沈床1はその内部に僅かな量の砕石31を詰め込んで設置すれば水流によって流されないので、前記第3工程で木工沈床1を設置する前にその内部に砕石31を少量だけ詰め込めばよい。この場合、木工沈床1に詰め込む砕石31が少量なので、木工沈床1を設置するためにクレーンで吊り上げても、砕石31の重みでふとんかご12が破れることがない。このように、第3工程で木工沈床1の設置前に少量の砕石31を詰め込めば、木工沈床1の設置後に河川23を堰き止めて砕石31を一杯に詰め込む必要がない。
【0052】
最後に、第5工程として、第3工程で行った河川23の堰き止めを解除する。これにより、図13に示すように河川23の水面33が上昇し、木工沈床1の全部が水没した状態となる。尚、河川23の水位が低い場合には、図13に点線で示すように木工沈床1の一部が水面33から露出するが、露出するのは丸太5と砕石31であるので、コンクリートブロックからなる従来の沈床74のように周囲の景観を損ねることはない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る木工沈床は、護岸の根元部分を補強するために使用するだけでなく、例えば河川が湾曲した箇所で外側部分が浸食されるのを防止するために、或いは橋脚周りの渦が発生しやすい箇所で川底が浸食されるのを防止するために使用することも可能である。また、河川の護岸だけでなく、例えば法面の根元部分を補強するために使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施例に係る木工沈床1の外観を示す概略斜視図。
【図2】図1におけるA−A断面を示す概略横断面図。
【図3】折り畳んだ状態の枠体ユニット2を示す概略斜視図。
【図4】ふとんかご12の外観を示す概略斜視図。
【図5】他の実施例に係る木工沈床40を底部側から見た概略斜視図。
【図6】本発明の実施例に係る護岸根固め工法の第1工程を示す概略斜視図。
【図7】第1の木工沈床1Aと第2の木工沈床1Bとの連結部を拡大した部分拡大側面図。
【図8】本発明の実施例に係る護岸根固め工法の第3工程を示す概略縦断面図。
【図9】第3工程において川底26に小さな不陸28がある時のふとんかご12の底部を拡大した部分拡大縦断面図。
【図10】第3工程において川底26に大きな不陸29がある時の木工沈床1の状態を示す概略縦断面図。
【図11】第3工程の他の実施例を示す概略縦断面図。
【図12】本発明の実施例に係る護岸根固め工法の第4工程を示す概略縦断面図。
【図13】本発明の実施例に係る護岸根固め工法の第5工程を示す概略縦断面図。
【図14】従来の護岸根固め工法の一例を示す図であって、河川70の周辺部を示す縦断面図。
【図15】従来の木工沈床76を底部側から見た状態を示す概略斜視図。
【符号の説明】
【0055】
1 木工沈床
2 枠体ユニット
3 底部開口
4 蓋部材
5 丸太
6 長脚ボルト
12 ふとんかご
13 固定用金具
15 U字ボルト
17 座金
18 ナット(固定用金具)
23 河川
24 斜面
25 護岸
26 川底
27 根元部分
31 砕石
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川の護岸が崩落するのを防止するためにその根元部分に設置される木工沈床及びこれを用いた護岸根固め工法に関し、特に、組み立てが容易で且つ川底に不陸があっても簡単な整地作業を行うだけで設置が可能な木工沈床及びこれを用いた護岸根固め工法に関する。
【背景技術】
【0002】
河川の周辺には、水流による浸食から川岸を保護するために、河川に面する斜面をコンクリートで覆うことによって護岸が形成される。そして、この護岸が斜面に沿って崩落するのを防止するため、沈床と呼ばれる部材を用いて護岸の根元部分を補強する、いわゆる護岸根固め工法が従来用いられている。ここで、沈床とは、河川において流れが急な箇所や渦が発生しやすい箇所等の川底に設置され、水流の衝撃を和らげることによって川底が浸食されるのを防止するための部材である。
【0003】
図14は、従来の護岸根固め工法の一例を示す図であって、河川周辺部を示す縦断面図である。河川70に面する斜面71には、その表面をコンクリートで覆って護岸72が形成され、この護岸72の根元部分73に当接するようにして、コンクリートブロックからなる沈床74が川底75に設置される。これにより、護岸72が斜面71に沿って崩落するのを防止することができる。しかし、このようなコンクリートブロックからなる沈床74は、原材料費が割高であるためコストアップにつながるという問題があるとともに、水位が低い場合にはコンクリートブロックが水面から露出した状態となって周囲の景観が損なわれるという問題もある。
【0004】
そこで、コンクリートブロックからなる沈床74に代えて、木製の木工沈床を川底75に設置する護岸根固め工法が従来提唱されている(特許文献1参照)。図15は、従来の木工沈床76を底部から見た状態を示す概略斜視図である。木工沈床76は、井桁状に組まれた複数段の外枠木77と、最下段に位置する一対の外枠木77aの間に、これらと平行するようにして所定間隔で列設された複数の敷成木78と、最下段の外枠木77a及び各敷成木78の底部に、これらと直交するようにして所定間隔で設けられた一対のL型アングル鋼材79とを備えるものである。ここで、外枠木77及び敷成木78としては丸太材が使用される。
【0005】
このように構成される木工沈床76は、工場等で予め組み立てられた状態で施工現場へ搬入されるか、或いは上記各構成部材がバラバラの状態で搬入されて施工現場で組み立てられる。そして、施工現場でその内部に砕石が詰め込まれた後、クレーンで吊り上げることによって川底75に沈められる。この時、図に詳細は示さないが、木工沈床76は、その底部から突出したL型アングル鋼材79が川底75の地中に差し込まれ、最下段の外枠木77a及び各敷成木78が川底75に着底した状態となる。これにより、木工沈床76に詰め込まれた砕石が、最下段の外枠木77aと敷成木78の間の隙間、及び各敷成木78の間の隙間から抜け落ちないようになっている。この木工沈床76によれば、外枠木77及び敷成木78として丸太材を使用するため、コンクリートからなる沈床74と比較してコストを低廉に抑えることができるとともに、河川70の水位が低く木工沈床76の一部が水面から露出しても周囲の景観を損なうこともない。
【0006】
【特許文献1】特開2004−60185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来例に係る木工沈床76を用いた護岸根固め工法によれば、川底75に不陸がある場合、これを入念に整地しなければ木工沈床76を設置することができず、この入念な整地作業に時間と手間を要するという問題がある。すなわち、前述のように木工沈床76は、内部に詰め込んだ砕石が底部から抜け落ちないよう、最下段の外枠木77aと各敷成木78という固い部材で構成される底部全体が川底75に着底するようになっている。従って、川底75に凸状の不陸が僅かにあるだけでも、木工沈床76は固い底部のいずれかの箇所が不陸と干渉することによって傾きが生じるので、これを未然に防止するためには、木工沈床76を設置する前に川底75全体に渡って入念な整地作業が必要になる。
【0008】
また、従来例に係る木工沈床76を用いた護岸根固め工法によれば、水流の速さや水位の高さといった河川70の特性によらず、常に木工沈床76の内部に大量の砕石を詰め込まなければ川底75に沈められないため、作業性が悪いという問題がある。すなわち、木工沈床76は、その最下段に位置する一対の外枠木77aの間に砕石を受けるための敷成木78が列設されているため、その底部に対して大きな浮力が作用する。従って、この大きな浮力に抗して木工沈床76を川底75に安定した状態で設置するためには、常にその内部に大量の砕石を詰め込む必要がある。
【0009】
更に、従来例に係る木工沈床76を用いた護岸根固め工法によれば、木工沈床76を工場等で予め組み立てた状態で施工現場へ搬入する場合には、組み立てた木工沈床76が嵩張るため、これを施工現場へ搬入する際に一度の運搬で少数の木工沈床76ずつしか運搬することができず、コストアップにつながるという問題がある。他方、木工沈床76を構成する各部材をバラバラの状態で施工現場へ搬入して組み立てる場合には、複雑な組み立て作業を行う分、施工現場における作業性が低下するという問題がある。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、施工現場において容易に組み立てることができ、且つ、川底に不陸があっても整地作業を行うことなく設置が可能な木工沈床及びこれを用いた護岸根固め工法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための請求項1記載の木工沈床は、井桁状に組まれた複数段の丸太、及び該各丸太の交差部を上下方向に挿通されて各段の丸太を固定するための長脚ボルトを有する枠体ユニットと、該枠体ユニットの底部開口を塞ぐ蓋部材と、を具備してなる木工沈床において、前記蓋部材が、上面が開口された箱型形状を有する弾性変形可能な金網からなるふとんかごと、該ふとんかごを前記枠体ユニットに対して着脱可能に固定する固定用金具と、を備えるものである。
【0012】
請求項2記載の木工沈床は、前記固定用金具が、前記丸太に挿通されるかご固定ボルトと、前記ふとんかごの内側面に当接されて前記丸太から突出した前記かご固定ボルトが挿通される座金と、該座金から更に突出した前記かご固定ボルトに螺合されるかご固定ナットと、を備えるものである。
【0013】
請求項3記載の木工沈床は、前記枠体ユニットを構成する各段の丸太に、前記かご固定ボルトの両端部を挿通させるための一対のかご固定ボルト挿通孔がそれぞれ形成されたものである。
【0014】
請求項4記載の木工沈床は、前記枠体ユニットを構成する各段の丸太に、前記かご固定ボルトの両端部を挿通させるための一対のかご固定ボルト挿通孔がそれぞれ形成されたものである。
【0015】
請求項5記載の木工沈床は、前記各丸太が、間伐材を径方向に圧縮した後、防腐性及び防虫性を有する薬液を注入したものである。
【0016】
請求項6記載の木工沈床を用いた護岸根固め工法は、河川に面する斜面を覆って設けられた護岸が崩落しないよう、前記護岸の根元部分を木工沈床で補強する、木工沈床を用いた護岸根固め工法において、井桁状に組まれた複数段の丸太と、該各丸太の交差部を上下方向に挿通されて各段の丸太を固定するための長脚ボルトとを具備する枠体ユニットの内部に、上面が開口された箱型形状を有する金網からなるふとんかごを、その底面が前記枠体ユニットの底部と同じ高さ位置になるように収容し、固定用金具を介して前記ふとんかごを前記枠体ユニットに固定することにより、前記木工沈床を組み立てる木工沈床組み立て工程と、組み立てた前記木工沈床を、前記護岸の根元部分に当接させるようにして、前記河川の川底に設置する木工沈床設置工程と、を含むものである。
【0017】
請求項7記載の木工沈床を用いた護岸根固め工法は、前記枠体ユニットを、前記長脚ボルトのナットを緩めてボルト軸を中心に前記各丸太の交差角を変化させるようにして平面状に折り畳んだ状態で施工現場に搬入し、施工現場で前記枠体ユニットを押し広げるように変形させて前記ナットを締め付けることで組み立てるものである。
【0018】
請求項8記載の木工沈床を用いた護岸根固め工法は、複数の木工沈床を相互に揺動可能に連結する木工沈床連結工程を更に含むものである。
【0019】
請求項9記載の木工沈床を用いた護岸根固め工法は、前記木工沈床の内部に砕石を詰め込む砕石詰め込み工程を更に含むものである。
【0020】
請求項10記載の木工沈床は、井桁状に組まれた複数段の丸太、及び該各丸太の交差部を上下方向に挿通されて各段の丸太を固定するための長脚ボルトを有する枠体ユニットと、該枠体ユニットの底部開口を塞ぐ蓋部材と、を具備してなる木工沈床において、前記蓋部材が、前記底部開口を覆うようにしてダブつかせた状態で前記枠体ユニットの底部に固定される格子状のネットを備えるものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る木工沈床によれば、その底部開口がふとんかごによって塞がれているので、河川の川底に小さな不陸がある場合には、木工沈床の設置時にふとんかごが不陸との干渉を避けるように弾性変形し、木工沈床が不陸によって川底から浮き上がることがない。従って、岩を取り除く等して川底を整地しなくても、木工沈床を安定して設置することができる。また、木工沈床は、底部開口がふとんかごで塞がれているので、底部に大きな浮力を受けない。従って、河川の水流が比較的遅い場合には、その内部に僅かな量の砕石を詰め込んだ状態で設置すれば水流によって流されないので、砕石を一杯に詰め込むために予め河川を堰き止める必要がない。また、ふとんかごが枠体ユニットに対して着脱可能であるので、ふとんかごを枠体ユニットから取り外せば、長脚ボルトを緩めて枠体ユニットを平面状に折り畳むことができる。これにより、折り畳んだ状態で運搬すれば、枠体ユニットが嵩張らず、多数の枠体ユニットを積み重ねて同時に運搬できるので、運搬コストを低減することができる。更に、折り畳まれた枠体ユニットを押し広げるように変形させた上で、長脚ボルトを締め付けることにより、枠体ユニットを容易に組み立てることができる。これにより、施工現場において複数本の丸太を順次積み重ねて固定する場合と比べて、木工沈床の組み立て作業を簡略化及び短時間化することができる。また、木工沈床の内部に砕石を詰め込むと、ふとんかごの網目から砕石の一部が突出し、この砕石の突出部分が川底の岩等と噛み合うので、木工沈床が水流によって流されにくい。
【0022】
また、本発明に係る木工沈床によれば、ふとんかごの内側面に座金を当接させた状態で、かご固定ボルトを枠体ユニットの外側から丸太及び座金をそれぞれ挿通させ、座金から突出したかご固定ボルトにかご固定ナットを螺合させることにより、ふとんかごを枠体ユニットに固定することができる。一方、かご固定ナットを緩めれば、ふとんかごを枠体ユニットから容易に取り外すことができる。
【0023】
また、本発明に係る木工沈床によれば、かご固定ボルトがU字形状を有するので、隣接する木工沈床のかご固定ボルト同士をシャックル等の固定具で固定することにより、隣接する木工沈床を揺動可能に連結することができる。
【0024】
また、本発明に係る木工沈床によれば、かご固定用金具の木工沈床への取付位置を上下方向に調整することが可能なので、川底の不陸の大きさ等によって木工沈床に許容する揺動角度を適宜調節することができる。
【0025】
また、本発明に係る木工沈床によれば、枠体ユニットを構成する丸太が間伐材であるので、コンクリートブロックからなる沈床と比較して、その製造時や加工時に必要とされるエネルギー量を削減することができ、二酸化炭素の排出量を削減することができる。更に、丸太に保存処理を施しているので、間伐材が腐食して二酸化炭素が放出されることもない。これにより、空気中へのニ酸化炭素の排出量を削減して、地球温暖化を防止することができる。
【0026】
また、本発明に係る木工沈床を用いた護岸根固め工法によれば、木工沈床の底部開口がふとんかごによって塞がれているので、河川の川底に小さな不陸がある場合には、木工沈床の設置時にふとんかごが不陸との干渉を避けるように弾性変形し、木工沈床が不陸によって川底から浮き上がることがない。従って、岩を取り除く等して川底を整地しなくても、木工沈床を安定して設置することができる。また、木工沈床は、底部開口がふとんかごで塞がれているので、底部に大きな浮力を受けない。従って、河川の水流が比較的遅い場合には、その内部に僅かな量の砕石を詰め込んだ状態で設置すれば水流によって流されないので、砕石を一杯に詰め込むために予め河川を堰き止める必要がない。
【0027】
また、本発明に係る木工沈床を用いた護岸根固め工法によれば、枠体ユニットを平面状に折り畳んだ状態で施工現場に搬入するので、枠体ユニットが嵩張らず、多数の枠体ユニットを積み重ねて同時に運搬できるので、運搬コストを低減することができる。更に、簡単な作業で枠体ユニットを組み立てることができるので、施工現場において複数本の丸太を順次積み重ねて固定する場合と比べて、木工沈床の組み立て作業を簡略化及び短時間化することができる。
【0028】
また、本発明に係る木工沈床を用いた護岸根固め工法によれば、木工沈床の設置時に川底に大きな不陸がある場合には、木工沈床が揺動することで不陸に沿った状態となる。従って、不陸を埋め立てる等して川底を整地しなくても、木工沈床を安定して設置することができる。また、木工沈床の設置時には川底に不陸がなくても、水流による経年的な浸食によって川底に不陸が生じる場合があるが、この場合にも木工沈床が揺動して不陸に沿った状態となるので、川底を整地しなくても木工沈床は安定した状態で保たれる。
【0029】
また、本発明に係る木工沈床を用いた護岸根固め工法によれば、木工沈床の内部に砕石を詰め込むと、ふとんかごの網目から砕石の一部が突出し、この砕石の突出部分が川底の岩等と噛み合うので、木工沈床が水流によって流されにくい。
【0030】
また、本発明に係る木工沈床によれば、枠体ユニットの底部開口を塞ぐネットが自在に変形可能なので、ネットを取り付けた状態のままでも枠体ユニットを折り畳んで運搬することができる。従って、木工沈床を枠体ユニットとネットとに分解する手間を削減することができる。また、ダブつかせた状態で枠体ユニットの底部に固定したネットが、川底の不陸を避けるように変形するので、川底を入念に整地しなくても木工沈床を安定して設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
まず、本発明の実施例に係る木工沈床の構成を図1から図4に基づいて説明する。図1に示すように、木工沈床1は、中空の箱型形状を有し上面と底面が開口された枠体ユニット2と、この枠体ユニット2の底部開口3を塞ぐための蓋部材4と、を備えるものである。
【0032】
前記枠体ユニット2は、その内部に砕石を収容するためのものである。この枠体ユニット2は、図1に示すように、平面視で井桁状に組まれた複数段の丸太5と、各丸太5の交差部を上下方向に挿通して設けられた4本の長脚ボルト6とを有している。ここで、丸太5は、杉や桧等の間伐材に保存処理を施したものである。この間伐材とは、植林地において、木々が過密になり過ぎるのを防止するために伐採された木材のことを言う。このように、間伐材を使用して枠体ユニット2を構成するので、コンクリートブロックからなる従来の沈床74と比較して、その製造時や加工時に必要とされるエネルギー量を削減することができ、二酸化炭素の排出量を削減することができる。また、間伐材をそのまま屋外に放置すると、腐食した間伐材から二酸化炭素が放出されるが、本発明のように間伐材を保存処理した上で使用すれば、間伐材が腐食して二酸化炭素が放出されることもない。以上より、空気中へのニ酸化炭素の排出量を削減して、地球温暖化を防止することができる。
【0033】
また、前記保存処理は、木材に対して圧縮加工と加圧注入処理を行うことである。圧縮加工は、間伐材に対し径方向への圧縮力を加える処理である。一方、加圧注入処理は、防腐性や防虫性を有する薬液を間伐材に注入する処理であって、間伐材を収容した所定の台車を圧力釜に入れ、真空ポンプ等を用いて圧力釜を減圧することによって木材中の空気を除去する。そして、コンプレッサー等を用いて圧力釜を加圧することにより薬液を間伐材に浸透させた後、圧力釜を減圧し、間伐材を圧力釜から取り出して乾燥させることにより、加圧注入処理が完了する。このように、間伐材に保存処理を施すことにより、虫等に食われにくく、また風雨に晒される条件下でも腐食しにくくなるため、耐用年数が30〜50年となり、保存処理を施していない間伐材と比較して、耐用年数が約6〜10倍に延びるという利点がある。
【0034】
各丸太5は、略同径の間伐材が一定の長さに切り揃えられたものであって、図2に示すように、その長手方向両端部にはボルト挿通孔7がそれぞれ形成されるとともに、その長手方向中央部には一対のかご固定ボルト挿通孔8がボルト挿通孔7と略直交するように形成されている。そして、各丸太5は、前述のように平面視で井桁状に組まれることにより、枠体ユニット2を構成する。すなわち、図1に示すように、まず最下段を構成する一対の丸太5aが所定間隔で略平行して配置される。そして、この最下段の丸太5aの上に、下から2段目を構成する一対の丸太5bが、最下段の丸太5aと略直交して、且つ、図に詳細は示さないが長手方向両端部のボルト挿通孔7を最下段の丸太5aのボルト挿通孔7にそれぞれ合わせるようにして配置される。更に、図1に示すように、この下から2段目の丸太5bの上に、下から3段目を構成する一対の丸太5cが、下から2段目の丸太5bと略直交して、且つ、最下段の丸太5aと略平行して配置される。以後、これと同様にして、下から4段目,下から5段目…下から9段目の順に一対の丸太5d,5e,5f,5g,5h,5iが積み重ねられる。尚、丸太5を積み重ねる段数は、9段に限られず任意の段数とすることが可能である。
【0035】
4本の長脚ボルト6は、枠体ユニット2を構成する各段の丸太5を互いに固定するためのものである。この長脚ボルト6は、図1に示すように、周面に雄ネジが切られた長尺なボルト軸9と、このボルト軸9に螺合されるナット10とから構成される。そして、ボルト軸9の長手方向一端部には、略90°曲折されてなる抜け止め部11が形成されている。4本の長脚ボルト6は、ボルト軸9が、その先端部すなわち抜け止め部11と逆側の端部から、前述のように積み上げられた各段の丸太5に対して最下段の丸太5aから上方に向かって各ボルト挿通孔7にそれぞれ挿通され、最上段の丸太5iより突出したボルト軸9の先端部にナット10がそれぞれ螺合される。そして、各ナット10を締め付けると、最下段の丸太5aにボルト軸9の抜け止め部11が係止するとともに、最上段の丸太5iにナット10が当接することにより、各丸太5を回動不能に固定して枠体ユニット2を組み立てることができる。一方、各ナット10を緩めると、各丸太5がその両端部に挿通されたボルト軸9を支点として回動可能となるので、枠体ユニット2を各丸太5の交差角が変化するように変形させることにより、図3に示すように枠体ユニット2を平面状に折り畳むことができる。
【0036】
前記蓋部材4は、図1及び図2に示すように、枠体ユニット2の底部開口3を覆うように配置されるふとんかご12と、このふとんかご12の前後左右側面に取り付けられる固定用金具13と、を備えるものである。
【0037】
ふとんかご12は、枠体ユニット2の底部開口3を塞ぐためのものである。このふとんかご12は、図4に示すように、ステンレスに亜鉛アルミ合金をメッキしてなる金網Kを箱型に形成したものであり、その上面Jが開口されている。また、ふとんかご12は、平面視で枠体ユニット2の内部に収容可能な大きさであって、その高さ寸法が枠体ユニット2の高さ寸法の半分程度である。このように構成されるふとんかご12は、図1に示すように、その底面が枠体ユニット2の底部と略同じ高さ位置になるようにして枠体ユニット2の内部に配置され、前記固定用金具13を介して枠体ユニット2に固定される。
【0038】
尚、ふとんかご12を構成する金網Kの材質は本実施例に限られないが、後述するように川底の不陸の形状に合わせて変形できるよう、ある程度弾性変形可能な材質が好適である。また、ふとんかご12を大きくするほどコストアップにつながる点を考慮して、本実施例ではふとんかご12の高さ寸法を枠体ユニット2の半分程度としたが、枠体ユニット2の内部に収容可能な範囲内でふとんかご12の形状及び大きさは適宜設計変更が可能である。また、図に詳細は示さないが、枠体ユニット2の底部開口3を塞ぐ手段として、ふとんかご12に代えて例えば金属や樹脂等からなる箱型の部材に水抜き用の孔を形成したものを用いてもよい。しかし、木工沈床1の底部に作用する浮力を最小限に抑えられる点、及び川底に不陸があってもその形状に応じて弾性変形することで対応可能である点において、本実施例のようにふとんかご12を用いた方が好適である。
【0039】
固定用金具13は、ふとんかご12を枠体ユニット2に対して着脱可能に固定するためのものである。この固定用金具13は、図2に示すように、U字形状を有し両端部にネジ部が設けられたU字ボルト(かご固定ボルト)15と、このU字ボルト15を挿通させるための一対のボルト挿通孔16が形成された平板状の座金17と、U字ボルト15の各ネジ部に螺合される一対のかご固定ナット18とを有している。このように構成される固定用金具13は、図1及び図2に示すように、ふとんかご12の前後左右側面を構成する金網Kの内側に座金17をそれぞれ当接させた状態で、下から3段目と下から4段目の丸太5c,5dに形成されたかご固定ボルト挿通孔8に対してU字ボルト15をそれぞれ挿通させ、このU字ボルト15をふとんかご12の網目を通して、座金17のボルト挿通孔16にそれぞれ挿通させる。そして、座金17から更に突出したU字ボルト15の各ネジ部に対してかご固定ナット18をそれぞれ螺合させて締め付ける。これにより、ふとんかご12が枠体ユニット2に固定される。
【0040】
尚、本実施例では固定用金具13の取付位置を下から3段目と下から4段目の丸太5c,5dの位置としたが、この取付位置はふとんかご12の大きさや丸太5の太さ等に応じて他の段の丸太5の位置とすることもできる。また、ふとんかご12を枠体ユニット2に固定する手段としては、固定用金具13に代えて、例えばU字型の股釘を用いてふとんかご12を枠体ユニット2に打ち付けることも可能である。しかし、このようにふとんかご12を枠体ユニット2に対して取り外し不能に固定すると、長脚ボルト6のナット10を緩めても、ふとんかご12があるため枠体ユニット2を折り畳むことができない。この点、本実施例のように固定用金具13を介してふとんかご12を枠体ユニット2に対して着脱可能に固定すれば、固定用金具13のかご固定ナット18を緩めることでふとんかご12を枠体ユニット2から簡単に取り外せるので、長脚ボルト6のナット10を緩めれば枠体ユニット2を折り畳むことができる。
【0041】
また、枠体ユニット2の底部開口3を塞ぐ蓋部材4としては、本実施例のふとんかご12に代えて網状の部材を用いることも可能である。図5は、他の実施例に係る木工沈床40を底部側から見た概略斜視図である。木工沈床40は、枠体ユニット2の底部開口3を覆うようにしてネット41が取り付けられたものである。このネット41は、例えば合成樹脂等からなるロープが格子状に編まれたものであって、枠体ユニット2の底部開口3の形状より若干大きく形成されている。このように構成されるネット41は、枠体ユニット2の最下段を構成する1対の丸太5aや下から2段目を構成する1対の丸太5bに対し、例えばU字型の股釘(不図示)を用いて打ち付けることにより、若干ダブつかせた状態で固定されている。
【0042】
次に、本発明の実施例に係る木工沈床1を用いた護岸根固め工法の施工手順を図6から図13に基づいて説明する。本実施例に係る護岸根固め工法では、まず第1工程として、河川周辺の施工現場に木工沈床1を搬入して組み立てる(木工沈床組み立て工程)。ここで、木工沈床1は、前述のように枠体ユニット2とふとんかご12とに分解可能に構成されるとともに、その枠体ユニット2は折り畳み可能に構成されている。従って、木工沈床1を搬入する際には、枠体ユニット2とふとんかご12とに分解した状態で、且つ、枠体ユニット2を図3に示すように平面状に折り畳んだ状態で運搬すれば、枠体ユニット2が嵩張らず、多数の枠体ユニット2を積み重ねて同時に運搬できるので、運搬コストを低減することができる。また、木工沈床40によれば、枠体ユニット2の底部開口3を塞ぐネット41が自在に変形可能なので、ネット41を取り付けた状態のままでも枠体ユニット2を折り畳んで運搬することができる。従って、木工沈床40を枠体ユニット2とネット41とに分解する手間を削減することができる。
【0043】
木工沈床1の組み立て手順としては、まず、折り畳まれた状態の枠体ユニット2を平面視で押し広げるように変形させることにより、図6に示すように、ある段の丸太5とその直上段または直下段の丸太5とが略90°の角度をなすような状態とする。そして、この状態で4本の長脚ボルト6のナット10をそれぞれ締め付けることにより、枠体ユニット2を変形不能に固定する。このように、簡単な作業で枠体ユニット2が完成するので、施工現場において複数本の丸太5を順次積み重ねて固定する場合と比べて、木工沈床1の組み立て作業を簡略化及び短時間化することができる。次に、この枠体ユニット2の内部にふとんかご12を収容する。すなわち、図6に示すように、ふとんかご12を枠体ユニット2の上方へ持ち上げ、図1に示すようにその底部が地面に着くまで枠体ユニット2の内部へと降下させる。最後に、ふとんかご12を枠体ユニット2に固定する。すなわち、前記固定用金具13を使用し、図1及び図2に示すようにふとんかご12を下から3段目と下から4段目の丸太5c,5dに固定する。以上により、木工沈床1の組み立てが完了する。
【0044】
次に、第2工程として、第1工程で組み立てた木工沈床1を、護岸の幅等に応じて必要な個数だけ連結する(木工沈床連結工程)。本実施例では、図7に示すように、シャックル20と呼ばれる固定具を用いて各木工沈床1同士を連結する。このシャックル20は、略U字形状のシャックル本体21と、このシャックル本体21の開口部を横切ってその両端部に螺合される連結ボルト22とを具備している。このシャックル20を用いて第1の木工沈床1Aと第2の木工沈床1Bとを連結する場合、連結ボルト22を取り外した状態のシャックル本体21を、第1の木工沈床1Aの下から3段目の丸太5cから突出したU字ボルト15に挿通させ、このU字ボルト15の一端部に螺合させた連結ボルト22を、第2の木工沈床1Bの下から3段目の丸太5cから突出したU字ボルト15に挿通させた後、シャックル本体21の他端部に螺合させる。これにより、第1の木工沈床1Aと第2の木工沈床1Bは、シャックル20を介して互いに連結されるとともに、各U字ボルト15がシャックル20に沿って移動可能な範囲において、互いに若干の揺動が許容された状態となる。更に、図7に詳細は示さないが、図7の紙面に直交する方向にも第3の木工沈床を連結する必要がある場合には、シャックル20を介して同様に、第1の木工沈床1Aまたは第2の木工沈床1Bの下から4段目の丸太5dから突出したU字ボルト15を、第3の木工沈床の下から4段目の丸太から突出したU字ボルトに対して連結する。このようにして、複数の木工沈床1を縦横両方向に連結することができる。
【0045】
尚、本実施例では木工沈床1の下から3段目または下から4段目の丸太5c,5d同士を連結したが、この連結位置は、固定用金具13の枠体ユニット2への取付位置に応じて、他の段の丸太5同士を連結することも可能である。また、複数の木工沈床1を連結する手段としては、本実施例のシャックル20に代えて従来公知の他の固定具を用いてもよい。また、この第2工程である木工沈床1を連結する作業は、第1工程で木工沈床1を組み立てる作業の中で行ってもよいし、後述する第3工程で木工沈床1を設置した後や、或いは第4工程で木工沈床1に砕石を詰め込んだ後に行ってもよい。更に、設置しようとする木工沈床1が1つだけであって、複数の木工沈床1を連結する必要がない場合には、この第2工程を省略してもよい。
【0046】
次に、第3工程として、第2工程で連結した各木工沈床1を河川に設置する(木工沈床設置工程)。より詳細には、まず、図8(a)に示すように、河川23に面する斜面24を覆って護岸25が設けられている場合に、護岸根固め工法を施工しようとする箇所の上流側において河川23を堰き止めることにより、当該箇所の川底26を露出させる。次に、第2工程で連結した各木工沈床1を不図示のクレーンで吊り上げ、クレーンを操作して河川23の上方へと各木工沈床1を移動させる。そして、各木工沈床1を、図8(b)に示すように、護岸25の根元部分27すなわち最下部分に当接させるようにして、最下段の丸太5aとふとんかご12の底面とが川底26に着くまで降下させる。このように、護岸25の根元部分27を木工沈床1で受けて補強することにより、護岸25が斜面24に沿って崩落するのを防止することができる。
【0047】
また、前述のように枠体ユニット2の底部開口3がふとんかご12で塞がれているので、図9に示すように、川底26に例えば岩等が突出した小さな不陸28がある場合には、木工沈床1の設置時には不陸28との干渉を避けるようにふとんかご12が弾性変形するので、木工沈床1が不陸28によって川底26から浮き上がることがない。従って、岩を取り除く等して川底26を入念に整地しなくても、木工沈床1を安定して設置することができる。また、図に詳細は示さないが、前記木工沈床40についても、底部に若干ダブつかせた状態で固定したネット41が川底の不陸を避けるように変形するので、川底を入念に整地しなくても木工沈床40を安定して設置することができる。
【0048】
更に、前述のように隣接する木工沈床1同士をシャックル20を介して揺動可能に連結したので、図10に示すように川底26に大きな不陸29がある場合には、木工沈床1はシャックル20を支点として揺動することで不陸29に沿った状態となる。従って、不陸29を埋め立てる等して川底26を整地しなくても、木工沈床1を安定して設置することができる。また、木工沈床1の設置時には川底26に不陸29がなくても、水流による経年的な浸食によって川底26に図10に示すような大きな不陸29が生じる場合がある。この場合も、木工沈床1が揺動して不陸29に沿った状態となるので、川底26を整地しなくても木工沈床1は安定した状態で保たれる。尚、図10に示すように、隣接する木工沈床1の下から3段目の丸太5c同士をシャックル20で連結した場合、傾斜角が略30°までの凹状の不陸29に対しては木工沈床1の揺動によって対応することができる。しかし、図に詳細は示さないが、傾斜角が30°を超えるような凹状の不陸29に対しては、隣接する木工沈床1の下部同士が接触してその揺動が妨げられるので、不陸29に沿う角度まで木工沈床1が揺動することができない。この場合、隣接する木工沈床1の下から2段目の丸太5b同士或いは最下段の丸太5a同士をシャックル20で連結すれば、各木工沈床1の下部同士が接触しにくくなり、その揺動が妨げられないので、傾斜角が30°を超えるような不陸29に対しても木工沈床1の揺動によって対応することができる。一方、傾斜角が30°に満たないような不陸29に対応できれば十分である場合、或いは図10に示すような凹状の不陸29ではなく凸状の不陸に対応させる場合には、隣接する木工沈床1の下から3段目より上側に位置する丸太5d,5e,5f,5g,5h,5i同士をシャックル20で連結すればよい。
【0049】
尚、本実施例では木工沈床1を川底26の上に設置したが、法律等の規制により、木工沈床1を設置することで河川23の水位が上昇するのを回避する必要がある場合もある。この場合には、図11(a)に示すように、護岸25をその根元部分27が川底26の地中30まで達するように形成するとともに、川底26を掘削して、図11(b)に示すように、木工沈床1を護岸25の根元部分27に当接するようにして地中30に埋め込んでもよい。
【0050】
次に、第4工程として、第3工程で河川23に設置した各木工沈床1の内部に砕石を一杯に詰め込む(砕石詰め込み工程)。この砕石は、河川23の水流によって木工沈床1が流されるのを防止する錘としての役割を果たすものである。ここで、前述のように河川23は堰き止められて川底26が露出した状態であるため、砕石の詰め込み作業は川底26に降りて行うことができる。そして、図12(a)に示すように木工沈床1に砕石31を詰め込むと、木工沈床1の底部ではふとんかご12の網目から砕石31の一部が突出し、この砕石31の突出部分が川底26の岩等と噛み合う。これにより、木工沈床1は、河川23の水流に対してより一層流されにくくなる。また、砕石31が水をろ過するフィルターとして機能することによって、更には砕石31に微生物が付着することによって、河川の水質浄化作用を期待することができる。尚、図12(b)に示すように、木工沈床1の上部と護岸25との間に形成される空間32にも砕石31を詰め込めば、空間32の内部で水流による渦が発生して護岸25が損傷するのを防止することができる。
【0051】
尚、詰め込む砕石31の粒径は、枠体ユニット2やふとんかご12の内部で動かない程度が好適であって、河川の水深や流速に基づいて決定すればよい。更に、砕石31に代えて、錘となる程度の重みを有する他の部材を木工沈床1に詰め込むことも可能である。また、この第4工程である木工沈床1に砕石31を詰め込む作業は、第3工程で木工沈床1を設置する前に行ってもよい。しかし、この場合、第3工程で木工沈床1を吊り上げた時に砕石31の重みでふとんかご12が破れないよう、ふとんかご12に十分な強度が必要である。更に、河川23の特性によっては、この第4工程を省略することも可能である。すなわち、木工沈床1は、その底部開口3がふとんかご12で塞がれているので、底部に複数の敷成木78が列設された従来の木工沈床76のように底部に大きな浮力を受けない。従って、河川23の流速が比較的遅い場合には、木工沈床1はその内部に僅かな量の砕石31を詰め込んで設置すれば水流によって流されないので、前記第3工程で木工沈床1を設置する前にその内部に砕石31を少量だけ詰め込めばよい。この場合、木工沈床1に詰め込む砕石31が少量なので、木工沈床1を設置するためにクレーンで吊り上げても、砕石31の重みでふとんかご12が破れることがない。このように、第3工程で木工沈床1の設置前に少量の砕石31を詰め込めば、木工沈床1の設置後に河川23を堰き止めて砕石31を一杯に詰め込む必要がない。
【0052】
最後に、第5工程として、第3工程で行った河川23の堰き止めを解除する。これにより、図13に示すように河川23の水面33が上昇し、木工沈床1の全部が水没した状態となる。尚、河川23の水位が低い場合には、図13に点線で示すように木工沈床1の一部が水面33から露出するが、露出するのは丸太5と砕石31であるので、コンクリートブロックからなる従来の沈床74のように周囲の景観を損ねることはない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る木工沈床は、護岸の根元部分を補強するために使用するだけでなく、例えば河川が湾曲した箇所で外側部分が浸食されるのを防止するために、或いは橋脚周りの渦が発生しやすい箇所で川底が浸食されるのを防止するために使用することも可能である。また、河川の護岸だけでなく、例えば法面の根元部分を補強するために使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施例に係る木工沈床1の外観を示す概略斜視図。
【図2】図1におけるA−A断面を示す概略横断面図。
【図3】折り畳んだ状態の枠体ユニット2を示す概略斜視図。
【図4】ふとんかご12の外観を示す概略斜視図。
【図5】他の実施例に係る木工沈床40を底部側から見た概略斜視図。
【図6】本発明の実施例に係る護岸根固め工法の第1工程を示す概略斜視図。
【図7】第1の木工沈床1Aと第2の木工沈床1Bとの連結部を拡大した部分拡大側面図。
【図8】本発明の実施例に係る護岸根固め工法の第3工程を示す概略縦断面図。
【図9】第3工程において川底26に小さな不陸28がある時のふとんかご12の底部を拡大した部分拡大縦断面図。
【図10】第3工程において川底26に大きな不陸29がある時の木工沈床1の状態を示す概略縦断面図。
【図11】第3工程の他の実施例を示す概略縦断面図。
【図12】本発明の実施例に係る護岸根固め工法の第4工程を示す概略縦断面図。
【図13】本発明の実施例に係る護岸根固め工法の第5工程を示す概略縦断面図。
【図14】従来の護岸根固め工法の一例を示す図であって、河川70の周辺部を示す縦断面図。
【図15】従来の木工沈床76を底部側から見た状態を示す概略斜視図。
【符号の説明】
【0055】
1 木工沈床
2 枠体ユニット
3 底部開口
4 蓋部材
5 丸太
6 長脚ボルト
12 ふとんかご
13 固定用金具
15 U字ボルト
17 座金
18 ナット(固定用金具)
23 河川
24 斜面
25 護岸
26 川底
27 根元部分
31 砕石
【特許請求の範囲】
【請求項1】
井桁状に組まれた複数段の丸太、及び該各丸太の交差部を上下方向に挿通されて各段の丸太を固定するための長脚ボルトを有する枠体ユニットと、該枠体ユニットの底部開口を塞ぐ蓋部材と、を具備してなる木工沈床において、
前記蓋部材が、上面が開口された箱型形状を有する弾性変形可能な金網からなるふとんかごと、該ふとんかごを前記枠体ユニットに対して着脱可能に固定する固定用金具と、を備えることを特徴とする木工沈床。
【請求項2】
前記固定用金具が、前記丸太に挿通されるかご固定ボルトと、前記ふとんかごの内側面に当接されて前記丸太から突出した前記かご固定ボルトが挿通される座金と、該座金から更に突出した前記かご固定ボルトに螺合されるかご固定ナットと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の木工沈床。
【請求項3】
前記かご固定ボルトがU字形状を有するとともに、その両端部が前記丸太及び前記座金にそれぞれ挿通され、前記座金から突出した前記かご固定ボルトの両端部に、一対の前記かご固定ナットがそれぞれ螺合されることを特徴とする請求項2に記載の木工沈床。
【請求項4】
前記枠体ユニットを構成する各段の丸太に、前記かご固定ボルトの両端部を挿通させるための一対のかご固定ボルト挿通孔がそれぞれ形成されたことを特徴とする請求項3に記載の木工沈床。
【請求項5】
前記各丸太が、間伐材を径方向に圧縮した後、防腐性及び防虫性を有する薬液を注入したものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の木工沈床。
【請求項6】
河川に面する斜面を覆って設けられた護岸が崩落しないよう、前記護岸の根元部分を木工沈床で補強する、木工沈床を用いた護岸根固め工法において、
井桁状に組まれた複数段の丸太と、該各丸太の交差部を上下方向に挿通されて各段の丸太を固定するための長脚ボルトとを具備する枠体ユニットの内部に、上面が開口された箱型形状を有する金網からなるふとんかごを、その底面が前記枠体ユニットの底部と同じ高さ位置になるように収容し、固定用金具を介して前記ふとんかごを前記枠体ユニットに固定することにより、前記木工沈床を組み立てる木工沈床組み立て工程と、
組み立てた前記木工沈床を、前記護岸の根元部分に当接させるようにして、前記河川の川底に設置する木工沈床設置工程と、
を含むことを特徴とする木工沈床を用いた護岸根固め工法。
【請求項7】
前記枠体ユニットを、前記長脚ボルトのナットを緩めてボルト軸を中心に前記各丸太の交差角を変化させるようにして平面状に折り畳んだ状態で施工現場に搬入し、施工現場で前記枠体ユニットを押し広げるように変形させて前記ナットを締め付けることで組み立てることを特徴とする請求項6に記載の木工沈床を用いた護岸根固め工法。
【請求項8】
複数の木工沈床を相互に揺動可能に連結する木工沈床連結工程を更に含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の木工沈床を用いた護岸根固め工法。
【請求項9】
前記木工沈床の内部に砕石を詰め込む砕石詰め込み工程を更に含むことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の木工沈床を用いた護岸根固め工法。
【請求項10】
井桁状に組まれた複数段の丸太、及び該各丸太の交差部を上下方向に挿通されて各段の丸太を固定するための長脚ボルトを有する枠体ユニットと、該枠体ユニットの底部開口を塞ぐ蓋部材と、を具備してなる木工沈床において、
前記蓋部材が、前記底部開口を覆うようにしてダブつかせた状態で前記枠体ユニットの底部に固定される格子状のネットを備えることを特徴とする木工沈床。
【請求項1】
井桁状に組まれた複数段の丸太、及び該各丸太の交差部を上下方向に挿通されて各段の丸太を固定するための長脚ボルトを有する枠体ユニットと、該枠体ユニットの底部開口を塞ぐ蓋部材と、を具備してなる木工沈床において、
前記蓋部材が、上面が開口された箱型形状を有する弾性変形可能な金網からなるふとんかごと、該ふとんかごを前記枠体ユニットに対して着脱可能に固定する固定用金具と、を備えることを特徴とする木工沈床。
【請求項2】
前記固定用金具が、前記丸太に挿通されるかご固定ボルトと、前記ふとんかごの内側面に当接されて前記丸太から突出した前記かご固定ボルトが挿通される座金と、該座金から更に突出した前記かご固定ボルトに螺合されるかご固定ナットと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の木工沈床。
【請求項3】
前記かご固定ボルトがU字形状を有するとともに、その両端部が前記丸太及び前記座金にそれぞれ挿通され、前記座金から突出した前記かご固定ボルトの両端部に、一対の前記かご固定ナットがそれぞれ螺合されることを特徴とする請求項2に記載の木工沈床。
【請求項4】
前記枠体ユニットを構成する各段の丸太に、前記かご固定ボルトの両端部を挿通させるための一対のかご固定ボルト挿通孔がそれぞれ形成されたことを特徴とする請求項3に記載の木工沈床。
【請求項5】
前記各丸太が、間伐材を径方向に圧縮した後、防腐性及び防虫性を有する薬液を注入したものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の木工沈床。
【請求項6】
河川に面する斜面を覆って設けられた護岸が崩落しないよう、前記護岸の根元部分を木工沈床で補強する、木工沈床を用いた護岸根固め工法において、
井桁状に組まれた複数段の丸太と、該各丸太の交差部を上下方向に挿通されて各段の丸太を固定するための長脚ボルトとを具備する枠体ユニットの内部に、上面が開口された箱型形状を有する金網からなるふとんかごを、その底面が前記枠体ユニットの底部と同じ高さ位置になるように収容し、固定用金具を介して前記ふとんかごを前記枠体ユニットに固定することにより、前記木工沈床を組み立てる木工沈床組み立て工程と、
組み立てた前記木工沈床を、前記護岸の根元部分に当接させるようにして、前記河川の川底に設置する木工沈床設置工程と、
を含むことを特徴とする木工沈床を用いた護岸根固め工法。
【請求項7】
前記枠体ユニットを、前記長脚ボルトのナットを緩めてボルト軸を中心に前記各丸太の交差角を変化させるようにして平面状に折り畳んだ状態で施工現場に搬入し、施工現場で前記枠体ユニットを押し広げるように変形させて前記ナットを締め付けることで組み立てることを特徴とする請求項6に記載の木工沈床を用いた護岸根固め工法。
【請求項8】
複数の木工沈床を相互に揺動可能に連結する木工沈床連結工程を更に含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の木工沈床を用いた護岸根固め工法。
【請求項9】
前記木工沈床の内部に砕石を詰め込む砕石詰め込み工程を更に含むことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の木工沈床を用いた護岸根固め工法。
【請求項10】
井桁状に組まれた複数段の丸太、及び該各丸太の交差部を上下方向に挿通されて各段の丸太を固定するための長脚ボルトを有する枠体ユニットと、該枠体ユニットの底部開口を塞ぐ蓋部材と、を具備してなる木工沈床において、
前記蓋部材が、前記底部開口を覆うようにしてダブつかせた状態で前記枠体ユニットの底部に固定される格子状のネットを備えることを特徴とする木工沈床。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−7387(P2010−7387A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169386(P2008−169386)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【特許番号】特許第4258743号(P4258743)
【特許公報発行日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(506429330)中谷産業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【特許番号】特許第4258743号(P4258743)
【特許公報発行日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(506429330)中谷産業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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