説明

木質材料においてホルムアルデヒド放散を減少させるための方法

本発明は(i)木質材料上に、少なくとも1つのポリアミンおよび場合により混合物に対して20質量%まで尿素を含有する混合物を施与し;(ii)チップケーキまたは繊維ケーキ上またはその中にポリアミンを施与し;(iii)表面加工のために使用される被覆基体上にポリアミンを施与し、かつ/または(iv)露出箇所にポリアミンを施与し;その際、該ポリアミンは、少なくとも500g/モルの分子量および少なくとも6個の第一級または第二級アミノ基を有する、ことを特徴とする、窒素含有化合物を施与することによって木質材料のホルムアルデヒド放散を減少させるための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、ポリアミンによる処理によって木質材料においてホルムアルデヒド放散を減少させるための方法に関する。さらに本発明は、本方法に従って製造可能である木質材料、ならびに本方法に従って製造可能なラミネート、および家具、梱包材(Verpackungsmaterialien)を製造するための、または室内仕上げ(Innenausbau)におけるこれらの木質材料およびラミネートの使用に関する。
【0002】
木質材料は費用の掛からない、資金を節約する、中実材料の代替物であり、また殊に家具構造においておよび構造材料として重要性を増している。出発物質として、種々の木材からの様々のデンプン、木材ストリップ、木材チップ(Holzspaene)または木材繊維の木材層が用いられる。通常、そのような木材部材または木材粒子は、天然および/または合成バインダーを用いて、かつ場合によりさらに他の添加剤の添加下で、板状またはストランド状の木質材料へと成形される。
【0003】
バインダーとして、頻繁に、ホルムアルデヒド含有接着剤、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂またはメラミン含有尿素−ホルムアルデヒド樹脂が使用される。該樹脂は、ホルムアルデヒドと尿素もしくはメラミンの重縮合によって製造される。良好な接着性を得るために、この場合、一般に過剰のホルムアルデヒドが使用される。このため、仕上がった木質材料中には遊離ホルムアルデヒドが存在することにもつながりうる。重縮合物の加水分解によっては、ホルムアルデヒドが付加的に遊離しうる。木質材料中に含有される遊離ホルムアルデヒドおよび木質材料の寿命中に加水分解によって遊離されたホルムアルデヒドは周囲に放出されうる。
【0004】
木材自体も、殊に熱処理に従ってホルムアルデヒドを周囲に放出しうる。一般的に、被覆された木質材料は、未被覆の基体より少ないホルムアルデヒドの放散を有する("Holz als Roh-und Werkstoff(原料および工業原料としての木材)" 第47巻、1989、第227頁)。
【0005】
ホルムアルデヒドは、ある特定の限界値を上回ると、アレルギー、肌の炎症、呼吸器系統の炎症または目の炎症をヒトに引き起こす。それゆえ、室内領域における構造部材中のホルムアルデヒドの放散の減少は重大な関心事である。
【0006】
製造に際してホルムアルデヒドの添加を減らすことによるホルムアルデヒド放散の低下は、条件付きでしか成功につながらない。それというのも、バインダーの接着性はホルムアルデヒド濃度の減少とともに悪化し、ならびに接着剤の硬化(Abbinden)が明らかに遅くなるからである。このため製造サイクルの遅延につながる("Holzwerkstoffe und Leime(木質材料およびグルー", M. Dunky, P. Niemz, Springer Verlag Berlin-Heidelberg, 2002, 251-302に記載)。
【0007】
ホルムアルデヒド放散を減少させるためのさらに他の一可能性は、木材粒子またはホルムアルデヒド樹脂に、ホルムアルデヒド捕捉剤(Formaldehydfaenger)、例えば尿素を添加するという点にある。しかしながら、この方法において欠点なのは、樹脂の硬化速度が遅延することである。加えて、生成物の機械的特性に不利に影響が及ぼされる。
【0008】
木質材料のホルムアルデヒド放散は、近年では様々の措置によって減少されえてきた。これに関する例は以下のものである:
G.Myers(Forest Products Journal 1986, Vol 36(6), 41〜51)は、可能な方法についての概観を示す。これらは、低分子量のホルムアルデヒド捕捉剤、例えば尿素またはアンモ二アを固体の形で(例えば炭酸水素アンモニウムとして)、水溶液で(例えば尿素溶液)またはガスの形(NH)で使用するということから、物理的バリアとして作用する被覆を塗布するまでを提供する。
【0009】
木質材料、殊にパーティクルボードの、アンモニアによるガス処理(RY AB法 Verko法)ならびにパーティクルボードへのホルムアルデヒド捕捉剤の噴霧(Swedspan法)は、技術的な意義を獲得している(E.RoffaelおよびH.Miertzsch,Adhaesion 1990,4,13〜19)。Swedspan法(EP−B0006486)では、高温状態のパーティクルボードが尿素水溶液またはアンモニア分解物質を含有する他の溶液により噴霧される。欠点なのは、そのように処理されたパーティクルボードのより悪化した被覆性である。木質材料がアンモニアでガス処理(RY AB法、Verko法)される場合、貯蔵期間が増すにつれてホルムアルデヒド放出が再び増大することが欠点であるとわかった(第16頁,E.RoffaelおよびH.Miertzsch,Adhaesion 1999,4,13〜19)。
【0010】
WO2004/085125A2においては、接着された木質材料の放散を減少させるための方法が記載されており、該方法に際して、接着方向に対して垂直な、一様にされたエッジ上に、アルデヒド−およびイソシアネート反応性物質からの混合物が塗布される。その際、木材と同様、接着剤からも出てくる有害物質が留まるとされる。そのために、アミノ−またはアミド基を有する物質、またはヒドロキシル含有物質が使用されうる。例えば、尿素、グアナミン、エチルアミン、エタノールアミン、プロテイン、アルコールおよび炭水化物が挙げられる。
【0011】
JP2002−273145Aは、木材複合体のホルムアルデヒド放出を低減させるための方法を記載し、該方法に際して、そのつど個々に、ホルムアルデヒド放散を減少させるために適した複数の措置が組み合わされる。記載された水性のホルムアルデヒド捕捉剤は、尿素20〜50質量%、および不揮発性アミンの残分、尿素および不揮発性アミンが複合体中に浸潤しうるよう木材の透過性を高めるための剤、および乾燥後に木材複合体上でホルムアルデヒドのための物理的バリアとなるフィルム形成性固体から構成されている。このフィルムは、木材複合体の被覆性を損ねることがある。不揮発性アミンとして、ポリアルキレンポリアミンも記載される。一般的に、これらの物質の種類は、n=2,3および4の式HN(−CH−CH−NH)−Hの短鎖線状ポリアミンと理解される。
【0012】
ホルムアルデヒド含有バインダーの化学量論への調整もしくはホルムアルデヒド捕捉剤の添加のような多数の措置、ならびに木質材料を後処理するための様々の方法があるにも関わらず、木質材料からのホルムアルデヒドの放散を下げるためにさらに他の措置が必要である。さらに、表面加工(Oberflaechenveredelung)を終え、かつ場合により、例えばボーリング(Bohren)、フライス削りまたは鋸引きによる後処理後に発生する露出箇所からのホルムアルデヒドの放散はこれまで考慮されないままであった。
【0013】
そのような露出箇所は、フレキシブルに調整可能な棚底(Regalwaende)の高さを保証するための、必要とされる、例えばユニット式の棚(Regalwaende)におけるまたは棚の後ろの壁における隙間(Loecher)である。さらに、居住領域には向いていない棚底のエッジは、たいていの場合には表面被覆されておらず、従って露出している。棚底のなかには、それどころか底面全体が未被覆のものも幾つかあり、従ってそれらは露出した表面を示し、該表面からホルムアルデヒドが出ていく。
【0014】
それに従って本発明の課題は、木質材料のホルムアルデヒド放散を低減することであり、その際、例えばホルムアルデヒド捕捉剤中の尿素の高すぎる濃度によってまたはアンモニウム塩の塗布によって引き起こされうるような不利な影響は、木質材料の機械的特性にも被覆性にも、または膨潤値にも及ぼされるべきではない。
【0015】
さらに本発明の課題は、表面加工の付着力または品質、すなわち外観および耐性が不利に影響を及ぼされることなく、表面加工された木質材料のホルムアルデヒド放散を低減することである。それ以外に、被覆のプロセスは損なわれないべきである。
【0016】
それに従って、さらに本発明の課題は、表面加工された木質材料の露出箇所からのホルムアルデヒド放散を低減することである。
【0017】
課題の解決は、窒素含有化合物を施与することによって木質材料におけるホルムアルデヒド放散を減少させるための公知の方法から出発する。それから、本発明による方法は、
(i)木質材料上に、少なくとも1つのポリアミンおよび場合により混合物に対して20質量%まで尿素を含有する混合物を施与し;
(ii)チップケーキまたは繊維ケーキ(Spaene- oder Faserkuchen)上またはその中にポリアミンを施与し;
(iii)表面加工のために使用される被覆基体上にポリアミンを施与しかつ/または
(iv)露出箇所にポリアミンを施与し;
その際、該ポリアミンは、少なくとも500g/モルの分子量および少なくとも6個の第一級または第二級アミノ基を有する、ことを特徴とする。
【0018】
"チップケーキまたは繊維ケーキ"という概念は、場合により前圧縮された、撒布された、膠着されたチップもしくは繊維と理解される。一般的に、チップケーキまたは繊維ケーキは、仕上がった木質材料の少なくとも二倍の厚みを有する。
【0019】
"被覆基体"という概念は、例えばアミノ樹脂フィルム、殊にメラミンフィルム、予備含浸材料(Vorimpraegnate)、ホイル(Folien)、ラミネートまたは単板(Furniere)等と理解される。
【0020】
"露出箇所"という概念は、本発明の場合、例えばボーリング、フライス削りまたは鋸引きを後からすることによって表面加工後に発生するような隙間、被覆されていない露出したエッジまたは面等と理解される。
【0021】
ポリアミンは、水性の形でまたは溶剤を添加することなく施与されうる。有利には、ポリアミン水溶液が使用される。
【0022】
ポリマー水溶液は、有利には−そのつどポリマー溶液に対して−
(a)ポリアミン1〜99質量%
(b)湿潤性を改善するための添加剤0〜5質量%
(c)pH値を調整するための添加剤0〜30質量%
(d)他の添加剤、例えば殺菌剤、疎水化剤、着色剤、有機溶剤0〜30質量%
および補充して100質量%となる水の混合によって得られ、その際、これらのデータは混合の開始に基づく。
【0023】
成分(a)として、ある特定のポリアミンまたは複数のポリアミンからの混合物が使用されうる。
【0024】
有利には、ポリアミン水溶液は、ポリマー溶液に対して、ポリアミン5〜90質量%、有利にはポリアミン10〜75質量%、殊にポリアミン15〜45質量%、とりわけ有利にはポリアミン25〜40質量%を含有する。
【0025】
有利には、少なくとも500g/モル、殊に少なくとも800g/モル、および少なくとも6個の、殊に少なくとも10個の第一級または第二級アミノ基を有するポリアミンが使用される。有利には、ポリアミンとして、超分岐ポリアミン、殊にポリエチレンイミン、またはポリビニルアミンまたはこの混合物が選択される。
【0026】
"超分岐ポリアミン"という概念は、本発明の場合、アミノ基またはアミド基を含有する、高官能性の、高分岐および超分岐ポリマーと理解される。
【0027】
超分岐ポリアミンとして、本発明の意味において、500g/モルを上回る質量平均分子量を有する、その主鎖が分岐している、高官能性の、高分岐および超分岐の各ポリアミンが使用され、かつそれは0.05以上の分岐度(Degree of Branching;DB)を有する。有利には、その際、1000g/モルを上回る、有利には1500g/モルを上回る質量平均分子量を有する、および殊に1500〜200000g/モルの分子量を有する超分岐ポリアミンが使用される。有利には、分岐度は0.1およびそれを上回る。有利には、超分岐ポリアミンの分岐度は0.2〜0.99、とりわけ有利には0.3〜0.95および殊に0.35〜0.75の間にある。"Degree of Branching"の定義に関しては、H.Frey等,Acta Polym.1997,48,30が参照される。
【0028】
有利には、超分岐ポリアミンは、少なくとも4個の官能末端基、有利には少なくとも8個の官能末端基、殊に少なくとも20個の官能末端基を有する。原則的に官能基の数に上限はないが、しかしながら有利には、本発明の超分岐ポリアミンは、500個未満の官能末端基、有利には300個未満の官能末端基、殊に150個未満の官能末端基を有する。
【0029】
超分岐ポリアミンの製造の仕方は、例えばWO1996/19537、WO1999/16810、WO2005/075541、WO2005/044897、WO2003/0066702の中で、および文書番号102005056592.1および表題"高官能性の、高分岐または超分岐ポリリジンの製造および使用(Herstellung und Verwendung von hochfunktionellen, hoch- oder hyperverzweigten Polylysinen)"の比較的昔のドイツ特許出願の中で記載される。
【0030】
有利には、超分岐ポリアミンとして、重縮合生成物および重付加生成物、有利にはポリ尿素、ポリアミド、ポリチオ尿素、ならびにこれらの官能基の2つ以上を有する混合した形の組み合わせ物、例えばポリアミド尿素およびポリアミドチオ尿素、ポリ尿素(チオ尿素)、ポリ尿素ウレタンおよびポリチオ尿素ウレタン、ポリエステル尿素およびポリエステルチオ尿素、ポリアミノ尿素およびポリアミノチオ尿素、ポリカーボネート尿素およびポリカーボネートチオ尿素、ポリエーテル尿素およびポリエーテルチオ尿素、ポリアミドウレタン、ポリアミドエステル、ポリアミドアミン、ポリアミドカーボネート、ポリアミドエーテル、ポリエステルウレタン、ポリアミノウレタン、ポリカーボネートウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリアミノエステル、ポリエステルアミド、ポリアミノカーボネート、ポリアミノエーテル、またはポリ尿素ウレタンアミド等が用いられる。とりわけ有利には、超分岐ポリマーとして、ポリ尿素、ポリチオ尿素、ポリ尿素ウレタン、ポリアミド、ポリエステルアミド、殊にポリ尿素、ポリ尿素ウレタン、ポリアミド、およびポリアミドの場合、とりわけ有利にはポリリジンが使用される。
【0031】
極めて有利なのは、ポリエチレンイミンまたはポリビニルアミンまたはこの混合物の使用である。
【0032】
ポリビニルアミンの質量平均分子量は、有利には5000〜500000g/モル、有利には5000〜350000g/モル、殊に5000〜100000g/モルである。有利には、ポリエチレンイミンの質量平均分子量は、500〜100000g/モル、有利には500〜70000g/モル、とりわけ有利には500〜50000g/モル、極めて有利には800〜20000g/モルおよび殊に2000〜20000g/モルである。
【0033】
ポリエチレンイミンは、エチレンイミンの酸触媒による重合によって製造されえ、かつ一般に、ポリエチレンイミン20〜100質量%、とりわけ有利には40〜70質量%の間の含有率を有する水溶液として発生する。ポリビニルアミンは、ビニルホルムアミドの重合および引き続く加水分解によって製造されえ、かつ一般に、2〜50質量%、有利には5〜25質量%の水溶液として発生する。加水分解度は反応条件によって調整されえ、かつアミノ基対ホルムアミド基の比を決定する。有利には、これらの溶液は直接、本発明によるポリアミン溶液のためのベースとして使用されうる。
【0034】
ポリマー水溶液の任意の成分(b)として、湿潤性を改善するために、例えば、H.Stache,"界面活性剤ハンドブック(Tensid-Taschenbuch)",Carl Hanser Verlag,Muenchen,Wien,1981の中で記載されているようなイオン性および非イオン性の界面活性剤が、有利には0〜5質量%、有利には0〜2質量%の濃度で使用されうる。
【0035】
pH値は、任意の成分(c)としての以下の添加剤によって調整されうる:鉱酸または有機酸、例えば硫酸またはギ酸。成分(c)は、ポリマー水溶液に、0〜30質量%、有利には0〜20質量%の量で添加されうる。
【0036】
任意の成分(d)として、ポリマー水溶液に、さらに他の添加剤、例えば疎水化剤、例えばパラフィンエマルジョンおよびワックス、殺菌剤、有機溶剤または着色剤が加えられうる。成分(d)は、ポリマー水溶液に、0〜30質量%、有利には0〜10質量%の量で添加されうる。
【0037】
任意の成分(e)として、ポリアミン水溶液は、ポリマー溶液に対して尿素20質量%まで含有してよい。とりわけ有利には、ポリマー水溶液は、そのつどポリマー溶液に対して尿素15質量%未満を、有利には尿素10質量%未満を、および殊に尿素5質量%未満を含有する。とりわけ有利には、ポリマー溶液は尿素を含まない。
【0038】
有利には、ポリアミン溶液は3〜12のpH値で施与される。ケース(i)では、有利には、ポリアミン溶液は7〜11のpH値で、とりわけ有利には9〜11のpH値で施与され、その際、有利ではさほどない酸性領域中でポリアミンのプロトン化も生じうる。ケース(ii)および(iii)では、有利には、ポリアミン溶液は5〜10のpH値で、殊に6〜8のpH値で施与される。ケース(iv)では、有利には、ポリアミン溶液は6〜11のpH値で、殊に9〜11のpH値で施与される。
【0039】
ポリアミンの量が、木質材料の表面1平方メートル当たりにつき、有利には1g〜200g、有利には2g〜50g、とりわけ有利には3g〜30gの間となるのに(ケース(i))十分な量のポリアミン溶液が施与される。
【0040】
ケース(ii)では、ポリアミンの量が、チップケーキまたは繊維ケーキ100キログラム当たりにつき、有利には0.01kg〜5kg、有利には0.05kg〜1kg、殊に0.1kg〜0.5kgの間となるのに十分な量のポリアミン溶液が施与される。
【0041】
ケース(iii)では、ポリアミンの量が、被覆基体1平方メートル当たりにつき、有利には0.1g〜100g、有利には0.5g〜30g、殊に1g〜15gの間となるのに十分な量のポリアミン溶液が施与される。
【0042】
ケース(iv)では、作用物質のポリアミンの量が、表面処理された木質材料の露出箇所の表面1平方メートル当たりにつき、有利には0.05g〜200g、有利には0.1g〜50g、とりわけ有利には0.3g〜30gおよび殊に0.5〜10gの間となるのに十分な量のポリアミン溶液が施与される。
【0043】
ポリマー水溶液は、当業者に公知の種々の措置によって木質材料上に施与されうる(ケース(i))。それには、例えば噴霧、圧延(Walzen)、浸漬、ドクターブレード塗布(Rakeln)、延展(Streichen)、カーテンコーティング(Curtain Coating)が含まれ、有利には、ポリアミン溶液は噴霧および圧延によって施与される。
【0044】
チップケーキまたは繊維ケーキ上へのポリアミンまたはポリアミン水溶液の施与は、当業者に公知の種々の措置によって行われうる(ケース(ii))。それには、例えば噴霧、圧延、浸漬、ドクターブレード塗布、延展、カーテンコーティングが含まれ、有利には、アミン溶液は噴霧によって施与される。
【0045】
例えば、ポリアミン水溶液は、繊維ケーキの上面および/または底面に施与されうる。ポリアミンまたはポリマー水溶液の施与は、高められた温度でまたは室温で実施されうる。
【0046】
例えば、ポリアミンまたはポリアミン水溶液は、冷圧/冷間前圧縮の前後どちらかに施与されうる。外層−中間層−外層のチップケーキまたは繊維ケーキの構造化に際して、ポリアミンまたはポリアミン溶液は1つ以上の層内に存在してよく、かつ/または個々の層間に存在してよい。有利には、ポリアミンは、チップケーキまたは繊維ケーキの外層に、有利には両側の外層に施与される。
【0047】
下方の外層への施与は、例えば間接的に、繊維ケーキをプレスに送る輸送ベルト上に施与することを介して行われうる。その際、必要とされる量のポリアミン溶液は、例えば噴霧または圧延することによって輸送ベルト上に塗布され、引き続き、膠着されたチップもしくは繊維が輸送ベルト上に撒布される。
【0048】
例えば、ポリアミンまたはポリアミン溶液は、プレスの材料予熱のために使用される蒸気と一緒に施与もしくは噴霧されうる(WO2004/87388およびこの中の参考文献を参照のこと)。
【0049】
ポリアミンで処理されたチップケーキまたは繊維ケーキは、当業者に公知の方法に従って木質材料へと成形される("MDF-中質繊維板(Mitteldichte Faserplatten)", Hans-Joachim Deppe, Kurt Ernst, 1996 DRW-Verlag Weinbrenner GmbH & Co., 70771 Leinfelden-Echterdingen, 第4.3章, 第81頁以下を参照のこと;EP1192223B1, Paragraph[0034]および"パーティクルボード技術のハンドブック(Taschenbuch der Spanplattentechnik)" Joachim Deppe, Kurt Ernst, 2000, DRW-Verlag Weinbrenner GmbH & Co., 70771 Leinfelden-Echterdingen, 第3.5章, 第232頁以下も参照のこと)。
【0050】
ケース(iii)では、被覆基体上へのポリアミン水溶液またはポリアミンの施与は、当業者に公知の種々の措置によって行われうる。それには、例えば噴霧、圧延、浸漬、含浸、ドクターブレード塗布、延展、カーテンコーティングが含まれる。有利には、アミン溶液は噴霧によって施与される。
【0051】
有利には、ポリアミン溶液は、被覆基体の裏面、すなわち木質材料に向けられた面に施与される。
【0052】
引き続き、被覆基体は、当業者に公知の方法に従って木質材料と圧着される。
【0053】
例えば、単板の処理に際して、ポリアミン水溶液は単板の底面に噴霧されうる。木質材料−キャリアボード(Traegerplatte)、例えばパーティクルボード上へのグルー液(Leimflotte)の塗布後、そのように処理された単板が上に置かれ、かつ加温下および加圧下で圧着される。
【0054】
例えば、メラミンフィルムの処理に際して、ポリアミン水溶液は
(A)含浸前に、紙、例えば化粧紙またはオーバーレイ紙(Overlaypapier)に施与されえ、
(B1)予備含浸のために含浸樹脂液(Traenkharzflotte)に添加されえ、
(B2)後含浸/被覆のために含浸樹脂液に添加されえ、
(C)紙の含浸後に施与されえまたは
(D)含浸された紙の乾燥後に初めて施与されうる。
【0055】
有利には、ポリアミン水溶液は、含浸された紙の乾燥後に施与される。
【0056】
一般的に、被覆基体の樹脂フィルムまたはラミネートの製造は、紙、例えばa)50〜150g/mの坪量(Flaechengewicht)を有するナトロンクラフトペーパー(Natronkraftpapiere)、b)50〜150g/mの坪量を有する印刷された化粧紙またはc)20〜50g/mの坪量を有するオーバーレイ紙を、尿素溶液を用いて含浸させることによって行われ、その際、紙は尿素溶液に浸漬されかつ/または尿素溶液は紙上にドクターブレード塗布されるかまたは延展される。引き続き、該基体は2〜8%の残留水分/水含有率まで乾燥される。通常、ケースa)では100〜250g/mの、またケースb)およびc)では50〜150g/mの坪量が得られる。
【0057】
次いで、これらの乾燥された基体に、ケースa)では、すなわち樹脂フィルムの場合には、有利にはポリアミンが噴霧され、乾燥されかつHDF、MDF、パーティクルボード等の上に圧着される。その際、通常、プレス圧力は5〜80barであり、プレス時間は、一般的に1分より短く、典型的には10〜30秒であり、プレス温度は約160〜200℃である。
【0058】
ケースb)では、すなわちラミネートの製造に際しては、場合により複数のフィルムが噴霧され、乾燥され、次いで圧着されラミネートにされる。通常、ラミネートは、複数の層の含浸されたコアー紙(Kernpapiere)、有利には2〜15層のコアー紙、表面層としての複数の含浸された化粧紙および/またはオーバーレイ紙、および場合により、例えばナトロンクラフトペーパーからの複数の含浸された中和作用フィルム(Gegenzugpapieren)からなる。選択的に、使用される全てのフィルムを、個々のフィルムのみを、コアー紙のみをまたは境界面に向けられたフィルムのみをポリアミンで処理、殊に噴霧してよい。有利には、外側の紙が処理される。
【0059】
プレス圧力は、典型的には100barを下回り、プレス時間は、通常90分までであり、かつプレス温度は、一般に最大150℃である。それに相応して製造されたラミネートは、次いで当業者に公知の方法に従って木質材料上に接着される。
【0060】
ケース(iv)では、露出箇所へのポリマー水溶液の施与は、当業者に公知の種々の措置によって行われうる。それには、例えば噴霧、圧延、ドクターブレード塗布、延展または滴下が含まれる。有利には、ポリアミン溶液は噴霧によって施与される。施与に際して、表面加工された木質材料は、高められた温度を有してよくまたは室温にあってよい;さらに、施与に際して、ポリアミン溶液は高められた温度または室温を有してよい。有利には、ポリアミン溶液の施与は室温条件下で行われる。
【0061】
工業的規模では、例えば孔のパラレルボーリング(parallelen Bohren)に際して、ポリアミン溶液を施与、殊に噴霧するための装置がボーリングのための装置に接続されえ、または側方にずらしてこれに配置されていてよい。例えば、木質材料を鋸引きするための装置内に、ポリアミン溶液を圧延または噴霧するための装置が組み込まれうる。
【0062】
木質材料として、例えば単板ボードまたは合板ボードのような木材ストリップから作り上げられている全ての木質材料、木材チップから製造される木質材料、例えばパーティクルボードまたはOSBボード、ならびにLDF−、MDF−およびHDF−ボードのような木材繊維材料が考慮に入れられる。これらの木質材料は、それに相応する木材粒子から、天然および/または合成バインダーの添加下で熱圧によって製造される。有利には、本発明による方法に従って、ホルムアルデヒド含有バインダーを含有する木質材料が製造される。有利なのは、OSB−、木材繊維−およびパーティクルボードである。
【0063】
木質材料は、プレス後に研磨することによって表面処理されうる。本発明によるポリアミンの施与は、研磨前または研磨後、有利には研磨後であってよい。施与に際して、木質材料は、高められた温度を有してよくまたは室温にあってよい。木質材料は、施与後に、例えば赤外線放射、加熱ロールによってまたは熱管路(Waermekanal)内で熱処理されうる。ポリアミンは一面または両面に、有利には両面に施与されうる。
【0064】
さらに本発明の対象は、本発明による方法に従って製造可能な木質材料、殊にホルムアルデヒド含有バインダーを含有する、場合により表面加工された木質材料である。有利なのは、本発明により処理された、場合により表面加工されたパーティクルボードおよび木材繊維ボードである。
【0065】
(i)および(ii)のケースにおける方法に従って得られる木質材料は、引き続き、場合により表面加工されうる。表面加工は、種々の材料による被覆によって行われうる。例えば、ラッカー塗、化粧張り、バッキング(Kaschierung)またはラミネーションが実施されえ、またはメラミンフィルム、予備含浸材料またはホイルによる被覆が実施されうる。そのような表面加工された木質材料は、本発明の対象である。
【0066】
従って、さらに本発明は、本発明による方法に従って製造可能である、場合により表面加工された木質材料の他に、中和作用フィルム、コアーフィルム、化粧フィルムまたはオーバーレイフィルムの群から選択される、ポリアミンで処理された少なくとも1つのフィルムを含有するラミネートにも関する。
【0067】
有利には、本発明により製造された木質材料は、0〜0.1ppm、有利には0〜0.04ppm、殊に0〜0.02ppmのホルムアルデヒド放散を有し(EN717−1"試験チャンバー法(Pruefkammermethode)に従うホルムアルデヒド放出")、もしくは、有利には0〜3.5mg/mh、有利には0〜2mg/m2h、殊に0〜1mg/mhのホルムアルデヒド放散を有する(EN717−2"ガス分析法に従うホルムアルデヒド放出")。
【0068】
本発明による木質材料は、家具、梱包材の製造のために、住宅建築において、ドライウォール構造(Trockenausbau)においてまたは内装仕上げにおいて、例えばラミネート、断熱材(Daemmstoff)、壁部材または天井部材として使用されうる。
【0069】
実施例
ケース(i)
16mmの厚みおよび650kg/mの密度を有する、尿素−ホルムアルデヒド−グルーで結合した研磨されたパーティクルボードを用いて試験を実施した。
【0070】
処理
実施例1:なし(本発明によらない)
実施例2:純粋な尿素溶液(本発明によらない)
30%の尿素溶液を、40g/mの尿素量が生じる量でパーティクルボード上に施与し、150秒間で60℃へと加熱し、引き続き20℃/湿度65%にて1日間貯蔵した。
【0071】
実施例3:ポリエチレンイミン溶液(本発明による)
5000g/モルの平均分子量を有するポリエチレンイミンの30%の水溶液をパーティクルボード上に、パーティクルボード上でポリエチレンイミン40g/mが施与されるように噴霧した。続けて、表面を150秒以内に60℃へと加熱し、引き続き20%/湿度65%にて1日間貯蔵した。
【0072】
実施例4:ポリエチレンイミン溶液(本発明による)
5000g/モルの平均分子量を有するポリエチレンイミンの25%の水溶液をパーティクルボード上に、パーティクルボード上でポリエチレンイミン5g/mが施与されるように噴霧した。引き続き、20℃/湿度65%にて1日間貯蔵した。
【0073】
実施例5:JP2002273145の実施例4〜6のホルムアルデヒド捕捉剤の調整(比較例)
JP200227314550に相応する、以下:
尿素 24%(作用物質(Wirksubstanz))
N,N−ジメチル尿素 1%(作用物質)
アジピン酸ジヒドラジド 5%(作用物質)
N,N−ジメチルヒドラジン 1%(作用物質)
ベンジルアミン 1%(作用物質)
トリエタノールアミン 0.5%
ナトリウム−ジ−エチル−ヘキシル−スルホサクシネート 1.2%
ナトリウム−リノールアルコールスルホネート 1%
ポリ酢酸ビニルエマルジョン(50%) 40%(分散液20%+水20%)(作用物質)
水 25.3%
からの混合物50質量%
および水50質量%を含有する水溶液、すなわち26%の水溶液(作用物質に対して)をパーティクルボード上に、パーティクルボード上で作用物質5g/mが施与されるように噴霧した。引き続き、20℃/湿度65%にて1日間貯蔵した。
【0074】
ホルムアルデヒド放出:
後処理ありまたは後処理なしのホルムアルデヒド放散を、1994年からのDIN規格 DIN EN717−2(ホルムアルデヒド放出の測定 第2部:ガス分析法に従うホルムアルデヒド放出(Bestimmung der Formaldehydabgabe Teil 2: Formaldehydabgabe nach der Gasanalyse-Methode))、および2004年からのDIN規格 DIN−EN717−1(ホルムアルデヒド放出の測定 第1部:試験チャンバー法に従うホルムアルデヒド放出(Bestimmung der Formaldehydabgabe Teil 1: Formaldehydabgabe nach der Pruefkammer-Methode))および1992年からのDIN規格DIN−EN120(ホルムアルデヒド含量の測定:抽出法、パーフォレーター法と呼ばれる(Bestimmung der Formaldehydgehalts : Extraktionsverfahren, genannt Perforatormethode))に従って測定した。
【0075】
EN717−2の場合、閉じた幅の狭い表面を有する、寸法0.4m×0.05m×(mにおける試験体の厚み)の試験体を、0.004mの体積のチャンバー内で、60℃および相対湿度21%にて4時間のあいだ試験した。気流(Luftstrom)を60l/hに調整する。そのつど1hのあいだ、出てくる空気を、アセチルアセトンおよび酢酸アンモニウムの水溶液を含有するガス洗浄容器中で捕集した。ホルムアルデヒドは、水溶液中でアンモニウムイオンおよびアセチルアセトンと反応しジアセチルジヒドロルチジン(DDL)となる。この反応は、ホルムアルデヒドにおいてきわめて特有のものである。DDLは412nmにて吸収極大を有し、かつ定量的に分光法により検出されうる。ホルムアルデヒド濃度の測定のために、最後の3時間の平均値を求める。
【0076】
EN717−1に従って、露出したエッジ0.75mを有する、寸法0.5×0.5×厚み×mの2個の試験体を、体積1mの試験チャンバー内に設置する。測定を、少なくとも10〜最大28日間のあいだ、23℃および453%の相対湿度にて実施する。空気供給および排出は、1時間以内に全体の空気が一度交換されるように選択する。サンプル採取のために、空気120lを2l/分の速度で、酢酸アンモニウム水溶液およびアセチルアセトン水溶液で満たされているガス洗浄容器中に導通する。ホルムアルデヒド濃度を同様に分光法により測定する。ホルムアルデヒド放散は、この方法に従って平衡曲線より明らかとなり、その際、4つの連続する値は最大で5%変化してよい。28日後になおこの条件が満たされない場合、平均値を出すために最後の4つの値が用いられる。
【0077】
EN120の場合、寸法25mm×25mm×厚みの試験体を使用する。約110gの試験体を、トルエン600mlと一緒にパーフォレーターアタッチメントを有するフラスコ内に入れる。トルエンを沸騰させる。ホルムアルデヒドをパーフォレーターにおいて水中に放出し、かつ測光法により測定する。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
被覆性
パーティクルボード1〜3を、24時間後に標準雰囲気(20℃/湿度65%)において以下のように被覆した:
白色の化粧紙(80g/m)を、Kauramin含浸樹脂792および硬化剤529(100:0.3)からの樹脂液100g/mで含浸させ、かつオーブンで160℃にて乾燥させた。そのようにして得られたフィルムをパーティクルボードの表面上に敷設し、かつ圧着した(190℃、25bar、35s)。試験体の安定化のために、同時に反対側にも中和作用フィルムを圧着する。
【0081】
被覆性の評価のためにクロスハッチ試験(Gittertest)を実施する。そのため、ひし形の型が生じるように、レザーブリード(Rasierklinge)を用いて表面を介して2×4の平行な線状の切片(間隔0.5cm)を作った。ひし形のエッジにおいて被覆が部分的に剥がれ落ちる。破壊された表面の百分率を測定する。値が小さければ小さいほど、それだけパーティクルボードの被覆性は良い。
【0082】
【表3】

【0083】
ケース(iii)
実施例6:化粧張り
0.6mmのブナ単板の底面に、30%のポリエチレンイミン水溶液(ポリエチレンイミンの質量平均分子量:5000g/モル)のa)10g/m(3g/m 作用物質)およびb)20g/m(6g/m 作用物質)を噴霧し、引き続き乾燥させた。
【0084】
Kaurit(R)Leim329 100部およびBonit(R)硬化剤12926 20部からのグルー液100g/mを、市販のパーティクルボード(16mmの厚みおよび650kg/mの密度)上に塗布した。単板を上に置き、かつプレス温度105℃および0.6N/mmのプレス圧力にて圧着した。プレス時間は100秒であった。
【0085】
実施例7:化粧フィルム
市販の化粧紙(Sueddekor社のブナ−化粧70g/m)を、およそ30cm×20cmに裁断し、かつ含浸樹脂溶液で満たされた(メラミン−ホルムアルデヒド−樹脂Kauramin(R)含浸樹脂792に対しておよそ55%、硬化剤H529 0.3%、BASF AG社のKauropal(R)933 0.1%)薄板トラフ(Blechwanne)内に装入することによって含浸させた。樹脂塗布量は、ワイヤドクターブレード(Drahtrakel)を介して紙を延伸することによって調整した。引き続き、含浸させた化粧紙を、120℃にて実験室用乾燥庫内で乾燥させた。乾燥後、化粧−フィルムの質量は120g/mで、残留湿分は6.5%であった。
化粧フィルムの底面に、30%のポリエチレンイミン水溶液(ポリエチレンイミンの質量平均分子量:5000g/モル)のa)10g/m(3g/m 作用物質)およびb)20g/m(6g/m 作用物質)を噴霧し、引き続き乾燥させた。
【0086】
ポリアミンで処理した化粧フィルムを、実験室用プレスを用いて、180℃にて市販のパーティクルボード(16mmの厚みおよび650kg/mの密度)上に圧着し、該プレス圧力は25barで、かつプレス時間は30秒であった。
【0087】
実施例8:従来技術に従う、尿素で後処理された木質材料
30%の尿素溶液を、40g/mの尿素量が生じる量で市販のパーティクルボード(16mmの厚みおよび650kg/mの密度)上に施与し、150秒で60℃へと加熱し、引き続き20℃/湿度65%にて1日間貯蔵した。
白色の化粧紙(80g/m)を、100:0.3の比において、Kauramin(R)含浸樹脂 792および硬化剤529からの樹脂液100g/mで含浸させ、かつオーブンで160℃にて乾燥させた。そのようにした得られたフィルムをパーティクルボードの表面上に敷設し、かつ圧着した(190℃、25bar、35s)。試験体の安定化のために、同時に反対側にも中和作用フィルムを圧着する。
【0088】
ホルムアルデヒド放散:
実施例に従って製造された、被覆されたおよび未被覆のパーティクルボードのホルムアルデヒド放散を、ガス分析(EN717−2)によって測定した。結果は第3表の中でまとめられている。
【0089】
【表4】

【0090】
被覆性:
被覆性の評価のためにクロスハッチ試験を実施した。そのため、ひし形の型が生じるように、レザーブリードを用いて実施例2および3に従う表面加工されたパーティクルボードの表面を介して2×4の平行な線状の切片(間隔0.5cm)を作った。ひし形のエッジにおいて被覆が部分的に剥がれ落ちる。破壊された表面の百分率を測定した。値が小さければ小さいほど、それだけパーティクルボードの被覆性は良かった。被覆性の結果は、第4表の中でまとめられている。
【0091】
【表5】

【0092】
ケース(iv)
実施例9
そのエッジが自己粘着性アルミホイルで閉じられた、メラミンフィルムで被覆されたパーティクルボード(E1−パーティクルボード、400mm×50mm×16mm)のホルムアルデヒド放散を、ガス分析により(EN−717−2)測定した。
【0093】
実施例10
実施例9と同様に、エッジがアルミホイル−被覆を有さないことを除いては、実施例9からのパーティクルボードと同一であるパーティクルボードのホルムアルデヒド放散を測定した。
【0094】
実施例11
実施例10からのパーティクルボードの露出したエッジを、作用物質のポリエチレンイミン4g/エッジ表面mの量で、20質量%のポリエチレンイミン水溶液(ポリエチレンイミンの質量平均分子量:5000g/モル)で噴霧した。ホルムアルデヒド放散を、実施例9と同様に測定した。
【0095】
【表6】

【0096】
実施例12
実施例9に従うパーティクルボード内に、5mmの直径および9mmの貫入深さを有する5個の孔をあけた。ホルムアルデヒド放散を、実施例9と同様に測定した。
【0097】
実施例13
実施例12に従うパーティクルボードの場合、5個の孔の中に、作用物質のポリエチレンイミン5g/穿孔(Bohrung)の内部表面積mの量で、5質量%のポリエチレンイミン水溶液(ポリエチレンイミンの質量平均分子量:5000g/モル)を滴下した(すなわち、ボーリング孔1個当たり溶液0.72gの量で)。ホルムアルデヒド放散を、実施例9と同様に測定した。
【0098】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素含有化合物を施与することによって木質材料のホルムアルデヒド放散を減少させるための方法において、
(i)木質材料上に、少なくとも1つのポリアミンおよび場合により混合物に対して20質量%まで尿素を含有する混合物を施与し;
(ii)チップケーキまたは繊維ケーキ上またはその中にポリアミンを施与し;
(iii)表面加工のために使用される被覆基体上にポリアミンを施与しかつ/または
(iv)露出箇所にポリアミンを施与し;
その際、該ポリアミンは、少なくとも500g/モルの分子量および少なくとも6個の第一級または第二級アミノ基を有することを特徴とする、窒素含有化合物を施与することによって木質材料のホルムアルデヒド放散を減少させるための方法。
【請求項2】
ポリアミンを、−ポリマー溶液に対して−
(a)ポリアミン1〜99質量%
(b)湿潤性を改善するための添加剤0〜5質量%
(c)pH値を調整するための添加剤0〜30質量%
(d)他の添加剤、例えば殺菌剤、疎水化剤、着色剤、有機溶剤0〜30質量%
(e)尿素0〜50質量%
および補充して100質量%となる水、その際、量データは混合の開始に基づく、
の混合によって得られるポリマー水溶液として施与することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ポリアミンが、少なくとも800g/モルの分子量および少なくとも6個の第一級または第二級アミノ基を有することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
ポリアミンとして、超分岐ポリアミンおよび/またはポリビニルアミンを使用することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
超分岐ポリアミンが、1000g/モルより大きい質量平均分子量および0.1以上の分岐度を有することを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
ポリアミンとして、ポリビニルアミンおよび/またはポリエチレンイミンを使用することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
ポリビニルアミンが5000〜500000g/モルの質量平均分子量を、およびポリエチレンイミンが500〜100000g/モルの質量平均分子量を有することを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項8】
施与されたポリアミンの量が
(i)木質材料の表面1平方メートル当たり1g〜200gである;
(ii)チップケーキまたは繊維ケーキ100kg当たり0.01kg〜5kgである;
(iii)被覆基体1平方メートル当たり0.1〜100gでありかつ/または
(iv)表面処理された木質材料の露出箇所の表面1平方メートル当たり、有利には0.05g〜200gである
ことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
ポリアミン水溶液を
(i)噴霧、圧延、浸漬、ドクターブレード塗布または延展により木質材料上に施与し;
(ii)噴霧、圧延、ドクターブレード塗布または延展によりチップケーキまたは繊維ケーキ上またはその中に施与するか、またはポリアミン水溶液を、膠着されたチップまたは繊維の撒布前に輸送ベルト上に施与し;
(iii)噴霧、圧延、浸漬、含浸、ドクターブレード塗布または延展により被覆基体上に施与しかつ/または
(iv)噴霧、圧延、ドクターブレード塗布または延展により露出箇所に施与する
ことを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項10】
木質材料として、場合により、ホルムアルデヒド含有バインダーを含有する単板木材、合板木材、OSB、木材繊維ボードおよびパーティクルボードを使用することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
ケース(i)において、木質材料をポリアミンの施与後に熱処理することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
ケース(ii)において、ポリアミンまたはポリアミン溶液を、プレスの材料予熱のために使用される蒸気と一緒に施与することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項13】
チップケーキまたは繊維ケーキを圧着して木質材料を得ることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項14】
被覆基体として、メラミンフィルム、予備含浸材料、ホイル、ラミネートまたは単板を使用することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
孔または未被覆の面またはエッジを、ケース(iv)において後処理することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
0〜0.1ppmのホルムアルデヒド放散を有する、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法に従って製造可能な木質材料。
【請求項17】
0〜0.1ppmのホルムアルデヒド放散を有する、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法に従って製造可能な表面加工された木質材料。
【請求項18】
中和作用フィルム、コアーフィルム、化粧フィルムまたはオーバーレイフィルムの群から選択される、ポリアミンで処理された少なくとも1つのフィルムを含有する、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法に従って製造可能なラミネート。
【請求項19】
家具、梱包材の製造のための、住宅建築における、ドライウォール構造におけるまたは内装仕上げにおける、請求項16または17記載の木質材料の使用。

【公表番号】特表2009−523628(P2009−523628A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550726(P2008−550726)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050272
【国際公開番号】WO2007/082837
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】