木造構造物の接合構造およびその接合具
【課題】木材の組付作業性および接合状態での接合強度を向上できるとともに、製造コストを低下する。
【解決手段】複数のスリット11を有する位置決め部材10と、位置決め部材10に装着されネジ孔15を有する圧入部材14と、位置決め部材10を通して圧入部材14に螺合され、頭部18が位置決め部材10から突出した状態で位置決めされるボルト16とを備えた接合具を設け、第1木材30の第1接合面31に第1装着穴32を設け、第2木材33において、第2接合面34に第2装着穴36を設けるとともに、第2装着穴36の底に連通する連通穴37を設け、圧入部材14を装着した位置決め部材10の一端を第1装着穴32内に装着し、他端を第2木材33の第2装着穴36内に装着し、ボルト16を圧入部材14に締め付けることにより、第1木材30と第2木材33とを接合する。
【解決手段】複数のスリット11を有する位置決め部材10と、位置決め部材10に装着されネジ孔15を有する圧入部材14と、位置決め部材10を通して圧入部材14に螺合され、頭部18が位置決め部材10から突出した状態で位置決めされるボルト16とを備えた接合具を設け、第1木材30の第1接合面31に第1装着穴32を設け、第2木材33において、第2接合面34に第2装着穴36を設けるとともに、第2装着穴36の底に連通する連通穴37を設け、圧入部材14を装着した位置決め部材10の一端を第1装着穴32内に装着し、他端を第2木材33の第2装着穴36内に装着し、ボルト16を圧入部材14に締め付けることにより、第1木材30と第2木材33とを接合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋や家具などの木造構造物の接合構造および接合具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の木造構造物は、異なる木材を接合する場合、一方の木材にホゾ穴またはダボ穴を形成し、他方の木材に形成したホゾやダボを嵌合する。その他の方法としては、羽子板ボルトなどの接合金物を取り付け、釘や木ネジによって固定している。
【0003】
しかし、前者の接合方法は、非常に高度な技術が必要となり、誤差なく木材を加工するには熟練の技術が必要である。また、このような加工を業とする製造メーカであれば、専用機器を使用するため熟練の技術は必要ないが、その専用機器が高価であり、生産コストが高くなるという不都合がある。同様に、後者の接合方法は、熟練の技術はそれほど必要なく、前者と比較すると簡単であるが、強固な接合には不向きであるうえ、接合金物が露出するため、外観を損ねるという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、木材を接合する際の加工性および作業性を向上することを目的としており、このような木造構造物の接合構造に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0005】
【特許文献1】特開2000−192556号公報
【特許文献2】特開2002−348959号公報
【0006】
特許文献1には、外周部にネジ部を設けるとともに内部にネジ穴を設けた固定具と、筒状をなす座体と、該座体を通して前記固定具のネジ穴に螺合する固定螺子とからなる接合固定具が記載されている。
【0007】
また、この特許文献1では、第1木材に前記固定具を螺合して埋設するための孔を設ける。さらに、第2木材に、径が異なる一対の孔からなる凸状孔を設ける。そして、第1木材の固定具を埋設した接合位置と、第2木材の接合位置である凸状孔とを一致させた状態で、前記座体を凸状孔内に配設し、固定螺子を貫通させて固定具に螺合することにより、2つの木材をT字形状に接合する構成としている。
【0008】
しかしながら、この特許文献1の接合固定具を使用した木材の接合構造では、平坦な第1および第2木材の接合部分を正確に位置決めした状態で、固定螺子による締付作業を行う必要があるため、組み付けに係る作業性が非常に悪いという問題がある。また、第1木材と第2木材との接合状態は、固定螺子のみにより維持されるため、その接合強度が低いという問題がある。
【0009】
特許文献2には、長尺な連結棒を備え、その一端にピンを径方向に貫通させる貫通孔を設けるとともに、他端にピンを径方向に貫通させるとともに軸方向に沿って移動可能とする長楕円形状の貫通長孔を設け、この他端に前記貫通長孔に連通するネジ孔を設けた連結具が記載されている。
【0010】
また、この特許文献2では、第1木材に、連結棒の一端を装着する第1装着穴と、該第1装着穴と直交する第1ピン挿入孔とを設ける。また、第2木材に、連結棒の他端を装着する第2装着穴と、該第2装着穴と直交する第2ピン挿入孔と、前記第2装着穴の底部分に連通する凹部とを設ける。そして、連結棒の両端を各木材の装着穴内に装着するとともに、各ピン挿入孔と貫通孔および貫通長孔とを対応させ、それぞれにピンを挿通する。その後、連結棒のネジ孔にボルトを螺合させることにより、一方のピンを押圧し、2つの木材をT字形状に圧接した状態で接合する構成としている。
【0011】
また、第1木材と第2木材との間に主木材を介在させて+字形状に接合する場合には、主木材に連結棒を貫通させる貫通孔を設ける。そして、第1木材に一端を装着した連結棒を主木材に貫通させた後に、前記と同様に第2木材に装着することにより、3つの木材を+字形状に圧接した状態で接合する構成としている。
【0012】
この特許文献2の連結具を使用した木材の接合構造は、連結棒が木材から突出した状態になるため、特許文献1で生じるような各木材の組付作業性の問題はない。しかし、予め設定された連結棒の長さ、貫通孔および貫通長孔の位置に対応するように、各木材に装着穴およびピン挿入孔を設ける必要があるため、高い精度が必要になるという問題がある。また、装着穴内に連結棒を装着した目視不可能な状態で、ピンを貫通孔および貫通長孔に貫通させる必要があるため、作業性が悪いという問題がある。さらに、各木材の接合状態は、連結棒のみにより維持されるため、特許文献1と同様に、その接合強度が低いという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、従来の問題に鑑みてなされたもので、各木材の組付作業性および接合状態での接合強度を向上できるとともに、製造コストを低下できる木造構造物の接合構造およびその接合具を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するため、本発明の木造構造物の接合構造は、筒状をなし、一端に軸方向に沿って延びる複数のスリットを有する位置決め部材と、断面略台形状をなし、前記位置決め部材の一端に装着されるとともに、中心にネジ孔を有する圧入部材と、前記位置決め部材の内部空間を通して前記圧入部材に螺合されるとともに、その頭部が前記位置決め部材の他端から突出した状態で位置決めされるボルトとを備えた接合具を設け、第1木材の第1接合面に窪んだ第1装着穴を設け、第2木材において、第2接合面に第2装着穴を設けるとともに、該第2装着穴の底に連通する該第2装着穴より大きい連通穴を設け、前記圧入部材を装着した位置決め部材の一端を前記第1木材の第1装着穴内に装着し、位置決め部材の他端を前記第2木材の第2装着穴内に装着し、前記連通穴を通してボルトの頭部を回転操作することにより、前記ボルトを圧入部材に締め付け、前記位置決め部材の一端を第1装着穴の内周面に圧接して接合する構成としている。
【0015】
これらの接合構造では、ホゾやダボなどの複雑な加工を施すことなく、単なる角材に、装着穴や連通穴などの穴を形成するだけである。そのため、高度な技術は必要なく、加工に係る費用を大幅に削減でき、生産コストを低減することができる。
【0016】
また、各木材を位置決めして組み付ける際には、いずれかの木材から位置決め部材が突出した状態で行うことができるため、組付作業性の向上を図ることができる。しかも、位置決め部材と木材との固定は、ボルトを圧入部材に螺合させることによる位置決め部材の圧接により行うため、木材に形成する装着穴の寸法(深さ)精度を高くする必要はない。また、各木材の接合状態は、筒状の位置決め部材とボルトとで維持されるため、その接合強度も確実に向上できる。
【0017】
さらに、接合具は木材の表面からは殆ど露出することはなく、唯一外部から視覚的に見える可能性がある部分は連通穴からのボルトの頭部である。しかし、このような連通穴は、木材の破片などを配設することにより簡単に埋めることができるため、外観を損ねることを確実に防止できる。
【0018】
この接合構造では、前記位置決め部材の他端に、軸方向に沿って延びる複数のスリットを更に設け、この位置決め部材の他端に、断面略台形状をなし、その中心に挿通孔を有するとともに前記ボルトの頭部が圧接される第2の圧入部材を更に設ける一方、前記第2木材の連通孔を第2装着穴に対して略直交方向に延びるように設け、前記ボルトの締め付けにより、位置決め部材の他端を第2装着穴の内周面に圧接して接合することが好ましい。このようにすれば、前記第1木材との第3接合面から、前記第2木材との第4接合面にかけて延びる貫通孔を備えた第3木材を設けることにより、前記第1木材と第2木材との間に第3木材を介在させて+字形状に接合することができる。
【0019】
また、前記位置決め部材と各木材とを、接着剤により固着することが好ましい。このようにすれば、各木材と位置決め部材とを一体化できるため、接合強度を更に向上できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の木造構造物の接合構造では、各木材を位置決めして組み付ける際に、いずれかの木材から位置決め部材が突出しているため、組付作業性を向上できる。しかも、位置決め部材の端部と木材との固定は、ボルトを圧入部材に螺合させることによる位置決め部材の圧接により行うため、木材に形成する装着穴の精度を高くする必要はない。また、各木材の接合状態は、筒状の位置決め部材とボルトとで維持されるため、その接合強度を確実に向上できる。
【0021】
さらに、木材には、ホゾやダボなどの複雑な加工を施すことなく、単なる角材に、穴を形成するだけであるため、高度な技術は必要なく、加工に係る費用を大幅に削減でき、生産コストを低減することができる。また、接合具は木材の表面からは殆ど確認できないため、外観を損ねることを確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0023】
図1から図6は、本発明の第1実施形態に係る木造構造物の接合構造および接合具を示す。この接合具は、図1および図2に示すように、家屋の柱と梁や家具の各壁など、2つの木材30,33を互いに位置決めして接合するためのもので、大略、位置決め部材10と、圧入部材14と、ボルト16と、座金19とからなる。
【0024】
前記位置決め部材10は、円筒形状をなす木製のものである。この位置決め部材10の一端には、軸方向に沿って他端に向けて延びる複数のスリット11が形成されている。これらスリット11により、位置決め部材10の一端は周方向に区画され、隣接するスリット11,11間が弾性片12の役割をなすように構成している。また、この位置決め部材10の一端の内周面は、後述する圧入部材14の形状と一致するように、開口した端部10aに向けてその直径が徐々に大きくなる拡開部13とされている。
【0025】
前記圧入部材14は、円錐台形状をなす金属製のものである。この圧入部材14には、その中心にネジ孔15が形成されている。なお、この圧入部材14の外周部には、前記スリット11に嵌合される回り止め用の突起を設けてもよい。
【0026】
前記ボルト16は、一端にネジ部設けるとともに、他端に正六角形状の頭部18を設けた金属製のものである。なお、ボルト16の軸の直径は、前記位置決め部材10の内径より僅かに小さいものであることが好ましい。
【0027】
前記座金19は、前記位置決め部材10の端部10bより大きい直径の円環状金属板材からなり、前記ボルト16の頭部18を位置決め部材10の端部10bから突出した所定の締付位置に位置決めするものである。なお、この座金19は、頭部18が位置決め部材10の端部形状より大きいボルト16を使用する場合には必ずしも使用する必要はない。
【0028】
次に、前記接合具により2つの第1木材30および第2木材33をT字形状に接合する構造について具体的に説明する。なお、このような接合構造は、木造構造物が家屋である場合、第1木材30を梁、第2木材33を通し柱に相当させて適用できる。また、机などの家具である場合、第1木材30を脚、第2木材33を天板に相当させて適用できる。
【0029】
具体的には、第1木材30には、その一端である第2木材33への第1接合面31に、長手方向に沿って凹状に窪んだ第1装着穴32を設ける。この第1装着穴32は、前記位置決め部材10において、圧入部材14を装着する端部10aを装着するもので、位置決め部材10の断面形状より僅かに大きい断面形状(直径)で、かつ、位置決め部材10の全長より深さが短くなるように形成する。
【0030】
また、第2木材33には、第1木材30を接合する第2接合面34に、第1木材30の端部形状に一致する大入れ溝35を形成する。なお、第2木材33の第2接合面34が第1木材30の端部形状より大きい場合には大入れ溝35の代わりに大入れ穴を形成する。そして、この大入れ溝35の中心に、前記第1装着穴32と同様に凹状に窪んだ第2装着穴36を形成する。また、この第2装着穴36の底部分に連通するように、第2接合面34と対向面(反対側の面)から連通穴37を設ける。この連通穴37は、第2装着穴36より僅かに大きい断面形状(直径)で、かつ、その軸心が第2装着穴36の軸心と一致するように設ける。
【0031】
ここで、前記第2木材33に形成する大入れ溝35は、家屋の建築分野では従来から用いられている構成であり、構造が簡素であるため加工技術は既に充実している。また、本実施形態では、ホゾやダボなどの複雑な加工を施すことなく、単なる角材に、ドリルなどの使用により比較的簡単に形成可能な円形状の穴32,36,37を形成するだけである。そのため、加工に係る費用を大幅に削減でき、生産コストを低減することができる。
【0032】
次に、接合具により木材30,33を接合する作業について具体的に説明する。
【0033】
まず、位置決め部材10の外周面に所定の接着剤を塗布するとともに、図3(A)に示すように、位置決め部材10の端部10aに圧入部材14を若干の力を加えて装着し、その端部10aを第1木材30の第1装着穴32に挿入する。これにより、第1木材30の端部からは位置決め部材10が突出した状態となり、従来の建築構造に例えるとダボを形成した状態になる。
【0034】
ついで、位置決め部材10が突出した第1木材30の第1接合面31を第2木材33の第2接合面34に配置し、図3(B)に示すように、第2装着穴36に位置決め部材10の端部10bを挿入する。この際、第1木材30の端面形状と第2木材33の大入れ溝35とを一致させ、この大入れ溝35の底面に第1木材30の第1接合面31が当接するように押し込む。
【0035】
ついで、図4(A)に示すように、座金19を挿通したボルト16を連通穴37から挿入し、位置決め部材10の内部空間を通して先端のネジ部17を圧入部材14のネジ孔15に螺合する。そして、連通穴37からボルト16の頭部18を回転操作して圧入部材14に対する締付作業を行うことにより、座金19が第2装着穴36と連通穴37との段差部分に当接して位置決めされる。その後、図4(B)に示すように、位置決め部材10が座金19に向けて近接し、端部10bが当接する。
【0036】
この状態で更に締め付けると、圧入部材14が座金19に向けて位置決め部材10に対して軸方向に移動する。これにより、圧入部材14が位置決め部材10の弾性片12を押圧し、該弾性片12が外向きに弾性的に変形する。その結果、図1に示すように、各弾性片12が第1木材30の第1装着穴32の内周面に強固に圧接し、ボルト16の頭部18が座金19を介して第2木材33の第2装着穴36の端面に圧接する。これにより、第1木材30と第2木材33とを確実に位置決めしてT字形状に接合できる。
【0037】
このように、本実施形態の接合具では、木材30,33を位置決めして組み付ける際には、第1木材から位置決め部材10が突出した状態で行うため、組付作業性の向上を図ることができる。しかも、位置決め部材10は、一端10aが第1木材30に対して圧接により固定され、他端10bがボルト16を第2木材33の第2装着穴36の端面に圧接することにより固定されるため、木材30,33に形成する装着穴32,36の寸法(深さ)精度を高くする必要はない。即ち、高精度な加工技術は不要であるため、この点からも製造コストを低減できる。
【0038】
また、各木材30,33の接合状態は、筒状の位置決め部材10とボルト16とで維持されるため、その接合強度を確実に向上できる。しかも、本実施形態では、第2木材33に第1木材30の端部を位置決め保持する大入れ溝35を形成しているため、接合強度と位置精度とを更に高くすることができる。しかも、本実施形態では、木製の位置決め部材10を接着剤により木材30,33に固着して一体化できるため、接合強度を更に向上できる。
【0039】
さらに、接合具は木材30,33の表面からは殆ど露出することはなく、唯一外部から視覚的に見える可能性がある部分は連通穴37からのボルト16の頭部18である。しかし、この連通穴37は、図1に示すように、加工時に生じる破片などを再利用した木片38を配設することにより簡単に埋めることができるため、外観を損ねることを確実に防止できる。
【0040】
なお、第1実施形態の接合具を用いて木材30,33のT字形状に組み付ける作業は、施工者の工夫で変更が可能である。
【0041】
例えば、まず、図5(A)に示すように、位置決め部材10の端部10aに圧入部材14を装着した状態で、他端10bから座金19を挿通したボルト16を内部に挿入し、ネジ部17を圧入部材14のネジ孔15に螺合させておく。そして、位置決め部材10の端部10aの外周面に接着剤を塗布した状態で、位置決め部材10の端部10aを第1木材30の第1装着穴32に挿入する。
【0042】
ついで、図5(B)に示すように、ボルト16の頭部18を回転操作して圧入部材14に対する締付作業を行うことにより、圧入部材14の外周面で位置決め部材10の内周面を押圧し、弾性片12を外向きに変形させることにより、位置決め部材10の端部10aを第1木材30の第1装着穴32に圧接する。
【0043】
この状態で、ボルト16を逆向きに回転操作して圧入部材14から取り外す。そうすると、圧入部材14による位置決め部材10の第1装着穴32への圧接が維持された状態で、図5(C)に示すように、第2木材33への組付前の状態とすることができる。この状態は、位置決め部材10による第1装着穴32への圧接力と接着剤による接着力により、強固に固着可能であり、第1木材30から位置決め部材10が離脱することはできない状態とすることができる。
【0044】
ついで、第1木材30の第1接合面31を第2木材33の第2接合面34に配置し、図5(D)に示すように、第2装着穴36に位置決め部材10の端部10bを挿入する。この際、第1木材30の端面形状と第2木材33の大入れ溝35とを一致させる。但し、この組付方法によれば、図示のように、大入れ溝35の底面に第1木材30の第1接合面31が当接するように押し込む必要はない。
【0045】
ついで、図6(A)に示すように、座金19を挿通したボルト16を連通穴37から挿入し、ネジ部17を圧入部材14のネジ孔15に螺合した後、頭部18を操作して圧入部材14に対する締付作業を行う。そして、図示のように、座金19が第2装着穴36と連通穴37との段差部分に当接して位置決めされると、図6(B)に示すように、位置決め部材10に強固に固着された第1木材30を一緒に第2木材33(座金19)に向けて近接し、大入れ溝35の底面に第1木材30の第1接合面31が当接するとともに、ボルト16の頭部18が座金19を介して第2装着穴36の端面に強固に圧接される。これにより、前記と同様に、第1木材30と第2木材33とを確実に位置決めしてT字形状に接合できる。
【0046】
このように、本発明の接合具は、施工者の工夫により種々の方法で使用することが可能であり、どのように使用しても前記と同様の作用および効果を得ることができる。
【0047】
図7から図9は、第2実施形態に係る木造構造物の接合構造および接合具を示す。この接合具は、図7および図8に示すように、家屋の柱と一対の梁など、3つの木材30,33,39を互いに位置決めして+字形状に接合するためのもので、大略、座金19の代わりに第2圧入部材14Bを設けた点で大きく相違している。
【0048】
具体的には、第2実施形態の位置決め部材10は、接合する木材30,33,39の寸法に応じて長尺にし、かつ、両端10a,10bに前記と同様のスリット11,11、弾性片12,12および拡開部13,13を設けたものである。
【0049】
前記位置決め部材10の一端10aに装着する第1圧入部材14Aは、その中心にネジ孔15を備えた第1実施形態と同様のものである。また、他端10bに装着する第2圧入部材14Bは、同様に円錐台形状をなす金属製のもので、その中心にネジ孔15の代わりにネジ溝が無い単なる挿通孔20を設けたものである。
【0050】
前記ボルト16は、一端にネジ部17を設けるとともに、他端に頭部18を設けた金属製のもので、位置決め部材10と同様に、木材30,33,39の寸法に応じて長尺にしものである。
【0051】
次に、前記接合具により3つの第1木材30、第2木材33および第3木材39を+字形状に接合する構造について具体的に説明する。
【0052】
具体的には、第1木材30は、第3木材39への第1接合面31に、凹状に窪んだ第1装着穴32を設けた第1実施形態と同様のものである。
【0053】
また、第2実施形態の第2木材33は、第1木材30と直線的に延びるように配置され、この第1木材30との間に後述する第3木材39を介在させて接合されるものである。この第2木材33には、その一端である第3木材39との第2接合面34に、第1実施形態と同様の第2装着穴36を設ける。また、この第2装着穴36の底部分に連通するように、第2接合面34と隣接する所定の外側面33aから連通穴37を設ける。この連通穴37は、工具(例えば、ラチェット式スパナ)を挿入してボルト16を回転操作可能な直径を有し、かつ、その軸心が第2装着穴36の軸芯に対して直交方向に延びるように設ける。
【0054】
さらに、第3木材39は、その両側に第1木材30および第2木材33を接合するもので、第1木材30を接合する第3接合面40、および、第2木材33を接合する第4接合面41に、第1実施形態と同様の大入れ溝42A,42Bを形成する。そして、これら第3接合面40から第4接合面41にかけて貫通孔43を設ける。この貫通孔43の内径は、位置決め部材10の外径より僅かに大きいものである。
【0055】
次に、接合具により木材30,33,39を接合する作業について具体的に説明する。
【0056】
この第2実施形態では、まず、図9(A)に示すように、位置決め部材10に対して、端部10aに第1圧入部材14Aを装着するとともに、端部10bに第2圧入部材14Bを装着する。この状態で、第2圧入部材14Bの挿通孔20からボルト16を挿入し、ネジ部17を第1圧入部材14Aのネジ孔15に螺合させる。そして、位置決め部材10の外周面に接着剤を塗布した状態で、位置決め部材10の端部10aを第1木材30の第1装着穴32に挿入する。
【0057】
ついで、位置決め部材10が突出した第1木材30の第1接合面31を第3木材39の第3接合面40に配置し、貫通孔43に位置決め部材10の端部10bを挿入して貫通させる。また、第1木材30の端面と第3木材39の大入れ溝42Aとを一致させ、この大入れ溝42Aの底面に第1木材30の第1接合面31が当接するように押し込む。
【0058】
ついで、第2木材33の第2接合面34を第3木材39の第4接合面41に配置し、その第2装着穴36に貫通孔43から突出した位置決め部材10の端部10bを挿入させる。また、第2木材33の端面と第3木材39の大入れ溝42Bとを一致させ、この大入れ溝42Bの底面に第2木材33の第2接合面34が当接するように押し込む。
【0059】
これにより、図9(B)に示すように、接合具のボルト16の頭部18が第2装着穴36の端部から突出し、第2木材33の連通穴37から確認できる状態になる。この際、第2装着穴36の端面から位置決め部材10の端部10bが突出している場合には、第2装着穴36内に位置するように調節する。
【0060】
ついで、連通穴37からボルト16の頭部18を回転操作して第1圧入部材14Aに対する締付作業を行うことにより、各圧入部材14A,14Bが互い近接するように移動する。これにより、圧入部材14A,14Bが位置決め部材10の両端の弾性片12,12を押圧し、これら弾性片12,12が外向きに弾性的に変形する。その結果、図7に示すように、各弾性片12,12が第1,第2木材30,33の装着穴32,36の内周面に強固に圧接する。これにより、第1から第3の木材30,33,39を確実に位置決めして+字形状に接合できる。
【0061】
このように、第2実施形態の接合具およびそれを用いた接合構造では、第1実施形態と同様に、複雑な加工を施すことなく、単なる角材に、ドリルなどの使用により比較的簡単に形成可能な円形状の穴32,36,37や孔43を形成するだけである。しかも、この穴32,36,37や孔43は、高精度な加工技術は不要である。そのため、加工に係る費用を大幅に削減でき、生産コストを低減することができる。
【0062】
また、木材30,33,39を位置決めして組み付ける際には、位置決め部材10が突出ているため、組付作業性の向上を図ることができる。接合状態は、位置決め部材10とボルト16とで維持されるため、その接合強度を確実に向上できる。さらに、接合具は木材30,33,39の表面からは殆ど露出することはないため、外観を損ねることを確実に防止できる。
【0063】
なお、本発明の木造構造物の接合構造および接合具は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0064】
例えば、第1実施形態では、第2木材33に形成する連通穴37を第2装着穴36の軸心と一致するように設けたが、図10に示すように、第2装着穴36に対して直交する方向に延びるように設けてもよい。この場合、図示のように、接合具としては、第2実施形態に示す第2圧入部材14Bを適用したものを使用する。
【0065】
また、第1実施形態では木材30,33をT字形状に接合し、第2実施形態では木材30,33,39を+字形状に接合しており、それぞれ異なる木材を直交方向に接合する構造を一例として挙げたが、図11に示すように、直交する木材30,33,39に対して斜めに掛け渡すように配置する火打ちや筋かいなどの第4木材44を接合する場合でも、外観や加工性などを考慮して所定の木材に第1装着穴32、第2装着穴36、連通穴37、貫通孔43を設けることにより適用可能であり、同様の作用および効果を得ることができる。勿論、接合する木材の接合面は、前記各実施形態に示すように平坦面に限られず、円弧状や球状に湾曲した曲面であっても適用可能である。
【0066】
さらに、前記各実施形態では、位置決め部材10は木材からなるものとしたが、その材質は樹脂であってもよく、可撓性を有する材質のものであればいずれでも適用可能である。また、その形状も円筒形状に限られず、多角筒形状であってもよく、その断面形状も希望に応じて変更が可能である。但し、位置決め部材10を多角形状とする場合には、木材に形成する穴32,36,37や孔43も同一形状とすることが好ましい。一方、連通穴37の形状は位置決め部材10の断面形状と一致させる必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1実施形態に係る接合具による接合構造を示す断面図である。
【図2】第1実施形態の接合具および木材の分解斜視図である。
【図3】(A),(B)は接合具を用いた組付工程を示す断面図である。
【図4】(A),(B)は図3の続きの組付工程を示す断面図である。
【図5】(A)〜(D)は接合具を用いた組付工程の変形例を示す断面図である。
【図6】(A),(B)は図5の続きの組付工程を示す断面図である。
【図7】第2実施形態に係る接合具による接合構造を示す断面図である。
【図8】第2実施形態の接合具および木材の分解斜視図である。
【図9】(A),(B)は接合具を用いた組付工程を示す断面図である。
【図10】接合構造の変形例を示す分解斜視図である。
【図11】本発明の接合具による接合構造の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0068】
10…位置決め部材 10a,10b…端部
11…スリット 14A,14B…圧入部材
15…ネジ孔 16…ボルト
18…頭部 19…座金
20…挿通孔 30…第1木材
31…第1接合面 32…第1装着穴
33…第2木材 34…第2接合面
36…第2装着穴 37…連通穴
39…第3木材 40…第3接合面
41…第4接合面 43…貫通孔
44…第4木材
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋や家具などの木造構造物の接合構造および接合具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の木造構造物は、異なる木材を接合する場合、一方の木材にホゾ穴またはダボ穴を形成し、他方の木材に形成したホゾやダボを嵌合する。その他の方法としては、羽子板ボルトなどの接合金物を取り付け、釘や木ネジによって固定している。
【0003】
しかし、前者の接合方法は、非常に高度な技術が必要となり、誤差なく木材を加工するには熟練の技術が必要である。また、このような加工を業とする製造メーカであれば、専用機器を使用するため熟練の技術は必要ないが、その専用機器が高価であり、生産コストが高くなるという不都合がある。同様に、後者の接合方法は、熟練の技術はそれほど必要なく、前者と比較すると簡単であるが、強固な接合には不向きであるうえ、接合金物が露出するため、外観を損ねるという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、木材を接合する際の加工性および作業性を向上することを目的としており、このような木造構造物の接合構造に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0005】
【特許文献1】特開2000−192556号公報
【特許文献2】特開2002−348959号公報
【0006】
特許文献1には、外周部にネジ部を設けるとともに内部にネジ穴を設けた固定具と、筒状をなす座体と、該座体を通して前記固定具のネジ穴に螺合する固定螺子とからなる接合固定具が記載されている。
【0007】
また、この特許文献1では、第1木材に前記固定具を螺合して埋設するための孔を設ける。さらに、第2木材に、径が異なる一対の孔からなる凸状孔を設ける。そして、第1木材の固定具を埋設した接合位置と、第2木材の接合位置である凸状孔とを一致させた状態で、前記座体を凸状孔内に配設し、固定螺子を貫通させて固定具に螺合することにより、2つの木材をT字形状に接合する構成としている。
【0008】
しかしながら、この特許文献1の接合固定具を使用した木材の接合構造では、平坦な第1および第2木材の接合部分を正確に位置決めした状態で、固定螺子による締付作業を行う必要があるため、組み付けに係る作業性が非常に悪いという問題がある。また、第1木材と第2木材との接合状態は、固定螺子のみにより維持されるため、その接合強度が低いという問題がある。
【0009】
特許文献2には、長尺な連結棒を備え、その一端にピンを径方向に貫通させる貫通孔を設けるとともに、他端にピンを径方向に貫通させるとともに軸方向に沿って移動可能とする長楕円形状の貫通長孔を設け、この他端に前記貫通長孔に連通するネジ孔を設けた連結具が記載されている。
【0010】
また、この特許文献2では、第1木材に、連結棒の一端を装着する第1装着穴と、該第1装着穴と直交する第1ピン挿入孔とを設ける。また、第2木材に、連結棒の他端を装着する第2装着穴と、該第2装着穴と直交する第2ピン挿入孔と、前記第2装着穴の底部分に連通する凹部とを設ける。そして、連結棒の両端を各木材の装着穴内に装着するとともに、各ピン挿入孔と貫通孔および貫通長孔とを対応させ、それぞれにピンを挿通する。その後、連結棒のネジ孔にボルトを螺合させることにより、一方のピンを押圧し、2つの木材をT字形状に圧接した状態で接合する構成としている。
【0011】
また、第1木材と第2木材との間に主木材を介在させて+字形状に接合する場合には、主木材に連結棒を貫通させる貫通孔を設ける。そして、第1木材に一端を装着した連結棒を主木材に貫通させた後に、前記と同様に第2木材に装着することにより、3つの木材を+字形状に圧接した状態で接合する構成としている。
【0012】
この特許文献2の連結具を使用した木材の接合構造は、連結棒が木材から突出した状態になるため、特許文献1で生じるような各木材の組付作業性の問題はない。しかし、予め設定された連結棒の長さ、貫通孔および貫通長孔の位置に対応するように、各木材に装着穴およびピン挿入孔を設ける必要があるため、高い精度が必要になるという問題がある。また、装着穴内に連結棒を装着した目視不可能な状態で、ピンを貫通孔および貫通長孔に貫通させる必要があるため、作業性が悪いという問題がある。さらに、各木材の接合状態は、連結棒のみにより維持されるため、特許文献1と同様に、その接合強度が低いという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、従来の問題に鑑みてなされたもので、各木材の組付作業性および接合状態での接合強度を向上できるとともに、製造コストを低下できる木造構造物の接合構造およびその接合具を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するため、本発明の木造構造物の接合構造は、筒状をなし、一端に軸方向に沿って延びる複数のスリットを有する位置決め部材と、断面略台形状をなし、前記位置決め部材の一端に装着されるとともに、中心にネジ孔を有する圧入部材と、前記位置決め部材の内部空間を通して前記圧入部材に螺合されるとともに、その頭部が前記位置決め部材の他端から突出した状態で位置決めされるボルトとを備えた接合具を設け、第1木材の第1接合面に窪んだ第1装着穴を設け、第2木材において、第2接合面に第2装着穴を設けるとともに、該第2装着穴の底に連通する該第2装着穴より大きい連通穴を設け、前記圧入部材を装着した位置決め部材の一端を前記第1木材の第1装着穴内に装着し、位置決め部材の他端を前記第2木材の第2装着穴内に装着し、前記連通穴を通してボルトの頭部を回転操作することにより、前記ボルトを圧入部材に締め付け、前記位置決め部材の一端を第1装着穴の内周面に圧接して接合する構成としている。
【0015】
これらの接合構造では、ホゾやダボなどの複雑な加工を施すことなく、単なる角材に、装着穴や連通穴などの穴を形成するだけである。そのため、高度な技術は必要なく、加工に係る費用を大幅に削減でき、生産コストを低減することができる。
【0016】
また、各木材を位置決めして組み付ける際には、いずれかの木材から位置決め部材が突出した状態で行うことができるため、組付作業性の向上を図ることができる。しかも、位置決め部材と木材との固定は、ボルトを圧入部材に螺合させることによる位置決め部材の圧接により行うため、木材に形成する装着穴の寸法(深さ)精度を高くする必要はない。また、各木材の接合状態は、筒状の位置決め部材とボルトとで維持されるため、その接合強度も確実に向上できる。
【0017】
さらに、接合具は木材の表面からは殆ど露出することはなく、唯一外部から視覚的に見える可能性がある部分は連通穴からのボルトの頭部である。しかし、このような連通穴は、木材の破片などを配設することにより簡単に埋めることができるため、外観を損ねることを確実に防止できる。
【0018】
この接合構造では、前記位置決め部材の他端に、軸方向に沿って延びる複数のスリットを更に設け、この位置決め部材の他端に、断面略台形状をなし、その中心に挿通孔を有するとともに前記ボルトの頭部が圧接される第2の圧入部材を更に設ける一方、前記第2木材の連通孔を第2装着穴に対して略直交方向に延びるように設け、前記ボルトの締め付けにより、位置決め部材の他端を第2装着穴の内周面に圧接して接合することが好ましい。このようにすれば、前記第1木材との第3接合面から、前記第2木材との第4接合面にかけて延びる貫通孔を備えた第3木材を設けることにより、前記第1木材と第2木材との間に第3木材を介在させて+字形状に接合することができる。
【0019】
また、前記位置決め部材と各木材とを、接着剤により固着することが好ましい。このようにすれば、各木材と位置決め部材とを一体化できるため、接合強度を更に向上できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の木造構造物の接合構造では、各木材を位置決めして組み付ける際に、いずれかの木材から位置決め部材が突出しているため、組付作業性を向上できる。しかも、位置決め部材の端部と木材との固定は、ボルトを圧入部材に螺合させることによる位置決め部材の圧接により行うため、木材に形成する装着穴の精度を高くする必要はない。また、各木材の接合状態は、筒状の位置決め部材とボルトとで維持されるため、その接合強度を確実に向上できる。
【0021】
さらに、木材には、ホゾやダボなどの複雑な加工を施すことなく、単なる角材に、穴を形成するだけであるため、高度な技術は必要なく、加工に係る費用を大幅に削減でき、生産コストを低減することができる。また、接合具は木材の表面からは殆ど確認できないため、外観を損ねることを確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0023】
図1から図6は、本発明の第1実施形態に係る木造構造物の接合構造および接合具を示す。この接合具は、図1および図2に示すように、家屋の柱と梁や家具の各壁など、2つの木材30,33を互いに位置決めして接合するためのもので、大略、位置決め部材10と、圧入部材14と、ボルト16と、座金19とからなる。
【0024】
前記位置決め部材10は、円筒形状をなす木製のものである。この位置決め部材10の一端には、軸方向に沿って他端に向けて延びる複数のスリット11が形成されている。これらスリット11により、位置決め部材10の一端は周方向に区画され、隣接するスリット11,11間が弾性片12の役割をなすように構成している。また、この位置決め部材10の一端の内周面は、後述する圧入部材14の形状と一致するように、開口した端部10aに向けてその直径が徐々に大きくなる拡開部13とされている。
【0025】
前記圧入部材14は、円錐台形状をなす金属製のものである。この圧入部材14には、その中心にネジ孔15が形成されている。なお、この圧入部材14の外周部には、前記スリット11に嵌合される回り止め用の突起を設けてもよい。
【0026】
前記ボルト16は、一端にネジ部設けるとともに、他端に正六角形状の頭部18を設けた金属製のものである。なお、ボルト16の軸の直径は、前記位置決め部材10の内径より僅かに小さいものであることが好ましい。
【0027】
前記座金19は、前記位置決め部材10の端部10bより大きい直径の円環状金属板材からなり、前記ボルト16の頭部18を位置決め部材10の端部10bから突出した所定の締付位置に位置決めするものである。なお、この座金19は、頭部18が位置決め部材10の端部形状より大きいボルト16を使用する場合には必ずしも使用する必要はない。
【0028】
次に、前記接合具により2つの第1木材30および第2木材33をT字形状に接合する構造について具体的に説明する。なお、このような接合構造は、木造構造物が家屋である場合、第1木材30を梁、第2木材33を通し柱に相当させて適用できる。また、机などの家具である場合、第1木材30を脚、第2木材33を天板に相当させて適用できる。
【0029】
具体的には、第1木材30には、その一端である第2木材33への第1接合面31に、長手方向に沿って凹状に窪んだ第1装着穴32を設ける。この第1装着穴32は、前記位置決め部材10において、圧入部材14を装着する端部10aを装着するもので、位置決め部材10の断面形状より僅かに大きい断面形状(直径)で、かつ、位置決め部材10の全長より深さが短くなるように形成する。
【0030】
また、第2木材33には、第1木材30を接合する第2接合面34に、第1木材30の端部形状に一致する大入れ溝35を形成する。なお、第2木材33の第2接合面34が第1木材30の端部形状より大きい場合には大入れ溝35の代わりに大入れ穴を形成する。そして、この大入れ溝35の中心に、前記第1装着穴32と同様に凹状に窪んだ第2装着穴36を形成する。また、この第2装着穴36の底部分に連通するように、第2接合面34と対向面(反対側の面)から連通穴37を設ける。この連通穴37は、第2装着穴36より僅かに大きい断面形状(直径)で、かつ、その軸心が第2装着穴36の軸心と一致するように設ける。
【0031】
ここで、前記第2木材33に形成する大入れ溝35は、家屋の建築分野では従来から用いられている構成であり、構造が簡素であるため加工技術は既に充実している。また、本実施形態では、ホゾやダボなどの複雑な加工を施すことなく、単なる角材に、ドリルなどの使用により比較的簡単に形成可能な円形状の穴32,36,37を形成するだけである。そのため、加工に係る費用を大幅に削減でき、生産コストを低減することができる。
【0032】
次に、接合具により木材30,33を接合する作業について具体的に説明する。
【0033】
まず、位置決め部材10の外周面に所定の接着剤を塗布するとともに、図3(A)に示すように、位置決め部材10の端部10aに圧入部材14を若干の力を加えて装着し、その端部10aを第1木材30の第1装着穴32に挿入する。これにより、第1木材30の端部からは位置決め部材10が突出した状態となり、従来の建築構造に例えるとダボを形成した状態になる。
【0034】
ついで、位置決め部材10が突出した第1木材30の第1接合面31を第2木材33の第2接合面34に配置し、図3(B)に示すように、第2装着穴36に位置決め部材10の端部10bを挿入する。この際、第1木材30の端面形状と第2木材33の大入れ溝35とを一致させ、この大入れ溝35の底面に第1木材30の第1接合面31が当接するように押し込む。
【0035】
ついで、図4(A)に示すように、座金19を挿通したボルト16を連通穴37から挿入し、位置決め部材10の内部空間を通して先端のネジ部17を圧入部材14のネジ孔15に螺合する。そして、連通穴37からボルト16の頭部18を回転操作して圧入部材14に対する締付作業を行うことにより、座金19が第2装着穴36と連通穴37との段差部分に当接して位置決めされる。その後、図4(B)に示すように、位置決め部材10が座金19に向けて近接し、端部10bが当接する。
【0036】
この状態で更に締め付けると、圧入部材14が座金19に向けて位置決め部材10に対して軸方向に移動する。これにより、圧入部材14が位置決め部材10の弾性片12を押圧し、該弾性片12が外向きに弾性的に変形する。その結果、図1に示すように、各弾性片12が第1木材30の第1装着穴32の内周面に強固に圧接し、ボルト16の頭部18が座金19を介して第2木材33の第2装着穴36の端面に圧接する。これにより、第1木材30と第2木材33とを確実に位置決めしてT字形状に接合できる。
【0037】
このように、本実施形態の接合具では、木材30,33を位置決めして組み付ける際には、第1木材から位置決め部材10が突出した状態で行うため、組付作業性の向上を図ることができる。しかも、位置決め部材10は、一端10aが第1木材30に対して圧接により固定され、他端10bがボルト16を第2木材33の第2装着穴36の端面に圧接することにより固定されるため、木材30,33に形成する装着穴32,36の寸法(深さ)精度を高くする必要はない。即ち、高精度な加工技術は不要であるため、この点からも製造コストを低減できる。
【0038】
また、各木材30,33の接合状態は、筒状の位置決め部材10とボルト16とで維持されるため、その接合強度を確実に向上できる。しかも、本実施形態では、第2木材33に第1木材30の端部を位置決め保持する大入れ溝35を形成しているため、接合強度と位置精度とを更に高くすることができる。しかも、本実施形態では、木製の位置決め部材10を接着剤により木材30,33に固着して一体化できるため、接合強度を更に向上できる。
【0039】
さらに、接合具は木材30,33の表面からは殆ど露出することはなく、唯一外部から視覚的に見える可能性がある部分は連通穴37からのボルト16の頭部18である。しかし、この連通穴37は、図1に示すように、加工時に生じる破片などを再利用した木片38を配設することにより簡単に埋めることができるため、外観を損ねることを確実に防止できる。
【0040】
なお、第1実施形態の接合具を用いて木材30,33のT字形状に組み付ける作業は、施工者の工夫で変更が可能である。
【0041】
例えば、まず、図5(A)に示すように、位置決め部材10の端部10aに圧入部材14を装着した状態で、他端10bから座金19を挿通したボルト16を内部に挿入し、ネジ部17を圧入部材14のネジ孔15に螺合させておく。そして、位置決め部材10の端部10aの外周面に接着剤を塗布した状態で、位置決め部材10の端部10aを第1木材30の第1装着穴32に挿入する。
【0042】
ついで、図5(B)に示すように、ボルト16の頭部18を回転操作して圧入部材14に対する締付作業を行うことにより、圧入部材14の外周面で位置決め部材10の内周面を押圧し、弾性片12を外向きに変形させることにより、位置決め部材10の端部10aを第1木材30の第1装着穴32に圧接する。
【0043】
この状態で、ボルト16を逆向きに回転操作して圧入部材14から取り外す。そうすると、圧入部材14による位置決め部材10の第1装着穴32への圧接が維持された状態で、図5(C)に示すように、第2木材33への組付前の状態とすることができる。この状態は、位置決め部材10による第1装着穴32への圧接力と接着剤による接着力により、強固に固着可能であり、第1木材30から位置決め部材10が離脱することはできない状態とすることができる。
【0044】
ついで、第1木材30の第1接合面31を第2木材33の第2接合面34に配置し、図5(D)に示すように、第2装着穴36に位置決め部材10の端部10bを挿入する。この際、第1木材30の端面形状と第2木材33の大入れ溝35とを一致させる。但し、この組付方法によれば、図示のように、大入れ溝35の底面に第1木材30の第1接合面31が当接するように押し込む必要はない。
【0045】
ついで、図6(A)に示すように、座金19を挿通したボルト16を連通穴37から挿入し、ネジ部17を圧入部材14のネジ孔15に螺合した後、頭部18を操作して圧入部材14に対する締付作業を行う。そして、図示のように、座金19が第2装着穴36と連通穴37との段差部分に当接して位置決めされると、図6(B)に示すように、位置決め部材10に強固に固着された第1木材30を一緒に第2木材33(座金19)に向けて近接し、大入れ溝35の底面に第1木材30の第1接合面31が当接するとともに、ボルト16の頭部18が座金19を介して第2装着穴36の端面に強固に圧接される。これにより、前記と同様に、第1木材30と第2木材33とを確実に位置決めしてT字形状に接合できる。
【0046】
このように、本発明の接合具は、施工者の工夫により種々の方法で使用することが可能であり、どのように使用しても前記と同様の作用および効果を得ることができる。
【0047】
図7から図9は、第2実施形態に係る木造構造物の接合構造および接合具を示す。この接合具は、図7および図8に示すように、家屋の柱と一対の梁など、3つの木材30,33,39を互いに位置決めして+字形状に接合するためのもので、大略、座金19の代わりに第2圧入部材14Bを設けた点で大きく相違している。
【0048】
具体的には、第2実施形態の位置決め部材10は、接合する木材30,33,39の寸法に応じて長尺にし、かつ、両端10a,10bに前記と同様のスリット11,11、弾性片12,12および拡開部13,13を設けたものである。
【0049】
前記位置決め部材10の一端10aに装着する第1圧入部材14Aは、その中心にネジ孔15を備えた第1実施形態と同様のものである。また、他端10bに装着する第2圧入部材14Bは、同様に円錐台形状をなす金属製のもので、その中心にネジ孔15の代わりにネジ溝が無い単なる挿通孔20を設けたものである。
【0050】
前記ボルト16は、一端にネジ部17を設けるとともに、他端に頭部18を設けた金属製のもので、位置決め部材10と同様に、木材30,33,39の寸法に応じて長尺にしものである。
【0051】
次に、前記接合具により3つの第1木材30、第2木材33および第3木材39を+字形状に接合する構造について具体的に説明する。
【0052】
具体的には、第1木材30は、第3木材39への第1接合面31に、凹状に窪んだ第1装着穴32を設けた第1実施形態と同様のものである。
【0053】
また、第2実施形態の第2木材33は、第1木材30と直線的に延びるように配置され、この第1木材30との間に後述する第3木材39を介在させて接合されるものである。この第2木材33には、その一端である第3木材39との第2接合面34に、第1実施形態と同様の第2装着穴36を設ける。また、この第2装着穴36の底部分に連通するように、第2接合面34と隣接する所定の外側面33aから連通穴37を設ける。この連通穴37は、工具(例えば、ラチェット式スパナ)を挿入してボルト16を回転操作可能な直径を有し、かつ、その軸心が第2装着穴36の軸芯に対して直交方向に延びるように設ける。
【0054】
さらに、第3木材39は、その両側に第1木材30および第2木材33を接合するもので、第1木材30を接合する第3接合面40、および、第2木材33を接合する第4接合面41に、第1実施形態と同様の大入れ溝42A,42Bを形成する。そして、これら第3接合面40から第4接合面41にかけて貫通孔43を設ける。この貫通孔43の内径は、位置決め部材10の外径より僅かに大きいものである。
【0055】
次に、接合具により木材30,33,39を接合する作業について具体的に説明する。
【0056】
この第2実施形態では、まず、図9(A)に示すように、位置決め部材10に対して、端部10aに第1圧入部材14Aを装着するとともに、端部10bに第2圧入部材14Bを装着する。この状態で、第2圧入部材14Bの挿通孔20からボルト16を挿入し、ネジ部17を第1圧入部材14Aのネジ孔15に螺合させる。そして、位置決め部材10の外周面に接着剤を塗布した状態で、位置決め部材10の端部10aを第1木材30の第1装着穴32に挿入する。
【0057】
ついで、位置決め部材10が突出した第1木材30の第1接合面31を第3木材39の第3接合面40に配置し、貫通孔43に位置決め部材10の端部10bを挿入して貫通させる。また、第1木材30の端面と第3木材39の大入れ溝42Aとを一致させ、この大入れ溝42Aの底面に第1木材30の第1接合面31が当接するように押し込む。
【0058】
ついで、第2木材33の第2接合面34を第3木材39の第4接合面41に配置し、その第2装着穴36に貫通孔43から突出した位置決め部材10の端部10bを挿入させる。また、第2木材33の端面と第3木材39の大入れ溝42Bとを一致させ、この大入れ溝42Bの底面に第2木材33の第2接合面34が当接するように押し込む。
【0059】
これにより、図9(B)に示すように、接合具のボルト16の頭部18が第2装着穴36の端部から突出し、第2木材33の連通穴37から確認できる状態になる。この際、第2装着穴36の端面から位置決め部材10の端部10bが突出している場合には、第2装着穴36内に位置するように調節する。
【0060】
ついで、連通穴37からボルト16の頭部18を回転操作して第1圧入部材14Aに対する締付作業を行うことにより、各圧入部材14A,14Bが互い近接するように移動する。これにより、圧入部材14A,14Bが位置決め部材10の両端の弾性片12,12を押圧し、これら弾性片12,12が外向きに弾性的に変形する。その結果、図7に示すように、各弾性片12,12が第1,第2木材30,33の装着穴32,36の内周面に強固に圧接する。これにより、第1から第3の木材30,33,39を確実に位置決めして+字形状に接合できる。
【0061】
このように、第2実施形態の接合具およびそれを用いた接合構造では、第1実施形態と同様に、複雑な加工を施すことなく、単なる角材に、ドリルなどの使用により比較的簡単に形成可能な円形状の穴32,36,37や孔43を形成するだけである。しかも、この穴32,36,37や孔43は、高精度な加工技術は不要である。そのため、加工に係る費用を大幅に削減でき、生産コストを低減することができる。
【0062】
また、木材30,33,39を位置決めして組み付ける際には、位置決め部材10が突出ているため、組付作業性の向上を図ることができる。接合状態は、位置決め部材10とボルト16とで維持されるため、その接合強度を確実に向上できる。さらに、接合具は木材30,33,39の表面からは殆ど露出することはないため、外観を損ねることを確実に防止できる。
【0063】
なお、本発明の木造構造物の接合構造および接合具は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0064】
例えば、第1実施形態では、第2木材33に形成する連通穴37を第2装着穴36の軸心と一致するように設けたが、図10に示すように、第2装着穴36に対して直交する方向に延びるように設けてもよい。この場合、図示のように、接合具としては、第2実施形態に示す第2圧入部材14Bを適用したものを使用する。
【0065】
また、第1実施形態では木材30,33をT字形状に接合し、第2実施形態では木材30,33,39を+字形状に接合しており、それぞれ異なる木材を直交方向に接合する構造を一例として挙げたが、図11に示すように、直交する木材30,33,39に対して斜めに掛け渡すように配置する火打ちや筋かいなどの第4木材44を接合する場合でも、外観や加工性などを考慮して所定の木材に第1装着穴32、第2装着穴36、連通穴37、貫通孔43を設けることにより適用可能であり、同様の作用および効果を得ることができる。勿論、接合する木材の接合面は、前記各実施形態に示すように平坦面に限られず、円弧状や球状に湾曲した曲面であっても適用可能である。
【0066】
さらに、前記各実施形態では、位置決め部材10は木材からなるものとしたが、その材質は樹脂であってもよく、可撓性を有する材質のものであればいずれでも適用可能である。また、その形状も円筒形状に限られず、多角筒形状であってもよく、その断面形状も希望に応じて変更が可能である。但し、位置決め部材10を多角形状とする場合には、木材に形成する穴32,36,37や孔43も同一形状とすることが好ましい。一方、連通穴37の形状は位置決め部材10の断面形状と一致させる必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1実施形態に係る接合具による接合構造を示す断面図である。
【図2】第1実施形態の接合具および木材の分解斜視図である。
【図3】(A),(B)は接合具を用いた組付工程を示す断面図である。
【図4】(A),(B)は図3の続きの組付工程を示す断面図である。
【図5】(A)〜(D)は接合具を用いた組付工程の変形例を示す断面図である。
【図6】(A),(B)は図5の続きの組付工程を示す断面図である。
【図7】第2実施形態に係る接合具による接合構造を示す断面図である。
【図8】第2実施形態の接合具および木材の分解斜視図である。
【図9】(A),(B)は接合具を用いた組付工程を示す断面図である。
【図10】接合構造の変形例を示す分解斜視図である。
【図11】本発明の接合具による接合構造の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0068】
10…位置決め部材 10a,10b…端部
11…スリット 14A,14B…圧入部材
15…ネジ孔 16…ボルト
18…頭部 19…座金
20…挿通孔 30…第1木材
31…第1接合面 32…第1装着穴
33…第2木材 34…第2接合面
36…第2装着穴 37…連通穴
39…第3木材 40…第3接合面
41…第4接合面 43…貫通孔
44…第4木材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状をなし、一端に軸方向に沿って延びる複数のスリットを有する位置決め部材と、
断面略台形状をなし、前記位置決め部材の一端に装着されるとともに、中心にネジ孔を有する圧入部材と、
前記位置決め部材の内部空間を通して前記圧入部材に螺合されるとともに、その頭部が前記位置決め部材の他端から突出した状態で位置決めされるボルトと
を備えた接合具を設け、
第1木材の第1接合面に第1装着穴を設け、
第2木材において、第2接合面に第2装着穴を設けるとともに、該第2装着穴の底に連通する該第2装着穴より大きい連通穴を設け、
前記圧入部材を装着した位置決め部材の一端を前記第1木材の第1装着穴内に装着し、位置決め部材の他端を前記第2木材の第2装着穴内に装着し、
前記連通穴を通してボルトの頭部を回転操作することにより、前記ボルトを圧入部材に締め付け、前記位置決め部材の一端を第1装着穴の内周面に圧接して接合することを特徴とする木造構造物の接合構造。
【請求項2】
前記位置決め部材の他端に、軸方向に沿って延びる複数のスリットを更に設け、
この位置決め部材の他端に、断面略台形状をなし、その中心に挿通孔を有するとともに前記ボルトの頭部が圧接される第2の圧入部材を更に設ける一方、
前記第2木材の連通孔を第2装着穴に対して略直交方向に延びるように設け、
前記ボルトの締め付けにより、位置決め部材の他端を第2装着穴の内周面に圧接して接合することを特徴とする請求項1に記載の木造構造物の接合構造。
【請求項3】
前記位置決め部材と各木材とを、接着剤により固着したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の木造構造物の接合構造。
【請求項4】
筒状をなし、一端に軸方向に沿って延びる複数のスリットを有する位置決め部材と、
断面略台形状をなし、前記位置決め部材の一端に装着されるとともに、中心にネジ孔を有する圧入部材と、
前記位置決め部材の内部空間を通して前記圧入部材に螺合されるとともに、その頭部が前記位置決め部材の他端から突出した状態で位置決めされるボルトと
を備え、2以上の木材を互いに位置決めして接合可能としたことを特徴とする接合具。
【請求項5】
前記位置決め部材の他端に、軸方向に沿って延びる複数のスリットを更に設け、
この位置決め部材の他端に、断面略台形状をなし、その中心に挿通孔を有するとともに前記ボルトの頭部が圧接される第2圧入部材を更に設けたことを特徴とする請求項4に記載の接合具。
【請求項1】
筒状をなし、一端に軸方向に沿って延びる複数のスリットを有する位置決め部材と、
断面略台形状をなし、前記位置決め部材の一端に装着されるとともに、中心にネジ孔を有する圧入部材と、
前記位置決め部材の内部空間を通して前記圧入部材に螺合されるとともに、その頭部が前記位置決め部材の他端から突出した状態で位置決めされるボルトと
を備えた接合具を設け、
第1木材の第1接合面に第1装着穴を設け、
第2木材において、第2接合面に第2装着穴を設けるとともに、該第2装着穴の底に連通する該第2装着穴より大きい連通穴を設け、
前記圧入部材を装着した位置決め部材の一端を前記第1木材の第1装着穴内に装着し、位置決め部材の他端を前記第2木材の第2装着穴内に装着し、
前記連通穴を通してボルトの頭部を回転操作することにより、前記ボルトを圧入部材に締め付け、前記位置決め部材の一端を第1装着穴の内周面に圧接して接合することを特徴とする木造構造物の接合構造。
【請求項2】
前記位置決め部材の他端に、軸方向に沿って延びる複数のスリットを更に設け、
この位置決め部材の他端に、断面略台形状をなし、その中心に挿通孔を有するとともに前記ボルトの頭部が圧接される第2の圧入部材を更に設ける一方、
前記第2木材の連通孔を第2装着穴に対して略直交方向に延びるように設け、
前記ボルトの締め付けにより、位置決め部材の他端を第2装着穴の内周面に圧接して接合することを特徴とする請求項1に記載の木造構造物の接合構造。
【請求項3】
前記位置決め部材と各木材とを、接着剤により固着したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の木造構造物の接合構造。
【請求項4】
筒状をなし、一端に軸方向に沿って延びる複数のスリットを有する位置決め部材と、
断面略台形状をなし、前記位置決め部材の一端に装着されるとともに、中心にネジ孔を有する圧入部材と、
前記位置決め部材の内部空間を通して前記圧入部材に螺合されるとともに、その頭部が前記位置決め部材の他端から突出した状態で位置決めされるボルトと
を備え、2以上の木材を互いに位置決めして接合可能としたことを特徴とする接合具。
【請求項5】
前記位置決め部材の他端に、軸方向に沿って延びる複数のスリットを更に設け、
この位置決め部材の他端に、断面略台形状をなし、その中心に挿通孔を有するとともに前記ボルトの頭部が圧接される第2圧入部材を更に設けたことを特徴とする請求項4に記載の接合具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−274653(P2006−274653A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−94719(P2005−94719)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(593122642)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(593122642)
【Fターム(参考)】
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