未現像の画像データを用いる画像処理
【課題】未現像の画像データを用いて容易に印刷や表示等の画像処理を実行することのできる技術を提供する。
【解決手段】印刷制御装置は、印刷のための処理条件を決定する処理条件決定部と、処理条件に従って原画像データから印刷データを生成する印刷データ生成部と、を備える。処理条件決定部は、現像済みの第1種の原画像データの処理条件を決定するための第1種の項目群の設定をユーザに許容する第1の設定画面を表示させる第1の設定部と、未現像の第2種の原画像データの処理条件を決定するための第2種の項目群の設定をユーザに許容する第2の設定画面を表示させる第2の設定部と、を備える。第2種の項目群は第1種の項目群に含まれない特定項目を含む。印刷データ生成部は、第2種の原画像データに対して特定項目の設定内容に応じた特定処理を含む現像処理を実行する。
【解決手段】印刷制御装置は、印刷のための処理条件を決定する処理条件決定部と、処理条件に従って原画像データから印刷データを生成する印刷データ生成部と、を備える。処理条件決定部は、現像済みの第1種の原画像データの処理条件を決定するための第1種の項目群の設定をユーザに許容する第1の設定画面を表示させる第1の設定部と、未現像の第2種の原画像データの処理条件を決定するための第2種の項目群の設定をユーザに許容する第2の設定画面を表示させる第2の設定部と、を備える。第2種の項目群は第1種の項目群に含まれない特定項目を含む。印刷データ生成部は、第2種の原画像データに対して特定項目の設定内容に応じた特定処理を含む現像処理を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未現像の画像データを用いて印刷や表示等を行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラ(以下「カメラ」とも呼ぶ)は、通常、RAW画像データに対して現像処理(デジタル画像処理)を施して現像済み画像データ(例えばJPEG画像データ)を生成し、該現像済み画像データをメモリカードに記録している。なお、RAW画像データは、カメラに備えられたイメージセンサ(例えばCCD,CMOS等)が検出した光の検出値をアナログ−デジタル変換し、各画素データの集合体としての1フレーム分の画像データのそのままの情報を記録したデータであり、カメラにおいて現像処理が施されていない未現像の画像データである。近年、一部のカメラは、メモリカードにRAW画像データを記録可能である。なお、RAW画像データが記録された画像ファイルには、通常、撮影時の設定情報なども記録されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−223979号公報
【特許文献2】特開2004−128809号公報
【特許文献3】特開2005−63128号公報
【特許文献4】特開2005−33255号公報
【特許文献5】特開2003−250053号公報
【特許文献6】特開2005−175978号公報
【特許文献7】特開2006−203555号公報
【特許文献8】特開平11−164149号公報
【特許文献9】特開2006−203572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来では、RAW画像データを用いた印刷や表示等の画像処理についてあまり考慮されておらず、RAW画像データを用いて容易に印刷や表示等の画像処理を実行することができなかった。
【0005】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、未現像の画像データを用いて容易に印刷や表示等の画像処理を実行することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1] 表示部と印刷実行部とを利用する印刷制御装置であって、
原画像データを用いた印刷のための処理条件を決定する処理条件決定部と、
前記処理条件に従って、前記原画像データから前記印刷実行部に供給される印刷データを生成する印刷データ生成部と、
を備え、
前記処理条件決定部は、
前記原画像データが現像済みの第1種の原画像データである場合に、前記第1種の原画像データの前記処理条件を決定するための第1種の項目群の設定をユーザに許容する第1の設定画面を前記表示部に表示させる第1の設定部と、
前記原画像データが未現像の第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データの前記処理条件を決定するための第2種の項目群の設定を前記ユーザに許容する第2の設定画面を前記表示部に表示させる第2の設定部と、
を備え、
前記第2種の項目群は、前記第1種の項目群に含まれない特定項目を含み、
前記印刷データ生成部は、
前記原画像データが前記第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データに対して前記特定項目の設定内容に応じた特定処理を含む現像処理を実行する現像処理部を備えることを特徴とする印刷制御装置。
【0008】
この装置では、第1種の原画像データから印刷データを生成することができると共に第2種の原画像データに対して現像処理を実行して印刷データを生成することができるため、第2種の原画像データが用いられる場合にも容易に印刷を実行することができる。特に、この装置では、第2の設定画面には、第1の設定画面に含まれない特定項目が含まれているため、第2種の原画像データを用いて印刷を実行する場合に、第2種の原画像データに対して特定項目に対応する特定処理を含む現像処理を実行して印刷データを容易に生成することができる。
【0009】
[適用例2] 適用例1記載の印刷制御装置であって、
前記特定項目は、露出の補正量を設定するための項目であり、
前記特定処理は、前記露出の補正量に応じて実行される露出補正処理を含む、印刷制御装置。
【0010】
[適用例3] 適用例1または2記載の印刷制御装置であって、
前記第2の設定部は、前記現像処理が実行される前に、前記第2種の原画像データに対応する現像済みの表示用画像データを用いて、被写体が表現された画像を含む前記第2の設定画面を表示させる、印刷制御装置。
【0011】
こうすれば、ユーザは、第2の設定画面内の画像を確認することにより、現像処理が実行される前に、未現像の第2種の原画像データに表現された被写体を把握することができる。
【0012】
[適用例4] 適用例1記載の印刷制御装置であって、
前記現像処理部は、前記現像処理を実行して現像済みの印刷用画像データを生成し、
前記第2の設定部は、
前記現像処理が実行される前に、前記第2種の原画像データに対応する現像済みの表示用画像データを、前記表示用画像データの階調特性が前記印刷用画像データの階調特性に近づくように、調整する表示用画像データ調整部を含み、
前記第2の設定部は、前記調整済みの表示用画像データによって表される画像を含む前記第2の設定画面を表示させる、印刷制御装置。
【0013】
こうすれば、ユーザは、第2の設定画面内の画像を確認することにより、現像処理が実行される前に、印刷済み画像の明るさを把握することができる。
【0014】
[適用例5] 適用例4記載の印刷制御装置であって、
前記印刷制御装置は、前記印刷用画像データと前記調整済みの表示用画像データとのいずれを用いて印刷を行うかをユーザに選択させる選択画面を表示させる、印刷制御装置。
【0015】
こうすれば、印刷用画像データを用いて印刷を実行することができると共に、調整済みの表示用画像データを用いて迅速に印刷を実行することができる。
【0016】
[適用例6] 適用例4または5記載の印刷制御装置であって、
前記特定項目は、露出の補正量を設定するための項目であり、
前記特定処理は、前記露出の補正量に応じて実行される露出補正処理を含み、
前記表示用画像データ調整部は、前記現像処理が実行される前に、前記表示用画像データの階調特性を前記露出の補正量に応じて調整する、印刷制御装置。
【0017】
こうすれば、露出補正処理を含む現像処理が実行される前に、露出の補正量に応じて、第2の設定画面内の画像の明るさを変更することができる。
【0018】
[適用例7] 適用例6記載の印刷制御装置であって、
前記表示用画像データ調整部は、前記表示用画像データの階調特性が前記露出の補正量に応じた前記印刷用画像データの階調特性に近づくように、前記露出の補正量に応じた前記調整を実行する、印刷制御装置。
【0019】
こうすれば、ユーザは、第2の設定画面内の画像を確認することにより、現像処理が実行される前に、露出の補正量に応じた印刷済み画像の明るさを把握することができる。
【0020】
[適用例8] 適用例1ないし7のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記第2種の項目群は、前記第1種の項目群に含まれる全項目を含む、印刷制御装置。
【0021】
[他の適用例] 画像処理装置であって、
原画像データに対する画像処理のための処理条件を決定する処理条件決定部と、
前記処理条件に従って、前記原画像データに対して画像処理を実行する画像処理部と、
を備え、
前記処理条件決定部は、
前記原画像データが現像済みの第1種の原画像データである場合に、前記第1種の原画像データの前記処理条件を決定するための第1種の項目群の設定をユーザに許容する第1の設定画面を表示部に表示させる第1の設定部と、
前記原画像データが未現像の第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データの前記処理条件を決定するための第2種の項目群の設定を前記ユーザに許容する第2の設定画面を前記表示部に表示させる第2の設定部と、
を備え、
前記第2種の項目群は、前記第1種の項目群に含まれない特定項目を含むことを特徴とする画像処理装置。
【0022】
この装置では、第1種の原画像データに対して画像処理を実行することができると共に第2種の原画像データに対して画像処理を実行することができる。特に、この装置では、第2の設定画面には、第1の設定画面に含まれない特定項目が含まれているため、第2種の原画像データに対して特定項目に対応する処理を含む画像処理を容易に実行することができる。
【0023】
この発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、印刷制御装置、該印刷制御装置を備えるプリンタ、印刷制御方法、画像処理装置、該画像処理装置を備えるプリンタや表示装置、画像処理方法、これらの装置の機能または方法を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき以下の順序で説明する。
A.プリンタの構成:
B.印刷処理:
C.露出補正処理:
D.表示用画像データの調整:
D−1.第1の調整方法:
D−2.第2の調整方法:
D−3.第3の調整方法:
E.露出の補正量に応じた表示用画像データの調整:
E−1.第1の調整方法:
E−2.第2の調整方法:
E−3.第3の調整方法:
F.変形例:
F−1.第1の変形例:
F−2.第2の変形例:
【0025】
A.プリンタの構成:
図1は、実施例におけるプリンタ200を示す説明図である。このプリンタ200は、ダイレクト印刷機能、すなわち、パーソナルコンピュータを利用せずに、デジタルスチルカメラにおいて生成されてメモリカードMCを介して与えられた画像データを用いて印刷を行う機能を有している。特に、本実施例のプリンタ200は、JPEG画像データを用いて印刷を行うことができると共に、RAW画像データを用いて印刷を行うことができる。JPEG画像データは、カメラ内において鑑賞のための現像処理(画像生成処理)が施された後にJPEG形式に圧縮された画像データ(現像済み画像データ)である。RAW画像データは、カメラにおいて現像処理(画像生成処理)が施されていないRAW形式の未現像画像データである。すなわち、RAW画像データは、カメラに備えられたイメージセンサ(例えばCCD,CMOS等)によって検出された光強度をアナログ−デジタル変換して得られる生の画像データであり、現像処理(画像生成処理)が施される前の画像データである。本実施例では、RAW画像データを用いた印刷が実行される場合には、プリンタ200において現像処理(画像生成処理)が施された後にJPEG形式に圧縮された画像データ(現像済み画像データ)が生成される。なお、本実施例では、プリンタ200においてJPEG圧縮された現像済みデータが生成されるが、メモリ容量が充分に大きい場合には、JPEG圧縮されていない現像済み画像データが生成されるようにしてもよい。
【0026】
本実施例では、カメラにおいて現像処理が施されたJPEG形式の現像済み画像データを「JPEG画像データ」とも呼び、プリンタにおいて現像処理が施されたJPEG形式の現像済み画像データを「印刷用画像データ」とも呼ぶ。
【0027】
なお、現像済み画像データとRAW画像データとは、現像済み画像データによって表現される画像はモニタ等で直ちに鑑賞可能であるが、RAW(未現像)画像データによって表現される画像は直ちに鑑賞不能である点で相違する。RAW(未現像)画像データによって表現される画像を鑑賞可能な状態とするためには現像処理が必要である。
【0028】
図1に示すように、プリンタ200は、CPU210と、ROMやRAMなどの内部記憶装置220と、表示パネル260と、ボタンなどの操作部270と、印刷を実行する印刷実行部280と、インタフェース部(I/F部)290と、を備えている。
【0029】
I/F部290は、メモリカードMCが挿入されるカードスロットを備えている。メモリカードMCには、カメラにおいて被写体の撮影に伴って生成された画像ファイルが記録されており、I/F部290は、メモリカードMCに記録された画像ファイルを読み出す。
【0030】
図2は、RAW画像データを含むRAW画像ファイルの構造を模式的に示す説明図である。このRAW画像ファイルは、Exif(Exchangeable Image File Format)形式と類似のデータ形式で作成されており、図示するように、ヘッダ部とデータ部とを含んでいる。
【0031】
ヘッダ部には、RAW画像ファイルを作成したカメラのメーカ名および型番、撮影条件、撮影日時などの付加情報が記述されている。なお、撮影条件には、例えば、撮影時のシャッタスピードや、絞り値、ホワイトバランスの設定値などが含まれている。
【0032】
データ部には、撮影時に生成されたRAW画像データと表示用画像データとが含まれている。なお、RAW画像データと表示用画像データとには、同じ被写体(撮影画像)が表現されており、RAW画像データと表示用画像データとは、撮影と同時に記録される。表示用画像データは、例えば、カメラに設けられた表示パネルに撮影済み画像を簡易的に表示する際に利用され、カメラにおいて現像処理が施された縮小サイズのJPEG形式の画像データである。表示用画像データは、表示パネルに表示して十分な解像度および画質を表現できる程度の比較的小さな解像度(例えば640×480)を有しており、スクリーンネイル画像データとも呼ばれている。
【0033】
なお、RAW画像ファイルのデータ構造は、カメラメーカやカメラの機種毎に異なっており、RAW画像ファイルには、RAW画像データと共にJPEG画像データが含まれている場合もある。この場合にも、RAW画像データとJPEG画像データとには、同じ被写体(撮影画像)が表現されており、RAW画像データとJPEG画像データとは、撮影と同時に記録される。
【0034】
なお、RAW画像ファイルには、表示用のJPEG画像データが含まれていてもよい。また、RAW画像データを含むRAW画像ファイルと、JPEG画像データを含むJPEG画像ファイルとが、撮影と同時に記録されてもよい。この場合には、該2つの画像データには、同じ被写体(撮影画像)が表現される。このため、該2つのファイルには、該2つのファイルが関連性を有することが明らかなように、例えば「ABCD0123.RAW」と「ABCD0123.JG」という同じファイル名および異なる拡張子が付与されることが好ましい。この場合、RAW画像データに対応する表示用の画像データとしてJPEG画像データが使用される。
【0035】
図2では、RAW画像データを含むRAW画像ファイルについて説明したが、JPEG画像データを含むJPEG画像ファイルも、RAW画像ファイルと同様に、ヘッダ部とデータ部とを含んでいる。ただし、JPEG画像ファイルでは、データ部には、RAW画像データと表示用画像データとに代えて、通常、JPEG画像データと、比較的小さな解像度(例えば160×120)を有するサムネイル画像データと、が含まれている。このファイル構成は、JEITA規格のDCF2.0の規格に基づいている。
【0036】
内部記憶装置220(図1)には、印刷制御部230として機能するコンピュータプログラム(プリンタドライバ)が格納されている。なお、印刷制御部230の機能は、CPU210が該コンピュータプログラムを実行することによって実現される。該コンピュータプログラムは、ファームウェアとして予め内部記憶装置220内に格納されていてもよいし、CD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供されるようにしてもよい。
【0037】
印刷制御部230は、処理条件決定部240と、印刷データ生成部250と、を備えており、印刷のための種々の処理を実行する。
【0038】
処理条件決定部240(図1)は、第1の設定部242aと、第2の設定部242bと、を備えており、設定画面を表示させて印刷のための処理条件を決定する。
【0039】
第1の設定部242aは、JPEG画像データを用いた印刷が実行される場合に、複数の設定項目を含むJPEG画像印刷設定画面を表示させ、該設定画面においてユーザによって設定された各項目の内容を取得する。そして、ユーザによって印刷の開始が指示されると、処理条件決定部240は、第1の設定部242aによって取得された各項目の内容に基づいて、JPEG画像データを用いた印刷のための処理条件を決定する。
【0040】
また、本実施例では、第1の設定部242aは、JPEG画像印刷設定画面内に、印刷対象を示す参照画像を表示させる。具体的には、第1の設定部242aは、印刷対象のJPEG画像データを縮小することによって該参照画像を表す参照画像データを生成する。
【0041】
第2の設定部242bは、RAW画像データを用いた印刷が実行される場合に、複数の設定項目を含むRAW画像印刷設定画面を表示させ、該設定画面においてユーザによって設定された各項目の内容を取得する。そして、ユーザによって印刷の開始が指示されると、処理条件決定部240は、第2の設定部242bによって取得された各項目の内容に基づいて、RAW画像データを用いた印刷のための処理条件を決定する。
【0042】
また、本実施例では、第2の設定部242bは、RAW画像印刷設定画面内に、印刷対象を示す参照画像を表示させる。具体的には、第2の設定部242bは、印刷対象のRAW画像データに対応する表示用画像データ、すなわち、印刷対象のRAW画像データと同じRAW画像ファイルに含まれる表示用画像データを用いて、参照画像を表す参照画像データを生成する。
【0043】
特に、本実施例では、第2の設定部242bは、表示用画像データ調整部244を備えている。表示用画像データ調整部244は、表示用画像データに対してその階調特性(トーンカーブ)を調整する調整処理を施し、調整済み表示用画像データ(参照画像データ)を生成する。
【0044】
印刷データ生成部250は、現像処理部252と、現像済み画像処理部254と、を備えており、原画像データ(JPEG画像データまたはRAW画像データ)から印刷データを生成する。
【0045】
現像処理部252は、RAW画像データを用いた印刷が実行される場合に利用され、RAW画像データに対して現像処理を施し、JPEG形式の現像済み画像データ(以下、「印刷用画像データ」とも呼ぶ)を生成する。現像処理部252は、後述するように、オプティカルブラック補正処理,ホワイトバランス補正処理,露出補正処理,画素補間処理,色再現処理,RGB−YUV変換処理,エッジ強調処理,ノイズ除去処理,階調補正処理,JPEG処理等を行う。
【0046】
現像済み画像処理部254は、現像済み画像データを用いて印刷データを生成し、該印刷データを印刷実行部280に供給する。具体的には、JPEG画像データを用いた印刷が実行される場合には、該JPEG画像データを用いて印刷データが生成される。一方、RAW画像データを用いた印刷が実行される場合には、現像処理部252で生成されたJPEG形式の現像済み画像データ(印刷用画像データ)を用いて印刷データが生成される。
【0047】
現像済み画像処理部254は、印刷データを生成する際に、種々の画像処理を実行する。この画像処理には、例えば、明るさを補正する処理や、被写体の人物の顔を検出して顔の色を補正する処理、いわゆる赤目を補正する処理などが含まれる。その後、現像済み画像処理部254は、周知のように、解像度変換処理と、色変換処理と、ハーフトーン処理と、を実行し、ドットの形成状態を示すドットデータ(印刷データ)を生成する。なお、色変換処理では、R(赤),G(緑),B(青)の各色成分がY(黄),M(マゼンダ),C(シアン),K(黒)のインク量に変換されると共に所定の階調補正が行なわれる。このインクのデータの濃淡情報により印刷が行われる。
【0048】
B.印刷処理:
図3は、印刷処理の手順を示すフローチャートである。ステップS102では、処理条件決定部240は、ユーザからの指示に従って、表示パネル260に印刷設定選択画面を表示させる。なお、ユーザの指示は、ユーザが操作部270を操作することによって、行われる。
【0049】
図4は、印刷設定選択画面Wを示す説明図である。図4に示すように選択画面Wには、「JPEG画像印刷設定」選択ボタンB1と、「RAW画像印刷設定」選択ボタンB2と、が含まれている。なお、選択ボタンB1,B2の選択は、ユーザが操作部270を操作することによって、行われる。
【0050】
JPEG画像データを用いた印刷を希望する場合には、図4の選択画面Wにおいて、ユーザは「JPEG画像印刷設定」選択ボタンB1を選択する。このとき、ステップS112に進む。
【0051】
ステップS112では、処理条件決定部240の第1の設定部242aは、表示パネル260にJPEG画像印刷設定画面を表示させる。
【0052】
図5は、JPEG画像印刷設定画面Waを示す説明図である。図5に示すように設定画面Waには、印刷対象を選択するための選択ボタンBa1,Ba2と、選択された印刷対象を示す参照画像を表示するための参照画像表示フィールドFaと、印刷の実行を指示するための「印刷」ボタンBPaと、が含まれている。なお、前述したように、参照画像表示フィールドFaには、JPEG画像データを縮小することによって得られる参照画像データを用いて、画像が表示される。ユーザは、参照画像表示フィールドFaに表示される参照画像を確認しつつ選択ボタンBa1,Ba2を操作することによって、メモリカードMCに格納された複数のJPEG画像ファイルに含まれる複数のJPEG画像データの中から、所望のJPEG画像データを印刷対象の画像データとして選択することができる。
【0053】
また、設定画面Waには、JPEG画像データを用いた印刷のための処理条件を決定する種々の項目が含まれている。具体的には、設定画面Waには、印刷用紙の種類を選択するための項目「印刷用紙」と、印刷用紙のサイズを選択するための項目「用紙サイズ」と、印刷品質(高速普通画質モードまたは低速高画質モード)を選択するための項目「印刷品質」と、赤目補正の有無を選択するための項目「赤目補正」と、が含まれている。また、設定画面Waには、明るさ補正の有無および内容を選択するための項目「明るさ補正」と、色あいを補正するための項目「色あい補正」と、が含まれている。
【0054】
なお、本実施例では、項目「明るさ補正」の内容は、例えば、「補正なし」,「明るく」,「暗く」等のうちのいずれかに設定可能である。また、本実施例では、項目「色あい補正」の内容は、例えば、「補正なし」,「赤みを強く」,「青みを強く」等のうちのずれかに設定可能である。図5の設定画面Waでは、項目「明るさ補正」の内容と項目「色あい補正」の内容とがユーザによって設定される場合が想定されているが、これらの項目の内容が解析処理によって自動的に設定されるようにしてもよい。
【0055】
設定画面Waでは、ユーザが操作部270を操作することによって、印刷対象のJPEG画像データが選択されると共に、各項目の内容が設定される。そして、ユーザによって「印刷」ボタンBPaが選択される。
【0056】
ステップS114では、処理条件決定部240は、第1の設定部242aによって取得された各項目の内容に基づいて、JPEG画像データを用いた印刷のための処理条件を決定する。
【0057】
一方、RAW画像データを用いた印刷を希望する場合には、ユーザは、図4の選択画面Wにおいて、「RAW画像印刷設定」選択ボタンB2を選択する。このとき、ステップS122に進む。
【0058】
ステップS122では、処理条件決定部240の第2の設定部242bは、表示パネル260にRAW画像印刷設定画面を表示させる。
【0059】
図6は、RAW画像印刷設定画面Wbを示す説明図である。図6に示すように設定画面Wbには、図5の設定画面Waと同様に、選択ボタンBb1,Bb2と、参照画像表示フィールドFbと、「印刷」ボタンBpbと、が含まれている。なお、前述したように、参照画像表示フィールドFbには、表示用画像データに対して調整処理を施すことによって得られる調整済み表示用画像データ(参照画像データ)を用いて、画像が表示される。ユーザは、参照画像表示フィールドFbに表示される参照画像を確認しつつ選択ボタンBb1,Bb2を操作することによって、メモリカードMCに格納された複数のRAW画像ファイルに含まれる複数のRAW画像データの中から、所望のRAW画像データを印刷対象の画像データとして選択することができる。
【0060】
また、設定画面Wbには、図5の設定画面Waと同様に、RAW画像データを用いた印刷のための処理条件を決定する種々の項目が含まれている。ただし、設定画面Wbには、設定画面Waに含まれる項目「明るさ補正」と項目「色あい補正」とに代えて、露出補正の有無および程度を選択するための項目「露出補正」と、ホワイトバランスを補正するための項目「ホワイトバランス補正」と、が含まれている。
【0061】
なお、本実施例では、項目「露出補正」の内容は、「±0EV(補正なし)」,「+0.5EV」,「+1.0EV」,「+1.5EV」,「+2.0EV」,「−0.5EV」,「−1.0EV」,「−1.5EV」,「−2.0EV」のうちのいずれかに設定可能である。項目「露出補正」は、図5の設定画面Waに含まれる項目「明るさ補正」と異なり、カメラにおける露出補正処理と同様の露出補正処理を行うための項目である。この露出補正処理は、JPEG画像データに対して施すことは困難であり、この露出補正処理により、かなり暗い画像やかなり明るい画像を適正な明るさの画像に補正することが可能であり、ユーザにとって極めて有用である。また、本実施例では、項目「ホワイトバランス補正」の内容は、「デイライト」,「曇天」,「日影」,「白熱灯」,「蛍光灯」等の光源の種類のうちのいずれかに設定可能である。ただし、項目「ホワイトバランス補正」の初期値は、RAW画像ファイルのヘッダ部に記述されたホワイトバランスの設定値(例えばデイライト)に設定される。そして、ユーザがホワイトバランスの変更を望む場合には、他の光源の種類に変更する。なお、項目「ホワイトバランス補正」の内容は、光源の種類に代えて、色温度(例えば「3000K」,「4500K」,「5500K」,「6500K」,「7500K」等)で示されていてもよい。
【0062】
設定画面Wbでは、ユーザが操作部270を操作することによって、印刷対象のRAW画像データが選択されると共に、各項目の内容が設定される。そして、ユーザによって「印刷」ボタンBPbが選択される。
【0063】
ステップS124では、処理条件決定部240は、第2の設定部242bによって取得された各項目の内容に基づいて、RAW画像データを用いた印刷のための処理条件を決定する。
【0064】
ステップS126では、現像処理部252は、ステップS124で決定された処理条件に従って、RAW画像データに対して現像処理を施し、現像済み画像データ(印刷用画像データ)を生成する。具体的には、ステップS126では、後述するように、RAW画像データに対して、オプティカルブラック補正処理,ホワイトバランス補正処理,露出補正処理,画素補間処理,色再現処理,RGB−YUV変換処理,エッジ強調処理,ノイズ除去処理,階調補正処理,JPEG処理等の一連の処理が行なわれる。ホワイトバランス補正処理は、R(赤),G(緑),B(青)のデータのうちのRデータとBデータとに対して係数Ar,Abを乗じる処理である。画素補間処理は、イメージセンサ上に配置されているカラーフィルタのBayer配列に起因して不足する色情報を予測補間して求める処理である。色再現処理は、3x3の行列計算により、画像の色を正しく再現する処理である。RGB−YUV変換処理は、JPEG処理を行なうための色空間変換処理である。エッジ強調処理は、カメラ内に設置されている光学的なローパスフィルタの影響により画像内の輪郭がぼけた部分を補正してくっきりはっきりさせる処理である。ノイズ除去処理は、画像内に存在するノイズ成分を除去してクリアな画像を生成する処理である。階調補正処理は、画像を印刷する機器(プリンタ)のトーン特性に合うように階調再現特性を補正する処理である。
【0065】
図6の項目「露出補正」が「+1.0EV」に設定された場合には、ホワイトバランス補正処理の後に、R,G,Bの各データに対して+1.0EVに相当する係数を乗ずる露出補正処理が行われる。「+1.0EV」とは露出を1段階明るくする処理を示すため、R,G,Bの各データを2倍にする処理が実行される。「−0.5EV」の場合は、係数として1/√2(=0.707)が乗じられる。また、図6の項目「ホワイトバランス設定」において光源の種類が指定された場合は、「デイライト」,「曇天」,「日影」,「白熱灯」,「蛍光灯」等の光源の種類に応じて、R,G,Bの各データに予め設定された係数を乗ずるホワイトバランス補正処理が行われる。
【0066】
ステップS132では、現像済み画像処理部254は、印刷データを生成する。具体的には、JPEG画像データを用いた印刷が実行される場合には、現像済み画像処理部254は、ステップS114で決定された処理条件に従って、該JPEG画像データに対して処理を施し、印刷データを生成する。一方、RAW画像データを用いた印刷が実行される場合には、現像済み画像処理部254は、ステップS124で決定された処理条件に従って、ステップS126で現像処理が施された現像済み画像データ(印刷用画像データ)に対して処理を施し、印刷データを生成する。
【0067】
ステップS134では、印刷実行部280は、現像済み画像処理部254から印刷データを取得し、印刷用紙上に画像を印刷する。
【0068】
図7は、図3のステップS126で実行される現像処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0069】
ステップS202では、現像処理部252は、オプティカルブラック補正処理を実行する。この処理は、カメラのイメージセンサの特性、すなわち、入射光の強度がゼロのときに検出値がゼロとならない特性を補正するための処理である。この処理では、RAW画像データに含まれる各画素の階調値から、オフセット値が減算される。
【0070】
なお、ステップS202の処理は、例えば、RAW画像ファイル内のヘッダ部に記述されたメーカ名および機種名に応じて行われる。具体的には、処理条件決定部240は、RAW画像ファイル内のヘッダ部を解析し、メーカ名および機種名を取得する。処理条件決定部240は、メーカ名および機種名と、処理条件と、の組み合わせが複数登録されたテーブル(図示せず)を備えている。処理条件決定部240は、取得したメーカ名および機種名から、テーブルを参照して、処理条件を選択する。そして、現像処理部252は、選択された処理条件を利用して、ステップS202の処理を実行する。なお、ヘッダ部に処理条件が記述されている場合には、該処理条件が利用されてもよい。
【0071】
ステップS204では、現像処理部252は、ホワイトバランス(色温度)を補正するためのホワイトバランス補正処理を実行する。この処理では、ステップS202の処理が施されたRAW画像データを構成するR,G,Bデータ毎に、各画素の階調値に目標のホワイトバランスに応じた係数が乗じられる。より具体的には、この処理では、R(赤),G(緑),B(青)のデータのうちのRデータとBデータとに対して係数Ar,Abが乗じられる。
【0072】
なお、ステップS204の処理は、RAW画像印刷設定画面Wb(図6)の項目「ホワイトバランス補正」の内容に応じて実行される。なお、前述したように、該項目の内容は、初期値から変更されていない場合には、RAW画像ファイル内のヘッダ部に記述されたホワイトバランスの設定値と同じである。図6の設定画面において項目「ホワイトバランス補正」の内容がユーザによって選択された場合には、「デイライト」,「曇天」,「日影」,「白熱灯」,「蛍光灯」等の選択された光源の種類に応じて、R,G,Bデータに対して予め設定された係数が乗じられる。
【0073】
ステップS206では、現像処理部252は、露出を補正するための露出補正処理を実行する。この処理では、ステップS204の処理が施された画像データに含まれる各画素の階調値に露出の補正量に応じた係数が乗じられる。
【0074】
なお、ステップS206の処理は、RAW画像印刷設定画面Wb(図6)の項目「露出補正」の内容に応じて実行される。項目「露出補正」が「±0EV(補正なし)」以外に設定された場合、例えば「+1.0EV」に設定された場合には、ホワイトバランス補正処理の後に、R,G,Bデータに対して+1.0EVに相当する係数を乗ずる処理が行われる。前述したように、「+1.0EV」とは露出を1段階明るくする処理を示すため、R,G,Bデータを2倍にする処理が実行される。「−0.5EV」の場合は、係数として1/√2(=0.707)が乗じられる。ただし、項目「露出補正」の内容が「±0EV(補正なし)」に設定された場合には、ステップS206の処理は省略される。
【0075】
ステップS208では、現像処理部252は、画素補間処理(すなわちデモザイク処理)を実行する。この画素補間処理は、カメラのイメージセンサ内部の複数のセンサ素子の配列に起因して欠落している画素を補間するための処理である。RGBの原色フィルタを採用したイメージセンサでは、センサ上に配置されているカラーフィルタのBayer配列に起因して、各画素はRGBの内のいずれかである。ある画素がRの画素の場合には、同位置のG及びBの画像情報が不足している。ある画素がGの画素の場合には、同位置のR及びBの画像情報が不足している。画素補間処理は、この不足している色情報を周囲の画素の色情報から予測補間して求める処理である。この処理では、ステップS206の処理が施された画像データを構成するR,G,Bデータ毎に、補間対象の画素(欠落している色成分)の階調値が決定される。
【0076】
なお、ステップS208の処理は、ステップS202と同様に、例えば、RAW画像ファイル内のヘッダ部に記述されたメーカ名および機種名に応じて選択される処理条件を利用して実行されてもよいし、ヘッダ部に記述された処理条件を利用して実行されてもよい。
【0077】
ステップS210では、現像処理部252は、色再現処理を実行する。イメージセンサのRGBの分光特性と人間の目の分光特性とは異なるため、イメージセンサの色出力を合成しても、正しい色の再現は出来ない。このため、人間の視感度の特性に合わせた正しい色に補正処理するのが、この色再現処理である。この処理は、3x3の行列演算により行なわれ、画像の色を正しく再現する。
【0078】
ステップS212では、現像処理部252は、階調特性を補正するための階調補正処理(ガンマ補正処理)を実行する。この処理を施すことによって、処理前の画像データが有する線形の階調特性が、プリンタ200の出力トーン特性に合わせた階調再現特性に補正される。
【0079】
なお、現像処理部252は、図7に示すステップS202〜S212と共に、エッジ強調処理やノイズ除去処理を実行する。エッジ強調処理は、カメラ内に設置されている光学的なローパスフィルタの影響により画像内の輪郭がぼけた部分を補正してくっきりはっきりさせる処理である。ノイズ除去処理は、画像内に存在するノイズ成分を除去してクリアな画像を生成する処理である。また、現像処理部252は、最終的にJPEG形式の現像済み画像データ(印刷用画像データ)を生成する。なお、前述したように、本実施例では、JPEG圧縮された現像済み画像データが生成されるが、これに代えて、JPEG圧縮されていない現像済み画像データが生成されてもよい。
【0080】
C.露出補正処理:
ところで、RAW画像印刷設定画面Wb(図6)に含まれる項目「露出補正」が有意な値(すなわち「補正なし」以外)に設定される場合には、RAW画像データに対して露出補正処理が実行される。露出補正処理は、現像処理部252によって、図3のステップS126(より具体的には図7のステップS206)で実行される。一方、JPEG画像印刷画面Waに含まれる項目「明るさ補正」が有意な値(すなわち「補正なし」以外)に設定される場合には、JPEG画像データに対して明るさ補正処理が実行される。明るさ補正処理は、現像済み画像処理部254によって、図3のステップS132で実行される。
【0081】
露出補正処理と明るさ補正処理とは、印刷される画像(印刷済み画像)の明るさを変更する点で共通している。しかしながら、以下に説明するように、露出補正処理と明るさ補正処理とは、まったく異なる処理である。
【0082】
図8は、露出補正処理の内容と明るさ補正処理の内容とを示す説明図である。なお、図8では、5つのグラフGAa,GAb,GAc,GBa,GBbが示されており、5つのグラフは、5つの画像データの階調特性を示している。各グラフの横軸は、被写体の明度を示しており、縦軸は、各画像データの出力明度、すなわち、各画像データによって表現される該被写体の明度(階調値)を示している。図8の左側に描かれた3つのグラフGAa,GAb,GAcは、露出補正処理の内容を示しており、図8の右側に描かれた2つのグラフGBa,GBbは、明るさ補正処理の内容を示している。
【0083】
グラフGAaは、RAW画像データの階調特性を示している。グラフGAaに示すように、RAW画像データでは、被写体の明度に対して該画像データの明度(階調値)は線形に変化している。これは、カメラ内部でイメージセンサの出力をそのままアナログ−デジタル変換することによってRAW画像データが生成されているためである。
【0084】
グラフGAcは、露出補正処理を含む現像処理後に得られる現像済み画像データ(印刷用画像データ)の階調特性を示している。グラフGAcに示すように、この画像データでは、被写体の明度に対して出力明度(階調値)は非線形に変化している。これは、プリンタ200での現像処理において、階調補正処理(図7のステップS212)が実行されるためである。なお、グラフGAcに示された破線は、露出補正処理が省略された場合(露出補正無しの場合)の現像済み画像データ(印刷用画像データ)の階調特性を示している。
【0085】
グラフGAbは、RAW画像データに対して現像処理を施す過程で得られる中間画像データの階調特性を示している。より具体的には、グラフGAbは、「+1.0EV」の露出補正処理(図7のステップS206)後に得られる中間画像データの階調特性を示している。グラフGAbに示すように、この画像データでは、依然、被写体の明度に対して出力明度(階調値)は線形に変化している。なお、グラフGAbに示された破線は、露出補正処理が省略された場合の中間画像データの階調特性を示している。図示するように、グラフGAbに示す破線の傾きは、グラフGAbに示す実線の傾きの2倍になっている。「+1.0EV」の露出補正処理は、このように2倍を乗ずる処理である。
【0086】
グラフGBaは、JPEG画像データの階調特性を示している。グラフGBaに示すように、JPEG画像データでは、被写体の明度に対して出力明度(階調値)は非線形に変化している。これは、カメラ内でのJPEG画像生成処理(現像処理)において、図7のステップS212と同様の階調補正処理(ガンマ補正処理)が実行されるためである。
【0087】
グラフGBbは、明るさ補正処理後に得られるJPEG画像データの階調特性を示している。グラフGBbに示すように、この画像データでは、被写体の明度に対して出力明度(階調値)は非線形に変化している。なお、グラフGBbに示された破線は、グラフGBaの階調特性と同じ階調特性を示している。実線の特性は、破線の特性に対して、被写体の明度の中間部において出力明度が明るくなるように、補正されている。
【0088】
2つのグラフGAc,GBbを比較して分かるように、露出補正後に得られる現像済み画像データ(印刷用画像データ)の階調特性と、明るさ補正処理後に得られるJPEG画像データの階調特性とは、まったく異なっている。これは、露出補正処理では、グラフGAbに示すように、線形の階調特性を有する画像データの各画素の階調値に係数を乗じる補正が行われるが、明るさ補正処理では、グラフGBbに示すように、通常、非線形の階調特性を有するJPEG画像データの各画素の階調値をべき乗する補正が行われるためである。すなわち、明るさ補正処理では、通常、画像の明度の中間部分をより明るくする処理が行なわれ、グラフGBbの実線の特性は、グラフGBaの特性に対してY=X1/aというべき乗の処理を行なって求められる。このため、露出補正処理が実行される場合には、撮影時に露出を補正した場合と同じ効果が得られるが、明るさ補正処理が実行される場合には、撮影時に露出を補正した場合と同じ効果は得られない。
【0089】
また、JPEG画像データは非線形の階調特性を有すると共に、JPEG画像データでは各画素の階調は8ビットで表現されている。このため、画質が劣化しないように明るさ補正処理を実行する場合には、+0.5〜−0.5EV相当の明るさ補正に制限される。すなわち、やや明るさの不足する失敗写真や、やや明るさの過剰な失敗写真を正常な明るさの写真に補正することができる程度である。これを超える範囲の明るさ補正が実行される場合には、8ビットのJPEG画像データのある階調範囲では、トーンジャンプと呼ばれる階調のジャンプが発生し、階調がスムーズに変化せずに不自然に変化してしまい、この結果、綺麗な画像が得られない。一方、RAW画像データは線形の階調特性を有していると共に、RAW画像データでは各画素の階調が例えば12ビットで表現されている。特に、本実施例では、現像処理部252は、RAW画像データの各画素の階調を12ビットから16ビット精度にビット増大させて現像処理を行う。このため、本実施例では、画質の劣化を殆ど発生させること無く+2.0〜−2.0EVの露出補正を行うことができる。
【0090】
以上説明したように、本実施例では、RAW画像印刷設定画面Wb(図6)には、JPEG画像印刷設定画面Wa(図5)に含まれない項目「露出補正」が含まれているため、RAW画像データを用いて印刷を実行する場合に、項目「露出補正」に対応する露出補正処理を含む現像処理を実行して、換言すれば、JPEG画像データを用いて印刷する場合に実行不能な露出補正処理(すなわち撮影段階でカメラ内で実施するのとほぼ同等の露出補正処理)を含む現像処理を実行して、RAW画像データから印刷データを容易に生成することができる。
【0091】
なお、図8では、項目「露出補正」(図6)と項目「明るさ補正」(図5)との相違について説明したが、項目「ホワイトバランス補正」(図6)と項目「色あい補正」(図5)との相違についても同様である。すなわち、項目「ホワイトバランス補正」に光源の種類が設定されると、線形の階調特性を有するRAW画像データを構成するRGBデータ毎に、各画素の階調値に目標のホワイトバランスに応じた係数が乗じられる。一方、項目「色あい設定」が変更されると、非線形の階調特性を有するJPEG画像データのRGB成分毎に、各画素の階調値に異なる演算処理(例えばべき乗)が施される。
【0092】
なお、本実施例では、JPEG画像印刷画像Wa(図5)には、項目「明るさ補正」と項目「色あい補正」とが含まれているが、これらの項目は省略可能である。
【0093】
また、本実施例では、露出補正処理に対応する項目名は「露出補正」であるが、これに代えて、他の名称(例えば「明るさ補正」や「EV補正」)であってもよい。同様に、上記実施例では、ホワイトバランス補正処理に対応する項目名は「ホワイトバランス補正」であるが、これに代えて、他の名称(例えば「色あい補正」)であってもよい。
【0094】
上記の説明から分かるように、本実施例におけるJPEG画像印刷画面Wb(図5)が本発明における第1の設定画面に相当し、RAW画像印刷設定画面Wa(図6)が第2の設定画面に相当する。また、項目「露出補正」と項目「ホワイトバランス補正」とが本発明における特定項目に相当し、露出補正処理とホワイトバランス補正処理とが本発明における特定処理に相当する。
【0095】
特に、本実施例では、RAW画像印刷設定画面Wb(図6)内の参照画像表示フィールドFbには参照画像が表示されるため、ユーザは、参照画像を確認することによって、RAW画像データに対する長時間を要する現像処理が実行される前に、換言すれば、現像処理の完了を待たずに、印刷対象のRAW画像データに表現される被写体を迅速に把握することができる。すなわち、非常に長い時間を要する一連の現像処理をRAW画像データに施して表示用の画像データが生成されるのを待たずに済む。この結果、ユーザは、印刷対象のRAW画像データを極めて迅速に選択することができる。
【0096】
D.表示用画像データの調整:
前述したように、本実施例では、RAW画像印刷設定画面Wb(図6)内の参照画像表示フィールドFaに表示される参照画像は、RAW画像ファイルに含まれる表示用画像データを用いて作成されている。
【0097】
表示パネル260に表示される参照画像の階調再現性(画像各部の明るさ)と、プリンタ200によって印刷される画像(印刷済み画像)の階調再現性(画像各部の明るさ)とは、ユーザによってほぼ同じに見える、換言すれば、ユーザによってほぼ同じに認識されることが、複数の画像の中から適正な明るさの画像を選択してプリントしたいというユーザのニーズに対応する上でも好ましい。
【0098】
しかしながら、実際には、参照画像の明るさと印刷済み画像の明るさとの印象を同じにすることは難しい。この問題の第1の原因は、各デバイスの特性が異なること(表示画像は、発光型の表示パネルによって表示され、印刷物はプリンタによって印刷された反射型の表示物である等)である。ただし、各デバイスの特性の相違は、カラーマッチング処理により解消可能である。また、上記の問題の第2の原因は、RAW画像ファイルに含まれる表示用画像データの階調特性と、ステップS212の階調補正処理を経て得られる現像済み画像データ(印刷用画像データ)の階調特性と、が異なることである。このように階調特性が相違するのは、表示用画像データは、カメラメーカの推奨する現像処理(具体的には階調補正処理)を施すことによって得られた画像データであるが、プリンタ200においてRAW画像データから得られる現像済み画像データ(印刷用画像データ)は、プリンタメーカの推奨する現像処理(具体的には階調補正処理)を施すことによって得られた画像データであるためである。上記のように、階調特性が相違するため、カラーマッチング技術を利用して表示画像と印刷物の見えを同等にしても、表示画像と印刷物の明るさ特性は、ユーザによって異なって認識され得る。
【0099】
なお、仮に、表示パネル260に表示される画像が、プリンタ200で生成された現像済み画像データ(印刷用画像データ)を用いて作成されれば、参照画像の明るさと印刷済み画像の明るさとを、ユーザにほぼ同じに認識させることは可能である。しかしながら、印刷用画像データを生成するのには、換言すれば、RAW画像データの現像処理には、時間が掛かる。このため、ユーザの早く画像を観たいという希望を満たすために、本実施例では、RAW画像データを用いた印刷が実行される場合には、現像処理が実行される前に、表示用画像データを用いて表示パネル260に参照画像が表示されている。ただし、この場合には、上記のように、参照画像の明るさと印刷済み画像の明るさとが、ユーザによって異なって認識され得るという問題が発生し得る。そこで、本実施例では、この問題を解決し、複数の画像の中から適正な明るさの画像を選択して思い通りの画像をプリントしたいというユーザのニーズに対応するのを目的としている。また、ある画像を適切な明るさに露出補正して画像をプリントしたいが、その適切な露出補正の設定値はどの値にするべきかをプリント結果ではなく、表示パネルを見ながら決めたいというニーズに対応するのを目的としている。
【0100】
図9は、印刷用画像データの階調特性Pと表示用画像データの階調特性Dとを示す説明図である。ここでは、あるカメラメーカのRAW画像データを、本実施例のプリンタ200で印刷する場合を想定して説明する。印刷用画像データの階調特性P(図9の一点鎖線)は、現像処理部252による現像処理(具体的には階調補正処理)の特性を意味している。表示用画像データの階調特性D(図9の実線)は、カメラにおける現像処理(具体的には階調補正処理)の特性を意味している。図8と同様に、図9の横軸は、被写体の明度、換言すれば、RAW画像データ(より具体的には、図7のステップS206の露出補正処理が実行されない場合において、図7のステップS212の階調補正処理が施される前の画像データ)によって表現される被写体の明度(階調値)を意味している。縦軸は、各画像データの出力明度、すなわち、印刷用画像データまたは表示用画像データによって表現される該被写体の明度(階調値)を示している。
【0101】
なお、図9において、被写体の明度(RAW画像データの明度)は、RAW画像データの採り得る最大階調値(例えば4096階調における4095)を1.0としたときの階調値を示しており、出力明度(各画像データの明度)は、各画像データの採り得る最大階調値(例えば256階調における255)を1.0としたときの階調値を示している。
【0102】
表示用画像データの階調特性Dは、各カメラメーカがカメラ内で作成した階調補正特性であり、図9に示すように、印刷用画像データの階調特性Pと異なっている。図9から、印刷用画像データの出力明度は、被写体の明度が約0.05以下および約0.7以上の範囲で表示用画像データの出力明度も大きく、被写体の明度が約0.05〜約0.7の範囲で表示用画像データの出力明度よりも小さいことが分かる。
【0103】
このように2つの階調特性P,Dが異なっていると、前述したように、印刷済み画像の明るさと参照画像の明るさとが、ユーザによって異なって認識されてしまう。そこで、本実施例では、印刷済み画像の明るさと参照画像の明るさとがユーザによってほぼ同じに認識されるように工夫することにより、実際に印刷した場合の印刷済み画像の明るさをより直感的に認識可能な利便性を提供している。
【0104】
具体的には、本実施例では、表示用画像データ調整部244は、表示用画像データの階調特性Dが印刷用画像データの階調特性Pに近づくように、表示用画像データを調整する。なお、調整処理は、図3のステップS122において、RAW画像印刷設定画面Wb(図6)の参照画像表示フィールドFb内に参照画像が表示される際に実行される。
【0105】
ただし、表示用画像データの階調特性Dは、表示用画像データを生成したカメラの種類、具体的には、カメラの現像処理(より具体的には階調補正処理)に依存する。このため、本実施例では、調整処理の処理条件は、カメラの種類に応じて変更される。具体的には、表示用画像データ調整部244は、表示用画像データを含むRAW画像ファイル内のヘッダ部を解析し、メーカ名および機種名を取得する。表示用画像データ調整部244は、メーカ名および機種名と、処理条件と、の組み合わせが複数登録されたテーブル(図示せず)を備えている。表示用画像データ調整部244は、取得したメーカ名および機種名から、テーブルを参照して、処理条件を選択する。そして、表示用画像データ調整部244は、選択された処理条件を利用して調整処理を実行する。こうすれば、カメラの種類毎に異なり得る表示用画像データの階調特性に応じて、適切に調整処理を実行することができる。
【0106】
調整処理の方法としては、種々の方法が挙げられる。以下では、表示用画像データを含むRAW画像ファイルが特定の種類のカメラで生成された場合を想定して、3種類の調整方法について説明する。
【0107】
D−1.第1の調整方法:
第1の調整方法では、表示用画像データ調整部244は、以下の式(1)に基づいて、表示用画像データに調整処理を施し、調整済み表示用画像データを生成する。
【0108】
Y=a・X …(1)
【0109】
ここで、Xは、表示用画像データの明度、すなわち調整処理前の階調値を示し、表示用画像データが採り得る最大階調値を1.0としたときの階調値である。Yは、調整済み表示用画像データの明度、すなわち調整処理後の階調値を示し、調整済み表示用画像データが採り得る最大階調値を1.0としたときの階調値である。aは、正の値であり、カメラの種類に応じて変更される。本実施例では、a=0.95に設定されている。
【0110】
図10は、第1の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と調整済み表示用画像データの明度との関係を示す説明図である。図10に示す直線C1は、上記の式(1)で表される。図10では、参考のため、Y=Xの直線が一点鎖線で示されている。直線C1から分かるように、第1の調整方法では、表示用画像データの明度は、調整処理後には、すべての階調範囲で低減される。例えば、表示用画像データに含まれる明度0.5を有する画素は、調整済み表示用画像データにおいて明度0.475(=0.95×0.5)を有する。
【0111】
なお、図10において、横軸に示される表示用画像データの明度の最大値が約0.9となっているのは、図9において、縦軸に示される表示用画像データの明度(出力明度)の最大値が約0.9となっているのに対応している。
【0112】
図11は、第1の調整方法を用いた場合における調整済み表示用画像データの階調特性D1を示す説明図である。なお、図11では、図9に示す2つの階調特性P,Dも示されている。
【0113】
図11に示す調整用画像データの階調特性D1から分かるように、表示用画像データの階調特性Dは、調整処理後には、被写体の明度が約0.05〜約0.6の範囲で印刷用画像データの階調特性Pに近づいていると言える。
【0114】
第1の調整方法を採用すれば、利用頻度の高い中間調において、参照画像の明るさと印刷済み画像の明るさとをユーザにほぼ同じに認識させることができる。また、第1の調整方法では、上記の式(1)が利用されるため、簡単かつ迅速に調整処理を実行することができる。
【0115】
D−2.第2の調整方法:
第2の調整方法では、表示用画像データ調整部244は、以下の式(2)に基づいて、表示用画像データに調整処理を施し、調整済み表示用画像データを生成する。
【0116】
Y=b・Xc …(2)
【0117】
ここで、b,cは正の値であり、カメラの種類に応じて変更される。本実施例では、b=1.05,c=1.2に設定されている。
【0118】
図12は、第2の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と調整済み表示用画像データの明度との関係を示す説明図である。図12に示す曲線C2は、上記の式(2)で表される。曲線C2から分かるように、第2の調整方法では、表示用画像データの明度は、調整処理後には、比較的低い階調範囲で低減され、比較的高い階調範囲で増大される。例えば、表示用画像データに含まれる明度0.5を有する画素は、調整済み表示用画像データにおいて明度約0.457(=1.05×(0.5)1.2)を有し、表示用画像データに含まれる明度0.9を有する画素は、調整済み表示用画像データにおいて明度約0.925(=1.05×(0.9)1.2)を有する。
【0119】
図13は、第2の調整方法を用いた場合における調整済み表示用画像データの階調特性D2を示す説明図である。なお、図13では、図9に示す2つの階調特性P,Dも示されている。
【0120】
図13に示す調整用画像データの階調特性D2から分かるように、表示用画像データの階調特性Dは、調整処理後には、被写体の明度が約0.1以上の広い範囲で印刷用画像データの階調特性Pにかなり近づいていると言える。
【0121】
第2の調整方法を採用すれば、中間調から明部において、参照画像の明るさと印刷済み画像の明るさとをユーザにほぼ同じに認識させることができる。また、第2の調整方法では、上記の式(2)が利用されるため、簡単かつ迅速に調整処理を実行することができる。図12に示す調整処理を図9に示す階調特性Dを有する表示用画像データに対して施すことにより、図13に示す階調特性D2が得られるため、ユーザは、表示パネルで観た画像の明るさおよび印刷物の明るさの特性がほぼ同等であると感じることができる。
【0122】
D−3.第3の調整方法:
第3の調整方法では、表示用画像データ調整部244は、図示しないLUT(ルック・アップ・テーブル)を利用して、表示用画像データに調整処理を施し、調整済み表示用画像データを生成する。
【0123】
図14は、第3の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と調整済み表示用画像データの明度との関係を示す説明図である。この図14に示す曲線C3の関係がLUTに登録されている。
【0124】
曲線C3から分かるように、第3の調整方法では、表示用画像データの明度は、調整処理後には、約0.2以下および約0.85以上の階調範囲で増大され、約0.2〜約0.85の階調範囲で低減される。図14に示す関係は、図9に示す2つの階調特性P,Dの関係に基づいて設定されている。すなわち、図9では、表示用画像データの出力明度が約0.2以下および約0.85以上の範囲で、表示用画像データの出力明度は、印刷用画像データの出力明度より小さく、表示用画像データの出力明度が約0.2〜約0.85の範囲で、表示用画像データの出力明度は、印刷用画像データの出力明度より大きい。そして、図14に示す関係は、図9に示す関係を修正するように、すなわち、表示用画像データの階調特性Dが印刷用画像データの階調特性Pに一致するように、設定されている。
【0125】
図15は、第3の調整方法を用いた場合における調整済み表示用画像データの階調特性D3を示す説明図である。なお、図15では、図9に示す2つの階調特性P,Dも示されている。
【0126】
図15に示す調整用画像データの階調特性D3から分かるように、表示用画像データの階調特性Dは、調整処理後には、被写体の明度のすべての範囲で印刷用画像データの階調特性Pと一致している。
【0127】
第3の調整方法を採用すれば、すべての階調において、参照画像の明るさと印刷済み画像の明るさとをユーザにほぼ同じに認識させることができる。ユーザは、表示パネルで観た画像の明るさおよび印刷物の明るさの特性がほぼ同等であると感じることができる。
【0128】
以上説明したように、本実施例では、表示用画像データの階調特性Dが印刷用画像データの階調特性Pに近づくように、表示用画像データの階調特性Dが調整される。このため、ユーザは、参照画像を確認することにより、長時間を要する現像処理が実行される前に、換言すれば、現像処理の完了を待たずに、印刷済み画像の明るさを迅速に把握することができる。この結果、無駄な印刷の実行を防止することができる。すなわち、ユーザは明るさの最適な画像を選んだ後に印刷の開始を指示することができるため、過度に明るい失敗写真を印刷してしまったり、過度に暗い失敗写真を印刷してしまったり、という無駄な印刷を実行せずに済む。
【0129】
なお、本実施例では、表示画像の明るさ特性(階調特性)と印刷物の明るさ特性(階調特性)とを同一にするための前述のカラーマッチング処理が、図1の表示パネル260内で行なわれている。
【0130】
なお、本明細書において、「表示用画像データの階調特性が印刷用画像データの階調特性に近づくように」表示用画像データを調整するとは、被写体の明度(RAW画像データの明度)の少なくとも一部の範囲(例えば中間調)において、調整済み表示用画像データの明度と印刷用画像データの明度との差分が、表示用画像データの明度と印刷用画像データの明度との差分よりも小さくなるように、表示用画像データを調整することを意味する。
【0131】
E.露出の補正量に応じた表示用画像データの調整:
ところで、RAW画像印刷設定画面Wb(図6)に含まれる項目「露出補正」の内容がユーザによって有意な値(すなわち「補正なし」以外)に設定される場合には、表示パネル260上に、露出の補正量に応じて明るさが調整された画像が表示されることが好ましい。そして、該設定画面Wbの項目「露出補正」の内容がユーザによって有意な値に設定される場合にも、参照画像の明るさと印刷済み画像の明るさとは、ユーザによってほぼ同じに認識されることが好ましい。こうすれば、ユーザは図6の参照画像表示フィールドFb内の画像を見ながら最適な露出の補正量を選択することが可能となり、ユーザの利便性は大幅に向上する。そこで、本実施例では、露出の補正量が有意な値に設定される場合にも、参照画像の明るさと露出補正処理が施された印刷済み画像の明るさとがユーザによってほぼ同じに認識されるように工夫している。
【0132】
露出の補正量が有意な値に設定される場合には、現像処理部252は、ステップS206(図7)において露出補正処理を実行する。前述したように、露出補正処理では、RAW画像データに含まれる各画素の階調値に露出の補正量に応じた係数が乗じられる。
【0133】
下記の表1は、露出の補正量と、RAW画像データに乗じられる係数と、の関係を示す。表1から分かるように、露出の補正量が「nEV」(nは+2.0,+1.5,+1.0,+0.5,±0,−0.5,−1.0,−1.5,−2.0のうちのいずれか)に設定される場合には、係数は2nに設定される。例えば、露出の補正量が「+2.0EV」に設定される場合には、RAW画像データに含まれる各画素の階調値に対して4(=2+2.0)が乗じられる。
【0134】
【表1】
【0135】
表1に基づいて露出の補正量に応じた露出補正処理が施されると、露出の補正量に応じた現像済み画像データ(印刷用画像データ)が生成される(図7参照)。なお、現像済み画像データ(印刷用画像データ)は、前述の図7の一連の処理によって生成される。前述の図8の例では、ステップS206の露出補正処理により、グラフGAa(図8)がグラフGAbの実線の特性に変更され、ステップS212の階調補正処理(ガンマ補正処理)によりグラフGAcの実線の特性に変更される。
【0136】
図16は、露出の補正量に応じた印刷用画像データの階調特性P,Pha〜Phd,Pla〜Pldを示す説明図である。なお、図16の階調特性Pは、図9の階調特性Pと同じであり、露出の補正量が「±0EV(補正なし)」に設定される場合に得られる。階調特性Pha,Phb,Phc,Phdは、それぞれ、露出の補正量が「+0.5EV」,「+1.0EV」,「+1.5EV」,「+2.0EV」に設定される場合に得られる。また、階調特性Pla,Plb,Plc,Pldは、それぞれ、露出の補正量が「−0.5EV」,「−1.0EV」,「−1.5EV」,「−2.0EV」に設定される場合に得られる。
【0137】
表示用画像データ調整部244は、図3のステップS122において、RAW画像印刷設定画面Wb(図6)内の項目「露出補正」に設定された露出の補正量に応じて、表示用画像データを調整する。具体的には、表示用画像データは、表示用画像データの階調特性Dが図16に示す露出の補正量に応じた印刷用画像データの階調特性P,Pha〜Phd,Pla〜Pldに近づくように、露出の補正量に応じて調整される。なお、露出の補正量に応じて表示用画像データが調整される場合にも、前述したように、調整処理の処理条件は、表示用画像データを生成したカメラの種類に応じて変更される。こうすれば、カメラの種類毎に異なり得る表示用画像データの階調特性に応じて、適切に露出の補正量に応じた調整処理を実行することができる。
【0138】
以下では、表示用画像データを含むRAW画像ファイルが前述の特定の種類のカメラで生成された場合を想定して、前述の3種類の調整方法を用いて、露出の補正量に応じた調整処理が実行される場合について説明する。
【0139】
E−1.第1の調整方法:
第1の調整方法では、表示用画像データ調整部244は、以下の式(3)に基づいて、表示用画像データに露出の補正量に応じた調整処理を施し、調整済み表示用画像データを生成する。
【0140】
Y=A・X …(3)
【0141】
ここで、Aは、露出の補正量に応じて設定される正の値であり、カメラの機種に応じて変更される。
【0142】
下記の表2は、露出の補正量と、上記の式(3)のAの値と、の関係を示す。例えば、露出の補正量が「+2.0EV」に設定される場合には「A=2.2」に設定される。また、露出の補正量が「±0EV(補正なし)」に設定される場合には、式(1)に関して前述したように「A=0.95」に設定される。
【0143】
【表2】
【0144】
図17は、第1の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と、露出の補正量に応じた調整済み表示用画像データの明度と、の関係を示す説明図である。図17に示す各直線C1,C1ha〜C1hd,C1la〜C1ldは、上記の式(3)で表される。図17の直線C1は、図10の直線C1と同じである。なお、各直線の符号の末尾(「ha」等)は、図16と同様に、露出の補正量に応じて付されており、各直線C1ha〜C1hd,C1la〜C1ldは、露出の補正量「+0.5EV」,「+1.0EV」,「+1.5EV」,「+2.0EV」,「−0.5EV」,「−1.0EV」,「−1.5EV」,「−2.0EV」に対応している。
【0145】
図18は、第1の調整方法を用いた場合における露出の補正量に応じた調整済み表示用画像データの階調特性D1,D1ha〜D1hd,D1la〜D1ldを示す説明図である。図18の階調特性D1は、図11の階調特性D1と同じである。なお、各階調特性の符号の末尾(「ha」等)は、図16と同様に、露出の補正量に応じて付されており、各階調特性D1ha〜D1hd,D1la〜D1ldは、露出の補正量「+0.5EV」,「+1.0EV」,「+1.5EV」,「+2.0EV」,「−0.5EV」,「−1.0EV」,「−1.5EV」,「−2.0EV」に対応している。また、図18には、さらに、図9に示す表示用画像データの階調特性Dと、図16に示す印刷用画像データの3つの階調特性P,Phd,Pldと、が示されている。
【0146】
図18に示す調整済み表示用画像データの階調特性D1,D1ha〜D1hd,D1la〜D1ldから分かるように、第1の調整手法を採用すれば、表示用画像データの階調特性Dを、調整処理後に、露出の補正量に応じた印刷用画像データの階調特性P,Pha〜Phd,Pla〜Pldに近づけることができる。また、第1の調整方法では、上記の式(3)が利用されるため、簡単かつ迅速に、露出の補正量に応じた調整処理を実行することができる。
【0147】
E−2.第2の調整方法:
第2の調整方法では、表示用画像データ調整部244は、以下の式(4)に基づいて、表示用画像データに露出の補正量に応じた調整処理を施し、調整済み表示用画像データを生成する。
【0148】
Y=B・XC …(4)
【0149】
ここで、B,Cは、露出の補正量に応じて設定される正の値であり、カメラの機種に応じて変更される。
【0150】
下記の表3は、露出の補正量と、上記の式(4)のB,Cと、の関係を示す。例えば、露出の補正量が「+2.0EV」に設定される場合には「B=1.3」,「C=0.6」に設定される。また、露出の補正量が「±0EV(補正なし)」に設定される場合には、式(2)に関して前述したように「B=1.05」,「C=1.2」に設定される。
【0151】
【表3】
【0152】
図19は、第2の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と、露出の補正量に応じた調整済み表示用画像データの明度と、の関係を示す説明図である。図19に示す各曲線C2,C2ha〜C2hd,C2la〜C2ldは、上記の式(4)で表される。図19の曲線C2は、図12の曲線C2と同じである。なお、各曲線の符号の末尾(「ha」等)は、図16と同様に、露出の補正量に応じて付されており、各曲線C2ha〜C2hd,C2la〜C2ldは、露出の補正量「+0.5EV」,「+1.0EV」,「+1.5EV」,「+2.0EV」,「−0.5EV」,「−1.0EV」,「−1.5EV」,「−2.0EV」に対応している。
【0153】
図20は、第2の調整方法を用いた場合における露出の補正量に応じた調整済み表示用画像データの階調特性D2,D2ha〜D2hd,D2la〜D2ldを示す説明図である。図20の階調特性D2は、図13の階調特性D2と同じである。なお、各階調特性の符号の末尾(「ha」等)は、図16と同様に、露出の補正量に応じて付されている。また、図20には、さらに、図9に示す表示用画像データの階調特性Dと、図16に示す印刷用画像データの3つの階調特性P,Phd,Pldと、が示されている。
【0154】
図20に示す調整済み表示用画像データの階調特性D1,D1ha〜D1hd,D1la〜D1ldから分かるように、第2の調整手法を採用すれば、表示用画像データの階調特性Dを、調整処理後に、露出の補正量に応じた印刷用画像データの階調特性P,Pha〜Phd,Pla〜Pldにかなり近づけることができる。また、第2の調整方法では、上記の式(4)が利用されるため、簡単かつ迅速に、露出の補正量に応じた調整処理を実行することができる。
【0155】
E−3.第3の調整方法:
第3の調整方法では、表示用画像データ調整部244は、図示しないLUT(ルック・アップ・テーブル)を利用して、表示用画像データに露出の補正量に応じた調整処理を施し、調整済み表示用画像データを生成する。
【0156】
図21は、第3の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と、露出の補正量に応じた調整済み表示用画像データの明度と、の関係を示す説明図である。この図21に示す各曲線C3,C3ha〜C3hd,C3la〜C3ldの関係がLUTに登録されている。図21の曲線C3は、図14の曲線C3と同じである。なお、各曲線の符号の末尾(「ha」等)は、図16と同様に、露出の補正量に応じて付されており、各曲線C3ha〜C3hd,C3la〜C3ldは、露出の補正量「+0.5EV」,「+1.0EV」,「+1.5EV」,「+2.0EV」,「−0.5EV」,「−1.0EV」,「−1.5EV」,「−2.0EV」に対応している。なお、図21に示す各曲線の関係は、図14で説明したように、図9に示す表示用画像データの階調特性Dと、図16に示す露出の補正量に応じた各印刷用画像データの階調特性P,Pha〜Phd,Pla〜Pldと、の関係に基づいて設定されている。
【0157】
第3の調整方法を利用すれば、図示は省略するが、表示用画像データの階調特性Dを、調整処理後に、露出の補正量に応じた印刷用画像データの階調特性P,Pha〜Phd,Pla〜Pldに一致させることができる。すなわち、第3の調整方法を採用すれば、すべての露出の補正量について、参照画像の明るさと印刷済み画像の明るさとをユーザにほぼ同じに認識させることができる。
【0158】
以上説明したように、本実施例では、露出の補正量に応じて表示用画像データの階調特性が調整される。このため、露出補正処理を含む現像処理が実行される前に、露出の補正量に応じて参照画像の明るさを変更することができる。この結果、ユーザは、参照画像を表示パネルで確認しつつユーザの好みの露出補正量を選択可能であり、露出補正処理を含む現像処理を実際に実行せずに、露出の補正量の設定を容易に行うことができる。この際、操作ボタンを操作して露出の補正量を「+1.0EV」,「+1.5EV」,「+0.5EV」等に設定する度に、即座に参照画像の明るさが変更されるため、ユーザは待ち時間を伴わずに露出の補正量の設定を気軽に変更でき、また、設定画面Wbで選択された露出の補正量で印刷を実行すれば、思い通りの明るさの印刷済み画像を得ることができ、ユーザの利便性は極めて向上する。
【0159】
特に、本実施例では、表示用画像データの階調特性が露出の補正量に応じた印刷用画像データの階調特性に近づくように、表示用画像データが露出の補正量に応じて調整される。このため、ユーザは、参照画像を確認することにより、長時間を要する現像処理が実行される前に、換言すれば、現像処理の完了を待たずに、露出の補正量に応じた印刷済み画像の明るさを迅速に把握することができる。この結果、無駄な印刷の実行を防止することができる。
【0160】
なお、本明細書において、「表示用画像データの階調特性が露出の補正量に応じた印刷用画像データの階調特性に近づくように」表示用画像データを露出の補正量に応じて調整するとは、被写体の明度(RAW画像データの明度)の少なくとも一部の範囲(例えば中間調)において、調整済み表示用画像データの明度と露出の補正量に応じた印刷用画像データの明度との差分が、表示用画像データの明度と露出の補正量に応じた印刷用画像データの明度との差分よりも小さくなるように、表示用画像データを露出の補正量に応じて調整することを意味する。
【0161】
F.変形例:
F−1.第1の変形例:
上記実施例では、印刷設定選択画面W(図4)において「RAW画像印刷設定」選択ボタンB2が選択されると、調整済み表示用画像データによって表される参照画像を含むRAW画像印刷設定画面Wb(図6)が表示される。そして該画面Wb内の「印刷」ボタンBPbが選択されると、RAW画像データを用いて印刷が実行される。しかしながら、これに代えて、調整済み表示用画像データを用いて印刷が実行されるようにしてもよい。
【0162】
図22は、第1の変形例において表示される印刷対象画像選択画面Wcを示す説明図である。なお、この選択画面Wcは、RAW画像印刷設定画面Wb(図6)内の「印刷」ボタンBPbが選択されたときに、表示パネル260に表示される。なお、選択画面Wcは、印刷データ生成部250によって準備される。
【0163】
図示するように、印刷対象画像選択画面Wcには、「RAW画像印刷」選択ボタンBPc1と、「表示用画像印刷」選択ボタンBPc2と、が含まれている。「RAW画像印刷」選択ボタンBPc1が選択されると、RAW画像データを用いて印刷データが生成され、該印刷データを用いて印刷が実行される。一方、「表示用画像印刷」選択ボタンBPc2が選択されると、調整済み表示用画像データを用いて印刷データが生成され、該印刷データを用いて印刷が実行される。
【0164】
具体的には、ステップS102でRAW画像印刷設定画面Wb(図6)内の「印刷」ボタンBPbが選択されると、ステップS124において、処理条件決定部240は、前述のように処理条件を決定する。そして、印刷対象画像選択画面Wc(図22)内の「RAW画像印刷」選択ボタンBPc1が選択されると、ステップS126において、現像処理部252は、前述のようにRAW画像データに対して現像処理を施す。また、ステップS132において、現像済み画像処理部254は、前述のように、現像済み画像データ(印刷用画像データ)を用いて印刷データを生成する。
【0165】
一方、ステップS102でRAW画像印刷設定画面Wb(図6)内の「印刷」ボタンBPbが選択されると、ステップS124において、処理条件決定部240は、前述のように処理条件を決定する。そして、印刷対象画像選択画面Wc(図22)内の「表示用画像印刷」選択ボタンBPc2が選択されると、ステップS132において、現像済み画像処理部254は、調整済み表示用画像データを用いて印刷データを生成する。なお、調整済み表示用画像データは、カメラにおいて既に現像処理が施された画像データであるため、ステップS126の現像処理は、スキップされる。すなわち、ステップS124で決定された処理条件のうち、現像処理に関する処理条件は無視される。
【0166】
本例を採用すれば、調整済み表示用画像データを用いて、迅速に印刷を実行することが可能となる。また、ユーザは、迅速に得られた印刷結果に基づいて、RAW画像データを用いた印刷を実行するか否かを決定することができる。すなわち、短時間で終了する調整済み表示用画像データを用いた印刷を試験的に実行することによって、調整済み表示用画像データを用いて試験的に得られた印刷結果を参照して、長時間を要するRAW画像を用いた印刷を実行するか否かを決定することができる。
【0167】
F−2.第2の変形例:
上記実施例では、図5,図6を比較して分かるように、RAW画像印刷設定画面Wbには、JPEG画像印刷設定画面Waに含まれる複数の項目のうちの一部の項目(例えば、項目「明るさ補正」,「色あい補正」)が含まれていない。しかしながら、JPEG画像データに対して実行可能な処理は、RAW画像データに対しても実行可能であるため、RAW画像印刷設定画面Wbには、JPEG画像印刷設定画面Waに含まれる複数の項目のうちのすべてが含まれていてもよい。例えば、JPEG画像印刷設定画面Waには、4つの項目「印刷用紙」,「用紙サイズ」,「印刷品質」,「赤目補正」が含まれ、RAW画像印刷設定画面Wbには、該4つの項目と、他の2つの項目「露出補正」,「ホワイトバランス補正」と、が含まれていればよい。あるいは、JPEG画像印刷設定画面Waには、図5に示す6つの項目が含まれ、RAW画像印刷設定画面Wbには、図6に示す6つの項目と、2つの項目「明るさ補正」,「色あい補正」と、が含まれていてもよい。
【0168】
一般には、第2の設定画面内の第2種の項目群は、第1の設定画面内の第1種の項目群に含まれない特定項目を含んでいればよい。また、第2の設定画面内の第2種の項目群は、第1の設定画面内の第1種の項目群に含まれる全項目を含んでいてもよい。
【0169】
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0170】
(1)上記実施例では、印刷設定選択画面W(図4)が表示されているが、該選択画面Wは省略可能である。この場合には、例えば、操作部270に含まれる第1のボタンと第2のボタンとをそれぞれ選択することによってJPEG画像印刷設定画面WaとRAW画像印刷設定画面Wbとが表示されればよい。
【0171】
(2)上記実施例では、2つの設定画面Wa,Wb(図5,図6)は、それぞれ参照画像表示フィールドFa,Fbを含んでいるが、参照画像表示フィールドFa,Fbは省略可能である。なお、この場合には、表示用画像データ調整部244も省略される。
【0172】
(3)上記実施例では、RAW画像印刷設定画面Wb(図6)内の一部の領域に参照画像表示フィールドFbが設けられているが、これに代えて、該設定画面Wbの全体に参照画像表示フィールドFbが設けられていてもよい。この場合には、参照画像表示フィールドFb上に、選択ボタンや複数の項目などが重畳して表示されればよい。
【0173】
(4)上記実施例では、RAW画像ファイル内にRAW画像データと表示用画像データとが含まれているが、これに代えて、RAW画像データと表示用画像データとが異なるファイルに含まれ、かつ、RAW画像データと表示用画像データとが互いに関連付けられていてもよい。
【0174】
また、上記実施例では、RAW画像ファイルは、RAW画像データと表示用画像データとを含んでいるが、表示用画像データを含まない場合にも、参照画像表示フィールドFbに参照画像を表示可能である。例えば、RAW画像ファイル内にRAW画像データと共に記録されたJPEG画像データが含まれている場合には、該JPEG画像データに対して縮小処理を施すことによって、参照画像表示フィールドFbに参照画像が表示されればよい。また、RAW画像ファイル内に該JPEG画像データが含まれない場合には、RAW画像データに対して高速な現像処理を施すことによって、参照画像表示フィールドFbに参照画像が表示されればよい。なお、高速な現像処理では、RAW画像データの画素数および/または各画素のビット数が低減される。
【0175】
(5)上記実施例では、図3のステップS122において、露出が補正される場合(すなわち「±0EV(補正なし)」以外に設定される場合)に、表示用画像データに対する調整処理が実行されているが、これに代えて、露出が補正される場合には、調整処理は省略されてもよい。この場合にも、露出が補正されない場合において、印刷済み画像の明るさと参照画像の明るさとをユーザにほぼ同じに認識させることができる。
【0176】
また、上記実施例では、図3のステップS122において、露出が補正されない場合(すなわち「±0EV(補正なし)」に設定される場合)に、表示用画像データに対する調整処理が実行されているが、これに代えて、露出が補正されない場合には、調整処理は省略されてもよい。この場合にも、露出が補正される場合において、露出の補正量に応じて、参照画像表示フィールドFbに表示される参照画像の明るさを変更することができる。
【0177】
(6)上記実施例では、露出の補正範囲は、+0.2EV〜−0.2EVに設定されているが、これに代えて、より広い範囲またはより狭い範囲に設定されてもよい。また、上記実施例では、露出の補正量は、0.5EV毎で設定可能であるが、これに代えて、1.0EV毎や、0.25EV毎、0.1EV毎などに設定可能であってもよい。
【0178】
(7)上記実施例では、表示用画像データの階調特性を調整するための3種類の調整方法について説明したが、これに代えて、他の方法が利用されてもよい。例えば、第1の調整方法と第2の調整方法とを組み合わせた方法が利用されてもよい。この場合には、例えば、表示用画像データの明度(階調値)に応じて、第1の調整方法と第2の調整方法とが使い分けられればよい。
【0179】
(8)上記実施例では、RAW画像データおよび表示用画像データを含むRAW画像ファイルを生成したカメラの種類は、RAW画像ファイル内のヘッダ部に記述されたメーカ名および機種名を調べることによって特定されているが、これに代えて、ユーザがカメラのメーカ名および機種名を入力することによって特定されてもよい。
【0180】
(9)上記実施例では、説明の便宜上、JPEG画像データとRAW画像データとを用いて印刷を実行する場合について説明したが、これに加えて、BMP形式などの他の形式の現像済みの画像データを用いて印刷が実行されてもよい。
【0181】
(10)上記実施例では、印刷のための処理条件が決定され、該処理条件に従って原画像データに対して画像処理が施されて印刷データが生成されているが、これに代えて、表示のための処理条件が決定され、該処理条件に従って原画像データに対して画像処理が施されて表示データが生成されてもよい。すなわち、本発明は、印刷と無関係な画像処理装置に適用可能である。一般には、画像処理装置は、原画像データに対する画像処理のための処理条件を決定し、該処理条件に従って、原画像データに対して画像処理を実行すればよい。
【0182】
また、上記実施例では、プリンタ200に本発明が適用される場合について説明したが、これに代えて、パーソナルコンピュータ、画像ビューア(viewer)装置、カメラ等にも適用可能である。一般には、本発明は、表示部と印刷実行部とを利用する印刷制御装置に適用可能である。なお、パーソナルコンピュータ、画像ビューア(viewer)装置、カメラ等は、印刷制御装置として利用可能であると共に、上記の画像処理装置としても利用可能である。
【0183】
(11)上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】実施例におけるプリンタ200を示す説明図である。
【図2】RAW画像データを含むRAW画像ファイルの構造を模式的に示す説明図である。
【図3】印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】印刷設定選択画面Wを示す説明図である。
【図5】JPEG画像印刷設定画面Waを示す説明図である。
【図6】RAW画像印刷設定画面Wbを示す説明図である。
【図7】図3のステップS126で実行される現像処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】露出補正処理の内容と明るさ補正処理の内容とを示す説明図である。
【図9】印刷用画像データの階調特性Pと表示用画像データの階調特性Dとを示す説明図である。
【図10】第1の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と調整済み表示用画像データの明度との関係を示す説明図である。
【図11】第1の調整方法を用いた場合における調整済み表示用画像データの階調特性D1を示す説明図である。
【図12】第2の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と調整済み表示用画像データの明度との関係を示す説明図である。
【図13】第2の調整方法を用いた場合における調整済み表示用画像データの階調特性D2を示す説明図である。
【図14】第3の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と調整済み表示用画像データの明度との関係を示す説明図である。
【図15】第3の調整方法を用いた場合における調整済み表示用画像データの階調特性D3を示す説明図である。
【図16】露出の補正量に応じた印刷用画像データの階調特性P,Pha〜Phd,Pla〜Pldを示す説明図である。
【図17】第1の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と、露出の補正量に応じた調整済み表示用画像データの明度と、の関係を示す説明図である。
【図18】第1の調整方法を用いた場合における露出の補正量に応じた調整済み表示用画像データの階調特性D1,D1ha〜D1hd,D1la〜D1ldを示す説明図である。
【図19】第2の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と、露出の補正量に応じた調整済み表示用画像データの明度と、の関係を示す説明図である。
【図20】第2の調整方法を用いた場合における露出の補正量に応じた調整済み表示用画像データの階調特性D2,D2ha〜D2hd,D2la〜D2ldを示す説明図である。
【図21】第3の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と、露出の補正量に応じた調整済み表示用画像データの明度と、の関係を示す説明図である。
【図22】第1の変形例において表示される印刷対象画像選択画面Wcを示す説明図である。
【符号の説明】
【0185】
200…プリンタ
210…CPU
220…内部記憶装置
230…印刷制御部
240…処理条件決定部
242a…第1の設定部
242b…第2の設定部
244…表示用画像データ調整部
250…印刷データ生成部
252…画像処理部
254…現像済み画像処理部
260…表示パネル
270…操作部
280…印刷実行部
290…インタフェース(I/F)部
MC…メモリカード
【技術分野】
【0001】
本発明は、未現像の画像データを用いて印刷や表示等を行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラ(以下「カメラ」とも呼ぶ)は、通常、RAW画像データに対して現像処理(デジタル画像処理)を施して現像済み画像データ(例えばJPEG画像データ)を生成し、該現像済み画像データをメモリカードに記録している。なお、RAW画像データは、カメラに備えられたイメージセンサ(例えばCCD,CMOS等)が検出した光の検出値をアナログ−デジタル変換し、各画素データの集合体としての1フレーム分の画像データのそのままの情報を記録したデータであり、カメラにおいて現像処理が施されていない未現像の画像データである。近年、一部のカメラは、メモリカードにRAW画像データを記録可能である。なお、RAW画像データが記録された画像ファイルには、通常、撮影時の設定情報なども記録されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−223979号公報
【特許文献2】特開2004−128809号公報
【特許文献3】特開2005−63128号公報
【特許文献4】特開2005−33255号公報
【特許文献5】特開2003−250053号公報
【特許文献6】特開2005−175978号公報
【特許文献7】特開2006−203555号公報
【特許文献8】特開平11−164149号公報
【特許文献9】特開2006−203572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来では、RAW画像データを用いた印刷や表示等の画像処理についてあまり考慮されておらず、RAW画像データを用いて容易に印刷や表示等の画像処理を実行することができなかった。
【0005】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、未現像の画像データを用いて容易に印刷や表示等の画像処理を実行することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1] 表示部と印刷実行部とを利用する印刷制御装置であって、
原画像データを用いた印刷のための処理条件を決定する処理条件決定部と、
前記処理条件に従って、前記原画像データから前記印刷実行部に供給される印刷データを生成する印刷データ生成部と、
を備え、
前記処理条件決定部は、
前記原画像データが現像済みの第1種の原画像データである場合に、前記第1種の原画像データの前記処理条件を決定するための第1種の項目群の設定をユーザに許容する第1の設定画面を前記表示部に表示させる第1の設定部と、
前記原画像データが未現像の第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データの前記処理条件を決定するための第2種の項目群の設定を前記ユーザに許容する第2の設定画面を前記表示部に表示させる第2の設定部と、
を備え、
前記第2種の項目群は、前記第1種の項目群に含まれない特定項目を含み、
前記印刷データ生成部は、
前記原画像データが前記第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データに対して前記特定項目の設定内容に応じた特定処理を含む現像処理を実行する現像処理部を備えることを特徴とする印刷制御装置。
【0008】
この装置では、第1種の原画像データから印刷データを生成することができると共に第2種の原画像データに対して現像処理を実行して印刷データを生成することができるため、第2種の原画像データが用いられる場合にも容易に印刷を実行することができる。特に、この装置では、第2の設定画面には、第1の設定画面に含まれない特定項目が含まれているため、第2種の原画像データを用いて印刷を実行する場合に、第2種の原画像データに対して特定項目に対応する特定処理を含む現像処理を実行して印刷データを容易に生成することができる。
【0009】
[適用例2] 適用例1記載の印刷制御装置であって、
前記特定項目は、露出の補正量を設定するための項目であり、
前記特定処理は、前記露出の補正量に応じて実行される露出補正処理を含む、印刷制御装置。
【0010】
[適用例3] 適用例1または2記載の印刷制御装置であって、
前記第2の設定部は、前記現像処理が実行される前に、前記第2種の原画像データに対応する現像済みの表示用画像データを用いて、被写体が表現された画像を含む前記第2の設定画面を表示させる、印刷制御装置。
【0011】
こうすれば、ユーザは、第2の設定画面内の画像を確認することにより、現像処理が実行される前に、未現像の第2種の原画像データに表現された被写体を把握することができる。
【0012】
[適用例4] 適用例1記載の印刷制御装置であって、
前記現像処理部は、前記現像処理を実行して現像済みの印刷用画像データを生成し、
前記第2の設定部は、
前記現像処理が実行される前に、前記第2種の原画像データに対応する現像済みの表示用画像データを、前記表示用画像データの階調特性が前記印刷用画像データの階調特性に近づくように、調整する表示用画像データ調整部を含み、
前記第2の設定部は、前記調整済みの表示用画像データによって表される画像を含む前記第2の設定画面を表示させる、印刷制御装置。
【0013】
こうすれば、ユーザは、第2の設定画面内の画像を確認することにより、現像処理が実行される前に、印刷済み画像の明るさを把握することができる。
【0014】
[適用例5] 適用例4記載の印刷制御装置であって、
前記印刷制御装置は、前記印刷用画像データと前記調整済みの表示用画像データとのいずれを用いて印刷を行うかをユーザに選択させる選択画面を表示させる、印刷制御装置。
【0015】
こうすれば、印刷用画像データを用いて印刷を実行することができると共に、調整済みの表示用画像データを用いて迅速に印刷を実行することができる。
【0016】
[適用例6] 適用例4または5記載の印刷制御装置であって、
前記特定項目は、露出の補正量を設定するための項目であり、
前記特定処理は、前記露出の補正量に応じて実行される露出補正処理を含み、
前記表示用画像データ調整部は、前記現像処理が実行される前に、前記表示用画像データの階調特性を前記露出の補正量に応じて調整する、印刷制御装置。
【0017】
こうすれば、露出補正処理を含む現像処理が実行される前に、露出の補正量に応じて、第2の設定画面内の画像の明るさを変更することができる。
【0018】
[適用例7] 適用例6記載の印刷制御装置であって、
前記表示用画像データ調整部は、前記表示用画像データの階調特性が前記露出の補正量に応じた前記印刷用画像データの階調特性に近づくように、前記露出の補正量に応じた前記調整を実行する、印刷制御装置。
【0019】
こうすれば、ユーザは、第2の設定画面内の画像を確認することにより、現像処理が実行される前に、露出の補正量に応じた印刷済み画像の明るさを把握することができる。
【0020】
[適用例8] 適用例1ないし7のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記第2種の項目群は、前記第1種の項目群に含まれる全項目を含む、印刷制御装置。
【0021】
[他の適用例] 画像処理装置であって、
原画像データに対する画像処理のための処理条件を決定する処理条件決定部と、
前記処理条件に従って、前記原画像データに対して画像処理を実行する画像処理部と、
を備え、
前記処理条件決定部は、
前記原画像データが現像済みの第1種の原画像データである場合に、前記第1種の原画像データの前記処理条件を決定するための第1種の項目群の設定をユーザに許容する第1の設定画面を表示部に表示させる第1の設定部と、
前記原画像データが未現像の第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データの前記処理条件を決定するための第2種の項目群の設定を前記ユーザに許容する第2の設定画面を前記表示部に表示させる第2の設定部と、
を備え、
前記第2種の項目群は、前記第1種の項目群に含まれない特定項目を含むことを特徴とする画像処理装置。
【0022】
この装置では、第1種の原画像データに対して画像処理を実行することができると共に第2種の原画像データに対して画像処理を実行することができる。特に、この装置では、第2の設定画面には、第1の設定画面に含まれない特定項目が含まれているため、第2種の原画像データに対して特定項目に対応する処理を含む画像処理を容易に実行することができる。
【0023】
この発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、印刷制御装置、該印刷制御装置を備えるプリンタ、印刷制御方法、画像処理装置、該画像処理装置を備えるプリンタや表示装置、画像処理方法、これらの装置の機能または方法を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき以下の順序で説明する。
A.プリンタの構成:
B.印刷処理:
C.露出補正処理:
D.表示用画像データの調整:
D−1.第1の調整方法:
D−2.第2の調整方法:
D−3.第3の調整方法:
E.露出の補正量に応じた表示用画像データの調整:
E−1.第1の調整方法:
E−2.第2の調整方法:
E−3.第3の調整方法:
F.変形例:
F−1.第1の変形例:
F−2.第2の変形例:
【0025】
A.プリンタの構成:
図1は、実施例におけるプリンタ200を示す説明図である。このプリンタ200は、ダイレクト印刷機能、すなわち、パーソナルコンピュータを利用せずに、デジタルスチルカメラにおいて生成されてメモリカードMCを介して与えられた画像データを用いて印刷を行う機能を有している。特に、本実施例のプリンタ200は、JPEG画像データを用いて印刷を行うことができると共に、RAW画像データを用いて印刷を行うことができる。JPEG画像データは、カメラ内において鑑賞のための現像処理(画像生成処理)が施された後にJPEG形式に圧縮された画像データ(現像済み画像データ)である。RAW画像データは、カメラにおいて現像処理(画像生成処理)が施されていないRAW形式の未現像画像データである。すなわち、RAW画像データは、カメラに備えられたイメージセンサ(例えばCCD,CMOS等)によって検出された光強度をアナログ−デジタル変換して得られる生の画像データであり、現像処理(画像生成処理)が施される前の画像データである。本実施例では、RAW画像データを用いた印刷が実行される場合には、プリンタ200において現像処理(画像生成処理)が施された後にJPEG形式に圧縮された画像データ(現像済み画像データ)が生成される。なお、本実施例では、プリンタ200においてJPEG圧縮された現像済みデータが生成されるが、メモリ容量が充分に大きい場合には、JPEG圧縮されていない現像済み画像データが生成されるようにしてもよい。
【0026】
本実施例では、カメラにおいて現像処理が施されたJPEG形式の現像済み画像データを「JPEG画像データ」とも呼び、プリンタにおいて現像処理が施されたJPEG形式の現像済み画像データを「印刷用画像データ」とも呼ぶ。
【0027】
なお、現像済み画像データとRAW画像データとは、現像済み画像データによって表現される画像はモニタ等で直ちに鑑賞可能であるが、RAW(未現像)画像データによって表現される画像は直ちに鑑賞不能である点で相違する。RAW(未現像)画像データによって表現される画像を鑑賞可能な状態とするためには現像処理が必要である。
【0028】
図1に示すように、プリンタ200は、CPU210と、ROMやRAMなどの内部記憶装置220と、表示パネル260と、ボタンなどの操作部270と、印刷を実行する印刷実行部280と、インタフェース部(I/F部)290と、を備えている。
【0029】
I/F部290は、メモリカードMCが挿入されるカードスロットを備えている。メモリカードMCには、カメラにおいて被写体の撮影に伴って生成された画像ファイルが記録されており、I/F部290は、メモリカードMCに記録された画像ファイルを読み出す。
【0030】
図2は、RAW画像データを含むRAW画像ファイルの構造を模式的に示す説明図である。このRAW画像ファイルは、Exif(Exchangeable Image File Format)形式と類似のデータ形式で作成されており、図示するように、ヘッダ部とデータ部とを含んでいる。
【0031】
ヘッダ部には、RAW画像ファイルを作成したカメラのメーカ名および型番、撮影条件、撮影日時などの付加情報が記述されている。なお、撮影条件には、例えば、撮影時のシャッタスピードや、絞り値、ホワイトバランスの設定値などが含まれている。
【0032】
データ部には、撮影時に生成されたRAW画像データと表示用画像データとが含まれている。なお、RAW画像データと表示用画像データとには、同じ被写体(撮影画像)が表現されており、RAW画像データと表示用画像データとは、撮影と同時に記録される。表示用画像データは、例えば、カメラに設けられた表示パネルに撮影済み画像を簡易的に表示する際に利用され、カメラにおいて現像処理が施された縮小サイズのJPEG形式の画像データである。表示用画像データは、表示パネルに表示して十分な解像度および画質を表現できる程度の比較的小さな解像度(例えば640×480)を有しており、スクリーンネイル画像データとも呼ばれている。
【0033】
なお、RAW画像ファイルのデータ構造は、カメラメーカやカメラの機種毎に異なっており、RAW画像ファイルには、RAW画像データと共にJPEG画像データが含まれている場合もある。この場合にも、RAW画像データとJPEG画像データとには、同じ被写体(撮影画像)が表現されており、RAW画像データとJPEG画像データとは、撮影と同時に記録される。
【0034】
なお、RAW画像ファイルには、表示用のJPEG画像データが含まれていてもよい。また、RAW画像データを含むRAW画像ファイルと、JPEG画像データを含むJPEG画像ファイルとが、撮影と同時に記録されてもよい。この場合には、該2つの画像データには、同じ被写体(撮影画像)が表現される。このため、該2つのファイルには、該2つのファイルが関連性を有することが明らかなように、例えば「ABCD0123.RAW」と「ABCD0123.JG」という同じファイル名および異なる拡張子が付与されることが好ましい。この場合、RAW画像データに対応する表示用の画像データとしてJPEG画像データが使用される。
【0035】
図2では、RAW画像データを含むRAW画像ファイルについて説明したが、JPEG画像データを含むJPEG画像ファイルも、RAW画像ファイルと同様に、ヘッダ部とデータ部とを含んでいる。ただし、JPEG画像ファイルでは、データ部には、RAW画像データと表示用画像データとに代えて、通常、JPEG画像データと、比較的小さな解像度(例えば160×120)を有するサムネイル画像データと、が含まれている。このファイル構成は、JEITA規格のDCF2.0の規格に基づいている。
【0036】
内部記憶装置220(図1)には、印刷制御部230として機能するコンピュータプログラム(プリンタドライバ)が格納されている。なお、印刷制御部230の機能は、CPU210が該コンピュータプログラムを実行することによって実現される。該コンピュータプログラムは、ファームウェアとして予め内部記憶装置220内に格納されていてもよいし、CD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供されるようにしてもよい。
【0037】
印刷制御部230は、処理条件決定部240と、印刷データ生成部250と、を備えており、印刷のための種々の処理を実行する。
【0038】
処理条件決定部240(図1)は、第1の設定部242aと、第2の設定部242bと、を備えており、設定画面を表示させて印刷のための処理条件を決定する。
【0039】
第1の設定部242aは、JPEG画像データを用いた印刷が実行される場合に、複数の設定項目を含むJPEG画像印刷設定画面を表示させ、該設定画面においてユーザによって設定された各項目の内容を取得する。そして、ユーザによって印刷の開始が指示されると、処理条件決定部240は、第1の設定部242aによって取得された各項目の内容に基づいて、JPEG画像データを用いた印刷のための処理条件を決定する。
【0040】
また、本実施例では、第1の設定部242aは、JPEG画像印刷設定画面内に、印刷対象を示す参照画像を表示させる。具体的には、第1の設定部242aは、印刷対象のJPEG画像データを縮小することによって該参照画像を表す参照画像データを生成する。
【0041】
第2の設定部242bは、RAW画像データを用いた印刷が実行される場合に、複数の設定項目を含むRAW画像印刷設定画面を表示させ、該設定画面においてユーザによって設定された各項目の内容を取得する。そして、ユーザによって印刷の開始が指示されると、処理条件決定部240は、第2の設定部242bによって取得された各項目の内容に基づいて、RAW画像データを用いた印刷のための処理条件を決定する。
【0042】
また、本実施例では、第2の設定部242bは、RAW画像印刷設定画面内に、印刷対象を示す参照画像を表示させる。具体的には、第2の設定部242bは、印刷対象のRAW画像データに対応する表示用画像データ、すなわち、印刷対象のRAW画像データと同じRAW画像ファイルに含まれる表示用画像データを用いて、参照画像を表す参照画像データを生成する。
【0043】
特に、本実施例では、第2の設定部242bは、表示用画像データ調整部244を備えている。表示用画像データ調整部244は、表示用画像データに対してその階調特性(トーンカーブ)を調整する調整処理を施し、調整済み表示用画像データ(参照画像データ)を生成する。
【0044】
印刷データ生成部250は、現像処理部252と、現像済み画像処理部254と、を備えており、原画像データ(JPEG画像データまたはRAW画像データ)から印刷データを生成する。
【0045】
現像処理部252は、RAW画像データを用いた印刷が実行される場合に利用され、RAW画像データに対して現像処理を施し、JPEG形式の現像済み画像データ(以下、「印刷用画像データ」とも呼ぶ)を生成する。現像処理部252は、後述するように、オプティカルブラック補正処理,ホワイトバランス補正処理,露出補正処理,画素補間処理,色再現処理,RGB−YUV変換処理,エッジ強調処理,ノイズ除去処理,階調補正処理,JPEG処理等を行う。
【0046】
現像済み画像処理部254は、現像済み画像データを用いて印刷データを生成し、該印刷データを印刷実行部280に供給する。具体的には、JPEG画像データを用いた印刷が実行される場合には、該JPEG画像データを用いて印刷データが生成される。一方、RAW画像データを用いた印刷が実行される場合には、現像処理部252で生成されたJPEG形式の現像済み画像データ(印刷用画像データ)を用いて印刷データが生成される。
【0047】
現像済み画像処理部254は、印刷データを生成する際に、種々の画像処理を実行する。この画像処理には、例えば、明るさを補正する処理や、被写体の人物の顔を検出して顔の色を補正する処理、いわゆる赤目を補正する処理などが含まれる。その後、現像済み画像処理部254は、周知のように、解像度変換処理と、色変換処理と、ハーフトーン処理と、を実行し、ドットの形成状態を示すドットデータ(印刷データ)を生成する。なお、色変換処理では、R(赤),G(緑),B(青)の各色成分がY(黄),M(マゼンダ),C(シアン),K(黒)のインク量に変換されると共に所定の階調補正が行なわれる。このインクのデータの濃淡情報により印刷が行われる。
【0048】
B.印刷処理:
図3は、印刷処理の手順を示すフローチャートである。ステップS102では、処理条件決定部240は、ユーザからの指示に従って、表示パネル260に印刷設定選択画面を表示させる。なお、ユーザの指示は、ユーザが操作部270を操作することによって、行われる。
【0049】
図4は、印刷設定選択画面Wを示す説明図である。図4に示すように選択画面Wには、「JPEG画像印刷設定」選択ボタンB1と、「RAW画像印刷設定」選択ボタンB2と、が含まれている。なお、選択ボタンB1,B2の選択は、ユーザが操作部270を操作することによって、行われる。
【0050】
JPEG画像データを用いた印刷を希望する場合には、図4の選択画面Wにおいて、ユーザは「JPEG画像印刷設定」選択ボタンB1を選択する。このとき、ステップS112に進む。
【0051】
ステップS112では、処理条件決定部240の第1の設定部242aは、表示パネル260にJPEG画像印刷設定画面を表示させる。
【0052】
図5は、JPEG画像印刷設定画面Waを示す説明図である。図5に示すように設定画面Waには、印刷対象を選択するための選択ボタンBa1,Ba2と、選択された印刷対象を示す参照画像を表示するための参照画像表示フィールドFaと、印刷の実行を指示するための「印刷」ボタンBPaと、が含まれている。なお、前述したように、参照画像表示フィールドFaには、JPEG画像データを縮小することによって得られる参照画像データを用いて、画像が表示される。ユーザは、参照画像表示フィールドFaに表示される参照画像を確認しつつ選択ボタンBa1,Ba2を操作することによって、メモリカードMCに格納された複数のJPEG画像ファイルに含まれる複数のJPEG画像データの中から、所望のJPEG画像データを印刷対象の画像データとして選択することができる。
【0053】
また、設定画面Waには、JPEG画像データを用いた印刷のための処理条件を決定する種々の項目が含まれている。具体的には、設定画面Waには、印刷用紙の種類を選択するための項目「印刷用紙」と、印刷用紙のサイズを選択するための項目「用紙サイズ」と、印刷品質(高速普通画質モードまたは低速高画質モード)を選択するための項目「印刷品質」と、赤目補正の有無を選択するための項目「赤目補正」と、が含まれている。また、設定画面Waには、明るさ補正の有無および内容を選択するための項目「明るさ補正」と、色あいを補正するための項目「色あい補正」と、が含まれている。
【0054】
なお、本実施例では、項目「明るさ補正」の内容は、例えば、「補正なし」,「明るく」,「暗く」等のうちのいずれかに設定可能である。また、本実施例では、項目「色あい補正」の内容は、例えば、「補正なし」,「赤みを強く」,「青みを強く」等のうちのずれかに設定可能である。図5の設定画面Waでは、項目「明るさ補正」の内容と項目「色あい補正」の内容とがユーザによって設定される場合が想定されているが、これらの項目の内容が解析処理によって自動的に設定されるようにしてもよい。
【0055】
設定画面Waでは、ユーザが操作部270を操作することによって、印刷対象のJPEG画像データが選択されると共に、各項目の内容が設定される。そして、ユーザによって「印刷」ボタンBPaが選択される。
【0056】
ステップS114では、処理条件決定部240は、第1の設定部242aによって取得された各項目の内容に基づいて、JPEG画像データを用いた印刷のための処理条件を決定する。
【0057】
一方、RAW画像データを用いた印刷を希望する場合には、ユーザは、図4の選択画面Wにおいて、「RAW画像印刷設定」選択ボタンB2を選択する。このとき、ステップS122に進む。
【0058】
ステップS122では、処理条件決定部240の第2の設定部242bは、表示パネル260にRAW画像印刷設定画面を表示させる。
【0059】
図6は、RAW画像印刷設定画面Wbを示す説明図である。図6に示すように設定画面Wbには、図5の設定画面Waと同様に、選択ボタンBb1,Bb2と、参照画像表示フィールドFbと、「印刷」ボタンBpbと、が含まれている。なお、前述したように、参照画像表示フィールドFbには、表示用画像データに対して調整処理を施すことによって得られる調整済み表示用画像データ(参照画像データ)を用いて、画像が表示される。ユーザは、参照画像表示フィールドFbに表示される参照画像を確認しつつ選択ボタンBb1,Bb2を操作することによって、メモリカードMCに格納された複数のRAW画像ファイルに含まれる複数のRAW画像データの中から、所望のRAW画像データを印刷対象の画像データとして選択することができる。
【0060】
また、設定画面Wbには、図5の設定画面Waと同様に、RAW画像データを用いた印刷のための処理条件を決定する種々の項目が含まれている。ただし、設定画面Wbには、設定画面Waに含まれる項目「明るさ補正」と項目「色あい補正」とに代えて、露出補正の有無および程度を選択するための項目「露出補正」と、ホワイトバランスを補正するための項目「ホワイトバランス補正」と、が含まれている。
【0061】
なお、本実施例では、項目「露出補正」の内容は、「±0EV(補正なし)」,「+0.5EV」,「+1.0EV」,「+1.5EV」,「+2.0EV」,「−0.5EV」,「−1.0EV」,「−1.5EV」,「−2.0EV」のうちのいずれかに設定可能である。項目「露出補正」は、図5の設定画面Waに含まれる項目「明るさ補正」と異なり、カメラにおける露出補正処理と同様の露出補正処理を行うための項目である。この露出補正処理は、JPEG画像データに対して施すことは困難であり、この露出補正処理により、かなり暗い画像やかなり明るい画像を適正な明るさの画像に補正することが可能であり、ユーザにとって極めて有用である。また、本実施例では、項目「ホワイトバランス補正」の内容は、「デイライト」,「曇天」,「日影」,「白熱灯」,「蛍光灯」等の光源の種類のうちのいずれかに設定可能である。ただし、項目「ホワイトバランス補正」の初期値は、RAW画像ファイルのヘッダ部に記述されたホワイトバランスの設定値(例えばデイライト)に設定される。そして、ユーザがホワイトバランスの変更を望む場合には、他の光源の種類に変更する。なお、項目「ホワイトバランス補正」の内容は、光源の種類に代えて、色温度(例えば「3000K」,「4500K」,「5500K」,「6500K」,「7500K」等)で示されていてもよい。
【0062】
設定画面Wbでは、ユーザが操作部270を操作することによって、印刷対象のRAW画像データが選択されると共に、各項目の内容が設定される。そして、ユーザによって「印刷」ボタンBPbが選択される。
【0063】
ステップS124では、処理条件決定部240は、第2の設定部242bによって取得された各項目の内容に基づいて、RAW画像データを用いた印刷のための処理条件を決定する。
【0064】
ステップS126では、現像処理部252は、ステップS124で決定された処理条件に従って、RAW画像データに対して現像処理を施し、現像済み画像データ(印刷用画像データ)を生成する。具体的には、ステップS126では、後述するように、RAW画像データに対して、オプティカルブラック補正処理,ホワイトバランス補正処理,露出補正処理,画素補間処理,色再現処理,RGB−YUV変換処理,エッジ強調処理,ノイズ除去処理,階調補正処理,JPEG処理等の一連の処理が行なわれる。ホワイトバランス補正処理は、R(赤),G(緑),B(青)のデータのうちのRデータとBデータとに対して係数Ar,Abを乗じる処理である。画素補間処理は、イメージセンサ上に配置されているカラーフィルタのBayer配列に起因して不足する色情報を予測補間して求める処理である。色再現処理は、3x3の行列計算により、画像の色を正しく再現する処理である。RGB−YUV変換処理は、JPEG処理を行なうための色空間変換処理である。エッジ強調処理は、カメラ内に設置されている光学的なローパスフィルタの影響により画像内の輪郭がぼけた部分を補正してくっきりはっきりさせる処理である。ノイズ除去処理は、画像内に存在するノイズ成分を除去してクリアな画像を生成する処理である。階調補正処理は、画像を印刷する機器(プリンタ)のトーン特性に合うように階調再現特性を補正する処理である。
【0065】
図6の項目「露出補正」が「+1.0EV」に設定された場合には、ホワイトバランス補正処理の後に、R,G,Bの各データに対して+1.0EVに相当する係数を乗ずる露出補正処理が行われる。「+1.0EV」とは露出を1段階明るくする処理を示すため、R,G,Bの各データを2倍にする処理が実行される。「−0.5EV」の場合は、係数として1/√2(=0.707)が乗じられる。また、図6の項目「ホワイトバランス設定」において光源の種類が指定された場合は、「デイライト」,「曇天」,「日影」,「白熱灯」,「蛍光灯」等の光源の種類に応じて、R,G,Bの各データに予め設定された係数を乗ずるホワイトバランス補正処理が行われる。
【0066】
ステップS132では、現像済み画像処理部254は、印刷データを生成する。具体的には、JPEG画像データを用いた印刷が実行される場合には、現像済み画像処理部254は、ステップS114で決定された処理条件に従って、該JPEG画像データに対して処理を施し、印刷データを生成する。一方、RAW画像データを用いた印刷が実行される場合には、現像済み画像処理部254は、ステップS124で決定された処理条件に従って、ステップS126で現像処理が施された現像済み画像データ(印刷用画像データ)に対して処理を施し、印刷データを生成する。
【0067】
ステップS134では、印刷実行部280は、現像済み画像処理部254から印刷データを取得し、印刷用紙上に画像を印刷する。
【0068】
図7は、図3のステップS126で実行される現像処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0069】
ステップS202では、現像処理部252は、オプティカルブラック補正処理を実行する。この処理は、カメラのイメージセンサの特性、すなわち、入射光の強度がゼロのときに検出値がゼロとならない特性を補正するための処理である。この処理では、RAW画像データに含まれる各画素の階調値から、オフセット値が減算される。
【0070】
なお、ステップS202の処理は、例えば、RAW画像ファイル内のヘッダ部に記述されたメーカ名および機種名に応じて行われる。具体的には、処理条件決定部240は、RAW画像ファイル内のヘッダ部を解析し、メーカ名および機種名を取得する。処理条件決定部240は、メーカ名および機種名と、処理条件と、の組み合わせが複数登録されたテーブル(図示せず)を備えている。処理条件決定部240は、取得したメーカ名および機種名から、テーブルを参照して、処理条件を選択する。そして、現像処理部252は、選択された処理条件を利用して、ステップS202の処理を実行する。なお、ヘッダ部に処理条件が記述されている場合には、該処理条件が利用されてもよい。
【0071】
ステップS204では、現像処理部252は、ホワイトバランス(色温度)を補正するためのホワイトバランス補正処理を実行する。この処理では、ステップS202の処理が施されたRAW画像データを構成するR,G,Bデータ毎に、各画素の階調値に目標のホワイトバランスに応じた係数が乗じられる。より具体的には、この処理では、R(赤),G(緑),B(青)のデータのうちのRデータとBデータとに対して係数Ar,Abが乗じられる。
【0072】
なお、ステップS204の処理は、RAW画像印刷設定画面Wb(図6)の項目「ホワイトバランス補正」の内容に応じて実行される。なお、前述したように、該項目の内容は、初期値から変更されていない場合には、RAW画像ファイル内のヘッダ部に記述されたホワイトバランスの設定値と同じである。図6の設定画面において項目「ホワイトバランス補正」の内容がユーザによって選択された場合には、「デイライト」,「曇天」,「日影」,「白熱灯」,「蛍光灯」等の選択された光源の種類に応じて、R,G,Bデータに対して予め設定された係数が乗じられる。
【0073】
ステップS206では、現像処理部252は、露出を補正するための露出補正処理を実行する。この処理では、ステップS204の処理が施された画像データに含まれる各画素の階調値に露出の補正量に応じた係数が乗じられる。
【0074】
なお、ステップS206の処理は、RAW画像印刷設定画面Wb(図6)の項目「露出補正」の内容に応じて実行される。項目「露出補正」が「±0EV(補正なし)」以外に設定された場合、例えば「+1.0EV」に設定された場合には、ホワイトバランス補正処理の後に、R,G,Bデータに対して+1.0EVに相当する係数を乗ずる処理が行われる。前述したように、「+1.0EV」とは露出を1段階明るくする処理を示すため、R,G,Bデータを2倍にする処理が実行される。「−0.5EV」の場合は、係数として1/√2(=0.707)が乗じられる。ただし、項目「露出補正」の内容が「±0EV(補正なし)」に設定された場合には、ステップS206の処理は省略される。
【0075】
ステップS208では、現像処理部252は、画素補間処理(すなわちデモザイク処理)を実行する。この画素補間処理は、カメラのイメージセンサ内部の複数のセンサ素子の配列に起因して欠落している画素を補間するための処理である。RGBの原色フィルタを採用したイメージセンサでは、センサ上に配置されているカラーフィルタのBayer配列に起因して、各画素はRGBの内のいずれかである。ある画素がRの画素の場合には、同位置のG及びBの画像情報が不足している。ある画素がGの画素の場合には、同位置のR及びBの画像情報が不足している。画素補間処理は、この不足している色情報を周囲の画素の色情報から予測補間して求める処理である。この処理では、ステップS206の処理が施された画像データを構成するR,G,Bデータ毎に、補間対象の画素(欠落している色成分)の階調値が決定される。
【0076】
なお、ステップS208の処理は、ステップS202と同様に、例えば、RAW画像ファイル内のヘッダ部に記述されたメーカ名および機種名に応じて選択される処理条件を利用して実行されてもよいし、ヘッダ部に記述された処理条件を利用して実行されてもよい。
【0077】
ステップS210では、現像処理部252は、色再現処理を実行する。イメージセンサのRGBの分光特性と人間の目の分光特性とは異なるため、イメージセンサの色出力を合成しても、正しい色の再現は出来ない。このため、人間の視感度の特性に合わせた正しい色に補正処理するのが、この色再現処理である。この処理は、3x3の行列演算により行なわれ、画像の色を正しく再現する。
【0078】
ステップS212では、現像処理部252は、階調特性を補正するための階調補正処理(ガンマ補正処理)を実行する。この処理を施すことによって、処理前の画像データが有する線形の階調特性が、プリンタ200の出力トーン特性に合わせた階調再現特性に補正される。
【0079】
なお、現像処理部252は、図7に示すステップS202〜S212と共に、エッジ強調処理やノイズ除去処理を実行する。エッジ強調処理は、カメラ内に設置されている光学的なローパスフィルタの影響により画像内の輪郭がぼけた部分を補正してくっきりはっきりさせる処理である。ノイズ除去処理は、画像内に存在するノイズ成分を除去してクリアな画像を生成する処理である。また、現像処理部252は、最終的にJPEG形式の現像済み画像データ(印刷用画像データ)を生成する。なお、前述したように、本実施例では、JPEG圧縮された現像済み画像データが生成されるが、これに代えて、JPEG圧縮されていない現像済み画像データが生成されてもよい。
【0080】
C.露出補正処理:
ところで、RAW画像印刷設定画面Wb(図6)に含まれる項目「露出補正」が有意な値(すなわち「補正なし」以外)に設定される場合には、RAW画像データに対して露出補正処理が実行される。露出補正処理は、現像処理部252によって、図3のステップS126(より具体的には図7のステップS206)で実行される。一方、JPEG画像印刷画面Waに含まれる項目「明るさ補正」が有意な値(すなわち「補正なし」以外)に設定される場合には、JPEG画像データに対して明るさ補正処理が実行される。明るさ補正処理は、現像済み画像処理部254によって、図3のステップS132で実行される。
【0081】
露出補正処理と明るさ補正処理とは、印刷される画像(印刷済み画像)の明るさを変更する点で共通している。しかしながら、以下に説明するように、露出補正処理と明るさ補正処理とは、まったく異なる処理である。
【0082】
図8は、露出補正処理の内容と明るさ補正処理の内容とを示す説明図である。なお、図8では、5つのグラフGAa,GAb,GAc,GBa,GBbが示されており、5つのグラフは、5つの画像データの階調特性を示している。各グラフの横軸は、被写体の明度を示しており、縦軸は、各画像データの出力明度、すなわち、各画像データによって表現される該被写体の明度(階調値)を示している。図8の左側に描かれた3つのグラフGAa,GAb,GAcは、露出補正処理の内容を示しており、図8の右側に描かれた2つのグラフGBa,GBbは、明るさ補正処理の内容を示している。
【0083】
グラフGAaは、RAW画像データの階調特性を示している。グラフGAaに示すように、RAW画像データでは、被写体の明度に対して該画像データの明度(階調値)は線形に変化している。これは、カメラ内部でイメージセンサの出力をそのままアナログ−デジタル変換することによってRAW画像データが生成されているためである。
【0084】
グラフGAcは、露出補正処理を含む現像処理後に得られる現像済み画像データ(印刷用画像データ)の階調特性を示している。グラフGAcに示すように、この画像データでは、被写体の明度に対して出力明度(階調値)は非線形に変化している。これは、プリンタ200での現像処理において、階調補正処理(図7のステップS212)が実行されるためである。なお、グラフGAcに示された破線は、露出補正処理が省略された場合(露出補正無しの場合)の現像済み画像データ(印刷用画像データ)の階調特性を示している。
【0085】
グラフGAbは、RAW画像データに対して現像処理を施す過程で得られる中間画像データの階調特性を示している。より具体的には、グラフGAbは、「+1.0EV」の露出補正処理(図7のステップS206)後に得られる中間画像データの階調特性を示している。グラフGAbに示すように、この画像データでは、依然、被写体の明度に対して出力明度(階調値)は線形に変化している。なお、グラフGAbに示された破線は、露出補正処理が省略された場合の中間画像データの階調特性を示している。図示するように、グラフGAbに示す破線の傾きは、グラフGAbに示す実線の傾きの2倍になっている。「+1.0EV」の露出補正処理は、このように2倍を乗ずる処理である。
【0086】
グラフGBaは、JPEG画像データの階調特性を示している。グラフGBaに示すように、JPEG画像データでは、被写体の明度に対して出力明度(階調値)は非線形に変化している。これは、カメラ内でのJPEG画像生成処理(現像処理)において、図7のステップS212と同様の階調補正処理(ガンマ補正処理)が実行されるためである。
【0087】
グラフGBbは、明るさ補正処理後に得られるJPEG画像データの階調特性を示している。グラフGBbに示すように、この画像データでは、被写体の明度に対して出力明度(階調値)は非線形に変化している。なお、グラフGBbに示された破線は、グラフGBaの階調特性と同じ階調特性を示している。実線の特性は、破線の特性に対して、被写体の明度の中間部において出力明度が明るくなるように、補正されている。
【0088】
2つのグラフGAc,GBbを比較して分かるように、露出補正後に得られる現像済み画像データ(印刷用画像データ)の階調特性と、明るさ補正処理後に得られるJPEG画像データの階調特性とは、まったく異なっている。これは、露出補正処理では、グラフGAbに示すように、線形の階調特性を有する画像データの各画素の階調値に係数を乗じる補正が行われるが、明るさ補正処理では、グラフGBbに示すように、通常、非線形の階調特性を有するJPEG画像データの各画素の階調値をべき乗する補正が行われるためである。すなわち、明るさ補正処理では、通常、画像の明度の中間部分をより明るくする処理が行なわれ、グラフGBbの実線の特性は、グラフGBaの特性に対してY=X1/aというべき乗の処理を行なって求められる。このため、露出補正処理が実行される場合には、撮影時に露出を補正した場合と同じ効果が得られるが、明るさ補正処理が実行される場合には、撮影時に露出を補正した場合と同じ効果は得られない。
【0089】
また、JPEG画像データは非線形の階調特性を有すると共に、JPEG画像データでは各画素の階調は8ビットで表現されている。このため、画質が劣化しないように明るさ補正処理を実行する場合には、+0.5〜−0.5EV相当の明るさ補正に制限される。すなわち、やや明るさの不足する失敗写真や、やや明るさの過剰な失敗写真を正常な明るさの写真に補正することができる程度である。これを超える範囲の明るさ補正が実行される場合には、8ビットのJPEG画像データのある階調範囲では、トーンジャンプと呼ばれる階調のジャンプが発生し、階調がスムーズに変化せずに不自然に変化してしまい、この結果、綺麗な画像が得られない。一方、RAW画像データは線形の階調特性を有していると共に、RAW画像データでは各画素の階調が例えば12ビットで表現されている。特に、本実施例では、現像処理部252は、RAW画像データの各画素の階調を12ビットから16ビット精度にビット増大させて現像処理を行う。このため、本実施例では、画質の劣化を殆ど発生させること無く+2.0〜−2.0EVの露出補正を行うことができる。
【0090】
以上説明したように、本実施例では、RAW画像印刷設定画面Wb(図6)には、JPEG画像印刷設定画面Wa(図5)に含まれない項目「露出補正」が含まれているため、RAW画像データを用いて印刷を実行する場合に、項目「露出補正」に対応する露出補正処理を含む現像処理を実行して、換言すれば、JPEG画像データを用いて印刷する場合に実行不能な露出補正処理(すなわち撮影段階でカメラ内で実施するのとほぼ同等の露出補正処理)を含む現像処理を実行して、RAW画像データから印刷データを容易に生成することができる。
【0091】
なお、図8では、項目「露出補正」(図6)と項目「明るさ補正」(図5)との相違について説明したが、項目「ホワイトバランス補正」(図6)と項目「色あい補正」(図5)との相違についても同様である。すなわち、項目「ホワイトバランス補正」に光源の種類が設定されると、線形の階調特性を有するRAW画像データを構成するRGBデータ毎に、各画素の階調値に目標のホワイトバランスに応じた係数が乗じられる。一方、項目「色あい設定」が変更されると、非線形の階調特性を有するJPEG画像データのRGB成分毎に、各画素の階調値に異なる演算処理(例えばべき乗)が施される。
【0092】
なお、本実施例では、JPEG画像印刷画像Wa(図5)には、項目「明るさ補正」と項目「色あい補正」とが含まれているが、これらの項目は省略可能である。
【0093】
また、本実施例では、露出補正処理に対応する項目名は「露出補正」であるが、これに代えて、他の名称(例えば「明るさ補正」や「EV補正」)であってもよい。同様に、上記実施例では、ホワイトバランス補正処理に対応する項目名は「ホワイトバランス補正」であるが、これに代えて、他の名称(例えば「色あい補正」)であってもよい。
【0094】
上記の説明から分かるように、本実施例におけるJPEG画像印刷画面Wb(図5)が本発明における第1の設定画面に相当し、RAW画像印刷設定画面Wa(図6)が第2の設定画面に相当する。また、項目「露出補正」と項目「ホワイトバランス補正」とが本発明における特定項目に相当し、露出補正処理とホワイトバランス補正処理とが本発明における特定処理に相当する。
【0095】
特に、本実施例では、RAW画像印刷設定画面Wb(図6)内の参照画像表示フィールドFbには参照画像が表示されるため、ユーザは、参照画像を確認することによって、RAW画像データに対する長時間を要する現像処理が実行される前に、換言すれば、現像処理の完了を待たずに、印刷対象のRAW画像データに表現される被写体を迅速に把握することができる。すなわち、非常に長い時間を要する一連の現像処理をRAW画像データに施して表示用の画像データが生成されるのを待たずに済む。この結果、ユーザは、印刷対象のRAW画像データを極めて迅速に選択することができる。
【0096】
D.表示用画像データの調整:
前述したように、本実施例では、RAW画像印刷設定画面Wb(図6)内の参照画像表示フィールドFaに表示される参照画像は、RAW画像ファイルに含まれる表示用画像データを用いて作成されている。
【0097】
表示パネル260に表示される参照画像の階調再現性(画像各部の明るさ)と、プリンタ200によって印刷される画像(印刷済み画像)の階調再現性(画像各部の明るさ)とは、ユーザによってほぼ同じに見える、換言すれば、ユーザによってほぼ同じに認識されることが、複数の画像の中から適正な明るさの画像を選択してプリントしたいというユーザのニーズに対応する上でも好ましい。
【0098】
しかしながら、実際には、参照画像の明るさと印刷済み画像の明るさとの印象を同じにすることは難しい。この問題の第1の原因は、各デバイスの特性が異なること(表示画像は、発光型の表示パネルによって表示され、印刷物はプリンタによって印刷された反射型の表示物である等)である。ただし、各デバイスの特性の相違は、カラーマッチング処理により解消可能である。また、上記の問題の第2の原因は、RAW画像ファイルに含まれる表示用画像データの階調特性と、ステップS212の階調補正処理を経て得られる現像済み画像データ(印刷用画像データ)の階調特性と、が異なることである。このように階調特性が相違するのは、表示用画像データは、カメラメーカの推奨する現像処理(具体的には階調補正処理)を施すことによって得られた画像データであるが、プリンタ200においてRAW画像データから得られる現像済み画像データ(印刷用画像データ)は、プリンタメーカの推奨する現像処理(具体的には階調補正処理)を施すことによって得られた画像データであるためである。上記のように、階調特性が相違するため、カラーマッチング技術を利用して表示画像と印刷物の見えを同等にしても、表示画像と印刷物の明るさ特性は、ユーザによって異なって認識され得る。
【0099】
なお、仮に、表示パネル260に表示される画像が、プリンタ200で生成された現像済み画像データ(印刷用画像データ)を用いて作成されれば、参照画像の明るさと印刷済み画像の明るさとを、ユーザにほぼ同じに認識させることは可能である。しかしながら、印刷用画像データを生成するのには、換言すれば、RAW画像データの現像処理には、時間が掛かる。このため、ユーザの早く画像を観たいという希望を満たすために、本実施例では、RAW画像データを用いた印刷が実行される場合には、現像処理が実行される前に、表示用画像データを用いて表示パネル260に参照画像が表示されている。ただし、この場合には、上記のように、参照画像の明るさと印刷済み画像の明るさとが、ユーザによって異なって認識され得るという問題が発生し得る。そこで、本実施例では、この問題を解決し、複数の画像の中から適正な明るさの画像を選択して思い通りの画像をプリントしたいというユーザのニーズに対応するのを目的としている。また、ある画像を適切な明るさに露出補正して画像をプリントしたいが、その適切な露出補正の設定値はどの値にするべきかをプリント結果ではなく、表示パネルを見ながら決めたいというニーズに対応するのを目的としている。
【0100】
図9は、印刷用画像データの階調特性Pと表示用画像データの階調特性Dとを示す説明図である。ここでは、あるカメラメーカのRAW画像データを、本実施例のプリンタ200で印刷する場合を想定して説明する。印刷用画像データの階調特性P(図9の一点鎖線)は、現像処理部252による現像処理(具体的には階調補正処理)の特性を意味している。表示用画像データの階調特性D(図9の実線)は、カメラにおける現像処理(具体的には階調補正処理)の特性を意味している。図8と同様に、図9の横軸は、被写体の明度、換言すれば、RAW画像データ(より具体的には、図7のステップS206の露出補正処理が実行されない場合において、図7のステップS212の階調補正処理が施される前の画像データ)によって表現される被写体の明度(階調値)を意味している。縦軸は、各画像データの出力明度、すなわち、印刷用画像データまたは表示用画像データによって表現される該被写体の明度(階調値)を示している。
【0101】
なお、図9において、被写体の明度(RAW画像データの明度)は、RAW画像データの採り得る最大階調値(例えば4096階調における4095)を1.0としたときの階調値を示しており、出力明度(各画像データの明度)は、各画像データの採り得る最大階調値(例えば256階調における255)を1.0としたときの階調値を示している。
【0102】
表示用画像データの階調特性Dは、各カメラメーカがカメラ内で作成した階調補正特性であり、図9に示すように、印刷用画像データの階調特性Pと異なっている。図9から、印刷用画像データの出力明度は、被写体の明度が約0.05以下および約0.7以上の範囲で表示用画像データの出力明度も大きく、被写体の明度が約0.05〜約0.7の範囲で表示用画像データの出力明度よりも小さいことが分かる。
【0103】
このように2つの階調特性P,Dが異なっていると、前述したように、印刷済み画像の明るさと参照画像の明るさとが、ユーザによって異なって認識されてしまう。そこで、本実施例では、印刷済み画像の明るさと参照画像の明るさとがユーザによってほぼ同じに認識されるように工夫することにより、実際に印刷した場合の印刷済み画像の明るさをより直感的に認識可能な利便性を提供している。
【0104】
具体的には、本実施例では、表示用画像データ調整部244は、表示用画像データの階調特性Dが印刷用画像データの階調特性Pに近づくように、表示用画像データを調整する。なお、調整処理は、図3のステップS122において、RAW画像印刷設定画面Wb(図6)の参照画像表示フィールドFb内に参照画像が表示される際に実行される。
【0105】
ただし、表示用画像データの階調特性Dは、表示用画像データを生成したカメラの種類、具体的には、カメラの現像処理(より具体的には階調補正処理)に依存する。このため、本実施例では、調整処理の処理条件は、カメラの種類に応じて変更される。具体的には、表示用画像データ調整部244は、表示用画像データを含むRAW画像ファイル内のヘッダ部を解析し、メーカ名および機種名を取得する。表示用画像データ調整部244は、メーカ名および機種名と、処理条件と、の組み合わせが複数登録されたテーブル(図示せず)を備えている。表示用画像データ調整部244は、取得したメーカ名および機種名から、テーブルを参照して、処理条件を選択する。そして、表示用画像データ調整部244は、選択された処理条件を利用して調整処理を実行する。こうすれば、カメラの種類毎に異なり得る表示用画像データの階調特性に応じて、適切に調整処理を実行することができる。
【0106】
調整処理の方法としては、種々の方法が挙げられる。以下では、表示用画像データを含むRAW画像ファイルが特定の種類のカメラで生成された場合を想定して、3種類の調整方法について説明する。
【0107】
D−1.第1の調整方法:
第1の調整方法では、表示用画像データ調整部244は、以下の式(1)に基づいて、表示用画像データに調整処理を施し、調整済み表示用画像データを生成する。
【0108】
Y=a・X …(1)
【0109】
ここで、Xは、表示用画像データの明度、すなわち調整処理前の階調値を示し、表示用画像データが採り得る最大階調値を1.0としたときの階調値である。Yは、調整済み表示用画像データの明度、すなわち調整処理後の階調値を示し、調整済み表示用画像データが採り得る最大階調値を1.0としたときの階調値である。aは、正の値であり、カメラの種類に応じて変更される。本実施例では、a=0.95に設定されている。
【0110】
図10は、第1の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と調整済み表示用画像データの明度との関係を示す説明図である。図10に示す直線C1は、上記の式(1)で表される。図10では、参考のため、Y=Xの直線が一点鎖線で示されている。直線C1から分かるように、第1の調整方法では、表示用画像データの明度は、調整処理後には、すべての階調範囲で低減される。例えば、表示用画像データに含まれる明度0.5を有する画素は、調整済み表示用画像データにおいて明度0.475(=0.95×0.5)を有する。
【0111】
なお、図10において、横軸に示される表示用画像データの明度の最大値が約0.9となっているのは、図9において、縦軸に示される表示用画像データの明度(出力明度)の最大値が約0.9となっているのに対応している。
【0112】
図11は、第1の調整方法を用いた場合における調整済み表示用画像データの階調特性D1を示す説明図である。なお、図11では、図9に示す2つの階調特性P,Dも示されている。
【0113】
図11に示す調整用画像データの階調特性D1から分かるように、表示用画像データの階調特性Dは、調整処理後には、被写体の明度が約0.05〜約0.6の範囲で印刷用画像データの階調特性Pに近づいていると言える。
【0114】
第1の調整方法を採用すれば、利用頻度の高い中間調において、参照画像の明るさと印刷済み画像の明るさとをユーザにほぼ同じに認識させることができる。また、第1の調整方法では、上記の式(1)が利用されるため、簡単かつ迅速に調整処理を実行することができる。
【0115】
D−2.第2の調整方法:
第2の調整方法では、表示用画像データ調整部244は、以下の式(2)に基づいて、表示用画像データに調整処理を施し、調整済み表示用画像データを生成する。
【0116】
Y=b・Xc …(2)
【0117】
ここで、b,cは正の値であり、カメラの種類に応じて変更される。本実施例では、b=1.05,c=1.2に設定されている。
【0118】
図12は、第2の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と調整済み表示用画像データの明度との関係を示す説明図である。図12に示す曲線C2は、上記の式(2)で表される。曲線C2から分かるように、第2の調整方法では、表示用画像データの明度は、調整処理後には、比較的低い階調範囲で低減され、比較的高い階調範囲で増大される。例えば、表示用画像データに含まれる明度0.5を有する画素は、調整済み表示用画像データにおいて明度約0.457(=1.05×(0.5)1.2)を有し、表示用画像データに含まれる明度0.9を有する画素は、調整済み表示用画像データにおいて明度約0.925(=1.05×(0.9)1.2)を有する。
【0119】
図13は、第2の調整方法を用いた場合における調整済み表示用画像データの階調特性D2を示す説明図である。なお、図13では、図9に示す2つの階調特性P,Dも示されている。
【0120】
図13に示す調整用画像データの階調特性D2から分かるように、表示用画像データの階調特性Dは、調整処理後には、被写体の明度が約0.1以上の広い範囲で印刷用画像データの階調特性Pにかなり近づいていると言える。
【0121】
第2の調整方法を採用すれば、中間調から明部において、参照画像の明るさと印刷済み画像の明るさとをユーザにほぼ同じに認識させることができる。また、第2の調整方法では、上記の式(2)が利用されるため、簡単かつ迅速に調整処理を実行することができる。図12に示す調整処理を図9に示す階調特性Dを有する表示用画像データに対して施すことにより、図13に示す階調特性D2が得られるため、ユーザは、表示パネルで観た画像の明るさおよび印刷物の明るさの特性がほぼ同等であると感じることができる。
【0122】
D−3.第3の調整方法:
第3の調整方法では、表示用画像データ調整部244は、図示しないLUT(ルック・アップ・テーブル)を利用して、表示用画像データに調整処理を施し、調整済み表示用画像データを生成する。
【0123】
図14は、第3の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と調整済み表示用画像データの明度との関係を示す説明図である。この図14に示す曲線C3の関係がLUTに登録されている。
【0124】
曲線C3から分かるように、第3の調整方法では、表示用画像データの明度は、調整処理後には、約0.2以下および約0.85以上の階調範囲で増大され、約0.2〜約0.85の階調範囲で低減される。図14に示す関係は、図9に示す2つの階調特性P,Dの関係に基づいて設定されている。すなわち、図9では、表示用画像データの出力明度が約0.2以下および約0.85以上の範囲で、表示用画像データの出力明度は、印刷用画像データの出力明度より小さく、表示用画像データの出力明度が約0.2〜約0.85の範囲で、表示用画像データの出力明度は、印刷用画像データの出力明度より大きい。そして、図14に示す関係は、図9に示す関係を修正するように、すなわち、表示用画像データの階調特性Dが印刷用画像データの階調特性Pに一致するように、設定されている。
【0125】
図15は、第3の調整方法を用いた場合における調整済み表示用画像データの階調特性D3を示す説明図である。なお、図15では、図9に示す2つの階調特性P,Dも示されている。
【0126】
図15に示す調整用画像データの階調特性D3から分かるように、表示用画像データの階調特性Dは、調整処理後には、被写体の明度のすべての範囲で印刷用画像データの階調特性Pと一致している。
【0127】
第3の調整方法を採用すれば、すべての階調において、参照画像の明るさと印刷済み画像の明るさとをユーザにほぼ同じに認識させることができる。ユーザは、表示パネルで観た画像の明るさおよび印刷物の明るさの特性がほぼ同等であると感じることができる。
【0128】
以上説明したように、本実施例では、表示用画像データの階調特性Dが印刷用画像データの階調特性Pに近づくように、表示用画像データの階調特性Dが調整される。このため、ユーザは、参照画像を確認することにより、長時間を要する現像処理が実行される前に、換言すれば、現像処理の完了を待たずに、印刷済み画像の明るさを迅速に把握することができる。この結果、無駄な印刷の実行を防止することができる。すなわち、ユーザは明るさの最適な画像を選んだ後に印刷の開始を指示することができるため、過度に明るい失敗写真を印刷してしまったり、過度に暗い失敗写真を印刷してしまったり、という無駄な印刷を実行せずに済む。
【0129】
なお、本実施例では、表示画像の明るさ特性(階調特性)と印刷物の明るさ特性(階調特性)とを同一にするための前述のカラーマッチング処理が、図1の表示パネル260内で行なわれている。
【0130】
なお、本明細書において、「表示用画像データの階調特性が印刷用画像データの階調特性に近づくように」表示用画像データを調整するとは、被写体の明度(RAW画像データの明度)の少なくとも一部の範囲(例えば中間調)において、調整済み表示用画像データの明度と印刷用画像データの明度との差分が、表示用画像データの明度と印刷用画像データの明度との差分よりも小さくなるように、表示用画像データを調整することを意味する。
【0131】
E.露出の補正量に応じた表示用画像データの調整:
ところで、RAW画像印刷設定画面Wb(図6)に含まれる項目「露出補正」の内容がユーザによって有意な値(すなわち「補正なし」以外)に設定される場合には、表示パネル260上に、露出の補正量に応じて明るさが調整された画像が表示されることが好ましい。そして、該設定画面Wbの項目「露出補正」の内容がユーザによって有意な値に設定される場合にも、参照画像の明るさと印刷済み画像の明るさとは、ユーザによってほぼ同じに認識されることが好ましい。こうすれば、ユーザは図6の参照画像表示フィールドFb内の画像を見ながら最適な露出の補正量を選択することが可能となり、ユーザの利便性は大幅に向上する。そこで、本実施例では、露出の補正量が有意な値に設定される場合にも、参照画像の明るさと露出補正処理が施された印刷済み画像の明るさとがユーザによってほぼ同じに認識されるように工夫している。
【0132】
露出の補正量が有意な値に設定される場合には、現像処理部252は、ステップS206(図7)において露出補正処理を実行する。前述したように、露出補正処理では、RAW画像データに含まれる各画素の階調値に露出の補正量に応じた係数が乗じられる。
【0133】
下記の表1は、露出の補正量と、RAW画像データに乗じられる係数と、の関係を示す。表1から分かるように、露出の補正量が「nEV」(nは+2.0,+1.5,+1.0,+0.5,±0,−0.5,−1.0,−1.5,−2.0のうちのいずれか)に設定される場合には、係数は2nに設定される。例えば、露出の補正量が「+2.0EV」に設定される場合には、RAW画像データに含まれる各画素の階調値に対して4(=2+2.0)が乗じられる。
【0134】
【表1】
【0135】
表1に基づいて露出の補正量に応じた露出補正処理が施されると、露出の補正量に応じた現像済み画像データ(印刷用画像データ)が生成される(図7参照)。なお、現像済み画像データ(印刷用画像データ)は、前述の図7の一連の処理によって生成される。前述の図8の例では、ステップS206の露出補正処理により、グラフGAa(図8)がグラフGAbの実線の特性に変更され、ステップS212の階調補正処理(ガンマ補正処理)によりグラフGAcの実線の特性に変更される。
【0136】
図16は、露出の補正量に応じた印刷用画像データの階調特性P,Pha〜Phd,Pla〜Pldを示す説明図である。なお、図16の階調特性Pは、図9の階調特性Pと同じであり、露出の補正量が「±0EV(補正なし)」に設定される場合に得られる。階調特性Pha,Phb,Phc,Phdは、それぞれ、露出の補正量が「+0.5EV」,「+1.0EV」,「+1.5EV」,「+2.0EV」に設定される場合に得られる。また、階調特性Pla,Plb,Plc,Pldは、それぞれ、露出の補正量が「−0.5EV」,「−1.0EV」,「−1.5EV」,「−2.0EV」に設定される場合に得られる。
【0137】
表示用画像データ調整部244は、図3のステップS122において、RAW画像印刷設定画面Wb(図6)内の項目「露出補正」に設定された露出の補正量に応じて、表示用画像データを調整する。具体的には、表示用画像データは、表示用画像データの階調特性Dが図16に示す露出の補正量に応じた印刷用画像データの階調特性P,Pha〜Phd,Pla〜Pldに近づくように、露出の補正量に応じて調整される。なお、露出の補正量に応じて表示用画像データが調整される場合にも、前述したように、調整処理の処理条件は、表示用画像データを生成したカメラの種類に応じて変更される。こうすれば、カメラの種類毎に異なり得る表示用画像データの階調特性に応じて、適切に露出の補正量に応じた調整処理を実行することができる。
【0138】
以下では、表示用画像データを含むRAW画像ファイルが前述の特定の種類のカメラで生成された場合を想定して、前述の3種類の調整方法を用いて、露出の補正量に応じた調整処理が実行される場合について説明する。
【0139】
E−1.第1の調整方法:
第1の調整方法では、表示用画像データ調整部244は、以下の式(3)に基づいて、表示用画像データに露出の補正量に応じた調整処理を施し、調整済み表示用画像データを生成する。
【0140】
Y=A・X …(3)
【0141】
ここで、Aは、露出の補正量に応じて設定される正の値であり、カメラの機種に応じて変更される。
【0142】
下記の表2は、露出の補正量と、上記の式(3)のAの値と、の関係を示す。例えば、露出の補正量が「+2.0EV」に設定される場合には「A=2.2」に設定される。また、露出の補正量が「±0EV(補正なし)」に設定される場合には、式(1)に関して前述したように「A=0.95」に設定される。
【0143】
【表2】
【0144】
図17は、第1の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と、露出の補正量に応じた調整済み表示用画像データの明度と、の関係を示す説明図である。図17に示す各直線C1,C1ha〜C1hd,C1la〜C1ldは、上記の式(3)で表される。図17の直線C1は、図10の直線C1と同じである。なお、各直線の符号の末尾(「ha」等)は、図16と同様に、露出の補正量に応じて付されており、各直線C1ha〜C1hd,C1la〜C1ldは、露出の補正量「+0.5EV」,「+1.0EV」,「+1.5EV」,「+2.0EV」,「−0.5EV」,「−1.0EV」,「−1.5EV」,「−2.0EV」に対応している。
【0145】
図18は、第1の調整方法を用いた場合における露出の補正量に応じた調整済み表示用画像データの階調特性D1,D1ha〜D1hd,D1la〜D1ldを示す説明図である。図18の階調特性D1は、図11の階調特性D1と同じである。なお、各階調特性の符号の末尾(「ha」等)は、図16と同様に、露出の補正量に応じて付されており、各階調特性D1ha〜D1hd,D1la〜D1ldは、露出の補正量「+0.5EV」,「+1.0EV」,「+1.5EV」,「+2.0EV」,「−0.5EV」,「−1.0EV」,「−1.5EV」,「−2.0EV」に対応している。また、図18には、さらに、図9に示す表示用画像データの階調特性Dと、図16に示す印刷用画像データの3つの階調特性P,Phd,Pldと、が示されている。
【0146】
図18に示す調整済み表示用画像データの階調特性D1,D1ha〜D1hd,D1la〜D1ldから分かるように、第1の調整手法を採用すれば、表示用画像データの階調特性Dを、調整処理後に、露出の補正量に応じた印刷用画像データの階調特性P,Pha〜Phd,Pla〜Pldに近づけることができる。また、第1の調整方法では、上記の式(3)が利用されるため、簡単かつ迅速に、露出の補正量に応じた調整処理を実行することができる。
【0147】
E−2.第2の調整方法:
第2の調整方法では、表示用画像データ調整部244は、以下の式(4)に基づいて、表示用画像データに露出の補正量に応じた調整処理を施し、調整済み表示用画像データを生成する。
【0148】
Y=B・XC …(4)
【0149】
ここで、B,Cは、露出の補正量に応じて設定される正の値であり、カメラの機種に応じて変更される。
【0150】
下記の表3は、露出の補正量と、上記の式(4)のB,Cと、の関係を示す。例えば、露出の補正量が「+2.0EV」に設定される場合には「B=1.3」,「C=0.6」に設定される。また、露出の補正量が「±0EV(補正なし)」に設定される場合には、式(2)に関して前述したように「B=1.05」,「C=1.2」に設定される。
【0151】
【表3】
【0152】
図19は、第2の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と、露出の補正量に応じた調整済み表示用画像データの明度と、の関係を示す説明図である。図19に示す各曲線C2,C2ha〜C2hd,C2la〜C2ldは、上記の式(4)で表される。図19の曲線C2は、図12の曲線C2と同じである。なお、各曲線の符号の末尾(「ha」等)は、図16と同様に、露出の補正量に応じて付されており、各曲線C2ha〜C2hd,C2la〜C2ldは、露出の補正量「+0.5EV」,「+1.0EV」,「+1.5EV」,「+2.0EV」,「−0.5EV」,「−1.0EV」,「−1.5EV」,「−2.0EV」に対応している。
【0153】
図20は、第2の調整方法を用いた場合における露出の補正量に応じた調整済み表示用画像データの階調特性D2,D2ha〜D2hd,D2la〜D2ldを示す説明図である。図20の階調特性D2は、図13の階調特性D2と同じである。なお、各階調特性の符号の末尾(「ha」等)は、図16と同様に、露出の補正量に応じて付されている。また、図20には、さらに、図9に示す表示用画像データの階調特性Dと、図16に示す印刷用画像データの3つの階調特性P,Phd,Pldと、が示されている。
【0154】
図20に示す調整済み表示用画像データの階調特性D1,D1ha〜D1hd,D1la〜D1ldから分かるように、第2の調整手法を採用すれば、表示用画像データの階調特性Dを、調整処理後に、露出の補正量に応じた印刷用画像データの階調特性P,Pha〜Phd,Pla〜Pldにかなり近づけることができる。また、第2の調整方法では、上記の式(4)が利用されるため、簡単かつ迅速に、露出の補正量に応じた調整処理を実行することができる。
【0155】
E−3.第3の調整方法:
第3の調整方法では、表示用画像データ調整部244は、図示しないLUT(ルック・アップ・テーブル)を利用して、表示用画像データに露出の補正量に応じた調整処理を施し、調整済み表示用画像データを生成する。
【0156】
図21は、第3の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と、露出の補正量に応じた調整済み表示用画像データの明度と、の関係を示す説明図である。この図21に示す各曲線C3,C3ha〜C3hd,C3la〜C3ldの関係がLUTに登録されている。図21の曲線C3は、図14の曲線C3と同じである。なお、各曲線の符号の末尾(「ha」等)は、図16と同様に、露出の補正量に応じて付されており、各曲線C3ha〜C3hd,C3la〜C3ldは、露出の補正量「+0.5EV」,「+1.0EV」,「+1.5EV」,「+2.0EV」,「−0.5EV」,「−1.0EV」,「−1.5EV」,「−2.0EV」に対応している。なお、図21に示す各曲線の関係は、図14で説明したように、図9に示す表示用画像データの階調特性Dと、図16に示す露出の補正量に応じた各印刷用画像データの階調特性P,Pha〜Phd,Pla〜Pldと、の関係に基づいて設定されている。
【0157】
第3の調整方法を利用すれば、図示は省略するが、表示用画像データの階調特性Dを、調整処理後に、露出の補正量に応じた印刷用画像データの階調特性P,Pha〜Phd,Pla〜Pldに一致させることができる。すなわち、第3の調整方法を採用すれば、すべての露出の補正量について、参照画像の明るさと印刷済み画像の明るさとをユーザにほぼ同じに認識させることができる。
【0158】
以上説明したように、本実施例では、露出の補正量に応じて表示用画像データの階調特性が調整される。このため、露出補正処理を含む現像処理が実行される前に、露出の補正量に応じて参照画像の明るさを変更することができる。この結果、ユーザは、参照画像を表示パネルで確認しつつユーザの好みの露出補正量を選択可能であり、露出補正処理を含む現像処理を実際に実行せずに、露出の補正量の設定を容易に行うことができる。この際、操作ボタンを操作して露出の補正量を「+1.0EV」,「+1.5EV」,「+0.5EV」等に設定する度に、即座に参照画像の明るさが変更されるため、ユーザは待ち時間を伴わずに露出の補正量の設定を気軽に変更でき、また、設定画面Wbで選択された露出の補正量で印刷を実行すれば、思い通りの明るさの印刷済み画像を得ることができ、ユーザの利便性は極めて向上する。
【0159】
特に、本実施例では、表示用画像データの階調特性が露出の補正量に応じた印刷用画像データの階調特性に近づくように、表示用画像データが露出の補正量に応じて調整される。このため、ユーザは、参照画像を確認することにより、長時間を要する現像処理が実行される前に、換言すれば、現像処理の完了を待たずに、露出の補正量に応じた印刷済み画像の明るさを迅速に把握することができる。この結果、無駄な印刷の実行を防止することができる。
【0160】
なお、本明細書において、「表示用画像データの階調特性が露出の補正量に応じた印刷用画像データの階調特性に近づくように」表示用画像データを露出の補正量に応じて調整するとは、被写体の明度(RAW画像データの明度)の少なくとも一部の範囲(例えば中間調)において、調整済み表示用画像データの明度と露出の補正量に応じた印刷用画像データの明度との差分が、表示用画像データの明度と露出の補正量に応じた印刷用画像データの明度との差分よりも小さくなるように、表示用画像データを露出の補正量に応じて調整することを意味する。
【0161】
F.変形例:
F−1.第1の変形例:
上記実施例では、印刷設定選択画面W(図4)において「RAW画像印刷設定」選択ボタンB2が選択されると、調整済み表示用画像データによって表される参照画像を含むRAW画像印刷設定画面Wb(図6)が表示される。そして該画面Wb内の「印刷」ボタンBPbが選択されると、RAW画像データを用いて印刷が実行される。しかしながら、これに代えて、調整済み表示用画像データを用いて印刷が実行されるようにしてもよい。
【0162】
図22は、第1の変形例において表示される印刷対象画像選択画面Wcを示す説明図である。なお、この選択画面Wcは、RAW画像印刷設定画面Wb(図6)内の「印刷」ボタンBPbが選択されたときに、表示パネル260に表示される。なお、選択画面Wcは、印刷データ生成部250によって準備される。
【0163】
図示するように、印刷対象画像選択画面Wcには、「RAW画像印刷」選択ボタンBPc1と、「表示用画像印刷」選択ボタンBPc2と、が含まれている。「RAW画像印刷」選択ボタンBPc1が選択されると、RAW画像データを用いて印刷データが生成され、該印刷データを用いて印刷が実行される。一方、「表示用画像印刷」選択ボタンBPc2が選択されると、調整済み表示用画像データを用いて印刷データが生成され、該印刷データを用いて印刷が実行される。
【0164】
具体的には、ステップS102でRAW画像印刷設定画面Wb(図6)内の「印刷」ボタンBPbが選択されると、ステップS124において、処理条件決定部240は、前述のように処理条件を決定する。そして、印刷対象画像選択画面Wc(図22)内の「RAW画像印刷」選択ボタンBPc1が選択されると、ステップS126において、現像処理部252は、前述のようにRAW画像データに対して現像処理を施す。また、ステップS132において、現像済み画像処理部254は、前述のように、現像済み画像データ(印刷用画像データ)を用いて印刷データを生成する。
【0165】
一方、ステップS102でRAW画像印刷設定画面Wb(図6)内の「印刷」ボタンBPbが選択されると、ステップS124において、処理条件決定部240は、前述のように処理条件を決定する。そして、印刷対象画像選択画面Wc(図22)内の「表示用画像印刷」選択ボタンBPc2が選択されると、ステップS132において、現像済み画像処理部254は、調整済み表示用画像データを用いて印刷データを生成する。なお、調整済み表示用画像データは、カメラにおいて既に現像処理が施された画像データであるため、ステップS126の現像処理は、スキップされる。すなわち、ステップS124で決定された処理条件のうち、現像処理に関する処理条件は無視される。
【0166】
本例を採用すれば、調整済み表示用画像データを用いて、迅速に印刷を実行することが可能となる。また、ユーザは、迅速に得られた印刷結果に基づいて、RAW画像データを用いた印刷を実行するか否かを決定することができる。すなわち、短時間で終了する調整済み表示用画像データを用いた印刷を試験的に実行することによって、調整済み表示用画像データを用いて試験的に得られた印刷結果を参照して、長時間を要するRAW画像を用いた印刷を実行するか否かを決定することができる。
【0167】
F−2.第2の変形例:
上記実施例では、図5,図6を比較して分かるように、RAW画像印刷設定画面Wbには、JPEG画像印刷設定画面Waに含まれる複数の項目のうちの一部の項目(例えば、項目「明るさ補正」,「色あい補正」)が含まれていない。しかしながら、JPEG画像データに対して実行可能な処理は、RAW画像データに対しても実行可能であるため、RAW画像印刷設定画面Wbには、JPEG画像印刷設定画面Waに含まれる複数の項目のうちのすべてが含まれていてもよい。例えば、JPEG画像印刷設定画面Waには、4つの項目「印刷用紙」,「用紙サイズ」,「印刷品質」,「赤目補正」が含まれ、RAW画像印刷設定画面Wbには、該4つの項目と、他の2つの項目「露出補正」,「ホワイトバランス補正」と、が含まれていればよい。あるいは、JPEG画像印刷設定画面Waには、図5に示す6つの項目が含まれ、RAW画像印刷設定画面Wbには、図6に示す6つの項目と、2つの項目「明るさ補正」,「色あい補正」と、が含まれていてもよい。
【0168】
一般には、第2の設定画面内の第2種の項目群は、第1の設定画面内の第1種の項目群に含まれない特定項目を含んでいればよい。また、第2の設定画面内の第2種の項目群は、第1の設定画面内の第1種の項目群に含まれる全項目を含んでいてもよい。
【0169】
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0170】
(1)上記実施例では、印刷設定選択画面W(図4)が表示されているが、該選択画面Wは省略可能である。この場合には、例えば、操作部270に含まれる第1のボタンと第2のボタンとをそれぞれ選択することによってJPEG画像印刷設定画面WaとRAW画像印刷設定画面Wbとが表示されればよい。
【0171】
(2)上記実施例では、2つの設定画面Wa,Wb(図5,図6)は、それぞれ参照画像表示フィールドFa,Fbを含んでいるが、参照画像表示フィールドFa,Fbは省略可能である。なお、この場合には、表示用画像データ調整部244も省略される。
【0172】
(3)上記実施例では、RAW画像印刷設定画面Wb(図6)内の一部の領域に参照画像表示フィールドFbが設けられているが、これに代えて、該設定画面Wbの全体に参照画像表示フィールドFbが設けられていてもよい。この場合には、参照画像表示フィールドFb上に、選択ボタンや複数の項目などが重畳して表示されればよい。
【0173】
(4)上記実施例では、RAW画像ファイル内にRAW画像データと表示用画像データとが含まれているが、これに代えて、RAW画像データと表示用画像データとが異なるファイルに含まれ、かつ、RAW画像データと表示用画像データとが互いに関連付けられていてもよい。
【0174】
また、上記実施例では、RAW画像ファイルは、RAW画像データと表示用画像データとを含んでいるが、表示用画像データを含まない場合にも、参照画像表示フィールドFbに参照画像を表示可能である。例えば、RAW画像ファイル内にRAW画像データと共に記録されたJPEG画像データが含まれている場合には、該JPEG画像データに対して縮小処理を施すことによって、参照画像表示フィールドFbに参照画像が表示されればよい。また、RAW画像ファイル内に該JPEG画像データが含まれない場合には、RAW画像データに対して高速な現像処理を施すことによって、参照画像表示フィールドFbに参照画像が表示されればよい。なお、高速な現像処理では、RAW画像データの画素数および/または各画素のビット数が低減される。
【0175】
(5)上記実施例では、図3のステップS122において、露出が補正される場合(すなわち「±0EV(補正なし)」以外に設定される場合)に、表示用画像データに対する調整処理が実行されているが、これに代えて、露出が補正される場合には、調整処理は省略されてもよい。この場合にも、露出が補正されない場合において、印刷済み画像の明るさと参照画像の明るさとをユーザにほぼ同じに認識させることができる。
【0176】
また、上記実施例では、図3のステップS122において、露出が補正されない場合(すなわち「±0EV(補正なし)」に設定される場合)に、表示用画像データに対する調整処理が実行されているが、これに代えて、露出が補正されない場合には、調整処理は省略されてもよい。この場合にも、露出が補正される場合において、露出の補正量に応じて、参照画像表示フィールドFbに表示される参照画像の明るさを変更することができる。
【0177】
(6)上記実施例では、露出の補正範囲は、+0.2EV〜−0.2EVに設定されているが、これに代えて、より広い範囲またはより狭い範囲に設定されてもよい。また、上記実施例では、露出の補正量は、0.5EV毎で設定可能であるが、これに代えて、1.0EV毎や、0.25EV毎、0.1EV毎などに設定可能であってもよい。
【0178】
(7)上記実施例では、表示用画像データの階調特性を調整するための3種類の調整方法について説明したが、これに代えて、他の方法が利用されてもよい。例えば、第1の調整方法と第2の調整方法とを組み合わせた方法が利用されてもよい。この場合には、例えば、表示用画像データの明度(階調値)に応じて、第1の調整方法と第2の調整方法とが使い分けられればよい。
【0179】
(8)上記実施例では、RAW画像データおよび表示用画像データを含むRAW画像ファイルを生成したカメラの種類は、RAW画像ファイル内のヘッダ部に記述されたメーカ名および機種名を調べることによって特定されているが、これに代えて、ユーザがカメラのメーカ名および機種名を入力することによって特定されてもよい。
【0180】
(9)上記実施例では、説明の便宜上、JPEG画像データとRAW画像データとを用いて印刷を実行する場合について説明したが、これに加えて、BMP形式などの他の形式の現像済みの画像データを用いて印刷が実行されてもよい。
【0181】
(10)上記実施例では、印刷のための処理条件が決定され、該処理条件に従って原画像データに対して画像処理が施されて印刷データが生成されているが、これに代えて、表示のための処理条件が決定され、該処理条件に従って原画像データに対して画像処理が施されて表示データが生成されてもよい。すなわち、本発明は、印刷と無関係な画像処理装置に適用可能である。一般には、画像処理装置は、原画像データに対する画像処理のための処理条件を決定し、該処理条件に従って、原画像データに対して画像処理を実行すればよい。
【0182】
また、上記実施例では、プリンタ200に本発明が適用される場合について説明したが、これに代えて、パーソナルコンピュータ、画像ビューア(viewer)装置、カメラ等にも適用可能である。一般には、本発明は、表示部と印刷実行部とを利用する印刷制御装置に適用可能である。なお、パーソナルコンピュータ、画像ビューア(viewer)装置、カメラ等は、印刷制御装置として利用可能であると共に、上記の画像処理装置としても利用可能である。
【0183】
(11)上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】実施例におけるプリンタ200を示す説明図である。
【図2】RAW画像データを含むRAW画像ファイルの構造を模式的に示す説明図である。
【図3】印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】印刷設定選択画面Wを示す説明図である。
【図5】JPEG画像印刷設定画面Waを示す説明図である。
【図6】RAW画像印刷設定画面Wbを示す説明図である。
【図7】図3のステップS126で実行される現像処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】露出補正処理の内容と明るさ補正処理の内容とを示す説明図である。
【図9】印刷用画像データの階調特性Pと表示用画像データの階調特性Dとを示す説明図である。
【図10】第1の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と調整済み表示用画像データの明度との関係を示す説明図である。
【図11】第1の調整方法を用いた場合における調整済み表示用画像データの階調特性D1を示す説明図である。
【図12】第2の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と調整済み表示用画像データの明度との関係を示す説明図である。
【図13】第2の調整方法を用いた場合における調整済み表示用画像データの階調特性D2を示す説明図である。
【図14】第3の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と調整済み表示用画像データの明度との関係を示す説明図である。
【図15】第3の調整方法を用いた場合における調整済み表示用画像データの階調特性D3を示す説明図である。
【図16】露出の補正量に応じた印刷用画像データの階調特性P,Pha〜Phd,Pla〜Pldを示す説明図である。
【図17】第1の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と、露出の補正量に応じた調整済み表示用画像データの明度と、の関係を示す説明図である。
【図18】第1の調整方法を用いた場合における露出の補正量に応じた調整済み表示用画像データの階調特性D1,D1ha〜D1hd,D1la〜D1ldを示す説明図である。
【図19】第2の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と、露出の補正量に応じた調整済み表示用画像データの明度と、の関係を示す説明図である。
【図20】第2の調整方法を用いた場合における露出の補正量に応じた調整済み表示用画像データの階調特性D2,D2ha〜D2hd,D2la〜D2ldを示す説明図である。
【図21】第3の調整方法を用いた場合における表示用画像データの明度と、露出の補正量に応じた調整済み表示用画像データの明度と、の関係を示す説明図である。
【図22】第1の変形例において表示される印刷対象画像選択画面Wcを示す説明図である。
【符号の説明】
【0185】
200…プリンタ
210…CPU
220…内部記憶装置
230…印刷制御部
240…処理条件決定部
242a…第1の設定部
242b…第2の設定部
244…表示用画像データ調整部
250…印刷データ生成部
252…画像処理部
254…現像済み画像処理部
260…表示パネル
270…操作部
280…印刷実行部
290…インタフェース(I/F)部
MC…メモリカード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と印刷実行部とを利用する印刷制御装置であって、
原画像データを用いた印刷のための処理条件を決定する処理条件決定部と、
前記処理条件に従って、前記原画像データから前記印刷実行部に供給される印刷データを生成する印刷データ生成部と、
を備え、
前記処理条件決定部は、
前記原画像データが現像済みの第1種の原画像データである場合に、前記第1種の原画像データの前記処理条件を決定するための第1種の項目群の設定をユーザに許容する第1の設定画面を前記表示部に表示させる第1の設定部と、
前記原画像データが未現像の第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データの前記処理条件を決定するための第2種の項目群の設定を前記ユーザに許容する第2の設定画面を前記表示部に表示させる第2の設定部と、
を備え、
前記第2種の項目群は、前記第1種の項目群に含まれない特定項目を含み、
前記印刷データ生成部は、
前記原画像データが前記第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データに対して前記特定項目の設定内容に応じた特定処理を含む現像処理を実行する現像処理部を備えることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷制御装置であって、
前記特定項目は、露出の補正量を設定するための項目であり、
前記特定処理は、前記露出の補正量に応じて実行される露出補正処理を含む、印刷制御装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の印刷制御装置であって、
前記第2の設定部は、前記現像処理が実行される前に、前記第2種の原画像データに対応する現像済みの表示用画像データを用いて、被写体が表現された画像を含む前記第2の設定画面を表示させる、印刷制御装置。
【請求項4】
請求項1記載の印刷制御装置であって、
前記現像処理部は、前記現像処理を実行して現像済みの印刷用画像データを生成し、
前記第2の設定部は、
前記現像処理が実行される前に、前記第2種の原画像データに対応する現像済みの表示用画像データを、前記表示用画像データの階調特性が前記印刷用画像データの階調特性に近づくように、調整する表示用画像データ調整部を含み、
前記第2の設定部は、前記調整済みの表示用画像データによって表される画像を含む前記第2の設定画面を表示させる、印刷制御装置。
【請求項5】
請求項4記載の印刷制御装置であって、
前記印刷制御装置は、前記印刷用画像データと前記調整済みの表示用画像データとのいずれを用いて印刷を行うかをユーザに選択させる選択画面を表示させる、印刷制御装置。
【請求項6】
請求項4または5記載の印刷制御装置であって、
前記特定項目は、露出の補正量を設定するための項目であり、
前記特定処理は、前記露出の補正量に応じて実行される露出補正処理を含み、
前記表示用画像データ調整部は、前記現像処理が実行される前に、前記表示用画像データの階調特性を前記露出の補正量に応じて調整する、印刷制御装置。
【請求項7】
請求項6記載の印刷制御装置であって、
前記表示用画像データ調整部は、前記表示用画像データの階調特性が前記露出の補正量に応じた前記印刷用画像データの階調特性に近づくように、前記露出の補正量に応じた前記調整を実行する、印刷制御装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記第2種の項目群は、前記第1種の項目群に含まれる全項目を含む、印刷制御装置。
【請求項9】
プリンタであって、
前記表示部と、
前記印刷実行部と、
請求項1ないし8のいずれかに記載の印刷制御装置と、
を備えることを特徴とするプリンタ。
【請求項10】
画像処理装置であって、
原画像データに対する画像処理のための処理条件を決定する処理条件決定部と、
前記処理条件に従って、前記原画像データに対して画像処理を実行する画像処理部と、
を備え、
前記処理条件決定部は、
前記原画像データが現像済みの第1種の原画像データである場合に、前記第1種の原画像データの前記処理条件を決定するための第1種の項目群の設定をユーザに許容する第1の設定画面を表示部に表示させる第1の設定部と、
前記原画像データが未現像の第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データの前記処理条件を決定するための第2種の項目群の設定を前記ユーザに許容する第2の設定画面を前記表示部に表示させる第2の設定部と、
を備え、
前記第2種の項目群は、前記第1種の項目群に含まれない特定項目を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
表示部と印刷実行部とを利用する印刷制御方法であって、
(a)原画像データを用いた印刷のための処理条件を決定する工程と、
(b)前記処理条件に従って、前記原画像データから前記印刷実行部に供給される印刷データを生成する工程と、
を備え、
前記工程(a)は、
前記原画像データが現像済みの第1種の原画像データである場合に、前記第1種の原画像データの前記処理条件を決定するための第1種の項目群の設定をユーザに許容する第1の設定画面を前記表示部に表示させる工程と、
前記原画像データが未現像の第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データの前記処理条件を決定するための第2種の項目群の設定を前記ユーザに許容する第2の設定画面を前記表示部に表示させる工程と、
を備え、
前記第2種の項目群は、前記第1種の項目群に含まれない特定項目を含み、 前記工程(b)は、
前記原画像データが前記第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データに対して前記特定項目の設定内容に応じた特定処理を含む現像処理を実行する工程を備えることを特徴とする印刷制御方法。
【請求項12】
画像処理方法であって、
(a)原画像データに対する画像処理のための処理条件を決定する工程と、
(b)前記処理条件に従って、前記原画像データに対して画像処理を実行する工程と、
を備え、
前記工程(a)は、
前記原画像データが現像済みの第1種の原画像データである場合に、前記第1種の原画像データの前記処理条件を決定するための第1種の項目群の設定をユーザに許容する第1の設定画面を表示部に表示させる工程と、
前記原画像データが未現像の第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データの前記処理条件を決定するための第2種の項目群の設定を前記ユーザに許容する第2の設定画面を前記表示部に表示させる工程と、
を備え、
前記第2種の項目群は、前記第1種の項目群に含まれない特定項目を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項13】
表示部と印刷実行部とを利用する印刷制御装置に、処理を実行させるためのコンピュータプログラムであって、
原画像データを用いた印刷のための処理条件を決定する機能と、
前記処理条件に従って、前記原画像データから前記印刷実行部に供給される印刷データを生成する機能と、
を前記印刷制御装置に実現させ、
前記処理条件決定機能は、
前記原画像データが現像済みの第1種の原画像データである場合に、前記第1種の原画像データの前記処理条件を決定するための第1種の項目群の設定をユーザに許容する第1の設定画面を前記表示部に表示させる機能と、
前記原画像データが未現像の第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データの前記処理条件を決定するための第2種の項目群の設定を前記ユーザに許容する第2の設定画面を前記表示部に表示させる機能と、
を備え、
前記第2種の項目群は、前記第1種の項目群に含まれない特定項目を含み、
前記印刷データ生成機能は、
前記原画像データが前記第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データに対して前記特定項目の設定内容に応じた特定処理を含む現像処理を実行する機能を備えることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項14】
画像処理装置に処理を実行させるためのコンピュータプログラムであって、
原画像データに対する画像処理のための処理条件を決定する機能と、
前記処理条件に従って、前記原画像データに対して画像処理を実行する機能と、
を前記画像処理装置に実現させ、
前記処理条件決定機能は、
前記原画像データが現像済みの第1種の原画像データである場合に、前記第1種の原画像データの前記処理条件を決定するための第1種の項目群の設定をユーザに許容する第1の設定画面を表示部に表示させる機能と、
前記原画像データが未現像の第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データの前記処理条件を決定するための第2種の項目群の設定を前記ユーザに許容する第2の設定画面を前記表示部に表示させる機能と、
を備え、
前記第2種の項目群は、前記第1種の項目群に含まれない特定項目を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項1】
表示部と印刷実行部とを利用する印刷制御装置であって、
原画像データを用いた印刷のための処理条件を決定する処理条件決定部と、
前記処理条件に従って、前記原画像データから前記印刷実行部に供給される印刷データを生成する印刷データ生成部と、
を備え、
前記処理条件決定部は、
前記原画像データが現像済みの第1種の原画像データである場合に、前記第1種の原画像データの前記処理条件を決定するための第1種の項目群の設定をユーザに許容する第1の設定画面を前記表示部に表示させる第1の設定部と、
前記原画像データが未現像の第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データの前記処理条件を決定するための第2種の項目群の設定を前記ユーザに許容する第2の設定画面を前記表示部に表示させる第2の設定部と、
を備え、
前記第2種の項目群は、前記第1種の項目群に含まれない特定項目を含み、
前記印刷データ生成部は、
前記原画像データが前記第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データに対して前記特定項目の設定内容に応じた特定処理を含む現像処理を実行する現像処理部を備えることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷制御装置であって、
前記特定項目は、露出の補正量を設定するための項目であり、
前記特定処理は、前記露出の補正量に応じて実行される露出補正処理を含む、印刷制御装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の印刷制御装置であって、
前記第2の設定部は、前記現像処理が実行される前に、前記第2種の原画像データに対応する現像済みの表示用画像データを用いて、被写体が表現された画像を含む前記第2の設定画面を表示させる、印刷制御装置。
【請求項4】
請求項1記載の印刷制御装置であって、
前記現像処理部は、前記現像処理を実行して現像済みの印刷用画像データを生成し、
前記第2の設定部は、
前記現像処理が実行される前に、前記第2種の原画像データに対応する現像済みの表示用画像データを、前記表示用画像データの階調特性が前記印刷用画像データの階調特性に近づくように、調整する表示用画像データ調整部を含み、
前記第2の設定部は、前記調整済みの表示用画像データによって表される画像を含む前記第2の設定画面を表示させる、印刷制御装置。
【請求項5】
請求項4記載の印刷制御装置であって、
前記印刷制御装置は、前記印刷用画像データと前記調整済みの表示用画像データとのいずれを用いて印刷を行うかをユーザに選択させる選択画面を表示させる、印刷制御装置。
【請求項6】
請求項4または5記載の印刷制御装置であって、
前記特定項目は、露出の補正量を設定するための項目であり、
前記特定処理は、前記露出の補正量に応じて実行される露出補正処理を含み、
前記表示用画像データ調整部は、前記現像処理が実行される前に、前記表示用画像データの階調特性を前記露出の補正量に応じて調整する、印刷制御装置。
【請求項7】
請求項6記載の印刷制御装置であって、
前記表示用画像データ調整部は、前記表示用画像データの階調特性が前記露出の補正量に応じた前記印刷用画像データの階調特性に近づくように、前記露出の補正量に応じた前記調整を実行する、印刷制御装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記第2種の項目群は、前記第1種の項目群に含まれる全項目を含む、印刷制御装置。
【請求項9】
プリンタであって、
前記表示部と、
前記印刷実行部と、
請求項1ないし8のいずれかに記載の印刷制御装置と、
を備えることを特徴とするプリンタ。
【請求項10】
画像処理装置であって、
原画像データに対する画像処理のための処理条件を決定する処理条件決定部と、
前記処理条件に従って、前記原画像データに対して画像処理を実行する画像処理部と、
を備え、
前記処理条件決定部は、
前記原画像データが現像済みの第1種の原画像データである場合に、前記第1種の原画像データの前記処理条件を決定するための第1種の項目群の設定をユーザに許容する第1の設定画面を表示部に表示させる第1の設定部と、
前記原画像データが未現像の第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データの前記処理条件を決定するための第2種の項目群の設定を前記ユーザに許容する第2の設定画面を前記表示部に表示させる第2の設定部と、
を備え、
前記第2種の項目群は、前記第1種の項目群に含まれない特定項目を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
表示部と印刷実行部とを利用する印刷制御方法であって、
(a)原画像データを用いた印刷のための処理条件を決定する工程と、
(b)前記処理条件に従って、前記原画像データから前記印刷実行部に供給される印刷データを生成する工程と、
を備え、
前記工程(a)は、
前記原画像データが現像済みの第1種の原画像データである場合に、前記第1種の原画像データの前記処理条件を決定するための第1種の項目群の設定をユーザに許容する第1の設定画面を前記表示部に表示させる工程と、
前記原画像データが未現像の第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データの前記処理条件を決定するための第2種の項目群の設定を前記ユーザに許容する第2の設定画面を前記表示部に表示させる工程と、
を備え、
前記第2種の項目群は、前記第1種の項目群に含まれない特定項目を含み、 前記工程(b)は、
前記原画像データが前記第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データに対して前記特定項目の設定内容に応じた特定処理を含む現像処理を実行する工程を備えることを特徴とする印刷制御方法。
【請求項12】
画像処理方法であって、
(a)原画像データに対する画像処理のための処理条件を決定する工程と、
(b)前記処理条件に従って、前記原画像データに対して画像処理を実行する工程と、
を備え、
前記工程(a)は、
前記原画像データが現像済みの第1種の原画像データである場合に、前記第1種の原画像データの前記処理条件を決定するための第1種の項目群の設定をユーザに許容する第1の設定画面を表示部に表示させる工程と、
前記原画像データが未現像の第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データの前記処理条件を決定するための第2種の項目群の設定を前記ユーザに許容する第2の設定画面を前記表示部に表示させる工程と、
を備え、
前記第2種の項目群は、前記第1種の項目群に含まれない特定項目を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項13】
表示部と印刷実行部とを利用する印刷制御装置に、処理を実行させるためのコンピュータプログラムであって、
原画像データを用いた印刷のための処理条件を決定する機能と、
前記処理条件に従って、前記原画像データから前記印刷実行部に供給される印刷データを生成する機能と、
を前記印刷制御装置に実現させ、
前記処理条件決定機能は、
前記原画像データが現像済みの第1種の原画像データである場合に、前記第1種の原画像データの前記処理条件を決定するための第1種の項目群の設定をユーザに許容する第1の設定画面を前記表示部に表示させる機能と、
前記原画像データが未現像の第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データの前記処理条件を決定するための第2種の項目群の設定を前記ユーザに許容する第2の設定画面を前記表示部に表示させる機能と、
を備え、
前記第2種の項目群は、前記第1種の項目群に含まれない特定項目を含み、
前記印刷データ生成機能は、
前記原画像データが前記第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データに対して前記特定項目の設定内容に応じた特定処理を含む現像処理を実行する機能を備えることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項14】
画像処理装置に処理を実行させるためのコンピュータプログラムであって、
原画像データに対する画像処理のための処理条件を決定する機能と、
前記処理条件に従って、前記原画像データに対して画像処理を実行する機能と、
を前記画像処理装置に実現させ、
前記処理条件決定機能は、
前記原画像データが現像済みの第1種の原画像データである場合に、前記第1種の原画像データの前記処理条件を決定するための第1種の項目群の設定をユーザに許容する第1の設定画面を表示部に表示させる機能と、
前記原画像データが未現像の第2種の原画像データである場合に、前記第2種の原画像データの前記処理条件を決定するための第2種の項目群の設定を前記ユーザに許容する第2の設定画面を前記表示部に表示させる機能と、
を備え、
前記第2種の項目群は、前記第1種の項目群に含まれない特定項目を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2008−105383(P2008−105383A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163409(P2007−163409)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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