説明

杭と基礎との接合構造及びその構築方法、並びに杭と基礎との接合方法

【課題】簡易な構成で、圧縮軸力に対する剛性及び強度の向上と、曲げモーメントに対する曲げ剛性の低減とを両立させることが可能な構造物の基礎と杭頭との接合構造及びその構築工法、並びに杭と基礎との接合方法を提供する。
【解決手段】本発明の接合構造は、コンクリート杭10よりも平面形状が小さく、かつ、コンクリート杭10の上面の中央からフーチング20に連結する連結部30と、連結部30の周囲を取り囲むとともに、コンクリート杭10とフーチング20との間に隙間なく介装される、互いに鉛直方向に離間可能に積層されたプレート40と、を備える

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物等の構造物における基礎と杭との接合構造に係り、特に、圧縮軸力に対する剛性及び強度を向上させるともに、曲げ剛性を低減させることが可能な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物等の構造物における基礎(フーチングやパイルキャップ)と杭との接合構造は、完全固定とする剛接合構造が主流であった。しかしながら、地震等により構造物に大きな水平力又は回転力が発生した場合、剛接合構造では、杭と基礎との接合部に曲げモーメントが集中しやすく損傷しやすい。このため、耐震設計として接合部周辺の杭や基礎の断面形状やコンクリートへの配筋量を増加させる必要があり、設計や施工の点でコスト増の一因となっていた。
これに対し昨今、曲げモーメントの集中を低減させる接合構造が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1では、杭と基礎とを、杭上面と基礎底面と間に隙間を隔てながら、杭よりも平面形状が小さい柱鉄骨、鉄骨コンクリート柱、又は鉄骨鉄筋コンクリート柱で連結する接合構造が開示されている。かかる接合構造によれば、基礎から杭へ伝達される圧縮軸力に対する剛性及び強度を柱鉄骨等で確保しつつ、柱鉄骨等の平面形状を杭よりも小さくすることで曲げモーメントに対する剛性を低下させることができる。
【特許文献1】特開2000−144904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される基礎と杭との接合構造では、基礎と杭との接合部分の平面形状が縮小するほど、接合構造に発生する曲げモーメントの集中が低減されるものの、基礎から杭に圧縮軸力を充分に伝達させる必要があるため、接合部分の平面形状の縮小には限界がある。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、圧縮軸力に対する剛性及び強度の向上と、曲げモーメントに対する曲げ剛性の低減とを両立させることが可能な構造物の基礎と杭頭との接合構造及びその構築工法、並びに杭と基礎との接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、杭とその上に設けられる基礎との接合構造であって、
前記杭よりも平面形状が小さく、かつ、前記杭の上面の中央と前記基礎とを連結する連結部と、
前記杭又は前記基礎よりも圧縮強度が大きい材質からなり、かつ、前記連結部の周囲を取り囲むとともに、前記杭と前記基礎との間に介装された、互いに鉛直方向に離間可能に積層された複数のプレートと、を備えることを特徴とする。
本発明の接合構造によれば、平常時には、基礎と杭との間に作用する圧縮軸力を、連結部とプレートとの両方を介して充分に伝達することができる。
【0007】
またここで、プレートが連結部の周囲を取り囲んでいるので、連結部に圧縮軸力が作用する際に連結部に生じる水平方向の膨張を、プレートが周囲から拘束することから、連結部の圧縮強度及び靱性が向上する。
【0008】
また、本発明の接合構造に曲げモーメントが生じる場合には、当該曲げモーメントにより引張応力が発生する側のプレート間が離間することにより、曲げ剛性を効果的に低下させることができる。
【0009】
また、プレート間が離間する場合、プレート間が離間した側と反対側のプレート同士が接触する部分において、局所的に圧縮応力の集中が生じるが、最下部のプレートと杭上面とは当接しているので、かかる集中する圧縮応力は、最下部のプレートの底面全体に分散されて杭上面に伝達されることになるので、応力集中による杭の頭部の損傷を抑制することができる。
【0010】
したがって、本発明の接合構造によれば、平常時は杭が基礎を堅実に支持するとともに、地震時には曲げモーメントの集中による杭の頭部の損傷を抑制することができる。
【0011】
また、本発明において、前記プレートは、前記杭又は前記基礎よりも圧縮強度が大きい材質からなることにより、許容応力度設計の点から杭と基礎との間に作用する圧縮軸力に必要なプレートの平面形状を、剛接合構造よりも小さく設定できるため、曲げモーメントに対する剛性をさらに低減させることができる。
【0012】
また、本発明において、前記プレートは、鋼材又はプレキャストコンクリートからなることとしてもよい。
【0013】
また、本発明において、前記プレートは、前記連結部の周囲を取り囲む本体部材と、前記本体部材の周囲に、前記本体部材を拘束するように設けられた拘束部材とからなることとしてもよい。この構成のプレートは、例えば、本体部材が、杭又は基礎と同等の圧縮強度を有するコンクリートからなり、そのコンクリートの周囲に、拘束部材としてコンクリートを拘束する鋼管を設けた複合部材である。
【0014】
プレートをこのような構成にすることにより、鉛直方向に作用する圧縮荷重に対するプレートの圧縮強度及び靱性を、コンクリート単体の構成の場合と比べて向上させることができる。
【0015】
また、本発明において、前記複数のプレートのうち少なくとも一枚のプレートが、前記杭よりも小さい平面形状を有することとしてもよい。この構成によれば、曲げモーメントに対する曲げ剛性を、より一層効果的に低下させることができる。
【0016】
また、本発明において、前記複数のプレートのうち最下部のプレートよりも一つ上側のプレートが、前記最下部のプレートよりも小さい平面形状を有することとしてもよい。この構成によれば、地震時には、最下部のプレートよりも小さい平面形状を有する、最下部のプレートより一つ上側のプレート(以下、二段目プレートという)において曲げ剛性が低減され、また平常時には、基礎から杭に伝達される圧縮軸力が、二段目プレートから直接杭上面に伝達されるのではなく、二段目プレートよりも平面形状の大きい最下部のプレートから広範囲に分散されて伝達されることになるので、杭の頭部の損傷を抑制することができる。
【0017】
また、本発明において、前記プレートの積層数は3枚であり、前記3枚に積層されるプレートのうち中間に位置する中間プレートの平面形状が、当該中間プレートの上側及び下側のプレートの平面形状よりも小さいこととしてもよい。
【0018】
また、本発明において、前記杭よりも小さい平面形状を有するプレートは、前記積層されたプレートのうち最下部のプレートであり、前記杭の上面における前記最下部のプレートとの当接部分が、前記杭の上端面の周縁部よりも陥没していることとしてもよい。この構成によれば、当接部分から杭の頭部に伝達される圧縮軸力が、当接部分が陥没してないときと比べて杭内部に作用することから、かかる圧縮軸力に抵抗するコンクリート断面が広がり、圧縮軸力が杭内部から広範囲に分散されて伝達されることになるので、杭の頭部の損傷を抑制することができる。
【0019】
また、杭がコンクリート杭の場合には、通常、主筋の周囲にリング状又はスパイラル状のせん断補強筋が配筋されており、杭内部のコンクリートを周囲から拘束することで、コンクリートの強度及び変形性能が向上することから、コンクリート杭の割裂による破壊を抑制しているが、この構成によれば、上記杭上面の当接部分が陥没してないときと比べ、陥没部分に伝達された圧縮軸力に対し、陥没部分よりも上側周囲に配筋されるせん断補強筋の拘束力が付加されることになるので、せん断補強筋の拘束効果をより効果的に作用させることができ、コンクリート杭の割裂破壊の抑制に寄与する。
【0020】
また、本発明において、前記杭の上面の陥没部分は、前記杭の上端面から前記当接部分に向けて縮小するようなテーパー形状を有することとしてもよい。この構成によれば、最下部のプレートに圧縮軸力が作用した時に生じるプレートの変形による杭の頭部のコンクリートへの損傷を抑制することができる。
【0021】
また、本発明において、前記杭と前記基礎との間を前記連結部内を貫通して延び、前記杭と前記基礎との間でせん断力を伝達するせん断伝達部材を備えることとしてもよい。この構成によれば、杭と基礎との間に生じるせん断力を効果的に伝達することができる。なお、この接合構造に曲げモーメントが生じても、せん断伝達部材は連結部内を介して配筋されているので、曲げモーメントに対する剛性が増大しにくい。
【0022】
また、本発明において、前記せん断伝達部材は、前記杭又は前記基礎の少なくともいずれか一方と、付着していないこととしてもよい。この構成によれば、せん断伝達部材に引張力が生じないため、この周辺のコンクリートの損傷を抑制することができる。
【0023】
また、本発明において、前記せん断伝達部材は、前記杭及び前記基礎とに定着されていることにより、前記杭と前記基礎との間で引張力を伝達可能であることとしてもよい。この構成によれば、杭と基礎との間に生じる引張力を効果的に伝達することができる。
【0024】
また、本発明において、前記せん断伝達部材は、前記杭の頭部領域で前記杭と付着せず、当該杭の頭部領域よりも下方の位置で前記杭に定着されていることとしてもよい。
【0025】
例えば、せん断伝達部材が杭の頭部領域で杭と付着した状態で、杭と基礎との間に引張力が発生した場合には、杭の頭部に引張応力が集中しやすいため、杭の頭部が損傷されるおそれがあるが、この構成によれば、せん断伝達部材が杭の頭部領域で杭と付着していないため、引張力を杭の頭部領域よりも下方の位置から杭内部に伝達することができ、これにより引張応力が杭内部に広範囲に分散して伝達されることにより、杭の頭部の損傷を抑制することができる。
【0026】
また、曲げモーメントが発生時においても、曲げモーメントは杭の上端に近づくほどその大きさが増加する傾向になることに対し、曲げモーメントによるせん断伝達部材に作用する引張軸力が杭内部から広範囲に分散されて伝達されることになるので、杭の頭部のコンクリートへの損傷を抑制することができる。
【0027】
また、本発明において、前記杭の頭部の周囲に、前記杭の頭部のコンクリートを拘束する拘束部材を備えることとしてもよい。この構成によれば、杭の頭部を拘束することで、杭の頭部のコンクリートの強度及び変形性能が向上するので、杭の頭部の割裂による破壊を抑制することができる。
【0028】
また、本発明は、杭とその上に設けられる基礎との接合構造の構築方法であって、互いに離間可能に鉛直方向に積層された環形状を有する複数のプレートを上端に備えるコンクリート杭を構築する杭構築工程と、前記基礎の構築用の型枠を、前記杭の上側に、前記型枠内の空間と前記積層されたプレートの環内の空間とが連通するように設置するとともに、前記型枠内及び前記積層されたプレートの環内にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、を備えることを特徴とする。
【0029】
また、本発明は、杭とその上に設けられる基礎との接合方法であって、前記杭の上面の中央と前記基礎との間を、前記杭よりも小さい平面形状を有する連結部で連結し、互いに鉛直方向に離間可能に積層された複数のプレートを、前記連結部の周囲を取り囲ませながら、前記杭と前記基礎との間に介装することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、簡易な構成で、圧縮軸力に対する剛性及び強度の向上と、曲げモーメントに対する曲げ剛性の低減とを両立させることが可能な構造物の基礎と杭頭との接合構造及びその構築工法、並びに杭と基礎との接合方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
本実施形態では、本発明が、例えば、コンクリート杭とその上に設けられるフーチングとの接合構造に適用された場合について説明する。
【0032】
図1は、第一の実施形態である接合構造1を示し、同図(a)は断面図、同図(b)は同図(a)のA−A断面図である。
【0033】
図1(a)に示すように、建物等の構造物のフーチング20を支持するコンクリート杭10には、コンクリート杭10の外周付近に鉛直方向に延びる複数の主筋12と、これら主筋12を取り囲むようなリング状又はスパイラル状のせん断補強筋14とが配筋されている。
【0034】
本実施形態の接合構造1は、かかるコンクリート杭10とその上に設けられるフーチング20との間に構築されるものであって、コンクリート杭10とフーチング20との間を連結する連結部30と、連結部30の周囲に設けられるプレート40とを備える。
【0035】
連結部30は、コンクリート杭10よりも平面形状が小さく形成された、コンクリート杭10の上面の中央とフーチング20とを連結する部分であり、例えば、コンクリート杭10又はフーチング20と一緒に構築されるコンクリートである。なお、連結部30の内部に、コンクリート杭10とフーチング20との間を跨るような配置で、鉛直方向に延長する鉄筋(以下、ダボ鉄筋50という)を配筋してもよい。このダボ鉄筋50は、主としてフーチング20からコンクリート杭10へせん断力を伝達する働きをする。ダボ鉄筋50としては、例えば、丸鋼を用いることができる。ダボ鉄筋50は、建て込まれるコンクリート(コンクリート杭10及びフーチング20の少なくとも一方)との間に付着が生じないように設置される。
【0036】
なお、ここで連結部30の内部に設置する部材としては、フーチング20からコンクリート杭10にせん断力を充分に伝達させるものであれば、ダボ鉄筋50に限らず、どのような部材を用いてもよい(例えば、鉄骨等)。さらに、かかるせん断力を、プレート40と、コンクリート杭10及びフーチング20との摩擦力、並びに連結部30のせん断力に対する耐力により、充分に伝達させることができる場合には、特に連結部30の内部にダボ鉄筋50等のせん断力を伝達するための部材を設けなくてもよい。
【0037】
プレート40は、例えば、円環形状を有する鋼製のプレートである(図1(b)参照)。なお、プレート40の材質としては、鋼材に限らず、コンクリート杭10又はフーチング20を構成するコンクリートよりも圧縮強度が大きい材質のものであればどのようなものを用いてもよい。例えば、プレキャストコンクリートを用いてもよい。
【0038】
本実施形態の接合構造1では、中心部に開口を有する円盤状のプレート40が、連結部30の周囲を取り囲むとともに、コンクリート杭10とフーチング20との間に隙間が生じないように2枚積層された状態で介装されている。なお、2枚のプレート40は重ねて設置されているだけであり、互いに離間可能となっている。プレート40は、プレート40の開口部の内周と連結部30の外周との間に隙間が生じないように設置される。なお、各プレート40には、コンクリート杭10又はフーチング20のコンクリートと固定するためのアンカーボルト等を設置してもよい。
【0039】
図2は、第一の実施形態の接合構造1の構築方法を示す工程図である。
図2に示すように、接合構造1の構築方法は、コンクリート杭構築工程S10と、フーチング型枠設置工程S20と、フーチング20及び連結部30へのコンクリート打設工程S30とを備える。
【0040】
コンクリート杭構築工程S10では、例えば、地盤を掘削して孔16を形成し、孔内に安定液を充填して主筋12やせん断補強筋14等の鉄筋を建て込み、掘削された孔16の下端にトレミー管18を挿入して、コンクリートを打設しながら引き抜くことでコンクリート杭10を構築するとともに、コンクリート杭10の上端にプレート40を設置する。
【0041】
ここで、プレート40は、孔16へのコンクリート打設の前に予め孔口を覆うように載置しておき、トレミー管18をプレート40の環内に挿通させながら孔内に挿入して、コンクリートを孔全体に打設することにより、コンクリート杭10の上端に設置する。また、プレート40は、これに限らず、先に孔全体にコンクリートを打設し、その後当該コンクリートが硬化する前に、コンクリートの上面に載置することとしてもよい。
【0042】
また、プレート40は、予め積層した状態で設置してもよく、また、下側の第1プレート40aをコンクリート杭10の上端に設置してコンクリート杭10のコンクリートを硬化させ、その後、第2プレート40bを第1プレート40aの上に載置することとしてもよい。
【0043】
また、ダボ鉄筋50は、杭のコンクリートの打設後に当該コンクリート硬化する前に、その下端一部をプレート40の環内を挿通させて杭頭部に建て込み、その上端一部をプレート40の環内から上方へ突出させるようにして設置する。
【0044】
フーチング型枠設置工程S20では、コンクリート杭10の上側にコンクリートのフーチング20を構築するための型枠22を設置する。このとき型枠22の内部とプレート40の環内の空間とが連通した状態とする。
【0045】
そして最後に、フーチング20及び連結部30へのコンクリート打設工程S30で、フーチング20の型枠22の内部と積層されたプレート40の環内とにコンクリートを打設し、これらコンクリートを養生硬化させ、脱型することにより第一の実施形態に係る接合構造1が構築される。
【0046】
図3は、第一の実施形態の接合構造1の挙動を説明するための断面図であり、同図(a)は平常時、同図(b)は地震時を示している。
【0047】
図3(a)に示すように平常時には、建物等の構造物からフーチング20を介して伝達された荷重が、圧縮軸力として接合構造1に作用する。この場合、積層されたプレート40がコンクリート杭10とフーチング20との間に隙間なく介装されていることにより、圧縮軸力は、連結部30と積層されたプレート40との両方に作用する。このため、フーチング20を介して伝達された荷重を、コンクリート杭10へ充分に伝達することができる。
【0048】
またここで、連結部30に圧縮軸力が作用する際に連結部30に生じる水平方向の膨張を、プレート40が周囲から拘束することから、連結部30の圧縮強度を効果的に向上させる。
【0049】
一方、図3(b)に示すように地震時には、構造物に水平方向の力が作用するだけでなく、構造物が揺動するような転倒モーメントが作用することがあり、これにともなってコンクリート杭10とフーチング20との接合構造1に曲げモーメントが生じる。この場合、接合構造1は、曲げモーメントにより引張応力が発生する側(図中左側)のプレート間が離間し、接合構造1に作用する曲げ剛性を効果的に低下させる。
【0050】
また、このとき、引張応力が発生する側と反対側(図中右側)のプレート同士の接触部部分には局所的に圧縮応力の集中が生じるが、第1プレート40aとコンクリート杭10の上面は当接した状態であるので、集中した圧縮応力が第1プレート40aの底面全体に分散されて、コンクリート杭10の上面のコンクリートに伝達されることになる。このため、コンクリート杭10の上面に破損が生ずるのを抑制することができる。
【0051】
また、ダボ鉄筋50が建て込まれるコンクリート(コンクリート杭10及びフーチング20の少なくとも一方)との間に付着が生じないように設置されていることにより、曲げモーメントによる引張応力が発生する連結部30の内部に作用しても、ダボ鉄筋50を介して引張応力がコンクリート杭10及びフーチング20に伝達されることがないので、ダボ鉄筋50の周囲のコンクリートの損傷を抑制することができる。
【0052】
なお、この接合構造に曲げモーメントが生じても、せん断伝達部材は連結部内を介して配筋されているので、曲げモーメントに対する剛性が増大しにくい。
【0053】
また、地震時において構造物に生じる水平方向の力は、フーチング20から連結部30の内部に配筋されたダボ鉄筋50を介してコンクリート杭10へ効果的に伝達される。
【0054】
図4は、第二の実施形態である接合構造2の断面図である。
図4に示すように、第二の実施形態の接合構造2では、第一の実施形態の接合構造1の第2プレート40bの平面形状が、第1プレート40aよりも小さくなっている。
【0055】
本実施形態の接合構造2においても、第一の実施形態の接合構造1と同様に、構造物に曲げモーメントが作用した場合には、第1プレート40aと第2プレート40bとの間が離間することにより曲げモーメントに対する曲げ剛性が低減されるとともに、この時にプレート40の間に局所的な圧縮応力の集中が生じても、第1プレート40aはコンクリート杭10の上面に当接しているので、かかる圧縮応力はコンクリート杭10に分散されて伝達されることになる。
【0056】
一方、本実施形態の接合構造2では、コンクリート杭10とフーチング20との接合構造の平面形状が、第2プレート40bにおいて縮小しているので、曲げモーメントに対する曲げ剛性を、接合構造1よりも低減させることができる。なお、軸剛性が第2プレート40bを小さくしても、圧縮強度が大きいため、圧縮軸力を充分に伝達できる。
【0057】
なお、平常の圧縮軸力の作用時には、第2プレート40bの平面形状が第1プレート40aよりも小さいので、これらプレート間の接触部分では、第一の実施形態の接合構造1と比べると圧縮応力が大きくなるが、コンクリート杭10の上面には、圧縮軸力が、第2プレート40bより平面形状の大きい第1プレート40aから分散されて伝達されるので、杭頭部への負荷が軽減される。
【0058】
図5は、第三の実施形態である接合構造3の断面図である。
図5に示すように、第三の実施形態の接合構造3では、第二の実施形態の接合構造2で説明した第2プレート40bの上に、さらに第3プレート40cを積層し、かかる第3プレート40cをフーチング20内に埋め込んでいる。ここで、第3プレート40cも、第1プレート40a及び第2プレート40bと同様に、コンクリート杭10又はフーチング20を構成するコンクリートよりも圧縮強度が大きい材質からなるものである。
【0059】
本実施形態の接合構造3においても、構造物に曲げモーメントが作用した場合には、第2プレート40bと、第1プレート40aもしくは第3プレート40cとの間が離間することにより、第二の実施形態の接合構造2と同様に、曲げ剛性の低減及び杭頭部の損傷を抑制する効果が得られる。
【0060】
また、第3プレート40cが、第2プレート40bの上に積層されるとともに、フーチング20内に埋め込まれているので、平常時又は地震時にフーチング20と第3プレート40cと間に作用する荷重が、フーチング20と第3プレート40cとの接触面全体から広範囲に分散されて伝達されることになるので、フーチング20を構成するコンクリートの損傷を抑制することができる。
【0061】
図6は、第四の実施形態である接合構造4の断面図である。
図6に示すように、第四の実施形態の接合構造4では、2枚のプレート40を用いており、下側の第1プレート40aの平面形状をコンクリート杭10の平面形状より小さくし、上側の第2プレート40bをフーチング20内に埋め込んでいる。
【0062】
本実施形態の接合構造4も、第二の実施形態の接合構造2、又は第三の実施形態の接合構造3と同様に、第1プレート40aの平面形状を小さくすることにより、接合構造に発生する曲げモーメントに対する曲げ剛性を低減することができる。
【0063】
ただし、本実施形態の接合構造4では、第1プレート40aの平面形状が小さいので、接合構造4に圧縮軸力が生じた際に、第1プレート40aからコンクリート杭10の上面に伝達される圧縮応力が大きくなり、杭頭部の損傷をまねくおそれがある。
【0064】
そこで、本実施形態の接合構造4では、杭上面のうち第1プレート40aとの当接部分10aを、杭の上端面の周縁部よりも陥没するように形成している。これにより、当接部分10aから杭頭部に伝達される圧縮軸力は、当接部分10aが陥没してないときと比べて杭内部に作用することで、圧縮軸力に抵抗するコンクリート断面形状が広がり、杭内部から広範囲に分散されて伝達されることになるので、杭頭部の損傷を抑制することができる。
【0065】
また、コンクリート杭10にはせん断補強筋14が配筋されており、杭内部のコンクリートを周囲から拘束することで、圧縮軸力作用時のコンクリートの強度及び変形性能が向上することから、コンクリート杭10の割裂による破壊を抑制できる構成となっているが、さらに、本実施形態の接合構造4では、杭上面の当接部分10aが陥没していることにより、当該陥没部分に伝達された圧縮力に対し、陥没部分よりも上側周囲に配筋されるせん断補強筋14の拘束力が付加されることになるので、せん断補強筋14の拘束効果をより効果的に作用させることができ、さらにコンクリート杭10の割裂による破壊の抑制に寄与する。
【0066】
また接合構造4では、コンクリート杭10の上面の陥没部分が、コンクリート杭10の上端面から当接部分10aに向けて縮小するようにテーパー10bが形成されている。これにより、第1プレート40aに圧縮軸力が作用した時に生じるプレートの変形による杭頭部のコンクリートへの損傷を抑制することができる。
【0067】
なお、第四の実施形態に係る接合構造4は、第一の実施形態係る接合構造1とほぼ同様の方法で構築するが、コンクリート杭構築工程S10について以下ように施工する。
【0068】
図7は、第四の実施形態に係る接合構造4の構築におけるコンクリート杭構築工程S10を示す断面図であり、同図(a)はコンクリート打設時、同図(b)はコンクリート硬化時を示す。
【0069】
図7(a)に示すように、第四の実施形態に係る接合構造4の構築では、コンクリート杭構築工程S10においてプレート40を設けるにあたり、例えば、断面にテーパー形状を有する環状型枠19を周囲に設けた第1プレート40aを、杭頭部に設置した状態で、孔内全体にコンクリートを打設する。なお、環状型枠19としては、例えば、コンクリート硬化後に脱型するのに容易な発泡スチロール材等を用いることができる。
【0070】
そして、図7(b)に示すように、孔内に打設したコンクリートが硬化後、環状型枠19を脱型することにより、陥没部に第1プレート40aが当接するとともに、コンクリート杭10の上面の陥没部分に、コンクリート杭10の上端面から当接部分10aに向けて縮小するようなテーパー形状を有する構造を構築することができる。
【0071】
図8は、第五の実施形態である接合構造5の断面図である。
図8に示すように、第五の実施形態の接合構造5は、第四の実施形態の接合構造4と同様に、第1プレート40aの平面形状をコンクリート杭10の平面形状より小さくすることにより、接合構造に発生する曲げモーメントに対する曲げ剛性の低減を図ったものである。
【0072】
ただし、第五の実施形態の接合構造5では、第四の実施形態の接合構造4ように杭上面に陥没部を形成する代わりに、杭頭の周囲に杭頭のコンクリートを拘束する鋼管60を設けている。なお、杭頭のコンクリートを拘束するものとしては、鋼管60に限らず、FRPシートやFRP繊維を巻く等の、杭頭のコンクリートの周囲を拘束できるものであればよい。
【0073】
この構成では、杭頭部が鋼管60により拘束されることにより、圧縮軸力作用時のコンクリートの強度及び変形性能が向上することから、杭頭部の割裂による破壊を抑制することができる。
【0074】
また、第五の実施形態の接合構造5は、第一の実施形態係る接合構造1とほぼ同様の方法で構築するが、コンクリート杭構築工程S10では以下のように施工する。
【0075】
図9は、第五の実施形態に係る接合構造5の構築におけるコンクリート杭構築工程S10を示す断面図であり、同図(a)はコンクリート打設時、同図(b)はコンクリート打設後を示す。
【0076】
図9(a)に示すように、第五の実施形態に係る接合構造5の構築では、コンクリート杭構築工程S10において、掘削した孔内の上端に鋼管60を設けたうえでコンクリートを打設する。そして図9(b)に示すように、孔内全体にコンクリートを打設後、その上端にプレート40を載置するとともにダボ鉄筋50を建て込む。
【0077】
以上説明した各実施形態の接合構造1〜5によれば、コンクリート杭10よりも平面形状が小さく、かつ、コンクリート杭10の上面の中央からフーチング20に連結する連結部30と、連結部30の周囲を取り囲むとともに、コンクリート杭10とフーチング20との間に隙間なく介装される、互いに鉛直方向に離間可能に積層されたプレート40とを備えることにより、平常時には、コンクリート杭10とフーチング20との間に作用する圧縮軸力を、連結部30とプレート40との両方を介して充分に伝達することができる。
【0078】
またここで、プレート40が連結部30の周囲を取り囲んでいるので、連結部30に圧縮軸力が作用する際に連結部30に生じる水平方向の膨張を、プレート40が周囲から拘束することから、連結部30の圧縮強度が向上する。
【0079】
また、各実施形態の接合構造1〜5に曲げモーメントが生じる場合には、当該曲げモーメントにより引張応力が発生する側のプレート40の間が離間することにより、曲げ剛性を効果的に低下させることができる。
【0080】
ここで、曲げ剛性は、プレート40の平面形状が小さくなるほど低下することになるのに対し、プレート40は、コンクリート杭10又はフーチング20よりも圧縮強度が大きい材質(鋼材、或いはプレキャストコンクリート)のからなる。すなわち、許容応力度設計の点からかかる材質に応じた、コンクリート杭10とフーチング20との間に作用する圧縮軸力に必要なプレート40の平面形状の大きさを算定することにより、プレート40の平面形状を小さく変更してもよい。
【0081】
また、プレート40の間が離間する場合、プレート40の間の接触部分には局所的に圧縮応力の集中が生じるが、第1プレート40aとコンクリート杭10の上面とは当接しているので、かかる集中する圧縮応力は、第1プレート40aの底面全体に分散されて杭上面に伝達されることになるので、応力集中によるコンクリート杭10の頭部の損傷を抑制することができる。
【0082】
このように、各実施形態の接合構造1〜5によれば、平常時はコンクリート杭10がフーチング20を堅実に支持するとともに、地震時には曲げモーメントの集中によるコンクリート杭10の頭部の損傷を抑制することができる。
【0083】
なお、第四の実施形態の接合構造4では、杭上面の陥没部にテーパー10bを形成するとしたが、これに限らず、第2プレート40bとフーチング20との間にもテーパー10cを形成してもよい。
【0084】
図10は、第四の実施形態に係る接合構造4において、第2プレート40bの外周面とフーチング20との間にテーパー10cを形成した接合構造400を示す断面図である。
【0085】
図10に示す接合構造400によれば、第2プレート40bの外周面とフーチング20との間にテーパー10cを形成することにより、第2プレート40bに圧縮軸力が作用した時に生じる第2プレート40bの変形によるフーチングコンクリートへの損傷を抑制することができる。なお、この構造は第三の実施形態の接合構造3、又は第五の実施形態の接合構造5に対しても同様に適用可能である。
【0086】
また、本実施形態に係る接合構造1〜4で用いるダボ鉄筋50は、主としてフーチング20とコンクリート杭10との間に生じるせん断力を伝達する働きをするために設けられ、引き抜き力は伝達しないものとしたが、構造物の外縁部に位置する接合構造(以下、外柱下接合構造という)においては、コンクリート杭10とフーチング20との間に生じる引き抜き力を伝達するための機構を備えさせてもよい。これは、外柱下接合構造では、構造物に、地震時に転倒モーメントが作用した場合に、コンクリート杭10とフーチング20との間に引き抜き力が作用することがあり、その場合、かかる引き抜き力を伝達させる必要があるからである。
【0087】
図11は、外柱下接合構造100の断面図である。なお、図11は第一の実施形態の接合構造1においてダボ鉄筋50を変更したものであるが、これに限らず、第二〜五の実施形態に係る接合構造2〜5におけるダボ鉄筋50についても同様の構成とすることが可能である。
【0088】
図11に示すように、外柱下接合構造100では、接合構造1で用いたダボ鉄筋50を、平面形状の大きな芯鉄筋52に変更するとともに、芯鉄筋52の上端に鉄筋をフーチングコンクリートと定着させるための定着プレート54を備えている。これにより、コンクリート杭10とフーチング20との間に生じる引張力を確実に伝達することができる。
【0089】
また、芯鉄筋52の長さはダボ鉄筋50と比べて充分に確保されており、杭頭部領域Xでは芯鉄筋52とコンクリートとの間に付着が生じないように設置されている。これにより、フーチング20とコンクリート杭10との間に引き抜き力が作用した場合に、フーチング20から芯鉄筋52を介してコンクリート杭10に伝達する引張応力を、杭頭部に集中させることなく、杭頭部領域Xよりも下方の位置から杭内部に伝達することができ、その結果、当該引き抜き力が杭内部からに広範囲に分散して伝達されることにより、杭頭部の損傷を抑制することができる。
【0090】
また、曲げモーメントが発生時においても、曲げモーメントは杭の上端に近づくほどその大きさが増加する傾向になるのに対し、曲げモーメントによるせん断伝達部材に作用する引張軸力が杭内部から広範囲に分散されて伝達されることになるので、杭頭部のコンクリートへの損傷を抑制することができる。
【0091】
また、地震時において構造物に生じる水平方向の力も、上記ダボ鉄筋50と同様に、フーチング20から芯鉄筋52を介して、コンクリート杭10へ効果的に伝達される。
【0092】
なお、外柱下接合構造100では、コンクリート杭10とフーチング20との間に生じる引張力を確実に伝達させるための構成として定着プレート54を備えるが、これに限らず、芯鉄筋52と、フーチング20及びコンクリート杭10との付着が充分に確保できる場合には、特に定着プレート54を設けなくてもよい。
【0093】
また、第二の実施形態に係る接合構造2では、第1プレート40aの径をコンクリート杭10と同じ径にしているが、第1プレート40aの径を必ずしもコンクリート杭10と同じ径にする必要はない。
【0094】
図12は、第二の実施形態の接合構造2の第1プレート40aの径を、コンクリート杭10の径よりも小さく設定した場合の接合構造200の断面図である。
【0095】
図12に示すように、第1プレート40aの径をコンクリート杭10の径よりも小さく設定した場合には、第1プレート40aをコンクリート杭10の頭部に埋め込むようにして設置する。また、第2プレート40bの径が、第1プレート40aの径よりも小さくなるように設定する。
【0096】
このように、第1プレート40aをコンクリート杭10の頭部に埋め込むようにして設置することで、フーチング20から第2プレート40bを介して第1プレート40aに伝達された圧縮軸力は、コンクリート杭10へ、杭内部からに広範囲に分散して伝達されることにより、杭の頭部の損傷を抑制することができる。
【0097】
なお、このように第1プレート40aの径をコンクリート杭10と異なる径に設定する場合には、第1プレート40aの径をコンクリート杭10の径よりも小さく設定するとともに、第1プレート40aを杭の頭部に埋め込み、かつ、その第1プレート40aよりも1つ上側の第2プレート40bの径を、第1プレート40aよりも小さくすることを条件として、その他の接合構造にも適用可能である(例えば、第三の実施形態の接合構造3)。
【0098】
また、各実施形態の接合構造1〜5では、プレート40として、コンクリート杭10又はフーチング20よりも圧縮強度が大きい材質(鋼材或いはプレキャストコンクリート)からなるものを用いることとしたが、これに限らず、以下に示すような構成からなるプレート405を用いてもよい。
【0099】
図13は、プレート405を示し、同図(a)は断面図、同図(b)は同図(a)のB−B断面図である。
【0100】
図13に示すように、プレート405は、連結部30の周囲を取り囲む本体部材410と、本体部材410の周囲に、本体部材410を拘束するように設けられた拘束部材420とからなり、例えば、本体部材410は、コンクリート杭10又はフーチング20と同等の圧縮強度を有するコンクリートであり、拘束部材420は、そのコンクリートの周囲に設けられる鋼管である。
【0101】
プレート405をこのような構成にすることにより、鉛直方向に作用する圧縮荷重に対するプレートの圧縮強度及び靱性を、コンクリート単体の構成の場合と比べて向上させることができ、プレート40と同じように用いることができる。
【0102】
なお、本体部材410自体の圧縮強度は、特に限定されるものでなく、本体部材410と鋼管420とからなるプレート405の圧縮強度が、コンクリート杭10又はフーチング20を構成するコンクリートよりも大きくなればよい。
【0103】
また、拘束部材420としては、鋼管に限らず、FRPシートやFRP繊維を巻く等の、本体部材410の周囲を拘束できるものであればよい。
【0104】
さらに、各実施形態の接合構造1〜5に用いる複数のプレートを、プレート40又はプレート405のいずれか単種類で構成するものとしてもよく、又はプレート40とプレート405との複数種類の組み合わせにより構成するものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】第一の実施形態である接合構造1を示し、同図(a)は断面図、同図(b)は同図(a)のA−A断面図である。
【図2】第一の実施形態の接合構造1の構築方法を示す工程図である。
【図3】第一の実施形態の接合構造1の挙動を説明するための断面図であり、同図(a)は平常時、同図(b)は地震時を示している。
【図4】第二の実施形態である接合構造2の断面図である。
【図5】第三の実施形態である接合構造3の断面図である。
【図6】第四の実施形態である接合構造4の断面図である。
【図7】第四の実施形態に係る接合構造4の構築におけるコンクリート杭構築工程S10を示す断面図であり、同図(a)はコンクリート打設時、同図(b)はコンクリート硬化時を示す。
【図8】第五の実施形態である接合構造5の断面図である。
【図9】第五の実施形態に係る接合構造5の構築におけるコンクリート杭構築工程S10を示す断面図であり、同図(a)はコンクリート打設時、同図(b)はコンクリート打設後を示す。
【図10】第四の実施形態に係る接合構造4において、第2プレート40bの外周面とフーチング20との間にテーパー10cを形成した接合構造400を示す断面図である。
【図11】外柱下接合構造100の断面図である。
【図12】第二の実施形態の接合構造2の第1プレート40aの径を、コンクリート杭10の径よりも小さく設定した場合の接合構造200の断面図である。
【図13】プレート405を示し、同図(a)は断面図、同図(b)は同図(a)のB−B断面図である。
【符号の説明】
【0106】
1 第一の実施形態に係る接合構造
2 第二の実施形態に係る接合構造
3 第三の実施形態に係る接合構造
4 第四の実施形態に係る接合構造
5 第五の実施形態に係る接合構造
10 コンクリート杭
10a 当接部分
10b,10c テーパー
12 主筋
14 せん断補強筋
20 フーチング
22 型枠
30 連結部
40,40a,40b,40c,405 プレート
50 ダボ鉄筋
52 芯鉄筋
54 定着プレート
60 鋼管
100 外柱下接合構造
410 本体部材
420 拘束部材
S1 コンクリート杭構築工程
S2 フーチング型枠設置工程
S3 コンクリート打設工程
X 杭頭部領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭とその上に設けられる基礎との接合構造であって、
前記杭よりも平面形状が小さく、かつ、前記杭の上面の中央と前記基礎とを連結する連結部と、
前記杭又は前記基礎よりも圧縮強度が大きい材質からなり、かつ、前記連結部の周囲を取り囲むとともに、前記杭と前記基礎との間に介装された、互いに鉛直方向に離間可能に積層された複数のプレートと、を備えることを特徴とする杭と基礎との接合構造。
【請求項2】
前記プレートは、鋼材又はプレキャストコンクリートからなることを特徴とする請求項1に記載の杭と基礎との接合構造。
【請求項3】
前記プレートは、前記連結部の周囲を取り囲む本体部材と、前記本体部材の周囲に、前記本体部材を拘束するように設けられた拘束部材とからなることを特徴とする請求項1に記載の杭と基礎との接合構造。
【請求項4】
前記複数のプレートのうち少なくとも一枚のプレートが、前記杭よりも小さい平面形状を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の杭と基礎との接合構造。
【請求項5】
前記複数のプレートのうち最下部のプレートよりも一つ上側のプレートが、前記最下部のプレートよりも小さい平面形状を有することを特徴とする請求項4に記載の杭と基礎との接合構造。
【請求項6】
前記プレートの積層数は3枚であり、前記3枚に積層されるプレートのうち中間に位置する中間プレートの平面形状が、当該中間プレートの上側及び下側のプレートの平面形状よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載の杭と基礎との接合構造。
【請求項7】
前記杭よりも小さい平面形状を有するプレートは、前記積層されたプレートのうち最下部のプレートであり、前記杭の上面における前記最下部のプレートとの当接部分が、前記杭の上端面の周縁部よりも陥没していることを特徴とする請求項4に記載の杭と基礎との接合構造。
【請求項8】
前記杭の上面の陥没部分は、前記杭の上端面から前記当接部分に向けて縮小するようなテーパー形状を有することを特徴とする請求項7に記載の杭と基礎との接合構造。
【請求項9】
前記杭と前記基礎との間を前記連結部内を貫通して延び、前記杭と前記基礎との間でせん断力を伝達するせん断伝達部材を備えることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の杭と基礎との接合構造。
【請求項10】
前記せん断伝達部材は、前記杭又は前記基礎の少なくともいずれか一方と、付着していないことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の杭と基礎との接合構造。
【請求項11】
前記せん断伝達部材は、前記杭及び前記基礎とに定着されていることにより、前記杭と前記基礎との間で引張力を伝達可能であることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の杭と基礎との接合構造。
【請求項12】
前記せん断伝達部材は、前記杭の頭部領域で前記杭と付着せず、当該杭の頭部領域よりも下方の位置で前記杭に定着されていることを特徴とする請求項11に記載の杭と基礎との接合構造。
【請求項13】
前記杭の頭部の周囲に、前記杭の頭部のコンクリートを拘束する拘束部材を備えることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の杭と基礎との接合構造。
【請求項14】
杭とその上に設けられる基礎との接合構造の構築方法であって、
互いに離間可能に鉛直方向に積層された環形状を有する複数のプレートを上端に備えるコンクリート杭を構築する杭構築工程と、
前記基礎の構築用の型枠を、前記杭の上側に、前記型枠内の空間と前記積層されたプレートの環内の空間とが連通するように設置するとともに、前記型枠内及び前記積層されたプレートの環内にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、を備えることを特徴とする杭と基礎との接合構造の構築方法。
【請求項15】
杭とその上に設けられる基礎との接合方法であって、
前記杭の上面の中央と前記基礎との間を、前記杭よりも小さい平面形状を有する連結部で連結し、
互いに鉛直方向に離間可能に積層された複数のプレートを、前記連結部の周囲を取り囲ませながら、前記杭と前記基礎との間に介装することを特徴とする杭と基礎との接合方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2009−293349(P2009−293349A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150610(P2008−150610)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】