説明

板状物の搬送システム

【課題】生産設備による制約を受けることが無く、搬送設備のレイアウトの自由度を大幅に高めることが可能な、板状物の搬送システムを提供する。
【解決手段】複数の板状物が収納される収納容器を搬送する搬送経路が、生産設備の上方に架設された架台上に配置された板状物の搬送システムであって、板状物を収納容器内に順次積層する機能及び積層された板状物を収納容器から順次搬出する機能に加えて、収納容器を鉛直方向に搬送する機能を有する段積み段ばらし機と、架台上を走行し、収納容器を段積み段ばらし機から搬出、及び収納容器を段積み段ばらし機にセットするフォーク付搬送台車と、生産設備と各段積み段ばらし機との間で板状物を搬送するベルトコンベアと、ベルトコンベアの経路上に設置され、板状物の搬送方向を平面視して90度転換する転換機と、工程間搬送コンベアとフォーク付搬送台車との間に設けられたリフタ付コンベアとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板ガラス等の板状物を搬送する搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
板ガラス等の板状物の生産や加工等を行う工場において板状物を搬送する場合、板状物を一枚一枚搬送する単搬送システムと、複数の板状物を収納容器に収納して収納容器ごと搬送するブロック搬送システムとがある。
例えば特許文献1には、単搬送システムとして、一枚の板状物を収納する板状容器と、板状容器を搬送する搬送コンベアと、搬送コンベアの経路上に設置され、板状物を板状容器に搬出入する移載装置と、移載装置と処理装置との間で板状物を搬送する連絡コンベアと、板状物が収納された板状容器を保管する容器保管手段とを備えた搬送システムが開示されている。この搬送システムでは、移載装置は、搬送コンベアの直下に配置され、搬送コンベアから上方に出没する移載ローラを備えている。移載装置の移載ローラが上動して、板状容器の底面に設けられた通過孔を介して板状物の下面にローラ部が当接し、板状物は板状容器に収納された状態で所定方向に向けて駆動搬送される。
【0003】
一方、特許文献2には、ブロック搬送システムの一例として、上流側から送られてくる液晶表示パネル用の基板を、ローラにより昇降台上に設置された収納容器へ搬送し、基板を順次垂直方向に積層して収納容器内部に収納する基板収納装置が開示されている。収納容器は、矩形状の上板と、矩形状の枠板と、上板と枠板の四隅同士を接続するガイドポストとから構成されている。ガイドポストの表面には、基板の縁部と係合する多数の溝が上下方向に等間隔で形成されており、昇降台は、ガイドポストの溝間隔と等しい距離ずつ間欠的に上昇(又は下降)するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−168484号公報
【特許文献2】特開平08−166568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
板状物を一枚一枚搬送する単搬送システムの場合、板状物の収納順序の入れ替えや、ロボットアームによるランダムアクセスは容易であるが、ブロック搬送システムに比べて搬送効率の点で劣ると共に、積層保管される板状容器に板状物を搬出入する移載装置の構成も複雑となる。また、搬送ラインが長くなり、搬送機器の設置が複雑で、広い搬送スペースを必要とする問題もある。
【0006】
一方、複数の板状物を収納容器に収納して搬送するブロック搬送システムは、単搬送システムに比べて搬送効率に優れるが、工場等では生産設備が広いスペースを占めるため、搬送設備のレイアウトに大きな制約があった。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、生産設備による制約を受けることが無く、搬送設備のレイアウトの自由度を大幅に高めることが可能な、板状物の搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、複数の板状物が収納される収納容器を搬送する搬送経路が、生産設備の上方に架設された架台上に配置された板状物の搬送システムであって、板状物を前記収納容器内に順次積層する機能及び積層された板状物を前記収納容器から順次搬出する機能に加えて、前記収納容器を鉛直方向に搬送する機能を有する段積み段ばらし機と、並設された複数の前記段積み段ばらし機に沿って前記架台上を走行し、前記収納容器を前記段積み段ばらし機から搬出する機能、及び前記収納容器を前記段積み段ばらし機にセットする機能を有するフォーク付搬送台車と、前記生産設備から搬出された板状物を、前記各段積み段ばらし機に搬送する機能、及び前記各段積み段ばらし機から搬出された板状物を前記生産設備に搬送する機能を有するベルトコンベアと、前記ベルトコンベアの経路上に設置され、板状物の搬送方向を平面視して90度転換する転換機と、前記架台上に設置され、前記収納容器の工程間搬送を行う工程間搬送コンベアと、前記架台上に設置され、前記工程間搬送コンベアと前記フォーク付搬送台車との間で前記収納容器の搬送を行うリフタ付コンベアとを備えることを特徴としている。
ここで、上記「生産設備」は、板状物の生産装置だけでなく、板状物の加工等を行う装置を含むものである。また、上記「工程」は、板状物の生産や加工、保管、検査等に伴う作業工程のことである。
【0009】
ベルトコンベアによって生産設備から搬出された板状物は、段積み段ばらし機にセットされた収納容器内に転換機を介して搬入される。板状物の段積みでは、段積み段ばらし機内で収納容器が所定のピッチで間欠的に上昇することにより、板状物が収納容器内に順次積層される。複数の板状物が収納された収納容器は、段積み段ばらし機内を上方に搬送され、架台上を走行するフォーク付搬送台車によって搬出された後、リフタ付コンベアを介して工程間搬送コンベアに移送される。
【0010】
一方、複数の板状物が収納された収納容器は、工程間搬送コンベアからリフタ付コンベアを介して、架台上を走行するフォーク付搬送台車まで搬送される。該収納容器は、フォーク付搬送台車によって段積み段ばらし機にセットされた後、段積み段ばらし機内を下方に搬送される。収納容器内の板状物は、転換機を介してベルトコンベアに移送された後、ベルトコンベアによって生産設備まで搬送される。板状物の段ばらしでは、段積み段ばらし機内で収納容器が所定のピッチで間欠的に下降することにより、積層された板状物は収納容器から順次搬出される。
【0011】
また、本発明に係る板状物の搬送システムでは、前記段積み段ばらし機は、前記収納容器が載置される載置フレームと、前記載置フレームを懸吊するチェーンと、前記チェーンを介して前記載置フレームを所定のピッチで間欠的に昇降させる機能を有する制御機構と、間隔をあけて立設する複数のスタンドの各上端部にローラが設けられ、前記収納容器に収納される板状物の搬出入を該ローラにより行う櫛歯状ローラコンベアとを備えていてもよい。
【0012】
当該構成では、収納容器が載置される載置フレームをチェーンで懸吊し、制御機構によりチェーンの送り量を制御することで、載置フレームを所定のピッチで間欠的に昇降させることができるので、ボールネジなどを使った他の昇降機構に比べて安価で、且つ高揚程の段積み段ばらし機を実現することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る板状物の搬送システムでは、複数の板状物が収納される収納容器を搬送する搬送経路が、生産設備の上方に架設された架台上に配置されているので、生産設備による制約を受けることが無く、搬送設備のレイアウトの自由度を大幅に高めることが可能となると共に、工場内の空間を有効に利用することができる。またその際、板状物の段積み段ばらし機能に加えて収納容器の垂直搬送機能を備えた段積み段ばらし機を使用することにより、搬送効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係る板状物の搬送システムの配置図である。
【図2】同搬送システムをY方向に見たときの該搬送システムの立面図である。
【図3】(A)は収納容器の平面図、(B)は収納容器の長辺側立面図、(C)は収納容器の短辺側立面図、(D)はD部分の拡大図である。
【図4】(A)は段積み段ばらし機の平断面図、(B)は段積み段ばらし機をX方向に見たときの立断面図、(C)は段積み段ばらし機をY方向に見たときの立断面図である。
【図5】(A)は櫛歯状ローラコンベアの平面図、(B)は櫛歯状ローラコンベアをX方向に見たときの立面図、(C)は櫛歯状ローラコンベアをY方向に見たときの立面図である。
【図6】(A)は段積み段ばらし機の下部をX方向に見たときの立断面図、(B)はB部分の拡大図、(C)はC−C矢視断面図である。
【図7】(A)は転換機の平面図、(B)は転換機をX方向に見たときの立面図である。
【図8】(A)はフォーク付搬送台車の平面図、(B)はフォーク付搬送台車をX方向に見たときの立面図である。
【図9】フォーク付搬送台車からリフタ付コンベアへの収納容器の受け渡しを説明するための模式図であり、(A)はフォークをリフタ付コンベア側にスライドさせた状態、(B)はリフタで収納容器を支持している状態、(C)はベルトコンベアで収納容器を支持している状態を示している。
【図10】本発明の一実施の形態に係る搬送システムによる板状物の段積み作業を説明するための説明図である。
【図11】同搬送システムによる板状物の段ばらし作業を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態に付き説明し、本発明の理解に供する。
【0016】
本発明の一実施の形態に係る板状物の搬送システム10のレイアウトを図1に、搬送システム10をY方向に見たときの立面図を図2に示す。なお、以下の説明では、便宜上、板状物P及び収納容器30が段積み段ばらし機11、12に搬出入される方向をX方向、X方向と直交する水平方向をY方向、鉛直方向をZ方向とする。
【0017】
本搬送システム10は、板状物Pの搬送を行う地上搬送設備と、地上に設置された生産設備Mの上方に架設された架台22、23上に配置され、複数の板状物Pが収納される収納容器30を搬送する架台上搬送設備と、地上搬送設備と架台上搬送設備とを連絡する並設された段積み段ばらし機11、12とから概略構成される。
【0018】
板状物Pの搬送を行う地上搬送設備は、生産設備Mと段積み段ばらし機11、12との間で板状物Pを一枚一枚搬送するベルトコンベア13、14、15と、ベルトコンベア13、15の経路上に設置され、板状物Pの搬送方向を平面視して90度転換する転換機16、17、18、19とを備えている。
ベルトコンベア13は、並設された段積み段ばらし機11、12に沿って設置されており、生産設備Mから搬出される板状物Pは、ベルトコンベア15からベルトコンベア14を経由してベルトコンベア13に搬送される。また、転換機16は段積み段ばらし機11の正面、転換機17は段積み段ばらし機12の正面、転換機18、19はベルトコンベア14を挟んでベルトコンベア13、15の端部にそれぞれ配置されている。
【0019】
一方、複数の板状物Pが収納される収納容器30を搬送する搬送経路を架台22、23上に有する架台上搬送設備は、並設された段積み段ばらし機11、12に沿って架台22上に敷設されたレール21上を走行するフォーク付搬送台車20と、架台23上に設置され、収納容器30の工程間搬送を行う工程間搬送コンベア26と、架台22、23上に設置され、工程間搬送コンベア26とフォーク付搬送台車20との間で収納容器30の搬送を行う並設されたリフタ付コンベア24、25とを備えている。リフタ付コンベア24はレール21を挟んで段積み段ばらし機11の正面、リフタ付コンベア25はレール21を挟んで段積み段ばらし機12の正面にそれぞれ設置されている。
【0020】
図3(A)、(B)、(C)に、矩形状の板状物Pが鉛直方向に積層された状態で収納される収納容器30を示す。収納容器30は、直方体に形成された枠体31と、枠体31の長辺側の立面に一定の間隔で設置された縦材32と、収納空間を挟んで対向する一対の縦材32の中央部同士を連結する横材33とから概略構成されている。各縦材32の対向面には、収納空間側に突出する保持部34が、縦材32の材軸方向に一定の間隔をあけて複数装着されている(図3(D)参照)。板状物Pは、収納容器30の短辺側立面から収納容器30内に搬入され、保持部34上に載置される。
【0021】
次に、段積み段ばらし機11、12について、段積み段ばらし機11を例に採り図4(A)〜(C)、図5(A)〜(C)、図6(A)〜(C)を用いて説明する。
段積み段ばらし機11は、板状物Pを収納容器30内に順次積層する機能、及び積層された板状物Pを収納容器30から順次搬出する機能に加えて、収納容器30を鉛直方向に搬送する機能を有している。段積み段ばらし機11は、鉛直方向に長い直方体形状とされ、外周部は外装材46で被覆されている。段積み段ばらし機11内には、収納容器30が載置される載置フレーム(キャレッジ)40と、載置フレーム40を挟んで立設された一対のマスト45と、載置フレーム40を懸吊するチェーン41と、チェーン41を介して載置フレーム40を昇降させる制御機構と、段積み段ばらし機11の下部に設置され、板状物Pの搬出入を行う櫛歯状ローラコンベア47とを備えている。
【0022】
一対のマスト45の頂部間にはビームプレート43が架設され、ビームプレート43上には、チェーン41が巻き掛けられるスプロケット42aと、スプロケット42aを駆動するモーター44が設置されている。一方、段積み段ばらし機11の底部には、チェーン41が巻き掛けられるスプロケット42bが設置されている。
載置フレーム40の上部に一端が接続されたチェーン41は、段積み段ばらし機11の頂部に設置されたスプロケット42aを経由してマスト45内に挿入され、マスト45内を挿通した後、段積み段ばらし機11の底部に設置されたスプロケット42bを経由し、載置フレーム40の下部に他端が接続されている(図4(C)参照)。
【0023】
載置フレーム40は、長辺方向(X方向)に平行に配置された上側桁材37及び下側桁材38と、上側桁材37と下側桁材38との間に配置された柱材36とからなる長辺側フレームと、一対の上側桁材37間に架設された梁材35とから構成されている。また、長辺方向に平行に配置された下側桁材38には、短辺方向(Y方向)内側に突出する載置部40bが設けられており、載置部40b上に収納容器30が載置される(図4(B)参照)。
【0024】
一方、収納容器30に収納される板状物Pの搬出入を行う櫛歯状ローラコンベア47は、載置フレーム40の長辺方向(X方向)に間隔をあけて立設する複数のスタンド48の各上端部に、Y軸回りに回転するローラ49を備えた構成とされている。板状物Pの搬出入時には、載置フレーム40に載置された収納容器30の底面から収納容器30内に櫛歯状ローラコンベア47が挿入され、ローラ49によって板状物Pは収納容器30の長辺方向(X方向)にスライドする(図5(B)、(C)参照)。なお、櫛歯状ローラコンベア47が櫛歯状となっているので、収納容器30を櫛歯状ローラコンベア47に外挿する際、櫛歯状ローラコンベア47が収納容器30の横材33と干渉することはない。
【0025】
制御機構は、単に載置フレーム40を昇降させるだけでなく、所定のピッチで間欠的に載置フレーム40を昇降させる機能を有している。制御機構は、一方のマスト45の下部に設置された櫛歯型ドグ45a(図6(B)参照)と、載置フレーム40に設置された馬蹄型の停止位置検出センサ40c(図6(C)参照)と、停止位置検出センサ40cから出力される信号に基づいてモーター44を制御する制御部(図示省略)とを備えている。停止位置検出センサ40cの先端部には、一方が投光側、他方が受光側となるLEDが装着されており、停止位置検出センサ40cの先端部間に櫛歯型ドグ45aが配置されている。一方、櫛歯型ドグ45aの各歯の間隔は、収納容器30に装着されている保持部34の間隔と等しくなっている。
載置フレーム40の昇降に伴って停止位置検出センサ40cが昇降すると、櫛歯型ドグ45aによって停止位置検出センサ40cの光が遮断される。制御部は、光が遮断された時点から所定の時間経過後にモーター44を停止させる。この操作を繰り返すことにより、載置フレーム40を所定のピッチで間欠的に昇降させ、板状物Pを収納容器30内に順次積層すると共に、積層された板状物Pを収納容器30から順次搬出することができる。
【0026】
また、載置フレーム40の垂直搬送時における横揺れを防止するため、マスト45に対峙する載置フレーム40の部位には、マスト45の正面に当接してマスト上を移動する正面ローラ40aと、マスト45の側面に当接してマスト上を移動するサイドローラ40dが装着されている。
【0027】
図7(A)、(B)は、転換機16を例に採り、転換機16、17、18、19の構成を示したものである。転換機16が設置されるベルトコンベア13は、平行に設置された一対のガードフレーム58と、一対のガードフレーム58間に配設されガードフレーム58に沿って移動する2本の搬送ベルト50とを備え(ベルトコンベア14、15も同様である。)、板状物Pは2本の搬送ベルト50によって搬送される。
転換機16は、2本の搬送ベルト50の直下に位置し、搬送ベルト50と同方向に配置されたシャフト52と、シャフト52に環装された転換ローラ53と、シャフト52を支持する昇降フレーム51と、シャフト52を駆動するモーター54と、昇降フレーム51を昇降させる昇降機構とを備えている。また、昇降機構は、昇降フレーム51にカム57を介して連結された駆動シャフト56と、駆動シャフト56を駆動するモーター55とを備えている。
駆動シャフト56が回転すると、カム57によって昇降フレーム51が昇降し、転換ローラ53の一部が搬送ベルト50から上方に出没する。搬送ベルト50によって搬送された板状物Pは、転換ローラ53によって搬送ベルト50と直交する水平方向(X方向)に移送される。
【0028】
図8(A)、(B)は、フォーク付搬送台車20を示したものである。フォーク付搬送台車20は、レール21上を走行する台車60と、台車60に搭載され、収納容器30が載置されるフォーク61と、フォーク61をスライドさせるモーター62とを備えている。フォーク61は矩形板状とされ、台車60の走行方向と直交する水平方向(X方向)にスライドする。収納容器30の受け渡しを段積み段ばらし機11、12又はリフタ付コンベア24、25と行う際は、フォーク61を段積み段ばらし機11、12又はリフタ付コンベア24、25のほうへスライドさせる。なお、フォーク付搬送台車20のフォーク61は昇降しないため、フォーク61上の収納容器30の受け取り及びフォーク61上への収納容器30の載置は、段積み段ばらし機11、12の載置フレーム40及びリフタ付コンベア24、25のリフタ65(図9参照)によって行われる。
また、台車60の下部には、レール21に係合して台車60の転倒を防止するガイド63が装着されている。
【0029】
リフタ付コンベア24、25は、収納容器30の長辺側を支持する一対のチェーンコンベア64と、一対のチェーンコンベア64間に設置されたリフタ65とから概略構成されている(図9参照)。リフタ65の上部には複数の柱からなる一対の荷受け部65aが対向配置され、荷受け部65a間の距離は、フォーク付搬送台車20のフォーク61の幅よりも広い距離とされている。
【0030】
フォーク付搬送台車20からリフタ付コンベア24、25への収納容器30の受け渡しは以下のように行われる。
(1)リフタ65が下降している状態で、フォーク付搬送台車20のフォーク61をスライドさせて一対の荷受け部65a間に挿入する(図9(A)参照)。
(2)リフタ65を上昇させて、収納容器30を一対の荷受け部65aで支持する(図9(B)参照)。
(3)負荷の無くなったフォーク61を逆方向にスライドさせて一対の荷受け部65aから引き抜いた後、リフタ65を下降させて収納容器30を一対のチェーンコンベア64で支持する(図9(C)参照)。
一方、リフタ付コンベア24、25からフォーク付搬送台車20へ収納容器30を受け渡す場合は上記と逆の手順となる。
【0031】
なお、工程間搬送コンベア26は、収納容器等の搬送に従来より使用されている公知のチェーンコンベアやローラコンベアなどを使用することができる。
【0032】
次に、本搬送システム10の動作について説明する。
先ず、板状物Pの段積み作業について図10を参照しながら説明する。
(1)空の収納容器30が工程間搬送コンベア26からリフタ付コンベア25に搬送され、フォーク付搬送台車20によって段積み段ばらし機11にセットされる。
(2)段積み段ばらし機11にセットされた空の収納容器30は、板状物Pを収納するため、段積み段ばらし機11内を下方に搬送される。
【0033】
(3)生産設備Mから搬出された板状物Pは、ベルトコンベア15によって転換機19の位置まで搬送され、転換機19によってベルトコンベア14に移送された後、ベルトコンベア14によって転換機18の位置まで搬送される。次いで、板状物Pは、転換機18によってベルトコンベア13に移送された後、ベルトコンベア13によって転換機16の位置まで搬送される。
(4)板状物Pは、転換機16及び段積み段ばらし機11の下部に設置された櫛歯状ローラコンベア47によって収納容器30の最上段に搬入される。次いで、収納容器30が1段上昇し、新たに搬送されてきた板状物Pが、転換機16及び櫛歯状ローラコンベア47によって収納容器30の下の段に搬入される。
(5)(4)の操作を繰り返して、収納容器30の最下段まで板状物Pが搬入された収納容器30は、段積み段ばらし機11内を上方に搬送され、フォーク付搬送台車20によって段積み段ばらし機11から搬出される。
(6)フォーク付搬送台車20によって搬出された収納容器30は、リフタ付コンベア24及び工程間搬送コンベア26によって次工程へ搬送される。
【0034】
なお、段積み段ばらし機11に空の収納容器30がセットされた後、段積み段ばらし機12にも空の収納容器30がセットされ、板状物Pが積層される。即ち、板状物Pが収納された収納容器30が段積み段ばらし機11と段積み段ばらし機12から交互に搬出される。
【0035】
次に、板状物Pの段ばらし作業について図11を参照しながら説明する。
(1)板状物Pが収納された収納容器30が工程間搬送コンベア26からリフタ付コンベア25に搬送され、フォーク付搬送台車20によって段積み段ばらし機11にセットされる。
(2)板状物Pが収納された収納容器30は、段積み段ばらし機11内を下方に搬送される。
【0036】
(3)転換機16及び段積み段ばらし機11の下部に設置された櫛歯状ローラコンベア47によって、収納容器30の最下段に収納されている板状物Pが搬出される。次いで、収納容器30が1段下降し、転換機16及び櫛歯状ローラコンベア47によって上の段の板状物Pが搬出される。
(4)収納容器30から搬出された板状物Pは、ベルトコンベア13、14、15によって生産設備Mまで搬送される。
(5)一方、(3)の操作を繰り返して、空になった収納容器30は、段積み段ばらし機11内を上方に搬送され、フォーク付搬送台車20によって段積み段ばらし機11から搬出された後、リフタ付コンベア24及び工程間搬送コンベア26によって搬送される。
【0037】
なお、板状物Pが収納された収納容器30が段積み段ばらし機11にセットされた後、段積み段ばらし機12にも板状物Pが収納された収納容器30がセットされ、収納容器30から板状物Pが搬出される。
【0038】
以上、本発明の一実施の形態について説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、上記実施の形態では、段積み段ばらし機は2台並設しているが、3台以上並設してもよい。また、上記実施の形態では、フォーク付搬送台車はレール上を走行しているが、タイヤ等により走行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10:搬送システム、11、12:段積み段ばらし機、13、14、15:ベルトコンベア、16、17、18、19:転換機、20:フォーク付搬送台車、21:レール、22、23:架台、24、25:リフタ付コンベア、26:工程間搬送コンベア、30:収納容器、31:枠体、32:縦材、33:横材、34:保持部、35:梁材、36:柱材、37:上側桁材、38:下側桁材、40:載置フレーム、40a:正面ローラ、40b:載置部、40c:停止位置検出センサ、40d:サイドローラ、41:チェーン、42a、42b:スプロケット、43:ビームプレート、44:モーター、45:マスト、45a:櫛歯型ドグ、46:外装材、47:櫛歯状ローラコンベア、48:スタンド、49:ローラ、50:搬送ベルト、51:昇降フレーム、52:シャフト、53:転換ローラ、54、55:モーター、56:駆動シャフト、57:カム、58:ガードフレーム、60:台車、61:フォーク、62:モーター、63:ガイド、64:チェーンコンベア、65:リフタ、65a:荷受け部、P:板状物、M:生産設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の板状物が収納される収納容器を搬送する搬送経路が、生産設備の上方に架設された架台上に配置された板状物の搬送システムであって、
板状物を前記収納容器内に順次積層する機能及び積層された板状物を前記収納容器から順次搬出する機能に加えて、前記収納容器を鉛直方向に搬送する機能を有する段積み段ばらし機と、
並設された複数の前記段積み段ばらし機に沿って前記架台上を走行し、前記収納容器を前記段積み段ばらし機から搬出する機能、及び前記収納容器を前記段積み段ばらし機にセットする機能を有するフォーク付搬送台車と、
前記生産設備から搬出された板状物を、前記各段積み段ばらし機に搬送する機能、及び前記各段積み段ばらし機から搬出された板状物を前記生産設備に搬送する機能を有するベルトコンベアと、
前記ベルトコンベアの経路上に設置され、板状物の搬送方向を平面視して90度転換する転換機と、
前記架台上に設置され、前記収納容器の工程間搬送を行う工程間搬送コンベアと、
前記架台上に設置され、前記工程間搬送コンベアと前記フォーク付搬送台車との間で前記収納容器の搬送を行うリフタ付コンベアとを備えることを特徴とする板状物の搬送システム。
【請求項2】
請求項1記載の板状物の搬送システムにおいて、前記段積み段ばらし機は、前記収納容器が載置される載置フレームと、前記載置フレームを懸吊するチェーンと、前記チェーンを介して前記載置フレームを所定のピッチで間欠的に昇降させる機能を有する制御機構と、間隔をあけて立設する複数のスタンドの各上端部にローラが設けられ、前記収納容器に収納される板状物の搬出入を該ローラにより行う櫛歯状ローラコンベアとを備えることを特徴とする板状物の搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−230859(P2011−230859A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99681(P2010−99681)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000196705)西部電機株式会社 (80)
【Fターム(参考)】