説明

架橋されたゼラチン状材料を基剤とする成形体、該成形体の製造方法、及び該成形体の使用

本発明の目的は、高い機械強度を有し、そして十分に可撓性である、ゼラチンを基剤とする成形体を提供することである。これを目的として、成形体は、架橋されたゼラチン状材料を基剤として製造される。本発明は、成形体が、ゼラチン分子の少なくとも一部が好ましい方向に配向されるように延伸されており、そして材料が軟化剤を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋されたゼラチン状材料を基剤とする成形体に関する。本発明はまた、この種類の成形体を製造する方法に関する。
本発明は、医学分野における、特にインプラントを製造するためのこれらの成形体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性材料の成形体が、種々異なる医学分野において、一方では、創傷、内出血又は外出血を覆うために、また、キャリヤ機能、保護機能、又はガイド機能を果たすインプラントを製造するために使用される。特に重要なものは、吸収性材料及び生きている細胞の構築(組織工学)が関与するいわゆる組織インプラントに関する。これらは、損傷した組織及び器官の治療のために、特に皮膚又は軟骨の再生のために使用される。
【0003】
この種類の材料は、医療分野において材料を成功裡に使用できるように、数多くの特徴を提供しなければならない。一方では、これらの材料は、損傷を被ることなしに取り扱われるのを容易にし、そして成形体内の成長中の細胞を機械応力から保護するのに十分な強度を有していなければならない。しかしこれと同時に、材料は、治療されるべき身体部位の形状に適応するのに十分可撓性であるべきである。
【0004】
特定された要件を満たすために、ゼラチンがベース材料として十分に適していることが判っている。ゼラチンは身体によって完全に吸収することができ、そしてこれに関しては、他の材料、例えばキトサン、アルギン酸塩、アガロース、及びヒアルロン酸と比較して有利である。関連材料であるコラーゲンとは対照的に、高い純度及び再現可能な組成を有するゼラチンが利用可能であり、このゼラチンは、身体による防衛反応を引き起こし得る免疫原性テロペプチドを含まない。
【0005】
生理学的条件下で成形体の十分に長い安定性を達成するために、ゼラチンは一般に、化学的又は酵素的に架橋されなければならない。残留物のない吸収性は、これによる影響を及ぼされることはないが、しかし吸収時間はそれぞれの事例において、架橋度によって設定することができる。
【0006】
架橋型ゼラチンを基剤とするこの種類の成形体を製造する方法は、独国特許出願第10 2004 024 635号明細書に記載されている。
しかしながら、或る用途の場合、成形体のために極めて高い強度が望ましく、このことは、架橋度を高めるだけでは達成することはできない。
【0007】
膜を延伸することにより、ゼラチン膜の引裂強さを高めることができることが記載されている(Bigi他(1998) Biomaterials 19, 2335-2340)。しかしながら、延伸後にグルタルアルデヒドを使用して架橋される、この刊行物に記載された膜の極限伸びは、11%未満である。この種類の膜は、医療分野における使用に望ましい可能性を提供しない。
本発明の目的は、高い機械強度及び十分な可撓性の両方を有する、ゼラチンを基剤とする成形体を提供することである。
【0008】
この目的は、本発明によれば、架橋されたゼラチン状材料を基剤とする成形体であって、成形体は、ゼラチン分子が好ましい方向に少なくとも部分的に配向されるように延伸されており、そして材料が可塑剤を含む、成形体によって達成される。
【0009】
驚くべきことに、一方では可塑剤を含有し、他方では架橋されるゼラチンを基剤とする成形体は、特に良好に延伸することができる。延伸によって、機械特性、具体的には引裂強さ及び極限伸びが著しく改善される。
【0010】
成形体を製造する際の基剤となるゼラチン状材料は、好ましくは大部分がゼラチンから形成される。これは、具体的には60重量%以上、好ましくは75重量%以上のゼラチン比率を含む。ゼラチンを別として、材料は、成形体の特性プロフィールを特定の用途に一層具体的に適合させるために、例えばさらに別のバイオポリマー、例えばアルギン酸塩、又はヒアルロン酸を含有することができる。
【0011】
医療用途において本発明による成形体の最適な生体適合性を保証するために、エンドトキシンの含量が特に低いゼラチンが好ましくは出発材料として使用される。エンドトキシンは代謝産物、又は動物性原材料中に存在する微生物部分を意味する。ゼラチンのエンドトキシン含有率は、1グラム当たりの国際単位(I.U./g)で特定され、そしてLAL試験、つまりEuropean Pharmacopoeiaの第4版(Ph. Eur. 4)に記載された試験を行うことにより測定される。
【0012】
エンドトキシンの含有率をできるだけ低くしておくために、ゼラチン調製過程において微生物をできるだけ早期に全滅させることが有利である。さらに、適切な衛生基準を調製プロセス中に観察するべきである。
【0013】
従って、ゼラチンのエンドトキシン含有率は、特定の方策によって調製プロセス中に大幅に低下させることができる。これらの方策の中には、主として、保存時間の回避を伴う新鮮な原材料(例えば豚皮)の使用、ゼラチン調製開始直前の製造設備全体の徹底した清浄化、及び任意には製造設備内のイオン交換体及びフィルタ系の交換が属する。
【0014】
本発明の範囲内で使用されるゼラチンのエンドトキシン含有率は、好ましくは1,200 I.U./g以下、より好ましくは200 I.U./g以下である。最適には、エンドトキシン含有率は、LAL試験に従ってそれぞれに事例において測定して50 I.U.以下である。これと比較して、商業的に入手可能な多くのゼラチンのエンドトキシン含有率は、20,000 I.U./gを上回る。
【0015】
本発明によれば、ゼラチンに加えて、材料は少なくとも1種の可塑剤を含み、この可塑剤によって、成形体の可撓性が高められ、そしてその被延伸能力が著しく改善される。グリセリン、オリゴグリセリン、オリゴグリコール、及びソルバイトが例えば可塑剤として適しており、グリセリンが最も好ましい。
【0016】
成形体の所期可撓性は、可塑剤の量によって制御することができる。好ましくは、材料中の可塑剤の比率は、12〜40重量%である。16〜25重量%の比率がこれに関連して特に有利である。
【0017】
延伸された成形体は、好ましくは一軸延伸されている。このように、好ましい方向は、その方向に沿ってゼラチン分子が少なくとも部分的に配向されるものとして定義される。
本発明による成形体は、高い機械強度、具体的には引裂強さを有している。好ましくは、本発明による成形体は、それぞれの事例において延伸方向で測定して40N/mm2以上、特に60N/mm2以上の引裂強さを有している。
【0018】
加えて、成形体はまた驚くべきことに、特に延伸方向において、高い極限伸び(延伸限界)を有している。好ましくは、成形体の極限伸びはこの場合、それぞれの事例において延伸方向で測定して30%以上、より好ましくは50%以上である。
基本的には、ゼラチン、及び材料のその他の好適な成分の双方が、成形体内で架橋されていてよい。しかしながらゼラチンが特に架橋されているのが好ましい。
【0019】
架橋は好ましくは化学的な架橋であってよい。このために、個々のゼラチン分子を互いに結合させるいかなる架橋剤も基本的には好適である。好ましい架橋剤は、アルデヒド、ジアルデヒド、イソシアネート、ジイソシアネート、カルボジイミド、及びハロゲン化アルキルである。特に好ましいのは、同時に成形体を滅菌するホルムアルデヒドである。
本発明による成形体の更なる実施態様の場合、材料は、酵素的に架橋されている。酵素トランスグルタミナーゼが好ましくは、この場合の架橋剤として使用され、トランスグルタミナーゼは、グルタミンと、タンパク質の、特にまたゼラチンのリシン側鎖との結合を生じさせる。
【0020】
本発明による成形体は、生理学的条件下で或る程度まで著しく長い寿命を有することができ、そして架橋度によって極めて具体的にこれらの寿命を設定することが可能である。こうして、本発明による成形体は、例えば1週間よりも長い時間、2週間よりも長い時間、又は4週間よりも長い時間にわたって標準的な生理学的条件下で安定であり続けることができる。
【0021】
安定性という概念は、成形体が、乾燥状態での保存中、及び標準的な生理学的条件下での特定の時間中の両方においてその元の形状を実質的に維持し、そして続いて初めて、加水分解作用により有意な程度まで構造的に分解する作用と理解することができる。
インプラントを製造するために使用される成形体が曝される生理学的条件は、主として温度、pH値、及びイオン強度によって特徴づけられる。時間依存の安定特性(以下の文において標準的な生理学的条件と呼ぶ)に関して種々異なる成形体を試験して比較するために、PBS緩衝剤(pH7.2、37℃)中のインキュベーションにより、対応条件をin vitroでシミュレートすることができる。
【0022】
本発明による成形体の機械強度は、強化用材料の添加によって高めることができる。強化用材料は、生理学的に適合可能であるべきであり、最良の場合には同様に吸収可能であるべきである。
【0023】
強化用材料の選択に応じて、機械特性に対して作用すると共に、吸収メカニズムに関する成形体の安定性に或る程度影響を与えることができる。具体的には、強化用材料の吸収安定性は、ゼラチン状材料の成分とは独立して選択することができる。
強化用材料は、(成形体の乾燥質量に対して)5重量%の比率でさえ、成形体の機械特性における顕著な改善を示す。
【0024】
比率が60重量%を上回ると、通常、達成される更なる顕著な改善はなく、且つ/又は、成形体の所期吸収特性、又は所要可撓性を達成できるとしても、そのためには必ず困難が伴う。
強化用材料は、粒子及び/又は分子強化用材料、並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0025】
粒子強化用材料の場合、強化用繊維の使用が特に推奨される。このための繊維は、好ましくは多糖繊維及びタンパク質繊維、特にコラーゲン繊維、絹及び綿繊維、並びにポリアクチド繊維、及び前記のもののうちのいずれかの混合物から選択される。
他方において、機械特性を改善するために、また所望の場合には、神経ガイドの吸収安定性をも改善するために、分子強化用材料も好適である。
【0026】
好ましい分子強化用材料は、具体的にはポリアクチドポリマー及びこれらの誘導体、セルロース誘導体、並びにキトサン及びその誘導体である。また、分子強化用材料は混合物として使用することもできる。
【0027】
本発明による成形体の好ましい実施態様において、成形体は膜である。架橋されたゼラチン状材料を基剤とするこの種類の膜は、損傷組織を覆うため、且つ/又は細胞集団を形成するため、そしてセル構造、例えばスポンジを有する成形体と関連する複合材料を製造するための種々様々な方法において使用することができる。
【0028】
本発明による膜の厚さは、20〜500μm、最も好ましくは50〜250μmである。
本発明による成形体の更なる好ましい実施態様の場合、中空円筒体に関する。この種類の中空円筒体は、特に神経ガイドとして使用することができる。これに関しては、それぞれの事例において個々の神経細胞が神経ガイドの空洞に沿って成長する点で、切断された神経部分の再生を可能にするインプラントが該当する。
【0029】
本発明による中空円筒体は、長手方向及び周方向の両方において延伸することができる。この種類の中空円筒体の実際の製造に関しては後で詳細に述べる。
長手方向に延伸された中空円筒体の場合、延伸によってこれらの機械特性が改善されるだけでなく、同時に、延伸されていない中空円筒体と比較して小さな内径を有する中空円筒体も提供される。これにより、内径をそれぞれの要件に、例えば、中空円筒体が例えば神経ガイドとして使用される場合、神経細胞の寸法に適合させることができる。
【0030】
用途に応じて、中空円筒体の内径は、300〜1,500μm、好ましくは900〜1,200μmである。中空円筒体の平均壁厚は、好ましくは140〜250μmである。
本発明の更なる目的は、改善された機械特性を有する、ゼラチンを基剤とする成形体を製造することができる方法を提供することである。
【0031】
この目的は、本発明によれば、下記工程、すなわち:
a) ゼラチン状材料の水溶液を調製し;
b) 溶解されたゼラチン状材料を部分的に架橋し;
c) 部分的に架橋された材料を含有する溶液から出発して、成形体を製造し;そして
d) 成形体を延伸する
工程を含む方法によって達成される。
【0032】
本発明による成形体との関連において既に述べたように、成形体の機械強度は延伸によって著しく増大させることができる。本発明によれば、ゼラチン状材料が部分的に架橋された後、このために延伸が行われる。この順序は、従来技術(Bigi他(1998) Biomaterials 19, 2335-2340;上記参照)のように架橋前に成形体を延伸するよりも良好な結果をもたらす。
【0033】
工程a)で使用されるゼラチン状材料は好ましくは、大部分がゼラチンから形成される。これは具体的には、60重量%以上、好ましくは75重量%以上のゼラチン比率を含む。加えて上記材料は、更なる成分を含有することができる。
【0034】
基本的には、異なる起源及び品質のゼラチンを、この方法のための出発材料として使用することができるが、上記のように医療用途の場合には、エンドトキシン量が低いゼラチンの使用が好ましい。工程a)における溶液中のゼラチン濃度は、このために、5〜45重量%、好ましくは10〜30重量%であってよい。
【0035】
工程a)の材料は好ましくは、さらに可塑剤を含む。成形体の延伸可能性は、本発明による成形体との関連において既に説明されているように、可塑剤により実質的に改善される。
【0036】
好適な可塑剤は、例えばグリセリン、オリゴグリセリン、オリゴグリコール、及びソルバイトであり、グリセリンが最も好ましい。有利には、材料中の可塑剤の比率は、12〜40重量%である。このために最も好ましいのは、16〜25重量%である。
工程c)において形成された成形体は好ましくは、延伸(工程d))前に少なくとも部分的に、好ましくは残留湿分含有率20重量%未満まで、具体的には15重量%以下まで乾燥させられる。
【0037】
好ましくは、成形体は、温度及び/又は水含有量を上昇させることにより、工程d)の直前に熱可塑性状態にさせられる。このことは、例えば成形体を熱蒸気に曝すことにより達成することができる。成形体の延伸は、有利には延伸比1.4〜8で行われ、最大4の延伸比が好ましい。
【0038】
本発明による方法の具体的な実施態様の場合、工程d)は、工程c)から4週間後までに行われる。延伸前に成形体を好ましくは室温で保存することにより、本発明により製造される成形体の強度を、或る程度まで有意に高めることができる。このために、工程d)は、工程c)から3日〜7日後に行われる。
本発明による方法の更なる実施態様は、延伸済成形体に付加的な架橋を施す、更なる工程e)を含む。
【0039】
材料のゼラチン及び/又は別の好適な成分は、工程b)、及び任意の工程e)の両方において架橋することができる。好ましくはゼラチンは特に、両事例において架橋される。
2段階架橋の利点は主として、より高い架橋度を達成し、これにより結果として崩壊までの時間を長くすることが可能であることにある。このことを、架橋剤の濃度を高める単一段階法によっては同じ程度まで実現することはできない。なぜならば、溶解された材料が余りにも高い程度まで架橋されている場合、これを加工して所定の形状にすることはもはやできないからである。
【0040】
他方において、専ら成形体の製造後に材料を架橋することも適当ではない。それというのもこの場合、成形体の内側領域におけるよりも外側からアクセス可能な境界面が、より強く架橋されるからである。このことは、不均一な分解挙動に反映される。
【0041】
2つの架橋工程間の成形体の本発明による延伸は特に有利である。なぜならば、部分的に架橋された材料内の分子がまだ十分な運動自由度を有し、従って少なくとも部分的に、好ましい方向に沿ってこれらの分子を配向することができるからである。
【0042】
第2の架橋(工程e))は、架橋剤の水溶液の作用によって実施することができるが、しかし好ましくは気体状架橋剤によって達成される。
【0043】
工程b)及び任意の工程e)において、同じ又は異なる架橋剤、好ましくは本発明による成形体との関連において既に説明した化学的及び酵素的な架橋剤を使用することができる。特に気相における任意の第2の架橋工程のためには、ホルムアルデヒドが特に好ましい。それというのも成形体をホルムアルデヒドによって同時に滅菌することができるからである。こうして、ホルムアルデヒドは、蒸気雰囲気によって支援された状態で成形体に対して作用することができる。
【0044】
工程b)の架橋剤は好ましくは、ゼラチンに対して600〜5,500ppm、好ましくは2,000〜4,000ppmの量で溶液に添加される。
溶液中の架橋剤の濃度を変化させることにより、しかし第2の架橋工程における種々異なる架橋レベルによっても、製造される成形体の機械強度、及び生理学的条件下でのこれらの寿命の双方を、極めて単純な方法で設定することができる。
【0045】
こうして驚くべきことに、一方では生理学的条件下で例えば1週間よりも長い時間、2週間よりも長い時間、又は4週間よりも長い時間にわたって安定であり続け、そして他方において細胞適合性及び吸収性に関する要求を満たす。
【0046】
本発明による方法の具体的な実施態様の場合、成形体は膜である。膜は具体的には、工程c)において溶液のキャスティング又は押し出しによって製造することができる。
本発明による方法の別の実施態様の場合、成形体は中空円筒体である。中空円筒体は、工程c)における溶液の押し出しによって製造することもできる。しかしながら好ましくは、円筒体の表面に工程c)において溶液を均一に被着することにより、具体的には溶液中に円筒体を短時間浸漬することによって、中空円筒体が製造される。溶液が乾燥すると、円筒体から引き出すことができる中空円筒体が形成される。
【0047】
中空円筒体の更なる好ましい製造方法は、単層又は多層中空円筒体を形成するために、膜を巻き上げることを含む。閉じた中空円筒体を形成するための膜の結合は、例えば巻き上げ中に膜を湿潤させ、そしてこれにより付着させることにより達成することができる。或いは、膜は接着剤、例えばゼラチンによって結合することもできる。
本発明の1実施態様の場合、中空円筒体は、延伸されていない膜を巻き上げる(工程a)〜c))ことにより最初に形成され、次いで長手方向に延伸され(工程d))、内径がこれにより低減される(上記参照)。浸漬によって製造された中空円筒体をこのように延伸することもできる。
【0048】
方法の別の実施態様の場合、先ず第一に膜を製造して延伸し(工程a)からd))、そしてその後初めて、膜を巻き上げることにより中空円筒体を形成する。巻き上げはこの場合、延伸方向に対して平行に、又は延伸方向に対して直角に行うことができ、長手方向又は周方向において引裂強さが増大した中空円筒体が得られる。使用分野に応じて、一方又は他方の変化実施態様が好ましいことがある。
【0049】
延伸方向に対して直角に膜を巻き上げることは、繊維によって強化された膜にとって特に有利である。それというのも、この場合、繊維が中空円筒体の周方向に沿って少なくとも部分的に配向されているからである。しばしば端部で外科的に縫合される神経ガイドとして使用するために、この種類の繊維配向は、縫合糸の引き裂けに抵抗することができる。
【0050】
本発明による方法は、上記の本発明による成形体の製造に特に適している。製造方法の更なる利点は、従って、本発明による成形体の説明からも明らかである。
本発明はさらに、ヒトに対する医療又は獣医学医療の分野に使用するため、そしてインプラントを製造するための、上記成形体の使用に関する。
本発明による1つの用途は、1つの観点において、前記成形体から創傷のためのカバーを製造することに関する。これらの成形体は、例えば手術中の創傷又は内出血又は外出血を治療するために使用することができる。この場合、好ましくは製造条件を選択することによって、個々に決定可能な時間後に、成形体の吸収が行われる。
【0051】
本発明による成形体が、哺乳動物細胞、すなわちヒト又は動物の細胞の集団形成に著しく適している。このために、成形体は、好適な栄養素溶液で処理され、そして細胞、例えば線維芽細胞又は軟骨細胞が次いで成形体上に播種される。材料の安定性により、細胞は数週間にわたってin vitroで成長して増殖することができる。
【0052】
本発明はさらに、本発明による成形体と、具体的には上述のように、成形体に被着されるか又は成形体上に培養される細胞とを含むインプラント、特に組織インプラントに関する。
【0053】
本発明によるインプラントは、組織欠陥、例えば皮膚又は軟骨の欠陥の治療のために使用され、播種された細胞は例えば、患者から予め採取される。細胞の成長段階中に、成形体は組織形成を機械応力から保護し、そして細胞の固有の細胞外マトリクスの形成が可能になる。本発明による成形体の高い機械強度、及び調節可能な吸収時間の双方が、この点に関して特に有利であることが判る。
【0054】
4週間を上回る吸収時間を有する長寿命材料によって、大規模な欠陥、又は細胞成長が遅い組織タイプの欠陥を処理することができる。
最後に、本発明は、中空円筒体の形態の、本発明による成形体を含む神経ガイドに関する。この種類の神経ガイドの具体的な利点及び実施態様は、既に上で広く説明した。
【実施例】
【0055】
例1:種々異なる架橋度を有する延伸膜及び未延伸膜の製造及び特性
この例のために、それぞれの事例において約71重量%のゼラチン及び約29重量%の可塑剤の一定の比率を含有する材料を基剤として、種々異なる膜を製造した。架橋剤の種々異なる量は、1,000〜4,000ppmである(それぞれの事例においてゼラチン量を基準とする)。
【0056】
このために、ブルーム強度300gの豚皮ゼラチン20gを、それぞれの配合物に対して、可塑剤としての72gの水と8gのグリセリンとの混合物中に60℃で溶解した。溶液を超音波によって脱ガスした後、表1に示されるホルムアルデヒド水溶液(2.0重量%、室温)の量をそれぞれの事例において添加し、混合物を均質化し、そしてポリエチレン下敷き上に約60℃で厚さ1mmに絞り出した。
【0057】
【表1】

【0058】
25℃及び相対湿度30%で約2日間にわたって乾燥させた後、製造された膜をPE下敷きから剥離した。膜の厚さは約220μmであった。
【0059】
延伸前に、上記配合物1−1〜1−4に従って製造された種々異なる膜を、温度23℃及び相対湿度45%でそれぞれ3日、7日、及び28日間にわたって保存した。延伸されない対応膜をそれぞれの事例において同じように処理した。
【0060】
延伸のために、熱蒸気の作用によって膜を軟化し、延伸限界まで熱可塑性状態で伸長し、そして温度23℃及び相対湿度45%で一晩にわたって固定した。これにより、延伸比は2〜4であった。
【0061】
延伸膜の歪み/伸びダイヤグラム(延伸方向)、並びに、対応する未延伸膜の歪み/伸長ダイヤグラムを次いでプロットした。これらを図1〜3に示す。
ダイヤグラムの個々の曲線の標識において、上2桁はそれぞれに事例において、膜を製造する際の起源となる配合物を表すのに対して、第3の桁は、延伸前に膜を保存する時間(3日間、7日間、又は28日間)を表す。延伸された膜は、下1桁の前にVの文字によって示される。
【0062】
図1は、3日後に延伸された膜、並びに、同じ条件下で3日間にわたって保存された未延伸膜の歪み/伸びダイヤグラムを示す。曲線を互いに比較すると、本発明により延伸された膜の引裂強さが、架橋剤の含有率の増大に伴って著しく増大することが判る。
【0063】
延伸効果は、架橋剤の含有率にも依存する。比較的低いホルムアルデヒド含有率1,000ppmの場合、延伸膜1−1−V3の引裂強さは、未延伸膜1−1−3と比較して概ね一定であり続けるのに対して、極限伸びは、約60%からほとんど100%まで有意に上昇する。2,000ppm以上のホルムアルデヒド含有率に関しては、延伸は、引裂強さが有意に高められた膜をもたらし、ホルムアルデヒド含有率が4,000ppmの場合、引裂強さは2倍を上回る値にさえなる(膜1−4−3と比較した膜1−4−V3)。
【0064】
これらの結果は、架橋されたゼラチンを基剤とする膜を延伸することによって、膜の機械特性を極めて多様に改善できることを示す。架橋度に応じて、極限伸び、引裂強さに対して、そして同時に両パラメータに対して好ましい効果が生じる(例えば膜1−2−3と比較した膜1−2−V3)。
【0065】
図2は、7日後に延伸された膜、並びに未延伸膜の歪み/伸びダイヤグラムを示す。延伸により膜のより高い引裂強さが達成されたことがここでも明らかである。
図1との比較はまた、延伸前の保存時間がより長いことにより、架橋剤含有率が低くても、より高い引裂強さを本発明による膜に対して達成できることを示す(例えば膜1−2−V3と比較した膜1−2−V7)。この理由はおそらく、保存時間中の架橋反応の継続である。
【0066】
最後に、図3は、28日後に延伸された膜の機械特性を、対応する基準膜の機械特性と共に示す。歪み/伸びダイヤグラムはここでは、配合物1−1、1−3、及び1−4に基づく膜に対してのみプロットする。
【0067】
未延伸膜の曲線が、28日間の保存時間後にほとんど同一であるのに対して、延伸膜の特性は、架橋剤の含有率に大きく依存する。低含有率1,000ppmの場合、延伸はいかなる効果もほとんど有さないが、しかし3,000及び4,000ppmの場合、対照的に引裂強さは未延伸膜と比較して劇的に上昇する。膜1−4−V28に対して達成されるほとんど90N/mm2の最大引裂強さは、長い保存時間により、3日又は7日後に延伸された膜の場合よりもまだ高い。
図示の歪み/伸びダイヤグラムの全てに関して、それぞれの曲線が、実験室条件下での膜の製造において正確に再現可能ではないことを考慮に入れなければならない。しかしながら、種々異なる膜の曲線の相互関係は典型的である。
【0068】
例2:種々異なる比率の可塑剤を有する延伸膜及び未延伸膜の製造及び特性
この例は、架橋剤の一定の含有率2,000ppm(ゼラチン量を基準とする)を有する架橋型ゼラチンを基剤とする膜に関する。ゼラチンと同様に、膜のための材料はまた、約17重量%〜約33重量%の種々異なる比率の可塑剤を含んだ。
膜を製造するために、豚皮ゼラチン20g(ブルーム強度300g)をそれぞれの事例において、それぞれ表2に示す量に従って4種の異なる配合物において、可塑剤としての水とグリセリンとの混合物中に60℃で溶解することができる。溶液を超音波によって脱ガスした後、2gのホルムアルデヒド水溶液(2.0重量%、室温)をそれぞれの事例において添加し、混合物を均質化し、そしてポリエチレン下敷き上に約60℃で厚さ1mmに絞り出した。
【0069】
【表2】

【0070】
膜の乾燥、保存、及び延伸をこの事例においても、例1に記載されたように行った。
延伸膜及び未延伸膜の歪み/伸びダイヤグラムは、図4〜6に示されている。個々の曲線の意味は、例1と同様である。
【0071】
図4は、3日間の保存時間後に延伸された本発明による膜、並びに対応する未延伸膜の歪み/伸びダイヤグラムを示す。注目すべき第1のことは、使用される可塑剤の全ての比率に関して、本発明による膜の引裂強さが、延伸によって有意に高められることである。この効果は、低比率の可塑剤を有し、そして延伸の不存在において全体的に不十分な歪み/伸びの関係を有する配合物2−1及び2−2の膜に関して、特に際立っている。延伸された膜は対照的に、高い引裂強さを有する極めて良好な機械特性を有する(膜2−1−V3の場合、約100N/mm2)。
【0072】
さらに注目すべきことは、膜の本発明による延伸が、引裂強さだけではなく、配合物2−4を除けば膜の極限伸びをも有意に改善することである。このことは、膜が延伸中に約100〜300%の伸びを既に被っていることを考えると、非常に驚くべきことである。
7日後に延伸された膜の歪み/伸びダイヤグラムは、3日後の延伸と質的には同じ結果を示す。全ての配合物に関して、本発明に従って延伸された膜の引裂強さは、保存時間が長くなることによって、一部が有意に高くなる。これは主として架橋反応の上記のような継続に起因し得る。より長い保存時間はまた、極限伸びに対して好ましい影響を与える。
【0073】
最後に、図6は、28日の保存時間の事例における膜の歪み/伸びダイヤグラムを示しており、ここでは、配合物2−1、2−3、及び2−4に対応する延伸膜及び未延伸膜だけを測定する。図5と比較して、曲線は極めて類似して延び、延伸膜の引裂強さは実際に、7日間の保存の場合よりも再び若干低い。このことは、架橋剤の濃度及び架橋剤の比率に依存し得る、最適な保存時間があることを示唆する。
【0074】
例3:2回架橋された延伸膜の製造
この例は、延伸後の第2の架橋工程を含む、本発明による膜の製造に関する。第2の架橋工程により、膜の生理学的崩壊時間が著しく増大する。
このための出発点は、例1及び2の延伸膜であった。これらの延伸膜を延伸して一晩固定した後、これらを2時間にわたって乾燥器内で、室温で17重量%のホルムアルデヒド水溶液の平衡蒸気圧に曝した。
【0075】
次いで、2回架橋された膜の分解挙動を、1回架橋されている出発膜との相違に関して試験した。このために、約2 x 3cm2のサイズの膜部分を、それぞれの事例において500mlのPBS緩衝剤(pH7.2)中に入れ、そして緩衝剤中に溶解されたゼラチンの濃度を214nmの波長で測定した。1回架橋されている膜は15分後に完全に溶解されたが、2回架橋されている膜には、1時間経過後にも、何の変化も認められなかった。
延伸膜の有利な機械特性は、第2の架橋工程によって実質的な影響を及ぼされないままである。
【0076】
例4:ゼラチンを基剤とする酵素的に架橋された膜の製造
この例は、ゼラチンを基剤とする膜の製造に関し、架橋はトランスグルタミナーゼによって酵素的に実施される。
【0077】
このために、豚皮ゼラチン20g(ブルーム強度300g)を、72gの水と8gのグリセリンとの混合物中に60℃で溶解した。これは約29%の可塑剤の比率と等しかった。溶液を超音波によって脱ガスした後、比活性度30U/gのトランスグルタミナーゼ水溶液4gを添加し、混合物を均質化し、そして45℃まで加熱したポリエチレン下敷き上に厚さ1mmに絞り出した。
【0078】
30分後、膜をPE下敷きから剥離し、温度50℃及び相対湿度90%で2時間にわたって保持し、次いで温度25℃及び相対湿度30%で約2日間にわたって乾燥させた。
トランスグルタミナーゼを使用して架橋された膜は、極限伸び約300%に対して約9N/mm2の引裂強さを示した。
こうして製造された膜の延伸、及び場合によっては、気相におけるホルムアルデヒドを使用した第2の架橋は、例1〜3に記載されたのと同様に実施することができる。
【0079】
例5:ゼラチンを基剤とする延伸中空円筒体の製造
ゼラチンを基剤とする中空円筒体を本発明に従って延伸することにより、内径800〜1,200μmの極めて細い細管を製造することができる。
豚皮ゼラチン(ブルーム強度300g)の溶液が出発材料として役立ち、この出発材料は、例1及び2に記載された手順に相応して、可塑剤としての260gの水と40gのグリセリンとの混合物中に100gのゼラチンを溶解することにより調製した。これは約29%の可塑剤の比率と等しかった。
【0080】
2.0重量%のホルムアルデヒド水溶液4g(ゼラチンに対して800ppmの架橋剤)を添加した後、溶液を均質化し、もう一度脱ガスし、そして表面から泡を除去した。予め離型ワックスを噴霧された直径2mmの一連のステンレス鋼ピンを、長さ約3cmまで溶液中に短時間浸漬した。ピンを溶液から引き出した後、付着した溶液ができる限り均一な層を形成するように、ピンを鉛直方向に保持した。
【0081】
ほぼ1日間にわたって25℃及び相対湿度30%で乾燥させた後、形成されたゼラチン細管をステンレス鋼ピンから取り外すことが可能であった。これらのピンを、次いで23℃及び相対湿度45%でさらに5日間にわたって保存した。
【0082】
延伸のために、細管の両端を把持し、そして細管を熱蒸気の作用によって軟化させた。この熱可塑性状態において、細管を延伸比約1.4で伸ばし、そしてこの状態で固定し、さらに23℃及び相対湿度45%で一晩にわたって乾燥させた。
細管の生理学的崩壊のための時間を長くするために、例3に記載された膜に相応して、これらに第2架橋工程を施した。これのために、細管を17時間にわたって乾燥器内で、室温で17重量%のホルムアルデヒド水溶液の平衡蒸気圧に曝した。この間に、外側から内方に向かってのみ架橋が生じるように、細管の端部を閉じた。
【0083】
図7において、こうして製造された長さ約3cmのゼラチン細管10のうちのいくつかが、ガラス容器12内にある状態で示されている。
図8は、細管の1つの断面を光学顕微鏡を使用して撮影した画像である。示された細管の内径は約1,100μm、そして壁厚は約200μmであり、細管の断面形状及び壁厚の双方は極めて一貫している。
【0084】
この例において製造されたゼラチン細管は、これらの寸法の理由から、及び崩壊のために必要とする時間が長いという理由から、神経ガイドとして使用するのに特に適している。また、細管が外側から出発してより強く架橋されていることも、この用途にとって有利である。それというのも、このようになっていると、細管は、神経細胞が成長するのにつれて、内側から出発して外方に向かって分解できるようになるからである。
【0085】
延伸比を高めることにより、さらに小さな内径を有する本発明による中空円筒体を製造することもできる。この中空円筒体は他の用途にとって有利である。具体的には、本発明による方法を用いることによって、150μmの範囲の内径を有する極めて細い細管を製造することが可能である。細管を延伸すること以外に、このレベルの値を達成することはできない。
【0086】
本発明のこれらの及び更なる利点を、図面に関連する添付の例に基づいてより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】図1は、3日間の保存時間後に延伸された、種々異なる架橋度を有する膜の形態を成す本発明による成形体の歪み/伸びを示すダイヤグラムである。
【図2】図2は、7日間の保存時間後に延伸された、種々異なる架橋度を有する膜の形態を成す本発明による成形体の歪み/伸びを示すダイヤグラムである。
【図3】図3は、28日間の保存時間後に延伸された、種々異なる架橋度を有する膜の形態を成す本発明による成形体の歪み/伸びを示すダイヤグラムである。
【図4】図4は、3日間の保存時間後に延伸された、種々異なる比率の可塑剤を有する膜の形態を成す本発明による成形体の歪み/伸びを示すダイヤグラムである。
【図5】図5は、7日間の保存時間後に延伸された、種々異なる比率の可塑剤を有する膜の形態を成す本発明による成形体の歪み/伸びを示すダイヤグラムである。
【図6】図6は、28日間の保存時間後に延伸された、種々異なる比率の可塑剤を有する膜の形態を成す本発明による成形体の歪み/伸びを示すダイヤグラムである。
【図7】図7は、本発明による中空円筒体を示す写真の図である。
【図8】図8は、本発明による中空円筒体の断面を光学顕微鏡を使用して撮影した画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋されたゼラチン状材料を基剤とする成形体であって、該成形体は、ゼラチン分子が好ましい方向に少なくとも部分的に配向されるように延伸されており、そして該材料が可塑剤を含む、成形体。
【請求項2】
該材料は大部分が、ゼラチンから形成されている、請求項1に記載の成形体。
【請求項3】
該ゼラチンのエンドトキシン含有率が、LAL試験によって測定して、1,200 I.U./g以下、特に200 I.U./g以下である、請求項1又は2に記載の成形体。
【請求項4】
該可塑剤が、グリセリン、オリゴグリセリン、オリゴグリコール、及びソルバイトから選択されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項5】
該材料中の可塑剤の比率が、12〜40重量%である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項6】
該材料中の可塑剤の比率が、16〜25重量%である、請求項5に記載の成形体。
【請求項7】
該成形体が一軸延伸されている、請求項1から6までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項8】
該成形体が延伸方向で測定して、30%以上の極限伸びを有している、請求項1から7までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項9】
該成形体が延伸方向で測定して、50%以上の極限伸びを有している、請求項8に記載の成形体。
【請求項10】
該成形体が延伸方向で測定して、40N/mm2以上の引裂強さを有している、請求項1から9までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項11】
該成形体が延伸方向で測定して、60N/mm2以上の引裂強さを有している、請求項10に記載の成形体。
【請求項12】
該ゼラチンが架橋されている、請求項1から11までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項13】
該成形体内の材料が、アルデヒド、ジアルデヒド、イソシアネート、ジイソシアネート、カルボジイミド、及びハロゲン化アルキルから選択された架橋剤を使用して架橋されている、請求項1から12までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項14】
該架橋剤がホルムアルデヒドを含む、請求項13に記載の成形体。
【請求項15】
該成形体内の材料が酵素的に架橋されている、請求項1から12までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項16】
該成形体内の材料が、トランスグルタミナーゼを使用して架橋されている、請求項15に記載の成形体。
【請求項17】
該成形体が標準的な生理学的条件下で少なくとも1週間にわたって安定であるように、架橋度が選択されている、請求項1から16までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項18】
該成形体が標準的な生理学的条件下で少なくとも2週間にわたって安定であるように、架橋度が選択されている、請求項17に記載の成形体。
【請求項19】
該成形体が標準的な生理学的条件下で少なくとも4週間にわたって安定であるように、架橋度が選択されている、請求項17に記載の成形体。
【請求項20】
該成形体が強化用材料を含む、請求項1から19までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項21】
該強化用材料が、5重量%以上の比率で該成形体内に存在する、請求項20に記載の成形体。
【請求項22】
該強化用材料が、最大60重量%の比率で該成形体内に存在する、請求項20又は21に記載の成形体。
【請求項23】
該強化用材料が、粒子及び/又は分子強化用材料から選択されている、請求項20から22までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項24】
該粒子強化用材料が強化用繊維を含む、請求項23に記載の成形体。
【請求項25】
該強化用繊維が、多糖繊維及びタンパク質繊維、特にコラーゲン繊維、絹及び綿繊維、並びにポリアクチド繊維、及び前記のもののうちのいずれかの混合物から選択されている、請求項24に記載の成形体。
【請求項26】
該分子強化用材料が、ポリアクチドポリマー及びこれらの誘導体、セルロース誘導体、並びにキトサン及びその誘導体から選択されている、請求項23に記載の成形体。
【請求項27】
該成形体が膜である、請求項1から26までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項28】
該膜の厚さが、20〜500μm、好ましくは50〜250μmである、請求項27に記載の成形体。
【請求項29】
該成形体が中空円筒体である、請求項1から26までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項30】
該中空円筒体が長手方向に延伸されている、請求項29に記載の成形体。
【請求項31】
該中空円筒体が周方向に延伸されている、請求項29に記載の成形体。
【請求項32】
該中空円筒体の内径が300〜1,500μm、好ましくは800〜1,200μmである、請求項29から31までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項33】
該中空円筒体の平均壁厚が140〜250μmである、請求項29から32までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項34】
架橋されたゼラチン状材料を基剤とする延伸された成形体を製造する方法であって、該方法は下記工程、すなわち:
a) ゼラチン状材料の水溶液を調製し;
b) 溶解されたゼラチン状材料を部分的に架橋し;
c) 該部分的に架橋された材料を含有する該溶液から出発して、成形体を製造し;そして
d) 該成形体を延伸する
工程を含む、延伸された成形体を製造する方法。
【請求項35】
工程a)の材料は大部分が、ゼラチンから形成される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
工程a)の材料が可塑剤を含む、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
該可塑剤が、グリセリン、オリゴグリセリン、オリゴグリコール、及びソルバイトから選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
該材料中の可塑剤の比率が、12〜40重量%である、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
該材料中の可塑剤の比率が、16〜25重量%である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
該成形体が、工程c)とd)との間で少なくとも部分的に乾燥させられる、請求項34から39までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
該成形体が、温度及び/又は水含有量を上昇させることにより、工程d)の直前に熱可塑性状態にさせられる、請求項34から40までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
工程d)が延伸比1.4〜8で行われる、請求項34から41までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
工程d)が最大4の延伸比で行われる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
工程d)が、工程c)から4週間後までに行われる、請求項34から43までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
工程d)が、工程c)から3日〜7日後に行われる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
該ゼラチンが工程b)で部分的に架橋される、請求項34から45までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
さらに:
e)該延伸済成形体内に含まれる材料を架橋する
ことを含む、請求項34から46までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
該ゼラチンが工程e)で架橋される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
工程e)の架橋が、気相における架橋剤の作用によって行われる、請求項47又は48に記載の方法。
【請求項50】
工程e)が行われる場合、工程b)及びe)の該架橋剤が、同じもの又は異なるものであり、そしてそれぞれの場合に、アルデヒド、ジアルデヒド、イソシアネート、ジイソシアネート、カルボジイミド、及びハロゲン化アルキルから選択される、請求項34から49までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
工程b)及び/又はe)の該架橋剤が、ホルムアルデヒドを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
工程b)の該架橋剤が該ゼラチンに対して、600〜5,500ppm、好ましくは2,000〜4,000ppmの量で該溶液に添加される、請求項34から51までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
工程b)及び/又はe)の該架橋剤が酵素を含む、請求項34から49までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
工程b)及び/又はe)の該架橋剤がトランスグルタミナーゼを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
該成形体が膜である、請求項34から54までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
工程c)が、該溶液のキャスティング又は押し出しを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
該成形体が中空円筒体である、請求項34から54までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
工程c)が、該溶液を円筒体の表面に被着することを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
該方法が、単層又は多層中空円筒体を形成するために、膜を巻き上げることを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
巻き上げが延伸前に行われる、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
巻き上げが延伸後に行われる、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
該膜が、延伸方向に対して平行に巻き上げられる、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
該膜が、延伸方向に対して直角に巻き上げられる、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
請求項1から33までのいずれか1項に記載の成形体を製造するための、請求項34から63までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
ヒトに対する医療又は獣医学医療の分野の、創傷、内出血又は外出血を覆うための吸収性材料を製造するための、請求項1から33までのいずれか1項に記載の成形体の使用。
【請求項66】
in vitroで哺乳動物細胞を培養するためのキャリヤとしての、請求項1から33までのいずれか1項に記載の成形体の使用。
【請求項67】
該哺乳動物細胞が線維芽細胞である、請求項66に記載の使用。
【請求項68】
該哺乳動物細胞が軟骨細胞である、請求項66に記載の使用。
【請求項69】
請求項1から33までのいずれか1項に記載の成形体と、該成形体上に被着又は培養された哺乳動物細胞とを含むインプラント。
【請求項70】
ヒト又は動物の皮膚の損傷、負傷及び/又は火傷を治療するための、請求項69に記載のインプラント。
【請求項71】
ヒト又は動物の軟骨組織の損傷及び/又は負傷を治療するための、請求項69に記載のインプラント。
【請求項72】
請求項29から33までのいずれか1項に記載の中空円筒体を含む神経ガイド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−516038(P2009−516038A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540511(P2008−540511)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際出願番号】PCT/EP2006/010973
【国際公開番号】WO2007/057176
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(502084056)ゲリタ アクチェンゲゼルシャフト (25)
【Fターム(参考)】